JP7103978B2 - レーザ溶接方法、レーザ溶接装置及び回転電機の製造方法 - Google Patents

レーザ溶接方法、レーザ溶接装置及び回転電機の製造方法 Download PDF

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本発明は、レーザ溶接方法、レーザ溶接装置及び回転電機の製造方法に関する。
従来、ステータとロータとを備える電動機や発電機等の回転電機が知られている。回転電機のステータは、通常、次のようにして製造される。
先ず、複数の電気導体を束ねて略U字状に成形したコイル要素を複数作製する。次いで、作製した複数のコイル要素を円周方向に重ねながら円環状に整列させ、この状態で、各電気導体の2本の端部をステータコアに円環状に設けられた各スロットに挿通する。次いで、各スロットから突出した電気導体の端部をそれぞれ円周方向に捻り曲げた後、その端部同士をそれぞれ電気的に接合する。これにより、回転電機のステータが製造される。
ところで、複数の電気導体の端部同士を電気的に接合する方法としては、従来からTIG溶接が広く行われているが、近年、アース電極が不要で高いエネルギー効率が得られるレーザ溶接が検討されている。
例えば、特許文献1には、電気導体の端部同士の溶接前に、圧縮装置によって端部同士を互いに向かって押圧して密に接触させ、その後、端部に亘ってレーザ光を照射することにより、密に接触した端部の先端面に亘って溶融金属浴を形成し、この溶融金属浴が冷却した後、端部の押圧を解除することが開示されている。この場合、レーザ光は、端部同士を接触させた共通縁部に直交しかつ共通縁部自体を通って延在する溶接線に沿って照射される。
特開2016-208829号公報
従来のように、溶接前に2本の電気導体の端部に外力を加えて端部同士を密接させ、その端部間に亘ってレーザ光を照射する場合、照射したレーザ光が電気導体の端部間に抜けてしまうことを防止するため、電気導体の端部同士を隙間なく突き合わせて密接させ、溶接完了までその密接状態を維持する必要がある。
しかしながら、回転電機の電気導体の溶接では、一般に電気導体の端部周辺のスペースが狭小であるため、端部同士を隙間なく密に突き合わせるという高難易度の動作に対応した機構を配置することは困難である、という問題がある。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、その目的は、電気導体の端部同士を高精度に突き合わせる必要なく、レーザ光を用いて電気導体の端部同士を容易に接合することができるレーザ溶接方法、レーザ溶接装置及び回転電機の製造方法を提供することにある。
(1) 本発明に係るレーザ溶接方法は、2本の電気導体(例えば、後述の電気導体40)の端部(例えば、後述の端部41)同士をレーザ溶接によって接合するレーザ溶接方法であって、前記2本の電気導体の端部にレーザ光(例えば、後述のレーザ光61)を照射して、前記端部を別々に溶融させ、前記端部に溶融部(例えば、後述の溶融部42)をそれぞれ形成する溶融工程と、前記2本の電気導体の端部の溶融中の前記溶融部同士を結合させる結合工程と、を有する。
上記(1)の構成によれば、2本の電気導体の端部をレーザ光によってそれぞれ別々に溶融させるため、端部間にレーザ光が抜けてしまうことがない。また、溶融部を形成した後、その溶融中の溶融部同士を結合させるので、2本の電気導体の端部同士を隙間なく高精度に突き合わせる必要がなく、端部同士の接合を容易に行うことができる。
(2) (1)に記載のレーザ溶接方法において、前記結合工程において、前記溶融部同士が近づくように前記端部に機械的に外力を付与する(例えば、後述の押圧機構5を用いる)ことにより、溶融中の前記溶融部同士を結合させるようにしてもよい。
上記(2)の構成によれば、端部の溶融部同士を容易に結合させることができる。しかも、溶融部同士は小さな押圧力で結合することができるため、機械的な外力を付与するための構造も簡素なもので済む。
(3) (1)に記載のレーザ溶接方法において、前記結合工程において、前記溶融部に電気的に外力を付与する(例えば、後述の磁場発生装置7,7Aを用いる)ことにより、溶融中の前記溶融部同士を結合させるようにしてもよい。
上記(3)の構成によれば、端部の溶融部同士を、機械的な機構に依らずに容易に結合させることができる。
