JP2022031188A - 匍匐害虫、ダニ防除用エアゾール、及び匍匐害虫、ダニ防除方法 - Google Patents

匍匐害虫、ダニ防除用エアゾール、及び匍匐害虫、ダニ防除方法 Download PDF

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良輔 ▲高▼林
Ryosuke TAKABAYASHI
洋子 小林
Yoko Kobayashi
由美 川尻
Yumi Kawajiri
幸治 中山
Koji Nakayama
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Dainihon Jochugiku Co Ltd
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Abstract

【課題】繰り返し使用後の定量噴射バルブの作動安定性を向上させつつ、匍匐害虫やダニに対して優れた防除効果を発揮することができる匍匐害虫、ダニ防除用エアゾールを提供する。【解決手段】匍匐害虫、ダニ防除成分と有機溶剤を含有するエアゾール原液及び噴射剤が封入される耐圧容器と、ステム11とステムラバー12とスプリング13とを含む弁機構10及びハウジング20を有する定量噴射バルブ100と、噴射口が設けられた噴射ボタンとを備えた匍匐害虫、ダニ防除用エアゾールであって、エアゾール原液の20℃における動粘度は、2.0~20.0cStであり、ステムラバー12の材質はアクリロニトリルブタジエンゴム及び/又はイソブチレンイソプレンゴムを含み、前記噴射口からの距離が5cmの箇所において噴射力が3~50gfである。【選択図】図1

Description

本発明は、匍匐害虫、ダニ防除成分と有機溶剤とを含有するエアゾール原液、及び噴射剤が封入される耐圧容器と、耐圧容器の口部に組み付けられる定量噴射バルブと、定量噴射バルブに接続される噴射口が設けられた噴射ボタンとを備えた匍匐害虫、ダニ防除用エアゾール、及びこれを用いた匍匐害虫、ダニ防除方法に関する。
床面や壁を徘徊するゴキブリ等の匍匐害虫や屋内塵性ダニ類を対象とし、匍匐害虫や屋内塵性ダニ類が生息する場所や通り道に施用するタイプの殺虫剤としては、(1)燻煙剤、(2)全量噴射型エアゾール、及び(3)ベイト剤が代表的で、それぞれ剤型上の特長を有している。
(1)燻煙剤や(2)全量噴射型エアゾールは、薬剤を一気に室内の隅々まで放散し、所定時間室内を密閉して薬剤濃度を高め、その間、人が入室できないことから、医薬品の範疇に該当する。これらの製剤は、一度施用すれば2~4週間、匍匐害虫や屋内塵性ダニ類に対する駆除効果が持続する反面、使用前の手順に手間がかかること、薬剤の安全性に格別留意する必要があること等から、手軽に頻繁に採用される剤型とは言い難い。
一方、点処理の(3)ベイト剤は、人体に対する作用が緩和な医薬部外品に該当し、(1)燻煙剤や(2)全量噴射型エアゾールに較べると使い易いが、空間処理でないため薬剤と害虫や屋内塵性ダニ類との接触効率が劣り、必ずしも効率的な駆除方法を提供できるものでもない。
このように、従来、空間処理でありながら医薬部外品に該当する匍匐害虫、屋内塵性ダニ類防除剤の開発は困難と考えられてきた。
ところで、特許文献1は、殺虫成分および溶剤を含む殺虫液を室内空間、収納空間等の空間内に蒸散させて匍匐害虫を駆除する方法であって、溶剤として特定の構造を有する化合物を用い、空間に粒子径の小さい殺虫液微粒子が浮遊し続けるべく、ピエゾ式噴霧器により殺虫液を少量ずつ時間をかけて蒸散させる匍匐害虫駆除方法を開示する。この特許文献1の方法は、液体電気蚊取りのように、微量の薬剤を継続して長時間にわたり空間に放散し、ゴキブリを駆除することを提案したものであるが、蚊に較べて数十倍薬剤に強いゴキブリを対象とする以上、強力な殺虫成分を使用せざるを得ず、人体への安全性が懸念される。
本発明者らは、先に、空間処理剤であって、医薬部外品に該当する匍匐害虫や屋内塵性ダニ類用防除剤を開発するにあたり、(1)燻煙剤や(2)全量噴射型エアゾールのような2~4週間に一度の頻度で使用される製剤ではなく、1回定量噴霧処理すれば実用条件下で数日間防除効果が持続する、即ち基本的に1~2日に1回使用する製剤であって、人が居る状況下でも使用可能な安全性の高い製剤の開発を目指して鋭意検討を行った。その結果、匍匐害虫や屋内塵性ダニ類のみならず、噴霧当日は飛翔害虫にも有効で、極めて有用な「害虫、ダニ防除方法」(特許文献2参照)を発明した。なお、この発明は、飛翔害虫に対する実用的な駆除効果をも実現するべく、エアゾールの噴射特性として、噴射後の噴霧粒子が、浮遊性粒子と、壁面等への付着並びに床面への沈降に関わる付着性粒子とに形成されるとともに、好ましくは、全体の噴霧粒子のうちの30~80%が噴射処理1時間後までに壁面等に付着するか、もしくは床面に沈降するように設計されている。
特開2009-143868号公報 特許第5517122号公報
ゴキブリ等の匍匐害虫や屋内塵性ダニ類は、台所、リビング、和室、寝室やベランダ等といった家中のあらゆる場所で問題となっているので、定量噴射バルブを備えた匍匐害虫、ダニ防除用エアゾールを使用する場合、部屋ごとの噴射処理が必要となり、噴射ボタンを押下する回数が多くなる傾向にある。そのため、定量噴射バルブを備えた匍匐害虫、ダニ防除用エアゾールにおいて、定量噴射バルブを安定して作動させることは重要な課題である。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、定量噴射バルブを備えた匍匐害虫、ダニ防除用エアゾールを繰り返し使用した際の定量噴射バルブの作動安定性を向上させつつ、匍匐害虫やダニ類の中でも、ゴキブリ、トコジラミや屋内塵性ダニ類に対して優れた防除効果を発揮することができる匍匐害虫、ダニ防除用エアゾール、及び当該匍匐害虫、ダニ防除用エアゾールを用いた匍匐害虫、ダニ防除方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、種々検討を行った結果、匍匐害虫、ダニ防除成分と有機溶剤とを含有するエアゾール原液、及び噴射剤を使用した定量噴射バルブを備えた匍匐害虫、ダニ防除用エアゾールについて、エアゾール原液の20℃における動粘度を特定の範囲に調整し、噴射口からの距離が5cmの箇所における噴射力を特定の範囲に設定することで、繰り返し使用した際でも、定量噴射バルブの作動安定性を保持しつつ、ゴキブリ、トコジラミ等の匍匐害虫、及び屋内塵性ダニ類に対する優れた防除効果を奏することを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち本発明は、以下の構成が上記課題を解決するために優れた効果を奏することを見出した。
(1)匍匐害虫、ダニ防除成分と有機溶剤とを含有するエアゾール原液、及び噴射剤が封入される耐圧容器と、
ステムとステムラバーとスプリングとを含む弁機構、及び前記弁機構を収容するハウジングを有し、前記耐圧容器の口部に組み付けられる定量噴射バルブと、
