〔実施形態1〕
図1に示すように、バックライト装置(LEDモジュール)1は、バックライトパネル40、コントローラ70、および電源80を備えている。バックライトパネル40には、3つのLED50を駆動するLEDドライバ(ドライバ)60が設けられている。バックライトパネル40は、表示パネル(不図示)の背後から表示パネルに光を照射する。LEDドライバ60は、LED50の点灯輝度を制御情報に基づいて制御する。
コントローラ70は、複数のLEDドライバ60を制御する。LEDドライバ60は、コントローラ70からの輝度データDATAおよび制御信号に基づいて、3つのLED50を駆動する。なお、LEDドライバ60が駆動するLED50の数は、3つに限定されない。また、LEDドライバ60は、複数のLED50がアレイ状に配置された単一のLED列または複数のLED列を駆動しても良い。
コントローラ70には、コントローラ70から出力されるデータ信号を受信するタイミングを示すイネーブル信号を伝達するイネーブル信号線(ENABLE)が接続されている。また、イネーブル信号線は、複数のLEDドライバ60のそれぞれにカスケード接続されている。
コントローラ70には、少なくとも輝度データDATA(輝度情報)を含むデータ信号を出力するデータ線(DATA)が接続されている。また、データ線は、複数のLEDドライバ60にパラレル接続されている。
コントローラ70には、クロック信号を出力するクロック信号線(CLK)が接続されている。また、クロック信号線は、複数のLEDドライバ60にパラレル接続されている。
次に、図2~4に基づき、初段のLEDドライバ60A(複数のLEDドライバ60のうち初段のドライバをLEDドライバ60Aと称する)および第2段のLEDドライバ60B(LEDドライバ60Aの次段のドライバをLEDドライバ60Bと称する)の動作について説明する。
図2に示すように、輝度データDATA、クロックCLKおよびスタートパルスSP(SP1)は、コントローラから同期して送出される。まず、LEDドライバ60Aにおいて、SPカウンタ62は、入力されるスタートパルスSP1をカウントしたカウント値が、設定値である“1”となるので、スタートパルスSP1をイネーブル信号ENBとして出力する。
次に、データラッチ回路63は、イネーブル信号ENB(スタートパルスSP1)を受けると、輝度データDATAのサンプリングを開始して、入力されたシリアルの輝度データDATA(d0~d11)を1ビットずつサンプリングしてパラレルのビットデータD01~D111に変換する。
データラッチ回路63は、クロックCLKのタイミングでスタートパルスSP1を12ビットのシフトレジスタによってシフトしていくことで、ラッチパルスD0(Lat1)~D11(Lat1)を発生する。データラッチ回路63は、ラッチパルスD0(Lat1)~D11(Lat1)に同期して、ビットデータD01~D111を順次1ビットずつ取り込んで保持する。
次に、図3に示すように、SPカウンタ62は、ラッチパルスD11(Lat1)が出力される次のタイミングでスタートパルスSPout(SP2)を出力する。スタートパルスSPoutの出力により、LEDドライバ60Aにおけるデータサンプリングの終了が次段のLEDドライバ60Bに伝えられる。
次段のLEDドライバ60Bでは、スタートパルスSPoutがスタートパルスSP2として入力されると、SPカウンタ62がスタートパルスSP2を設定値で定められた1つカウントすることにより、スタートパルスSP2をイネーブル信号ENBとして出力する。
データラッチ回路63は、イネーブル信号ENB(スタートパルスSP2)を受けると、入力されたシリアルの輝度データDATA(d0~d11)を1ビットずつサンプリングしてパラレルのビットデータD02~D112に変換する。データラッチ回路63は、スタートパルスSP2に基づいて発生したラッチパルスD0(Lat2)~D11(Lat2)に同期して、ビットデータD02~D112を順次1ビットずつ取り込んで保持する。
以上のように、カスケード接続されたLEDドライバ60(60A,60B・・・)の間でスタートパルスSPを順次伝達することにより、それぞれのLEDドライバ60がシリアルの輝度データDATAを順次取り込むことができる。したがって、多数のLEDドライバ60が配置されたバックライトパネル40において、LEDドライバとしてLEDドライバ60を適用すると、バックライトパネル40に形成される配線を少なくすることができる。
