JP7113723B2 - 崩壊熱の不確かさ演算装置、及び崩壊熱の不確かさ演算方法 - Google Patents
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Description
例えば特許文献1や特許文献2には、崩壊熱を測定・管理するための種々の手法が開示されている。
しかしながら、特に核燃料の崩壊熱の実測値が存在しない冷却期間における不確かさを精度良く求めることは現状では困難であった。
また、崩壊熱の不確かさを過度に大きく見積もってしまえば、その分だけ設計や安全解析を行う際の余裕値を大きく設定する必要がある。そのため、コストや精度の観点から、不確かさを適正に求める必要がある。
即ち、本発明の一態様に係る崩壊熱の不確かさ演算装置は、核燃料の第一冷却期間における崩壊熱の実測値を、第一実測値として取得する第一実測値取得部と、前記第一冷却期間における崩壊熱の計算値を、第一計算値として取得する第一計算値取得部と、前記第一冷却期間における前記核燃料を構成する放射性物質の核データに起因する崩壊熱の不確かさの値を、前記第一実測値と前記第一計算値との差分を超えるまでnS回積み上げて得た値を、前記第一冷却期間における崩壊熱の不確かさの演算値として取得する第一期間不確かさ演算部と、前記核燃料の第二冷却期間における崩壊熱の実測値を第二実測値として取得する第二実測値取得部と、前記第二冷却期間における崩壊熱の計算値を第二計算値として取得する第二計算値取得部と、前記第二冷却期間における前記核燃料を構成する放射性物質の核データに起因する崩壊熱の不確かさの値を、前記第二実測値と前記第二計算値との差分を超えるまでnL回積み上げて得た値を、前記第二冷却期間における崩壊熱の不確かさの演算値として取得する第二期間不確かさ演算部と、前記第一冷却期間の崩壊熱の不確かさの演算値と前記第二冷却期間の崩壊熱の不確かさの演算値とのうち、前記核データに起因する不確かさの値の積み上げ回数が少ない一方を選択する演算値選択部と、選択された崩壊熱の不確かさの演算値と、前記核燃料を構成する放射性物質の崩壊熱寄与割合とに基づいて、前記第一冷却期間と前記第二冷却期間との間の中間期間における前記核燃料の崩壊熱の不確かさの演算値を取得する中間期間不確かさ演算部と、を備える。
以下、本発明の第一実施形態による崩壊熱の不確かさ演算装置1(以下、単に演算装置1と称する。)について、図を参照して説明する。
図1に示すように、演算装置1は、CPU101、ROM102、RAM103、HDD104、モニタ105、インタフェース106等を備えたコンピュータである。
制御部11は、演算装置1の各機能部を制御する。
第一計算値取得部13は、ウラン燃料の第一冷却期間における崩壊熱の計算値を、第一計算値として取得する。
第一期間不確かさ演算部14は、第一冷却期間におけるウラン燃料を構成する放射性物質の核データに起因する崩壊熱の不確かさの値を、第一実測値と第一計算値との差分を超えるまでnS回積み上げて得た値を、第一冷却期間における崩壊熱の不確かさの演算値として取得する。
第二計算値取得部16は、第二冷却期間における崩壊熱の計算値を第二計算値として取得する。
第二期間不確かさ演算部17は、第二冷却期間におけるウラン燃料を構成する放射性物質の核データに起因する崩壊熱の不確かさの値を、第二実測値と第二計算値との差分を超えるまでnL回積み上げて得た値を、第二冷却期間における崩壊熱の不確かさの演算値として取得する。
中間期間不確かさ演算部19は、選択された崩壊熱の不確かさの演算値と、ウラン燃料を構成する放射性物質の崩壊熱寄与割合とに基づいて、第一冷却期間と第二冷却期間との間の中間期間におけるウラン燃料の崩壊熱の不確かさの演算値を取得する。
第一実測値取得部12は、作業者が演算装置1に入力した上記実測値を第一実測値として取得する(ステップS101)。なお、第一実測値取得部12は、演算装置1に予め記憶されたデータベースから第一実測値を取得してもよい。
具体的には第一実測値取得部12は、図3に示すように、第一冷却期間の複数の時点での第一実測値を取得する。各第一実測値は、誤差を含んだ値とされている。
