JP7111350B2 - アミノ化セルロース及びアミノ化セルロースの製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、アミノ化セルロース及びアミノ化セルロースの製造方法に関するものである。
アミノ化セルロースの合成法としては、セルロースに親電子基を導入した後にHS-R-G(Rは二価の連結基、Gは多価アミンから水素原子を一つ除いた残基)と反応させて、-S-R-Gで表される置換基を導入する方法が知られている(特許文献1)。
また、セルロースの臭素化、アジド化、還元を経て6-アミノ-6-デオキシセルロースを合成する方法も知られている(非特許文献1、2)。
Carbohydr Res.2007 Nov 26:342(16):2456-2460
Carbohydr Res.2005 May 23:340(7):1403-1406
Journal of Materials Chemistry 2011, 21, 9356-9361
しかしながら、従来のアミノ化セルロースの合成法では、多段の化学反応を要する誘導体化によってセルロース繊維が失われるか、失われない方法でもアミノ基以外のリンカー部分の導入は避けられない。
本発明はこのような問題に鑑み、セルロース繊維が良好に維持され、アミノ基以外のリンカー部分の導入が不要なアミノ化セルロース及びアミノ化セルロースの製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は研究を重ねたところ、セルロースの立体構造に着目し、セルロースの立体構造に類似した構造を有する化合物によってアミノ基を導入することで、セルロース繊維を失うことなく、アミノ基以外のリンカー部分の導入が不要なアミノ化セルロースを提供することが可能となることを見出した。
すなわち、本発明の一実施形態は、セルロースとグルコサミノグルカンとが分子間力で会合した下記化学式(1)で示される繰返し単位からなるアミノ化セルロースである。
(式(1)中、m及びnはそれぞれ平均重合度を示し、それぞれ300~10000である)。
本発明は別の一実施形態において、下記式(2)で示される繰返し単位からなるセルロースを、下記式(3)で示される繰返し単位からなるグルコサミノグルカンの溶液に浸漬する工程を含む本発明の実施形態に係るアミノ化セルロースの製造方法である。
(式(2)、(3)中、m及びnはそれぞれ平均重合度を示し、それぞれ300~10000である)。
本発明は更に別の一実施形態において、上記式(2)で示される繰返し単位からなるセルロースに、上記式(3)で示される繰返し単位からなるグルコサミノグルカンの溶液を滴下する工程を含む本発明の実施形態に係るアミノ化セルロースの製造方法である。
本発明は更に別の一実施形態において、上記式(2)で示される繰返し単位からなるセルロースに、上記式(3)で示される繰返し単位からなるグルコサミノグルカンの溶液を塗布する工程を含む本発明の実施形態に係るアミノ化セルロースの製造方法である。
本発明によれば、セルロース繊維が良好に維持され、アミノ基以外のリンカー部分の導入が不要なアミノ化セルロース及びアミノ化セルロースの製造方法を提供することができる。
(アミノ化セルロース)
本発明の実施形態に係るアミノ化セルロースは、セルロースとグルコサミノグルカン(D-グルコース・D-グルコサミンβ-1,4交互共重合体)とが分子間力で会合した下記化学式(1)で示される繰返し単位からなる。ここで、化学式(1)中、m及びnはそれぞれ平均重合度を示し、それぞれ300~10000である。
本発明の実施形態に係るアミノ化セルロースは、セルロースとグルコサミノグルカン(D-グルコース・D-グルコサミンβ-1,4交互共重合体)とが分子間力で会合した下記化学式(1)で示される繰返し単位からなる。ここで、化学式(1)中、m及びnはそれぞれ平均重合度を示し、それぞれ300~10000である。
