以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、図1は玄関周辺を示す平面図である。
図1に示すように、建物10には、屋内スペースとして、玄関部11、廊下12、居室13等が設けられている。玄関部11には、出入口としての玄関口15が設けられている。この玄関口15を通じて建物10への出入りが可能となっている。また、玄関口15には、開閉体としての玄関ドア16が設けられている。玄関ドア16は、例えば回動式の開き戸からなり、右吊元とされている。この玄関ドア16により玄関口15が開閉されるようになっている。
玄関ドア16(屋内側)には、施錠装置21が取り付けられている。施錠装置21は通電により施解錠を行う電気錠からなる。施錠装置21は、建物10の居住者が携帯する電子キー31によって施解錠されるようになっている。
図1に示すように、施錠装置21は、玄関ドア16に収納される錠ケース22と、錠ケース22に収容され、玄関ドア16の戸先から突出可能なデッドボルト23とを備えている。このデッドボルト23に対応する受孔部24が玄関口15の側面に設けられている。玄関ドア16の戸先から施錠装置21によりデッドボルト23を突出させて、受孔部24に挿入することにより、施錠装置21が施錠される。施錠装置21によりデッドボルト23を受孔部24から抜き出して、デッドボルト23を錠ケース22内に収納することにより施錠装置21が解錠される。すなわち、デッドボルト23を突出又は収納することにより、施錠装置21が施錠又は解錠され、玄関ドア16の開閉が規制又許容される。換言すれば、デッドボルト23が受孔部24に挿入されて係合構造となることにより、施錠装置21が施錠状態とされる。
玄関ドア16には、屋外側に取っ手としてのドアハンドル17が設けられている。ドアハンドル17にはタッチセンサ18a,18b,18cが玄関ドア16の戸先から吊元方向に順に3つ横に並べて配置されている(図1、玄関ドア16の部分拡大図参照)。タッチセンサ18a~18cは、静電容量式のセンサであり、そのセンサ部分に人が接触したことを検出する。居住者の携帯する電子キー31が認証された状態でタッチセンサ18a~18cが特定の方向で順に人の接触を検出することにより、施錠装置21が施解錠されるようになっている。タッチセンサ18a~18c付近の上方には、表示灯19a,19b,19c,19d,19e,19fが玄関ドア16の戸先から吊元方向に順に6つ横に並べて配置されている。
玄関ドア16付近の屋外側(玄関ドア16の屋外側の面でも可)には、通信装置32が設けられている。通信装置32における無線通信用の通信エリアCAは、平面視において通信装置32を中心とする円形の所定範囲であり、その範囲が玄関口15の屋内側及び屋外側に跨がるように設定されている。詳しくは、通信装置32の通信エリアCAは、玄関ドア16の屋外側で住人がドアハンドル17をつかんだ場合、居住者が当該通信エリアCA内に位置するように設定されている。通信装置32は、その通信エリアCA内にて電子キー31と通信可能とされている。
続いて、施解錠システムの電気的構成について図2に基づいて説明する。図2は、施解錠システムの電気的構成を示す図である。
図2に示すように、施解錠システムは、制御手段としてのコントローラ40を備える。コントローラ40は、CPU、ROM、RAM等からなる周知のマイクロコンピュータを含んで構成され、建物10の屋内側(例えば、玄関周辺の壁面等)に設けられている。なお、コントローラ40は、玄関ドア16内に設けられていてもよい。
コントローラ40には、居住者認証のための情報(電子キー31のID情報)やセンサ等の各種機器からの検出結果等を記憶する記憶部41と、時間を計測する場合に用いられるタイマ42を備えている。
コントローラ40には、通信装置32が接続されている。通信装置32は、建物10に居住する各住人の携帯する電子キー31とそれぞれ無線通信が可能とされている。この場合、コントローラ40は、通信装置32を介して各住人の電子キー31と無線通信が可能とされている。
電子キー31は、電子キー31毎に固有のID情報を記憶するメモリ(図示略)を備えており、コントローラ40からの要求に応じてID情報を送信する。ここで、通信装置32は、リクエスト信号を所定の時間周期(例えば0.5秒ごとに)で送信するのに対し、電子キー31は、通信装置32の通信エリアである通信エリアCAに進入してリクエスト信号を受信すると、そのリクエスト信号に応答してID情報を通信装置32に送信する。そして、ID情報が通信装置32により受信されると、当該ID情報が通信装置32からコントローラ40に入力される。コントローラ40は、通信装置32を介して電子キー31からのID情報が入力されると、当該ID情報と予め記憶部41に登録されたID情報との一致判定を行い、正規の電子キー31であるか否かの認証を行う。
