JP7107376B2 - 印刷物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、印刷物の製造方法に関し、より詳しくは、ラミネート密着性の向上と、画質の向上とを両立できる印刷物の製造方法に関する。
インクジェット記録法によって基材上に印刷されたインクを完全硬化させた後に、該インク上に接着層及びラミネートフィルムを形成する技術がある(特許文献1)。
特開2016-60049号公報
特許文献1には、ラミネート密着性の向上と、画質の向上とを両立する方法は開示されていない。
そこで本発明の課題は、ラミネート密着性の向上と、画質の向上とを両立できる印刷物の製造方法を提供することにある。
また本発明の他の課題は、以下の記載によって明らかとなる。
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
1.
活性光線硬化型のインクを用いて非吸収性又は微吸収性基材上にインクジェット記録法で印刷層を形成する印刷工程と、
前記印刷層に活性光線を照射して、前記印刷層を構成する前記インクの光重合性化合物の重合率を5%~80%の範囲にする第1の活性光線照射工程と、
前記印刷層上に接着層を介してラミネートフィルムをラミネートするラミネート工程と、
前記ラミネートフィルム側又は前記非吸収性又は微吸収性基材側から前記印刷層に活性光線を照射して、前記印刷層を構成する前記インクの光重合性化合物の重合率を更に上昇させる第2の活性光線照射工程と、を有する印刷物の製造方法。
2.
前記インクはゲル化剤を含有する前記1記載の印刷物の製造方法。
3.
前記インクはラジカル硬化型であり、
前記第1の活性光線照射工程において、前記印刷層に活性光線を照射して、前記印刷層を構成する前記インクの光重合性化合物の重合率を5%~70%の範囲にする前記2記載の印刷物の製造方法。
4.
前記インクはカチオン硬化型であり、
前記第1の活性光線照射工程において、前記印刷層に活性光線を照射して、前記印刷層を構成する前記インクの光重合性化合物の重合率を5%~80%の範囲にする前記2記載の印刷物の製造方法。
5.
前記インクはラジカル硬化型であり、
前記第1の活性光線照射工程において、前記印刷層に活性光線を照射して、前記印刷層を構成する前記インクの光重合性化合物の重合率を20%~70%の範囲にする前記1記載の印刷物の製造方法。
6.
前記インクはカチオン硬化型であり、
前記第1の活性光線照射工程において、前記印刷層に活性光線を照射して、前記印刷層を構成する前記インクの光重合性化合物の重合率を20%~80%の範囲にする前記1記載の印刷物の製造方法。
本発明によれば、ラミネート密着性の向上と、画質の向上とを両立できる印刷物の製造方法を提供することができる。
本発明に係る印刷物の製造方法の一例を概念的に説明する図
以下に、本発明を実施するための形態について詳しく説明する。
図1は、本発明に係る印刷物の製造方法の一例を概念的に説明する図である。
図1(a)に示すように、活性光線硬化型のインク(インクジェットインクともいう)を用いて非吸収性又は微吸収性基材1上にインクジェット記録法で印刷層2を形成する(印刷工程)。
次いで、図1(b)に示すように、印刷層2に活性光線(図示の例では紫外線)を照射して、印刷層2を構成するインクの光重合性化合物の重合率を5%~80%の範囲にする(第1の活性光線照射工程)。
次いで、図1(c)に示すように、印刷層2上に接着層3を介してラミネートフィルム4をラミネートする(ラミネート工程)。
次いで、図1(d)に示すように、ラミネートフィルム4側又は非吸収性又は微吸収性基材1側から(図示の例ではラミネートフィルム4側から)印刷層2に活性光線(図示の例では紫外線)を照射して、印刷層2を構成するインクの光重合性化合物の重合率を更に上昇させる(第2の活性光線照射工程)。
このような印刷物の製造方法により、ラミネート密着性の向上と、画質の向上とを両立できる。また、これらを両立しながら画像耐久性も向上できる。これらの効果が発揮される理由として以下のようなことが推察される。
まず、特許文献1のように、インクを完全硬化させた後にラミネートを行うと、ラミネートフィルムが剥がれ易くなることが見出された。ラミネートフィルムが剥がれれば、仮に高画質な印字が成されても、劣化により画質が悪くなる。ラミネートフィルムが剥がれ易くなる原因として、接着界面における分子間相互作用が弱いため、密着性に劣ることが考えられる。特に、活性光線硬化型のインクは、非吸収性又は微吸収性基材上にドット状に立ち上がるため、密着性に劣る接着界面の面積(インク表面積)がより広くなる傾向にあり、ラミネート密着性が得られ難くなる。
これに対して、本実施形態では、まず、第1の活性光線照射工程において、インクを完全硬化させず、光重合性化合物の一部を重合させる。光重合性化合物の一部を重合させておけば、その後のラミネート工程において印刷層上に接着層及びラミネートフィルムを積層してもインクのドット崩れが防止され、画質が向上する。
また、インクを完全硬化させた場合と比べ、ラミネート工程において印刷層とラミネートフィルムとの間に配置される接着層の成分が、インク内に浸透し易くなる。ラミネート工程の後、第2の活性硬化線照射工程において光重合性化合物の重合を更に進行させることによって、接着層の成分が浸透した状態でインクが硬化し、投錨(アンカー)効果が発揮される。このアンカー効果は、接着界面に強固な機械的結合を形成するため、ラミネート密着性が向上する。
更に、第2の活性硬化線照射工程において光重合性化合物の重合を更に進行することによって、非吸収性又は微吸収性基材から印刷層が剥離することが防止され、画像耐久性も向上する。
以上のようにして、ラミネート密着性の向上と、画質の向上とを両立できる。また、これらを両立しながら画像耐久性も向上できる。
光重合性化合物の一部を重合した状態とは、非吸収性又は微吸収性基材上に付与されたインクが部分的に硬化した状態である。第1の活性光線照射工程における活性光線の照射条件を適宜調整して、光重合性化合物の重合率を5%~80%の範囲にすることで、このような状態を好適に形成することができる。
本発明の効果を更に良好に発揮する観点で、インクにオイルゲル化剤を含有させることが好ましい。インクのゲル化によってドットの硬度が向上するため、ラミネート工程におけるインクのドット崩れが防止され、画質が更に向上する。オイルゲル化剤を用いる場合は、特に第1の活性光線照射工程における重合率が低い場合においてもドットの硬度を向上することができる。これにより、画質を良好に保持したまま、低い重合率によって上述したアンカー効果を顕著に発揮させてラミネート密着性を更に向上できる。
以下に、印刷物の製造方法に用いられるインク及び該製造方法の各工程について、詳しく説明する。
〔インク〕
活性光線硬化型のインクとしては、活性光線により硬化可能なインク(インク組成物)を用いることができ、具体的には光重合性化合物を含有するインクを用いることができる。このようなインクとして、例えば、ラジカル重合性化合物を含有するラジカル硬化型のインクや、カチオン重合性化合物を含有するカチオン硬化型のインク等が挙げられる。
「活性光線」とは、その照射によりインク組成物中に開始種を発生させるエネルギーを付与できる光線であり、α線、γ線、X線、紫外線、電子線等を包含する。中でも、硬化感度及び装置の入手容易性の観点から紫外線及び電子線が好ましく、紫外線がより好ましい。
光重合性化合物は、上記活性光線を照射されることにより重合し、インクを硬化させる作用を有する。光重合性化合物は、モノマー、重合性オリゴマー、プレポリマー又はこれらの混合物の何れであってもよい。光重合性化合物は、インク中に、1種のみが含まれていてもよく、2種類以上が含まれていてもよい。
光重合性化合物の含有量は、例えば、インクの全質量に対して1~97質量%の範囲とすることが硬化性や柔軟性などの膜物性の観点で好ましく、30~95質量%の範囲であることがより好ましい。
ラジカル重合性化合物は格別限定されず、例えば、N-ビニル化合物(N-C=C構造を有する化合物)、不飽和カルボン酸エステル等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。例えば、1種以上のN-ビニル化合物と、1種以上の不飽和カルボン酸エステルとを併用してもよい。
N-ビニル化合物としては、例えば、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニルピロリドン、N-ビニルホルムアミド等が挙げられる。N-ビニルカプロラクタムとしては、例えば、N-ビニル-2-カプロラクタム等が挙げられる。N-ビニルピロリドンとしては、例えば、N-ビニル-2-ピロリドン等が挙げられる。
不飽和カルボン酸エステルとしては、例えば(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート又はメタアクリレートを意味し、「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基又はメタアクリロイル基を意味し、「(メタ)アクリル」は、アクリル又はメタクリルを意味する。
