以下、添付図面を参照して実施形態を説明する。実施形態は本開示を実現するための一例に過ぎず、本開示の技術的範囲を限定するものではないことに注意すべきである。各図において共通の構成については同一の参照符号が付されている。以下において、荷電粒子線装置の例として、電子ビームを使用した試料の観察装置(電子顕微鏡)を示すが、イオンビームを使用する装置の他、計測装置や検査装置に対しても、本開示の特徴を適用することができる。
[システム構成]
図1は、走査電子顕微鏡(SEM)システムの基本構成を模式的に示す。SEMシステムは、SEM装置50及び制御システム42を含む。SEM装置50は荷電粒子線装置の例であり、電子源1、引き出し電極2、コンデンサレンズ11、コンデンサ絞り12、軸調整偏向器13、非点収差補正装置14、スキャン偏向器15、及び対物レンズ20を含む。図1において、一つのコンデンサレンズのみが例として符号11で指示されている。
電子源1は1次電子線を発生する。コンデンサレンズ11は、1次電子線の収束条件を調整する。コンデンサ絞り12は、1次電子線の拡がり角を制御する。軸調整偏向器13は、試料21に入射する1次電子線の入射角度を調整する。非点収差補正装置14が、試料21に入射する1次電子線(プローブ)のビーム形状を調整する。スキャン偏向器15は試料21に入射する1次電子線をラスタ走査する。対物レンズ20は、1次電子線の試料21に対する焦点位置を調整する
SEM装置50は、さらに、試料ステージ22、反射板16及び検出器26を含む。試料ステージ22は、試料21の試料室内での位置を決める。試料21から発生した電子、または試料21から反射板28に向かった電子が衝突して生じた電子は、検出器26によって検出される。
制御システム42は、SEM装置50を制御する。例えば、制御システム42は、一次電子線の加速電圧や引出し電圧、並びに、レンズ及び偏向器等の構成要素の電流を制御する。また、制御システム42は、試料ステージ22を制御することで、試料21への1次電子線の試料21における照射範囲及び入射角度を調整することができる。
制御システム42は、検出器26のゲインやオフセットを制御し、検出された二次電子線による画像を生成する。後述するように、制御システム42は、複数の画像を解析して、画像それぞれにおける複数位置での所定の評価スコアを計算する。制御システム42は、計算した評価スコアに基づいて所定の処理を実行する。
制御システム42は、制御装置40及び計算機41を含む。計算機41は、制御装置40を介して、SEM装置50の構成要素を制御する。計算機41は、プログラム及びプログラムが使用するデータを格納する記憶装置並びに記憶装置に格納されているプログラムに従って動作するプロセッサを含む。プログラムは、SEM装置50の制御プログラム及び画像処理プログラムを含む。
計算機41は、さらに、ネットワークに接続するためのインタフェース及びユーザインタフェースを含む。ユーザインタフェースは、画像を表示する表示装置及びユーザが計算機41に指示を行うための入力装置を含む。計算機41は、制御装置40を制御する。制御装置40は、AD変換器、DA変換器、メモリ、及びFPGA等のプロセッサ等の構成要素を含む。
SEM像を得る工程を説明する。引き出し電極2は、電子源1から一次電子線を所定引出し電圧で引き出し、加速電圧を印加する。光軸と平行な方向をZ方向、光軸と直交する面をXY平面とする。制御システム42は、試料ステージ22のZ位置調整または対物レンズ20の制御パラメータ調整によって、一次電子線が試料21の上で収束するように合わせる。この調整は粗調整である。
制御システム42は、焦点粗調整の後、試料ステージ22のXY移動機構を用いて電子光学系調整用の視野を選択する。制御システム42は、当該電子光学系調整用視野で、軸ずれ、焦点及び非点を補正する。具体的には、制御システム42は、軸調整偏向器13、非点収差補正装置14、及び対物レンズ20の調整パラメータを補正する。焦点及び非点の補正の詳細は後述する。次に、制御システム42は、試料ステージ22を用いて撮影用視野に移動し、画像が鮮明に観察できる様に対物レンズ20の焦点を微調整した後、画像を取り込む。
図2は、透過電子顕微鏡(TEM)もしくは走査透過電子顕微鏡(STEM)として使用されるシステムの基本構成を模式的に示す。以後の説明においては両者の代表としてSTEMシステムを記述する。STEMシステムは、STEM装置51及び制御システム42を含む。STEM装置51は、電子源1、引き出し電極2、コンデンサレンズ11、コンデンサ絞り12、軸調整偏向器13、非点収差補正装置14、スキャン偏向器15、対物レンズ20、及び試料ステージ22を含む。図2において、一つのコンデンサレンズのみが例として符号11で指示されている。これらの機能はSEM装置50と同様である。
STEM装置51は、試料21の後側に、対物絞り23、軸調整偏向器24、制限視野絞り25、結像系レンズ30、及び検出器31を含む。図2において、一つの結像系レンズのみが例として符号30で指示されているほか、結像系レンズについてはSTEMとしての機能を得る上で必ずしも必須ではない。結像系レンズ30は、試料21を通過した透過電子線を結像する。検出器31は、結像された電子線を検出する。
制御システム42は、検出された二次電子線による画像を生成する。後述するように、制御システム42は、複数の画像を解析して、画像それぞれにおける複数位置での所定の評価スコアを計算する。制御システム42は、計算した評価スコアに基づいて所定の処理を実行する。
制御システム42は、SEMシステムと同様に、制御装置40及び計算機41を含む。計算機41が実行するプログラムは、STEM装置51の制御プログラム及び画像処理プログラムを含む。
STEM像を得る工程を説明する。引き出し電極2は、電子源1から一次電子線を所定引出し電圧で引き出し、加速電圧を印加する。制御システム42は、試料ステージ22上の薄膜の試料21に、1次電子線を入射する。
制御システム42は、試料ステージ22のZ位置調整または対物レンズ20の制御パラメータ調整によって、1次電子線の焦点粗調整を行う。その後、制御システム42は、試料ステージ22のXY移動機構を用いて電子光学系調整用の視野を選択する。制御システム42は、当該電子光学系調整用視野で、軸ずれ、焦点及び非点を補正する。具体的には、軸調整偏向器13、非点収差補正装置14、及び対物レンズ20の調整パラメータを補正する。焦点及び非点の補正の詳細は後述する。
制御システム42は、コンデンサレンズ11、軸調整偏向器13、非点収差補正装置14を用いて、1次電子線をZ軸と平行な入射角度で試料21に対して垂直に入射させる。制御システム42は、スキャン偏向器15により1次電子線をスキャンする。1次電子線が薄膜の試料21に入射すると、大部分の電子は試料21を透過する。結像系レンズ30は透過電子線を検出器31上に適切な角度で入射させ、STEM像が得られる。STEM像の倍率はスキャン偏向器15を制御する電流によって設定される。
[フォーカス調整]
以下において、SEM装置50またはSTEM装置51による画像解析及び画像解析結果に基づきSEM装置50またはSTEM装置51の調整パラメータの目的の値を決定する方法を説明する。調整パラメータは、フォーカス及び非点収差の他、プローブ(試料に照射される一次電子線)の径の大きさや形状に影響を与える様々なパラメータ(各種収差、一次電子線の軸、レンズの電位、試料へのバイアス電位、など)を含む。
