JP7104972B2 - 抗ウイルス・抗菌・抗真菌剤及び処理方法 - Google Patents

抗ウイルス・抗菌・抗真菌剤及び処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、生活空間や職場空間に存在する内装、装置・設備及び移動可能な備品・什器、防ウイルス・細菌マスク及び抗菌ティッシュ紙等表面に付着し人体に障害をもたらすウイルス、細菌及び真菌胞子・分生子等微生物(以降、まとめて微生物とも称する。)を不活性化する抗ウイルス・抗菌・抗真菌剤及び処理方法に関する。
上述の抗ウイルス・抗菌・抗真菌剤(以降、まとめて抗微生物剤とも称する。)として、これまで、種々の構造を有する有効成分が示され公知になっているが、抗菌・抗真菌特性を有しても抗ウイルスに優れる効能を併せ持つ汎用な薬剤は、通称「塩素剤」に代表されるハロゲン系殺菌剤に限定されていた。
本願では、該ハロゲン系殺菌剤には属さないエチレンオキシド、ラジカル構造を有するオゾン及び二酸化塩素を使用する通称「ガス滅菌」手法は背景技術の対象から外し論外とする。
又、細菌より小さなウイルスにも「エンベロープ(被覆)を有するもの」と、食中毒を起こすノロウイルスに代表される「エンベロープ(被覆)がないもの」とが存在し、薬効機序の違いで、双方の薬剤耐性には多少なりとも差がある。
微生物不活性化は以下の方法で可能になる。ウイルス表面にスパイク突出する抗原(リガンド)との結合・切断・構造変化、エンベロープ・細胞壁・細胞膜の単純破壊と内容物漏出、細胞壁・細胞膜生合成の阻害、微生物の代謝阻害、遺伝子破壊、及び、もっと穏やかな輸送体・受容体・表面突出酵素の閉塞又は変性による不活化等である。
薬剤適用範囲は、実際に薬効を発揮する対象によって決まる。因って、「消毒用エタノール」と称される含水エチルアルコール、「陽イオン界面活性剤」と称される第四級アンモニウム塩の抗ウイルス作用は共に弱く、ウイルス不活性化には不向きとされる。
ウイルスは、宿主の細胞内で複写され、自然界の細胞外では増殖しない「無生物」である。宿主のリボ核酸(RNA)が産生する物質を流用、自らの構成材料とするのがウイルスである。逆の観点では、ウイルスは自ら増殖するのではなく、宿主細胞に増殖して貰っていることになる。ウイルスが増殖時の工程で自己負担するのは、タンパク質産生開始及び部品集合の信号が組み込まれたリボ核酸(RNA)又はデオキシリボ核酸(DNA)を含むコア内遺伝子だけである。故に、ウイルスは鞭毛保有細菌同様の「細胞外自力活動」はできない。
ウイルス不活性化剤の開発に際して考慮しなければならない要件は、ウイルス自体が体外から水分、電解質(各種イオン)及び栄養分を摂取して浸透圧調節や代謝を行なうためのアクアポリン、アクアグリセロポリンやイオンチャネル等の輸送体を有しない点である。
即ち、ウイルスは受容体依存性エンドサイトーシスによって宿主細胞に取り込まれる。その後、包んでいたクラスリン膜が開封されてエンドソームとの膜融合が起きる。更に、脱殻に伴うpH低下で、ウイルス内部のポリメラーゼやコアタンパク質が破壊され、コア内遺伝子が宿主の細胞内に放出される。結果的に、宿主が有する増殖機能を利用する形で、あたかもウイルス自体が増殖したように見える。しかし、ウイルスの不活性化を細菌・真菌等微生物の不活性化と同じ機序で想定して薬剤を作用させようとしても、望む結果は得られない。
例外はあるが概略、細菌は原核生物、真菌は真核生物であり、寄生菌以外は夫々独立した個体で増殖する。従って、上述方法の一つでも実現すれば、細菌・真菌の本体構造を壊さなくても不活性化は達成される。上述の通り、ウイルスの不活性化機序は他と異なるので、細菌・真菌を含めウイルスまで一括して不活性化する薬剤は限定されることになり、抗生物質同様の、選択性に優れた特効薬的薬効を期待することには原理的に無理がある。
従来、ウイルス、細菌及び真菌の不活性化を可能とする無機塩素系殺菌剤として、次亜塩素酸ナトリウム液、固形の次亜塩素酸カルシウム、同・次亜塩素酸リチウムや塩素化リン酸三ナトリウムが知られる。該系統の薬剤は、細菌、真菌等微生物の細胞内部まで浸透する可能性を有し、ウイルスの場合は抗原(リガンド)をハロゲン化、リン酸化又は酸化切断して構造変化させることで不活性化を果していると考えられる。
又、有機塩素系殺菌剤として、ハラゾーン(p-スルフォンジクロロアミド安息香酸)、トリクロロイソシアヌル酸、ジクロロイソシアヌル酸、トリクロロメラミン、ジクロログリコールウリル、N-n-ジクロロアゾジカーボンアミジン、p-トルエンスルホンクロロアミド(クロラミンT)及び該各物質のアルカリ塩、N-クロロサクシンイミド等が知られるが、非特許文献1記載のように、殺菌効果についての試験結果が無機・有機系を問わず豊富な反面、抗ウイルス効果についての試験結果は操作に制約が多く、未だに乏しい。故に、有機塩素系殺菌剤のうち何れがウイルスに対して著効を示すかは、実験しない限り不明のまま、殺菌能からの延長で類推すると抗ウイルス作用の実効を見誤る危険性が高まる。
更に、塩素以外のハロゲン元素を含む有機ヨウ素系殺菌剤として、ポリビニルピロリドン(通称:ポビドン)とヨウ素(通称:ヨード)との錯体(複合体)が「ポビドンヨード」の通称で知られ、両物質共に非特許文献2に収載されている。本願の目的と用途が略一致するが、該液剤は有効ヨウ素となる遊離ヨウ素分子に起因する褐色を呈し、退色で失効確認が可能な長所を有する反面、用途によって呈色は短所にもなっている。
有機臭素系殺菌剤として知られる消毒用物質もあるが、ポビドンヨードに比較して用途は格段に狭く、使用実績も遥に少ない。
本願発明者は、特許文献1で示される2-メルカプトピリジン-N-オキシド又は2-メルカプトピリミジン-N-オキシドとポリビニルピロリドンのヨウ素錯体とから更なる錯結合が生じ、それにより新錯体が生成することを発見している。また、該新錯体が、ヨウ素を遊離し呈色することなく、無色のまま保存可能なことを既に発見している。而も、該新錯体の実施例は、特に真菌に対して著効を示し、特許登録された(特許文献1)。