コントローラ40には、タッチセンサ18a~18cが接続されている。コントローラ40には、タッチセンサ18a~18cから逐次検出結果が入力される。そして、上記ID情報によって電子キー31が正規認証されている状況において、タッチセンサ18a~18cから(特定の方向で順にタッチセンサ18a~18cへの接触が検出された旨の)検出結果が入力されると、そのタッチセンサ18a~18cにより接触が検出された方向に基づいて、コントローラ40は施錠装置21の施錠又は解錠を行う。電子キー31が正規のものに該当しない場合には、施錠装置21の施解錠は行われない。
コントローラ40には、表示灯19a~19fが接続されている。表示灯19a~19fは、赤色LED及び緑色LEDの2色のLEDで構成され(図示略)、2色のLEDの点灯方法はコントローラ40により制御されている。本実施形態では、スマート認証により施錠装置21が施解錠された場合、その施解錠処理の状態(例えば、施解錠処理の受付中、処理受付、処理完了)を逐次、表示灯19a~19fの点灯方法(表示灯19a~19fにおける点灯と消灯との組み合わせ)により識別して表示する。また、タッチセンサ18a~18cの接触により施錠装置21の施解錠状態(施錠状態又は解錠状態)を表示灯19a~19fの色により識別して表示する。
次に、コントローラ40により実行される制御処理の内容について図3~図5に基づいて説明する。図3及び図4は、スマート認証による施錠装置21の施解錠における制御処理の流れを示すフローチャートである。本処理は、所定の時間周期(例えば、0.5秒)で繰り返し実行される。図5は、タッチセンサ18a~18cにおける操作及びその操作に基づく表示灯19a~19fにおける表示形式の概略図である。
本実施形態では、スマート認証における施解錠は、タッチセンサ18a~18cにおける指の動作方向に基づいて実行される。詳しくは、スマート認証における施解錠操作をされた場合、デッドボルト23の動作方向は、その施解錠操作である指の動作方向と同一の方向とする。すなわち、タッチセンサ18a~18cが戸先側から吊元側へと順(タッチセンサ18a,18b,18cの順)に接触された場合には、デッドボルト23の動作方向は、デッドボルト23が錠ケース22へ収納される方向となる。一方、タッチセンサ18a~18cが吊元側から戸先側へと順(タッチセンサ18c,18b,18aの順)に接触された場合には、デッドボルト23の動作方向は、デッドボルト23が突出して受孔部24へ挿入される方向となる。したがって、施錠装置21を解錠したい場合には、タッチセンサ18a~18cを戸先側から吊元側へと順に接触し、施錠装置21を施錠したい場合には、タッチセンサ18a~18cを吊元側から戸先側へと順に接触する。以下、指の動作方向に基づく施解錠処理について説明する。
図3に示すように、ステップS11では、通信装置32を介して電子キー31からのID情報を受信したか否か、換言すれば、電子キー31が通信エリアCA内に位置しているか否かを判定する。ID情報を受信した場合には、ステップS12に進む。ID情報が受信されない場合、本処理を終了する。
ステップS12では、受信したID情報と予め登録されたID情報とを比較し、正規のキーであるか否かの認証を行い、その認証の結果がOKであったか否か(正規のキーであるか否か)を判定する。認証OKである場合には、ステップS13に進む。認証NGである場合、本処理を終了する。
次いで、ステップS13では、ID情報が認証されている状況で、ドアハンドル17に設けられたタッチセンサ18aにより接触が検出されたか否かを判定する。タッチセンサ18aにより接触が検出された場合には、ステップS14へ進む。タッチセンサ18aにより接触が検出されていない場合には、ステップS31に進む。
ステップS14では、施錠装置21の施解錠状態が施錠状態であるか否かを判定する。施錠装置21が施錠状態である場合には、ステップS15へ進む。施錠装置21が施錠状態でない場合、すなわち、施錠装置21が解錠状態である場合には、ステップS24へ進む。
