JP7110732B2 - センサシステムの異常診断方法、センサシステムの異常診断装置並びにセンサシステムおよびこれを備える車両 - Google Patents
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Description
同文献記載の技術では、一つの速度センサと一つの振動センサとの信号を比較して、その関係から、装備されているセンサシステム全体としての動作が正常か異常かを判別している。
同文献によれば、走行速度と振動との組み合わせによって正常と異常を判別することによって、走行速度信号、振動信号がそれぞれ単独では正常な範囲内にある場合であっても、他の信号との関係で異常と認められる場合には、システム全体としての異常と判定することができ、異常検出精度を向上できる、としている。
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、異常があるセンサを特定し得る、センサシステムの異常診断方法、センサシステムの異常診断装置並びにセンサシステムおよびこれを備える車両を提供することを課題とする。
そして、故障が生じているセンサは、センサシステム全体から見て、複数のセンサ相互の動作状態(ステータス)を多数派と少数派とに分けて相互を比較すれば、複数のセンサのうち多数派であると認定されたセンサは正常であると推定し、少数派であると認定されたセンサに異常が生じていると推定することができる。
なお、複数のセンサ相互の動作状態(ステータス)は、センサシステム全体の動作論理式に基づいて予め設定することができる。例えば、本発明の一態様に係るセンサシステムが車両であれば、当該車両の動作状態として、高速走行時、低速走行または停止時等を設定し、それぞれの動作状態に対応する各センサの正常時の動作状態(例えば出力の大小を閾値を基準に切り分けて設定)を多数決の対象として比較することができる。
本発明のいずれか一の態様によれば、複数のセンサ相互の動作状態(ステータス)の多数決により、複数のセンサのいずれのセンサに異常が生じているかを推定するので、故障が生じているセンサを高い確率で特定できる。
まず、本発明の一態様に係るセンサシステムを備える車両の第一実施形態について説明する。第一実施形態は、図1に示すように、一の車両1に、異常診断装置10と、一の速度センサ21と複数の振動センサ11、12とを有する構成例である。なお、本実施形態は、本発明を構成する3以上の複数のセンサの最小構成例である。
詳しくは、同図に示すように、この車両1には、台車2の適所に異常診断装置10が装備されるとともに、台車2の前後に離隔した二つの車軸に対応する位置に、振動センサ11、12がそれぞれ搭載され、さらに、一方の車軸に対応する位置に速度センサ21が搭載されている。
異常診断装置10は、複数のセンサ11、12、21のうちいずれのセンサに異常が生じているか否かを診断する異常診断部を備える。異常診断部は、周知のマイクロコンピュータを含む情報処理装置として構成されている。
ここで、上記異常診断処理において、ステップS11に係るプログラムおよびこれを実行するハードウエアが、3以上の複数のセンサ11、12、21の動作状態に応じた出力情報を取得する出力情報取得部に対応する。また、ステップS12からステップS15の一連の処理に係るプログラムおよびこれを実行するハードウエアが、出力情報取得部で取得された複数のセンサ相互の出力情報を、センサシステム全体の動作論理式に基づいて比較する出力情報比較部に対応する。また、ステップS16に係るプログラムおよびこれを実行するハードウエアが、出力情報比較部で比較した結果から、異常の生じているセンサを多数決により推定する異常センサ推定部に対応している。異常センサ推定部での異常判定処理は、上記表1を参照して行われる。
これに対し、異常動作のセンサが含まれる時には、この異常が生じたセンサでは、本来のステータス「大」が出力されず、ことなるステータス「小」が出力される場合がある。このとき、本実施形態の異常診断装置10では、上述したように、センサ出力に対応するステータスの「大」「小」を多数派と少数派とに分け、半数に満たない少数派を異常があるセンサと推定することができる。
同様にして、例えば図4において、同図(a)に示すように、車両のステータスが「低速走行中又は停止時」にあっては、監視対象となる3つのセンサ11、12、21は、速度センサ21および振動センサ11、12ともに、正常動作時にはいずれの出力もステータスが「小」となる。
つまり、この例では、同図(b)に示すように、3つのセンサ11、12、21中、2個のセンサ21、12はステータス「小」を出力しているのに対し、他の1個のみがステータス「大」を出力していることから、当該ステータス「大」を出力しているセンサ11が、異常があるセンサと推定される。
次に、本発明の一態様に係るセンサシステムを備える車両の第二実施形態について説明する。第二実施形態は、図4に示すように、一の車両1に、異常診断装置10と、一の振動センサ11および複数の速度センサ21、22と、を有する構成例である。なお、本実施形態は、本発明を構成する3以上の複数のセンサの、他の最小構成例である。
同図に示すように、振動センサ11が一台であっても、複数台の速度センサ21、22が搭載されていれば、本発明を適用できる。第二実施形態の構成の場合、3台のセンサ11、21、22からの情報を信号線を介して異常診断装置10に集約し、異常診断装置10がセンサ自体の異常判定を行う。異常センサ推定部での異常判定処理は、表2を参照して行われる。表2は、第二実施形態におけるセンサシステム全体の動作論理式(複数のセンサの動作状態のステータス)を示すテーブルである。
