本開示において、「距離」とは、直線的な距離ではなく、経路の長さである。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。
<<第1の実施形態>>
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
<構成>
図1は、第1の実施形態に係るプラン情報提供システム11の適用例を示す図である。
第1の実施形態では、プラン情報提供システム11が、1つ以上のEV21および1つ以上の充電スタンド31と情報のやりとりを行う。プラン情報提供システム11は、情報のやりとりを、例えば、無線の通信ネットワークを介して行う。
[プラン情報提供システム11]
図2は、第1の実施形態に係るプラン情報提供システム11の構成を示すブロック図である。プラン情報提供システム11は、通信部110と、プラン情報提供部111と、データ記憶部119とを備える。プラン情報提供部111は、ルート導出部112、プラン導出部113、評価部114、プラン情報生成部115、出力部116、および一時記憶部117を含む。
通信部110は、外部の通信装置との通信を行う。
通信部110は、通信装置を備える充電スタンド31との通信により、当該充電スタンド31の情報を、取得する。充電スタンドの情報は、例えば、その充電スタンドの位置、その充電スタンドにおける充電に関する料金の決め方(以下、「料金体系」)、および充電の速さ等を含む。充電スタンドの情報は、混雑の具合や、充放電のスケジュール等の情報を含んでもよい。通信部110は、随時、充電スタンドの情報を充電スタンド31との通信により取得し、充電スタンドの情報をデータ記憶部119に記憶させてもよい。各充電スタンドの情報は、「施設情報」としてデータ記憶部119に記憶される。
通信部110は、EV21の通信部210との通信により、EV21にプラン情報(後述)を提供する。また、通信部110は、プラン情報提供部111がプラン情報を生成するための情報を、EV21から取得する。
プラン情報は、走行プラン(決定した走行プラン、および決定していない走行プランの候補を含む)に関する情報である。
走行プランとは、EV21の出発地から目的地までの走行のプランである。走行プランは、出発地から目的地まで移動するためにEV21が通る経路と、出発地から目的地まで移動する間にEV21が立ち寄る充電スタンドとを示す情報である、走行ルートを含む。走行プランは、さらに、EV21が立ち寄る充電スタンドにおける充電量を含み得る。走行プランは、さらに、EV21が立ち寄る充電スタンドにおける充放電時間(後述)を含んでもよい。
プラン情報は、走行プランそのものを含む。プラン情報は、走行プランの他、走行プランに対する評価を含んでもよい。走行プランに対する評価は、後述する評価部114により生成される。
ルート導出部112は、EV21の走行ルートを導出する。ルート導出部112は、EV21から取得された、プラン情報を生成するための情報に基づいて、EV21の走行ルートを導出する。プラン情報を生成するための情報は、導出される走行ルートに対する条件が含まれる。すなわち、ルート導出部112は、条件を満たす、EV21の出発地から目的地までの走行ルートを、導出する。
ルート導出部112は、走行ルートを、EV21が実際に走行する走行ルートの候補として導出する。本開示では、EV21が走行する走行ルートの候補を、「ルート候補」とも称する。
プラン導出部113は、ルート導出部112により導出された走行ルートから、走行プランを導出する。具体的には、プラン導出部113は、走行ルートに対して、各経由地における充電量を設定することで、走行プランを導出する。導出される走行プランは、EV21の実際の走行プランとして採用される走行プランの候補である。本開示では、採用される走行プランの候補を、「プラン候補」とも称する。
評価部114は、プラン導出部113により導出された走行プランの候補に対して評価を算出する。評価の算出方法については後述する。
プラン情報生成部115は、プラン導出部113により導出された走行プランの候補および評価部114により算出された評価に基づき、プラン情報を生成する。
出力部116は、プラン情報生成部115が生成したプラン情報を、出力する。出力部116は、例えば、プラン情報を通信部110に出力する。
一時記憶部117は、プラン情報提供部111が扱うデータおよびプラン情報提供部111により算出されたデータを記憶する。プラン情報提供部111内の各部は、一時記憶部117からデータを読み出し、および一時記憶部117にデータを書き込むことが可能である。
データ記憶部119は、走行プランに関する様々な情報を記憶する。データ記憶部119が記憶するデータは、例えば、施設情報、および、道路交通情報を含む。
道路交通情報は、道路の情報、例えば、道路の形状(接続関係、長さ、道幅、および、傾斜の角度等を含む)、信号の配置、および交通のルール(時速の制限、通行可能な車両の制限、有料道路であるか、および、一方通行であるか、等)等の情報である。道路交通情報は、渋滞の長さおよび検問の有無等、道路を走る車両のリアルタイムの情報を含んでもよい。
施設情報は、充電スタンドの情報である。
[EV21]
図3は、第1の実施形態に係るEV21の構成を示すブロック図である。
EV21は電気自動車である。EV21の一般的な走行に必要な構成(電池、モーター等)については、当然に備わる構成として、記載を省略する。EV21は、本実施形態に特に関わる構成として、通信部210、表示部211、入力受付部212、位置取得部213、蓄電量検出部214、およびデータ記憶部219を備える。
表示部211は、EV21に乗っている人(以下、「ユーザ」)に対して各種の情報を提供するインタフェースである。表示部211は、例えば、現在地およびその周辺地域の道路交通情報、およびプラン情報等を表示する。表示部211は、プラン情報がまだ生成されていない場合、EV21のユーザに対してプラン情報の生成に関する条件の入力を促す表示を行う。
入力受付部212は、EV21のユーザからの入力を受け付ける。入力受付部212は、例えば、ボタン、またはタッチパネル等である。入力受付部212は、例えば、プラン情報の生成に関する条件の入力を受け付ける。
プラン情報の生成に関する条件は、例えば、導出される走行ルートに対する条件、導出される走行プランに対する条件、および、評価の算出方法に対する条件を含む。なお、走行ルートおよび走行プランを生成するために必要な条件を、特に「前提条件」と呼ぶ。前提条件は、少なくとも、出発地および目的地の指定を含む。
本実施形態において、表示部211と入力受付部212とは、まとめてユーザインタフェース218と呼ばれる。表示部211と入力受付部212とは、互いに接続された別々の機械でもよいし、タッチパネルのように、一体となっていてもよい。ユーザインタフェース218は、EV21に組み込まれていてもよいし、EV21とは別個の装置として、EV21の他の部と通信可能な状態で存在していてもよい。
通信部210は、プラン情報提供システム11の通信部110と通信を行う。通信部210は、通信部110に、プラン情報の生成に関する条件を送信する。通信部210は、通信部110から、道路交通情報およびプラン情報等を受信する。通信部210は、受信した情報を、例えば表示部211、およびデータ記憶部219に送出する。
位置取得部213は、EV21の現在の位置を取得する。位置取得部213は、例えば、GPS(Global Positioning System)を利用して、EV21の現在の位置を取得する。
蓄電量検出部214は、EV21の電池の蓄電量、すなわち残量を、検出する。
なお、本開示において、蓄電量は、「kWh」または「%」を単位とする数値で表される。「kWh」は、電池が提供できる電力量を直接的に表す時に用いられる単位である。「%」は、電池の最大容量(すなわち、満充電時の蓄電量)に対する残容量の割合、いわゆる充電率を表す時に用いられる単位である。充電率は、「SOC(State Of Charge)」とも呼ばれる。「kWh」と「%」とは可換である。
データ記憶部219は、EV21に関する様々な情報を記憶する。データ記憶部219が記憶する情報の例は、EV情報、走行記録等である。
EV情報は、EV21の性能や電池に関する情報である。例えば、EV情報は、EVの車種、重量、電力消費率(すなわち、電力の単位消費量あたりの走行距離)、電池の最大蓄電量、および、現在の蓄電量(残量)の情報を含む。
走行記録は、EV21の過去の走行の記録である。例えば、走行記録は、EV21が充電された時刻、充電量の変遷、走行した時の走行時間、および走行距離である。
EV情報および走行記録は、プラン情報の生成に関する条件に用いられうる。例えば、EV21の電力消費率は、EV21の道中の電力の消費量や航続可能距離に関わるため、プラン情報の生成に関する条件の1つである。
なお、電力消費率は、EV21の重量や天候等に基づいて逐次計算されてもよい。
<動作>
第1の実施形態に係るEV21およびプラン情報提供システム11の動作の流れを、具体例を交えながら説明する。図4は、第1の実施形態に係るEV21およびプラン情報提供システム11の動作の流れを示すフローチャートである。
まず、例えば、EV21のユーザが、EV21による移動を開始するため、EV21の電源をONすると、ユーザインタフェース218の電源がONになる。すると、表示部211が、プラン情報の生成に関する条件の入力をユーザに促す表示を行う。例えば、表示部211は、ユーザが種々の条件の設定を行うための画面を表示する。そして、入力受付部212が、ユーザからの条件の入力を受け付ける(ステップS41)。ステップS41が行われるタイミングは、上記のタイミングに限られない。入力受付部212は、ユーザが入力受付部212に対して所定の入力を行った場合を契機として、ユーザからの条件の入力の受け付けを開始してもよい。
入力受付部212がユーザから受け付ける条件は、プラン情報の生成に関する条件のうち、ユーザの意思および希望等に関わる条件だけでよい。例えば、ユーザから受け付ける条件は、出発地および目的地である。
出発地は、初期値として現在地が設定されていてもよい。ユーザが現在地と異なる地点を出発地として設定する場合、ユーザは、例えば、出発地を特定するための情報(例えば、住所、その地にある施設の固有名称等)を入力する。あるいは、表示部211は地図を表示し、ユーザは、表示された地図から出発地を指定することにより、出発地を設定してもよい。目的地を設定する方法も上記と同様でよい。
入力受付部212は、受け付けた入力から、出発地および目的地を特定する。なお、現在地が出発地として設定された場合、位置取得部213が取得した、EV21の現在地が、出発地として特定される。
入力受付部212は、ユーザから、さらに、ユーザの希望を受け付けてもよい。例えば、入力受付部212は、到着時刻、走行時間、消費電力量、環境負荷、経由地、走行にかかる費用、および評価の算出方法等に関する希望を受け付けてもよい。ユーザから受け付けられ得るユーザの希望は、上記の他にも種々想定され得る。入力受付部212が受け付けたユーザの希望は、プラン情報の生成に関する条件として用いられる。
一例として、入力受付部212は、ユーザが望む、目的地における蓄電量を受け付けてもよい。仮に、ユーザが目的地における蓄電量を「30%」と設定した場合、走行プランの導出において、目的地における蓄電量が蓄電容量の30%以上となるような走行プランのみが導出される。
種々の条件の値は、ユーザが指定しない場合には、用意されている値へと設定されてもよい。例えば、条件の1つである、目的地における蓄電量を、ユーザが指定しない場合には、EV21は、「20%」という値を目的地における蓄電量として設定してもよい。
なお、プラン情報の生成に関する条件は、ユーザから受け付ける条件だけではない。例えば、EV21のEV情報も、プラン情報の生成に関する条件である。特に、EV21の電力消費率と、出発地における蓄電量は、プラン情報の生成に関する条件に含まれる。EV21の電力消費率は、データ記憶部219から取得される。出発地における蓄電量は、現在地が出発地である場合は、蓄電量検出部214またはデータ記憶部219から取得される。現在地以外の地点が出発地である場合は、出発地における蓄電量は、推定によって取得されてもよいし、ユーザからの入力を受け付けることによって取得されてもよい。
条件の入力が受け付けられ、プラン情報の生成に関する条件がそろったら、通信部210が、プラン情報提供システム11に条件を送信する(ステップS42)。条件を送信するタイミングは、例えば、ユーザが入力受付部212に対して特定の入力を行ったタイミング(例えば、タッチパネルにおいて「探索」と表示された領域をタッチしたタイミング)である。
プラン情報提供システム11の通信部110が、EV21の通信部210から送信された条件を受信する(ステップS43)。
すると、プラン情報提供部111のルート導出部112が、受信された条件に基づき、EV21の走行ルートの候補を導出する(ステップS44)。ルート導出部112は、条件を満たす、出発地から目的地までの走行ルートの候補を導出する。例えば、条件として、出発地、目的地、出発地における蓄電量、目的地における蓄電量の希望値、希望の到着時刻、希望の経由地が設定されている場合は、ルート導出部112は、EV21が、出発地から目的地まで、希望の経由地を経由する走行ルートであって、希望の到着時刻以前に到着し、かつ目的地における蓄電量が希望値以上である走行プランが導出可能な走行ルートを、1つ以上導出する。
ルート導出部112により走行ルートが導出されたら、プラン導出部113が、走行ルートから、各経由地における充電量の計画を含む走行プランを導出する(ステップS45)。
プラン導出部113により走行プランの候補が導出されたら、評価部114が、走行プランの評価を算出する(ステップS46)。評価の算出方法に対する条件が設定されている場合、評価部114は、その条件に従って評価を算出する。
評価部114による各候補の評価が算出されたら、プラン情報生成部115が、プラン情報を生成する(ステップS47)。プラン情報生成部115は、導出された候補と、算出された評価とに基づき、プラン情報を生成する。
