以下、本開示による複数の実施形態を、図面に基づいて説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合わせることができる。
(第1実施形態)
図1,2に示すように、第1実施形態によるカメラモジュール1は、車両2に搭載されて外界5を撮像するように構成される。尚、以下の説明では、水平面上における車両2の鉛直方向が上下方向に設定され、水平面上における車両2の水平方向のうち車幅方向が横方向に設定され、当該水平方向のうち車両2の車長方向が前後方向に設定される。
カメラモジュール1は、車両2におけるフロントウインドシールド3の内側に、装着される。フロントウインドシールド3は、車両2において運転席の前方に位置している。フロントウインドシールド3は、自身の内側となる車室4内を外界5とは仕切っている。フロントウインドシールド3は、下側へ向かうほど、車両2の乗員から見た奥行側としての前側(即ち、外界5側)へ、傾斜している。フロントウインドシールド3は、例えばガラス等の透光性材料により形成されることで、外界5の風景から入射する光像を車室4内へと透過させる。
フロントウインドシールド3においてカメラモジュール1の装着箇所は、車室4内の運転席に着座した乗員の視界を実質妨げない箇所に、設定されている。具体的には図1に示すように、上下方向での装着箇所は、車両2においてフロントウインドシールド3の外周縁部を枠状に保持するピラー6の開口窓6a内のうち、上縁部から例えば20%程度の範囲Xv内に設定されている。横方向での装着箇所は、開口窓6aの中心から両側へ例えば15cm程度の範囲Xh内に設定されている。これらの設定により装着箇所は、フロントウインドシールド3を払拭するワイパーの払拭範囲Xr内であって、前後方向に対してフロントウインドシールド3が例えば22~90°程度傾斜する部分に、位置することとなる。
図2,3に示すようにカメラモジュール1は、ブラケットアセンブリ10、カメラケーシング20、複数のレンズユニット30、フード40及び撮像系50を備えている。尚、図3では、一部構成要素の図示が省略されている。
ブラケットアセンブリ10は、ブラケット本体11及び装着パッド12を組み合わせてなる。ブラケット本体11は、例えば樹脂等の比較的成形容易な硬質材料により、全体として略平板状に形成されている。ブラケット本体11は、フロントウインドシールド3の内面3aに沿って配置される。図2に示すようにブラケット本体11には、複数の装着パッド12が嵌合固定されている。各装着パッド12は、フロントウインドシールド3の内面3aに対して接着固定されている。これにより、ブラケットアセンブリ10を含むカメラモジュール1は、車両2に対して位置決めされた状態下、フロントウインドシールド3の内側に装着されている。
カメラケーシング20は、一対のケーシング部材21,22を組み合わせてなる。各ケーシング部材21,22は、例えばアルミニウム等の比較的高放熱性を有した硬質材料により、全体として中空状に形成されている。
逆カップ状のアッパケーシング部材21は、ブラケットアセンブリ10の下側に配置されることで、同アセンブリ10とは反対側となる下側に開口部を向けている。アッパケーシング部材21は、ブラケット本体11に対して嵌合固定されている。これによりカメラケーシング20は、ブラケットアセンブリ10を介してフロントウインドシールド3の内側に位置決めされる。また、この位置決め姿勢下においてアッパケーシング部材21とフロントウインドシールド3との間には、フード40を収容する収容凹所212が画成される。
皿状のロアケーシング部材22は、アッパケーシング部材21の下側に配置されることで、アッパケーシング部材21側となる上側に開口部を向けている。ロアケーシング部材22は、アッパケーシング部材21に螺子で締結されている。これによりケーシング部材21,22は、レンズユニット30及び撮像系50を収容する収容空間25を、共同して画成している。
複数(本実施形態では3つ)のレンズユニット30は、カメラケーシング20の収容空間25内に配置されている。図2,3に示すように各レンズユニット30の前端部は、アッパケーシング部材21の縦壁部210を貫通する共通のレンズ窓211を通して、カメラケーシング20外に露出している。これにより各レンズユニット30には、互いにずれて設定される光軸Aw,An,Atまわりに、図4に示すような互いに大きさの異なる画角θw,θn,θtが設定されている。これら各レンズユニット30では、外界5からの光像が互いの画角θw,θn,θt内へとそれぞれ個別に、入射可能となっている。
図2,3に示すようにフード40は、例えば樹脂成形等によりブラケット本体11と一体形成されることで、ブラケットアセンブリ10の一部を構成している。上側から視たフード40の全体形状は、各レンズユニット30の光軸Aw,An,Atに関して横方向での対称形状となる皿状を、呈している。フード40は、ベース壁部41及び側壁部43を有している。
図2に示すようにベース壁部41は、アッパケーシング部材21とフロントウインドシールド3との間にて、収容凹所212内に収まっている。ベース壁部41は、前側へ向かうほど上側のフロントウインドシールド3と近接する姿勢に、配置される。これによりベース壁部41の底壁面41aは、図2,3に示す光軸Aw,An,At上の撮像空間410を空けてフロントウインドシールド3の内面3aとは対向した略平面状に、広がる状態となる。この状態下、外界5のうち撮像系50による撮像対象範囲内の光像は、フロントウインドシールド3を透過することで、撮像空間410から各レンズユニット30へと導かれることになる。
側壁部43は、横方向に光軸Aw,An,Atを挟んだ対称位置にそれぞれ設けられることで、撮像空間410を両側から挟んでいる。各側壁部43は、ベース壁部41のうち横方向の側縁部から上側へ立設されており、それぞれストレート平板状を呈している。各側壁部43の横方向における相互間隔は、前側ほど漸次広がっている。これらにより、各側壁部43の後端部間を通して撮像空間410内には、各レンズユニット30の前端部が露出している。各側壁部43のベース壁部41からの高さは、前側ほど漸次低くなっている。これにより各側壁部43は、図2に示すように、フロントウインドシールド3の内面3aに対して隙間430を前後方向の全域で空ける姿勢に、配置される。
ここまで説明の構成によりフード40は、外界5のうち撮像対象範囲内から各レンズユニット30への光像の入射を許容するように、それら各レンズユニット30の画角θw,θn,θtに応じて撮像空間410を画成している。それと共にフード40は、外界5のうち撮像対象範囲外から各レンズユニット30への余剰光の入射、例えばフロントウインドシールド3の内面3aによる反射光の入射等を規制可能に、撮像空間410を画成している。
撮像系50は、複数のイメージャユニット51を制御基板54及び制御回路55に組み合わせてなる。これら撮像系50の構成要素51,54,55は、カメラケーシング20の収容空間25内に配置されている。
複数(本実施形態では3つ)のイメージャユニット51は、互いに異なるレンズユニット30の後側に、それぞれ個別に対応して位置決めされている。ここで各イメージャユニット51の位置は、互いに異なる画角θw,θn,θtに応じた各レンズユニット30の焦点距離に合わせて、前後方向にずれている。各イメージャユニット51は、撮像基板510、撮像素子511及び撮像回路512を有している。ここで撮像基板510は、例えばガラスエポキシ基板等のリジッド基板であり、略矩形の平板状に形成されている。撮像素子511は、例えばCCD又はCMOS等のカラー式若しくはモノクロ式イメージャから構成され、撮像基板510に実装されている。撮像素子511は、水平面上の車両2における鉛直方向及び水平方向にそれぞれ対応した上下方向及び横方向に沿って、マトリクス状に配置される複数画素を、有している。撮像回路512は、撮像素子511の出力を処理可能な複数の回路素子から構成され、撮像基板510に実装されている。
こうした各イメージャユニット51では、外界5からフロントウインドシールド3を透過した光像が、対応するレンズユニット30を通して撮像素子511に結像される。各イメージャユニット51では、この結像した光像を撮像素子511が撮影することで、当該撮像素子511から出力の信号又はデータが撮像回路512にて処理される。
制御基板54は、例えばガラスエポキシ基板等のリジッド基板であり、略矩形の平板状に形成されている。制御基板54は、両ケーシング部材21,22の間にて位置決めされている。制御基板54には、カメラケーシング20外に露出するように、外部コネクタ542が実装されている。外部コネクタ542は、カメラケーシング20外の例えばECU等といった外部回路に対して、接続される。ここで外部コネクタ542は、制御基板54において後側縁部544よりもさらに後側へと突出した凸状基板部543に、実装されている。尚、図示はしないが、カメラケーシング20と共に凸状基板部543は、フロントウインドシールド3におけるカメラモジュール1の装着箇所に応じて、車室4内のルームミラー(ここでは電子ミラーも含む)の基部を避けるように配置される。
制御回路55は、マイクロコンピュータ550を含む複数の回路素子から構成され、制御基板54に実装されている。制御回路55は、各イメージャユニット51の撮像回路512に対して、それぞれ個別のフレキシブル基板(FPC)540により接続されている。ここで制御基板54には、それら各FPC540がそれぞれ個別に対応して挿通されるように、複数の通窓541が設けられている。これにより、制御基板54の上側にて各イメージャユニット51の撮像回路512と接続された各FPC540は、それぞれ対応する通窓541を上下方向に貫通することで、制御基板54の下側にて制御回路55と接続されている。
各イメージャユニット51の撮像回路512との共同により制御回路55は、撮像時の露光状態を含めた各イメージャユニット51での撮像素子511の撮影作動を、制御する。さらに、各イメージャユニット51の撮像回路512との共同により制御回路55は、各イメージャユニット51の撮像素子511から出力された信号又はデータに対して、画像処理を施す。これら撮像制御機能及び画像処理機能により、各レンズユニット30を通した撮像結果としては、外界5のうち各レンズユニット30の画角θw,θn,θtに応じた範囲が映るように、外界画像が生成される。このとき、外界画像に映る画角θw,θn,θt内の例えば障害物又は構造物等の物体を認識可能に、同画像は生成されることになる。以上より各レンズユニット30を通した外界撮像は、それぞれ対応するイメージャユニット51によって実現される。尚、撮像制御機能及び画像処理機能のうち少なくとも一方を、制御回路55のみが備えていてもよいし、各イメージャユニット51の撮像回路512のみが備えていてもよい。
制御回路55は、外界画像に映る物体を認識する画像認識機能も、備えている。この画像認識機能では、例えば障害物が歩行者、自転車及び他車両等のうちいずれであるか、あるいは構造物が信号機、交通標識及び建物等のうちいずれであるか、物体の種類を制御回路55が判別する。また画像認識機能では、図6に示すように各レンズユニット30を通して生成の外界画像同士にて同一箇所Pw,Pn,Ptが映る画素につき、それぞれ光軸Aw,An,Atに対する位置座標のずれを、制御回路55が例えばアライメント処理等によって補正する。このとき具体的には、同一箇所Pw,Pn,Ptとしての例えば消失点等に、それぞれ対応する光軸Aw,An,Atに対しての位置座標のずれが上下方向及び横方向のうち少なくとも一方に認められると、当該ずれが補正されることになる。
(レンズユニットの詳細構造)
次に、各レンズユニット30の詳細構造を説明する。
図2,3,5に示すように、レンズユニット30の1つである広角ユニット30wは、広角鏡筒32w及び広角レンズ34wを含んでなる。広角鏡筒32wは、例えば樹脂等の比較的成形容易な硬質材料により、中空状に形成されている。広角鏡筒32wは、アッパケーシング部材21に対して螺子固定又は接着固定されている。広角レンズ34wは、例えばガラス等の透光性材料により、凹メニスカスレンズ状に形成されている。広角レンズ34wは、色収差等の光学収差を補正するための後段レンズセット(図示しない)と共に、広角鏡筒32w内に収容されている。そこで、後段レンズセットよりも前側にて広角ユニット30wの前端部をなす広角レンズ34wから、フロントウインドシールド3の内面3aが設定間隔を空けて離間するように、広角鏡筒32wが位置決めされている。
