JP7105638B2 - 腐食検知用センサ、腐食環境検知方法 - Google Patents

腐食検知用センサ、腐食環境検知方法 Download PDF

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Description

本発明は、腐食検知用センサ、及び腐食環境検知方法に関する。より詳細には、外部から視認できない空間内における腐食環境の進行状況を検知する方法、及びこの方法の利用に適したセンサに関する。
コンクリート構造物に含まれる鉄筋が腐食すると、コンクリート構造物の耐久性に大きな影響を及ぼす。このため、コンクリート構造物の腐食状況を事前に把握することは重要である。
コンクリート構造物中の鋼材は、コンクリートがアルカリ性環境を保持していることで鋼材表面に不動態皮膜が形成されており、この皮膜によって腐食から保護されている。しかしながら、例えば、空気中の二酸化炭素や塩化物イオンなどの腐食因子がコンクリート中に侵入すると、不動態皮膜が破壊され、コンクリート中にある水と酸素によって鋼材の腐食が開始する。
コンクリート構造物の鋼材が腐食すると、鋼材の体積膨張が生じ、その膨張圧でコンクリート表面にひび割れが生じる。このようなひび割れが発生すると、ひび割れを通じて更に腐食因子が侵入しやすくなり、腐食環境の進行が加速する。つまり、コンクリート表面にひび割れが確認できる状況においては、既にコンクリート構造物、及びその内部に存在する鉄筋がかなり劣化している場合が想定される。
すなわち、コンクリート表面の状態の変化が目視によって確認できる程度に構造物内部の腐食環境が進行する時点よりも前段階で、コンクリート構造物の腐食の進行状況を把握したいという事情がある。コンクリート構造物の腐食環境が進行していることが確認されれば、腐食因子が内部に侵入するのを防ぐ目的で、例えば、コンクリート表面を所定の材料によって被覆する保全作業を行うことができる。
従来、分極抵抗を測定することでコンクリート構造物の内部の腐食状態を検知する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2013-242163号公報
分極抵抗法の技術を用いて、コンクリート構造物の内部に含まれる鉄筋の腐食状態を検知するためには、対象物となる鉄筋をはつり出す必要がある。すなわち、コンクリート構造物の一部を破壊(微破壊)する必要がある。このため、内部の腐食状態を検知するために必要な作業量が多く、検査作業に時間を要する。
また、コンクリート構造物に限らず、内部が視認できない構造物の腐食状態を検知する必要性の生じる場合があり、かかる構造物の配置場所によっては、そもそも破壊のための作業が困難な場合もあり得る。
本発明は、上記の課題に鑑み、非破壊且つ簡易な方法で、外部から視認できない対象空間内の腐食環境を検知する方法及びその方法の利用に適したセンサを提供することを目的とする。
本発明に係る腐食検知用センサは、
向かい合う第一面と第二面とを有したRFタグと、
リーダ又はリーダライタに対向させることで通信可能となる前記RFタグの前記第一面上に、前記第一面を実質的に覆うように形成された腐食性金属部材とを備えたことを特徴とする。
この腐食検知用センサは、腐食性金属部材を対象物として模擬することで、外部から視認できない対象空間内の腐食環境の進行状況を検知する用途に利用される。対象空間内に腐食検知用センサを配置し、RFタグとの間で通信可能なリーダ又はリーダライタによって電波信号を受信することで、腐食環境の進行状況が検知される。
簡単のために、腐食性金属部材がRFタグの第一面上を完全に覆うように形成されている場合を例に挙げて説明する。このとき、対象空間内において、腐食環境が進行していない場合には、RFタグの第一面上を覆う腐食性金属部材によって電波信号が遮断される。このため、リーダ又はリーダライタを対象空間に近づけた場合においても、リーダ又はリーダライタによって電波信号を受信することができない。一方、対象空間内において腐食環境がある程度進行している場合には、RFタグの第一面上を覆う腐食性金属部材に対しても腐食が進行する。このとき、腐食性金属部材が金属化合物に変化することで金属成分が消失するため、電波信号を遮断する機能が低下する。これにより、リーダ又はリーダライタを対象空間に近づけた場合、ある程度の強度を示す電波信号が受信される。
すなわち、リーダ又はリーダライタによって受信される電波信号の有無、又は強度によって、対象空間内の腐食環境の進行の有無又はその程度を検知することができる。
前記腐食性金属部材は、鉄箔で構成されるものとしても構わない。
なお、腐食性金属部材は、故障検知の目的で、RFタグの第一面のごく一部を露出させた状態で、RFタグの第一面上を覆うように形成されていても構わない。すなわち、腐食性金属部材は、RFタグの第一面のうち、50%以上100%以下の面積を覆うように形成されているのが好ましく、75%以上95%以下の面積を覆うように形成されているのがより好ましい。
上述した腐食検知用センサは、RFタグの一方の面に腐食性金属部材を配置した構成であるため、小型化が可能である。このため、腐食検知用センサを対象空間内の所望の位置に配置できる。例えば、対象空間の外表面に近い位置に腐食検知用センサを配置することで、対象空間内の深い位置まで腐食環境が進行するよりも前段階で、腐食環境の進行の程度を検知できる。また、対象空間内の外表面に対して、深さ方向に異なる位置に複数の腐食検知用センサを配置することで、各腐食検知用センサからの電波信号の強度の相違により、腐食環境の進行状況をより詳細に知ることができる。
