以下、内燃機関の制御装置の一実施形態を、図面を参照して説明する。
先ず、ハイブリッド車両におけるハイブリッドシステムの概略構成について説明する。
図1に示すように、ハイブリッド車両は、内燃機関10と、内燃機関10のクランク軸14に接続されている動力配分統合機構40と、動力配分統合機構40に接続されている第1のモータジェネレータ71とを備えている。動力配分統合機構40には、リダクションギア50を介して第2のモータジェネレータ72が連結されるとともに、減速機構60及びディファレンシャル61を介して駆動輪62が連結されている。
動力配分統合機構40は、遊星歯車機構であり、外歯歯車のサンギア41と、サンギア41と同軸配置されている内歯歯車のリングギア42とを有している。サンギア41とリングギア42との間には、サンギア41及びリングギア42の双方と噛み合う複数のピニオンギア43が配置されている。各ピニオンギア43は、自転及び公転が自在な状態でキャリア44に支持されている。サンギア41には、第1のモータジェネレータ71が連結されている。キャリア44には、クランク軸14が連結されている。リングギア42にはリングギア軸45が接続されており、このリングギア軸45にリダクションギア50及び減速機構60の双方が連結されている。
内燃機関10の出力トルクがキャリア44に入力されると、当該出力トルクが、サンギア41側とリングギア42側とに分配される。すなわち、第1のモータジェネレータ71に内燃機関10の出力トルクを入力させることにより、第1のモータジェネレータ71に発電させることができる。
一方、第1のモータジェネレータ71を電動機として機能させた場合、第1のモータジェネレータ71の出力トルクがサンギア41に入力される。すると、サンギア41に入力された第1のモータジェネレータ71の出力トルクが、キャリア44側とリングギア42側とに分配される。そして、第1のモータジェネレータ71の出力トルクがキャリア44を介してクランク軸14に入力されることにより、クランク軸14を回転させることができる。本実施形態では、このように第1のモータジェネレータ71の駆動によってクランク軸14を回転させることを「モータリング」という。
リダクションギア50は、遊星歯車機構であり、第2のモータジェネレータ72が連結されている外歯歯車のサンギア51と、サンギア51と同軸配置されている内歯歯車のリングギア52とを有している。リングギア52には、リングギア軸45が接続されている。また、サンギア51とリングギア52との間には、サンギア51及びリングギア52の双方と噛み合う複数のピニオンギア53が配置されている。各ピニオンギア53は、自転自在であるものの公転不能になっている。
そして、車両を減速させる際には、第2のモータジェネレータ72を発電機として機能させることにより、第2のモータジェネレータ72の発電量に応じた回生制動力を車両に発生させることができる。また、第2のモータジェネレータ72を電動機として機能させた場合、第2のモータジェネレータ72の出力トルクが、リダクションギア50、リングギア軸45、減速機構60及びディファレンシャル61を介して駆動輪62に入力される。これにより、駆動輪62を回転させることができる、すなわち車両を走行させることができる。
第1のモータジェネレータ71は、第1のインバータ75を介してバッテリ77と電力の授受を行う。第2のモータジェネレータ72は、第2のインバータ76を介してバッテリ77と電力の授受を行う。
図2に示すように、内燃機関10は、4つの気筒11を有している。図示は省略するが、各気筒11内には、コネクティングロッドを介してクランク軸14に連結されているピストンが往復動可能な態様で収容されている。また、各気筒11内には、吸気通路15を介して空気が導入される。また、内燃機関10は、気筒11毎の燃料噴射弁17を有している。各燃料噴射弁17は、吸気通路15に燃料を噴射する噴射弁であり、いずれも同一の仕様になっている。各気筒11内には、当該気筒11毎の燃料噴射弁17から噴射された燃料と空気とが吸気通路15を介して導入される。そして、各気筒11内では、燃料と空気とを含む混合気が点火装置19の火花放電によって燃焼される。
混合気の燃焼によって各気筒11内で生じた排気は、排気通路21に排出される。排気通路21には、排気を浄化する三元触媒22と、三元触媒22よりも下流側に配置されているパティキュレートフィルタ23とが設けられている。パティキュレートフィルタ23は、排気通路21を流通する排気に含まれるパティキュレート・マターを捕集する機能を有している。
なお、排気通路21における三元触媒22よりも上流には、排気通路21を流れるガス中の酸素濃度、すなわち混合気の空燃比を検出する空燃比センサ81が配置されている。また、排気通路21における三元触媒22とパティキュレートフィルタ23との間には、排気通路21を流れるガスの温度を検出する温度センサ82が配置されている。