本発明の実施形態に係るアミノ化セルロースは、式(1)において、mとnとがそれぞれ異なる数値である場合には、セルロースとグルコサミノグルカンのいずれか一方の繰返し単位が過剰となっており、当該過剰部分では対応する他方の繰返し単位を有さない構造となっている。
図1はセルロース及びグルコサミノグルカンの立体構造を示す。また、セルロースの繰返し単位は下記式(2)で示され、グルコサミノグルカンの繰返し単位は下記式(3)で示される。ここで、化学式(2)及び(3)中、m及びnはそれぞれ平均重合度を示し、それぞれ300~10000である。
図1から理解されるように、セルロース及びグルコサミノグルカンは互いに骨格構造が同一であって立体構造は非常に似ており、この立体構造類似性による分子間力を本発明のアミノ化セルロースは利用している。すなわち、後述の製造方法によって、セルロースとグルコサミノグルカンとが近付くと、その立体構造類似性に基づく親和性から、セルロース及びグルコサミノグルカンの一繰返し単位が互いに対応する位置に配置(図1では上下に配置)され、全体として互いに分子間力で会合することで、上記化学式(1)で示される繰返し単位からなる構造を有するアミノ化セルロースが得られる。
また、このとき、セルロースと接近するグルコサミノグルカンのアミノ基は通常水和しており、嵩高く、障害となっている。このため、グルコサミノグルカンはアミノ基がある側の反対側からセルロースに近づくことになる。これにより、本発明の実施形態に係るアミノ化セルロースは、グルコサミノグルカンのアミノ基が全てセルロースに対し外側に位置している。このような構造により、アミノ基がセルロース繊維の表面にのみ導入されることとなり、セルロース繊維の形状、例えば多孔質体としての紙本来の形状、素材感をアミノ基導入後にも維持することができるという効果を有する。また、アミノ化セルロースのアミノ基が全て外側を向いているため、当該アミノ基を用いて種々の化学修飾を容易に行うことができる。さらに、本発明の実施形態に係るアミノ化セルロースは、セルロースにアミノ基を導入する際に、アミノ基以外のリンカー部分の導入が不要であるという効果を有している。さらに、本発明の実施形態に係るアミノ化セルロースのアミノ基はキトサン同様、グルコサミン残基として存在するために、キトサンに対して開発された様々な誘導体化が適用できる。例えば、本発明の実施形態に係るアミノ化セルロースにN-アセチル化を施せば、キチン類似の表面を有するアミノ化セルロース(アセトアミド化セルロース)となる。
また、本発明の実施形態に係るアミノ化セルロースは、前述のようにセルロース及びグルコサミノグルカンの立体構造類似性に基づく親和性により、導入されたアミノ基がセルロースに強固に定着する。例えば、従来のシランカップリング剤を用いたアミノ化セルロースの製造方法では、シランコーティングのアルカリ感受性ゆえにアルカリ性条件下(例えば1M程度のNaOH)で置換基が脱離する懸念がある。これに対して本発明の実施形態に係るアミノ化セルロースのアミノ基はグルコサミノグルカン中のグルコサミンにより供給され、グルコサミノグルカンは強固にセルロース繊維の表面に吸着するので酸処理や塩基処理を行っても脱離しにくい。また、グルコサミノグルカンは安全且つ安定な多糖であり、従来法で用いられる反応性の高い試薬類とは異なり、保管が容易で使用にあたっても特別な設備や安全への特段の配慮を必要としない。
本発明の実施形態に係るアミノ化セルロースを構成するセルロースとしては、特に限定されないが、例えば、綿や麻・ジュート等の植物繊維、レーヨン、ポリノジック、キュプラ、リヨセル等の再生繊維等が挙げられる。セルロースの形状についても特に限定されないが、例えば、一本の単繊維で構成されるモノフィラメント、複数本の単繊維を撚り合わせて1本の糸としたマルチフィラメント、ステープル(短繊維)、短繊維の紡績糸等が挙げられ、また、これらを織物状もしくは編物状に製織又は製編した布帛としてもよく、不織布としてもよい。さらに、2種以上の繊維を複合又は混紡した繊維や織・編物、不織布であってもよい。