なお、図2および図3に示すように、輝度データDATAの最終ビット値d11と、次の輝度データDATAの先頭ビット値d0との間には、スタートパルスSPoutを出力する都合上、1クロック分の間隔を設ける必要がある。
上記輝度データDATAには、階調を表すデータのほか、周囲の明るさから全体の輝度を調整するデータ、消費電流優先度を示すデータなどを含んでいる。本実施形態では、便宜上12ビットでの構成を記載している。
次に、図4に基づき、LEDドライバ60の構成について説明する。同図に示すように、LEDドライバ60は、SPカウンタ62、データラッチ回路63、データ処理部65、PWM信号生成部(デューティ比調整部)66、カウンタ&セレクタ67、電圧判定部68、電流設定部(電流値調整部)69を備える。
SPカウンタ62は、スタートパルスSPをカウントするカウンタである。SPカウンタ62は、スタートパルスSPを所定の設定値までカウントすると、イネーブル信号ENBをイネーブル端子ENから出力する。イネーブル信号は、データラッチ回路63がデータ取り込みを開始するために必要な信号である。
SPカウンタ62は、入力されるスタートパルスSPをシリアルの輝度データDATAの末尾のタイミングまで遅延させてスタートパルスSPoutとして出力する。SPカウンタ62は、スタートパルスSPを遅延させるために、例えば、クロックCLKに同期してスタートパルスSPをシフトさせるシフトレジスタを有していてもよい。
データラッチ回路63は、入力されるシリアルの輝度データDATAをサンプリングしてパラレルに変換するとともに、変換されたパラレルの輝度データDATAをラッチする回路である。データラッチ回路63は、イネーブル端子ENを有しており、SPカウンタ62から供給されるイネーブル信号ENBをイネーブル端子ENで受けると、輝度データDATAのサンプリングを開始する。データラッチ回路63は、例えば輝度データDATAが8ビットで構成されていれば、サンプリングを8回行う事により、8ビットの輝度データDATAを取得する。
データ処理部65は、PWM_Duty値を設定し、PWM信号生成部66に与える。また、データ処理部65は、設定電流値を設定し、カウンタ&セレクタ67に与える。
PWM信号生成部66は、データ処理部65から供給されるPWM_Duty値に基づいてPWM信号を生成する。より具体的には、PWM信号生成部66は、1ビット変化する毎にPWM_Duty(デューティ比)を一定の割合で変化させる。なお、デューティ比とは、図1に示すLED50のオンオフ期間に関し、一定周期の中でオンにしている期間の比率のことである。また、上記一定周期は、図2に示すクロックの周期の整数倍であり、上記一定周期は、例えば、4096クロックである。
カウンタ&セレクタ67は、データ処理部65から供給される設定電流値に基づいて、電流設定部69の動作を制御する。具体的には、電流設定部69のスイッチSW1~SWnを選択する制御などを行う。
電圧判定部68は、LED50の動作を確認するため、LED50のカソード電圧(a点電圧)と参照電圧VREFを比較する。
電流設定部69は、LEDの駆動電流を段階的に増加させたり、段階的に減少させたりする設定を行う。
より具体的には、電圧判定部68は、LED50のカソード電圧が参照電圧VREFより高い電圧の時に、LEDのVFが他のLEDのVFより小さい、すなわち、一定の電流を流す為にLEDドライバで損失させている電力が他より大きいと判断する。
電流設定部69は、LED電流を多く流すように補正して、LED50のカソード電圧を下げ、他のLEDのVFと同等にし、LEDドライバ60で損失する電力を小さくする。PWM信号生成部66は、LED電流を補正しても輝度が変わらないようにPWM_Dutyを補正する。
これにより、電流値の調整比率が一定にならないものの、PWM_Dutyの補正率は一定になる。また、LED電流の電流値の調整比率とPWM_Dutyの補正率との積が一定になるように調整するための演算処理が簡単になる。このため、PWM_Dutyの補正を行う演算回路の規模を小さくすることができる。
