以下、本発明の実施形態について説明する。
〔バックライト貼付用粘着シート〕
本発明の一実施形態に係るバックライト貼付用粘着シート(本明細書において、単に「粘着シート」という場合がある。)は、基板上に複数の発光体が設けられたバックライトに、当該発光体が封止されるように貼付される粘着剤層を備えており、好ましくは、当該粘着剤層の片面または両面に剥離シートを積層してなる。
本実施形態に係るバックライト貼付用粘着シートの一例としての具体的構成を図1に示す。
図1に示すように、バックライト貼付用粘着シート(粘着シート)1は、2枚の剥離シート12a,12bと、それら2枚の剥離シート12a,12bの剥離面と接するように当該2枚の剥離シート12a,12bに挟持された粘着剤層11とから構成される。なお、本明細書における剥離シートの剥離面とは、剥離シートにおいて剥離性を有する面をいい、剥離処理を施した面および剥離処理を施さなくても剥離性を示す面のいずれをも含むものである。
1.各部材
1-1.粘着剤層
本実施形態に係る粘着シート1の粘着剤層11は、50℃における貯蔵弾性率が0.001MPa以上、0.15MPa以下であり、当該粘着剤層11を構成する粘着剤のゲル分率が10%以上、75%以下であり、厚さが110μm以上であるものである。
粘着剤層11が上記の物性を有することで、本実施形態に係る粘着シート1は、基板上に複数の発光体が設けられたバックライトに、当該発光体が空隙なく封止されるように粘着剤層11を貼付することができる。これにより、得られる表示装置等における表示部とバックライトとの間に空気層や空隙がなくなるため、光の反射損失による画質低下を防止することができる。
具体的には、粘着剤層11の50℃における貯蔵弾性率が0.15MPa以下であり、かつ、当該粘着剤層11を構成する粘着剤のゲル分率が75%以下であることにより、粘着剤層11は優れた柔軟性および応力緩和性を発揮して発光体を埋め込み易くなり、もって発光体を空隙なく封止することができる。
一方、バックライトに複数設けられた発光体は、発光により発熱する場合があり、発光体が多数設けられている場合には、粘着剤層11は高温条件(耐久条件)に曝されることとなる。粘着剤層11の50℃における貯蔵弾性率が0.001MPa以上であり、かつ、上記ゲル分率が10%以上であると、上記のような耐久条件下でも、粘着剤層11による空隙のない封止が維持され易くなる。
発光体埋め込み性の観点から、粘着剤層11の50℃における貯蔵弾性率は、0.13MPa以下であることが好ましく、特に0.09MPa以下であることが好ましく、さらには0.05MPa以下であることが好ましい。また、耐久条件下での発光体封止性の観点から、上記貯蔵弾性率は、0.01MPa以上であることが好ましく、特に0.02MPa以上であることが好ましく、さらには0.03MPa以上であることが好ましい。
発光体埋め込み性の観点から、粘着剤層11を構成する粘着剤のゲル分率は、70%以下であることが好ましく、特に64%以下であることが好ましく、さらには57%以下であることが好ましい。また、耐久条件下での発光体封止性の観点から、上記ゲル分率は、20%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、特に40%以上であることが好ましく、さらには50%以上であることが好ましい。
一方、粘着剤層11の23℃における貯蔵弾性率は、発光体埋め込み性の観点から、0.20MPa以下であることが好ましく、0.18MPa以下であることがより好ましく、特に0.15MPa以下であることが好ましく、さらには0.11MPa以下であることが好ましい。また、耐久条件下での発光体封止性の観点から、上記貯蔵弾性率は、0.01MPa以上であることが好ましく、特に0.02MPa以上であることが好ましく、さらには0.04MPa以上であることが好ましい。
なお、本明細書における貯蔵弾性率は、JIS K7244-6に準拠して、測定周波数1Hzにてねじりせん断法により測定した値とする。具体的には、後述する試験例に示す通りである。また、粘着剤のゲル分率の測定方法は、後述する試験例に示す通りである。
粘着剤層11は、前述した貯蔵弾性率およびゲル分率を有するとともに、厚さが110μm以上であることにより、発光体の種類に応じて当該発光体を封止することが可能となる。発光体封止の観点から、粘着剤層11の厚さは、130μm以上であることが好ましく、特に160μm以上であることが好ましく、さらには200μm以上であることが好ましい。一方、得られる表示体の薄型化の観点から、粘着剤層11の厚さは、1000μm以下であることが好ましく、特に800μm以下であることが好ましく、さらには500μm以下であることが好ましい。
また、発光体の厚さに対する粘着剤層11の厚さの割合(粘着剤層の厚さ/発光体の厚さ)は、発光体を確実に封止する観点から、1.1以上であることが好ましく、1.4以上であることがより好ましく、特に2.0以上であることが好ましく、さらには2.2以上であることが好ましい。一方、上記厚さの割合は、得られる表示体の薄型化の観点から、10以下であることが好ましく、8以下であることがより好ましく、特に5以下であることが好ましく、さらには2.9以下であることが好ましい。
本実施形態に係る粘着シート1の粘着剤層11を構成する粘着剤の種類は、前述した物性値を満たす限り特に限定されず、例えば、アクリル系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤等のいずれであってもよい。また、当該粘着剤は、エマルション型、溶剤型または無溶剤型のいずれでもよく、架橋タイプまたは非架橋タイプのいずれであってもよい。それらの中でも、前述した物性値を満たし易いアクリル系粘着剤が好ましい。
また、アクリル系粘着剤としては、活性エネルギー線硬化性のものであってもよいし、活性エネルギー線非硬化性のものであってもよいが、光重合開始剤が不要な活性エネルギー線非硬化性のアクリル系粘着剤であることが好ましい。活性エネルギー線非硬化性のアクリル系粘着剤としては、特に架橋タイプのものが好ましく、さらには熱架橋タイプのものが好ましい。
上記粘着剤は、特に、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)と、架橋剤(B)とを含有する粘着性組成物(以下「粘着性組成物P」という場合がある。)を架橋してなるものであることが好ましい。なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及びメタクリル酸の両方を意味する。他の類似用語も同様である。また、「重合体」には「共重合体」の概念も含まれるものとする。
(1)粘着性組成物の成分
(1-1)(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)
本実施形態における(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、架橋剤(B)と反応する反応性基を分子内に有する反応性基含有モノマーを含むことが好ましい。この反応性基含有モノマー由来の反応性基が架橋剤(B)と反応して、架橋構造(三次元網目構造)が形成され、前述のゲル分率や貯蔵弾性率を有する粘着剤が得られ易くなる。
上記反応性基含有モノマーとしては、分子内に水酸基を有するモノマー(水酸基含有モノマー)、分子内にカルボキシ基を有するモノマー(カルボキシ基含有モノマー)、分子内にアミノ基を有するモノマー(アミノ基含有モノマー)などが好ましく挙げられる。これらの中でも、貯蔵弾性率を低く抑える観点から、水酸基含有モノマーが特に好ましい。