前記定量噴射バルブに接続される噴射口が設けられた噴射ボタンと、
を備えた匍匐害虫、ダニ防除用エアゾールであって、
エアゾール原液の20℃における動粘度は、2.0~20.0cStであり、
前記ステムラバーの材質は、アクリロニトリルブタジエンゴム及び/又はイソブチレンイソプレンゴムを含み、
前記噴射口からの距離が5cmの箇所において噴射力が3~50gfとなるように設定されている匍匐害虫、ダニ防除用エアゾール。
(2)前記ステムラバーの材質は、アクリロニトリルブタジエンゴムである(1)に記載の匍匐害虫、ダニ防除用エアゾール。
(3)前記スプリングは、バネ定数が2.0N/mm以上のスプリングである(1)又は(2)に記載の匍匐害虫、ダニ防除用エアゾール。
(4)前記有機溶剤は炭素数が2~3の低級アルコール、炭化水素系溶剤、炭素数が16~20の高級脂肪酸エステルからなる群より選択される1種又は2種以上である(1)~(3)のいずれか1に記載の匍匐害虫、ダニ防除用エアゾール。
(5)前記エアゾール原液(a)と前記噴射剤(b)との容量比率(a/b)は、2/98~55/45である(1)~(4)のいずれか1に記載の匍匐害虫、ダニ防除用エアゾール。
(6)前記匍匐害虫、ダニ防除成分は、トランスフルトリン、メトフルトリン、フェノトリン、ペルメトリン、シフェノトリン、シフルトリン、トラロメトリン、デルタメトリン、シペルメトリン、サリチル酸ベンジル、安息香酸ベンジルからなる群より選択される1種又は2種以上である(1)~(5)のいずれか1に記載の匍匐害虫、ダニ防除用エアゾール。
(7)前記匍匐害虫、ダニは、ゴキブリ、トコジラミ、屋内塵性ダニ類からなる群より選択される1種又は2種以上である(1)~(6)のいずれか1に記載の匍匐害虫、ダニ防除用エアゾール。
(8)(1)~(7)のいずれか1に記載の匍匐害虫、ダニ防除用エアゾールを用いて前記エアゾール原液を処理空間に噴射して匍匐害虫をノックダウン又は致死させる匍匐害虫、ダニ防除方法。
(9)(1)~(8)のいずれか1に記載の匍匐害虫、ダニ防除用エアゾールを用いて前記エアゾール原液を処理空間に噴射して匍匐害虫又はダニを忌避させる匍匐害虫、ダニ防除方法。
本発明の匍匐害虫、ダニ防除用エアゾール、及び匍匐害虫、ダニ防除方法は、定量噴射バルブを備えた匍匐害虫、ダニ防除用エアゾールを繰り返し使用した際にも、定量噴射バルブの作動安定性を保持しつつ、匍匐害虫や屋内塵性ダニ類の中でも、ゴキブリ、トコジラミや屋内塵性ダニ類に対して優れた防除効果を発揮することができるため、実用性は高いものである。
図1は、本発明に係る匍匐害虫、ダニ防除用エアゾールが備える定量噴射バルブの断面図である。
本発明の匍匐害虫、ダニ防除用エアゾールは、匍匐害虫、ダニ防除成分と有機溶剤とを含有するエアゾール原液、及び噴射剤が封入される耐圧容器と、耐圧容器の口部に組み付けられる定量噴射バルブと、定量噴射バルブに接続される噴射口が設けられた噴射ボタンとを備える。以下、本発明の匍匐害虫、ダニ防除用エアゾールについて説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施形態、図面や実施例に記載される構成に限定されることを意図しない。なお、本明細書における範囲を示す表記「~」がある場合は、上限と下限を含有するものとする。
<エアゾール原液>
[匍匐害虫、ダニ防除成分]
エアゾール原液の主成分の一つである匍匐害虫、ダニ防除成分としては、トランスフルトリン、メトフルトリン、プロフルトリン、フェノトリン、シフェノトリン、ペルメトリン、シフルトリン、ビフェントリン、フェンプロパトリン、トラロメトリン、エトフェンプロックス、メパフルトリン、エムペントリン、ジメフルトリン、モンフルオロトリン、ヘプタフルスリン、フタルスリン、レスメトリン、アレスリン、プラレトリン、フラメトリン、デルタメトリン、シペルメトリン及びイミプロトリン等のピレスロイド系化合物、シラフルオフェン等のケイ素系化合物、ジクロルボス、及びフェニトロチオン等の有機リン系化合物、プロポクスル、3-ヨード-2-プロピニルブチルカーバメート等のカーバメート系化合物、ジノテフラン、イミダクロプリド、及びクロチアニジン等のネオニコチノイド系化合物、フィプロニル、インドキサカルブ、フルキサメタミド、ブロフラニリド、メトキサジアゾン、5-クロロ-2-トリフルオロメタンスルホンアミド安息香酸メチル(アミドフルメト)、サリチル酸フェニル、サリチル酸ベンジル、安息香酸ベンジル等があげられる。これらの中では、人体への安全性等の観点から、トランスフルトリン、メトフルトリン、プロフルトリン、ジメフルトリン、モンフルオロトリン、ヘプタフルスリン、メパフルトリン等のテトラフルオロベンジル構造を有するピレスロイド系化合物、フェノトリン、シフェノトリン、ペルメトリン、シフルトリン、フェンプロパトリン、トラロメトリン、エトフェンプロックス、デルタメトリン、シペルメトリン等のフェノキシベンジル構造を有するピレスロイド系化合物、イミプロトリン、メトキサジアゾンや、サリチル酸ベンジル、安息香酸ベンジル等のベンジルエステル構造を有する化合物が好ましく、トランスフルトリン、メトフルトリン、フェノトリン、ペルメトリン、シフェノトリン、シフルトリン、トラロメトリン、デルタメトリン、シペルメトリン、イミプロトリン、メトキサジアゾン、サリチル酸ベンジル、安息香酸ベンジルがより好ましい。なお、ピレスロイド系化合物の酸成分やアルコール部分において、不斉炭素に基づく光学異性体や幾何異性体が存在する場合、それらの各々や任意の混合物も本発明に包含されることはもちろんである。
エアゾール原液中の匍匐害虫、ダニ防除成分の含有量は、特に限定されないが、処理空間に噴射されることを考慮して、1.0~80.0重量%に調整されることが好ましく、5.0~75.0重量%に調整されることがより好ましく、10.0~70.0重量%に調整されることがさらに好ましい。このような範囲であれば、匍匐害虫、ダニ防除成分が有機溶剤に溶解し易く、また、エアゾール原液が噴射された際、噴射粒子が最適な状態で形成され、匍匐害虫、ダニ防除成分の効果を奏することができる。
[有機溶剤]
エアゾール原液の主成分には、上記の匍匐害虫、ダニ防除成分の他に有機溶剤が含まれる。かかる有機溶剤としてエタノール、ノルマルプロパノール、及びイソプロパノール(IPA)等の炭素数が2~3の低級アルコール、ノルマルパラフィン、及びイソパラフィン等の炭化水素系溶剤、ミリスチン酸イソプロピル(IPM)、及びラウリン酸ヘキシル等の炭素数が16~20の高級脂肪酸エステル、炭素数が3~10のグリコールエーテル系溶剤等が用いられ、これらのうちで、炭素数が2~3の低級アルコール、炭化水素系溶剤、炭素数が16~20の高級脂肪酸エステルからなる群より選択される1種又は2種以上が好ましく、炭素数が2~3の低級アルコール及び/又は炭化水素系溶剤が用いられることがより好ましく、炭素数が2~3の低級アルコールが用いられることがさらに好ましく、エタノールが用いられることが特に好ましい。
[その他の成分]
