JP7111877B2 - 害虫、ダニ防除用エアゾール、及び害虫、ダニ防除方法 - Google Patents
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Description
定量噴霧用エアゾールバルブを備えた害虫、ダニ防除用エアゾールであって、
耐圧容器に、
ペルメトリン、シフルトリン、フェノトリン、及びシフェノトリンからなる群から選択される一つの害虫、ダニ防除成分(a)、及び沸点が175~300℃である飽和炭化水素系有機溶剤(b)を含むエアゾール原液(L)と、
噴射剤(G)と、
が封入されてなり、
前記噴射剤(G)と前記飽和炭化水素系有機溶剤(b)との容量比率(G/b)が、3.3~200に設定されていることにある。
前記エアゾール原液(L)と前記噴射剤(G)との容量比率(L/G)が、0.05~1に設定されていることが好ましい。
前記飽和炭化水素系有機溶剤(b)は、ノルマルパラフィン及び/又はイソパラフィンを含むことが好ましい。
前記ノルマルパラフィンは、ノルマルトリデカンであることが好ましい。
前記イソパラフィンは、イソドデカンであるであることが好ましい。
前記定量噴霧用エアゾールバルブから噴霧される噴霧粒子は、25℃、噴射距離50cmにおける体積平均粒子径(Dv50)が、15~80μmに設定されていることが好ましい。
屋内空間に一定量空間噴霧する定量噴射型エアゾールとして構成され、前記屋内空間の容積は18.8~33.3m3であることが好ましい。
上記何れか一つの害虫、ダニ防除用エアゾールを用いた害虫、ダニ防除方法であって、
屋内空間に一定量空間噴霧することにより、当該屋内空間を防除処理する処理工程を実施することにある。
前記処理工程において、前記定量噴霧用エアゾールバルブを複数回押すことにより、前記害虫、ダニ防除用エアゾールを空間噴霧することが好ましい。
前記処理工程において、前記エアゾール原液(L)及び前記噴射剤(G)を合計0.1~3.6mL空間噴霧することが好ましい。
本発明の害虫、ダニ防除用エアゾールは、害虫、ダニ防除成分と、沸点が175~300℃である飽和炭化水素系有機溶剤とを含むエアゾール原液を噴射剤とともに耐圧容器に封入し、これに定量噴射用エアゾールバルブを取り付けて構成される。なお、定量噴射用エアゾールバルブは、本発明の目的にあわせて噴射容量を適切に設定したものであるが、バルブ機構自体は公知のものを使用できるため、図示は省略する。
害虫、ダニ防除成分(これを(a)とする。)は、ペルメトリン、シフルトリン、フェノトリン、及びシフェノトリンからなる群から選択される一つが使用される。これらのうち、ペルメトリン、又はシフェノトリンが好ましく使用される。本発明の害虫、ダニ防除用エアゾールを屋内で一定量空間噴霧処理すると、定量噴射用エアゾールバルブから噴射された噴霧粒子は、空中に長期間浮遊する浮遊性粒子と、比較的速やかに沈降して壁や床面に付着する付着性粒子となるが、浮遊性粒子も最終的には壁や床面に付着し、屋内空間において特にゴキブリ、トコジラミ等の匍匐害虫や屋内塵性ダニ類に対して優れた防除効果を示すものとなる。本発明の害虫、ダニ防除用エアゾールは、一種類の害虫、ダニ防除成分(a)のみで優れた防除効果を奏するため、後述する害虫、ダニ防除方法に用いる害虫、ダニ防除用エアゾールの製造等の準備作業を効率化することが可能となる。従って、二種以上の害虫、ダニ防除成分を調合する必要があった従来の害虫、ダニ防除用エアゾールと比べて製造工程を簡素化することができ、生産効率が向上するため、工業的に非常に有用なものと言える。
飽和炭化水素系有機溶剤(これを(b)とする。)は、沸点が175~300℃のものが使用される。害虫、ダニ防除成分(a)に飽和炭化水素系有機溶剤(b)を併用することで、匍匐害虫や屋内塵性ダニ類に対して優れた防除効果を示し、床面のべたつきも少ないものとなる。飽和炭化水素系有機溶剤(b)としては、パラフィン系炭化水素、ナフテン系炭化水素等の脂肪族炭化水素系の溶剤が挙げられるが、ノルマルパラフィン、イソパラフィンが好ましい。ノルマルパラフィンの場合、炭素数は11~16が好ましく、12~14がより好ましい。このようなノルマルパラフィンとしては、ノルマルウンデカン、ノルマルドデカン、ノルマルトリデカン、ノルマルテトラデカン、ノルマルペンタデカン、ノルマルヘキサデカン等が挙げられ、ノルマルドデカン、ノルマルトリデカン、ノルマルテトラデカンが好ましく、ノルマルトリデカンがより好ましい。また、これらの成分を含有するネオチオゾール(中央化成株式会社製)等を使用することも可能である。イソパラフィンの場合、炭素数は12~18が好ましく、炭素数12~13がより好ましい。このようなイソパラフィンとしては、イソドデカン、イソトリデカン、イソテトラデカン、イソペンタデカン、イソヘキサデカン、イソヘプタデカン、イソオクタデカン等が挙げられ、イソドデカン、イソトリデカンが好ましく、イソドデカンがより好ましい。また、これらの成分を含有するアイソパーM(エクソンモービル社製)やIPクリーンLX(出光興産株式会社製)等を使用することも可能である。なお、上述のノルマルパラフィン、イソパラフィンは、二種以上を混合して使用することも可能である。
エアゾール原液(これを(L)とする。)には、上記の害虫、ダニ防除成分(a)、及び沸点が175~300℃である飽和炭化水素系有機溶剤(b)に加えて、カビ類、菌類等を対象とした防カビ剤、抗菌剤、殺菌剤、芳香剤、消臭剤、安定化剤、帯電防止剤、消泡剤、共力剤、溶解補助剤及び賦形剤等を適宜配合することも可能である。防カビ剤、抗菌剤、殺菌剤としては、ヒノキチオール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-(4-チアゾリル)ベンゾイミダゾール、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、トリホリン、3-メチル-4-イソプロピルフェノール、及びオルト-フェニルフェノール等が挙げられる。芳香剤としては、ハッカ油、オレンジ油、レモン油、ラベンダー油、ペパーミント油、ユーカリ油、シトロネラ油、ライム油、ユズ油、ジャスミン油、檜油、緑茶精油、ネロリ油、ゼラニウム油、プチグレン油、レモングラス油、シナモン油、レモンユーカリ油、タイム油、ペリラ油、パイン油、ローズ油、ローズマリー油、樟脳油、芳油、クラリーセージ油、サンダルウッド油、スペアミント油、スターアニス油、ラバンジン油、オークモス油、オコチア油、パチュリ油、トンカ豆チンキ、テレピン油、ワニラ豆チンキ、バジル油、ナツメグ油、クローブ油、ボアドローズ油、カナンガ油、カルダモン油、カシア油、シダーウッド油、マンダリン油、タンジェリン油、アニス油、ベイ油、コリアンダー油、エレミ油、フェンネル油、ガルバナム油、ヒバ油、ベチバー油、ベルガモット油、イランイラン油、グレープフルーツ油、炭素数6~12のアルデヒド(例えば、ヘキシルアルデヒド、オクタナール、ノナナール、ウンデシルアルデヒド、ウンデカナール、デシルアルデヒド等)、アニスアルデヒド、クミンアルデヒド、アセトアルデヒドフェニルエチルプロピルアセタール、アセトフェノン、アセチルセドレン、アドキサール、アリルアミルグリコレート、アリルシクロヘキサンプロピオネート、ダマスコン、α-ダマスコン、β-ダマスコン、アンブレットリッド、アンブロキサン、アミルシンナミックアルデヒド、アミルシンナミックアルデヒドジメチルアセタール、アミルバレリアネート、アミルサリシレート、イソアミルアセテート、ブチルアセテート、エチルブチレート、アセチルオイゲノール、イソアミルサリシレート、インドール、アリルカプロエート、エチルカプロエート、エチルプロピオネート、エチルアセトアセテート、テサロン、α-イオノン、β-イオノン、α-メチルイオノン、α-イソメチルイオノン、β-メチルイオノン、β-イソメチルイオノン、γ-メチルイオノン、γ-イソメチルイオノン、インデン、オウランチオール、オークモスNo.1、オリボン、オキシフェニロン、カリオフィレン、カシュメラン、カルボン、キャロン、クマリン、p-クレジールメチルエーテル、ゲラニオール、ゲラニルアセテート、ゲラニルフォーメート、ゲラニルニトリル、テトラヒドロゲラニオール、テトラヒドロゲラニールアセテート、コアボン、サンダロア、サンデラ、サンタレックス、サンタリノール、メチルサリシレート、シンナミックアルコール、シンナミックアルデヒド、シスジャスモン、シトラール、シトラールジメチルアセタール、シトラサール、シトロネラール、シトロネロール、シトロネリルアセテート、シトロネリルフォーメート、シトロネリルニトリル、シクラメンアルデヒド、シンナミルアセテート、ジヒドロジャスモン、ジメトール、イソシクロシトラール、ジャスマール、ジャスモラクトン、ジャスモフィラン、スチラリルアセテート、スチラリールプロピオネート、セドロアンバー、セドリルアセテート、セドロール、セレストリッド、テルピネオール、α-テルピネオール、γ-テルピネオール、ターピニルアセテート、チモール、デルタダマスコン、デルタC6~C13ラクトン、トナリッド、トラセオライド、トリプラール、イソノニルアセテート、ネロール、ネリールアセテート、ネオベルガメート、ノピールアセテート、ノピールアルコール、バクダノール、レボサンドール、ヒヤシンスジメチルアセタール、ヒドロトロピックアルコール、ヒドロキシシトロネロール、ヒドロキシシトロネラール、α-ピネン、β-ピネン、ブチルブチレート、p-tert-ブチルシクロヘキサノール、p-tert-ブチルシクロヘキシルアセテート、o-tert-ブチルシクロヘキサノール、o-tert-ブチルシクロヘキシルアセテート,p-tert-ペンチルシクロヘキシルアセテート、ジフェニルオキサイド、フルイテート、フェンチールアルコール、フェニルエチルフェニルアセテート、イソブチルキノリン、フェニルエチルアルコール、フェニルエチルアセテート、フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタール、ベンジルアセテート、ベンジルアルコール、ベンジルサリシレート、ベンズアルデヒド、ベンジルフォーメート、ジメチルベンジルカルビノール、ヘリオナール、ヘリオトロピン、シス-3-ヘキセノール、シス-3-ヘキセニールアセテート、シス-3-ヘキセニールサリシレート、ヘキシルシンナミックアルデヒド、ヘキシルサリシレート、ペンタリッド、ベルドックス、オルトボルニルアセテート、イソボルニルアセテート、イソボルネオール、ボルネオール、マンザネート、マイヨール、ミューゲアルデヒド、ミラックアルデヒド、ミルセノール、ジヒドロミルセノール、ジミルセトール、ムゴール、ムスクTM-II、ムスク781、ムスクC14、ムスクT、ムスクケトン、ムスクチベチン、ムスクモスケン、メンサニールアセテート、メンソネート、メチルアンスラニレート、メチルオイゲノール、メントール、メチルフェニルアセテート、オイゲノール、イソオイゲノール、メチルイソオイゲノール、γ-C6~C13ラクトン(例えば、γ-ノナラクトン、γ-デカラクトン、γ-ウンデカラクトン等)、ライムオキサイド、メチルラベンダーケトン、ジヒドロリナロール、リグストラール、リモネン、リナロール、リナロールオキサイド、テトラヒドロリナロール、エチルリナロール、テトラヒドロリナリールアセテート、リナリルアセテート、エチルリナリルアセテート、リラール、ルバフラン、ローズフェノン、ローズオキサイド、ベンゾイン、ペルーバルサム、トルーバルサム、チュベローズ油、ムスクチンキ、カストリウムチンキ、シベットチンキ、アンバーグリスチンキ、ジヒドロターピニルアセテート、1,8-シネオール、7-アセチ-1,2,3,4,5,6,7,8-オクタハイドロ-1,1,6,7-テトラメチルナフタレン、4-アセトキシ-3-アミルテトラハイドロピラン、トリシクロデセニルアセテート、β-ナフチルメチルエステル、ベンゾフェノン、ベンジルベンゾエート、ジメチルヘプタノール、マイラックアルデヒド、クミンアルコール、メントン、チオメントン、シクロヘキシサリシレート、サンタリナアルコール、バニリン、エチルバニリン、イソロンギフォラノン、バグダノール、3,7-ジメチル-7-メトキシオクタン-2-オール、2,4,6-トリメチル-2-フェニル-1,3-ジオキサン、4,6,6,7,8,8-ヘキサメチル-1,3,4,6,7,8-ヘキサハイドロシクロペンタベンゾピラン、ジメチルベンジルアセテート、メチルジヒドロジャスモネート、ウンデカラクトンガンマ、シクロガルバナム、テルペニルアセテート、1-ヘキサノール、シス-3-ヘキシルアセテート、1,4-シネオール、α-テルピネン、p-サイメン、シス-オシメン、シス-β-オシメン、リメトール、トランス-β-オシメン、ターピノレン、2-ペンチロキシグリコール酸アリル、2-n-ペンチルシクロペンタノン、ベンジルブチレート、エチルアセテート、カプロン酸エチル、イソアミルブチレート、アリルヘキサノエート、アリルヘプタノエート、アリルオクタノエート、アリルイソブチルオキサアセテート、アリル-n-アミルオキシアセテート、アリルシクロヘキシルアセテート、アリルシクロヘキシルプロピオネート、アリルシクロヘキシルオキシアセテート、アリルフェノキシアセテート、アニシルアセテート、p-メンタン-3,8-ジオール、メチルジヒドロジャスモン酸、6-アセチル-1,1,2,4,4,7-ヘキサメチルテトラリン、シンナミルフォーメート、プレゴン、ガラクソリド、カンファー、ネラール、ペリラアルデヒド、インドールアロマ、ジヒドロテルピニルアセテート、γ-テルピネン、フェニル酢酸エチル、メチルヘプテノン、酢酸プレニル、p-シメン、β-ナフチルメチルエーテル、酢酸ヘキシル、2-メチルペンタン酸エチル、1-ヘキサノール、マルトール、シクロヘキサンプロピオン酸アリル、α,3,3-トリメチルシクロヘキサンメタノールホルマート等の芳香成分、「緑の香り」と呼ばれる青葉アルコールや青葉アルデヒド配合の香料成分等が挙げられる。共力剤としては、ピペロニルブトキサイド、オクチルビシクロヘプテンジカルボキシイミド等が挙げられる。溶解補助剤としては、ミリスチン酸イソプロピル等の炭素数16~20の高級脂肪酸エステル、エタノール、イソプロパノール等の炭素数2~3の低級アルコール等が挙げられる。
エアゾール原液(L)中の害虫、ダニ防除成分(a)の含有量は、8~80w/v%であることが好ましく、10~70w/v%であることがより好ましく、20~70w/v%であることがさらに好ましい。エアゾール原液(L)中の害虫、ダニ防除成分(a)の含有量が上記の範囲にあれば、エアゾールが噴射された際、噴霧粒子が空間処理による匍匐害虫及び屋内塵性ダニ類の防除に適した状態で形成され、適切な防除効果を得ることができる。エアゾール原液(L)中の害虫、ダニ防除成分(a)の含有量が上記の範囲から外れると、エアゾールが噴射された際、噴霧粒子が適切な状態で形成されない虞がある。
噴射剤(これを(G)とする。)としては、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン等の液化石油ガス(LPG)、ノルマルペンタン、イソペンタン、ジメチルエーテル(DME)、及びHFO1234ze等のハイドロフルオロオレフィン等の液化ガス、並びに窒素ガス、炭酸ガス、亜酸化窒素、及び圧縮空気等の圧縮ガスが挙げられる。上記の噴射剤(G)は、単独又は混合状態で使用することができるが、LPGを主成分としたものが使い易い。なお、噴射剤(G)は、ゲージ圧(20℃)を0.1~0.7MPaに調整して使用することが好ましい。