図2,4,5に示す広角ユニット30wの光軸Awは、前後方向に対しては前側ほど下側若しくは上側へ傾斜して延伸、又は前後方向に沿って延伸するように、設定されている。図4に示すように広角ユニット30wの画角θwは、広角レンズ34wの採用により、例えば120°程度の比較的広い大角度に設定されているが、それよりも広い角度に設定されていてもよい。広角ユニット30wの画角θw内での被写界深度Dwは、広角レンズ34wの採用により、外界5において車両2の乗員から見た手前側(以下、単に手前側という)の近点Dwcと、同乗員から見た奥行側(以下、単に奥行側という)の遠点Dwfとで挟まれる所定範囲に、規定されている。
図2,3,5に示すように、レンズユニット30の別の1つである狭角ユニット30nは、狭角鏡筒32n及び狭角レンズ34nを含んでなる。狭角鏡筒32nは、例えば樹脂等の比較的成形容易な硬質材料により、中空状に形成されている。狭角鏡筒32nは、アッパケーシング部材21に対して螺子固定又は接着固定されている。狭角レンズ34nは、例えばガラス等の透光性材料により、凹メニスカスレンズ状に形成されている。狭角レンズ34nは、色収差等の光学収差を補正するための後段レンズセット(図示しない)と共に、狭角鏡筒32n内に収容されている。そこで、後段レンズセットよりも前側にて狭角ユニット30nの前端部をなす狭角レンズ34nが広角レンズ34wの真上にて前後ずれも横ずれも実質なく配置されるように、狭角鏡筒32nが位置決めされている。こうした構成により、下側へ向かうほどフロントウインドシールド3の傾斜する前側を奥行側として、広角ユニット30wが上側の狭角ユニット30nよりも当該奥行側には実質張り出さない状態となる。
図2,4,5に示す狭角ユニット30nの光軸Anは、前後方向に対しては前側ほど下側若しくは上側へ傾斜して延伸、又は前後方向に沿って延伸するように、設定されている。それと共に狭角ユニット30nの光軸Anは、広角ユニット30wの光軸Awから実質上下方向に限って偏心することで、車両2における横方向位置を当該光軸Awと位置合わせされている。図4に示すように狭角ユニット30nの画角θnは、狭角レンズ34nの採用により、広角ユニット30wの画角θwよりも狭い、例えば60°程度の中角度に設定されている。これらの設定により、狭角ユニット30n及び広角ユニット30wの画角θn,θw同士が互いにオーバーラップする状態となっている。狭角ユニット30nの画角θn内での被写界深度Dnは、狭角レンズ34nの採用により、外界5において手前側の近点Dncと奥行側の遠点Dnfとで挟まれる所定範囲に、規定されている。
ここで特に本実施形態では、狭角ユニット30nの近点Dncよりも奥行側に、広角ユニット30wの遠点Dwfが設定されている。それと共に本実施形態では、広角ユニット30wの近点Dwcよりも奥行側に、狭角ユニット30nの近点Dncが設定されている。さらに本実施形態では、広角ユニット30wの遠点Dwfよりも奥行側に、狭角ユニット30nの遠点Dnfが設定されている。これらの設定により、狭角ユニット30nの近点Dnc及び遠点Dnfの間には広角ユニット30wの遠点Dwfが位置することで、それらユニット30n,30wが被写界深度Dn,Dw同士のオーバーラップする領域Rnwを形成している。
図2,3,5に示すように、レンズユニット30のさらに別の1つである望遠ユニット30tは、望遠鏡筒32t及び望遠レンズ34tを含んでなる。望遠鏡筒32tは、例えば樹脂等の比較的成形容易な硬質材料により、中空状に形成されている。望遠鏡筒32tは、アッパケーシング部材21に対して螺子固定又は接着固定されている。望遠レンズ34tは、例えばガラス等の透光性材料により、凹レンズ状に形成されている。望遠レンズ34tは、色収差等の光学収差を補正するための後段レンズセット(図示しない)と共に、望遠鏡筒32t内に収容されている。そこで、後段レンズセットよりも前側にて望遠ユニット30tの前端部をなす望遠レンズ34tが狭角レンズ34nの真上にて前後ずれも横ずれも実質なく配置されるように、望遠鏡筒32tが位置決めされている。こうした構成により、狭角ユニット30nが上側の望遠ユニット30tより奥行側には実質張り出さず、且つ広角ユニット30wも上側の望遠ユニット30tより奥行側には実質張り出さない状態となる。
図2,4,5に示すように望遠ユニット30tの光軸Atは、前後方向に対しては前側ほど下側若しくは上側へ傾斜して延伸、又は前後方向に沿って延伸するように、設定されている。それと共に望遠ユニット30tの光軸Atは、広角ユニット30w及び狭角ユニット30nの両光軸Aw,Anから実質上下方向に限って偏心することで、車両2における横方向位置を当該両光軸Aw,Anと位置合わせされている。図4に示すように望遠ユニット30tの画角θtは、望遠レンズ34tの採用により、広角ユニット30w及び狭角ユニット30nの両画角θw,θnよりも狭い、例えば35°程度の小角度に設定されている。これらの設定により、望遠ユニット30t及び狭角ユニット30nの画角θt,θn同士が互いにオーバーラップすると共に、望遠ユニット30t及び広角ユニット30wの画角θt,θw同士も互いにオーバーラップする状態となっている。望遠ユニット30tの画角θt内での被写界深度Dtは、望遠レンズ34tの採用により、外界5において手前側の近点Dtcと奥行側の遠点Dtfとで挟まれる所定範囲に、規定されている。
ここで特に本実施形態では、望遠ユニット30tの近点Dtcよりも奥行側に、狭角ユニット30nの遠点Dnfが設定されている。それと共に本実施形態では、狭角ユニット30nの近点Dnc並びに広角ユニット30wの近点Dwc及び遠点Dwfよりも奥行側に、望遠ユニット30tの近点Dtcが設定されている。さらに本実施形態では、狭角ユニット30nの遠点Dnf及び広角ユニット30wの遠点Dwfよりも奥行側に、望遠ユニット30tの遠点Dtfが設定されている。これらの設定により、望遠ユニット30tの近点Dtc及び遠点Dtfの間には狭角ユニット30nの遠点Dnfが位置することで、それらユニット30t,30nが被写界深度Dt,Dn同士のオーバーラップする領域Rtnを形成している。但し、本実施形態にて望遠ユニット30tの近点Dtc及び遠点Dtfの間からは広角ユニット30wの遠点Dwfが外れることで、それらユニット30t,30wの被写界深度Dt,Dw同士は互いにずれてオーバーラップしない状態となっている。
ここまでの説明から第1実施形態では、上下方向にて各レンズユニット30の少なくとも一部ずつ同士が重なる注目組として、第1~第4注目組が想定される。具体的に第1注目組は、上下方向に互いに重なる広角ユニット30wと狭角ユニット30nとから、構成される。第2注目組は、上下方向に互いに重なる広角ユニット30wと望遠ユニット30tとから、構成される。第3注目組は、上下方向に互いに重なる狭角ユニット30nと望遠ユニット30tとから、構成される。第4注目組は、上下方向に互いに重なる広角ユニット30wと狭角ユニット30nと望遠ユニット30tとから、構成される。
さて、このように第1~第4注目組を構成するレンズユニット30としての各ユニット30w,30n,30tは、それぞれ対応する遠点Dwf,Dnf,Dtfを対応遠点として、下記の式1を個別に満たす。これにより、各ユニット30w,30n,30tを個別に通した外界撮像による画像認識の限界位置は、それぞれ対応遠点Dwf,Dnf,Dtfによって規定されることになる。
Lf=EFL・Sf/Wf …(式1)
ここで式1中のLfは、各ユニット30w,30n,30tから対応遠点Dwf,Dnf,Dtfまでの距離を、表す。式1中のEFLは、各ユニット30w,30n,30tにおける焦点距離(詳細には、各レンズ34w,34n,34tとその後段レンズセットとの合成焦点)を、表す。式1中のSfは、各ユニット30w,30n,30tの対応遠点Dwf,Dnf,Dtfにて画像認識の必要とされる最小物体サイズを、意味する。この最小物体サイズSfは、例えば外部回路での車両制御にて必要とされる対応遠点Dwf,Dnf,Dtfでの物体サイズとして、物体の種類毎に水平方向及び鉛直方向の各々にて予め想定される寸法値のうち最小値等に、設定される。式1中のWfは、撮像系50のうち各ユニット30w,30n,30tにそれそれ対応したイメージャユニット51の撮像素子511において、画像認識に必要な最小画素幅を、意味する。この最小画素幅Wfは、例えば撮像素子511の上下方向及び横方向にて共通となる画素数分の画素幅であって、撮像素子511を通して生成の外界画像においてパターンマッチングでの画像認識に最低限必要な画素数分の画素幅等に、設定される。
また一方、第1~第4注目組を構成するレンズユニット30としての各ユニット30w,30n,30tは、それぞれ対応する近点Dwc,Dnc,Dtcを対応近点として、下記の式2を個別に満たす。これにより、各ユニット30w,30n,30tを個別に通した外界撮像においてピントの合う結像限界位置は、それぞれ近点Dwc,Dnc,Dtcによって規定されることになる。
Lc=EFL2・Pc/(FNO・Dc) …(式2)
ここで式2中のLcは、各ユニット30w,30n,30tから対応近点Dwc,Dnc,Dtcまでの距離を、表す。式2中のEFLは、式1の場合と同様、各ユニット30w,30n,30tにおける焦点距離を、表す。式2中のPcは、撮像系50のうち各ユニット30w,30n,30tにそれそれ対応したイメージャユニット51の撮像素子511における複数画素の画素ピッチを、表す。この画素ピッチPcは、例えば撮像素子511の上下方向及び横方向にて共通となる各画素の配列ピッチ等に、設定される。式2中のFNOは、各ユニット30w,30n,30tにおけるFナンバー(F値ともいう。詳細には、各レンズ34w,34n,34tとその後段レンズセットとの合成Fナンバー)を、表す。式中のDcは、撮像系50のうち各ユニット30w,30n,30tにそれそれ対応したイメージャユニット51の撮像素子511における錯乱円の直径を、表す。
(作用効果)
以上の第1実施形態による作用効果を、以下に説明する。
第1実施形態によると、互いにずれた光軸Aw,An,Atまわりの互いに異なる画角θw,θn,θtのうち、少なくとも2つずつ同士がオーバーラップするように、第1~第4注目組のレンズユニット30はそれぞれ構成される。こうした第1~第4注目組では、構成するレンズユニット30同士が車両2の上下方向にて重なる配置構造により、光軸Aw,An,Atのうち少なくとも2つずつ同士が車両2の横方向にて近接する。これによれば図6に例示するように、第1~第4注目組をそれぞれ構成する各レンズユニット30を個別に通して生成される外界画像同士では、同一箇所Pw,Pn,Ptが映る画素の対応光軸Aw,An,Atに対する位置座標に、横方向の大きなずれは生じ難くなる。故に、第1~第4注目組の各レンズユニット30を通した外界撮像による画像位置精度を、横方向にて高めることができる。ここで特に第2注目組だけを見れば、狭角ユニット30nとは別の狭角ユニットとして画角θtが画角θwよりも狭い望遠ユニット30tと、当該画角θwの広角ユニット30wとにより、そうした高い画像位置精度が実現され得るといえる。
また、第1実施形態の第1~第4注目組によると、構成するレンズユニット30の光軸Aw,An,Atのうち、少なくとも2つずつ同士が上下方向に限って偏心した状態となる。これによれば、第1~第4注目組をそれぞれ構成する各レンズユニット30を通して生成の外界画像同士にて、同一箇所Pw,Pn,Ptが映る画素の位置座標に横方向のずれ自体が生じ難くなる。故に、外界撮像による高い画像位置精度を、横方向では少ないずれ補正量にて確保することできる。
また、第1実施形態の第1及び第3注目組によると、上下方向に重なるレンズユニット30の被写界深度Dw,Dn,Dtのうち2つずつ同士は、オーバーラップする領域Rnw,Rtnを形成することになる。これによれば、第1及び第3注目組をそれぞれ構成する各レンズユニット30を通した外界撮像により、オーバーラップ領域Rnw,Rtnを含んだ広い範囲でピントを合わせて、横方向での画像位置精度を高めることができる。