また、電流設定部69は、スイッチSW1~SWnを選択することで、トランジスタのサイズを調整する。なお、図4において電流設定部69の範囲に記載されたW=100μmやW=1.6μmなどの数値は、トランジスタのサイズを示している。
データ処理部65が取得した輝度データDATAから電流設定部69の基準電流Irefが設定され、PWM信号生成部66によりLED50のオンオフを規定するPWM信号が生成される。基準電流Irefにより、LED50の階調が規定される。
ここで、輝度データDATAは、“LED電流値”と“PWM_Duty値”から構成されている。このLED電流値により基準電流Irefが決まる。
LED電流値を100mAに設定した場合、SWは全てOFFして、W=100μmのトランジスタだけでLED電流を流している状態で100mAが流れる。LED電流値を50mAにした場合は、Ireffを半分の値にしてやると、W=100μmのトランジスタだけが接続されている状態でLED電流は50mAになる。
SW1~SWnを接続する行為はLED電流を調整することに繋がる。SW1をONするとLED電流は1.6%増える(LED電流設定100mAの時は101.6mAに、50mA設定の時は50.8mAになる)。
PWM_Duty値は、全体のLED輝度を調整するものであり、例えば、PWM_Duty値が50%であれば、LED50のオンとオフを同じ時間で繰り返して、輝度を半分にし、半分になった輝度の中で輝度データDATAを使用して階調を表現する。なお、PWM_Duty値も輝度データの一部である。基本の輝度調整は、LED電流は変化させずに、PWM_Duty値を変化させて輝度を調整する。
次に、LEDドライバ60が駆動するLED50のVF(LED50の両端の電圧)を最適化する方法を説明する。
a点が一定の電圧(基準電流Irefの値によって変わる)より高い場合は、設定した電流通りのLED電流が流せるが、a点が一定の電圧を下回ってくると、徐々にLED電流を流せなくなっていく。設定電流通りに流れる状態になる様、一定の電圧(下記の説明の場合は0.5V)以上をキープさせるようにする。
LED50の動作を確認するため、電圧判定部68でLED50のカソード電圧(a点電圧)と参照電圧VREFを比較する。
参照電圧VREFがLED50のVFを超えて、設定した電流通りのLED電流が流せない場合、電圧判定部68の出力がLOWになるように、例えば0.5Vの固定電圧に設定されている。参照電圧VREFは、基準電流Irefに合わせて可変に設定できるようにしても良い。
電圧判定部68の出力がHighの場合、LED50の駆動電流を増加させ、電流増加による輝度増加をLED50のオンオフ期間(PWM_Duty)の調整により減少させる。電圧判定部68の出力がLOWになった場合、LED50の駆動電流を減少させて電流減少による輝度減少をLED50のオンオフ期間の調整により増加させる。この制御により、VFを最適にしてLED50の発光を行うことができる。
次に、LED50の駆動電流の増減と、LED50のオンオフ期間の調整の方法を説明する。電流設定部69において、上記基準電流Irefを定電流源の電流とし、カレントミラー回路で伝達して、LED駆動電流とする。
カレントミラーの基準電流側とLED駆動電流側のトランジスタサイズが同じであれば、LED駆動電流は輝度データで規定される階調で点灯されるが、本実施形態の回路では、LED駆動電流側のトランジスタを変更して、駆動電流を変更する。すなわち、LED50に流れる電流をトランジスタサイズの変更により調整する。
これは、a点の電圧を下げること(LEDドライバで消費される電力を減らす)で、余分な消費電力を抑えるためである。
LEDのアノードは全てのLEDに共通に供給されているので、アノード電圧はVFが大きいLEDでもa点の電圧が確保できる電圧まで上げてやる必要がある。VFが小さいLEDのa点の電圧を下げるためには、そのLEDだけLED電流を増やしてVFを大きくしてやることで実現する。
図4に示すように、LED駆動電流側のトランジスタにスイッチSW1からSWnでトランジスタを追加できるようにしてある。追加するトランジスタのサイズは、駆動電流増加により発生する輝度増加を相殺するために減少させるPWM_Duty値が一定に減少するように設定している。