内燃機関10では、車両が走行しており、且つクランク軸14が回転しているときに、気筒11内での混合気の燃焼が停止されることがある。このようにクランク軸14が回転している状態で気筒11内での燃焼が停止される期間のことを、「燃焼停止期間」という。燃焼停止期間では、クランク軸14の回転に同期して各ピストンが往復動する。そのため、吸気通路15を介して各気筒11内に導入された空気は、燃焼に供されることなく、排気通路21に流出される。
燃焼停止期間では、燃料噴射弁17の燃料噴射を停止する燃料カット処理、及び、燃料噴射弁17から燃料を噴射させ、当該燃料を未燃のまま気筒11内から排気通路21に流出させる燃料導入処理のうち何れか一方が選択して実行される。燃料導入処理が実行されると、燃料噴射弁17から噴射された燃料が空気と共に排気通路21を流通することとなる。そして、燃料が三元触媒22に導入される。このとき、三元触媒22の温度が活性化温度以上である場合、燃料を燃焼させるのに十分な量の酸素が三元触媒22に存在すると、三元触媒22で燃料が燃焼される。これにより、三元触媒22の温度が上昇する。すると、高温のガスがパティキュレートフィルタ23に流入するようになり、パティキュレートフィルタ23の温度が上昇する。そして、パティキュレートフィルタ23に酸素が供給されている場合、パティキュレートフィルタ23の温度が燃焼可能温度以上になると、パティキュレートフィルタ23に捕集されているパティキュレート・マターが燃焼される。
次に、ハイブリッド車両の制御構成について説明する。
図1に示すように、ハイブリッド車両の制御装置100は、アクセル開度ACC及び車速VSを基に、リングギア軸45に出力すべきトルクである要求トルクTQRを算出する。アクセル開度ACCは、車両の運転者によるアクセルペダルAPの操作量のことであり、アクセル開度センサ84によって検出された値である。車速VSは、車両の移動速度に対応する値であり、車速センサ85によって検出される。制御装置100は、算出した要求トルクTQRを基に、内燃機関10、各モータジェネレータ71,72を制御する。
制御装置100は、内燃機関10を制御する内燃機関制御ユニット110と、各モータジェネレータ71,72を制御するモータ制御ユニット120とを備えている。内燃機関制御ユニット110が、本実施形態における「内燃機関の制御装置」に相当する。燃焼停止期間中において燃料導入処理が実行される場合、モータ制御ユニット120によって、モータリングを行わせるべく第1のモータジェネレータ71の駆動が制御される。すなわち、モータリングの実行を通じ、燃焼停止期間中におけるクランク軸14の回転速度を制御することができる。
内燃機関制御ユニット110には、空燃比センサ81によって検出された空燃比である空燃比検出値AFSが入力される。また、内燃機関制御ユニット110には、温度センサ82によって検出された温度である温度検出値TKが入力される。また、内燃機関制御ユニット110には、クランク角センサ83によって検出されたクランク軸14の回転位置であるクランク位置検出値θが入力される。内燃機関制御ユニット110には、内燃機関10の各種部位に取り付けられている他のセンサからの検出値も入力される。
図2に示すように、内燃機関制御ユニット110は、機能部として、点火装置19を制御する点火制御部111と、燃料噴射弁17毎の噴射性能にばらつきが生じているか否かを判定するばらつき判定部113と、各燃料噴射弁17を制御する噴射弁制御部112とを有している。
点火制御部111は、火花放電の許可フラグがオンになっている場合、ピストンが圧縮上死点近傍に達したタイミングで点火装置19に火花放電を行わせる。一方、点火制御部111は、火花放電の許可フラグがオフになっている場合、つまり燃焼停止期間においては、点火装置19に火花放電を行わせない。
ばらつき判定部113は、燃料噴射弁17における、燃料噴射量の要求値QPRに対する実際の燃料噴射量に関して、燃料噴射弁17毎にばらつきが生じているか否かを判定する。具体的には、ばらつき判定部113は、燃料噴射弁17毎に一律に設定される燃料噴射量の要求値QPRに対して、特定の燃料噴射弁17の燃料噴射量が他の燃料噴射弁17の燃料噴射量よりも多くなっている(以下、リッチばらつきと称する。)か否かの判定を行う。また、ばらつき判定部113は、燃料噴射弁17毎に一律に設定される燃料噴射量の要求値QPRに対して、特定の燃料噴射弁17の燃料噴射量が他の燃料噴射弁の燃料噴射量よりも少なくなっている(以下、リーンばらつきと称する。)か否かの判定を行う。ばらつき判定部113は、例えば、空燃比検出値AFSの時間推移が示す波形の傾きを参照し、当該傾きが、予め定められた閾値であってリッチばらつきが生じていない状況下での波形の傾きの最大値を越えているときに、複数の燃料噴射弁17のうちのいずれかにリッチばらつきが生じていると判定する。同様に、ばらつき判定部113は、空燃比検出値AFSの時間推移の波形の傾きが、予め定められた閾値であってリーンばらつきが生じていない状況下での波形の傾きの最小値を下回っているときに、複数の燃料噴射弁17のうちのいずれかにリーンばらつきが生じていると判定する。
