JP7110119B2 - 改変インフルエンザヘマグルチニンポリペプチドの修飾 - Google Patents

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Description

関連出願の相互援用
本出願は、2016年6月3日に出願された米国仮出願第62/345,502号に対する優先権を主張するものであり、この仮出願の全体が参照によって本明細書に援用される。
インフルエンザには、パンデミック、エピデミック、再興、アウトブレイクの長年の経緯がある。ワクチンは、インフルエンザに対する最も効果的な防御となっていた。しかしながら、インフルエンザによって全世界で深刻な健康上の問題が生じ続けているために、毎年、株特異的免疫を誘導するワクチンを設計し製造する試みが困難になってきている。実際、現在市場に出回っているインフルエンザワクチンは、毎年、次のシーズンにヒト集団で流行すると考えられる予測株に基づいてアップデートされているはずである。
現在のインフルエンザワクチンは、インフルエンザウイルスの表面に存在するヘマグルチニン抗原に対する免疫を誘導することに基づいている。ヘマグルチニン(HA)は、細胞膜のシアル酸含有構造との相互作用によってインフルエンザウイルスを細胞に結合させることに関与する糖タンパク質である。これは、ウイルスの進行性突然変異と宿主による免疫圧のために、インフルエンザウイルス株全体にわたって変異性が高いものである。HA分子の変異性(抗原変異としても知られる)によって、関連する循環ウイルスの小サブセットにのみ総じて反応性のあるHAポリペプチド型ワクチンが得られている。交差反応性株の数は、ウイルスが変異し続けるにつれて経時的に減少する。その結果、HA分子の変異性によって現行のワクチンが効果的でなくなる場合には、インフルエンザワクチンのHA組成が定期的に変更される。インフルエンザに対するワクチン接種の現行の戦略のうち、汎用ワクチンの開発は、現状の株特異的ワクチンの範囲を広げ、抗原変異耐性を増強するのに有望である。汎用インフルエンザワクチンは、広範なインフルエンザのタイプ、サブタイプ、および株(パンデミック株および/または季節性株を含む)からヒトと動物とを防御する可能性がある。汎用インフルエンザ抗原を設計するためのいくつかのアプローチが当該技術分野で知られている。しかしながら、現行のアプローチでは、季節性株またはパンデミック株に依然として偏っているHAポリペプチドが得られることが多い。
本発明は、改良された修飾組換えHAポリペプチドであって、適用範囲(すなわち、HAポリペプチドに対する免疫原性応答を誘発する能力)を抗原的に異なるインフルエンザ株(例えば、新規または追加のパンデミック株および/または季節性株)まで拡張した、広範な免疫原性プロファイルを備えたHAポリペプチドを提供する。本発明は、一つには、循環インフルエンザ株に含まれる配列変異のin silico分析、HAの抗原領域のマッピング、ならびに/またはHAペプチドのエピトープパターンおよび構造分析から導き出される修飾に基づくものである。既知の免疫プロファイルを備えたHAポリペプチドの種々のアミノ酸残基位置および/または特定の領域において、標的修飾を続いて導入することで、改良され、よりバランスの取れた免疫プロファイルを備えた新規のHAポリペプチドを得ることができる。実施例のセクションを含めた以下の記載に詳細に示すように、本発明者らは、特に、パンデミック株を適用範囲に含むように季節性応答プロファイルを拡張するか、またはその逆の場合にも同様に拡張するように、HAポリペプチドを改変するための多様な戦略を開発してきた。これらの戦略は、抗原的に異なる株の配列(またはクレード)のクラスタにわたって免疫プロファイルを拡張するものであり、経時的に改変組換えHA分子に適用することができ、その結果、該HA分子が、抗原変異した循環季節性株に対する免疫応答を誘発し続けるようになる。全ての場合において、その戦略は、受容体結合部位(RBS)の近傍領域に操作された修飾を備えた宿主HAポリペプチドのRBSの特定の残基を、総じて保持するように策定されている。同様の戦略を使用して、季節性株を適用範囲に含むようにパンデミック応答プロファイルを拡張することができる。本発明の組成物および方法は、種々の方法によって改変されたポリペプチドと実質的に野生型の配列を含むポリペプチドとを含めた、幅広い種類の組換えHAポリペプチドに適用可能である。
したがって、一態様では、本発明は、支配的季節性免疫プロファイルを備えた改変HAポリペプチドに由来する改変頭部領域またはそのセグメントと、パンデミック株に由来するステム領域とを含む、組換えヘマグルチニン(HA)ポリペプチドを提供する。一部の実施形態では、改変頭部領域またはそのセグメントは、配列番号1の135~269位、125~277位、または63~278位に相当するアミノ酸に対して、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上同一の配列を含む。一部の実施形態では、改変頭部領域またはそのセグメントは、配列番号1(SMARt_DO2a配列)の135~269位、125~277位、または63~278位に相当するアミノ酸に対して同一の配列を含む。
一部の実施形態では、ステム領域は、天然に存在するかまたは野生型のパンデミック株に由来する。一部の実施形態では、好適な天然に存在するパンデミック株は、A/カリフォルニア/07/2009、A/ニュージャージー/10/1976、またはA/サウスカロライナ/1/1918から選択される。一部の実施形態では、ステム領域は、パンデミック免疫プロファイルを有する改変HAポリペプチドに由来する。
一部の実施形態では、パンデミック免疫プロファイルを有する改変HAポリペプチドは、COBRA(コンピュータ最適化広域反応性抗原:computationally optimized broadly reactive antigens)技術、モザイク技術、インフルエンザ株のコンセンサスベースの組み合わせ、構造ドメインの欠失および/もしくは再配列、ドメインスワッピング、または複数のインフルエンザ株に含まれる中和エピトープもしくは交差反応性エピトープの組み合わせ、によって改変される。
別の態様では、本発明は、支配的季節性免疫プロファイルを備えたHAポリペプチド由来であり、かつNxS/Ty(xとyはプロリン(P)ではない)のコンセンサス配列によって定められる一つ以上の推定N結合型グリコシル化部位において、一つ以上の推定N結合型グリコシル化部位が破壊されるように、一つ以上のアミノ酸の置換、欠失、または挿入を含む、改変頭部領域を備えた、組換えインフルエンザヘマグルチニン(HA)ポリペプチドを提供する。特定の実施形態では、一つ以上のアミノ酸の置換、欠失、または挿入の各々は、パンデミック株の対応する配列由来である。
なおも別の態様では、本発明は、支配的パンデミック免疫プロファイルを備えたHAポリペプチド由来の改変頭部領域であって、NxS/Ty(xとyはPではない)のコンセンサス配列によって定められる一つ以上の改変された推定N結合型グリコシル化部位が挿入された改変頭部領域を含む、組換えインフルエンザヘマグルチニン(HA)ポリペプチドを提供する。特定の実施形態では、一つ以上の改変された推定N結合型グリコシル化部位の各々は、季節性株の対応する配列に基づくアミノ酸の置換、欠失、または挿入によって改変されている。
一部の実施形態では、ヘマグルチニンはA型インフルエンザに対応する。一部の実施形態では、A型インフルエンザはサブタイプH1N1である。
一部の実施形態では、一つ以上の推定N結合型グリコシル化部位は、142~145位、および/または177~179位(A/カリフォルニア/07/2009HA(配列番号2)に対して正規化された配列アライメント、「CA09ナンバリング」)に相当する。一部の実施形態では、一つ以上の推定N結合型グリコシル化部位は、受容体結合部位(RBS)の15オングストローム以内にあり、RBSは、三次元(3-D)構造において、W167(CA09ナンバリング)に相当する位置の15オングストローム以内の全てのアミノ酸残基として定められている。あるいは、RBSは、モノクローナル抗体CH65のパラトープと結合するエピトープとして定められていてもよく、一つ以上のアミノ酸置換がCH65のエピトープに隣接して(例えば、100アミノ酸残基以内、75アミノ酸残基以内、50アミノ酸残基以内、40アミノ酸残基以内、30アミノ酸残基以内、25アミノ酸残基以内、20アミノ酸残基以内、15アミノ酸残基以内、10アミノ酸残基以内、5アミノ酸残基以内などで)存在する。一部の実施形態では、一つ以上のアミノ酸の置換、欠失、または挿入は、本明細書に提供されるリストまたは表(例えば、表4または表5)から選択される。一部の実施形態では、一つ以上のアミノ酸の置換、欠失、または挿入は、コンセンサス配列NxS/Tyをzに修飾することを含み、zはN、D、K、またはSであり、zはYであるかまたは変化せず、zはE、D、またはNであり、zはI、L、P、SもしくはTであるか、または変化しない。
一部の実施形態では、一つ以上のアミノ酸の置換、欠失、または挿入が誘導されるパンデミック株または季節性株は、循環インフルエンザ株である。一部の実施形態では、循環インフルエンザ株は、A/カリフォルニア/07/2009およびA/サウスカロライナ/1/1918からなる群から選択される。一部の実施形態では、アミノ酸の置換、欠失、または挿入は、NxS/Tyコンセンサス配列の1~5アミノ酸以内(例えば、1~4、1~3、1~2アミノ酸以内)へのリジン(K)残基またはアルギニン(R)残基の挿入を含む。一部の実施形態では、リジン(K)残基またはアルギニン(R)残基は、NxS/Tyコンセンサス配列の1~5アミノ酸(例えば、1~4、1~3、1~2アミノ酸)3’内にある。一部の実施形態では、一つ以上のアミノ酸の置換、欠失、または挿入は、残基147(CA09ナンバリング)に相当する位置での挿入を含む。一部の実施形態では、残基147に相当する位置での挿入は、リジン(K)またはアルギニン(R)の挿入を含む。
さらなる態様では、本発明は、支配的季節性免疫プロファイルを備えたHAポリペプチド由来であり、かつ(CA09ナンバリング)の60と291とに相当する位置の間の一つ以上のアミノ酸置換を含む、改変頭部領域を備え、その一つ以上のアミノ酸置換の各々がパンデミック株の対応する配列由来である、組換えインフルエンザHAポリペプチドを提供する。一部の実施形態では、一つ以上のアミノ酸置換は、本明細書に提供されるリストまたは表(例えば、表6)から選択される。一部の実施形態では、一つ以上のアミノ酸置換は、137と262(CA09ナンバリング)に相当する位置の間にあり、その一つ以上のアミノ酸置換は表7から選択される。一部の実施形態では、一つ以上のアミノ酸置換は、表3または表4から選択される2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、またはそれ以上のアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、一つ以上のアミノ酸置換は、表6または表7から選択される少なくとも2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、または10個の連続する置換を含む。一部の実施形態では、一つ以上のアミノ酸置換は、137、144、145、154、155、156、157、158、159、177、210、211、212、213、214、244、245、および/または262(CA09ナンバリング)に相当する位置で起こる。
関連する態様では、本発明は、支配的季節性免疫プロファイルを備えたHAポリペプチド由来であり、かつ受容体結合部位(RBS)の15オングストローム以内の一つ以上のアミノ酸置換を含み、そのRBSが、三次元(3-D)構造において、W167(CA09ナンバリング)に相当する位置の15オングストローム以内の全てのアミノ酸残基として定められている、改変頭部領域を備え、その一つ以上のアミノ酸置換の各々がパンデミック株の対応する配列由来である、組換えインフルエンザHAポリペプチドを提供する。あるいは、RBSは、モノクローナル抗体CH65のパラトープと結合するエピトープとして定められていてもよく、一つ以上のアミノ酸置換がCH65のエピトープに隣接して(例えば、100アミノ酸残基以内、75アミノ酸残基以内、50アミノ酸残基以内、40アミノ酸残基以内、30アミノ酸残基以内、25アミノ酸残基以内、20アミノ酸残基以内、15アミノ酸残基以内、10アミノ酸残基以内、5アミノ酸残基以内などで)存在する。
一部の実施形態では、パンデミック株は循環インフルエンザウイルスである。一部の実施形態では、一つ以上のアミノ酸置換は受容体結合部位(RBS)の10オングストローム以内(例えば、9、8、7、6、5オングストローム以内など)である。一部の実施形態では、一つ以上のアミノ酸置換は、表8から選択される2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、またはそれ以上のアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、一つ以上のアミノ酸置換は、表8から選択される少なくとも2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、または10個の連続する置換を含む。一部の実施形態では、一つ以上のアミノ酸置換は、137、144、145、154、155、156、157、158、159、177、210、211、212、213、および/または214(CA09ナンバリング)に相当する位置で起こる。
さらに別の態様では、本発明は、支配的季節性免疫プロファイルを備えたHAポリペプチド由来であり、かつ表9から選択される一つ以上のアミノ酸修飾(例えば、表9から選択される二つ以上、三つ以上、四つ以上、五つ以上の修飾)を含む、改変頭部領域を備えた、組換えインフルエンザHAポリペプチドを提供する。
一部の実施形態では、本発明に適した支配的季節性免疫プロファイルを備えたHAポリペプチドまたは支配的パンデミック免疫プロファイルを備えたHAポリペプチドは、COBRA(コンピュータ最適化広域反応性抗原:computationally optimized broadly reactive antigens)技術、モザイク技術、インフルエンザ株のインフルエンザコンセンサス配列ベースの組み合わせ、構造ドメインの欠失および/もしくは再配列、ドメインスワッピング、または複数のインフルエンザ株に含まれる中和エピトープもしくは交差反応性エピトープの組み合わせ、によって改変される。
一部の実施形態では、組換えHAポリペプチドは、インフルエンザウイルスの季節性株とパンデミック株の両方に対して中和抗体を誘発する。特定の実施形態では、組換えHAポリペプチドは、インフルエンザウイルスの一つ以上の季節性株と一つ以上のパンデミック株とに対して中和抗体を誘発する。一部の実施形態では、組換えHAポリペプチドは、インフルエンザウイルスの季節性株とパンデミック株の両方に対する、よりバランスの取れた免疫原性プロファイルによって特徴付けられる。
特に、本発明は、本明細書に記載の組換えHAポリペプチドをコードする単離核酸と、かかる核酸を含むベクターとを提供する。一部の実施形態では、本発明は、かかるベクターまたは核酸を含む細胞を提供する。一部の実施形態では、好適な細胞はヒト細胞である。特定の実施形態では、ヒト細胞はHEK-293細胞である。一部の実施形態では、好適な細胞はサル細胞である。特定の実施形態では、サル細胞はVero細胞である。
種々のさらなる態様では、本発明は、本明細書に記載の組換えHAポリペプチドを含むウイルス様粒子(VLP)を提供する。一部の実施形態では、本発明のVLPは、インフルエンザノイラミニダーゼ(NA)タンパク質、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)gagタンパク質、またはその両方をさらに含む。本発明はまた、本明細書に記載の組換えHAポリペプチドまたはVLPを含む医薬組成物を提供する。さらに、本発明は、対象において、本明細書に記載の医薬組成物を投与することにより、季節性インフルエンザウイルスとパンデミックインフルエンザウイルスとに対して免疫応答(例えば、免疫化またはワクチン接種)を生じさせる方法を提供する。
別の態様では、本発明は、改変HAポリペプチドの免疫原性プロファイルを変更する方法を提供する。一部の実施形態では、改変HAポリペプチドの免疫原性プロファイルを変更する方法は、改変HAポリペプチドの頭部領域を選択することと、その改変HAポリペプチドの選択された頭部領域で、別の免疫原性プロファイルを備えたHAポリペプチドの対応する頭部領域を置換し、それにより、変更した免疫原性プロファイルを備えた再設計されたHAポリペプチドを生じさせることとを含む。一部の実施形態では、改変HAポリペプチドは、支配的季節性免疫プロファイルを有し、別の免疫原性プロファイルを備えたHAポリペプチドは、支配的パンデミック免疫プロファイルを有する。
一部の実施形態では、支配的季節性免疫プロファイルを備えた改変HAポリペプチドの選択された頭部領域は、残基63~278、125~277、または135~269(CA09ナンバリング)に相当する。一部の実施形態では、別の免疫原性プロファイル(支配的パンデミック)を備えたHAポリペプチドの対応する頭部領域は、配列番号2(完全長野生型CA09(A/カリフォルニア/07/2009HA配列)配列)の63~277の残基、配列番号3(完全長野生型SC1918(A/サウスカロライナ/1/1918)配列)の63~277の残基、配列番号4(完全長野生型NJ1976配列)の残基63~277、配列番号2(完全長野生型CA09配列)の残基125~277、配列番号3(完全長野生型SC1918配列)の残基125~277、配列番号4(完全長野生型NJ1976配列)の残基125~277、配列番号2(完全長野生型CA09配列)の残基135~269、配列番号3(完全長野生型SC1918配列)の残基135~269、配列番号4(完全長野生型NJ1976配列)の残基135~269から選択されるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、別の免疫原性プロファイル(支配的パンデミック)を備えたHAポリペプチドは、野生型インフルエンザウイルス由来のHAポリペプチドである。一部の実施形態では、別の免疫原性プロファイル(支配的パンデミック)を備えたHAポリペプチドは、改変HAポリペプチドである。一部の実施形態では、別の免疫原性プロファイル(支配的パンデミック)を備えたHAポリペプチドは、配列番号5(DO1Aの完全長配列)を含む。
一部の実施形態では、改変HAポリペプチドは、支配的パンデミック免疫プロファイルを有し、別の免疫原性プロファイルを備えたHAポリペプチドは、支配的季節性免疫プロファイルを有する。一部の実施形態では、支配的パンデミックの免疫原性プロファイルを有する改変HAポリペプチドの選択された頭部領域は、配列番号2(完全長野生型CA09(A/カリフォルニア/07/2009HA配列)配列)の63~277の残基、配列番号3(完全長野生型SC1918配列)の63~277の残基、配列番号4(完全長野生型NJ1976配列)の63~277の残基、配列番号2(完全長野生型NJ1976配列)の125~277の残基、配列番号3(完全長野生型SC1918配列)の125~277の残基、配列番号4(完全長野生型NJ1976配列)の125~277の残基、配列番号2(完全長野生型CA09配列)の135~269の残基、配列番号3(完全長野生型SC1918配列)の135~269の残基、配列番号4(完全長野生型NJ1976配列)の135~269の残基からなる群から選択される。一部の実施形態では、別の免疫原性プロファイル(支配的季節性)を備えたHAポリペプチドの対応する頭部領域は、配列番号2(SMARt_DO2Aの完全長配列)の残基63~278、125~277、または135~269を含む。
一部の実施形態では、本発明は、改変HAポリペプチドの免疫原性プロファイルを変更する方法であって、別の免疫原性プロファイルを備えたHAポリペプチドの対応する頭部領域と比較して、改変HAポリペプチドの頭部領域における一つ以上の推定N結合型グリコシル化部位の有無を判定する工程と;改変HAポリペプチドの頭部領域に一つ以上のアミノ酸の置換、欠失、または挿入を導入して、別の免疫原性プロファイルを備えたHAポリペプチドの対応する配列に基づいて、一つ以上の推定N結合型グリコシル化部位を破壊するかまたは追加のN結合型グリコシル化部位を挿入し、それにより変更した免疫原性プロファイルを有する再設計されたHAポリペプチドを生じさせる工程と、を含む方法を提供する。一部の実施形態では、一つ以上の推定または追加のN結合型グリコシル化部位は、NxS/Ty(xおよびyはPではない)のコンセンサス配列によって定められる。一部の実施形態では、改変HAポリペプチドは支配的季節性免疫プロファイルを有し、別の免疫原性プロファイルを備えたHAポリペプチドは支配的パンデミック免疫プロファイルを有しており、一つ以上のアミノ酸の置換、欠失、または挿入が改変HAポリペプチドに導入されて、一つ以上の推定N結合型グリコシル化部位を破壊し、再設計されたHAポリペプチドがよりパンデミックになるように変更される。一部の実施形態では、改変HAポリペプチドは支配的パンデミック免疫プロファイルを有し、別の免疫原性プロファイルを備えたHAポリペプチドは支配的季節性免疫プロファイルを有しており、一つ以上のアミノ酸の置換、欠失、または挿入が改変HAポリペプチドに導入されて、一つ以上の追加の推定N結合型グリコシル化部位を挿入し、再設計されたHAポリペプチドがより季節性になるように変更される。
一部の実施形態では、本発明は、一つ以上のアミノ酸置換を受容体結合部位(RBS)の15オングストローム以内(例えば、10、9、8、7、6、5オングストローム以内など)に導入することを含む、改変HAポリペプチドの免疫原性プロファイルを変更する方法であって、RBSは三次元(3-D)構造において、残基W167(CA09ナンバリング)に相当する位置の15オングストローム以内(例えば、10、9、8、7、6、または5オングストローム以内)の全てのアミノ酸残基として定められており、一つ以上のアミノ酸置換の各々は、ある特定の位置のアミノ酸残基を、別の免疫原性プロファイルを備えたHAポリペプチドの対応する位置で観察されるアミノ酸残基と置き換えて、それにより変更した免疫原性プロファイルを備えた再設計されたHAポリペプチドを生じさせる方法を提供する。あるいは、RBSは、モノクローナル抗体CH65のパラトープと結合するエピトープとして定められていてもよく、一つ以上のアミノ酸置換がCH65のエピトープに隣接して(例えば、100アミノ酸残基以内、75アミノ酸残基以内、50アミノ酸残基以内、40アミノ酸残基以内、30アミノ酸残基以内、25アミノ酸残基以内、20アミノ酸残基以内、15アミノ酸残基以内、10アミノ酸残基以内、5アミノ酸残基以内などで)存在する。一部の実施形態では、別の免疫原性プロファイルを備えたHAポリペプチドは、循環の季節性インフルエンザ株またはパンデミックインフルエンザ株由来である。一部の実施形態では、改変HAポリペプチドは、支配的季節性免疫プロファイルを有し、別の免疫原性プロファイルを備えたHAポリペプチドは、支配的パンデミック免疫プロファイルを有し、そこで、再設計されたHAポリペプチドは、よりパンデミックになるように変更される。一部の実施形態では、改変HAポリペプチドは、支配的パンデミック免疫プロファイルを有し、別の免疫原性プロファイルを備えたHAポリペプチドは、支配的季節性免疫プロファイルを有し、そこで、再設計されたHAポリペプチドは、より季節性になるように変更される。
一部の実施形態では、本発明は、改変HAポリペプチドの免疫原性プロファイルを変更する方法であって、表4、表5、表6、表7、表8、または表9に示されている修飾から選択される一つ以上の修飾を、改変HAポリペプチドの一つ以上の対応する位置に導入し、それにより変更した免疫原性プロファイルを備えた再設計されたHAポリペプチドを生じさせることを含む方法を提供する。一部の実施形態では、一つ以上の修飾は、改変HAポリペプチド(CA09ナンバリング)の137、144、145、154、155、156、157、158、159、177、210、211、212、213、214、244、245、および/または262に相当する位置で生じる。一部の実施形態では、一つ以上の修飾は、改変HAポリペプチドの137、144、145、154、155、156、157、158、159、177、210、211、212、213、および/または214(CA09ナンバリング)に相当する位置で生じる。一部の実施形態では、一つ以上の修飾は、表4、表5、表6、表7、表8、または表9に示した修飾から選択される2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、または10個以上の修飾を含む。一部の実施形態では、一つ以上の修飾は、表4、表5、表6、表7、表8、または表9から選択される少なくとも2個、3個、4個、5個、または10個の連続する置換を含む。
一部の実施形態では、本発明は、改変HAポリペプチドの免疫原性プロファイルを変更する方法であって、
(i)改変HAポリペプチドの頭部領域を選択することと、改変HAポリペプチドの選択された頭部領域で、別の免疫原性プロファイルを備えたHAポリペプチドの対応する頭部領域を置換することと、
(ii)別の免疫原性プロファイルを備えたHAポリペプチドの対応する頭部領域と比較して、改変HAポリペプチドの頭部領域における一つ以上の推定N結合型グリコシル化部位の有無を判定することと、改変HAポリペプチドの頭部領域に一つ以上のアミノ酸の置換、欠失、または挿入を導入して、別の免疫原性プロファイルを備えたHAポリペプチドの対応する配列に基づいて、一つ以上の推定N結合型グリコシル化部位を破壊するかまたは追加のN結合型グリコシル化部位を改変HAポリペプチドに挿入することと、
(iii)一つ以上のアミノ酸置換を受容体結合部位(RBS)の15オングストローム以内(例えば、10、9、8、7、6、5オングストローム以内など)に導入することであって、RBSは三次元(3-D)構造において、W167(CA09ナンバリング)に相当する位置の15オングストローム以内の全てのアミノ酸残基として定められており、一つ以上のアミノ酸置換の各々は、ある特定の位置のアミノ酸残基を、別の免疫原性プロファイルを備えたHAポリペプチドの対応する位置で観察されるアミノ酸残基と置き換えることを含み、あるいは、RBSは、モノクローナル抗体CH65のパラトープと結合するエピトープとして定められていてもよく、一つ以上のアミノ酸置換がCH65のエピトープに隣接して(例えば、100アミノ酸残基以内、75アミノ酸残基以内、50アミノ酸残基以内、40アミノ酸残基以内、30アミノ酸残基以内、25アミノ酸残基以内、20アミノ酸残基以内、15アミノ酸残基以内、10アミノ酸残基以内、5アミノ酸残基以内などで)存在する、該導入することと、
(iv)表4、表5、表6、表7、表8、または表9に示した修飾から選択される一つ以上修飾を、改変HAポリペプチドの一つ以上の対応する位置に導入することと、からなる群から選択される二つ以上の修飾を選択することを含み、
それにより、変更した免疫原性プロファイルを備えた再設計されたHAポリペプチドを生じさせる、該方法を提供する。
様々な実施形態において、本発明の方法は、再設計されたHAポリペプチドの発現と構造とを評価することをさらに含む。
様々な実施形態では、本発明の方法は、再設計されたHAポリペプチドがインフルエンザウイルスの季節性株および/またはパンデミック株に対する中和抗体を誘発するか否かを判定する工程をさらに含む。
