JP7104934B2 - 難燃薬剤、これを用いた難燃材料および難燃材料の製造方法 - Google Patents
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Description
しかし、ホウ酸、ホウ砂の両方を20℃の水に溶解させた場合、その濃度は無水塩換算で7質量%程度にしかならず、木材の燃焼を抑制するだけの量を水溶液として木材や木質材料に注入することは困難である。
特許文献2や特許文献3では、ホウ酸とホウ砂をある一定の比率で混合させることで、ホウ素化合物を高濃度に含む水溶液が作製できることが報告され、上記水溶液を用いることで、少ない工程で不燃木材の製造を達成している。一方で、この系では、木材に吸着したホウ素化合物が空気中の湿気で溶出し、さらに表面で析出することで生じる白華現象の有無については触れられておらず、実用化のためには白華現象を抑制する措置が必要である。
特許文献5では、ホウ素化合物とシランカップリング剤、ポリフェノール系化合物を含んだ水溶液で処理した木材について、薬剤の溶出が抑制されることが報告されているが、白華の有無については検討されておらず、溶脱処理後の薬剤溶出率が35質量%以上であることから白華は免れない。また、当該処理液自体に含まれる難燃性成分濃度は20質量%程度であり、効率的に難燃処理を行うためには、より高濃度に難燃性成分が溶解していることが望まれる。
1. (A)ホウ素化合物、ホウ酸、およびホウ酸塩からなる群から選ばれる一種以上の難燃性付与成分と、(B)下記平均単位式(1)で表されるポリシロキサン化合物とを含む水溶液からなることを特徴とする難燃薬剤、
(R1 3SiO1/2)a(R2 2SiO)b(R3 1SiO3/2)c(SiO2)d(OR4)e (1)
(式中、R1~R3は、それぞれ独立して、水素原子、または一つ以上のアミノ基、エポキシ基、酸無水物基、マレイミド基、ビニル基、アリル基、アクリル基、メタアクリル基、もしくはヘテロ環式化合物で置換されていてもよい、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数6~20のアリール基もしくは炭素原子数7~20のアラルキル基を表し、R4は、それぞれ独立して、水素原子または炭素原子数1~8のアルキル基を表し、aは、0~0.5、bは、0~0.5、cは、0~0.9、dは、0.1~1.0、eは、0~2.0、かつ、a+b+c+d=1を満たす数である。)
2. 前記難燃性付与成分(A)が、ホウ酸とホウ砂との混合物であり、前記ホウ酸およびホウ砂が、ホウ素換算で3.0mol/kg以上含まれる1の難燃薬剤、
3. 前記dが、0.2~1.0を満たす数である1または2の難燃薬剤、
4. 前記R1、R2およびR3のうちの少なくとも一部が、アミノ基で置換された炭素原子数1~20のアルキル基、アミノ基で置換された炭素原子数6~20のアリール基、またはアミノ基で置換された炭素原子数7~20のアラルキル基である1~3のいずれかの難燃薬剤、
5. 1~4のいずれかの難燃薬剤で処理されてなる難燃材料、
6. (i)(A)ホウ素化合物、ホウ酸、およびホウ酸塩からなる群から選ばれる一種以上の難燃性付与成分と、(B)下記一般式(1)で表されるポリシロキサン化合物とを水に溶解させて難燃薬剤を得る工程、
(R1 3SiO1/2)a(R2 2SiO)b(R3 1SiO3/2)c(SiO2)d(OR4)e (1)
(式中、R1~R3は、それぞれ独立して、水素原子、または一つ以上のアミノ基、エポキシ基、酸無水物基、マレイミド基、ビニル基、アリル基、アクリル基、メタアクリル基、もしくはヘテロ環式化合物で置換されていてもよい、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数6~20のアリール基もしくは炭素原子数7~20のアラルキル基を表し、R4は、それぞれ独立して、水素原子または炭素原子数1~8のアルキル基を表し、aは、0~0.5、bは、0~0.5、cは、0~0.9、dは、0.1~1.0、eは、0~2.0、かつ、a+b+c+d=1を満たす数である。)