水酸基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル等が挙げられる。中でも、得られる(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)における水酸基の架橋剤(B)との反応性および他の単量体との共重合性の点から、炭素数が1~4のヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルが好ましい。具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル等が好ましく挙げられ、特に、アクリル酸2-ヒドロキシエチルまたはアクリル酸4-ヒドロキシブチルが好ましく挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸が挙げられる。中でも、得られる(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)におけるカルボキシ基の架橋剤(B)との反応性および他の単量体との共重合性の点からアクリル酸が好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アミノ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸n-ブチルアミノエチル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、反応性基含有モノマーを、下限値として3質量%以上含有することが好ましく、特に10質量%以上含有することが好ましく、さらには15質量%以上含有することが好ましい。また、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、反応性基含有モノマーを、上限値として35質量%以下含有することが好ましく、特に30質量%以下含有することが好ましく、さらには25質量%以下含有することが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)がモノマー単位として上記の量で反応性基含有モノマーを含有すると、前述した貯蔵弾性率およびゲル分率が得られ易くなる。
また、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、カルボキシ基含有モノマーを含まないことも好ましい。カルボキシ基は酸成分であるため、カルボキシ基含有モノマーを含有しないことにより、粘着剤の貼付対象に、酸により不具合が生じるもの、例えば発光体の封止樹脂、基板の金属配線、基板上の金属反射膜などが存在する場合にも、酸によるそれらの不具合(劣化、腐食等)を抑制することができる。ただし、かかる不具合が生じない程度に、カルボキシ基含有モノマーを所定量含有することは許容される。具体的には、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)中に、モノマー単位として、カルボキシ基含有モノマーを0.1質量%以下、好ましくは0.01質量%以下、さらに好ましくは0.001質量%以下の量で含有することが許容される。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含有することが好ましい。これにより、良好な粘着性を発現することができる。アルキル基は、直鎖状または分岐鎖状であってもよい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、粘着性の観点から、アルキル基の炭素数が1~20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。アルキル基の炭素数が1~20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸n-ペンチル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n-デシル、(メタ)アクリル酸n-ドデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。中でも、粘着性をより向上させる観点から、アルキル基の炭素数が1~8の(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸n-ブチルまたは(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルが特に好ましい。なお、これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを30質量%以上含有することが好ましく、40質量%以上含有することがより好ましく、特に50質量%以上含有することが好ましく、さらには55質量%以上含有することが好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量の下限値が上記であると、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は好適な粘着性を発揮することができる。また、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを97質量%以下含有することが好ましく、90質量%以下含有することがより好ましく、特に80質量%以下含有することが好ましく、さらには70質量%以下含有することが好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量の上限値が上記であると、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)中に反応性官能基含有モノマー等の他のモノマー成分を好適な量導入することができ、ゲル分率や貯蔵弾性率を調節し易くなる。
上記(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、分子内に脂環式構造を有するモノマー(脂環式構造含有モノマー)を含有することも好ましい。脂環式構造含有モノマーは嵩高いため、これを重合体中に存在させることにより、重合体同士の間隔を広げるものと推定され、得られる粘着剤を柔軟性に優れたものとすることができる。一方、脂環式構造含有モノマーそのものは、重合体にある程度の硬さを付与することができる。したがって、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が構成モノマー単位として脂環式構造含有モノマーを有することにより、得られる粘着剤のゲル分率や貯蔵弾性率、とりわけ50℃における貯蔵弾性率を前述した範囲に調整し易いものとなる。
脂環式構造含有モノマーにおける脂環式構造の炭素環は、飽和構造のものであってもよいし、不飽和結合を一部に有するものであってもよい。また、脂環式構造は、単環の脂環式構造であってもよいし、二環、三環等の多環の脂環式構造であってもよい。上記と同様に、得られる粘着剤の物性値調整の観点から、上記脂環式構造は、多環の脂環式構造(多環構造)であることが好ましい。さらに、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)と他の成分との相溶性を考慮して、上記多環構造は、二環から四環であることが特に好ましい。また、上記と同様に、得られる粘着剤の物性値調整の観点から、脂環式構造の炭素数(環を形成している部分の全ての炭素数をいい、複数の環が独立して存在する場合には、その合計の炭素数をいう)は、通常5以上であることが好ましく、7以上であることが特に好ましい。一方、脂環式構造の炭素数の上限は特に制限されないが、上記と同様に相溶性の観点から、15以下であることが好ましく、10以下であることが特に好ましい。
上記脂環式構造含有モノマーとしては、具体的には、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル等が挙げられ、中でも、より優れた発光体埋め込み性を発揮する、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル(脂環式構造の炭素数:10)、(メタ)アクリル酸アダマンチル(脂環式構造の炭素数:10)または(メタ)アクリル酸イソボルニル(脂環式構造の炭素数:7)が好ましく、特に(メタ)アクリル酸イソボルニルが好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として脂環式構造含有モノマーを含有する場合、当該脂環式構造含有モノマーを1質量%以上含有することが好ましく、特に5質量%以上含有することが好ましく、さらには9質量%以上含有することが好ましい。また、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、脂環式構造含有モノマーを30質量%以下含有することが好ましく、特に25質量%以下含有することが好ましく、さらには20質量%以下含有することが好ましい。脂環式構造含有モノマーの含有量が上記の範囲にあることで、得られる粘着剤の前述した物性値への調整が容易となる。
