JP7100487B2 - 印刷配線板 - Google Patents
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Description
他の一つには、図10(a)に示すように信号配線101とグラウンドプレーン102との層間(絶縁材115)が薄い場合、図10(b)に示すように直下のグラウンドパターン102Bに間隙102Aを設けた上、更に下の層のグラウンドプレーン103との間で、インピーダンスを整合する手法である。
図10(a)に示すように信号配線101とグラウンドプレーン102との層間厚が薄くなると、特性インピーダンスが低くなり、信号配線101の配線幅を細くしても、目標とする特性インピーダンス値を得られない場合がある。
そこで、図10(b)に示すように目標とする特性インピーダンス値を得る為に、信号配線101の直下を切り抜き、切り抜いたグラウンドプレーン102Bの下側に、更に別のグラウンドプレーン103を設けて、目標とする特性インピーダンス値を得ることがある。
この手法における課題としては、第一にグラウンドプレーンが新たに必要となり、印刷配線板の厚さが厚くなる、第二に特性インピーダンスの値は、信号配線101とグラウンドプレーン103との層間厚が支配的となり、場合によっては、信号配線101直下層102Bの切り抜きだけではなく、更に多くの層を切り抜かなければならない場合がある。
この場合において、グラウンドメッシュ203のメッシュの開口部の大きさを変えることで、信号配線201とグラウンドメッシュ203の電磁界結合が変わり、特性インピーダンスの整合を行える。
全面ベタパターンのグラウンドプレーン202の場合は、信号配線201の幅のみで特性インピーダンス値を調整しなければならなかったが、グラウンドメッシュ203にすることで、信号配線201の幅とメッシュサイズとで特性インピーダンスを調整でき、選択の幅が広がる。
ただし、本手法の場合、信号配線201とグラウンドメッシュ203との交差位置204によって、特性インピーダンス値が変わってしまう。このことは、特性インピーダンスを調整したい信号配線が複数ある場合、信号配線とグラウンドメッシュの交差する位置を、
すべての信号配線に対して同じ位置にしなければならなくなる。つまり、配線の自由度が低くなるという問題がある。
本手法の場合にグラウンドに流れる信号のリターン電流を考えると、信号配線301に沿ったX方向のパターン303Xもグラウンドメッシュ303中に必要になる。図14に示す構成の場合、信号配線301とY方向のパターン303Yとの距離(X方向)によって、特性インピーダンスのバラつきが生じる。
しかし、あらゆる信号配線の配置で、メッシュと重なる面積を同じにすることはできない。図15の場合で、信号配線401と信号配線402とでは、グラウンドメッシュ403と重なる面積は違う。
まず、信号配線の直下層のグラウンドプレーンに間隙を設けると、共振現象が発生しやすくなる。すなわち、単純に直下の導体層に間隙を設けた上、更に下の層のグラウンドプレーンとの間で、インピーダンスを整合しようとすると、信号配線は直下のグラウンドプレーンと更に下の層のグラウンドプレーンの両方から影響を受け、その結果として共振に至るという問題がある。
一方、信号配線の幅を細くした場合は、信号配線の抵抗が増加し、伝送特性が低下する。信号配線の幅が製造限界未満になってしまうこともある。インピーダンスを調整するには、次のことを考慮しなければならない。すなわち、信号配線とグラウンドプレーンとの距離が近くなると、電磁界結合が強くなるので、インピーダンスは低下し、距離が離れると、電磁界結合が弱まるので、インピーダンスは増加する。また、信号配線の幅を太くするとインピーダンスは低下し、細くするとインピーダンスは増加する。太くすると、信号配線とグラウンドプレーンの対向する導体の面積が増える為、電磁界結合が強くなり、インピーダンスは低下する。信号配線を細くすると対向する導体の面積が減少するので、電磁界結合が弱まりインピーダンスは増加する。
薄型印刷配線板の場合、層間厚が50μm以下もあり、配線幅の調整だけでは、信号配線の幅が製造限界未満になってしまい、調整しきれないこともある。