該特許文献1での実施例の抗真菌作用は、呈色消失に必要な量より過剰に添加された2-メルカプトピリジン-N-オキシド又は2-メルカプトピリミジン-N-オキシド自体が発揮する真菌への代謝阻害作用と、第一の副剤であるサルファ剤化合物が発揮する抗菌効果と、第二の副剤であるハロゲン系酸化剤に属する遊離ヨウ素(I又はI )が発揮する酸化作用との相乗的なものと考えられ、有機化合物とヨウ素との錯体構造の実態解明が新たな薬剤を開発する際の有力な武器になることが示唆された。
一方、段落0007で列挙の無機塩素系殺菌剤は、粉末又は顆粒の主成分を極性溶媒に溶解することで加水分解、次亜塩素酸(示性式:HOCl)や同イオン(同:OCl)を遊離する。該成分とは異なる新たな無機化合物や複塩の探索も無意味ではないが、所詮は水素イオン濃度(pH)依存の解離平衡がウイルスを含めて微生物等の不活性化力を左右することになり、実用に供するには薬剤のpHを如何にするかが当初の懸案事項となる。
上述の既存薬剤は、弱酸性から弱塩基(弱アルカリ)性の薬液で消毒作業を行ってきたので、仮に、概ねpH=4~10(4以上10以下、以降、「~」については同様。)の範囲から外れる無機塩素系殺菌剤を発明・発見したとしてもpH自体の人体への影響が懸念され、画期的な抗ウイルス・抗菌・抗真菌剤として評価することはできない。故に、pHが3を下回る薬剤は論外で、作業性を著しく損ねる。
又、無機塩素系殺菌剤には、加水分解時のpHに大きく依存する「経時的失活」の課題が常時付きまとっている。特許文献2は、該「失活の課題」を克服する処方並びに手法に関するものであった。更に、特許文献3は、主成分が異なる無機塩素系殺菌剤を交互に用いて処理することにより、寄生菌の宿主であるアメーバのシスト化を促し、結果として寄生菌の増殖を停止しつつ、薬剤の宿主細胞内への浸透により、時間をかけて、寄生菌自体を殺す薬剤の製法並びに処理手法に関するものであった。
無機塩素系殺菌剤が極性溶媒として代表的な水に溶解して加水分解する反応には、上述通り解離平衡が存在する。又、解離して生成した次亜塩素酸は非解離分子になり、低pHの酸性側では塩素水和物、高pHの塩基性側では次亜塩素酸イオンとの間に平衡が成立している。但し、溶解度を超える高濃度でなければ初段の解離は必然的に起き、大部分が遊離塩素(塩素水和物、次亜塩素酸及び同イオン)として平衡する。従って、共有結合した塩素化物として分子状のまま残し、pHを変化させて解離を徐々に起こさせるには、無機塩素系殺菌剤より有機塩素系殺菌剤の方が制御容易となる。
一方、無機、有機を問わず塩素系殺菌剤に属さない成分から成る薬剤で、細菌・真菌に限らずウイルスまで不活性化できる汎用なものは、上掲のポビドンヨード以外、未だ登場していない。近年、「天然産品の柿渋がノロウイルスに対して有効」との大学研究者の公開情報はあるが、主成分のポリフェノール構造の液中変化やウイルス不活性化機序まで掘り下げた解明はなされておらず、真偽は不明のままである。
一見すると八方塞がりの状況であるが、本願発明者は、ウイルス、細菌及び真菌を一括して不活性化できる薬剤処方は不可能ではないと考えて実験を重ね、本願発明に至った。
非特許文献3に、遊離塩素のポリオウイルス不活性化CT値(濃度:mg/Lと時間:minの乗数)は、pH=6~7で1~2、pH=10.5で10.5と載る。又、遊離ヨウ素の同CT値は、pH=7で30と載る。勿論、ウイルスにエンベロープ(被覆)の存否による種別があり、薬品耐性はウイルス種により若干異なってくるが概ね同程度とみなせる。該掲載値は、近年注目されているノロウイルスの不活性化を考える際、大いに参考になる。
段落0007で列挙の有機塩素系殺菌剤は、化合物が加水分解して遊離する有効塩素を利用しているが、元々は塩素化に伴い共有結合しており錯結合はしていない。又、有効塩素を錯体構造中に抱合することは極めて難しい。そこで、解離平衡定数を如何に制御して微生物不活性化力を何時発揮させるか、の条件設定を考えるしかない。即ち、薬液のpH範囲を如何に調節し、何時、如何に低下させるかの処方設計である。
但し、ウイルス不活性化力が次亜塩素酸より弱いことを承知していれば、同じハロゲンに属するヨウ素を塩素の代替とし、錯体構造中に抱合することで、保存中又は商品流通しており消費されるまでの間、ヨウ素を遊離させない方法の方が処方設計し易い。
上述の通り、本願発明は、遊離塩素より弱い酸化力を有する遊離ヨウ素を有機錯体の形で抱合する構造を基本に据え、液剤のpHによってイオン解離しないで塩素化物のままでいる有機クロラミンを同一溶液中に共存させると共に、正反対の還元力を有し異なった物質であるポリフェノール(タンニン)との共存可能性を含め、相互干渉しない薬剤の製法を研究し、数多の実験を積み重ねて成されたものである。
特開2015-81233号公報 特開2014-9227号公報 特開2008-264678号公報
芝崎勲著、『新・食品殺菌工学』、株式会社光琳(1983) 『第十七改正・日本薬局方』、平成28年3月7日 厚生労働省告示第64号 関秀行著、『活性酸素・塩素とその反応性』、(複数の出典と共にCT値を掲載)p114、株式会社メルス技研 R&Dセンター(2015)
最初の課題は、ヨウ素が保管及び流通時に遊離しないよう、ポリビニルピロリドン骨格の錯体構造の弱点を強化、「ヨウ素を網籠構造の空間に安定して閉じ込める」方法の案出である。ヨウ素の緩慢な遊離が視認できる程の速度では、本願の目的にそぐわない。
ヨウ素を錯結合で繋ぎ止めているのは、ポリビニルピロリドン分子中に隣接するピロリドンの2分子が形成する空間に他ならない。ポリビニル鎖に対しピロリドンより更に外側にヨウ素分子が離脱する可能性が高いので、該外側にヨウ素と錯結合を形成する化学物質を配向させれば、該網籠構造は「栓がなされた構造」になり、遊離ヨウ素に付随する黄色~褐色の着色を防止できる筈である。