なお、プラン情報提供部111は、ステップS44からステップS47の処理において、必要な情報を、適宜、データ記憶部119から取得すればよい。プラン情報提供部111は、必要な情報を、適宜、通信部110を介して充電スタンド31から取得してもよい。例えば、プラン情報提供部111は、ステップS43の処理の後に、導出された走行ルートに含まれる充電スタンドの情報(料金体系等)を、通信部110を介して、当該充電スタンド31から取得してもよい。
そして、通信部110は、生成したプラン情報を、そのプラン情報の生成に関する条件を送信してきたEV21に送信する(ステップS48)。
EV21の通信部210は、プラン情報を受信し(ステップS49)、受信したプラン情報を表示部211に受け渡す。
そして、表示部211は、プラン情報を表示する(ステップS50)。これにより、プラン情報がユーザに提示される。
以下、各ステップの処理の具体的な方法について、例を用いて説明する。
なお、以下では、「距離」と「移動にかかる消費電力量」とは等価であるとする。EV21の消費電力量と移動距離との関係が定義されていれば、距離と消費電力量とは互いに変換できるからである。プラン情報提供部111は、以下で説明される種々の計算において、「距離」または「消費電力量」のどちらを計算に用いてもよい。
ただし、道路の勾配や種類(舗装道路、砂利道、雨の影響があるかないか等)等を考慮する場合、必ずしも実際の距離と消費電力量との関係は一定ではない。したがって、プラン情報提供部111は、各道路の距離または消費電力量を、道路の起伏や種類に応じて補正してもよい。
<ステップS44:走行ルートの候補の導出>
ステップS44の走行ルートの候補の導出の方法について、以下説明する。
例として、プラン情報の生成に関する条件のうち、走行ルートに対する条件は、図5に示される条件であるとする。この例の場合、ルート導出部112は、出発地が地点S、目的地が地点Gである走行ルートであって、地点Sにおける蓄電量が20kWh、かつ地点Gにおいて蓄電量が4kWh以上である走行プランが生成可能な走行ルートを、導出する。
図6は、ステップS44の走行ルートの候補の導出方法の具体的な処理の流れの例を示すフローチャートである。
まず、ステップS44-1において、ルート導出部112は、出発地から目的地までの標準的な走行ルート(以下、「標準ルート」)を1つ以上導出する。ルート導出部112は、例えば、最短ルートを導出する。最短ルートは、道路交通情報から導き出される、現在地と目的地とをつなぐ最も短い経路である。最短ルートが、走行ルートに対する条件を満たす必要はない。最短ルートを導出する方法は、既に知られている、自動車の走行ルートを導出する方法でよい。なお、上述したように、最短ルートは、消費電力量が最小である走行ルートでもよい。ルート導出部112は、標準ルートとして、移動時間が最も短い走行ルートを導出してもよい。
ステップS44-2において、ルート導出部112は、標準ルートの周辺の道路交通情報と施設情報とを取得する。標準ルートの周辺とは、例えば、標準ルートから所定距離以内の範囲である。あるいは、例えば、標準ルートの周辺とは、出発地から目的地までを標準ルートの所定値倍(例えば1.5倍)の走行距離で走行可能な走行ルートに含まれる道路である。この他、「周辺」の定義の方法は、様々に設計されてよい。
ステップS44-3において、ルート導出部112は、経由候補地を抽出する。経由候補地は、EV21が充放電を行う地点の候補である。なお、本説明において、経由とは、立ち寄ることであり、単に通過することを含まない。
ルート導出部112は、経由候補地を、標準ルートの周辺に含まれる充電スタンドの所在地から抽出する。ルート導出部112は、所定の範囲にある充電スタンドの所在地のすべてを経由候補地として抽出してもよいし、一部を抽出してもよい。特に、ルート導出部112は、互いに距離が近い(例えば、距離が所定の範囲内である)複数の充電スタンドがある場合、その複数の充電スタンドのうち1つの充電スタンドの所在地のみを経由候補地として抽出してもよい。経由候補地を取捨することで、ステップS45の走行ルートの導出にかかる計算の処理量を減らすことができる。
例として、ルート導出部112は、地点T,U,V,W,X,およびYを、経由候補地として抽出したとする。なお、以下、出発地と目的地と経由候補地とを、まとめて「スポット」と称す。
ステップS44-4において、ルート導出部112は、スポット間を移動するための経路を導出する。ルート導出部112は、例えば、スポット間を最短距離で移動する経路を導出する。ルート導出部112は、スポット間を最も短い時間で移動できる経路を導出してもよい。ルート導出部112は、二地点間の経路を導出する任意の方法で、スポット間を移動するための経路を導出してよい。
図7は、スポットと、スポット間の経路との関係の例を表す模式図である。図7において、点はスポットを表し、点どうしをつなぐ線分は、スポット間を移動するための経路を模式的に表す。図7において、経路の近傍に添えられた数値は、その経路でスポット間を移動する場合にEV21が消費する電力量を示す。簡単のため、図7の例示では、消費電力量は、進行方向を問わず一定であるとする。EV21は、線でつながれていないスポット間を、他のいずれかの地点を経由または通過しなければ移動できないとする。
ステップS44-5において、ルート導出部112は、ステップS44-4の処理により導出されたスポット間の経路を用いて、次の条件を満たすような走行ルートを導出する。
・地点Sから地点Gまでを移動する走行ルートであること
・EV21は、スポット間を、ステップS44-4の処理により導出された経路を通って移動すること
・いずれのスポットも、2度以上経由されないこと
・道中の蓄電量が、決められた値(例えば蓄電容量の10%)を下回らないこと
・その他、設定された条件を満たすこと
ただし、ルート導出部112は、上記条件を満たす全ての走行ルートを導出する必要はない。
例えば、ルート導出部112は、地点Wを経由する走行ルートを導出しなくてもよい。地点Wを経由する走行ルートは、地点Tを通過するルートであり、地点Sから地点Tへ直接移動する走行ルートに比べて消費電力量が多い。このような場合、地点Wを経由する走行ルートは、地点Tを通過するときに、地点Sから地点Tへ直接移動する走行ルートと比較して何らかの有利な点(蓄電量が多い、または時間が早い等)が無い限り、非効率なルートである。
また、ルート導出部112は、地点Xを経由する走行ルートを導出しなくてもよい。特に、もしも地点Xの充電スタンドが、地点Uの充電スタンドよりも優れた点がない場合、地点Xを経由する走行ルートは、地点Uを経由する走行ルートに必ず劣る。なぜならば、地点Xを経由する走行ルートは必ず地点Uを含むため、地点Xにおいて行われる充放電は地点Uで行われればよいからである。
以上のように、ルート導出部112は、他の走行ルートと比較して有利な点が無い走行ルートを導出しなくてもよい。また、ルート導出部112は、明らかに経由する意味がない経由候補地がある場合、走行ルートを導出する処理の対象からその経由候補地を除外してもよい。
図7の例では、地点Wを経由する走行ルートが、地点Wを経由しない走行ルートに比べて利点を有していないことがわかっている場合(例えば、地点Sにおける蓄電量が100%であり、地点Sと地点Tとを直接つなぐ経路で渋滞が起こっていない場合等)、ルート導出部112は、走行ルートを導出する処理の対象から地点Wを除外してもよい。地点Xの充電スタンドが、地点Uの充電スタンドよりも優れた点がない場合、ルート導出部112は、走行ルートを導出する処理の対象から地点Xを除外してもよい。
ルート導出部112は、導出された走行ルートを、EV21により実際に使用される走行ルートの候補、すなわちルート候補として、決定する。
ルート導出部112は、条件を満たす走行ルートの数が膨大である場合(例えば、数が所定値を超える場合)、ルート導出部112は、導出される走行ルートの数を減らす削減処理を行ってもよい。削減処理は、例えば、走行ルートの導出時に追加的な条件を課すことで、導出される走行ルートの数を抑える処理である。例えば、ルート導出部112は、走行距離(消費電力量)が最も短い走行ルートから所定数、走行ルートを導出してもよい。あるいは、削減処理は、例えば、複数の走行ルートを導出してから、追加的な条件を満たさない走行ルートをルート候補から除外する処理である。例えば、ルート導出部112は、「消費電力量が、消費電力量が最小であるルート候補の消費電力量の1.3倍以内であること」を追加的な条件として、ルート候補を絞ってもよい。ちなみに、このような追加的な条件を加えることにより、上述の例において、地点Yを経由するルート候補は除外される。
以上のような処理により、ルート導出部112は、例えば、以下の5つのルート候補を導出する。
ルート候補RC1:S→T→G
ルート候補RC2:S→T→U→G
ルート候補RC3:S→T→V→G
ルート候補RC4:S→U→G
ルート候補RC5:S→V→G
上記のルート候補の情報は、その内容を理解しやすいよう、走行ルートを簡略に表現した記載となっている。上記ルート候補の記載において、“S”は出発地を、“G”は目的地を、“T”、“U”および“V”はEV21が経由する地点(すなわち、経由地)を、それぞれ表す。上記の記載では、スポット間の移動が矢印“→”で表されている。例えば、「T→G」は、地点Tから地点Gへの、ステップS44-4の処理により導出された経路に沿った移動を表す。この移動においてEV21は他のスポットを経由しない。ルート候補RC4およびルート候補RC5は、地点Tを通過するが、地点Tでは充電しない走行ルートである。なお、ルート導出部112が導出する走行ルートの情報は、上記の記載で表される情報のみに限らず、例えば、スポット間を移動するために通る経路の情報も含んでよい。
ルート導出部112は、導出したルート候補の情報を、例えば、一時記憶部117に記憶させる。
図8は、ルート導出部112により導出されたルート候補に含まれるスポットの位置と経路とを例示する模式図である。図8に示されるように、導出されたルート候補に含まれるスポットは、出発地S、目的地G、および経由地T,U,Vである。ルート導出部112は、図8のように、導出されたルート候補に含まれる経路の概念図を生成し、その画像を一時記憶部117に記憶させてもよい。
なお、以下では、上記5つのルート候補は、各スポット間を最短距離で移動する走行ルートであるとする。例えば、ルート候補RC5は、地点Sから地点Vへ最短距離で移動し、地点Vを経由したのち地点Gへ最短距離で移動する走行ルートである。
ルート導出部112は、ルート候補に含まれる各スポット間の移動により消費する電力量を示すデータを生成してもよい。図9は、ルート候補RC1~RC5に含まれる各スポット間の移動により消費する電力量を示すデータの一例を示す図である。「移動元」から「移動先」への移動に必要な電力量が、各セルに記載されている。単位は「kWh」である。ルート導出部112は、生成したデータを、一時記憶部117に記憶させてもよい。
なお、図9に示されるデータでは、どの二地点間も、ある方向の移動による消費電力量と、その方向の逆の方向の移動による消費電力量とは等しいが、坂の勾配等によっては、進行方向の違いにより消費電力量が異なることもあり得る。
<ステップS45:走行プランの候補の導出>
ステップS45の走行プランの導出の方法について、以下説明する。
プラン導出部113は、ルート導出部112により導出された走行ルートに含まれる経由地における充電量を決定する。
本開示における充電量とは、充電スタンドへの到着時の蓄電量と、充電スタンドから出る時の蓄電量との差である。
充電スタンドへの到着時の蓄電量は、当該充電スタンドの到着前に行った充電の際の蓄電量と、当該充電スタンドの到着前に行った充電のときから当該充電スタンドへの到着までの間に消費される電力量とから求められる。
充電スタンドから出る時の蓄電量は、適当な設定方法により設定される。例えば、充電スタンドから出る時の蓄電量(以下、「目標蓄電量」)は、例えば、一律に決められた値でもよい。例えば、EV21の電池の容量の100%または80%等が、目標蓄電量として設定されてもよい。あるいは、例えば、出発地における蓄電量が目標蓄電量として設定されてもよい。
充電量は他の決定方法により設定されてもよい。充電量の決定方法の他の例は後述の「[補足]充電量の決定」の項目にて説明する。
以下の説明では、例として、プラン導出部113は、各経由地における目標蓄電量として20kWhという値を設定する。つまり、プラン導出部113は、EV21が各経由地において、蓄電量が20kWhになるまで充電する走行プランを導出する。プラン導出部113が上述のルート候補RC1~RC5に対して走行プランを導出すると、次の走行プランの候補が導出される。
プラン候補PC1:S→T→G (地点Tにおける充電量:6kWh)
プラン候補PC2:S→T→U→G (地点Tにおける充電量:6kWh、地点Uにおける充電量:4kWh)
プラン候補PC3:S→T→V→G (地点Tにおける充電量:6kWh、地点Vにおける充電量:10kWh)
プラン候補PC4:S→U→G (地点Uにおける充電量:10kWh)
プラン候補PC5:S→V→G (地点Vにおける充電量:16kWh)
プラン導出部113は、さらに、各経由地における充電時間を決定してもよい。例えば、プラン導出部113は、各経由地における充電量に基づき、各経由地における充電時間を設定してもよい。充電時間は、充電量を充電スタンドの出力電力で除することにより求められる。例として、各地点の充電スタンドの出力電力を50kWとする。すると、プラン候補PC1では、EV21は地点Tにおいて6kWh充電するから、地点Tにおける充電時間は6/50=0.12[時間]=7.2[分]である。
プラン導出部113は、充電時間を、各経由地のルールに基づいて補正してもよい。例えば地点Tにおける充電時間は分刻みであることがルールとして定められている場合、プラン候補PC1において地点Tにおける充電時間は8分となる。ルールが無い場合であっても、プラン導出部113は、充電時間を分単位に切り上げる補正を行ってもよい。
上記5つのプラン候補の各経由地における充電時間は、例えば次の通りである。
プラン候補PC1:S→T→G (地点Tにおける充電時間:8分)