(メタ)アクリレートとしては、例えば、イソアミル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソミルスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル-ジグリコール(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチル-フタル酸及びt-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートを含む単官能のアクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA構造を有するジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート及びトリプロピレングリコールジアクリレートを含む2官能の(メタ)アクリレート、並びに、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート及びペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレートを含む3官能以上の(メタ)アクリレート、ポリエステルアクリレートオリゴマーを含む(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマー、並びにこれらの変性物等が挙げられる。
上記変性物の例には、エチレンオキサイド基を挿入したエチレンオキサイド変性(EO変性)アクリレート、プロピレンオキサイドを挿入したプロピレンオキサイド変性(PO変性)アクリレート、及びカプロラクトン変性アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリレートとして、分子量が280~1500の範囲であり、かつ、ClogP値が4.0~7.0の範囲の(メタ)アクリレート化合物(以下、単に「(メタ)アクリレート化合物A」ともいう)を1種以上含んでもよい。
インクに(メタ)アクリレート化合物Aを含有することで、着弾後のインク粘度を適度に高めて、画質を更に向上することができる。特に、インクに(メタ)アクリレート化合物Aとゲル化剤とを含有させることで、このような効果が顕著になる。
(メタ)アクリレート化合物Aは、(メタ)アクリレート基を2以上有することがより好ましい。
(メタ)アクリレート化合物Aの分子量は、上記のように280~1500の範囲であり、300~800の範囲であることがより好ましい。
ここで、(メタ)アクリレート化合物Aの分子量は、下記市販のソフトウェアパッケージ1又は2を用いて測定することができる。
ソフトウェアパッケージ1:MedChem Software (Release 3.54,1991年8月、Medicinal Chemistry Project, Pomona College,Claremont,CA)
ソフトウェアパッケージ2:Chem Draw Ultra ver.8.0.(2003年4月、CambridgeSoft Corporation,USA)
また、「logP値」とは、水と1-オクタノールに対する有機化合物の親和性を示す係数である。1-オクタノール/水分配係数Pは、1-オクタノールと水の二液相の溶媒に微量の化合物が溶質として溶け込んだときの分配平衡で、それぞれの溶媒中における化合物の平衡濃度の比であり、底10に対するそれらの対数logPで示す。すなわち、「logP値」とは、1-オクタノール/水の分配係数の対数値であり、分子の親疎水性を表す重要なパラメータとして知られている。
「ClogP値」とは、計算により算出したlogP値である。ClogP値は、フラグメント法や、原子アプローチ法等により算出されうる。より具体的に、ClogP値を算出するには、文献(C.Hansch及びA.Leo、“Substituent Constants for Correlation Analysis in Chemistry and Biology”(John Wiley & Sons, New York, 1969))に記載のフラグメント法又は下記市販のソフトウェアパッケージ1又は2を用いればよい。
ソフトウェアパッケージ1:MedChem Software (Release 3.54,1991年8月、Medicinal Chemistry Project, Pomona College,Claremont,CA)
ソフトウェアパッケージ2:Chem Draw Ultra ver.8.0.(2003年4月、CambridgeSoft Corporation,USA)
本願明細書に記載するClogP値の数値は、ソフトウェアパッケージ2を用いて計算した「ClogP値」である。
インクに含まれる(メタ)アクリレート化合物Aの量は格別限定されないが、インク全質量中、1~40質量%の範囲であることが好ましく、5~30質量%の範囲であることがより好ましい。(メタ)アクリレート化合物Aの量を1質量%以上とすることで、インクが親水的になりすぎず、ゲル化剤がインクに十分に溶解するため、インクがゾル・ゲル相転移しやすくなる。一方、(メタ)アクリレート化合物Aの量を40質量%以下とすることで、光重合開始剤をインクに十分に溶解させることができる。
(メタ)アクリレート化合物Aのより好ましい例には、(1)分子内に(-C(CH)H-CH-O-)で表される構造を3~14個有する、三官能以上のメタクリレート又はアクリレート化合物、及び(2)分子内に環状構造を持つ二官能以上のメタクリレート又はアクリレート化合物が含まれる。これらの(メタ)アクリレート化合物は、光硬化性が高く、かつ硬化したときの収縮が少ない。さらに、ゾル-ゲル相転移の繰り返し再現性が高い。
分子内に(-C(CH)H-CH-O-)で表される構造を3~14個有する、三官能以上のメタクリレート又はアクリレート化合物とは、例えば、3個以上のヒドロキシ基を有する化合物のヒドロキシ基をプロピレンオキシド変性し、得られた変性物を(メタ)アクリル酸でエステル化したものである。この化合物の具体例としては、3PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート(分子量:471、ClogP:4.90、Cognis社製「Photomer 4072」)、3PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート(分子量:471、ClogP:4.90、Miwon社製「Miramer M360」)等が挙げられる。
分子内に環状構造を持つ二官能以上のメタクリレート又はアクリレート化合物とは、例えば、2以上のヒドロキシ基とトリシクロアルカンとを有する化合物のヒドロキシ基を、(メタ)アクリル酸でエステル化したものである。この化合物の具体例としては、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(分子量:304、ClogP:4.69、新中村化学社製「NKエステルA-DCP」)、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(分子量:332、ClogP:5.12、新中村化学社製「NKエステルDCP」)等が挙げられる。
(メタ)アクリレート化合物Aの別の具体例としては、1,10-デカンジオールジメタクリレート(分子量:310、ClogP:5.75、新中村化学社製「NKエステルDOD-N」等も挙げられる。
(メタ)アクリレートとして、上述した(メタ)アクリレート化合物A以外の(メタ)アクリレートを1種以上含んでもよい。1種以上の(メタ)アクリレート化合物Aと、1種以上の(メタ)アクリレート化合物A以外の(メタ)アクリレートとを併用してもよい。
(メタ)アクリレート化合物A以外の(メタ)アクリレートとして、例えば、ClogP値が4.0未満である(メタ)アクリレートモノマー、又はオリゴマー、ClogP値が7.0を超える(メタ)アクリレートモノマー、又はオリゴマー、その他の重合性オリゴマー等が挙げられる。