本発明の匍匐害虫、ダニ防除用エアゾールは、上記成分に加え、エアゾール原液に可溶化助剤として非イオン系界面活性剤を添加することもできる。非イオン系界面活性剤として、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアミノエーテル類などのエーテル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類などの脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンスチレン化フェノール、脂肪酸のポリアルカロールアミド等が挙げられ、これらのうち、エーテル類を好適に使用することができる。
また、カビ類や菌類等を対象とした防カビ剤、抗菌剤、殺菌剤、芳香剤、消臭剤、安定化剤、帯電防止剤、消泡剤、賦形剤、共力剤等を適宜配合することもできる。防カビ剤、抗菌剤、及び殺菌剤としては、ヒノキチオール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-(4-チアゾリル)ベンツイミダゾール、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、トリホリン、3-メチル-4-イソプロピルフェノール、オルト-フェニルフェノール等が挙げられる。芳香剤としては、ハッカ油、オレンジ油、レモン油、ラベンダー油、ペパーミント油、ユーカリ油、シトロネラ油、ライム油、ユズ油、ジャスミン油、檜油、緑茶精油、ネロリ油、ゼラニウム油、プチグレン油、レモングラス油、シナモン油、レモンユーカリ油、タイム油、ペリラ油、パイン油、ローズ油、ローズマリー油、樟脳油、芳油、クラリーセージ油、サンダルウッド油、スペアミント油、スターアニス油、ラバンジン油、オークモス油、オコチア油、パチュリ油、トンカ豆チンキ、テレピン油、ワニラ豆チンキ、バジル油、ナツメグ油、クローブ油、ボアドローズ油、カナンガ油、カルダモン油、カシア油、シダーウッド油、マンダリン油、タンジェリン油、アニス油、ベイ油、コリアンダー油、エレミ油、フェンネル油、ガルバナム油、ヒバ油、ベチバー油、ベルガモット油、イランイラン油、グレープフルーツ油、炭素数6~12のアルデヒド(例えば、ヘキシルアルデヒド、オクタナール、ノナナール、ウンデシルアルデヒド、ウンデカナール、デシルアルデヒド等)、アニスアルデヒド、クミンアルデヒド、アセトアルデヒドフェニルエチルプロピルアセタール、アセトフェノン、アセチルセドレン、アドキサール、アリルアミルグリコレート、アリルシクロヘキサンプロピオネート、ダマスコン、α-ダマスコン、β-ダマスコン、アンブレットリッド、アンブロキサン、アミルシンナミックアルデヒド、アミルシンナミックアルデヒドジメチルアセタール、アミルバレリアネート、アミルサリシレート、イソアミルアセテート、ブチルアセテート、エチルブチレート、アセチルオイゲノール、イソアミルサリシレート、インドール、アリルカプロエート、エチルカプロエート、エチルプロピオネート、エチルアセトアセテート、テサロン、α-イオノン、β-イオノン、α-メチルイオノン、α-イソメチルイオノン、β-メチルイオノン、β-イソメチルイオノン、γ-メチルイオノン、γ-イソメチルイオノン、インデン、オウランチオール、オークモスNo.1、オリボン、オキシフェニロン、カリオフィレン、カシュメラン、カルボン、キャロン、クマリン、p-クレジールメチルエーテル、ゲラニオール、ゲラニルアセテート、ゲラニルフォーメート、ゲラニルニトリル、テトラヒドロゲラニオール、テトラヒドロゲラニールアセテート、コアボン、サンダロア、サンデラ、サンタレックス、サンタリノール、メチルサリシレート、シンナミックアルコール、シンナミックアルデヒド、シスジャスモン、シトラール、シトラールジメチルアセタール、シトラサール、シトロネラール、シトロネロール、シトロネリルアセテート、シトロネリルフォーメート、シトロネリルニトリル、シクラメンアルデヒド、シンナミルアセテート、ジヒドロジャスモン、ジメトール、イソシクロシトラール、ジャスマール、ジャスモラクトン、ジャスモフィラン、スチラリルアセテート、スチラリールプロピオネート、セドロアンバー、セドリルアセテート、セドロール、セレストリッド、テルピネオール、α-テルピネオール、γ-テルピネオール、テルピニルアセテート、チモール、デルタダマスコン、デルタC6~C13ラクトン、トナリッド、トラセオライド、トリプラール、イソノニルアセテート、ネロール、ネリールアセテート、ネオベルガメート、ノピールアセテート、ノピールアルコール、バクダノール、レボサンドール、ヒヤシンスジメチルアセタール、ヒドロトロピックアルコール、ヒドロキシシトロネロール、ヒドロキシシトロネラール、α―ピネン、β-ピネン、ブチルブチレート、p-tert-ブチルシクロヘキサノール、p-tert-ブチルシクロヘキシルアセテート、o-tert-ブチルシクロヘキサノール、o-tert-ブチルシクロヘキシルアセテート,p-tert-ペンチルシクロヘキシルアセテート、ジフェニルオキサイド、フルイテート、フェンチールアルコール、フェニルエチルフェニルアセテート、イソブチルキノリン、フェニルエチルアルコール、フェニルエチルアセテート、フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタール、ベンジルアセテート、ベンジルアルコール、ベンジルサリシレート、ベンズアルデヒド、ベンジルフォーメート、ジメチルベンジルカルビノール、ヘリオナール、ヘリオトロピン、シス-3-ヘキセノール、シス-3-ヘキセニールアセテート、シス-3-ヘキセニールサリシレート、ヘキシルシンナミックアルデヒド、ヘキシルサリシレート、ペンタリッド、ベルドックス、オルトボルニルアセテート、イソボルニルアセテート、イソボルネオール、ボルネオール、マンザネート、マイヨール、ミューゲアルデヒド、ミラックアルデヒド、ミルセノール、ジヒドロミルセノール、ジミルセトール、ムゴール、ムスクTM-II、ムスク781、ムスクC14、ムスクT、ムスクケトン、ムスクチベチン、ムスクモスケン、メンサニールアセテート、メンソネート、メチルアンスラニレート、メチルオイゲノール、メントール、メチルフェニルアセテート、オイゲノール、イソオイゲノール、メチルイソオイゲノール、γ-C6~13ラクトン(例えば、γ-ノナラクトン、γ-デカラクトン、γ-ウンデカラクトン等)、ライムオキサイド、メチルラベンダーケトン、ジヒドロリナロール、リグストラール、リモネン、リナロール、リナロールオキサイド、テトラヒドロリナロール、エチルリナロール、テトラヒドロリナリールアセテート、リナリルアセテート、エチルリナリルアセテート、リラール、ルバフラン、ローズフェノン、ローズオキサイド、ベンゾイン、ペルーバルサム、トルーバルサム、チュベローズ油、ムスクチンキ、カストリウムチンキ、シベットチンキ、アンバーグリスチンキ、ジヒドロターピニルアセテート、1,8-シネオール、7-アセチ-1,2,3,4,5,6,7,8-オクタハイドロ-1,1,6,7-テトラメチルナフタレン、4-アセトキシ-3-アミルテトラハイドロピラン、トリシクロデセニルアセテート、β-ナフチルメチルエステル、ベンゾフェノン、ベンジルベンゾエート、ジメチルヘプタノール、マイラックアルデヒド、クミンアルコール、メントン、チオメントン、シクロヘキシサリシレート、サンタリナアルコール、バニリン、エチルバニリン、イソロンギフォラノン、バグダノール、3,7-ジメチル-7-メトキシオクタン-2-オール、2,4,6-トリメチル-2-フェニル-1,3-ジオキサン、4,6,6,7,8,8-ヘキサメチル-1,3,4,6,7,8-ヘキサハイドロシクロペンタベンゾピラン、ジメチルベンジルアセテート、メチルジヒドロジャスモネート、ウンデカラクトンガンマ、シクロガルバナム、1-ヘキサノール、シス-3-ヘキシルアセテート、1,4-シネオール、αターピネン、p-サイメン、シス-オシメン、シス-β-オシメン、リメトール、トランス-β-オシメン、ターピノレン、2-ペンチロキシグリコール酸アリル、2-n-ペンチルシクロペンタノン、ベンジルブチレート、エチルアセテート、カプロン酸エチル、イソアミルブチレート、アリルヘキサノエート、アリルヘプタノエート、アリルオクタノエート、アリルイソブチルオキサアセテート、アリル-n-アミルオキシアセテート、アリルシクロヘキシルアセテート、アリルシクロヘキシルプロピオネート、アリルシクロヘキシルオキシアセテート、アリルフェノキシアセテート、アニシルアセテート、p-メンタン-3,8-ジオール、6-アセチル-1,1,2,4,4,7-ヘキサメチルテトラリン、シンナミルフォーメート、プレゴン、ガラクソリド、カンファー、ネラール、ペリラアルデヒド、インドールアロマ、ジヒドロテルピニルアセテート、γ-テルピネン、フェニル酢酸エチル、メチルヘプテノン、酢酸プレニル、p-シメン、β-ナフチルメチルエーテル、酢酸ヘキシル、2-メチルペンタン酸エチル、1-ヘキサノール、マルトール、シクロヘキサンプロピオン酸アリル、α,3,3-トリメチルシクロヘキサンメタノールホルマート等の芳香成分、「緑の香り」と呼ばれる青葉アルコールや青葉アルデヒド配合の香料成分等が挙げられる。共力剤としては、ピペロニルブトキサイド、オクチルビシクロヘプテンジカルボキシミド等が挙げられる。
<動粘度>
本発明の匍匐害虫、ダニ防除用エアゾールのエアゾール原液は、20℃における動粘度は2.0~20.0cStとなるように調整されており、3.0~15.0cStとなるように調整されていることがより好ましく、3.5~10.0cStとなるように調整されていることがより好ましい。20℃における動粘度が2.0~20.0cStとなるように調整されていれば、匍匐害虫、ダニ防除用エアゾールの繰り返し使用後の定量噴射バルブの作動安定性をさらに向上させつつ、匍匐害虫や屋内塵性ダニ類の中でも、ゴキブリ、トコジラミや屋内塵性ダニ類に対して優れた防除効果を発揮することができる。このような、動粘度は以下の式(I)により算出することができる。
(20℃におけるエアゾール原液の動粘度[cSt])=(20℃におけるエアゾール原液の粘度[mPa・s])÷(20℃におけるエアゾール原液の比重[g/ml]) ・・・(I)
ここで、エアゾール原液の粘度η20は、粘度計により測定することができる。本実施形態では、ビーカーに入れたエアゾール原液を恒温水槽(IWAKI製)で20℃に調整し、B型粘度計(東京計器株式会社製、ローターNо.1)を使用し、各温度における粘度(測定条件:60rpm、30秒)を測定した。また、20℃におけるエアゾール原液の比重は、以下に例示する匍匐害虫、ダニ防除成分、有機溶剤の比重(20℃)に基づいて、配合比率等を考慮して算出することができる。
・トランスフルトリン 1.51
・メトフルトリン 1.28
・プロフルトリン 1.28
・フェノトリン 1.06
・ペルメトリン 1.20
・エムペントリン 0.93
・エタノール 0.79
・イソプロパノール 0.79
・ネオチオゾール 0.76
・ミリスチン酸イソプロピル 0.86
・メチルイソブチルケトン 0.80
・フェニルグリコール 1.11
<噴射剤>
本発明の匍匐害虫、ダニ防除用エアゾールで用いる噴射剤としては、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン等の液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル(DME)、HFO1234ze等のハイドロフルオロオレフィン等の液化ガス、並びに窒素ガス、炭酸ガス、亜酸化窒素、圧縮空気等の圧縮ガスが挙げられる。上記の噴射剤は、単独又は混合状態で使用することができるが、液化石油ガス(LPG)やジメチルエーテル(DME)を主成分としたものが使い易い。なお、噴射剤は、ゲージ圧(20℃)を0.1~0.7MPaに調整して使用することが好ましい。
本発明の匍匐害虫、ダニ防除用エアゾールは、エアゾール原液(a)と噴射剤(b)との容量比率(a/b)が、2/98~60/40となるように調整され、5/95~55/45に調整されることが好ましく、10/90~50/50に調整されることがより好ましい。容量比率(a/b)が上記の範囲にあれば、十分な量の匍匐害虫、ダニ防除成分を床面全体に均一に拡散させることができる。
<匍匐害虫、ダニ防除用エアゾール>
本発明に係る匍匐害虫、ダニ防除用エアゾールは、主に、耐圧容器(エアゾール容器)、定量噴射バルブ、及び噴射ボタンから構成されている。上記のように、匍匐害虫、ダニ防除成分、有機溶剤、噴射剤、その他必要に応じて配合される成分を選択し、これらを口部に定量噴射バルブを組み付けた耐圧容器に封入し、噴射口が設けられた噴射ボタンを定量噴射バルブに接続することで、エアゾール製品が完成する。このエアゾール製品は、本発明の匍匐害虫、ダニ防除用エアゾールであり、処理空間にエアゾール原液を噴射粒子として噴射するものである。なお、本明細書では、ノックダウン効果や致死効果に基づく駆除効果に加え、忌避効果を合わせて防除効果と呼ぶ。駆除効果が低くても十分な忌避効果があれば、実用上、防除が達せられる場面も多い。
<定量噴射バルブ>
図1は、本発明に係る匍匐害虫、ダニ防除用エアゾールが備える定量噴射バルブ100の断面図の一例である。定量噴射バルブ100は、耐圧容器の口部に固着され、噴射ボタンに接続する。噴射ボタンは、エアゾール原液を噴射するための作動部であり、この噴射ボタンには、エアゾール原液がエアゾール容器から外部(処理空間)へ噴出する噴射口が設けられている。定量噴射バルブ100は、ステム11とステムラバー12とスプリング13とを含む弁機構10と、弁機構10を収容するハウジング20とを有する。スプリング13には、バネ定数が2.0N/mm以上のスプリングを採用することができ、バネ定数が3.0N/mm以上のスプリングであることが好ましく、バネ定数が3.3N/mm以上のスプリングであることがより好ましく、バネ定数が3.7N/mm以上のスプリングであることがとりわけ好ましく、バネ定数が4.0N/mm以上のスプリングであることが特に好ましい。スプリング13のバネ定数の上限は、特に限定されないが、6.0N/mm以下であることが好ましく、5.0N/mm以下であることがより好ましい。