尚、人体への障害性面で、ポリビニルピロリドンには代用血清として利用された経緯があるので、急性・亜急性・慢性毒性がより明らかな化学物質は、「栓に相当する化学物質」の選択肢から除外した。そして、課題条件である「栓に相当する化学物質」の候補に「メルカブト基(-SH)を有する化学物質」のいくつかを選択、実験を行って絞り込みを行った。
次の課題は、該網籠構造の空間に閉じ込められていたヨウ素を、ウイルス不活性化並びに微生物不活性化を果したい処理時に、「栓に相当する化学物質」の錯結合を緩め徐々に遊離させる方法の案出である。即ち、「自在に栓を抜く方法」の案出になる。好都合なことに、ピロリドン環炭素原子は水素で飽和しており、直鎖からの切断や酸化分解を受け難い。従って、「栓に相当する化学物質」だけに作用して引き抜き、或いは、分解しないまでも錯体の三次元配向を歪めて、ヨウ素を遊離させる方法で課題は克服できると考えた。
具体的には、上述の最初の課題を克服した構造体は、溶媒の揮発・乾燥に伴い濃度が増し、分子の自由度が次第に奪われることで、又、空気中に生成した励起一重項酸素()や溶存酸素等から自然酸化を受けることで、上述の「栓」は歪んで隙間ができる筈である。
更に、意図的に遊離塩素を生成し得る物質と予め混合しておき、例えば微生物不活性化工程で起きる薬剤pHの自然低下、即ち経時的な酸性化現象を利用して遊離塩素を生成させ、上述の「栓」を引き抜く、或いは歪ませて隙間をつくることが可能になると考えた。
更なる課題は、微生物であるウイルス、細菌及び真菌の不活性化には、不活性化率(K)が「薬剤濃度(C)と接触時間(t)の乗数=CT値」に比例するという一般原則があり、該一般則に逆らうことなく不活性化の目的を果せる実用的な方法の案出である。所定の薬剤においてKが高い値であるということは、該所定の薬剤では、他の同一濃度の薬剤に比べ、微生物の不活性化に相当の時間がかかる(すなわち薬効が遅い)ことを意味する。尚、現実として、「K=Ct=一定」で示される一般則における指数nは、必ずしも1.0にならない。
段落0007で列挙の無機塩素系殺菌剤は広範の不活性化対象に薬効を発揮するが、遊離ヨウ素にも、同じハロゲン系に属する遊離塩素に若干劣るとはいえ、広範な不活性化効能が備わっている。従って、段落0014に記載のCT値が、遊離ヨウ素の場合に遊離塩素の3~10倍になる(すなわち薬効が遅い)としても、被処理物体と遊離ヨウ素との実際の接触時間を遊離塩素の場合に比し3~10倍にすることができれば、「実用上は同等の不活性化効能」と評価できることになる。
化学反応・薬理作用の速度と化学分解反応・失活の速度との間にも、比例関係が一般原則として存在する。因って、更なる課題の克服方法は、最初の課題の克服方法及び次の課題の克服方法において、薬剤のpHを管理することと重複する部分が当然生まれる。
即ち、ウイルス及び細菌の不活性化が得意な化学物質と細菌及び真菌の不活性化が得意な化学物質を、相互干渉しないよう混合しておき、薬剤処理の当初はウイルス及び細菌の不活性化を優先し発揮させ、芽胞菌・真菌の不活性化には接触時間を充分与える方法である。
究極の課題は、安定した錯体構造を構築する骨組みとなる部品、即ち原料となる物質の混合比において、極力、過不足を無くすことである。
原点に戻り考えれば、本願の目的である「病原体となりうるウイルス、細菌及び真菌胞子・分生子等微生物を不活性化する」際、対象になる微生物は肉眼では見えない。又、薬剤の方も一般的に無色か淡色である。稀に、ポリビニルピロリドン-ヨウ素錯体(通称:ヨードホールまたはポビドンヨード)は濃い褐色を呈し、薬効発揮の目視判定は極めて難しい。
ところが、本願に関わるヨウ素は少々遊離の状態で黄色を呈し、錯体構造内の空間にしっかり納まっていれば「可視光を吸収して励起することがない」ので無色になる。因って、呈色消失直後の複数物質混合比(当量点)の策定も課題になる。該混合比(当量点)で調製された薬剤は、段落0020記載の「栓に相当する化学物質」が微生物のファゴサイトーシス(食作用)によって食い千切られ摂取され、又、錯体形成に関与しない混合物がイオン解離して遊離塩素を生成する励起剤または触媒になると、ヨウ素の遊離が始まり黄色に呈色する。
本願は、上述課題の全てを解決するに際し、習得した数多の知見を非記載の先行技術文献とも整合性を持たせて整理、独自に解明した反応機構を課題解決のための参考として発明したものである。
上述の課題を解決するための手段は以下の通りである。
(1)ポリビニルピロリドン-ヨウ素錯体を、錯体として50(好ましくは100、より好ましくは300、更に好ましくは1,000、特に好ましくは1,500)~70,000mg/Lの処方濃度になるよう極性溶媒に溶解し(溶解工程)、更に、何れもメルカプト基を有すメルカプト環状イミン、同非環アミン又は同有機酸、並びにシステインの何れか単一種又は複数種を遊離ヨウ素による呈色が完全消失するまで加え(添加工程)、ヨウ素を完全に抱合したことを特徴とする抗ウイルス・抗菌・抗真菌剤である薬液、及び、該薬液に被処理物を浸漬又は該薬液を被処理物に向けて噴霧する微生物不活性化処理方法。
(2)上述(1)の抗ウイルス・抗菌・抗真菌剤調製に続き、1~100mg/Lの遊離ヨウ素による呈色が残るようポリビニルピロリドン-ヨウ素錯体を追加して(追加工程)、ウイルス・細菌・真菌に対する即効性を高めたことを特徴とする抗ウイルス・抗菌・抗真菌剤である薬液、及び、該薬液に被処理物を浸漬又は該薬液を被処理物に向けて噴霧する微生物不活性化処理方法。