これらの(メタ)アクリレートモノマー、又はオリゴマーの例には、4EO変性ヘキサンジオールジアクリレート(Sartomer社製「CD561」、分子量358);3EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート(Sartomer社製「SR454」、分子量429);4EO変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート(Sartomer社製「SR494」、分子量528);6EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート(Sartomer社製「SR499」、分子量560);カプロラクトンアクリレート(Sartomer社製「SR495B」、分子量344);ポリエチレングリコールジアクリレート(新中村化学社製「NKエステルA-400」、分子量508)、(新中村化学社製「NKエステルA-600」、分子量708);ポリエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学社製「NKエステル9G」、分子量536)、(新中村化学社製「NKエステル14G」);テトラエチレングリコールジアクリレート(大阪有機化学社製「V#335HP」、分子量302);ステアリルアクリレート(大阪有機化学社製「STA」);フェノールEO変性アクリレート(Miwon社製「M144」);ノニルフェノールEO変性アクリレート(Miwon社製「M166」)等が含まれる。
また、(メタ)アクリレートとして、例えば、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、直鎖アクリルオリゴマー等を用いてもよい。ウレタンアクリレートとしては、例えば、脂肪族ウレタンアクリレート、芳香族ウレタンアクリレート等が挙げられる。
カチオン重合性化合物としては、例えば、エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、複数種を併用してもよい。
エポキシ化合物としては、例えば、芳香族エポキシド、脂環式エポキシド又は脂肪族エポキシド等が挙げられる。
芳香族エポキシドは、多価フェノール又はそのアルキレンオキサイド付加体と、エピクロルヒドリンとを反応させて得られるジ又はポリグリシジルエーテルでありうる。反応させる多価フェノール又はそのアルキレンオキサイド付加体の例には、ビスフェノールA又はそのアルキレンオキサイド付加体等が含まれる。アルキレンオキサイド付加体におけるアルキレンオキサイドは、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等でありうる。
脂環式エポキシドは、シクロアルカン含有化合物を、過酸化水素や過酸等の酸化剤でエポキシ化して得られるシクロアルカンオキサイド含有化合物でありうる。シクロアルカンオキサイド含有化合物におけるシクロアルカンは、シクロヘキセン又はシクロペンテンでありうる。
脂肪族エポキシドは、脂肪族多価アルコール又はそのアルキレンオキサイド付加体と、エピクロルヒドリンとを反応させて得られるジ又はポリグリシジルエーテルでありうる。脂肪族多価アルコールの例には、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,6-ヘキサンジオール等のアルキレングリコール等が含まれる。アルキレンオキサイド付加体におけるアルキレンオキサイドは、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等でありうる。
ビニルエーテル化合物としては、例えば、エチルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2-エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソプロペニルエーテル-o-プロピレンカーボネート、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等のモノビニルエーテル化合物;エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジ又はトリビニルエーテル化合物等が挙げられる。
オキセタン化合物としては、例えば、ジ(1-エチル-3-オキセタニル)メチルエーテル、3-エチル-3-(2-エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル]ベンゼン、3-エチル-3-(フェノキシメチル)オキセタン等が挙げられる。
オキセタン化合物は、分子内に1以上のオキセタン環を有する化合物であればよく、その例には、特開2001-220526号公報、特開2001-310937号公報、特開2005-255821号公報に記載のオキセタン化合物等も含まれる。中でも、特開2005-255821号公報に記載された下記一般式(1)、(2)、(7)、(8)及び(9)で表される化合物が好ましい。
Figure 0007107376000001
上記一般式(1)、(2)、(7)、(8)及び(9)において、Rは、例えば、水素原子や炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のフルオロアルキル基、アリル基、アリール基、フリル基またはチエニル基である。Rは、例えば、炭素数1~6個のアルキル基、炭素数2~6個のアルケニル基、フェニル基、ベンジル基、芳香環を有する基、炭素数2~6個のアルキルカルボニル基、炭素数2~6個のアルコキシカルボニル基、または炭素数2~6個のN-アルキルカルバモイル基等である。Rは、例えば、線状または分枝状アルキレン基、線状または分枝状ポリ(アルキレンオキシ)基、線状または分枝状不飽和炭化水素基、またはカルボニル基またはカルボニル基を含むアルキレン基、カルボキシル基を含むアルキレン基、カルバモイル基を含むアルキレン基等である。Rは、例えば、炭素数1~4個のアルキル基、またはアリール基である。Rは、例えば、炭素数1~12の分枝状アルキレン基、分枝状ポリ(アルキレンオキシ)基又は分枝状ポリシロキシ基等である。R11は、例えば、炭素数1~4のアルキル基又はトリアルキルシリル基である。また、jは、例えば3又は4であり、rは例えば1~4である。
インクに含有される光重合性化合物は、ラミネート工程において印刷層上に設けられる接着層の成分との間に化学的結合を形成可能であることが好ましい。かかる化学的結合と、上述したアンカー効果とが相乗的に作用して、ラミネート密着性を更に向上することができる。例えばカチオン重合性化合物、特にエポキシ化合物やオキセタン化合物等は、接着層の成分との間に化学的結合を好適に形成することができる。
インクには、光重合開始剤を含有することができる。光重合開始剤としては、上述した光重合性化合物がラジカル重合性の官能基を有する化合物(ラジカル重合性化合物)である場合は、光ラジカル開始剤を用いることができ、前記光重合性化合物がカチオン重合性の官能基を有する化合物(カチオン重合性化合物)である場合は、光酸発生剤を用いることができる。
光重合開始剤は、1種を単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。光重合開始剤として、1種以上の光ラジカル開始剤と、1種以上の光酸発生剤とを併用してもよい。
光ラジカル開始剤としては、例えば、開裂型ラジカル開始剤及び水素引き抜き型ラジカル開始剤等が挙げられる。
開裂型ラジカル開始剤としては、例えば、アセトフェノン系開始剤、ベンゾイン系開始剤、アシルホスフィンオキシド系開始剤、ベンジル及びメチルフェニルグリオキシエステル等が挙げられる。
アセトフェノン系開始剤としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、ベンジルジメチルケタール、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシル-フェニルケトン、2-メチル-2-モルホリノ(4-チオメチルフェニル)プロパン-1-オン及び2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン等が挙げられる。
ベンゾイン系開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル及びベンゾインイソプロピルエーテル等が挙げられる。
アシルホスフィンオキシド系開始剤としては、例えば、2,4,6-トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシド等が挙げられる。
水素引き抜き型ラジカル開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン系開始剤、チオキサントン系開始剤、アミノベンゾフェノン系開始剤、10-ブチル-2-クロロアクリドン、2-エチルアンスラキノン、9,10-フェナンスレンキノン及びカンファーキノン等が挙げられる。
ベンゾフェノン系開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル-4-フェニルベンゾフェノン、4,4′-ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4′-メチル-ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3′,4,4′-テトラ(t-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン及び3,3′-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン等が挙げられる。