ばらつき判定部113は、所定の時間間隔でばらつき判定を繰り返し、判定結果を順次上書き保存していく。なお、ばらつき判定部113は、燃焼停止期間においては、ばらつき判定を停止する。すなわち、ばらつき判定部113は、燃焼停止期間においては、燃焼停止期間に入る前の最後のタイミングでの判定結果を上書きすることなく保持し続ける。
噴射弁制御部112は、各気筒11内での燃焼を実行するための燃焼用噴射処理、上記燃料カット処理、及び上記燃料導入処理を実行する。噴射弁制御部112は、各処理を実行する際、各燃料噴射弁17における燃料噴射量の要求値QPRを算出し、その要求値QPRに基づいて各燃料噴射弁17の駆動を制御する。噴射弁制御部112は、各燃料噴射弁17に対して一律の燃料噴射量の要求値QPRを設定する。なお、噴射弁制御部112は、各処理において、内燃機関10の運転状態に応じた燃料噴射量の要求値QPRを算出する。
ここで、燃料導入処理における燃料噴射量の要求値QPRは、各気筒11内で混合気を燃焼させる際における要求値QPRよりも小さい。そのため、燃料導入処理における燃料噴射量の要求値QPRは、各燃料噴射弁17が噴射可能な最小噴射量よりも小さい場合がある。この場合、噴射弁制御部112は、燃料噴射を実行する燃料噴射弁17の数を制限するとともに、燃料噴射弁17一つあたりの燃料噴射量の要求値QPRの割り当てを大きくする減筒処理を実行する。そして、噴射弁制御部112は、元々の燃料噴射量の要求値QPRの総量(4つの燃料噴射弁17における燃料噴射量の要求値QPRを積算した量)と、燃料噴射を実行する燃料噴射弁17の数を制限した場合における燃料噴射量の要求値QPRの総量(燃料噴射を実行する燃料噴射弁17における燃料噴射量の要求値QPRを積算した量)とが同一になるように、燃料噴射弁17一つあたりの燃料噴射量の要求値QPRを設定する。燃料噴射を実行する燃料噴射弁17の数は、元々の燃料噴射量の要求値QPRの総量を、各燃料噴射弁17が噴射可能な最小噴射量で除したときに得られる整数値(商)に相当する。なお、各燃料噴射弁17は同一仕様であるため、各燃料噴射弁17が噴射可能な最小噴射量は同一である。噴射弁制御部112は、燃料噴射を実行する燃料噴射弁17に対して、一律の燃料噴射量の要求値QPRを割り当てる。また、噴射弁制御部112は、燃料噴射を実行しない燃料噴射弁17に関して、燃料噴射量の要求値QPRを「0」にする。
噴射弁制御部112は、ばらつき判定部113が、リーンばらつき又はリッチばらつきが生じていると判定したときに、燃料導入処理における各燃料噴射弁17の燃料噴射量の要求値QPRを補正する補正処理を実行する。この実施形態では、噴射弁制御部112は、全ての燃料噴射弁17の燃料噴射量の要求値QPRを「0」に補正する。この補正処理の結果として、燃料導入処理が禁止される。したがって、この補正処理が実行された場合には、各燃料噴射弁17から燃料が噴射されない。
次に、噴射弁制御部112の制御によって燃料噴射弁17を駆動させる際の処理手順について図3を用いて説明する。噴射弁制御部112は、ハイブリッド車両の制御装置100がオンになっている間、以下の処理を所定時間間隔で周期的に実行する。
噴射弁制御部112は、処理を開始すると、ステップS10の処理を実行する。ステップS10において、噴射弁制御部112は、各気筒11内での混合気の燃焼停止の条件が成立しているか否かを判定する。各気筒11内での混合気の燃焼停止の条件は、例えば、内燃機関10に対する出力トルクの要求値が「0」以下となっていることである。噴射弁制御部112は、内燃機関10に対する出力トルクの要求値が「0」より大きい場合、各気筒11内での混合気の燃焼停止の条件が成立していないと判定する(ステップS10:NO)。この場合、噴射弁制御部112は、火花放電の許可フラグをオンに設定し、処理をステップS210に進める。なお、処理がステップS210に進んだ場合、モータ制御ユニット120は、その時点でモータリングを実行しているのであれば、モータリングを停止する。
ステップS210において、噴射弁制御部112は、各燃料噴射弁17の燃料噴射量の要求値QPRを算出する。噴射弁制御部112は、空燃比検出値AFSが目標空燃比となるように要求値QPRを算出する。目標空燃比は、例えば理論空燃比、又は理論空燃比近傍の値に設定される。噴射弁制御部112は、要求値QPRを算出する際、空燃比検出値AFSと目標空燃比との偏差に基づき増減する補正値、及び、その補正値に基づいて空燃比検出値AFSにおける目標空燃比に対する定常的なずれを補償する値となるように学習される学習値を、当該要求値QPRに反映させる。噴射弁制御部112は、ステップS210の処理の後、処理をステップS220に進める。
ステップS220において、噴射弁制御部112は、算出した要求値QPRを基に各燃料噴射弁17の駆動を制御する。そして、噴射弁制御部112は、一連の処理を一旦終了する。なお、これらステップS210及びステップS220の処理は、各燃料噴射弁17から噴射された燃料を含む混合気を内燃機関10の各気筒11内で燃焼させるための燃焼用噴射処理である。