また第1実施形態によると、第1及び第4注目組のレンズユニット30として、画角θwの広い広角ユニット30wと画角θnの狭い狭角ユニット30nとでは、上下方向にて重なる配置構造により、光軸Aw,An同士が横方向にて近接する。これによれば、広角ユニット30wと狭角ユニット30nとをそれぞれ通して生成される外界画像同士では、同一箇所Pw,Pnが映る画素の位置座標に横方向の大きなずれは生じ難くなる。故に狭角ユニット30nと、その被写界深度Dnの近点Dncよりも奥行側に遠点Dwfが設定される被写界深度Dwの広角ユニット30wとを通すことで、それら両被写界深度同士のオーバーラップ領域Rnwを含んだ広い範囲でピントを合わせて、外界撮像による横方向での画像位置精度を高めることができる。
また第1実施形態によると、第4注目組のレンズユニット30として、広角ユニット30w及び狭角ユニット30nと、それらよりも画角θtの狭い望遠ユニット30tとでは、上下方向にて重なる配置構造により、光軸Aw,An,At同士が横方向にて近接する。これによれば、広角ユニット30wと狭角ユニット30nと望遠ユニット30tとをそれぞれ通して生成される外界画像同士では、同一箇所Pw,Pn,Ptが映る画素の位置座標に横方向の大きなずれは生じ難くなる。故に望遠ユニット30tと、その被写界深度Dtの近点Dtcよりも奥行側に遠点Dnfが設定される被写界深度Dnの狭角ユニット30nと、上述した被写界深度Dwの広角ユニット30wとを通すことで、それら被写界深度のうち2つずつ同士のオーバーラップ領域Rtn,Rnwを含んだ広い範囲でピントを合わせて、外界撮像による横方向での画像位置精度を高めることができる。
さて第1実施形態によると、画角θn,θw同士のオーバーラップした第1注目組を構成するレンズユニット30の被写界深度Dn,Dw同士では、外界5において一方の近点Dnc及び遠点Dnfの間に他方の遠点Dwfが設定されることで、それら深度Dn,Dw同士のオーバーラップする領域Rnwが形成される。ここで第1注目組での一方及び他方の各遠点Dnf,Dwfは、それぞれ対応するレンズユニット30を個別に通した外界撮像による画像認識の限界位置を、規定する。これによれば、第1注目組において被写界深度Dn,Dw同士のオーバーラップする各レンズユニット30を通して生成の外界画像ではいずれも、当該オーバーラップの領域Rnwにて相対移動する物体を画像認識して判別することが可能となる。故に、第1注目組の各レンズユニット30を通した外界撮像の結果となる外界画像では、被写界深度Dn,Dw同士のオーバーラップ領域Rnwにて物体がロストされる事態を、回避することができる。
また第1実施形態によると、画角θt,θn同士のオーバーラップした第3注目組を構成するレンズユニット30の被写界深度Dt,Dn同士では、外界5において一方の近点Dtc及び遠点Dtfの間に他方の遠点Dnfが設定されることで、それら深度Dt,Dn同士のオーバーラップする領域Rtnが形成される。ここで第3注目組での一方及び他方の各遠点Dtf,Dnfは、それぞれ対応するレンズユニット30を個別に通した外界撮像による画像認識の限界位置を、規定する。これによれば、第3注目組において被写界深度Dt,Dn同士のオーバーラップする各レンズユニット30を通して生成の外界画像ではいずれも、当該オーバーラップの領域Rtnにて相対移動する物体を画像認識して判別することが可能となる。故に、第3注目組の各レンズユニット30を通した外界撮像の結果となる外界画像では、被写界深度Dt,Dn同士のオーバーラップ領域Rtnにて物体がロストされる事態を、回避することができる。
また第1実施形態によると、第1及び第3注目組を構成するレンズユニット30は、それぞれ対応する遠点Dwf,Dnf,Dtfを対応遠点とした上述の式1を、満たす。これによれば、第1及び第3注目組での各遠点Dwf,Dnf,Dtfは、それぞれ対応するレンズユニット30を通した外界撮像による画像認識の限界位置を、正確に規定し得る。故にオーバーラップ領域Rnw,Rtnでは、画像認識不良に起因した物体のロストを回避する効果の信頼性を、担保することができる。
また第1実施形態によると、第1及び第3注目組を構成するレンズユニット30は、それぞれ対応する近点Dwc,Dnc,Dtcを対応近点とした上述の式2を、満たす。これによれば、第1及び第3注目組での各近点Dwc,Dnc,Dtcは、それぞれ対応するレンズユニット30を通した外界撮像によりピントの合う結像限界位置を、正確に規定し得る。故に、オーバーラップ領域Rnw,Rtnでは、結像不良に起因した物体のロストを回避する効果の信頼性を、担保することができる。
(第2実施形態)
図7に示すように第2実施形態は、第1実施形態の変形例である。第2実施形態では、レンズユニット2030としての広角ユニット2030w、狭角ユニット2030n及び望遠ユニット2030tについて、配置関係が第1実施形態とは異なっている。
狭角ユニット2030nの前端部をなす狭角レンズ34nは、広角ユニット2030wの前端部をなす広角レンズ34wの上側にて実質横ずれなく配置されているが、当該広角レンズ34wよりも後側へずれている。ここで狭角ユニット2030nの光軸Anは、広角ユニット2030wの光軸Awから実質上下方向に限って偏心することで、車両2における横方向位置を当該光軸Awと位置合わせされている。こうした構成により、下側へ向かうほどフロントウインドシールド3の傾斜する前側を奥行側として、広角ユニット2030wが上側の狭角ユニット2030nよりも当該奥行側へ張り出した状態となる。
望遠ユニット2030tの前端部をなす望遠レンズ34tは、狭角レンズ34nの上側に実質横ずれなく配置されているが、当該狭角レンズ34nよりも後側へずれている。ここで望遠ユニット2030tの光軸Atは、広角ユニット2030w及び狭角ユニット2030nの両光軸Aw,Anから実質上下方向に限って偏心することで、車両2における横方向位置を当該両光軸Aw,Anと位置合わせされている。こうした構成下では、狭角ユニット2030n及び広角ユニット2030wが上側の望遠ユニット2030tよりも奥行側へ張り出した状態となる。
こうした第2実施形態では、上述の如く各ユニット2030w,2030n,2030tが前後方向にずれる配置関係に合わせて、カメラケーシング20のうちアッパケーシング部材21の縦壁部2210が下側へ向かうほど、前側となる奥行側へ段階的に張り出している。そこで、縦壁部2210を貫通して各ユニット2030w,2030n,2030tをカメラケーシング20外に露出させるレンズ窓211は、それら各ユニット毎に個別に設けられている。
ここまでの説明から第2実施形態では、上下方向にて各レンズユニット2030の少なくとも一部ずつ同士が重なる注目組として、第1~第4注目組が想定される。具体的に第1注目組は、上下方向に互いに重なる広角ユニット2030wと狭角ユニット2030nとから、構成される。第2注目組は、上下方向に互いに重なる広角ユニット2030wと望遠ユニット2030tとから、構成される。第3注目組は、上下方向に互いに重なる狭角ユニット2030nと望遠ユニット2030tとから、構成される。第4注目組は、上下方向に互いに重なる広角ユニット2030wと狭角ユニット2030nと望遠ユニット2030tとから、構成される。
このような第2実施形態の第1及び第4注目組によると、下側へ向かうほどフロントウインドシールド3の傾斜する奥行側には、広角ユニット2030wが上側の狭角ユニット2030nよりも張り出した状態となる。これによれば、広角ユニット2030w及び狭角ユニット2030nの各々とフロントウインドシールド3との間隔をそれぞれ可及的に狭めて、当該間隔を通じた画角θw,θn内への余剰光入射を両ユニットにて抑え得る。また、広角ユニット2030wが狭角ユニット2030nよりも奥行側へと張り出すことで、広角ユニット2030wの広い画角θw内に狭角ユニット2030nが入り込むのを回避し得る。こうしたことから、広角ユニット2030w及び狭角ユニット2030nを通すことで横方向での画像位置精度を高めた外界撮像を、余剰光及び両ユニット同士の干渉によっては妨げることなく、実現することができる。
また、第2実施形態の第2及び第4注目組によると、下側へ向かうほどフロントウインドシールド3の傾斜する奥行側には、広角ユニット2030wが上側の望遠ユニット2030tよりも張り出した状態となる。これによれば、広角ユニット2030w及び望遠ユニット2030tの各々とフロントウインドシールド3との間隔をそれぞれ可及的に狭めて、当該間隔を通じた画角θw,θt内への余剰光入射を両ユニットにて抑え得る。また、広角ユニット2030wが望遠ユニット2030tよりも奥行側へと張り出すことで、広角ユニット2030wの広い画角θw内に望遠ユニット2030tが入り込むのを回避し得る。こうしたことから、広角ユニット2030w及び望遠ユニット2030tを通すことで横方向での画像位置精度を高めた外界撮像を、余剰光及び両ユニット同士の干渉によっては妨げることなく、実現することができる。ここで特に第2注目組だけを見れば、狭角ユニット2030nとは別の狭角ユニットとして画角θtが画角θwよりも狭い望遠ユニット2030tと、当該画角θwの広角ユニット2030wとにより、そうした外界撮像が実現され得るといえる。
また、第2実施形態の第3及び第4注目組によると、下側へ向かうほどフロントウインドシールド3の傾斜する奥行側には、狭角ユニット2030nが上側の望遠ユニット2030tよりも張り出した状態となる。これによれば、狭角ユニット2030n及び望遠ユニット2030tの各々とフロントウインドシールド3との間隔をそれぞれ可及的に狭めて、当該間隔を通じた画角θn,θt内への余剰光入射を両ユニットにて抑え得る。また、狭角ユニット2030nが望遠ユニット2030tよりも奥行側へと張り出すことで、狭角ユニット2030nの画角θn内に望遠ユニット2030tが入り込むのを回避し得る。こうしたことから、狭角ユニット2030n及び望遠ユニット2030tを通すことで横方向での画像位置精度を高めた外界撮像を、余剰光及び両ユニット同士の干渉によっては妨げることなく、実現することができる。ここで特に第4注目組では、広い画角θw内だけでなく、当該画角θwよりは狭いが望遠ユニット2030tの画角θtよりも広い画角θn内に、望遠ユニット2030tが入り込むのを回避し得るので、そうした外界撮像が全ユニットを通して実現され得る。
尚、第2実施形態の広角ユニット2030w、狭角ユニット2030n及び望遠ユニット2030tについて、ここまで説明した以外の点は、それぞれ第1実施形態の広角ユニット30w、狭角ユニット30n及び望遠ユニット30tと実質同一である。ここで特に、各ユニット2030w,2030n,2030tの前後方向位置がずれた第2実施形態にあっても、被写界深度Dw,Dn,Dtの設定は第1実施形態と同様である。これらのことから、第2実施形態では第1~第4注目組に関して、それぞれ第1実施形態の第1~第4注目組と同様な作用効果を発揮することもできる。
(第3実施形態)
図8~10に示すように第3実施形態は、第1実施形態の変形例である。第3実施形態では、レンズユニット3030としての広角ユニット3030w、狭角ユニット3030n及び望遠ユニット3030tについて、配置関係が第1実施形態とは異なっている。
図8,10に示すように、狭角ユニット3030nの前端部をなす狭角レンズ34nは、広角ユニット3030wの前端部をなす広角レンズ34wの上側にて実質前後ずれなく配置されているが、当該広角レンズ34wとは横方向の一方側(即ち、図10の左側)へずれている。ここで狭角ユニット3030nの光軸Anは、広角ユニット3030wの光軸Awから上下方向及び横方向の双方に偏心している。こうした構成下により、下側へ向かうほどフロントウインドシールド3の傾斜する前側を奥行側として、広角ユニット2030wが上側の狭角ユニット2030nよりも当該奥行側には実質張り出さない状態となる。