一部の実施形態では、変更した免疫原性プロファイルを備えた再設計されたHAポリペプチドを生成することは、季節性インフルエンザ株および/またはパンデミックインフルエンザ株に対する一つ以上の抗頭部モノクローナル抗体の結合を増大させることを含む。一部の実施形態では、変更した免疫原性プロファイルを備えた再設計されたHAポリペプチドを生成することは、パンデミックインフルエンザ株に対する抗頭部モノクローナル抗体の結合範囲を増大させることを含む。一部の実施形態では、変更した免疫原性プロファイルを備えた再設計されたHAポリペプチドを生成することは、抗ステムモノクローナル抗体の結合範囲を増大させることを含む。こうした実施形態では、頭部領域における修飾が抗ステムモノクローナル抗体への結合の増加を誘導し、1箇所での置換が、遠隔部位に広範囲のアロステリック効果を与え得ることを示している。一部の実施形態では、結合の増加は、哺乳類細胞の表面で発現した再設計されたHAポリペプチドに結合したモノクローナル抗体を、フローサイトメトリーで検出することによって測定される。一部の実施形態では、哺乳類細胞の表面で発現した再設計されたHAポリペプチドに結合したモノクローナル抗体のレベルが定量される。
本出願において、「または」の使用は、他に記載がない限り、「および/または」を意味する。本出願において使用される場合、用語「含む(comprise)」、ならびに「含んでいる(comprising)」および「含み(comprises)」などの該用語の変化形は、他の添加物、成分、整数、または工程を除外することを意図するものではない。本出願において使用される場合、「約」及び「およそ」という用語は同意語として用いられている。本出願において使用される任意の数字は、約/およそを伴っても伴わなくても、当業者により認識される任意の正常変動を含むことが意図されている。
本発明の他の特徴、目的、および利点は、以下の詳細な説明、図面、および特許請求の範囲において明らかになる。しかしながら、以下の詳細な説明、図面、および特許請求の範囲は、本発明の実施形態を示すが、単に例示のために与えられるものであり、制限するものではないことを理解すべきである。本発明の範囲内の様々な変更および修正は、当業者には明らかになるであろう。
図面は、単に例示を目的とするものであり、制限するためのものではない。
球状頭部がトランケートされている、特定の残基部位が異なる三つの別々の領域を示す。
インフルエンザHAポリペプチドの適正なフォールディング、発現、および抗体結合能力を明らかにするために使用するフローサイトメトリーの概略図を示す。
インフルエンザRBSの球状頭部領域を受容HAステムに融合させることによって生成される組換えHAポリペプチドの適正なフォールディングおよび発現を明らかにする、フローサイトメトリーアッセイの結果を示す。
インフルエンザRBSの球状頭部領域を受容HAステムに融合させることによって生成される組換えHAポリペプチドの改良された季節性免疫プロファイルを明らかにする(mAb結合の増加によって示される)、フローサイトメトリーアッセイの結果を示す。
インフルエンザRBSの球状頭部領域を受容HAステムに融合させることによって生成される組換えHAポリペプチドの免疫学的範囲の増加を数値で表示したものである。
推定N結合型グリコシル化部位(出現順に、それぞれ配列番号32~35)と、リジンループ挿入部位(出現順に、それぞれ配列番号36~37)と、RBS部位周囲の残基の修飾とを図解したものである。
推定N結合型グリコシル化部位への修飾、リジンループ挿入、または球状頭部領域のアミノ酸残基によって生成された組換えHAポリペプチドの適正なフォールディングと発現とを明らかにする、フローサイトメトリーアッセイの結果を示す。
推定N結合型グリコシル化部位への修飾、リジンループ挿入、または球状頭部領域のアミノ酸残基によって生成された組換えHAポリペプチドの免疫学的範囲の増加を明らかにする、フローサイトメトリーアッセイの結果を示す。
組換えHAポリペプチドの免疫学的範囲を変更するように修飾され得る球状頭部領域のアミノ酸残基を図解したものである。
脱グリコシル化構築物に結合する4K8の増加によって示される、組換えHAポリペプチドの免疫学的範囲の増加を明らかにする、フローサイトメトリーアッセイの結果を示す。
免疫化とそれに続くin vivo評価のスケジュール例を示す。
従来のSMARtDO2aと対比した、次世代DO2a修飾で免疫化された動物の代表的なカプラン・マイヤー生存曲線を示す。
従来のSMARtDO2aと対比した、次世代DO2a修飾で免疫化された動物の代表的な体重減少曲線を示す。
ウイルスチャレンジ後4日目における、PBSと対比した、SMARtDO2a構築物で免疫化された動物の代表的なウイルス肺力価を示す。
SMARtDO2a構築物で免疫化された動物由来の血清の代表的なヘマグルチニン阻害(HAI)アッセイの結果を示す。
定義
本発明をより容易に理解するために、いくつかの用語を最初に以下に定義する。以下の用語および他の用語の追加の定義は、明細書全体を通して記載されている。
アジュバント:本明細書で使用される場合、用語「アジュバント」は、抗原に対する免疫応答を非特異的に高める物質または媒体を表す。アジュバントには、抗原が吸着したミネラル(ミョウバン、水酸化アルミニウム、またはリン酸塩)の懸濁液、または抗原溶液がミネラルオイルに乳化された油中水乳剤(例えば、MF59(登録商標))が含まれ得るが、これらには抗原性をさらに高めるために死滅マイコバクテリア(フロイント完全アジュバント)が含まれる場合もある。免疫賦活性オリゴヌクレオチド(CpGモチーフを含むものなど)がアジュバントとして用いられてもよい(例えば、米国特許第6,194,388号、同第6,207,646号、同第6,214,806号、同第6,218,371号、同第6,239,116号、同第6,339,068号、同第6,406,705号、および同第6,429,199号を参照)。アジュバントにはまた、TLRリガンドに対する共刺激分子といった生体分子が含まれる。生物学的アジュバントの例として、IL-2、RANTES、GM-CSF、TNF-α、IFN-γ、G-CSF、LFA-3、CD72、B7-1、B7-2、OX-40L、および41BBLが挙げられる。
動物:本明細書で使用される場合、用語「動物」は、動物界の任意のメンバーを意味する。一部の実施形態では、「動物」は、発達の任意の段階でのヒトを意味する。一部の実施形態では、「動物」は、発達の任意の段階での非ヒト動物を意味する。特定の実施形態では、非ヒト動物は、哺乳類(例えば、ゲッ齒類、マウス、ラット、ウサギ、サル、イヌ、ネコ、ヒツジ、ウシ、霊長類、及び/またはブタ)である。一部の実施形態では、動物には、哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚類、昆虫類、及び/または蠕虫類が含まれるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、動物は、トランスジェニック動物、遺伝子組換え動物、及び/またはクローンであり得る。
抗体:本明細書で使用される場合、用語「抗体」は、特定のアミノ酸配列を備えたBリンパ系細胞によって産生される免疫グロブリン分子を表す。一部の実施形態では、抗体は、特定の抗原(免疫原)によってヒトまたは他の動物に誘発されるものである。抗体は、何らかの実証可能な方法で抗原と特異的に反応することによって特徴付けられ、抗体と抗原とはそれぞれ相手方の観点から定義される。「抗体応答を誘発する」、「中和抗体を誘発する」、「免疫原性応答を誘発する」という用語、または文法的等価物は、抗原または他の分子が抗体産生を誘導する能力を表す。一部の実施形態では、用語「抗体」は、免疫グロブリン遺伝子または免疫グロブリン遺伝子の断片によって実質的コードされる一つ以上のポリペプチドを含めた、HAスクリーニングアッセイなどのin vitroアッセイで用いられる任意の組換え抗体を表す。こうした抗体は、インタクトな免疫グロブリンとして、または免疫グロブリンクラスであるIgG、IgM、IgA、IgD、およびIgEそれぞれの断片として存在してもよい。抗体断片の例として、以下に限定されないが、F(ab)’2、Fab’、および単鎖Fv(scFv)が挙げられる。
抗原:本明細書で使用される場合、用語「抗原」は、免疫応答を誘発する作用物質、および/または(ii)生物体に曝露または投与された場合に、T細胞受容体に結合される(例えば、MHC分子に提示される場合)か、もしくは抗体(B細胞により産生される)に結合する作用物質を表す。一部の実施形態では、抗原は生物体で体液性応答(例えば、抗原特異的抗体の産生を含む)を誘発し、あるいはまたは加えて、一部の実施形態では、抗原は生物体で細胞応答(例えば、T細胞であって、その受容体が抗原と特異的に相互作用するT細胞に関与する)を誘発する。ある特定の抗原は、標的生物体(例えば、マウス、ウサギ、霊長類、ヒト)の一メンバーまたはいくつかのメンバーの免疫応答を誘発することができるが、標的生物種の全メンバーの免疫応答を誘発できないことは、当業者によって認識されるであろう。一部の実施形態では、抗原は、標的生物種のメンバーの少なくとも約25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%で免疫応答を誘発する。一部の実施形態では、抗原は、抗体および/またはT細胞受容体に結合し、生物体における特定の生理学的反応を誘導する場合もあり、誘導しない場合もある。一部の実施形態では、例えば、抗原は抗体および/またはT細胞受容体にin vitroで結合することができ、こうした相互作用がin vivoで起こるか否かに関わらずに結合することになる。一部の実施形態では、抗原は、異種免疫原によって誘導される産物を含む、特定の体液性免疫または細胞性免疫の産物と反応する。開示された組成物および方法の一部の実施形態では、インフルエンザHAポリペプチドまたはその免疫原性断片は抗原である。
およそ:本明細書で使用する場合、関心のある一つ以上の値に適用される「約(approximately)」または「約(about)」という用語は、記載された基準値に類似する値を指す。特定の実施形態では、「約(approximately)」または「約(about)」という用語は、特段の記載がない限り、または文脈から明らかでない限り(そのような数が可能な値の100%を超える場合を除く)、いずれかの方向(より大きいまたは小さい)で25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%またはそれ未満の値の範囲を指す。
生物学的活性:本明細書で使用される場合、語句「生物学的活性」は、作用物質または対象となる実体により得られる観察可能な生物学的作用または結果を表す。例えば、一部の実施形態では、特異的な結合相互作用が生物学的活性にあたる。一部の実施形態では、生物学的経路または事象の調節(例えば、誘導、増強、または阻害)が生物学的活性にあたる。一部の実施形態では、生物学的活性の有無または程度が、対象となる生物学的経路または事象により産生される直接的または間接的な産物の検出により評価される。一部の実施形態では、HAポリペプチドの生物学的活性は、HAポリペプチドが中和抗体を誘発する能力を表す。これらの場合には、用語「生物学的活性」は「免疫原性活性」と互換的に用いられる。
カリフォルニア09ナンバリング:本明細書で使用される場合、語句「カリフォルニア09ナンバリング」または「CA09ナンバリング」は、正規化された生物学的配列アライメントを表し、これは、クエリー配列(本明細書に記載の修飾のうちの一つ以上が適用されたか、または適用される見込みの改変HAポリペプチド配列)を対象配列(例えば、A/カリフォルニア/07/2009(H1N1)のポリペプチド配列)と比較することを可能にし、それにより、同じ位置のA/カリフォルニア/07/2009(H1N1)に相当する標的配列、したがって、A/カリフォルニア/07/2009(H1N1)に対して同様に正規化された一つおきの生物学的配列におけるアミノ酸残基を特定するものである。一般的に、標的配列とクエリー配列とは、特有の部分または特有の特徴を共有するが、長さおよび/または配列同一性がわずかに異なっている。例えば、特定の標的配列における残基または標的修飾に適した残基のナンバリングは、A/カリフォルニア/07/2009(H1N1)タンパク質配列に基づいて特定され、記述され得る。配列は、A/カリフォルニア/07/2009(NCBI登録番号:ACP44189、NCBI GI番号:227977172、566アミノ酸)の完全長(シグナルペプチド、膜貫通ドメインおよび細胞質尾部ドメインを含む)タンパク質配列に対してアライメントされる。シグナルペプチドのN末端メチオニンは残基1である。
担体:本明細書で使用される場合、用語「担体」は、組成物と共に投与される、希釈剤、アジュバント、賦形剤、または媒体を表す。一部の例示的な実施形態では、担体には、例えば、水とオイル(石油起源のオイル、動物起源のオイル、野菜または合成起源のオイル(例として、ピーナツ油、大豆油、ミネラルオイル、ゴマ油など))といった、無菌液体が含まれ得る。一部の実施形態では、担体は一つ以上の固体成分であるか、またはこれらを含む。
特有の部分または特有の特徴:本明細書で使用される場合、用語「特有の部分」または「特有の特徴」は広い意味で、物質の一部分であって、その存在(または不在)が、その物質の特定の特色、特質、または活性の存在(または不在)と相関する該物質の一部分を表すのに用いられる。一部の実施形態では、ある物質の特有の部分または特有の特徴は、その物質において、また特定の特色、特質、または活性を共有する関連物質においては見られるが、特定の特色、特質、または活性を共有していない物質には見られない、部分または特徴である。例えば、用語「特有のパンデミック特徴」は、少なくとも一つの参照パンデミック株に見られ、少なくとも一つの非パンデミック株には見られない特徴である。一部の実施形態では、特有のパンデミック特徴は、パンデミック株には一般的に見られるが、非パンデミック株にはほとんど見られない特徴である。同様に、用語「特有の季節性特徴」は、少なくとも一つの参照季節性株に見られ、少なくとも一つの非季節性株には見られない特徴である。一部の実施形態では、特有の季節性特徴は季節性株には一般的に見られるが、非季節性株にはほとんど見られない特徴である。一部の実施形態では、特有の部分または特有の特徴は「特徴的な配列要素」であり、これは、ポリマーに(例えばポリペプチドまたは核酸に)見られる、そのポリマーの特徴的な部分を象徴する配列要素を表すものである。一部の実施形態では、特徴的な配列要素の存在は、ポリマーの特定の活性もしくは特性の存在またはレベルと相関する。一部の実施形態では、特徴的な配列要素の存在(または不在)は、特定のポリマーを、かかるポリマー(例えばパンデミックまたは季節性)の特定のファミリーまたはグループのメンバーである(またはメンバーではない)として定義する。特徴的な配列要素は、典型的には少なくとも二つのモノマー(例えば、アミノ酸またはヌクレオチド)を含む。一部の実施形態では、特徴的な配列要素は、少なくとも2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、またはそれ以上のモノマー(例えば、近接して連結されたモノマー)を含む。一部の実施形態では、特徴的な配列要素は、一つ以上のスペーサー領域(その長さは該配列要素を共有するポリマーによって異なっていても、異なっていなくてもよい)だけ離れて配置された連続するモノマーの少なくとも第一ストレッチと第二ストレッチとを含む。一部の実施形態では、特徴的な配列要素には、一つ以上の推定グリコシル化部位が存在するか、または存在しない。
COBRA(コンピュータ最適化広域反応性抗原:Computationally Optimized Broadly Reactive Antigens)技術:本明細書で使用される場合、用語「コンピュータ最適化広域反応性抗原(Computationally Optimized Broadly Reactive Antigens)」技術または「COBRA」技術は、例えば、特許付与前の特許出願である国際公開第2012/036993号、米国特許出願公開第2015/0030628号、国際公開第2013/119683号、国際公開第2013/148164号、国際公開第2014/085616号、および国際公開第2013/122827号に記載された、改変された組換えインフルエンザHA抗原を設計する方法論および方法、ならびに得られるその化合物を表す。これらの特許出願は、その全体が参照により本明細書に援用される。
相当する:本明細書で使用される場合、用語「相当する」は、対象となるポリペプチド(例えば、HAポリペプチド)におけるアミノ酸残基の位置/同一性を示すのに使用されることが多い。簡略化を目的として、ポリペプチドの残基は多くの場合、基準関連ポリペプチドに基づくカノニカルナンバリングシステムを使用して指定され、それによって、例えば190位の残基に「相当する」アミノ酸は、実際には必ずしも特定のアミノ酸鎖における190番目のアミノ酸である必要はなく、むしろ基準ポリペプチドの190番目に見出される残基に相当するということを、当業者は認識しているであろう。当業者であれば、どのようにして「相当する」アミノ酸を特定するかを、例えば種々の配列アライメントツールを用いることによって容易に認識するものである。
改変:用語「改変」は、本明細書で使用される場合、アミノ酸配列が当業者により設計されたポリペプチド、ならびに/またはその存在および産生が当業者の行為(すなわち、「人の手」)を必要とするポリペプチドを言い表す。例えば、改変HAポリペプチドは、天然のインフルエンザ分離株に見られるHAポリペプチドのアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、改変HAポリペプチドは、NCBIデータベースに含まれるHAポリペプチドのアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を有する。
エピトープ:本明細書で使用される場合、用語「エピトープ」には、免疫グロブリン(例えば、抗体または受容体)結合成分全体または一部によって特異的に認識される任意の部分が含まれる。一部の実施形態では、エピトープは、抗原の複数の化学原子または化学基から構成されている。一部の実施形態では、こうした化学原子または化学基は、抗原が適切な三次元構造をとると、表面が曝露される。一部の実施形態では、こうした化学原子または化学基は、抗原がかかる構造をとると、空間的に互いに物理的に近接する。一部の実施形態では、少なくともいくつかのこうした化学分子または化学基は、抗原が代替の構造をとる(例えば直線化される)と、互いに物理的に離間する。
賦形剤:本明細書で使用される場合、用語「賦形剤」は、例えば、所望の粘稠度または安定効果をもたらすか、これらに寄与するために、医薬組成物に含まれ得る非治療剤を表す。こうした医薬品賦形剤として、例えば、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、穀粉、胡粉、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、タルク、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどが挙げられる。
頭部領域:本明細書で使用される場合、用語「頭部領域」は、改変HAポリペプチドまたは野生型HAポリペプチドのアミノ酸残基59~292(CA09ナンバリング)に含まれるセグメントを表す。形態的に、頭部領域は、HAの球形状のドメインとして定義され得る。
ヘマグルチニン(HA)ポリペプチド:本明細書で使用される場合、用語「ヘマグルチニンポリペプチド」(または「HAポリペプチド」)は、アミノ酸配列がHAの少なくとも一つの特徴的な配列を含むポリペプチドを表す。インフルエンザ分離株由来の様々なHA配列が当該技術分野で既知であり、実際、国立生物工学情報センター(NCBI)は、データベース(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/genomes/FLU/)を整備しており、本出願申請に関しては、そのデータベースにインフルエンザA型(サブタイプH1N1)由来の少なくとも15491個の完全HAポリペプチドが含まれていた(そのうちの6974個は固有のものである)。当業者は、このデータベースを参照して、概してHAポリペプチドの、および/または特定のHAポリペプチド(例えば、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、もしくはH16ポリペプチド、または特定の宿主(例えば、トリ、ラクダ、イヌ、ネコ、ジャコウネコ、環境、ウマ、ヒト、ヒョウ、ミンク、マウス、アザラシ、石、イワツバメ、ブタ、トラ、クジラなど)の感染を媒介するHA)の特徴的な配列を容易に特定することができる。例えば、一部の実施形態では、HAポリペプチドは、インフルエンザウイルスの天然の分離株に見られるHAタンパク質の残基約97~約185の間、約324~約340の間、約96~約100の間、および/または約130~約230の間に見出される一つ以上の特徴的な配列要素を含む。
H1N1 HAポリペプチド:「H1N1 HAポリペプチド」という用語は、本明細書で使用される場合、HAポリペプチドであって、そのアミノ酸配列が、H1N1に特有の、H1N1を他のHAサブタイプと区別する少なくとも一つの配列要素を含むHAポリペプチドである。こうした配列要素の代表的なものは、当業者には理解されるように、アライメントによって決定され得る。
宿主:用語「宿主」は、対象となるポリペプチドが存在する系(例えば、細胞、生物体など)を表すために本明細書で使用されている。一部の実施形態では、宿主は、特定の感染因子の感染に感受性のある系である。一部の実施形態では、宿主は、対象となる特定のポリペプチドを発現する系である。
宿主細胞:本明細書で使用される場合、語句「宿主細胞」は、外来性DNA(組換え、または組換えでない)が導入された細胞を表す。例えば、宿主細胞は、本明細書に記載の改変インフルエンザヘマグルチニンポリペプチドを標準の組換え技術を用いて産生するために用いられ得る。本開示を読む際に、当業者は、こうした用語が、特定の対象の細胞だけでなく、その細胞の子孫を表すことを理解するであろう。特定の修飾が突然変異または環境の影響により後に続く代に生じることがあるため、こうした子孫は、親細胞と同一ではない場合があるが、依然として本明細書で使用される用語「宿主細胞」の範囲内に含まれている。一部の実施形態では、宿主細胞には、外来性DNA(例えば、組換え核酸配列)を発現するのに適した原核細胞または真核細胞が含まれる。細胞の例としては、原核生物および真核生物(単細胞または多細胞)の細胞、細菌細胞(例えば、大腸菌(E.coli)、バチルス属(Bacillus spp.)、ストレプトマイセス属(Streptomyces spp.)などの株)、マイコバクテリア細胞、真菌細胞、酵母細胞(例えば、出芽酵母(S.cerevisiae)、分裂酵母(S.pombe)、ピキア・パストリス(P.pastoris)、ピキア・メタノリカ(P.methanolica)など)、植物細胞、昆虫細胞(例えば、SF-9、SF-21、バキュロウイルス感染昆虫細胞、イラクサギンウワバ(Trichoplusia ni)など)、非ヒト動物細胞、ヒト細胞、または例えば、ハイブリドーマもしくはクアドローマなどの細胞融合体が挙げられる。一部の実施形態では、細胞は、ヒト細胞、サル細胞、類人猿細胞、ハムスター細胞、ラット細胞、またはマウス細胞である。一部の実施形態では、細胞は真核細胞であり、以下の細胞から選択される:CHO(例えば、CHO K1、DXB-11 CHO、Veggie-CHO)、COS(COS-7)、網膜細胞、Vero、CV1、腎臓(例えば、HEK293、293EBNA、MSR293、MDCK、HaK、BHK)、HeLa、HepG2、WI38、MRC5、Colo205、HB8065、HL-60、(例えば、BHK21)、ジャーカット、Daudi、A431(表皮)、CV-1、U937、3T3、L細胞、C127細胞、SP2/0、NS-0、MMT060562、Sertoli細胞、BRL3A細胞、HT1080細胞、骨髄腫細胞、腫瘍細胞、および前述の細胞由来の細胞株。一部の実施形態では、細胞は一つ以上のウイルス遺伝子、例えば、ウイルス遺伝子を発現する網膜細胞(例えば、PER.C6(商標)細胞)を含む。
免疫応答:本明細書で使用される場合、用語「免疫応答」は、B細胞、T細胞、樹状細胞、マクロファージ、または多形核球などの免疫系の細胞の、抗原またはワクチンなどの刺激に対する応答を表す。免疫応答には、例えば、インターフェロンまたはサイトカインを分泌する上皮細胞を含めた、宿主防御応答に関与する部位の任意の細胞が含まれ得る。免疫応答には、以下に限定されないが、生得的免疫応答および/または適応的免疫応答が含まれる。本明細書で使用される場合、防御免疫応答は、対象を感染から防御する(感染を予防する、または感染に関連する疾患の発症を予防する)免疫応答を表す。免疫応答を測定する方法は、当該技術分野で周知であり、例えば、リンパ球(B細胞またはT細胞など)の増殖および/または活性、サイトカインまたはケモカインの分泌、炎症、抗体産生などを測定する方法などがある。
免疫原:本明細書で使用される場合、用語「免疫原」は、適正な条件下で、動物における抗体の産生またはT細胞応答などの免疫応答を刺激することができる、化合物、組成物、または物質を表し、動物に注入されるかまたは吸収される組成物が含まれる。本明細書で使用される場合、「免疫原性組成物」は免疫原(HAポリペプチドなど)を含む組成物である。本明細書で使用される場合、「免疫化」は、例えばワクチン接種によって、対象を感染症から防御するようにすることを意味する。
in vitro:本明細書で使用される場合、用語「in vitro」は、多細胞生物体内ではなく、例えば、試験管または反応容器中、細胞培養液中などの人工的な環境で生じる事象を意味する。
in vivo:本明細書で使用される場合、用語「in vivo」は、ヒト及び非ヒト動物などの多細胞生物体内で生じる事象を意味する。細胞型系の文脈において、該用語は、生細胞内で生じる事象を意味するのに(例えばin vitro系の対語として)使用され得る。
インフルエンザウイルス:本明細書で使用される場合、用語「インフルエンザウイルス」は、オルトミクソウイルス科に属する分節マイナス鎖RNAを表す。
インフルエンザワクチン:本明細書で使用される場合、用語「インフルエンザワクチン」は、免疫応答を刺激することができ、インフルエンザウイルス感染の予防、寛解、または治療のために投与される免疫原性組成物を表す。インフルエンザワクチンとして、例えば、弱毒または死滅(例えば、スプリット)インフルエンザウイルス、ウイルス様粒子(VLP)、および/または抗原ポリペプチド(例えば、本明細書に記載の改変ヘマグルチニン)もしくはそれらに由来するDNA、あるいはこうした免疫原性物質の任意の組換えバージョンが挙げられ得る。
単離された:用語「単離された」は、本明細書で使用される場合、(i)最初に生成された際に(自然界か、または実験的な環境かに関わらず)会合した成分の少なくとも一部から分離されたか、または(ii)人の手によって生成された、作用物質および/または実体を表す。単離された作用物質または実体は、最初に会合した他の成分の、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、またはそれよりも多い量から分離され得る。一部の実施形態では、単離された作用物質は、90%超、91%超、92%超、93%超、94%超、95%超、96%超、97%超、98%超、99%超純粋である。
アウトブレイク:本明細書で使用される場合、インフルエンザウイルスの「アウトブレイク」は、ある年における一国の中でのウイルス分離株の集まりを表す。