なお、本明細書において、「リーダ」とは、RFタグから送信される電波信号を読み取る機能を備え、RFタグに対して情報の書き込み機能を備えない機器を指し、「リーダライタ」とは、RFタグから送信される電波信号を読み取る機能と共に、RFタグに対して情報の書き込み機能を備える機器を指す。以下では、煩雑さを避けるために、リーダ又はリーダライタという記載を、「リーダライタ等」と略記することがある。
好ましくは、前記腐食検知用センサは、前記RFタグの前記第一面を前記対象空間の外表面に対して実質的に対向させた状態で埋め込まれて配置される。電波信号には指向性があるため、かかる向きに配置することで、腐食性金属部材に対して腐食環境が進行している場合に、リーダライタ等によって電波信号を正しく受信することができる。なお、前記RFタグの前記第一面と前記対象空間の外表面とが「実質的に対向する」とは、前記第一面と前記外表面とのなす角度の絶対値が45°以下であるものとして構わない。前記角度の絶対値は、より好ましくは30°以下であり、更に好ましくは15°以下である。
前記RFタグは、前記第二面が金属部材で覆われた金属対応RFタグ、又は前記第二面が磁性シートで覆われた金属非対応RFタグであるものとしても構わない。
金属対応RFタグは、当該金属対応RFタグの、リーダライタ等とは反対側の近傍の位置に金属材料が存在していると、リーダライタ等との間で通信を形成する。また、金属非対応タグにおいても、第二面側に磁性シートが形成されている場合には、金属対応RFタグと同様に、リーダライタ等とは反対側の近傍の位置に金属材料が存在していても、リーダライタ等との間で通信が形成される。
すなわち、前記腐食検知用センサによれば、対象空間内の近傍に金属が存在する場合に、安定的に通信可能であるため、対象空間内の腐食環境の進行状況を検知できる。例えば、鉄筋よりもコンクリート構造物の外表面に近い位置に腐食検知用センサを埋め込んで配置しておくことで、鉄筋のかぶり位置よりもコンクリート外表面の近くの位置において、腐食環境が進行しているかどうかを検知できる。これにより、鉄筋に対して腐食環境が進行するよりも未然に、コンクリート構造物内における腐食環境の進行状況が検知できるため、検知結果に基づいてコンクリート構造物の補修計画を立案できる。
なお、金属対応RFタグの第二面を覆う金属部材は、腐食性金属部材と同等か劣化しにくい金属材料であれば特に材料は限定されず、鉄、銅、ステンレス、チタン、ニッケル、白金などを用いることができ、この中では、汎用性が高く、錆に対する耐性の高いステンレスが好ましい。金属部材は、RFタグの第二面のうち、90%以上100%以下の面積を覆うように形成されているのが好ましく、95%以上100%以下の面積を覆うように形成されているのがより好ましい。
また、前記腐食検知用センサが、金属非対応RFタグの第二面を覆う磁性シートを備える場合、磁性シートは、RFタグの第二面のうち、90%以上100%以下の面積を覆うように形成されているのが好ましく、95%以上100%以下の面積を覆うように形成されているのがより好ましい。
前記腐食検知用センサは、前記腐食性金属部材の面のうち、前記RFタグの前記第一面と接触していない面を少なくとも覆う、腐食進行防止用の保護部材を備えるものとしても構わない。
腐食進行防止用の保護部材としては、防錆シート、油、樹脂、モルタルなどを利用することができる。この保護部材は、腐食検知用センサの取付作業の直前に取り外されるものとして構わない。なお、保護部材としてモルタルを使用する場合には、必ずしも取付時に外さなくても構わない。
また、本発明は、外部から視認できない対象空間内の腐食環境の進行状況を検知する方法であって、
前記腐食検知用センサを、前記対象空間内に配置する工程(a)と、
前記腐食検知用センサに対して、前記腐食性金属部材から離れた位置にリーダ又はリーダライタを配置する工程(b)と、
前記リーダ又はリーダライタによって、前記RFタグから送信される電波信号を受信する工程(c)とを有することを特徴とする。
前記工程(a)において、前記RFタグの前記第一面が前記対象空間の外表面に対して実質的に対向する向きに、前記腐食検知用センサを前記対象空間内に配置するものとしても構わない。
また、前記工程(c)は、前記RFタグからの前記電波信号の有無、又は前記RFタグからの前記電波信号の強度によって、前記対象空間内の腐食環境の進行状況を検知する工程を含むことができる。更に、前記方法は、前記工程(c)において読み取られた前記電波信号の強度が、所定の閾値を上回っている場合に、前記対象空間内において腐食環境が進行していると判断する工程(d)を有するものとしても構わない。
なお、リーダライタ等が、RFタグからの電波信号の有無のみを検知できる構成である場合には、リーダライタ等の配置位置を調整、より詳細には、RFタグからの離間距離を調整しながら、電波信号の有無を確認することで、電波信号が受信できたリーダライタ等の配置位置によって腐食環境の進行状況を検知できる。
前記工程(a)は、コンクリート部材の内部に前記腐食検知用センサを埋め込む工程であるものとしても構わない。かかる方法により、コンクリート部材内の腐食環境の進行状況を検知することができる。
前記RFタグが金属対応RFタグであり、