プラン候補PC2:S→T→U→G (地点Tにおける充電時間:8分、地点Uにおける充電時間:5分)
プラン候補PC3:S→T→V→G (地点Tにおける充電時間:8分、地点Vにおける充電時間:12分)
プラン候補PC4:S→U→G (地点Uにおける充電時間:12分)
プラン候補PC5:S→V→G (地点Vにおける充電時間:20分)
なお、プラン導出部113は、充電時間を補正した場合は、充電量も補正してよい。
プラン導出部113は、先に充電時間を設定し、充電時間に基づいて充電量を設定してもよい。
プラン導出部113は、導出したプラン候補の情報を、例えば、一時記憶部117に記憶させてもよい。
<ステップS46:評価の算出>
ステップS46の、評価の算出の方法について、以下説明する。
評価部114は、複数の基準のそれぞれに基づき、複数の評価を算出してもよい。以下、評価の基準ごとに評価の算出の具体的な方法を説明する。
[環境負荷に基づく評価]
評価の基準の一つの例は、環境への影響、すなわち環境負荷の、大きさである。
通常、EVは、走行中に環境に対して有害な物質を排出しないが、動力である電力は、一般に、環境に影響を与える方法で生成される。したがって、この評価では、EV21が電力を使用するときに環境に負荷を与えると見なして、EV21の仮想的な負荷量を考える。以下、EV21が電力を使用することによる環境への仮想的な負荷の程度を「仮想負荷率」と定義する。
「仮想負荷率」は、例えば、単位消費電力量あたりの、環境への仮想的な負荷の量である。仮想負荷率は、EV21の電力の供給源が環境に与える影響に応じて算出される。すなわち、仮想負荷率は、EV21の電力の由来に応じて決定される。
仮想負荷率の算出には、EV21の電力の供給源の環境負荷率が用いられる。電力の供給源の環境負荷率は、その供給源により提供される電力量1kWhあたりの生成に際して発生する環境への負荷の量である。
環境への負荷の量は、例えば、二酸化炭素の排出量である。以下、環境への負荷の量として二酸化炭素の排出量を採用するが、環境への負荷の量の定義は必ずしもこれに限定されない。
環境負荷率の算出方法の例を挙げる。例えば、ある充電スタンドの電力が火力発電により生成される場合、その充電スタンドの環境負荷率は、火力発電による1kWhの発電のために排出される二酸化炭素の排出量である。なお、この説明では送電ロス等の損失や、給電設備の運営による環境負荷は無視しているが、環境負荷率はそのような損失や環境負荷を含めて算出されてもよい。
発電方法自体が二酸化炭素を排出しない方法であっても、その発電設備の設置や運用にかかる環境負荷量が、環境負荷率に算入されてもよい。発電設備の発電量、耐用年数等を基に、環境負荷率は算出され得る。
充電スタンドの電力が、複数の種類の電力源に由来する場合、その充電スタンドの環境負荷率は、各電力源の環境負荷量を充電スタンドの電力に対する当該電力源の寄与の割合で重みづけして足し合わせた値でもよい。例えば、ある充電スタンドの電力の25%が風力発電(環境負荷率:26g/kWh)に由来し、75%が太陽光発電(環境負荷率:38g/kWh)に由来する場合、その充電スタンドの環境負荷率は、26×0.25+38×0.75=35[g/kWh]と算出されてもよい。
EV21の仮想負荷率は、上述の通り、充電スタンドごとに定められる環境負荷率に基づいて、算出される。したがって、EV21の仮想負荷率は、EV21が充電を行う度に、EV21が充電を行う充電スタンドの環境負荷率に応じて、変化しうる。
評価部114は、EV21の充電前の仮想負荷率および蓄電量、充電スタンドの環境負荷率、ならびに該充電スタンドにおける充電量に基づき、EV21の充電後の仮想負荷率を算出する。
なお、充電スタンドの環境負荷率は、データ記憶部119に記憶される施設情報に含まれる。EV21の仮想負荷率の初期値は、データ記憶部219に記憶されるEV情報に含まれる。評価部114は、評価のための上記の情報を、任意のタイミングで取得しておく。評価部114は、図10のように、評価の対象となるルート候補に含まれる経由地における充電スタンドの環境負荷率を示すデータを、テーブル形式で保持していてもよい。
評価部114による仮想負荷率の算出の例は、次の通りである。この説明では、仮想負荷率は、単位消費電力量あたりの二酸化炭素の仮想的な排出量(単位は[g/kWh])である。
仮想負荷率=(充電前の仮想負荷率×充電前の蓄電量+電力供給源(充電スタンド)の環境負荷率×充電量)/充電後の蓄電量
すなわち、仮想負荷率は、充電前の仮想負荷率および電力供給源の環境負荷率のそれぞれに、それぞれの指標に係る電力量が充電後の蓄電量に占める割合を掛けて、足し合わせることで算出される。
仮想負荷率の定義は、同様の尺度である限り様々に変更可能である。例えば、仮想負荷率は、単位走行距離あたりの環境負荷量でもよい。
本開示では、さらに、EV21の環境負荷に関する指標として、「仮想負荷量」を定義する。仮想負荷量は、仮想負荷率と消費電力量との積である。仮想負荷量は、すなわち、EV21が電力を消費することによって仮想的に環境に与えられる影響の大きさの尺度である。
本実施形態では、特に、出発地から目的地までの走行における仮想負荷量を、「総負荷量」と称す。
評価の算出方法の具体的な流れの例を、図11のフローチャートを参照しながら説明する。評価部114は、まず、電池の残量、経由地における電力供給源の環境負荷率、および充電量から、各区間におけるEV21の仮想負荷率を算出する(ステップS111)。また、評価部114は、各区間におけるEV21の仮想負荷率と消費電力量とに基づき、各区間における仮想負荷量を算出する(ステップS112)。そして、評価部114は、出発地から目的地までの総負荷量と、目的地におけるEV21の仮想負荷率とを算出する(ステップS113)。そして、評価部114は、出発地から目的地までの総負荷量、目的地におけるEV21の仮想負荷率の少なくともいずれかに基づいて、プラン候補の評価を算出する(ステップS114)。プラン候補が複数ある場合は、評価部114は、プラン候補のそれぞれの評価を算出する。
なお、評価部114は、処理において扱われるデータおよび算出されたデータを、適宜、一時記憶部117に記憶させてもよい。
以下、評価部114が、プラン候補の導出方法の具体例で例示した5つのプラン候補のそれぞれについて、評価を算出する例を説明する。
図12は、5つのプラン候補のそれぞれの、環境負荷に関する指標の値を算出する方法を説明するための図である。評価部114は、例えば、図12に示されるような表を生成してもよい。そして、評価部114は、生成した表を一時記憶部117に記憶させてもよい。ただし、評価部114は表形式以外の形式のデータを生成してもよい。
図12に示される表に含まれる値を導出する方法を、プラン候補PC2に関するデータを例に説明する。なお、図12に関する以下の説明において、括弧[]で囲った言葉は、図12の表において該当する項目の項目名である。
なお、前提として、各経由地における充電スタンドの環境負荷率は、図10に示す通りであるとする。
出発地Sにおける、EV21の蓄電量と仮想負荷率とは、プラン情報の生成に関する条件から取得される。以下、EV21の出発地Sにおける蓄電量([残量])は“20”、仮想負荷率は、“60.0”([仮想負荷率])であるとする。
EV21が第1経由地である地点Tまで走行すると、地点Tまでに消費される電力量([消費電力量])は、図9の表に基づけば“6”である。したがって、出発地から第1経由地までの仮想的な負荷量([負荷量])は、仮想負荷率(60.0)×消費電力量(6)より、“360”である。地点Tの充電スタンドにおいて充電が行われることにより、充電後の蓄電量([残量])は“20”になる。この時、仮想負荷率([仮想負荷率])は、充電前の仮想負荷率(60.0)×充電前の電池の残量(14)と、電力供給源の環境負荷率(60.0)×充電量(6)との和を、充電後の蓄電量(20)で割った値であり、“60.0”である。
次に、EV21が第2経由地である地点Uまで走行すると、地点Tから地点Uまでの間に消費される電力量([消費電力量])は、図9の表に基づけば“4”である。したがって、第1経由地から第2経由地までの仮想的な負荷量([負荷量])は、仮想負荷率(60.0)×消費電力量(4)より、“240”である。地点Uの充電スタンドにおいて充電が行われることにより、充電後の蓄電量([残量])は“20”になる。この時、仮想負荷率([仮想負荷率])は、充電前の仮想負荷率(60.0)×充電前の電池の残量(16)と、電力供給源の環境負荷率(40.0)×充電量(4)の和を、充電後の蓄電量(20)で割った値であり、“56.0”である。
そして、EV21が目的地Gまで走行すると、地点Uから目的地Gまでの間に消費される電力量([消費電力量])は、図9の表に基づけば“14”である。したがって、第2経由地から目的地Gまでの仮想的な負荷量([負荷量])は、仮想負荷率(56.0)×消費電力量(14)より、“784”である。目的地Gにおいては充電されないとすれば、残量([残量])は“6”、仮想負荷率([仮想負荷率])は変化せず“56.0”である。
総負荷量([総負荷量])は、各区間の仮想負荷量の総和であるから、360+240+784=“1384”である。
以上のようにして、評価部114は、各プラン候補の、目的地におけるEV21の仮想負荷率、および総負荷量を算出する。
以下、評価部114がプラン候補の評価を算出する例を説明する。
評価は、例えば、数値によって表される。以下、評価を示す数値を“評価値”と称す。
評価部114は、総負荷量が小さいほど高評価を与える評価方法によって評価値を算出してもよい。例えば、評価部114は、総負荷量が小さい順にランクを表す番号(1,2,3,・・・)を付与してもよい。この場合、ランクを表す番号が小さいプラン候補ほど、高評価と解される。
評価部114は、仮想負荷率が小さいほど高評価を与える評価方法によって評価値を算出してもよい。例えば、評価部114は、複数のプラン候補の中の仮想負荷率の偏差値を算出してもよい。単純に偏差値を計算すると、仮想負荷率が大きいほど偏差値が高くなるため、評価部114は、算出された偏差値を所定の数値(100、または150等)から減じた値を、評価値として算出してもよい。この場合、評価値が高いプラン候補ほど高評価と解される。
評価部114は、仮想負荷率と総負荷量とがいずれも小さいほど高評価を与える評価方法によって評価値を算出してもよい。例えば、評価部114は、仮想負荷率と総負荷量との積を算出し、その積に対してランクを表す番号を付与してもよい。
評価において、評価部114は、残量の値も用いてもよい。仮に、仮想負荷率も総負荷量も同じ値である2つの異なるプラン候補があった場合、残量の違いが評価を左右すると考えられるからである。具体的には、残量が多いほど、移動可能な距離が長いという点で有利であるため、評価が高くてもよい。あるいは、今後充電される電力の供給源の環境負荷率が、目的地における仮想負荷率よりも小さいと予想される場合、残量が少ないほど評価が高くてもよい。なぜならば、充電によって所定の蓄電量になった時の仮想負荷率は、充電前の残量が少ないEVの方が小さくなるからである。逆に、今後充電される電力の負荷が、現在の仮想負荷率よりも大きいと予想される場合、残量が多いほど高評価であるとよい。
このように、評価部114は、電池の残量、仮想負荷率、および総負荷量に基づいて、評価を算出してもよい。特に、評価部114は、次のような条件を満たすような評価方法を用いて評価を算出するとよい。
1.残量も仮想負荷率も同じである複数のプラン候補がある場合は、総負荷量が少ないプラン候補ほど高評価となる。
2.残量も総負荷量も同じである複数のプラン候補がある場合は、仮想負荷率が小さいプラン候補ほど高評価となる。
3.仮想負荷率と総負荷量とが同じである複数のプラン候補がある場合は、残量の違いによって評価が異なり得る。
上記の条件を満たす評価方法を1つ例示する。この評価方法は、「仮想総合負荷率」という値を算出する方法である。
評価部114は、次の式によって、仮想総合負荷率を算出する。
仮想総合負荷率=(総負荷量+予定負荷量)/(最小消費電力量+残量)
ただし、予定負荷量は、予定負荷量=残量×仮想負荷率で求められる。最小消費電力量は、現在地と目的地との間を最短距離で移動した場合の消費電力量である。
上記式で算出される仮想総合負荷率は、仮に電池の残量を使い切るまで走ったとした場合の、移動距離に対する負荷量、すなわち、行程全体(出発地から、電池の残量を使い切る地点まで)における負荷率である。ただし、出発地Sから目的地Gまでの移動距離については最短距離の値を用いる。その理由は、出発地Sから目的地Gまでの走行距離の違い自体は、直接は利益の違いを生じないからである。すなわち、出発地から目的地までの移動は、道中の経路や走行距離に関わらず、ユーザに一定(固定)の利益を与えるということを前提としている。上記式における最小消費電力量は、他の固定値、例えば、ルート候補のうち消費電力量が最も少ないルート候補の消費電力量に、置き換えられてもよい。
上記式によれば、仮想負荷率と電池の残量に違いが無いプラン候補であれば、目的地までの総負荷量が大きいほど、必ず仮想総合負荷率の値は大きく算出される。
図13は、プラン候補PC1~PC5に対する、総負荷量、残量、仮想負荷率、予定負荷量、および仮想総合負荷率のデータを示す図である。評価部114は、図13に示されるようなデータセットを生成し、そのデータセットを一時記憶部117に記憶させてもよい。なお、仮想総合負荷率の計算において、最小消費電力量の値は、“22”であるとする。
プラン候補PC1は、仮想負荷率が“60.0”のまま変化せず、最短距離で目的地まで移動する走行ルートであるので、仮想総合負荷率の値は仮想負荷率と同じ“60.0”である。ちなみに、仮に、目的地までに寄り道をする走行ルート(総走行量がプラン候補PC1よりも大きいだけの走行ルート)を考えるとする。そのような走行ルートの仮想総合負荷率は、分子の値はプラン候補PC1と同じであるが、残量がプラン候補PC1の残量よりも小さいため、プラン候補PC1の仮想総合負荷率よりも大きく算出される。
