以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図1に示される活性エネルギ照射装置1は、例えば印刷用途向けのLED光源(光照射装置)である。活性エネルギ照射装置1は、紫外線(活性エネルギ線)を被照射物に照射し、被照射物のインク乾燥等を行う。被照射物としては、例えば光硬化型インクが付着している印刷物が挙げられる。図1、図2及び図3に示されるように、活性エネルギ照射装置1は、筐体2、照射部3、ヒートシンク(熱伝導部材)4、第1開口部5、エア導入部6、ドライバ基板7、第2開口部8及びファン9を備える。
なお、以下においては、説明の便宜上、活性エネルギ照射装置1が紫外線を出射する方向を「下方」とし、その反対側を「上方」とする。「上下方向」と直交する方向を「左右方向」とし、「上下方向」及び「左右方向」と直交する方向を「前後方向」とする。
筐体2は、矩形箱状を呈する。筐体2は、金属で形成されている。筐体2は、その内部に照射部3、ヒートシンク4、エア導入部6及びドライバ基板7を収容する。筐体2の下壁2aには、ガラス板からなる光照射窓21が設けられている。
照射部3は、筐体2内に配置されている。照射部3は、活性エネルギ線として紫外線を照射する。照射部3は、所定回路を構成する矩形板状の基板31と、基板31上において前後方向及び左右方向に所定ピッチで並設された発光素子である紫外線LED(Light Emitting Diode)32と、を含む。照射部3は、筐体2の内部における下端部に、基板31の厚さ方向を上下方向にして配置されている。照射部3の紫外線LED32から出射された紫外線は、筐体2の光照射窓21を介して被照射物に照射される。
ヒートシンク4は、筐体2内に配置されている。ヒートシンク4は、照射部3と熱的に接続されている。ヒートシンク4は、エアとの熱交換により放熱する空冷式の放熱部材である。エアは、照射部3の冷却用の熱媒体(冷媒、冷却風)を構成する。ヒートシンク4は、ベースプレート41及び複数の放熱フィン42を有する。ベースプレート41は、上下方向を厚さ方向とする矩形板状を呈する。ベースプレート41の下面は、照射部3の基板31と接触する。放熱フィン42は、前後方向を厚さ方向とする平板状を呈する。放熱フィン42は、ベースプレート41の上面に立設されている。放熱フィン42は、前後方向において隙間をあけて積層するように並べられている。ヒートシンク4は、例えばネジ等により筐体2に固定されている。
第1開口部5は、筐体2の側壁2bに設けられた開口である。ここでは、第1開口部5は、矩形状を呈し、側壁2bにおける上下方向の中央部に形成されている。第1開口部5は、筐体2外のエアを筐体2内へ吸気するための吸気口を構成する。第1開口部5は、側壁2bにおいて左右方向に開口し、筐体2の内外を連通する。第1開口部5は、側壁2bにおける前後方向の一端部及び他端部に形成された小開口部51と、小開口部51の間に形成された大開口部52と、を含む。
エア導入部6は、筐体2内に配置されている。エア導入部6は、第1開口部5を介して左右方向(第1方向)に沿って筐体2内に流入したエアを、ヒートシンク4へ向かう下方(第1方向と交差する第2方向)へ偏向させて、ヒートシンク4へ導入する。エア導入部6は、第1開口部5とヒートシンク4とを接続する。エア導入部6は、筐体2内における第1開口部5側に配置されている。
ドライバ基板7は、筐体2内に配置されている。ドライバ基板7は、活性エネルギ照射装置1を駆動するための駆動用の電気回路基板である。ドライバ基板7は、筐体2内における第1開口部5側とは反対側に、左右方向を厚さ方向にして配置されている。ドライバ基板7は、例えばスペーサ(不図示)等を介して、ネジ等により筐体2に固定されている。ドライバ基板7は、その下部において照射部3の基板31と電気的に接続されている。ドライバ基板7の上部には、電源供給用及び信号入出力用のコネクタ71が電気的に接続されている。コネクタ71は、筐体2の上壁2cにおける前端部から上方に突出するように設けられている。