前記第一グラウンド導体は、積層方向に見て前記信号配線と前記第二グラウンド導体との間に位置し、開口部を有し、
前記開口部は、前記信号配線の延設方向に沿って連続開口を成しており、
前記開口部の開口幅は、前記信号配線の前記延設方向の位置に応じて変化している印刷配線板である。
また、開口部の開口幅を空間的に変化させて、第一グラウンド導体が信号配線に近づく部分をつくることで、その部分と信号配線との結合が強くなり、共振を抑えることができる。
以上により、信号配線の伝送特性を損なうことなく、また信号配線とグラウンドとの共振を抑えつつ、インピーダンスを整合することができる。
信号配線10の存在層をL1層、第一グラウンド導体20の存在層をL2層、第二グラウンド導体30の存在層をL3層とし図中に示す。L1層と、L2層との間は第一絶縁材層15である。L2層とL3層との間は第二絶縁材層25である。信号配線10はソルダーレジスト5で被覆されている。ソルダーレジスト5をSR層とする。
第二グラウンド導体30は、全体的にベタパターンで構成されている。第一グラウンド導体20と第二グラウンド導体30とはグラウンドビア26(図2(b)(c))により接続されている。
開口部21は、信号配線10の積層方向Zに相当する最細直線部21aと、Y方向両側への拡幅部21bとからなる。Y方向に沿った開口部21の開口幅WをX方向の位置に応じて変化させる態様で、開口部21を画成する外形線TL,TRが形成されている。開口幅Wの変化は周期的であり、一方側の外形線TLと他方側の外形線TRは、中心線TCを軸に対称である。中心線TCは信号配線10の中心線をZ方向に投影した位置を示す。開口幅Wの最小値は信号配線10の幅以下とされる。本実施形態では、開口幅Wの最小値は信号配線10の幅に等しくされている。
距離A以下で距離Bを決め、第一絶縁材層15の層厚及び距離Bに基づき自ずと距離Cが決まる。距離Cは拡幅部21bのY方向幅に相当する。また、距離Cは開口幅Wの最大値と最小値との差の二分の一に相当する。また、信号配線10のエッジP2をZ方向にL2層まで投影した位置をP3とする。距離CはP1-P3間の距離に相当する。
まず、信号配線10の直下の第一グラウンド導体20の開口部21を狭める凸導体部22を第一グラウンド導体20に形成することで、可能な限り信号配線10の外側エッジP2に第一グラウンド導体20(凸導体部22)を近づけ、信号配線10の電界と磁界の影響を極力L3層の第二グラウンド導体30に及ぼさないようにする。
また、開口部21の狭幅部を形成する凸導体部22を設けて周期的に開口幅Wを変化させる外形線TL,TRの形状とすることで、凸導体部22のピッチ、すなわち、開口幅Wの周期的な変化のピッチによって、信号配線とベタ導体によるグラウンド導体を異なる層に配置し、さらにその間に信号配線のZ方向に対応する部分を開口させたグラウンド導体を配置した際に発生する透過特性(S21)の共振を抑制できるようにする。
なお、図1中に、一例の寸法を示した。凸導体部22は位置P1に長辺を、位置P3に短辺を置く台形状である。
次に、TDR波形と透過特性(S21)のシミュレーションと、シミュレーション結果に基づく実施例を開示する。
シミュレーションの対象モデルは、比較例1,2と本発明例である。比較例1の断面構造、層厚、特性値を図3(a)に、配線の平面図を図3(b)に示す。比較例2の断面構造、層厚、特性値を図4(a)に、配線の平面図を図4(b)に示す。本発明例の断面構造、層厚、特性値を図5(a)に、配線の平面図を図5(b)に示す。
比較例1においては、L2層のグラウンド導体120は全面ベタパターンで開口部は無い。比較例2においては、信号配線210に隣接するL2層の第一グラウンド導体220に信号配線210に沿った直線状の開口部221を設け、さらに全面ベタパターンの第二グラウンド導体230をL3層に設けた。本発明例は、上記実施形態に従うもので、さらに図5に示した構造、特性値のものである。
共通事項として、絶縁材にガラス布基材エポキシ樹脂を、導電材に銅を適用し、配線距離15mmのA1-A2間の特性をシミュレーションする。
TDR波形のシミュレーション結果を図6に、透過特性(S21)のシミュレーション結果を図7に示す。