プラン候補PC1の仮想総合負荷率の値“60.0”は、EV21がプラン候補PC1を採用した場合に、目的地までの22kWh相当の移動と、その後の4kWh相当の移動を、仮想負荷率60.0g/kWhで走行することができることを意味する。
一方、プラン候補PC3の仮想総合負荷率の値“58.1”は、EV21がプラン候補PC3を採用した場合に、目的地までの22kWh相当の移動と、その後の6kWh相当の移動を、仮想負荷率58.1[g/kWh]で走行することができることを意味する。すなわち、EV21は、プラン候補PC1を採用するよりも、プラン候補PC3を採用する方が、充電を使い切るまでの行程全体における仮想負荷率をより抑えることができる。このように、仮想総合負荷率は、EV21がそれぞれのプラン候補を採用した場合の“効率の良さ”を示している。
“効率の良さ”とは、利益に対する損失の少なさ、又は、損失に対する利益の大きさ、である。“効率的である”とは、利益に対して損失が少ない、又は、損失に対して利益が大きい、という意味であると解されてもよい。特に、環境負荷を観点とする走行プランの評価においては、“効率の良さ”は、走行によってドライバーに与えられる利益に対する環境負荷量の少なさである(利益の大きさが同じであれば、環境負荷量が少ない方が効率的である。環境負荷量が等しければ、利益が大きい方が効率的である)。なお、この説明において、ドライバーに与えられる利益とは、目的地に着くこと、目的地に近づくこと、および、移動すること、である。
上述の“効率的”の定義に基づけば、仮想総合負荷率の値は、EV21が使用可能な電力を使い切るまでの間でどれだけ効率的に走れるか、を示す指標である、と言える。仮想総合負荷率の値が小さい走行プランほど、効率的な走行プランである。
仮想総合負荷率の値が最も小さい、すなわち最も効率的な、プラン候補は、プラン候補PC5である。仮想負荷率の値が候補中最も小さく、総負荷量も大きすぎないことが、仮想総合負荷率の値の小ささに寄与している。
プラン候補PC2は、仮想負荷率の値がプラン候補PC1よりも小さいが、目的地までに走行する距離が長い点で非効率的であり、仮想総合負荷率の値はプラン候補PC1よりも大きい。
プラン候補PC4は、プラン候補PC2と同じ道を通る走行プランであるが、総負荷量および仮想負荷率が小さい点で効率的であり、仮想総合負荷率の値はプラン候補PC2よりも小さい。
なお、仮想負荷率の値が候補中最も小さいプラン候補が、仮想総合負荷率の値が候補中最も小さいプラン候補と一致するとは限らない。例えば、仮にプラン候補PC5の走行ルートにおいて、地点Vから目的地Gまでの経路の消費電力量が14kWhであったとすると、仮想負荷率は変化しないが、仮想総合負荷率の値は60.0g/kWhとなる。このことは、そのような走行ルートは、仮想負荷率を下げようとするあまり、走行距離が長すぎる走行ルートである、ということを意味する。この場合、仮想総合負荷率の値が最も小さいプラン候補はプラン候補PC4となる。
評価部114は、仮想総合負荷率の値が小さいほど高評価を与える評価方法によって、各プラン候補の評価値を算出する。例えば、評価部114は、仮想総合負荷率の値が小さい順に、ランクを表す番号を、評価値として付与してもよい。評価部114は、仮想総合負荷率の値そのものを評価値としてもよい。これらの場合、評価値が小さいほど、高評価であると解される。
評価部114は、仮想総合負荷率の値の偏差値を所定の数値(100、または150等)から減じた値を算出してもよい。その他、評価部114は、仮想総合負荷率の値が小さいほど高い点数が算出される方法により点数を算出し、算出された点数を各プラン候補に付与してもよい。そのような場合、評価値が大きいほど、高評価であると解される。
(仮想総合負荷率に関する留意点)
目的地における蓄電量がプラン候補間でばらばらである場合、仮想総合負荷率が最も低いプラン候補が、絶対に効率的な走行ルートであるとは、限らない。各プラン候補の効率の優劣は、目的地への到着後、次に立ち寄る充電スタンドの環境負荷率によっても変動し得るからである。
例えば、目的地に充電スタンドがあり、EV21は目的地に到着後、蓄電量が20kWhになるまで充電するとする。目的地の充電スタンドの環境負荷率が、目的地におけるEV21の仮想負荷率よりも小さいと、目的地到着時における残量が少ないほど、充電後のEV21の仮想負荷率は小さくなり、仮想総合負荷率が大きく改善する。実際、目的地の充電スタンドの環境負荷率が15g/kWhであるとした場合、充電後のEV21の仮想総合負荷率は、プラン候補PC1においては44.0g/kWhとなり、プラン候補PC5においては44.3g/kWhとなる。この場合、プラン候補PC1の方が結果的に効率的な走行ルートである。すなわち、効率的な走行ルートの序列は、次の充電によって変化し得る。
なお、目的地における蓄電量が一致する候補間では、次の充電によっても効率的な走行ルートの序列は変化しない。
したがって、評価部114は、目的地または目的地付近に充電スタンドがある場合、その充電スタンドにおいて充電が行われると仮定して各候補の仮想総合負荷率を算出してもよい。
また、評価部114は、仮想総合負荷効率の序列が変動する条件を特定してもよい。例えば、評価部114は、EV21が目的地において環境負荷率がいくらの充電スタンドで充電した場合に仮想総合負荷効率の序列が変動するかを特定してもよい。そして、プラン情報生成部115は、その特定された条件をプラン情報に含めてもよい。特定された条件がプラン情報に含められることで、ユーザが、より適切に効率的な走行プランを選択することができる。
[費用に基づく評価]
評価の基準の一つの例は、走行にかかる費用である。
費用の計算には、例えば、有料道路の利用にかかる費用、および、経由地における充電にかかる費用が用いられる。
例として、評価部114は、上述のプラン導出部113による走行プランの導出方法の説明において挙げられた5つのプラン候補に対して、評価を算出するとする。すなわち、例として評価されるプラン候補は、次の5つである。
プラン候補PC1:S→T→G (地点Tにおける充電時間:8分)
プラン候補PC2:S→T→U→G (地点Tにおける充電時間:8分、地点Uにおける充電時間:5分)
プラン候補PC3:S→T→V→G (地点Tにおける充電時間:8分、地点Vにおける充電時間:12分)
プラン候補PC4:S→U→G (地点Uにおける充電時間:12分)
プラン候補PC5:S→V→G (地点Vにおける充電時間:20分)
ただし、いずれのプラン候補も有料道路を含まない走行ルートであるとする。
評価部114は、プラン候補のそれぞれについて、評価を算出する。
評価部114は、まず、プラン候補のそれぞれについて、そのプラン候補が実行された場合に、出発地から目的地までの移動にかかる費用を算出する。評価部114は、例えば、EV21が通行する有料道路の利用料と、各経由地における費用との合計を、出発地から目的地までの移動にかかる費用として算出する。以下、出発地から目的地までの移動にかかる費用を、“総費用”と称する。
経由地のそれぞれにおける充電にかかる費用は、充電時間(又は充電量)と、経由地の充電スタンドの料金体系とに基づいて算出される。
図14は、各経由地の充電スタンドの料金体系のデータの例を示す図である。料金体系は、データ記憶部119において施設情報の一部として記憶されている。料金体系は、充電スタンドによって異なっていてもよい。図14の例では、地点Tの充電スタンドでは、経由するだけで500円がかかり、1時間ごとに駐車料金として200円がかかる。地点Uの充電スタンドでは、充電を1分するごとに15円がかかる。地点Vの充電スタンドでは、充電を5分するごとに70円がかかる。
図14の例によれば、プラン候補PC1が採用された場合にかかる費用は、700円である。プラン候補PC2が採用された場合にかかる費用は、775円である。プラン候補PC3が採用された場合にかかる費用は、910円である。プラン候補PC4が採用された場合にかかる費用は、180円である。プラン候補PC5が採用された場合にかかる費用は、280円である。
評価部114が、経由地における充電にかかる費用を算出してもよいし、評価部以外の構成により算出された費用を、評価部114が受け取ってもよい。
評価部114は、例えば、EV21が通行する有料道路の利用料と、各経由地における費用とに基づき、総費用を算出する。
総費用が算出されたら、評価部114は、総費用に基づいてプラン候補の評価値を算出する。
評価部114は、総費用が小さいほど高評価を与える評価方法によって評価値を算出してもよい。例えば、評価部114は、総費用が小さい順にランクを表す番号(1,2,3,・・・)を付与してもよい。この場合、ランクを表す番号が小さいプラン候補ほど、高評価と解される。
評価部114は、総費用自体を評価値としてもよい。
ところで、上記5つのプラン候補において、目的地における電池の残量は異なる。したがって、総費用を単純に比較するだけでは、真に効率の良い走行ルートを特定できないという見方もある。すなわち、目的地における蓄電量の大きさも、ユーザに与えられる利益として考慮されてもよい。したがって、評価部114は、評価を、目的地における残量にも基づいて算出してもよい。
例えば、評価部114は、残量に基づいて総費用を補正した補正費用を算出してもよい。補正費用は、例えば、目的地における残量の、出発地における残量からの差分を「電力損失」とし、電力損失に応じたコストである「電力損失コスト」を計算することにより求められる。電力損失コストの計算方法は、予め定義されていればよい。
例えば、電力損失コストは、電力損失1kWhあたり18円で計算されると定義されているとする。プラン候補PC1における電力損失は、20kWh-4kWh=16kWhであるから、電力損失コストは、16×18=288円である。
補正費用は、例えば、実際にかかる総費用と、電力損失コストとの和である。プラン候補PC1における補正費用は、700+288=988円である。プラン候補PC2~PC5の補正費用は、それぞれ、1027円、1090円、432円、そして、460円である。
評価部114は、補正費用が小さいほど高評価を与える評価方法によって評価値を算出してもよい。
別の評価方法として、評価部114は、「充電コスト」を算出してもよい。充電コストは、次の計算により算出される。
充電コスト=実際にかかる総費用/(最小消費電力量-(出発地における蓄電量-目的地における蓄電量))
充電コストは、すなわち、充電量に対し、どれだけ費用がかかったかを表す指標である。ただし、充電量(分母に相当する)は、実際の充電量ではなく、出発地から目的地まで最短距離で移動した場合の目的地における蓄電量よりも、目的地における実際の蓄電量がどれだけ多いかを示す量、である。分母の数値は、実際の充電量の総和-(総消費電力量-最小消費電力量)と同値である。つまり、上記計算においては、最短距離で移動するよりも多く走った分に相当する充電量は、ユーザに与えられる利益として考慮されない。
例えば、プラン候補PC1の場合、充電コストは、700/(22-(20-4))=117[円/kWh]である。
同様に、プラン候補PC2~PC5の充電コストは、それぞれ、97円/kWh、76円/kWh、23円/kWh、そして、23円/kWhである。
評価部114は、充電コストが小さいほど高評価を与える評価方法によって評価値を算出してもよい。例えば、評価部114は、充電コストの偏差値を所定の数値(100、または150等)から減じた値を評価値として算出してもよい。この場合、評価値が高いほど評価が高いと解される。
[時間に基づく評価]
評価の基準の一つの例は、走行および充電にかかる時間である。
時間に基づく評価には、スポット間の移動にかかる時間、各経由地における滞在時間が用いられる。
スポット間の移動にかかる時間は、例えば、スポット間の距離、および道路交通情報等に基づいて特定される。例えば、スポット間の距離が6km(消費電力1kWhに相当)であり、その間のEV21の平均時速を40km/hと仮定すると、そのスポット間の移動にかかる時間は、6/40=0.15[時間]=9[分]と算出される。
滞在時間は、例えば、EV21が充電スタンドにおいて充電のみを行う場合は、充電時間である。滞在時間は、EV21が施設に入り充電を開始するまでの時間、および、EV21が充電後に施設を出るための時間等の、充電時間以外の時間も含むよう補正されてもよい。
各スポット間の移動にかかる時間と、各経由地における滞在時間との総和が、全体としてかかる時間、すなわち総時間である。
図15は、プラン候補PC1~PC5に対して、スポット間の移動時間、各経由地における滞在時間、および総時間をそれぞれ関連づけたデータセットの例である。評価部114は、図15に示されるようなデータセットを生成し、そのデータセットを一時記憶部117に記憶させてもよい。
図15によれば、例えば、プラン候補PC4は、地点Sから地点Uへの移動に90分かかり、地点Uにおける滞在時間が15分であり、地点Uから地点Gへの移動に126分かかる。したがって、総時間は、上記時間の合計である231分である。
スポット間の移動にかかる時間、滞在時間および総時間は、評価部114により算出されてもよいし、プラン導出部113により算出されてもよい。
総時間が算出されたら、評価部114は、総時間に基づいてプラン候補の評価値を算出する。
評価部114は、総時間が小さいほど高評価を与える評価方法によって評価値を算出してもよい。例えば、評価部114は、総時間が小さい順にランクを表す番号(1,2,3,・・・)を付与してもよい。この場合、ランクを表す番号が小さいプラン候補ほど、高評価と解される。
評価部114は、総時間それ自体を評価値としてもよい。
評価部114は、総時間の偏差値を所定の数値(100、または150等)から減じた値を評価値として算出してもよい。この場合、評価値が高いほど評価が高いと解される。
<プラン情報>
プラン情報の例を説明する。
プラン情報生成部115は、プラン情報として、例えば、プラン導出部113により導出されたプラン候補のそれぞれに、走行プラン、評価部114により算出された評価値、総時間、総負荷量、仮想総合負荷率、総費用、ならびに、目的地における蓄電量および仮想負荷率等が関連付けられたデータを生成する。
図16は、プラン情報を受け取った表示部211に表示されるプラン情報の一例である。