また、上記(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、窒素原子含有モノマーを含有することも好ましい。窒素原子含有モノマーを構成単位として重合体中に存在させることにより、粘着剤に所定の極性を付与し、ガラスのようなある程度の極性を有する被着体に対しても、親和性に優れたものとすることができる。上記窒素原子含有モノマーとしては、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)に適度な剛性を持たせ、ゲル分率を高めるとともに、得られる粘着剤の50℃における貯蔵弾性率を所定程度高める観点から、窒素含有複素環を有するモノマーが好ましい。また、構成される粘着剤の高次構造中で上記窒素原子含有モノマー由来部分の自由度を高める観点から、当該窒素原子含有モノマーは、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を形成するための重合に使用される1つの重合性基以外に反応性不飽和二重結合基を含有しないことが好ましい。なお、前述の反応性官能基含有モノマーは、ここでいう窒素原子含有モノマーからは除かれる。
窒素含有複素環を有するモノマーとしては、例えば、N-(メタ)アクリロイルモルホリン、N-ビニル-2-ピロリドン、N-(メタ)アクリロイルピロリドン、N-(メタ)アクリロイルピペリジン、N-(メタ)アクリロイルピロリジン、N-(メタ)アクリロイルアジリジン、アジリジニルエチル(メタ)アクリレート、2-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン、2-ビニルピラジン、1-ビニルイミダゾール、N-ビニルカルバゾール、N-ビニルフタルイミド等が挙げられ、中でも、より優れた粘着力を発揮するN-(メタ)アクリロイルモルホリンが好ましく、特にN-アクリロイルモルホリンが好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として窒素原子含有モノマーを含有する場合、当該窒素原子含有モノマーを1質量%以上含有することが好ましく、特に2質量%以上含有することが好ましく、さらには3質量%以上含有することが好ましい。また、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、当該窒素原子含有モノマーを20質量%以下含有することが好ましく、特に15質量%以下含有することが好ましく、さらには10質量%以下含有することが好ましい。窒素原子含有モノマーの含有量が上記の範囲内にあると、得られる粘着剤が、50℃における貯蔵弾性率やゲル分率を前述した範囲内に調整し易いものとなる。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、所望により、当該重合体を構成するモノマー単位として、他のモノマーを含有してもよい。他のモノマーとしては、反応性官能基含有モノマーの前述した作用を阻害しないためにも、反応性官能基を含有しないモノマーが好ましい。かかるモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル、酢酸ビニル、スチレンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、直鎖状のポリマーであることが好ましい。直鎖状のポリマーであることにより、分子鎖の絡み合いが起こりやすくなり、前述したゲル分率を有する粘着剤が得られ易くなる。
また、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、溶液重合法によって得られた溶液重合物であることが好ましい。溶液重合物であることにより、高分子量のポリマーが得られやすくなり、凝集力の向上が期待できるため、耐久条件下での発光体封止性により優れた粘着剤が得られ易い。また、粘着剤中における残モノマー量が少なくなり、耐光性が優れたものとなる。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重合態様は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重量平均分子量は、下限値として20万以上であることが好ましく、特に30万以上であることが好ましく、さらには40万以上であることが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重量平均分子量の下限値が上記以上であると、前述したゲル分率や貯蔵弾性率の下限値を満たし易い。
また、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重量平均分子量は、上限値として200万以下であることが好ましく、特に150万以下であることが好ましく、さらには100万以下であることが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重量平均分子量の上限値が上記以下であると、前述した貯蔵弾性率の上限値を満たし易い。なお、本明細書における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定した標準ポリスチレン換算の値である。
なお、粘着性組成物Pにおいて、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(1-2)架橋剤(B)
架橋剤(B)は、粘着性組成物Pの加熱により(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を架橋し、三次元網目構造を良好に形成することが可能となる。これにより、得られる粘着剤の凝集力が向上し、得られる粘着剤のゲル分率や貯蔵弾性率を前述した範囲に調整し易くなる。
上記架橋剤(B)としては、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が有する反応性基と反応するものであればよく、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アミン系架橋剤、メラミン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、ヒドラジン系架橋剤、アルデヒド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、アンモニウム塩系架橋剤等が挙げられる。上記の中でも、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が有する反応性基が水酸基の場合、水酸基との反応性に優れたイソシアネート系架橋剤を使用することが好ましく、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が有する反応性基がカルボキシ基の場合、カルボキシ基との反応性に優れたエポキシ系架橋剤を使用することが好ましい。なお、架橋剤(B)は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
イソシアネート系架橋剤は、少なくともポリイソシアネート化合物を含むものである。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネートなど、及びそれらのビウレット体、イソシアヌレート体、さらにはエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ヒマシ油等の低分子活性水素含有化合物との反応物であるアダクト体などが挙げられる。中でも水酸基との反応性の観点から、トリメチロールプロパン変性の芳香族ポリイソシアネート、特にトリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネートおよびトリメチロールプロパン変性キシリレンジイソシアネートが好ましい。
エポキシ系架橋剤としては、例えば、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-m-キシリレンジアミン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミン等が挙げられる。中でもカルボキシ基との反応性の観点から、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサンが好ましい。