ステップS15では、表示灯19a~19fにおける状態表示処理として、表示灯19a,19bを緑色で点灯する。表示灯19a~19fの緑色点灯は「施錠装置21は施錠状態」を示している。また、表示灯19a~19fのうち表示灯19a,19bのみ点灯されたのは、タッチセンサ18aにおいて接触が検出されたことに基づいている。状態表示処理を実行した後、ステップS16へ進む。
ステップS16では、タッチセンサ18aの接触が検出されてから所定時間T1(例えば1秒)が経過したか否かを判定する。ここでは、タッチセンサ18aの接触が検出されてからタイマ42により計時されている時間が所定時間T1を超えたか否かを判定する。所定時間T1が経過していない場合には、ステップS17へ進む。所定時間T1が経過した場合には、ステップS23へ進む。
ステップS17では、タッチセンサ18bにより接触が検出されたか否かを判定する。タッチセンサ18bにより接触が検出されていない場合には、ステップS16に戻り、所定時間T1が経過するまで各処理を繰り返す。タッチセンサ18bにより接触が検出された場合には、ステップS18へ進む。
ステップS18では、表示灯19a~19fにおける状態表示処理として、表示灯19c,19dを施錠状態を示す緑色で点灯する。表示灯19c,19dが点灯されたのは、タッチセンサ18bにおいて接触が検出されたことに基づいている。ここでは、ステップS15により表示灯19a,19bがすでに緑色で点灯しているため、表示灯19a~19fのうち表示灯19a~19dが緑色点灯していることになる。状態表示処理を実行した後、ステップS19へ進む。
ステップS19では、タッチセンサ18cにより接触が検出されたか否かを判定する。タッチセンサ18cにより接触が検出されていない場合には、ステップS16に戻り、所定時間T1が経過するまで各処理を繰り返す。タッチセンサ18cにより接触が検出された場合には、ステップS20へ進む。
ステップS20では、表示灯19a~19fにおける状態表示処理として、表示灯19e,19fを施錠状態を示す緑色で点灯する。表示灯19e,19fが点灯されたのは、タッチセンサ18cにおいて接触が検出されたことに基づいている。ここでは、ステップS15,S18により表示灯19a~19dがすでに緑色で点灯しているため、表示灯19a~19fの全てが緑色点灯していることになる。なお、表示灯19a~19fが全て点灯することにより、「解錠処理受付」を意味する。状態表示処理を実行した後、ステップS21へ進む。
続くステップS21では、解錠処理を実行する。解錠処理では、施錠装置21に対して解錠信号を出力し、受孔部24に挿入されていたデッドボルト23を錠ケース22に収納することにより玄関ドア16を解錠する。解錠処理後、ステップS22へ進む。ステップS22では、状態表示処理として、表示灯19a~19dを解錠状態を示す赤色で点灯する。ここでは、表示灯19a~19dがいっせいに緑色から赤色に色を変えて点灯することにより解錠処理が完了したことを報知している。すなわち、表示灯19a~19fが全て色を変えて点灯することにより、「処理完了」を意味する。状態表示処理を実行した後、ステップS23へ進む。
ここで、ステップS13~S22へと進む場合は、施錠装置21が施錠状態であり、かつタッチセンサ18a,18b,18cの順に接触が検出されている。タッチセンサ18a~18cが戸先側から吊元側へと順に接触されたことから、その指の動作方向は、デッドボルト23の収納方向と同一となる。したがって、この場合、ステップS21において解錠処理(デッドボルト23を収納方向へと動作)がなされている。
ステップS23では、点灯している表示灯19a~19f(ここでは、表示灯19a~19fの全て)を所定時間T2(例えば、1.5秒)が経過するまで点灯した後、表示灯19a~19fの消灯処理を実行する。消灯処理の実行後は本処理を終了する。
ここで、ステップS13~S23の流れは、図5の(A)に該当する。まず、タッチセンサ18aが接触されることにより、(a-1)のように表示灯19a,19bが施錠状態を示す緑色で点灯する(ステップS15の状態表示処理に相当)。そうして、タッチセンサ18b,18cと順に接触されることにより、(a-2)のように表示灯19c,19d及び(a-3)のように表示灯19e,19fが緑色で順に点灯する(ステップS18,S20の状態表示処理に相当)。これにより(a-3)では、表示灯19a~19fの全てが緑色で点灯する。そうして、解錠処理受付がなされて、ステップS21の解錠処理を実行した後、ステップS22において、状態表示処理として、(a-4)のように表示灯19a~19fの全てを解錠状態を示す赤色で点灯した後、ステップS23にて、(a-5)のように表示灯19a~19fの全てを消灯する。