(ii)前記工程(i)で得られた難燃薬剤を、木材、紙、織布、不織布および樹脂から選択される材料に含浸させる工程、並びに
(iii)前記工程(ii)後の材料を乾燥させる工程
を含む難燃材料の製造方法、
7. 前記工程(i)において、前記難燃性付与成分(A)が、ホウ酸とホウ砂との混合物であり、前記難燃薬剤中において、前記ホウ酸およびホウ砂がホウ素換算で3.0mol/kg以上含まれる6の難燃材料の製造方法、
8. 前記dが、0.2~1.0を満たす数である6または7の難燃材料の製造方法、
9. 前記R1、R2およびR3のうちの少なくとも一部が、アミノ基で置換された炭素原子数1~20のアルキル基、アミノ基で置換された炭素原子数6~20のアリール基、またはアミノ基で置換された炭素原子数7~20のアラルキル基である6~8のいずれかの難燃材料の製造方法、
10. 前記工程(ii)が、加圧条件下および加熱条件下の少なくとも一方で行われる6~9のいずれかの難燃材料の製造方法、
11. 前記工程(ii)において、上記材料が木材である6~10のいずれかの難燃材料の製造方法、
12. (i-1)(A)ホウ素化合物、ホウ酸およびホウ酸塩からなる群から選ばれる一種以上の難燃性付与成分の水溶液を得る工程、
(ii-1)前記工程(i-1)で得られた難燃性付与成分の水溶液を、木材、紙、織布、不織布および樹脂から選択される材料に含浸させる工程、
(iii-1)前記工程(ii-1)後の材料を乾燥させる工程、
(i-2)(B)下記一般式(1)で表されるポリシロキサン化合物の水溶液を得る工程、
(R1 3SiO1/2)a(R2 2SiO)b(R3 1SiO3/2)c(SiO2)d(OR4)e (1)
(式中、R1~R3は、それぞれ独立して、水素原子、または一つ以上のアミノ基、エポキシ基、酸無水物基、マレイミド基、ビニル基、アリル基、アクリル基、メタアクリル基、もしくはヘテロ環式化合物で置換されていてもよい、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数6~20のアリール基もしくは炭素原子数7~20のアラルキル基を表し、R4は、それぞれ独立して、水素原子または炭素原子数1~8のアルキル基を表し、aは、0~0.5、bは、0~0.5、cは、0~0.9、dは、0.1~1.0、eは、0~2.0、かつ、a+b+c+d=1を満たす数である。)
(ii-2)前記工程(i-2)で得られたポリシロキサン化合物の水溶液を、前記(iii-1)で得られた材料に含浸させる工程、並びに
(iii-2)前記工程(ii-2)後の材料を乾燥させる工程
を含む難燃材料の製造方法、
13. 前記工程(i-1)において、前記難燃性付与成分(A)が、ホウ酸とホウ砂との混合物であり、
前記水溶液中において、前記ホウ酸およびホウ砂がホウ素換算で3.0mol/kg以上含まれる12の難燃材料の製造方法。
14. 前記dが、0.2~1.0を満たす数である12または13の難燃材料の製造方法、
15. 前記R1、R2およびR3のうちの少なくとも一部が、アミノ基で置換された炭素原子数1~20のアルキル基、アミノ基で置換された炭素原子数6~20のアリール基、またはアミノ基で置換された炭素原子数7~20のアラルキル基である12~14のいずれかの難燃材料の製造方法、
16. 前記工程(ii-1)および工程(ii-2)が、加圧条件下および加熱条件下の少なくとも一方で行われる12~15のいずれかの難燃材料の製造方法、
17. 工程(ii-1)において、前記材料が木材である12~16のいずれかの難燃材料の製造方法
を提供する。
また、水溶性のポリシロキサンを用いているため、ホウ素化合物を含む水溶液との混合が可能となり、一つの液を難燃化の対象となる材料に含浸することで難燃処理が達成可能であることから、より簡便な工程で難燃処理が可能である。
さらに、SiO2構造(Q単位構造)を一定量以上有しているため、シランカップリング剤等に多く含まれる、燃焼や発熱量増加の原因となるケイ素-炭素結合部位が少なくなり、従来困難とされてきた白華防止と難燃性の両立を可能とする。