また、ステムラバー12の材質として、アクリロニトリルブタジエンゴム及び/又はイソブチレンイソプレンゴムを含むものを使用し、アクリロニトリルブタジエンゴム又はイソブチレンイソプレンゴムを使用することが好ましく、アクリロニトリルブタジエンゴムを使用することがより好ましい。本発明の匍匐害虫、ダニ防除用エアゾールにおいて、匍匐害虫、ダニ防除成分及び有機溶剤を含有するエアゾール原液は、エアゾールの繰り返し使用後に、定量噴射バルブの作動安定性に影響を及ぼす可能性がある。繰り返し使用後の定量噴射バルブの作動安定性を向上する手段としては、ステムラバーの材料の改質が考えられるが、エアゾール原液とステムラバーとの適合性を検証するには数多くのファクターが存在する。この点を考慮し、ステムラバーの材料の改質に着目して、ステムラバーの材質としてアクリロニトリルブタジエンゴム及び/又はイソブチレンイソプレンゴムを含むものを使用し、好ましくはアクリロニトリルブタジエンゴム又はイソブチレンイソプレンゴムを使用し、より好ましくはアクリロニトリルブタジエンゴムを使用することによって、定量噴射バルブの作動安定性を向上できることを知見し、本発明を完成したものである。スプリングは、バネ定数が2.0N/mm以上のスプリングを採用することができ、バネ定数が3.0N/mm以上のスプリングであることが好ましく、バネ定数が3.3N/mm以上のスプリングであることがより好ましく、バネ定数が3.7N/mm以上のスプリングであることがとりわけ好ましく、バネ定数が4.0N/mm以上のスプリングであることが特に好ましい。スプリングのバネ定数の上限は、特に限定されないが、6.0N/mm以下であることが好ましく、5.0N/mm以下であることがより好ましい。
ここで、バネ定数は、以下の式(1):
バネ定数(N/mm)=(横弾性係数×線径の4乗)/(8×有効巻数×中心径の3乗) ・・・(1)
から算出することができる。バネ定数が2.0N/mm以上のスプリングとしては、例えば、株式会社三谷バルブ製のスプリング(品番:SP-C321、材質:ステンレス(SUS304)、線径:φ0.60mm、巻数:9 3/4)、株式会社三谷バルブ製のスプリング(品番:SP-C314、材質:ステンレス(SUS304)、線径:φ0.55mm、巻数:9 3/4)等が挙げられる。
定量噴射バルブ100において、定量室21には、耐圧容器から所定量のエアゾール原液が導入され、匍匐害虫、ダニ防除用エアゾールの噴射ボタンを1回押下げた場合、噴射剤の圧力によって定量噴射バルブ100が作動し、定量室21内のエアゾール原液が噴射口に上昇し、処理空間に噴射される。このときのエアゾール原液の噴射容量は、0.1~3.0mLに調整され、好ましくは0.2~1.0mLに調整され、より好ましくは0.2~0.9mLに調整される。本発明の匍匐害虫、ダニ防除用エアゾールによれば、アクリロニトリルブタジエンゴム及び/又はイソブチレンイソプレンゴムを含むステムラバー、好ましくはアクリロニトリルブタジエンゴム製又はイソブチレンイソプレンゴム製のステムラバー、より好ましくはアクリロニトリルブタジエンゴム製のステムラバーと、スプリングとが協働することで、定量噴射バルブの作動安定性が向上し、エアゾール原液の噴射容量が一層安定化される。エアゾール原液の噴射容量が上記の範囲であれば、噴射容量が上記の範囲にあれば、匍匐害虫、ダニ防除用エアゾールを一回から数回噴射することで、匍匐害虫、ダニ防除成分の放出量が、例えば、0.1~50mg/m程度の適切なものとなり、処理空間において匍匐害虫や屋内塵性ダニ類に対して実用上十分な防除効果が得られる。
<噴射口>
本発明の匍匐害虫、ダニ防除用エアゾールの噴射口について、その数、形状、サイズは特に限定されない。一例を挙げると、噴射口の数は1個であってもよく、2個以上であってもよいが、簡便で低コストで製造できるという観点からすれば、噴射口の数は1個であることが好ましい。また、噴射口の形状(断面形状)は、円形、楕円形、多角形等の他、各種不定形であってもよい。噴射口の開口面積は、0.05~8.0mmであることが好ましく、0.1~4.0mmであることがより好ましく、0.2~3.0mmであることがさらに好ましい。例えば、噴射口の数が1個で、噴射口の形状が円形の場合、噴射口のサイズ(噴口直径)は、0.3mm以上であることが好ましく、0.4mm以上であることがより好ましく、0.6mm以上であることがさらに好ましい。また、噴口直径は、3.0mm以下であることが好ましく、2.0mm以下であることがより好ましく、1.8mm以下であることがさらに好ましい。
<ノズル>
本発明の匍匐害虫、ダニ防除用エアゾールのノズルの有無については、特に限定されない。ノズルを有している場合は、水平向きのノズルもしくは斜め上方向きのノズルを備えていることが好ましい。噴射口の噴射軸は、水平面に対して0~60度の仰角であることが好ましく、水平面に対して10~60度の仰角であることがより好ましく、水平面に対して15~50度の仰角であることが特に好ましい。
<耐圧容器>
また、本発明の匍匐害虫、ダニ防除用エアゾールの耐圧容器について、特に限定されないが、その材質は、アルミニウムやブリキ等の金属、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂、耐圧ガラス等が挙げられる。また、耐圧容器の形状は、通常の円柱状缶や変形缶等であってもよい。また、耐圧容器の材質が合成樹脂や耐圧ガラス等である場合、半透明や透明であってもよい。
<噴射ボタン>
本発明の匍匐害虫、ダニ防除用エアゾールの噴射ボタンについて、特に限定されないが、プッシュダウンタイプのボタンやトリガータイプのボタンであってもよい。
本発明の匍匐害虫、ダニ防除用エアゾールは、屋内空間で空中に向けて噴射処理を行うことにより、気中への匍匐害虫、ダニ防除成分の放出量が0.1~50mg/mとなるように設定されることが好ましく、0.5~50mg/mとなるように設定されることがより好ましい。屋内空間の気中に、匍匐害虫、ダニ防除成分の放出量が0.1~50mg/mとなるようにエアゾール原液を噴射した場合、噴射から1時間後までに重量として匍匐害虫、ダニ防除成分の30%以上が前記屋内空間の床面全体に拡散して付着するように設定されることが好ましく、噴射から1時間後までに重量として匍匐害虫、ダニ防除成分の40%以上が前記屋内空間の床面全体に拡散して付着するように設定されることがより好ましく、噴射から1時間後までに重量として匍匐害虫、ダニ防除成分の50%以上が屋内空間の床面全体に拡散して付着するよう設定されることがさらに好ましい。ここで、匍匐害虫、ダニ防除成分が「屋内空間の床面全体に拡散して付着する」とは、付着した匍匐害虫、ダニ防除成分によって床面が匍匐害虫、ダニ防除効果を発揮し得る状態となっていればよく、必ずしも匍匐害虫、ダニ防除成分が物理的に床面全体に付着していることを要するものではない。