具体的には第一計算値取得部13は、図3に示すように、第一冷却期間にわたっての崩壊熱の計算結果、即ち、計算により求められた第一冷却期間における時間と崩壊熱との関係を取得する。
具体的には、第一期間不確かさ演算部14は、第一実測値と第一計算値との差分を求める。ここでの差分は、第一冷却期間にわたっての第一実測値の値と、同じく第一冷却期間にわたっての第一計算値の値とに統計的処理を施し、これら統計的処理後の値の差分であってもよい。また、第一実測値における誤差の値を考慮してもよい。当該差分(ΔA)は、第一冷却期間におけるウラン燃料の不確かさの一次演算値となる。
図3の例では、nSの値を1とした時、不確かさは1σmとなるが、この場合、計算値と不確かさの和(太い破線で示される関数)は、実測値のすべてを包絡することができていない。即ち、この場合の計算値と不確かさの和は、第一冷却期間の全てにおいて実測値を超えていない。そのため、設定として不十分である。
次に、nSの値を2とした時、すなわち不確かさが2σmの時に計算値と不確かさの和(細い破線で示される関数)は、測定誤差を考慮した実測値のすべてを包絡できている。即ち、この場合の計算値と不確かさの和は、第一冷却期間の全てにおいて実測値を超えている。したがって、この時、nSの値は2と決定される。
具体的には第二実測値取得部15は、図3に示すように、第二冷却期間の複数の時点での第一実測値を取得する。各第二実測値は、誤差を含んだ値とされている。
具体的には第二計算値取得部16は、図3に示すように、第二冷却期間にわたっての崩壊熱の計算結果、即ち、計算により求められた第二冷却期間における時間と崩壊熱との関係を取得する。
具体的には、第二期間不確かさ演算部17は、第一期間不確かさ演算部14と同様にして、第二実測値と第二計算値との差分を求める。当該差分は、上記同様に、統計的処理後の値の差分であってもよい。また、第二実測値における誤差の値を考慮してもよい。当該差分(ΔB)は、第二冷却期間におけるウラン燃料の不確かさの一次演算値となる。
図3に示す場合、nLを1とした時に、不確かさの値はσmとなり、計算値と不確かさの和(細い破線で示される関数)は、測定誤差を考慮した全ての実測値を包絡する。即ち、この場合の計算値と不確かさの和は、第二冷却期間の全てにおいて実測値を超えている。したがって、この時、nLの値を1として、第二冷却期間における不確かさの値が決定される。
崩壊熱寄与割合は、核データに起因する崩壊熱の不確かさとともに核データベースに記録されている。第一冷却期間における崩壊熱寄与割合をRmSとし、第二冷却期間における崩壊熱寄与割合をRmLとした場合、RmSとRmLとのうち値が大きい方に対応する冷却期間の崩壊熱の演算値の方が信頼性が高い。
よって、演算値選択部18は、RmS/nSとRmL/nLとのうち、大きい側の冷却期間に対応する崩壊熱の不確かさを選択してもよい。
具体的には、別燃料不確かさ演算部20は、下記(4)式を用いて第二冷却期間におけるMOX燃料の崩壊熱の不確かさnL,mоxσm,mоxを演算する。Rm,mоx’(t)は、中間期間のある冷却時刻における核種寄与割合を示す。
そして、中間期間不確かさ演算部19は、ウラン燃料で中間期間の崩壊熱の不確かさを取得した場合と同様に、下記(5)式を用いて、MOX燃料の中間期間における崩壊熱の不確かさの演算値を取得する(ステップS402)。ここでRm,mоx’(t)は、MOX燃料の中間期間における崩壊熱寄与割合(核種寄与割合)の値である。そして、中間期間不確かさ演算部19は、MOX燃料の中間期間における崩壊熱の不確かさの演算値をモニタに出力する。
次に本発明の第二実施形態による演算装置30について、図9~図15を参照して説明する。
制御部31は、演算装置30の各機能部を制御する。
感度解析部33は、複数のパラメータ毎に、各パラメータを所定の幅で変化させた場合の崩壊熱と冷却期間との関係を求める感度解析を行う。
パラメータ分類部34は、感度解析の結果による各パラメータの崩壊熱への影響度に応じて、複数のパラメータを複数のグループに分類する。