本実施形態では、図5に示すように、PWM_Dutyの補正率が1.56%ずつ減少するようにしている。PWM_Duty値を0.02%程度の精度で制御するためには12ビット(4096)の分解能が必要であるが、12ビット中4ビットのみ変化するように変化領域を設定している。このことにより追加するトランジスタを選択するスイッチSW1からSWnを選択するカウンタ&セレクタ67は4ビットで構成することができる。
これにより、PWM_Dutyの補正テーブルを簡素化することができ、該補正テーブルが簡素化できたことで、電流値の調整比率とPWM_Dutyの補正率を掛け算する演算回路を簡素化することができる。
例えば、4ビットが“1110”の場合1.6%電流が増加するトランジスタを追加する。また、例えば、カレントミラーのトランジスタサイズが100であれば、1.6のサイズのトランジスタを追加すればよい。トランジスタを追加すると共にPWM_Duty値を1.56%減少させるように、輝度データDATAで設定されたPWM_Duty値に98.44%を掛ける。また、例えば、設定が50%であれば98.44%を掛けて49.22%のPWM_Duty値でLED50のオンオフ期間を制御する。
なお、PWM_Duty値の減少値も上記カウンタ&セレクタ67の4ビットに対応して設定することができる。4ビットが“1101”の場合3.2%電流が増加するトランジスタを追加する。3.2サイズのトランジスタを追加しても良いし、“1110”の場合で選択する1.6サイズのトランジスタと1.6サイズのトランジスタとを加え合わせて3.2サイズにすることも可能である。このときも同様にPWM_Duty値を96.87%に設定する。
上記の様に、トランジスタの追加による電流の増加とPWM_Duty値の調整を4ビットの値で設定を行い、駆動電流の増減と、LED50のオンオフ期間の調整を行う。
従来の技術では、LED電流を十分流せるカソード電圧が残るところまでLED電流を段階的に増やす。増やした電流に応じてPWM_Duty値を短くして、輝度は変化しないように制御している。
LED電流を増やした分に応じてPWM_Duty値を短くする割合を2進数で表記する。PWM_Duty値の設定を12bitで行っている場合、PWM_Duty値を短くする割合の表記も2進数で12bit程度は必要になる。
LED電流を30%アップまで一定間隔で増やしたときに、LED電流の電流値の調整比率とPWM_Dutyの補正率の積が一定になるようにPWM_Duty値を調整したときのテーブルは図17に示すようになる。12bitのうち、下位10bitは不規則にデータが変化しているので、PWM_Dutyの設定値はテーブルで記憶させておく必要がある。
本実施形態では、図5に示すように、LED電流の値を一定の割合で増えるようにするのではなく、PWM_Duty値(デューティ比)が一定の割合で減るように設定する。
デューティ比を1/26の割合で調整する補正テーブルは図5のように、MSB(Most Significant Bit)から6bit目が1ずつ減っていくシンプルなテーブルになる。また、1/25の割合で調整するテーブルであれば、MSBから5bit目が1ずつ減っていくようなシンプルなテーブルになる。
デューティ比の補正演算回路を簡単にするために補正テーブルをシンプルにする。その為には、補正の割合を2bit表記でシンプルにする。その為には、1/2n刻みで補正するようにする。
これにより、デューティ比を補正しても輝度を一定に保つにはLED電流を補正する必要があるが、LED電流は一定割合での変化にならないので、あえて非線形なLED電流補正回路にする。
本実施形態では、nを自然数とした場合に、PWM信号生成部66は、上記デューティ比を1/2nずつの割合で変化させる。すなわち、本実施形態では、PWM_Dutyが減る割合を1/2nとすることで、PWM_Duty値を減らすテーブルが規則的に変わっていくので、1/2nずつカウントアップ/ダウンさせるだけでよくなる。
実施形態で示したように、12bitのデータを1/26ずつ変化させる必要はなく、1/25ずつ変化させても構わない(電流の調整刻みがもっと大きくなる)し、1/27ずつ変化させても構わない。
