JP7108528B2 - 廃棄物の安定化処理システムおよび廃棄物の安定化処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、廃棄物の安定化処理システムおよび廃棄物の安定化処理方法に関するものである。
管理型の最終処分場に関連する工事は、主に、処分場の建設工程と、処分場の維持管理工程とに分類されている。維持管理工程では、例えば、処分場に廃棄物を埋め立てた後、廃棄物を安定化し、処分場を廃止するまでの管理を行う。この場合、埋め立てた廃棄物に対して雨水や人工散水による廃棄物中の重金属等の洗い出しを行って安定化を促進する。洗い出しに使用されて廃棄物から浸出した水は処理設備にて適切な水質へと処理され、放流または再利用される。
また、廃棄物を処分場に埋め立てる前に安定化処理を行う場合もある。この場合は、ごみ等を焼却した時に発生する飛灰に少量の水を添加して十分に混練し、炭酸ガスを吹き込んで飛灰中のアルカリ分を中和した後にリン酸系重金属固定化剤を添加して混練する方法がある(例えば、特許文献1参照)。
特許第3468250号公報
維持管理工程において処分場に埋め立てた廃棄物の洗い出しを行うと、廃棄物から重金属等と共にカルシウムが放出され、放出されたカルシウムが気中などの二酸化炭素と反応することによって炭酸カルシウムとして析出する。この反応が浸出水の集水管や水処理施設などで起こると、目詰まりが発生して処理能力が低下するなどの問題が生じる。
一方、特許文献1記載の方法によって飛灰の安定化処理を行うと、埋め立て前に飛灰が重金属およびカルシウムの溶出が抑制された状態となるので、集水管や水処理施設などでの目詰まりを低減することができる。しかし、飛灰に炭酸ガスを吹き込んで混練する作業は手間がかかり、作業スペースが別途必要である。また、カルシウムの溶出は炭酸ガスおよびリン酸と反応することで抑制されており、混練した炭酸ガスとの反応のみでカルシウムの溶出を充分に抑制するのは困難である。
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とすることは、廃棄物からのカルシウム成分の溶出を効率良く容易に抑制できる廃棄物の安定化処理システムおよび廃棄物の安定化処理方法である。
前述した目的を達成するために第1の発明は、飽和溶解量以上の二酸化炭素とリン酸イオンとを含む溶液を散水する散水設備を具備し、前記散水設備を用いて前記溶液を廃棄物に散水し、前記溶液を前記廃棄物に浸透させることを特徴とする廃棄物の安定化処理システムである。
第2の発明は、飽和溶解量以上の二酸化炭素を含む溶液を散水する散水設備を具備し、前記散水設備を用いて前記溶液を処分場に埋め立てられている廃棄物に散水し、前記溶液を前記廃棄物に浸透させることを特徴とする廃棄物の安定化処理システムである。
第1、第2の発明では、飽和溶解量以上の二酸化炭素を含む溶液を廃棄物に散水して浸透させる。これにより、廃棄物中に予め含まれるカルシウム成分と二酸化炭素とが接触して炭酸カルシウムが生成され、カルシウム成分が廃棄物中に固定化されるので、廃棄物からのカルシウム成分の溶出を効率良く容易に抑制できる。
前記溶液が二酸化炭素ナノバブル水であることが望ましい。
これにより、溶液中に分散した二酸化炭素の気泡を安定的に残存させることができるので、カルシウム成分を廃棄物中に固定化させる効果が長期間に亘って持続する。
第1の発明では、前記溶液がリン酸イオンを含むことにより、二酸化炭素によって固定化できなかったカルシウム成分をリン酸イオンと反応させてリン酸カルシウムを生成させ、廃棄物中に固定化することができる。
第2の発明では、前記廃棄物が処分場に埋め立てられていることにより、作業スペースを別途設けることなく、処分場内で廃棄物を安定化させることができる。
廃棄物が処分場に埋め立てられている場合、前記廃棄物から浸出した浸出水を所定の水質にする水処理施設と、前記浸出水に二酸化炭素を添加する添加装置と、をさらに具備し、前記浸出水が、前記水処理施設および前記添加装置を通過した後、前記散水設備で循環利用されてもよい。
これにより、浸出水を有効に利用することができる。