粘着性組成物P中における架橋剤(B)の含有量は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)100質量部に対して、0.01質量部以上であることが好ましく、特に0.05質量部以上であることが好ましく、さらには0.1質量部以上であることが好ましい。また、当該含有量は、10質量部以下であることが好ましく、特に5質量部以下であることが好ましく、さらには0.4質量部以下であることが好ましい。架橋剤(B)の含有量が上記範囲にあることで、前述した貯蔵弾性率およびゲル分率が満たされ易くなる。
(1-3)各種添加剤
粘着性組成物Pには、所望により、アクリル系粘着剤に通常使用されている各種添加剤、例えばシランカップリング剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、粘着付与剤、酸化防止剤、光安定剤、軟化剤、屈折率調整剤、防錆剤などを添加することができる。なお、後述の重合溶媒や希釈溶媒は、粘着性組成物Pを構成する添加剤に含まれないものとする。
粘着性組成物Pは、上記の中でもシランカップリング剤を含有することが好ましい。これにより、被着体であるバックライト(発光体、基板、反射膜)や拡散部材等の光学部材との密着性が向上し、耐久条件下での発光体封止性がより優れたものとなる。
シランカップリング剤としては、分子内にアルコキシシリル基を少なくとも1個有する有機ケイ素化合物であって、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)との相溶性がよく、光透過性を有するものが好ましい。
かかるシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の重合性不飽和基含有ケイ素化合物、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ構造を有するケイ素化合物、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン等のメルカプト基含有ケイ素化合物、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ基含有ケイ素化合物、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、あるいはこれらの少なくとも1つと、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン等のアルキル基含有ケイ素化合物との縮合物などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
粘着性組成物P中におけるシランカップリング剤の含有量は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)100質量部に対して、0.01質量部以上であることが好ましく、特に0.05質量部以上であることが好ましく、さらには0.1質量部以上であることが好ましい。また、当該含有量は、1質量部以下であることが好ましく、特に0.5質量部以下であることが好ましく、さらには0.3質量部以下であることが好ましい。
(2)粘着性組成物の調製
粘着性組成物Pは、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を製造し、得られた(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)と、架橋剤(B)とを混合するとともに、所望により添加剤を加えることで製造することができる。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、重合体を構成するモノマーの混合物を通常のラジカル重合法で重合することにより製造することができる。(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重合は、所望により重合開始剤を使用して、溶液重合法により行うことが好ましい。重合溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン等が挙げられ、2種類以上を併用してもよい。
重合開始剤としては、アゾ系化合物、有機過酸化物等が挙げられ、2種類以上を併用してもよい。アゾ系化合物としては、例えば、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1'-アゾビス(シクロヘキサン1-カルボニトリル)、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチル-4-メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、4,4'-アゾビス(4-シアノバレリック酸)、2,2'-アゾビス(2-ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、2,2'-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]等が挙げられる。
有機過酸化物としては、例えば、過酸化ベンゾイル、t-ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2-エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、ジアセチルパーオキシド等が挙げられる。
なお、上記重合工程において、2-メルカプトエタノール等の連鎖移動剤を配合することにより、得られる重合体の重量平均分子量を調節することができる。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が得られたら、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の溶液に、架橋剤(B)、ならびに所望により希釈溶剤および添加剤を添加し、十分に混合することにより、溶剤で希釈された粘着性組成物P(塗布溶液)を得る。なお、上記各成分のいずれかにおいて、固体状のものを用いる場合、あるいは、希釈されていない状態で他の成分と混合した際に析出を生じる場合には、その成分を単独で予め希釈溶媒に溶解もしくは希釈してから、その他の成分と混合してもよい。
上記希釈溶剤としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、塩化メチレン、塩化エチレン等のハロゲン化炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、1-メトキシ-2-プロパノール等のアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、2-ペンタノン、イソホロン、シクロヘキサノン等のケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル、エチルセロソルブ等のセロソルブ系溶剤などが用いられる。
このようにして調製された塗布溶液の濃度・粘度としては、コーティング可能な範囲であればよく、特に制限されず、状況に応じて適宜選定することができる。例えば、粘着性組成物Pの濃度が10~60質量%となるように希釈する。なお、塗布溶液を得るに際して、希釈溶剤等の添加は必要条件ではなく、粘着性組成物Pがコーティング可能な粘度等であれば、希釈溶剤を添加しなくてもよい。この場合、粘着性組成物Pは、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重合溶媒をそのまま希釈溶剤とする塗布溶液となる。
(3)粘着剤層の形成
本実施形態における粘着剤層11は、好ましくは粘着性組成物P(の塗布層)を架橋した粘着剤からなる。粘着性組成物Pの架橋は、通常は加熱処理により行うことができる。なお、この加熱処理は、所望の対象物に塗布した粘着性組成物Pの塗布層から希釈溶剤等を揮発させる際の乾燥処理で兼ねることもできる。
加熱処理の加熱温度は、50~150℃であることが好ましく、特に70~120℃であることが好ましい。また、加熱時間は、10秒~10分であることが好ましく、特に50秒~2分であることが好ましい。