以下において、調整パラメータの例として、フォーカス及び非点収差を説明する。図1及び図2を参照して説明したように、フォーカス(の位置)は、対物レンズ20の電流により制御される。対物レンズ20の電流は、フォーカスに対応する調整パラメータである。対物レンズ電流を調整することで、プローブの径を細くすることができる。
非点収差は、非点収差補正装置14の電流により制御(補正)される。具体的には、非点収差補正装置14は多くの場合においてXパラメータとYパラメータの二つの調整パラメータを有する。非点収差補正装置14は複数のコイルを含み、Xパラメータは一部のコイルの電流値を示し、Yパラメータは他の一部のコイルの電流値を示す。X、Yパラメータにより、プローブの形状を真円に近づけることができる。
図3は、フォーカス調整方法例のフローチャートである。制御システム42は、対物レンズ20の電流値を、装置の物理的な構成もしくは過去の操作履歴などに基づいて想定される、フォーカス探索範囲の端に対応する電流値に対応する開始値に設定する(S101)。制御システム42は、試料21の観察画像(評価画像)を取得し、対物レンズ20の現在の電流値と共に、記憶装置に格納する(S102)。制御システム42は、観察画像の評価値を計算する(S103)。評価値は、像に含まれる縦/横方向(縦及び横方向)に対する像の強度変化の急峻さを表し、観察された像において縦/横それぞれに対する構造がより細かいほど、評価値が高くなる。評価値の計算方法は後述する。
制御システム42は、対物レンズ20の現在の電流値が、終了条件を満たすかを判定する(S104)。この際の終了条件としては、対物レンズ電流値が現在の評価条件により決まる終了値と等しい、もしくはS105における電流値の変更量が負である場合は終了値以下である、S105における電流値の変更量が正である場合は終了値以上である、などの条件を用いることができる。対物レンズ20の現在の電流値が終了条件を満たさない場合(S104:NO)、制御システム42は、所定値だけ対物レンズ20の電流値を変更する(S105)。さらに、制御システム42は、ステップS102に戻る。
対物レンズ20の現在の電流値が終了値である場合(S104:YES)、制御システム42は、記憶装置に格納されている対物レンズ20の電流値と評価値との間の関係を決定する(S106)。例えば、制御システム42は、予め設定されているフィッティング関数により対物レンズ20の電流値と評価値との間の関係を決定し、内挿によって最適となる条件を決定する。フィッティング関数は、例えば、ガウシアンや多項式である。
制御システム42は、ステップS106で決定した対物レンズ20の電流値と評価値との間の関係から、評価値が最大となる対物レンズ20の電流値を決定する(S107)。評価値は実質的に、試料上におけるプローブの空間的な広がりに関する情報を示す。評価値が大きいことは、試料上においてプローブが狭い領域に集中しており、細くなっていることを表す。これは同時にプローブが収束する面と試料上の着目点との距離が短いことを示す。したがって、評価値が最大となる対物レンズ電流値が、最適電流値である。
制御システム42は、評価結果(最適電流値及びその評価値)が所定の基準を満たしているか判定する(S108)。この際の基準としては、直前の一連の像取得における、対物レンズ電流値の1回あたりの変更量が、目標とする調整精度に相当する電流量以下であること、もしくは直前の像評価において得られた最大の評価値が、荷電粒子線装置の性能や撮影倍率に基づいて定められる基準値を上回っているかどうかなどが例として挙げられる。この評価結果が所定の基準を満たしていない場合(S108:NO)、制御システム42は新たな評価条件を算出し(S109)、ステップS101に戻る。評価結果が所定の基準を満たしている場合(S108:YES)、制御システム42は、対物レンズ20の電流を、上記最適対物レンズ電流値に設定する(S110)。
なお別の実施形態として、上記の一連のフローにおいて、観察画像の評価値の計算(S103)は、ステップS106が実行される前であればいずれのタイミングで実行されてもよく、ステップS102のあとにステップS104を実行し、その後ステップS106が実行される直前に各画像に対してまとめてステップS102を実行することで同等の効果を得ることもできる。
もしくは各処理と並列して計算を実行することにより、ステップS103を実行したあとにその完了を待たずにステップS104を実行することもできる。この場合、ステップS106が実行される前にステップS102で実行されたすべての計算が終了していることを確認さえすれば、同等の効果を得ることが可能である。
評価値の計算方法を説明する。一例において、制御システム42は、ウェーブレット変換係数から評価値を計算する。フーリエ変換は周期的な波の重ねあわせで信号を表現するため、位置の情報が失われる。一方、ウェーブレット変換は、画像を、スケール、位置を変えて重ねたウェーブレット(局在した小さな波/基底)に変換する。そのため、画像の位置情報を保ったまま、局所的な周波数情報を評価することが可能である。
ウェーブレット変換について説明する。スケーリング関数φ(x)及びウェーブレット関数ψ(x)が以下に示すTwo Scale関係を満たすとする。
任意の関数fj(x)は、以下に示すように二つの関数に分解することができる。
ここで、jはウェーブレット変換のレベル、s(j)はレベルjのスケーリング係数、w(j)はレベルjのウェーブレット係数である。s(j)及びw(j)は以下のように表わされる。
ここでpkはスケーリングフィルタ、qkはウェーブレットフィルタであり、これらは、直交ミラーフィルタとして知られる関係を有している。いくつかの条件の元に成り立つ複数のフィルタが知られており、代表的なものとしてはDaubechieによるものが挙げられる。例として、サポート4のDaubechieウェーブレットを以下に示す。
pkはローパスフィルタ、qkはハイパスフィルタとして働くため、関数fj(x)を展開して得られる係数s(j)、w(j)は、それぞれfj(x)の低周波成分、高周波成分に対応する。さらにs(j)に再度フィルタpk、qkを適用することでs(j+1)、w(j+1)が得られる。これを繰り返すことでfj(x)を以下に示す形で展開することができる。
得られたg(x)それぞれの成分は、解像度が2倍ずつ異なる周期の周波数成分に対応している。これが離散ウェーブレット変換による多重解像度解析である。以下に、離散ウェーブレット変換による多重解像度解析を2次元の配列f(m、n)へ適用する例を示す。f(m、n)をレベル0のスケーリング関数s(0)(m、n)とみなすと、m軸に沿った変換は以下のように示される。
さらに得られたs(j+1、x)(m、n)、w(j+1、x)(m、n)に対してn軸に沿って変換を行うと以下のような4つの成分を得る。
上記4つの成分は以下のように表わされる。
s(j+1)(m、n)はs(j)(m、n)の低周波成分、w(j+1、h)(m、n)はm軸に沿った方向(横方向)、w(j+1、v)(m、n)はn軸に沿った方向(縦方向)、w(j+1、d)(m、n)は対角方向の高周波成分である。
制御システム42は、w(j+1、h)(m、n)及び/またはw(j+1、v)(m、n)に基づき、位置それぞれの評価値を決定する。図4Aは評価画像の例400を示し、図4Bは図4Aに示す評価画像のレベル1の横ウェーブレット変換画像(1HL)401及び縦ウェーブレット変換画像(1LH)402を示す。
横ウェーブレット変換画像401は、w(1、h)(m、n)で構成された画像であり、横方向における評価画像400の高周波成分(画像の変化)を示す。縦ウェーブレット変換画像402は、w(1、v)(m、n)で構成された画像であり、縦方向における評価画像400の高周波成分(画像の変化)を示す。横ウェーブレット変換画像(1HL)401及び縦ウェーブレット変換画像(1LH)402において、明領域から暗領域への変化は明線で示され、変化が大きい程線は明るい(白に近い)。暗領域から明領域への変化は暗線で示され、変化が大きい程線は暗い(黒に近い)。
上述のように、レベルj+1の低周波成分画像((j+1)LL)のウェーブレット変換により、レベルj+2の横ウェーブレット変換画像((j+2)HL)及び縦ウェーブレット変換画像((j+2)LH)を得ることができる。より高いレベルの画像は、より低い空間周波数(解像度)の情報を示す。
試料内において、特にエッジのような構造を含む局所領域に着目した場合、フォーカスが試料と合っていると当該領域における像の強度変化は急峻なものとなり、ウェーブレット変換係数の絶対値は大きくなる。逆にフォーカスが試料からずれていると、フォーカスが合っている条件よりも広い領域の情報を用いて像の強度を得るために結果として当該領域における像の強度変化は相対的にゆるやかなものとなり、ウェーブレット変換係数の絶対値は小さくなる。このことから、ウェーブレット変換係数の絶対値が大きいことは、フォーカスが試料に合っていることを示す。
一例において、制御システム42は、特定の一つのレベルj+1の横ウェーブレット変換係数及び/または縦ウェーブレット変換係数に基づき、評価画像の評価値を決定する。例えば、制御システム42は、レベルj+1(例えばレベル1)の横ウェーブレット変換係数の絶対値の最大値を、評価画像の横評価値と決定し、レベルj+1の縦ウェーブレット変換係数の絶対値の最大値を、評価画像の縦評価値と決定する。制御システム42は、横評価値と縦評価値を用いて評価画像の総合評価値を決定する。この総合評価値としては、横評価値もしくは縦評価値をそのまま用いることも可能であるが、試料が主に一方向にしか構造の変化を持たない場合、もしくは非点収差が最適条件から外れた場合において最適な条件を求める上では横評価値と縦評価値の両方を用いて得ることが望ましく、代表的な例としては両者の積を価画像の総合評価値と決定する。
横評価値と縦評価値の積は、評価画像における縦横両方向に対する構造の細かさを総合して表す指標として利用することができる。なお、ウェーブレット変換係数の絶対値の最大値は、ノイズが除去されたデータや、ニューラルネットワーク、圧縮センシングなど技術を用いて情報の復元処理を適用された像において決定されてよい。また、ウェーブレット変換係数を得る方法としては複数のアルゴリズムが知られているが、本発明においてはその種類については問わない。
評価画像の評価値として他の値を使用することが可能であり、例えば、横評価値、縦評価値、または横評価値と縦評価値の和、相乗平均、相加平均などによって求めた値を使用することができる。制御システム42は、横評価値及び縦評価値のうち、評価画像の評価値を決定するために必要な値のみ計算する。
図3のフローチャートを参照して説明したように、制御システム42は異なるフォーカス位置(対物レンズ電流値)において、試料21の画像を取得する。これら画像は評価画像である。
図5は、評価画像の対物レンズ電流値と評価値との関係例を示すグラフである。グラフ内の点が、それぞれ、評価画像の対物レンズ電流値とウェーブレット係数から計算された評価値とを示す。曲線は評価画像の評価値(点)に対してフィッティングされたガウシアン(フィッティング関数)である。制御システム42は、フィッティングされたガウシアンにおいて、最大の評価値に対応する対物レンズ電流値を特定し、この対物レンズ電流値を最適フォーカスの電流値(最適対物電流値)と決定する。
フィッティング関数を使用することで、少ない評価画像から適切な対物レンズ電流値を決定することができる。他の例において、制御システム42は、顕微鏡画像の評価値内で最大となる評価値に対応する対物レンズ電流値を最適対物電流値と決定してもよい。
評価値を計算するレベルは、予め設定されていてもよい。他の例において、制御システム42は、複数レベルの評価画像の解析を行い、その解析結果に基づき最適なレベルを選択してもよい。
上述のように、ウェーブレット変換のレベルにより、ウェーブレット変換画像に対応する空間周波数が異なる。具体的には、より高いレベルの画像は、より低い空間周波数(解像度)の情報を示す。試料21の構造の特徴が最も端的に現れるレベルは、その構造、または使用するウェーブレットの種類、もしくはその両方に依存する。複数レベルの評価画像の解析を行い、その解析結果に基づきレベルを選択することで、より適切な評価が可能となる。
図6Aは、異なるレベルにおける対物レンズ電流値と評価画像の評価値と間の関係を模式的に示す。グラフ501、502及び503は、それぞれ、レベル1、レベル2及びレベル3における、対物レンズ電流値とウェーブレット変換係数から決定された評価画像の評価値との関係を示す。グラフ501、502及び503内の点は、評価画像の対物レンズ電流値とウェーブレット係数から計算された評価値とを示す。曲線は評価画像の評価値(点)に対してフィッティングされた、正のオフセットを持つガウシアン(フィッティング関数)である。
図6Aに示す例において、レベル1及びレベル2のフィッティング関数と評価画像の評価値との間の誤差は小さく、レベル3のフィッティング関数と評価画像の評価値との間の誤差は大きい。
例えば、制御システム42は、複数レベルのウェーブレット変換係数から評価に最も適したレベルを選択してもよい。上述のように、試料21の構造の特徴が最も端的に現れるレベルは、画像解析前は一般に不明である。複数レベルのウェーブレット変換係数を使用し、それぞれのレベルで評価を行い、対物レンズ電流値に対するスコアの振る舞いを評価することで、試料21の構造の特徴が端的に現れるレベルの係数を使用して評価値を計算することができる。
一例として、制御システム42は、評価画像の評価値とフィッティングされた関数との間の誤差が最も小さいレベルを選択することができる。誤差は、例えば、フィッティング関数と評価画像の評価値との間の距離の和、もしくは距離の二乗の和などで表わすことができる。また他の例として、制御システム42はフィッティングによって得られたガウシアンの各パラメータのフィッティング誤差の値、もしくはフィッティングによって得られたガウシアンの高さなどから適切なレベルを評価することが可能である。
図6Bに示すグラフ504はグラフ501、502及び503に示した各レベルで得られた評価値どうしの積によって得られた評価値と、対物レンズ電流値の関係性を示したものである。前述のとおり、試料21の構造の特徴が最も端的に現れるレベルは一部のレベルに限られるため、それ以外のレベルの評価値は対物レンズ電流値の変化に対してほとんど変化をしない。
そのため複数のレベルで得られた評価値の積は、試料21の構造の特徴が最も端的に現れるレベルの評価値の変化が支配的になるため、試料に対してフォーカスが合う条件付近において評価値が大きくなる特徴を同様に有する。このようにして得られた評価値を用いることにより、試料や倍率に応じて適切な評価値のレベルを選択する必要なく、常に単一の指標を用いて様々な試料構造や倍率に対して評価を行うことができる。また、このような複数レベルの評価値の積から新たな評価値を求める上で、必ずしも得られたすべてのレベルの評価値を使用する必要はなく、いくつかの適切なレベルの評価値のみを用いて積を求め、使用することも可能である。