の発明は、飽和溶解量以上の二酸化炭素とリン酸イオンとを含む溶液を廃棄物に散水する工程aと、前記溶液を前記廃棄物に浸透させる工程bと、を具備することを特徴とする廃棄物の安定化処理方法である。
第4の発明は、飽和溶解量以上の二酸化炭素を含む溶液を廃棄物に散水する工程aと、前記溶液を前記廃棄物に浸透させる工程bと、を具備し、前記工程aの前に、前記廃棄物を処分場に投入して埋め立てる工程cをさらに具備することを特徴とする廃棄物の安定化処理方法である。
第5の発明は、飽和溶解量以上の二酸化炭素を含む溶液を廃棄物に散水する工程aと、前記溶液を前記廃棄物に浸透させる工程bと、を具備し、前記工程aの前に、前記廃棄物を、二酸化炭素を含む気体調整槽の内部に仮置きすることを特徴とする廃棄物の安定化処理方法である。
3から第5の発明では、飽和溶解量以上の二酸化炭素を含む溶液を廃棄物に散水して浸透させる。これにより、廃棄物中に予め含まれるカルシウム成分と二酸化炭素とが接触して炭酸カルシウムが生成され、カルシウム成分が廃棄物中に固定化されるので、廃棄物からのカルシウム成分の溶出を効率良く容易に抑制できる。
第4の発明では、前記工程aの前に、前記廃棄物を処分場に投入して埋め立てる工程cをさらに具備することにより、作業スペースを別途設けることなく、処分場内で廃棄物を安定化させることができる。
前記工程cの前に、前記廃棄物に含まれるカルシウム成分の溶出量を予測し、前記溶出量に基づいてリン酸の添加量を算定する工程dをさらに具備し、前記工程aで、前記添加量のリン酸イオンを含む前記溶液を前記廃棄物に散水してもよい。
これにより、工程bで、二酸化炭素によって固定化できなかったカルシウム成分をリン酸イオンと反応させてリン酸カルシウムを生成させ、廃棄物中に固定化することができる。また、工程bでカルシウム成分を固定化するのに必要となるリン酸の適正な添加量を予め算出することができるので、高価なリン酸を必要量以上に添加することがなくなりコストが低減される。
前記工程dの前に、前記廃棄物を、二酸化炭素を含む気体調整槽の内部に仮置きしてもよい。
これにより、廃棄物を埋め立てる前に、気体調整槽内で、ある程度の量のカルシウム成分を廃棄物中に固定化することができる。
本発明によれば、廃棄物からのカルシウム成分の溶出を効率良く容易に抑制できる廃棄物の安定化処理システムおよび廃棄物の安定化処理方法を提供できる。
安定化処理システム3を示す図 廃棄物15の維持管理工程を示すフローチャート カルシウム成分の溶出実験の結果を示すグラフ 安定化処理システム3aを示す図 廃棄物15の維持管理工程を示すフローチャート 安定化処理システム3bを示す図 廃棄物15の維持管理工程の一部を示すフローチャート
以下、図面に基づいて本発明の第1の実施形態について詳細に説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係る安定化処理システム3を示す図である。安定化処理システム3は、仮置き場4、処分場5、浸出水集水管7、水処理施設9、助剤添加装置11、散水管13(散水設備)等からなる。
処分場5は、地盤1を掘削して構築される。処分場5には、廃棄物15が埋め立てられる。廃棄物15は、複数の層からなり、廃棄物15の層の間に中間覆土17が設けられてもよい。処分場5には、廃棄物15等から発生するガスを空中に逃がすためのガス抜き管19が設けられる。仮置き場4は、埋立前の廃棄物15を仮置きする場所であり、処分場5付近に設けられる。
浸出水集水管7は、一方の端部付近が処分場5の底部に配置され、他方の端部が地上の水処理施設9に連結される。助剤添加装置11は、水処理施設9に連結され、水処理施設9から送られた水に助剤である二酸化炭素を添加する。散水管13は、助剤添加装置11に連結され、助剤添加装置11から送られた溶液を処分場5に散水する。浸出水集水管7は、処分場5からの浸出水を集水して水処理施設9に回収する。
図2は、安定化処理システム3における廃棄物15の維持管理工程を示すフローチャートである。以下に、廃棄物15の維持管理工程について図2に沿って説明する。