加熱処理後、必要に応じて、常温(例えば、23℃、50%RH)で1~2週間程度の養生期間を設けてもよい。この養生期間が必要な場合は、養生期間経過後、養生期間が不要な場合には、加熱処理終了後、粘着剤が形成される。
上記の加熱処理(及び養生)により、架橋剤(B)を介して(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が十分に架橋される。このようにして得られる粘着剤は、前述した物性値を満たし易いものとなる。
(4)粘着剤の物性
本実施形態における粘着剤に含まれるモノマー量、主として(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の共重合に使用したモノマーの残量は、10質量%以下であることが好ましく、特に1質量%以下であることが好ましく、さらには0.1質量%未満であることが好ましい。これにより、得られる粘着剤層11は耐光性に優れたものとなり、発光する複数の発光体に接触した状態で長時間使用されても、変色することを抑制することができる。
本実施形態における粘着剤に含まれるモノマー量の下限値は、0質量%であることが最も好ましいが、通常は、0.001質量%以上であることが好ましく、特に0.005質量%以上であることが好ましい。
1-2.剥離シート
剥離シート12a,12bは、粘着シート1の使用時まで粘着剤層11を保護するものであり、粘着シート1(粘着剤層11)を使用するときに剥離される。本実施形態に係る粘着シート1において、剥離シート12a,12bの一方または両方は必ずしも必要なものではない。
剥離シート12a,12bとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン酢酸ビニルフィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム等が用いられる。また、これらの架橋フィルムも用いられる。さらに、これらの積層フィルムであってもよい。
上記剥離シート12a,12bの剥離面(特に粘着剤層11と接する面)には、剥離処理が施されていることが好ましい。剥離処理に使用される剥離剤としては、例えば、アルキッド系、シリコーン系、フッ素系、不飽和ポリエステル系、ポリオレフィン系、ワックス系の剥離剤が挙げられる。なお、剥離シート12a,12bのうち、一方の剥離シートを剥離力の大きい重剥離型剥離シートとし、他方の剥離シートを剥離力の小さい軽剥離型剥離シートとすることが好ましい。
剥離シート12a,12bの厚さについては特に制限はないが、通常20~150μm程度である。
2.物性
(1)全光線透過率
本実施形態に係る粘着シート1の粘着剤層11の全光線透過率(JIS K7361-1:1997に準拠して測定した値)は、90%以上であることが好ましく、特に93%以上であることが好ましく、さらには95%以上であることが好ましい。全光線透過率が上記であると、透明性が高く、バックライト貼付用として好適なものとなる。
また、本実施形態に係る粘着シート1を、50℃、50%RHの条件下に500時間置いた後の粘着剤層11の全光線透過率は、90%以上であることが好ましく、特に93%以上であることが好ましく、さらには95%以上であることが好ましい。この全光線透過率が上記であると、粘着剤層11に接触している発光体の発熱状態が長時間続くような耐熱条件下でも、透明性が高くバックライト貼付用としてより好適なものとなる。
さらに、本実施形態に係る粘着シート1に対し、紫外線を照度500mW/m2で500時間照射した後の粘着剤層11の全光線透過率は、90%以上であることが好ましく、特に93%以上であることが好ましく、さらには95%以上であることが好ましい。この全光線透過率が上記であると、粘着剤層11に接触している発光体の発光状態が長時間続くような条件下でも、耐光性に優れているということができ、バックライト貼付用としてより好適なものとなる。
(2)ヘイズ値
本実施形態に係る粘着シート1の粘着剤層11のヘイズ値は、30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましく、特に10%以下であることが好ましく、さらには1%以下であることが好ましい。粘着剤層11のヘイズ値が上記であることにより、光透過性に優れ、バックライト貼付用として好適なものとなる。なお、上記ヘイズ値は粘着剤層の厚さも含めた特性値であり、粘着剤層の厚さにかかわらず、上記ヘイズ値を満たすことが好ましい。
本実施形態における粘着剤層11は、厚さが250μmと厚くても、上記ヘイズ値を満たし易い。本実施形態に係る粘着シート1では、前述した粘着剤組成物Pを使用することにより、上記のような低いヘイズ値を達成することができる。
また、本実施形態に係る粘着シート1を、50℃、50%RHの条件下に500時間置いた後の粘着剤層11のヘイズ値は、30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましく、特に10%以下であることが好ましく、さらには1%以下であることが好ましい。このヘイズ値が上記であると、粘着剤層11に接触している発光体の発熱状態が長時間続くような耐熱条件下でも、透明性が高く、バックライト貼付用としてより好適なものとなる。
さらに、本実施形態に係る粘着シート1に対し、紫外線を照度500mW/m2で500時間照射した後の粘着剤層11のヘイズ値は、30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましく、特に10%以下であることが好ましく、さらには1%以下であることが好ましい。この全光線透過率が上記であると、粘着剤層11に接触している発光体の発光状態が長時間続くような条件下でも、耐光性に優れているということができ、バックライト貼付用としてより好適なものとなる。
なお、いずれの条件下でも、本実施形態に係る粘着シート1の粘着剤層11のヘイズ値の下限値は、特に限定されず、0%以上であることが好ましく、0.1%以上であることがより好ましい。ここで、本明細書におけるヘイズ値は、JIS K7136:2000に準じて測定した値とする。
(3)色味
本実施形態における粘着剤層11は、CIE1976L*a*b*表色系により規定される色度a*が、-5.0~5.0であることが好ましく、特に-3.0~3.0であることが好ましく、さらには-2.0~2.0であることが好ましい。また、本実施形態における粘着剤層11は、CIE1976L*a*b*表色系により規定される色度b*が-5.0~5.0であることが好ましく、特に-3.0~3.0であることが好ましく、さらには-2.0~2.0であることが好ましい。色度a*および色度b*が上記範囲にあることで、粘着剤層11は無色透明に近いものとなり、バックライト貼付用として好適なものとなる。
また、本実施形態に係る粘着シート1を、50℃、50%RHの条件下に500時間置いた後の粘着剤層11の色度a*は-5.0~5.0であることが好ましく、特に-3.0~3.0であることが好ましく、さらには-2.0~2.0であることが好ましい。また、色度b*は、-5.0~5.0であることが好ましく、特に-3.0~3.0であることが好ましく、さらには-2.0~2.0であることが好ましい。色度a*および色度b*が上記範囲にあると、粘着剤層11に接触している発光体の発熱状態が長時間続くような耐熱条件下でも、粘着剤層11は無色透明に近いものとなり、バックライト貼付用としてより好適なものとなる。
さらに、本実施形態に係る粘着シート1に対し、紫外線を照度500mW/m2で500時間照射した後の粘着剤層11の色度a*は、-5.0~5.0であることが好ましく、特に-3.0~3.0であることが好ましく、さらには-2.0~2.0であることが好ましい。また、色度b*は、-5.0~5.0であることが好ましく、特に-3.0~3.0であることが好ましく、さらには-2.0~2.0であることが好ましい。色度a*および色度b*が上記範囲にあると、粘着剤層11に接触している発光体の発光状態が長時間続くような条件下でも、粘着剤層11は無色透明に近く、耐光性に優れているということができ、バックライト貼付用としてより好適なものとなる。
なお、本明細書における色度a*および色度b*の測定方法は、後述する試験例に示す通りである。
(4)粘着力