LED電流の刻みを非線形にあえてする事で(LED電流を増加させる回路は複雑になる)、PWM_Duty補正回路をシンプルにしてLEDドライバ側に回路を組み込んで、コントローラ側にLED電流補正状態をフィードバックさせる必要を無くしてシステムをシンプルにする。
PWM_Dutyの調整値も4bit分しか変化しなくなるので、演算する際の回路規模も小さくできる。LED電流の増加値が一定間隔にならなくなるが、出力トランジスタに追加するトランジスタのサイズを増やしたい電流値に合わせたトランジスタを次々に追加してく回路とすれば、大きな回路増加にならない。
PWM_Dutyの調整値が10bit幅で変化するのに対して、4bit幅だけが変化する場合はPWM_Dutyを演算する回路も小さくなる。また、PWM_Dutyの演算は、減少させる値を計算してから、その値を元の設定値から引くことになる。減少させる値の計算は、12bit幅のデータ×調整値幅(10bit/4bit)で行うので、調整値が4bit幅でしか変化しなくなるので、演算回路も小さくなる。
以上の方法によれば、PWM_Duty値の補正を行う演算回路がシンプルになってチップサイズが小さくなる。
なお、LEDのエリア分割数が増えると、それに伴ってLEDドライバ60の数が増え、LED電流が十分流せるかという情報をコントローラ70にフィードバックさせると、コントローラ70の負荷が大きくなる。
そこで、LEDドライバ60の内部で、LED電流を十分流せるかの検出と、その検出結果からLED電流を増やして、それに合わせてPWM_Dutyを短くするフィードバックを完結させるようにしても良い。そうすることで、コントローラ70へLED電流を十分流せるかという情報をフィードバックさせる必要がなくなるので、システムがシンプルになる。
LED50を並列に接続している場合、LED50の順方向バラつきにより、カソードの残り電圧がばらつく。カソードの残り電圧が必要最低限電圧より高い場合はLED電流を増やすことで、順方向電圧が大きくなって、残り電圧を減らすことができる。
LED電流を増やすとLEDの輝度が上がるので、平均輝度を変化させない為にはPWM_Duty値を短くするとよい。
上述したように、PWM_Duty値を短くする調整をLEDドライバ60自身で行うと、LED電流を調整した情報をコントローラ70に返す必要がなくなるので、システムがシンプルになって、システムのコストダウンになる。
〔実施形態2〕
次に、図6および図7に基づき、本発明の実施形態2に係るバックライト装置(LEDモジュール)2について説明する。
本実施形態のバックライト装置2は、上述したバックライト装置1と比較して、LEDドライバ60aからエラー信号XERORをコントローラ70へ返す機能が追加されている点で異なっている。具体的には、LEDドライバ60aのそれぞれにXERR端子が設けられ、それぞれのXERR端子は、コントローラ70にパラレル接続されている。
図7に示すように、本実施形態のLEDドライバ60aは、上述したLEDドライバ60と比較して、データ処理部65aでエラー信号XERRORを出力するようにしている点で異なっている。同図に示すXERROR信号は、LED50のアノード電圧が減少し、LED50の点灯ができない状態になったときに出力される。
上記の機能はLEDドライバ60a全体に共通に与えられるアノード電圧の調整時に使用される。以下でアノード電圧の調整方法について説明する。
まず、設定電流値を設定する。設定電流値は、図7に記載の各LEDドライバ60aに設置された電流設定部69の定電流源で設定する(例えばIref=40mA)。電源80を調整し、アノード電圧を徐々に下げ、基準設定電流を流すことができなくなくなったLEDドライバ60aを検出する。検出は、実施形態1で説明したと同様に、図7に示す各LEDドライバ60aの電圧判定部68で検出する。
このとき、電圧判定部68の出力はLOWになり、実施形態1で説明したように、LED電流を減らす機能が働くが、アノード電圧が低くなっているのでLED50を点灯できるVFにできない。したがって、電圧判定部68の出力はLOWのままである。このように電圧判定部68の出力が一定期間、LOWの状態である場合、データ処理部65aはエラー信号XERRORを出力する。図6に示す例ではLOWを出力するようにしている。