(4) (1)に記載のレーザ溶接方法において、前記溶融工程において、前記2本の電気導体の端部にそれぞれ別々のレーザ光を照射し、前記結合工程において、溶融中の前記溶融部をそれぞれ照射しているレーザ光同士を近接させて、前記溶融部同士が近づくように前記溶融部を傾斜させることにより、前記溶融部同士を結合させるようにしてもよい。
上記(4)の構成によれば、端部の溶融部同士を、機械的及び電気的な機構に依らずに、レーザ光の照射だけで容易に結合させることができる。
(5) 本発明に係るレーザ溶接装置は、2本の電気導体(例えば、後述の電気導体40)の端部(例えば、後述の端部41)同士をレーザ溶接によって接合するレーザ溶接装置(例えば、後述のレーザ溶接装置100)であって、前記2本の電気導体の端部にそれぞれレーザ光(例えば、後述のレーザ光61)を照射して、溶融部(例えば、後述の溶融部42)をそれぞれ形成するように前記端部を別々に溶融させるレーザ照射手段(例えば、後述のレーザ照射手段6、6A)と、前記2本の電気導体の端部にそれぞれ形成された溶融中の前記溶融部同士を結合させる結合手段(例えば、後述の押圧機構5、磁場発生装置7,7A)と、を備える。
上記(5)の構成によれば、2本の電気導体の端部をレーザ光によってそれぞれ別々に溶融させることができるため、端部間にレーザ光が抜けてしまうことがない。また、溶融部同士を結合させるので、2本の電気導体の端部同士を隙間なく高精度に突き合わせる必要がなく、端部同士の接合を容易に行うことができる。
(6) 本発明に係る回転電機の製造方法は、ステータコア(例えば、後述のステータコア2)に設けられた各スロット(例えば、後述のスロット2a)に挿通され、当該各スロットから突出した複数の電気導体(例えば、後述の電気導体40)の端部(例えば、後述の端部41)同士を、レーザ溶接により接合することで回転電機を製造する回転電機の製造方法であって、各スロットから突出する2本の電気導体の端部同士を、(1)~(4)のいずれかに記載のレーザ溶接方法により接合する。
上記(6)の構成によれば、回転電機を構成する電気導体の端部同士を高精度に突き合わせる必要なく、レーザ光を用いて電気導体の端部同士を容易に接合することができる。
本発明によれば、電気導体の端部同士を高精度に突き合わせる必要なく、レーザ光を用いて電気導体の端部同士を容易に接合することができるレーザ溶接方法、レーザ溶接装置及び回転電機の製造方法を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る回転電機のステータの構成を示す斜視図である。 本発明の一実施形態に係る回転電機のステータにおける複数のコイル要素をステータコアの各スロットに挿通するときの様子を示す図である。 本発明の一実施形態に係る回転電機のステータにおける複数の電気導体の端部を示す斜視図である。 結合対象となる2本の電気導体の端部を模式的に示す図である。 電気導体の端部にそれぞれレーザ光を照射する様子を模式的に示す図である。 レーザ照射手段の一実施形態を模式的に示す図である。 レーザ照射手段の他の一実施形態を模式的に示す図である。 レーザ光の照射により電気導体の端部にそれぞれ溶融部が形成された様子を模式的に示す図である。 電気導体の端部の溶融部同士を結合させる様子を模式的に示す図である。 電気導体の端部の溶融部同士が結合した状態を模式的に示す図である。 電気的な外力の付与により溶融部同士を結合させる結合手段の一実施形態を模式的に示す図である。 電気的な外力の付与により溶融部同士を結合させる結合手段の他の一実施形態を模式的に示す図である。 電気導体の端部の溶融部同士を別の方法により結合させる様子を模式的に示す図である。 電気導体の端部に別の方法によりそれぞれレーザ光を照射する様子を模式的に示す図である。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。
本実施形態に係る回転電機の製造方法は、ステータコアに設けられた各スロットに挿通され、当該各スロットから突出した複数の電気導体の端部同士をレーザ溶接により接合することで、回転電機を製造する。
先ず、本実施形態に係る製造方法により製造される回転電機の構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る回転電機のステータ1の構成を示す斜視図である。図1に示すように、ステータ1は、円筒状に形成される。ステータ1の内側には、図示しないロータが回転自在に配置され、これにより、回転電機が構成される。