本発明の実施形態に係るアミノ化セルロースを構成するグルコサミノグルカンは、セルロースとキトサンの性質を併せ持つ複合多糖である。当該グルコサミノグルカンは特に限定されないが、例えば、チオスリックスニベア(Thiothrix nivea)を原料として製造することができる。チオスリックスニベアはマイクロチューブを形成する糸状硫黄酸化細菌(硫化水素を除去)であり、水圏に広く分布する無害の環境微生物である。チオスリックスニベアのマイクロチューブは、未同定のデオキシ糖で修飾されたグルコース・グルコサミン交互共重合体(グルコサミノグルカン)の凝集体である。図2にチオスリックスニベアの外観観察写真(SEM像:左写真)及びチオスリックスニベアのマイクロチューブの断面観察写真(TEM像:右写真)を示す。図2に示すように、チオスリックスニベアのマイクロチューブを希塩酸処理してデオキシ糖を除去することで、式(3)で示される繰返し単位からなるグルコサミノグルカンが得られる。
従来、アミノ化セルロースの合成においてセルロース繊維を維持する目的で、シランカップリング剤を反応させて、例えば-O-Si(OH)2-C3H6-NH2のような置換基を導入する方法が知られている(非特許文献3)。当該合成法は、シランカップリング剤溶液へのセルロースの浸漬と乾燥のみによってセルロース繊維の表面にアミノ化を施すという比較的簡便な方法であるが、このような方法ですら、原料となるシランカップリング剤の合成には環境負荷を伴う複雑な化学反応が不可欠である。これに対し、前述のように水圏に広く分布する無害の環境微生物であるチオスリックスニベアを原料に用いることで、極めて温和な条件下、低環境負荷で簡便な方法によってアミノ化セルロースを製造することができる。
(アミノ化セルロースの製造方法)
次に、本発明の実施形態に係るアミノ化セルロースの製造方法について説明する。まず、上記式(3)で示される繰返し単位からなるグルコサミノグルカンを準備する。当該グルコサミノグルカンは前述のチオスリックスニベアを原料として製造したものであってもよく、他の方法で製造したものであってもよい。チオスリックスニベアから調製するとき、培養に用いる培地には、有機酸や糖類等の炭素源、無機硫黄源、有機又は無機窒素源、及び、無機塩類を主として添加することができる。また、別途、上記式(2)で示される繰返し単位からなるセルロースを準備する。
次に、本発明の実施形態に係るアミノ化セルロースの製造方法について説明する。まず、上記式(3)で示される繰返し単位からなるグルコサミノグルカンを準備する。当該グルコサミノグルカンは前述のチオスリックスニベアを原料として製造したものであってもよく、他の方法で製造したものであってもよい。チオスリックスニベアから調製するとき、培養に用いる培地には、有機酸や糖類等の炭素源、無機硫黄源、有機又は無機窒素源、及び、無機塩類を主として添加することができる。また、別途、上記式(2)で示される繰返し単位からなるセルロースを準備する。
次に、グルコサミノグルカンを塩酸添加等によって酸性にした状態で水に溶解してグルコサミノグルカンの弱酸性水溶液を作製し、これにセルロースを浸漬する。浸漬の際には加熱してもよい。ここで、グルコサミノグルカンのグリコシド結合の切断を防ぐために、上記塩酸で処理する場合には塩酸濃度を0.1M程度とするのが好ましい。次に、水洗及び乾燥を行うことで、上記化学式(1)で示される繰返し単位からなるアミノ化セルロースが得られる。