パンデミック株または季節性株:「パンデミック」インフルエンザ株は、ヒト集団のパンデミック感染を引き起こしたか、または引き起こすことができる株である。ある場合には、パンデミックとは、新規なウイルスがヒト集団に発生するかまたは「出現」する場合に生じ、重篤疾患を引き起こし、人から人へと世界的規模で容易に蔓延する、疾患の世界的なアウトブレイクのことである。一般に、パンデミック株は、2009年~現在までにまたがり、A/カリフォルニア/07/2009に対する抗原的に類似した遺伝子配列の単一クラスタを形成している。さらに一般的には、パンデミックインフルエンザ株には、ヒトインフルエンザウイルスとトリまたはブタインフルエンザウイルスの間の再結合(およそ20年~30年毎に発生する抗原シフト)から生じ、その結果、ヒトが免疫を持たない、トリ起源またはブタ起源の新規のHAを備えたウイルスとなる株が含まれる。言い換えると、ヒト集団は、ワクチン接種前または曝露前であることから、全くまたはほとんど耐性を持たないために、無感作であると見なされる。パンデミック株および季節性株は、抗原的に別個のものであり、配列毎に全く異なっている。総じて、季節性インフルエンザ株は、1986年~2009年までの循環株(パンデミックではない2009年の配列を含む)として、および抗原領域をコードする実質的に類似の(すなわち、抗原配列空間において類似している)遺伝子配列の他の株として定義され得る。パンデミック株の例として、A/カリフォルニア/07/2009、A/カリフォルニア/04/2009、A/ベルギー/145/2009、 A/サウスカロライナ/01/1918、およびA/ニュージャージー/1976が挙げられる。パンデミックサブタイプとして、特に、H5N1、H2N2、H9N2、H7N7、H7N3、H7N9、およびH10N7のサブタイプが挙げられる。季節性株の例として、A/テキサス/36/1991、A/シンガポール/1986、A/ニューカレドニア/20/1999、A/ソロモン諸島/03/2006、A/ブリズベン/59/2007、およびA/ウィスコンシン/67/2005が挙げられる。
予防:用語「予防」は、本明細書で使用される場合、特定の疾患、障害、または症状(例えば、インフルエンザウイルスの感染)の一つ以上の徴候の、予防、疾患顕在化の回避、発症の遅延、ならびに/または発生頻度および/もしくは重症度の低減を表す。一部の実施形態では、予防は集団に基づいて評価され、ある作用物質が、特定の疾患、障害、または症状を「予防する」と見なされるのは、その疾患、障害、または症状の一つ以上の徴候の、発症、発生頻度、および/または強度が、その疾患、障害、または症状に感受性のある集団で統計的有意に減少した場合である。
受容体結合部位(RBS):本明細書で使用される場合、用語「受容体結合部位」または「RBS」は、インフルエンザHAポリペプチドの頭部領域の隣接アミノ酸残基または非隣接アミノ酸残基を含み、これらの残基は、標的細胞受容体タンパク質へのシアル酸の直接結合に関与するアミノ酸を備えている。受容体結合に関与するHAの領域は、HA三量体の各モノマーの膜遠位端にあり、いくつかの主な構造的特徴を有する。例えば、結合部位は、シアル酸またはグリカン鎖の内部糖と相互作用するアミノ酸を含む「220ループと130ループ」とに隣接している。結合部位の膜遠位領域は190ヘリックスによって形成されており、これは、受容体のシアル酸(残基194)または内部グリカン(残基190および残基193前後)のいずれかで受容体と接触する可能性を有する残基も含んでいる。この部位の塩基は、広範囲な水素結合ネットワークを形成するいくつかの高度に保存された残基を含む。インフルエンザHAポリペプチドの「受容体結合部位」または「RBS」を構成するアミノ酸残基は、シアル酸類似体と複合体を形成しかつアミノ酸残基をその類似体のある一定近くの範囲内で特定する、HAポリペプチドの三次元結晶構造から説明することができるか、または、特定のウイルス株(例えば、A/ニューカレドニア/20/99またはA/カリフォルニア/07/2009)由来のHAポリペプチド配列に関連して説明することができる。したがって、一部の実施形態では、本明細書に記載の改変HAポリペプチドの「受容体結合部位」または「RBS」は、参照HAポリペプチド配列を用いて特定され得る。一部の実施形態では、本明細書に記載の改変HAポリペプチドの「受容体結合部位」または「RBS」は、ヒトおよびトリの受容体類似体(例えば、LSTa、LSTc)と複合したHAポリペプチド配列の結晶構造を用いて特定され得る。LSTcと複合したHAポリペプチド配列の参照結晶構造の例として、A/プエルトリコ/8/1934(H1N1)pdb|1RVZが挙げられる。一部の実施形態では、RBSは広範に中和するモノクローナル抗体CH65に結合するエピトープとして定義され得る(例えば、Whittle JR,et al.Broadly neutralizing human antibody that recognizes the receptor-binding pocket of influenza virus hemagglutinin.Proc Natl Acad Sci USA.2011;108:14216-21を参照)。あるいはまたは加えて、RBSは、(CA09 09ナンバリング)の167位に相当する全般的に保存されたトリプトファンの15オングストローム以内にある全てのアミノ酸残基を含む領域として定義され得る(例えば、Xu,R et al.Nat Struct Mol Biol.2013 Mar;20(3):363-70を参照)。
組換え:本明細書で使用される場合、用語「組換え」は、組換え手段によって、設計、改変、調製、発現、作製、または単離されたポリペプチド(例えば、本明細書に記載のHAポリペプチド)を表すことが意図され、例えば、宿主細胞にトランスフェクトされた組換え発現ベクターを用いて発現したポリペプチド、組換えコンビナトリアルポリペプチドライブラリから単離されたポリペプチド、または選択された配列要素を相互にスプライシングすることに関わる任意の他の手段によって、調製、発現、作製、もしくは単離されたポリペプチドなどがある。一部の実施形態では、こうした選択された配列要素の一つ以上が自然界で見つけられている。一部の実施形態では、こうした選択された配列要素の一つ以上がin silicoで設計されている。一部の実施形態では、一つ以上のこうした選択された配列要素は、既知の配列要素(例えば、天然起源または合成起源由来)の突然変異誘発(例えば、in vivoまたはin vitro)から生じる。一部の実施形態では、一つ以上のこうした選択された配列要素は、同一のポリペプチド内で天然には存在していない複数(例えば、二つ以上)の既知の配列要素(例えば、二つの異なるHAポリペプチド由来の二つのエピトープ)の組み合わせから生じる。
組換えインフルエンザワクチン:本明細書で使用される場合、用語「組換えインフルエンザワクチン」は、本明細書に記載の改変インフルエンザヘマグルチニンを含むインフルエンザ特異的免疫原性組成物を表し、以下に限定されないが、インフルエンザウイルス、そのサブユニット調製物、ウイルス様粒子、組換えタンパク質(すなわち、様々な程度に精製された組換えHAから構成される調製物)、DNAベクターまたはウイルスベクターに基づくワクチンを含むものである。本明細書に記載の組換えインフルエンザワクチンは、任意選択的に一つ以上のアジュバントを含んでもよい。
組換えヘマグルチニンポリペプチド:本明細書で使用される場合、用語「組換えヘマグルチニン(HA)ポリペプチド」は、任意の修飾されたヘマグルチニンポリペプチドを表す。特に、この用語は、さらに修飾または改変されたヘマグルチニンポリペプチドを表す。
特異性:当該技術分野で知られているように、「特異性」は、特定のリガンド(例えば、抗体、HAポリペプチドなど)が、その結合パートナー(例えば、抗原、ヒトHA受容体、特にヒト上気道HA受容体)を他の可能性のある結合パートナー(例えば、トリHA受容体)から区別する能力の尺度である。
ステム領域:本明細書で使用される場合、用語「ステム領域」または「ストーク領域」は、改変HAポリペプチドまたは野生型HAポリペプチドの不連続領域であって、アミノ酸残基18~58、および293~519(CA09ナンバリング)前後を含む領域を表し得る。形態的に、ステム領域は、球状頭部から生じる伸長ドメインとして定義されてもよい。
対象:本明細書中で使用される場合、用語「対象」は、ヒトを含む任意の哺乳動物を意味する。本発明の特定の実施形態では、対象は、成人、青年、または未成年者である。一部の実施形態では、用語「個体」または「患者」が用いられ、「対象」と交換可能であることが意図される。本発明によって企図されるのは、医薬組成物の投与および/または子宮内での処置方法の実施である。
実質的:本明細書で使用される場合、用語「実質的」は、関心対象の特徴または特性の全てもしくはほぼ全ての範囲または程度を示す、定性的な状態を意味する。生物学分野の当業者であれば、生物学的及び化学的な現象が、完了すること及び/もしくは完了の域に到達すること、または絶対的な結果を達成もしくは回避することが、仮にあったとしても稀であることを理解するであろう。したがって、用語「実質的」は、本明細書において、多くの生物学的及び化学的現象に固有の潜在的な完全性の欠如を捉えるのに用いられる。
実質的に類似:本明細書で使用される場合、用語「実質的に類似」は、二つの実体の間の比較を表す。一般的に、実体は、一つ以上のさらなる特質または特徴を共有する同程度の尤度を持つのに十分な構造的類似性(例えば、特有の構造的特徴)を共有している場合に、互いに「実質的に類似」であると見なされる。一例を挙げると、例えば、特徴的なグリコシル化部位のパターンは、二つのインフルエンザ株間で同一であるかまたは十分類似しており、各株のヒトパンデミックリスクが同一になる。
実質的配列相同性:本明細書では、「実質的相同性」という句は、アミノ酸または核酸配列間の比較を指すために使用される。当業者には理解されるように、二つの配列は、それらが対応する位置に相同残基を含む場合、一般的に「実質的に相同」であると考えられる。相同残基は同一残基であってもよい。代替的に、相同な残基は、非同一の残基であってもよく、構造的特徴および/または機能的特徴が適切に類似である。例えば、当業者には周知のとおり、ある特定のアミノ酸は、「疎水性」または「親水性」アミノ酸として、及び/または「極性」または「非極性」の側鎖を有するものとして分類されるのが典型的である。一つのアミノ酸を同じタイプの別のアミノ酸へと置換することは、「相同的」置換と見なされ得ることが多い。一般的なアミノ酸分類を表1および表2にまとめている。
Figure 0007110119000001
Figure 0007110119000002
この技術分野でよく知られているように、アミノ酸配列または核酸配列は、ヌクレオチド配列のBLASTN、およびアミノ酸配列のBLASTP、ギャップドBLAST、およびPSI-BLASTなどの市販のコンピュータプログラムで利用可能なものを含む様々なアルゴリズムのいずれかを用いて比較することができる。こうしたプログラムの例は、Altschul,et al.,Basic local alignment search tool,J.Mol.Biol.,215(3):403-410,1990;Altschul,et al.,Methods in Enzymology;Altschul,et al.,“Gapped BLAST and PSI-BLAST:a new generation of protein database search programs”,Nucleic Acids Res.25:3389-3402,1997;Baxevanis,et al.,Bioinformatics :A Practical Guide to the Analysis of Genes and Proteins,Wiley,1998;and Misener,et al.,(eds.),Bioinformatics Methods and Protocols(Methods in Molecular Biology,Vol.132),Humana Press,1999に記載されており、この前述した文献の全てが参照により本明細書に援用される。相同配列を同定することに加えて、上記のプログラムは、典型的には、相同性の程度の指標を提供する。一部の実施形態では、二つの配列は、それらの対応する残基のうちの少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、またはそれ以上が、残基の関連ストレッチにわたって相同である場合、実質的に相同であると見なされる。いくつかの実施形態では、関連ストレッチは完全なシーケンスである。一部の実施形態では、関連ストレッチは、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個、少なくとも50個、少なくとも55個、少なくとも60個、少なくとも65個、少なくとも70個、少なくとも75個、少なくとも80個、少なくとも85個、少なくとも90個、少なくとも95個、少なくとも100個、少なくとも125個、少なくとも150個、少なくとも175個、少なくとも200個、少なくとも225個、少なくとも250個、少なくとも275個、少なくとも300個、少なくとも325個、少なくとも350個、少なくとも375個、少なくとも400個、少なくとも425個、少なくとも450個、少なくとも475個、少なくとも500個、またはそれ以上の残基である。
実質的同一性:「実質的同一性」または「実質的同一」という語句は、アミノ酸配列間または核酸配列間の比較を表すのに本明細書で使用される。当業者には理解されるように、二つの配列は、それらが対応する位置に同一の残基を含む場合、一般に「実質的に同一」であると考えられる。この技術分野でよく知られているように、アミノ酸配列または核酸配列は、ヌクレオチド配列のBLASTN、およびアミノ酸配列のBLASTP、ギャップドBLAST、およびPSI-BLASTなどの市販のコンピュータプログラムで利用可能なものを含む様々なアルゴリズムのいずれかを用いて比較することができる。こうしたプログラムの例は、Altschul,et al.,Basic local alignment search tool,J.Mol.Biol.,215(3):403-410,1990;Altschul,et al.,Methods in Enzymology;Altschul et al.,Nucleic Acids Res.25:3389-3402,1997;Baxevanis et al.,Bioinformatics :A Practical Guide to the Analysis of Genes and Proteins,Wiley,1998;and Misener,et al.,(eds.),Bioinformatics Methods and Protocols(Methods in Molecular Biology,Vol.132),Humana Press,1999に記載されている。同一の配列を同定することに加えて、上記のプログラムは、典型的には、同一性の程度の指標を提供する。いくつかの実施形態では、少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上のそれらの対応する残基が、関連ストレッチの残基にわたって同一である場合、二つの配列は実質的に同一であると考えられる。いくつかの実施形態では、関連ストレッチは完全なシーケンスである。いくつかの実施形態では、関連ストレッチは、少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500またはそれ以上の残基を含む。HAポリペプチドの文脈では、「実質的同一性」については、参照HAポリペプチド(またはHAエピトープ)のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、好ましくは少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有するHAポリペプチド(またはHAエピトープ)を表すのが典型的である。
ワクチン接種:本明細書で使用される場合、「ワクチン接種」または「ワクチン接種する」という用語は、例えば、疾患を引き起こす作用物質に対して、免疫応答を生じさせるように意図された組成物の投与を表す。ワクチン接種は、疾患を引き起こす作用物質および/または一つ以上症状の発現に曝される前、曝されている間、および/または曝された後に受けることができ、一部の実施形態では、作用物質に曝される前、曝されている間、および/または曝された直後に受けることができる。一部の実施形態では、ワクチン接種には、適切に時間間隔をあけた、ワクチン接種組成物の複数回の投与が含まれる。
ウイルス様粒子(VLP):本明細書で使用される場合、「ウイルス様粒子」または「VLP」という語句は、ウイルスに類似しているが、いかなるウイルスの遺伝物質を含まず、それゆえに感染性ではない粒子を表す。「ウイルス様粒子」または「VLP」は、哺乳類細胞株、昆虫細胞株、酵母細胞および植物細胞を含めた種々の細胞培養系における異種発現により産生され得る。さらに、VLPは、当該技術分野で既知の方法によって精製され得る。一部の実施形態では、本明細書に記載のインフルエンザVLPは、ヘマグルチニン(HA)ポリペプチドとノイラミニダーゼ(NA)ポリペプチドとを含む。一部の実施形態では、本明細書に記載のインフルエンザVLPは、HAポリペプチド、NAポリペプチド、および/またはウイルス構造ポリペプチド(例えば、インフルエンザM1などのインフルエンザ構造タンパク質など)を含む。一部の特定の実施形態では、本明細書に記載のインフルエンザVLPは、HAポリペプチド、NAポリペプチド、および/またはM1ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本明細書に記載のインフルエンザVLPは、HAポリペプチド、NAポリペプチド、および/またはHIVgagポリペプチドを含む。当業者が認識するように、他のウイルス構造タンパク質が、本明細書に例示したタンパク質の代替物として使用されてもよい。インフルエンザVLPは、HAタンパク質とNAタンパク質とをコードし、また任意選択的にHIVgagタンパク質をコードするプラスミドを用いて、宿主細胞(例えば、哺乳類細胞)のトランスフェクションによって生成することができる。タンパク質の発現を可能にするのに適正な時間の間(およそ72時間の間など)トランスフェクトされた細胞をインキュベートした後に、VLPを細胞培養上清から単離することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載のインフルエンザVLPは、哺乳類細胞(例えば、ヒト細胞)において一過性トランスフェクションによって産生される。一部の実施形態では、インフルエンザVLPは、一つ以上のアッセイを使用して分析される。いくつかの例を挙げると、ヘマグルチニン活性、動的光散乱、およびヘマグルチニン含有量の定量化に関して、タンパク質染色によりインフルエンザVLPを分析することができる。本開示を考察すれば、他のアッセイが当業者に容易に明らかになるであろう。
野生型:当該技術分野で理解されるように、語句「野生型」は、天然に見られる通りのタンパク質または核酸の正常型を表すのが一般的である。例えば、野生型HAポリペプチドは、インフルエンザウイルスの天然の分離株の中に見られる。種々の異なる野生型HA配列を、NCBIインフルエンザウイルス配列データベース(ワールドワイドウェブ経由でncbi.nlm.nih.gov/genomes/FLU/FLUにて利用可能)で見つけることができる。
(発明を実施するための形態)
本発明は、特に、免疫プロファイルを変更し、多種インフルエンザ株に対する交差反応性を増加させるように、改変HAポリペプチドを修飾する方法を提供する。本発明の実施形態は、パンデミック株を適用範囲に含むように季節性応答プロファイルを拡張すべく、HAポリペプチドを改変するための様々な戦略を提供する。一部の実施形態では、この戦略は、別の免疫原性プロファイルを備えたHAポリペプチド由来の配列に基づいて、宿主HAポリペプチドの受容体結合部位(RBS)の近傍に修飾を導入するように策定されている。同様の戦略を用いて、季節性株を適用範囲に含むようにパンデミック応答プロファイルを拡張することもできる。
HAポリペプチドは、特定の免疫原性応答プロファイルを誘発するように改変されてもよい。言い換えると、改変HAポリペプチドを得るために使用される様々な設計戦略が、支配的循環季節性(すなわち、地方特有の)インフルエンザ株および/もしくは過去のインフルエンザ株もしくはパンデミックインフルエンザ株に対する有意な免疫応答(例えば、中和抗体応答)を誘発するHAポリペプチドをもたらすように選択され得るか、またはもたらすことになり得る。したがって、用語「季節性応答プロファイル」は、パンデミックインフルエンザ株よりもむしろ季節性インフルエンザ株に対する交差中和抗体を生じさせる組換えHAポリペプチドを述べるのに用いられ得る。総じて、季節性インフルエンザ株は、1986年~2009年までの循環株(パンデミックではない2009年の配列を含む)として、および抗原領域をコードする実質的に類似の(すなわち、抗原配列空間において類似している)遺伝子配列の他の株として定義され得る。特定の例として、A/ニューカレドニア/20/1999とA/ウィスコンシン/67/2005とが挙げられる。このように、「季節性応答プロファイル」は、一つ以上の季節性インフルエンザ株に対するものであり、標準的なパンデミック株A/カリフォルニア/07/2009に対するものではない、交差中和抗体を生じさせる組換えHAポリペプチドを述べるのに用いられ得る。同様に、用語「パンデミック応答プロファイル」は、季節性インフルエンザ株よりもむしろパンデミックインフルエンザ株に対する交差中和抗体を生じさせる組換えHAポリペプチドを述べるのに用いることができ、「パンデミック応答プロファイル」は、一つ以上のパンデミックインフルエンザ株に対するものであり、標準的な季節性株A/ニューカレドニア/20/1999に対するものではない、交差中和抗体を生じさせる組換えHAポリペプチドを述べるのに用いることができる。一般に、パンデミック株は、2009年~現在までにまたがり、A/カリフォルニア/07/2009に抗原的に類似した配列の単一クラスタを形成している。さらに一般的には、パンデミックインフルエンザ株には、ヒトインフルエンザウイルスとトリまたはブタインフルエンザウイルスの間の再結合(およそ20年~30年毎に発生する抗原不連続変異)から生じ、その結果、ヒトが免疫を持たない、トリ起源またはブタ起源の新規のHAを備えたウイルスとなる株が含まれる。言い換えると、ヒト集団は、ワクチン接種前または曝露前であることから、全くまたはほとんど耐性を持たないために、無感作であると見なされる。したがって、パンデミック株として、A/サウスカロライナ/01/1918とA/ニュージャージー/1976とが挙げられ、これらは、配列または抗原距離が、カリフォルニア2009の配列クラスタとは異なるものである。パンデミックサブタイプとして、特に、H5N1、H2N2、H9N2、H7N7、H7N3、H7N9、およびH10N7のサブタイプが挙げられる。
本明細書に記載の修飾を用いて、免疫原性プロファイルをさらに調整するかまたは最適化させることができ、その結果、改変HAポリペプチドが再設計されて、ある程度の季節性株に対する抗体を誘発する(または、改良されたか、もしくはさらなる抗季節性の抗体応答を示す)か、またはある程度のパンデミック株に対する抗体を誘発する(または、改良されたか、もしくは抗パンデミックの抗体応答を示す)。したがって、これらの修飾は、抗原的に別個の株の配列クラスタ(またはクレード)にわたって免疫プロファイルを拡張する。これらの修飾を改変組換えHA分子に適用することができ、その結果、抗原不連続変異から生じる新規なパンデミック株に対する免疫応答を誘発するようになる(すなわち、遺伝子配列空間で離間している抗原的に別個の株を、長期のスケジュールにわたって適用範囲に含むようになる)。これらの修飾を、比較的短い期間にわたって生じる遺伝子変化に対処するために適用することもでき、その結果、改変HAポリペプチドが、抗原変異した循環季節性株に対する免疫応答(例えば、改良された季節性応答)を誘発することによって、効果が継続する。特定の実施形態では、本明細書に記載の修飾を用いて:(1)パンデミック様の改変HAポリペプチド(すなわち、パンデミック応答プロファイル)の適用範囲(すなわち、中和免疫応答を誘発する能力)を、一つ以上の季節性株(すなわち、さらなる季節性免疫プロファイル)まで拡張し;(2)季節性様の改変HAポリペプチドの適用範囲を任意のパンデミック株まで拡張し(抗原変異に対処し);(3)季節性様のHAポリペプチドの適用範囲を、任意の他の抗原的に別個の季節性株(すなわち、抗原不連続変異に対処する改良された季節性免疫プロファイル)まで拡張することができる。
本発明の様々な態様は、以下の小節でさらに詳細に説明される。小節の使用は、本発明を限定することを意味するものではない。各小節は、本発明の任意の態様に適用することができる。本出願において、「または」の使用は、他に記載がない限り、「および/または」を意味する。
本発明は、記載された特定の方法および実験条件に限定されるものではないが、それはこうした方法および条件が異なる場合があるからである。また、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲のみによって制限されるため、本明細書で使用する用語は、単に特定の実施形態を説明する目的のためのものであり、特に記載されない限り、制限を意図するものではないことが理解されるべきである。
特に明記しない限り、本明細書で使用される全ての技術的用語および語句ならびに科学的用語および語句は、当業者によって一般に理解されるものと同一の意味を有する。本明細書に記載の方法および材料と類似または同等の任意の方法および材料を、本発明の実施または試験に使用することができるが、好ましい方法および材料をこれから記述する。本明細書で述べた全ての刊行物は、参照により本明細書に援用される。
組換えDNA、オリゴヌクレオチド合成、組織培養、および形質転換(例えば、エレクトロポレーション、リポフェクション)に対しては、標準的な技術を用いることができる。酵素反応および精製技術は、製造業者の説明書に従って、または当該技術分野において一般に実施される通りに、または本明細書に記載する通りに、実施することができる。上述の技術および手順は、概して、当該技術分野において周知の従来の方法に従って、また本明細書全体を通して引用し論じる種々の一般的かつより具体的な参考文献に記載の通りに、実施することができる。例えば、 Sambrook et al.Molecular Cloning:A Laboratory Manual(2d ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1989))を参照されたく、この文献は、いかなる目的に対しても参照によって本明細書に援用される。
改変HAポリペプチド