表示部211は、例えば、図16のように、プラン導出部113により導出されたプラン候補のそれぞれの識別子と、プラン候補のそれぞれに対する評価を表示する。図16の例では、プラン候補PC1~PC5のそれぞれの、総時間(「所要時間」と記載されている欄)、時間に基づく評価値(「時間面評価」と記載されている欄)、環境負荷に基づく評価値(「環境面評価」と記載されている欄)、費用に基づく評価値(「費用面評価」と記載されている欄)、および総合評価が、表形式で表示されている。図16の例では、時間に基づく評価値としては総時間の偏差値を150から減じた値が、環境負荷に基づく評価値としては仮想総合負荷効率の偏差値を150から減じた値が、費用に基づく評価値としては充電コストの偏差値を150から減じた値が、それぞれ用いられている。総合評価は、各評価値に基づいて算出される総合的な評価値であり、例えば次の式により算出される。
総合評価値=(時間に基づく評価値×α+環境負荷に基づく評価値×β+費用に基づく評価値×γ)/(α+β+γ)
α、βおよびγは、総合評価値に対する各評価値の重みである。図16に示される総合評価値は、α=0.6、β=1、γ=1とした場合の例である。なお、プラン情報生成部115が総合評価値を算出してもよいし、表示部211の表示を制御する部が総合評価値を算出してもよい。総合評価値の算出方法は上記の例に限られない。
表示部211は、それぞれの評価において、最も評価が良いプラン候補の評価値を強調表示してもよい。
入力受付部212は、図16のような表示画面において、ユーザからプラン候補の1つを選択する入力を受け付けてもよい。ユーザがプラン候補の1つを選択した(例えば、識別子が表示されている部分をタッチした)場合に、表示部211は、選択されたプラン候補の詳細を表す画面を表示してもよい。
図17は、1つのプラン候補(例として、プラン候補PC1)が選択された場合に表示部211が表示する詳細画面の例である。詳細画面では、例えば、選択されたプラン候補に関する、走行ルートの概要、各工程にかかる時間、走行ルートの概念図等が表示される。さらに、表示部211は、目的地への到着時刻、目的地における電池の残量、仮想負荷率、総負荷量、仮想総合負荷率、総費用および総時間等を表示してもよい。表示部211は、電池の残量や仮想負荷率および仮想総合負荷率の値については、出発地における値との比較(差)を表示してもよい。表示部211は、仮想総合負荷率、費用、および時間の項目に対して、それぞれ環境負荷に基づく評価値、費用に基づく評価値、および時間に基づく評価値に応じた評定を並べて表示してもよい。例えば、表示部211は、他のプラン候補と比べて評価値が高い(例えば、偏差値が所定値以上である)項目に対しては“A”、平均的な評価値である場合は“B”、他のプラン候補と比べて評価値が低い項目に対しては“C”という評定を付与してもよい。
また、表示部211は、図17の右上部分に示されるように、他のプラン候補と比べて最も優れている項目を示す情報を、表示されるプラン情報に含めてもよい。図17に示される例では、“早”(目的地に最も早く到着する走行プランであることを表す)、および“費”(費用に基づく評価値が最も低い走行プランであることを表す)と書かれた図形が表示されている。
以上のような表示により、ユーザはプラン候補として挙げられた走行プランの詳細、特に、長所や短所を理解することができる。
表示部211は、詳細画面において、「このプランに決定」のように、詳細を表示中の走行プランをEV21の実際の走行プランとして決定するためのボタンを示すオブジェクトを表示してもよい。ユーザがこのボタンを選択する(例えば、オブジェクトにタッチする)ことにより、EV21の走行プランが決定する。すなわち、EV21は、選択されたプラン候補を実際に走行するプランとして採用する。EV21は、ナビゲーションを開始してもよい。決定された走行プランに関するナビゲーションに関する処理には、既に知られている技術が適用されればよい。
走行プランが決定したら、通信部210は、決定された走行プランをプラン情報提供システム11に送信してもよい。プラン情報提供システム11は、データ記憶部119に、決定された走行プランと、走行プランを導出するために用いられた条件とを記憶させてもよい。プラン情報提供システム11は、決定された走行プランに基づき、EV21が経由する予定の充電スタンド31に、EV21がいつ当該充電スタンド31に到着し、どのくらいの期間充電するか、等の情報を、送信してもよい。
[補足]充電量の決定
以上の説明では、プラン導出部113が、各施設における目標蓄電量として一定値(20kWh)を設定し、その目標蓄電量に基づいて充電量を決定する例を説明した。しかし、充電量の決め方は上記例に限られない。以下に別の例を説明する。
プラン導出部113は、経由地における充電量を、当該経由地の次のスポットへの到着時における蓄電量が所定量となるように、決定してもよい。すなわち、プラン導出部113は、経由地の目標蓄電量として、当該経由地への到着時における蓄電量が所定量であるために必要な蓄電量を設定してもよい。例えば、プラン導出部113は、プラン候補PC4において、地点Uにおける目標蓄電量として、所定量+地点Uと地点Gとの間の最小消費電力量、を算出してもよい。この場合、地点Uにおける充電量は、所定量+地点Uと地点Gとの間の最小消費電力量-地点Uへの到着時の蓄電量である。所定量の値は、設定可能な範囲であれば任意の値でよい。所定量の値は、例えば、条件の1つとして設定された、目的地における蓄電量の値と同一の値でもよい。
プラン導出部113は、経由地における充電量を、決定可能な範囲でランダムに決定してもよい。なお、決定可能な範囲とは、少なくとも、次のスポットへの移動までに、蓄電量が、条件において設定された所定値(例えば容量の10%)を下回らない範囲である。
プラン導出部113は、経由地ごとに、異なる決定方法で充電量を決定してもよい。また、プラン導出部113は、1つのルート候補から、異なる決定方法により、経由地における充電量が異なる複数の走行プランを導出してもよい。
また、プラン導出部113は、導出される走行プランに対する評価が所定の条件を満たすように、充電量を決定してもよい。なお、評価が所定の条件を満たすことは、評価に関する指標の値が所定の条件を満たすことと同義である。
所定の条件は、例えば、基となる走行ルートから導出可能な走行プランのうち、評価部114が用いるいずれかの評価指標に基づく評価が最も高いこと、である。所定の条件は、基となる走行ルートから導出可能な走行プランのうち特定の評価指標に基づく評価が最も高いこと、でもよい。所定の条件は、評価部114が用いるいずれかの評価指標に基づく評価値が基準値を上回ること、等でもよい。
プラン導出部113が、基となる走行ルートから導出可能な走行プランのうち、いずれかの評価指標に基づく評価が最も高いという条件を満たす走行プランを導出する例を説明する。例えば、プラン導出部113は、ルート候補から、当該ルート候補から導出可能な走行プランのうち、総時間が最も小さい走行プラン、仮想総合負荷率が最も小さい走行プラン、および総費用が最も小さい走行プラン、等を導出する。
(経由地が1つである場合)
ルート候補RC5を例に、プラン導出部113が、経由地が1つであるルート候補から、当該ルート候補から導出可能な走行プランのうち評価が最も高い走行プランを導出する方法の例を説明する。
以下、プラン導出部113は、目的地Gにおける蓄電量が4kWh以上である走行プランを導出するとする。EV21の蓄電容量は、20kWhであるとする。
総時間が最も小さい走行プランを導出する例を説明する。プラン導出部113は、経由地における充電時間が最も短い走行プランを導出すればよい。充電時間は充電量に比例するため、プラン導出部113は、経由地における充電量が最も少ない走行プランを導出すればよい。つまり、プラン導出部113は、経由地における充電量の値を、条件を満たすために最小限必要な充電量に設定すればよい。
ルート候補RC5を採用する走行プランでは、目的地Gにおける蓄電量が4kWh以上であるためには、経由地Vにおける充電量が10kWh以上である必要がある。したがって、プラン導出部113は、ルート候補RC5を採用する走行プランのうち総時間が最も小さい走行プランとして、経由地Vにおける充電量が10kWhである走行プランを導出する。
総費用が最も小さい走行プランを導出する例を説明する。プラン導出部113は、経由地における充電にかかる料金(以下、「充電料金」)が最も安い走行プランを導出すればよい。プラン導出部113は、必要な充電量以上である充電量のうち、充電料金が最も安い充電量を、経由地における充電量として決定する。充電量と充電料金が比例しない場合等、充電料金が最も安い充電量が1つに定まらない場合は、プラン導出部113は、充電料金が最も安い充電量のうち最大の充電量を、経由地における充電量として決定してもよい。
ルート候補RC5を採用する走行プランでは、目的地Gにおける蓄電量が4kWh以上であるためには、経由地Vにおける充電量は10kWh以上である必要がある。したがって、経由地Vにおける充電時間は少なくとも12分である。図14に示される料金体系によれば、地点Vの充電スタンドでは、10分を超え15分以下である充電時間は一定である。よって、充電時間が12分である場合の料金と同一の料金である充電時間の範囲のうち、充電量が最も大きい充電時間は、15分である。充電時間が15分である時、充電量は12.5kWhである。したがって、プラン導出部113は、ルート候補RC5を採用する走行プランのうち総費用が最も小さい走行プランとして、経由地Vにおける充電量が12.5kWhである走行プランを導出する。
仮想負荷率が最も小さい走行プランを導出する例を説明する。プラン導出部113は、経由地の充電スタンドの環境負荷率に基づいて、経由地における充電量を決定する。充電スタンドの環境負荷率が、充電前のEV21の仮想負荷率よりも高い場合、当該充電スタンドにおける充電量が多いほど、仮想負荷率は上昇する。したがって、そのような場合は、プラン導出部113は、最小限必要な充電量を、経由地における充電量として決定する。逆に、充電スタンドの環境負荷率が、充電前のEV21の仮想負荷率よりも低い場合、当該充電スタンドにおける充電量が多いほど、仮想負荷率は減少する。したがって、そのような場合は、プラン導出部113は、最大量を、経由地における充電量として決定する。最大量とは、SOCを100%にするための充電量である。
ルート候補RC5を採用する走行プランでは、経由地である経由地Vの充電スタンドの環境負荷率は、EV21の仮想負荷率よりも小さい。したがって、プラン導出部113は、最大量を、経由地Vにおける充電量として決定する。EV21の電池の最大容量が20kWhである場合、プラン導出部113は、経由地Vにおける充電量を、16kWhと決定する。すなわち、プラン導出部113は、ルート候補RC5を採用する走行プランのうち仮想負荷率が最も小さい走行プランとして、経由地Vにおける充電量が16kWhである走行プランを導出する。
なお、経由地が1つである同じルート候補から導出される走行プランのうち、仮想負荷率が最も小さい走行プランは、仮想総合負荷率が最も小さいプランでもある。
以上のように導出された走行プランは、評価部114による評価が最も高い走行プランである可能性が高い。以上のように、プラン導出部113は、1つのルート候補から、複数の走行プランを導出してもよい。
(経由地が複数ある場合)
ルート候補が複数の経由地を含む場合の、プラン導出部113が当該ルート候補から、評価部114による評価が最も高い走行プランである可能性が高い走行プランを導出する例を説明する。
ルート候補が複数の経由地を含む場合、プラン導出部113は、“最も効率が良い”充電スタンドがある経由地における充電量が、他の充電スタンドの充電量よりも大きい走行プランを導出する。“最も効率が良い”充電スタンドの例は、出力電力が最も高い充電スタンド(時間の効率が最も良い)、1kWhあたりの充電にかかる料金が最も安い充電スタンド(費用の効率が最も良い)、および、環境負荷率が最も小さい充電スタンド(仮想負荷率が最も良い)、等である。
プラン導出部113は、まず、ルート候補に含まれる経由地の充電スタンドのうち、“最も効率が良い”充電スタンドを特定する。
そして、プラン導出部113は、各経由地における充電量を決定する。
特定された充電スタンドが、目的地の直前に経由する充電スタンドである場合は、プラン導出部113は、特定された充電スタンド以外の充電スタンドにおける充電量として、それぞれ、次の経由地までの移動に最低限必要な充電量を設定する。そして、プラン導出部113は、特定された充電スタンドにおける充電量として、目的地までの移動に最低限必要な充電量を設定する。
特定された充電スタンドが、目的地の直前に経由する充電スタンドでない場合は、プラン導出部113は、特定された充電スタンドよりも前に経由される充電スタンドにおける充電量として、それぞれ、次の経由地までの移動に最低限必要な充電量を設定する。そして、プラン導出部113は、特定された充電スタンドにおける充電量として、目的地までの移動に最低限必要な充電量を設定する。目的地までの移動に最低限必要な充電量が、EV21の電池の蓄電容量を超える場合、プラン導出部113は、特定された充電スタンドにおける充電量として、最大量を設定する。そして、プラン導出部113は、特定された充電スタンドの後に経由される充電スタンドにおける充電量として、それぞれ次のスポットまでの移動に最低限必要な充電量を設定する。
特定された充電スタンドの環境負荷率が、特定された充電スタンドへの到着時のEV21の仮想負荷率よりも小さい場合は、プラン導出部113は、特定された充電スタンドにおける充電量が最大量である走行プランを導出してもよい。
プラン導出部113は、以上のように各経由地における充電量を設定することにより、複数の経由地を含むルート候補から、評価部114による評価が最も高い可能性がある走行プランを導出できる。
<変形例>
入力受付部212は、ユーザが重視する評価項目の指定を予め受け付けてもよい。
例えば、表示部211は、条件の入力を受け付ける際に、ユーザが、環境負荷が少ない走行プラン、総費用が小さい走行プラン、および到着時間が早い走行プランの、いずれを最も重視するかを、ユーザに選択させてもよい。