チオキサントン系開始剤としては、例えば、2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン及び2,4-ジクロロチオキサントン等が挙げられる。
アミノベンゾフェノン系開始剤としては、例えば、ミヒラーケトン及び4,4′-ジエチルアミノベンゾフェノン等が挙げられる。
光酸発生剤としては、例えば、トリアリルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート等のトリアリルスルホニウム塩;ジアリールヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ヨードニウム[4-(4-メチルフェニル-2-メチルプロピル)フェニル]ヘキサフルオロホスフェート等のヨードニウム塩;テトラフルオロホスホニウムヘキサフルオロホスフェート等のホスホニウム塩;ピリジウム塩等を挙げることができる。光酸発生剤として、例えば、サンアプロ社製「CPI-100P」(トリアリルスルホニウム塩のプロピレンカーボネート)等の市販品を用いてもよい。
また、光酸発生剤の例には、有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)、187~192ページに記載の化合物も含まれる。
光重合開始剤の含有量は、インクが十分に硬化できる範囲であればよく、例えば、インクの全質量に対して0.01~10質量%の範囲とすることができる。
インクにはゲル化剤を含有することが好ましい。ゲル化剤としては、例えばワックスゲル等が挙げられる。ゲル化剤は、本発明のインクジェットインク中に、1種のみが含まれていてもよく、2種類以上が含まれていてもよい。
ワックスゲルは、ゲル化剤そのものが板状結晶となり、これがカードハウス構造を取り、ゲル構造を形成する。
画質の向上及びラミネート密着性の向上の観点から、ゲル化剤の含有量は、インクの全質量に対して0.5~10.0質量%の範囲であることが好ましく、1.0~5.0質量%の範囲であることがより好ましい。
また、以下の観点から、ゲル化剤は、インクのゲル化温度以下の温度で、インク中で結晶化することが好ましい。ゲル化温度とは、加熱によりゾル化又は液体化したインクを冷却していったときに、ゲル化剤がゾルからゲルに相転移し、インクの粘度が急変する温度をいう。具体的には、ゾル化又は液体化したインクを、粘弾性測定装置(例えば、Physica社製「MCR300」)で粘度を測定しながら冷却していき、粘度が急激に上昇した温度を、そのインクのゲル化温度とすることができる。
ゲル化剤がインク中で結晶化すると、板状に結晶化したゲル化剤によって形成された三次元空間に溶媒、光重合性化合物等のインク媒体が内包される構造が形成されることがある(このような構造を、以下「カードハウス構造」という。)。
カードハウス構造が形成されると、液体のインク媒体が前記空間内に保持されるため、インク液滴がより濡れ広がりにくくなり、インクのピニング性がより高まる。インクのピニング性が高まると、記録媒体に着弾したインク液滴同士が合一しにくくなり、より高精細な画像を形成することができる。
カードハウス構造を形成するには、インク中の溶媒、光重合性化合物等のインク媒体とゲル化剤とが相溶していることが好ましい。
結晶化によるカードハウス構造の形成に好適なゲル化剤としては、例えば、脂肪酸ケトン(ケトンワックス)、脂肪酸エステル(エステルワックス)、石油系ワックス、脂肪酸アミド、高級脂肪酸、高級アルコール等が挙げられる。
ケトンワックスとしては、例えば、ジリグノセリルケトン、ジベヘニルケトン、ジステアリルケトン、ジエイコシルケトン、ジパルミチルケトン、ジラウリルケトン、ジミリスチルケトン、ミリスチルパルミチルケトン及びパルミチルステアリルケトン等が挙げられる。
エステルワックスとしては、例えば、ベヘニン酸ベヘニル、イコサン酸イコシル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸パルミチル、パルミチン酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、セロチン酸ミリシル、ステアリン酸ステアリル、パルミチン酸オレイル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステル及びポリオキシエチレン脂肪酸エステル等が挙げられる。エステルワックスの市販品として、例えば、日本エマルジョン社製「EMALEX」シリーズ(「EMALEX」は同社の登録商標)、理研ビタミン社製「リケマール」シリーズ及び「ポエム」シリーズ(「リケマール」及び「ポエム」はいずれも同社の登録商標)等が挙げられる。
石油系ワックスとしては、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス及びペトロラクタム等が挙げられる。
高級脂肪酸としては、例えば、ベヘン酸、アラキジン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、オレイン酸及びエルカ酸等が挙げられる。
高級アルコールとしては、例えば、ステアリルアルコール及びベヘニルアルコール等が挙げられる。
ヒドロキシステアリン酸としては、例えば、12-ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。
脂肪酸アミドとしては、例えば、ラウリン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド及び12-ヒドロキシステアリン酸アミド等が挙げられる。脂肪酸アミドの市販品として、例えば、日本化成社製「ダイヤミッドY」、「ニッカアマイド」シリーズ(「ダイヤミッド」、「ニッカアマイド」は同社の登録商標)、伊藤製油社製「ITOWAX」シリーズ、及び花王社製「FATTYAMID」シリーズ等が挙げられる。
これらのゲル化剤のうち、ピニング効果の観点からは、ケトンワックス、エステルワックス、高級脂肪酸、高級アルコール及び脂肪酸アミドが好ましく、下記一般式(G1)で表されるケトンワックス及び下記一般式(G2)で表されるエステルワックスがさらに好ましい。
下記一般式(G1)で表されるケトンワックス及び下記一般式(G2)で表されるエステルワックスは、インク中に、1種のみが含まれていてもよく、2種類以上が含まれていてもよい。また、下記一般式(G1)で表されるケトンワックス及び下記一般式(G2)で表されるエステルワックスは、インク中に、いずれか一方のみが含まれていてもよいし、双方が含まれていてもよい。
一般式(G1):R11-CO-R12
一般式(G2):R13-COO-R14
〔式中、R11~R14は、それぞれ独立に、炭素数が9~25の範囲である直鎖状の炭化水素基を表す。〕
上記一般式(G1)で表されるケトンワックス又は上記一般式(G2)で表されるエステルワックスは、直鎖状の炭化水素基の炭素数が9以上であるため、ゲル化剤の結晶性がより高まり、かつ、上記カードハウス構造においてより十分な空間が生る。そのため、溶媒、光重合性化合物等のインク媒体が上記空間内に十分に内包されやすくなり、インクのピニング性がより高くなる。また、直鎖状の炭化水素基の炭素数が25以下であるため、ゲル化剤の融点が過度に高まらないため、インクを出射するときにインクを過度に加熱する必要がない。これらの観点から、R11及びR12、又は、R13及びR14は炭素原子数13以上23未満の直鎖状の炭化水素基であることが特に好ましい。
また、インクのゲル化温度を高くして、着弾後により急速にインクをゲル化させる観点からは、R11若しくはR12のいずれか、又はR13若しくはR14のいずれかが飽和している炭素原子数11以上23未満の炭化水素基であることが好ましい。これらの観点からは、R11及びR12の双方、又は、R13及びR14の双方が飽和している炭素原子数11以上23未満の炭化水素基であることがより好ましい。
上記一般式(G1)で表されるケトンワックスとしては、例えば、ジリグノセリルケトン(炭素数:23~24)、ジベヘニルケトン(炭素数:21~22)、ジステアリルケトン(炭素数:17~18)、ジエイコシルケトン(炭素数:19~20)、ジパルミチルケトン(炭素数:15~16)、ジミリスチルケトン(炭素数:13~14)、ジラウリルケトン(炭素数:11~12)、ラウリルミリスチルケトン(炭素数:11~14)、ラウリルパルミチルケトン(炭素数:11~16)、ミリスチルパルミチルケトン(炭素数:13~16)、ミリスチルステアリルケトン(炭素数:13~18)、ミリスチルベヘニルケトン(炭素数:13~22)、パルミチルステアリルケトン(炭素数:15~18)、バルミチルベヘニルケトン(炭素数:15~22)及びステアリルベヘニルケトン(炭素数:17~22)等が挙げられる。なお、上記括弧内の炭素数は、カルボニル基で分断される二つの炭化水素基それぞれの炭素数を表す。一般式(G1)で表されるケトンワックスの市販品として、例えば、Alfa Aeser社製「18-Pentatriacontanon」、Alfa Aeser社製「Hentriacontan-16-on」、花王社製「カオーワックスT-1」等が挙げられる。