第2開口部8は、筐体2の上壁2cに設けられた開口である。第2開口部8は、筐体2内のエアを筐体2外へ排気するための排気口を構成する。第2開口部8は、上壁2cにおいて上下方向に開口し、筐体2の内外を連通する。ファン9は、筐体2の上壁2cにおける第2開口部8上に固定されている。ファン9は、下方(筐体2内)から吸い込んだエアを上方(筐体2外)へ圧送する。ここでは、ファン9は、前後方向に並ぶように一対設けられている。ファン9としては、例えば軸流ファンが用いられている。なお、ファン9は、1つのみ設けられていてもよいし、並ぶように3つ以上設けられていてもよい。
本実施形態では、エア導入部6は、フィルタセパレータ61と、フィルタ62と、を有する。
フィルタセパレータ61は、筐体2内において、第1開口部5側に位置し且つ第1開口部5を介して外部へ通じる空間Rを画成する(仕切る)。フィルタセパレータ61は、筐体2内にて固定されている。フィルタセパレータ61は、側板(仕切り部)61a及び上板61bを含む。側板61aは、左右方向を厚さ方向とする矩形平板状を呈する。側板61aは、筐体2内において第1開口部5に対向するように設けられている。側板61aは、筐体2の側壁2bから所定距離離れて配置されている。側板61aの上端部は、第1開口部5よりも上方に位置する。側板61aの下端部は、第1開口部5よりも下方に位置し、且つ、ヒートシンク4の放熱フィン42の上面に近接する。側板61aの前端部は、筐体2の前壁2dに隙間なく接触する。側板61aの後端部は、筐体2の後壁2eに隙間なく接触する。側板61aは、例えばステー63を介してドライバ基板7に固定されて支持されている。上板61bは、上下方向を厚さ方向とする矩形平板状を呈する。上板61bの左右方向の一端側は、側板61aの上端部に連続するように設けられている。上板61bの左右方向の他端側は、筐体2の側壁2bに隙間なく接触する。上板61bは、フランジ64を介して筐体2の側壁2bにネジ等で固定されている。
フィルタ62は、筐体2内に流入するエアに含まれる異物を捕集する。異物としては、例えばインクミスト、埃及び塵等が挙げられる。フィルタ62は、例えば厚さが10mmの矩形板状を呈する(図4参照)。フィルタ62は、例えばウレタン等で形成されている。フィルタ62は、第1開口部5とフィルタセパレータ61の側板61aとの間に設けられている。フィルタ62は、空間R内に配置されている。フィルタ62は、第1開口部5を介して外部へ露出する。
フィルタ62における側板61a側(左右方向の一端側)の全域は、当該側板61aに隙間なく接触する。フィルタ62における第1開口部5側(左右方向の他端側)は、第1開口部5から露出する領域(以下、「フィルタ露出領域Z0」ともいう)を除いて、側壁2bに隙間なく接触する。フィルタ62における上側の全域は、フィルタセパレータ61の上板61bに隙間なく接触する。フィルタ62における下側の全域は、ヒートシンク4の放熱フィン42の上面に隙間なく接触する。フィルタ62は、フィルタセパレータ61、ヒートシンク4及び筐体2に支持ないし保持されている。フィルタ62は、フィルタセパレータ61、ヒートシンク4及び筐体2に対して、接着材等で接着されていない。フィルタ62は、空間R内に押し込まれて、フィルタセパレータ61、ヒートシンク4及び筐体2に接している。このようなフィルタ62は、第1開口部5を介して空間R内に進入及び空間R内から退出させることで、容易に交換することが可能である。
フィルタ62は、第1フィルタ部分F1を含む。第1フィルタ部分F1は、フィルタ62の異物捕集能を補償する部分(すなわち、フィルタ性能バッファ領域)としての機能ないし役割を有する。第1フィルタ部分F1は、フィルタ62におけるヒートシンク4側である下側(換言すると、エアの下流側)に設けられている。第1フィルタ部分F1は、左右方向から見て、第1開口部5から露出せず、筐体2の側壁2bに覆われている部分である。第1フィルタ部分F1は、所定量以上の体積を有する部分である。第1フィルタ部分F1は、フィルタセパレータ61の側板61aに接触する部分である。第1フィルタ部分F1は、側板61aに接触する程度の厚さを有する。第1フィルタ部分F1は、エア導入部6におけるエアの流路を塞ぐように設けられており、筐体2の内面及び側板61aに対して隙間なく接触する。