ステータ1は、ステータコア2と、コイル3と、を含んで構成される。ステータコア2は、円筒状に形成される。ステータコア2には、回転軸方向に貫通するスロット2aが円環状に複数設けられる。即ち、スロット2aは、ステータコア2の円周方向に等間隔ごとに複数設けられる。各スロット2aは、ステータコア2の径方向断面形状がステータコア2の中心側から径方向に向かって放射状に延びるように形成される。各スロット2aは、ステータコア2の内側に円周方向に等間隔ごとに形成されたスリット2bを介して、ステータコア2の内周面に連通しているが、このスリット2bは必須ではない。
コイル3は、例えば銅からなる複数の電気導体を束ねて略U字状に成形することで得られた複数のコイル要素4を、レーザ溶接により接合することで得られる。
ここで、図2は、複数のコイル要素4をステータコア2の各スロット2aに挿通するときの様子を示す図である。図2に示すように、コイル3は、それぞれ略U状に成形された電気導体からなる複数のコイル要素4を、円周方向に重ねながら円環状に整列させた状態で、各電気導体の端部(図2における下端部)をステータコア2の軸方向(図2における上下方向)に沿って各スロット2aに挿通した後、各スロット2aへの挿通側と反対側から突出する電気導体の端部をレーザ溶接することで得られる。電気導体の端部のレーザ溶接は、スロット2aから突出して並置される2本の電気導体の端部に対してそれぞれ行われる。
次に、コイル要素4の電気導体の端部同士をレーザ溶接する具体的な方法の一実施形態について説明する。本実施形態に係るレーザ溶接方法は、溶融工程と、接合工程と、を有する。
ここで、図3は、本発明の一実施形態に係る回転電機のステータにおける複数の電気導体の端部を示す斜視図である。図3は、図1及び図2に示すステータコア2を軸方向に反転させた状態を示している。
図3に示すように、ステータコア2の各スロット2aに挿通された複数の電気導体40の端部41が、挿入側と反対側の各スロット2aから突出している。先ず、溶融工程に先立ち、この複数の電気導体40の端部41において、ステータコア2の径方向に隣接する電気導体40の端部41が揃えて配置される。
次いで、各スロット2aから突出した複数の電気導体40の端部41を、ステータコア2の円周方向(図3における左右方向)に捻り曲げる。具体的には、電気導体40の端部41を円周方向に捻った後、その最先端部をスロット2aと反対方向に向けて、ステータコア2の軸方向(図3における上下方向)に折り曲げる。
より詳しくは、最も外側の電気導体40の端部41を、円周方向の一方側(図3では右回り)に捻り曲げる。次いで、外側から2番目及び3番目の電気導体40の端部41を、円周方向の他方側(図3では左回り)に捻り曲げる。次いで、外側から4番目及び5番目の電気導体40の端部41を、円周方向の一方側(図3では右回り)に捻り曲げる。このようにして逆方向に交互に捻り曲げた後、最後に、最も内側の電気導体40の端部41を、円周方向の一方側(図3では右回り)に捻り曲げる。
このようにして、複数の電気導体40の端部41を捻り曲げることで、隣接する2本の電気導体40,40の端部41,41同士を、径方向に揃えて並置させる。この径方向に沿って並置される2本の電気導体40,40の端部41,41同士は、後述する結合工程で互いに結合される結合対象となる端部である。結合対象となる2本の電気導体40,40の端部41,41同士は、その端部41の高さ(スロット2aからの突出長さ)も揃えられている。このため、2本の電気導体40,40の端部41,41の先端面同士は、ほぼ同一面上に配置される。
本実施形態の溶融工程では、このようにステータコア2の各スロット2aに挿通されて揃えられた複数のコイル要素4において、各スロット2aへの挿通側と反対側に突出して結合対象となる2本の電気導体40,40の端部41,41にそれぞれレーザ光を照射する。この2本の電気導体40,40の端部41,41同士は、必ずしも接触している必要はなく、僅かに離間距離をあけて近接しているだけでよい。即ち、結合対象となる2本の電気導体40,40の端部41、41同士は、レーザ照射開始時において、何らかの機構を用いて外力が付与されること等によって互いに密に突き合わされる必要はない。
