JP2004175449A - 包装材料およびその製造方法 - Google Patents

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健 広瀬
Keiichi Sato
馨一 佐藤
Tetsuhisa Nakamura
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Abstract

【課題】本発明は、包装材料用のフィルムまたはシートをラミネーションせずに作製することができ、しかも低加速電圧の電子線照射装置を使用するため簡便かつ安価にして十分な包装材料およびその製造方法を提供する。
【解決手段】包装材料用基材フィルムまたはシートに、1層または2層以上の被覆剤を被覆して、少なくとも1層が電子線により硬化させてなる、包装材料用フィルムまたはシートをラミネーションする必要がない包装材料を構成する。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、食品、家庭用品、工業資材、電気製品、電子部品等の包装材料またはその製造方法であって、ラミネーションを必要とせずに作ることができる包装材料およびその製造方法である。
【0002】
【従来の技術】包装材料は、製造、保存、流通、展示または廃棄等において、(1)内容物の保護と広告、装飾等の機能、(2)製造の容易性、コスト、環境を考慮した廃棄性・リサイクル性、等が要求される。
【0003】
内容物を保護する機能として、包装される内容物の変質、劣化等を防ぐため、包装材料に、空気、酸素、水蒸気または水等の不透過性を付与する必要がある。そのため、包装材料として、2種以上の包装材料用フィルムまたはシートをラミネーションすることにより、内容物の保護機能を付与している。
【0004】
広告、装飾等の機能として、印刷、塗装、着色により、美装性、意匠性を付与している。
【0005】
包装材料は、内容物の保護機能および広告、装飾等の機能を付与すると共に、上記(2)の製造の容易性、コスト、環境を考慮した廃棄性・リサイクル性、等が要求される。
【0006】
これらの包装材料に要求される機能を満たすには、通常、包装材料として、1種類のプラスチックフィルムでは難しく、2種または3種以上のフィルムまたはシートが積層されている。また、広告、装飾等の機能から、印刷や塗装が行われている。
【0007】
包装材料の製造には、プラスチックフィルム、紙、アルミ箔等のラミネーション(積層)工程、ラミネーションのための接着剤の被覆工程、印刷工程等の作業の異なる工程を経て製造されている。
【0008】
従って、上記(2)の製造の容易性、コスト、環境を考慮した廃棄性・リサイクル性、等を満たした包装材料とすることは容易ではなかった。
【0009】
また、ラミネーション工程を低減した積層材および包装容器について、従来はは、プラスチックフィルム・無機酸化物の薄膜/コーテイング薄膜/印刷層/接着剤層/ヒートシール性樹脂(熱溶着性樹脂)層の構成を有し、ほとんど印刷または塗装で層を形成している(例えば、特許文献1参照)。しかし、当該公報の発明はラミネーション工程を不要とするための発明ではなく、透明性、バリヤー性、ラミネーション強度に優れた積層材および包装容器を目的とするものである。さらに、当該公報の発明は、有機溶剤を多量に含有する印刷インキ、塗装剤を使用しているため、最近の環境に負荷を与えない包装材料とは言い難い。
【0010】
【特許文献1】
特開2001−47546号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、(1)内容物の保護と広告、装飾等の機能、(2)製造の容易性、コスト、環境を考慮した廃棄性・リサイクル性、等を満たす包装材料を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の発明は、包装材料用基材フィルムまたはシートに、1層または2層以上の被覆剤を被覆した包装材料において、当該被覆剤の1層または2層以上が電子線硬化型であり、電子線を照射し、電子線により硬化させてなる、包装材料用フィルムまたはシートをラミネーションする必要がない包装材料である。
【0013】
第2の発明は、包装材料用基材フィルムまたはシートの片面または両面に無機酸化物の薄膜を設けてなることを特徴とする上記包装材料。
【0014】