以上のように構成された活性エネルギ照射装置1では、図5に示されるように、第1開口部5から筐体2内に流入したエアは、エア導入部6により、ヒートシンク4の放熱フィン42間における左右方向の他端側に導入される。エア導入部6では、エアに含まれるインクミスト等の異物が、フィルタ62により捕集されて除去される。特に、フィルタ62の第1フィルタ部分F1により、エアの異物が確実に捕集される。そして、エアは、放熱フィン42間を左右方向の一端側へ向かって流れ、これにより、ヒートシンク4が冷却されて照射部3が冷却される。その後、エアは、放熱フィン42間における左右方向の一端とドライバ基板7との間から上方へ向かって流れ、第2開口部8からファン9により筐体2外へ排気される。
ここで、エア導入部6では、第1開口部5を介して左右方向に沿って筐体2内に流入したエアが、下方向へ偏向されて(流れが90度曲げられて)ヒートシンク4へ導入される。これにより、フィルタ62のフィルタ露出領域Z0においては、エアを偏向させた下側に、エアが通過しやすい部分を形成することができる。具体的には、フィルタ露出領域Z0の下側にエアが通過しやすい部分を形成し、フィルタ露出領域Z0の上側にエアが通過しにくい部分を形成することができる。換言すると、フィルタ露出領域Z0の下側に行くに連れてエアが通過しやすいようにフィルタ62を構成することができる。
また、第1フィルタ部分F1の存在により、フィルタ62とフィルタセパレータ61との間に空間(隙間)が形成されることを抑制できるため、フィルタ62におけるエアの抵抗損失の差を形成しやすくし、フィルタ露出領域Z0にエアが通過しやすい部分を形成することを、確実に実現することができる。なお、フィルタ62とフィルタセパレータ61との間に空間があると、フィルタ62における抵抗損失の差が少なくなりやすく、フィルタ露出領域Z0にエアが通過しやすい部分を形成し難くなる。
よって、装置の使用当初において、第1開口部5を介して筐体2内に流入するエアは、フィルタ露出領域Z0の全体を均一的に通過するのではなく、フィルタ露出領域Z0の下部(一部)を主に通過する。そして、図6に示されるように、装置の使用時間が増え、フィルタ露出領域Z0の当該下部にて目詰まりMが進展すると、エアが主に通過する領域がフィルタ露出領域Z0における上部(他の一部)へ遷移する。このような遷移が、フィルタ露出領域Z0全体が目詰まりするまで、装置の使用時間の増大に伴って繰り返されることとなる。
したがって、活性エネルギ照射装置1によれば、装置の使用時間が増大した際においても、フィルタ62の全体が均一的に目詰まりしていく場合と比較して、フィルタ62のフィルタ露出領域Z0に未だ目詰まりMが進展していない領域を確保しやすく、使用当初と同様のエア導入部6の流通量を確保しやすくなる。その結果、使用時間の増大に伴うエアの流量低下を抑制し、使用時間の増大に伴う照射部3の温度上昇を抑制することが可能となる。使用時間が増大しても、例えばフィルタ露出領域Z0が全体的に完全に目詰まりするまでは、エアの流量低下及び照射部3の温度上昇を抑えることが可能となる。活性エネルギ照射装置1の出力を長時間に亘って安定化させることができる。フィルタ62の交換までに性能を維持できる時間を長くすることができる。
活性エネルギ照射装置1では、フィルタ62は、フィルタセパレータ61の側板61a側の全域が当該側板61aに接触していている。この場合、側板61aによりフィルタ62を効果的に支持することができる。
活性エネルギ照射装置1は、筐体2に設けられヒートシンク4を通過したエアを筐体2外へ流出する第2開口部8を備える。この場合、ヒートシンク4を冷却したエアを、第2開口部8を介して筐体2外へ流出させることができる。
活性エネルギ照射装置1は、熱伝導部材として、ヒートシンク4を備える。この場合、ヒートシンク4を熱伝導部材として利用して、照射部3を冷却することが可能となる。