一方、噴射弁制御部112は、ステップS10の判定において、内燃機関10に対する出力トルクの要求値が「0」以下である場合、各気筒11内での混合気の燃焼停止の条件が成立していると判定する(ステップS10:YES)。そして、噴射弁制御部112は、火花放電の許可フラグをオフに設定し、処理をステップS20に進める。なお、火花放電の許可フラグがオフに設定されている間、内燃機関10は燃焼停止期間となる。
ステップS20において、噴射弁制御部112は、燃料導入処理の実行条件が成立しているか否かを判定する。この実施形態では、燃料導入処理の実行条件は二つある。実行条件の一つは、三元触媒22の温度が規定温度以上であると判定されることである。規定温度は、三元触媒22の活性化温度又は活性化温度よりも僅かに高い温度に設定されている。なお、三元触媒22の温度は、内燃機関10の運転状態に基づいて算出できる。
上記実行条件の他の一つは、パティキュレートフィルタ23におけるパティキュレート・マターの捕集量の推定値が判定捕集量以上であることである。上記捕集量が増えると、排気通路21における三元触媒22とパティキュレートフィルタ23との間の部分と、排気通路21におけるパティキュレートフィルタ23よりも下流の部分との差圧が大きくなりやすい。そこで、例えば、当該差圧を基に捕集量の推定値を算出できる。
ステップS20において、噴射弁制御部112は、上記の2つの実行条件のうちのいずれか一方または双方が成立していないと判定した場合(ステップS20:NO)、処理をステップS310に進める。なお、処理がステップS310に進んだ場合、モータ制御ユニット120は、その時点でモータリングを実行しているのであれば、モータリングを停止する。
ステップS310において、噴射弁制御部112は、各燃料噴射弁17における燃料噴射量の要求値QPRを「0」に設定する。そして、噴射弁制御部112は、つづくステップS320で、算出した要求値QPRを基に各燃料噴射弁17の駆動を制御する。つまり、この場合には、各燃料噴射弁17からは燃料が噴射されない。噴射弁制御部112は、ステップS320の処理を実行すると、一連の処理を一旦終了する。これらステップS310及びステップS320の処理は、内燃機関10のクランク軸14が回転している状況下で気筒11内での燃焼を停止させ、且つ燃料を気筒11内に導入しない燃料カット処理である。
一方、ステップS20において、噴射弁制御部112は、燃料導入処理の2つの実行条件の双方が成立していると判定した場合(ステップS20:YES)、処理をステップS30に進める。なお、処理がステップS30に進むことに伴って、モータ制御ユニット120がモータリングを実行する。
ステップS30において、噴射弁制御部112は、燃料導入処理における各燃料噴射弁17の燃料噴射量の要求値QPRの基本量となる基本要求値pQPRを算出する。噴射弁制御部112は、内燃機関10の運転状態に基づいて基本要求値pQPRを算出する。上記のとおり、燃料導入処理において燃料を未燃のまま気筒11内から排気通路21に流出させるための燃料噴射量の要求値QPRは、各気筒11内で混合気を燃焼させる際における要求値QPRよりも小さい。したがって、上記基本要求値pQPRは、各気筒11内で混合気を燃焼させる際における要求値QPRよりも小さい。また、基本要求値pQPRは、各燃料噴射弁17において一律である。噴射弁制御部112は、ステップS30の後、処理をステップS40に進める。
ステップS40において、噴射弁制御部112は、各燃料噴射弁17の燃料噴射量の基本要求値pQPRを調整(補正)する。具体的には、噴射弁制御部112は、燃焼用噴射処理において学習される学習値によって、各燃料噴射弁17の基本要求値pQPRを調整する。これにより、各燃料噴射弁17の燃料噴射量の調整要求値aQPRが算出される。上記学習値には、燃料噴射弁17毎の噴射性能のばらつきに起因した空燃比検出値AFSにおける目標空燃比に対する定常的なずれが反映されている。したがって、上記学習値によって基本要求値pQPRを調整することで、燃料噴射弁17毎の噴射性能のばらつきが相殺される。なお、各燃料噴射弁17に関して、調整要求値aQPRは、一律の値となっている。噴射弁制御部112は、ステップS40の後、処理をステップS50に進める。
ステップS50において、噴射弁制御部112は、各燃料噴射弁17の燃料噴射量の調整要求値aQPRが、各燃料噴射弁17における最小噴射量未満であるか否かを判定する。噴射弁制御部112は、調整要求値aQPRが、各燃料噴射弁17における最小噴射量以上であると判定した場合(ステップS50:NO)、処理をステップS100に進める。そして、ステップS100において、噴射弁制御部112は、調整要求値aQPRを最終的な燃料噴射量の要求値QPRに設定し、この要求値QPRを基に、各燃料噴射弁17の駆動を制御する。