第3の発明は、前記被覆剤が気体およびもしくは液体の不透過性を有する被覆剤である上記包装材料である。
【0015】
第4の発明は、包装材料用基材フィルムまたはシートの内面側に熱融着性被覆剤が被覆されている上記包装材料である。
【0016】
第5の発明は、包装材料用基材フィルムまたはシートが熱融着性を有するフィルムまたはシートであることを特徴とする上記包装材料である。
【0017】
第6の発明は、熱融着性包装材料用基材フィルムまたはシートの外面側に、1層または2層以上の電子線硬化型被覆剤を被覆し、電子線を照射し、硬化させてなる、包装材料用フィルムまたはシートをラミネーションする必要がない包装材料である。
【0018】
第7の発明は、包装材料用基材フィルムまたはシートの外面側に1層または2層以上の電子線硬化型被覆剤を被覆し、電子線を照射し、硬化させ、包装材料用基材フィルムまたはシートの内面側に熱融着性被覆剤が被覆されてなることを特徴とする、包装材料用フィルムまたはシートをラミネーションする必要がない包装材料である。
【0019】
第8の発明は、包装材料用基材フィルムまたはシートの内面側に1層または2層以上の電子線硬化型被覆剤を被覆し、電子線を照射し、硬化させ、その上に熱融着性被覆剤が被覆されてなることを特徴とする、包装材料用フィルムまたはシートをラミネーションする必要がない包装材料である。
【0020】
第9の発明は、包装材料用基材フィルムまたはシートに、少なくとも1層は電子線硬化型である、1層または2層以上の被覆剤を被覆し、加速電圧を150kV以下で電子線を照射し、硬化させる、包装材料用フィルムまたはシートをラミネーションする必要がない包装材料の製造方法である。
【0021】
第10の発明は、加速電圧が10〜130kVである上記包装材料の製造方法である。
【0022】
なお、本発明では、「硬化」とは、架橋、改質または乾燥をも意味する。また、
「包装材料用フィルムまたはシートをラミネーションする必要がない」とは、包装材料の製造において、包装材料用基材フィルムまたはシートの2種以上を積層する、いわゆるラミネーション工程を必要とせずに、包装材料として必要な機能を満たした包装材料を得ることが出来ることを意味する。
【0023】
包装材料用基材フィルムまたはシートとしては、例えばポリエステル樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、その他のポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、メタクリルスチレン樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂、ジアセチルセルロース樹脂、アセテートブチレートセルロース樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテル樹脂、トリメチルペンテン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂等プラスッチック;アルミニウム等の金属;紙;その他のフィルム、シート等である。さらにはこれらのフィルム、シートは、無色透明でもよくその用途によっては着色されてもよく、また物理特性の向上等のためにあらかじめ処理、例えばコロナ放電処理等を施してあっても構わない。包装材料用基材フィルムまたはシートの厚さは5μm〜2mmであり、好ましくは10μm〜1mm、より好ましくは15〜500μm程度の厚さである。フィルム、シートの種類によって異なるが、ある程度の厚さを保有し、例えば30〜500μm、好ましくは50〜300μm程度の、いわゆる腰のあるものを使用することが望ましい。なお、包装材料用基材フィルムまたはシートとして、あらかじめ2種以上の包装材料用基材フィルムまたはシートを積層したものを使用してもよい。
【0024】
包装材料用基材フィルムまたはシートとしては、上記のプラスチックフィルムまたはシートの片面または両面に、無機酸化物の薄膜を形成した包装材料用基材フィルムまたはシートが、バリヤー性から望ましい。無機酸化物の薄膜は、ケイ素、アルミニュウム、マグネシウム、カルシウム、ホウ素、チタン等の金属酸化物の1種または2種以上であり、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーテイング法等により、50〜2000、好ましくは100〜1000オングストローム程度の膜厚に形成したものである。