維持管理工程では、まず、埋立前の廃棄物15を仮置き場4に仮置きする(S101)。そして、処分場5に廃棄物15を埋め立てる(S102)。廃棄物15を埋め立てる際には、図1に示すように、所定量の廃棄物15を埋め立てる作業と、廃棄物15の層上に飛散防止のための中間覆土17を設置する作業とを繰り返す。
次に、飽和溶解量以上の二酸化炭素を含む溶液を、処分場5に埋め立てられた廃棄物15に散水管13を用いて散水する(S103)。飽和溶解量以上の二酸化炭素を含む溶液は、飽和溶解量までは二酸化炭素が水に溶解し、さらに二酸化炭素が気泡として分散しているものであり、例えば二酸化炭素ナノバブル水である。二酸化炭素ナノバブル水は、気泡が1μm以下の二酸化炭素ナノバブルを含む透明な水である。二酸化炭素ナノバブル水は、助剤添加装置11で水に助剤として二酸化炭素ナノバブルを添加することによって製造される。二酸化炭素の飽和溶解量は、例えば25度、1気圧で1490mg/L程度である。
S103で散水された二酸化炭素ナノバブル水は、廃棄物15に浸透する。そして、廃棄物15中に予め含まれるカルシウム成分と二酸化炭素とが接触して反応し、難溶性の炭酸カルシウム21が生成される。こうして、廃棄物15中に予め含まれるカルシウム成分は、炭酸カルシウム21として廃棄物15中に固定化される。
次に、廃棄物15からの浸出水を集水する(S104)。廃棄物15からの浸出水は、処分場5の底部から浸出水集水管7内に集水され、浸出水集水管7によって水処理施設9に回収される。
水処理施設9では、まず、回収された浸出水の水質を確認する(S105)。そして、浸出水の水質が管理基準を満たしていれば、水処理施設9の運転を停止し(S108)、回収した水を放流する。
S105で管理基準を満たしていなければ、水処理施設9で浸出水の水処理を行い(S106)、所定の水質に処理された水を助剤添加装置11に送って、助剤添加装置11で水に助剤として二酸化炭素を添加する(S107)。S106およびS107によって、回収された浸出水は飽和溶解量以上の二酸化炭素を含む溶液である二酸化炭素ナノバブル水となり、S103での循環利用が可能になる。
次に、二酸化炭素ナノバブル水によるカルシウム成分の固定効果について述べる。図3は、カルシウム成分の溶出実験の結果を示すグラフである。実験では、蒸留水75mLと、0.1MPa程度で二酸化炭素ガスを10分間供給して作製した二酸化炭素ナノバブル水75mLとを準備した。そして、蒸留水、二酸化炭素ナノバブル水のそれぞれに焼却灰を液固比10で24時間浸漬させ、試料を6時間振とうした後、浸出水の水質を分析した。
図3に示すように、焼却灰を二酸化炭素ナノバブル水に浸漬することによって、蒸留水に浸漬した場合と比較して、カルシウム成分の浸出水への溶出が抑制される。これは、焼却灰中のカルシウム成分と二酸化炭素とが反応してカルシウム成分が焼却灰中に固定化されるためであり、蒸留水に浸漬した焼却灰からの浸出水に溶出したカルシウムが1354mg/Lであったのに対し、二酸化炭素ナノバブル水に浸漬した焼却灰からの浸出水に溶出したカルシウムは539mg/Lであった。
前記した特許文献1記載の方法では、炭酸ガスは主に飛灰中のアルカリ分を中和するために混練されており、カルシウム成分を飛灰中に固定化して溶出を抑制するにはリン酸の添加が必要である。一方、二酸化炭素ナノバブル水に浸透させる方法では、図3に示すようにリン酸を加えなくてもカルシウム成分の溶出を充分に抑制できる。その効果はリン酸を添加した場合と同等であると考えられる。
このように、第1の実施形態では、飽和溶解量以上の二酸化炭素を含む二酸化炭素ナノバブル水を、処分場5に埋め立てられた廃棄物15に散水して浸透させる。これにより、廃棄物15中に予め含まれるカルシウム成分と二酸化炭素とが接触して炭酸カルシウムが生成されて廃棄物15中に固定化され、廃棄物15からのカルシウム成分の溶出が抑制される。前記した従来の方法では、廃棄物15の埋め立て前に作業スペースを別途設けて炭酸ガスを混練する必要があったが、第1の実施形態によれば処分場5内で廃棄物15に飽和溶解量以上の二酸化炭素が含まれる溶液を浸透させることにより、少ない水量で多くの二酸化炭素を反応させることができるので、カルシウム成分を効率良く容易に固定化することができる。