前記工程(a)が、前記RFタグの前記第二面を前記コンクリート部材に埋め込まれている鉄筋に対向させた状態で、前記腐食検知用センサを、前記鉄筋に対して直接取り付ける工程であるものとしても構わない。
かかる方法によれば、鉄筋がRFタグの第二面側に存在するため腐食検知用センサとリーダライタ等との間で通信可能な状態となり、腐食検知用センサの第一面側への腐食環境の進行の程度を検知することができる。更に腐食環境が進行して鉄筋が腐食し始めると、腐食検知用センサとリーダライタ等との間で通信ができなくなり始めるため、鉄筋自体の腐食も検知することができる。
また、前記RFタグが金属対応RFタグ、又は前記第二面が磁性シートで覆われた金属非対応RFタグであり、
前記工程(a)は、
前記RFタグの前記第二面を鋼構造物に対向させた状態で、前記鋼構造物に対して直接前記腐食検知用センサを取り付ける工程(a1)と、
前記腐食検知用センサの露出面と前記鋼構造物の表面とを覆うように、防護用部材を設置する工程(a2)とを含むものとしても構わない。鋼構造物の表面は金属であるため、RFタグの第二面側に耐食性を示す金属部材を設ける必要はない。
前記鋼構造物は、例えば橋桁や鋼製の柱とすることができる。かかる構成によれば、鋼構造物に対する腐食環境が進行するよりも前段階において、腐食環境の進行状況を検知することができる。
前記腐食検知用センサは、前記RFタグの前記第一面と接触していない前記腐食性金属部材の面を少なくとも覆う、腐食進行防止用のシート状の保護部材を備えており、
前記工程(a)は、前記保護部材を取り外した後に、前記腐食検知用センサを前記対象空間内に配置する工程であるものとしても構わない。
本発明によれば、非破壊且つ簡易な方法で、外部から視認できない対象空間内の腐食状態を検知することが可能となる。
本発明に係る腐食環境検知方法の一実施形態の態様を模式的に示す図面である。 腐食検知用センサの構造を説明するための模式的な図面である。 腐食環境が進行している場合の腐食検知用センサの構造を説明するための模式的な図面である。 リーダライタの機能ブロック図の一例である。 サーバとの通信が可能なリーダライタの機能ブロック図の一例である。 腐食検知用センサの構造を説明するための別の模式的な図面である。 磁性シートを備える腐食検知用センサの構造を模式的に示す図面である。 スペーサを介して腐食検知用センサが鉄筋に取り付けられる態様を模式的に示す図面である。 腐食検知用センサとリーダライタとが埋め込まれている態様を模式的に示す図面である。 鋼構造物の内部における腐食環境の進行状況を検知する態様を説明するための模式的な図面である。 保護部材としての保護シートを備えた腐食検知用センサの構造を模式的に示す図面である。 保護部材としてのモルタルを備えた腐食検知用センサの構造を模式的に示す図面である。 腐食検知用センサの別構造を説明するための模式的な図面である。
以下、本発明の腐食検知用センサ、及び腐食環境検知方法の実施形態につき、適宜図面を参照して説明する。なお、以下の図面において、説明の都合上、一部が誇張して図示されている場合があり、実際の寸法比と図面上の寸法比とは必ずしも一致しない。
図1は、本発明に係る腐食環境検知方法の一実施形態の態様を模式的に示す図面である。図1に示す例では、腐食環境の進行状況を検知する対象空間がコンクリート構造物10の内部である場合を想定している。
図1に示すように、コンクリート構造物10の内部(コンクリート部材11内)には、腐食検知用センサ2が配置されている。この腐食検知用センサ2は、コンクリート構造物10の製造時に、予めコンクリート部材11内に埋め込まれるものとしても構わないし、既設のコンクリート構造物10の一部を削り落としてはつり出し、腐食検知用センサ2を埋め込んだ後、非金属材料からなる防護用の部材で埋め戻すものとしても構わない。更には、コンクリート部材11内に設けられた鉄筋12(後述する図9参照)に、接着剤やワイヤにより取り付けたり、スペーサとともにワイヤや専用の治具を用いて所望の位置に取り付けてもよい。また、流動性の低いコンクリートやモルタルであれば単体で埋め込むこともできる。このように、腐食検知用センサ2を対象空間内に配置する工程が、工程(a)に対応する。
図2は、腐食検知用センサ2の構造を説明するための模式的な図面であり、図1の一部拡大図に対応する。腐食検知用センサ2は、向かい合う第一面4aと第二面4bとを有した板状型のRFタグ4と、RFタグ4の第一面4aを覆うように形成された腐食性金属部材5とを備えてなる。
RFタグ4は、誘導アンテナ(不図示)を内蔵し、所定の周波数帯の無線周波数で通信を行う。一例として、RFタグ4は、共振周波数が13.56MHz、第一面4a及び第二面4bの寸法が54mm×86mm、厚みが2mmの金属非対応の板状型のRFタグである。RFタグ4は、後述されるように金属対応型のRFタグであっても構わない。ただし、本発明において、RFタグ4の通信周波数帯、寸法、及び形状は任意である。
腐食性金属部材5は、耐食性の低い金属材料であり、例えば、鉄、、亜鉛、アルミニウムなどの材料が挙げられる。腐食性金属部材5の形状は、箔状が好ましく、箔板、蒸着、又はメッキで形成できる。ただし、本発明において腐食性金属部材5の形状は任意である。腐食性金属部材5は、RFタグ4の第一面4a上に、例えば接着剤を介して接着されている。腐食性金属部材5の厚みは、一例として、強度の観点から10μm以上であり、早期に検知する観点から500μm以下である。
図2に示すように、本実施形態では、腐食検知用センサ2は、腐食性金属部材5がコンクリート構造物10の外表面10aに対して実質的に対向する向きに配置される。