なお、例えば、タッチセンサ18aにおける接触の検出後、所定時間T1以内にタッチセンサ18b,18c又はタッチセンサ18cにおける接触が検出されない場合(ステップS16よりステップS23へ進む場合)がありうる。このような場合、タッチセンサ18a~18cのうち接触が検出されたタッチセンサにおいてのみ状態表示処理がなされる。すなわち、タッチセンサ18aにおいて接触が検出されてから所定時間T1以内にタッチセンサ18b,18cにおいて接触が検出されなかった場合は、(a-1)のように表示灯19a,19bが施錠状態を示す緑色で点灯した後、ステップS23にて、(a-5)のように表示灯19a~19fの全てを消灯する。タッチセンサ18aにおいて接触が検出されてから所定時間T1以内にタッチセンサ18bにおいて接触が検出され、タッチセンサ18cにおいて接触が検出されなかった場合は、(a-2)のように表示灯19a~19dが施錠状態を示す緑色で点灯した後、ステップS23にて、(a-5)のように表示灯19a~19fの全てを消灯する。
ステップS14において解錠状態であると判定された場合、ステップS24へ進み、表示灯19a~19fにおける状態表示処理として、タッチセンサ18aにおいて接触が検出されたことに基づき、表示灯19a,19bを赤色で点灯する。表示灯19a~19fの赤色点灯は「施錠装置21は解錠状態」を示している。状態表示処理を実行した後、ステップS23へ進む。
ここで、タッチセンサ18aは、タッチセンサ18a~18cのうちもっとも戸先側に配置されたセンサである。そのため、タッチセンサ18aは、デッドボルト23を収納する場合(すなわち、解錠処理する場合)において、タッチセンサ18a~18cのうち一番最初に接触されるタッチセンサである。一方、ステップS24に進む場合は、施錠装置21が解錠状態の場合であり、デッドボルト23は錠ケース22へとすでに収納されている。したがって、施錠装置21がすでに解錠状態である状況において、タッチセンサ18a~18cのうち一番最初にタッチセンサ18aへの接触が検出された場合には、その接触に基づき状態表示処理を実行する。
ここで、ステップS13,S14,S24,S23の流れは、図5の(C)に該当する。タッチセンサ18aが接触されることにより、(c-2)のように表示灯19a,19bが解錠状態を示す赤色で点灯する(ステップS24の状態表示処理に相当)。そうして、表示灯19a,19bの点灯後は、表示灯19a,19bを消灯し、(c-4)のように表示灯19a~19fの全てが消灯された状態となる(ステップS23)。
ステップS13でタッチセンサ18aにより接触が検出されていない場合、図4のステップS31に進み、ID情報が認証されている状況で、タッチセンサ18cにより接触が検出されたか否かを判定する。タッチセンサ18cにより接触が検出された場合には、ステップS32へ進む。タッチセンサ18cにより接触が検出されていない場合には、ステップS42に進む。
ステップS32では、施錠装置21の施解錠状態が解錠状態であるか否かを判定する。施錠装置21が解錠状態である場合には、ステップS33へ進む。施錠装置21が解錠状態でない場合、すなわち、施錠装置21が施錠状態である場合には、ステップS41へ進む。
ステップS33では、表示灯19a~19fにおける状態表示処理として、タッチセンサ18cにおいて接触が検出されたことに基づき、表示灯19e,19fを解錠状態を示す赤色で点灯する。状態表示処理を実行した後、ステップS34へ進む。
ステップS34では、タッチセンサ18cの接触が検出されてから所定時間T1(例えば1秒)が経過したか否かを判定する。ここでは、タッチセンサ18cの接触が検出されてからタイマ42により計時されている時間が所定時間T1を超えたか否かを判定する。所定時間T1が経過していない場合には、ステップS35へ進む。所定時間T1が経過した場合には、ステップS23へ進む。
ステップS35では、タッチセンサ18bにより接触が検出されたか否かを判定する。タッチセンサ18bにより接触が検出されていない場合には、ステップS34に戻り、所定時間T1が経過するまで各処理を繰り返す。タッチセンサ18bにより接触が検出された場合には、ステップS36へ進む。
ステップS36では、表示灯19a~19fにおける状態表示処理として、タッチセンサ18bにおいて接触が検出されたことに基づき、表示灯19c、19dを解錠状態を示す赤色で点灯する。ここでは、ステップS33により表示灯19e,19fがすでに赤色で点灯しているため、表示灯19a~19fのうち表示灯19c~19fが赤色点灯していることになる。状態表示処理を実行した後、ステップS37へ進む。
