JP7114042B2 - 積層体および積層体の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明の構成例は以下のとおりである。
該層1の硬化率が65~90%であり、該層2の硬化率が40~60%である、
積層体。
[4] 前記着色顔料含有層中の着色顔料の重量濃度(PWC)が25~50%である、[3]に記載の積層体。
[8] 前記金属基材がアルミチューブである、[1]~[7]のいずれかに記載の積層体。
工程1で得られた層の上に、別の硬化性組成物を塗布し硬化させる工程2を含む、
[1]~[8]のいずれかに記載の積層体の製造方法。
本発明に係る積層体(以下「本積層体」ともいう。)は、金属基材、硬化性組成物(以下「第1組成物」ともいう。)を用いて得られる層1、および、該硬化性組成物とは異なる硬化性組成物(以下「第2組成物」ともいう。)を用いて得られる層2(以下、層1と層2とを併せて「コート層」ともいう。)をこの順で有し、
該層1の硬化率が65~90%であり、該層2の硬化率が40~60%である。
しかしながら、本発明者が鋭意検討した結果、金属基材上に前記硬化率を有する少なくとも2つの層が存在することで、柔軟性に優れるコート層を得ることができ、金属基材を折り曲げたり、絞ったりしても、金属基材との密着性に優れ、かつ、L値が大きい耐薬品性に優れる積層体を得ることができることを見出した。
すなわち、従来技術では、L値の大きい積層体を得ることと、金属基材との密着性に優れる積層体を得ることとはトレードオフの関係にあり、これらの特性を両立できなかったが、本発明によれば、これらの特性を両立することができる。
前記L値は、具体的には実施例に記載の方法で測定することができる。
ここで略白色は、純白のみならず、白に近い色、例えば、黄白色、青白色、緑白色、赤白色等を含む。
前記金属基材としては特に制限されないが、本発明の効果がより発揮される等の点から、可とう性を有する基材であることが好ましく、折り曲げたり、絞ったりしうる基材であることが好ましい。
前記金属としては、アルミニウム、銅、スズ、鉛、ニッケル、これらの金属を含む合金等が挙げられる。これらの中でも、本発明の効果がより発揮される等の点から、アルミニウムが好ましい。
また、前記基材がアルミチューブであると、内容物を光(紫外線)、空気(ガス)および水(水蒸気)から完全に保護することができ、ノンエアバック性、携帯性、使用性などに優れる積層体を得ることができるため好ましい。
このような厚みの基材は、容易に変形することが可能であるが、本発明によれば、このように基材が変形しても、基材とコート層とが十分に密着した積層体を得ることができる。
前記層1は、第1組成物を用いて得られる層であり、最終的に得られる積層体において、その硬化率が65~90%となる層であれば特に制限されない。
該硬化率は、好ましくは70~90%、より好ましくは70~80%である。
積層体における層1の硬化率が前記範囲にあることで、特に、層の厚さが薄くても耐薬品性に優れる積層体を容易に得ることができる。
前記硬化率は、紫外線照射する場合の積算光量や電子線照射する場合の照射線量を適宜選択することで、調整することができる。
このような硬化反応で消失する構造の量(ピーク強度)は、紫外線分光光度計、13C-NMR、1H-NMR、フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)等の公知の測定機器を用いて測定することができる。
FT-IRを用いて測定する場合は、例えば、下記実施例に記載の方法で硬化率を算出することができる。なお、この際には、FT-IRスペクトルの測定ごとにベースがずれる可能性があるため、硬化反応に寄与しない構造(例:ベンゼン環)のピークを基準シグナルとして、硬化反応で消失する構造のピークを補正することが好ましい。
層1の厚みは、好ましくは5~20μm、より好ましくは5~10μm、特に好ましくは7~8μmである。
前記第1組成物としては硬化性であれば特に制限されないが、活性エネルギー線硬化型組成物であることが好ましい。
前述のように、従来のホワイトコート層は、熱硬化性組成物を用いて形成されていたが、活性エネルギー線硬化型の組成物を用いることで、従来の熱硬化性組成物を用いる際に必要な長い炉等が不用になるため、電力、設備等の点でコストダウンを図ることができ、環境負荷を低減しながら効率よく本積層体を製造することができる。
(メタ)アクリル系化合物としては、従来公知の化合物を用いることができるが、二官能以上の多官能(メタ)アクリレートを1種または2種以上含むことが所望の効果を奏する積層体をより容易に得ることができる等の点から好ましい。