作業員は、コンクリート構造物10内における腐食環境の進行状況を検知する際には、コンクリート構造物10に埋め込まれた腐食検知用センサ2との間で無線通信が可能なリーダライタ3を当該コンクリート構造物10の現場に持参する。そして、リーダライタ3を、腐食検知用センサ2が埋め込まれている領域の近傍に配置又は把持し(工程(b)に対応)、リーダライタ3から所定周波数の電波信号W1を腐食検知用センサ2に向けて放射して、腐食検知用センサ2(より詳細にはRFタグ4)から送信される電波信号W2を受信する(工程(c)に対応)。
リーダライタ3は、専用機器であっても構わないし、電波信号W1の送信や電波信号W2の受信が可能な専用アプリケーションプログラムがインストールされた、スマートフォンやタブレットPCなどの汎用機器であっても構わない。なお、本実施形態では、「リーダライタ3」を用いる場合を例として説明するが、少なくとも腐食検知用センサ2との間で通信可能な機器であればよく、すなわち、腐食検知用センサ2に対する情報の書き込み機能を有しない、いわゆる「リーダ」であっても構わない。
図2に示すように、腐食検知用センサ2が腐食性金属部材5を備える場合、リーダライタ3から送信された電波信号W1が、腐食性金属部材5によって遮られる。このとき、リーダライタ3とRFタグ4との間で通信環境が成立しない。この場合、リーダライタ3は電波信号W2を全く又はほとんど受信しない。
これに対し、図3に示すように、コンクリート構造物10内(コンクリート部材11内)において腐食環境が進行している場合、腐食性金属部材5の一部が、酸化物や塩化物といった金属化合物5aに変化する。金属化合物5aは、金属材料とは異なり、電波信号W1を遮蔽する機能を実質的に有しない。このため、リーダライタ3から送信された電波信号W1が、RFタグ4によって受信され、リーダライタ3とRFタグ4との間で通信環境が成立する。すなわち、RFタグ4からリーダライタ3に対し電波信号W2が送信され、リーダライタ3において電波信号W2が受信できる。
つまり、リーダライタ3側で受信される電波信号W2の強度が高い場合には、コンクリート構造物10内において腐食環境が進行していることを検知できる。例えば、コンクリート構造物10を補修すべきであることを示す閾値を予め設定しておき、この閾値よりもリーダライタ3側で受信される電波信号W2の強度が高い場合には、コンクリート構造物10の補修時期が到来していると判断するものとしても構わない(工程(d)に対応)。
一方で、RFタグ4の特性によっては、受信した電波信号W1の強度にかかわらず、同一の強度の電波信号W2を発信するものが存在する。かかるRFタグ4を含む腐食検知用センサ2がコンクリート構造物10内に埋め込まれている場合には、リーダライタ3は、腐食検知用センサ2との間で通信環境が成立したか否か、すなわち電波信号W2が受信できたか否かによって、コンクリート構造物10内の腐食環境が進行していることを検知できる。
この場合において、リーダライタ3を配置する位置を、コンクリート構造物10の外表面10aからの離間距離d1(図1参照)を変えながら調整し、リーダライタ3が電波信号W2を受信できた位置に応じて、コンクリート構造物10内における腐食環境の進行状況を検知するものとしても構わない。そして、リーダライタ3側において電波信号W2が受信できた時点における離間距離d1の値が、予め定められた閾値よりも小さい場合には、コンクリート構造物10の補修時期が到来していると判断するものとしても構わない(工程(d)に対応)。
リーダライタ3は、電波信号W2の強度に応じて、コンクリート構造物10内の腐食の程度を、例えば所定の指標(A/B/Cなど)などを用いて表示する機能を有していても構わない。図4は、リーダライタ3の機能ブロック図の一例である。リーダライタ3は、記憶部31、判定処理部32、表示出力部33、及び通信部34を備える。記憶部31は、フラッシュメモリ、ハードディスクなどの記憶媒体で構成される。判定処理部32は、取得した情報に基づいて演算処理を行う処理部であり、専用のハードウェア又はソフトウェアで構成される。表示出力部33は、所定の表示用の演算処理を行うと共に、不図示のモニタに処理後の内容を表示する機能的手段である。通信部34は、無線通信を行うためのインタフェースである。
記憶部31には、予め、腐食検知用センサ2から受信した電波信号W2の強度と、コンクリート構造物10内の腐食環境の進行状況との相関関係に対応する情報(以下、「基準情報」と呼ぶ。)が記憶されている。通信部34において、腐食検知用センサ2から電波信号W2を受信すると、判定処理部32は、記憶部31に記憶されている基準情報を読み出すと共に、この基準情報と実際に受信された電波信号W2の強度とに基づいて、コンクリート構造物10内の腐食環境の進行状況を推定する。表示出力部33は、この判定結果に基づく情報を、リーダライタ3に設けられたモニタ(不図示)に表示させる。これにより、作業員は、リーダライタ3に設けられたモニタの情報を確認するのみで、コンクリート構造物10内の腐食環境の進行状況の程度を認識できる。なお、リーダライタ3が、スマートフォンやタブレットPCなどの汎用機器である場合には、前記モニタとは当該汎用機器の表示部に対応し、専用のアプリケーションを通じて前記情報が表示されるものとして構わない。