本発明の害虫、ダニ防除用エアゾールにおいて、定量噴霧用エアゾールバルブは、一回当たりの噴射容量が、0.1~1.0mLに設定されることが好ましく、0.1~0.9mLに設定されることがより好ましく、0.2~0.4mLに設定されることがさらに好ましい。噴射容量が0.1~1.0mLの範囲にあれば、溶剤として、沸点が175~300℃の飽和炭化水素系有機溶剤(b)を使用し、空間噴霧処理を行った場合でも、床面のべたつきを低減することができるとともに、噴射時に液不足や液だれ等の問題を起こす虞もない。この定量噴霧用エアゾールバルブを備えた害虫、ダニ防除用エアゾールのバルブ操作(エアゾールの噴射)を適度な回数行えば、屋内空間(処理空間)に浮遊性粒子及び付着性粒子が形成され、優れた防除効果を発揮することができる。また、定量噴霧用エアゾールバルブの操作ボタンを操作してエアゾールを噴射したとき、定量噴霧用エアゾールバルブの噴口からの距離が5cmの位置で測定される噴射力が3~50gfとなるように設定されることが好ましく、5~40gfとなるように設定されることがより好ましく、10~35gfとなるように設定されることがさらに好ましい。噴射力が3~50gfの範囲であれば、害虫、ダニ防除成分(a)を含む噴霧粒子は、屋内の処理空間の床面全体に沈降及び付着し、匍匐害虫及び屋内塵性ダニ類に対して実用上十分な防除効果が得られる。噴射力は、エアゾール原液(L)の組成、噴射剤の成分、噴射剤の比率、エアゾール容器の内圧、噴口の形状等により適宜調整することができる。噴射力の測定は、例えば、デジタルフォースゲージ(FGC-0.5、日本電産シンポ株式会社製)を用いて行うことができる。
耐圧容器は、所定の耐圧性能を有するものであれば材質は特に限定されないが、アルミニウムやブリキ等の金属製、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂製、耐圧ガラス製のものを使用することができる。耐圧容器が合成樹脂製又は耐圧ガラス製である場合、内容物を視認できるように半透明又は透明にすることも可能である。耐圧容器の形状は、円柱状の他、変形したものであってもよい。耐圧容器の容量は、10~200mLであることが好ましく、20~100mLであることがより好ましい。
本発明の害虫、ダニ防除用エアゾールにおいて、定量噴霧用エアゾールバルブから噴霧される噴霧粒子の体積平均粒子径(Dv50)が、15~80μmに設定されていることが好ましく、15~50μmに設定されていることがより好ましく、20~40μmに設定されていることがさらに好ましい。噴霧粒子の体積平均粒子径(Dv50)が上記の範囲にあれば、エアゾールを噴射した際、噴霧粒子が空間処理による匍匐害虫や屋内塵性ダニ類の防除に適した状態で形成され、適切な防除効果を得ることができる。噴霧粒子の体積平均粒子径(Dv50)は、エアゾール原液(L)の組成、噴射剤の成分、噴射剤の比率、エアゾール容器の内圧、噴口の形状やノズル長等により適宜調整することができる。
本発明の害虫、ダニ防除方法は、上記の害虫、ダニ防除用エアゾールを用いて行われるものであり、屋内空間において、害虫、ダニ防除用エアゾールを一定量空間噴霧することにより、当該屋内空間を防除処理する処理工程を実施する。この処理工程において、定量噴霧用エアゾールバルブを押す回数は一回でも防除効果は得られるが、定量噴霧用エアゾールバルブを複数回(適切な回数)押すことにより、害虫、ダニ防除用エアゾールを屋内空間全体に空間噴霧すれば、処理対象の屋内空間の大きさや形状が異なる場合であっても、飛翔害虫、匍匐害虫及び屋内塵性ダニ類に対して防除効果を十分に発揮することができる。また、エアゾール原液(L)及び噴射剤(G)を合計0.1~3.6mL空間噴霧すれば、飛翔害虫、匍匐害虫及び屋内塵性ダニ類に対して防除効果をより確実に発揮することができる。
本発明の害虫、ダニ防除用エアゾール、及び害虫、ダニ防除方法が対象とする害虫は、特に限定されないが、室内で飛翔して人に被害や不快感を与える害虫、例えば、アカイエカ、ヒトスジシマカ等の蚊類、ユスリカ類、イエバエ、チョウバエ、ブユ類、アブ類、ハチ類、ヨコバイ類などの各種飛翔害虫の他、チャバネゴキブリ、ワモンゴキブリ、クロゴキブリ等のゴキブリ類、トコジラミ類、アリ類、イエダニ、コクヌストモドキ、コクゾウムシ、シバンムシ、ダンゴムシ、ワラジムシなどの匍匐害虫、及びケナガコナダニ、コナヒョウヒダニ、ヤケヒョウヒダニ、ツメダニ等の屋内塵性ダニ類が挙げられる。これらの害虫、ダニ類のうち、特にゴキブリ類、トコジラミ類、屋内塵性ダニ類に対しては、より優れた防除効果を発揮することができる。