本実施形態に係る粘着シート1のソーダライムガラスに対する23℃における粘着力は、下限値として10N/25mm以上であることが好ましく、13N/25mm以上であることがより好ましく、特に15N/25mm以上であることが好ましく、さらには26N/25mm以上であることが好ましい。粘着力の下限値が上記であると、発光体封止性がより優れたものとなる。また、本実施形態に係る粘着シート1のソーダライムガラスに対する23℃における粘着力は、上限値として100N/25mm以下であることが好ましく、80N/25mm以下であることがより好ましく、50N/25mm以下であることが特に好ましい。粘着力の上限値が上記であると、良好なリワーク性が得られる。
ここで、本明細書の23℃における粘着力は、基本的にはJIS Z0237:2009に準じた180度引き剥がし法により測定した粘着力をいうが、測定サンプルは25mm幅、100mm長とし、当該測定サンプルを被着体に貼付し、0.5MPa、50℃で20分加圧した後、常圧、23℃、50%RHの条件下で24時間放置してから、剥離速度300mm/minにて測定するものとする。
本実施形態に係る粘着シート1のソーダライムガラスに対する50℃における粘着力は、下限値として2N/25mm以上であることが好ましく、特に4N/25mm以上であることが好ましく、さらには6N/25mm以上であることが好ましい。粘着力の下限値が上記であると、耐熱条件下での発光体封止性がより優れたものとなる。また、本実施形態に係る粘着シート1のソーダライムガラスに対する50℃における粘着力は、特に限定されないが、100N/25mm以下であることが好ましく、80N/25mm以下であることがより好ましく、50N/25mm以下であることが特に好ましい。
ここで、本明細書の50℃における粘着力は、基本的にはJIS Z0237:2009に準じた180度引き剥がし法により測定した粘着力をいうが、測定サンプルは25mm幅、100mm長とし、当該測定サンプルを被着体に貼付し、0.5MPa、50℃で20分加圧した後、常圧、50℃、50%RHの条件下で6時間放置してから、剥離速度300mm/minにて測定するものとする。
3.粘着シートの製造
粘着シート1の一製造例としては、一方の剥離シート12a(または12b)の剥離面に、上記粘着性組成物Pの塗布溶液を塗布し、加熱処理を行って粘着性組成物Pを熱架橋し、塗布層を形成した後、その塗布層に他方の剥離シート12b(または12a)の剥離面を重ね合わせる。養生期間が必要な場合は養生期間をおくことにより、養生期間が不要な場合はそのまま、上記塗布層が粘着剤層11となる。これにより、上記粘着シート1が得られる。加熱処理および養生の条件については、前述した通りである。
粘着シート1の他の製造例としては、一方の剥離シート12aの剥離面に、上記粘着性組成物Pの塗布溶液を塗布し、加熱処理を行って粘着性組成物Pを熱架橋し、塗布層を形成して、塗布層付きの剥離シート12aを得る。また、他方の剥離シート12bの剥離面に、上記粘着性組成物Pの塗布溶液を塗布し、加熱処理を行って粘着性組成物Pを熱架橋し、塗布層を形成して、塗布層付きの剥離シート12bを得る。そして、塗布層付きの剥離シート12aと塗布層付きの剥離シート12bとを、両塗布層が互いに接触するように貼り合わせる。ここで、塗布層付きの剥離シートを複数作製し、その塗布層を所望の数だけ貼合してもよい。養生期間が必要な場合は養生期間をおくことにより、養生期間が不要な場合はそのまま、上記の積層された塗布層が粘着剤層11となる。これにより、上記粘着シート1が得られる。この製造例によれば、粘着剤層11が厚い場合であっても、安定して製造することが可能となる。
上記粘着性組成物Pの塗布溶液を塗布する方法としては、例えばバーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等を利用することができる。
〔バックライトユニット〕
本発明の一実施形態に係るバックライトユニットを図2に示す。
図2に示すように、本実施形態に係るバックライトユニット2は、1または2以上の基板21上に複数の発光体22が設けられたバックライト20と、当該バックライト20に、上記発光体22が封止されるように貼付された粘着剤層11とを備えて構成される。
上記バックライトユニット2における粘着剤層11は、前述したバックライト貼付用粘着シート1の粘着剤層11である。上記複数の発光体22は、この粘着剤層11によって空隙なく封止されている。これにより、得られる表示体の内部に空気層や空隙がなくなるため、光の反射損失による画質低下を防止することができる。
基板21としては、特に限定されず、バックライトに一般的に用いられるものが使用される。この基板21は、通常は、プリント回路基板(PCB基板;Printed Circuit Board)である。
基板21は、複数の発光体22がまとめて搭載されるように一体的に形成されていてもよいし、一の基板21上に一の発光体22が搭載されるように、各々分離して形成されていてもよい。分離して形成される場合には、各基板21は、通常、フレーム、支持体、筐体等に固定される。本実施形態では、図2に示すように、基板21は、複数の発光体22がまとめて搭載されるように一体的に形成されていることが好ましい。
基板21の粘着剤層11側の面には、反射層が形成されていてもよいし、反射部材が設けられていてもよい。これにより、バックライト20による輝度を効果的に向上させることができる。反射層や反射部材の材料は、公知のものを採用することができる。
発光体22の種類としては、例えば、発光ダイオード(LED)、レーザーダイオード(LD)、有機エレクトロルミネッセンス発光素子、無機エレクトロルミネッセンス発光素子等が挙げられる。これらの中でも、粘着剤層11による封止性の観点から、LEDが好ましく、特に、ミニLEDまたはマイクロLEDが好ましい。
発光体22の厚さは、10μm以上であることが好ましく、30μm以上であることがより好ましく、特に50μm以上であることが好ましく、さらには80μm以上であることが好ましい。また、発光体22の厚さは、300μm以下であることが好ましく、特に150μm以下であることが好ましく、さらには100μm以下であることが好ましい。本実施形態に係る粘着剤層11であれば、発光体22の厚さが上記範囲であっても、発光体22を空隙なく封止し易い。
また、互いに隣り合う発光体22の間隙の幅は、0.01mm以上であることが好ましく、特に0.1mm以上であることが好ましく、さらには0.5mm以上であることが好ましい。また、上記間隙の幅は、100mm以下であることが好ましく、10mm以下であることがより好ましく、特に4mm以下であることが好ましく、さらには2mm以下であることが好ましい。本実施形態に係る粘着剤層11であれば、互いに隣り合う発光体22の間隙の幅が上記範囲であっても、発光体22を空隙なく封止し易い。
発光体22の形状は、特に限定されないが、通常は、直方体状、半球状等である。発光体22の大きさも特に限定されないが、発光体封止性の観点から、平面視の一辺または直径が、0.01~100mmであることが好ましく、0.1~10mmであることがより好ましく、特に0.2~5mmであることが好ましく、さらには0.5~2mmであることが好ましい。
ここで、本実施形態に係るバックライトユニット2を使用した表示体について説明する。表示体の種類としては、バックライトユニットを使用するタイプのものであれば特に限定されないが、液晶表示装置が主として例示される。
本実施形態における一例としての液晶表示装置を図3に示す。
図3に示すように、本実施形態に係る液晶表示装置3は、前述したバックライトユニット2と、バックライトユニット2の粘着剤層11に積層された拡散部材31と、拡散部材31におけるバックライトユニット2とは反対側に積層された液晶パネル32とを備えて構成される。この液晶表示装置3におけるバックライト20は、直下型のバックライトに該当する。
拡散部材31は、バックライトユニット2から照射される光を拡散する部材であり、この拡散部材31によって、輝度むらの発生を効果的に抑制することができる。拡散部材31は、公知のものを採用することができ、例えば、拡散板や拡散フィルム、それらの組み合わせ等を使用することができる。液晶パネル32も、公知のものを採用することができる。
なお、粘着剤層11と拡散部材31との間、拡散部材31と液晶パネル32との間、または液晶パネル32における拡散部材31とは反対側の面には、所望の光学部材が設けられていてもよい。かかる光学部材としては、例えば、輝度向上フィルム、コントラスト向上フィルム、視野角補償フィルム、透明導電性フィルム、液晶ポリマーフィルム、半透過反射フィルム、飛散防止フィルム等が挙げられる。