一般式(G2)で表される脂肪酸又はエステルワックスの例には、ベヘニン酸ベヘニル(炭素数:21~22)、イコサン酸イコシル(炭素数:19~20)、ステアリン酸ステアリル(炭素数:17~18)、ステアリン酸パルミチル(炭素数:17~16)、ステアリン酸ラウリル(炭素数:17~12)、パルミチン酸セチル(炭素数:15~16)、パルミチン酸ステアリル(炭素数:15~18)、ミリスチン酸ミリスチル(炭素数:13~14)、ミリスチン酸セチル(炭素数:13~16)、ミリスチン酸オクチルドデシル(炭素数:13~20)、オレイン酸ステアリル(炭素数:17~18)、エルカ酸ステアリル(炭素数:21~18)、リノール酸ステアリル(炭素数:17~18)、オレイン酸ベヘニル(炭素数:18~22)及びリノール酸アラキジル(炭素数:17~20)が含まれる。なお、上記括弧内の炭素数は、エステル基で分断される二つの炭化水素基それぞれの炭素数を表す。一般式(G2)で表されるエステルワックスの市販品として、例えば、日油社製「ユニスターM-2222SL」及び「スパームアセチ」(「ユニスター」は同社の登録商標)、花王社製「エキセパールSS」及び「エキセパールMY-M」(「エキセパール」は同社の登録商標)、日本エマルジョン社製「EMALEX CC-18」及び「EMALEX CC-10」(「EMALEX」は同社の登録商標)並びに高級アルコール工業社製「アムレプスPC」(「アムレプス」は同社の登録商標)等が挙げられる。
市販品が2種類以上の混合物である場合、必要に応じて分離・精製してインクに含有させることができる。
インクは色材を含有してもよい。色材は、染料又は顔料でありうるが、インクの構成成分に対して良好な分散性を有し、かつ耐候性に優れることから、顔料が好ましい。顔料は、特に限定されないが、例えば、カラーインデックスに記載される下記番号の有機顔料又は無機顔料が挙げられる。
赤又はマゼンタ顔料としては、例えば、Pigment Red 3、5、19、22、31、38、43、48:1、48:2、48:3、48:4、48:5、49:1、53:1、57:1、57:2、58:4、63:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、88、104、108、112、122、123、144、146、149、166、168、169、170、177、178、179、184、185、208、216、226、257、Pigment Violet 3、19、23、29、30、37、50、88、Pigment Orange 13、16、20、36から選ばれる顔料又はその混合物等が挙げられる。
青又はシアン顔料としては、例えば、Pigment Blue 1、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17-1、22、27、28、29、36、60から選ばれる顔料又はその混合物等が挙げられる。
緑顔料としては、例えば、Pigment Green 7、26、36、50から選ばれる顔料又はその混合物等が挙げられる。
黄顔料としては、例えば、Pigment Yellow 1、3、12、13、14、17、34、35、37、55、74、81、83、93、94,95、97、108、109、110、137、138、139、153、154、155、157、166、167、168、180、185、193から選ばれる顔料又はその混合物等が挙げられる。
黒顔料としては、例えば、Pigment Black 7、28、26から選ばれる顔料又はその混合物等が挙げられる。
顔料の分散は、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、及びペイントシェーカー等により行うことができる。
インクジェットヘッドからの吐出性をより高める観点からは、顔料粒子の平均分散粒子径は、50~150nmの範囲であり、最大粒子径は300~1000nmの範囲であることが好ましい。さらに好ましい平均分散粒子径は80~130nmの範囲である。
顔料粒子の平均分散粒子径とは、データサイザーナノZSP、Malvern社製を使用して動的光散乱法によって求めた値を意味する。なお、色材を含むインクは濃度が高く、この測定機器では光が透過しないので、インクを200倍で希釈してから測定する。測定温度は常温(25℃)とする。
顔料の分散は、顔料、分散剤、及び分散媒体の選定、分散条件、及び濾過条件等によって、調整される。
インクは、顔料の分散性を高めるために、分散剤を含有してもよい。
分散剤としては、例えば、ヒドロキシ基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、及びステアリルアミンアセテート等が挙げられる。分散剤の市販品として、例えば、Avecia社製「Solsperse」シリーズや、味の素ファインテクノ社製「PB」シリーズ等が挙げられる。
インクは、必要に応じて分散助剤をさらに含んでもよい。分散助剤は、顔料に応じて選択されればよい。
分散剤及び分散助剤の合計量は、顔料に対して1~50質量%の範囲であることが好ましい。
インクは、必要に応じて顔料を分散させるための分散媒体をさらに含んでもよい。分散媒体として溶剤をインクに含ませてもよいが、形成された画像における溶剤の残留を抑制するためには、上述した光重合性化合物を分散媒体として用いることが好ましい。
染料としては、例えば油溶性染料等が挙げられる。油溶性染料としては、例えば、マゼンタ染料、シアン染料、イエロー染料、ブラック染料等が挙げられ、これらは1種を単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
色材の含有量は、インク全量に対して0.1~20質量%の範囲であることが好ましく、0.4~10質量%の範囲であることがより好ましい。
インクは、本発明の効果が得られる範囲において、以上に説明した成分以外の他の成分を含んでもよい。他の成分としては、例えば、重合禁止剤や界面活性剤等が挙げられる。これらの成分は、インク中に、1種のみが含まれていてもよく、複数種が含まれていてもよい。
重合禁止剤としては、例えば、(アルキル)フェノール、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、p-メトキシフェノール、t-ブチルカテコール、t-ブチルハイドロキノン、ピロガロール、1,1-ピクリルヒドラジル、フェノチアジン、p-ベンゾキノン、ニトロソベンゼン、2,5-ジ-t-ブチル-p-ベンゾキノン、ジチオベンゾイルジスルフィド、ピクリン酸、クペロン、アルミニウムN-ニトロソフェニルヒドロキシアミン、トリ-p-ニトロフェニルメチル、N-(3-オキシアニリノ-1,3-ジメチルブチリデン)アニリンオキシド、ジブチルクレゾール、シクロヘキサノンオキシムクレゾール、グアヤコール、o-イソプロピルフェノール、ブチラルドキシム、メチルエチルケトキシム及びシクロヘキサノンオキシム等が挙げられる。
重合禁止剤の量は、本発明の効果が得られる範囲において、任意に設定することができ、例えば、インクの全質量に対して、例えば0.001質量%以上1.0質量%未満とすることができる。
界面活性剤としては、例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類及び脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類及びポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、及び第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤、並びにシリコーン系やフッ素系の界面活性剤等が挙げられる。
シリコーン系の界面活性剤としては、例えば、ポリエーテル変性ポリシロキサン化合物等が挙げられる。また、フッ素系の界面活性剤としては、例えば、通常の界面活性剤の疎水性基の炭素に結合した水素の代わりに、その一部又は全部をフッ素で置換した構造を有するもの等が挙げられる。
界面活性剤の量は、本発明の効果が得られる範囲において、任意に設定することができる。界面活性剤の量は、インクの全質量に対して、例えば0.001質量%以上1.0質量%未満とすることができる。
インクの吐出性をより高める観点からは、インクの80℃における粘度は、3~20mPa・sの範囲であることが好ましく、7~12mPa・sの範囲であることがより好ましい。また、着弾して常温に降温した際にインクを十分にゲル化させる観点からは、本発明のインクの25℃における粘度は1000mPa・s以上であることが好ましい。