図9,10に示すように、望遠ユニット3030tの前端部をなす望遠レンズ34tは、広角レンズ34wの上側にて実質前後ずれなく配置されているが、当該広角レンズ34wとは横方向の他方側(即ち、狭角ユニット3030nとは反対側となる図10の右側)へずれている。ここで望遠ユニット3030tの光軸Atは、広角ユニット3030wの光軸Awから上下方向及び横方向の双方に偏心している。それと共に望遠ユニット30tの光軸Atは、狭角ユニット3030nの光軸Anからは実質横方向に限って偏心することで、車両2における上下方向位置を当該光軸Anと位置合わせされている。こうした構成により、広角ユニット3030wが上側の望遠ユニット3030t及び側方の狭角ユニット3030nよりも奥行側には実質張り出さない状態となる。
ここまでの説明から第3実施形態では、上下方向にて各レンズユニット3030の少なくとも一部ずつ同士が重なる注目組として、第1及び第2注目組が想定されると共に、横方向にてレンズユニット3030同士が重なる注目組として、第3注目組が想定される。具体的に第1注目組は、上下方向に互いに重なる広角ユニット3030wと狭角ユニット3030nとから、構成される。第2注目組は、上下方向に互いに重なる広角ユニット3030wと望遠ユニット3030tとから、構成される。第3注目組は、横方向に互いに重なる狭角ユニット3030nと望遠ユニット3030tとから、構成される。
このような第3実施形態の第1及び第2注目組によると、上下方向にて互いに重なるレンズユニット3030の光軸Aw,An,Atのうち、2つずつ同士が上下方向及び横方向の双方に偏心した状態となる。これによれば、第1及び第2注目組をそれぞれ構成する各レンズユニット3030を通して生成の外界画像同士にて、同一箇所Pw,Pn,Ptが映る画素の位置座標の横方向ずれを抑制しつつも、例えば当該抑制に起因する上下方向での体格増大を軽減する等を目的とした配置自由度を確保することができる。故に、車両2における任意乗員の視界を上下方向で担保することと両立させて、横方向での高い画像位置精度を確保することができる。ここで特に第2注目組だけを見れば、狭角ユニット3030nとは別の狭角ユニットとして画角θtが画角θwよりも狭い望遠ユニット3030tと、当該画角θwの広角ユニット3030wとにより、そうした視界担保及び精度確保の両立が実現され得るといえる。
また第3実施形態によると、第1注目組の狭角ユニット3030nと第2注目組の望遠ユニット3030tとは、それらとは別の第3注目組として横方向に重なるのみならず、両ユニットの光軸An,At同士を横方向に限って偏心させた状態となる。これによれば、横方向ずれの抑制に起因する上下方向での体格増大を可及的に軽減しつつも、乗員視界の担保効果を高めることができる。
尚、第3実施形態の広角ユニット3030w、狭角ユニット3030n及び望遠ユニット3030tについて、ここまで説明した以外の点は、それぞれ第1実施形態の広角ユニット30w、狭角ユニット30n及び望遠ユニット30tと実質同一である。ここで特に、広角ユニット3030wの上側にて狭角ユニット3030n及び望遠ユニット3030t同士を横に並べた第3実施形態にあっても、被写界深度Dw,Dn,Dtの設定は第1実施形態と同様である。これらのことから、第3実施形態では第1及び第2注目組に関して、それぞれ第1実施形態の第1及び第2注目組と同様な作用効果を発揮することもできる。
(第4実施形態)
図11に示すように第4実施形態は、第1実施形態の変形例である。第4実施形態では、レンズユニット30のうち広角ユニット4030wについて、被写界深度Dwの設定が第1実施形態とは異なっている。
広い画角θw内にて被写界深度Dwを規定する広角ユニット4030wの遠点Dwfは、当該画角θwよりも狭い画角θt内にて被写界深度Dtを規定する望遠ユニット30tの近点Dtcよりも奥行側に、設定されている。それと共に広角ユニット4030wの遠点Dwfは、望遠ユニット30tの遠点Dtfよりも手前側に、設定されている。これらの設定により、望遠ユニット30tの近点Dtc及び遠点Dtfの間には広角ユニット4030wの遠点Dwfが位置することで、それらユニット30t,4030wが被写界深度Dt,Dw同士のオーバーラップする領域Rtwを形成している。こうした第4実施形態において特に第2注目組は、第1実施形態と同様に上下方向にて互いに重なる広角ユニット4030wと望遠ユニット30tとから、構成される。
このような第4実施形態の第2注目組によると、上下方向に重なるレンズユニット30の被写界深度Dt,Dw同士は、オーバーラップする領域Rtwを形成することになる。これによれば、第2注目組を構成する各レンズユニット30を通した外界撮像により、オーバーラップ領域Rtwを含んだ広い範囲でピントを合わせて、横方向での画像位置精度を高めることができる。
また第4実施形態によると、第2注目組のレンズユニット30として、画角θwの広い広角ユニット4030wと画角θtの狭い望遠ユニット30tとでは、上下方向にて重なる配置構造により、光軸Aw,At同士が横方向にて近接する。これによれば、広角ユニット4030wと望遠ユニット30tとをそれぞれ通して生成される外界画像同士では、同一箇所Pw,Ptが映る画素の位置座標に横方向の大きなずれは生じ難くなる。故に望遠ユニット30tと、その被写界深度Dtの近点Dtcよりも奥行側に遠点Dwfが設定される被写界深度Dwの広角ユニット4030wとを通すことで、それら両被写界深度同士のオーバーラップ領域Rtwを含んだ広い範囲でピントを合わせて、外界撮像による横方向での画像位置精度を高めることができる。このように第4実施形態では、狭角ユニット30nとは別の狭角ユニットとして画角θtが画角θwよりも狭い望遠ユニット2030tと、当該画角θwの広角ユニット4030wとから構成される第2注目組により、そうした外界撮像が実現され得るといえる。
尚、第4実施形態の広角ユニット4030wについて、ここまで説明した以外の点は、第1実施形態の広角ユニット30wと実質同一である。故に、第4実施形態では第1~第4注目組に関して、それぞれ第1実施形態の第1~第4注目組と同様な作用効果を発揮することもできる。
(第5実施形態)
図12に示すように第5実施形態は、第4実施形態の変形例である。第5実施形態では、レンズユニット30のうち広角ユニット5030wについて、被写界深度Dwの設定が第4実施形態とは異なっている。
広い画角θw内にて被写界深度Dwを規定する広角ユニット5030wの近点Dwcは、当該画角θwよりも狭い画角θn内にて被写界深度Dnを規定する狭角ユニット30nの近点Dncよりも奥行側に、設定されている。それと共に広角ユニット5030wの遠点Dwfは、狭角ユニット30nの遠点Dnfよりも手前側に、設定されている。これらの設定により、狭角ユニット30nの近点Dnc及び遠点Dnfの間には広角ユニット5030wの近点Dwc及び遠点Dwfが共に位置することで、それらユニット30n,5030wが被写界深度Dn,Dw同士のオーバーラップする領域Rnwを形成している。こうした第5実施形態において特に第2注目組は、第4実施形態と同様に上下方向にて互いに重なる広角ユニット5030wと望遠ユニット30tとから、構成される。
このような第5実施形態の広角ユニット5030wについて、ここまで説明した以外の点は、第4実施形態の広角ユニット4030wと実質同一である。故に、第5実施形態では第1~第4注目組に関して、それぞれ第4実施形態の第1~第4注目組と同様な作用効果を発揮することもできる。
(第6実施形態)
図13~18に示すように第6実施形態は、第1実施形態の変形例である。第6実施形態では、レンズユニット6030としての広角ユニット6030w、狭角ユニット6030n及び望遠ユニット6030tについて、配置関係が第1実施形態とは異なっている。
図13,14,16,18に示すように、狭角ユニット6030nの前端部をなす狭角レンズ34nは、広角ユニット6030wの前端部をなす広角レンズ34wとは実質上下ずれなく配置されているが、外界5側としての前側と横方向の一方側(即ち、図18の左側)とには当該広角レンズ34wからずれている。ここで狭角ユニット6030nの光軸Anは、広角ユニット6030wの光軸Awから実質横方向に限って偏心している。
図15,16,18に示すように、望遠ユニット6030tの前端部をなす望遠レンズ34tは、広角レンズ34wとは実質上下ずれなく配置されているが、外界5側としての前側と横方向の他方側(即ち、図18の右側)とには当該広角レンズ34wからずれている。ここで望遠ユニット6030tの光軸Atは、広角ユニット6030wの光軸Awからも、狭角ユニット6030nの光軸Anからも、実質横方向に限って偏心している。
こうした第6実施形態では、図13~16に示すカメラケーシング20のうちアッパケーシング部材21の縦壁部6210は、上述した各ユニット6030w,6030n,6030tの前後方向にずれる配置関係に合わせて、形成されている。具体的に縦壁部6210は、横方向の中央部から左右両側側方へと向かうほど、外界5側としての前側(即ち、第1実施形態で説明の奥行側)へ斜めに張り出している。そこで、縦壁部6210を貫通して各ユニット6030w,6030n,6030tをカメラケーシング20外に露出させるレンズ窓6211w,6211n,6211tは、それら各ユニット毎に個別に設けられている。ここで、各ユニット6030w,6030n,6030tにそれぞれ対応するレンズ窓6211w,6211n,6211tの上下方向位置は、互いに位置合わせされている。それと共に、狭角ユニット6030n及び望遠ユニット6030tにそれぞれ対応するレンズ窓6211n,6211tの前後方向位置は、広角ユニット6030wに対応するレンズ窓6211wの前後方向位置とはずれた状態下、互いに位置合わせされている。
以上の説明から第6実施形態では、横方向にてレンズユニット6030同士が重なる注目組として、第1~第4注目組が想定される。具体的に第1注目組は、横方向に互いに重なる広角ユニット6030wと狭角ユニット6030nとから、構成される。第2注目組は、横方向に互いに重なる広角ユニット6030wと望遠ユニット6030tとから、構成される。第3注目組は、横方向に互いに重なる狭角ユニット6030nと望遠ユニット6030tとから、構成される。第4注目組は、横方向に互いに重なる広角ユニット6030wと狭角ユニット6030nと望遠ユニット6030tとから、構成される。
このような第6実施形態の広角ユニット6030w、狭角ユニット6030n及び望遠ユニット6030tについて、ここまで説明した以外の点は、それぞれ第1実施形態の広角ユニット30w、狭角ユニット30n及び望遠ユニット30tと実質同一である。ここで特に、各ユニット6030w,6030n,6030tの前後方向位置がずれた第6実施形態にあっても、被写界深度Dw,Dn,Dtの設定は第1実施形態と同様である。
故に第6実施形態の第1及び第3注目組によると、横方向での画像位置精度に関する以外の作用効果を、それぞれ第1実施形態の第1及び第3注目組と同様に発揮することができる。さらに第1~第4注目組によると、第6実施形態に特有の作用効果として、横方向での画像位置精度は位置座標のずれ補正により確保することができる。ここで特に第2注目組だけを見れば、狭角ユニット6030nとは別の狭角ユニットとして画角θtが画角θwよりも狭い望遠ユニット6030tと、当該画角θwの広角ユニット6030wとにより、そうした精度確保が実現され得るといえる。
さて、図13~17に示すように第6実施形態では、各レンズユニット6030の配置関係に合わせてフード6040のうち、ベース壁部41の上側にて撮像空間410の両側側方に一対設けられる側壁部6043につき、各々の構造が第1実施形態とは異なっている。
各側壁部6043は、横方向に並ぶレンズユニット6030のうち中央に位置する広角ユニット6030wの光軸Awを挟んで対称に、それぞれ設けられている。ストレート平板状の各側壁部6043は、広角ユニット6030wの周囲から外界5側としての前側へ向かうほど、同ユニット6030wの広い画角θwに応じた外側側方へと向かって、同ユニット6030wの光軸Awとは傾斜している。各側壁部6043において台形平面状の内壁面6043aは、水平面上の車両2における鉛直方向視(即ち、水平面視)では図17に示すように、画角θwよりも外側にて同角θwのテーパ線に沿って広がるように、形成されている。これにより、広角ユニット6030wの画角θwよりも狭い狭角ユニット6030n及び望遠ユニット6030tの各画角θn,θtは、撮像空間410内での鉛直方向視では当該画角θwの内側に部分的に収まっている。