活性エネルギ照射装置1では、照射部3は、複数の紫外線LED32を有する。この場合、照射部3は、活性エネルギとして紫外線を照射することが可能となる。
活性エネルギ照射装置1では、フィルタ62は、ヒートシンク4の放熱フィン42に接触する。この場合、ヒートシンク4の放熱フィン42によりフィルタ62を効果的に支持することができる。
活性エネルギ照射装置1では、フィルタ62の第1フィルタ部分F1は、エア導入部6におけるエアの流路を塞ぐように設けられている。この場合、第1フィルタ部分F1により、フィルタ62の異物捕集能を確実に補償し、エアに含まれる異物を一層確実に捕集することができる。
活性エネルギ照射装置1では、第1開口部5が開口率の大きい矩形状とされている。この場合、フィルタ露出領域Z0を増やすことができると共に、フィルタ62の交換の利便性を高めることができる。また、製造コストを抑えることができる。
図7(a)~図7(d)は、活性エネルギ照射装置1におけるフィルタ62の一部を示す図である。図7(e)は、活性エネルギ照射装置1におけるフィルタ62の目詰まりと照射部3の温度との関係を示すグラフである。図7(a)~図7(d)では、この順に装置の使用時間が増えている。つまり、本実施形態では、使用時間の増大に伴い、フィルタ62のフィルタ露出領域Z0が図7(a)~図7(d)に示される各状態にこの順に遷移する。各図における上下方向は、図5の上下方向に対応する。図7(e)において、縦軸は照射部3の温度(℃)を示し、横軸はフィルタ62の目詰まりの割合を示す。目詰まりの割合は、目詰まりの進展度合いに対応し、装置の使用時間に対応する。目詰まりの割合は、その値が大きくなるに連れて目詰まりが進展していること表し、目詰まりが生じた箇所によらない。目詰まりの割合が50%でフィルタ62が半分目詰まりしたことを意味し、目詰まりの割合が100%でフィルタ62が完全に目詰まりしたことを意味する。
図7(a)~図7(d)に示されるように、本実施形態では、使用当初、フィルタ露出領域Z0における下部をエアが主に通過してそこに目詰まりMが発生する。装置の使用時間が増えるに連れて、当該エアが主に通過する領域が上部へ遷移して、目詰まりMも上部へ遷移する。その結果、図7(e)に示されるように、例えば使用時間の増大に伴ってフィルタ62の目詰まりの割合が70~80%に達するまでは、照射部3の温度の上昇を抑えて、照射部3の温度を70℃以下に留めることが可能となる。
なお、フィルタ62及び筐体2の少なくとも何れかには、フィルタ62の目詰まりMの割合が所定割合であることを示す目印RL(図7(a)等参照)が設けられていてもよい。この場合、目印RLを参照することで、フィルタ62において目詰まりMが所定割合まで遷移したかどうかを容易に確認することができる。また、例えば、目詰まりMが上部へ遷移するため、フィルタ交換時期に対応する位置(目詰まりMの割合が70~80%(所定割合)となるような位置等)に目印RLで指示しておくことで、目詰まりMが指示したところまで遷移したときがフィルタ交換時期であることを示すことができ、フィルタ62の交換を促すことことが可能となる。目印RLは、特に限定されず、ラインであってもよいし、ドットであってもよいし、その他のマーク等であってもよい。目印RLが設けられる箇所は、特に限定されず、フィルタ62であってもよいし、これに代えて又は加えて、筐体2の側壁2bにおけるフィルタ62が露出する第1開口部5の周辺であってもよい。所定割合は、特に限定されず、様々な割合であってもよい。
また、フィルタ62は、印刷色(印刷物としての被照射物のインクの色)とは異なる色(例えば黒インクであれば白色系又は黄色系、白色系インクであれば黒系)のフィルタであってもよい。この場合、目詰まりMの上部へ遷移する状態が鮮明になり、目詰まりMの程度を容易に確認することができる。