例えば、表示部211は、条件を入力するための画面において、「重視する項目」という欄を表示し、その欄に「環境負荷を重視」、「総費用を重視」、および「時間を重視」という選択肢を表示する。入力受付部212がユーザの選択を受け付けたら、通信部210は選択された選択肢の情報をプラン情報提供システム11に送信する。プラン情報提供システム11は、受信された情報から、ユーザが重視する評価項目を特定する。
プラン情報提供部111は、ユーザが重視する評価項目が特定された場合、ユーザが重視する項目に特化してプラン情報の生成を行ってもよい。
例えば、ユーザが、「総費用を重視」という選択肢を選択した場合、プラン情報提供システム11は、ユーザが重視する評価項目が総費用であることを特定する。
この場合、ルート導出部112は、費用が最も少ない走行ルートたり得るルート候補を導出する。具体的には、まず、ルート導出部112は、ステップS44-4の処理において、有料道路を除いた道路の情報を用いて、各スポット間を移動するための経路を導出する。すなわち、ルート導出部112は、有料道路を使用しない、各スポット間を移動するための経路を算出する。ルート導出部112は、そうして導出された経路に基づいて、走行ルートを導出する。
そして、プラン導出部113は、上述した、総費用が最も小さい走行プランを導出する方法により、走行プランを導出する。
評価部114は、導出された走行プランに対し、総費用に基づく評価を算出する。
プラン情報生成部115は、導出された走行プランと、評価とに基づくプラン情報を生成する。プラン情報生成部115は、評価が最も高い走行プランのみを示す情報を生成してもよい。
以上のような構成により、ユーザは、ユーザが重視する評価項目に関するプラン情報を得ることができる。
<効果>
第1の実施形態に係るプラン情報提供システム11およびEV21によれば、EVの走行に関する、より有用な情報が提供される。
プラン情報生成部115が、プラン導出部113により導出されたプラン候補と、評価部114に基づいて算出された評価とに基づくプラン情報を生成し、プラン情報提供システム11がEV21に、プラン情報を、送信することにより提供するからである。
評価部114は、評価を、ユーザが得る利益と損失との関係である効率に関する指標に基づいて算出する。環境負荷を損失とみなす場合として、評価部114は、仮想負荷率に基づく評価を算出する。この場合、ユーザは、効率の良い走行プランとして、移動がもたらす利益に対して環境負荷がより少ない走行プランを知ることができる。費用を損失とみなす場合として、評価部114は、走行にかかる費用に基づく評価を算出する。この場合、ユーザは、効率の良い走行プランとして、目的地への到達という利益に対して費用がより小さいルート、または、目的地への到達という利益と目的地における蓄電量の大きさという利益に対して費用がより小さい走行プラン等を知ることができる。時間の経過を損失とみなす場合として、評価部114は、走行と充電とにかかる時間を算出する。この場合、ユーザは、効率の良い走行プランとして、目的地への到達という利益に対してかかる時間がより少ない走行プランを知ることができる。
<蓄電容量の提供を行う工程を含む走行プラン>
以下では、蓄電容量の提供を行う工程を含む走行プランに関して説明する。
本開示において、蓄電容量の提供とは、EVの蓄電容量を、充電スタンドが使用することができるようにすることである。以下では、EV21が経由し得る充電スタンドの中に、蓄電容量の提供を受け付ける充電スタンドが存在するケースを想定する。
EV21が充電スタンドに蓄電容量を提供する場合、EV21は充電スタンドの電力網に接続されている間、充電および放電が可能な状態になる。以下、充電と放電とをまとめて充放電(Charging/Discharging)と呼ぶ。また、以下、充放電を行う時間、すなわち、蓄電容量を提供する時間を、充放電時間と呼ぶ。
EV21から蓄電容量の提供を受けている間、充電スタンドは、例えば、電力の需給の状況に応じて、EV21から電力を受け取ったり、EV21に電力を供給したりする。これにより、充電スタンドが使用する電力網が安定化される。
EV21のユーザは、蓄電容量を提供することにより、充電スタンドからその提供に対する対価を受ける。対価は、例えば、EV21の放電時の出力、使用可能な蓄電容量の範囲、および蓄電容量の提供時間によって決定される。以下の説明では、簡単のため、EV21の放電時の出力および使用可能な蓄電容量の範囲は一定であるとする。
したがって、EV21が蓄電容量の提供を行う場合には、充放電にかかる費用は、充電(充放電前の蓄電量を目標蓄電量にするための充電)にかかる費用と、蓄電容量の提供に対する対価と、によって決まる。
なお、目標蓄電量は、充電完了後の、すなわち経由地からの出発時の、蓄電量として、蓄電容量を提供する側が希望する蓄電量である。充電スタンドは、充放電が終了する時刻に、EV21の電池の蓄電量が、目標蓄電量以上であるように、EV21の蓄電容量を使用するとする。
すなわち、充放電にかかる費用は、充放電前の蓄電量、目標蓄電量、および充放電時間によって定まる。
蓄電容量の提供に対する対価は、例えば、現金、充電料金の割引、金券、特典等が考えられる。図18に示されるデータは、各経由地の充電スタンドの、EV21が蓄電容量の提供を行う場合の料金体系のデータを示す。この料金体系のデータは、例えば、データ記憶部119により記憶されている。
例えば、地点Tの充電スタンドでは、蓄電容量の提供を1時間以上行うことにより、ユーザは500円のキャッシュバックを受けることができる。地点Uでは、充電量に応じた充電料金が生じる一方で、充放電10分につき5円の対価が生じる。地点Vでは、30分までの充放電には400円がかかるが、30分以上充放電することにより、30分ごとに20円が費用から引かれる。
例えば、地点Uの充電スタンドにおいて、蓄電量が10kWhであるEV21が、目標蓄電量を12kWh、充放電時間を30分として充放電を行う場合、充放電にかかる費用は、2×18-5×3=21(円)である。
蓄電容量の提供を受け付ける充電スタンドでは、必ずしも、充放電時間が短いほど費用が小さいとは限らない。例えば、図18に例示された地点Tの充電スタンドの料金体系によれば、充放電時間が1時間未満である場合よりも、充放電時間が1時間以上2時間未満である方が、費用は小さい。地点Uおよび地点Vの充電スタンドでは、いずれも、充放電時間が長いほど、充放電にかかる費用は小さくなる。
地点Tの充電スタンドのように、充放電にかかる費用が、充放電時間のみから定まる充電スタンドがあってもよい。
なお、料金体系は、時間(すなわち、時刻や時間帯)により変動してもよい。蓄電容量の提供が可能なシステムの目的の一つは、充電スタンドの電力網を安定化させることであるため、例えば夜よりも昼の方が対価が大きいケースがあってもよい。
以下、蓄電容量の提供を受け付ける充電スタンドが存在する場合の、プラン情報提供システム11の処理について説明する。
蓄電容量の提供を受け付ける充電スタンドを経由するルート候補がある場合、プラン導出部113は、その充電スタンドにおいて蓄電容量を提供する工程を含む走行プランを導出してもよい。
蓄電容量の提供を受け付ける充電スタンドでは、充電のみを行うよりも、充放電を行う方が、費用が小さいことがある。したがって、評価部114が費用に基づく評価を行う場合には、蓄電容量を提供する工程を含む走行プランが、評価が最も高い可能性がある走行プランとなる可能性がある。したがって、プラン導出部113は、蓄電容量を提供する工程を含む走行プランを導出する場合、費用に基づく評価が最も高くなるような走行プランを導出すると良い。
プラン導出部113が、蓄電容量を提供する工程を含む走行プランを導出する、具体的な例を説明する。
プラン導出部113は、ルート候補から、走行プランを、プラン候補として導出する。例として、プラン導出部113は、ルート候補RC1、RC4およびRC5から、次に示す条件を満たす走行プランを導出するとする。
・蓄電容量を提供する工程を含む。
・総時間は300分以下である。
・目的地における蓄電量が4kWh以上である。
・当該ルート候補から導出可能な走行プランの中で総費用が最も小さい。
プラン導出部113がルート候補RC1から上記条件を満たす走行プランを導出する例を説明する。
経由地Tでは、充電量が費用に関係せず、充放電時間のみが費用に関係するため、プラン導出部113は、充放電時間のみを決定すればよい。
プラン導出部113は、経由地Tにおける充放電時間として設定可能な値の範囲を特定する。すなわち、プラン導出部113は、経由地Tにおける充放電時間として設定可能な値の最大値と、最小値とを特定する。
例えば、プラン導出部113は、まず、ルート候補RC1において、経由地Tにおいて充放電を行う工程以外の工程にかかる時間の総和を算出する。例えば、出発地Sから経由地Tへの移動にかかる時間が54分、経由地Tに立ち寄るためにかかる、充放電時間以外の時間が2分、地点Tから目的地Gへの移動にかかる時間が154分であるとき、経由地Tにおいて充放電を行う工程以外の工程にかかる時間の総和は、210分である。
経由地Tにおける充放電時間として設定可能な値の最大値は、総時間の最大値から、経由地Tにおいて充放電を行う工程以外の工程にかかる時間を引いた値である。条件によれば、総時間の最大値は300分であるから、プラン導出部113は、経由地Tにおける充放電時間の最大値を、300-210=90分であると特定する。
経由地Tにおける充放電時間として設定可能な値の最小値は、条件を満たすために最低限必要な蓄電量まで充電するための時間である。条件を満たすために最低限必要な蓄電量は14kWhであり、必要な充電量が4kWhであるから、プラン導出部113は、経由地Tにおける充放電時間の最小値を、4×60/50=4.8分であると特定する。
そして、プラン導出部113は、設定可能な値の範囲内で、経由地Tにおいて最も費用が小さい充放電時間を特定する。図18によれば、設定可能な値の範囲内(4.8分から90分の間)で、経由地Tにおいて最も費用が小さい充放電時間は、60分である。プラン導出部113は、経由地Tにおける充放電時間が60分である走行プランを、ルート候補RC1から導出されるプラン候補PC6として決定する。
プラン導出部113がルート候補RC4から上記条件を満たす走行プランを導出する例を説明する。
経由地Uでは、充放電にかかる費用は充電量および充放電時間の両方に依存するため、プラン導出部113は、充電量と充放電時間とを決定する。
充電量が少ないほど費用が小さいことから、プラン導出部113は、経由地Uにおける充電量として、最低限必要な充電量を設定する。上記条件によれば、経由地Gにおける蓄電量が4kWh以上である必要があるため、プラン導出部113は、経由地Uにおける最低限必要な充電量として、8kWhを決定する。
充放電時間が長いほど費用が小さいことから、プラン導出部113は、経由地Uにおける充放電時間として設定可能な値の最大値を、経由地Uにおける充放電時間として決定する。
経由地Uにおいて充放電を行う工程以外の工程にかかる時間が218分であるとすれば、経由地Uにおける充放電時間として設定可能な値の最大値は、300-218=82分である。
ただし、充放電を82分行う場合と80分行う場合とでは、費用の違いはない。プラン導出部113は、80分を、経由地Uにおける充放電時間として設定してもよい。
したがって、プラン導出部113は、例えば、地点Uにおける充電量が8kWh、充放電時間が80分である走行プランを、プラン候補PC7として導出する。
プラン導出部113がルート候補RC5から上記条件を満たす走行プランを導出する例を説明する。
経由地Vでは、地点Uと同じく、充放電にかかる費用は充電量および充放電時間の両方に依存するため、プラン導出部113は、充電量と充放電時間とを決定する。
充電量が少ないほど費用が小さいことから、プラン導出部113は、経由地Uにおける充電量として、最低限必要な充電量を設定する。例に基づけば、プラン導出部113は、経由地Vにおける充電量として、10kWhを決定する。
充放電時間が長いほど費用が小さいことから、プラン導出部113は、経由地Uにおける充放電時間として設定可能な値の最大値を、経由地Uにおける充放電時間として決定する。
経由地Vにおいて充放電を行う工程以外の工程にかかる時間が236分であるとすれば、経由地Vにおける充放電時間として設定可能な値の最大値は、300-236=64分である。
ただし、充放電を64分行う場合と60分行う場合とでは、費用の違いはない。プラン導出部113は、60分を、経由地Vにおける充放電時間として設定してもよい。したがって、プラン導出部113は、例えば、地点Vにおける充電量が10kWh、充放電時間が60分である走行プランを、プラン候補PC8として導出する。
以上に例示された、プラン導出部113により導出されるプラン候補は、次の通りである。
プラン候補PC6:S→T→G (地点Tにおける充電量:6kWh、地点Tにおける充電量充放電時間:60分)
プラン候補PC7:S→U→G (地点Uにおける充電量:8kWh、地点Uにおける充電量充放電時間:80分)
プラン候補PC8:S→V→G (地点Vにおける充電量:10kWh、地点Vにおける充電量充放電時間:60分)
なお、走行プランの導出に際し用いられる条件は、例示された条件に限られない。条件の1つとして例示された、総時間に対する条件は、目的地への到着時刻、または1つの経由地における滞在時間の最大値等に対する条件等に置き換えられてもよい。
評価部114は、プラン候補に対して評価を算出する。以下、評価部114が総費用に基づく評価を算出する例を説明する。
評価部114は、まず、総費用を算出する。
評価部114は、充電にかかる費用を、充電量と、充放電時間と、充電スタンドの料金体系と、に基づいて算出する。
各プラン候補と図18とに基づけば、プラン候補PC6が採用された場合にかかる費用は、200円である。プラン候補PC7が採用された場合にかかる費用は、104円である。プラン候補PC8が採用された場合にかかる費用は、380円である。
以上より、プラン候補PC6、PC7、およびPC8の総費用は、それぞれ、200円、104円、そして380円である。
したがって、本説明例では、プラン候補PC7の走行プランが、総費用が最も小さい走行プランである。