余裕設定部35は、各グループの余裕値設定条件に基づいて求められた各パラメータの余裕値を積み上げることで、冷却期間にわたっての総余裕を設定する。
不確かさ設定部36は、総余裕を包絡するように、冷却期間にわたった崩壊熱の不確かさを設定する。
また、パラメータの一つであるほう素濃度については、図13から分かるように、冷却期間の中期及び後期で崩壊熱にある程度の影響(中程度の影響)を与えている。そのため、パラメータ分類部34は感度中と判定し、ほう素濃度を第二グループに分類する。
パラメータ分類部34は、各パラメータの感度解析結果に基づいて、例えば崩壊熱の比に複数の閾値を設け、当該閾値に基づいて、感度を分類してもよい。
余裕設定部35は、図15のグラフに示すように、基準ケースM0(図15の横軸に沿う直線)に対して、複数のパラメータに対応した余裕値を積み上げていく。即ち、余裕設定部は、評価対象とする崩壊熱評価条件に一切の余裕を考慮していない基準ケースに余裕値を付加したものを新たな評価モデルを設定する。
例えば図13に示すように、パラメータの一つであるほう素濃度は、冷却期間の中期及び後期で基準ケースに対する崩壊熱の比が大きくなる挙動を示す。したがって、図15に示すように、ほう素濃度の解析結果を冷却期間にわたって包絡するカーブに対応する余裕値M1を基準ケースに積み上げる。図15に示す余裕値のカーブM1は、図13に示す複数の解析結果の値を冷却期間にわたって包絡するカーブに対応する。即ち、余裕値のカーブM1の形状は、例えば図13に示すような第二グループに分類したパラメータ群を入力に考慮した解析結果の上限値を示すカーブに対応する。
第二グループのパラメータは、崩壊熱への影響が中程度のため、感度解析結果の挙動に即した現実的な余裕値を基準ケースに積み上げる。
その結果、第一~第三グループのパラメータを考慮した余裕値の総和、即ち、総余裕は、図15に示すカーブM2のようになる。
即ち、冷却期間によらず一律に不確かさの値を設定する場合と比べて、設計モデルの合理化を図ることができる。この時、設計時の余裕値の算出を適正に行うことができるため、コストや安全基準の設定を適切に行うことができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば上記では第一実施形態の演算装置1と第二実施形態演算の装置30とにわけて説明したが、同一の演算装置で第一実施形態の処理及び第二実施形態の処理の双方を行える構成であってもよい。
11 制御部
12 第一実測値取得部
13 第一計算値取得部
14 第一期間不確かさ演算部
15 第二実測値取得部
16 第二計算値取得部
17 第二期間不確かさ演算部
18 演算値選択部
19 中間期間不確かさ演算部
20 別燃料不確かさ演算部
30 崩壊熱の不確かさ演算装置
31 制御部
32 パラメータ抽出部
33 感度解析部
34 パラメータ分類部
35 余裕設定部
36 不確かさ設定部
Claims (6)
- 核燃料の第一冷却期間における崩壊熱の実測値を、第一実測値として取得する第一実測値取得部と、
前記第一冷却期間における崩壊熱の計算値を、第一計算値として取得する第一計算値取得部と、
前記第一冷却期間における前記核燃料を構成する放射性物質の核データに起因する崩壊熱の不確かさの値を、前記第一実測値と前記第一計算値との差分を超えるまでnS回積み上げて得た値を、前記第一冷却期間における崩壊熱の不確かさの演算値として取得する第一期間不確かさ演算部と、
前記核燃料の第二冷却期間における崩壊熱の実測値を第二実測値として取得する第二実測値取得部と、
前記第二冷却期間における崩壊熱の計算値を第二計算値として取得する第二計算値取得部と、
前記第二冷却期間における前記核燃料を構成する放射性物質の核データに起因する崩壊熱の不確かさの値を、前記第二実測値と前記第二計算値との差分を超えるまでnL回積み上げて得た値を、前記第二冷却期間における崩壊熱の不確かさの演算値として取得する第二期間不確かさ演算部と、
前記第一冷却期間の崩壊熱の不確かさの演算値と前記第二冷却期間の崩壊熱の不確かさの演算値とのうち、前記核データに起因する不確かさの値の積み上げ回数が少ない一方を選択する演算値選択部と、