本実施形態の溶融工程において端部41同士をレーザ光により溶融させる方法について、更に図4~図8を用いて説明する。図4は、結合対象となる2本の電気導体の端部を模式的に示す図である。図5は、電気導体の端部にそれぞれレーザ光を照射する様子を模式的に示す図である。図6は、レーザ照射手段の一実施形態を模式的に示す図である。図7は、レーザ照射手段の他の一実施形態を模式的に示す図である。図8は、レーザ光の照射により電気導体の端部にそれぞれ溶融部が形成された様子を模式的に示す図である。
図4~図8では、スロット2a(図4では図示せず)から突出して並置される2本の電気導体40,40の端部41,41が示されている。
溶融工程において、2本の電気導体40,40の端部41,41同士をレーザ溶接する際、レーザ溶接装置100が使用される。レーザ溶接装置100は、2本の電気導体40,40の端部41,41にそれぞれレーザ光61,61を照射して、溶融部42をそれぞれ形成するように端部41,41を別々に溶融させるレーザ照射手段6と、2本の電気導体40,40の端部41,41にそれぞれ形成された溶融中の溶融部42,42同士を結合させる結合手段と、を備える。
図4、図5及び図8に示すように、2本の電気導体40,40の端部41,41の近傍には、結合手段の一実施形態である押圧機構5が配置されている。押圧機構5は、隣接する電気導体40,40の端部41,41間にも容易に挿入可能な、例えば薄い平板状に形成された一対の押圧部51,51を有する。結合対象となる2本の電気導体40,40の端部41,41は、一対の押圧部51、51の間に挟まれている。但し、本実施形態の溶融工程においては、押圧機構5の各押圧部51,51は、電気導体40,40の端部41,41に対して、互いに近づける方向の押圧力を未だ作用させていない。
図5では、並置される2本の電気導体40,40の端部41,41の上方に、レーザ照射手段6が示されている。レーザ照射手段6は、2本の電気導体40,40に1対1に対応して、それぞれ端部41,41に向けてレーザ光61,61を照射可能な2つのレーザ照射部60,60を有する。
具体的なレーザ照射部60の種類は限定されず、例えば、図6に示すスキャナヘッドにより構成されるレーザ照射装置60Aや図7に示すレーザヘッドにより構成されるレーザ照射装置60Bを用いることができる。スキャナヘッドにより構成されるレーザ照射装置60Aによれば、内部に設けられた図示しないミラー(例えば、ガルバノミラー)の角度を変化させることにより、レーザ光61のみを任意の方向に変化させることができる。レーザヘッドにより構成されるレーザ照射装置60Bによれば、レーザ照射手段6をコンパクトに構成することができる。
また、レーザ照射部60から端部41に向けて照射されるレーザ光61の種類も限定されず、例えば、ファイバーレーザ、YAGレーザ、COレーザ及び半導体励起レーザ等を用いることができる。
本実施形態の溶融工程では、これらのレーザ照射部60,60からそれぞれ端部41,41に別々のレーザ光61,61を照射することにより、端部41,41を別々に同時に溶融させる。即ち、レーザ光61は、端部41,41間に亘って照射されるものではないため、端部41,41同士が密に突き合わされていなくても、レーザ光61が端部41,41間に抜けてしまうおそれはない。
電気導体40の端部41に照射されるレーザ光61は、図4、図5に示すように、端部41の先端面のうちの少なくとも互いに対向する内側縁41a又は内側縁41aを含む領域を溶融させ、少なくとも端部41,41同士が対向している内側縁41a又は内側縁41aを含む領域に、溶融した金属からなる溶融部を形成する。少なくとも端部41,41同士が対向している内側縁41a又は内側縁41aを含む領域を溶融させるのは、後の結合工程において、端部41,41の溶融部同士を近接させた際に結合させ易くするためである。即ち、溶融部は、少なくとも端部41,41の対向する内側縁41a又は内側縁41aを含む領域を溶融させることにより、端部41,41を近づけた際に、溶融部同士が直に接触し得るように形成される。
溶融工程では、端部41を全体的に溶融させてもよい。本実施形態の溶融工程では、端部41,41に別々にレーザ光61,61を照射して、端部41,41全体を別々に溶融させることにより、図8に示すように、端部41,41に金属が球状に溶融した溶融球42a,42aからなる溶融部42,42をそれぞれ形成している。
次に、本実施形態の結合工程では、上記溶融工程において端部41,41に形成された溶融部42,42同士を結合させる。この結合工程について、更に図9及び図10を用いて説明する。図9は、電気導体の端部の溶融部同士を結合させる様子を模式的に示す図である。図10は、電気導体の端部の溶融部同士が結合した状態を模式的に示す図である。