害虫、ダニ防除成分(a)としてペルメトリンを使用し、飽和炭化水素系有機溶剤(b)としてノルマルトリデカン(沸点235℃、メルク社製)を使用し、ペルメトリン含有量が60w/v%となるようにノルマルトリデカンに溶解させてエアゾール原液(L)を調製した。次に、このエアゾール原液(L)10mLと、噴射剤(G)として液化石油ガス(LPG)30mLとを、エアゾール原液(L)と噴射剤(G)との容量比率(L/G)が0.33(=25/75)となるように、噴射容量が0.2mLである定量噴霧用エアゾールバルブを備えたエアゾール容器(耐圧容器)に加圧充填し、ノズル付きのアクチュエーターを装着し、実施例1の害虫、ダニ防除用エアゾールを得た。実施例1の害虫、ダニ防除用エアゾールは、噴射剤(G)と飽和炭化水素系有機溶剤(b)との容量比率(G/b)が6.0であった。
エアゾール原液(L)と噴射剤(G)との容量比率(L/G)が0.25(=20/80)であり、噴射剤(G)と飽和炭化水素系有機溶剤(b)との容量比率(G/b)が8.0であること以外は実施例1と同様にして、実施例2の害虫、ダニ防除用エアゾールを得た。
飽和炭化水素系有機溶剤(b)としてノルマルペンタデカン(沸点271℃、富士フイルム和光純薬社製)を使用し、エアゾール原液(L)と噴射剤(G)との容量比率(L/G)が0.25(=20/80)であり、噴射剤(G)と飽和炭化水素系有機溶剤(b)との容量比率(G/b)が8.0であること以外は実施例1と同様にして、実施例3の害虫、ダニ防除用エアゾールを得た。
飽和炭化水素系有機溶剤(b)としてアイソパーM(沸点240℃、エクソンモービル社製)を使用したこと以外は実施例1と同様にして、実施例4の害虫、ダニ防除用エアゾールを得た。
害虫、ダニ防除成分(a)としてシフェノトリンを使用し、噴射剤(G)と飽和炭化水素系有機溶剤(b)との容量比率(G/b)が6.8であること以外は実施例1と同様にして、実施例5の害虫、ダニ防除用エアゾールを得た。
害虫、ダニ防除成分(a)としてシフェノトリンを使用し、飽和炭化水素系有機溶剤(b)としてアイソパーM(沸点240℃、エクソンモービル社製)使用し、噴射剤(G)と飽和炭化水素系有機溶剤(b)との容量比率(G/b)が6.8であること以外は実施例1と同様にして、実施例6の害虫、ダニ防除用エアゾールを得た。
飽和炭化水素系有機溶剤(b)としてアイソパーM(沸点240℃、エクソンモービル社製)を使用し、定量噴霧用エアゾールバルブの噴霧容量を1.0mLとしたこと以外は実施例1と同様にして、実施例7の害虫、ダニ防除用エアゾールを得た。
飽和炭化水素系有機溶剤(b)としてイソドデカン(沸点180℃、富士フイルム和光純薬社製)を使用したこと以外は実施例1と同様にして、実施例8の害虫、ダニ防除用エアゾールを得た。
定量噴霧用エアゾールバルブの噴霧容量を0.4mLとしたこと以外は実施例1と同様にして、実施例9の害虫、ダニ防除用エアゾールを得た。
エアゾール原液(L)と噴射剤(G)との容量比率(L/G)が0.05(=5/95)であり、噴射剤(G)と飽和炭化水素系有機溶剤(b)との容量比率(G/b)が38.0であること以外は実施例1と同様にして、実施例10の害虫、ダニ防除用エアゾールを得た。
害虫、ダニ防除成分(a)としてシペルメトリン及びプロフルトリンを使用し、シペルメトリン含有量が55w/v%、及びプロフルトリン含有量が5w/v%となるようにノルマルトリデカンに溶解させてエアゾール原液(L)を調製し、噴射剤(G)と飽和炭化水素系有機溶剤(b)との容量比率(G/b)が5.8であること以外は実施例1と同様にして、比較例1のエアゾールを得た。
飽和炭化水素系有機溶剤(b)としてノルマルデカン(沸点172℃、富士フイルム和光純薬社製)を使用したこと以外は実施例1と同様にして、比較例2のエアゾールを得た。
飽和炭化水素系有機溶剤(b)として流動パラフィン(沸点310℃)を使用したこと以外は実施例1と同様にして、比較例3のエアゾールを得た。