図6において、各LEDドライバ60aのXERROR端子は共通に接続されプルアップされている。1つのLEDドライバ60aのXERROR端子がLOWになれば、コントローラ70の入力XERRがLOWになり、コントローラ70は、設定電流を流せなくなったLEDドライバ60aがあると判断する。
次に、コントローラ70は電源を調整し、アノード電圧を徐々に上げていき、XERRが再びHighになった時点でアノード電圧の変更を停止してアノード電圧を決定する。上記のように、コントローラ70は、LED50のアノード電圧を変更し、LEDドライバ60aは、変更した上記アノード電圧でLED50のカソード電圧が所定の電圧以上と判定された場合、コントローラ70に上記アノード電圧の現在の電圧を維持させ、上記カソード電圧が上記所定の電圧未満と判定された場合、コントローラ70に上記アノード電圧を現在の電圧から上昇させても良い。上記の動作により、LEDドライバ60a全体で必要な最小のアノード電圧を設定できるため、小電力化を実現できる。
〔実施形態3〕
次に、図8および図9に基づき、本発明の実施形態2に係るバックライト装置(LEDモジュール)3について説明する。
上述した実施形態2では、設定電流を流せなくなったLEDドライバ60aが信号を出力する端子XERRORを設けたていた。しかしながら、本実施形態では、コントローラ70から出力されるデータ信号を受信するタイミングを示すイネーブル信号を伝達するイネーブル信号線を介して、LEDドライバ60が、自身のエラー状態を示すエラー信号を送信する構成である点で異なっている。なお、複数のLEDドライバ60のそれぞれには、上記イネーブル信号線がカスケード接続されている。
上記構成によれば、エラー信号を送信する信号線をイネーブル信号線で共用できるため、エラー信号を送信する信号線やその端子を別途設ける必要がない。このため、配線数とLEDドライバ60の端子数とを削減することでコストを低減させることができる。
SP(ENABLE_IN)には、輝度データDATAを取り込むタイミングが入力され、SPカウンタ62により次段の輝度データDATAの取り込みタイミングを作成してSPOUT(ENABLE_OUT)から次段へ出力する機能を備える。
次に、図9に基づき、上記の輝度データDATAの取り込み機能と、エラー信号をコントローラ70へ返す機能の両方を備える方式について説明する。
図9の(a)は、待機状態を示している。SP(ENABLE_IN)もSPOUT(ENABLE_OUT)も入力状態で待機している。
図9の(b)は、輝度データDATAを取り込んでいる状態を示す。SP(ENABLE_IN)の入力により、図2および図3で説明したようにシリアルで入力される輝度データDATAをパラレルで取り込む。
図9の(c)は、輝度データDATAを取り込んだ後の状態を示す。SPOUT(ENABLE_OUT)へ次段のイネーブル信号を出力すると共に、エラーの判断があれば、SP(ENABLE_IN)から前段のLEDドライバ60へ、エラー信号を戻す。
図9の(d)は、SPOUT(ENABLE_OUT)へ次段のイネーブル信号を出力した後の状態を示す。SPOUT(ENABLE_OUT)からSP(ENABLE_IN)に接続する。これにより、次段以降のLEDドライバ60で、SP(ENABLE_IN)へ返されたエラー信号をリレーすることができ、コントローラ70までエラー信号を返す。
次に、図10に示すように、各LEDドライバ60で次段へのイネーブル信号が出力されるタイミングで、エラー信号が返されるため、コントローラ70はどのLEDドライバ60でエラー信号が返されたかを把握することができる。
すなわち、コントローラ70は、上記エラー信号を受け取るタイミングにより、上記複数のLEDドライバ60のうち、どのLEDドライバ60がエラー状態にあるかを判定する。これにより、複数のLEDドライバ60のうち、どのLEDドライバ60がエラー状態にあるかを認識することができる。
なお、本実施形態では、実施形態2の動作を行い、LED50のアノード電圧を調整する形態を説明したが、上記エラー信号XERRORは、実施形態2の形態以外にも使用できる。例えば、LEDドライバ60内に温度センサを設けて、一定以上の温度になった場合、エラー信号XERRORを出力して、冷却回路の動作を開始させる。その他、回路不具合の発生を知らせる等、種々の使用方法が考えられる。