ステップS37では、タッチセンサ18aにより接触が検出されたか否かを判定する。タッチセンサ18aにより接触が検出されていない場合には、ステップS34に戻り、所定時間T1が経過するまで各処理を繰り返す。タッチセンサ18aにより接触が検出された場合には、ステップS38へ進む。
ステップS38では、表示灯19a~19fにおける状態表示処理として、タッチセンサ18aにおいて接触が検出されたことに基づき、表示灯19a,19bを解錠状態を示す赤色で点灯する。ここでは、ステップS33,S36により表示灯19c~19fがすでに赤色で点灯しているため、表示灯19a~19fの全てが赤色点灯していることになる。なお、表示灯19a~19fが全て点灯することにより、「施錠処理受付」を意味する。状態表示処理を実行した後、ステップS39へ進む。
続くステップS39では、施錠処理を実行する。施錠処理では、施錠装置21に対して施錠信号を出力し、収納されていたデッドボルト23を突出し、受孔部24に挿入することにより玄関ドア16を施錠する。施錠処理後、ステップS40へ進む。ステップS40では、状態表示処理として、表示灯19a~19dを施錠状態を示す緑色で点灯する。ここでは、表示灯19a~19dがいっせいに赤色から緑色に色を変えて点灯することにより施錠処理が完了したことを報知している。状態表示処理を実行した後、図3に戻り、ステップS23へ進む。
ここで、ステップS31~S40へと進む場合は、施錠装置21が解錠状態であり、かつタッチセンサ18c,18b,18aの順に接触が検出されている。タッチセンサ18a~18cが吊元側から戸先側へと順に接触されたことから、その指の動作方向は、デッドボルト23の突出方向と同一となる。したがって、この場合、ステップS39において施錠処理(デッドボルト23を突出方向へと動作)がなされている。
また、タッチセンサ18c,18b,18aが順次接触を検出した場合、すなわち、ステップS31~S40,S23までの流れは、図5の(B)に該当する。まず、タッチセンサ18cが接触されることにより、(b-1)のように表示灯19e,19fが解錠状態を示す赤色で点灯する(ステップS33の状態表示処理に相当)。そうして、タッチセンサ18b,18aと順に接触されることにより、(b-2)のように表示灯19c,19d、(b-3)のように表示灯19a,19bが赤色で順に点灯する(ステップS36,S38の状態表示処理に相当)。これにより(b-3)では、表示灯19a~19fの全てが赤色で点灯する。そうして、施錠処理受付がなされて、ステップS39の施錠処理を実行した後、ステップS40において、状態表示処理として、表示灯19a~19fの全てを施錠状態を示す緑色で点灯した後(b-4)、ステップS23にて、表示灯19a~19fの全てを消灯する(b-5)。
なお、例えば、タッチセンサ18cにおける接触の検出後、所定時間T1以内にタッチセンサ18b,18a又はタッチセンサ18aにおける接触が検出されない場合(ステップS34よりステップS23へ進む場合)がありうる。このような場合、タッチセンサ18a~18cのうち接触が検出されたタッチセンサにおいてのみ状態表示処理がなされる。すなわち、タッチセンサ18cにおいて接触が検出されてから所定時間T1以内にタッチセンサ18b,18aにおいて接触が検出されなかった場合は、(b-1)のように表示灯19e,19fが解錠状態を示す赤色で点灯した後、ステップS23にて、(b-5)のように表示灯19a~19fの全てを消灯する。タッチセンサ18cにおいて接触が検出されてから所定時間T1以内にタッチセンサ18bにおいて接触が検出され、タッチセンサ18aにおいて接触が検出されなかった場合は、(b-2)のように表示灯19c~19fが施錠状態を示す緑色で点灯した後、ステップS23にて、(a-5)のように表示灯19a~19fの全てを消灯する。
ステップS32において施錠状態であると判定された場合、ステップS41へ進み、表示灯19a~19fにおける状態表示処理として、タッチセンサ18cにおいて接触が検出されたことに基づき、表示灯19e,19fを施錠状態を示す緑色で点灯する。状態表示処理を実行した後、図3のステップS23へ進む。