前述のグルコサミノグルカン溶液は、塩酸を用いた弱酸性溶液としているが、これはグルコサミノグルカンが溶けやすく、また、揮発性溶液であるという利点等があるため用いたものであるが、これに限定されず、その他の酸で溶解させてもよく、中性溶液としてもよい。また、グルコサミノグルカン溶液におけるグルコサミノグルカン濃度は典型的には0.5~1.0mg/mlであるが、特に限定されず、セルロースにどの程度アミノ化したいかによって適宜調製することができる。
また、例えばセルロースをシート状として設置し、当該セルロースの上からグルコサミノグルカンの溶液を滴下して乾燥させることによってもアミノ化が生じ、上記化学式(1)で示される繰返し単位からなるアミノ化セルロースが得られる。このとき、グルコサミノグルカンの溶液を滴下した部分のみセルロースをアミノ化することができる。例えば、グルコサミノグルカンの溶液を微小な液滴として滴下することで、セルロース表面において所定の微小範囲がアミノ化される。
また、例えばセルロースをシート状として設置し、当該セルロースの上からグルコサミノグルカンの溶液を塗布して乾燥させることによってもアミノ化が生じ、上記化学式(1)で示される繰返し単位からなるアミノ化セルロースが得られる。このとき、グルコサミノグルカンの溶液を塗布した部分のみセルロースをアミノ化することができる。また、塗布する部分を所定パターンに設計し、パターニングによってセルロースをアミノ化してもよい。グルコサミノグルカンは安全且つ安定な多糖であり、溶液の粘性は低いことから、インクジェットプリンターでの塗布も可能である。
また、セルロース懸濁液にグルコサミノグルカンを添加することでアミノ化セルロースを製造することもできる。このとき、セルロース繊維表面に陽性電荷が付与されることとなり、分散性が向上する。
これらの製造方法によって、前述のように、セルロースとグルコサミノグルカンとは図1に示すように立体構造が非常に類似しているため、化学反応に依存せず、分子間力によって互いに会合する。また、グルコサミノグルカンのアミノ基が水和していることで障害となり、アミノ基の反対側からセルロースと会合することで、アミノ基が全て外側に配置されたアミノ化セルロースを製造することができる。
(アミノ化セルロースの用途)
本発明の実施形態に係るアミノ化セルロースは、例えば、化粧品の素材、止血・創傷処置材をはじめとする医療用吸着材の素材、陰イオン性染料に対して良好な染色性を示す素材、紙力増強剤、金属イオン吸着材の構成成分として用いることができる。また、本発明の実施形態に係るアミノ化セルロースは、固定化塩基性触媒として機能し、キチン・キトサンを素材として培われた種々の誘導体化技術をアミノ化セルロース繊維の表面に展開できる。アミノ化によりセルラーゼ耐性が付与されることから、アミノ化セルロースは紙の風合いと質感を保持しつつカビ等による劣化を起こしにくい素材として用いることができる。セルロースナノファイバーにグルコサミノグルカンを定着させればアミノ化セルロースナノファイバーが得られ、セルロースナノファイバーの応用範囲が広がる。また、グルコサミノグルカンはセルロース特異的に作用する分散剤として用いることができる。さらに、アミノ基蛍光標識化剤を作用させれば紫外光照射下での蛍光特性を利用して、蛍光識別材料等に用いることができる。アミノ基の反応性ゆえに酵素等の固定化担体としても用いることができる。このほか、クロマトグラフィー担体としても利用することができる。
本発明の実施形態に係るアミノ化セルロースは、例えば、化粧品の素材、止血・創傷処置材をはじめとする医療用吸着材の素材、陰イオン性染料に対して良好な染色性を示す素材、紙力増強剤、金属イオン吸着材の構成成分として用いることができる。また、本発明の実施形態に係るアミノ化セルロースは、固定化塩基性触媒として機能し、キチン・キトサンを素材として培われた種々の誘導体化技術をアミノ化セルロース繊維の表面に展開できる。アミノ化によりセルラーゼ耐性が付与されることから、アミノ化セルロースは紙の風合いと質感を保持しつつカビ等による劣化を起こしにくい素材として用いることができる。セルロースナノファイバーにグルコサミノグルカンを定着させればアミノ化セルロースナノファイバーが得られ、セルロースナノファイバーの応用範囲が広がる。また、グルコサミノグルカンはセルロース特異的に作用する分散剤として用いることができる。さらに、アミノ基蛍光標識化剤を作用させれば紫外光照射下での蛍光特性を利用して、蛍光識別材料等に用いることができる。アミノ基の反応性ゆえに酵素等の固定化担体としても用いることができる。このほか、クロマトグラフィー担体としても利用することができる。