選択された崩壊熱の不確かさの演算値と、前記核燃料を構成する放射性物質の崩壊熱寄与割合とに基づいて、前記第一冷却期間と前記第二冷却期間との間の中間期間における前記核燃料の崩壊熱の不確かさの演算値を取得する中間期間不確かさ演算部と、
を備える崩壊熱の不確かさ演算装置。 - 前記核燃料の崩壊熱の不確かさの演算値と、前記核燃料とは異なる他の核燃料の放射性物質の核データに起因する不確かさの値と、前記核燃料及び前記他の核燃料のそれぞれの放射性物質の崩壊熱寄与割合とに基づいて、前記他の核燃料における崩壊熱の不確かさの演算値を取得する別燃料不確かさ演算部をさらに備える請求項1に記載の崩壊熱の不確かさ演算装置。
- 前記中間期間不確かさ演算部は、
前記他の核燃料における崩壊熱の不確かさの演算値と、前記他の核燃料の放射性物質の崩壊熱寄与割合とに基づいて、前記中間期間における前記他の核燃料の崩壊熱の不確かさの演算値を取得する請求項2に記載の崩壊熱の不確かさ演算装置。 - 崩壊熱の理論式に含まれる複数のパラメータを取得するパラメータ抽出部と、
前記複数のパラメータ毎に、各前記パラメータを所定の幅で変化させた場合の崩壊熱と冷却期間との関係を求める感度解析を行う感度解析部と、
前記感度解析の結果による各前記パラメータの前記崩壊熱への影響度に応じて、前記複数のパラメータを複数のグループに分類するパラメータ分類部と、
前記グループ毎の余裕値設定条件に基づいて求められた各前記パラメータの余裕値を積み上げることで、前記冷却期間にわたっての総余裕を設定する余裕設定部と、
前記総余裕を包絡するように、前記冷却期間にわたった崩壊熱の不確かさを設定する不確かさ設定部と、
を備える請求項1から3のいずれか一項に記載の崩壊熱の不確かさ演算装置。 - 前記パラメータ分類部は、
各前記パラメータを、前記影響度が大きい第一グループ、前記影響度が第一グループの
前記パラメータよりも小さい第二グループ、及び、前記影響度が第二グループの前記パラメータよりもさらに小さい第三グループの少なくとも三つのグループに分類し、
前記第一グループの前記余裕値設定条件は、前記冷却期間にわたって前記余裕値を0と定める条件であって、
前記第二グループの前記余裕値設定条件は、前記感度解析で求めた崩壊熱と前記冷却期間との関係を示すカーブを包絡するように余裕値を定める条件であって、
前記第三グループの前記余裕値設定条件は、前記冷却期間にわたって前記余裕値を一定とする条件である請求項4に記載の崩壊熱の不確かさ演算装置。 - 核燃料の第一冷却期間における崩壊熱の実測値を、第一実測値として取得するステップと、
前記第一冷却期間における崩壊熱の計算値を、第一計算値として取得するステップと、
前記第一冷却期間における前記核燃料を構成する放射性物質の核データに起因する崩壊熱の不確かさの値を、前記第一実測値と前記第一計算値との差分を超えるまでnS回積み上げて得た値を、前記第一冷却期間における崩壊熱の不確かさの演算値として取得するステップと、
前記核燃料の第二冷却期間における崩壊熱の実測値を第二実測値として取得するステップと、
前記第二冷却期間における崩壊熱の計算値を第二計算値として取得するステップと、
前記第二冷却期間における前記核燃料を構成する放射性物質の核データに起因する崩壊熱の不確かさの値を、前記第二実測値と前記第二計算値との差分を超えるまでnL回積み上げて得た値を、前記第二冷却期間における崩壊熱の不確かさの演算値として取得するステップと、
前記第一冷却期間の崩壊熱の不確かさの演算値と前記第二冷却期間の崩壊熱の不確かさの演算値とのうち、前記核データに起因する不確かさの値の積み上げ回数が少ない一方を選択するステップと、
選択された崩壊熱の不確かさの演算値と、前記核燃料を構成する放射性物質の崩壊熱寄与割合とに基づいて、前記第一冷却期間と前記第二冷却期間との間の中間期間における前
記核燃料の崩壊熱の不確かさの演算値を取得するステップと、
を含む崩壊熱の不確かさ演算方法。
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