本実施形態の結合工程において結合させる端部41,41の溶融部42,42は、依然として溶融中の溶融部である。ここで、溶融中とは、レーザ照射部60からレーザ光61を照射することにより溶融部42を形成した後も、そのレーザ光61の照射を継続することにより、溶融部42が冷え固まることなく、溶融した状態を維持していることを意味する。従って、図8及び図9ではレーザ照射手段6の図示を省略しているが、図8及び図9における溶融部42,42にも、レーザ照射部60,60からレーザ光61,61がそれぞれ照射されることにより、溶融部42,42は依然として溶融した状態である。
各端部41,41の溶融中の溶融部42,42は、端部41,41同士が十分に近接して並置されている場合には、溶融部42の成長に伴って自然に結合されるようにすることも可能である。しかし、溶融部42、42同士をより確実に結合させる目的からは、溶融部42,42同士が互いに近づくように端部41,41に外力を付与することにより、溶融中の溶融部42,42同士を結合させることが望ましい。
図4、図5、図8及び図9に示した本実施形態では、2本の電気導体40,40の端部41,41にそれぞれ形成された溶融中の溶融部42,42同士を結合させる結合手段として、端部41,41に機械的に外力を付与する押圧機構5が例示されている。本実施形態の結合工程では、押圧機構5の各押圧部51,51により、2本の電気導体40,40の端部41,41に対して、例えば空気圧、油圧、モータ等の駆動力により、端部41,41に対して互いに近づく方向に押圧力を付与する。このとき、2つの押圧部51,51をそれぞれ移動させてもよいし、一方の押圧部51のみを他方の押圧部51に向けて移動させるようにしてもよい。
溶融中の溶融部42,42同士は、押圧部51,51に押圧されて端部41,41が互いに近づくように移動する過程で接触して結合する。これにより、2本の電気導体40,40の端部41,41には、溶融部42,42同士が合体した合体金属部43が形成される。図10では、球状に溶融した溶融部42,42同士が結合することにより、一つの大きな金属球からなる合体金属部43が形成された様子を示している。2本の電気導体40,40の端部41,41は、レーザ照射終了の後、この合体金属部43が冷え固まることにより一体化され、電気的に接合される。
このように2本の電気導体40,40の端部41,41同士をレーザ溶接する本実施形態のレーザ溶接方法及びレーザ溶接装置100によれば、2本の電気導体40,40の端部41,41をレーザ光61,61によってそれぞれ別々に溶融させるため、端部41,41間にレーザ光61が抜けてしまうことがない。しかも、溶融部42,42を形成した後、その溶融中の溶融部42,42同士を結合させるので、2本の電気導体40,40の端部41,41同士を隙間なく高精度に突き合わせる必要がなく、端部41,41同士の接合を容易に行うことができる。
また、押圧機構5により端部41,41に付与する機械的な外力としての押圧力は、2本の電気導体40,40の端部41,41の溶融部42,42同士が近づいて接触するように端部41,41を僅かに移動させるだけの小さな力で十分である。しかも、押圧機構5は、2本の電気導体40,40の端部41,41同士を密に突き合わせるような高い精度も必要とされない。このため、押圧機構5の構造も簡素なもので済む。
結合工程において、溶融中の溶融部42,42同士を結合させる方法は、以上のように結合手段としての押圧機構5を使用して端部41,41に機械的な外力を付与して行う方法に限定されない。例えば、溶融部42,42に電気的に外力を付与することにより、溶融中の溶融部42,42同士を結合させるようにしてもよい。
図11は、電気的な外力の付与により溶融部同士を結合させる結合手段の一実施形態を模式的に示す図である。図11に示す結合手段は、磁場発生装置7により構成される。磁場発生装置7は、2つの磁場発生コイル71,71と、磁場発生コイル71,71に電力供給する電源を含む1つの制御装置72と、二対の通電プローブ73a,73b、73a,73bと、各通電プローブ73a,73bに電力供給する2つの電源74,74と、を有する。