(3)上述(1)の抗ウイルス・抗菌・抗真菌剤調製に続き、pH=9.0~9.6に調節したpH緩衝液に、有効塩素23~26%含有のp-トルエンスルホンクロロアミドのナトリウム塩(クロラミンT)が有効塩素濃度換算で3,000~6,500mg/L含まれる量を加えて成る抗微生物性強化剤(以降、一具体例として抗菌性強化液剤とも称する。)を事前に調製する(抗微生物性強化剤作製工程)。次いで、全量の0.5~3.0重量%相当量を計って上述(1)の抗ウイルス・抗菌・抗真菌剤に更に加え(抗微生物性強化剤添加工程)、pH=9.0を下回らないよう調節した(pH調節工程)、抗ウイルス力および抗菌力を高めたことを特徴とする抗ウイルス・抗菌・抗真菌剤である薬液、及び、該薬液に被処理物を浸漬又は該薬液液を被処理物に向けて噴霧する微生物不活性化処理方法。
上述(1)の薬剤に関し、「極性溶媒」には水、アルコール類及び双方の混合液が該当する。尚、基幹物質となるポリビニルピロリドン-ヨウ素錯体の流通品中・ヨウ素含有量は9.0~12.0重量%であり、錯体であることが理由で3%程度の含有量許容幅がある。
ポリビニルピロリドン-ヨウ素錯体において、ピロリドン分子内窒素(元素記号N)の非共有電子対はヨウ素分子(同I)又はヨウ素付加ヨウ化物イオン分子(同I )に配向しているが、錯結合力は不完全であり、抱合力が弱い構造部分から緩慢な速度でヨウ素が抜け出て遊離してくる。錯結合力が弱い構造部分に以下列挙の物質で「栓」をする。
メルカプト基を有するメルカプト環状イミンの具体例には、2-メルカプトピリジン、2-メルカプトピリジン-N-オキシド、2-メルカプトピリミジン、2-メルカプトピリミジン-N-オキシド及び夫々の同ナトリウム塩・水和物が該当する。又、メルカプト基を有するメルカプト非環アミン又は同有機酸の具体例にはメルカプト琥珀酸が該当する。尚、メチオニン[示性式:CHS(CHCH(NH)COOH]にはメルカプト基(-SH)がなく、メルカプト基を有するメルカプト非環アミン又は同有機酸には該当しない。
前記メルカプト基を有するメルカプト環状イミン、又は、前記同非環アミン若しくは同有機酸の他には、同非環アミノ酸を使用可能である。但し、同非環アミノ酸の具体例はシステインに限定され、同塩酸塩(イオン錯体)・一水和物が該当する。尚、システインには光学異性体D型、L型が存在するが、何れでもラセミ型でも構わない。
具体例として列挙の物質は、発明者により、遊離ヨウ素に伴う呈色の消失を確認してある。当然、メルカプト基を持たない非環アミノ酸であるグリシンやグルタミン酸塩、システイン2分子がジスルフィド結合したシスチンには、共にヨウ素を完全に抱合して呈色を消失させる機能がない。又、アミノ基二つを有するスルファニルアミド(示性式:HNCSONH)は高塩基(pH≒10超)側で、2-チオヒダントイン(分子式:COS)は多量添加で、共に該呈色を消失できるが、実用的でない。以上指摘の各物質特性も既に確認済みである。
尚、実施例では各物質の「アルカリ塩又はイオン錯体一水和物」を選択して用いた。また、前記50~70,000mg/Lの処方濃度の範囲規定は、最終的に得られる抗ウイルス・抗菌・抗真菌剤である薬液にも適用可能である。
抱合力が弱い構造部分に、何れもメルカプト基を有するメルカプト環状イミン、同非環アミン又は同有機酸、並びにシステインの少なくとも何れかを配向させると、「抱合力が弱い構造部分に栓がなされた形」の篭状構造空間にヨウ素分子が納まり、遊離ヨウ素に伴う呈色が消失する。即ち、塩素(元素記号Cl)や臭素(同Br)より酸化力が弱いヨウ素は、篭状構造内にしっかりと抱合され、篭外の物質と化学反応を起こさないようにすることが可能となる。
又、上述(1)の薬剤に関し、呈色消失の為に添加する化合物として複数種を用いる場合、複数種の粉体を予め混合して用いることは必須でなく、呈色消失に至らない量の「栓に相当する物質」を予め添加し、残る別種の化学物質で呈色消失までの添加量を調節することも可能である。尚、抱合されたヨウ素は、可視光線を吸収して励起することなく、無色になる。この無色の状態は、溶液中の遊離ヨウ素の濃度が1mg/L未満であるとも言える。
上述(1)の薬剤に関し、遊離ヨウ素による呈色が消失する量を超えて残留している、メルカプトピリジン-N-オキシド又はメルカプトピリミジン-N-オキシドには抗真菌能が単独でも備わっており、既に特許登録もされている(特許文献1)。該薬剤に被処理物を浸漬又は該水溶液を被処理物に向けて噴霧する処理後は、乾燥に伴い上述の篭状構造に歪みが生じてヨウ素が再度遊離し、過剰になっている物質とは別の、遊離ヨウ素による抗菌・抗真菌作用が発揮される。
尚、過剰残留のピリジン誘導体又はピリミジン誘導体は微生物に消費され分解するとともに、段落0020記載の「栓に相当する化学物質」が微生物のファゴサイトーシス(食作用)によって食い千切られ摂取される。つまり、微生物自らが食作用によって栓を抜くことにより、抱合されていたヨウ素が遊離し、栓を抜いた当の微生物が不活性化される。また、上述の篭状構造の歪み以外のヨウ素遊離の要因の一つには、上述の通り微生物の食作用がある。言い方を変えると、微生物の食作用が発揮されたり酸化されたりするまでは、ヨウ素が篭状構造に抱合されている。そのため、ヨウ素の遊離時間を短くできる一方で効率的に微生物と遊離ヨウ素とを接触させられる。これは、遊離ヨウ素が昇華等により浪費されず、本発明の抗微生物剤が長時間の処理に耐えられることを意味する。だからこそ、段落0014に記載のCT値が、遊離ヨウ素の場合に遊離塩素よりも高い(すなわち薬効が遅い)としても、被処理物体と遊離ヨウ素との実際の接触時間を、遊離塩素の場合に比べ、上記機能により実質的に相当長くすることが可能となる。その結果、極めて効率的に微生物を不活性化できる。
上述(2)の手段によれば、遊離ヨウ素が水溶液中に既に比較的多く存在していることから、遊離し呈色しているヨウ素が周知の即効性を発揮する。但し、含有量の大部分を占めるヨウ素は錯体として抱合されており、直観的に汚く感じる褐色を呈することはない。用途によっては、該薬剤の黄色の呈色が即効性を示す指示薬の役割を果たすが、保管中のヨウ素昇華を防ぐ手段を講じておかないと退色し、無色透明に戻る。