本実施形態に係る液晶表示装置3を製造するには、例えば、粘着シート1の一方の剥離シート12aを剥離して、粘着シート1の露出した粘着剤層11を、バックライト20の発光体22が存在する側の面に貼合する。
その後、粘着シート1の粘着剤層11から他方の剥離シート12bを剥離して、粘着シート1の露出した粘着剤層11と拡散部材31とを貼合する。そして、所望の粘着シートを使用して、拡散部材31と液晶パネル32とを貼合する。また、他の例として、バックライト20および拡散部材31の貼合順序を入れ替えてもよい。
上記液晶表示装置3においては、バックライトユニット2における複数の発光体22が、粘着剤層11によって空隙なく封止されているため、光の反射損失による画質低下が防止されている。また、この液晶表示装置3が耐久条件下、例えば、85℃、85%RH、72時間の条件下に置かれても、粘着剤層11と発光体22との界面に浮き、剥がれ等が発生することが抑制され、粘着剤層11による発光体22の封止が良好に維持される。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
例えば、粘着シート1における剥離シート12a,12bのいずれか一方または両方は省略されてもよく、また、剥離シート12aおよび/または12bの替わりに所望の光学部材が積層されてもよい。
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
〔実施例1〕
1.(メタ)アクリル酸エステル重合体の調製
アクリル酸2-エチルヘキシル60質量部、アクリル酸イソボルニル10質量部、N-アクリロイルモルホリン10質量部、およびアクリル酸2-ヒドロキシエチル20質量部を溶液重合法により共重合させて、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を調製した。この(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の分子量を後述する方法で測定したところ、重量平均分子量(Mw)50万であった。
2.粘着性組成物の調製
上記工程1で得られた(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)100質量部(固形分換算値;以下同じ)と、架橋剤(B)としてのトリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネート(トーヨーケム社製,製品名「BHS8515」)0.15質量部と、シランカップリング剤としての3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.2質量部とを混合し、十分に撹拌して、メチルエチルケトンで希釈することにより、粘着性組成物の塗布溶液を得た。
ここで、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を100質量部(固形分換算値)とした場合の粘着性組成物の各配合(固形分換算値)を表1に示す。なお、表1に記載の略号等の詳細は以下の通りである。
[(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)]
2EHA:アクリル酸2-エチルヘキシル
IBXA:アクリル酸イソボルニル
ACMO:N-アクリロイルモルホリン
HEA:アクリル酸2-ヒドロキシエチル
BA:アクリル酸n-ブチル
AA:アクリル酸
MA:アクリル酸メチル
EA:アクリル酸エチル
[架橋剤(B)]
TDI:トリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネート(トーヨーケム社製,製品名「BHS8515」)
XDI:トリメチロールプロパン変性キシリレンジイソシアネート(綜研化学社製,製品名「TD-75」)
エポキシ:1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(三菱ガス化学社製,製品名「TETRAD-C」)
Alキレート:アルミニウムトリスアセチルアセトネート(綜研化学社製,製品名「M-5A」)
3.粘着シートの製造
上記工程2で得られた粘着性組成物の塗布溶液を、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面をシリコーン系剥離剤で剥離処理した重剥離型剥離シート(リンテック社製,製品名「SP-PET752150」)の剥離処理面に、ナイフコーターで塗布したのち、90℃で1分間加熱処理して塗布層(厚さ:約50μm)を形成することで、塗布層付きの重剥離型剥離シートを作製した。
一方、上記工程2で得られた粘着性組成物の塗布溶液を、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面をシリコーン系剥離剤で剥離処理した軽剥離型剥離シート(リンテック社製,製品名「SP-PET381130」)の剥離処理面に、ナイフコーターで塗布したのち、90℃で1分間加熱処理して、塗布層(厚さ:約50μm)を形成することで、塗布層付きの軽剥離型剥離シートを作製した。この塗布層付きの軽剥離型剥離シートを、4枚作製した。
上記で得られた塗布層付きの重剥離型剥離シートにおける塗布層側の面と、上記で得られた第1の塗布層付きの軽剥離型剥離シートの塗布層側の面とを貼合し、合計厚さ約100μmである塗布層が、重剥離型剥離シートと軽剥離型剥離シートとにより挟まれてなる第1の積層体を得た。
次に、上記第1の積層体から軽剥離型剥離シートを剥離して露出した塗布層の露出面に対して、第2の塗布層付きの軽剥離型剥離シートの塗布層側の面を貼合し、合計厚さ約150μmである塗布層が、重剥離型剥離シートと軽剥離型剥離シートとにより挟まれてなる第2の積層体を得た。
次いで、上記第2の積層体から軽剥離型剥離シートを剥離して露出した塗布層の露出面に対して、第3の塗布層付きの軽剥離型剥離シートの塗布層側の面を貼合し、合計厚さ約200μmである塗布層が、重剥離型剥離シートと軽剥離型剥離シートとにより挟まれてなる第3の積層体を得た。
続いて、上記第3の積層体から軽剥離型剥離シートを剥離して露出した塗布層の露出面に対して、第4の塗布層付きの軽剥離型剥離シートの塗布層側の面を貼合し、合計厚さ約250μmである塗布層が、重剥離型剥離シートと軽剥離型剥離シートとにより挟まれてなる第4の積層体を得た。
上記第4の積層体を、23℃、50%RHの条件下で7日間養生することにより、重剥離型剥離シート/粘着剤層(厚さ:250μm)/軽剥離型剥離シートの構成からなる粘着シートを作製した。
なお、上記粘着剤層の厚さは、JIS K7130に準拠し、定圧厚さ測定器(テクロック社製,製品名「PG-02」)を使用して測定した値である。
〔実施例2~6,比較例1~3〕
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を構成する各モノマーの種類および割合、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重量平均分子量(Mw)、架橋剤(B)の種類および配合量、シランカップリング剤の配合量、ならびに粘着剤層の厚さを表1に示すように変更する以外、実施例1と同様にして粘着シートを製造した。なお、実施例3および比較例2においては、軽剥離型剥離シート上に形成した塗布層の積層数を変更することにより、粘着剤層の厚さを変更した。
ここで、前述した重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件で測定(GPC測定)したポリスチレン換算の重量平均分子量である。
<測定条件>
・測定装置:東ソー社製,HLC-8320
・GPCカラム(以下の順に通過):東ソー社製
TSK gel superH-H
TSK gel superHM-H
TSK gel superH2000
・測定溶媒:テトラヒドロフラン
・測定温度:40℃
〔試験例1〕(ゲル分率の測定)
実施例および比較例で得られた粘着シートを80mm×80mmのサイズに裁断して、その粘着剤層をポリエステル製メッシュ(メッシュサイズ200)に包み、その質量を精密天秤にて秤量し、上記メッシュ単独の質量を差し引くことにより、粘着剤のみの質量を算出した。このときの質量をM1とする。