2つの磁場発生コイル71,71は、結合対象である2本の電気導体40,40の端部41,41の上方と下方とにそれぞれ配置される。2つの磁場発生コイル71,71は、同一軸線上に並ぶように配置され、2つの磁場発生コイル71,71の間の軸線上又はその近傍に、2本の電気導体40,40の端部41,41が並置される。2つの磁場発生コイル71,71は、制御装置72からそれぞれ電力供給されることにより、本実施形態では両者間に下から上に向かう磁場を発生させるように構成されている。
なお、図11では、図示を簡略化するために、端部41,41の溶融部42,42は省略している。磁場発生装置7は、2本の電気導体40,40に対して溶融工程前に配置されるため、溶融工程では、例えば上方の磁場発生コイル71の中央を通して、端部41,41にレーザ光61が照射され、溶融部42,42が形成される。
二対の通電プローブ73a,73b、73a,73bは、2本の電気導体40,40に対応して設けられる。通電プローブ73a,73bは、電気導体40の端部41を、端部41,41の並び方向の両側から挟持するように配置される。本実施形態では、二対の通電プローブ73a,73b、73a,73bは、電源74,74からそれぞれ電力供給されることにより、端部41,41のそれぞれに、一方の通電プローブ73aから他方の通電プローブ73bに向けて、端部41,41の並び方向に直交する方向の電流を印加するようにしている。なお、端部41を挟持する通電プローブ73aと通電プローブ73bの位置は、図11に示すように、各端部41,41で逆になるように配置されている。このため、2本の電気導体40,40の端部41,41には、端部41,41の並び方向に直交する方向に沿って、それぞれ逆方向に流れる電流が印加されるようになっている。
この磁場発生装置7において、2本の電気導体40、40の端部41、41に対して下から上に向かう磁場を与えた状態で、二対の通電プローブ73a,73b、73a,73bによって、端部41,41にそれぞれ逆方向に流れる電流を印加すると、各端部41,41の溶融中の溶融部42、42(図11では図示せず)には、ローレンツ力による互いに引き寄せ合う方向の電気的な力F,Fが付与される。このとき、溶融部42,42は溶融中であるため、電気的な力F,Fが付与されることによって溶融部42,42の重心が互いに近づく方向に移動して結合する。その後、溶融部42,42が冷え固まることにより、2本の電気導体40,40は電気的に接続される。
ローレンツ力による電気的な力F,Fは、機械的な押圧力に比べて小さいため、溶融部42,42が小さい等の理由によって、電気的な力F,Fのみでは結合させることが困難な場合には、溶融部42,42同士の接触、結合を補助するために、図12に示すように、押圧機能付きの通電プローブ75a,75bを有する磁場発生装置7Aを用いてもよい。この磁場発生装置7Aでは、一対の通電プローブ75a,75bのうちの一方のみ(図12における手前側の通電プローブ75a,75b)で、端部41に対して押圧する方向の外力を付与し得るように、これら一方の通電プローブ75a,75bが、端部41,41の並び方向の外側からそれぞれ端部41,41に当接するように配置されている。これら一方の通電プローブ75a,75bは、図示しない押圧機構と連結されることにより、これらの通電プローブ75a,75bの先端によって、端部41,41を互いに近づく方向に外力を付与する。この外力は、あくまで電気的な力F,Fの補助的なものであり、前述した押圧機構5による機械的な押圧力のみによって溶融部42,42同士を結合させる場合に比べて極めて微力なもので足り、磁場発生装置7Aの大型化、複雑化を招くおそれはない。
また、溶融中の溶融部42,42同士を結合させる更に他の方法としては、本実施形態における溶融工程のように、2本の電気導体40,40の端部41,41に対して、別々のレーザ照射部60,60から別々のレーザ光61,61を照射することにより溶融部42,42を形成する場合は、以下に示すように、各レーザ光61,61の照射を操作することにより、溶融中の溶融部42,42同士を結合させる方法を用いることもできる。
図13は、電気導体40,40の端部41,41の溶融部42,42同士を上記の方法とは別の方法により結合させる様子を模式的に示している。この方法では、結合工程において、別々のレーザ照射部60,60から溶融中の溶融部42,42を照射しているレーザ光61,61同士を近接させるようにレーザ照射部60,60を操作する。