図13,16,17に示すように各側壁部6043の後端部間には、縦壁部6210のうちレンズ窓6211wの前側にて、広角露出窓6431wが開口している。広角ユニット6030wのうち外界5側の前端部は、撮像空間410内からは外れる状態下、レンズ窓6211w内から広角露出窓6431w内までは進入している。これにより広角露出窓6431wは、撮像空間410に向かって広角ユニット6030wを露出させている。
図13~17に示すように、横方向一方側の側壁部6043である第1側壁部6432には、縦壁部6210のうちレンズ窓6211nの前側にて、狭角露出窓6431nが開口している。狭角露出窓6431nは、広角露出窓6431wに対して上下方向位置を位置合わせされている。ここで、狭角ユニット6030nにおいて外界5側の前端部は、撮像空間410内からは外れる状態下、レンズ窓6211n内から狭角露出窓6431n内までは進入している。これにより狭角露出窓6431nは、撮像空間410に向かって狭角ユニット6030nを露出させている。
図15~17に示すように、横方向他方側の側壁部6043である第2側壁部6433には、縦壁部6210のうちレンズ窓6211tの前側にて、望遠露出窓6431tが開口している。望遠露出窓6431tは、広角露出窓6431w及び狭角露出窓6431nに対して上下方向位置を位置合わせされている。それと共に望遠露出窓6431tは、広角露出窓6431wに対しては前後方向位置のずれた状態下、狭角露出窓6431nに対しては前後方向位置を位置合わせされている。ここで、望遠ユニット6030tにおいて外界5側の前端部は、撮像空間410内からは外れる状態下、レンズ窓6211t内から望遠露出窓6431t内までは進入している。これにより望遠露出窓6431tは、撮像空間410に向かって望遠ユニット6030tを、広角ユニット6030wよりも外界5側となる前側且つ狭角ユニット6030nの真横にて露出させている。
第6実施形態のフード6040について、ここまで説明した以外の点は、第1実施形態のフード40と実質同一である。故に第6実施形態のフード6040によると、レンズユニット6030のうち第1及び第4注目組を構成するユニット6030w,6030nへと撮像対象範囲内から光像を導く撮像空間410の側方では、広角ユニット6030wの周囲から外界側へ向かうほど、一対の側壁部6043のうち一方側の第1側壁部6432が広角ユニット6030wの画角θwに応じて傾斜した状態となる。特に第6実施形態のフード6040では、広角ユニット6030wの画角θwに沿って広がる傾斜状態に、第1側壁部6432が配置される。ここで第1側壁部6432には、撮像空間410に向かって狭角ユニット6030nを露出させるように、狭角露出窓6431nが広角ユニット6030wよりも外界側にて開口する。これによれば、第1側壁部6432の傾斜を決める広角ユニット6030wの画角θwよりも内側に狭角ユニット6030nの画角θnを収めて、撮像空間410を両ユニット同士で共有させ得る。故に、傾斜状態にて狭角露出窓6431nを開口させる第1側壁部6432の形成範囲を広角ユニット6030wには必要な範囲に留めて、フード6040を含んだカメラモジュール1の小型化を図ることができる。
また第6実施形態の第1及び第4注目組では、狭角ユニット6030nにおける外界5側の前端部が撮像空間410から外れて配置されているので、広角ユニット6030wの画角θw内には当該狭角ユニット6030nが入り込み難い。故に、外界5のうち撮像対象範囲内からの正規光像の撮像、特に第1注目組では物体のロストを回避可能な外界撮像が、狭角ユニット6030nの干渉によっては妨げられ難くなる。
また第6実施形態によると、第1、第3及び第4注目組の狭角ユニット6030nにおいて前端部は、撮像空間410からは外れる状態下、狭角露出窓6431n内には進入している。これによれば、狭角ユニット6030nをフロントウインドシールド3に近付けて、それら要素6030n,3間の間隔を通じた画角θn内への余剰光入射を抑え得る。故に、外界5のうち撮像対象範囲内からの正規光像の撮像、特に第1注目組では物体のロストを回避可能な外界撮像が、余剰光入射によっては妨げられ難くなる。
しかも第6実施形態のフード6040によると、第2及び第4注目組を構成するレンズユニット6030の各ユニット6030w,6030tへと撮像対象範囲内から光像を導く撮像空間410の側方では、広角ユニット6030wの周囲から外界側へ向かうほど、一対の側壁部6043のうち一方側の第2側壁部6433が広角ユニット6030wの画角θwに応じて傾斜した状態となる。特に第6実施形態のフード6040では、広角ユニット6030wの画角θwに沿って広がる傾斜状態に、第2側壁部6433が配置される。ここで第2側壁部6433には、撮像空間410に向かって望遠ユニット6030tを露出させるように、望遠露出窓6431tが広角ユニット6030wよりも外界側にて開口する。これによれば、第2側壁部6433の傾斜を決める広角ユニット6030wの画角θwよりも内側に望遠ユニット6030tの画角θtを収めて、撮像空間410を両ユニット同士で共有させ得る。故に、傾斜状態にて望遠露出窓6431tを開口させる第2側壁部6433の形成範囲を広角ユニット6030wには必要な範囲に留めて、フード6040を含んだカメラモジュール1の小型化を図ることができる。
また第6実施形態の第2及び第4注目組では、望遠ユニット6030tにおける外界5側の前端部が撮像空間410から外れて配置されているので、広角ユニット6030wの画角θw内には当該望遠ユニット6030tが入り込み難い。故に、外界5のうち撮像対象範囲内からの正規光像の撮像は、望遠ユニット6030tの干渉によっては妨げられ難くなる。
また第6実施形態によると、第2~第4注目組の望遠ユニット6030tにおいて前端部は、撮像空間410からは外れる状態下、望遠露出窓6431t内には進入している。これによれば、望遠ユニット6030tをフロントウインドシールド3に近付けて、それら要素6030t,3間の間隔を通じた画角θt内への余剰光入射を抑え得る。故に、外界5のうち撮像対象範囲内からの正規光像の撮像は、余剰光入射によっては妨げられ難くなる。
ここで特に第2注目組だけを見れば、狭角ユニット6030nとは別の狭角ユニットとして画角θtが画角θwよりも狭い望遠ユニット6030tにて、狭角露出窓6431nとは別の狭角露出窓となる望遠露出窓6431tにより、以上の如き小型化及び正規光像撮影が実現され得るといえる。
(第7実施形態)
図19~21に示すように第7実施形態は、第1実施形態の変形例である。第7実施形態では、レンズユニット6030としての狭角ユニット7030n及び望遠ユニット7030tについて、配置位置が第6実施形態とは異なっている。
図19,21に示すように、狭角ユニット7030nにおける外界5側の前端部は、レンズ窓6211n内及び狭角露出窓6431n内から、さらに撮像空間410内まで進入している。これにより狭角露出窓6431nは、撮像空間410に向かって狭角ユニット7030nを露出させている。また図21に示すように、広角ユニット6030wの画角θwよりも狭い狭角ユニット7030nの画角θnは、撮像空間410内での鉛直方向視では当該画角θwの内側に完全に収まっている。
図19,21に示すように狭角ユニット7030nは、撮像空間410内に進入且つ露出した前端部を少なくとも含む部分の周方向全域且つ端面全域にて、反射規制部7036nを有している。この反射規制部7036nは、狭角ユニット7030nの狭角鏡筒32nに例えば黒色のコーティング又は塗装等を施すことで、形成されている。尚、例えば狭角鏡筒32n自体が黒色の材料で形成されている場合等には、反射規制部7036nが必ずしも設けられていなくてもよい。
図20,21に示すように、望遠ユニット7030tにおける外界5側の前端部は、レンズ窓6211t内及び望遠露出窓6431t内から、さらに撮像空間410内まで進入している。これにより望遠露出窓6431tは、撮像空間410に向かって望遠ユニット7030tを、広角ユニット6030wよりも外界5側となる前側且つ狭角ユニット7030nの真横にて露出させている。また図21に示すように、広角ユニット6030wの画角θwよりも狭い望遠ユニット7030tの画角θtは、撮像空間410内での鉛直方向視では当該画角θwの内側に完全に収まっている。
図20,21に示すように望遠ユニット7030tは、撮像空間410内に進入且つ露出した前端部を少なくとも含む部分の周方向全域且つ端面全域にて、反射規制部7036tを有している。この反射規制部7036tは、望遠ユニット7030tの望遠鏡筒32tに例えば黒色のコーティング又は塗装等を施すことで、形成されている。尚、例えば望遠鏡筒32t自体が黒色の材料で形成されている場合等には、反射規制部7036tが必ずしも設けられていなくてもよい。
ここまでの説明から第7実施形態では、第6実施形態と同様、横方向にてレンズユニット6030同士が重なる注目組として、第1~第4注目組が想定される。具体的に第1注目組は、横方向に互いに重なる広角ユニット6030wと狭角ユニット7030nとから、構成される。第2注目組は、横方向に互いに重なる広角ユニット6030wと望遠ユニット7030tとから、構成される。第3注目組は、横方向に互いに重なる狭角ユニット7030nと望遠ユニット7030tとから、構成される。第4注目組は、横方向に互いに重なる広角ユニット6030wと狭角ユニット7030nと望遠ユニット7030tとから、構成される。
このような第7実施形態によると、第1、第3及び第4注目組の狭角ユニット7030nにおいて前端部は、狭角露出窓6431n内から撮像空間410内へと進入している。これによれば、狭角ユニット7030nとフロントウインドシールド3との間隔を可及的に狭めて、当該間隔を通じた画角θn内への余剰光入射の抑え作用を高め得る。故に、外界5のうち撮像対象範囲内からの正規光像の撮像、特に第1注目組では物体のロストを回避可能な外界撮像につき、余剰光入射によっては妨げることなく実現することができる。
また第7実施形態によると、第1及び第4注目組の狭角ユニット7030nにおいて撮像空間410内に進入した前端部では、反射規制部7036nによって光の反射が規制され得る。これによれば、撮像空間410において狭角ユニット7030nの前端部により反射された光が広角ユニット6030wの画角θw内へと入射する反射光入射を、抑え得る。故に、外界5のうち撮像対象範囲内からの正規光像の撮像、特に第1注目組では物体のロストを回避可能な外界撮像につき、反射光入射によっては妨げることなく実現することができる。
しかも第7実施形態によると、第2~第4注目組の望遠ユニット7030tにおいて前端部は、望遠露出窓6431t内から撮像空間410内へと進入している。これによれば、望遠ユニット7030tとフロントウインドシールド3との間隔を可及的に狭めて、当該間隔を通じた画角θt内への余剰光入射の抑え作用を高め得る。故に、外界5のうち撮像対象範囲内からの正規光像の撮像につき、余剰光入射によっては妨げることなく実現することができる。
また第7実施形態によると、第2及び第4注目組の望遠ユニット7030tにおいて撮像空間410内に進入した前端部では、反射規制部7036tによって光の反射が規制され得る。これによれば、撮像空間410において望遠ユニット7030tの前端部により反射された光が広角ユニット6030wの画角θw内へと入射する反射光入射を、抑え得る。故に、外界5のうち撮像対象範囲内からの正規光像の撮像につき、反射光入射によっては妨げることなく実現することができる。
ここで特に第2注目組だけを見れば、狭角ユニット7030nとは別の狭角ユニットとして画角θtが画角θwよりも狭い望遠ユニット7030tにより、以上の如き正規光像撮影が実現され得るといえる。