次に、上記ポリエステル製メッシュに包まれた粘着剤を、室温下(23℃)で酢酸エチルに24時間浸漬させた。その後粘着剤を取り出し、温度23℃、相対湿度50%の環境下で、24時間風乾させ、さらに80℃のオーブン中にて12時間乾燥させた。乾燥後、その質量を精密天秤にて秤量し、上記メッシュ単独の質量を差し引くことにより、粘着剤のみの質量を算出した。このときの質量をM2とする。ゲル分率(%)は、(M2/M1)×100で表される。結果を表2に示す。
〔試験例2〕(貯蔵弾性率の測定)
実施例および比較例で得られた粘着シートから剥離シートを剥がし、粘着剤層を厚さ3mmになるように複数層積層した。得られた粘着剤層の積層体から、直径8mmの円柱体(高さ3mm)を打ち抜き、これをサンプルとした。
上記サンプルについて、JIS K7244-6に準拠し、粘弾性測定装置(Physica社製,製品名「MCR300」)を用いてねじりせん断法により、以下の条件で23℃および50℃における貯蔵弾性率(MPa)を測定した。結果を表2に示す。
測定周波数:1Hz
測定温度:23℃,50℃
〔試験例3〕(粘着力の測定)
実施例および比較例で得られた粘着シートから軽剥離型剥離シートを剥離し、露出した粘着剤層を、易接着層を有するポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡社製,製品名「PET A4300」,厚さ:100μm)の易接着層に貼合し、剥離シート/粘着剤層/PETフィルムの積層体を得た。得られた積層体を25mm幅、100mm長に裁断し、これをサンプルとした。
23℃、50%RHの環境下にて、上記サンプルから重剥離型剥離シートを剥離し、露出した粘着剤層をソーダライムガラス(日本板硝子社製)に貼付したのち、栗原製作所社製オートクレーブにて0.5MPa、50℃で、20分加圧した。そして、23℃、50%RHの条件下で24時間放置し、または50℃、50%RHの条件下で6時間放置した。
その後、上記条件と同じ環境下(23℃・50%RH/50℃・50%RH)にて、引張試験機(オリエンテック社製,製品名「テンシロン」)を用い、剥離速度300mm/min、剥離角度180度の条件で、23℃および50℃における粘着力(N/25mm)を測定した。ここに記載した以外の条件はJIS Z 0237:2009に準拠して、測定を行った。結果を表2に示す。
〔試験例4〕(埋め込み性の評価)
アクリル系の粘着剤層(厚さ25μm)を2枚の剥離シートで挟持してなる粘着シート(リンテック社製,製品名「MO-T015C」)を用意し、一方の剥離シートを剥離した。露出した粘着剤層を、易接着層を有するPETフィルム(東洋紡社製,製品名「PET A4300」,厚さ:75μm)の易接着層に貼合し、剥離シート/粘着剤層/PETフィルムの積層体を得た。得られた積層体を1mm幅、70mm長に裁断して粘着テープとし、この粘着テープを複数作製した。
上記粘着テープから他方の剥離シートを剥離し、粘着剤層を露出させた複数の粘着テープを、隣り合う粘着テープの間隙の幅が5mm、3mmまたは1mmとなるように、70mm×70mmの大きさのソーダライムガラス板(日本板硝子社製)に貼付し、これを被着体とした。
一方、実施例および比較例で得られた粘着シートから軽剥離型剥離シートを剥離し、露出した粘着剤層を、易接着層を有するPETフィルム(東洋紡社製,製品名「PET A4300」,厚さ:50μm)の易接着層に貼合し、剥離シート/粘着剤層/PETフィルムの積層体を得た。そして、この積層体を70mm×70mmの大きさに裁断した。
23℃、50%RHの環境下にて、上記積層体から重剥離型剥離シートを剥離し、粘着剤層を表出させた。そして、ラミネーター(フジプラ社製,製品名「LPD3214」)を用いて、粘着剤層が各粘着テープを覆うように当該積層体を上記被着体にラミネートし、これを評価用サンプルとした。
得られた評価用サンプルを、50℃、0.5MPaの条件下で30分間オートクレーブ処理した後、常圧、23℃、50%RHにて24時間放置した。まずはこの状態で、被着体と粘着剤層との界面の状態を目視し、以下の基準に基づいて埋め込み性(耐久前)を評価した。結果を表2に示す。
◎:浮き・剥がれ無し
○:浮き・剥がれは無いが、気泡発生
×:浮き・剥がれ発生
次いで、上記評価用サンプルを、85℃、85%RHの湿熱条件下にて72時間保管し(耐久試験)、その後、上記と同様にして埋め込み性(耐久後)を評価した。結果を表2に示す。
〔試験例5〕(全光線透過率の測定)
実施例および比較例で得られた粘着シートから軽剥離型剥離シートを剥離し、露出した粘着剤層をガラスに貼合して、これを測定用サンプルとした。ガラスでバックグラウンド測定を行った上で、上記測定用サンプルから重剥離型剥離シートを剥離して粘着剤面を露出させ、23℃の条件にて、JIS K7361-1:1997に準じて、ヘイズメーター(日本電色工業社製,製品名「NDH-5000」)を用いて全光線透過率(耐久前;%)を測定した。結果を表3に示す。
次に、上記測定用サンプルを、50℃、50%RHの高温条件下にて500時間保管し(耐熱試験)、その後、上記と同様にして全光線透過率(耐熱試験後;%)を測定した。結果を表3に示す。
一方、上記測定用サンプルを、耐光性試験機(スガ試験機社製,製品名「紫外線フェードメーターU48」,光源:カーボンアークランプ)に投入し、重剥離型剥離シート側から紫外線(照度:500mW/m2)を500時間照射した。その後、上記と同様にして全光線透過率(耐光試験後;%)を測定した。結果を表3に示す。
〔試験例6〕(ヘイズ値の測定)
実施例および比較例で得られた粘着シートから軽剥離型剥離シートを剥離し、露出した粘着剤層をガラスに貼合して、これを測定用サンプルとした。ガラスでバックグラウンド測定を行った上で、上記測定用サンプルから重剥離型剥離シートを剥離して粘着剤面を露出させ、23℃の条件にて、JIS K7136:2000に準じて、ヘイズメーター(日本電色工業社製,製品名「NDH-5000」)を用いてヘイズ値(耐久前;%)を測定した。結果を表3に示す。
次に、上記測定用サンプルを、50℃、50%RHの高温条件下にて500時間保管し(耐熱試験)、その後、上記と同様にしてヘイズ値(耐熱試験後;%)を測定した。結果を表3に示す。
一方、上記測定用サンプルを、耐光性試験機(スガ試験機社製,製品名「紫外線フェードメーターU48」,光源:カーボンアークランプ)に投入し、重剥離型剥離シート側から紫外線(照度:500mW/m2)を500時間照射した。その後、上記と同様にしてヘイズ値(耐光試験後;%)を測定した。結果を表3に示す。
〔試験例7〕(L*a*b*の測定)
実施例および比較例で得られた粘着シートの粘着剤層について、同時測光分光式色度計(日本電色工業社製,製品名「SQ2000」)を使用し、CIE1976L*a*b*表色系により規定される色度a*および色度b*(耐久前)を測定した。結果を表3に示す。
次に、上記粘着シートを、50℃、50%RHの高温条件下にて500時間保管し(耐熱試験)、その後、上記と同様にして色度a*および色度b*(耐熱試験後)を測定した。結果を表3に示す。
一方、上記粘着シートを、耐光性試験機(スガ試験機社製,製品名「紫外線フェードメーターU48」,光源:カーボンアークランプ)に投入し、重剥離型剥離シート側から紫外線(照度:500mW/m2)を500時間照射した。その後、上記と同様にして色度a*および色度b*(耐光試験後)を測定した。結果を表3に示す。
〔試験例8〕(残留モノマー量の測定)
実施例および比較例で得られた粘着シートからそれぞれ粘着剤0.02gを単離し、当該粘着剤を容量22mLのバイアルに入れ、120℃で30分間保持した。その後、バイアル中の気相成分を、ヘッドスペースサンプラー(パーキンエルマー社製,製品名「ターホマトリクス40」)を用いてガスクロマトグラフ(ヒューレットパッカード社製,製品名「6890型」)に導入し、成分分析を行った。なお、分離カラムは、ヒューレットパッカード社製のHP-5を用いた。その結果、いずれの例の粘着剤においても、残留モノマー量が0.1質量%未満であることを確認した。
表2から分かるように、実施例で得られた粘着シートは、耐久試験前および耐久試験後のいずれにおいても、埋め込み性に優れていた。また、表3から分かるように、実施例で得られた粘着シートは、耐久試験前、耐熱試験後および耐光試験後のいずれにおいても、無色透明性の程度が高かった。