図7は、複数レベルのウェーブレット変換画像(変換係数)を使用して一つの評価画像の評価値を決定する方法例のフローチャートを示す。制御システム42は、記憶装置から評価画像400(観察画像)を取得し、二次元離散ウェーブレット変換を行う(S151)。これにより、四つのレベル1ウェーブレット変換画像が得られ、それぞれ、1HL成分の変換画像411、1LH成分の変換画像412、1HH成分の変換画像413、及び1LL成分の変換画像414である。1HL成分の変換画像411及び1HL成分の変換画像412の例は、図4Bに示されている。
制御システム42は、1HL成分の変換画像411においてウェーブレット変換係数の絶対値の最大値を選択し(S152)、レベル1の横評価値511を得る。制御システム42は、1LH成分の変換画像412においてウェーブレット変換係数の絶対値の最大値を選択し(S153)、レベル1の縦評価値512を得る。制御システム42は、横評価値511及び縦評価値512の積を計算して(S154)、レベル1の評価画像の評価値(L1縦横評価値)513を決定する。評価画像の評価値513の計算は、前記例のいずれでもよい。
制御システム42は、レベル1のLL成分の変換画像414の二次元離散ウェーブレット変換を行う(S155)。これにより、四つのレベル2ウェーブレット変換画像が得られ、それぞれ、2HL成分の変換画像421、2LH成分の変換画像422、2HH成分の変換画像423、及び2LL成分の変換画像424である。
制御システム42は、2HL成分の変換画像421においてウェーブレット変換係数の絶対値の最大値を選択し(S156)、レベル2の横評価値521を得る。制御システム42は、2LH成分の変換画像422においてウェーブレット変換係数の絶対値の最大値を選択し(S157)、レベル2の縦評価値522を得る。制御システム42は、横評価値521及び縦評価値522の積を計算して(S158)、レベル2の評価画像の評価値(L2縦横評価値)523を決定する。評価画像の評価値523の計算方法は、評価値513と同様または異なる。
制御システム42は、予め設定されているレベルNまで、評価値の演算を繰り返す(S159)。これにより、レベル1からレベルNそれぞれの評価値513~5N3を得る。制御システム42は、全てのレベルの評価値513~5N3の積を計算し(S160)、評価画像400の総合評価値540を得る。総合評価値540は、評価画像の撮像における荷電粒子線装置の対物レンズ電流値や非点収差補正量、そのほか調整パラメータに対応する評価値である。
前述のとおり、評価画像400の特徴を抽出していないレベルのウェーブレット変換画像における縦横評価値の変動は小さく、評価画像400の特徴を抽出しているレベルのウェーブレット変換画像における縦横評価値の変動は大きい。像の総合評価値として複数レベルの評価値の積を用いた場合、この総合評価値は評価画像400の特徴を抽出しているレベルの評価値の変化に主に依存するため、評価画像の縦、横それぞれの方向に対する強度変化の急峻さを評価する指標として適したものとなる。なお、総合評価値540としては、他の方法、例えば、複数レベルの評価値の和や相乗平均、相加平均などを使用してもよい。
[非点収差補正]
次に、評価画像の評価値に基づく非点収差補正(調整)方法を説明する。図8は、非点収差補正例のフローチャートである。制御システム42は、評価を行う非点収差補正Xパラメータ及び非点収差補正Yパラメータのペア(条件)のテーブルAを作成する(S201)。テーブルAは、異なる複数のペアを含む。
ここでテーブルAについては、非点収差補正Xパラメータについては同一の値とし、非点収差補正Yパラメータについてのみ複数の値として構成されたもの、もしくは非点収差補正Yパラメータについては同一の値とし、非点収差補正Xパラメータについてのみ複数の値として構成されたもの、あるいは非点収差補正X、Yパラメータそれぞれについて複数の値として互いを組み合わせたもの、などを使用することができる。
制御システム42は、非点収差補正装置14の非点収差補正X、Yパラメータの値を、テーブルA内の最初のペアに設定する(S202)。制御システム42は、SEM装置50またはSTEM装置51から観察像を取得し、非点収差補正X、Yパラメータの値と共に記憶装置に格納する(S203)。
制御システム42は、観察画像の評価値を計算する(S204)。評価値の計算方法は、フォーカス調整において説明したいずれかの方法を使用できる。フォーカス調整の評価値の計算方法と非点収差補正の評価値の計算方法は同一または異なる。制御システム42は、テーブルA内の全ペアで測定を行ったか判定する(S205)。テーブルAが未測定のペアを含む場合(S205:NO)、制御システム42は、テーブルA内の未測定の次ペアに、非点収差補正装置14の非点収差補正Xパラメータ及び非点収差補正Yパラメータの値を設定する(S206)。
テーブルA内の全ペアで測定を行われている場合(S205:YES)、制御システム42は、記憶装置に格納されている非点収差補正Xパラメータ及び非点収差補正Yパラメータの値と、評価値との間の関係を決定する(S207)。例えば、制御システム42は、予め設定されているフィッティング関数により非点収差補正Xパラメータ及び非点収差補正Yパラメータの値と、評価値と、の間の関係を決定する。フィッティング関数は、例えば、2次元ガウシアンや2変数の多項式である。
制御システム42は、ステップS207で決定した非点収差補正Xパラメータ及び非点収差補正Yパラメータの値と、評価値との間の関係から、非点収差補正Xパラメータ及び非点収差補正Yパラメータの値を決定する(S208)。また別の例としては、非点収差補正パラメータの値と、評価値との関係を求める処理(S207)を行わず、記憶装置に格納されている非点収差補正Xパラメータ及び非点収差補正Yパラメータの値と、評価値の値とに対して、ラグランジュ補完、エルミート補完、スプライン補完などによる内挿や重心の測定を行うことで直接、非点収差補正Xパラメータ及び非点収差補正Yパラメータの値の決定(S208)を行うこともできる。
試料に対してフォーカスが合った状態では、X/Yパラメータ両方に対して非点が調整された最適条件を基準としたとき、そこからX/Yいずれかのパラメータが変化した場合、プローブの形状はパラメータに対応した1方向に対してのみ伸び、結果としてその方向に対する像の細かさが低下することで評価値は低下する。
最適条件におけるプローブの形状は基本的に円形(等方的)となるため、結果として評価値はプローブ形状の異方性を表しており、その大きさは試料上におけるプローブの空間的な広がりに対して負の相関を持つ。フォーカスと2回対称な非点収差の成分のみを調整パラメータとして考えた場合、縦方向、横方向の両方においてプローブの広がりが最小となる条件は、両方のパラメータが0、すなわちフォーカスが合い、非点収差が補正された状態であり、この時に評価値は最大となる。
したがって、評価値が最大となる条件における対物レンズ電流量、非点収差補正Xパラメータ及び非点収差補正Yパラメータの値が、最適パラメータ値であり、フォーカスが合った状態で調整を行った場合には評価値が最大となる条件における非点収差補正Xパラメータ及び非点収差補正Yパラメータの値が、最適パラメータ値ペアとなる。