〔実施形態4〕
上述した実施形態1に示したデータ転送方法(図2、3参照)では、輝度データDATAを送る際に、イネーブル信号のリレーが途中に入るため、データの途中にウェイト時間を入れる必要があった。
以下で説明する本実施形態のデータ取得方法では、図12に示すように、輝度データDATAを送る際に、イネーブル信号のリレーが途中に入らないので、データの途中にウェイト時間を入れる必要がない。このためデータ通信がシンプルになるので、データの転送速度が速くすることができる。
図11の(a)および(b)に示すように、パラレルに接続しているデータ線をイネーブル信号にして、カスケード接続したアドレスデータ線を使って全LEDドライバ60にアドレスデータを書き込む。
アドレスデータは輝度データDATAを認識する順番となるので、カスケード接続した手前のLEDドライバ60から順に、アドレス1、アドレス2・・・・と設定する。
アドレスデータを送り終わってパラレルに接続しているイネーブル信号をLowにすると、書き込まれたアドレスデータをラッチして、アドレスデータ設定モードを終了する。
アドレスデータ設定モードが終了すると、カスケード接続した信号線をイネーブル信号とし、パラレルに接続した信号を輝度データ線とするコントローラ70がイネーブル信号をHighにすると、そのまま全てのLEDドライバ60にイネーブル信号が入力される。
コントローラ70が次々と輝度データDATAを送っていくと、アドレスデータで設定したアドレスの順番で送られてきたデータを各LEDドライバ60が認識していく。
次に、上記のデータ転送方式でエラーをコントローラへ返す方法について説明する。図13の(a)に示す初期状態では、ENABLE_INもENABLE_OUTも入力状態で待機している。
図13の(b)に示す状態では、ENABLE_INにHIGHが入力されると、LEDドライバ60は、自分のアドレスデータの順で送られてきた輝度データDATAを取り込む。
データ転送が終わってENABLE_INにLOWが入力されると、ENABLE_OUTの入力を、ENABLE_INから出力する状態になり、エラーを判定している場合は手前のLEDドライバ60にエラー信号を戻す。
図13の(c)に示すように、エラーを判定していない場合でも、次のLEDドライバ60からエラー信号が戻ってくると、さらに手前のLEDドライバ60にエラー信号をリレーする。次に、クロック信号を入力することにより、初期状態に戻る。
図14に全体のタイミングを示す。同図に示すように、イネーブル信号をLOWにすると全てのLEDドライバ(ドライバA~D)にLOWが伝わる。また、エラーを判定したLEDドライバがあると、そのドライバをスタートにしてエラー信号がコントローラ70に戻ってくる。
〔実施形態5〕
上述した実施形態4ではENABLE_INにLOWを入力したあと、エラー信号が帰るまでの遅延時間でどのLEDドライバでエラーが起こっているかをコントローラ70が認識することができる。
しかしながら、どのLEDドライバでエラーが起こっているかの情報は必要ではなく、エラーの有無を早く知りたい場合は図15に示すようにエラー信号の取得を行う(破線の四角参照)。
ENABLE_INをHIGHにした後にデータ線を使用してLEDドライバからのエラー信号を取得する。すなわち、LEDドライバは、自身のエラー状態を示すエラー信号を、上記データ線を介してコントローラ70に送信するようにしても良い。なお、複数のLEDドライバには、コントローラ70から出力される、少なくとも輝度データDATA(輝度情報)を含むデータ信号を伝達するデータ線が接続されている。
すなわち、本実施形態では、イネーブル信号がHIGHになったときにデータ線をHIGHにすることで、コントローラ70にエラーを返す。これにより、どのLEDドライバがエラーになっているのは分からないが、エラーを返す時間が短くて済む。
上記構成によれば、エラー信号を送信する信号線をデータ線で共用できるため、エラー信号を送信する信号線やその端子を別途設ける必要がない。このため、配線数とドライバの端子数とを削減することでコストを低減させることができる。