上述(3)の薬剤に関し、「pH緩衝液」は炭酸塩及び炭酸水素塩を水に溶解した公知の方法で容易に調製でき、特別な薬剤を必要としない。又、p-トルエンスルホンクロロアミドのナトリウム塩(クロラミンT)は古くから知られる有機塩素系殺菌剤の一つであり、上述(1)の薬剤に追加する前の薬液がpH=9.0~9.6に調節されている為、次亜塩素酸を遊離することなく、有機クロラミン分子構造のまま追加された薬剤中に溶存している。
因みに、古くから知られる人工甘味料の「サッカリン」は、類似構造のo-トルエンスルホンアミドの誘導体として合成されてきた化学物質で、本願発明でも無視できない薬剤毒性を予測する際に、「サッカリン」の使用実績及び障害・特性例は安全面検討の参考になる。
尚、上述(3)の手段において、クロラミンTではなくポリフェノール化合物の一種である縮合型タンニンを更に加えても相互干渉は起きないことを確認してあるが、タンニンはフェノールフタレンの構造に似て、pHにより種々の呈色をするので高濃度の添加が躊躇される。但し、完全に抱合されているヨウ素によって酸化されることはなく、処理の際に本来有している還元力を存分に発揮できる利点があり、捨てきれない処方になる。
該還元力は、多価フェノールが作用相手に電子供与しキノン構造に変化することで、作用相手が細菌であればフェノールやクレゾール同様に殺すことを期待できる。又、作用相手が単独で分散したウイルスであっても、電子を押し付け、不活性化すること可能性がある。
而も、通常、上述(1)の薬剤中で篭状構造内に完璧に近く抱合されているヨウ素に電子供与することがないことも判明した。電子収奪能力が強いヨウ素と電子供与能力が強いポリフェノールとの混液内・非干渉共存の事実は、本願発明者がはじめて発見した現象であり、これまでの定説を覆すものである。
更に、上述(3)の手段において、有機クロラミンの分子構造のまま溶存していたクロラミンTは、微生物を含む夾雑物との各種化学反応が総じて酸性化反応である為に、pHが低下することで遊離塩素を生成するようになる。遊離塩素の微生物不活性化効能はこれまで知られる効能と比較して勿論遜色ない。加えて、遊離塩素の生成量が多くなり、微生物を含む夾雑物との反応に先行して段落0025で言及した「篭状構造の栓を抜く」作用をすると、遊離塩素に交代する形でヨウ素が遊離してきて、微生物不活性化効能を発揮する。
電子収奪能力が強いヨウ素と電子供与力が強いポリフェノールに加え有機クロラミンとの混液内・非干渉共存の成立事実も又、本願発明者がはじめて発見した現象であり、これまでの定説を覆すものである。
その他の様態は以下の通りである。
<1>ポリビニルピロリドン-ヨウ素錯体の濃度が50~70,000mg/Lとなるよう極性溶媒に溶解して成る溶液に対し、メルカプト基を有するメルカプト環状イミン、メルカプト基を有するメルカプト非環アミン及びその有機酸、並びにシステイン、の何れか単一種又は複数種を、前記溶液中の遊離ヨウ素の濃度が1mg/L未満になるまで加える添加工程を有する、抗微生物剤の製造方法。
<2>前記添加工程後、1~100mg/Lの遊離ヨウ素による呈色が残るよう前記ポリビニルピロリドン-ヨウ素錯体を前記溶液に追加する追加工程を更に有する、<1>に記載の抗微生物剤の製造方法。
<3>pH=9.0~9.6に調節したpH緩衝液に対し、有効塩素23~26%含有のp-トルエンスルホンクロロアミドのナトリウム塩であるクロラミンTが有効塩素濃度換算で3,000~6,500mg/L含まれる量を加え、抗微生物性強化剤を作製する抗微生物性強化剤作製工程と、
前記添加工程後、前記溶液の全量の0.5~3.0重量%となるように前記抗微生物性強化剤を前記溶液に添加する抗微生物性強化剤添加工程と、
前記抗微生物性強化剤添加工程後、前記溶液のpHを9.0以上に調節するpH調節工程と、
を更に有する、<1>または<2>に記載の抗微生物剤の製造方法。
<4>極性溶媒と、
ポリビニルピロリドン-ヨウ素錯体と、
メルカプト基を有するメルカプト環状イミン、メルカプト基を有するメルカプト非環アミン及びその有機酸、並びにシステイン、の何れか単一種又は複数種と、
を含有し、
前記ポリビニルピロリドン-ヨウ素錯体の濃度は50~70,000mg/Lであり、遊離ヨウ素の濃度は1mg/L未満である、抗微生物剤。
<5>極性溶媒と、
ポリビニルピロリドン-ヨウ素錯体と、
メルカプト基を有するメルカプト環状イミン、メルカプト基を有するメルカプト非環アミン及びその有機酸、並びにシステイン、の何れか単一種又は複数種と、
を含有し、
前記ポリビニルピロリドン-ヨウ素錯体の濃度は50~70,000mg/Lであり、遊離ヨウ素の濃度は1~100mg/Lである、抗微生物剤。
<6>pH=9.0~9.6に調節したpH緩衝液に対し、有効塩素23~26%含有のp-トルエンスルホンクロロアミドのナトリウム塩であるクロラミンTが有効塩素濃度換算で3,000~6,500mg/L含まれる量が加えられて成る抗微生物性強化剤を更に含有する、<4>又は<5>に記載の抗微生物剤。
<7><1>~<3>のいずれかに記載の抗微生物剤の製造方法により得られた前記抗微生物剤、又は、<4>~<6>のいずれかに記載の前記抗微生物剤により、被処理物の浸漬処理を行い、又は、前記被処理物への噴霧処理を行い、前記被処理物に存在する微生物を不活性化する、微生物不活性化処理方法。
<8>ポリビニルピロリドン-ヨウ素錯体と、
メルカプト基を有するメルカプト環状イミン、メルカプト基を有するメルカプト非環アミン及びその有機酸、並びにシステイン、の何れか単一種又は複数種と、
pH=9.0~9.6に調節したpH緩衝液に対し、有効塩素23~26%含有のp-トルエンスルホンクロロアミドのナトリウム塩であるクロラミンTが有効塩素濃度換算で3,000~6,500mg/L含まれる量が加えられて成る抗微生物性強化剤と、