本発明を用いて、種々の組換え技術を使用して生成される任意のHAポリペプチドを含めた任意の改変ヘマグルチニン(HA)ポリペプチドを修飾することができる。本発明の実施形態を、当業者によって使用される任意の方法の産物に適用して、ワクチン目的のための改良した特性を備えたHAポリペプチドを生成することができる。本発明の実施形態で使用するための改変HAポリペプチドを生成するのに適用可能な方法には、COBRA(コンピュータ最適化広域反応性抗原:computationally optimized broadly reactive antigens)技術、モザイク技術、逆行遺伝学、タンパク質工学、インフルエンザ株のインフルエンザコンセンサス配列ベースの組み合わせ、構造ドメインの欠失および/もしくは再配列、ドメインスワッピング、または複数のインフルエンザ株に含まれる中和エピトープもしくは交差反応性エピトープの組み合わせによる、HA改変ポリペプチドの生成が含まれる。これらの先行の検討には、米国仮特許出願第62/005,670号、国際公開第2012/177760号、国際公開第2013/148164号、米国特許出願公開第20140147459号、国際公開第2013/043729号、米国特許出願公開第20140286981号、米国特許出願公開第2014-0050759号、米国特許第8685410号、国際公開第2015/028478号、米国特許出願公開第2010-0074915号に記載のものが含まれ、これらの各々は参照により本明細書に援用される。
しかしながら、これらの技術では、意図的であってもなくても、季節性株またはパンデミック株のいずれかに偏っている免疫原性プロファイルを有するHAポリペプチドが得られることが多い。HAポリペプチドの免疫原性プロファイルは、HAポリペプチドで免疫化することにより誘導される中和抗体のスペクトルとして定義され得る。典型的には、HAポリペプチドは、季節性もしくは支配的季節性の免疫プロファイル、またはパンデミックもしくは支配的パンデミックの免疫プロファイル、またはバランスの取れた免疫プロファイルを有することができる。特に、本発明を用いて、改変HAポリペプチドの免疫原性プロファイルを、インフルエンザウイルスの季節性株とパンデミック株の両方に対する中和抗体を誘発できるように改良することができるか、または季節性株および/もしくはパンデミック株に対する中和抗体の質もしくは量を改良することができる。一部の実施形態では、本発明を使用して、バランスの取れた免疫原性プロファイルを有するように改変HAポリペプチドを改良することができる。同様に、本発明の実施形態を使用して、ある程度の季節性またはある程度のパンデミックとなるように、バランスの取れた免疫プロファイルを備えたHAポリペプチドの免疫プロファイルを変更することができる。
本明細書で使用される場合、中和抗体という用語は、特定の抗原(免疫原)による刺激に応じて、ヒトまたは他の動物のBリンパ球細胞が産生する免疫グロブリン分子を表す。例えば、中和抗体は、インフルエンザHAポリペプチドにより誘導され得る。特定のHAポリペプチドにより誘導される中和抗体は、典型的には、その特定のインフルエンザHAポリペプチドを含むインフルエンザウイルス、またはある共通の免疫原性特徴を共有する関連HAポリペプチドを含むインフルエンザウイルスを中和する(例えば、感染性を阻止する)ことができる。
本明細書で使用される場合、季節性または支配的季節性の免疫プロファイルを備えたHAポリペプチドは、インフルエンザの一つ以上の季節性株に対する免疫応答を誘発する(例えば、中和抗体を誘発する)HAポリペプチドである。一部の実施形態では、季節性または支配的季節性の免疫プロファイルを備えたHAポリペプチドは、少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、または10個の季節性インフルエンザ株を中和することができる抗体を誘発する。一部の実施形態では、季節性または支配的季節性の免疫プロファイルを備えたHAポリペプチドは、2個以上の季節性循環インフルエンザ株を中和することができる抗体を誘発する。一部の実施形態では、支配的季節性免疫プロファイルを備えたHAポリペプチドは、インフルエンザのパンデミック株を中和しない抗体を誘発するHAポリペプチドである。一部の実施形態では、季節性または支配的季節性の免疫プロファイルを備えたHAポリペプチドは、A/カリフォルニア/07/2009を中和しない抗体を誘発する。一部の実施形態では、季節性または支配的季節性の免疫プロファイルを備えたHAポリペプチドは、パンデミックインフルエンザ株に比べて、より多くのまたは実質的により多くの季節性インフルエンザ株を中和することができる抗体を誘発する。一部の実施形態では、季節性または支配的季節性の免疫プロファイルを備えたHAポリペプチドは、パンデミックインフルエンザ株よりも少なくとも2個、3個、4個、5個など、6個、7個、8個、9個、または10個多くの季節性インフルエンザ株を中和することができる抗体を誘発する。一部の実施形態では、季節性または支配的季節性の免疫プロファイルを備えたHAポリペプチドは、パンデミック株に比べて2個以上の季節性循環インフルエンザ株で中和することができる抗体を誘発するHAポリペプチドである。
本明細書で使用される場合、パンデミックまたは支配的パンデミックの免疫プロファイルを備えたHAポリペプチドは、インフルエンザの一つ以上のパンデミック株に対する免疫応答を誘発する(例えば、中和抗体を誘発する)HAポリペプチドである。特に、パンデミックまたは支配的パンデミックの免疫プロファイルを備えたHAポリペプチドは、A/カリフォルニア/07/2009を中和することができる抗体を誘発するHAポリペプチドである。一部の実施形態では、パンデミックまたは支配的パンデミックの免疫プロファイルを備えたHAポリペプチドは、A/カリフォルニア/07/2009、A/サウスカロライナ/01/1918、A/ニュージャージー/1976、または本明細書に定義された任意の他のパンデミックインフルエンザ株のうちの一つ以上を中和することができる抗体を誘発するHAポリペプチドである。一部の実施形態では、パンデミックまたは支配的パンデミックの免疫プロファイルを備えたHAポリペプチドは、少なくとも1個、2個、3個、4個、5個などのパンデミックインフルエンザ株を中和することができる抗体を誘発する。一部の実施形態では、パンデミックまたは支配的パンデミックの免疫プロファイルを備えたHAポリペプチドは、二つ以上のパンデミックインフルエンザ株を中和することができる抗体を誘発する。一部の実施形態では、パンデミックまたは支配的パンデミックの免疫プロファイルを備えたHAポリペプチドは、インフルエンザの季節性株を中和しない抗体を誘発するHAポリペプチドである。一部の実施形態では、パンデミックまたは支配的パンデミックの免疫プロファイルを備えたHAポリペプチドは、A/ニューカレドニア/20/1999を中和しない抗体を誘発する。一部の実施形態では、パンデミックまたは支配的パンデミックの免疫プロファイルを備えたHAポリペプチドは、季節性インフルエンザ株に比べて、より多くのパンデミックインフルエンザ株を中和することができる抗体を誘発する。一部の実施形態では、パンデミックまたは支配的パンデミックの免疫プロファイルを備えたHAポリペプチドは、季節性インフルエンザ株よりも少なくとも2個、3個、4個、5個などのより多くのパンデミックインフルエンザ株を中和することができる抗体を誘発する。一部の実施形態では、パンデミックまたは支配的パンデミックの免疫プロファイルを備えたHAポリペプチドは、季節性株に比べて二つ以上のパンデミック株を中和することができる抗体を誘発するHAポリペプチドである。
本明細書で使用される場合、バランスの取れた免疫プロファイルを備えたHAポリペプチドは、季節性株とパンデミック株の両方を中和することができる抗体を誘発するHAポリペプチドである。一部の実施形態では、バランスの取れた免疫プロファイルを備えたHAポリペプチドは、少なくとも1個、2個、3個、4個、または5個の季節性株(例えば、A/ニューカレドニア/20/1999)と、A/カリフォルニア/07/2009、A/サウスカロライナ/01/1918、A/ニュージャージー/1976、または本明細書に記載の任意の他のパンデミック株のうちの一つ以上とを中和することができる抗体を誘発するHAポリペプチドである。一部の実施形態では、バランスの取れた免疫プロファイルを備えたHAポリペプチドは、少なくとも1個、2個、3個、4個、または5個の季節性株と、A/カリフォルニア/07/2009とを中和することができる抗体を誘発するHAポリペプチドである。一部の実施形態では、バランスの取れた免疫プロファイルを備えたHAポリペプチドは、A/ニューカレドニア/20/1999と、A/カリフォルニア/07/2009とを中和することができる抗体を誘発するHAポリペプチドである。一部の実施形態では、バランスの取れた免疫プロファイルを備えたHAポリペプチドは、実質的同じ数の季節性株とパンデミック株とを中和することができる抗体を誘発するHAポリペプチドである。例えば、バランスの取れた免疫プロファイルを備えたHAポリペプチドにより誘発される抗体によって中和される季節性株とパンデミック株の数の差は、1個以下、2個以下、3個以下、4個以下、または5個以下である。
本明細書で使用される場合、「免疫原性プロファイルを改良する」、「免疫プロファイルの幅を広げる」、「さらにバランスの取れた免疫プロファイル」、「偏りの少ない免疫プロファイル」、「より多くの季節性」、「より少ない季節性」、「より多くのパンデミック」、「より少ないパンデミック」、または文法的等価物は、本明細書に記載される修飾前の親HAポリペプチドなどの参照HAポリペプチドのスペクトルと比較した場合の、修飾されたHAポリペプチドにより生じた中和抗体のスペクトルを示す。
免疫原性プロファイルを変更する改変HAの修飾
本発明の実施形態を用いて、改変HAポリペプチドの免疫原性プロファイルを修正または変更することができ、詳細には、改変HAポリペプチドが免疫応答(例えば、中和抗体応答)を誘発することができる対象となるインフルエンザ株の多様性を拡充することができる。一部の実施形態では、本発明の方法は、循環インフルエンザ株に含まれる配列変異のin silico分析から推定した、抗原領域のマッピングから推定した、ならびに/または異なるまたは別個の免疫プロファイルを備えたHAポリペプチドと比較した場合のHAペプチドのエピトープパターンおよび構造分析から推定した修飾に基づくものである。既知の免疫プロファイルを備えたHAポリペプチドの種々のアミノ酸残基位置および/または特定の領域で、標的修飾を、別の免疫プロファイルを備えたHAポリペプチド由来の対応する配列に基づいて導入することで、改良され、よりバランスの取れた免疫プロファイルを備えた新規のHAポリペプチドを得ることができる。修飾の位置、種類、および数を選択し、組み合わせて、特定の免疫応答を誘発するように調整された免疫原性プロファイル(例えば、バランスの取れた免疫プロファイル、パンデミック株に対する改良された「より多くのパンデミック」応答など)を有する再設計されたHAポリペプチドを生成することができる。一部の実施形態では、修飾戦略は、受容体結合部位(RBS)の近傍領域において操作された修飾を持つ宿主HAポリペプチドのRBSの特定の残基を、総じて保持するように策定されている。修飾戦略の例を以下に説明する。
特に明記しない限り、標的HAポリペプチドにおける修飾(例えば、アミノ酸の置換、欠失、または挿入)の特定の位置は、以下(CA09ナンバリング)に示すA/カリフォルニア/07/2009(H1N1)HAポリペプチド配列を参照して決定される:
MKAILVVLLYTFATANADTLCIGYHANNSTDTVDTVLEKNVTVTHSVNLLEDKHNGKLCKLRGVAPLHLGKCNIAGWILGNPECESLSTASSWSYIVETPSSDNGTCYPGDFIDYEELREQLSSVSSFERFEIFPKTSSWPNHDSNKGVTAACPHAGAKSFYKNLIWLVKKGNSYPKLSKSYINDKGKEVLVLWGIHHPSTSADQQSLYQNADAYVFVGSSRYSKKFKPEIAIRPKVRXXEGRMNYYWTLVEPGDKITFEATGNLVVPRYAFAMERNAGSGIIISDTPVHDCNTTCQTPKGAINTSLPFQNIHPITIGKCPKYVKSTKLRLATGLRNIPSIQSRGLFGAIAGFIEGGWTGMVDGWYGYHHQNEQGSGYAADLKSTQNAIDEITNKVNSVIEKMNTQFTAVGKEFNHLEKRIENLNKKVDDGFLDIWTYNAELLVLLENERTLDYHDSNVKNLYEKVRSQLKNNAKEIGNGCFEFYHKCDNTCMESVKNGTYDYPKYSEEAKLNREEIDGVKLESTRIYQILAIYSTVASSLVLVVSLGAISFWMCSNGSLQCRICI(配列番号2)
改変頭部領域の融合
一部の実施形態では、改変HAポリペプチドの免疫原性プロファイルを変更する方法は、既知の免疫プロファイルを備えたHAポリペプチドの球状頭部の構造的に規定された領域を、別の免疫プロファイルを備えたHAポリペプチドのステム領域に融合することに基づいている。例えば、本発明の方法は、既知の免疫プロファイルを備えた改変HAポリペプチドの頭部領域を選択することと、改変HAポリペプチドの選択された頭部領域で、別の免疫原性プロファイルを備えたHAポリペプチドの対応する頭部領域を置換することと、を含み得る。一部の実施形態では、支配的季節性免疫プロファイルを備えた改変HAポリペプチドの選択された頭部領域は、支配的パンデミック免疫プロファイルを備えたHAポリペプチドのステム領域に融合され得る。逆に、一部の実施形態では、支配的パンデミック免疫プロファイルを備えた改変HAポリペプチドの選択された頭部領域が、支配的季節性免疫プロファイルを備えたHAポリペプチドのステム領域に融合されてもよい。
一部の実施形態では、既知の免疫プロファイルを備えたHAポリペプチドの球状頭部の構造的に規定された領域が、別の免疫プロファイルを備えたHAポリペプチドの領域であって、別の免疫プロファイルを備えたHAポリペプチドのステム領域と頭部領域の一部とを含む領域に、融合されている。他の実施形態では、既知の免疫プロファイルを備えたHAの全球状ドメインが、別の免疫学的プロファイルを備えたHA分子のステム領域に融合されている。一般的に、融合に適した頭部領域は、得られた完全長ハイブリッド分子の構造的完全性を確実に保持するように選択される。典型的には、適正な頭部領域は、HAポリペプチドの受容体結合部位(RBS)を保持するように選択される。HAポリペプチドのRBSは、通例、CH65抗体によって認識されるエピトープとして定義され得る(例えば、Whittle JR,et al.Proc Natl Acad Sci USA.2011;108:14216-21を参照)。あるいは、RBSは、167位(CA09ナンバリング)に相当する普遍的に保存されたトリプトファンの15オングストローム以内にある全てのアミノ酸残基を含めた領域として定義され得る(例えば、Xu,R et al.Nat Struct Mol Biol.2013 Mar;20(3):363-70を参照)。RBSを含むかまたはRBSからなる好適な頭部領域は、ステム受容体に融合するために、二次構造の保持、切り離されたRBSのコンパクトな球状形態の保持、および受容ステム分子におけるドナーRBS統合の際の界面接触の保持を踏まえて選択され得る。融合に適した支配的季節性免疫プロファイルを備えた改変HAポリペプチドから選択される頭部領域の非限定的な例について、実施例1で説明している。一部の実施形態では、支配的季節性免疫プロファイルを備えたHAポリペプチドは、配列番号1に示すアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を有する。
MKAKLLVLLCTFTATYADTICIGYHANNSTDTVDTVLEKNVTVTHSVNILEDSHNGKLCLLKGIAPLQLGNCSVAGWILGNPECELLISKESWSYIVEKPNPENGTCYPGYFADYEELREQLSSVSSFERFEIFPKESSWPNHTVTGVSASCSHNGKSSFYRNLLWLTGKNGLYPNLSKSYANNKEKEVLVLWGVHHPPNIGDQRALYHTENAYVSVVSSHYSRRFTPEIAKRPKVRDQEGRINYYWTLLEPGDTIIFEANGNLIAPWYAFALSRGFGSGIITSNAPMDKCDAKCQTPQGAINSSLPFQNVHPVTIGECPKYVRSAKLRMVTGLRNIPFIQSRGLFGAIAGFIEGGWTGMVDGWYGYHHQNEQGSGYAADQKSTQNAINGITNKVNSVIEKMNTQFTAVGKEFNKLERRMENLNKKVDDGFLDIWTYNAELLVLLENERTLDFHDSNVKNLYEKVKSQLKNNAKEIGNGCFEFYHKCNDECMESVKNGTYDYPKYSEESKLNREKIDGVKLESMGVYQILAIYSTVASSLVLLVSLGAISFWMCSNGSLQCRICI(配列番号1)
一部の実施形態では、好適な頭部領域は、配列番号1の残基63~278、125~277、または135~269に相当するアミノ酸配列を含むように選択される。本明細書で使用される場合、用語「相当する」は、対象となるHAポリペプチドにおけるアミノ酸残基の位置/同一性を示すのに使用される。簡略化を目的として、HAポリペプチドの残基は、基準関連ポリペプチドに基づくカノニカルナンバリングシステムを使用して指定され、それによって、例えば63位の残基に「相当する」アミノ酸は、実際には必ずしも特定のアミノ酸鎖における63番目のアミノ酸である必要はなく、むしろ基準ポリペプチドの63番目に見出される残基に相当するということを、当業者は認識しているであろう。当業者であれば、どのようにして「相当する」アミノ酸を特定するかを、例えば種々の配列アライメントツールを用いることによって容易に認識するものである。一部の実施形態では、好適な頭部領域は、配列番号1のアミノ酸残基63~278、125~277、または135~269に、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を含み得る。
続いて、選択された頭部領域を使用して、別の免疫プロファイル(すなわち、パンデミックまたは支配的パンデミック)を備えたHAポリペプチドの対応する頭部領域を置換または置き換えることができる。別の免疫プロファイル(すなわち、パンデミックまたは支配的パンデミック)を備えたかかる好適なHAポリペプチドは、天然に存在していても、改変されたものであってもよく、例えば、以下に限定されないが、COBRA(コンピュータ最適化広域反応性抗原:computationally optimized broadly reactive antigens)技術、モザイク技術、逆行遺伝学、タンパク質工学、インフルエンザ株のインフルエンザコンセンサス配列ベースの組み合わせ、構造ドメインの欠失および/もしくは再配列、ドメインスワッピング、または複数のインフルエンザ株に含まれる中和エピトープもしくは交差反応性エピトープの組み合わせによって、改変されるポリペプチドを含む。
例えば、選択された頭部領域を用いて、以下から選択される天然に存在するパンデミック株の対応する頭部領域を置換または置き換えることができる:配列番号2(完全長野生型CA09(A/カリフォルニア/07/2009HA配列)配列)の63~277の残基、配列番号3(完全長野生型SC1918配列)の63~277の残基、配列番号4(完全長野生型NJ1976配列)の残基63~277、配列番号2(完全長野生型CA09配列)の残基125~277、配列番号3(完全長野生型SC1918配列)の残基125~277、配列番号4(完全長野生型NJ1976配列)の残基125~277、配列番号2(完全長野生型CA09配列)の残基135~269、配列番号3(完全長野生型SC1918配列)の残基135~269、配列番号4(完全長野生型NJ1976配列)の残基135~269。
一部の実施形態では、選択された頭部領域を用いて、別の免疫原性プロファイル(支配的パンデミック)を備える改変HAポリペプチドの対応する頭部領域を置換または置き換えることができる。非限定的な例として、支配的パンデミック免疫プロファイルを備える改変HAポリペプチドは、配列番号6 MKAKLLVLLCTFTATYADTICIGYHANNSTDTVDTVLEKNVTVTHSVNLLEDSHNGKLCKLKGIAPLQLGKCSVAGWILGNPECESLSTASSWSYIVETSSPDNGTCYPGYFADYEELREQLSSVSSFERFEIFPKTSSWPNHDSNGVTASCPHAGAKSFYRNLLWLVKKGNSYPKLSKSYINDKGKEVLVLWGVHHPSTSADQQSLYQNANAYVSVVTSRYSRRFTPEIAIRPKVRDQEGRMNYYWTLVEPGDTIIFEATGNLIAPWYAFALSRGFGSGIITSDTPVHDCNTTCQTPQGAINSSLPFQNVHPVTIGECPKYVRSAKLRMATGLRNIPSIQSRGLFGAIAGFIEGGWTGMVDGWYGYHHQNEQGSGYAADLKSTQNAIDGITNKVNSVIEKMNTQFTAVGKEFNKLERRMENLNKKVDDGFLDIWTYNAELLVLLENERTLDFHDSNVKNLYEKVKSQLKNNAKEIGNGCFEFYHKCNNTCMESVKNGTYDYPKYSEESKLNREKIDGVKLESMGVYQILAIYSTVASSLVLLVSLGAISFWMCSNGSLQCRICIと実質的に同一のアミノ酸配列を有する。好適な頭部領域は、配列番号6の残基63~278、125~277、または135~269に相当するアミノ酸配列を含むように選択される。
推定N結合型グリコシル化部位を除去または改変する修飾
一部の実施形態では、改変HAポリペプチドの免疫原性プロファイルを変更する方法は、HAポリペプチドの球状頭部領域における予測または推定N結合型グリコシル化部位に関連する残基への修飾に基づくものである。通例、推定または予測N結合型グリコシル化部位は、NxS/Ty(式中、xとyはPではない)のコンセンサス配列によって定義されている。季節性HAポリペプチドは通例、パンデミックまたはパンデミック様のHAポリペプチドと比較すると、追加のN結合型グリコシル化部位を受容体結合部位(RBS)の領域に含む。標的季節性または季節性様の改変HAポリペプチドにおける特定のアミノ酸残基は、グリコシル化部位を切断し、より多くのパンデミックグリコシル化プロファイルを改変HAポリペプチドに付与するように変異され得る。特定の実施形態では、標的季節性または季節性様の改変HAポリペプチドにおける特定のアミノ酸残基は、標的HAポリペプチドのグリコシル化および免疫原性プロファイルが、よりパンデミックとなるように変更することを目的として、パンデミックまたはパンデミック様のHAポリペプチド(例えば、カリフォルニア/07/2009)の対応する位置で観察される残基に変異され得るか、または置換され得る。
したがって、一部の実施形態では、本発明の方法は、既知の免疫プロファイルを備えた改変HAポリペプチドの頭部領域において、別の免疫原性プロファイルを備えたHAポリペプチドの対応する頭部領域と比較して、一つ以上の推定N結合型グリコシル化部位の有無を判定することと、改変HAポリペプチドの頭部領域に、一つ以上のアミノ酸の置換、欠失、または挿入を導入して、別の免疫原性プロファイルを備えたHAポリペプチドの対応する配列に基づいて、一つ以上の推定N結合型グリコシル化部位を破壊するかまたは追加のN結合型グリコシル化部位を挿入することとを含む。
一部の実施形態では、一つ以上のアミノ酸の置換、欠失、または挿入が支配的季節性免疫プロファイルを備えた改変HAポリペプチドに導入されて、一つ以上の推定N結合型グリコシル化部位を破壊し、再設計されたHAポリペプチドが、よりパンデミックに変わるようにする。逆に、一部の実施形態では、一つ以上のアミノ酸の置換、欠失、または挿入が支配的パンデミック免疫プロファイルを備えた改変HAポリペプチドに導入されて、一つ以上の推定N結合型グリコシル化部位を挿入し、再設計されたHAポリペプチドが、より季節性に変わるようにする。
一部の実施形態では、推定N結合型グリコシル化部位は、受容体結合部位(RBS)領域で、またはその近傍で除去されるか、または加えられる。一部の実施形態では、推定N結合型グリコシル化部位は、受容体結合部位(RBS)の15オングストローム以内(例えば、10、9、8、7、6、または5オングストローム以内)で見つけることができ、このRBSは、三次元(3-D)構造において、W167(CA09ナンバリング)に相当する位置の15オングストローム以内(例えば、10、9、8、7、6、または5オングストローム以内)の全てのアミノ酸残基として定められている。特定の実施形態では、予測N結合型グリコシル化部位は、142~145位および/または177~179位(CA09ナンバリング)に相当する場合がある。
このように、バランスの取れた免疫プロファイルを誘発する組換えHAポリペプチドは、支配的季節性免疫プロファイルを備えたHAポリペプチドにおけるN結合型グリコシル化部位を破壊または除去するアミノ酸の置換、破壊、または欠失によって、生成され得る。あるいは、バランスの取れた免疫プロファイルを誘発する組換えHAポリペプチドは、支配的パンデミック免疫プロファイルを備えたHAポリペプチドにN結合型グリコシル化部位を導入するアミノ酸の置換、破壊、または欠失によって、生成され得る。バランスの取れた免疫プロファイルを誘発する組換えHAポリペプチドを生成するように実施され得るアミノ酸の置換、破壊、または欠失の例については、表4または表5を参照することができる。アミノ酸の置換、破壊、または欠失が、循環インフルエンザ株の対応する領域由来である場合もある。
N結合型グリコシル化部位における標的置換または標的欠失は、一つ以上の追加の修飾と組み合わせることができる。例えば、正に帯電したアミノ酸残基をRBSの近傍に挿入して、より多くのパンデミック免疫プロファイルを備えた再設計されたHAポリペプチドを作製することができる。特定の実施形態では、季節性または支配的季節性の免疫プロファイルを備えた改変HAポリペプチドを、RBSの一つ以上の推定N結合型グリコシル化部位の近くもしくは近傍に、またはRBSと接する高次ループ構造の中に(例えば、「220ループと130ループ」の中に;例として、Bradley,K.C.et al.,J.Virol.,2011,85(23),12387-12398を参照)、一つ以上の正に帯電したアミノ酸を挿入することによって、より多くのパンデミック(例えば、よりバランスの取れた)免疫プロファイルを備えるように作製することができる。一部の実施形態では、リジン残基またはアルギニン残基が、RBSと接するループに挿入される(「リジンループ挿入」)。一部の実施形態では、ループ挿入は、標的の改変HAポリペプチドの残基147(CA09ナンバリング)に相当する位置または該位置の近傍での、リジン(K)またはアルギニン(R)の挿入を含み得る。例えば、ループ挿入は、NxS/Tyコンセンサス配列の1~5アミノ酸以内(例えば、1~4、1~3、1~2アミノ酸以内)へのリジン(K)残基またはアルギニン(R)残基の挿入を含んでもよい。一部の実施形態では、リジン(K)残基またはアルギニン(R)残基は、NxS/Tyコンセンサス配列の1~5アミノ酸(例えば、1~4、1~3、1~2アミノ酸)5’内または3’内にある。
RBS領域における残基への標的修飾