図8(a)~図8(d)は、比較例に係る活性エネルギ照射装置におけるフィルタ62の一部を示す図である。図8(e)は、比較例に係る活性エネルギ照射装置におけるフィルタ62の目詰まりと照射部3の温度との関係を示すグラフである。比較例に係る活性エネルギ照射装置は、装置の使用時間が増大するに伴ってフィルタ62の全体が均一的に目詰まりしていく点で、上記活性エネルギ照射装置1と異なる。図8(a)~図8(d)では、この順に装置の使用時間が増えている。つまり、使用時間の増大に伴い、フィルタ62が図8(a)~図8(d)に示される各状態にこの順に遷移する。各図における上下方向は、図5の上下方向に対応する。図8(e)において、縦軸は照射部3の温度(℃)を示し、横軸はフィルタ62の目詰まりの割合を示す。
図8(a)~図8(d)に示されるように、比較例に係る活性エネルギ照射装置では、エアは、使用当初から装置の使用時間が増大するに連れ、フィルタ62の全体が均一的に目詰まりしていく。その結果、図8(e)に示されるように、例えば使用時間の増大に伴ってフィルタ62の目詰まりの割合も徐々に上昇し、目詰まりの割合が50%の時点で、照射部3の温度が70℃に達してしまうことがわかる。
図9は、活性エネルギ照射装置1を備えるインクジェットプリンタ100を示す概略構成図である。図9に示されるように、活性エネルギ照射装置1は、インクジェットプリンタ100に搭載することができる。インクジェットプリンタ100は、キャリッジ10を更に備える。キャリッジ10は、複数の記録ヘッドを有する。複数の記録ヘッドは、キャリッジ10の下方において左右方向に搬送される印刷物Pに向けて、光硬化性インクを吐出する。キャリッジ10と活性エネルギ照射装置1とは、左右方向において連結されている。インクジェットプリンタ100では、印刷時においてキャリッジ10及び活性エネルギ照射装置1が左右方向に沿って走査(移動)される。なお、インクジェットプリンタ100は、複数の活性エネルギ照射装置1を備えていてもよい。
このようなインクジェットプリンタ100においても、上記活性エネルギ照射装置1により、上記効果、すなわち、使用時間の増大に伴う照射部の温度上昇を抑制できるという効果を奏する。
本発明の一態様は、上記実施形態に限定されない。
図10は、第1変形例に係る活性エネルギ照射装置101を示す斜視図である。図11は、第1変形例に係る活性エネルギ照射装置101を示す正面図である。図10及び図11に示されるように、第1変形例に係る活性エネルギ照射装置101は、スカート部110を備える点で上記活性エネルギ照射装置1(図1参照)と異なる。
スカート部110は、筐体2の側壁2bの外面において第1開口部5よりも下側(照射部3側)に配置されている。スカート部110は、側壁2bの外面から左右方向の外側に突出するように設けられている。スカート部110は、側壁2bの外面において第1開口部5に対して下方に所定長離れた位置から下縁に亘る範囲に配置され、ネジ等により側壁2bに固定されている。スカート部110は、側壁2bの外面に滑らかに連なる曲面としてのガイド面110aを有する。
ガイド面110aは、前後方向から見て、円弧状を呈する。ガイド面110aの上端は、側壁2bの外面に連なり、ガイド面110aの下端は、側壁2bの外面に対して左右方向の外側に離れる。スカート部110の下面は、筐体2の下壁2aの外面と面一とされている。スカート部110の前面は、筐体2の前壁2dの外面と面一とされている。スカート部110の後面は、筐体2の後壁2eの外面と面一とされている。このようなスカート部110は、機械加工部品であってもよいし、鈑金部品であってもよいし、樹脂成形部品であってもよい。スカート部110のガイド面110aは、当該曲面に代えてもしくは加えて、前後方向から見て直線的な、平面状の面を含んでいてもよい。例えばガイド面110aは、下方に行くに従って側壁2bに対して離れる傾斜面を含んでいてもよい。
図12は、活性エネルギ照射装置101の周囲におけるエアの流れを示すシミュレーション結果である。図13は、活性エネルギ照射装置1の周囲におけるエアの流れを示すシミュレーション結果である。図示する例では、印刷物Pが左右方向に搬送され、その上方を活性エネルギ照射装置1,101が図示左方向へ移動している。図中のラインは、周囲のエアの流れを表している。