図6に示すように特性インピーダンスが概ね一致していても、L2層の形状の違いにより、下記の特徴が現れる。
比較例1では、図7に示すように共振現象はないが、L2層のグラウンド導体120に開口部を設けなかった為に、信号配線110の幅が細く損失が大きい(透過が少ない)。
これに対し比較例2では、信号配線210の直下の第一グラウンド導体220に開口部221を設けて信号配線210の幅を太くしたが、L2層に開口部221を設けた影響で、図7に示すように共振が発生している。
これに対し本発明例では、信号配線10の直下の第一グラウンド導体20に開口部21を設け、さらに開口部21に臨む凸導体部22を上述したように設けた。
比較例2と本発明例とでは、信号配線の幅は同じなので、透過特性は同じような傾きを示しているが、比較例2にあった共振が、本発明例では抑制されている。
以上のことから、本発明例のように開口部21に臨む凸導体部22を設けることで、比較例1よりも信号配線幅を太くし、尚且、比較例2よりも、共振を抑制した品質の良い伝送特性を得ることができる。本発明例によれば、高周波信号の伝送に優位である。
一般的に、1/10波長以下となる配線において共振現象は発生しないので、26GHzの1/10波長(540μm)を、凸導体部22のピッチを決める際の基準寸法とした。
TDR波形と透過特性(S21)を考慮しながら、1/10波長から徐々に波長を長くしたピッチ寸法で凸導体部22を配置していき、インピーダンスが50Ωに近く、尚且つ、50GHzまで共振の少ない透過特性(S21)となる凸導体部22のピッチ寸法をシミュレーション(HFSS)で求めた。波長計算を表Iに、1/3波長~1/7波長のTDR波形を図8に、透過特性(S21)を図9に示す。
その結果、26GHzの1/5波長(1080μm)で、条件を満たす結果となり、凸導体部22のピッチ寸法を1080μmとした。
その結果、インピーダンスが増加し、信号配線10の幅を太くし、配線抵抗を低減させることが可能となり、伝送特性が向上する。
また、開口部21の開口幅Wを信号配線10の延設方向の位置に応じて変化させ、第一グラウンド導体20が信号配線10に近づく部分(凸導体部22)をつくることで、その部分と信号配線10との結合が強くなり、共振を抑えることができる。
以上により、信号配線の伝送特性を損なうことなく、また信号配線とグラウンドとの共振を抑えつつ、インピーダンスを整合することができる。
5 ソルダーレジスト
10 信号配線
15 第一絶縁材層
20 第一グラウンド導体
21 開口部
21a 最細直線部
21b 拡幅部
22 凸導体部
23 ベタ導体部
25 第二絶縁材層
26 グラウンドビア
30 第二グラウンド導体
TC 中心線
TL,TR 開口部の外形線
W 開口幅
X 延設方向
Z 積層方向
Claims (6)
- 信号配線と、第一グラウンド導体と、第二グラウンド導体とが異なる層に形成された印刷配線板であって、
前記第一グラウンド導体は、積層方向に見て前記信号配線と前記第二グラウンド導体との間に位置し、開口部を有し、
前記開口部は、前記信号配線の延設方向に沿って連続開口を成しており、
前記開口部の開口幅は、前記信号配線の前記延設方向の位置に応じて変化している印刷配線板。 - 前記開口幅の変化は周期的である請求項1に記載の印刷配線板。
- 前記開口幅の周期的な変化のピッチが、前記開口幅を一定にした場合に発生する信号の共振波長の五分の一以下である請求項2に記載の印刷配線板。
- 前記開口幅の周期的な変化のピッチが、前記開口幅を一定にした場合に発生する信号の共振周波数の低い方から一番目と二番目の平均値の相当波長の五分の一以下である請求項2に記載の印刷配線板。
- 前記開口幅の最小値は、前記信号配線の幅以下である請求項1から請求項4のうちいずれか一に記載の印刷配線板。
- 前記開口部を画成する外形線の前記信号配線に対する最後退位置と、これに近接する前記信号配線のエッジとの距離(B)は、前記信号配線と前記第二グラウンド導体との層間距離(A)以下である請求項1から請求項5のうちいずれか一に記載の印刷配線板。
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