一部の実施形態では、改変HAポリペプチドの免疫原性プロファイルを変更することは、一つ以上のアミノ酸置換を、RBS領域またはRBS領域に隣接した領域に導入することによって成し遂げられ得る。例えば、一つ以上のアミノ酸置換は、標的の改変HAポリペプチドの(CA09ナンバリング)の60および291に相当する残基を包含する領域内のアミノ酸位置に導入され得る。一つ以上のアミノ酸置換を、受容体結合部位(RBS)であって、三次元(3-D)構造において、保存残基W167(CA09ナンバリング)に相当する位置の15オングストローム以内(例えば、10、9、8、7、6、5オングストローム以内)の全てのアミノ酸残基として定められている、該RBSの15オングストローム以内(例えば、10、9、8、7、6、5オングストローム以内)に導入することができる。例えば、修飾がRBSの10オングストローム内で生じる実施形態では、修飾は保存されたW167から15~25オングストロームの間で生じる。一部の実施形態では、RBSは広範に中和するモノクローナル抗体CH65に結合するエピトープによって定義され得る(例えば、Whittle JR,et al.Broadly neutralizing human antibody that recognizes the receptor-binding pocket of influenza virus hemagglutinin.Proc Natl Acad Sci USA.2011;108:14216-21を参照)。こうした実施形態では、一つ以上のアミノ酸置換がCH65のエピトープに隣接して(例えば、100アミノ酸残基以内、75アミノ酸残基以内、50アミノ酸残基以内、40アミノ酸残基以内、30アミノ酸残基以内、25アミノ酸残基以内、20アミノ酸残基以内、15アミノ酸残基以内、10アミノ酸残基以内、5アミノ酸残基以内などで)存在するか、またはCH65のエピトープの15オングストローム内に存在する。一部の実施形態では、各アミノ酸置換は、特定の位置のアミノ酸残基を、別の免疫原性プロファイル(例えば、循環季節性またはパンデミックのインフルエンザ株)を備えたHAポリペプチドの対応する位置で観察されるアミノ酸残基と置き換えることを含む。例えば、支配的季節性免疫プロファイルを備える改変HAポリペプチドは、特定の位置のアミノ酸を、支配的パンデミック免疫プロファイルを備えたHAポリペプチドの対応する位置に存在するアミノ酸残基に基づいて置換することによって、よりパンデミックになるように変更され得る。逆に、支配的パンデミック免疫プロファイルを備える改変HAポリペプチドは、特定の位置のアミノ酸を、支配的季節性免疫プロファイルを備えたHAポリペプチドの対応する位置に存在するアミノ酸残基に基づいて置換することによって、より季節性になるように変更され得る。
アミノ酸置換の例を表4、表5、表6、表7、表8、または表9に示している。非限定的な例として、一つ以上のアミノ酸置換は、137、144、145、154、155、156、157、158、159、177、210、211、212、213、214、244、245、および/または262(CA09ナンバリング)に相当する標的HAポリペプチドの位置で起こり得る。特定の実施形態では、一つ以上のアミノ酸置換は、137、144、145、154、155、156、157、158、159、177、210、211、212、213、および/または214(CA09ナンバリング)に相当する位置で起こり得る。一部の実施形態では、一つ以上の修飾は、表4、表5、表6、表7、表8、または表9で示した修飾から選択される、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、または10個以上の修飾を含む。一部の実施形態では、一つ以上の修飾は、表4、表5、表6、表7、表8、または表9から選択される少なくとも2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、または10個の連続する置換を含み得る。
本明細書に記載の種々の方法の組み合わせを用いて、改変HAポリペプチドの免疫原性プロファイルを変更することができる。例えば、RBSの領域の残基に対する標的修飾を、推定N結合型グリコシル化部位への修飾とループ挿入とを組み合わせて用いることができる。頭部領域融合を、RBS周囲の残基に対する標的修飾、ならびに/または推定N結合型グリコシル化部位への修飾、およびループ挿入を組み合わせて用いることもできる。
再設計されたHAポリペプチドの評価
一部の実施形態では、本明細書に記載の種々の方法に従って生成した、修飾された組換えHAポリペプチドを、所望の発現および構造について評価することができる。スクリーニング法は、当該技術分野で周知であり、細胞フリーアッセイ、細胞ベースアッセイ、および動物アッセイを含む。in vitroアッセイは、固体状態または溶解性の標的分子検出法であり、当該技術分野で既知の様々な方法で実施することができ、標的分子(例えば、免疫グロブリン)に結合する改変HAポリペプチドを特定することができる標識または検出基の使用を含むものである。検出標識を、本発明の改変HAポリペプチドを用いたアッセイと併用して使用することができる。例えば、本明細書に記載の組換えHAポリペプチドを、2015年5月29日に出願された「Expression and Conformational Analysis of Engineered Influenza Hemagglutinin」と題する国際特許出願PCT/US2015/033205号に記載のアッセイにより測定された発現および構造的特徴に基づいて選択することができる。
本発明は、動物宿主において本発明の組換えHAポリペプチドを評価する方法を提供する。本明細書で使用される場合、「動物宿主」はインフルエンザ研究に適した任意の動物モデルを含むものである。例えば、本発明に適した動物宿主は、霊長類、フェレット、ネコ、イヌ、ウシ、ウマ、げっ歯類(マウス、ハムスター、ウサギ、ラットなど)を含む任意の哺乳類宿主であってもよい。一部の実施形態では、本発明に使用される動物宿主はフェレットである。特に、一部の実施形態では、動物宿主は、本発明の結合剤(任意選択的に本発明の組成物に含まれる)の投与前、ウイルス曝露またはウイルス感染に無感作である。一部の実施形態では、動物宿主は、本発明の組換えHAポリペプチドの投与前または投与と同時に、ウイルスを接種されるか、ウイルスに感染するか、またはウイルスに曝露される。本発明の実施で用いられる動物宿主は、当該技術分野で既知の任意の方法で、ウイルスを接種されるか、ウイルスに感染するか、またはウイルスに曝露され得る。一部の実施形態では、動物宿主は、鼻腔内でウイルスを接種されるか、ウイルスに感染するか、またはウイルスに曝露され得る。
本発明の修飾された組換えHAポリペプチドはまた、動物(例えば、マウス、フェレット、またはヒト)のインフルエンザウイルスの季節性株およびパンデミック株の両方に対する防御(すなわち中和)免疫応答抗体を誘発することができるものを特定および/または選択するために、スクリーニングアッセイで評価され得る。特定の実施形態では、防御免疫応答の誘発は、例えば、インフルエンザワクチンの有効性の代替尺度として一般的に知られたヘマグルチニン阻害アッセイ(HAI)を用いて確認することができる。HAIアッセイは、H1N1に特異的な抗体を検出するために、ニワトリ、シチメンチョウ、またはウマの赤血球を用いる場合がある。特定の実施形態では、防御免疫応答は 1:40よりも大きい平均HAI力価を誘発することによって示されており、これはインフルエンザ疾患の予防および低減と相関が見られていたものである。約1:32~1:40のHAI抗体の力価では、通例、不活化ヒトインフルエンザウイルスワクチンで免疫化された後に、対象の約50%が感染から防御されるであろう。Treanor,J.& Wright,P.F.Immune correlates of protection against influenza in the human challenge model Dev.Biol.(Basel),2003,115:97-104を参照されたく、この文献は参照により本明細書に援用される)。一部の実施形態では、防御免疫応答の誘発は、セロコンバージョン率により特定することができる。セロコンバージョンの防御レベルは、HAI力価における少なくとも4倍の上昇(例えば、投与前またはワクチン接種前のHAI力価が1:10未満であり、ワクチン接種後の力価が1:40以上である)として定義され得る。言い換えると、セロコンバージョンの成功率は、ワクチン接種前のHAI力価が約1:10未満であり、かつワクチン接種後のHAI力価が約1:40よりも大きくなっているか、またはワクチン接種前のHAI力価が約1:10よりも大きく、かつワクチン接種後のHAI抗体力価において最低限4倍の上昇が見られた対象の割合として定義され得る。
無感作の動物および/または接種を受けた動物は、種々の検討のいずれかに用いられ得る。例えば、こうした動物モデルは、当該技術分野で知られているようなウイルス伝播の検討に用いられ得る。ウイルス伝播の検討でフェレットを使用すると、ヒトにおけるウイルス伝播を信頼性高く予測することができると考えられる。例えば、接種を受けた動物(例えば、フェレット)から無感作の動物へのウイルスインフルエンザの空気伝播が、当該技術分野で知られている(Tumpey et al.,2007,Science 315;655-59;この文献は参照により本明細書に援用される)。ウイルス伝播の検討を用いて、本発明の組換えHAポリペプチドを評価することができる。例えば、本発明の組換えHAポリペプチドを好適な動物宿主に投与して、該改変HAポリペプチドが、動物宿主の広範な免疫応答の誘発に対して有効性を持つか否かを判定することができる。動物宿主の検討から得られた情報を用いて、ヒト宿主において広範な防御を誘発する組換えHAポリペプチドの有効性を予測することができる。
核酸構築物および発現
本明細書に記載の組換えインフルエンザHAポリペプチドは、当該技術分野で既知の分子生物学的方法を用いて核酸分子から産生され得る。核酸分子は、適正な宿主細胞に導入された際にHAポリペプチドを発現することができるベクターに挿入される。適正な宿主細胞として、以下に限定されないが、細菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞、および哺乳類細胞が挙げられる。DNA断片をベクターに挿入するための当業者に既知の方法のいずれかを用いて、転写/翻訳制御シグナルの制御下で、本発明の融合タンパク質をコードする発現ベクターを構築することができる。これらの方法には、in vitro組換えDNA技術および合成技術、ならびにin vivo組換えが含まれ得る(Sambrook et al.Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory;Current Protocols in Molecular Biology,Eds.Ausubel,et al.,Greene Publ.Assoc.,Wiley-Interscience,NYを参照)。
一部の実施形態では、本発明は、HAポリペプチド、またはHAポリペプチドの特徴的な部分もしくは生物学的に活性な部分をコードする核酸を提供する。一部の実施形態では、本発明は、HAポリペプチドまたはHAポリペプチドの特徴的な部分もしくは生物学的に活性な部分をコードする核酸に相補的な核酸を提供する。
一部の実施形態では、本発明は、HAポリペプチドまたはHAポリペプチドの特徴的な部分もしくは生物学的に活性な部分をコードする核酸にハイブリダイズする核酸分子を提供する。こうした核酸は、例えば、プライマーとして、またはプローブとして使用することができる。いくつかの例を挙げると、こうした核酸を、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)用のプライマーとして、ハイブリダイゼーション(in situハイブリダイゼーションを含む)用のプローブとして、および/または逆転写PCR(RT-PCR)用のプライマーとして用いることができる。
一部の実施形態では、核酸はDNAであってもRNAであってもよく、また一本鎖でも二本鎖でもよい。一部の実施形態では、本発明の核酸は、一つ以上の非天然ヌクレオチドを含む場合があり、一部の実施形態では、本発明の核酸は天然のヌクレオチドのみを含む。
本発明の核酸分子の発現は、その分子が、組換えDNA分子で形質転換された宿主において発現するように、別の核酸配列により制御され得る。例えば、本発明の核酸分子の発現は、当該技術分野で既知のプロモーター要素および/またはエンハンサー要素により制御され得る。
本発明の核酸構築物は、当該技術分野で既知の方法によって発現ベクターまたはウイルスベクターに挿入され、その核酸分子は発現制御配列に作用可能に連結されている。
核酸分子を含む発現ベクターは、好適な宿主細胞内で形質転換されて、核酸構築物によってコードされるタンパク質が産生できるようになる。宿主細胞の例として、原核細胞(例えば、大腸菌(E.coli))と、真核細胞(例えば、COS、293、CHO細胞)が挙げられる。発現ベクターで形質転換した宿主細胞は、本発明の改変HAポリペプチドの産生を可能にする条件下で増殖し、続いて、改変HAポリペプチドが回収される。
本発明の組換えHAポリペプチドを、当該技術分野に既知の任意の手法により精製することができる。例えば、理論に束縛されることを望まないが、改変HAポリペプチドは、可溶性ポリペプチドとして、または封入体として細胞から回収可能であり、そこから、8Mのグアニジン塩酸および透析により該ポリペプチドを定量的に抽出することができる。本発明の組換えHAポリペプチドをさらに精製するために、従来のイオン交換クロマトグラフィ、疎水性相互作用クロマトグラフィ、逆相クロマトグラフィ、またはゲル濾過を用いることができる。本発明の組換えHAポリペプチドは、条件培地から回収され、その後に真核細胞または原核細胞から分泌され得る。
インフルエンザウイルス様粒子(VLP)
一部の実施形態では、本発明は、本明細書に記載の修飾された組換えHAポリペプチドを含むインフルエンザウイルス様粒子(VLP)を提供する。インフルエンザVLPは、一部の実施形態では、HAタンパク質、NAタンパク質、およびウイルス構造(例えば、HIVgag)タンパク質から構成されるのが一般的である。インフルエンザVLPの産生については、当該技術分野で知られており、本開示を読む当業者に容易に明らかになるであろう。例えば、インフルエンザVLPは、HAタンパク質、NAタンパク質、およびHIVgagタンパク質をコードするプラスミドを用いた、宿主細胞のトランスフェクションによって産生することができる。一例を挙げると、好適な宿主細胞にはヒト細胞(例えば、HEK293T)が含まれる。タンパク質の発現を可能にするのに適正な時間の間(およそ72時間の間など)トランスフェクトされた細胞をインキュベートした後に、VLPを細胞培養上清から単離することができる。一部の実施形態では、本明細書に開示されるインフルエンザVLPを、インフルエンザワクチンとして用いて、H1N1インフルエンザウイルスに対する広範な中和免疫応答を誘発することができる。
医薬組成物
一部の実施形態では、本発明は、本明細書に記載の修飾された組換えHAポリペプチドおよび/または関連実体を含む、医薬組成物を提供する。例えば、一部の実施形態では、修飾された組換えHAポリペプチド、かかるポリペプチドをコードする核酸、かかるポリペプチドまたは核酸の特徴的な断片または生物学的に活性な断片、かかるポリペプチドもしくは断片に結合するおよび/またはこれらと競合する抗体、かかるポリペプチドもしくは該ポリペプチドに結合するグリカンと相互作用または競合する少分子などが、本発明の医薬組成物に含まれる。
一部の実施形態では、本発明は、本発明の医薬組成物の投与により、インフルエンザ感染を予防または治療する方法を提供する。一部の実施形態では、本発明の医薬組成物はインフルエンザ感染に罹患しているか、または感受性のある対象に投与される。一部の実施形態では、対象は動物であり、以下に限定されないがトリ(例えば、ニワトリ、アヒル、シチメンチョウなど)、イヌ、ウマ、およびブタを含む。一部の実施形態では、対象は、インフルエンザ感染に通常関連する一つ以上の徴候を示している場合に、インフルエンザ感染に罹患していると見なされる。一部の実施形態では、対象は、インフルエンザウイルスに曝露されたことがわかっているか、または曝露されたと考えられている。一部の実施形態では、対象が、インフルエンザウイルスに曝露されたことがわかっているか、または曝露されたと考えられている場合には、対象はインフルエンザ感染に感受性があると見なされる。一部の実施形態では、対象が、インフルエンザウイルスに感染していたことがわかっていたかもしくは感染した疑いのある他の個体と接触した場合に、および/または対象が、インフルエンザ感染が蔓延しているとわかっているかもしくは蔓延していると考えられている場所にいるもしくはいた場合には、対象は、インフルエンザウイルスに曝露されたことがわかっているか、または曝露されたと考えられる。
一部の実施形態では、インフルエンザ感染に罹患しているかまたは感受性のある対象は、本発明の修飾された組換えHAポリペプチドに対する抗体に関して、本発明の医薬組成物の投与前、投与中、または投与後に評価される。一部の実施形態では、こうした抗体を持つ対象には、本発明の修飾された組換えHAポリペプチドを含む医薬組成物が投与されない。一部の実施形態では、医薬組成物および/または修飾された組換えHAポリペプチドの適正な用量は、かかる抗体の検出(または抗体がないこと)に基づいて選択される。
一部の実施形態では、治療のための特定の対象の選択、投与のための特定の修飾された組換えHAポリペプチドもしくは組成物の選択、および/または投与のための特定の用量もしくはレジメンの選択が、例えば、書面形式で、印刷された形式で、または電子的保存の形式で記録される。
上述の修飾された組換えHAポリペプチドを含む組成物を、インフルエンザ感染の一つ以上の徴候を発症する前または発症した後に投与することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載の修飾された組換えHAポリペプチドを含むインフルエンザVLP(または修飾された組換えHAポリペプチドそれ自体)を、インフルエンザ感染の一つ以上の徴候を発症する前または発症した後に投与することができる。
一部の実施形態では、本発明は、本明細書に記載の修飾された組換えHAポリペプチドの投与によるインフルエンザ感染の治療を提供する。一部の実施形態では、本発明によるインフルエンザ感染の治療は、本明細書に記載の修飾された組換えHAポリペプチドを含むインフルエンザVLPの投与により行われる。一部の実施形態では、本発明によるインフルエンザ感染の治療は、ワクチンの投与により行われる。現在までに、インフルエンザワクチンの開発において顕著な成果が得られてきたが、さらなる改良のための余地が残されている。本発明は、ワクチンであって、本発明による修飾された組換えHAポリペプチドを含む、特に、修飾された組換えHAポリペプチドの複数の中和抗原決定基(例えば、エピトープ)への広範な防御免疫応答を誘発する改変HAポリペプチドを含む、ワクチンを提供する。
一部の実施形態では、本発明は、インフルエンザ予防を目的として本明細書に記載されている、インフルエンザVLP、インフルエンザワクチン、融合タンパク質、および/または修飾された組換えHAポリペプチドを提供する。
一部の実施形態では、本発明は、免疫原性組成物(例えば、ワクチン)と、これらの免疫原性組成物のヒト対象への投与を提供する。特定の実施形態では、ヒト対象は、6ヶ月齢以上であるか、6ヶ月齢~35ヶ月齢であるか、36ヶ月齢~8歳であるか、または9歳以上である。一部の実施形態では、免疫原性組成物は、以下のうちの一つ以上を含む医薬組成物である:(1)不活化ウイルス、(2)弱毒生インフルエンザウイルス(例えば複製欠損ウイルス)(3)ウイルス様粒子(VLP)、(4)修飾された組換えHAポリペプチド、(5)修飾された組換えHAポリペプチドまたはその特徴的な部分もしくは生物学的に活性な部分をコードする核酸、(6)本発明による修飾された組換えHAポリペプチドまたはその特徴的な部分もしくは生物学的に活性な部分をコードするDNAベクター、および/あるいは(7)発現系(例えば、抗原として用いられる一つ以上のインフルエンザタンパク質を発現する細胞)。
本明細書に記載の改変および再設計されたHAポリペプチドを含む全インフルエンザウイルスは、プラスミドベースの逆遺伝学(例えば、Neumann,G.et la.,Reverse Genetics of Influenza Viruses,Methods Mol Biol.,2012,865:193-206を参照されたく、この文献は参照により本明細書に援用される)、および卵ベースの技術により産生可能であり、例えば、本明細書に記載の計算上最適化されたH1 HAポリペプチドと、H1N1インフルエンザ株由来の野生型NAポリペプチドと、および卵での高収率を付与するドナーウイルス(例えば、インフルエンザA/プエルトリコ/8/34(PR8))由来の内部タンパク質遺伝子の骨格とを含む、組換えウイルスであってもよい。例えば、高成長インフルエンザA/プエルトリコ/8/34(PR8)ドナーウイルスの内部タンパク質をコードする6個のプラスミドを、本明細書に記載の計算上最適化されたH1N1 HAポリペプチドと野生型ノイラミニダーゼ(NA)糖タンパク質とを適した哺乳類細胞(例えば、Vero細胞)にコードする2個のプラスミドと共にコトランスフェクトし、続いて組換えウイルスを単離することができる。当業者は、12-プラスミド逆遺伝学系を用いることができることを認識するであろう(例えば、Pekosz,A.et al.Reverse genetics of negative-strand RNA viruses:Closing the circle.Proc.Natl.Acad.Sci.,1999,96,884-8806を参照)。PR8ウイルス由来の内部タンパク質遺伝子を含む組換えウイルスを用いて、不活化インフルエンザウイルスワクチンを調製することができる(例えば、Fodor,E.et al.Rescue of influenza A virus from Recombinant DNA.J.Virol.,1999,73,9679-9682を参照されたく、この文献は参照により本明細書に援用される)。全インフルエンザウイルスは、弱毒生ワクチンまたはスプリット不活化ワクチンの成分として投与され得る。
このように、一部の実施形態では、本発明は不活化インフルエンザワクチンを提供する。一部の実施形態では、不活化インフルエンザワクチンは、以下の三つの種類の抗原調製物のうちの一つを含む:不活化全ウイルス、精製されたウイルス粒子が界面活性剤または他の試薬で破壊されて脂質エンベロープを溶解するサブビリオン(「スプリット」ワクチン)、または精製されたHAポリペプチド(「サブユニット」ワクチン)。一部の実施形態では、ウイルスを、ホルムアルデヒド、ベータ-プロピオラクトン、エーテル、界面活性剤(TWEEN-80(登録商標)など)入エーテル、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)、およびTriton N101、デオキシコール酸ナトリウム、ならびにトリ(n-ブチル)リン酸塩を用いた処置により不活化することができる。尿膜腔液(卵で産生されるウイルス由来)の清澄化後または清澄化前に不活化が行われ得るが、ビリオンは、遠心分離 により単離および精製される(Nicholson et al.,eds.,1998,Textbook of Influenza,Blackwell Science,Malden,MA、この文献は参照により本明細書に援用される)。ワクチンの効力を評価するために、一元放射免疫拡散(SRD)評価を用いることができる(Schild et al.,1975,Bull.World Health Organ.,52:43-50 & 223-31;Mostow et al.,1975,J.Clin.Microbiol.,2:531、これら両方の文献は参照により本明細書に援用される)。
一部の実施形態では、本発明の改変または再設計されたHAポリペプチドを、季節性インフルエンザワクチンおよび/もしくはパンデミックインフルエンザワクチンの化合物として、または持続性のある(複数シーズンの)防御を付与することを意図したインフルエンザワクチン接種レジメンの一部として使用する。
一部の実施形態では、ワクチンで使用されるインフルエンザウイルスは卵、例えば、ふ化鶏卵で増殖し、この場合、採取される物質は尿膜腔液となる。あるいはまたは加えて、インフルエンザウイルスまたは改変/再設計されたヘマグルチニンポリペプチドは、ウイルスを増殖させる組織培養を用いる任意の方法から産生され得る。ウイルスを増殖させるための、あるいは改変または再設計されたヘマグルチニンポリペプチドを組換えで産生するための好適な細胞基質として、例えば、市販の供給源(例えば、ATCC、メリーランド州ロックヴィル)から容易に入手可能である、MDCKなどのイヌ腎臓細胞もしくはMDCKのクローン由来の細胞、MDCK様細胞、Vero細胞を含むAGMK細胞などのサル腎臓細胞、連続細胞株としての培養上皮細胞、293T細胞、BK-21細胞、CV-1細胞、またはワクチンを目的としたインフルエンザウイルスの産生に適した任意の他の哺乳類細胞型(上気道上皮細胞を含む)が挙げられる。好適な細胞基質には、MRC-5細胞などのヒト細胞も含まれる。好適な細胞基質は、細胞株に限定されるものではなく、例えば、ニワトリ胚線維芽細胞などの初代細胞も含まれる。
改変または再設計されたヘマグルチニンポリペプチドはまた、微細藻類を含む多様な真核生物ベースの発現系(例えば、シゾキトリウム属(Schizochytrium sp.)、例としてBayne,A-C.V.et al.,PLOS ONE,8(4):e61790,April 2013を参照)、植物ベース系(例えば、タバコ、例としてJul-Larsen,A.,et al.,Hum Vaccin Immunother.,8(5):653-61,2012を参照)、酵母(例えば、Athmaram,T.N.et al.,Virol J.,8:524,2011を参照)、および真菌(例えば、Allgaier,S.et al.,Biologicals,37:128-32,2009を参照)で、発現/産生され得る。細菌ベースの発現系も本発明に包含される(例えば、 Davis,A.R.et al.,Gene,21:273-284,1983を参照)。
一部の実施形態では、本発明のワクチンは、一つ以上のアジュバントをさらに含む。例えば、アルミニウム塩(Baylor et al.,2002,Vaccine,20:S18、この文献は参照により本明細書に援用される)、およびモノホスホリルリピドA(MPL;Ribi et al.,1986,Immunology and Immunopharmacology of Bacterial Endotoxins,Plenum Publ.Corp.,NY,p.407、この文献は参照により本明細書に援用される)を、ヒトワクチンのアジュバントとして使用することができる。あるいはまたは加えて、ヒトワクチンのアジュバントとして、MF59(カイロン社(Chiron Corp.)、http://www.chiron.com/investors/pressreleases/2005/051028.html)、CPG7909(Cooper et al.,2004,Vaccine,22:3136、この文献は参照により本明細書に援用される)、およびサポニン(例えば、QS21(Ghochikyan et al.,2006,Vaccine,24:2275、この文献は参照により本明細書に援用される))といった新規な化合物が現在評価されている。
さらに、いくつかのアジュバントはインフルエンザワクチンの免疫原性を高めることが、当該技術分野で知られており、例えば、ポリ[ジ(カルボキシルアトフェノキシ)ホスファゼン](PCCP、Payne et al.,1998,Vaccine,16:92、この文献は参照により本明細書に援用される)、インターフェロン-γ(Cao et al.,1992,Vaccine,10:238、この文献は参照により本明細書に援用される)、ブロックコポリマーP1205(CRL1005;Katz et al.,2000,Vaccine,.18:2177、この文献は参照により本明細書に援用される)、インターロイキン-2(IL-2、Mbwuike et al.,1990,Vaccine,8:347、この文献は参照により本明細書に援用される)、およびポリメタクリル酸メチル(PMMA、Kreuter et al.,1981,J.Pharm.Sci.,70:367、この文献は参照により本明細書に援用される)などがある。