制御システム42は、評価結果(最適パラメータ値ペア及びその評価値)が所定の基準を満たしているか判定する(S209)。この際の基準としては、直前の像取得の際に用いたテーブルAにおける非点収差補正X、Yパラメータの変動量の大きさ、すなわち評価に用いた条件の細かさから見積もられる評価の精度を、あらかじめ定められた基準値と比較した結果を用いることができる。もしくは前述の、非点収差補正Xパラメータ及び非点収差補正Yパラメータの値と評価値との間の関係を決定する工程におけるフィッティングの際に得られるフィッティングのエラー量を、あらかじめ定められた基準値と比較した結果などを用いることができる。
評価結果が所定の基準を満たしていない場合(S209:NO)、制御システム42は新たな評価を行う非点収差補正Xパラメータ及び非点収差補正YパラメータのペアテーブルAを作成し(S210)、ステップS202に戻る。評価結果が所定の基準を満たしている場合(S209:YES)、制御システム42は、非点収差補正装置14の非点収差補正Xパラメータ及び非点収差補正Yパラメータを、上記最適パラメータ値ペアに設定する(S211)。
なお別の実施形態として、上記の一連のフローにおいて、観察画像の評価値の計算(S204)は、ステップS207が実行される前であればいずれのタイミングで実行されてもよく、ステップS203のあとにステップS205を実行し、その後ステップS207が実行される直前に各画像に対してまとめてステップS204を実行することで同等の効果を得ることもできる。
もしくは各処理と並列して計算を実行することにより、ステップS204を実行したあとにその完了を待たずにステップS205を実行することもできる。この場合、ステップS207が実行される前にステップS204で実行されたすべての計算が終了していることを確認さえすれば、同等の効果を得ることが可能である。
また、前述の非点収差調整は非点収差補正X,Yパラメータの一方に対してのみ実行されてもよい。この場合、パラメータの一方は調整開始時の値、もしくは何らかの初期値や基準値に固定し、もう一方のパラメータに対してのみ複数の値とすることでS201、S210におけるテーブルAを作成する。
また、(S207)における非点収差補正パラメータの値と評価値との間の関係の決定は非点収差補正X,Yパラメータの一方に対してのみ行われ、その際にフィッティングを行う場合に用いる関数としては1次元ガウシアンや1変数の多項式、補間関数を用いた内挿や求めた重心の値などを用いることができる。それ以外の処理についてはX,Yパラメータの両方に対して調整を行う場合と同じように実行される。
また、S201、S210において作成されるテーブルAを構成するX、Yパラメータのペアは、X、Y両方のパラメータによって形成される2次元空間内において、直線上に並ぶ条件としてもよい。この場合、調整によって得られる結果は、前述の2次元空間内における単一のベクトル軸上における最適条件を求めることに相当する。
図9は、評価画像の非点収差補正XYパラメータペアと、評価値との関係例を示すグラフである。グラフ内の点は、それぞれ、評価画像の非点収差補正XYパラメータ値ペアと計算された評価値とを示す。曲線は評価画像の評価値(点)に対してフィッティングされたフィッティング関数(二次元ガウシアンにオフセットを加えたもの)である。
制御システム42は、フィッティングされたフィッティング関数において、最大の評価値に対応する非点収差補正XYパラメータ値ペアを特定し、この非点収差補正XYパラメータ値ペアを非点収差が最も小さい最適な非点収差補正XYパラメータ値ペアと決定する。
フィッティング関数を使用することで、少ない評価画像から適切な非点収差補正XYパラメータ値ペアを決定することができる。他の例において、制御システム42は、フィッティング関数を使用することなく、最大の評価値、もしくは最大の評価値とそれに対応する条件に対してパラメータ空間内で近接する条件の評価値から求まる平均値、あるいは複数のパラメータ条件とその評価値から求めた重心、内挿によって得た最大値に対応する非点収差補正XYパラメータ値ペアを最適対物電流値と決定してもよい。
制御システム42は、非点収差補正を行った後または行う前にフォーカス調整を行ってもよい。制御システム42は、例えば、非点収差補正を行って最適非点収差補正XYパラメータ値ペアを決定する。制御システム42は、非点収差補正装置14を最適非点収差補正XYパラメータ値ペアに設定し、フォーカス調整を行う。
制御システム42は、非点収差補正とフォーカス調整を、交互に、繰り返し行ってもよい。制御システム42は、非点収差補正において、直前のフォーカス調整で決定された最適条件にSEM装置50またはSTEM装置51を設定する。また、制御システム42は、フォーカス調整において、直前の非点収差補正で決定された最適条件にSEM装置50またはSTEM装置51を設定する。非点収差補正とフォーカス調整の回数は設計、もしくは観察条件や目標とする調整精度、調整を開始した時点における装置の状態に依存する。
制御システム42は、非点収差補正において非点収差補正XYパラメータのいずれか一方に対する調整と、もう一方に対する調整を任意の回数だけ交互、もしくは任意の順序で繰り返し行ってもよい。さらに制御システム42は、非点収差補正において非点収差補正XYパラメータのいずれか一方に対する調整と、もう一方に対する調整と、フォーカス調整を任意の順序で任意の回数だけ繰り返し行ってもよい。
例として、制御システム42はフォーカス調整を実施したのちに非点収差補正において非点収差補正XYパラメータのいずれか一方のパラメータに対する調整を実施したのち、もう一方のパラメータに対する調整を実施し、そののち再度フォーカス調整を実施する。これにより、個々の調整で用いる評価条件の数を削減し、調整完了に要する時間を短縮することができる。
他の例において、制御システム42は、非点収差補正とフォーカス調整を同時に行ってもよい。これにより、調整精度の向上、調整が失敗する可能性の低減、調整時間の短縮などの効果が得られる。制御システム42は、異なる対物レンズ電流値のそれぞれにおいて、異なる非点収差補正XYパラメータ値ペアの画像(観察画像)を撮像し、対物レンズ電流値及び非点収差補正XYパラメータ値ペアと共に記憶装置に格納する。
制御システム42は、記憶装置内の観察画像(評価画像)それぞれの評価値を計算する。図10は、評価画像の対物レンズ電流、非点収差補正XYパラメータペア、及び評価値の関係例を示すグラフである。グラフにおける円の大きさが、評価値を示す。円が大きい程、評価値が高い。
制御システム42は、予め設定されているフィッティング関数により、対物レンズ電流値及び非点収差補正XYパラメータ値ペアの組み合わせと、評価値と、の間の関係を決定する。フィッティング関数は、例えば、3次元ガウシアンや3変数の多項式である。制御システム42は、フィッティングされた関数が示す評価値の最大値と、それに対応する対物レンズ電流値及び非点収差補正XYパラメータ値ペアの組み合わせを与え、最適条件と決定する。制御システム42は、フィッティング関数を使用することなく、最大の評価値に対応する対物レンズ電流値及び非点収差補正XYパラメータ値ペアの組み合わせ、もしくは最大の評価値に対応する条件に近接する複数の条件に対する平均条件、もしくは重心に対応する条件を、最適条件と決定してもよい。
上記例において、制御システム42は、予め定められている複数の設定条件で評価画像を取得した後に、それらの評価値から最適条件を決定し、当該条件にSEM装置50またはSTEM装置51を設定する。これと異なり、制御システム42は、特定の条件における観察画像の評価を行った後に、次に調整のための観察画像を取得する条件を決定してもよい。