図12及び図13に示されるように、活性エネルギ照射装置101では、スカート部110により、装置の周囲に存在するインクミスト等の異物を含むエアを、第1開口部5へ効率よく導くことができる。スカート部110により第1開口部5へインクミストを導き、インクミストの収集率を高めることができる。印刷物Pにインクミストが付着する可能性を下げることができ、効率よくインクミストを回収することが可能となる。
図14は、第2変形例に係る活性エネルギ照射装置201の一部を拡大して示す断面図である。図14に示されるように、第2変形例に係る活性エネルギ照射装置201は、エア導入部6がフィルタ262を有する点で上記活性エネルギ照射装置1(図3参照)と異なる。
フィルタ262は、第2フィルタ部分F2を含む。第2フィルタ部分F2は、フィルタ262における上側(少なくともヒートシンク4側の反対側)に設けられている。第2フィルタ部分F2は、第1フィルタ部分F1よりも薄い。第2フィルタ部分F2は、フィルタ262において上端からフィルタ露出領域Z0の上下方向の中央ないし中央上寄りの位置までの部分に設けられている。第2フィルタ部分F2は、第1フィルタ部分F1よりも薄い一定厚さとなるように構成されている。第2フィルタ部分F2における側板61a側は、側板61aに接触しておらず、側板61aとの間に隙間が形成される。つまり、フィルタ262における側板61a側には、段差が形成されている。
ところで、エアがフィルタ62(図3参照)の中央ないし上側を通ってヒートシンク4へ導入する場合、エアがフィルタ62(図3参照)の下側を通ってヒートシンク4へ導入する場合に比べて、その通過経路が長くなって抵抗損失が大きくなりやすい。このことから、装置の使用時間が増えるに連れてフィルタ露出領域Z0の目詰まりが下部から上方へ遷移し、エアが主にフィルタ62(図3参照)の中央ないし上側を通るようになったときには、抵抗損失が大きくなりやすい可能性がある。
この点、活性エネルギ照射装置201では、フィルタ262が第2フィルタ部分F2を含む。これにより、エアが主に第2フィルタ部分F2を通るようになったとき(装置の使用時間が増えて、フィルタ露出領域Z0の目詰まりが上方へ遷移したとき)、当該第2フィルタ部分F2が薄いことから、フィルタ262におけるエアの通過経路を短くすることができるため、エアの抵抗損失を小さくすることが可能となる。使用時間の増大に伴うエアの流量低下を一層抑制し、使用時間の増大に伴う照射部3の温度上昇を一層抑制することが可能となる。エアがフィルタ262における上側を通る場合にエアの抵抗損失を小さくすることを、具体的に実現することができる。
図15は、第3変形例に係る活性エネルギ照射装置301の一部を拡大して示す断面図である。図15に示されるように、第3変形例に係る活性エネルギ照射装置301は、エア導入部6がフィルタセパレータ361及びフィルタ362を有する点で上記活性エネルギ照射装置1(図3参照)と異なる。
フィルタセパレータ361は、側板361aを有する。側板361aは、上下方向の中央ないし中央上寄りの位置から上部が、上側に行くに連れて側壁2bに近づくよう傾斜する。フィルタ362は、第2フィルタ部分F22を含む。第2フィルタ部分F22は、フィルタ362における上側に設けられている。第2フィルタ部分F22は、第1フィルタ部分F1よりも薄い。第1フィルタ部分F1よりも薄い第2フィルタ部分F22の厚さは、第2フィルタ部分F22の平均厚さ又は最小厚さであってもよい。第2フィルタ部分F22は、フィルタ362において上端からフィルタ露出領域Z0の上下方向の中央ないし中央上寄りの位置までの部分に設けられている。第2フィルタ部分F22は、上側に行くに連れて左右方向における厚さが薄くなるように構成されている。第2フィルタ部分F22における側板361a側は、当該側板361aと同様に、上側に行くに連れて側壁2bに近づくよう傾斜する。第2フィルタ部分F22における側板361a側は、側板361aに隙間なく接触する。