更に、上記基準情報は、所定のサーバ40から取得して記憶部31内で更新されるものとしても構わない(図5参照)。電波信号W2には、予め腐食検知用センサ2に付された識別情報(i1)を含むことができる。通信部34は、腐食検知用センサ2から、識別情報i1を含む電波信号W2を受信すると、識別情報i1に対応したコンクリート構造物10に係る上記基準情報を、サーバ40からダウンロードして記憶部31に(一時的に)格納する。そして、判定処理部32は、実際に受信された電波信号W2の強度と、サーバ40からダウンロードされた基準情報とに基づいて、コンクリート構造物10内の腐食環境の進行状況を推定する。
この方法によれば、個々のコンクリート構造物10の配置環境や材料の特性、コンクリート構造物10内における腐食検知用センサ2の配置位置などを考慮した基準情報に基づいて、コンクリート構造物10内における腐食環境の進行状況が高い精度で推定できる。
なお、リーダライタ3は、推定されたコンクリート構造物10内における腐食環境の進行状況に基づき、FEM解析などの手法によってコンクリート構造物10のひび割れの発生可能性や、発生予想時期などを推定する機能を有していても構わない。また、図5に示すように、リーダライタ3がサーバ40と通信可能な構成である場合には、リーダライタ3で読み取られた電波信号W2の強度に関する情報がサーバ40に送信され、サーバ40側で演算処理が行われることで、コンクリート構造物10のひび割れの発生予想時期や、必要補修時期などを算出するものとしても構わない。
図6に示すように、コンクリート構造物10が鉄筋12を備える場合においても、腐食検知用センサ2を用いてコンクリート構造物10内部の腐食環境を検知することができる。この場合、腐食検知用センサ2が備えるRFタグ4は、第二面4b側に金属材料が存在する環境下においても、第一面4a側に配置されたリーダライタ3との間で通信環境が構築できる性質を示す必要がある。一例として、RFタグ4を、金属対応型のRFタグとすることができる。また、別の例としては、図7に示すように、RFタグ4を金属非対応型のRFタグとすると共に、第二面4b側を磁性シート6で覆うことで形成できる。
RFタグ4を、金属対応型のRFタグとした場合、腐食検知用センサ2を鉄筋12に対して直接取り付けると、リーダライタ3との間で通信しやすい状態となる。また、RFタグ4を金属非対応型のRFタグとすると共に、第二面4b側を磁性シート6で覆う場合には、腐食検知用センサ2を鉄筋12に対して直接取り付けてもよいし、図8に示すように、スペーサ13を介して鉄筋12に対して間接的に取り付けても、リーダライタ3との間で通信しやすい状態となる。スペーサ13を設けることで、コンクリート構造物10の外表面10aからの任意の深さ位置に腐食検知用センサ2を取り付けることができる。これにより、鉄筋12が存在する領域よりも浅い位置において、腐食環境が進行しているかどうかを検知することができ、鉄筋12の交換時期を事前に把握することが可能となる。
腐食検知用センサ2の埋め込み位置が深い場合には、図9に示すように、腐食検知用センサ2と共にリーダライタ3を埋め込むものとしても構わない。この場合、リーダライタ3に接続される信号線17のみを、コンクリート構造物10の外部に取り出しておく。そして、作業員は、コンクリート構造物10の外部に取り出された信号線17を所定の読み取り装置(不図示)と接続することで、信号線17を通じてリーダライタ3で受信された電波信号W2の強度(又は有無に関する情報)を受信することができる。
なお、リーダライタ3をコンクリート部材11内に埋め込むに際しては、リーダライタ3が存在することで、コンクリート構造物10の外表面10aから深さ方向への腐食因子の進行を妨げないよう、図9に示すように、リーダライタ3の受信面をコンクリート構造物10の外表面10aに対して傾斜させて配置するのが好ましい。ただし、指向性の広いRFタグ4を用いた場合は、リーダライタ3をコンクリート構造物10の外表面10aに対して傾斜させて配置させ、腐食検知用センサ2をコンクリート構造物10の外表面10aに向けて配置することも可能である。
腐食環境の進行状況を検知する対象空間は、コンクリート構造物10には限定されない。図10は、鋼構造物の内部における腐食環境を検知する場合の模式的な図面である。
図10に示すように、腐食検知用センサ2を、鋼構造物20内の鋼部材21に接触して配置する。そして、鋼構造物20の上面及び腐食検知用センサ2を覆うように、防護用の塗料部材22が塗布される。防護用の塗料部材22は、鋼部材21の防錆目的で通常設けられるものであり、溶融亜鉛メッキなど方法は問わないが、鋼構造物20と同様の方法を用いると防錆効果の有無を知ることができる。
図10に示す腐食検知用センサ2は、図7に示した構造と同様に、金属非対応型のRFタグ4と、RFタグ4の第一面4a側を覆う腐食性金属部材5と、RFタグ4の第二面4b側を覆う磁性シート6とを備えた構成である。
そして、上述した方法と同様に、リーダライタ3を腐食検知用センサ2が埋め込まれている領域の近傍に配置又は把持し、リーダライタ3から所定周波数の電波信号W1を腐食検知用センサ2に向けて放射して、腐食検知用センサ2(より詳細にはRFタグ4)から送信される電波信号W2を受信する。これにより、塗料部材22内への腐食環境の進行状況が検知できるため、鋼部材21に対して腐食環境が進行する時期を推定することが可能となる。
磁性シート6は、金属材料からなる鋼部材21が、腐食検知用センサ2のリーダライタ3とは反対側の位置に存在していても、リーダライタ3との間で通信形成を可能にするために設けられている。従って、図10に示す場合において、RFタグ4を金属対応型のRFタグとしても構わない。この場合において、腐食検知用センサ2は磁性シート6を備えなくてもよい。