免疫原性組成物(例えば、本明細書に記載の改変または再設計されたインフルエンザヘマグルチニンポリペプチドを備えたVLPを含むワクチン)に加えて、本発明は、ウイルス感染の治療に有用な他の治療用組成物を提供する。治療用組成物には、本明細書に記載されるように、例えば、インフルエンザVLP、融合タンパク質、および改変または再設計されたHAポリペプチドそれ自体が含まれる。一部の実施形態では、治療は、HAポリペプチドの発現または活性を妨害する作用物質を投与することによって実現される。
一部の実施形態では、本明細書に記載の免疫原性組成物(例えば、インフルエンザVLP、または改変/再設計されたHAポリペプチド自体)を、単体で、または免疫応答を高める一つ以上の治療剤と併用して投与する。例えば、一部の実施形態では、本明細書に記載されるインフルエンザVLPを、フロイント不完全アジュバントまたはフロイント完全アジュバントなどのアジュバントと共に投与することができる。一部の実施形態では、一つ以上のサイトカイン(IL-2、IL-6、IL-12、RANTES、GM-CSF、TNF-α、またはIFN-γなど)、一つ以上の成長因子(GM-CSFまたはG-CSFなど)、一つ以上の分子(OX-40Lまたは41BBL)、またはこれらの分子の組み合わせを、生物学的アジュバントとして用いることができる(例えば、Salgaller et ah,1998,J.Surg.Oncol.68(2):122-38;Lotze et al.,2000,Cancer J.Sci.Am.6(Suppl l):S61-6;Cao et al.,1998,Stem Cells 16(Suppl l):251-60;Kuiper et al.,2000,Adv.Exp.Med.Biol.465:381-90)。
一部の実施形態では、本発明は、提供されるHAポリペプチドに関連する抗体または他の作用物質を含む、医薬組成物を提供する。例えば、本発明は、特定の改変または再設計されたHAポリペプチドを含むウイルス粒子を認識する抗体、核酸(HA配列に相補的な核酸配列などであり、RNAiに用いられ得る)、HA受容体への結合と競合するグリカン、グリカン-HAポリペプチド相互作用と競合する小分子もしくはグリコミメティクス、またはその任意の組み合わせを含む、組成物を提供する。一部の実施形態では、様々な構造を持つ複数の異なる作用物質を利用する。一部の実施形態では、治療用組成物は、一つ以上の多価の作用物質を含む。一部の実施形態では、治療は、曝露直後、または曝露の疑いがあった直後の緊急投与を含む。
一部の実施形態では、本明細書に記載の免疫原性組成物(例えば、ワクチン)のいずれも、様々な種類のインフルエンザウイルスに対する広範な交差防御を付与する。例えば、一部の実施形態では、本明細書に記載の免疫原性組成物は、トリ、ブタ、および/またはヒトに適応したインフルエンザウイルスA型に対する交差防御を付与する。一部の実施形態では、本明細書に記載の免疫原性組成物のいずれも、一つ以上のインフルエンザA型サブタイプに対する交差防御を付与する。一部の実施形態では、本明細書に記載の免疫原性組成物は、インフルエンザウイルスA型H1サブタイプの複数の株に対する交差防御を提供する(例えば、図4および図5を参照)。
一般的に、免疫原性組成物および/または医薬組成物には、無菌の生体適合性担体(以下に限定されないが、無菌の水、食塩水、緩衝食塩水、またはデキストロース溶液を含む)などの一つ以上の不活性剤の他に治療剤が含まれる。あるいはまたは加えて、組成物には、種々の添加剤、例えば、安定剤、緩衝剤、賦形剤(例えば、糖、アミノ酸など)、または防腐剤などが含まれ得る。
一部の実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、インフルエンザVLP(本明細書に記載の改変または再設計されたHAポリペプチドを含む)の治療有効量を、単体でまたは薬学的に許容される担体と組み合わせて含む。薬学的に許容される担体には、以下に限定されないが、食塩水、緩衝食塩水、デキストロース、水、グリセロール、エタノール、およびそれらの組み合わせが含まれる。一部の実施形態では、担体および組成物は無菌であり、その製剤は投与方法に適するものである。一部の実施形態では、医薬組成物は、少量の湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤を含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、溶液、懸濁液、乳濁液、錠剤、丸剤、カプセル剤、徐放性製剤、または粉末である。一部の実施形態では、医薬組成物は、皮内注射、鼻腔内投与、または筋肉内注射用に製剤化される。無菌の食塩水またはゴマ油などの一般的な医薬担体のいずれも使用することができる。一部の実施形態では、培地は、例えば、浸透圧を調整するための薬学的に許容される塩などの既存の医薬補助物質、緩衝液、防腐剤などを含むこともできる。一部の実施形態では、本明細書で提供される組成物および方法と共に用いられ得る他の培地は、生理食塩水およびゴマ油である。
一部の実施形態では、本発明の医薬組成物に含まれる治療剤は、本明細書に記載されるように、一つ以上の改変または再設計されたHAポリペプチドからなる。
一部の実施形態では、医薬組成物は、脂質小胞内か、生体利用可能性および/もしくは生体適合性および/もしくは生分解性のあるマトリックス内か、または他のマイクロパーティクル内に封入されるか、捕捉されるか、または結合される治療剤を含む。一部の実施形態では、免疫原性組成物または医薬組成物は、本明細書に記載の改変または再設計されたヘマグルチニンポリペプチドを提示するナノ粒子を含む。一部の実施形態では、ナノ粒子は、フェリチンナノ粒子である(例えば、特許付与前の米国特許出願公開第2014/0072958号を参照)。
本発明の医薬組成物を、単体で、または一つ以上の他の治療剤(以下に限定されないが、ワクチンおよび/または抗体など)と併用して投与することができる。「併用して」によって、送達の方法は本発明の範囲内であっても、作用物質が同時に投与されなければならないことや、合わせて送達されるように製剤化されていなければならないことを意味するわけではない。一般的に、各作用物質はある用量で、その作用物質に対して決められたタイムスケジュールで投与されることになる。さらに、本発明は、本発明による医薬組成物を、その生体利用可能性を改善するか、その代謝を低減もしくは調整するか、その排泄を阻害するか、またはその体内分布を調整することができる作用物質と併用して送達することを包含する。本発明の医薬組成物を、治療を必要とする任意の対象(例えば、任意の動物)の治療(例えば、ワクチン接種)に使用することができるが、最も好ましくはヒトの治療に使用する。一部の実施形態では、本発明の医薬組成物および/または本明細書に記載される改変もしくは再設計されたHAポリペプチドは、抗ウイルス剤(例えば、オセルタミビル(例えば、TAMIFLU(登録商標))、ザナミビル(RELEZA(登録商標))など)、および/またはシアリダーゼのうちの一つ以上と併用して投与される。
本発明の医薬組成物は、様々な経路(例えば、経口、静脈内、筋肉内、動脈内、皮下、心室内、経皮、皮内、直腸、膣内、腹腔内、局所(粉末、軟膏、クリーム、液滴により)、粘膜、経鼻、バッカル、経腸、舌下;気管内注入、気管支注入、および/もしくは吸入;ならびに/または経口噴霧、経鼻噴霧、および/もしくはエアロゾル)で投与され得る。一般的に、最も適正な投与経路は、作用物質の性質(例えば、胃腸管の環境における安定性)、患者の状態(例えば、患者が経口投与に耐えることができるか否か)などを含めた種々の因子に依存することになる。
一部の実施形態では、非経口投与(例えば、皮下投与、静脈内投与、または筋肉内投与など)は注射により行われる。一部の実施形態では、注射剤は、従来の形態で、溶液もしくは懸濁液として、注射前の液体状態の溶液もしくは懸濁液に適した固体形態として、または乳濁液として調製される。一部の実施形態では、注射液および懸濁液は、無菌粉末、顆粒剤などから調製される。一部の実施形態では、本明細書に記載のインフルエンザVLPの投与は、全身的であるか、または局所的である。
一部の実施形態では、インフルエンザVLPまたはその組成物は、薬学的に許容される担体を用いるなどの、任意の適切な方法で投与される。当業者は、薬学的に許容される担体が、一つには投与される特定の組成物によって、さらには組成物を投与するのに用いられる特定の方法によって決定されることを認識している。したがって、本明細書に記載の医薬組成物の適正な製剤には様々な種類がある。
一部の実施形態では、非経口的投与のための調製物としては、無菌水溶液または非水溶液、懸濁液、およびエマルションが挙げられる。非水溶媒の例として、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油(例えばオリーブ油)、および注射可能な有機エステル(例えばオレイン酸エチル)が挙げられる。水性キャリアの例として、水、アルコール溶液/水溶液、乳濁液、または懸濁液が挙げられ、生理食塩水および緩衝培養液が含まれる。一部の実施形態では、非経口媒体として、塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロースと塩化ナトリウム、乳酸化リンゲル油、または不揮発性油が挙げられる。一部の実施形態では、静脈内媒体には、体液および栄養補充液、ならびに電解質補給剤(リンゲルデキストロースベースの補給剤)などが含まれる。一部の実施形態では、防腐剤および/または他の添加剤も含まれ得る。防腐剤および/または他の添加物の例として、抗菌剤、抗酸化剤、キレート剤、および不活性ガスなどが挙げられる。
一部の実施形態では、組成物(インフルエンザVLPまたは本明細書に記載のHAポリペプチドを含むもの)は、薬学的に許容される酸付加塩または塩基付加塩として投与され、これらの塩は、無機酸(塩酸、臭化水素酸、過塩素酸、硝酸、チオシアン酸、硫酸、およびリン酸)、および有機酸(ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、およびフマル酸)との反応によって、または無機塩基(水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム)および有機塩基(モノアルキル、ジアルキル、トリアルキル、およびアリールアミン、ならびに置換エタノールアミン)との反応により形成される。
現時点では、経口噴霧もしくは経鼻噴霧、またはエアロゾル経路(例えば、吸入手段)が、治療剤を肺および呼吸器系に直接送達するのに最も一般的に用いられている。しかしながら、本発明は、ドラッグデリバリーの科学における予想される進歩を考慮して、本発明の医薬組成物を任意の適切な経路によって送達することを包含する。
一部の実施形態では、吸入送達またはエアロゾル送達用の調製物は複数の粒子を含む。一部の実施形態では、こうした調製物の平均粒子サイズは、約1マイクロメートル、約2マイクロメートル、約3マイクロメートル、約4マイクロメートル、約5マイクロメートル、約6マイクロメートル、約7マイクロメートル、約8マイクロメートル、約9マイクロメートル、約10マイクロメートル、約11マイクロメートル、約12マイクロメートル、または約13マイクロメートルである。一部の実施形態では、吸入送達またはエアロゾル送達用の調製物は、乾燥粉末として製剤化される。一部の実施形態では、吸入送達またはエアロゾル送達用の調製物は、例えば湿潤剤を含めることによって、湿潤粉末として製剤化される。一部の実施形態では、湿潤剤は、水、食塩水、または生理的pHの他の液体からなる群から選択される。
一部の実施形態では、本発明の組成物は、鼻腔または口腔への液滴として投与される。一部の実施形態では、用量は、複数の液滴(例えば、1~100滴、1~50滴、1~20滴、1~10滴、1~5滴など)を含み得る。
一部の実施形態では、本発明の組成物は、組成物(例えば、改変または再設計されたHAポリペプチド)の定量用量を送達するデバイスを用いて投与される。
本明細書に記載の皮内用医薬組成物を送達するのに用いられる好適なデバイスには、ショートニードルデバイス(例えば、米国特許第4,886,499号、米国特許第5,190,521号、米国特許第5,328,483号、米国特許第5,527,288号、米国特許第4,270,537号、米国特許第5,015,235号、米国特許第5,141,496号、米国特許第5,417,662号に記載されているもの(これらの特許文献の全てが参照により本明細書に援用される))が含まれる。皮内用組成物を、針の皮膚への効果的な貫通長さを限定するデバイス(例えば、国際公開第1999/34850号(参照により本明細書に援用)に記載されているもの)、およびその機能的等価物により投与することもできる。液体ジェットインジェクターを介して、または角質層を貫通し、真皮に到達するジェットを生成する針を介して、液体ワクチンを真皮に送達するジェット注射デバイスも適するものである。ジェット注射デバイスは、例えば、米国特許第5,480,381号、米国特許第5,599,302号、米国特許第5,334,144号、米国特許第5,993,412号、米国特許第5,649,912号、米国特許第5,569,189号、米国特許第5,704,911号、米国特許第5,383,851号、米国特許第5,893,397号、米国特許第5,466,220号、米国特許第5,339,163号、米国特許第5,312,335号、米国特許第5,503,627号、米国特許第5,064,413号、米国特許第5,520,639号、米国特許第4,596,556号、米国特許第4,790,824号、米国特許第4,941,880号、米国特許第4,940,460号、国際公開第1997/37705号、および国際公開第1997/13537号(これらの特許文献の全ては参照により本明細書に援用される)に記載されている。圧縮ガスを用いて粉末形態のワクチンを皮膚の外層を通って真皮まで加速するバリスティック粉末/粒子送達デバイスも適するものである。さらに、従来のシリンジを、皮内投与の標準的なマントー法で使用することもできる。
医薬作用剤の製剤化および製造における一般的な考察は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,19th ed.,Mack Publishing Co.,Easton,PA,1995(参照により本明細書に援用される)に見出すことができる。
本発明の医薬組成物は、所望の結果を達成するのに適正な任意の用量で投与され得る。一部の実施形態では、所望の結果は、複数のインフルエンザ株に対して、持続性のある適応免疫応答を誘導することである。一部の実施形態では、所望の結果は、インフルエンザ感染の一つ以上の徴候の強さ、重症度、および/もしくは頻度の低減、ならびに/または発症の遅延である。
一部の実施形態では、本発明の医薬組成物は、単回投与でまたは複数回投与で投与される。一部の実施形態では、本発明の医薬組成物は、異なる日に複数回投与で投与される(例えば、プライム・ブーストワクチン接種戦略)。一部の実施形態では、本発明の医薬組成物は、連続投与レジメンにより投与されて、その結果、対象は、治療的投与の期間の間に挿入される少ない治療的投与の期間を経ないことになる。一部の実施形態では、本発明の医薬組成物は、間欠投与レジメンにより投与されて、その結果、対象は、治療的投与の二つの期間の間に挿入される少ない治療的投与の少なくとも一つの期間を経ることになる。
一部の実施形態では、対象に投与される用量は、対象において経時的に有益な治療反応性を誘導するか、またはH1N1インフルエンザウイルス感染を阻害もしくは予防するのに十分な量であるべきである。必要な用量は、対象により異なり、対象の種、年齢、体重、および全身状態、治療される感染の重症度、使用される特定の組成物、ならびに投与方法に依存することになる。
本発明は、以下の実施例を参照することにより、より十分に理解されるであろう。すべての文献の引用は、参照により組み込まれる。
実施例1.受容体結合部位の融合は改変HAポリペプチドの季節性免疫プロファイル(結合の強さ)を改善する
本実施例は、インフルエンザHAタンパク質の球状頭部領域(RBSを含む)を受容体HAステムに融合することによって免疫学的プロファイルに関する範囲が増加した、改変HAポリペプチドの設計および評価について説明する。季節性免疫プロファイルを示すHAポリペプチドの球状頭部の構造的に規定された領域を、パンデミック様株(ニュージャージー/1976、サウスカロライナ/1918、カリフォルニア/07/2009、および新規な改変パンデミックHA)由来のHA分子のステム領域に融合した。HAの球状頭部の三つの異なる領域(RBS00、RBS01、およびRBS02と定義されている、図1)を融合に関して評価した。
本実施例では、融合に用いられる三つのRBS含有領域を、G63-G277(CA09ナンバリング)、V125-G277(CA09ナンバリング)、およびP135-P269(CA09ナンバリング)として定義した。融合用に選択された三つのRBS領域を、RBSがHA分子の残りの部分から切り離される際に、それらの領域がタンパク質フォールディング全体に最小限の破壊をもたらすという判断基準に基づいて選択した。さらに具体的には、RBS領域を、(i)開始位置と終了位置とがRBSと接するループ領域に位置し、局所的な二次構造を維持させることができるように、(ii)得られた切り離されるRBSのコンパクトな球状構造が保たれるように、(iii)ドナーRBSが受容体分子に統合される際に界面接触が保持されるように、選択した。
パンデミック株由来の受容体ステムと対になる、支配的季節性免疫プロファイルを備えた改変HA由来のドナーRBS領域の12個の個々の組み合わせを合成し(表3)、細胞表面発現および適切な抗原構造について、フローサイトメトリーベースのアッセイ(国際出願PCT/US2015/033205号(参照により本明細書に援用)に記載されており、図2に示されている)を用いてin vitroで評価した。このアッセイは、ロバストで迅速なスクリーニングアッセイを提供して、汎用ワクチンのための機能的なインフルエンザヘマグルチニン(HA)抗原をもたらす設計を明らかにするものである。また、中和抗体のパネルを利用して、表面提示改変HA抗原の発現および構造を分析する。さらに、このアッセイは、適正に発現して構造的に安定である改変HA抗原を特定し、確認するだけでなく、改変HA抗原の免疫原性の範囲および/または特異性を予測するものである。HA頭部の高次構造エピトープ(例えば、受容体結合部位の近傍のエピトープ)と、HAステムの保存された高次構造エピトープ(例えばAヘリックス)とに結合することで知られる抗体を、抗体パネルで用いることができる。非限定的な例として、好適な抗頭部中和抗体には、CH65(2009年パンデミック以前の当代の季節性株)(Whittle,JRR,et al.PNAS 2011)、5J8(当代の季節性株および過去の株)(Krause,JC,et al.J.Virology 2011)、4K8(パンデミック株のみ)(Krause,JC,et al.,J.Immunology 2011)、AH4、およびAH5が含まれる。好適な抗ステム中和抗体には、C179(グループ1 HA)(Okuno,Y et al.,J.Virology 1993)、AS2(グループ1 HA)、AS3(グループ1およびグループ2 HA)、およびAS4(グループ1 HA)が含まれ得る。
Figure 0007110119000003
本アッセイは、リポフェクタミンを用いてHEK293FTをプラスミドDNAでトランスフェクトすることから構成される。トランスフェクション24時間後の細胞をLIVE/DEAD(登録商標)固定化近赤外死細胞染色キット(Fixable Far Red Dead Cell Stain Kit)を用いて標識化して、細胞の生存率を算出し、その後に表面染色した。続いて、染色緩衝液(0.1%BSAのPBS溶液)に再懸濁した細胞を、0.4マイクログラムの所定の非標識中和抗ヘマグルチニンモノクローナル抗体(例えば、CH65、5J8、4K8、AS3、C179、AS2、またはAS4)で染色した。
染色した細胞を洗浄し、0.2マイクログラムのAlexa Fluor(登録商標)488抗ヒトまたは抗マウスのIgG二次抗体(一次抗体に依存)を含む染色緩衝液100マイクロリットルに再懸濁し、二次抗体を用いて4℃で20分間染色した。最後に、染色した細胞を固定液(1.75%ホルムアルデヒドのPBS溶液)に再懸濁し、4℃で1週間以下の間保管した。
フローサイトメトリー分析
固定された細胞を洗浄し、200マイクロリットルのPBSに再懸濁してから、BDハイスループットサンプラー(High-Throughput Sampler)を用いてサンプルを取得するためにディープウェル96ウェルプレートに移した。サンプルの分析を、488nmレーザー(Alexa Fluor(登録商標)488励起用)と635nmレーザー(LIVE/DEAD近赤外色素励起用)とを備えたBD FACS Caliburフローサイトメーターを用いて行った。Alexa Fluor(登録商標)488の二次抗体で染色したが、一次抗体のない模擬トランスフェクト細胞サンプルを用いて、最適な取得設定条件を決定した。特定の前方散乱(FSC)増幅利得、側面散乱(SSC)電圧、およびFSC閾値を調整して、HEK293FT細胞集団の規模を示し、不必要な壊死組織片を排除した。細胞集団をFSC対SSCプロットでゲーティングして、さらに壊死組織片を排除した。さらに蛍光検出器の設定を、二次抗体のみで染色された模擬トランスフェクトされた細胞を用いて調整した。詳細には、FL1検出器(Alexa Fluor(登録商標)488蛍光検出用)とFL4検出器(LIVE/DEAD近赤外色素蛍光検出用)の電圧を調整して、ゲーティングした細胞集団の蛍光発光を第一対数に据えた。Alexa Fluor(登録商標)488とLIVE/DEAD近赤外色素との間にスペクトルのオーバーラップがないため、この蛍光体の組み合わせには補償調整が必要ではなかった。全てのサンプルを、模擬対照と同一の取得設定を用いて取得した。FSC対SSCゲート内の少なくとも10,000個の細胞を各サンプルに対してカウントし、データをFCSデータファイルとして保存した。
データ分析をFlowJoソフトウェアを用いて行った。二次抗体のみで染色された模擬トランスフェクト細胞に対応するFCSデータファイルを用いて、分析ゲートを作製した。詳細には、まずインタクトな細胞集団を含むゲートをFSC対SSCプロットに描いた。続いて、このゲーティングされた細胞のサブセットを、FL4蛍光強度(LIVE/DEAD近赤外色素蛍光)対FSCを示す別のプロットで分析した。低いFL4蛍光強度の細胞集団を含む新しいゲートを作製した。インタクトな生細胞に対応するこの新しい細胞サブセットを、FL1蛍光強度(Alexa Fluor(登録商標)488蛍光)対FSCを示す別のプロットでさらに分析した。模擬トランスフェクトされた細胞の95%が陰性FL1部分に残っている蛍光値で定義される、陽性FL1蛍光を持つ細胞を包含する新しいゲートを作製した。全てのFCSファイルを同じ分析ゲートを用いて分析した。各細胞サンプルおよび各染色毎の陽性FL1細胞サブセットの中央値蛍光強度(MFI)をエクセルファイルにエクスポートして、抗体結合率を計算するために用いた。
まず、各細胞サンプルおよび各染色毎の陽性FL1細胞サブセットのMFIを、二次抗体のみで染色した同じ細胞サンプルに対応するバックグラウンド蛍光を除算することによって補正した。中和抗ヘマグルチニンモノクローナル抗体の各々を用いた染色の特異性を、模擬トランスフェクトされた細胞(陰性対照)のバックグラウンド補正されたMFIと、野生型HAプラスミドDNAでトランスフェクトされた細胞(陽性対照)のバックグラウンド補正されたMFIとを調べることによって確認した。対照のMFIが予測された値の範囲内に入る場合には、改変HAプラスミドと中和抗HAモノクローナル抗体それぞれの抗体結合率を、以下のように算出した:
Figure 0007110119000004
組換えHAポリペプチドの各々は、フローサイトメトリーアッセイにおける抗ステム抗体のパネルの結合によって算出された通り(図3)、表面発現され(すなわち、感染細胞において産生される野生型インフルエンザ抗原に類似した細胞間プロセッシングが可能であり)、ステムフォールディングを(野生型株対照と同等またはそれよりも良好に)保持した。この実験は、ある場合には、頭部領域の修飾が、抗ステムmAbへの結合のわずかな増加を誘導したことも明らかにしている。したがって、1箇所での置換が、遠隔部位に広範囲のアロステリック効果を与え得る。同様に、季節性RBS領域ステムのパンデミックステムへの融合によって生成される新しい組換えHAポリペプチドは、驚くべきことに、季節性免疫プロファイルの改善を示した。これらの再設計された組換えHAポリペプチドは、初期の改変HA親分子(SMARt_DO2a)に比べて、季節性株中和抗体の結合を増加させた。(図4)。これらのアッセイでは、「mAb結合の増加」は、対照(CH65抗体および5J8抗体の非修飾の親改変HA(SMARt_DO2a)、4K8の野生型パンデミック株(A/カリフォルニア/7/2009 H1N1))と比較した場合の、再設計されたHAに結合した抗体の平均蛍光強度の尺度である。「mAb結合の増加」は、したがって、抗体親和性の適正な尺度である。ある場合には、季節性免疫プロファイル(mAb結合によって測定される)が、親季節性改変HA分子に対して2~3倍改善された。(図5;カラム2の季節性頭部抗体結合(例えば、CH65および5J8)と、カラム5およびカラム6における再設計された構築物との比較)。
融合された抗原のRBS部分は、支配的季節性免疫プロファイルを備えた改変HAのRBS部分と同一であるため、受容体パンデミック株に対する範囲の拡大は、再設計されたHAの非RBS部分から生じていることになる。範囲の増加は、HAIアッセイまたはRBSを標的にする抗体への結合アッセイよりもむしろ、in vivo実験で明らかにわかる。
実施例2.N結合型グリコシル化部位の破壊および/またはループ挿入により、改変HAポリペプチドの免疫学的範囲が増加する
本実施例は、予想N結合型グリコシル化部位と関連する残基を修飾し、RBSと接するループにリジンを導入することによって、改変HAポリペプチドの免疫学的範囲を増加させるための第二の戦略を説明する。季節性インフルエンザ株は、パンデミック株に比べて、さらなる推定N結合型グリコシル化部位を含んでいる。グリコシル化は、免疫応答を変えるHA内で抗原部位をブロックする可能性がある。こうしたグリコシル化部位は、配列モチーフNxS/Ty(式中、xおよびyはプロリン(P)ではない)により特定される。このN結合型グリコシル化パターンにおけるアスパラギンは、受容体結合部位の142と177と(CA09ナンバリング)に相当する残基の近傍またはこれらの残基におけるHAポリペプチド内で見つけられ得る(図6;左のパネルは野生型パンデミックH1N1株の関連配列と、改変HAポリペプチドの例(「DO2」)の対応するグリコシル化配列とを示している)。
HA RBS領域の予想N結合型グリコシル化部位内またはその近傍でリジンがループに挿入されることは、パンデミックインフルエンザウイルスA型の特徴である。N結合型グリコシル化部位近傍でのループへの挿入(例えば、リジン残基またはアルギニン残基の挿入)により、改変HAポリペプチドにパンデミック株の特徴が得られる(図6;中央パネル)。
CH65エピトープに隣接するRBS部位周囲の残基の修飾により、さらに、パンデミックインフルエンザウイルスA型の特徴が組み込まれる(図6;右パネル)。