尚、第7実施形態の狭角ユニット7030n及び望遠ユニット7030tについて、ここまで説明した以外の点は、それぞれ第6実施形態の狭角ユニット6030n及び望遠ユニット6030tと実質同一である。故に、第7実施形態では第1~第4注目組に関して、撮像空間410からの外れ配置構造に関連する以外の作用効果を、それぞれ第6実施形態の第1~第4注目組と同様に発揮することもできる。
(第8実施形態)
図22~24に示すように第8実施形態は、第1実施形態の変形例である。第8実施形態では、レンズユニット6030としての狭角ユニット8030n及び望遠ユニット8030tについて、配置位置が第6実施形態とは異なっている。
図22,24に示すように、狭角ユニット8030nにおける外界5側の前端部は、撮像空間410内及び狭角露出窓6431n内からは外れる状態下、レンズ窓6211n内には進入している。これにより狭角露出窓6431nは、撮像空間410に向かって狭角ユニット8030nを露出させている。また図24に示すように、広角ユニット6030wの画角θwよりも狭い狭角ユニット8030nの画角θnは、撮像空間410内での鉛直方向視では当該画角θwの内側に部分的に収まっている。
図23,24に示すように、望遠ユニット8030tにおける外界5側の前端部は、撮像空間410内及び望遠露出窓6431t内からは外れる状態下、レンズ窓6211t内には進入している。これにより望遠露出窓6431tは、撮像空間410に向かって望遠ユニット8030tを、広角ユニット6030wよりも外界5側となる前側且つ狭角ユニット8030nの真横にて露出させている。また図24に示すように、広角ユニット6030wの画角θwよりも狭い望遠ユニット8030tの画角θtは、撮像空間410内での鉛直方向視では当該画角θwの内側に部分的に収まっている。
ここまでの説明から第8実施形態では、第6実施形態と同様、横方向にてレンズユニット6030同士が重なる注目組として、第1~第4注目組が想定される。具体的に第1注目組は、横方向に互いに重なる広角ユニット6030wと狭角ユニット8030nとから、構成される。第2注目組は、横方向に互いに重なる広角ユニット6030wと望遠ユニット8030tとから、構成される。第3注目組は、横方向に互いに重なる狭角ユニット8030nと望遠ユニット8030tとから、構成される。第4注目組は、横方向に互いに重なる広角ユニット6030wと狭角ユニット8030nと望遠ユニット8030tとから、構成される。
このような第8実施形態の狭角ユニット8030n及び望遠ユニット8030tについて、ここまで説明した以外の点は、それぞれ第6実施形態の狭角ユニット6030n及び望遠ユニット6030tと実質同一である。故に、第8実施形態では第1~第4注目組に関して、露出窓6431n,6431t内への進入構造に関連する以外の作用効果を、それぞれ第6実施形態の第1~第4注目組と同様に発揮することもできる。
(第9実施形態)
図25~32に示すように第9実施形態は、第6実施形態の変形例である。第9実施形態では図25~27に示すフード9040のうち、撮像空間410の両側側方に一対設けられる側壁部9043と、同空間410の下側に設けられるベース壁部9041とについて、各々の構造が第6実施形態とは異なっており、車両2の制御機能に関連付けて構築されている。
第9実施形態では、制御回路55又は外部コネクタ542と接続される例えばECU等の外部回路により、図28,29に示す外界5の状況に応じた車両2の制御機能が構築される。ここで制御機能の1つには、車両2の特定制御Csとして、外界5のうち物体である前方障害物5a(例えば歩行者、自転車及び他車両等)に対しての車両2の衝突予防制御がある。この特定制御Csの具体例は、衝突予測時間(TTC:Time To Collision)が数秒以下に迫る緊急制御条件が成立した場合に車両2の車速を自動で制御することで、車両2を強制的に減速させる衝突被害軽減制動(AEB:Autonomous Emergency Braking)等である。また制御機能の1つには、特定制御Csと異なる車両2の別制御Caとして、走行レーンにおける車両2の運転制御がある。この別制御Caの具体例は、走行レーンの幅方向において車両2の位置を自動で制御することで、外界5のうち路面上の白線又は黄線といった区画線5bからの車両2の逸脱を規制するレーンキーピングアシスト(LKA:Lane Keeping Assist)等である。
図27~30に示すように、外界5のうちフロントウインドシールド3に装着されたカメラモジュール1の撮像対象範囲内には、車両2の特定制御Csに必要な水平画角範囲が収まる。この水平画角範囲は、水平面上の車両2における鉛直方向視(即ち、水平面視)にて、広角ユニット6030wの光軸Awを二等分線とする第1テーパ角θ1により規定される。ここで第1テーパ角θ1は、広角ユニット6030wにおいて光軸Awまわりに規定される画角θwの水平画角範囲よりも、小さい。例えば第1テーパ角θ1については、車両2から13m以上先の前方障害物5aをTTCが2.4秒以上前に撮像可能な角度として、100°以上等の角度に設定される。
図31,32に示すように、外界5のうちフロントウインドシールド3に装着されたカメラモジュール1の撮像対象範囲内には、車両2の特定制御Csに必要な垂直画角範囲が収まる。この垂直画角範囲は、水平面上の車両2における水平方向視(即ち、側方視)にて、第1俯角ψd1と第1仰角ψe1との和により規定される。ここで第1俯角ψd1及び第1仰角ψe1の和は、広角ユニット6030wにおける画角θwの垂直画角範囲よりも、小さい。例えば第1俯角ψd1については、車両2から13m以上先の前方障害物5aをTTCが2.4秒以上前に撮像可能な角度として、6°以下の角度等に設定される。
図28に示すように、外界5のうち特定制御Csに必要な水平画角範囲と垂直画角範囲とからは、同制御Csに特化して利用される個別撮像範囲Usが決まる。そこで、この個別撮像範囲Usにおける最下部の左右両端Useからそれぞれ、図27,28,30,32の如く第1テーパ角θ1及び第1俯角ψd1をもって広角ユニット6030wへと入射する光線は、第1下光線L1として想定される。この想定下、車両2において特定制御Csと関連する各第1下光線L1がフロントウインドシールド3の内面3aに対して交差すると仮想される点は、図27,30,32の如き第1仮想交点I1として定義される。図27に示すように第1仮想交点I1は、各側壁部9043における前端部及び後端部間の中間部に対して、その上方に対応付けられている。これにより各側壁部9043に関しては、次の構成が実現されている。
各側壁部9043は、車両2において第1仮想交点I1よりも広角ユニット6030w側、即ち後側では、各第1下光線L1と実質重なる第1テーパ角θ1の左右両側テーパ線から外側に僅かなクリアランスを空けて、内壁面9043aを形成している。また各側壁部9043は、車両2において第1仮想交点I1よりも外界5側、即ち前側でも、第1テーパ角θ1の左右両側テーパ線から外側に僅かなクリアランスを空けて、内壁面9043aを形成している。ここで各側壁部9043の内壁面9043aは、広角ユニット6030wの光軸Awに対する傾斜角度を実質等しく設定されることで、一平面状に連続している。これらにより、車両2において広角ユニット6030wの周囲から第1仮想交点I1へと向かい、さらに同点I1よりも外界5側へと向かって広がる各側壁部9043は、鉛直方向視では同ユニット6030wの画角θwに応じた第1テーパ角θ1よりも外側にて、内壁面9043aが同角θ1のテーパ線に沿って傾斜した状態となる。この傾斜状態にて各側壁部9043は、鉛直方向視にて画角θwよりも内側に入り込んでいる。
このような各側壁部9043は、各露出窓6431n,6431tのそれぞれ開口する第1側壁部6432及び第2側壁部6433として、機能する。ここで第9実施形態の各露出窓6431n,6431tは、それぞれ対応する側壁部9043(即ち、第1側壁部6432又は第2側壁部6433)において第1仮想交点I1よりも広角ユニット6030w側となる傾斜部分に、開口形成されている。
以上に対して図27~30に示すように、外界5のうち撮像範囲内には、車両2の別制御Caに必要な水平画角範囲が収まる。この水平画角範囲は、水平面上の車両2における鉛直方向視にて、広角ユニット6030wの光軸Awを二等分線とする第2テーパ角θ2により規定される。ここで第2テーパ角θ2は、広角ユニット6030wにおける画角θwの水平画角範囲より小さな第1テーパ角θ1よりも、さらに小さい。例えば第2テーパ角θ2については、車両2から8.5m以上先にて路面上の区画線5bを撮像可能な角度として、50°以上且つ100°未満等の角度に設定される。
図31,32に示すように、外界5のうち撮像対象範囲内には、車両2の別制御Caに必要な垂直画角範囲が収まる。この垂直画角範囲は、水平面上の車両2における水平方向視にて、第2俯角ψd2と第2仰角ψe2との和により規定される。ここで第2俯角ψd2及び第2仰角ψe2の和は、広角ユニット6030wにおける画角θwの垂直画角範囲よりも、小さい。例えば第2俯角ψd2については、車両2から8.5m以上先にて路面上の区画線5bを撮像可能な角度として、6°超過且つ12°以下の角度等に設定される。即ち第2俯角ψd2は、第1俯角ψd1よりも大きい。
図28に示すように、外界5のうち別制御Caに必要な水平画角範囲と垂直画角範囲とからは、同制御Caに特化して利用される個別撮像範囲Uaが決まる。そこで、この個別撮像範囲Uaにおける最下部の左右両端Uaeからそれぞれ、図28,29,30,32の如く第2テーパ角θ2及び第2俯角ψd2をもって広角ユニット6030wへと入射する光線は、第2下光線L2として想定される。この想定下、車両2において別制御Caと関連する各第2下光線L2がフロントウインドシールド3の内面3aに対して交差すると仮想される点は、図27,30,32の如き第2仮想交点I2として定義される。図27に示すように、この第2仮想交点I2がベース壁部9041における前端部の上方に対応付けられることで、ベース壁部9041及び各側壁部9043に関して次の構成が実現されている。
ベース壁部9041は、車両2において第2仮想交点I2よりも広角ユニット6030w側、即ち後側にて、各第2下光線L2と実質重なる第2テーパ角θ2の左右両側テーパ線を挟んだ内側全域と外側所定域とに、底壁面9041aを形成している。これにより、車両2において広角ユニット6030wの周囲から、第2仮想交点I2及びその内外両側へと向かうベース壁部9041では、第2仮想交点I2よりも外側箇所のうち第1テーパ角θ1のテーパ線よりも僅かに外側箇所にまで、底壁面9041aの広がった状態となる。それと共に各側壁部9043では、第2仮想交点I2よりも外側箇所のうち第1テーパ角θ1のテーパ線よりも僅かに外側箇所にまで、内壁面9043aの広がった状態となる。以上の如き構成から、第2仮想交点I2の外側側方へ向かって広がるように、ベース壁部9041と各側壁部9043とが形成されているといえる。
第9実施形態のフード9040について、ここまで説明した以外の点は、第1実施形態のフード6040と実質同一である。故に第9実施形態のフード9040によると、車両2において側壁部9043は、広角ユニット6030wの周囲から仮想交点I1へ向かって広がる配置状態となる。これによれば、フード9040が小さく形成されても、仮想交点I1にてフロントウインドシールド3と交差する下光線L1は、撮像対象範囲内にて広角ユニット6030wの画角θwよりも小さな水平画角範囲を規定するテーパ角θ1での入射を、側壁部9043によっては遮られ難くなる。故に、正規光像を撮像可能なテーパ角θ1を確保するフード9040を含んだカメラモジュール1につき、小型化を図ることができる。
また第9実施形態のフード9040によると、車両2において側壁部9043は、仮想交点I1よりも広角ユニット6030w側では、テーパ角θ1よりも外側にて同角θ1に沿って広がる配置状態となる。これによれば、テーパ角θ1を確保する上でのサイズを制限して、フード9040が形成され得る。故に、正規光像を撮像可能なテーパ角θ1を確保するフード9040を含んだカメラモジュール1につき、小型化を促進することができる。