[別実施形態]
以下、別実施形態について説明する。
〈1〉腐食検知用センサ2は、腐食環境の進行状況を検知する対象空間内において、複数の箇所に埋め込まれるものとしても構わない。この場合に、それぞれの腐食検知用センサ2の深さ位置を異ならせるものとしても構わない。これにより、各腐食検知用センサ2から送信された電波信号W2の強度の違いによって、腐食環境の進行状況をより詳細に認識することができる。
〈2〉腐食検知用センサ2は、腐食性金属部材5に対する腐食環境の進行を保護するための保護部材を備えるものとしても構わない。例えば、図11に示すように、RFタグ4の第一面4a側を覆うように形成された保護シート8が貼り付けられていても構わないし、図12に示すように、腐食検知用センサ2の全周を覆うモルタル9が形成されていても構わない。保護シート8としては、例えば防錆シートを利用することができる。
例えば、腐食検知用センサ2をコンクリート構造物10の内部又は鋼構造物20の内部に取り付けるに際し、作業状況によっては、腐食検知用センサ2が現場に数日~1ヶ月程度、外気に晒された状態で据え置かれる場合がある。特に、コンクリート構造物10や鋼構造物20を新設する場合には、各構造物(10,20)を新設する作業に多くの日数を要する場合があり得る。このような場合に、数日間にわたって腐食検知用センサ2が外気に晒されてしまうと、RFタグ4の第一面4aを覆うように形成された腐食性金属部材5に対して、水、酸素、塩化物などの腐食因子が付着し、コンクリート構造物10や鋼構造物20内に配置する前に腐食性金属部材5が一部腐食してしまうおそれがある。
上記のように、腐食検知用センサ2が、RFタグ4の第一面4a側を覆う保護部材(8,9)を備えたことで、コンクリート構造物10や鋼構造物20内に配置するまでの間に、腐食性金属部材5に対する腐食の進行が抑制される。これにより、腐食検知用センサ2の検知精度を高めることができる。
なお、図11に示すように、腐食検知用センサ2が保護シート8を備える場合には、腐食検知用センサ2を対象空間(コンクリート構造物10、鋼構造物20)内に取り付ける作業を行う直前に保護シート8を取り外してから、腐食検知用センサ2を取り付けるものとして構わない。更に、取り付け後にコンクリートを打設するまでの腐食防止と打設時の衝撃による破損防止のために、腐食検知用センサ2をモルタルで被覆しておいてもよい。
また、図12に示すように、腐食検知用センサ2が外周を覆うモルタル9を備える場合には、モルタル9が取り付けられた状態のままで腐食検知用センサ2を取り付けるものとしても構わないし、モルタル9を取り外してから腐食検知用センサ2を取り付けるものとしても構わない。
モルタル9は、腐食因子を一定量通過させる空間が存在するため、モルタル9が取り付けられたままの状態で対象空間内に腐食検知用センサ2が配置されても、腐食因子を腐食性金属部材5に対して進行させることへの妨げとなることが抑制される。このとき、モルタル9を、構造物に使用されるコンクリートより水セメント比を高くしておけば、腐食検知用センサ2に関して早期の検知性能が低下することはない。
〈3〉腐食性金属部材5は、RFタグ4の第一面4aを通信できなくなるまでは覆わず、腐食性金属部材5の厚さを調整したり、RFタグ4の第一面4aの一部分が露出するように配置されていても構わない。この場合、腐食環境でない場合であっても、腐食検知用センサ2とリーダライタ3との間で通信環境が形成される。よって、リーダライタ3側において、電波信号W2の強度を検知できる構成である場合には、初期時点においてリーダライタ3側で受信される電波信号W2の強度を基準閾値とし、この閾値に対する相対強度によって、腐食環境の進行状況を推定することができる。また、かかる構成によれば、腐食環境が進行していない初期時点においても、リーダライタ3側で電波信号W2が受信できるため、作業員は、電波信号W2を全く検知できない場合には、腐食検知用センサ2及び/又はリーダライタ3が故障していることを認識できる。
〈4〉上記実施形態では、腐食環境の進行状況を検知する対象空間が、コンクリート構造物10の内部又は鋼構造物20の内部である場合について説明したが、これはあくまで一例である。本発明の腐食検知用センサ2は、外部から視認できず、金属を腐食する因子が内部に進行することで内部が腐食するおそれのある任意の対象空間に対して、腐食環境の進行状況を検知する用途に利用することができる。
〈5〉図1及び図2を参照して上述したように、腐食検知用センサ2を対象空間内(ここではコンクリート部材11内)に配置する場合、腐食検知用センサ2が備えるRFタグ4は、金属非対応型のRFタグでも、金属対応型のRFタグであってもよい。ここで、RFタグ4が金属対応型のRFタグである場合には、図13に示すように、RFタグ4の第二面4bを覆うように形成された金属部材7を備えるものとしてよい。
金属部材7は、腐食性金属部材5よりも劣化しにくい金属材料であれば特に材料は限定されず、銅、ステンレス、チタン、ニッケル、白金などを用いることができる。この中では、汎用性が高く、錆に対する耐性の高いステンレスが好ましい。RFタグ4が金属対応型のRFタグである場合においても、第二面4b側に金属部材7を備えることで、腐食環境が進行し、第一面4a側に設けられた腐食性金属部材5が一部滅失すれば、腐食検知用センサ2とリーダライタ3との間で通信環境が構築される。