【0025】
また、包装材料用基材フィルムまたはシートとして、予めアルミニュウム等を蒸着したもの、ポリ塩化ビニリデン、エチレン酢酸ビニル樹脂、ポリ-エチレンビニルアルコール等のバリヤー性のある樹脂を設けたもの、バリヤー性に寄与する添加物を含む樹脂層を設けたもの、等のフィルムまたはシートはバリヤー性を必要とする包装材料に使用することができる。
【0026】
電子線硬化型の被覆剤としては、印刷インキ、塗料、接着剤等であり、少なくとも電子線照射により硬化する成分を1種または2種以上含有する被覆剤である。当該成分としては、モノマー、オリゴマー、プレポリマー等の1種以上が使用される。被覆剤には、電子線照射で反応しない成分、例えば樹脂、着色剤、その他の添加剤が、通常用いられる。
【0027】
樹脂としては、例えばポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂等のバインダー樹脂が挙げられる。
【0028】
また、反応する成分の例としては、多価アルコール等の多官能化合物の(メタ)アクリレート等のオリゴマーまたはプレポリマーならびに反応性希釈剤としてエチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン等の単官能モノマーおよび多官能モノマー、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングルコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等を使用する硬化型バインダー樹脂である。被覆剤層の厚さとしては、通常、0.1μm〜100μm、好ましくは1μm〜50μmの厚さである。必要に応じて添加剤を使用してもよい。
【0029】
本発明の被覆剤として主なものは、各種印刷インキ、塗料等であり、凸版インキ、オフセットインキ、グラビアインキ、フレキソインキ、スクリーンインキ、インクジェットインキ等の電子線硬化型インキや塗料が挙げられる。さらには、接着剤や粘着剤であってもよく、反応硬化型(モノマー型、オリゴマー型、プレポリマー型)の接着剤が挙げられる。印刷インキ、塗料、粘接着剤においては、従来から使用されている各種添加剤を使用することができる。各種添加剤の例としては、顔料、染料、安定剤、溶剤、防腐剤、潤滑剤、ワックス、可塑剤、レベリング剤、界面活性剤、分散剤、消泡剤、キレート化剤等が挙げられる。
【0030】
本発明の包装材料の構成例を挙げると、例えば、(1)熱融着性被覆剤層/包装材料用基材フィルムまたはシート/白色のインキまたは塗料層/単色または多色印刷層/オーバーコート層(白色層、印刷層およびもしくはオーバーコート層が電子線硬化型)、(2) 熱融着性被覆剤層/包装材料用基材フィルムまたはシート/アンカーまたはプライマー層/単色または多色印刷層/オーバーコート層(アンカーまたはプライマー層、印刷層およびもしくはオーバーコート層が電子線硬化型)、(3) 熱融着性被覆剤層/包装材料用基材フィルムまたはシート/アンカーまたはプライマー層/白色のインキまたは塗料層/単色または多色印刷層(アンカーまたはプライマー層、白色層およびもしくは印刷層が電子線硬化型)、(4) 包装材料用基材フィルムまたはシート(熱融着性)/白色のインキまたは塗料層/単色または多色印刷層(白色層およびもしくは印刷層が電子線硬化型)、(5) 包装材料用基材フィルムまたはシート(熱融着性)/アンカーまたはプライマー層/白色のインキまたは塗料層/単色または多色印刷層(アンカーまたはプライマー層、白色層およびもしくは印刷層が電子線硬化型)、(6) 包装材料用基材フィルムまたはシート(熱融着性)/気体およびもしくは液体の不透過性被覆剤層/白色のインキまたは塗料層/単色または多色印刷層(不透過性被覆剤層、白色層およびもしくは印刷層が電子線硬化型)、(7) 包装材料用基材フィルムまたはシート/白色のインキまたは塗料層/単色または多色印刷層/熱融着性被覆剤層(白色層およびもしくは印刷層が電子線硬化型)、等が挙げられる。
【0031】