図15に示す方法の場合、エラーがあるLEDドライバはデータ線をHIGHにする。コントローラ70はデータ線がHIGHになればエラーが起こっていることを認識する。
次に、クロック信号(CLK)を、LEDドライバへ入力することにより、LEDドライバはデータ取得状態になり、次のクロックからデータの転送が開始可能になる。
〔実施形態6〕
次に、実施形態5のようにデータ線でエラー信号を返し、さらにどのLEDドライバ(ドライバA~D)でエラーが起こったかを認識するためには、図16に示すようにエラー信号の取得を行う(破線の四角参照)。
コントローラ70は一つのLEDドライバに対応する輝度データDATAを送付したあと、クロックを停止して、データ線を使用してLEDドライバからの信号を取得する。図16に示すように、輝度データDATAが転送されたLEDドライバはエラーが有ればデータ線をHIGHにして、エラーがあることを知らせる。
すなわち、本実施形態では、各LEDドライバが、自分のデータを受け取った時にエラーを判定している場合は、データ線をHIGHにすることでコントローラ70にエラーを返す。これにより、どのLEDドライバがエラーになっているかが分かる。
コントローラ70はドライバからの信号を取得後、クロック信号を出力することにより、エラー信号を出力していたLEDドライバは出力を停止し、次のドライバのデータ転送ができる状態になる。
〔まとめ〕
本発明の態様1に係るLEDモジュールは、LEDに流れる電流、および上記LEDのデューティ比のそれぞれを調整するLEDモジュールであって、1ビット変化する毎に上記デューティ比を一定の割合で変化させるデューティ比調整部(PWM信号生成部66)と、上記デューティ比調整部による上記デューティ比の変化に対応付けて、当該デューティ比の補正率と上記電流の電流値の調整比率の積が一定になるように、当該電流値を変化させる電流値調整部(電流設定部69)と、を備えている構成である。
上記構成によれば、電流値の調整の割合が一定にならないものの、デューティ比の補正率は一定になる。このため、LED電流の電流値の調整比率とデューティ比の補正率との積が一定になるように補正するための演算処理が簡単になる。これにより、デューティ比の補正に関係する演算回路、すなわちデューティ比調整部および電流値調整部の規模を小さくすることができる。
本発明の態様2に係るLEDモジュールは、上記態様1において、nを自然数とした場合に、上記デューティ比調整部は、上記デューティ比を1/2nずつの割合で変化させても良い。上記構成によれば、例えば、デューティ比を補正するための補正テーブルの変化が規則的になり、1/2nずつカウントアップまたはカウントダウンさせるだけでよくなる。このため、デューティ比の補正に関係する演算回路の規模を小さくすることができる。
また、LED電流の刻みを非線形にあえてする事で(LED電流を増加させる回路は複雑になる)、デューティ比の補正回路をシンプルにしてLEDドライバ側に回路を組み込んで、コントローラ側にLED電流補正状態をフィードバックさせる必要を無くしてシステムをシンプルにする。
本発明の態様3に係るLEDモジュールは、上記態様1または2において、上記電流値調整部は、上記LEDに流れる電流をトランジスタサイズの変更により調整することが好ましい。
本発明の態様4に係るバックライト装置は、上記態様1~3の何れかのLEDモジュールを備えていることが好ましい。上記構成によれば、上記態様1と同様の効果を得ることができる。
〔本発明の別の表現〕
本発明は、以下のように表現することもできる。
すなわち、本発明の一態様に係るLED駆動回路モジュールは、発光ダイオードに流れる電流と、発光ダイオードの点灯、非点灯のデューティ比とを調節して、定められた発光輝度を確保すると共に、発光ダイオード両端電圧の低減を行い、発光ダイオードを点灯する回路であって、上記調整を、1ビットの変化と上記デューティ比の一定割合変化が対応するデューティ比調整手段と、上記デューティ比の一定割合変化に対応する不定割合変化の電流調整手段とで行っても良い。
また、本発明のLEDバックライトは、上記LED駆動回路モジュールが、平面上に間隔をあけて複数配置されていても良い。
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。