〈6〉上記実施形態で説明した、第二面4bが金属部材7で覆われた金属対応型のRFタグ4は、金属対応型のRFタグ4の第二面4bを金属部材7で覆うことで製造しても構わないし、既に金属部材7が取り付けられた金属対応型のRFタグ4を利用しても構わない。同様に、第二面4bが磁性シート6で覆われた金属非対応型のRFタグ4は、金属非対応型のRFタグ4の第二面4bを磁性シート6で覆うことで製造しても構わないし、既に磁性シート6が取り付けられた金属非対応型のRFタグ4を利用しても構わない。
以下、実施例を参照して説明する。
[実施例1]
腐食検知用センサ2として、920MHz帯の電波信号に対応するRFタグ4(金属対応タグ)と、RFタグ4の第一面4a側に設けられた、厚さ10μmの鉄箔からなる腐食性金属部材5とを備えた構成を採用した。RFタグ4は、横25mm×縦9mm×厚み3mmの寸法を有していた。そして、この腐食性金属部材5によって覆われるRFタグ4の第一面4aの面積を意図的に低下させながら、リーダライタ3で受信される電波信号W2の強度を測定した。電波信号W2の強度の測定に際し、腐食検知用センサ2とリーダライタ3との間を自由空間とした場合と、腐食検知用センサ2のリーダライタ3側の面を厚さ10mmのモルタルで覆った場合の2パターンについて実験を行った。
ここで、腐食性金属部材5(鉄箔)によって覆われるRFタグ4の第一面4aの面積を低下させていることは、腐食性金属部材5に対して腐食が進行して金属材料が消失(変質)していることを模擬したものである。なお、上記実施例1では、比較のために、腐食性金属部材5に代えて厚さ1mmの錆び板でRFタグ4の第一面4aの全面を覆った場合についても、リーダライタ3で受信される電波信号W2の強度を測定した。
また、腐食検知用センサ2のリーダライタ3側の面をモルタルで覆う態様は、腐食検知用センサ2がコンクリート構造物10内に埋め込まれている状態を模擬したものである。
リーダライタ3は、対応する信号の周波数が920MHz帯で、出力が250mWのものを用いた。リーダライタ3と腐食検知用センサ2との離間距離は3cmとした。また、RFタグ4の第二面4b側には、ステンレス板を配置した。このステンレス板は、腐食検知用センサ2のリーダライタ3とは反対側の位置に配置されている金属部材7や鉄筋12を模擬したものである。
この結果を表1に示す。なお、表1内の数値は、電波信号W2の強度の相対値(RSSI値)である。
Figure 0007105638000001
表1によれば、腐食性金属部材5(鉄箔)と腐食検知用センサ2との接触面積が少なくなるほど、リーダライタ3で受信された電波信号W2の強度が上昇することが示されている。なお、腐食性金属部材5(鉄箔)と腐食検知用センサ2の間にモルタルが介在されている場合であっても、変化の程度は異なるものの、モルタルが存在しない場合と同様の変化の傾向を示すことが確認された。特に、遮蔽面積が減少し始めた状態、すなわち腐食初期状態における、電波信号W2の強度の増加量が大きく、早期の腐食環境検知が可能であることがわかる。また、腐食性金属部材5(鉄箔)を腐食検知用センサ2の上面に設けなかった場合と、腐食検知用センサ2の上面を錆び板で完全に覆った場合とで、リーダライタ3で受信された電波信号W2の強度が実質的に同一であることが確認され、腐食生成物によって通信強度が影響を受けることはない。
この結果から、腐食環境が進行し、鉄箔によって模擬された腐食性金属部材5に対する腐食が進行するほど、リーダライタ3で受信された電波信号W2の強度が上昇することが分かる。つまり、リーダライタ3で受信された電波信号W2の強度に基づいて、腐食環境の進行状況を検知・推定できることが確認される。また、本条件では腐食環境が進行する前の状態でも、リーダライタ3によって若干の電波信号W2が検出されていることから、通信強度がなくなった場合は故障であると判別できることがわかる。
なお、モルタルの有無によって電波信号W2の強度が変化したことからも分かるように、電波信号W2の強度は、コンクリートの配合や、湿潤状態、かぶり厚さなどによって変動する。このため、予め、同じ条件下で測定を行っておき、電波信号W2の強度と腐食環境の進行状況との関係性を把握しておくことで、腐食環境の進行状況の推定精度を向上できる。
[実施例2]
腐食検知用センサ2として、13.56MHz帯の電波信号に対応するRFタグ4と、RFタグ4の第一面4a側に設けられた、厚さ10μmの鉄箔からなる腐食性金属部材5とを備えた構成を採用した。RFタグ4は、規格ISO15693に準拠しており、直径15.5mm、厚さ2.8mmのカード型の形状を示す。なお、RFタグ4は、リーダライタ3との間で通信環境が構築されると、所定強度の電波信号W2を発信する態様である。つまり、本実施例2において、リーダライタ3は、電波信号W2の強度については確認できず、電波信号W2の有無のみを確認できる。
リーダライタ3は、対応する信号の周波数が13.56MHz帯で、出力が0.25Wのものを用いた。リーダライタ3と腐食検知用センサ2との離間距離は3cmとし、腐食検知用センサ2のリーダライタ3側の面を厚さ10mmのモルタルで覆った状態で、腐食性金属部材5(鉄箔)によって覆われるRFタグ4の第一面4aの面積を意図的に低下させながら、リーダライタ3で電波信号W2が受信できるか否かを確認した。