予想N結合型グリコシル化部位への修飾および/またはリジンループ挿入により改変HAポリペプチドに付与された免疫学的範囲の増加を明らかにするために、改変HAポリペプチドの例(「SMARt_DO2a」)の特定のアミノ酸残基を修飾して、パンデミック様HAポリペプチドで観察される範囲を反映させた。表4は、循環インフルエンザウイルスA型の各位置で観察される残基から決定した部位で施され得る、可能性のあるアミノ酸置換を示している。
Figure 0007110119000005
N結合型グリコシル化部位の破壊がHAポリペプチドの免疫学的範囲に及ぼす影響を明らかにするために、二つのN結合型グリコシル化モチーフ部位が破壊された改変HA分子を生成した。加えて、それらのN結合型グリコシル化モチーフ部位が破壊され、かつリジンをRBSと接するループに挿入した、二つの改変HAポリペプチドを生成した(表5)。グリコシル化モチーフの破壊を単独で、およびリジンループ挿入と組み合わせて行うことで、組換えHAポリペプチドが得られ、このペプチドは、フローサイトメトリーアッセイで測定されたように、表面発現し、ステムフォールディングを保持した(図7)。再度、頭部領域の修飾が抗ステムmAbへの結合のわずかな増加を誘導したのを観察し、1箇所での置換が、遠隔部位に広範囲のアロステリック効果を与えることができることを示した。これらの修飾はまた、抗体のパネルによる認識に基づく免疫学的範囲の増加に寄与した(図8)。さらに具体的には、再設計された抗原のいくつかは、季節性特性の改善(抗季節性頭部抗体CH65および5J8のmAb結合の増加)と、抗パンデミック頭部抗体4K8の結合の50~150%増加によって実証された範囲の増加との両方を示した(図8の構築物DO2a_m1~m3を参照)。
Figure 0007110119000006
実施例3.RBSおよびN結合型グリコシル化の領域におけるアミノ酸残基への修飾が、改変HAポリペプチドの免疫学的範囲を増加させる
本実施例は、HAのRBS領域またはRBSに近接した領域における、アミノ酸置換の導入による改変HAポリペプチドへの修飾を説明する。アミノ酸置換は位置特異的であり、循環インフルエンザウイルスA型におけるHAの頭部領域の分析から特定される残基に由来する。表6には、残基60~291(CA/09ナンバリングに準拠)を包含する特定位置の残基のプールが記載されており、そこから、HAの球状頭部の標的修飾のための特定のアミノ酸置換を選択した。残基137~262(CA/09ナンバリングに準拠)を包含する特定位置の残基のより少ないプールは表7に記載されており、そこから、HAの球状頭部の標的修飾のための特定のアミノ酸置換を選択した。表8には、RBSの10オングストローム以内の残基に対してHAの免疫学的プロファイルの標的修飾をするために使用される、残基のプールが記載されている。これらの残基を、図9のシェーディングで示している。
Figure 0007110119000007
Figure 0007110119000008
Figure 0007110119000009
Figure 0007110119000010
Figure 0007110119000011
Figure 0007110119000012
Figure 0007110119000013
Figure 0007110119000014
原理証明として評価された、季節性免疫プロファイルを備える改変HAポリペプチドの残基の修飾について、表9に記載している。これらの修飾には、RBS領域修飾と、上述のグリコシル化プロファイル修飾(例えば、グリコシル化部位の切除)との組み合わせが含まれる。これらの修飾によって、適正にフォールディングし、表面発現された組換えHAポリペプチドが得られた(図7)。再度、頭部領域の修飾が抗ステムmAbへの結合のわずかな増加を誘導したのを観察し、1箇所での置換が、遠隔部位に広範囲のアロステリック効果を与えることができることを示した。再設計された組換えHAは、パンデミックと季節性の両方の特定の抗体によって認識された(図8)。興味深いことに、RBS修飾は単独で季節性免疫プロファイルを改善した(図8、DO2a_m4~m5、「修飾されたCH65」)が、パンデミックプロファイルにはほとんど影響を及ぼさなかった。しかしながら、RBS領域修飾とグリコシル化修飾を組み合わせることで、季節性とパンデミックの免疫プロファイルの両方が有意に改善した。(図8、DO2a_m7~m9、「Δグリコシル+mCH65」)。このデータが示したのは、修飾は、季節性免疫プロファイル(「mAb結合の増加」)を改良し、より多くのパンデミック免疫プロファイル(「範囲の増加」)を付与し、それによって、改変HAポリペプチドの例(例えば、SMARt_DO2a)において抗原変異および抗原不連続変異に対処することができる全体的によりバランスの取れた免疫プロファイルをもたらしたことである。
Figure 0007110119000015

実施例4.改変HAポリペプチドのin vivoでの有効性
この実施例は、本明細書に記載の方法により修飾された改変HAポリペプチドが、いくつかのインフルエンザ株に対する広範な抗体応答の形で免疫応答を誘発することを示すものである。
改変モザイクヘマグルチニン(HA)を含有するウイルス様粒子(VLP)の調製
インフルエンザVLPを、無血清Freestyle293培地で、HEK293T細胞の3種プラスミド一過性トランスフェクションにより調製する。改変HAポリペプチド配列コードするプラスミドと、NA配列のプラスミドと、HIVgagのプラスミドとを、1:1:1の比率で混合し、HEK293T細胞を一過性トランスフェクトするのに使用する。培養上清をトランスフェクションの120時間後に回収し、上清中のVLPを超遠心分離法により20%スクロースクッション上にペレット化し、PBSで再懸濁する。
改変HAを発現するVLPでのマウスの免疫化
改変モザイクHAデザインの免疫原性を評価するために、6~8週齢の雌のBALB/cマウスグループを5μgのインフルエンザVLPまたは媒体単体(PBS)で免疫化する。全ての免疫接種物は、水中油アジュバントを用いて乳濁液として製剤化され、総量100μlで皮下に送達される。各グループは最初の免疫接種の21日後に同様のブースター投与を受ける。免疫化前(0日目)と免疫化後(35日目)の血清を各動物から採取する。あるグループ内の各動物由来の等容量の血清を混合することにより、分析に用いる血清プールを調製する。
ヘマグルチニン阻害(HAI)アッセイ
各グループのプールした血清の反復段階希釈物を、提示されたウイルスの四つの血球凝集ユニットと混合し、丸底プレートで室温にて30分間インキュベートする。続いて、各血清/ウイルスの混合物を、食塩水中で等容量の0.5%のシチメンチョウ赤血球と混合する。血清を含まない対照ウェルが完全な血球凝集を示してから(約30分)、プレートをスコア化する。HAI力価を、評価したウェルの50%で血球凝集の完全阻害をもたらす最大血清希釈として定義する。
マイクロ中和(MN)アッセイ
各グループのプールした血清の反復段階希釈物を、ウイルスの100の50%組織培養感染用量(TCID50)と混合し、37℃で1時間インキュベートする。続いて、各血清/ウイルス混合物をMadin Darbyイヌ腎臓(MDCK)細胞の融合単層に加えて、37℃で24時間インキュベートする。次に単層を固定して、インフルエンザ核タンパク質のELISA検出に基づいて、感染したウェルを特定する。MN力価を、評価したウェルの50%でウイルス感染の完全な中和をもたらす血清の最大希釈として定義する。
免疫原性アッセイ
HAIアッセイを、受容体ステム領域に融合されたRBS領域、推定N結合型グリコシル化部位を除去もしくは改変する修飾、および/またはRBS領域の残基への標的修飾を備えた、修飾された組換えHAポリペプチドを用いて行う。これらの修飾された組換えHAポリペプチドは、広範な免疫応答を誘発する。
実施例5.修飾された組換えHAポリペプチドの例
この実施例は、本明細書に記載の種々の方法を用いて生成された修飾組換えHAポリペプチドの例を示すものである。
DO2aRBStrunc00_resG63_G278_graftedontDo1a(配列番号7)
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DO2aRBStrunc00_resG63_G277_graftedontoCal2009(配列番号8)
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DO2aRBStrunc00_resG63_G277_graftedontoSC1918(配列番号9)
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DO2aRBStrunc00_resG63_G277_graftedontoNJ1976(配列番号10)
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DO2aRBStrunc01_resV125_G277_graftedontoDo1a(配列番号11)
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DO2aRBStrunc01_resV125_G277_graftedontoCal2009(配列番号12)
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DO2aRBStrunc01_resV125_G277_graftedontoSC1918(配列番号13)
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DO2aRBStrunc02_resP135_P269_graftedontoDo1a(配列番号15)
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DO2aRBStrunc02_resP135_P269_graftedontoCal2009(配列番号16)
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DO2aRBStrunc02_resP135_P269_graftedontoSc1918(配列番号17)
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DO2aRBStrunc02_resP135_P269_graftedontoNj1976(配列番号18)
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SMARt_NC_DO2a_NGlyMod(配列番号19)
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KSYANNKEKEVLVLWGVHHPPNIGDQRALYHTENAYVSVVSSHYSRRFTPEIAKRPKVRDQEGRINYYWTLLEPGDTIIFEANGNLIAPWYAFALSRGFGSGIITSNAPMDKCDAKCQTPQGAINSSLPFQNVHPVTIGECPKYVRSAKLRMVTGLRNIPFIQSRGLFGAIAGFIEGGWTGMVDGWYGYHHQNEQGSGYAADQKSTQNAINGITNKVNSVIEKMNTQFTAVGKEFNKLERRMENLNKKVDDGFLDIWTYNAELLVLLENERTLDFHDSNVKNLYEKVKSQLKNNAKEIGNGCFEFYHKCNDECMESVKNGTYDYPKYSEESKLNREKIDGVKLESMGVYQILAIYSTVASSLVLLVSLGAISFWMCSNGSLQCRICI
SMARt_NC_DO2a_NGlyMod+loopInsertion(CA09)(配列番号20)
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SMART_NC_DO2A_NGLYMOD+LOOPINSERTION(SC18)(配列番号21)
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SMARt_NC_DO2a_mods_outstide_ch65_eptiope1(配列番号22)
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SMARt_NC_DO2a_mods_outstide_ch65_eptiope2(配列番号23)
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SMARt_NC_DO2a_mods_outside_ch65_eptiope3(配列番号24)
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SMARt_NC_DO2a_mods_outside_ch65_eptiope1-noGly(配列番号25)
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SMARt_NC_DO2a_mods_outstide_ch65_eptiope2-noGly(配列番号26)
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SMARt_NC_DO2a_mods_outstide_ch65_eptiope3-noGly(配列番号27)
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本出願はまた、本明細書に記載の配列のいずれか一つに対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、92%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有する修飾された組換えHAポリペプチドを包含する。
実施例6.パンデミック特徴を増加させる組換えHAポリペプチドの修飾
DO2a脱グリコシル化/RBS修飾がパンデミックA/カリフォルニア/09チャレンジに対する抗体応答の範囲および防御に及ぼす影響を評価するために、さらなるデザインを選択した。SMARtDO2a RBSの再設計によって、抗体を広範に中和することによる認識が改善されたが、これはMFIアッセイにおいて脱グリコシル化構築物に結合する4K8の増加によって示されている(図10)。元のSMARt DO2aデザインは、in vivoでの評価に基づいて季節性に偏っており、発明者らはそのデザインを修飾して、パンデミック株にまで範囲を拡張した。mAbのパネルを用いたin vitroアッセイは、パンデミックmAbが、修飾されたデザインのうちのいくつかに結合することを示した。デザインのサブセットを、A/カリフォルニア/07/2009に対するマウスチャレンジモデルで評価した。その結果は、修飾がパンデミックA型インフルエンザに対する免疫プロファイルを改善することを示している。
再設計されたHAを発現するVLPでのマウスの免疫化
再設計されたモザイクHAデザインの免疫原性を評価するために、6~8週齢の雌のBALB/cマウスグループを3μgのインフルエンザVLPまたは媒体単体(PBS)で免疫化する。全ての免疫接種物は、水中油アジュバントを用いて乳濁液として製剤化され、表10に示すように、総量100μlで筋肉内に送達される。各グループは最初の免疫接種の21日後および42日後に二つの同様のブースター投与を受ける。免疫化前の血清を0日目に各動物から採取する。免疫化後の血清を、42日目、56日目、および69日目に各動物から採取する。図11は、免疫化とそれに続くin vivo評価のスケジュールを示している。あるグループ内の各動物由来の等容量の血清を混合することにより、分析に用いる血清プールを調製する。
Figure 0007110119000016
再設計されたHAを発現するVLPで免疫化されたマウスの生存および体重
動物を10回チャレンジし、チャレンジ後に70日目のパンデミックA/カリフォルニア/2009のLD50と生存とをモニターした。媒体単体で免疫化した動物がチャレンジの6日後に100%の死亡率となったのに比べて、元のSMARtDO2aを用いた免疫化はA/カリフォルニア/09チャレンジに対して防御的であり、動物の80%がチャレンジの14日後に生存していた。次世代DO2a修飾により、元のSMARtDO2aと比べて生存率が改善しており、SMARtDO2a_m8による免疫化は評価した動物の100%の防御に効果的であった(図12)。
動物を、ウイルスチャレンジ後の体重減少の割合に関してモニターした。次世代DO2a修飾により、元のSMARtDO2aと比べて体重維持が改善した。SMARtDO2a_m8が、ウイルスチャレンジに誘導される体重減少に対して最も高い防御を示した(図13)。
再設計されたHAを発現するVLPで免疫化されたマウスのウイルス肺力価
マウスを、ウイルス肺力価に関してチャレンジ4日後にさらにモニターした。SMARtDO2a構築物での免疫化により、ウイルス肺力価がPBSに比べて低くなった。SMARtDO2a_m8構築物により、肺力価がPBSに比べて1/10に減少し、他の全てのDO2a構築物よりも有意に低いウイルス肺力価となった(図14)
ヘマグルチニン阻害(HAI)アッセイ
各グループのプールした血清の反復段階希釈物を、提示されたウイルスの四つの血球凝集ユニットと混合し、丸底プレートで室温にて30分間インキュベートする。続いて、各血清/ウイルスの混合物を、食塩水中で等容量の0.5%のシチメンチョウ赤血球と混合する。血清を含まない対照ウェルが完全な血球凝集を示してから(約30分)、プレートをスコア化する。HAI力価を、評価したウェルの50%で血球凝集の完全阻害をもたらす最大血清希釈として定義する。SMARtDO2a_m8マウスにおけるA/カリフォルニア/09HAI応答は、PBSとは有意に異なる(P<0.001)が、6/24のマウスのみは、等しいか、または1:40よりも高いHAI力価を有した(図15)。全ての他のDO2a構築物に関する防御のメカニズムは明らかではない。
全ての次世代修飾されたDO2a構築物は、A/カリフォルニア/09チャレンジの際の死亡に対して部分的に防御することができた。SMARtDO2a_m8は、死亡率、体重減少、およびウイルス肺力価を最も低減させた。SMARtDO2a_m8はまた、A/Cal/09株に対するHAI応答を誘発する唯一のDO2a構築物であり、防御の改善は頭部の応答に関連していたことが示唆される。本明細書に示されるように、次世代DO2a修飾は、パンデミックA型インフルエンザチャレンジに対して防御を成功裏に増加させた。
等価物
「第一」、「第二」、「第三」などの序数用語を、構成要素を修飾するために特許請求の範囲において使用することは、それ自体、いかなる優先度、優先順位、もしくは一構成要素の別の要素への優先順序、または方法の行為が実施される時間的順序を意味するものではないが、特定の名称を有する一構成要素を同一の名称(序数用語の使用を除いて)を有する別の要素と区別して、構成要素を識別するためのラベルとしてのみ使用されている。
本明細書および特許請求の範囲で使用される冠詞「a」および「an」は、明確に反対の指示がない限り、複数の指示対象を含むと理解されるべきである。グループの一つまたは複数のメンバーとの間に「または」を含むクレームまたは説明は、グループメンバーの一つ、1以上、またはすべてが、文脈から逆のまたはそうでないことが示されていない限り、所与の製品またはプロセスに存在し、採用され、またはそうでなければ関連する場合に満足されると考えられる。本発明は、グループのちょうど一つのメンバーが所与の製品またはプロセスに存在し、使用され、または関連する実施形態を含む。本発明はまた、二つ以上の、またはグループメンバー全体が所与の製品またはプロセスに存在し、使用され、または関連する実施形態も含む。さらに、本発明は、別段の指示がない限り、または当業者には矛盾または不一致が生じることが明らかでない限り、列挙された請求項の一つ以上からの一つ以上の制限、要素、句、記述的用語などが、同じ基本クレーム(または関連する他の請求項)に従属する別の請求項に導入されるすべての変形、組み合わせ、および置換を包含することが理解されるべきである。要素がリスト(例えば、マーカッシュグループまたは類似のフォーマット)として提示される場合、要素の各サブグループも開示され、任意の要素がグループから除去され得ることが理解されるべきである。一般に、本発明または本発明の態様は、特定の要素、特徴などを含むものとして言及し、本発明の特定の実施形態または本発明の態様は、そのような要素、特徴などからなるか、またはそれらから本質的になることを理解されたい。簡潔にするために、これらの実施形態は、すべての場合において、本明細書中に多くの言葉で具体的に記載されているわけではない。特定の排除が明細書に列挙されているかどうかにかかわらず、本発明の任意の実施形態または態様は、特許請求の範囲から明白に除外することができることも理解されるべきである。本発明の背景を説明し、その実施に関するさらなる詳細を提供するために本明細書で参照される刊行物、ウェブサイトおよび他の参考資料は、参照により本明細書に組み込まれる。
特定の実施形態では、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
組換えインフルエンザヘマグルチニン(HA)ポリペプチドであって、
支配的季節性免疫プロファイルを備えた改変HAポリペプチド由来の改変頭部領域と、
パンデミック株由来のステム領域と、を含む、前記ポリペプチド。
(項目2)
前記改変頭部領域が、配列番号1(SMARt_DO2a配列)の135~269位、125~277位、または63~278位に相当するアミノ酸に対して少なくとも95%同一の配列を含む、項目1に記載の組換えインフルエンザHAポリペプチド
(項目3)
前記配列が、配列番号1(SMARt_DO2a配列)の135~269位、125~277位、または63~278位に相当するアミノ酸に対して少なくとも96%同一である、項目2に記載の組換えインフルエンザHAポリペプチド。
(項目4)
前記配列が、配列番号1(SMARt_DO2a配列)の135~269位、125~277位、または63~278位に相当するアミノ酸に対して少なくとも98%同一である、項目2または項目3に記載の組換えインフルエンザHAポリペプチド。
(項目5)
前記配列が、配列番号1(SMARt_DO2a配列)の135~269位、125~277位、または63~278位に相当するアミノ酸に対して同一である、項目2から項目4のいずれか1項に記載の組換えインフルエンザHAポリペプチド。
(項目6)
前記ステム領域が天然に存在するパンデミック株由来である、先行項目のいずれか1項に記載の組換えインフルエンザHAポリペプチド。
(項目7)
前記天然に存在するパンデミック株がA/カリフォルニア/07/2009、A/ニュージャージー/10/1976、またはA/サウスカロライナ/1/1918から選択される、項目6に記載の組換えインフルエンザHAポリペプチド。
(項目8)
前記ステム領域がパンデミック免疫プロファイルを有する改変HAポリペプチド由来である、先行項目のいずれか1項に記載の組換えインフルエンザHAポリペプチド。
(項目9)
パンデミック免疫プロファイルを有する前記改変HAポリペプチドが、COBRA(コンピュータ最適化広域反応性抗原:computationally optimized broadly reactive antigens)技術、モザイク技術、インフルエンザ株のインフルエンザコンセンサス配列ベースの組み合わせ、構造ドメインの欠失および/もしくは再配列、ドメインスワッピング、または複数のインフルエンザ株に含まれる中和エピトープもしくは交差反応性エピトープの組み合わせ、によって改変される、項目8に記載の組換えインフルエンザHAポリペプチド。
(項目10)
支配的季節性免疫プロファイルを備えたHAポリペプチド由来であり、かつNxS/Ty(xとyはPではない)のコンセンサス配列によって定められる一つ以上の推定N結合型グリコシル化部位において、前記一つ以上の推定N結合型グリコシル化部位が破壊されるように、一つ以上のアミノ酸の置換、欠失、または挿入を含む、改変頭部領域を備え、
前記一つ以上のアミノ酸の置換、欠失、または挿入の各々が、パンデミック株の対応する配列由来である、組換えインフルエンザヘマグルチニン(HA)ポリペプチド。
(項目11)
支配的パンデミック免疫プロファイルを備えたHAポリペプチド由来であり、かつNxS/Ty(xとyはPではない)のコンセンサス配列によって定められる一つ以上の改変された推定N結合型グリコシル化部位を含む、改変頭部領域を備え、
前記一つ以上の改変された推定N結合型グリコシル化部位が、季節性株の対応する配列に基づいて、アミノ酸の置換、欠失、または挿入によって改変されている、組換えインフルエンザヘマグルチニン(HA)ポリペプチド。
(項目12)
前記ヘマグルチニンがA型インフルエンザに対応する、項目10または項目11に記載の組換えインフルエンザヘマグルチニン。
(項目13)
前記A型インフルエンザがサブタイプH1N1である、項目12に記載の組換えインフルエンザヘマグルチニン。
(項目14)
前記一つ以上の推定N結合型グリコシル化部位が、(CA09ナンバリング)の142~145位および/または177~179位に相当する、項目10から項目13のいずれか1項に記載の組換えヘマグルチニン(HA)ポリペプチド。
(項目15)
前記一つ以上の推定N結合型グリコシル化部位が、受容体結合部位(RBS)の15オングストローム以内にあり、前記RBSが、三次元(3-D)構造において、W167(CA09ナンバリング)に相当する位置の15オングストローム以内の全てのアミノ酸残基として定められている、項目10から項目13のいずれか1項に記載の組換えHAポリペプチド。
(項目16)
前記一つ以上のアミノ酸の置換、欠失、または挿入が、表4から選択される、項目14に記載の組換えHAポリペプチド。
(項目17)
前記一つ以上のアミノ酸の置換、欠失、または挿入が、表5から選択される、項目14または項目16に記載の組換えHAポリペプチド。
(項目18)
前記一つ以上のアミノ酸の置換、欠失、または挿入が、前記コンセンサス配列NxS/Tyをz に修飾することを含み、式中、
は、N、D、K、またはSであり、
は、Yであるか、または変化せず、
は、E、D、またはNであり、
は、I、L、P、S、もしくはTであるか、または変化しない、項目10から項目17のいずれか1項に記載の組換えHAポリペプチド。
(項目19)
一つ以上のアミノ酸の置換、欠失、または挿入が誘導されるパンデミック株または季節性株が、循環インフルエンザ株である、項目10から項目18のいずれか1項に記載の組換えHAポリペプチド。
(項目20)
前記循環インフルエンザ株が、A/カリフォルニア/07/2009およびA/サウスカロライナ/1/1918からなる群から選択される、項目19に記載の組換えHAポリペプチド。
(項目21)
前記一つ以上のアミノ酸の置換、欠失、または挿入が、前記NxS/Tyコンセンサス配列の1~5アミノ酸以内へのリジン(K)残基またはアルギニン(R)残基の挿入を含む、項目10から項目20のいずれか1項に記載の組換えHAポリペプチド。
(項目22)
前記リジン(K)残基またはアルギニン(R)残基が前記NxS/Tyコンセンサス配列の1~5アミノ酸3’内にある、項目21に記載の組換えHAポリペプチド。
(項目23)
前記一つ以上のアミノ酸の置換、欠失、または挿入が、A/カリフォルニア/07/2009の147に相当する位置での挿入を含む、項目10から項目21のいずれかに記載の組換えHAポリペプチド。
(項目24)
147に相当する位置での前記挿入が、リジン(K)またはアルギニン(R)の挿入を含む、項目23に記載の組換えHAポリペプチド。