評価部114は、プラン候補PC6、PC7、およびPC8に対して、さらに別の指標に基づく評価を算出してもよい。ただし、環境負荷に基づく評価において、蓄電容量の提供を受け付ける充電スタンドの環境負荷は、例えば、EV21が充放電において充電スタンドへと供給する電力を無視した値でよい。時間に基づく評価において、EV21が蓄電容量の提供を行う経由地における滞在時間は、例えば、充放電時間または充放電時間を補正した値でよい。
プラン情報生成部115は、プラン候補と評価とに基づくプラン情報を生成する。
EV21の通信部210はプラン情報を受信し、表示部211がプラン情報を表示する。
図19は、蓄電容量を提供する工程を含むプラン候補に関するプラン情報の一例である。このような表示により、例えば、ユーザは、「2」という識別子がつけられた走行プランの総費用が最も小さいことを知ることができる。
入力受付部212は、図19のような表示画面において、ユーザからプラン候補の1つを選択する入力を受け付けてもよい。表示部211は、ユーザがプラン候補の1つを選択した(例えば、識別子が表示されている部分をタッチした)場合に、図17の例と同様に、選択されたプラン候補の詳細を表す画面を表示してもよい。
(補足)
なお、経由地が複数ある場合、プラン導出部113は、最も費用が小さくなるような、各経由地における充電量および充放電時間の組み合わせを、特定する。プラン導出部113は、特定された各経由地における充電量および充放電時間の組み合わせに従って各経由地を経由する走行プランを、プラン候補として導出する。
最も費用が小さくなるような、各経由地における充電量および充放電時間の組み合わせを特定する方法は、料金体系に応じて、適当に設計され得る。
<変形例>
プラン情報提供部111は、走行プランが決定された後も、EV21の状況に応じて、再びプラン情報を提供してもよい。以下、走行プランが決定され、EV21が走行プランに従って走行する段階における、EV21およびプラン情報提供システム11の処理の例について説明する。
なお、以下、EV21が従うことになっている走行プランを、決定プランと称す。決定プランは、走行ルートおよび経由地における充電量を示す情報の他、EV21が通過すべき特定の点であるチェックポイントの情報、チェックポイントをEV21が通過する時刻、および、チェックポイントにおける予想される蓄電量等を示す情報を含んでいてもよい。なお、チェックポイントは、例えば、経由地でもよいし、経由地以外の、経路上の点でもよい。
プラン情報提供部111は、例えば、EV21が決定プランに従った走行ができていない場合、またはできないと予想される場合に、新たなプラン情報を生成し、新たなプラン情報をEV21に提供してもよい。プラン情報提供部111は、例えば、決定プランに含まれる経路上で渋滞が新たに発生した場合、チェックポイントにおけるEV21の蓄電量が、決定プランが示す当該チェックポイントにおける蓄電量と異なる場合、および、EV21の位置が決定プランにより定められている位置と異なる場合等に、新たなプラン情報を生成しEV21に提供してもよい。
例えば、位置取得部213は、EV21の位置が決定プランが示す経路上であるかを、常に、または任意のタイミングで、判定してもよい。位置取得部213は、EV21の位置が決定プランが示す経路上でないと判定した場合に、通信部210を介して、プラン情報提供システム11に対して新たなプラン情報を提供する要求を送信してもよい。位置取得部213は、EV21の位置が決定プランが示す経路上であっても、その位置を通過する時刻が決定プランが示す時刻よりも遅い場合は、プラン情報提供システム11に対して新たなプラン情報を提供する要求を送信してもよい。
また、例えば、蓄電量検出部214は、EV21の電池の蓄電量を、常に、または任意のタイミングで、検出してもよい。例えば、蓄電量検出部214は、チェックポイントにおけるEV21の電池の蓄電量を検出してもよい。そして、蓄電量検出部214は、検出された蓄電量が、決定プランが示す当該チェックポイントにおける蓄電量と異なる場合に、通信部210を介して、プラン情報提供システム11に対して新たなプラン情報を提供する要求を送信してもよい。
特に、充放電が終了した時点における蓄電量は、決定プランが示す蓄電量と異なる可能性が高い。蓄電量検出部214は、EV21が充放電を行うたびに、充放電後の蓄電量を検出してもよい。
EV21は、新たなプラン情報を提供する要求を送信する場合、要求を送信する時点におけるEV情報を送信する。決定プランが生成されたときに用いられた情報と異なる情報がある場合、その異なる情報をプラン情報提供システム11に送信する。
EV21は、プラン情報の生成に関する条件を再び送信してもよい。EV21は、プラン情報提供部111がプラン情報を生成するための十分な情報を送信する。
プラン情報提供システム11は、新たなプラン情報を提供する要求を受信すると、プラン情報を生成するための情報に基づいて、プラン情報を再び生成する。
例えば、プラン情報提供部111は、図4に示されるフローチャートにおけるステップS43~ステップS47の処理を行い、既に説明された方法と同様の処理によって新たなプラン情報を生成してもよい。
プラン情報提供部111は、複数の新たな走行プランを導出してもよい。あるいは、プラン情報提供部111は、新たな走行プランを1つだけ導出してもよい。
例えば、決定プランの導出において、ユーザが重視する評価項目が特定されていた場合、プラン情報提供部111は、その評価項目に基づく評価が最も高い走行プランのみを導出してもよい。
プラン情報提供部111は、複数の新たなプラン候補を導出した後、決定プランに最も類似するプラン候補を特定してもよい。
決定プランに最も類似するプラン候補は、例えば、走行ルートが、決定プランの走行ルートに最も類似するプラン候補である。プラン情報提供部111は、例えば、走行ルートの長さが、最も決定プランの走行ルートの長さに近いプラン候補を、決定プランに最も類似するプラン候補として特定してもよい。プラン情報提供部111は、例えば、決定プランの走行ルートと共通する経路の長さが最も長い走行ルートを採用する走行プランを、決定プランに最も類似するプラン候補として特定してもよい。
決定プランに最も類似するプラン候補は、例えば、評価値が近いプラン候補である。プラン情報提供部111は、例えば、決定プランに与えられた評価のうち最も高い評価の評価項目に基づく評価を新たなプラン候補の間で比較し、当該評価が最も高いプラン候補を、決定プランに最も類似するプラン候補として特定してもよい。プラン情報提供部111は、例えば、各プラン候補の評価値と決定プランの評価値との間の乖離度を算出してもよい。乖離度は、例えば、同じ項目の評価値の差の絶対値を、複数の項目について積算することにより得られる値である。プラン情報提供部111は、乖離度が最も小さいプラン候補を、決定プランに最も類似するプラン候補として特定してもよい。
プラン情報提供部111は、決定プランに最も類似するプラン候補のみに関して、プラン情報を生成してもよい。
通信部110は、プラン情報提供部111により生成された新たなプラン情報を、EV21に送信する。
EV21は、新たなプラン情報を受信し、新たなプラン情報を表示部211により表示する。
新たなプラン情報が、1つのプラン候補のみに関する情報である場合、EV21は、そのプラン候補を新たな決定プランとして決定してもよい。
以上のような構成により、EV21が決定プランに従った走行ができていない場合またはできないことがわかった場合に、新たなプラン情報がEV21に提供される。
ユーザが重視する評価項目に基づく評価が最も高い走行プラン、または、決定プランに最も類似する走行プランの情報が提供される場合、ユーザは、ユーザの志向により適合した走行プランの情報を得ることができる。
<<第2の実施形態>>
本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、EV22が、プラン情報提供部111に相当する構成を備えている。EV22は、情報処理システム12と通信することで、情報処理システム12において記憶される情報を取得し、情報処理システム12に情報を提供する。
図20は、情報処理システム12およびEV22の構成を示すブロック図である。
EV22は、第1の実施形態のEV21と同様の構成要素に加え、プラン情報提供部221を備える。プラン情報提供部221は、ルート導出部222、プラン導出部223、評価部224、プラン情報生成部225、出力部226、および一時記憶部227を備える。
ルート導出部222、プラン導出部223、評価部224、プラン情報生成部225、出力部226、および一時記憶部227の機能は、それぞれ、ルート導出部112、プラン導出部113、評価部114、プラン情報生成部115、出力部116、および一時記憶部227の機能と同様でよい。すなわち、ルート導出部222は、ユーザから受け付けられた条件に基づいて、走行ルートを導出する。プラン導出部223は、ルート導出部222により導出された走行ルートから走行プランを導出する。評価部224は、プラン導出部223により導出された走行プランに対して評価を算出する。プラン情報生成部225は、導出された走行プランと算出された評価に基づくプラン情報を生成する。出力部226は、プラン情報生成部225により生成されたプラン情報を出力する。出力部116は、例えば、プラン情報をユーザインタフェース218に出力する。出力部116は、プラン情報を通信部210に出力してもよい。一時記憶部227は、プラン情報提供部221が扱うデータおよびプラン情報提供部221により算出されたデータを記憶する。
ユーザインタフェース218の表示部は、プラン情報生成部225が生成したプラン情報を表示する。
データ記憶部219は、情報処理システム12が記憶している情報と同じ情報を記憶していてもよい。例えば、通信部210が、随時、情報処理システム12から、情報処理システム12により記憶されている情報を取得し、取得された情報をデータ記憶部219に記憶させてもよい。プラン情報提供部221は、データ記憶部219により記憶されたデータを用いて、プラン情報を生成するための各処理を行ってもよい。
プラン情報提供部221は、プラン情報を生成するための情報を、随時、情報処理システム12から通信部210を介して取得してもよい。
情報処理システム12は、通信部110と、データ記憶部(不図示)とを備える。通信部110は、通信装置を備える充電スタンド31およびEV22と、通信を行う。
データ記憶部は、通信部110が受信した情報を記憶する。例えば、データ記憶部は、道路交通情報、および、充電スタンド31から取得された施設情報を記憶する。
第2の実施形態に係るEV22によっても、ユーザは、EVの走行に関する、より有用な情報を得ることができる。
<<第3の実施形態>>
本発明の一実施形態に係るプラン情報提供システムについて説明する。図21は、一実施形態に係るプラン情報提供システム10の構成を示すブロック図である。
プラン情報提供システム10は、評価部101と、プラン情報生成部102と、提供部103とを備える。上記各実施形態におけるプラン情報提供システム11およびプラン情報提供部221は、プラン情報提供システム10の一例である。
評価部101は、走行プランに対して評価に関する指標の値を導出する。上記各実施形態における評価部114および評価部224は、評価部101の一例である。
プラン情報生成部102は、評価部101により算出された値に関する情報を含む、走行プランに関するプラン情報を生成する。上記各実施形態におけるプラン情報生成部115およびプラン情報生成部225は、プラン情報生成部102の一例である。
提供部103は、プラン情報生成部102が生成したプラン情報の提供を行う。上記各実施形態における出力部116、通信部110、通信部210、表示部211、および出力部226は、提供部103の一例である。提供部103は、プラン情報を、例えば、電気自動車のユーザ、電気自動車の通信部(通信部210等)、または、プラン情報に関する演算を行うコンピュータ等に、提供する。提供の方法は、例えば、電気的な信号の出力、通信、および表示等である。
一例として、評価部101は、走行プランに対して、仮想負荷率を算出する。
この場合、走行プランは、電気自動車が出発地から目的地まで移動する間に立ち寄る充電施設および当該充電施設における充電量を含む。
仮想負荷率は、電力を使用することにより電気自動車が環境に与える影響の大きさを示す尺度である。
評価部101は、例えば、走行プランに対して、環境負荷率と、電気自動車が立ち寄る充電施設における充電量と、に基づいて、仮想負荷率を算出する。環境負荷率は、充電施設の、当該充電施設による電力の供給に伴う環境への負荷を示す尺度である。
別の一例として、評価部101は、電気自動車が立ち寄る充電施設における充放電時間と、充電量とに基づいて、充電施設への立ち寄りにかかる費用を導出する。
この場合、走行プランは、電気自動車が出発地から目的地まで移動する間に立ち寄る充電施設および当該充電施設における充電量、ならびに、充電時間および蓄電容量を提供する時間を含む充放電時間を含む。
図22は、プラン情報提供システム10の動作の一例を示すフローチャートである。まず、評価部101が、走行プランに対して、仮想負荷率を算出する(ステップS221)。次に、プラン情報生成部102が、仮想負荷率に関する情報を含む、走行プランに関するプラン情報を生成する(ステップS222)。次に、提供部103が、プラン情報の提供を行う(ステップS223)。
図23は、プラン情報提供システム10の動作の別の例を示すフローチャートである。まず、評価部101が、走行プランに対して、電気自動車が立ち寄る充電施設における充放電時間と、充電量とに基づいて、充電施設への立ち寄りにかかる費用を導出する(ステップS231)。次に、プラン情報生成部102が、費用に関する情報を含む、走行プランに関するプラン情報を生成する(ステップS232)。次に、提供部103が、プラン情報の提供を行う(ステップS233)。
プラン情報提供システム10によれば、電気自動車の走行に関する、より有用な情報が提供される。その理由は、提供部103が、環境負荷率または費用に関する情報を含むプラン情報の提供を行うからである。