[1](A)難燃性付与成分
本発明の難燃薬剤は、難燃性付与成分としてホウ素化合物、ホウ酸、およびホウ酸塩からなる群から選ばれる一種以上を含む。
ホウ素化合物、ホウ酸、およびホウ酸塩の具体例としては、ホウ砂;H3BO3(オルトホウ酸)、HBO2(メタホウ酸)等のホウ酸;InBO3,Mg3(BO3)2等のオルトホウ酸塩;Mg2B2O5、Co2B2O5等の二ホウ酸塩;NaBO2・2H2O、NaBO2・4H2O、KBO2、LiBO2、Ca(BO2)2等のメタホウ酸塩;Na2B4O7・5H2O等の四ホウ酸塩;KB5O8・4H2O、NH4B5O8・4H2O等の五ホウ酸塩;Na2B8O13・4H2O等の八ホウ酸塩;モクボーベネザーブ(商品名)等が挙げられるが、本発明では、特にホウ酸とホウ砂の組み合わせが好ましい。
本発明におけるホウ砂の質量は十水和物の質量換算であるが、ホウ砂は必ずしも水和物である必要はなく、無水物であってもよい。ホウ酸は、ホウ砂に酸を加えることによっても得ることができ、ホウ砂はホウ酸に水酸化ナトリウムを加えることによっても得ることができる。
したがって、本発明では、このように合成したホウ酸とホウ砂を用いることもできる。すなわち、本発明は、ホウ砂と酸、またはホウ酸と水酸化ナトリウムを原料とすることもできる。
なお、本発明において、「安定な」とは、室温でホウ酸とホウ砂とが析出しないことを意味する。「室温」とは、15℃から25℃の温度範囲を意味する。
本発明の難燃薬剤は、(B)下記平均単位式(1)で表されるポリシロキサン化合物を含む。なお、下記平均単位式(1)において、特に断りのない限り、(R1 3SiO1/2)で表される単位をM単位、(R2 2SiO)で表される単位をD単位、(R3SiO3/2)で表される単位をT単位、(SiO2)で表される単位をQ単位と呼ぶ。
炭素原子数6~20のアリール基としては、フェニル、ナフチル等が挙げられる。
炭素原子数7~20のアラルキル基としては、ベンジル、フェネチル基等が挙げられる。
ヘテロ環式化合物としては、ピペリジン、ピリジン、ピロール、チオフェン等が挙げられる。
特に、本発明では、R1、R2およびR3のうちの少なくとも一部が、アミノ基で置換された炭素原子数1~20のアルキル基、アミノ基で置換された炭素原子数6~20のアリール基、またはアミノ基で置換された炭素原子数7~20のアラルキル基が好ましく、特に、γ-アミノプロピル基、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピル基が好ましい。
シランカップリング剤とは一般的にT単位とD単位からなるアルコキシシランを指し、多くの場合はシロキサン結合(Si-O-Si結合)を持たない化合物であることは当該分野では一般的である。一方でポリシロキサンとは一部のアルコキシシラン同士が加水分解縮合した化合物であり、シロキサン結合を有する。ある程度縮合が進行したポリシロキサン化合物では乾燥時に縮合が進行することで、容易にネットワーク形成が容易であり、木材に固定化さ易いことに加え、燃焼性ガスの発生源であるアルコキシ基がシランカップリング剤に比べ少ないことで、難燃性の低下が少ないという利点を有する。
このような理由から、本発明で用いるポリシロキサン化合物は、シロキサン結合を含まないモノマー(シランカップリング剤等)成分が少なくとも全体の50質量%以下の化合物が好ましく、30質量%以下の化合物がより好ましく、10質量%以下の化合物がより一層好ましく、1質量%以下の化合物が最も好ましい。
これらの中でも、得られるポリシロキサンの水への溶解性や、木材やホウ素化合物との吸着性を考慮すると、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランが好ましく、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシランがより好ましい。