前記多官能(メタ)アクリレートとしては、所望の効果を奏する積層体をより容易に得ることができる等の点から、多官能ウレタン(メタ)アクリレート、多官能エポキシ(メタ)アクリレートを含むことが好ましく、これらの両者を含むことがより好ましい。
前記着色顔料含有組成物と着色顔料不含組成物としては、同様の硬化性化合物を含む組成物が、これらの組成物から得られる層の密着性の点から好ましい。
前記着色顔料は、1種または2種以上を用いてもよい。
前記層2は、第2組成物を用いて得られる層であり、最終的に得られる積層体において、その硬化率が40~60%となる層であれば特に制限されない。
該硬化率は、好ましくは45~55%である。
積層体における層2の硬化率が前記範囲にあることで、特に、柔軟性に優れるコート層を容易に得ることができ、所望のL値を有しながらも、金属基材との密着性に優れる積層体を容易に得ることができる。
前記硬化率は、紫外線照射する場合の積算光量や電子線照射する場合の照射線量を適宜選択することで、調整することができる。
層2の厚みは、好ましくは5~20μm、より好ましくは5~10μmである。
前記第2組成物としては硬化性であれば特に制限されないが、前記第1組成物と同様の理由から、活性エネルギー線硬化型組成物であることが好ましい。
該第2組成物および活性エネルギー線硬化型組成物としては、第1組成物の欄に記載した組成物と同様の組成物等が挙げられる。
本積層体は、さらに印刷層を有することが好ましい。該印刷層は、前記第2組成物が、着色顔料不含組成物である場合には、層1と層2との間に設けてもよいが、金属基材との密着性により優れる積層体を容易に得ることができる等の点から、前記層2の層1とは反対側に設けることが好ましい。
本積層体の製造方法は特に制限されないが、金属基材に、第1組成物を塗布し硬化させる工程1、および、工程1で得られた層の上に、第2組成物を塗布し硬化させる工程2を含む方法が好ましい。
この際には、得られる層1および層2が前記厚みの範囲となるように塗布することが好ましい。
この際の加熱温度としては特に制限されず、用いた組成物に応じて適宜設定すればよいが、好ましくは50~80℃、より好ましくは70~80℃である。
この際には、紫外線照射や電子線照射の前記条件よりも小さい積算光量や照射線量で紫外線や電子線を照射すればよく、工程2における硬化を経て、得られる層1および層2が前記所望の硬化率を有するように、照射条件を調整すればよい。
アクリル系塗料(ビスフェノールA型エポキシアクリレート、多官能アクリレートおよび光開始剤を含む塗料、着色顔料不含)75質量%と酸化チタン25質量%とを混合することで、(硬化性)組成物1を調製した。
アクリル系塗料の使用量を50質量%、酸化チタンの使用量を50質量%に変更した以外は調製例1と同様にして、(硬化性)組成物2を調製した。
調製例1で用いたアクリル系塗料を(硬化性)組成物3とした。
肉厚約0.1mmのアルミチューブ(チューブ基材)表面に前記組成物3を膜厚が8μmとなるように塗布した。その後、組成物3の塗布面を、UV露光機を用いて、積算光量が800mJ/cm2(強度:500mW/cm2)となるように紫外線を照射し塗膜を形成した。次いで、得られた塗膜の上に、前記組成物1を膜厚が18μmとなるように塗布した。その後、組成物1の塗布面を、岩崎電気(株)製コンパクトEBラボ機「EC90/10/50L」を用いて、照射線量が50kGy(加速電圧:90kV)となるように電子線を照射することで、チューブ基材の上に、硬化率が81.8%の層1および硬化率が51.2%の層2をこの順で有するチューブを作成した。
表1に記載の組成物を用い、硬化方法、各層の厚みが表1の通りとなるように変更した以外は実施例1と同様にしてチューブを作成した。
硬化率は以下の方法で測定した。
実施例および参考例で用いた硬化性組成物およびチューブ基材上の塗膜それぞれをFT-IR(ATR法)により測定した。なお、チューブ基材側の層(層1)のFT-IR測定は、得られたチューブを用いて、表層(層2)のFT-IRスペクトルを得た後、該表層を剥離し、その剥離面に対して行った。
硬化率は、硬化前後の硬化反応で消失した構造の量(ピーク強度)に基づいて算出した。具体的には、以下の方法で算出した。
前記ピーク強度AおよびBを用いて、下記式により硬化率を算出した。
硬化率[%]={1-((B'/A')/(B/A))}×100
各実施例および参考例で得られたチューブのL値は、コニカミノルタ(株)製分光測色計「CM-2600d」を用いて測定した。L値が90以上である場合、所望の外観(色)のチューブを得ることができたといえる。
なお、各実施例および参考例で得られたチューブにつき、10検体を用いて試験を行いその平均値を算出した。結果を表1に示す。
クロスカット試験は以下のように行った。