なお、本実施例2では、RFタグ4の第二面4b側には磁性シート6を配置していない。すなわち、本実施例2は、腐食環境の進行状況を検知する対象空間内、より詳細には、対象空間内であって腐食検知用センサ2のリーダライタ3とは反対側の位置に、金属製材料が存在していない場合を模擬したものである。
腐食性金属部材5(鉄箔)によってRFタグ4の第一面4aの100%を覆った場合、及び、RFタグ4の第一面4aの50%を覆った場合の双方で、リーダライタ3は電波信号W2を検出できなかった。一方、腐食性金属部材5(鉄箔)によってRFタグ4の第一面4aの25%を覆った場合、及び、鉄箔に代えて厚さ1mmの錆び板でRFタグ4の第一面4aの100%を覆った場合の双方で、リーダライタ3は電波信号W2を検出した。
つまり、本実施例2の結果から、RFタグ4が、同一の強度の電波信号W2を発信する構成である場合であっても、リーダライタ3が電波信号W2を受信できたか否かに基づいて、腐食環境を検知できることが確認される。なお、実施例1と同様に、リーダライタ3側で電波信号W2の強度が確認できる場合には、腐食環境の進行の程度や故障検知機能を付与することができる。
2 : 腐食検知用センサ
3 : リーダライタ
4 : RFタグ
4a : RFタグの第一面
4b : RFタグの第二面
5 : 腐食性金属部材
5a : 金属化合物
6 : 磁性シート
7 : 金属部材
8 : 保護シート
9 : モルタル
10 : コンクリート構造物
10a : コンクリート構造物の外表面
11 : コンクリート部材
12 : 鉄筋
13 : スペーサ
17 : 信号線
20 : 鋼構造物
21 : 鋼部材
22 : 保護塗料
31 : 記憶部
32 : 判定処理部
33 : 表示出力部
34 : 通信部
40 : サーバ

Claims (12)

  1. 向かい合う第一面と第二面とを有したRFタグと、
    リーダ又はリーダライタに対向させることで通信可能となる前記RFタグの前記第一面上に、前記第一面を実質的に覆うように形成され、前記RFタグと前記リーダ又はリーダライタとの間の通信を阻害する腐食性金属部材とを備え
    前記腐食性金属部材が腐食されると、前記通信の阻害程度が低下することを特徴とする、腐食検知用センサ。
  2. 腐食状態を検知する対象である空間であって、外部から視認できない対象空間内に、前記RFタグの前記第一面を前記対象空間の外表面に対して実質的に対向させた状態で埋め込まれて配置されることを特徴とする、請求項1に記載の腐食検知用センサ。
  3. 前記対象空間がコンクリート内部であることを特徴とする、請求項2に記載の腐食検知用センサ。
  4. 前記腐食性金属部材は、鉄箔で構成されていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の腐食検知用センサ。
  5. 前記RFタグが、前記第二面が金属部材で覆われた金属対応RFタグ、又は前記第二面が磁性シートで覆われた金属非対応RFタグであることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の腐食検知用センサ。
  6. 外部から視認できない対象空間内の腐食環境の進行状況を検知する方法であって、
    請求項1に記載の前記腐食検知用センサを、前記対象空間内に配置する工程(a)と、
    前記腐食検知用センサに対して、前記腐食性金属部材から離れた位置にリーダ又はリーダライタを配置する工程(b)と、
    前記リーダ又はリーダライタによって、前記RFタグから送信される電波信号を受信する工程(c)とを有することを特徴とする、腐食環境検知方法。
  7. 前記工程(a)は、前記RFタグの前記第一面が前記対象空間の外表面に対して実質的に対向する向きに、前記腐食検知用センサを前記対象空間内に配置する工程であることを特徴とする、請求項6に記載の腐食環境検知方法。
  8. 前記工程(c)は、前記RFタグからの前記電波信号の強度によって、前記対象空間内の腐食環境の進行状況を検知する工程を含むことを特徴とする、請求項6又は7に記載の腐食環境検知方法。
  9. 前記工程(c)において読み取られた前記電波信号の強度が、所定の閾値を上回っている場合に、前記対象空間内において腐食環境が進行していると判断する工程(d)を更に有することを特徴とする、請求項8に記載の腐食環境検知方法。
  10. 前記工程(a)は、コンクリート部材の内部に前記腐食検知用センサを埋め込む工程であることを特徴とする、請求項6~9のいずれか1項に記載の腐食環境検知方法。
  11. 前記RFタグが金属対応RFタグであり、
    前記工程(a)は、前記RFタグの前記第二面を前記コンクリート部材に埋め込まれている鉄筋に対向させた状態で、前記腐食検知用センサを、前記鉄筋に対して直接取り付ける工程であることを特徴とする、請求項10に記載の腐食環境検知方法。
  12. 前記RFタグが、金属対応RFタグ、又は前記第二面が磁性シートで覆われた金属非対応RFタグであり、
    前記工程(a)は、
    前記RFタグの前記第二面を鋼構造物に対向させた状態で、前記鋼構造物に対して直接前記腐食検知用センサを取り付ける工程(a1)と、
    前記腐食検知用センサの露出面と前記鋼構造物の表面とを覆うように、防護用部材を設置する工程(a2)とを含むことを特徴とする、請求項6~9のいずれか1項に記載の腐食環境検知方法。
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