これらの中でも、得られるポリシロキサンの水への溶解性や、木材やホウ素化合物との吸着性を考慮すると、γ-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシランが好ましい。
これらの中でも、得られるポリシロキサンの水への溶解性や、木材やホウ素化合物との吸着性を考慮すると、γ-アミノプロピルジメチルメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルジメチルメトキシシランが好ましい。
したがって、Q単位を一定量有することは、白華現象を抑制するために有効な量のポリシロキサン化合物を導入した場合に、Si-C結合に由来する燃焼によって難燃性が低下するのを抑制する効果がある。
したがって、本発明の化合物においては、ポリシロキサン成分全体のケイ素数に対してQ単位を10mol%以上有することが好ましく、20mol%以上有することがより好ましく、30mol%以上有することがより一層好ましい。
なお、ケイ素化合物の共加水分解縮合物の各構成単位の比は、例えば、29Si-NMRシグナルの位置と積分値の比を用いた公知の方法で確認することができる。
このような添加剤としては、例えば、浸透剤が挙げられる。浸透剤は、難燃化の対象物、すなわち木材(竹材を含む)、紙、織布、不織布および樹脂から選択される材料への難燃性付与成分の含浸を促進する効果を有する。
浸透剤の添加量は、特に限定されるものではなく、通常、0.05~20質量%程度、好ましくは0.5~2質量%である。
浸透剤の具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール等のモノアルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール等のジオール;グリセリン等のトリオール;炭素数3~11のアルジトール(グリシトールともいう)、セルロース誘導体、セルロースナノファイバー等ポリオール;ポリフェノール類;界面張力を低下させる作用のある界面活性剤などが挙げられ、これらの中でも、エチレングリコールが好ましい。
難燃薬剤を材料に含浸処理する際には、大きく分けて2つの処理方法が考えられる。
第1の処理方法は、(A)難燃性付与成分を材料に浸潤させた後、乾燥させ、その材料に(B)シロキサン化合物を浸潤させる方法である。第2の処理方法は、(A)難燃性付与成分と(B)シロキサン化合物とを含む混合溶液とし、この混合溶液を材料に含浸させる方法である。
上記第1の処理方法、第2の処理方法のいずれを用いてもよいが、工程数削減のためには後者の手法を用いることが好ましい。
加熱時の温度は、本発明の難燃薬剤の製造時における加熱温度またはそれ以上の温度が好ましい。
一方、加圧時の圧力は2~20気圧が好ましい。
特に、難燃化の対象が木材の場合には、加圧下で行うのが好ましい。具体的な条件は公知の条件から適宜選択することができるが、特に、後述の実施例に記載の条件が好適である。
[実施例1-1]
容量1,000mlのビーカー内で沸騰させた蒸留水310gに、ホウ酸250gとホウ砂310gを添加して得られた混合溶液を撹拌しながら電熱器で加熱したところ、濁りのない清澄な溶液が得られた。そこへ続けて、30質量%水溶液であるKRM7201(信越化学工業(株)製、アミノ基含有ポリシロキサン化合物、29Si-NMRよりモノマー成分≦1質量%、前記式(1)におけるa<0.05、b<0.05、c=0.6~0.7、d=0.3~0.4、e=0.5~1.0、但しa+b+c+d=1)874gを添加して難燃薬剤(ホウ素換算で4.2mol/kg)を得た。
容量1,000mlのビーカー内で沸騰させた蒸留水310gに、ホウ酸250gとホウ砂310gを添加して得られた混合溶液を撹拌しながら電熱器で加熱したところ、濁りのない清澄な溶液が得られた。そこへ続けて、30質量%水溶液であるKRM7201(信越化学工業(株)製)437gを添加して難燃薬剤(ホウ素換算で5.6mol/kg)を得た。