インクのゲル化温度は、30~70℃の範囲であることが好ましい。インクのゲル化温度が30℃以上、更には40℃以上であると、記録媒体に着弾後、インクが速やかにゲル化するため、ピニング性がより高くなる。インクのゲル化温度が70℃以下、更には60℃以下であると、インク温度が通常80℃程度であるインクジェットヘッドからのインクの射出時にインクがゲル化しにくいため、より安定してインクを射出することができる。
インクの80℃における粘度、25℃における粘度及びゲル化温度は、レオメータにより、インクの動的粘弾性の温度変化を測定することにより求めることができる。具体的には、インクを100℃に加熱し、ストレス制御型レオメータPhysica MCR301(コーンプレートの直径:75mm、コーン角:1.0°)、Anton Paar社製によって粘度を測定しながら、剪断速度11.7(1/s)、降温速度0.1℃/sの条件で20℃までインクを冷却して、粘度の温度変化曲線を得る。80℃における粘度及び25℃における粘度は、粘度の温度変化曲線において80℃、25℃における粘度をそれぞれ読み取ることにより求めることができる。ゲル化温度は、粘度の温度変化曲線において、粘度が200mPa・sとなる温度として求めることができる。
〔印刷工程〕
印刷工程では、以上に説明したインクを用いて非吸収性又は微吸収性基材上にインクジェット記録法で印刷層を形成する。
インクジェット記録法は格別限定されず、インクを用いて非吸収性又は微吸収性基材上に印刷層を形成できればよい。活性光線硬化型インクジェット方式のインクジェット記録装置として、ライン記録方式(シングルパス記録方式)のものと、シリアル記録方式のものとがあり、求められる画像の解像度や記録速度に応じて適宜選択できる。
インクジェットヘッドからのインク吐出方式は、オンデマンド方式とコンティニュアス方式のいずれでもよい。オンデマンド方式のインクジェットヘッドは、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シアーモード型及びシアードウォール型等の電気-機械変換(ピエゾ)方式、並びにサーマルインクジェット型及びバブルジェット(登録商標)(キヤノン社の登録商標)型等の電気-熱変換方式等のいずれでもよい。
インクの液滴を、加熱した状態でインクジェットヘッドから吐出することで、吐出安定性を高めることができる。吐出される際のインクの温度は、40~100℃の範囲であることが好ましく、吐出安定性をより高めるためには、40~90℃の範囲であることがより好ましい。インクの粘度としては7~15mPa・sの範囲、より好ましくは8~13mPa・sの範囲となるようなインク温度において出射を行うことが好ましい。
ゾル-ゲル相転移型のインクは、インクジェットヘッドからのインクの吐出性を高めるために、インクジェットヘッドに充填されたときのインクの温度が、当該インクの(ゲル化温度+10)℃~(ゲル化温度+30)℃に設定されることが好ましい。インクジェットヘッド内のインクの温度が、(ゲル化温度+10)℃未満であると、インクジェットヘッド内若しくはノズル表面でインクがゲル化して、インクの吐出性が低下しやすい。一方、インクジェットヘッド内のインクの温度が(ゲル化温度+30)℃を超えると、インクが高温になりすぎるため、インク成分が劣化することがある。
インクの加熱方法は、特に制限されない。例えば、ヘッドキャリッジを構成するインクタンク、供給パイプ及びヘッド直前の前室インクタンク等のインク供給系、フィルター付き配管並びにピエゾヘッド等の少なくともいずれかをパネルヒーター、リボンヒーター又は保温水等によって加熱することができる。
吐出される際のインクの液滴量は、記録速度及び画質の面から、2~20pLの範囲であることが好ましい。
非吸収性又は微吸収性基材は、少なくとも印刷層が形成される領域に非吸収性の表面を有していればよい。非吸収性の表面は、ブリストー法によって測定される接触開始から30msec1/2までの水吸収量が0.3g/m以下であることが好ましい。
非吸収性基材は格別限定されず、例えばポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート及びポリブタジエンテレフタレート等の樹脂によって構成される基材(樹脂基材)、金属類及びガラス等によって構成される基材等が挙げられる。また、非吸収性基材としては、紙等のような吸収性基材を処理することによって非吸収性基材としたものも用いることができる。紙としては、例えばチタン等が挙げられる。非吸収性基材にするための処理は格別限定されないが、例えば、吸収性基材の表面を非吸収性材料で被覆する処理や、吸収性基材に非吸収性材料を含浸する処理等が挙げられる。非吸収性材料は格別限定されず、例えば樹脂等が挙げられる。
微吸収性基材は格別限定されず、例えば印刷用塗工紙等が挙げられる。印刷用塗工紙とは、印刷でしばしば用いられる塗工紙であり、一般的には上質紙や中質紙を原紙とし、紙の表面に白土等の顔料を塗布した後、平滑性を高めるためにカレンダー処理をかけて作製される。このような処理により、白色度や平滑性、印刷インクの受理性、あるいは網点再現性、印刷光沢、印刷不透明度などが向上する。塗工量により、アート紙、コート紙、軽量コート紙等の分類があり、また、紙の光沢によりグロス系、ダル系、マット系等に分類される。アート紙は、塗工量が片面20g/m前後の塗工紙であり、一般的には、紙表面に顔料を塗工した後、カレンダー処理をかけて作製される。特アート、並アート、マット(艶消し)アート、片アート(片面塗工)、両アート(両面塗工)などの種類があり、具体的には、OK金藤N、サテン金藤N、SA金藤、ウルトラサテン金藤N、OKウルトラアクアサテン、OK金藤片面、Nアートポスト、NK特両面アート、雷鳥スーパーアートN、雷鳥スーパーアートMN、雷鳥アートN、雷鳥ダルアートN、ハイマッキンレーアート、ハイマッキンレーマット、ハイマッキンレーピュアダルアート、ハイマッキンレースーパーダル、ハイマッキンレーマットエレガンス、ハイマッキンレーディープマット等がある。コート紙は、塗工量が片面10g/m前後の塗工紙であり、一般的には、抄紙機の途中に設けた塗工装置で加工して作製される。コート量がアート紙より少なく、平滑度はやや落ちるものの廉価、軽量という利点がある。また、軽量コートや微塗工紙というコート量のさらに少ない種類の塗工紙も存在する。これらのコート紙の具体例として、PODグロスコート、OKトップコート+、OKトップコートS、オーロラコート、ミューコート、ミューホワイト、雷鳥コートN、ユトリロコート、パールコート、ホワイトパールコート、PODマットコート、ニューエイジ、ニューエイジW、OKトップコートマットN、OKロイヤルコート、OKトップコートダル、Zコート、シルバーダイヤ、ユーライト、ネプチューン、ミューマット、ホワイトミューマット、雷鳥マットコートN、ユトリログロスマット、ニューVマット、ホワイトニューVマット等が挙げられる。
〔第1の活性光線照射工程〕
第1の活性光線照射工程では、印刷層に活性光線を照射して、印刷層を構成するインクの光重合性化合物の重合率を5%~80%の範囲にする。
つまり、第1の活性光線照射工程では、インクを完全硬化させず、後段の第2の活性光線照射工程において更なる重合を進行できる余地を残すように、重合を一部にとどめる。これにより、完全硬化する場合に比べ、ラミネート密着性を向上することができる。
特に、第1の活性光線照射工程における光重合性化合物の重合率が5%以上であることによって画質を向上する効果が良好に発揮され、該重合率が80%以下であることによってラミネート密着性を向上する効果が良好に発揮される。
第1の活性光線照射工程では、活性光線の照射に際して、光重合性化合物の重合率が5%~80%の範囲になるように、活性光線の照射条件を適宜調整することができる。照射条件としては、活性光線の光量や照射時間等が挙げられ、これらの1つ以上を調整することで、所望の重合率にすることができる。
活性光線は、例えば電子線、紫外線、α線、γ線、及びエックス線等から選択することができ、紫外線であることが好ましい。
紫外線を照射する場合、光源としては、例えば、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、LED等を用いることができる。紫外線を照射は、例えばPhoseon Technology社製の水冷LEDを用いて、波長395nmの条件下で行うことができる。LEDを光源とすることで、光源の輻射熱によってインクが溶けることが防止され、インクの硬化不良を抑制することができる。
紫外線の照射は、370~410nmの範囲の波長を有する紫外線の画像表面におけるピーク照度が、好ましくは0.5~10W/cmの範囲、より好ましくは1~5W/cmの範囲となるように行う。輻射熱がインクに照射されることを抑制する観点からは、画像に照射される光量は350mJ/cm未満であることが好ましい。