具体的には、溶融部42,42に対して照射されるレーザ光61,61における溶融部42,42の表面上の照射点(焦点位置)61a,61aが互いに近接するように、レーザ光61,61を近接する方向に移動させる。このようにレーザ光61,61が移動すると、照射点61a,61aの移動に伴って溶融部42,42の重心も互いに近接するように移動し、溶融部42,42の重心が端部41,41の中心からずれ、溶融中の溶融部42,42が重心側に傾くように変形する。これにより、図13に示すように、溶融部42,42同士が互いに近づくように溶融中の溶融部42,42を傾斜させる。溶融部42,42同士が接触する程度に溶融中の溶融部42,42が傾斜すると、図10と同様に、溶融部42,42同士は合体して一つの合体金属部43を形成し、2本の電気導体40,40の端部41,41同士を電気的に接合する。
この方法によれば、2本の電気導体40,40の端部41,41の溶融部42,42同士を、機械的及び電気的な機構に依らずに、レーザ光61の照射だけで容易に結合させることができるため、レーザ溶接装置100の構造を簡素化することができる。
以上の各実施形態では、2本の電気導体40,40の端部41,41に対して、レーザ照射手段6の別々のレーザ照射部60,60から別々のレーザ光61,61を照射するようにしたが、これに限定されない。図14に示すレーザ照射手段6Aのように、2本の電気導体40,40の端部41,41に対して、共通の一つのレーザ照射部60からそれぞれレーザ光61を照射するようにしてもよい。
この場合、溶融工程では、一つのレーザ照射部60から、各端部41,41に対してそれぞれレーザ光61,61を個別に照射する。一つのレーザ照射部60からのレーザ光61の照射は、レーザ光61が端部41,41間に抜けないようにするため、一方の端部41に対して照射した後、一旦照射を停止させ、更にその後に、他方の端部41に対して照射する動作を各端部41,41に対して交互に行う。各端部41,41へのレーザ光61の照射は、図14に示すように、レーザ照射部60自体の向きを各端部41,41に向くように交互に切り替えるようにしてもよいし、例えば、図6に示したスキャナヘッドを用いることにより、レーザ照射部60からのレーザ光61の出射方向のみを各端部41,41に向くように交互に切り替えるようにしてもよい。このレーザ溶接方法及びレーザ溶接装置によれば、レーザ照射部60は一つで済むため、レーザ照射のための構成を更に簡素化できる。
また、各実施形態では、レーザ照射前に2本の電気導体40,40に押圧力を加えないようにしたが。図示しないクランプ治具で電気導体40,40を押圧して、端部41,41同士の周方向及び径方向を適度に位置決めした状態でレーザ光61を照射してもよい。
1 ステータ
2 ステータコア
2a スロット
3 コイル
4 コイル要素
40 電気導体
41 端部
42 溶融部
5 押圧機構(結合手段)
6,6A レーザ照射手段
61 レーザ光
7,7A 磁場発生装置(結合手段)

Claims (3)

  1. 2本の電気導体の端部同士をレーザ溶接によって接合するレーザ溶接方法であって、
    前記2本の電気導体の端部にレーザ光を照射して、前記端部を別々に溶融させ、前記端部に溶融部をそれぞれ形成する溶融工程と、
    前記2本の電気導体の端部の溶融中の前記溶融部同士を結合させる結合工程と、を有し、
    前記結合工程において、前記溶融部に電気的に外力を付与することにより、溶融中の前記溶融部同士を結合させる、レーザ溶接方法。
  2. 2本の電気導体の端部同士をレーザ溶接によって接合するレーザ溶接装置であって、
    前記2本の電気導体の端部にそれぞれレーザ光を照射して、溶融部をそれぞれ形成するように前記端部を別々に溶融させるレーザ照射手段と、
    前記2本の電気導体の端部にそれぞれ形成された溶融中の前記溶融部同士を結合させる結合手段と、を備え、
    前記結合手段は、前記溶融部に電気的に外力を付与することにより、溶融中の前記溶融部同士を結合させる、レーザ溶接装置。
  3. ステータコアに設けられた各スロットに挿通され、当該各スロットから突出した複数の電気導体の端部同士を、レーザ溶接により接合することで回転電機を製造する回転電機の製造方法であって、
    各スロットから突出する2本の電気導体の端部同士を、請求項1記載のレーザ溶接方法により接合する、回転電機の製造方法。
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