好ましくは噴射から1時間後までに重量として匍匐害虫、ダニ防除成分の30%以上が前記屋内空間の床面全体に拡散して付着し、より好ましくは噴射から1時間後までに重量として匍匐害虫、ダニ防除成分の40%以上が前記屋内空間の床面全体に拡散して付着し、さらに好ましくは噴射から1時間後までに重量として匍匐害虫、ダニ防除成分の50%以上が前記屋内空間の床面全体に拡散して付着することで、本発明の匍匐害虫防除用エアゾールは、床面を徘徊する匍匐害虫、ダニに対する防除効果が強力なものとなり、ノックダウン、致死効果又は忌避効果が特に優れたものとなる。また、処理対象となる屋内空間の体積は特に限定されないが、4.5~8畳の部屋に相当する容積が18.8~33.3m(面積7.5~13.3m、高さ2.2~3.0m)であることが一般的である。ただし、より容積の大きな屋内空間や、より容積の小さな屋内空間においても、その屋内空間の容積にあわせて、屋内空間の気中に、匍匐害虫、ダニ防除成分の放出量が0.1~50mg/mとなるように噴射回数、噴射容量等を適宜設定することで、屋内空間の体積に関わらず同様の匍匐害虫、ダニ防除効果を得ることができる。本発明の匍匐害虫、ダニ防除用エアゾールの使用頻度としては、害虫の発生頻度や状況に応じて適当な時期に、匍匐害虫、ダニ防除成分の放出量が上記の範囲となるように施用することが好ましい。また、本発明における匍匐害虫、ダニ防除用エアゾールは、効果的に匍匐害虫や屋内塵性ダニ類を防除できる観点から、前述のように屋内空間で空中に向けて噴射処理を行う、いわゆる空間処理を行うように設計されていることが好ましいが、対象害虫やダニに直接噴射処理を行う、いわゆる直撃処理を行うように設計されていても構わない。また、隙間等に局所的な面処理を行う、いわゆる隙間処理を行うように設計されていても構わない。
<噴射力>
本発明の匍匐害虫、ダニ防除用エアゾールは、噴射口からの距離が5cmの箇所において噴射力が3~50gfとなるように設定されることが好ましく、5~40gfとなるように設定されることがより好ましく、10~35gfとなるように設定されることがさらに好ましい。噴射力が3~50gfであれば、匍匐害虫、ダニ防除成分はその大部分が速やかに屋内の処理空間の床面全体に沈降及び付着し、匍匐害虫や屋内塵性ダニ類に対して実用上十分な防除効果が得られる。噴射力が3gf未満であると、噴射力が不足して噴霧粒子の床面への拡散性が不十分となる場合があり、一方、噴射力が50gfを越えても良好な拡散性が得られない虞がある。このような噴射力は、エアゾール原液の組成、エアゾール容器の内圧、噴口の形状等により適宜調整され得る。なお、本実施形態では、匍匐害虫、ダニ防除用エアゾールの噴射力を、デジタルフォースゲージ(FGC-0.5、日本電産シンポ株式会社製)により測定した。
<対象害虫>
本発明の匍匐害虫、ダニ防除用エアゾールは、ワモンゴキブリ、クロゴキブリ、チャバネゴキブリ等のゴキブリ類、トコジラミ(ナンキンムシ)、タイワントコジラミ(ネッタイトコジラミ)等のトコジラミ類、クサギカメムシ等のカメムシ類、クロヤマアリ、アミメアリ、トビイロケアリ、イエヒメアリ、アカカミアリ、ヒアリ等のアリ類、アシダカグモ、マダラヒメグモ、セアカゴケグモ等のクモ類、ヤスデ類、トビズムカデ等のムカデ類、ダンゴムシ類、ワラジムシ類、イエシロアリ、ヤマトシロアリ等のシロアリ類、ケムシ類等の匍匐害虫に加えて、アカイエカ、ヒトスジシマカ、ネッタイシマカ、チカイエカ等のカ類、イエバエ、ニクバエ等のハエ類、コバエ類、チョウバエ類、ユスリカ類、ハチ類、ガ類等の飛翔害虫、イガ、コイガ等のイガ類、カツオブシムシ、ヒメカツオブシムシ等のカツオブシムシ類等の衣料害虫、コクゾウムシ類等の貯穀害虫等の種々の害虫や、コナダニ、ヒョウヒダニ、ホコリダニ、ツメダニ、ヤケヒョウヒダニ等の屋内塵性ダニ類を防除するために使用することができる。特に、ワモンゴキブリ、クロゴキブリ、チャバネゴキブリ等のゴキブリ類、トコジラミ(ナンキンムシ)、タイワントコジラミ(ネッタイトコジラミ)等のトコジラミ類、クロヤマアリ、アミメアリ、トビイロケアリ、イエヒメアリ、アカカミアリ、ヒアリ等のアリ類、アシダカグモ、マダラヒメグモ、セアカゴケグモ等のクモ類などの匍匐害虫や、コナダニ、ヒョウヒダニ、ホコリダニ、ツメダニ、ヤケヒョウヒダニ等の屋内塵性ダニ類の防除に有効であり、とりわけ、チャバネゴキブリ、ワモンゴキブリ、クロゴキブリ、トコジラミ(ナンキンムシ)、コナダニ、ヒョウヒダニ、ホコリダニ、ツメダニ、ヤケヒョウヒダニに対して、優れた防除効果を奏する。
<匍匐害虫、ダニ防除方法>
本発明の匍匐害虫、ダニ防除方法は、上記の匍匐害虫、ダニ防除用エアゾールを用いて実行される。まず、匍匐害虫、ダニ防除成分と、有機溶剤とを含有するエアゾール原液、及び噴射剤を封入してなる定量噴射バルブが設けられた耐圧容器において、定量噴射バルブに接続される噴射口が設けられた噴射ボタンを1回押すと、エアゾール原液が噴射口から噴射粒子として処理空間へ噴射され、匍匐害虫、ダニ防除成分はその大部分が速やかに屋内の処理空間の床面全体に沈降及び付着し、床面を徘徊している匍匐害虫や屋内塵性ダニ類をノックダウン、致死又は忌避させることができる。
[試験例1]
本発明の匍匐害虫、ダニ防除用エアゾールについて、繰り返し使用後の定量噴射バルブの作動安定性、及び匍匐害虫、ダニ防除効果を確認するため、本発明の特徴構成を備えた匍匐害虫、ダニ防除用エアゾール(実施例1~13)を準備し、試験を行った。また、比較のため、本発明の特徴構成を備えていない匍匐害虫、ダニ防除用エアゾール(比較例1~2)を準備し、同様の試験を行った。
実施例1~13として、表1に示す組成及び条件にて匍匐害虫、ダニ防除用エアゾールを調製し、下記に示す試験を行った。比較例1~2についても、表1に示す組成及び条件にて匍匐害虫、ダニ防除用エアゾールを調製し、実施例と同様の試験を行った。なお、何れの匍匐害虫、ダニ防除用エアゾールにおいても、定量噴射バルブのステムラバーの材質にはアクリロニトリルブタジエンゴムを使用した。また、スプリングには、実施例13の匍匐害虫防除用エアゾールにおいて、スプリングA(表1中の「A」、線径0.55mm、横弾性係数6.85×10、中心径3.15mm、有効巻数7.75、バネ定数3.24N/mm)を用い、実施例1~12、及び比較例1~2の匍匐害虫防除用エアゾールにおいて、スプリングB(表1中の「B」、線径0.6mm、横弾性係数6.85×10、中心径3.2mm、有効巻数8、バネ定数4.23N/mm)を用いた。

Figure 2022031188000002
(1)繰り返し使用後の定量噴射バルブの作動安定性
供試匍匐害虫、ダニ防除用エアゾールにつき、繰り返し使用して噴射ボタンの戻り状態を調べ、繰り返し使用後の定量噴射バルブの作動安定性を以下の評価基準により評価した。
A:20回以上使用後も噴射ボタンの戻り状態に変化なし
B:18回~19回使用後に噴射ボタンの戻り状態に変化なし
C:3~17回使用後に噴射ボタンの戻り状態が悪化
D:1~2回使用後に噴射ボタンの戻り状態が非常に悪化
(2)ゴキブリ類に対する駆除効果