活性光線の照射は、インク着弾後0.001~1.0秒の間に行うことが好ましく、高精細な画像を形成するためには、0.001~0.5秒の間に行うことがより好ましい。
第1の活性光線照射工程における活性光線の照射は、2段階に分けて行ってもよい。この場合、まず、インクが着弾した後0.001~2.0秒の間に活性光線を照射し、全印字終了後、さらに活性光線を照射して、印刷層を構成するインクの光重合性化合物の重合率を5%~80%の範囲にすることができる。活性光線の照射を2段階に分けることで、重合の進行に伴う非吸収性又は微吸収性基材の収縮がより生じにくくなる。
第1の活性光線照射工程における重合率に関しては、ラミネート密着性の向上と、画質の向上とを好適に両立する観点で、以下のように、インクの処方に対応して更に好ましい範囲が存在することが見出された。
インクがラジカル硬化型である場合は、第1の活性光線照射工程において、印刷層を構成するインクの光重合性化合物の重合率を20%~70%の範囲にすることが好ましい。
インクがゲル化剤を含有するラジカル硬化型である場合は、第1の活性光線照射工程において、印刷層を構成するインクの光重合性化合物の重合率を5%~70%の範囲にすることが好ましい。
インクがカチオン硬化型である場合は、第1の活性光線照射工程において、印刷層を構成するインクの光重合性化合物の重合率を20%~80%の範囲にすることが好ましい。
インクがゲル化剤を含有するカチオン硬化型である場合は、第1の活性光線照射工程において、印刷層を構成するインクの光重合性化合物の重合率を5%~80%の範囲にすることが好ましい。
以上のようにインクがゲル化剤を含有する場合は、ゲル化剤を含有しない場合との対比で、より低い重合率(例えば重合率20%未満)においても、ラミネート密着性の向上と、画質の向上とを好適に両立することができる。
また、インクがカチオン硬化型である場合は、ラジカル硬化型との対比で、より高い重合率(例えば重合率70%を超える)においても、ラミネート密着性の向上と、画質の向上とを好適に両立することができる。
光重合性化合物の重合率は、インクの硬化状態を示す指標であり、光重合性化合物の反応率として定量化(数値化)される。かかる光重合性化合物の反応率、即ち重合率は、該光重合性化合物における未反応の反応性基の減少率に対応する。例えば、ラジカル硬化型のインクは、エチレン性不飽和基由来の810cm-1付近の赤外吸収ピークの吸光度、カチオン硬化型インクは、オキセタニル基由来の986cm-1付近、エポキセタル基由来の750cm-1付近の赤外吸収ピークの吸光度を重合前後で測定し、下記式に従って重合率を定量化することができる。
重合率(%)=([A-A]/A)×100
〔上記式中、Aは重合前の吸光度であり、Aは重合後の吸光度である。〕
〔ラミネート工程〕
ラミネート工程では、印刷層上に接着層を介してラミネートフィルムをラミネートする。
ラミネートフィルムとしては、樹脂フィルムを用いることができる。樹脂フィルムを構成する樹脂は格別限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、トリアセチルセルロース等が挙げられる。
ラミネート加工方法には、公知の方法を使用できる。具体例としては、ドラミラミネーション、ウェットラミネーション、ノンソルベントラミネーション、ホットメルトラミネーション、押出ラミネーション、サーマルラミネーション等が挙げられる。
ラミネートに際しては、印刷層とラミネートフィルムとの間に接着層を介在させることが重要である。これにより、光重合性化合物の重合率が5%~80%の範囲であるインク内に、接着層の成分を浸透させて、アンカー効果を発揮することができる。
接着層としては、例えば、ホットメルトタイプ、溶剤タイプ、水系タイプ、2液硬化型等を使用することができる。接着層の成分としては、例えば、オレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、ポリアミド、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコール、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、イソシアネート等が挙げられる。接着層は1種又は複数種の成分によって構成されうる。
印刷物とラミネートフィルムとの間に接着層を介在させる際には、例えば、印刷層上に接着層を形成した後に、ラミネートフィルムをラミネートすることができる。また、予め接着層が形成されたラミネートフィルムを、印刷層上にラミネートしてもよい。
ラミネートの温度は、接着層の成分の融点以上であることが好ましい。接着層が複数種の成分を含む場合は、ラミネートの温度は、1以上の成分の融点以上であることが好ましい。これにより、光重合性化合物の重合率が5%~80%の範囲であるインク内に、接着層の成分が浸透し易くなり、アンカー効果が良好に発揮される。また、ラミネートの温度は、ラミネートフィルムの軟化点以上であることが好ましい。軟化点は、JIS K2207に準拠して測定される値である。
〔第2の活性光線照射工程〕
第2の活性光線照射工程では、ラミネートフィルム側又は非吸収性又は微吸収性基材側から印刷層に活性光線を照射して、印刷層を構成するインクの光重合性化合物の重合率を更に上昇させる。
ラミネートフィルム側から照射する場合、活性光線はラミネートフィルム及び接着層を介して印刷層に照射されうる。一方、非吸収性又は微吸収性基材側から照射する場合、活性光線は非吸収性又は微吸収性基材を介して印刷層に照射されうる。ラミネートフィルム側及び非吸収性又は微吸収性基材側のうち、活性光線をより透過しやすい側から、照射を行うことができる。
第2の活性硬化線照射工程において光重合性化合物の重合を更に進行させることによって、接着層の成分が浸透した状態でインクが硬化し、アンカー効果が発揮される。このアンカー効果は、接着界面に強固な機械的結合を形成するため、ラミネート密着性が向上する。
更に、第2の活性硬化線照射工程において光重合性化合物の重合を更に進行することによって、非吸収性又は微吸収性基材から印刷層が剥離することが防止され、画像耐久性も向上する。
第2の活性硬化線照射工程における活性光線の種類や照射装置等に関しては、第1の活性硬化線照射工程についてした説明が援用される。第2の活性光線照射工程における活性光線の照射も、第1の活性光線照射工程と同様に、2段階に分けて行ってもよい。
以上のようにして印刷物を製造することができる。印刷物は、非吸収性又は微吸収性基材と、該非吸収性又は微吸収性基材上に設けられた印刷層と、該印刷層上に設けられた接着層と、接着層上に設けられたラミネートフィルムとによって構成される。かかる印刷物においては、密着性に優れたラミネートフィルムによって、画質に優れた印刷層が好適に保護される。
印刷物には1又は複数の更なる層が積層されていてもよく、例えば非吸収性又は微吸収性基材の裏面(印刷層が形成された面に対して反対側の面)にコア層(コア基材)が積層されていてもよい。コア層は、印刷物の支持層あるいは補強層等として機能しうる。
印刷物の用途は格別限定されず、種々の用途に広く用いることができる。一例として、印刷物によって床材(化粧板床材)等を構成することができる。
以下に、本発明の実施例について説明するが、本発明はかかる実施例により限定されない。
以下の説明において、「部」で表された配合量は、質量部を意味する。
1.インクの調製
(1)顔料分散液
〔顔料分散液A-1(ラジカル)〕
分散剤(味の素ファインテクノ社製「PB824」)9部と、トリエチレングリコールジビニルエーテル(略称TEGVE、日本カーバイド社製)71部とをステンレスビーカーに入れ、65℃のホットプレート上で加熱しながら1時間加熱攪拌し、溶解した。これらの混合物を室温まで冷却した後、顔料(pigment Black 7、三菱化学社製「#52」)20部を加え、直径0.5mmのジルコニアビーズ200gと共にガラス瓶に入れて密栓し、ペイントシェーカーにて5時間分散処理した後、ジルコニアビーズを除去し、顔料分散液A-1(ラジカル)を得た。
〔顔料分散液A-2(ラジカル)〕
上記「顔料分散液A-1(ラジカル)」において、顔料をpigment Blue 15:4(大日精化社製「クロモファインブルー6332JC」)に代えたこと以外は同様にして、顔料分散液A-2(ラジカル)を得た。
〔顔料分散液B-1(カチオン)〕
分散剤(味の素ファインテクノ社製「PB822」)8部と、重合性化合物(東亜合成社製「OXT221」)72部とをステンレスビーカーに入れ、65℃のホットプレート上で加熱しながら1時間加熱攪拌し、溶解した。これらの混合物を室温まで冷却した後、顔料(pigment Black 7(三菱化学社製「#52」)20部を加えて、直径0.5mmのジルコニアビーズ200gと共にガラス瓶に入れて密栓し、ペイントシェーカーにて5時間分散処理した後、ジルコニアビーズを除去して、顔料分散液B-1(カチオン)を得た。
〔顔料分散液B-2(カチオン)〕