を備える、抗微生物剤セット。
生活空間や職場空間に存在する内装、装置・設備及び移動可能な備品・什器、防ウイルス・細菌マスク及び抗菌ティッシュ紙等表面には、病原性を持つウイルス、細菌及び真菌胞子・分生子等微生物と共に無機物を含む塵埃が通常付着している。感染症の発生がない場合は、該付着物を掃除機や清拭等で除去して事足りるが、感染の恐れが生じた場合は、本願発明の薬剤を噴霧するか、被処理物を浸漬することでウイルスを始め細菌・真菌等の広範な微生物を不活性化できる。
本発明に係る各物質の構造式を説明するための図である。 本発明に係る縮合型タンニン、クロラミンT及びガロイル基と同酸化体の化学構造式を示した図である。 本発明に係るヨウ素の抱合を推定、二次元の化学構造式として示した図である。 本発明に係る呈色、消失、及び人為的操作による再呈色、消失繰り返しを示した図である。
以下、図1及至図4を参照にしながら本発明の実施の形態にかかる抗ウイルス・抗菌・抗真菌剤の調製並びに処理方法を説明する。
図1は、抱合力が弱い構造部分に、何れもメルカプト基を有するメルカプト環状イミン、同非環アミン又は同有機酸、並びにシステインの何れかを配向させると、「抱合力が弱い構造部分に栓をした形」の篭状構造空間にヨウ素分子が納まり、遊離に伴う呈色が消失する。
実施例1においては、上述2-メルカプトピリジン-N-オキシドのナトリウム塩水和物を選択した。従来、錯体といえばアンモニウム錯体やエチレンジアミン四酢酸(略記:EDTA)が想起され、構造中に窒素(元素記号:N)を有するものが広く知られる。尚、原子半径は、窒素で約0.70Å、イオウ(元素記号:S)で約1.04Å、ヨウ素(元素記号:I)で約1.33Åとされる。又、最外殻電子軌道は、窒素でL核、イオウ(元素記号:S)でM核、ヨウ素(元素記号:I)でO核である。外の核になる程、錯体は安定になる。
メルカプト基(-SH)とヨウ素が錯結合するのは、窒素(N)に代わるイオウ(S)の最外殻共有電子軌道とヨウ素(I)の非共有電子対軌道とが、水素(元素記号:H)を介し共鳴(相互乗り入れ)する為と考えられる。錯結合は、アミノ基(-NH)の水素一つが塩素と置換し且つ共有結合のモノクロラミン(示性式:R-NHCl)を生成するような、単純な反応機構ではない。
図2は、縮合型タンニン、クロラミンT及びガロイル基と同酸化体の化学構造式を示した図である。又、天然産品であるタンニンも古くから各種知られるが、縮合型と加水分解型に大別され、夫々精製法及び高圧液体クロマト法等の分析法が確立されている。縮合型タンニンの具体例としては、茶に含まれるエピガロカテキンガーレートや柿渋が該当する。エピガロカテキンガーレートや柿渋は、化学構造で見ると、該縮合型タンニンは糖鎖の枝末端が二価若しくは三価の多価フェノールであるガロイル基を有しており、「ポリフェノール」の通称を持つ物質の一種である。
尚、柿渋から抽出し精製した縮合型タンニンを用いた処方でも実験したが、本願錯体との相互干渉は生じなかった。縮合型タンニンは天然産品であり、実際は図のように整然と縮合した構造にはなっていない。クロラミンTは、pH=9.0以上の条件で、図の構造のナトリウム塩のままイオン解離しないで溶存しているとみてよい。
図3は、「抱合力が弱い構造部分に栓をした形」の篭状構造空間にヨウ素分子が納まった様子を本願発明者が推定した図であり、「栓となる物質」としてL-システインの例を示した。各共有結合の三次元ベクトルの実際は、sp混成軌道の電子論原則に従っているものと理解される。遊離ヨウ素の呈色を消失させることが可能と確認済みの物質における唯一の共通点は、「化学構造内にメルカプト基を有すること」であることから、メルカプト基は篭状構造空間に抱合されているヨウ素分子の方向に配向していると解釈するしかなく、「例示のL-システインとは別のメルカプト化合物で栓をした形」も図3同様の配向を想定できる。
図4は、後掲の実施例3に対応する図であり、左から、ポリビニルピロリドン-ヨウ素錯体に「栓」がなされ、篭状構造空間にヨウ素分子が完璧に納まった薬液(No.1)、先に述べた抗菌性強化液剤を添加混合し極僅か黄色呈色した薬液(No.2)、有機酸によりpH低下させ中和と呈色が進行中の薬液(No.3)、均一混合により一様に褐色呈色した弱酸性薬液(No.4)、L-システインの再添加で更にpH低下するも脱色が進行し僅かに黄色呈色が残る薬液(No.5)、及び、そのまま静置2分後に初期状態の「無色透明」に戻った薬液(No.6)の各写真である。薬液中で起きる「無色→呈色→無色→呈色→無色」の各反応は可逆で、且つ、10回以上繰り返し再現が可能である。即ち、無色になった錯体中のヨウ素は昇華が極めて遅く、それだけ安定である。尚、図4で例示するいずれの薬液も、先に列挙した栓となるメルカプト化合物以外で、細菌・真菌・藻類の細胞壁・細胞膜上の酵素及び受容体の機能を阻害して相乗的抗菌効果をもたらす含硫化合物であるサルファ剤化合物(一例としてスルファサラジン)は非含有である。
又、ポリビニルピロリドン-ヨウ素錯体におけるヨウ素の遊離速度をより緩慢にする制御操作が、「栓となる物質」の選択、同添加量調整及びpH調節で人為的に行えることになる。
尚、ポリビニルピロリドン-ヨウ素錯体と、メルカプト基を有するメルカプト環状イミン、メルカプト基を有するメルカプト非環アミン及びその有機酸、並びにシステイン、の何れか単一種又は複数種(すなわち栓となる物質)と、前記抗菌性強化液剤と、を備える(好適にはこれら3種からなる)抗ウイルス・抗菌・抗真菌剤セットにも本願発明の技術的思想が反映されている。例えば、被処理物が建造物の内装である場合、被処理物がある現地にて、極性溶媒である水を調達し、予め用意していた前記セットと前記水とを混合し、抗ウイルス・抗菌・抗真菌剤を作製してもよい。