ここで、タッチセンサ18cは、タッチセンサ18a~18cのうちもっとも吊元側に配置されたセンサである。そのため、タッチセンサ18cは、デッドボルト23を突出する場合(すなわち、施錠処理する場合)において、タッチセンサ18a~18cのうち一番最初に接触されるタッチセンサである。一方、ステップS41に進む場合は、施錠装置21が施錠状態の場合であり、デッドボルト23はすでに突出して、受孔部24に挿入されている。したがって、施錠装置21がすでに施錠状態である状況において、タッチセンサ18a~18cのうち一番最初にタッチセンサ18cへの接触が検出された場合には、その接触に基づき状態表示処理を実行する。
ここで、ステップS31,S32,S41,S23の流れは、図5の(C)に該当する。タッチセンサ18cが接触されることにより、(c-3)のように表示灯19e,19fが施錠状態を示す緑色で点灯する(ステップS41の状態表示処理に相当)。そうして、表示灯19e,19fの点灯後は、表示灯19e,19fを消灯し、(c-4)のように表示灯19a~19fの全てが消灯された状態となる(ステップS23)。
ステップS31でタッチセンサ18cにより接触が検出されていない場合、ステップS42に進み、ID情報が認証されている状況で、タッチセンサ18bにより接触が検出されたか否かを判定する。タッチセンサ18bにより接触が検出された場合には、ステップS43へ進む。タッチセンサ18bにより接触が検出されていない場合には、図3に戻り、本処理を終了する。
ステップS43では、施錠装置21の施解錠状態が解錠状態であるか否かを判定する。施錠装置21が解錠状態である場合には、ステップS44へ進む。施錠装置21が解錠状態でない場合、すなわち、施錠装置21が施錠状態である場合には、ステップS45へ進む。
ステップS44では、表示灯19a~19fにおける状態表示処理として、タッチセンサ18bにおいて接触が検出されたことに基づき、表示灯19c,19dを解錠状態を示す赤色で点灯する。状態表示処理を実行した後、図3のステップS23へ進む。
ステップS45では、表示灯19a~19fにおける状態表示処理として、タッチセンサ18bにおいて接触が検出されたことに基づき、表示灯19c,19dを施錠状態を示す緑色で点灯する。状態表示処理を実行した後、図3のステップS23へ進む。
ここで、タッチセンサ18bは、タッチセンサ18a~18cのうち中央に配置されたセンサである。そのため、タッチセンサ18bを一番最初に接触する場合は、デッドボルト23の突出方向又は収納方向を示すこと(すなわち、施解錠操作)を目的としていないことを意味する。この場合は、そのタッチセンサ18bへの接触に基づき状態表示処理を実行する(ステップS44,S45)。
なお、ステップS42,S43,S44又はS45の流れは、図5の(C)に該当する。タッチセンサ18bが接触されることにより、(c-1)のように表示灯19c,19dが解錠状態を示す赤色、又は施錠状態を示す緑色で点灯する(ステップS44又はS45の状態表示処理に相当)。そうして、表示灯19c,19dの点灯後は、表示灯19c,19dを消灯し、(c-4)のように表示灯19a~19fの全てが消灯された状態となる(ステップS23)。
ステップS23にて表示灯19a~19fの全てを消灯した後は本処理を終了する。
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
(1)スマート認証における施解錠操作において接触のみで施解錠される場合は、その接触によりその時点での施解錠状態とは反対の施解錠状態へと切り換えられる。すなわち、接触による施解錠操作はその時点の施解錠状態に依存することになる。この場合、例えば、すでに解錠状態である状況において、その状況を知らない操作者が解錠を試みて接触すると施錠されてしまう。このような問題を回避するために、施錠操作と解錠操作とを異なる操作とすることが考えられる。この場合、すでに解錠状態の場合に解錠操作を行ったとしても施錠はされないため、上述のような不便は解消される。しかしながら、解錠操作と施錠操作とが類似している場合(例えば、接触回数の違い、接触する指の本数の違い等により区別する場合など)、操作者が操作を誤る又は操作を誤って記憶するおそれがある。
本実施形態によれば、施解錠に伴う操作の方向性が、デッドボルト23の動作方向と一致する。すなわち、デッドボルト23の突出方向に順にタッチセンサ18a~18cが操作された場合(タッチセンサ18c,18b,18aの順)、施錠装置21は施錠される。デッドボルト23の収納方向に順にタッチセンサ18a~18cが操作された場合(タッチセンサ18a,18b,18cの順)、施錠装置21は解錠される。これにより、指の動く方向と、デッドボルト23の動作方向とが一致しているため、施解錠操作が直感的で分かりやすい。