第1の実施形態では、二酸化炭素ナノバブル水を用いることにより、廃棄物15に浸透した状態の溶液中に、二酸化炭素を長期間に亘って安定的に残存させることができる。そのため、カルシウム成分を廃棄物15中に固定化させる効果が長期間持続する。カルシウムを廃棄物15中に固定化することで、浸出水集水管7中で炭酸カルシウムが生成されて集水能力が低下するリスクを大幅に低減でき、安定的な廃棄物洗浄が行える。また、水処理施設9でのカルシウム処理コストを低減できる。
第1の実施形態では、廃棄物15から浸出した浸出水を所定の水質にする水処理施設9と、浸出水に二酸化炭素を添加する助剤添加装置11とを設けることにより、処分場5からの浸出水を水処理施設9および助剤添加装置11で処理し、廃棄物15への散水のために循環利用することができる。
以下、本発明の別の実施形態について説明する。各実施形態はそれまでに説明した実施形態と異なる点について説明し、同様の構成については図等で同じ符号を付すなどして説明を省略する。
第2の実施形態について説明する。図4は本発明の第2の実施形態に係る安定化処理システム3aを示す図である。安定化処理システム3aは、第1の実施形態の安定化処理システム3と略同様の構成であるが、助剤添加装置11の代わりに助剤添加装置11aを有する。助剤添加装置11aは、水処理施設9から送られた水に助剤である二酸化炭素およびリン酸を添加する。
図5は、安定化処理システム3aにおける廃棄物15の維持管理工程を示すフローチャートである。安定化処理システム3aにおける廃棄物15の維持管理工程は、第1の実施形態の安定化処理システム3における廃棄物15の維持管理工程と略同様であるが、S103およびS107の代わりにS103aおよびS107aを有する。以下に、廃棄物15の維持管理工程について図5に沿って説明する。
維持管理工程では、まず、第1の実施形態と同様にして、埋立前の廃棄物15を仮置き場4に仮置きし(S101)、処分場5に廃棄物15を埋め立てる(S102)。
次に、飽和溶解量以上の二酸化炭素およびリン酸イオンを含む溶液を、処分場5に埋め立てられた廃棄物15に散水管13を用いて散水する(S103a)。S103aで散水する溶液は、飽和溶解量以上の二酸化炭素を含む二酸化炭素ナノバブル水にリン酸を添加したものであり、助剤添加装置11aで水に助剤として二酸化炭素ナノバブルおよびリン酸を添加することによって製造される。リン酸は、例えば、リン酸、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、三リン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム等である。
S103aで散水された溶液は、廃棄物15に浸透する。そして、廃棄物15中に予め含まれるカルシウム成分と、二酸化炭素やリン酸イオンとが接触して反応し、いずれも難溶性の炭酸カルシウム21、リン酸カルシウム23が生成される。こうして、カルシウム成分は炭酸カルシウム21およびリン酸カルシウム23として廃棄物15中に固定化される。
次に、第1の実施形態と同様にして、廃棄物15からの浸出水を集水し(S104)、水処理施設9で回収された浸出水の水質を確認する(S105)。そして、浸出水の水質が管理基準を満たしていれば、水処理施設9の運転を停止し(S108)、回収した水を放流する。
S105で管理基準を満たしていなければ、水処理施設9で浸出水の水処理を行う(S106)。但し、リン酸塩は量を減らしても良く、処理しなくてもよい。そして、所定の水質に処理された水を助剤添加装置11aに送って、助剤添加装置11aで水に助剤として二酸化炭素およびリン酸を添加する(S107a)。S106およびS107aによって、回収された浸出水は飽和溶解量以上の二酸化炭素を含む二酸化炭素ナノバブル水にリン酸を加えた溶液となり、S103aでの循環利用が可能になる。