具体的な例としては、直前のパラメータ値の変更に対する評価値の変化量が典型的な値と比べて小さい場合は次に調整のための観察画像を取得する条件を大きくパラメータ値を変化させたものとし、逆に評価値の変化量が大きい場合には次に調整のための観察画像を取得する条件を小さくパラメータ値を変化させたものとするなどが挙げられる。これにより、最適条件から大きく外れた条件のような像の変化の少ない条件での像取得数を減らして評価時間を短縮し、像が変化しやすい最適条件付近での像取得数を増やすことで評価制度を向上させることができる。
また、非点収差補正Xパラメータと非点収差補正Yパラメータの二つによって構成される2次元空間、もしくは非点収差補正Xパラメータと非点収差補正Yパラメータと対物レンズ電流値をはじめとしたフォーカス調整パラメータによって構成される3次元空間、もしくは対物レンズ電流値をはじめとしたフォーカス調整パラメータによって構成される1次元空間内において、最急降下法や共役勾配法など、一般に知られる最適化問題を解くための各種アルゴリズムを用いて効率的に最適条件を求めることも可能である。なおこの際は評価値の逆数を新たな評価値として用いるなどの方法を併用することができる。
また、制御システム42は、対物レンズ電流値及び非点収差補正XYパラメータの3つで構成される一つの条件について評価画像を取得し、評価値を求め、その直前のいくつかの評価結果、もしくはそれまでのすべての評価結果と比較を行い、より評価値が大きくなることが期待される条件を求め、次の評価条件としてもよい。
例としては、4つの独立した条件に対して評価画像を取得し、評価値を求め、それぞれの条件と評価値の差から求まる、対物レンズ電流値及び非点収差補正XYパラメータの3つのパラメータで構成される3次元空間内における評価値の勾配を求め、最も勾配が大きく、評価値の変化が正となる方向に対して一定の距離だけ進んだ地点を新たな観察条件としてもよい。
もしくは、2つ以上の独立した条件に対して評価画像を取得し、評価値を求め、対物レンズ電流値及び非点収差補正XYパラメータによって構成される3次元空間内において内挿を行うことで新たな評価条件を求めてもよい。
フォーカス調整の例を説明する。制御システム42は、複数の対物レンズ電流値における観察画像を取得する。この際に使用する複数の対物レンズ電流値は、現在の電流値、または試料にフォーカスが合うことが期待される対物レンズ電流値、例えば装置にとって標準的な位置に試料が置かれた際にフォーカスする電流値、の前後の対物レンズ電流値が使用される。
例として、対物レンズ電流値を6.5Aとした際にフォーカスが合う試料位置を標準的な試料の位置とする装置においては、制御システム42は、6Aから7Aの範囲において、0.2A間隔で六つの対物レンズ電流値を選択する。制御システム42は、それら観察画像それぞれの評価値を決定し、最も評価値が大きい対物レンズ電流値を決定する。なお、前述の標準的な試料位置を定義する際に使用される対物レンズ電流値は、装置の加速電圧に応じて大きく異なる値となるが、その際も基準となる電流値を変更するほかは同様の手順によって像が取得される。
制御システム42は、観察画像を取得した対物レンズ電流値において、最も評価値が大きい対物レンズ電流値の前後の対物レンズ電流値を決定する。制御システム42は、最も評価値が大きい対物レンズ電流値の前後の対物レンズ電流値の範囲内において、新たな複数の対物レンズ電流値における観察画像を取得する。
例えば、前回よりも狭い電流値の範囲内において、前回よりも小さな電流値の間隔で複数の像が取得される。制御システム42は、新たに得られた複数の観察画像の評価値において、最大の評価値を決定する。なお、前述の最大の評価値を求める方法としては、単純な最大値のほか、得られた評価値と対物レンズ電流値の関係に対するフィッティング、もしくは内挿によって得られる、評価値が最大となると思われる条件を使用することも可能である。
制御システム42は、例えば上記処理を規定回数繰り返し、最後の最大評価値の対物レンズ電流値を最適値と決定し、対物レンズ20の電流を当該電流値に設定する。制御システム42は、他の条件に基づき処理を終了するか判定してもよい。例えば、前回からの評価値の変化が規定値未満である、または、得られた評価値の大きさが装置の性能などに基づいて定められた規定値を上回る、または、対物レンズ電流値の範囲、もしくは像取得を行う複数の電流値の間隔が既知値未満である場合、制御システム42は、新たな観察画像の取得を終了する。
また、フォーカス調整においても、前述したように制御システム42は特定の条件における観察画像の評価を行った後に、次に調整のための観察画像を取得する条件を決定してもよいことは明らかである。この場合においても、対物レンズ電流値の値に関して、評価値を最大とするように、最急降下法や共役勾配法など一般に知られる最適化問題を解くための各種アルゴリズムを用いて効率的に最適条件を求めることも可能である。なお、この場合においても、評価値の逆数を新たな評価値として用いるなどの方法を併用することができる。
また、制御システム42は、対物レンズ電流や非点収差補正XYパラメータペアの他、コマ収差、様々な次数の非点収差、あるいは光学系を構成するレンズの焦点距離や偏向器の偏向量、多極子場の強さなど、像に対して変化を与える様々な調整パラメータについても、上述のように設定することができる。
[装置調整のユーザ支援]
上記例において、制御システム42は、自動的に、SEM装置50またはSTEM装置51の調整パラメータの値を決定する。以下に説明する例において、制御システム42は、オペレータによるSEM装置50またはSTEM装置51の調整を支援する。具体的には、制御システム42は、表示画像の評価値、あるいは評価値に対応して変化する画像を、当該表示画像と共に表示する。
図11は、オペレータに拠る装置調整を支援する方法例のフローチャートである。制御システム42は、試料21の現在の観察画像(ライブ画像)を取得する(S251)。制御システム42は、取得した画像を評価画像として、複数のレベルでの評価値を計算する。具体的には、図7を参照して説明したように、レベル1の横評価値511、縦評価値512及び総合評価値513、並びに、レベル2の横評価値521、縦評価値522及び総合評価値523を計算する。
さらに、制御システム42は、レベル2のLL成分の変換画像424の二次元離散ウェーブレット変換を行う(S255)。これにより、四つのレベル3ウェーブレット変換画像が得られ、それぞれ、3HL成分の変換画像431、3LH成分の変換画像432、3HH成分の変換画像433、及び3LL成分の変換画像434である。
制御システム42は、3HL成分の変換画像431においてウェーブレット変換係数の絶対値の最大値を選択し(S256)、レベル3の横評価値531を得る。制御システム42は、3LH成分の変換画像432においてウェーブレット変換係数の絶対値の最大値を選択し(S257)、レベル3の縦評価値532を得る。制御システム42は、横評価値531及び縦評価値532の積を計算して(S258)、レベル3の評価画像の評価値(L3縦横評価値)533を決定する。評価画像の評価値533の計算方法は、評価値513及び523と同様または異なる。
制御システム42は、レベル1、レベル2及びレベル3の縦横評価値513、523及び533の積を計算し(S260)、総合評価値550を得る。制御システム42は、レベル1、レベル2及びレベル3の横評価値511、521及び531の積を計算し(S261)、横総合評価値551を得る。制御システム42は、レベル1、レベル2及びレベル3の縦評価値512、522及び532の積を計算し(S262)、縦総合評価値552を得る。制御システム42は、ライブ画像と共に、計算した総合評価値550、横総合評価値551、及び縦総合評価値552を画面に表示する(S265)