(項目25)
支配的季節性免疫プロファイルを備えたHAポリペプチド由来であり、かつ60と291と(CA09ナンバリング)に相当する位置の間に一つ以上のアミノ酸置換を含む、改変頭部領域を備え、
前記一つ以上のアミノ酸置換の各々が、パンデミック株の対応する配列由来である、組換えインフルエンザヘマグルチニン(HA)ポリペプチド。
(項目26)
前記一つ以上のアミノ酸置換が、表6から選択される、項目25に記載の組換えHAポリペプチド。
(項目27)
前記一つ以上のアミノ酸置換が、137と262と(CA09ナンバリング)に相当する位置の間にあり、前記一つ以上のアミノ酸置換が表7から選択される、項目25に記載の組換えHAポリペプチド。
(項目28)
前記一つ以上のアミノ酸置換が、表6または表7から選択される2個以上のアミノ酸置換を含む、項目25から項目27のいずれか1項に記載の組換えHAポリペプチド。
(項目29)
前記一つ以上のアミノ酸置換が、表6または表7から選択される3個以上のアミノ酸置換を含む、項目25から項目28のいずれか1項に記載の組換えHAポリペプチド。
(項目30)
前記一つ以上のアミノ酸置換が、表6または表7から選択される5個以上のアミノ酸置換を含む、項目25から項目29のいずれか1項に記載の組換えHAポリペプチド。
(項目31)
前記一つ以上のアミノ酸置換が、表6または表7から選択される10個以上のアミノ酸置換を含む、項目25から項目30のいずれか1項に記載の組換えHAポリペプチド。
(項目32)
前記一つ以上のアミノ酸置換が、表6または表7から選択される少なくとも2個、3個、4個、5個、または10個の連続する置換を含む、項目25から項目31のいずれか1項に記載の組換えHAポリペプチド。
(項目33)
前記一つ以上のアミノ酸置換が、137、144、145、154、155、156、157、158、159、177、210、211、212、213、214、244、245、および/または262(CA09ナンバリング)に相当する位置で起こる、項目25から項目32のいずれか1項に記載の組換えHAポリペプチド。
(項目34)
前記一つ以上のアミノ酸置換が、137、154、155、156、157、158、159、177、210、211、212、213、214、244、および/または245(CA09ナンバリング)に相当する位置で起こる、項目25から項目33のいずれか1項に記載の組換えHAポリペプチド。
(項目35)
前記一つ以上のアミノ酸置換が、137、144、145、154、155、156、157、158、159、177、210、211、212、213、214、および/または262(CA09ナンバリング)に相当する位置で起こる、項目25から項目33のいずれか1項に記載の組換えHAポリペプチド。
(項目36)
支配的季節性免疫プロファイルを備えたHAポリペプチド由来であり、かつ受容体結合部位(RBS)の15オングストローム以内に一つ以上のアミノ酸置換を含み、前記RBSが、三次元(3-D)構造において、W167(CA09ナンバリング)に相当する位置の15オングストローム以内の全てのアミノ酸残基として定められている、改変頭部領域を備え、
前記一つ以上のアミノ酸置換の各々が、パンデミック株の対応する配列由来である、組換えインフルエンザヘマグルチニン(HA)ポリペプチド。
(項目37)
前記パンデミック株が循環インフルエンザウイルスである、項目36に記載の組換えHAポリペプチド。
(項目38)
前記一つ以上のアミノ酸置換が、受容体結合部位(RBS)の10オングストローム以内にある、項目36に記載の組換えHAポリペプチド。
(項目39)
前記一つ以上のアミノ酸置換が、表8から選択される、項目36に記載の組換えHAポリペプチド。
(項目40)
前記一つ以上のアミノ酸置換が、表8から選択される2個以上のアミノ酸置換を含む、項目38または項目39に記載の組換えHAポリペプチド。
(項目41)
前記一つ以上のアミノ酸置換が、表8から選択される3個以上のアミノ酸置換を含む、項目38から項目40のいずれか1項に記載の組換えHAポリペプチド。
(項目42)
前記一つ以上のアミノ酸置換が、表8から選択される5個以上のアミノ酸置換を含む、項目38から項目41のいずれか1項に記載の組換えHAポリペプチド。
(項目43)
前記一つ以上のアミノ酸置換が、表8から選択される10個以上のアミノ酸置換を含む、項目38から項目42のいずれか1項に記載の組換えHAポリペプチド。
(項目44)
前記一つ以上のアミノ酸置換が、表8から選択される少なくとも2個、3個、4個、5個、または10個の連続する置換を含む、項目38から項目43のいずれか1項に記載の組換えHAポリペプチド。
(項目45)
前記一つ以上のアミノ酸置換が、137、144、145、154、155、156、157、158、159、177、210、211、212、213、および/または214(CA09ナンバリング)に相当する位置で起こる、項目38から項目44のいずれか1項に記載の組換えHAポリペプチド。
(項目46)
支配的季節性免疫プロファイルを備えたHAポリペプチド由来であり、かつ表9から選択される一つ以上のアミノ酸修飾を含む、改変頭部領域を備えた、組換えインフルエンザヘマグルチニン(HA)ポリペプチド。
(項目47)
支配的季節性免疫プロファイルを備えた前記HAポリペプチドまたは支配的パンデミック免疫プロファイルを備えた前記HAポリペプチドが、COBRA(コンピュータ最適化広域反応性抗原:computationally optimized broadly reactive antigens)技術、モザイク技術、インフルエンザ株のインフルエンザコンセンサス配列ベースの組み合わせ、構造ドメインの欠失および/もしくは再配列、ドメインスワッピング、または複数のインフルエンザ株に含まれる中和エピトープもしくは交差反応性エピトープの組み合わせ、によって改変される、先行項目のいずれか1項に記載の組換えHAポリペプチド。
(項目48)
前記組換えHAポリペプチドが、インフルエンザウイルスの季節性株とパンデミック株の両方に対して中和抗体を誘発する、先行項目のいずれか1項に記載の組換えHAポリペプチド。
(項目49)
前記組換えHAポリペプチドが、インフルエンザウイルスの季節性株とパンデミック株の両方に対する、よりバランスの取れた免疫原性プロファイルによって特徴付けられている、先行項目のいずれか1項に記載の組換えHAポリペプチド。
(項目50)
先行項目のいずれか1項に記載の組換えHAポリペプチドをコードする単離された核酸。
(項目51)
項目50に記載の核酸を含むベクター。
(項目52)
項目51に記載のベクターを含む単離された細胞。
(項目53)
前記細胞がヒトである、項目52に記載の単離された細胞。
(項目54)
項目1から項目47のいずれか1項に記載の組換えHAポリペプチドを含むインフルエンザウイルス様粒子(VLP)。
(項目55)
インフルエンザノイラミニダーゼ(NA)タンパク質、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)gagタンパク質、またはその両方をさらに含む、項目49に記載のインフルエンザVLP。
(項目56)
項目1から項目47のいずれか1項に記載の組換えHAポリペプチドを含む医薬組成物。
(項目57)
項目54または項目55に記載のインフルエンザVLPを含む医薬組成物。
(項目58)
季節性およびパンデミックのインフルエンザウイルスに対して対象を免疫化する方法であって、項目56または項目57に記載の医薬組成物を前記対象に投与することを含む、前記方法。
(項目59)
改変ヘマグルチニン(HA)ポリペプチドの免疫原性プロファイルを変更する方法であって、
前記改変HAポリペプチドの頭部領域を選択することと、
前記改変HAポリペプチドの前記選択された頭部領域で、別の免疫原性プロファイルを備えたHAポリペプチドの対応する頭部領域を置換し、それによって、変更された免疫原性プロファイルを備えた再設計されたHAポリペプチドを生成することと、を含む、前記方法。
(項目60)
前記改変HAポリペプチドが支配的季節性免疫プロファイルを有し、別の免疫原性プロファイルを備えた前記HAポリペプチドが支配的パンデミック免疫プロファイルを有する、項目59の方法。
(項目61)
支配的季節性免疫プロファイルを備えた前記改変HAポリペプチドの前記選択された頭部領域が、配列番号1(SMARt_DO2a配列)の残基63~278、125~277、または135~269に相当する、項目60に記載の方法。
(項目62)
別の免疫原性プロファイル(支配的パンデミック)を備えた前記HAポリペプチドの対応する頭部領域が、配列番号2(完全長野生型NC09(A/カリフォルニア/07/2009HA配列)配列)の63~277の残基を含む、項目61に記載の方法。
(項目63)
別の免疫原性プロファイル(支配的パンデミック)を備えた前記HAポリペプチドの対応する頭部領域が、配列番号3(完全長野生型SC1918配列)の63~277の残基を含む、項目61に記載の方法。
(項目64)
別の免疫原性プロファイル(支配的パンデミック)を備えた前記HAポリペプチドの対応する頭部領域が、配列番号4(完全長野生型NJ1976配列)の63~277の残基を含む、項目61に記載の方法。
(項目65)
別の免疫原性プロファイル(支配的パンデミック)を備えた前記HAポリペプチドの対応する頭部領域が、配列番号2(完全長野生型NC09配列)の125~277の残基を含む、項目61に記載の方法。
(項目66)
別の免疫原性プロファイル(支配的パンデミック)を備えた前記HAポリペプチドの対応する頭部領域が、配列番号3(完全長野生型SC1918配列)の125~277の残基を含む、項目61に記載の方法。
(項目67)
別の免疫原性プロファイル(支配的パンデミック)を備えた前記HAポリペプチドの対応する頭部領域が、配列番号4(完全長野生型NJ1976配列)の125~277の残基を含む、項目61に記載の方法。
(項目68)
別の免疫原性プロファイル(支配的パンデミック)を備えた前記HAポリペプチドの対応する頭部領域が、配列番号2(完全長野生型NC09配列)の135~269の残基を含む、項目61に記載の方法。
(項目69)
別の免疫原性プロファイル(支配的パンデミック)を備えた前記HAポリペプチドの対応する頭部領域が、配列番号3(完全長野生型SC1918配列)の135~269の残基を含む、項目61に記載の方法。
(項目70)
別の免疫原性プロファイル(支配的パンデミック)を備えた前記HAポリペプチドの対応する頭部領域が、配列番号4(完全長野生型NJ1976配列)の135~269の残基を含む、項目61に記載の方法。
(項目71)
別の免疫原性プロファイル(支配的パンデミック)を備えた前記HAポリペプチドが、野生型インフルエンザウイルス由来のHAポリペプチドである、項目61から項目70のいずれか1項に記載の方法。
(項目72)
別の免疫原性プロファイル(支配的パンデミック)を備えた前記HAポリペプチドが、改変HAポリペプチドである、項目61から項目70のいずれか1項に記載の方法。
(項目73)
別の免疫原性プロファイル(支配的パンデミック)を備えた前記HAポリペプチドが、配列番号5(DO1Aの完全長配列)を含む、項目72に記載の方法。
(項目74)
前記改変HAポリペプチドが支配的パンデミック免疫プロファイルを有し、別の免疫原性プロファイルを備えた前記HAポリペプチドが支配的季節性免疫プロファイルを有する、項目59の方法。
(項目75)
支配的パンデミック免疫プロファイルを備えた前記改変HAポリペプチドの選択された頭部領域が、
配列番号2(完全長野生型NC09(A/カリフォルニア/07/2009HA配列)配列)の63~277の残基と、
配列番号3(完全長野生型SC1918配列)の63~277の残基と、
配列番号4(完全長野生型NJ1976配列)の63~277の残基と、
配列番号2(完全長野生型NC09配列)の125~277の残基と、
配列番号3(完全長野生型SC1918配列)の125~277の残基と、
配列番号4(完全長野生型NJ1976配列)の125~277の残基と、
配列番号2(完全長野生型NC09配列)の135~269の残基と、
配列番号3(完全長野生型SC1918配列)の135~269の残基と、
配列番号4(完全長野生型NJ1976配列)の135~269の残基と、からなる群から選択される、項目74に記載の方法。
(項目76)
別の免疫原性プロファイル(支配的季節性)を備えた前記HAポリペプチドの対応する頭部領域が、配列番号1(SMARt_DO2aの完全長配列)の残基63~278、125~277、または135~269を含む、項目74または項目75に記載の方法。
(項目77)
前記再設計されたHAポリペプチドの発現および構造を評価することをさらに含む、項目59から項目76のいずれかに記載の方法。
(項目78)
前記再設計されたHAポリペプチドがインフルエンザウイルスの季節性株とパンデミック株の両方に対して中和抗体を誘発するか否かを判定することをさらに含む、項目59から項目76のいずれかに記載の方法。
(項目79)
改変ヘマグルチニン(HA)ポリペプチドの免疫原性プロファイルを変更する方法であって、
別の免疫原性プロファイルを備えたHAポリペプチドの対応する頭部領域と比較して、前記改変HAポリペプチドの頭部領域における一つ以上の推定N結合型グリコシル化部位の有無を判定することと、
前記改変HAポリペプチドの前記頭部領域に一つ以上のアミノ酸の置換、欠失、または挿入を導入して、別の免疫原性プロファイルを備えた前記HAポリペプチドの対応する配列に基づいて、前記一つ以上の推定N結合型グリコシル化部位を破壊するかまたは追加のN結合型グリコシル化部位を挿入し、それにより変更した免疫原性プロファイルを有する再設計されたHAポリペプチドを生じさせることと、を含む方法。
(項目80)
前記一つ以上の推定または追加のN結合型グリコシル化部位が、NxS/Ty(xとyはPではない)のコンセンサス配列によって定められる、項目79に記載の方法。
(項目81)
前記改変HAポリペプチドが支配的季節性免疫プロファイルを有し、別の免疫原性プロファイルを備えた前記HAポリペプチドが支配的パンデミック免疫プロファイルを有し、前記一つ以上のアミノ酸の置換、欠失、または挿入が前記改変HAポリペプチドに導入されて、前記一つ以上の推定N結合型グリコシル化部位を破壊し、
前記再設計されたHAポリペプチドがよりパンデミックになるように変更される、項目79または項目80に記載の方法。
(項目82)
前記改変HAポリペプチドが支配的パンデミック免疫プロファイルを有し、別の免疫原性プロファイルを備えた前記HAポリペプチドが支配的季節性免疫プロファイルを有し、
前記一つ以上のアミノ酸の置換、欠失、または挿入が前記改変HAポリペプチドに導入されて、追加のN結合型グリコシル化部位を挿入し、
前記再設計されたHAポリペプチドがより季節性になるように変更される、項目79または項目80に記載の方法。
(項目83)
前記再設計されたHAポリペプチドの発現および構造を評価することをさらに含む、項目79から項目82のいずれか1項に記載の方法。
(項目84)
前記再設計されたHAポリペプチドがインフルエンザウイルスの季節性株とパンデミック株の両方に対して中和抗体を誘発するか否かを判定することをさらに含む、項目79から項目83のいずれか1項に記載の方法。
(項目85)
改変ヘマグルチニン(HA)ポリペプチドの免疫原性プロファイルを変更する方法であって、
一つ以上のアミノ酸置換を受容体結合部位(RBS)の15オングストローム以内に導入することであって、前記RBSが、三次元(3-D)構造において、W167(CA09ナンバリング)に相当する位置の15オングストローム以内の全てのアミノ酸残基として定められている、前記導入することを含んでおり、
前記一つ以上のアミノ酸置換の各々が、特定の位置のアミノ酸残基を、別の免疫原性プロファイルを備えたHAポリペプチドの対応する位置で観察されるアミノ酸残基と置き換えることを含み、
それにより、変更した免疫原性プロファイルを備えた再設計されたHAポリペプチドを生じさせる、前記方法。
(項目86)
別の免疫原性プロファイルを備えた前記HAポリペプチドが循環の季節性インフルエンザ株またはパンデミックインフルエンザ株由来である、項目85に記載の方法。
(項目87)
前記改変HAポリペプチドが支配的季節性免疫プロファイルを有し、別の免疫原性プロファイルを備えた前記HAポリペプチドが支配的パンデミック免疫プロファイルを有し、前記再設計されたHAポリペプチドがよりパンデミックになるように変更される、項目85または項目86に記載の方法。
(項目88)
前記改変HAポリペプチドが支配的パンデミック免疫プロファイルを有し、別の免疫原性プロファイルを備えた前記HAポリペプチドが支配的季節性免疫プロファイルを有し、前記再設計されたHAポリペプチドがより季節性になるように変更される、項目85または項目86に記載の方法。
(項目89)
前記再設計されたHAポリペプチドの発現および構造を評価することをさらに含む、項目85から項目88のいずれか1項に記載の方法。
(項目90)
前記再設計されたHAポリペプチドがインフルエンザウイルスの季節性株とパンデミック株の両方に対して中和抗体を誘発するか否かを判定することをさらに含む、項目85から項目89のいずれか1項に記載の方法。
(項目91)
改変ヘマグルチニン(HA)ポリペプチドの免疫原性プロファイルを変更する方法であって、
表4、表5、表6、表7、表8、または表9に示されている修飾から選択される一つ以上の修飾を、前記改変HAポリペプチドの一つ以上対応する位置に導入し、それにより変更した免疫原性プロファイルを備えた再設計されたHAポリペプチドを生じさせることを含む、前記方法。
(項目92)
前記一つ以上の修飾が、137、144、145、154、155、156、157、158、159、177、210、211、212、213、214、244、245、および/または262(CA09ナンバリング)に相当する位置で生じる、項目91に記載の方法。
(項目93)
前記一つ以上の修飾が、137、144、145、154、155、156、157、158、159、177、210、211、212、213、および/または214(CA09ナンバリング)に相当する位置で生じる、項目91または項目92に記載の方法。
(項目94)
前記一つ以上の修飾が、表4、表5、表6、表7、表8、または表9で示した修飾から選択される2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、または10個以上の修飾を含む、項目91から項目93のいずれか1項に記載の方法。
(項目95)
前記再設計されたHAポリペプチドの発現および構造を評価することをさらに含む、項目91から項目94のいずれか1項に記載の方法。
(項目96)
前記再設計されたHAポリペプチドがインフルエンザウイルスの季節性株とパンデミック株の両方に対して中和抗体を誘発するか否かを判定することをさらに含む、項目91から項目95のいずれか1項に記載の方法。
(項目97)
改変ヘマグルチニン(HA)ポリペプチドの免疫原性プロファイルを変更する方法であって、
(i)前記改変HAポリペプチドの頭部領域を選択することと、前記改変HAポリペプチドの前記選択された頭部領域で、別の免疫原性プロファイルを備えたHAポリペプチドの対応する頭部領域を置換することと、
(ii)別の免疫原性プロファイルを備えたHAポリペプチドの対応する頭部領域と比較して、前記改変HAポリペプチドの頭部領域における一つ以上の推定N結合型グリコシル化部位の有無を判定することと、前記改変HAポリペプチドの前記頭部領域に一つ以上のアミノ酸の置換、欠失、または挿入を導入して、別の免疫原性プロファイルを備えた前記HAポリペプチドの対応する配列に基づいて、前記一つ以上の推定N結合型グリコシル化部位を破壊もしくは改変するか、または追加のN結合型グリコシル化部位を挿入することと、
(iii)一つ以上のアミノ酸置換を受容体結合部位(RBS)の15オングストローム以内に導入することであって、前記RBSが、三次元(3-D)構造において、W167(CA09ナンバリング)に相当する位置の15オングストローム以内の全てのアミノ酸残基として定められており、前記一つ以上のアミノ酸置換の各々は、ある特定の位置のアミノ酸残基を、別の免疫原性プロファイルを備えたHAポリペプチドの対応する位置で観察されるアミノ酸残基と置き換えることを含む、前記導入することと、
(iv)表4、表5、表6、表7、表8、または表9に示した修飾から選択される一つ以上修飾を、前記改変HAポリペプチドの一つ以上の対応する位置に導入することと、からなる群から選択される二つ以上の修飾を選択することを含み、
それにより、変更した免疫原性プロファイルを備えた再設計されたHAポリペプチドを生じさせる、前記方法。
(項目98)
変更した免疫原性プロファイルを備えた再設計されたHAポリペプチドを生成することが、季節性インフルエンザ株および/またはパンデミックインフルエンザ株に対する一つ以上の抗頭部モノクローナル抗体の結合を増大させることを含む、項目59から項目97のいずれか1項に記載の方法。
(項目99)
変更した免疫原性プロファイルを備えた再設計されたHAポリペプチドを生成することが、パンデミックインフルエンザ株に対する抗頭部モノクローナル抗体の結合範囲を増大させることを含む、項目98に記載の方法。
(項目100)
結合の増加を、哺乳類細胞の表面で発現した再設計されたHAポリペプチドに結合した前記モノクローナル抗体をフローサイトメトリーで検出することによって測定する、項目98または項目99に記載の方法。
(項目101)
モノクローナル抗体の結合のレベルを定量化することをさらに含む、項目100に記載の方法。
(項目102)
項目57から項目101のいずれか1項に記載の方法による再設計されたヘマグルチニン(HA)ポリペプチド。

Claims (17)

  1. 改変ヘマグルチニン(HA)ポリペプチドの免疫原性プロファイルを変更する方法であって、
    a)改変HAポリペプチドの頭部領域における一つ以上の推定N結合型グリコシル化部位の有無を判定することであって、前記頭部領域が、カリフォルニア09ナンバリング(CA09ナンバリング)に従って配列番号1の残基63~278、125~277、または135~269に相当する位置の前記改変HAポリペプチドのセグメントである、ことと、
    b)前記改変HAポリペプチドの前記頭部領域に一つ以上のアミノ酸の置換、欠失、または挿入を導入して、前記一つ以上の推定N結合型グリコシル化部位を破壊するかまたは追加のN結合型グリコシル化部位を挿入し、それにより、前記改変HAポリペプチドと比較して変更された免疫原性プロファイルを有する再設計されたHAポリペプチドを生じさせることと、
    c)前記改変HAポリペプチドの受容体結合部位(RBS)領域の前記領域内または前記RBS領域に隣接して一つ以上のアミノ酸の置換を導入すること、および/または、前記改変HAポリペプチドの前記RBSと接するループ(単数または複数)内にリジン(K)残基またはアルギニン(R)残基の挿入を導入することと、
    を含む、方法。
  2. 前記再設計されたHAポリペプチドが、NxS/Tyコンセンサス配列の1~5アミノ酸以内に挿入されたリジン(K)残基またはアルギニン(R)残基を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記RBSが、モノクローナル抗体CH65のパラトープと結合するエピトープを含む、請求項2に記載の方法。
  4. 前記一つ以上の推定N結合型グリコシル化部位または追加のN結合型グリコシル化部位が、NxS/Ty(xとyはプロリン(P)ではない)のコンセンサス配列によって定められる、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記一つ以上の推定N結合型グリコシル化部位が、CA09ナンバリングに従う配列番号1の142~145位および/もしくは177~179位に相当する位置にある、請求項1に記載の方法。
  6. 前記一つ以上の推定N結合型グリコシル化部位を破壊するための前記一つ以上のアミノ酸の置換、欠失、または挿入が、前記コンセンサス配列NxS/Tyをzに修飾することを含み、式中、
    は、N、D、K、またはSであり、
    は、Yであるか、または変化せず、
    は、E、D、またはNであり、
    は、I、L、P、S、もしくはTであるか、または変化しない、請求項2に記載の方法。
  7. 前記再設計されたHAポリペプチドの前記免疫原性プロファイルが、前記改変HAポリペプチドと比べてよりパンデミックである、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記再設計されたHAポリペプチドの前記免疫原性プロファイルが前記改変HAポリペプチドと比べてより季節性である、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記再設計されたHAポリペプチドが、CA09ナンバリングに従う残基137、144、145、154、155、156、157、158、159、177、210、211、212、213、214、244、245、および/もしくは262に相当する位置に一つ以上のアミノ酸の置換、欠失または挿入を含む、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記再設計されたHAポリペプチドが、CA09ナンバリングに従う残基137、144、145、154、155、156、157、158、159、177、210、211、212、213、および/もしくは214に相当する位置に一つ以上のアミノ酸の置換、欠失または挿入を含む、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記再設計されたHAポリペプチドの発現および構造を評価することをさらに含む、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記再設計されたHAポリペプチドがインフルエンザウイルスの季節性株とパンデミック株の両方に対して中和抗体を誘発するか否かを判定することをさらに含む、請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記再設計されたHAポリペプチドの前記変更した免疫原性プロファイルが、季節性インフルエンザ株および/またはパンデミックインフルエンザ株に対する一つ以上の抗頭部モノクローナル抗体の結合を増大させることを含む、請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記再設計されたHAポリペプチドの前記変更した免疫原性プロファイルが、パンデミックインフルエンザ株に対する抗頭部モノクローナル抗体の結合範囲の増大を含む、請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 結合の増加が、哺乳類細胞の表面で発現した前記再設計されたHAポリペプチドに結合した前記モノクローナル抗体のフローサイトメトリー検出によって決定される、請求項13または請求項14に記載の方法。
  16. モノクローナル抗体の結合のレベルを定量化することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
  17. 前記改変HAポリペプチドが、コンピュータ最適化広域反応性抗原(COBRA)技術、モザイク技術、構造ドメインの欠失および/もしくは再配列、ドメインスワッピング、または複数のインフルエンザ株に含まれる中和エピトープもしくは交差反応性エピトープの組み合わせ、によって改変される、請求項1に記載の方法。
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