なお、熱融着性被覆剤層は、一般的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンープロピレン共重合体、エチレンー酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレンー(メタ)アクリル酸共重合体、エチレンー(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ(メタ)アクリル酸等であり、全面に被覆される場合、ヒートシールされる部分に部分的に被覆される場合、いずれも適用できる。熱融着性被覆剤層は、溶融押し出しコート、溶剤に溶解または分散した被覆剤の塗装、または無溶剤型被覆剤の塗装、により形成される。融着性被覆剤層の厚さは、1〜200μm、好ましくは5〜100μm程度である。
【0032】
気体およびもしくは液体の不透過性被覆剤としては、ポリビニールアルコール、ポリ-エチレンビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリエステル等であり、溶融押し出しコート、溶剤に溶解または分散した被覆剤の塗装、または無溶剤型被覆剤の塗装等により形成される。該被覆剤層の厚さは、2〜100μm、好ましくは5〜50μm程度である。特開2001−47546号公報または特開2002−194286号公報に開示されているケイ素原子を有する変性ポリビニルアルコール系樹脂、特許第2886457号または特許第3007012号公報公報に開示されているポリアクリル酸および糖類の組成物、を使用することにより、塗装でバリヤー性の被覆剤を形成できる。
【0033】
本発明において、必要に応じて、層間に接着剤層(アンカー層またはプライマー層を含む)を設けることができる。接着剤層は、ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ゴム系樹脂等の溶剤型、水性型または無溶剤型が使用でき、1液型または2液型、さらには硬化型または非硬化型、いずれでもよい。
【0034】
包装材料の用途の1例として、食品用包装材料があるが、内容物によっては、加圧加熱による殺菌、いわゆるレトルト処理が行われる。レトルト処理によってバリヤー性の低下のないまたは少ない材料を包装材料に使用することが好ましい。
【0035】
本発明は、該被覆剤を対象物であるプラスチックフィルム基材などに印刷または塗装するものであり、その方法としては、通常のグラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、凸版印刷等の一般的な印刷方式の他、塗布方式としては、グラビアコート方式、リバースコート方式、キスコート方式、ダイコート方式、リップコート方式、コンマコート方式、ブレードコート方式、ロールコート方式、ナイフコート方式、カーテンコート方式、スロットオリフィス方式、スプレーコート方式等の各方式があげられ、1回または数回に分けても、また異なる方式を複数組み合わせて印刷または塗布しても良い。
【0036】
本発明に係る電子線硬化は、真空中で電子を電圧にて加速し、この加速された電子を空気中または窒素ガス等の不活性ガス中の常圧雰囲気中に取り出し、被照射体に対して電子線(EB)を照射する方法である。電子線照射による硬化の利点としては、次の点が挙げられる。▲1▼希釈剤として有機溶剤を含有させる必要がないので環境に優しい。▲2▼硬化速度が速い(生産性大)。▲3▼熱乾燥よりも硬化作業面積が少なくてすむ。▲4▼基材に熱がかからない(熱に弱いものにも適用可能)。▲5▼後加工がすぐできる(冷却、エージング等が不要である)。▲6▼電気的作業条件を管理すればよいから、熱乾燥の際の温度管理よりも管理しやすい。▲7▼開始剤、増感剤がなくてもよいので、これらの悪影響がないものができる(品質の向上)。
【0037】
しかし、従来の電子線硬化では、上述したように加速電圧が通常150kV〜1MVと高いため、X線が発生し、装置に大掛かりなシールドを設ける必要がある。また、このような高エネルギーの電子線を用いる場合には、オゾン発生による作業環境への悪影響が懸念されている。さらに、酸素ラジカルの発生に起因して、被覆剤表面において反応が阻害されるため、窒素等の不活性ガスによるイナーティングを必須とする。
【0038】
さらに、高加速電圧による電子線は到達深度が深いため、樹脂フィルム等の基材を劣化させることがある。例えば、セルロースのグリコキシド結合の切断に起因する崩壊が比較的低線量で生じ、特に耐折強度の低下は照射線量が10kGy(キログレイ)以下でも顕著に現れることが知られており、問題となりがちである。特に、基材に印刷または塗装された厚さ0.1〜30μmの被覆剤においては、その厚さが薄かったり場合に基材の劣化が問題となりやすい。