一方、ステップS50において、噴射弁制御部112は、各燃料噴射弁17の燃料噴射量の調整要求値aQPRが、各燃料噴射弁17における最小噴射量未満であると判定した場合(ステップS50:YES)、処理をステップS60に進める。そして、ステップS60において、噴射弁制御部112は、上記の減筒処理を実行する。つまり、噴射弁制御部112は、燃料噴射を実行する燃料噴射弁17の数を制限するとともに、燃料噴射弁17一つあたりの燃料噴射量の要求値QPRの割り当てを大きくする。これにより、燃料噴射を実行する燃料噴射弁17に関しては、各燃料噴射弁17の最小噴射量以上の値として要求値QPRが再算出される。噴射弁制御部112は、この再算出した要求値QPRを、再算出要求値rQPRとして、燃料噴射を実行する燃料噴射弁17に対して一律に設定する。噴射弁制御部112は、燃料噴射を実行しない燃料噴射弁17については、再算出要求値rQPRを「0」にする。この後、噴射弁制御部112は、処理をステップS70に進める。
ステップS70において、噴射弁制御部112は、ばらつき判定部113が保持している判定結果を参照する。そして、噴射弁制御部112は、ばらつき判定部113においてリーンばらつき又はリッチばらつきが生じていると判定されているか否かを判定する。噴射弁制御部112は、リーンばらつきもリッチばらつきも生じていないと判定されている場合(ステップS70:NO)、処理をステップS90に進める。そして、ステップS90において、噴射弁制御部112は、ステップS60で算出した再算出要求値rQPRを最終的な燃料噴射量の要求値QPRに設定し、この要求値QPRを基に、各燃料噴射弁17の駆動を制御する。
一方、噴射弁制御部112は、ばらつき判定部113においてリーンばらつき又はリッチばらつきが生じていると判定されている場合(ステップS70:YES)、処理をステップS80に進める。そして、噴射弁制御部112は、各燃料噴射弁17の燃料噴射量の再算出要求値rQPRを「0」に補正する補正処理を実行する。補正処理の結果として、燃料導入処理が禁止される。噴射弁制御部112は、補正後の値を、最終的な各燃料噴射弁17の燃料噴射量の要求値QPRに設定する。噴射弁制御部112は、ステップS80の処理の後、処理をステップS90に進める。
ステップS90において、噴射弁制御部112は、最終的な要求値QPRを基に、各燃料噴射弁17の駆動を制御する。この場合、各燃料噴射弁17からは、燃料が噴射されない。噴射弁制御部112は、ステップS90の処理を実行すると、一連の処理を一旦終了する。ステップS30~ステップS100に係る処理のうち、燃料噴射弁17から燃料噴射が実行される場合の処理が、内燃機関10のクランク軸14が回転している状況下で気筒11内での燃焼を停止させるときに、燃料噴射弁17から燃料を噴射させて当該燃料を未燃のまま気筒11内から排気通路21に流出させる燃料導入処理である。
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
本実施形態の内燃機関10のように気筒11毎に燃料噴射弁17が設けられている場合、各燃料噴射弁17においては、燃料噴射弁17毎の噴射性能(燃料噴射量の要求値QPRに対する実際の燃料噴射量)にばらつきが生じていることがある。この場合、燃料導入処理においては、各燃料噴射弁17に対して一律の要求値QPRを設定したときに、各燃料噴射弁17から噴射される実際の燃料噴射量がばらついてしまう。そして、4つの燃料噴射弁17から噴射される燃料の噴射量の総量が、各燃料噴射弁17に対して設定される要求値QPRの総量から乖離するおそれがある。
この点、本実施形態では、燃料噴射弁17毎の噴射性能のばらつきを反映して学習される学習値によって、基本要求値pQPRを調整している(ステップS40)。この調整により、4つの燃料噴射弁17全てによって燃料噴射を行う場合には、燃料噴射弁17毎の噴射性能のばらつきを相殺することができる。
具体的には、図4の(a)に示すように、4つの燃料噴射弁17のうち、一つの燃料噴射弁17が、リーンばらつきの要因となっているリーン噴射弁であり、他の三つの燃料噴射弁17が、要求値QPRに対する実際の燃料噴射量の乖離が生じていないノーマル噴射弁であるものとする。この場合に、学習値によって基本要求値pQPRを調整することを考える。この調整においては、図4の(b)に示すように、リーン噴射弁の噴射性能を考慮して、各燃料噴射弁17の基本要求値pQPRに対して均等に増量調整がなされる。つまり、学習値に対応する増量調整量Aが、基本要求値pQPRに加算される。この結果得られる調整要求値aQPRを用いて4つの燃料噴射弁17全てから燃料を噴射させる場合、4つの燃料噴射弁17から噴射される燃料の噴射量の総量と、元々各燃料噴射弁17に対して設定される要求値QPR(基本要求値pQPR)の総量との乖離は抑制される。