このように、第2の実施形態では、飽和溶解量以上の二酸化炭素を含む二酸化炭素ナノバブル水にリン酸を添加した溶液を、処分場5に埋め立てられた廃棄物15に散水して浸透させる。これにより、廃棄物15中に予め含まれるカルシウム成分と二酸化炭素およびリン酸イオンとが接触し、炭酸カルシウムおよびリン酸カルシウムが生成されて廃棄物15中に固定化され、廃棄物15からのカルシウム成分の溶出が抑制される。第2の実施形態においても、処分場5内で廃棄物15に溶液を浸透させてカルシウム成分を効率良く容易に固定化することができる。
第2の実施形態では、飽和溶解量以上の二酸化炭素を含む溶液として二酸化炭素ナノバブル水を用いることにより、廃棄物15に浸透した状態の溶液中に、二酸化炭素を長期間に亘って安定的に残存させることができる。加えて、二酸化炭素ナノバブル水にリン酸を添加することにより、リン酸によるカルシウム成分の固定効果も得られる。また、リン酸を添加することにより、カルシウムと共沈する重金属(鉛など)の溶出量も抑えることができ、浸出水のpHが中性側(5.6から8.6程度)に調整されることでホウ素の溶出が促進される。このように、重金属の選択的な洗い出しや不溶化も実現できる。
第2の実施形態においても、処分場5からの浸出水を水処理施設9および助剤添加装置11aで処理し、廃棄物15への散水のために循環利用することができる。
第3の実施形態について説明する。図6は本発明の第3の実施形態に係る安定化処理システム3bを示す図である。安定化処理システム3bは、第2の実施形態の安定化処理システム3aと略同様の構成であるが、仮置き場4が気体調整槽25の内部に設けられる。気体調整槽25は、二酸化炭素を大気中よりも高い濃度で含む気体が充満された槽である。
図7は、安定化処理システム3bにおける廃棄物15の維持管理工程の一部を示すフローチャートである。安定化処理システム3bにおける廃棄物15の維持管理工程は、第2の実施形態の安定化処理システム3aにおける廃棄物15の維持管理工程(図5)と略同様であるが、S101の代わりにS101aを有し、S101aとS102との間にS109を有する。以下に、廃棄物15の維持管理工程について図7に沿って説明する。
維持管理工程では、まず、埋立前の廃棄物15を気体調整槽25内の仮置き場4に仮置きする(S101a)。S101aでの仮置き中、廃棄物15は気体調整槽25内で二酸化炭素を含む気体中に曝露されるので、廃棄物15中のカルシウム成分のうち、ある程度の量が二酸化炭素と接触して炭酸カルシウムが生成され、廃棄物15中に固定化される。
次に、廃棄物15に含まれるカルシウム成分の溶出量を予測する(S109)。S109では、埋め立て後の廃棄物15からのカルシウム成分の溶出量を、埋め立て前の廃棄物15に含まれるカルシウム成分の量をX線回折や溶出試験で測定することによって予測する。なお、S109でのカルシウム成分の溶出量とは、助剤が添加されていない溶液を廃棄物15に散水することで溶出すると予測されるカルシウム成分の量である。
そして、S109で予測したカルシウム成分の溶出量に基づいて、S103a(図5)で散水する溶液に添加するリン酸の添加量を算定する。リン酸の添加量は、S109で予測したカルシウム成分の溶出量のうち、二酸化炭素ナノバブルとの接触によって固定されると考えられる量を除く量のカルシウム成分がリン酸イオンによって固定されるように算定される。
S109の後、処分場5に廃棄物15を埋め立て(S102)、図5に示すS103a以降を実施する。
このように、第3の実施形態では、二酸化炭素を含む気体調整槽25の内部に廃棄物15を仮置きする。これにより、廃棄物15を埋め立てる前に、気体調整槽25内で、ある程度の量のカルシウム成分を廃棄物15中に固定化することができる。第3の実施形態においても、飽和溶解量以上の二酸化炭素を含む二酸化炭素ナノバブル水にリン酸を添加した溶液を処分場5に埋め立てられた廃棄物15に散水して浸透させることにより、第2の実施形態と同様の効果が得られる。
第3の実施形態では、廃棄物15を埋め立てる前に、廃棄物15に含まれるカルシウム成分の溶出量を予測し、予測した溶出量に基づいてリン酸の添加量を算出する。これにより、二酸化炭素によって固定化できなかったカルシウム成分をより確実にリン酸イオンと反応させてリン酸カルシウムを生成させ、廃棄物中に固定化することができる。また、カルシウム成分を固定化するのに必要となるリン酸の適正な添加量を予め算出することができるので、高価なリン酸を必要量以上に添加することがなくなりコストが低減される。