図12Aは、制御システム42の表示装置が表示する画像の例を示す。表示装置は、ライブ画像470と、当該ライブ画像470の評価情報480とを表示する。評価情報480は、総合評価値550、横総合評価値551、及び縦総合評価値552に加え、ライブ画像470の対物レンズ電流値を含むほか、調整を行う上での目標となる目安値、および縦総合評価値と横総合評価値の比、およびそれらをもとに所定の計算方法によって得られた換算値を含む。
前述の目安値の求め方は装置や条件に応じて適した方法とすることができ、例としては観察像において1画素もしくはそれ以下の大きさの構造に対して平均的なコントラスト変化量から見積もられる評価値、あるいは当該条件における分解能をはじめとした装置性能から見積もられる評価値、あるいは同一の観察視野や同一の観察試料において、調整対象とする対物レンズ電流量もしくは非点補正パラメータのみを変化させて得られた複数の評価値の中で最大のものや最大値付近の複数の評価値の平均値などを使用することが挙げられる。
前述の換算値の求め方は、例えば縦横比の値から1を引いた数値が比を用いることができる。この場合、非点収差が適切に調整された条件において期待される比の値である1に対応する条件を0、そこから条件が変化した条件を正負の数字で示し、ユーザーは換算値が0となるように調整を行うことができる。そのほか、事前に複数の条件に対して評価を行うことで求めた最適条件における縦総合評価値と横総合評価値の比や、それを基準として求められる差分値、もしくは最適条件における縦総合評価値と横総合評価値それぞれを基準として求まる縦総合評価値と横総合評価値の相対値の積や和などを用いることができる。
また、図12Bに示すように評価情報480はライブ画像470の上の任意の位置に重ねて表示されてもよい。
図12Cは総合評価値550を異なる形で画面に表示する場合の例を示したものである。画像12CAは横に長い表示領域を用いて総合評価値550の大きさを示すものであり、表示領域内の横方向の位置は総合評価値550の大きさに対応している。この例では表示領域内の色が2色またはそれ以上の数の色で塗り分けられており、それらの面積の比率もしくは差によって総合評価値550の大きさを示す。
具体的には、表示領域の左側と右側は任意の二色で塗り分けられており、総合評価値550が大きくなるほど、左側の色で塗られた領域が右側に対して広がり、その比率が大きくなる。表示領域の中には、装置の性能や条件によって定まる所定の状態に対応する総合評価値550の大きさに対応する目安値を示す指示表示や線が表示されていてもよい。
また画像12CBは画像12CAを縦に長い表示領域を用いて表し、現在値を指示部もしくは線によって表したものである。また画像12CCは画像12CAにおいて目安値を表示領域内の色の分布によって示したものであり、例としては目安値の左側と右側は異なる色で塗られており、ユーザーは現在値の表示される位置がどちらの色の領域であるかによって現在の状態を所定の状態と比較する。画像12CDは画像12CCを縦に長い表示領域を用いて表したものである。
なお、画像12CC及び12CDにおいてはこれを表示する色の数は2色に限るものではなく、単色を含むどのような数の色で塗られていてもよい。また、画像12CA~12CDに示した例を構成する要素は一部を省いても、そのほかの要素を加えても同等の効果を得られる。また画像12CA~12CDにおいてその左右、上下、は反転したものでもよいほか、任意の角度に回転させたものであっても同等の効果を得られる。ユーザーはこれらの例に示された表示の変化によって現在の装置の状態、もしくはそこから求められる総合評価値550の大きさを認識し、装置を適切な状態に調整することができる。
図12Dは総合評価値550を異なる形で画面に表示する場合の例を示したものである。画像12DAは円形の表示領域を用いて総合評価値550の大きさを示すものであり、表示領域の中心位置を原点とした際に表示が行われる方向が総合評価値550の大きさを示している。この例では下向きは原点となっており、総合評価値が最小もしくは最大となる条件に対応する。総合評価値550が大きくなるほど、現在値に対応した指示部もしくは線は原点から時計回りに回転していく。その際、原点から現在値までの角度領域が異なる色で塗られてもよく、示領域の中には、装置の性能や条件によって定まる所定の状態に対応する総合評価値550の大きさに対応する目安値を示す指示表示や線が表示されていてもよい。
また、画像12DBは画像12DAの例において現在値が最低値となっている場の例を、画像12DCは画像12DAの例よりも総合評価値550が大きくなった状態の例を示したものである。また画像12DDは画像12DCと同じ状態を別の方法で表示したものであり、表示領域は目安値を境目として二色で塗り分けられている。現在値は指示部もしくは線によって示されており、ユーザーは現在値の表示される位置がどちらの色の領域であるかによって現在の状態を所定の状態と比較する。
なお、いずれの例においても総合評価値550の変化に対する現在値の表示の変化方法は、時計回りでなく反時計回りでもよい。また表示に用いられる色の数は2色に限るものではなく、単色を含むどのような数の色で塗られていてもよい。また、画像12DA~画像12DDに示した例を構成する要素は一部を省いても、そのほかの要素を加えても同等の効果を得られる。また画像12DA~画像12DDにおいてその左右、上下、は反転したものでもよいほか、任意の角度に回転させたものであっても同等の効果を得られる。ユーザーはこれらの例に示された表示の変化によって現在の装置の状態、もしくはそこから求められる総合評価値550の大きさを認識し、装置を適切な状態に調整することができる。
図12Eは総合評価値550を円形のマークで画面に表示する場合の例を示したものである。行12EAは総合評価値550の大きさを円形領域内の色で表示するものであり、総合評価値550の大きさに応じて円形領域内の色の彩度もしくは明度もしくは色相などが変化する。行12EBは総合評価値550の大きさを円形領域の大きさによって表すものであり、総合評価値550の変化に応じて円形領域の半径が変化する。
行12ECは総合評価値550の値に応じて円形領域の大きさと色の両方が変化する例を示したものである。行12EDは総合評価値550の大きさを複数の円を同心円状に重ねたマークで示したものであり、総合評価値550が大きくなるほど、マークを構成する円の数は増え、その半径は大きくなる。
行12EEは総合評価値550の大きさを色の異なる円を重ねたマークで示すものであり、総合評価値550が大きくなるほどマークを構成する円の数は増え、その半径は大きくなる。ユーザーはこれらの例に示された円形のマークの変化によって現在の装置の状態、もしくはそこから求められる総合評価値550の大きさを認識し、装置を適切な状態に調整することができる。
図12Fは非点収差補正の状態を円形のマークで画面に表示する場合の例を示したものである。制御システム42は観察画像から得られた横評価値、縦評価値、もしくはそれよりも前に得られた非点収差補正XYパラメータの最適値と現在の非点収差補正XYパラメータの差などから得られる最適値と現在の状態の相対的あるいは絶対的な差によって求められる、二方向に対する調整具合の指標を表す。