その一方で、リーンばらつきが存在している状況下において減筒処理を実行したときに、燃料噴射を実施しない噴射弁としてリーン噴射弁が選択され、燃料噴射を実施する噴射弁としてノーマル噴射弁が選択されることがある(図4の(c)参照)。このとき、ノーマル噴射弁に対して設定される再算出要求値rQPRは、上記の増量調整量Aを含んでいる。ノーマル噴射弁は、その噴射性能として、再算出要求値rQPRどおりの量の燃料を噴射可能である。そのため、仮に、ノーマル噴射弁に対して上記増量調整量Aを含んだ再算出要求値rQPRを設定し、リーン噴射弁に対して再算出要求値rQPRとして「0」を設定して各燃料噴射弁17を駆動した場合、全燃料噴射弁17から噴射される燃料の噴射量の総量は、元々各燃料噴射弁17に対して設定される要求値QPR(基本要求値pQPR)の総量よりも、増量調整量Aを追加した分だけ多くなる。つまり、全燃料噴射弁17から噴射される燃料の噴射量の総量は、元々各燃料噴射弁17に対して設定される要求値QPRの総量から乖離する。その結果、過剰な未燃燃料が排気通路21に導入されることになり、燃費の悪化が生じたり、三元触媒22の過昇温等が生じたりするおそれがある。
なお、リッチばらつきの要因となるリッチ噴射弁が存在している場合には、上記の説明とは逆のことが生じ得る。つまり、全燃料噴射弁17から噴射される燃料の噴射量の総量が、元々各燃料噴射弁17に対して設定される要求値QPR(基本要求値pQPR)の総量よりも少なくなり得る。この場合、エミッションの悪化が生じたり、パティキュレートフィルタ23においてパティキュレート・マターを適切に燃焼できなくなったりするおそれがある。
本実施形態では、ばらつき判定部113によってリーンばらつき又はリッチばらつきが生じていると判定されている場合(ステップS70:YES)、各燃料噴射弁17の再算出要求値rQPRを「0」に補正する補正処理を実行する(ステップS80)。この補正処理の結果として、燃料導入処理が禁止され、各燃料噴射弁17からは燃料が噴射されない。そのため、燃料導入処理において実際の燃料噴射量と本来目標としていた燃料噴射量の要求値QPRとが乖離してしまうことに起因した燃費やエミッションの悪化やその他の悪影響を抑制できる。
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・ばらつき判定部113は、上記の実施形態で示した方法とは異なる方法によって燃料噴射弁17毎の噴射性能にばらつきが生じているか否かを判定してもよい。ばらつき判定部113は、例えば、クランク角センサ83からのクランク位置検出値θに基づいてクランク軸14の回転変動(クランク軸14が所定角度回転するのに要する時間や所定時間あたりの回転角度)を算出し、その回転変動に基づいて燃料噴射弁17毎の噴射性能にばらつきが生じているか否かを判定してもよい。また、空燃比検出値AFSを利用したばらつき判定と、クランク位置検出値θを利用したばらつき判定とを組み合わせてもよい。具体的には、空燃比検出値AFSを利用してリッチばらつきの有無を判定し、クランク位置検出値θを利用してリーンばらつきの有無を判定してもよい。
・ばらつき判定部113は、燃料噴射弁17毎の噴射性能にばらつきが生じているか否かを判定することに合わせて、リッチ噴射弁やリーン噴射弁を特定してもよい。ばらつき判定部113は、例えば、クランク位置検出値θに対する空燃比検出値AFSの推移に基づいて、リッチ噴射弁やリーン噴射弁を特定し得る。
・ばらつき判定部113によってリッチ噴射弁やリーン噴射弁を特定するようにした場合、噴射弁制御部112は、これら特定された噴射弁に対してのみ、要求値QPRに対する実際の燃料噴射量の乖離を抑制するための処理を行ってもよい。この場合の処理の具体例を以下に説明する。
例えば、噴射弁制御部112は、ステップS50の判定がYESである場合、ステップS60の処理において、各燃料噴射弁17の基本要求値pQPRに基づいて減筒処理を実行する。そして、噴射弁制御部112は、ステップS70の処理において、燃料噴射弁17毎の噴射性能にばらつきが生じていないと判定した場合には(ステップS70:NO)、基本要求値pQPRに基づいて算出された再算出要求値rQPRを最終的な要求値QPRに設定して、各燃料噴射弁17を駆動する。一方、噴射弁制御部112は、ステップS70の処理において燃料噴射弁17毎の噴射性能にばらつきが生じていると判定した場合には(ステップS70:YES)、ステップS80において次のような補正処理を実行する。つまり、噴射弁制御部112は、ステップS80において、燃料噴射弁17毎の噴射性能のばらつきを抑制するように各燃料噴射弁17の燃料噴射量の要求値QPRを補正する補正処理を実行する。具体的には、噴射弁制御部112は、減筒処理において、燃料を噴射する噴射弁としてリッチ噴射弁が選択されている場合、当該リッチ噴射弁の再算出要求値rQPRに対してのみ、当該リッチ噴射弁における要求値QPRに対する実際の燃料噴射量の乖離を小さくするための補正を施す。その際、噴射弁制御部112は、リッチ噴射弁専用の補正値を用いる。この補正値は、リッチ噴射弁における要求値QPRに対する実際の燃料噴射量の乖離を抑制する値である。例えば、燃焼用噴射処理においてそうした値を学習しておいてもよい。