上記「顔料分散液B-1(カチオン)」において、顔料をpigment Blue 15:4(大日精化社製「クロモファインブルー6332JC」)に代えてたこと以外は同様にして、顔料分散液B-2(カチオン)を得た。
(2)インク
上記の顔料分散液を下記のインク成分と共に表1、2(表1はラジカル硬化型のインク、表2はカチオン硬化型のインクに対応する。)に示す処方(インク組成)で配合し、80℃に加熱して攪拌、混合した。その後、この混合液を加熱しながら、ADVANTEC社製テフロン(登録商標)3μmメンブランフィルターで濾過を行い、インク試料1~3、8~12、18~20、27~31を得た。インク成分としてゲル化剤を含む場合は、上記撹拌温度を90℃に変更して、インク試料4~7、13~17、21~26、32~36を得た。なお、濾過前後でインク組成は実質的に変化していない。
〔光重合性化合物:ラジカル重合性化合物〕
・N-ビニルカプロラクタム
・フェノキシエチルアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製「V#192」)
・ポリエチレングリコールジアクリレート(新中村化学社製「NKエステルA-400」)
・カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製「DPCA-30」)
〔光重合性化合物:カチオン重合性化合物〕
・ジ(1-エチル-3-オキセタニル)メチルエーテル
・3-エチル―3-(2-エチルヘキシロキシメチル)オキセタン
・脂環式エポキシ化合物(ダイセル社製「セロキサイド 2021P」)
〔光開始剤:光ラジカル発生剤〕
・2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキシド(BASF社製「DAROCURE TPO」)
・フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(BASF社製「IRGACURE 819」)
〔光開始剤:光酸発生剤〕
トリアリルスルホニウム塩のプロピレンカーボネート(サンアプロ社製「CPI-100P」)
〔ゲル化剤〕
・12-ヒドロキシステアリン酸
・ステアロン(花王社製)
〔界面活性剤〕
・シリコーン系界面活性剤(信越化学社製「X-22-4272」)
2.印刷工程
得られた各インク試料を用いて非吸収性基材(硬質PVCフィルム)上にインクジェット記録法で印刷層を以下の手順で形成した。
インクジェット記録装置の吐出用記録ヘッドとしては、ノズル径20μm、ノズル数512ノズル(256ノズル×2列、千鳥配列、1列のノズルピッチ360dpi)のピエゾヘッドを用いた。
インクジェットヘッドの温度はインク試料1~3、8~12、18~20、27~31の場合45℃、インク試料4~7、13~17、21~26、32~36の場合は80℃に設定した。インクジェットヘッドからのインクの吐出条件は、1滴の液滴量が12plとなる条件で、液滴速度約6m/sで出射させて、720dpi×720dpiの解像度で記録した。記録速度は50m/minとした。画像形成は、23℃、55%RHの環境下で行った。なお、dpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。
3.第1の活性光線照射工程
上記印刷工程の後、インクジェット記録装置の下流部に配置したLEDランプ(Phoseon Technology社製、395nm、水冷LED)を用いて、印刷層に活性光線を照射して、印刷層を構成する前記インクの光重合性化合物の重合率を表1、2に示す値にした。重合率は、照射条件(LED光源の光量、LED照射時間)を適宜変えることによって調整した。
4.ラミネート工程
上記第1の活性光線照射工程の後、印刷層上に接着層を介してラミネートフィルムをラミネートした。ラミネートフィルムの材質はポリ塩化ビニル(融点:140~200℃)である。また、接着層の成分には、ポリエステル(軟化点:120℃)を用いた。ラミネートの温度は、160℃に設定した。
5.第2の活性光線照射工程
上記ラミネート加工工程の後、ラミネートフィルム側から印刷層に活性光線(紫外線)を照射して、印刷層を構成するインクの光重合性化合物の重合率を更に上昇させた。活性光線の照射は、第1の活性光線照射工程と同様の装置を用いて行った。なお、インク試料10~12、15~17、29~31、34~36については、第2の活性光線照射工程は省略された。
以上のようにして、各インク試料に対応する印刷物を得た。
6.評価方法
(1)ラミネート密着性(剥離試験)
以上により得られた印刷物について、剥離試験機にて、ラミネートフィルムと印字基材(非吸収性基材及び印刷層によって構成される)との剥離強度を測定し、下記評価基準に基づいてラミネート密着性を評価した。ここで、剥離試験に供した印刷物は、上記印刷工程において100%ベタ画像になるように印字された印刷層を有する。
〔評価基準〕
4:剥離強度が10N/cm以上である
3:剥離強度が7N/cm以上、10N/cm未満である
2:剥離強度が3N/cm以上、7N/cm未満である
1:剥離強度が3N/cm未満である
(2)画質(ドット崩れ)
以上により得られた印刷物について、ラミネート工程前後におけるインクドットの径(ドット径)の変化率を測定し、下記評価基準で画質を評価した。ここで、画質の評価試験に供した印刷物は、上記印刷工程において離散ドット画像(隣接するドット同士が互いに独立している)になるように印字された印刷層を有する。また、ドット径の変化率は、変化率[%]=(R/R)×100により求めた(式中、Rはラミネート工程前、Rはラミネート工程後のドット径である)。
〔評価基準〕
3:ドット径の変化率が150%以内である
2:ドット径の変化率が150%以上、200%未満である
1:ドット径の変化率が200%以上である
(3)画像耐久性
以上により得られた印刷物について、下記サイクル(a)~(c)を繰り返すことにより、キセノンフェードメーターによるキセノン光照射を計300時間行った。(a)70,000ルクスの光を3時間55分照射し、(b)70,000ルクスの光を照射しながら5分間水噴霧し、(c)消灯し、60℃/95%RHで4時間加熱する。この後、目視で印刷物を観察し、下記評価基準で画像耐久性を評価した。
〔評価基準〕
2:印刷層と非吸収性基材との間が剥離している
1:大きな変化なし
以上に示したラミネート密着性、画質及び画像耐久性の各評価基準は、数字が大きいほど良好であり、「1」は実用上、好ましくない。
以上の結果を表1、2に示す。
Figure 0007107376000002
Figure 0007107376000003
7.評価
表1、2より、本発明の印刷物の製造方法を用いることによって、ラミネート密着性の向上と、画質の向上とを両立できることがわかる。また、これらを両立しながら画像耐久性も向上できることがわかる。
1:非吸収性又は微吸収性基材
2:印刷層
3:接着層
4:ラミネートフィルム

Claims (6)

  1. 活性光線硬化型のインクを用いて非吸収性又は微吸収性基材上にインクジェット記録法で印刷層を形成する印刷工程と、
    次いで、前記印刷層に活性光線を照射して、前記印刷層を構成する前記インクの光重合性化合物の重合率を5%~80%の範囲にする第1の活性光線照射工程と、
    次いで、前記印刷層上に接着層を介してラミネートフィルムをラミネートするラミネート工程と、
    次いで、前記ラミネートフィルム側又は前記非吸収性又は微吸収性基材側から前記印刷層に活性光線を照射して、前記印刷層を構成する前記インクの光重合性化合物の重合率を更に上昇させる第2の活性光線照射工程と、を有する印刷物の製造方法。
  2. 前記インクはゲル化剤を含有する請求項1記載の印刷物の製造方法。
  3. 前記インクはラジカル硬化型であり、
    前記第1の活性光線照射工程において、前記印刷層に活性光線を照射して、前記印刷層を構成する前記インクの光重合性化合物の重合率を5%~70%の範囲にする請求項2記載の印刷物の製造方法。
  4. 前記インクはカチオン硬化型であり、
    前記第1の活性光線照射工程において、前記印刷層に活性光線を照射して、前記印刷層を構成する前記インクの光重合性化合物の重合率を5%~80%の範囲にする請求項2記載の印刷物の製造方法。
  5. 前記インクはラジカル硬化型であり、
    前記第1の活性光線照射工程において、前記印刷層に活性光線を照射して、前記印刷層を構成する前記インクの光重合性化合物の重合率を20%~70%の範囲にする請求項1記載の印刷物の製造方法。
  6. 前記インクはカチオン硬化型であり、
    前記第1の活性光線照射工程において、前記印刷層に活性光線を照射して、前記印刷層を構成する前記インクの光重合性化合物の重合率を20%~80%の範囲にする請求項1記載の印刷物の製造方法。
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