活性エネルギ照射装置301においても、第2変型例に係る活性エネルギ照射装置201と同様に、エアが主に第2フィルタ部分F22を通るようになったとき(装置の使用時間が増えて、フィルタ露出領域Z0の目詰まりが上方へ遷移したとき)、当該第2フィルタ部分F22が薄いことから、フィルタ362におけるエアの通過経路を短くすることができるため、エアの抵抗損失を小さくすることが可能となる。使用時間の増大に伴うエアの流量低下を一層抑制し、使用時間の増大に伴う照射部3の温度上昇を一層抑制することが可能となる。エアがフィルタ362における上側を通る場合にエアの抵抗損失を小さくすることを、具体的に実現することができる。
図16は、第4変形例に係る活性エネルギ照射装置401の一部を拡大して示す断面図である。図16に示されるように、第4変形例に係る活性エネルギ照射装置401は、エア導入部6がフィルタ462を有する点で上記活性エネルギ照射装置1(図3参照)と異なる。
フィルタ462は、複数層からなる。ここでは、フィルタ462は、第1フィルタ層462xと第2フィルタ層462yとを有する。第1フィルタ層462xは、第2フィルタ層462yよりも密度が高い(目が細かい)。換言すると、第2フィルタ層462yは、第1フィルタ層462xよりも密度が低い(目が粗い)。活性エネルギ照射装置401では、エア導入部6において、密度が高い第1フィルタ層462xにより異物を積極的に捕集(キャッチ)すると共に、密度が低い第2フィルタ層462yにより抵抗損失を抑えて、エア導入部6の流通量を高めることが可能となる。
活性エネルギ照射装置401によれば、例えばフィルタ462における第1フィルタ層462x及び第2フィルタ層462yそれぞれの密度を変えることで、フィルタ462における異物の捕集性能及びエアの抵抗損失を調整することが可能となる。なお、フィルタ462は2層構造のものに限定されず、3層以上の構造のものであってもよい。フィルタ462の複数層それぞれの密度(粗さ)は、特に限定されず、例えば要求性能に応じて適宜に設定してもよい。
図17は、第5変形例に係る活性エネルギ照射装置501を示す斜視図である。図16に示されるように、第5変形例に係る活性エネルギ照射装置501は、フィルタカバー510を有する点で上記活性エネルギ照射装置1(図3参照)と異なる。
フィルタカバー510は、左右方向を厚さ方向とする矩形平板状を呈する。フィルタカバー510は、第1開口部5を覆うように筐体2の側壁2bに隙間なく接触されている。フィルタカバー510は、側壁2bに例えばネジ等により固定されている。フィルタカバー510には、上下方向に長尺で且つ左右方向に貫通する長孔510hが、前後方向に所定間隔で並ぶように複数形成されている。長孔510hの前後方向の幅は、第1開口部5の小開口部51の前後方向の幅よりも小さい。フィルタカバー510は、フィルタ62のフィルタ露出領域Z0を覆いつつ、複数の長孔510hからフィルタ露出領域Z0を露出させる。なお、フィルタカバー510には、長孔510hに代えてもしくは加えて、複数の丸穴、六角穴、角穴及びメッシュが形成されていてもよい。
活性エネルギ照射装置501によれば、フィルタカバー510により、フィルタ62を保護することができる。また、フィルタカバー510により、第1開口部5を介してフィルタ62が容易に筐体2外へ抜け出ることを防ぐことができる。
上記実施形態では、フィルタセパレータ61は、その側板(仕切り部)61aがステー63を介して固定されて支持されている(図2参照)が、フィルタセパレータ61の固定及び支持の態様は特に限定されない。例えば図18に示されるように、フィルタセパレータ61は、その側板61aが柱状のスペーサ163を介してドライバ基板7に固定されて支持されていてもよい。
上述した実施形態及び変形例では、照射部3が活性エネルギ線として紫外線を照射するが、活性エネルギ線は特に限定されず、電子線であってもよい。この場合、活性エネルギ照射装置は電子線を照射する装置として用いることができる。
上述した実施形態及び変形例における各構成には、上述した材料及び形状に限定されず、様々な材料及び形状を適用することができる。また、上述した実施形態又は変形例における各構成は、他の実施形態又は変形例における各構成に任意に適用することができる。