以下に本発明を実施例でさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
チオスリックスニベアから調製したグルコサミノグルカンを20mMの塩酸に溶解し1g/lの溶液とした。この溶液100mlにろ紙(0.4g)を浸漬し、100℃で1時間加熱した。加熱後、放冷して室温まで温度を下げた。続いてろ紙を水洗して減圧乾燥することで、表面にアミノ基が導入されたろ紙(アミノ化セルロース)が得られた。以下、当該表面にアミノ基が導入されたろ紙(アミノ化セルロース)を「サンプル」と呼ぶ。
チオスリックスニベアから調製したグルコサミノグルカンを20mMの塩酸に溶解し1g/lの溶液とした。この溶液100mlにろ紙(0.4g)を浸漬し、100℃で1時間加熱した。加熱後、放冷して室温まで温度を下げた。続いてろ紙を水洗して減圧乾燥することで、表面にアミノ基が導入されたろ紙(アミノ化セルロース)が得られた。以下、当該表面にアミノ基が導入されたろ紙(アミノ化セルロース)を「サンプル」と呼ぶ。
(評価試験)
・セルラーゼ耐性評価試験
表面をアミノ化したセルロースはセルラーゼ耐性を有することとなる。以下で示すセルラーゼ耐性評価試験を行い、サンプルがアミノ化されたセルロースとなっているかの確認を行った。図3に示すように、サンプルと未処理のろ紙(どちらも1.5mg)を、それぞれセルラーゼ溶液(0.5mg/ml、pH4の0.1M酢酸緩衝液で溶解)1mlに浸漬して45℃で静置したところ、未処理のろ紙は18時間で崩壊し始めた。一方、サンプルは68時間経過した後にも当初の形状を維持していた。これにより、サンプルはセルロース表面がアミノ化されていることが確認された。なお、セルロース表面にアミノ基が導入されていると、それによるセルラーゼ活性の阻害が生じ、セルラーゼ耐性が得られると考えられる。
・セルラーゼ耐性評価試験
表面をアミノ化したセルロースはセルラーゼ耐性を有することとなる。以下で示すセルラーゼ耐性評価試験を行い、サンプルがアミノ化されたセルロースとなっているかの確認を行った。図3に示すように、サンプルと未処理のろ紙(どちらも1.5mg)を、それぞれセルラーゼ溶液(0.5mg/ml、pH4の0.1M酢酸緩衝液で溶解)1mlに浸漬して45℃で静置したところ、未処理のろ紙は18時間で崩壊し始めた。一方、サンプルは68時間経過した後にも当初の形状を維持していた。これにより、サンプルはセルロース表面がアミノ化されていることが確認された。なお、セルロース表面にアミノ基が導入されていると、それによるセルラーゼ活性の阻害が生じ、セルラーゼ耐性が得られると考えられる。
・蛍光評価試験
また、アミノ基がセルロースに導入されているかを確認する試験として、以下の蛍光評価試験を行った。まず、サンプルと、未処理のろ紙とを準備し、それぞれpH9のホウ酸緩衝液中に浸漬し、株式会社 同仁化学研究所製FITC-Iを添加して加温後、70%エタノールで洗浄した。ここで、FITC-Iは、アミノ基に対するもっとも一般的な蛍光標識剤(蛍光試薬Fluoresceinにアミノ基反応性のNCS基を結合させたもの、Fluorescein-4-isothiocyanate)である。続いて、図4に示すように可視光照射下での蛍光観察を行ったところ、両者に差は出なかったが、紫外光照射下での蛍光観察を行ったところ、サンプルのみ表面から強い蛍光を発していた。これによって、サンプルは表面にアミノ基が導入されていることが確認された。なお、図4の「処理あり」はサンプルを示し、「処理なし」は未処理のろ紙を示す。