20×20cmのガラス板合計4枚(ワモンゴキブリ用)を閉めきった容積25mの部屋(6畳の部屋に相当、面積10m)の4隅に設置し、各ガラス板の上に逃亡防止のためにワセリンを塗布した直径約20cmのプラスチックリングを置き、各リング内に所定の供試昆虫(ワモンゴキブリ:幼虫5匹)を放って自由に徘徊させた。実施例4では、部屋の中央(床上1.5mの高さ)で、供試エアゾールを0.4mLずつ、やや斜め上方に方向を変えながら、4ショット噴霧した。実施例3、12、及び13では、部屋の中央(床上1.5mの高さ)に向けて、供試エアゾールを1.0mL、やや斜め上方に1ショット噴霧した。実施例1、2、5、6、8、10、及び11、並びに比較例1~2では、部屋の中央(床上1.5mの高さ)で、供試エアゾールを0.2mLずつ、やや斜め上方に方向を変えながら、6ショット噴霧した。実施例7、及び9では、部屋の中央(床上1.5mの高さ)で、供試エアゾールを1.0mLずつ、やや斜め上方に方向を変えながら、4ショット噴霧した。噴霧から30分間放置して供試昆虫を薬剤に暴露させ、その間、時間経過に伴い仰転した供試昆虫を数え、KT50値を求めた。さらに、噴霧から30分経過後、ガラス板を、供試昆虫を含むリングごと別部屋に移し、餌を与え、更に24時間後に供試昆虫の致死率を求めた。後述の表2において、ワモンゴキブリのKT50値は、11.0分以下であるときを「A」、11.1~18.0分であるときを「B」、18.1~30.0分であるときを「C」、30.1分以上と推定されるときを「D」で示した。ワモンゴキブリの致死率は、90~100%であるときを「A」、75~85%であるときを「B」、50~70%であるときを「C」、50%未満であるときを「D」で示した。
(3)トコジラミ類に対する駆除効果
20×20cmのガラス板合計4枚を閉めきった容積25mの部屋(6畳の部屋に相当、面積10m)の4隅に設置し、各ガラス板の上に逃亡防止のためにワセリンを塗布した直径約10cmのプラスチックリングを置き、各リング内に所定の供試昆虫(トコジラミ:5匹)を放って自由に徘徊させた。実施例4では、部屋の中央(床上1.5mの高さ)で、供試エアゾールを0.4mLずつ、やや斜め上方に方向を変えながら、4ショット噴霧した。実施例3、12、及び13では、部屋の中央(床上1.5mの高さ)に向けて、供試エアゾールを1.0mL、やや斜め上方に1ショット噴霧した。実施例1、2、5、6、8、10、及び11、並びに比較例1~2では、部屋の中央(床上1.5mの高さ)で、供試エアゾールを0.2mLずつ、やや斜め上方に方向を変えながら、6ショット噴霧した。実施例7、及び9では、部屋の中央(床上1.5mの高さ)で、供試エアゾールを1.0mLずつ、やや斜め上方に方向を変えながら、4ショット噴霧した。噴霧から30分間放置して供試昆虫を薬剤に暴露させた後、ガラス板を、供試昆虫を含むリングごと別部屋に移し、さらに24時間後に供試昆虫の致死率を求めた。後述の表2において、トコジラミの致死率は、90~100%であるときを「A」、75~85%であるときを「B」、50~70%であるときを「C」、50%未満であるときを「D」で示した。
(4)匍匐害虫、ダニ防除成分の床面付着率及び拡散の均一性
容積25mの部屋(6畳の部屋に相当、面積10m)の床面の6~8ヶ所に20×20cmのガラス板を設置した。実施例4では、部屋の中央(床上1.5mの高さ)で、供試エアゾールを0.4mLずつ、やや斜め上方に方向を変えながら、4ショット噴霧した。実施例3、12、及び13では、部屋の中央(床上1.5mの高さ)に向けて、供試エアゾールを1.0mL、やや斜め上方に1ショット噴霧した。実施例1、2、5、6、8、10、及び11、並びに比較例1~2では、部屋の中央(床上1.5mの高さ)で、供試エアゾールを0.2mLずつ、やや斜め上方に方向を変えながら、6ショット噴霧した。実施例7、及び9では、部屋の中央(床上1.5mの高さ)で、供試エアゾールを1.0mLずつ、やや斜め上方に方向を変えながら、4ショット噴霧した。噴霧から1時間経過後に全てのガラス板を取り出し、付着した匍匐害虫、ダニ防除成分をアセトンで洗い出してガスクロマトグラフィーにより定量分析した。得られた分析値を基に、匍匐害虫、ダニ防除成分の理論上の噴射全体量(これは、表1では匍匐害虫、ダニ防除成分の噴射量に容積を乗じたものに相当する。)に対する噴射処理1時間後までに床面に沈降・付着した匍匐害虫、ダニ防除成分量(ガラス板に付着した総匍匐害虫、ダニ防除成分量×(部屋の面積)/(ガラス板の総面積)により算出)の比率(床面付着率)を求めた。また、付着した匍匐害虫、ダニ防除成分につき、各ガラス板間のバラツキを解析し、拡散の均一性を評価した。結果を、拡散の均一性の良好なものから順に、「A」、「B」、「C」、「D」で示した。
上記(1)~(4)の試験結果を表2に示す。
Figure 2022031188000003
試験の結果、実施例1~13の匍匐害虫、ダニ防除用エアゾールは、ゴキブリ類、トコジラミ類等の匍匐害虫に対する致死率が80%以上となる高い致死効果と、KT50値が、ワモンゴキブリに対して16.0分以下となる高いノックダウン効果とを奏することが確認された。また、試験の結果、実施例1~13の匍匐害虫、ダニ防除用エアゾールは、噴霧処理から1時間後に、匍匐害虫、ダニ防除成分の床面付着率が50%以上となるだけでなく、匍匐害虫、ダニ防除成分が床面全体に略均一に拡散して付着していることが確認された。実施例1~13の害虫防除用エアゾールは、エアゾール原液の20℃における動粘度と、噴射口からの距離が5cmの箇所において噴射力が適切に調整されていることから、匍匐害虫、ダニ防除成分が床面全体に均一に拡散して付着し、その結果、床面の何れの位置においても匍匐害虫に匍匐害虫、ダニ防除成分が効率よく接触したものと考えられる。
一方、20℃における動粘度が2.0cSt未満であるエアゾール原液を用いた比較例1においては、20℃におけるエアゾール原液の動粘度が小さいため、床面への匍匐害虫、ダニ防除成分の付着状態がやや低下し、ゴキブリ類、トコジラミ類等の匍匐害虫に対する十分な致死効果とノックダウン効果が得られないものとなった。また、比較例4のように、20℃における動粘度が20.0cStを上回るエアゾール原液を用いた場合は、20℃におけるエアゾール原液の動粘度が大きいため、床面への匍匐害虫、ダニ防除成分の拡散均一性が低下し、ゴキブリ類、トコジラミ類等の匍匐害虫に対する致死効果とノックダウン効果が不十分なものとなった。
定量噴射バルブにバネ定数が2.0N/mm以上のスプリングAを用いた実施例1~13は何れも18回以上使用後も噴射ボタンの戻り状態に変化がなく、良好であった。特に定量噴射バルブにバネ定数が3.3N/mm以上のスプリングBを用いた実施例1~12では、何れも20回以上使用後も噴射ボタンの戻り状態に変化がなく、繰り返し使用後の定量噴射バルブの作動安定性が特に良好であった。一方、比較例1のように、20℃における動粘度が2.0cSt未満であるエアゾール原液を用いた場合は、1~2回使用後に噴射ボタンの戻り状態が非常に悪化し、噴射不良に繋がる虞がある状態となった。これは、20℃における動粘度が2.0cSt未満であるエアゾール原液がアクリロニトリルブタジエンゴムを劣化させ、ステムラバーの弾性が低下したためと考えられる。このように、ステムラバーの材質とエアゾール原液との適合性は極めて重要な検討項目であって、エアゾール原液がアクリロニトリルブタジエンゴムに悪影響を与えるものである場合、繰り返し使用後の定量噴射バルブの作動安定性を向上することはできないことが分かった。また、比較例2のように、20℃における動粘度が20.0cStを上回るエアゾール原液を用いた場合は、3~17回使用後に噴射ボタンの戻り状態が悪化しており、繰り返し使用後の定量噴射バルブの作動安定性が格別良好とは言えなかった。