容量1,000mlのビーカー内で沸騰させた蒸留水310gに、ホウ酸250gとホウ砂310gを添加して得られた混合溶液を撹拌しながら電熱器で加熱したところ、濁りのない清澄な溶液が得られた。そこへ続けて、30質量%水溶液であるKRM7201(信越化学工業(株)製)437gとステーバー法によりテトラエトキシシランから合成した20質量%コロイダルシリカ水分散液(粒径d50=11nm、29Si-NMRより、モノマー成分≦1質量%、d≧0.99)437gとを添加して難燃薬剤(ホウ素換算で4.2mol/kg)を得た。
容量1,000mlのビーカー内で沸騰させた蒸留水301gに、ホウ酸246gとホウ砂310gを添加して得られた混合溶液を撹拌しながら電熱器で加熱したところ、濁りのない清澄な溶液が得られた。そこへ続けて、ステーバー法によりテトラエトキシシランから合成した20質量%コロイダルシリカ水分散液(粒径d50=11nm、29Si-NMRより、モノマー成分≦1質量%、d≧0.99)883gを添加して難燃薬剤(ホウ素換算で4.2mol/kg)を得た。
容量1,000mlのビーカー内で沸騰させた蒸留水409gに、ホウ酸322gとホウ砂405gを添加して得られた混合溶液を撹拌しながら電熱器で加熱し、濁りのない難燃薬剤(ホウ素換算で8.3mol/kg)を得た。
[実施例2-1]
115℃で24時間乾燥させた100mm×100mm×20mmに裁断した杉材(絶乾比重0.26~0.31)を用いて、含浸試験を行った。オートクレーブ中で、実施例1-1で作製した難燃薬剤を杉材に含浸させ、温度78℃(1MPa)で24時間、加圧・加熱処理を行った。次いで、オートクレーブから杉材を取り出して115℃で24時間乾燥させ、杉材の絶乾質量に対する質量増加率(%)を求めた。得られた評価結果を難燃処理液の含浸による質量増加率とともに表1に示す。
実施例1-2で作製した難燃薬剤を用いた以外は、実施例2-1と同様の操作を行って難燃木材を作製した。得られた評価結果を難燃処理液の含浸による質量増加率と共に表1に示す。
実施例1-3で作製した難燃薬剤を用いた以外は、実施例2-1と同様の操作を行って難燃木材を作製した。得られた評価結果を難燃処理液の含浸による質量増加率と共に表1に示す。
実施例1-4で作製した難燃薬剤を用いた以外は、実施例2-1と同様の操作を行って難燃木材を作製した。得られた評価結果を難燃処理液の含浸による質量増加率と共に表1に示す。
比較例1-1で作製した難燃薬剤を用いた以外は、実施例2-1と同様の操作を行って難燃木材を作製した。得られた評価結果を難燃処理液の含浸による質量増加率と共に表1に示す。
各木材を40℃,90%RH(24時間)→60℃送風乾燥(24時間)を1サイクルとする湿乾繰り返しの操作を5サイクル行い、その後、20℃,60%RHで24時間放冷後、木材表面の白華状態の観察を行い、下記の基準により評価した。結果を表1に併せて示す。
◎:白華が見られない
○:白華が僅かに確認される
×:明らかに白華が見られる
[燃焼性試験-1]
各木材を750℃に保持したマッフル炉で20分間加熱し、その際の重量減少率から燃焼性を評価した。結果を表1に併せて示す。
[燃焼性試験-2]
各木材について輻射熱強度50kW/m2を与えたコーンカロリーメータ試験(ISO-5660-1)を行った。20分加熱時の発熱量(MJ/m2)を表1に示す。
また、比較例2-1のようにシロキサン化合物を含まない薬剤で処理した場合には質量減少率や燃焼時の発熱量は低く、難燃性は良好であるが、ホウ素化合物の溶出に起因する白華の発生が顕著であることがわかる。
このように、本発明の難燃薬剤を用いることで、木材等の難燃性を高め、かつ、白華を抑制できることがわかる。
Claims (11)
- (A)難燃性付与成分と、(B)下記平均単位式(1)で表されるポリシロキサン化合物(ただし、下記d≧0.99のシリカを除く。)とを含む水溶液からなり、
前記難燃性付与成分(A)が、ホウ酸とホウ砂との混合物であり、前記ホウ酸およびホウ砂が、ホウ素換算で3.0mol/kg以上含まれる ことを特徴とする難燃薬剤。
(R1 3SiO1/2)a(R2 2SiO)b(R3 1SiO3/2)c(SiO2)d(OR4)e (1)
(式中、R1~R3は、それぞれ独立して、水素原子、または一つ以上のアミノ基、エポキシ基、酸無水物基、マレイミド基、ビニル基、アリル基、アクリル基、メタアクリル基、もしくはヘテロ環式化合物で置換されていてもよい、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数6~20のアリール基もしくは炭素原子数7~20のアラルキル基を表すが、R 1 、R 2 およびR 3 のうちの少なくとも一部は、アミノ基で置換された炭素原子数1~20のアルキル基、アミノ基で置換された炭素原子数6~20のアリール基、またはアミノ基で置換された炭素原子数7~20のアラルキル基であり、R4は、それぞれ独立して、水素原子または炭素原子数1~8のアルキル基を表し、aは、0~0.5、bは、0~0.5、cは、0~0.9、dは、0.1~1.0、eは、0~2.0、かつ、a+b+c+d=1を満たす数である。) - 前記難燃性付与成分(A)が、ホウ酸とホウ砂との混合物のみからなる請求項1記載の難燃薬剤。
- 前記dが、0.1~0.4を満たす数である請求項1または2記載の難燃薬剤。
- 前記R1、R2およびR3のうちの少なくとも一部が、γ-アミノプロピル基、またはN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピル基である請求項1~3のいずれか1項記載の難燃薬剤。
- 請求項1~4のいずれか1項記載の難燃薬剤で処理されてなる難燃材料。
- (i)(A)難燃性付与成分と、(B)下記一般式(1)で表されるポリシロキサン化合物とを水に溶解させて難燃薬剤を得る工程、
(R1 3SiO1/2)a(R2 2SiO)b(R3 1SiO3/2)c(SiO2)d(OR4)e (1)
(式中、R1~R3は、それぞれ独立して、水素原子、または一つ以上のアミノ基、エポキシ基、酸無水物基、マレイミド基、ビニル基、アリル基、アクリル基、メタアクリル基、もしくはヘテロ環式化合物で置換されていてもよい、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数6~20のアリール基もしくは炭素原子数7~20のアラルキル基を表すが、R 1 、R 2 およびR 3 のうちの少なくとも一部は、アミノ基で置換された炭素原子数1~20のアルキル基、アミノ基で置換された炭素原子数6~20のアリール基、またはアミノ基で置換された炭素原子数7~20のアラルキル基であり、R4は、それぞれ独立して、水素原子または炭素原子数1~8のアルキル基を表し、aは、0~0.5、bは、0~0.5、cは、0~0.9、dは、0.1~1.0、eは、0~2.0、かつ、a+b+c+d=1を満たす数である。)
(ii)前記工程(i)で得られた難燃薬剤を、木材、紙、織布、不織布および樹脂から選択される材料に含浸させる工程、並びに
(iii)前記工程(ii)後の材料を乾燥させる工程
を含み、
前記難燃性付与成分(A)が、ホウ酸とホウ砂との混合物であり、
前記難燃薬剤中において、前記ホウ酸およびホウ砂がホウ素換算で3.0mol/kg以上含まれる 難燃材料の製造方法。 - 前記工程(i)において、前記難燃性付与成分(A)が、ホウ酸とホウ砂との混合物のみからなる請求項6記載の難燃材料の製造方法。
- 前記dが、0.1~0.4を満たす数である請求項6または7記載の難燃材料の製造方法。
- 前記R1、R2およびR3のうちの少なくとも一部が、γ-アミノプロピル基、またはN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピル基である請求項6~8のいずれか1項記載の難燃材料の製造方法。
- 前記工程(ii)が、加圧条件下および加熱条件下の少なくとも一方で行われる請求項6~9のいずれか1項記載の難燃材料の製造方法。
- 前記工程(ii)において、上記材料が木材である請求項6~10のいずれか1項記載の難燃材料の製造方法。
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