【0039】
本発明では、基材に施された被覆剤を電子線照射により硬化させるにあたり、加速電圧を10〜150kV、好ましくは10〜130kV以下、より好ましくは100kV以下、さらに好ましくは20〜80kV、さらには30〜70kVで電子線を照射する。
【0040】
電子線照射装置としては、真空管型電子線照射装置が望ましく、円筒状をなすガラスまたはセラミック製の真空容器と、その容器内に設けられ、陰極から放出された電子を電子線として取り出して加速する電子線発生部と、真空容器の端部に設けられ、電子線を射出する電子線射出部と、給電部より給電するためのピン部と、を少なくとも有する。電子線射出部には薄膜状の照射窓が設けられている。この照射窓は、ガスは透過せず、電子線を透過する機能を有している。この真空管型電子線照射装置は、従来のドラム型の電子線照射装置のごとく、電子線発生部であるドラム内を常に真空引きしながら電子線を照射するタイプの装置と異なり、電子線発生部を真空引きする必要がないため、小型で、設置面積をとらず、さらにX線遮蔽の設備も比較的簡易なものとすることができる。またイナーテイングを通常行うが、酸素濃度が従来の装置に比べ、高めであっても照射処理が可能なことが多い。
【0041】
なお、真空管型電子線照射装置としては、通常、円柱状の形状を有する照射管を用いるものであり、たとえば、1本ないし複数本の照射管を用いた装置である。以上のような照射管を有する装置は、米国特許第5,414,267号に開示されている装置が知られている。
【0042】
本発明者らは、このような低加速電圧での電子線照射が可能な装置を用いて、基材に施された被覆剤を硬化させるための条件を検討した結果、被覆剤の厚さが0.1〜100μmの通常用いられる範囲においては、120kV、好ましくは100kV以下の低加速電圧で被覆剤を十分に硬化または架橋させることが可能であり、かつこのような加速電圧では基材の劣化が生じない。
【0043】
【実施例】
以下、本発明の実施の形態について具体的に説明する。ただし、本発明の範囲は、以下の実施例により何等限定されるものではない。例中、%とは、重量%を表す。
実施例1
基材として、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに真空蒸着法により、厚さ600Åのケイ素酸化物の薄膜層を設けたフィルムを使用した。
【0044】
該フィルムのケイ素酸化物の薄膜層に、グラビア印刷にて6色を印刷した。さらに、ETERCURE 6815(長興化学社(台湾)、東洋インキ製造株式会社)から開始剤を抜いた被覆剤を印刷面上に、リップコーターにより10μm/dryとなるように塗布した。塗布後、真空管型電子線照射装置(Min−EB機、東洋インキ製造株式会社)を用いて電子線を照射し、硬化皮膜を得た。さらに、該フィルムの反対面(印刷面の反対側)に、厚さ30μmのエチレンー酢酸ビニル共重合体の熱融着性樹脂層を溶融押し出しし、被覆し、包装材料を作製した。電子線照射条件は、加速電圧50kV、吸収線量40kGy、窒素ガス雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)とした。得られた最外面の硬化皮膜の硬化性および密着性を以下の通りに評価し、さらに、作製した包装材料の(全体を透かした)黄変性を5段階(良好5〜不良1)で評価した。この際、硬化性、密着性および黄変性の評価は、照射後、1日経過させて行った。
【0045】
「硬化性および密着性の評価」
1.触指による乾燥性テスト(完全硬化5〜未硬化1の5段階で評価する)。
【0046】
2.爪による塗工面の耐擦り傷性(以下スクラッチテスト)(良好5〜不良1の5段階で評価する)。
【0047】
3.MEKラビングテスト(綿棒にメチルエチルケトン溶剤を含浸させて、塗工面を軽くこすり、下地が見えるまでの回数を測定する)。
【0048】
4.セロハンテープ剥離による基材密着性テスト(以下セロハンテープ密着テスト)(完全密着5〜密着不良1の5段階で評価する)。
【0049】
さらに、バリヤー性の評価として、5.酸素ガス透過率測定 ASTM-D-3985に準じて、酸素ガス透過率測定器を用いて、25℃、100%RH(湿度)の条件で測定したところ、OTRが1.1(ml/m2・24時間・1気圧)であった。また、6.