[試験例2]
匍匐害虫、ダニ防除成分であるサリチル酸ベンジル(2.0w/v%)を、溶剤であるミリスチン酸イソプロピルに溶解してエアゾール原液を調製した。このエアゾール原液は、20℃における動粘度は9.4cStであった。噴射容量が0.2mLである定量噴射バルブ付きエアゾール容器(耐圧容器)に、エアゾール原液(a)と噴射剤である液化石油ガス(b)との容量比率(a)/(b)が体積比で30/70となるように、エアゾール原液(a)9mL、及び液化石油ガス(b)21mLを加圧充填し、実施例14の匍匐害虫、ダニ防除用エアゾールを得た。この匍匐害虫、ダニ防除用エアゾールは、定量噴射バルブのステムラバーの材質にはアクリロニトリルブタジエンゴムを使用し、スプリングにはスプリングB(線径0.6mm、横弾性係数6.85×10、中心径3.2mm、有効巻数8、バネ定数4.23N/mm)を使用し、噴射距離5cmにおける噴射力は、6gfであった。得られた匍匐害虫、ダニ防除用エアゾールを用いて、前述の繰り返し使用後の定量噴射バルブの作動安定性を確認したところ、20回以上使用後も噴射ボタンの戻り状態に変化なかった。
(5)屋内塵性ダニ類に対する忌避効果
直径9cm、高さ6cmの腰高シャーレ8個(コナヒョウヒダニ用、及びケナガコナダニ用各4個)を閉めきった25m3の部屋の4隅に設置し、腰高シャーレ内に所定の直径約4cmの綿布を入れて供試した。部屋の中央(床上1.5mの高さ)で、実施例14の匍匐害虫、ダニ防除用エアゾールを0.2mLずつ、やや斜め上方に方向を変えながら、6ショット噴霧した。噴霧24時間後にこの綿布を取り出した。これを直径4cmのシャーレにはめ込み、その中央部に誘引用培地50mgを置いた。別に、直径9cmのシャーレに供試コナヒョウヒダニ、又はケナガコナダニを培地とともに約10000匹放ち、この中央部に先に用意した直径4cmのシャーレを置いた。同様に、処理しない綿布を用いて無処理区とした。24時間後に綿布上に侵入したダニ数を計数し、次式に従って忌避率を算出した。
忌避率(%)=[無処理区の侵入ダニ数-処理区の侵入ダニ数]/無処理区の侵入ダニ数×100
試験の結果、実施例14の匍匐害虫、ダニ防除用エアゾールを使用した場合、コナヒョウヒダニ、及びケナガコナダニのいずれに対しても85%以上の優れた忌避率を示した。
[試験例3]
匍匐害虫、ダニ防除成分であるトランスフルトリン(40w/v%)を、溶剤であるエタノールに溶解してエアゾール原液を調製した。このエアゾール原液は、20℃における動粘度は4.6cStであった。噴射容量が0.2mLである定量噴射バルブ付きエアゾール容器(耐圧容器)に、エアゾール原液(a)と噴射剤であるジメチルエーテル(b)との容量比率(a)/(b)が体積比で30/70となるように、エアゾール原液(a)9mL、及び液化石油ガス(b)21mLを加圧充填し、実施例15の匍匐害虫、ダニ防除用エアゾールを得た。この匍匐害虫、ダニ防除用エアゾールは、定量噴射バルブのステムラバーの材質にはイソブチレンイソプレンゴムを使用し、スプリングにはスプリングB(線径0.6mm、横弾性係数6.85×10、中心径3.2mm、有効巻数8、バネ定数4.23N/mm)を使用し、噴射距離5cmにおける噴射力は、5gfであった。得られた匍匐害虫、ダニ防除用エアゾールを用いて、前述の繰り返し使用後の定量噴射バルブの作動安定性を確認したところ、20回以上使用後も噴射ボタンの戻り状態に変化なかった。
本発明によれば、匍匐害虫や屋内塵性ダニ類に対して高い防除効果を有する匍匐害虫、ダニ防除用エアゾール、及びこれを用いた匍匐害虫、ダニ防除方法を提供することができる。
10 弁機構
11 ステム
12 ステムラバー
13 スプリング
20 ハウジング
21 定量室
100 定量噴射バルブ

Claims (9)

  1. 匍匐害虫、ダニ防除成分と有機溶剤とを含有するエアゾール原液、及び噴射剤が封入される耐圧容器と、
    ステムとステムラバーとスプリングとを含む弁機構、及び前記弁機構を収容するハウジングを有し、前記耐圧容器の口部に組み付けられる定量噴射バルブと、
    前記定量噴射バルブに接続される噴射口が設けられた噴射ボタンと、
    を備えた匍匐害虫、ダニ防除用エアゾールであって、
    エアゾール原液の20℃における動粘度は、2.0~20.0cStであり、
    前記ステムラバーの材質は、アクリロニトリルブタジエンゴム及び/又はイソブチレンイソプレンゴムを含み、
    前記噴射口からの距離が5cmの箇所において噴射力が3~50gfとなるように設定されている匍匐害虫、ダニ防除用エアゾール。
  2. 前記ステムラバーの材質は、アクリロニトリルブタジエンゴムである請求項1に記載の匍匐害虫、ダニ防除用エアゾール。
  3. 前記スプリングは、バネ定数が2.0N/mm以上のスプリングである請求項1又は2に記載の匍匐害虫、ダニ防除用エアゾール。
  4. 前記有機溶剤は炭素数が2~3の低級アルコール、炭化水素系溶剤、炭素数が16~20の高級脂肪酸エステルからなる群より選択される1種又は2種以上である請求項1~3のいずれか1項に記載の匍匐害虫、ダニ防除用エアゾール。
  5. 前記エアゾール原液(a)と前記噴射剤(b)との容量比率(a/b)は、2/98~55/45である請求項1~4のいずれか1項に記載の匍匐害虫、ダニ防除用エアゾール。
  6. 前記匍匐害虫、ダニ防除成分は、トランスフルトリン、メトフルトリン、フェノトリン、ペルメトリン、シフェノトリン、シフルトリン、トラロメトリン、デルタメトリン、シペルメトリン、イミプロトリン、メトキサジアゾン、サリチル酸ベンジル、安息香酸ベンジルからなる群より選択される1種又は2種以上である請求項1~5のいずれか1項に記載の匍匐害虫、ダニ防除用エアゾール。
  7. 前記匍匐害虫、ダニは、ゴキブリ、トコジラミ、屋内塵性ダニ類からなる群より選択される1種又は2種以上である請求項1~6のいずれか1項に記載の匍匐害虫、ダニ防除用エアゾール。
  8. 請求項1~7のいずれか1項に記載の匍匐害虫、ダニ防除用エアゾールを用いて前記エアゾール原液を処理空間に噴射して匍匐害虫又はダニをノックダウン又は致死させる匍匐害虫、ダニ防除方法。
  9. 請求項1~8のいずれか1項に記載の匍匐害虫、ダニ防除用エアゾールを用いて前記エアゾール原液を処理空間に噴射して匍匐害虫又はダニを忌避させる匍匐害虫、ダニ防除方法。

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