また、アミノ基がセルロースに導入されているかを確認する試験として、以下の蛍光評価試験を行った。まず、サンプルと、未処理のろ紙とを準備し、それぞれpH9のホウ酸緩衝液中に浸漬し、株式会社 同仁化学研究所製FITC-Iを添加して加温後、70%エタノールで洗浄した。ここで、FITC-Iは、アミノ基に対するもっとも一般的な蛍光標識剤(蛍光試薬Fluoresceinにアミノ基反応性のNCS基を結合させたもの、Fluorescein-4-isothiocyanate)である。続いて、図4に示すように可視光照射下での蛍光観察を行ったところ、両者に差は出なかったが、紫外光照射下での蛍光観察を行ったところ、サンプルのみ表面から強い蛍光を発していた。これによって、サンプルは表面にアミノ基が導入されていることが確認された。なお、図4の「処理あり」はサンプルを示し、「処理なし」は未処理のろ紙を示す。
・安定性評価のための蛍光評価試験
サンプルを熱水で処理(80℃、14時間)したもの、サンプルを希塩酸で処理(0.1M、25℃、14時間)したものを準備した。次に、未処理のろ紙、サンプル、上記熱水処理サンプル、上記希塩酸処理サンプルの4種類を、それぞれpH9のホウ酸緩衝液中に浸漬し、FITC-Iを添加して加温後、70%エタノールで洗浄した。続いて、図5に示すように可視光照射下での蛍光観察を行ったところ、4種類のろ紙に差は出なかったが、紫外光照射下での蛍光観察を行ったところ、未処理のろ紙のみ蛍光を発しなかった。これによって、アミノ基が導入されたサンプルは、熱水処理や希塩酸処理に対してもアミノ基を離脱させず、良好な安定性を有していることが確認された。なお、図5の「ろ紙」は未処理のろ紙を示し、「GG濾紙(グルコサミノグルカン濾紙)」はアミノ化されたろ紙(アミノ化セルロース)を示す。
サンプルを熱水で処理(80℃、14時間)したもの、サンプルを希塩酸で処理(0.1M、25℃、14時間)したものを準備した。次に、未処理のろ紙、サンプル、上記熱水処理サンプル、上記希塩酸処理サンプルの4種類を、それぞれpH9のホウ酸緩衝液中に浸漬し、FITC-Iを添加して加温後、70%エタノールで洗浄した。続いて、図5に示すように可視光照射下での蛍光観察を行ったところ、4種類のろ紙に差は出なかったが、紫外光照射下での蛍光観察を行ったところ、未処理のろ紙のみ蛍光を発しなかった。これによって、アミノ基が導入されたサンプルは、熱水処理や希塩酸処理に対してもアミノ基を離脱させず、良好な安定性を有していることが確認された。なお、図5の「ろ紙」は未処理のろ紙を示し、「GG濾紙(グルコサミノグルカン濾紙)」はアミノ化されたろ紙(アミノ化セルロース)を示す。
(実施例2)
分散性の評価を行うため、以下の試験を行った。まず、セルロース懸濁液(2g/l)とグルコサミノグルカンの塩酸溶液(2g/l、0.1M塩酸)を1:1で混合した。比較例として、セルロース懸濁液(2g/l)と塩酸(0.1M塩酸)を1:1で混合した。両懸濁液を転倒混和後に静置したところ、比較例のセルロースは10分以内で沈殿したが、グルコサミノグルカン添加液の方は、30分後もセルロースの分散状態が維持された。
分散性の評価を行うため、以下の試験を行った。まず、セルロース懸濁液(2g/l)とグルコサミノグルカンの塩酸溶液(2g/l、0.1M塩酸)を1:1で混合した。比較例として、セルロース懸濁液(2g/l)と塩酸(0.1M塩酸)を1:1で混合した。両懸濁液を転倒混和後に静置したところ、比較例のセルロースは10分以内で沈殿したが、グルコサミノグルカン添加液の方は、30分後もセルロースの分散状態が維持された。
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