[実施例1]
大腸菌 Escherichia coli NBRC 3301及び黄色ブドウ球菌Staphylococcus aureus NBRC 12732を供試菌種とし、抗菌性強化の該抗ウイルス・抗菌・抗真菌剤の抗菌性試験を実施したところ、表1の結果が得られた。尚、「抗菌活性値」とは対数殺菌率を意味し、抗菌活性値の2は99%、抗菌活性値の3は99.9%、抗菌活性値の4は99.99%に夫々相当する。
Figure 0007104972000001
本願発明の抗ウイルス・抗菌・抗真菌剤は、表1の両菌種を99.99%(4log)近くまで殺菌できている。
抗ウイルス・抗菌・抗真菌剤及び抗菌性強化液剤のpH及び成分は次の通りである。
(抗ウイルス・抗菌・抗真菌剤)
≪1≫ポリビニルピロリドン-ヨウ素(含有率9%)錯体:5,000mg/L
≪2≫添加した2-メルカプトピリジン-N-オキシドナトリウム:5,000mg/L
≪3≫添加した抗菌性強化液剤:≪1≫及び≪2≫の混液総量に対し2重量%
≪4≫溶媒:水
≪5≫pH≒9.4
(抗菌性強化液剤)
≪1≫クロラミンT:有効塩素として4,500mg/L
≪2≫炭酸水素ナトリウム及び炭酸ナトリウムの添加に伴うpH緩衝によりpH≒9.4
つまり本実施例に係る抗ウイルス・抗菌・抗真菌剤は、大腸菌 Escherichia coli NBRC 3301及び黄色ブドウ球菌Staphylococcus aureus NBRC 12732を供試菌種として噴霧による抗菌性試験を行ったときに、大腸菌の場合だと殺菌率が2時間後及び24時間後で99.9%以上であり、黄色ブドウ球菌の場合だと殺菌率が2時間後で99.99%以上であり且つ24時間後で99.9%以上である。
[実施例2]
ウイルスを扱える第三者検査機関に依頼し、ヒト・ノロウイルスと同科であるネコ・カリシウイルスを試験ウイルス種とし、ウイルス感染価を測定する抗ウイルス性試験を実施したところ、表2の結果が得られた。
Figure 0007104972000002
尚、TCID50とは、50%組織培養感染量(median tissue culture infectious dose)で、ウイルスの活性値を表す単位である。表2の結果数値は、常用対数であるlog[TCID50/mL]で示してある。
対照(精製水)の試験では、牛胎仔血清細胞添加の培地におけるウイルス感染量が試験開始から15分後に対数が7.3-6.7=0.6増大したのに対し、本願抗ウイルス・抗菌・抗真菌剤1mLにウイルス液0.1mLを添加した場合の対数は、作用15分後に7.0-6.5=0.5減少した。因って、抗ウイルスの効果は10の指数として0.6-(-0.5)=1.1と解釈できる。即ち、1.1log≒90%超の抗ウイルス効果がみられたことになる。尚、抗ウイルス・抗菌・抗真菌剤及び抗菌性強化液剤のpH及び成分は、実施例1と同処方の薬剤を再度調製して用いたので、実施例1と同じである。
つまり本実施例に係る抗ウイルス・抗菌・抗真菌剤は、ネコカリシウイルスを供試ウイルスとして噴霧による抗菌性試験を行ったときにTCID50が試験開始から1分後で7.0以下であり、5分後で7.0以下であり、15分後で6.5以下であり、時間経過とともにTCID50が減少する。
[実施例3]
上述(1)若しくは<1>の抗ウイルス・抗菌・抗真菌剤に係る処方で、添加する2-メルカプトピリジン-N-オキシドナトリウムに代えL-システイン塩酸塩一水和物を用い、次の調製を行った。その理由は、本願発明の抗ウイルス・抗菌・抗真菌剤において、用途及び目的、特に不活性化対象とする相手に応じて、上述の「栓となる最適な化学物質」を選択することが望ましいからである。調製された薬剤1Lの処方は以下の通りである。
≪1≫ポリビニルピロリドン-ヨウ素(含有率9%)錯体:1,500mg/L
≪2≫添加したL-システイン:140mg/L
≪3≫溶媒:エチルアルコール:2%、水:残り約978mL
≪4≫pH≒2.3
該水溶液は、2-メルカプトピリジン-N-オキシドナトリウムの場合と異なり、塩酸塩添加により著しくpH低下したが、ヨウ素の遊離はなく無色透明であった(図4のNo.1参照)。但し、次の抗菌性強化液剤との混合に備え、炭酸ナトリウムでpH≒9.6に調節した。
引き続き、pH=9.0~9.6に調節したpH緩衝液に、有効塩素23~26%含有のp-トルエンスルホンクロロアミドのナトリウム塩(クロラミンT)が有効塩素濃度換算で4,500mg/L含まれる量の両物質(すなわち前記pH緩衝液及び前記クロラミンT)を加えて成る抗菌性強化液剤を事前に調製した。次いで、全量の約2.0重量%相当量を計って上述の抗ウイルス・抗菌・抗真菌剤に更に加えると、極僅か黄色に呈色した(図4のNo.2参照)。
該呈色は、クロラミンTが僅かにイオン解離し、次亜塩素酸イオンを遊離することでメルカプト基の錯結合力を弱めた結果と考えられ、氷酢酸0.04mLを加えてpH≒6.3に低下させたところ、予想通りに濃い褐色を呈した(図4のNo.3及びNo.4参照)。
現代社会ではエンベロープ(被覆)を持たないノロウイルスによる食中毒が毎年流行しており、未発症感染者の嘔吐物又は排泄物の目視不能な微量に手指が触れ、ウイルスの一部が口に入ることを予防する為、遊離有効塩素が不可欠になる。クロラミンTの添加はウイルス不活性化の強化を主たる目的とする。
又、該褐色水溶液にL-システイン塩酸塩一水和物を再び加えたところ、pH≒5.9と更にpH低下したが、遊離ヨウ素はシステインによる錯体構造の補強で元の鞘に納まり、無色透明に戻った(図4のNo.5及びNo.6参照)。