同様にして、噴射弁制御部112は、減筒処理において、燃料を噴射する噴射弁としてリーン噴射弁が選択されている場合、当該リーン噴射弁の再算出要求値rQPRに対してのみ、当該リーン噴射弁における要求値QPRに対する実際の燃料噴射量の乖離を小さくするための補正を施す。その際、噴射弁制御部112は、リーン噴射弁専用の補正値を用いる。この補正値は、リーン噴射弁における要求値QPRに対する実際の燃料噴射量の乖離を抑制する値である。例えば、燃焼用噴射処理においてそうした値を学習しておいてもよい。噴射弁制御部112は、減筒処理において、燃料を噴射する噴射弁としてノーマル噴射弁が選択されている場合、ノーマル噴射弁の再算出要求値rQPRに対して「0」を加算する補正を実行する。噴射弁制御部112は、以上のようにして各燃料噴射弁17に対して補正を施す。したがって、リッチ噴射弁と、リーン噴射弁と、ノーマル噴射弁とでは、補正後の値は異なっている。この後、噴射弁制御部112は、ステップS90において、補正後の値を、最終的な各燃料噴射弁17の燃料噴射量の要求値QPRとして、各燃料噴射弁17を駆動する。この場合、4つの燃料噴射弁17から噴射される燃料の噴射量の総量と、元々各燃料噴射弁17に対して設定される要求値QPR(基本要求値pQPR)の総量との乖離は抑制される。
・噴射弁制御部112は、4つの燃料噴射弁17全てから燃料を噴射する場合(ステップS50:NO)において、リッチ噴射弁やリーン噴射弁が存在しているときには、これらの噴射弁に対して、要求値QPRに対する実際の燃料噴射量の乖離を抑制するための処理を個別に行ってもよい。具体的には以下のような処理を実行することが考えられる。
噴射弁制御部112は、ステップS50の判定がNOの場合、ステップS70と同様にして燃料噴射弁17毎の噴射性能にばらつきが生じているか否かを判定する。噴射弁制御部112は、燃料噴射弁17毎の噴射性能にばらつきが生じていない場合には、各燃料噴射弁17の基本要求値pQPRを最終的な要求値QPRに設定し、ステップS100に進んで各燃料噴射弁17を駆動する。一方、噴射弁制御部112は、燃料噴射弁17毎の噴射性能にばらつきが生じている場合には、上記の変更例で示した補正処理を実行する。つまり、噴射弁制御部112は、リッチ噴射弁が存在しているときには、当該リッチ噴射弁の基本要求値pQPRに対して、当該リッチ噴射弁専用の補正値を用いて補正を施す。噴射弁制御部112は、リーン噴射弁が存在しているときには、当該リーン噴射弁の基本要求値pQPRに対して、当該リーン噴射弁専用の補正値を用いて補正を施す。噴射弁制御部112は、ノーマル噴射弁に対しては、当該ノーマル噴射弁の基本要求値pQPRに「0」を加算する補正を施す。そして、噴射弁制御部112は、リッチ噴射弁、リーン噴射弁、ノーマル噴射弁のそれぞれに関して、補正後の値を最終的な要求値QPRに設定し、ステップS100に進んで各燃料噴射弁17を駆動する。
・上記実施形態では、燃料噴射弁17毎の噴射性能のばらつきを反映して学習される学習値によって、各燃料噴射弁17の基本要求値pQPRを調整している(ステップS40)。仮にこの調整を行わない場合、4つの燃料噴射弁17全てから燃料を噴射させたときに、これら全ての燃料噴射弁17から噴射される燃料の噴射量の総量と、元々各燃料噴射弁17に対して設定される要求値QPR(基本要求値pQPR)の総量とが乖離する。また、学習値によって基本要求値pQPRを調整しない場合、減筒処理によってリーン燃料噴射弁が燃料噴射を実施する噴射弁として選択されたときに、つぎのような問題が生じる。つまり、リーン噴射弁は、要求値QPRに対して実際の燃料噴射量が少ないため、目標としている要求値QPRと実際の燃料噴射量とに乖離が生じる。減筒処理によってリッチ噴射弁が燃料噴射を実施する噴射弁として選択されたときには、リーン噴射弁とは逆の理由により、つまり、要求値QPRに対する実際の燃料噴射量が多くなることで、目標としている要求値QPRと実際の燃料噴射量とに乖離が生じる。
この点、上記変更例のようにリッチ噴射弁やリーン噴射弁に対して、要求値QPRに対する実際の燃料噴射量の乖離を抑制するための処理を個別に行うのであれば、ステップS40の処理は廃止してよい。具体的には、ステップS50の判定がNOである場合(4つの燃料噴射弁17全てから燃料を噴射する場合)においても、ステップS50の判定がYESである場合(減筒処理を行う場合)においても、リッチ噴射弁やリーン噴射弁に対して上記処理を個別に行う構成とするのであれば、ステップS40の処理を廃止可能である。この場合、ステップS50においては、各燃料噴射弁17の基本要求値pQPRを用いて、各燃料噴射弁17の最小噴射量との大小関係を判定すればよい。