なお、各実施形態で説明する構成は必要に応じて組み合わせることができる。例えば、第1の実施形態において仮置き場4を気体調整槽25の内部に設置してもよい。第2の実施形態において埋め立て前に廃棄物15からのカルシウム成分の溶出量を予測してリン酸の添加量を算出してもよい。
また、第1、第2の実施形態において、仮置き場4に仮置きした廃棄物15に、図2に示すS103で用いる二酸化炭素ナノバブル水や、図5に示すS103aで用いるリン酸を添加した二酸化炭素ナノバブル水を散水してもよい。これにより、廃棄物15を仮置きした状態で、カルシウム成分を廃棄物15中に効率良く容易に固定化できる。
なお、廃棄物15に散水する溶液に含まれる飽和溶解量以上の二酸化炭素は、ナノバブルでなくてもよい。また、対象とする処分場はクローズド型に限らずオープン型でもよい。
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1………地盤
3、3a、3b………安定化処理システム
4………仮置き場
5………処分場
7………浸出水集水管
9………水処理施設
11、11a………助剤添加装置
13………散水管
15………廃棄物
17………中間覆土
19………ガス抜き管
21………炭酸カルシウム
23………リン酸カルシウム

Claims (9)

  1. 飽和溶解量以上の二酸化炭素とリン酸イオンとを含む溶液を散水する散水設備を具備し、
    前記散水設備を用いて前記溶液を廃棄物に散水し、前記溶液を前記廃棄物に浸透させることを特徴とする廃棄物の安定化処理システム。
  2. 飽和溶解量以上の二酸化炭素を含む溶液を散水する散水設備を具備し、
    前記散水設備を用いて前記溶液を処分場に埋め立てられている廃棄物に散水し、前記溶液を前記廃棄物に浸透させることを特徴とする廃棄物の安定化処理システム。
  3. 前記廃棄物から浸出した浸出水を所定の水質にする水処理施設と、
    前記浸出水に二酸化炭素を添加する添加装置と、
    をさらに具備し、
    前記浸出水が、前記水処理施設および前記添加装置を通過した後、前記散水設備で循環利用されることを特徴とする請求項記載の廃棄物の安定化処理システム。
  4. 前記溶液が二酸化炭素ナノバブル水であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の廃棄物の安定化処理システム。
  5. 飽和溶解量以上の二酸化炭素とリン酸イオンとを含む溶液を廃棄物に散水する工程aと、
    前記溶液を前記廃棄物に浸透させる工程bと、
    を具備することを特徴とする廃棄物の安定化処理方法。
  6. 飽和溶解量以上の二酸化炭素を含む溶液を廃棄物に散水する工程aと、
    前記溶液を前記廃棄物に浸透させる工程bと、
    を具備し、
    前記工程aの前に、前記廃棄物を処分場に投入して埋め立てる工程cをさらに具備することを特徴とする廃棄物の安定化処理方法。
  7. 前記工程cの前に、前記廃棄物に含まれるカルシウム成分の溶出量を予測し、前記溶出量に基づいてリン酸の添加量を算定する工程dをさらに具備し、
    前記工程aで、前記添加量のリン酸イオンを含む前記溶液を前記廃棄物に散水することを特徴とする請求項記載の廃棄物の安定化処理方法。
  8. 前記工程dの前に、前記廃棄物を、二酸化炭素を含む気体調整槽の内部に仮置きすることを特徴とする請求項記載の廃棄物の安定化処理方法。
  9. 飽和溶解量以上の二酸化炭素を含む溶液を廃棄物に散水する工程aと、
    前記溶液を前記廃棄物に浸透させる工程bと、
    を具備し、
    前記工程aの前に、前記廃棄物を、二酸化炭素を含む気体調整槽の内部に仮置きすることを特徴とする廃棄物の安定化処理方法。
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