該無色透明の薬液に弱酸性次亜塩素酸水を加え、僅かに遊離し呈色したヨウ素も同様に、時間経過と共に「元の鞘」に戻って無色になって行く。又、上述の抗ウイルス・抗菌・抗真菌剤に抗菌性強化液剤を加えた場合、メルカプト基を有する有機物種及び添加量によってはクロラミンTがイオン解離してpH低下し呈色することがあり、pH調節を要す。即ち、「抗菌性強化液剤添加の抗ウイルス・抗菌・抗真菌剤において、pHは9.0を下回らないよう調節を必要とする」のである。因って、この実施例3の結果を以て、「pH=9.0を下回らないよう調節」の根拠とする。
夾雑物を含まない水溶液中の次亜塩素酸と次亜塩素酸イオンとの解離平衡で、略100%がイオンになるpHは約10であるが、pH=9.0でも非解離の次亜塩素酸は3%前後を占めるに過ぎない。遊離ヨウ素による呈色は、当然、この解離平衡とも関係しているとみる。
本発明は、ポリビニルピロリドン-ヨウ素錯体の着色を消失する物質として複数の選択肢を有するので、不活性化を狙う対象の多様性に応じ、最適な脱色物質及び複数種の物質組合せで薬剤処方ができる。例えば、臨床試験を必要とするが、外用薬への応用も、可能である。
又、抗菌性強化液剤中のクロラミンTの毒性を危惧し避けたい用途では、抗菌性強化液剤を添加する前の抗ウイルス・抗菌・抗真菌剤単独による目的達成も可能である。無色の本願発明薬剤の錯体構造は、処理面に存在する成分不明の物質によって上述の「栓となる物質」が抜かれ、遊離してきたヨウ素が従来から知られる「微生物等の不活性化」を果すからである。更に、希薄な酸化剤とも反応して着色し、ヨウ化物イオン(I)の酸化に伴う遊離ヨウ素の着色よりも高感度であることから、該薬剤を紙に含浸して乾燥し、酸化剤の試験紙として活用の可能性も十分にある。

Claims (9)

  1. ポリビニルピロリドン-ヨウ素錯体の濃度が50~70,000mg/Lとなるよう極性溶媒に溶解して成る溶液に対し、メルカプト基を有するメルカプト環状イミン、メルカプト基を有するメルカプト非環アミン及びその有機酸、並びにシステイン、の何れか単一種又は複数種を、前記溶液中の遊離ヨウ素の濃度が1mg/L未満になるまで加える添加工程を有する、抗微生物剤の製造方法。
  2. 前記添加工程後、1~100mg/Lの遊離ヨウ素による呈色が残るよう前記ポリビニルピロリドン-ヨウ素錯体を前記溶液に追加する追加工程を更に有する、請求項1に記載の抗微生物剤の製造方法。
  3. pH=9.0~9.6に調節したpH緩衝液に対し、有効塩素23~26%含有のp-トルエンスルホンクロロアミドのナトリウム塩であるクロラミンTが有効塩素濃度換算で3,000~6,500mg/L含まれる量を加え、抗微生物性強化剤を作製する抗微生物性強化剤作製工程と、
    前記添加工程後、前記溶液の全量の0.5~3.0重量%となるように前記抗微生物性強化剤を前記溶液に添加する抗微生物性強化剤添加工程と、
    前記抗微生物性強化剤添加工程後、前記溶液のpHを9.0以上に調節するpH調節工程と、
    を更に有する、請求項1または2に記載の抗微生物剤の製造方法。
  4. 極性溶媒と、
    ポリビニルピロリドン-ヨウ素錯体と、
    メルカプト基を有するメルカプト環状イミン、メルカプト基を有するメルカプト非環アミン及びその有機酸、並びにシステイン、の何れか単一種又は複数種と、
    を含有し、
    前記ポリビニルピロリドン-ヨウ素錯体の濃度は50~70,000mg/Lであり、遊離ヨウ素の濃度は1mg/L未満であ り、
    前記ポリビニルピロリドン-ヨウ素錯体の含有量は、前記単一種又は複数種の含有量よりも多い 、抗微生物剤。
  5. 極性溶媒と、
    ポリビニルピロリドン-ヨウ素錯体と、
    メルカプト基を有するメルカプト環状イミン、メルカプト基を有するメルカプト非環アミン及びその有機酸、並びにシステイン、の何れか単一種又は複数種と、
    を含有し、
    前記ポリビニルピロリドン-ヨウ素錯体の濃度は50~70,000mg/Lであり、遊離ヨウ素の濃度は1mg/L未満であり、
    前記メルカプト基を有するメルカプト環状イミン又は前記メルカプト基を有するメルカプト非環アミン及びその有機酸以外で、細菌・真菌・藻類の細胞壁・細胞膜上の酵素及び受容体の機能を阻害して相乗的抗菌効果をもたらす含硫化合物は非含有である、抗微生物剤。
  6. 極性溶媒と、
    ポリビニルピロリドン-ヨウ素錯体と、
    メルカプト基を有するメルカプト環状イミン、メルカプト基を有するメルカプト非環アミン及びその有機酸、並びにシステイン、の何れか単一種又は複数種と、
    を含有し、
    前記ポリビニルピロリドン-ヨウ素錯体の濃度は50~70,000mg/Lであり、遊離ヨウ素の濃度は1~100mg/Lである、抗微生物剤。
  7. pH=9.0~9.6に調節したpH緩衝液に対し、有効塩素23~26%含有のp-トルエンスルホンクロロアミドのナトリウム塩であるクロラミンTが有効塩素濃度換算で3,000~6,500mg/L含まれる量が加えられて成る抗微生物性強化剤を更に含有する、請求項4~6のいずれかに記載の抗微生物剤。
  8. 請求項1~3のいずれかに記載の抗微生物剤の製造方法により得られた前記抗微生物剤、又は、請求項4~のいずれかに記載の前記抗微生物剤により、被処理物の浸漬処理を行い、又は、前記被処理物への噴霧処理を行い、前記被処理物に存在する微生物を不活性化する、微生物不活性化処理方法。
  9. ポリビニルピロリドン-ヨウ素錯体と、
    メルカプト基を有するメルカプト環状イミン、メルカプト基を有するメルカプト非環アミン及びその有機酸、並びにシステイン、の何れか単一種又は複数種と、
    pH=9.0~9.6に調節したpH緩衝液に対し、有効塩素23~26%含有のp-トルエンスルホンクロロアミドのナトリウム塩であるクロラミンTが有効塩素濃度換算で3,000~6,500mg/L含まれる量が加えられて成る抗微生物性強化剤と、
    を備える、抗微生物剤セット。
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