・噴射弁制御部112が実行する処理において、減筒処理を省略してもよい。例えば、各燃料噴射弁17の最小噴射量が、各燃料噴射弁17の基本要求値pQPRや調整要求値aQPRよりも明らかに小さいことが分かっている等の場合には、減筒処理を省略することも可能である。減筒処理を省略することは、ステップS50及びステップS60を省略することに相当する。ステップS50を省略することに付随して、ステップS100も省略される。減筒処理を省略する場合、噴射弁制御部112が実行する処理の流れを次のように変更してもよい。なお、以下の例においては、ステップS40も省略するものとする。
減筒処理を省略する場合において、ステップS70において燃料噴射弁17毎の噴射性能にばらつきがないと判定されるときには(ステップS70:NO)、ステップS90において各燃料噴射弁17の基本要求値pQPRに基づいて各燃料噴射弁17を駆動する。一方、ステップS70において燃料噴射弁17毎の噴射性能にばらつきがあると判定されるときには(ステップS70:YES)、各燃料噴射弁17の基本要求値pQPRを「0」に補正する補正処理を実行して燃料導入処理を禁止する。そして、補正後の値を最終的な要求値QPRとしてステップS90において各燃料噴射弁17を駆動する。
・減筒処理を省略する場合において、ステップS70で燃料噴射弁17毎の噴射性能にばらつきがあると判定されるときに(ステップS70:YES)、リッチ噴射弁やリーン噴射弁に対して、要求値QPRに対する実際の燃料噴射量の乖離を抑制するための処理を個別に行ってもよい。つまり、上記変更例に示したように、リッチ噴射弁が存在しているときには、当該リッチ噴射弁の基本要求値pQPRに対して、当該リッチ噴射弁専用の補正値を用いて補正を施す。噴射弁制御部112は、リーン噴射弁が存在しているときには、当該リーン噴射弁の基本要求値pQPRに対して、当該リーン噴射弁専用の補正値を用いて補正を施す。噴射弁制御部112は、ノーマル噴射弁に対しては、当該ノーマル噴射弁の基本要求値pQPRに「0」を加算する補正を施す。そして、補正後の値を最終的な要求値QPRとしてステップS90において各燃料噴射弁17を駆動する。
・減筒処理を省略する場合において、ステップS70で燃料噴射弁17毎の噴射性能にばらつきがあると判定されるときに(ステップS70:YES)、ステップS40の処理と同様の調整を行ってもよい。つまり、燃焼用噴射処理において学習される学習値によって全燃料噴射弁17の基本要求値pQPRを調整(補正)する。この場合、この調整が、燃料噴射弁17毎の噴射性能のばらつきを抑制するように各燃料噴射弁17の燃料噴射量の基本要求値pQPRを補正する補正処理となる。そして、補正後の値を最終的な要求値QPRとしてステップS90において各燃料噴射弁17を駆動する。
・噴射弁制御部112が実行する処理の流れにおいて、減筒処理を当該処理の流れに組み込むか否かに拘わらず、燃料噴射弁17毎の噴射性能にばらつきが生じている状況下であれば、燃料導入処理の実行条件が成立したと判定された時点(ステップS20:YES)や、基本要求値pQPRを算出(ステップS30)した時点で、補正処理を実行して最終的な要求値QPRを「0」に設定して燃料導入処理を禁止したり、リッチ噴射弁やリーン噴射弁に対して、要求値QPRに対する実際の燃料噴射量の乖離を抑制するための処理を個別に行ったりしてよい。つまり、減気処理よりも前の段階でステップS70及びステップS80に相当する処理を行ってもよい。また、ステップS70及びステップS80に相当する処理を行った後、減筒処理を省略して各燃料噴射弁17の駆動を制御してもよい。
・上記実施形態では、燃料導入処理の実行中では、点火装置19に火花放電を行わせないようにしている。しかし、燃料導入処理の実行中では、気筒11内で混合気が燃焼しない時期に火花放電を点火装置19に行わせるようにしてもよい。例えば、ピストンが下死点近傍に位置するときに火花放電を行わせた場合、火花放電が行われた気筒11内では混合気が燃焼されない。そのため、燃料導入処理の実行中では、火花放電が行われても、燃料噴射弁17から噴射された燃料を未燃のまま気筒11内から排気通路21に流出させることができる。
・内燃機関の制御装置が適用される内燃機関は、気筒11内に直接燃料を噴射する燃料噴射弁である筒内噴射弁を備えるものであってもよい。この場合、燃料導入処理の実行中では、筒内噴射弁から燃料を気筒11内に噴射させ、当該燃料を未燃のまま排気通路21に流出させることになる。これにより、未燃の燃料を三元触媒22に導入させることができる。
・ハイブリッド車両のシステムは、モータの駆動によってクランク軸14の回転速度を制御することができるのであれば、図1に示したようなシステムとは異なる別のシステムであってもよい。
・内燃機関の制御装置が適用される内燃機関は、4つ以外の任意数(例えば、3つや6つ)の気筒を有する内燃機関であってもよい。
・内燃機関の制御装置を、内燃機関以外の他の動力源を備えない車両に搭載される内燃機関を制御対象とする装置に具体化してもよい。このような車両に搭載される内燃機関でも、クランク軸14が惰性で回転している状況下で気筒内での混合気の燃焼が停止されることがある。こうした燃焼停止期間中に、燃料導入処理の実行条件が成立すると、燃料導入処理が実行されるようになる。