また第9実施形態のフード9040によると、車両2において側壁部9043は、広角ユニット6030wから仮想交点I1への広がりによって確保されるテーパ角θ1には影響し難い側、即ち仮想交点I1よりも外界5側では、テーパ角θ1よりも外側にて同角θ1に沿って広がる配置状態となる。この場合、フロントウインドシールド3で反射されるとテーパ角θ1内へ入射してしまう光は、側壁部9043とその立設元ベース壁部9041との共同により、仮想交点I1よりも外界5側の広範囲にて当該反射前に遮られ得る。故に、正規光像を撮像可能なテーパ角θ1を確保するフード9040を含んだカメラモジュール1につき、小型化を大きくは阻害しない限りで、フロントウインドシールド3での反射光が当該正規光像に重畳して撮像を妨げる事態の抑制効果を高めることができる。
加えて第9実施形態のフード9040によると、先述の如く仮想交点I1にてフロントウインドシールド3と交差する下光線L1は、撮像対象範囲内にて車両2の特定制御Csに必要なテーパ角θ1での入射を、側壁部9043によっては遮られ難くなる。故に、特定制御Csに必要なテーパ角θ1内での正規光像を撮像可能とするフード9040を含んだカメラモジュール1につき、小型化を図ることができる。
ここで第9実施形態のフード9040によると、車両2において側壁部9043は、広角ユニット6030wの周囲から上記仮想交点I1としての第1仮想交点I1へと向かって、広がる配置状態となる。これによれば、フード9040が小さく形成されても、第1仮想交点I1にてフロントウインドシールド3と交差する第1下光線L1は、テーパ角θ1と共に第1俯角ψd1をもっての入射を、側壁部9043によっては遮られ難くなる。しかも、車両2においてベース壁部9041は、広角ユニット6030wの周囲から第2仮想交点I2へと向かって広がる配置状態となる。これによれば、第2仮想交点I2にてフロントウインドシールド3と交差する第2下光線L2は、第1テーパ角θ1よりも小さな第2テーパ角θ2と共に、第1俯角ψd1よりも大きな第2俯角ψd2をもっての入射を、ベース壁部9041及び側壁部9043によっては遮られ難くなる。こうしたことから、車両2の特定制御Csに必要な第1テーパ角θ1内での正規光像の撮像だけでなく、車両2の別制御Caに必要な第2テーパ角θ2内での正規光像の撮像まで可能なフード9040を含んだカメラモジュール1につき、小型化を図ることができる。
また第9実施形態のフード9040によると、車両2において側壁部9043及びベース壁部9041は、広角ユニット6030wから第1仮想交点I1への広がりによって確保される第1テーパ角θ1には影響し難い側、即ち第1仮想交点I1よりも外界5側では、第2仮想交点I2の側方へ向かって広がる配置状態となる。この場合、フロントウインドシールド3で反射されると第1テーパ角θ1内又は第2テーパ角θ2内へ入射してしまう光は、側壁部9043とベース壁部9041との共同により当該反射前に遮られ得る。故に、特定制御Csに必要な第1テーパ角θ1内での正規光像の撮像と、別制御Caに必要な第2テーパ角θ2内での正規光像の撮像とを、両立させることができる。
また第9実施形態によると、特定制御Csとして前方障害物5aに対する車両2の衝突予防制御では、比較的大きな第1テーパ角θ1を確保して、所期の衝突予防機能を発揮することが可能となる。また一方、特定制御Csとは別制御Caとして走行レーンにおける車両2の運転制御では、比較的小さくてもよい第2テーパ角θ2をもって入射する第2下光線L2の比較的大きな第2俯角ψd2を確保して、所期の運転制御機能を発揮することが可能となる。
尚、以上説明した広角ユニット6030wと共に狭角ユニット6030n及び望遠ユニット6030tを備える第9実施形態では、第6実施形態の第1~第4注目組と同様な作用効果を発揮することもできる。
(第10実施形態)
図33に示すように第10実施形態は、第1実施形態の変形例である。第10実施形態では、各レンズユニット30に共通な共通位置決め部材10060が、カメラモジュール1に追加されている。
共通位置決め部材10060は、例えば金属又は樹脂等の硬質材料により、平板状に形成されている。共通位置決め部材10060は、各レンズユニット10030及び撮像系50を収容空間25にて収容するカメラケーシング20のうち、アッパケーシング部材21に対して螺子固定、接着固定又は圧入固定されている。ここで、第1実施形態と同様にカメラケーシング20がブラケットアセンブリ10を介してフロントウインドシールド3の内側に装着されることで、車両2において共通位置決め部材10060は位置決めされた状態となる。
共通位置決め部材10060は、各レンズユニット10030に個別に対応して、即ち各ユニット10030w,10030n,10030tに個別に対応して、複数(本実施形態では3つ)の挿入孔10600w,10600n,10600tを有している。各挿入孔10600w,10600n,10600tは、それぞれ対応するユニット10030w,10030n,10030tの光軸Aw,An,Atと心合わせされる円筒孔状に、共通位置決め部材10060を貫通している。即ち各挿入孔10600w,10600n,10600tは、横方向及び上下方向の各々とは交差した軸方向にて、共通位置決め部材10060を貫通している。ここで各ユニット10030w,10030n,10030tの鏡筒10032w,10032n,10032tは、それぞれ対応する挿入孔10600w,10600n,10600tの径を補完する外径を有した円筒状に、形成されている。
共通位置決め部材10060は、各挿入孔10600w,10600n,10600tの開口する基準面部10601を、外界5とは反対側の後面に有している。基準面部10601は、各ユニット10030w,10030n,10030tの光軸Aw,An,Atに対して実質垂直に配置される平坦面状を、呈している。基準面部10601は、各ユニット10030w,10030n,10030t同士が上下方向に重なる箇所にて、一平上に広がっている、ここで各ユニット10030w,10030n,10030tの鏡筒10032w,10032n,10032tには、基準面部10601と軸方向に重なる箇所にて、円環平板状のフランジ10038w,10038n,10038tが一体に設けられている。各ユニット10030w,10030n,10030tにおいてフランジ10038w,10038n,10038tは、それぞれの光軸Aw,An,Atに対して実質垂直な平坦面状の当接面部10380w,10380n,10380tを、外界5側の前面に有している。
以上の構成下、各ユニット10030w,10030n,10030tの鏡筒10032w,10032n,10032tは、それぞれ対応する挿入孔10600w,10600n,10600t内に同軸上に嵌合挿入されている。それと共に各ユニット10030w,10030n,10030tの鏡筒10032w,10032n,10032tは、それぞれフランジ10038w,10038n,10038tの当接面部10380w,10380n,10380tを、共通の基準面部10601に対して面接触状態で軸方向に当接させている。これにより、基準面部10601に沿った同一平面上にて各ユニット10030w,10030n,10030tは、カメラケーシング20に対して軸方向に位置決めされている。それと共に各ユニット10030w,10030n,10030tは、それぞれ対応する挿入孔10600w,10600n,10600t内への嵌合挿入により、横方向及び上下方向にも位置決めされている。
こうして位置決めされた各ユニット10030w,10030n,10030tの鏡筒10032w,10032n,10032tは、それぞれのフランジ10038w,10038n,10038tにて共通位置決め部材10060に螺子固定されている。あるいは各ユニット10030w,10030n,10030tの鏡筒10032w,10032n,10032tは、それぞれの対応挿入孔10600w,10600n,10600tに接着固定又は圧入固定されている。
このような第10実施形態によると、車両2において各レンズユニット10030は、フロントウインドシールド3に装着されたカメラケーシング20に収容されることで、それらユニットに共通な共通位置決め部材10060により、軸方向にて位置決めされた状態となる。即ち、第1実施形態に準じて第1~第4注目組を構成するレンズユニット10030としての各ユニット10030w,10030n,10030tは、収容先のカメラケーシング20に対して、共通位置決め部材10060による軸方向での位置決め状態となる。これにより各ユニット10030w,10030n,10030tは、共通の共通位置決め部材10060を介すことで、車両2における互いの軸方向位置関係に生じるバラツキを低減され得る。即ち、車両2における各ユニット10030w,10030n,10030tの位置決め精度を確保することができる。また、各ユニット10030w,10030n,10030tの軸方向位置を共通位置決め部材10060により一括して調整することができるので、生産性を高めることが可能となる。
また第10実施形態の共通位置決め部材10060によると、車両2において基準面部10601が各ユニット10030w,10030n,10030tと軸方向に当接することで、それら全ユニットが位置決めされた状態となる。ここで特に第10実施形態では、基準面部10601との当接により、全ユニット10030w,10030n,10030tが同一平面上での位置決め状態となる。これによれば、同一平面上にて正確に位置決めされ得る各ユニット10030w,10030n,10030tでは、車両2における互いの軸方向位置関係にバラツキ自体が生じ難くなる。即ち、車両2において各ユニット10030w,10030n,10030tを、高精度に位置決めすることができる。また、同一平面上の基準面部10601に対する当接により各ユニット10030w,10030n,10030tを軸方向に簡単に且つ一括して位置決めすることができるので、高い生産性の促進を図ることが可能である。
尚、第10実施形態の各ユニット10030w,10030n,3030tについて、ここまで説明した以外の点は、それぞれ第1実施形態の各ユニット30w,30n,30tと実質同一である。故に第10実施形態では、第1実施形態の第1~第4注目組と同様な作用効果を発揮することもできる。また特に第10実施形態では、各ユニット10030w,10030n,10030tでの軸方向の位置決めにより被写界深度Dw,Dn,Dtを正確に設定し得るので、オーバーラップ領域Rnw,Rtnでの物体のロストを回避する効果の信頼性を、担保することができる。また特に第10実施形態では、各ユニット10030w,10030n,10030tは、共通位置決め部材10060を軸方向に貫通した挿入孔10600w,10600n,10600tにそれぞれ嵌合挿入されることで、横方向に位置決めされている。故に第10実施形態によれば、外界撮像による横方向での画像位置精度を高める効果の信頼性を、担保することができる。
(他の実施形態)
以上、複数の実施形態について説明したが、本開示は、それらの実施形態に限定して解釈されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。尚、以下の説明において、図34,45,46は第2実施形態に関する変形例を代表的に示し、図35~37,40,48,49は第1実施形態に関する変形例を代表的に示し、図38,39,43,44は第3実施形態に関する変形例を代表的に示している。また、図41,42は第9実施形態に関する変形例を代表的に示し、図47は第6実施形態に関する変形例を代表的に示している。
具体的に、第1~第5及び第10実施形態に関する変形例1では、広角ユニット30w,2030w,3030w,4030w,5030w,10030wと狭角ユニット30n,2030n,3030n,10030nと望遠ユニット30t,2030t,3030t,10030tとのうち、少なくとも2種類のユニット同士の配置位置が入れ替えられていてもよい。この場合の図34に示す具体例では、第2実施形態において広角ユニット2030wと望遠ユニット2030tとの配置位置が入れ替えられている。ここで画角θw,θn,θtに応じた焦点距離(詳細には、各レンズ34w,34n,34tとその後段レンズセットとの合成焦点)に起因して、望遠ユニット2030t及び狭角ユニット2030nの各前端部から対応するイメージャユニット51まで距離は、広角ユニット2030wの前端部から対応するイメージャユニット51までの距離よりも長くなる。そこで、図34に示す具体例では、広角ユニット2030wよりも望遠ユニット2030t及び狭角ユニット2030nが奥行側へ張り出した状態となることで、前後方向におけるカメラモジュール1の小型化を図ることができる。