ペルメトリン含有量が7.5w/v%となるようにノルマルトリデカンに溶解させてエアゾール原液(L)を調製したこと、噴射剤(G)と飽和炭化水素系有機溶剤(b)との容量比率(G/b)が3.2であること以外は実施例1と同様にして、比較例4のエアゾールを得た。
20×20cmのガラス板合計4枚を閉めきった容積25m3の部屋(面積が10m2である6畳の部屋に相当、以下同じ。)の4隅に設置し、各ガラス板の上に逃亡防止のためにワセリンを塗布した直径約20cmのプラスチックリングを配置し、各リング内に所定の供試昆虫(チャバネゴキブリ:♀成虫5匹)を放って自由に徘徊させた。実施例1~6、8、及び10、並びに比較例1~4では、部屋の中央(床上1.5mの高さ)で、供試エアゾールを0.2mLずつ、やや斜め上方に方向を変えながら4ショット噴霧した。実施例7では、部屋の中央(床上1.5mの高さ)に向けて、供試エアゾールを1.0mL、やや斜め上方に1ショット噴霧した。実施例9では、部屋の中央(床上1.5mの高さ)で、供試エアゾールを0.4mLずつ、やや斜め上方に方向を変えながら4ショット噴霧した。噴霧から30分間放置して供試昆虫を薬剤に暴露させた後、ガラス板を、供試昆虫を含むプラスチックリングごと別部屋に移し、供試昆虫に餌を与え、さらに24時間後に致死率を求めた。そして、チャバネゴキブリの致死率が90~100%であるものを「A」、75~85%であるものを「B」、50~70%であるものを「C」、50%未満であるものを「D」と評価した。
20×20cmのガラス板合計4枚を閉めきった容積25m3の部屋の4隅に設置し、各ガラス板の上に逃亡防止のためにワセリンを塗布した直径約10cmのプラスチックリングを配置し、各リング内に所定の供試昆虫(トコジラミ:5匹)を放って自由に徘徊させた。実施例1~6、8、及び10、並びに比較例1~4では、部屋の中央(床上1.5mの高さ)で、供試エアゾールを0.2mLずつ、やや斜め上方に方向を変えながら4ショット噴霧した。実施例7では、部屋の中央(床上1.5mの高さ)に向けて、供試エアゾールを1.0mL、やや斜め上方に1ショット噴霧した。実施例9では、部屋の中央(床上1.5mの高さ)で、供試エアゾールを0.4mLずつ、やや斜め上方に方向を変えながら4ショット噴霧した。噴霧から30分間放置して供試昆虫を薬剤に暴露させた後、ガラス板を、供試昆虫を含むプラスチックリングごと別部屋に移し、さらに24時間後に供試昆虫の致死率を求めた。そして、トコジラミの致死率が90~100%であるものを「A」、75~85%であるものを「B」、50~70%であるものを「C」、50%未満であるものを「D」と評価した。
直径約4cmの綿布4個を閉めきった25m3の部屋の4隅に設置し、実施例1~6、8、及び10、並びに比較例1~4では、部屋の中央(床上1.5mの高さ)で、供試エアゾールを0.2mLずつ、やや斜め上方に方向を変えながら4ショット噴霧した。実施例7では、部屋の中央(床上1.5mの高さ)に向けて、供試エアゾールを1.0mL、やや斜め上方に1ショット噴霧した。実施例9では、部屋の中央(床上1.5mの高さ)で、供試エアゾールを0.4mLずつ、やや斜め上方に方向を変えながら4ショット噴霧した。供試エアゾールの噴霧24時間後に綿布を取り出し、これを直径4cmのシャーレにはめ込み、その中央部に誘引用培地50mgを配置した。別に、直径9cmのシャーレに供試コナヒョウヒダニを培地とともに約10000匹放ち、この中央部に先に用意した直径4cmのシャーレを配置した。また、同様の手順にて、処理しない綿布を用いて無処理区とした。そして、24時間後に綿布上に侵入したダニ数を計数し、下式(1)に従って忌避率(%)を求めた。
忌避率(%) = (m-n)/m × 100 ・・・(1)
m:無処理区の侵入ダニ数
n:処理区の侵入ダニ数
そして、コナヒョウヒダニの忌避率が90~100%であるものを「A」、75~85%であるものを「B」、50~70%であるものを「C」、50%未満であるものを「D」と評価した。