また、スマート認証における施解錠操作は、鍵を差し込んで回す施解錠操作に比べて簡便に行われるため、施解錠を実施したという実感が少ない。そのため、外出後に自身が施錠を実施したか否かを不安になる場合がある。本実施形態によれば、自身の行った指の動き(操作の方向性)を思い出すことで、施錠されたことを事後的に確認できるため、居住者にとって安心が得られやすい。
(2)本実施形態によれば、スマート認証がされている状態でタッチセンサ18a~18cのいずれかを接触することにより、施錠装置21の施解錠状態が表示灯19a~19fにおける色で識別されて表示される(施錠状態は緑色、解錠状態は赤色で点灯)。これにより、居住者は、施錠装置21の施解錠状態を容易に確認できる。
(3)本実施形態によれば、スマート認証による施解錠操作が行われた場合、その施解錠操作に基づく施解錠の進行状況について、表示灯19a~19fの色と点灯方法(点灯位置)とにより識別して表示される。すなわち、施錠装置21が施錠状態である場合に解錠操作(すなわち、タッチセンサ18a,18b,18cの順で接触を検出)がなされた場合は、施錠状態を示す緑色で、表示灯19a,19bと、表示灯19c,19dと、表示灯19e,19fとが順に点灯する。そうして、表示灯19a~19fが全て緑色で点灯したことにより解錠処理を受け付けたことを示し、その後解錠処理がなされた後に、表示灯19a~19fが全て解錠状態を示す赤色で点灯する。これにより、居住者自身が行った施錠装置21の施解錠操作の有効性と施錠装置21の施解錠状態とについて、施解錠操作の際に居住者が目視で確認することができる。そのため、外出後に自身が施錠を実施したか否かについて、目視した色を思い出すことで施錠されたことを事後的に確認でき、安心が得られる。すなわち、本実施形態によれば、操作の方向性と色とにより事後的に施錠されたことの確認が可能である。
(4)本実施形態によれば、スマート認証による施解錠操作が途中で中断された場合には、接触されたタッチセンサ18a~18cの位置に相当する表示灯19a~19f(例えば、タッチセンサ18aを接触した場合、表示灯19a,19b)において、施錠装置21の施解錠状態が色で識別されて表示される。すなわち、表示灯19a~19fが順に点灯せず、一部分の表示灯19a~19fが点灯することにより、施解錠操作が有効でない旨が把握できる。
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
(1)上記実施形態では、玄関ドア16は右吊元の開き戸とされていたが、玄関ドア16は左吊元の開き戸であってもよいし、引き戸であってもよい。これらの場合であっても、デッドボルト23の動作方向と同一の方向において指が操作されることにより施解錠される構成とすればよい。具体的には、デッドボルト23の突出方向に指が操作されることにより施錠され、デッドボルト23の収納方向に指が操作されることにより解錠される。
(2)上記実施形態では、玄関ドア16において施錠装置21をひとつ設けたが、施錠装置21は複数であってもよい。この場合、タッチセンサ18a~18cの操作に基づき、全ての施錠装置21が連動して施解錠される。この場合、施解錠処理受付状態を示す表示(図5の(a-3)、(b-3)の表示状態)の時間が長くなる場合がある。
(3)上記実施形態では、指の動作方向を検出する操作手段は、3つのタッチセンサ18a~18cから構成されたが、指の動作方向が認識できるのであれば、タッチセンサは1つであってもよい。タッチセンサを複数(2以上、好ましくは3以上)で構成することにより、誤検出を減らすことができる。
(4)上記実施形態では、表示部として6つの表示灯19a~19fから構成されたが、指の動作方向が認識できるのであれば、表示灯19a~19fは1つであってもよい。表示部を複数(2以上、好ましくは3以上)で構成することにより、タッチセンサの接触位置(例えば、タッチセンサ18a~18c)に対応するそれぞれの表示位置が認識しやすくなり、施解錠操作の有効性(例えば、タッチセンサ18a,18b,18cが順に接触されたか等)が分かりやすい。
(5)上記実施形態では構造体として住宅用である建物10を対象とする施解錠システムを説明したが、本発明の施解錠システムの適用対象となる構造体は住宅用の建物10に制限されず、例えば商業ビル、倉庫、金庫等の構造体でもよい。