次に、本発明の一態様に係るセンサシステムを備える車両の第三実施形態について説明する。第三実施形態は、図5に示すように、複数の車両1A、1Bが連結器4で相互に連結された編成を有する車両用のセンサシステムであって、各車両1A、1Bの台車2には、振動センサ11、12が一台設置され、さらに、編成全体として、異常診断装置10および速度センサ21を各一台有する。この例では、異常診断装置10および速度センサ21は、車両1Bの台車2に装備されている。
以上説明したように、上述した実施形態のセンサシステムの異常診断方法、センサシステムの異常診断装置並びにセンサシステムおよびこれを備える車両によれば、複数のセンサ相互の動作状態(ステータス)の多数決により、複数のセンサのいずれのセンサに異常が生じているかを推定するので、故障が生じているセンサを高い確率で特定できる。
例えば、上記実施形態では、異常診断装置10の診断処理は、複数のセンサ相互の動作状態(ステータス)の多数決により、複数のセンサのいずれのセンサに異常が生じているかを推定する点を説明したが、これに限定されず、動作状態(ステータス)の多数決に加え、他の処理を追加したり、並列処理できることは勿論である。
2 台車
3 車輪
4 連結器
10 異常診断装置
11 第一の振動センサ、振動センサ
12 第二の振動センサ
21 第一の速度センサ、速度センサ
22 第二の速度センサ
Claims (10)
- 複数の車両が連結器で相互に連結された編成を有する連結型車両に用いられ、振動センサおよび速度センサを含む3以上の複数のセンサを有するセンサシステムにおいて異常診断をする方法であって、
3以上の複数のセンサの、前記連結型車両に対するセンサシステム全体の動作論理に基づき設定した動作状態を監視し、前記複数のセンサ相互の前記動作状態を閾値を基準に切り分けて設定した多数派と少数派に分ける多数決により、該多数決を採択可能なとき(同数を除く)に、前記複数のセンサのうちいずれのセンサに異常が生じているか否かを推定することを特徴とする連結型車両用センサシステムの異常診断方法。 - 前記多数決により前記複数のセンサを多数派と少数派に分けた結果、
前記複数のセンサ総てが多数派であれば、前記センサシステムが正常であると推定する請求項1に記載の連結型車両用センサシステムの異常診断方法。 - 前記多数決により前記複数のセンサを多数派と少数派に分けた結果、
前記複数のセンサのうち多数派であると認定されたセンサは正常であると推定し、少数派であると認定されたセンサに異常が生じていると推定する請求項1または2に記載の連結型車両用センサシステムの異常診断方法。 - 前記異常診断において複数のセンサのうちのいずれかのセンサに異常が生じているとの推定が最初になされたときを一時故障と呼ぶとき、
該一次故障後において、前記複数のセンサのうち、残る2以上の複数のセンサ相互の前記動作状態の比較により前記異常診断を継続する請求項1~3のいずれか一項に記載の連結型車両用センサシステムの異常診断方法。 - 複数の車両が連結器で相互に連結された編成を有する連結型車両に用いられ、振動センサおよび速度センサを含む3以上の複数のセンサを有する連結型車両用センサシステムの異常診断をする装置であって、
前記複数のセンサのうちいずれのセンサに異常が生じているか否かを診断する異常診断部を有し、
前記異常診断部は、
前記3以上の複数のセンサの、前記連結型車両に対するセンサシステム全体の動作論理に基づき設定した動作状態に応じた出力情報を取得する出力情報取得部と、
該出力情報取得部で取得された前記複数のセンサ相互の出力情報を前記複数のセンサ相互の前記動作状態を閾値を基準に切り分けて設定した多数派と少数派に分ける多数決により比較する出力情報比較部と、
該出力情報比較部で比較した結果から異常の生じているセンサを前記多数決を採択可能なとき(同数を除く)に推定する異常センサ推定部と、
を有することを特徴とする連結型車両用センサシステムの異常診断装置。 - 速度センサおよび振動センサを含む3以上の複数のセンサと、請求項5に記載の連結型車両用センサシステムの異常診断装置と、を備えることを特徴とする連結型車両用センサシステム。
- 複数の車両が連結器で相互に連結された編成を有する連結型車両用のセンサシステムであって、
一の車両内に、前記連結型車両用センサシステムの異常診断装置と、一の速度センサおよび複数の振動センサと、を有する請求項6に記載の連結型車両用センサシステム。 - 複数の車両が連結器で相互に連結された編成を有する連結型車両用のセンサシステムであって、
一の車両内に、前記連結型車両用センサシステムの異常診断装置と、一の振動センサおよび複数の速度センサと、を有する請求項6に記載の連結型車両用センサシステム。 - 複数の車両が連結器で相互に連結された編成を有する連結型車両用のセンサシステムであって、
各車両には、振動センサが一台設置され、
さらに、連結型車両の編成全体として、前記連結型車両用センサシステムの異常診断装置および速度センサを各一台有する請求項6に記載の連結型車両用センサシステム。 - 複数の車両が連結器で相互に連結された編成を有する連結型車両であって、
請求項6~9のいずれか一項に記載の連結型車両用センサシステムを備えることを特徴とする連結型車両。
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