<実施形態の各部を実現するハードウェアの構成>
以上、説明した本発明の各実施形態において、各装置の各構成要素は、機能単位のブロックを示している。
各構成要素の処理は、例えば、コンピュータシステムが、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体により記憶された、その処理をコンピュータシステムに実行させるプログラムを、読み込み、実行することによって、実現されてもよい。「コンピュータ読み取り可能な記憶媒体」は、例えば、光ディスク、磁気ディスク、光磁気ディスク、および不揮発性半導体メモリ等の可搬媒体、ならびに、コンピュータシステムに内蔵されるROM(Read Only Memory)およびハードディスク等の記憶装置である。「コンピュータ読み取り可能な記憶媒体」は、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントにあたるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、プログラムを一時的に保持しているものも含む。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、更に前述した機能をコンピュータシステムにすでに記憶されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
「コンピュータシステム」とは、一例として、図24に示されるようなコンピュータ900を含むシステムである。コンピュータ900は、以下のような構成を含む。
・CPU(Central Processing Unit)901
・ROM902
・RAM(Random Access Memory)903
・RAM903へロードされるプログラム904Aおよび記憶情報904B
・プログラム904Aおよび記憶情報904Bを格納する記憶装置905
・記憶媒体906の読み書きを行うドライブ装置907
・通信ネットワーク909と接続する通信インタフェース908
・データの入出力を行う入出力インタフェース910
・各構成要素を接続するバス911
例えば、各実施形態における各装置の各構成要素は、その構成要素の機能を実現するプログラム904AをCPU901がRAM903にロードして実行することで実現される。各装置の各構成要素の機能を実現するプログラム904Aは、例えば、予め、記憶装置905やROM902に格納される。そして、必要に応じてCPU901がプログラム904Aを読み出す。記憶装置905は、例えば、ハードディスクである。プログラム904Aは、通信ネットワーク909を介してCPU901に供給されてもよいし、予め記憶媒体906に格納されており、ドライブ装置907に読み出され、CPU901に供給されてもよい。なお、記憶媒体906は、例えば、光ディスク、磁気ディスク、光磁気ディスク、および不揮発性半導体メモリ等の、可搬媒体である。
各装置の実現方法には、様々な変形例がある。例えば、各装置は、構成要素毎にそれぞれ別個のコンピュータ900とプログラムとの可能な組み合わせにより実現されてもよい。また、各装置が備える複数の構成要素が、一つのコンピュータ900とプログラムとの可能な組み合わせにより実現されてもよい。
また、各装置の各構成要素の一部または全部は、その他の汎用または専用の回路、コンピュータ等やこれらの組み合わせによって実現されてもよい。これらは、単一のチップによって構成されてもよいし、バスを介して接続される複数のチップによって構成されてもよい。
各装置の各構成要素の一部または全部が複数のコンピュータや回路等により実現される場合には、複数のコンピュータや回路等は、集中配置されてもよいし、分散配置されてもよい。例えば、コンピュータや回路等は、クライアントアンドサーバシステム、クラウドコンピューティングシステム等、各々が通信ネットワークを介して接続される形態として実現されてもよい。
本願発明は以上に説明した実施形態に限定されるものではない。以上に説明した実施形態の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
上記実施形態の一部または全部は以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
<<付記>>
[付記1]
電気自動車が出発地から目的地まで移動する間に立ち寄る充電施設および当該充電施設における充電量を含む走行プランに対して、電力を使用することにより前記電気自動車が環境に与える影響の大きさを示す尺度である仮想負荷率を算出する評価手段と、
前記仮想負荷率に関する情報を含む、前記走行プランに関するプラン情報を生成するプラン情報生成手段と、
前記プラン情報の提供を行う提供手段と、
を備えるプラン情報提供システム。
[付記2]
前記評価手段は、前記充電施設の、当該充電施設による電力の供給に伴う環境への負荷を示す環境負荷率と前記充電量とに基づいて、前記仮想負荷率を算出する、
付記1に記載のプラン情報提供システム。
[付記3]
前記電気自動車が前記出発地から前記目的地まで移動する間に立ち寄る前記充電施設を示す情報を含む走行ルートに対し、当該走行ルートにおいて前記電気自動車が立ち寄る前記充電施設における前記充電量を決定することにより、前記走行プランを導出する、プラン導出手段を備え、
前記プラン導出手段は、導出される前記走行プランに対する前記仮想負荷率が所定の条件を満たすように、前記充電量を決定する、
付記1または2に記載のプラン情報提供システム。
[付記4]
設定された、前記走行ルートに関する前提条件に基づき、前記前提条件を満たす複数の前記走行ルートを導出するルート導出手段をさらに備え、
前記プラン導出手段は、複数の前記走行ルートから複数の前記走行プランを導出し、
前記評価手段は、複数の前記走行プランに対してそれぞれ前記仮想負荷率を算出し、
前記プラン情報生成手段は、複数の前記走行プランのそれぞれの前記仮想負荷率に基づく前記プラン情報を生成する、
付記3に記載のプラン情報提供システム。
[付記5]
前記評価手段は、前記走行プランに対して、他の前記走行プランとの間の前記仮想負荷率の比較に基づく評価を算出し、
前記プラン情報生成手段は、前記走行プランに対する前記評価に基づく前記プラン情報を生成する、
付記1から4のいずれか一つに記載のプラン情報提供システム。
[付記6]
電気自動車が出発地から目的地まで移動する間に立ち寄る充電施設および当該充電施設における充電量、ならびに、充電時間および蓄電容量を提供する時間を含む充放電時間を含む、前記電気自動車の走行プランに対して、前記充放電時間と、前記充電量とに基づいて、当該充電施設への立ち寄りにかかる費用を導出する評価手段と、
前記費用に関する情報を含む、前記走行プランに関するプラン情報を生成するプラン情報生成手段と、
前記プラン情報の提供を行う提供手段と、
を備えるプラン情報提供システム。
[付記7]
前記電気自動車が前記出発地から前記目的地まで移動する間に立ち寄る前記充電施設を示す情報を含む走行ルートに対し、当該走行ルートにおいて前記電気自動車が立ち寄る前記充電施設における前記充電量および前記充放電時間を決定することにより、前記走行プランを導出するプラン導出手段を備え、
前記プラン導出手段は、導出される前記走行プランに対する前記費用が所定の条件を満たすように、前記充電量および前記充放電時間を決定する、
付記6に記載のプラン情報提供システム。
[付記8]
前記評価手段は、前記費用を損失とみなし、前記目的地における蓄電量を利益とみなした場合の効率の尺度に基づく評価値を算出する、
付記6または7に記載のプラン情報提供システム。
[付記9]
電気自動車が出発地から目的地まで移動する間に立ち寄る充電施設および当該充電施設における充電量を含む走行プランに対して、電力を使用することにより前記電気自動車が環境に与える影響の大きさを示す尺度である仮想負荷率を算出し、
前記仮想負荷率に関する情報を含む、前記走行プランに関するプラン情報を生成し、
前記プラン情報の提供を行う、
を備えるプラン情報提供方法。
[付記10]
前記充電施設の、当該充電施設による電力の供給に伴う環境への負荷を示す環境負荷率と前記充電量とに基づいて、前記仮想負荷率を算出する、
付記9に記載のプラン情報提供方法。
[付記11]
前記電気自動車が前記出発地から前記目的地まで移動する間に立ち寄る前記充電施設を示す情報を含む走行ルートに対し、当該走行ルートにおいて前記電気自動車が立ち寄る前記充電施設における前記充電量を決定することにより、前記走行プランを導出し、
前記走行プランを導出する際に、導出される前記走行プランに対する前記仮想負荷率が所定の条件を満たすように、前記充電量を決定する、
付記9または10に記載のプラン情報提供方法。
[付記12]
設定された、前記走行ルートに関する前提条件に基づき、前記前提条件を満たす複数の前記走行ルートを導出し、
複数の前記走行ルートから複数の前記走行プランを導出し、
複数の前記走行プランに対してそれぞれ前記仮想負荷率を算出し、
複数の前記走行プランのそれぞれの前記仮想負荷率に基づく前記プラン情報を生成する、
付記11に記載のプラン情報提供方法。
[付記13]
前記走行プランに対して、他の前記走行プランとの間の前記仮想負荷率の比較に基づく評価を算出し、
前記走行プランに対する前記評価に基づく前記プラン情報を生成する、
付記9から12のいずれか一つに記載のプラン情報提供方法。
[付記14]
電気自動車が出発地から目的地まで移動する間に立ち寄る充電施設および当該充電施設における充電量、ならびに、充電時間および蓄電容量を提供する時間を含む充放電時間を含む、前記電気自動車の走行プランに対して、前記充放電時間と、前記充電量とに基づいて、当該充電施設への立ち寄りにかかる費用を導出し、
前記費用に関する情報を含む、前記走行プランに関するプラン情報を生成し、
前記プラン情報の提供を行う、
を備えるプラン情報提供方法。
[付記15]
前記電気自動車が前記出発地から前記目的地まで移動する間に立ち寄る前記充電施設を示す情報を含む走行ルートに対し、当該走行ルートにおいて前記電気自動車が立ち寄る前記充電施設における前記充電量および前記充放電時間を決定することにより、前記走行プランを導出し、
前記走行プランを導出する際に、導出される前記走行プランに対する前記費用が所定の条件を満たすように、前記充電量および前記充放電時間を決定する、
付記14に記載のプラン情報提供方法。
[付記16]
前記費用を損失とみなし、前記目的地における蓄電量を利益とみなした場合の効率の尺度に基づく評価値を算出する、
付記14または15に記載のプラン情報提供方法。
[付記17]
コンピュータに、
電気自動車が出発地から目的地まで移動する間に立ち寄る充電施設および当該充電施設における充電量を含む走行プランに対して、電力を使用することにより前記電気自動車が環境に与える影響の大きさを示す尺度である仮想負荷率を算出する評価処理と、
前記仮想負荷率に関する情報を含む、前記走行プランに関するプラン情報を生成するプラン情報生成処理と、
前記プラン情報の提供を行う提供処理と、
を実行させるプログラム。
[付記18]
前記評価処理は、前記充電施設の、当該充電施設による電力の供給に伴う環境への負荷を示す環境負荷率と前記充電量とに基づいて、前記仮想負荷率を算出する、
付記17に記載のプログラム。
[付記19]
前記電気自動車が前記出発地から前記目的地まで移動する間に立ち寄る前記充電施設を示す情報を含む走行ルートに対し、当該走行ルートにおいて前記電気自動車が立ち寄る前記充電施設における前記充電量を決定することにより、前記走行プランを導出する、プラン導出処理を、コンピュータにさらに実行させ、
前記プラン導出処理は、導出される前記走行プランに対する前記仮想負荷率が所定の条件を満たすように、前記充電量を決定する、
付記17または18に記載のプログラム。
[付記20]
設定された、前記走行ルートに関する前提条件に基づき、前記前提条件を満たす複数の前記走行ルートを導出するルート導出処理を、コンピュータにさらに実行させ、
前記プラン導出処理は、複数の前記走行ルートから複数の前記走行プランを導出し、
前記評価処理は、複数の前記走行プランに対してそれぞれ前記仮想負荷率を算出し、
前記プラン情報生成処理は、複数の前記走行プランのそれぞれの前記仮想負荷率に基づく前記プラン情報を生成する、
付記19に記載のプログラム。
[付記21]
前記評価処理は、前記走行プランに対して、他の前記走行プランとの間の前記仮想負荷率の比較に基づく評価を算出し、
前記プラン情報生成処理は、前記走行プランに対する前記評価に基づく前記プラン情報を生成する、
付記17から20のいずれか一つに記載のプログラム。
[付記22]
コンピュータに、
電気自動車が出発地から目的地まで移動する間に立ち寄る充電施設および当該充電施設における充電量、ならびに、充電時間および蓄電容量を提供する時間を含む充放電時間を含む、前記電気自動車の走行プランに対して、前記充放電時間と、前記充電量とに基づいて、当該充電施設への立ち寄りにかかる費用を導出する評価処理と、
前記費用に関する情報を含む、前記走行プランに関するプラン情報を生成するプラン情報生成処理と、
前記プラン情報の提供を行う提供処理と、
を実行させるプログラム。
[付記23]
前記電気自動車が前記出発地から前記目的地まで移動する間に立ち寄る前記充電施設を示す情報を含む走行ルートに対し、当該走行ルートにおいて前記電気自動車が立ち寄る前記充電施設における前記充電量および前記充放電時間を決定することにより、前記走行プランを導出するプラン導出処理を、コンピュータにさらに実行させ、
前記プラン導出処理は、導出される前記走行プランに対する前記費用が所定の条件を満たすように、前記充電量および前記充放電時間を決定する、
付記22に記載のプログラム。
[付記24]
前記評価処理は、前記費用を損失とみなし、前記目的地における蓄電量を利益とみなした場合の効率の尺度に基づく評価値を算出する、
付記22または23に記載のプログラム。
この出願は、2017年3月27日に出願された日本出願特願2017-061415を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。