赤外線吸収法で測定した透湿度は、WVTRが1(ml/m2・24時間・40℃・90%RH)であった。ラミネーション工程により得られたバリヤー性のある包装材料とほぼ同等の性能であった。
実施例2
TU274FDSS CD白(東洋インキ製造株式会社)の開始剤を抜いたシルクスクリーンのホワイトインキを作製した。該ホワイトインキを、基材の厚さ50μmのヒートシール性低密度ポリエチレンフィルム上に、厚さ15μm/dryとなるようにスクリーン印刷した。印刷後、実施例1と同様に電子線を照射し、ホワイト(着色)層を得た。さらに、該ホワイト層の上にフレキソ印刷にて4色を印刷し、実施例1と同様に電子線を照射し、印刷層を得た。
【0050】
また、重量平均分子量2500のポリエステル樹脂、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートおよびN−ビニルピロリドンを加熱溶解して、被覆剤を作製した。該被覆剤を、印刷層の上に、ロールコーターにより厚さ10μm/dryとなるように塗布した。塗布後、実施例1と同様に電子線を照射し、硬化皮膜を得、包装材料を作製した。得られた最外面の硬化皮膜の硬化性および密着性さらに黄変性を実施例1と同様に評価した。
実施例3
実施例1と同様に包装材料を作製し、評価を行った。ただし、電子線照射装置をCuretron EBC200(日新ハイボルテージ株式会社)を使用し、電子線照射条件を加速電圧200kV、吸収線量を200kGyとした。
実施例4
実施例2と同様に包装材料を作製し、評価を行った。ただし、電子線照射装置を比較例1の装置を使用し、電子線照射条件を加速電圧200kV、吸収線量を40kGyとした。
【0051】
実施例1〜4の硬化性および密着性の評価結果を表1に示す。
【0052】
実施例1〜4のヒートシール性を確かめた結果、実施例1および2は、実用上十分であったが、実施例3および4では、若干弱めであった。
【0053】
【表1】
Figure 2004175449
【0054】
表1に示すように、本発明により得られた包装材料用フィルムは、基材劣化がなく(黄変がなく)、硬化性および密着性も良好であり、さらに実施例1に示したようにバリヤー性(遮蔽性または密封性)も問題なく、実施例3および4では、硬化性および密着性には問題なかったが、基材の劣化が見られた。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、包装材料を包装材料用のフィルムまたはシートをラミネーションせずにバリヤー性にも優れたものを作製することができ、しかも10〜130kVといった、従来の電子線硬化の場合よりも著しく低い加速電圧で取り出した電子線を照射して被覆剤を硬化させるので、電子線のエネルギーが過大になることが防止され、硬化に必要なエネルギーが小さいという電子線硬化のメリットを十分に活かすことができ、かつ下地へのダメージを低減することができる。また、このように加速電圧が小さいので、従来のような大型の電子線照射装置が不要となり、シールドの小型化・低減化、およびイナーティングの簡略化が可能となり、また、低加速電圧であるため電子線発生部の小型化が可能となり、電子線照射装置の飛躍的な小型化が可能となる。

Claims (10)

  1. 包装材料用基材フィルムまたはシートに、1層または2層以上の被覆剤を被覆した包装材料であって、当該被覆剤の1層または2層以上が電子線硬化型であり、電子線を照射し、硬化させてなる、包装材料用フィルムまたはシートをラミネーションする必要がない包装材料。
  2. 包装材料用基材フィルムまたはシートの片面または両面に無機酸化物の薄膜を設けてなることを特徴とする請求項1記載の包装材料。
  3. 前記被覆剤が気体およびもしくは液体の不透過性を有する被覆剤であることを特徴とする請求項1または2記載の包装材料。
  4. 包装材料用基材フィルムまたはシートの内面側に熱融着性被覆剤が被覆されていることを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載の包装材料。
  5. 包装材料用基材フィルムまたはシートが熱融着性を有するフィルムまたはシートであることを特徴とする請求項1ないし4いずれか記載の包装材料。
  6. 熱融着性を有する包装材料用基材フィルムまたはシートの外面側に、1層または2層以上の電子線硬化型被覆剤を被覆し、電子線を照射し、硬化させてなる、包装材料用フィルムまたはシートをラミネーションする必要がない包装材料。
  7. 包装材料用基材フィルムまたはシートの外面側に1層または2層以上の電子線硬化型被覆剤を被覆し、電子線を照射し、硬化させ、包装材料用基材フィルムまたはシートの内面側に熱融着性被覆剤が被覆されてなることを特徴とする、包装材料用フィルムまたはシートをラミネーションする必要がない包装材料。
  8. 包装材料用基材フィルムまたはシートの内面側に1層または2層以上の電子線硬化型被覆剤を被覆し、電子線を照射し、硬化させ、その上に熱融着性被覆剤が被覆されてなることを特徴とする、包装材料用フィルムまたはシートをラミネーションする必要がない包装材料。
  9. 包装材料用基材フィルムまたはシートに、少なくとも1層は電子線硬化型である、1層または2層以上の被覆剤を被覆し、加速電圧を150kV以下で電子線を照射し、硬化させる、包装材料用フィルムまたはシートをラミネーションする必要がない包装材料の製造方法。
  10. 加速電圧が10〜130kVである請求項9記載の包装材料の製造方法。
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