20×20cmのガラス板を25m3の部屋の4隅に設置し、実施例1~6、8、及び10、並びに比較例1~4では、部屋の中央(床上1.5mの高さ)で、供試エアゾールを0.2mLずつ、やや斜め上方に方向を変えながら4ショット噴霧した。実施例7では、部屋の中央(床上1.5mの高さ)に向けて、供試エアゾールを1.0mL、やや斜め上方に1ショット噴霧した。実施例9では、部屋の中央(床上1.5mの高さ)で、供試エアゾールを0.4mLずつ、やや斜め上方に方向を変えながら4ショット噴霧した。噴霧処理30分後、指先でガラス板の表面に触れて感触を確認することによりべたつきを三段階で評価した。10人の研究員により、3点(ほとんどべたつかない)、2点(僅かにべたつく)、1点(べたつく)と点数化し、平均点が2.4~3.0点であるものを「A」、1.7~2.3点であるものを「B」、1.0~1.6点であるものを「C」と評価した。
実施例2、4、及び8の害虫、ダニ防除用エアゾールについて、25℃における噴霧粒子の体積平均粒子径(Dv50)を測定した。各エアゾールを25℃に設定した室温で2~3時間静置し、各エアゾールの温度を25℃の恒温とした。体積平均粒子径(Dv50)の測定においては、25℃において、レーザー粒度分布測定装置SPRAYTEC model STP5321(Malvern社製)を用い、レーザー光発光部より受光部に照射されるレーザービームと、害虫、ダニ防除用エアゾールの噴口との距離が50cmとなるように、かつ、噴霧粒子がレーザービームを垂直に通過するようにエアゾールの位置を調整した。エアゾールの噴射ボタンを1回押して、噴射中に測定を行い、噴霧粒子の粒度分布を自動演算処理装置により解析し、体積積分分布に基づく噴霧粒子の50%体積平均粒子径(Dv50)を求めた。
Claims (9)
- 定量噴霧用エアゾールバルブを備えた害虫、ダニ防除用エアゾールであって、
耐圧容器に、
ペルメトリン、シフルトリン、フェノトリン、及びシフェノトリンからなる群から選択される一つの害虫、ダニ防除成分(a)、及び沸点が175~300℃である飽和炭化水素系有機溶剤(b)からなるエアゾール原液(L)と、
噴射剤(G)と、
が封入されてなり、
前記噴射剤(G)と前記飽和炭化水素系有機溶剤(b)との容量比率(G/b)が、4.5~50に設定されており、
前記定量噴霧用エアゾールバルブから噴霧される噴霧粒子は、25℃、噴射距離50cmにおける体積平均粒子径(Dv50)が、15~40μmに設定されている害虫、ダニ防除用エアゾール。 - 前記エアゾール原液(L)と前記噴射剤(G)との容量比率(L/G)が、0.05~1に設定されている請求項1に記載の害虫、ダニ防除用エアゾール。
- 前記飽和炭化水素系有機溶剤(b)は、ノルマルパラフィン及び/又はイソパラフィンを含む請求項1又は2に記載の害虫、ダニ防除用エアゾール。
- 前記ノルマルパラフィンは、ノルマルトリデカンである請求項3に記載の害虫、ダニ防除用エアゾール。
- 前記イソパラフィンは、イソドデカンである請求項3又は4に記載の害虫、ダニ防除用エアゾール。
- 屋内空間に一定量空間噴霧する定量噴射型エアゾールとして構成され、前記屋内空間の容積は18.8~33.3m3である請求項1~5の何れか一項に記載の害虫、ダニ防除用エアゾール。
- 請求項1~6の何れか一項に記載の害虫、ダニ防除用エアゾールを用いた害虫、ダニ防除方法であって、
屋内空間に一定量空間噴霧することにより、当該屋内空間を防除処理する処理工程を実施する害虫、ダニ防除方法。 - 前記処理工程において、前記定量噴霧用エアゾールバルブを複数回押すことにより、前記害虫、ダニ防除用エアゾールを空間噴霧する請求項7に記載の害虫、ダニ防除方法。
- 前記処理工程において、前記エアゾール原液(L)及び前記噴射剤(G)を合計0.1~3.6mL空間噴霧する請求項7又は8に記載の害虫、ダニ防除方法。
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