各実施例および参考例で得られたチューブを用い、該チューブ上の塗膜上のごみ、ほこりおよび油分等の異物を取り除き、このように取り除いた部分に、縦および横の切込みを1mm間隔でそれぞれ11本入れた。該切込みを入れた面に、15mm幅のセロテープ(ニチバン(株)製)を圧着した後、セロテープの端を持ち、塗膜面に対し、約90°の角度で急激にセロテープをはがした。形成した100マス中、チューブ基材上に残存している塗膜の面積である残存面積率(%)を算出した。残存面積率が100%の場合を◎、95%以上100%未満の場合を○、85%以上95%未満の場合を△、85%未満の場合を×とした。
なお、各実施例および参考例で得られたチューブにつき、10検体を用いて試験を行いその平均値を算出した。結果を表1に示す。
クラッシャー試験は以下のように行った。
台の上に各実施例および参考例で得られたチューブを垂直に立て、そのチューブの台とは反対側の端より上方50cmの高さから、2kgの重りを落下させ、チューブを押しつぶした。
押しつぶされたチューブ基材上の塗膜に亀裂や剥離が全くなかった場合を◎とし、塗膜側から見た場合に、チューブ基材は見えないが、塗膜の一部に、亀裂や剥離がわずかにある場合を○とし、塗膜側から見た場合に、チューブ基材が見え、塗膜に、亀裂や剥離が多く存在した場合を△とし、指で軽く触るだけで塗膜が剥離した場合を×とした。
なお、各実施例および参考例で得られたチューブにつき、10検体を用いて試験を行いその平均値を算出した。結果を表1に示す。
耐薬品性試験は以下のように行った。
前記と同様にして作成したチューブの片面に0.3%のヒルドイドクリーム約0.5gを塗布し、恒温恒湿層に入れ、温度40℃、湿度75%の環境下で1週間保管した。1週間保管後、チューブを取り出し、該チューブ上のクリームをキムワイプ(日本製紙クレシア(株)製)を用いて拭き取った。その後、クリーム拭き取り面を素手で10回扱き、チューブ基材上の塗膜の浮きや剥がれの有無を確認した。チューブ基材上の塗膜の浮きや剥がれがない場合には、再度前記と同様のクリーム約0.5gを塗布し、前記と同様に恒温恒湿層に入れ、1週間保管後のチューブ基材上の塗膜の状態を前記と同様に確認した。この操作を、チューブ基材上の塗膜に浮きや剥がれが確認されるまで最大10週間行った。5週間以上チューブ基材上の塗膜に浮きや剥がれが確認されなかった場合、耐薬品性が良好であるといえる。
なお、各実施例および参考例で得られたチューブにつき、20検体を用いて試験を行い、塗膜の浮きや剥がれが生じるまでの期間の平均を算出した。結果を表1に示す。
Claims (8)
- 金属基材、硬化性組成物である第1組成物を用いて得られる層1、該第1組成物とは異なる硬化性組成物である第2組成物を用いて得られる層2、および、印刷層をこの順で有し、
該層1の硬化率が65~90%であり、該層2の硬化率が40~60%であり、
前記第1組成物が、着色顔料含有組成物であり、前記第2組成物が、着色顔料不含組成物であり、
前記第1組成物および第2組成物が、多官能ウレタン(メタ)アクリレートおよび多官能エポキシ(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種を含む活性エネルギー線硬化型組成物であり、
前記層1および層2が、前記印刷層が示す表示内容を明確にするための層であり、
前記層1および層2が、層2側から測定した場合のL値が90以上であり、
前記金属基材が、チューブ容器である、
積層体。 - 前記層1および層2の一方が着色顔料含有層であり、他方が着色顔料不含層である、請求項1に記載の積層体。
- 前記着色顔料含有層中の着色顔料の重量濃度(PWC)が25~50%である、請求項2に記載の積層体。
- 前記層1および層2を前記層2側から見た場合の色が、白色、黄白色、青白色、緑白色または赤白色である、請求項1~3のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記金属基材がアルミニウム基材である、請求項1~4のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記金属基材がアルミチューブである、請求項1~5のいずれか1項に記載の積層体。
- 金属基材に、前記第1組成物を塗布し硬化させる工程1、および、
工程1で得られた層の上に、前記第2組成物を塗布し硬化させる工程2を含む、
請求項1~6のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。 - 前記工程1および2における硬化方法が、紫外線照射および電子線照射から選ばれる少なくとも1つの方法を含む、請求項7に記載の製造方法。
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