第1~第10実施形態に関する変形例2では、望遠ユニット30t,2030t,3030t,6030t,7030t,8030t,10030tが設けられていなくてもよい。この場合には、さらに狭角ユニット30n,2030n,3030n,6030n,7030n,8030n,10030nの狭角レンズ34nに代替して、望遠ユニット30t,2030t,3030t,6030t,7030t,8030t,10030tの望遠レンズ34tを採用しても、第1~第10実施形態と同様な作用効果を発揮することもできる。
第1、第2、第4、第5及び第10実施形態に関する変形例3では、望遠ユニット30t,2030t,10030tの配置位置が狭角ユニット30n,2030n,10030nの上側以外であってもよい。この場合の図35~37に示す具体例では、広角ユニット30wと狭角ユニット30nとのうち少なくとも一方に対する横方向の片側に、望遠ユニット30tが配置されている。これにより望遠ユニット30tは、広角ユニット30wと狭角ユニット30nとのうち少なくとも一方に対して、横方向に重なった状態となる。
第3~第5及び第10実施形態に関する変形例4では第2実施形態に準じて、上側の狭角ユニット3030n,10030nと望遠ユニット3030t,10030tとのうち少なくとも一方よりも、広角ユニット3030w,4030w,5030w,10030wが奥行側へ張り出した状態となっていてもよい。この場合の図38,39に示す具体例では、広角ユニット3030wが狭角ユニット3030n及び望遠ユニット3030tの双方よりも、奥行側へと張り出した状態になっている。
第1、第3、第4、第5及び第10実施形態に関する変形例5では、第2実施形態に準じて各ユニット30w,30n,30t,3030w,3030n,3030t,4030w,5030w,10030w,10030n,10030t毎に個別に、レンズ窓211が設けられていてもよい。第2実施形態に関する変形例6では、第1実施形態に準じて全ユニット2030w,2030n,2030tに共通に、レンズ窓211が設けられていてもよい。
第1、第4及び第5及び第10実施形態に関する変形例7では、図40に示す各ユニット30w,30n,30t,4030w,5030w,10030w,10030n,10030tの光軸Aw,An,At同士が横方向に限って偏心することで、それらユニット同士が横方向にて重なっていてもよい。この場合、横方向での画像位置精度に関する以外の作用効果を第1実施形態と同様に発揮することができ、さらに横方向での画像位置精度は位置座標のずれ補正により確保することができる。
第2、第3及び第6~第10実施形態に関する変形例8では、第4実施形態に準じて、広角ユニット2030w,3030w,6030w,10030wの被写界深度Dwが設定されていてもよい。第2、第3及び第6~第10実施形態に関する変形例9では、第5実施形態に準じて、広角ユニット2030w,3030w,6030w,10030wの被写界深度Dwが設定されていてもよい。
第6~第9実施形態に関する変形例10では、狭角ユニット6030n,7030n,8030nと望遠ユニット6030t,7030t,8030tとにつき、配置位置が入れ替えられていてもよい。第6~第9実施形態に関する変形例11では、レンズ窓6211w内及び広角露出窓6431w内から撮像空間410内にまで、広角ユニット6030wの前端部が進入していてもよい。第6~第9実施形態に関する変形例12では、撮像空間410内及び広角露出窓6431w内からは外れる状態下、レンズ窓6211w内までは広角ユニット6030wの前端部が進入していてもよい。
第6~第9実施形態に関する変形例13では、各ユニット6030w,6030n,6030t,7030n,7030t,8030n,8030tの光軸Aw,An,Atのうち、少なくとも2つが横方向及び上下方向の双方に互いに偏心して、上下に位置ずれしていてもよい。第9実施形態に関する変形例14では、特定制御Csが車両2の衝突予防制御以外であってもよい。第9実施形態に関する変形例15では、特定制御Csと異なっている限りで、別制御Caが走行レーンにおける車両2の運転制御以外であってもよい。第9実施形態に関する変形例16では、別制御Caが実行されなくてもよい。この場合、第2テーパ角θ2が規定されないことで、第2仮想交点I2は仮想されなくてもよく、例えばベース壁部9041が所定の第2俯角ψd2に沿う等の構造で形成されてもよい。
第1~第10実施形態に関する変形例17では、少なくとも片側の側壁部43,6043,9043がベース壁部41,9041から鋭角又は鈍角を挟んで立設されていれもよい。第1~第10実施形態に関する変形例18では、少なくとも片側の側壁部43,6043,9043が屈曲板状又は湾曲板状に形成されていてもよい。この場合の図41に示す具体例では、両側壁部9043が第1仮想交点I1に対応する箇所にて屈曲することで、傾斜部9043b及びストレート部9043cをそれぞれ有している。ここで傾斜部9043bは、第1仮想交点I1よりも広角ユニット6030w側では第9実施形態と同様に、内壁面9043abが同ユニット6030wの画角θwに応じた第1テーパ角θ1よりも外側にて同角θ1のテーパ線に沿って広がっている。そこで傾斜部9043bには、露出窓6431n,6431tが開口形成される。一方でストレート部9043cは、第1仮想交点I1よりも外界5側では第9実施形態と異なり、内壁面9043acが第1テーパ角θ1のテーパ線よりも内側にて広角ユニット6030wの光軸Awに実質平行に沿って広がっている。
第9実施形態に関する変形例19では、図42に示すように、少なくとも片側の側壁部9043において第1仮想交点I1よりも外界5側となる傾斜部分に、露出窓6431n,6431tが開口形成されていてもよい。尚、図42は、両側の側壁部9043において変形例19を適用した具体例を、示している。
第3~第5実施形態に関する変形例20では、上下方向及び横方向の少なくとも一方にて重なる各ユニット30n,30t,3030w,3030n,3030t,4030w,5030wを基準面部10601により同一平面上にて位置決めするように、第10実施形態に準ずる共通位置決め部材10060及びフランジ10038w,10038n,10038tが設けられていてもよい。この場合の図43,44に示す具体例では、各3030w,3030n,3030tが上下方向又は横方向にて重なる箇所にて同一平面上に位置決めされている。
第2及び第6~第9実施形態に関する変形例21では、各ユニット2030w,2030n,2030t,6030w,6030n,6030t,7030n,7030t,8030n,8030tが上下方向及び横方向の少なくとも一方にて重なる限りで、それらユニットを基準面部10601により同一平面上にて位置決めするように、第10実施形態に準ずる共通位置決め部材10060及びフランジ10038w,10038n,10038tが設けられていてもよい。この場合の図45に示す具体例では、上述の変形例1との組み合わせにより、各2030w,2030n,2030tが上下方向に重なる箇所にて同一平面上に位置決めされている。
第1~第9実施形態に関する変形例22では、各ユニット30w,30n,30t,2030w,2030n,2030t,3030w,3030n,3030t,4030w,5030w,6030w,6030n,6030t,7030n,7030t,8030n,8030tを互いに異なる平面上の基準面部にて位置決めするように、第10実施形態から変形された共通位置決め部材10060及びフランジ10038w,10038n,10038tが設けられていてもよい。この場合の図46,47に示す具体例では、各ユニット2030w,2030n,2030t,6030w,6030n,6030tが個別に分断された基準面部10601w,10601n,10601tにより、互いに異なる平面上にて軸方向に位置決めされている。
第1~第9実施形態に関する変形例23では、各ユニット30w,30n,30t,2030w,2030n,2030t,3030w,3030n,3030t,4030w,5030w,6030w,6030n,6030t,7030n,7030t,8030n,8030tをそれぞれ挿入孔10600w,10600n,10600tに螺子固定して位置決めするように、第10実施形態から変形された共通位置決め部材10060が設けられていてもよい。この場合の図48に示す具体例では、各ユニット30w,30n,30tの挿入孔10600w,10600n,10600tへの螺合により、軸方向での位置決めが実現されている。
第1~第10実施形態に関する変形例24では、制御回路55の少なくとも一部の機能は、カメラケーシング20外の例えばECU等といった外部回路により、実現されていてもよい。第1~第10実施形態に関する変形例25では、少なくとも1つの通窓541が制御基板54に設けられていなくてもよい。この場合、通窓541に挿通されるFPC540に代替して、図49に示すように、制御基板54のうち後側縁部544の外周側に回り込むFPC1540が採用される。尚、図49は、望遠ユニット30tと対応するイメージャユニット51に接続されたFPC1540のみ、後側縁部544の外周側に回り込ませた具体例を、示している。
第1~第10実施形態に関する変形例26では、装着パッド12が設けられずに、ブラケット本体11がフロントウインドシールド3と接着固定されてもよい。第1~第10実施形態に関する変形例27では、ブラケット本体11が設けられずに、カメラケーシング20により保持される装着パッド12がフロントウインドシールド3と接着固定されてもよい。
第1~第10実施形態に関する変形例28では、フード40,6040,9040がブラケット本体11とは別体に形成されていてもよい。第1~第5及び第10実施形態に関する変形例29では、露出窓6431w,6431n,6431tではなく、各側壁部6043の後端部間から各ユニット30w,30n,30t,2030w,2030n,2030t,3030w,3030n,3030t,4030w,5030w,10030w,10030n,10030tを露出させるように第6実施形態から変形されたフード6040が、フード40に代替して設けられていてもよい。第1~第5及び第10実施形態に関する変形例30では、露出窓6431w,6431n,6431tではなく、各側壁部9043の後端部間から各ユニット30w,30n,30t,2030w,2030n,2020t,3030w,3030n,3030t,4030w,5030w,10030w,10030n,10030tを露出させるように第9実施形態から変形されたフード9040が、フード40に代替して設けられていてもよい。
第7及び第8実施形態に関する変形例31では、フード6040に代替して、第9実施形態のフード9040が設けられていてもよい。第1~第5及び第10実施形態に関する変形例32では、フード40が設けられていなくてもよい。第1~第10実施形態に関する変形例33では、40,6040,9040において左右方向に沿って延伸するように、複数の凸状リブ又は複数のへ凹状溝が設けられていてもよい。
第1~第10実施形態に関する変形例34では、各ユニット30w,30n,30t,2030w,2030n,2020t,3030w,3030n,3030t,4030w,5030w,6030w,6030n,6030t,7030n,7030t,8030n,8030t,10030w,10030n,10030tの光軸Aw,An,Atのうち、少なくとも2つ同士の延伸方向が互いに傾斜していてもよい。以上の他、第1~第10実施形態に関する変形例35では、車両2におけるリアウインドシールドの内側にカメラモジュール1が装着されてもよく、この場合に第1~第10実施形態とは前後関係が逆となる。