行12FAは前記二方向に対する調整具合の指標を楕円の長軸と短軸の長さとして表すものである。行12FBは前記二方向に対する調整具合の指標を長さが独立して変化する二本の線それぞれの長さとして表すものである。行12FCは行12FBにおいて二本の線の交点の位置を線の端とし、線を矢印として示した例である。行12FDは前記二方向に対する調整具合の指標を四角形の縦と横それぞれの長さに対応させて表したものである。
行12FEは原点を示す表示部、ここでは円の周囲それぞれの方向に対して前記二方向に対する調整具合の指標を線を並べた表示の幅もしくは高さとして表すものである。行12FFは前記二方向に対する調整具合の指標を、二つの交わった四角形のそれぞれの幅および高さの変化によって表すものである。ユーザーはこれらの表示を確認し、その表示が縦横方向に対して等方的になるように装置を調整することにより、装置の非点収差を適切な状態に調整することができる。
図12Gはフォーカス調整の状態もしくは非点収差補正の状態を画面に表示する場合の例を示したものである。画像12GAはフォーカスもしくは非点収差補正のXもしくはYパラメータの一方について、最適条件に対する現在の状態の相対的な状態を1軸上に示すものである。この際の最適条件は、過去に行った調整や過去にユーザーが操作して得られた画像および総合評価値550と対応する条件から見積もられるものであり、そこからのフォーカスもしくは非点収差補正のXもしくはYパラメータの差、もしくは総合評価値550の値によって求められる相対差を軸上に丸い表示で示す。
画像12GBは画像12GAにおいて現条件を三角形の指示部で示したものである。画像12GCは画像12GAにおいて現条件を線で表したものである。画像12GDは非点収差補正の状態について、最適条件に対する現在の状態の相対的な状態を2軸上に示すものである。この際の最適条件は、過去に行った調整や過去にユーザーが操作して得られた画像および総合評価値550と対応する条件から見積もられるものであり、そこからの非点収差補正のXもしくはYパラメータの差を、原点に対する位置として表す。
また、制御システム42は過去に行った補正処理、もしくはユーザーが過去に操作した条件とその際に得られた総合評価値550の値を用いることで図5もしくは図9に対応する図を表示装置に示し、さらにそこに現在の観察条件を示す表示を合わせて示すことにより、ユーザーが現在の状態を認識することを補助することもできる。
オペレータは、表示されている評価情報480を参照しながら、制御システム42を介してSEM装置50またはSTEM装置51の対物レンズ電流値、もしくは収差補正パラメータをはじめとした、各種制御パラメータを調整し、最適な条件を見付けることができる。
ライブ画像の評価値の計算方法は、上記例と異なっていてもよく、例えば、単一レベルの評価値が使用されてよいほか、取得した複数レベルでの評価結果のうち、最もレベルの高いもの、もしくは低いものを除いた全てのレベルの結果を使用する、あるいは評価を行う条件に応じた任意の複数レベルの評価結果のみを使用してもよい。複数レベルの評価値を計算する場合、そのレベルの数は必要に応じて変えることができ、多くの場合においては評価画像を構成する画素の数によって定まる最大値以下の範囲で任意の数とすることができる。制御システム42は、対物レンズ電流の他、非点収差補正X、Yパラメータペア及び他の調整パラメータのための評価情報も、同様に表示することができる。
[試料形状情報の提示]
以下において、評価値を使用して試料の表面構造を特定し、その情報を提示する方法を説明する。一次電子線が試料表面のある位置にフォーカスされている場合、対物レンズ電流値は、試料のその位置における表面高さに対応する。試料表面上の位置のそれぞれに一次電子線がフォーカスする対物レンズ電流値を測定することで、試料表面の形状(凹凸形状や湾曲等)の情報を得ることができる。
図13は、試料表面の形状を測定する方法のフローチャートである。制御システム42は、対物レンズ20の電流値を予め設定されている開始値に設定する(S301)。制御システム42は、試料21の観察画像(評価画像)を取得し、対物レンズ20の現在の電流値と共に、記憶装置に格納する(S302)。制御システム42は、取得画像を各個別領域に分割した複数の像、もしくは各個別領域以外をマスクした複数の像を生成する。(S303)。制御システム42は、観察画像の位置それぞれの評価値を計算する(S304)。制御システム42は、観察画像上の各個別領域における評価値の分布(位置と評価値の関係)を、記憶装置に格納する。評価値の計算は、上記例のいずれの方法であってもよい。
制御システム42は、対物レンズ20の現在の電流値が、予め設定されている終了値であるか判定する(S305)。対物レンズ20の現在の電流値が終了値ではない場合(S305:NO)、制御システム42は、所定値だけ対物レンズ20の電流値を変更する(S306)。さらに、制御システム42は、ステップS302に戻る。
対物レンズ20の現在の電流値が終了値である場合(S305:YES)、制御システム42は、記憶装置に格納されている観察画像上の各個別領域における対物レンズ20の電流値と評価値との間の関係を決定する(S307)。上述のように、制御システム42は、例えば、ガウシアンや多項式のフィッティング、もしくはラグランジュ補完、エルミート補完、スプライン補完などの補完を行うことで対物レンズ20の電流値と評価値との間の関係を決定する。
制御システム42は、ステップS307で決定した各個別領域における対物レンズ20の電流値と評価値との間の関係から、各個別領域において評価値が最大となる対物レンズ20の電流値を決定する(S308)。
制御システム42は、各個別領域における評価値が最大となる対物レンズ20の電流値から、各個別領域の高さを計算する(S309)。制御システム42は、対物レンズ20の電流値と高さとの関係を定義する情報を予め保持し、その情報を参照して高さを決定する。これにより、試料表面における高さの分布が得られる。制御システム42は、試料表面の各個別領域の高さを示す画像を生成し、表示装置において表示する(S310)。
図14は各局所領域におけるフォーカスの合う条件に基づき試料の各領域の高さを画面に表示する場合の例を示したものである。画像14Aは立体構造を持った試料の外観を示したものである。試料は複数の高さを持った部分で構成されており、試料上面で等しい高さを持ったそれぞれの領域を領域A、領域B、領域Cを持つ。
画像14Bは画像14Aで示した試料を上方向(画像14Aに示したZ軸で負の方向)から観察して得られる像の例を示したものである。観察して得られる像はその視野内に領域A,領域B、領域Cをそれぞれ含んでいるものの、単独の像からではそれぞれの領域の高さの違いを区別することはできない。
この領域の観察像を、観察に用いる対物レンズの電流値、あるいはそれに対応するフォーカスの位置を変えた複数の条件それぞれで取得する。得られた各像を画像14Cに示すように、領域A1~A3、B1~B3、C1~C3分割し、それぞれの領域において先に述べた方法で像の評価値を計算する。各領域において求めた評価値とその像を取得した際の対物レンズの電流値、あるいはそれに対応するフォーカスの位置との対応関係を求めると、図6A,6Bで既に示したような対物レンズ電流値と評価値の関係が得られる。
この中で最も評価値が高くなる条件、あるいは最大値近辺の結果に対して内挿を行って得られる最大値に対応する条件、もしくは前述の対物レンズ電流値と評価値の関係に対して関数をフィッティングして得られた最大値に対応する条件に対応する対物レンズ電流値の値を求めることができる。得られた対物レンズ電流値はフォーカスの位置に対応するため、像内のそれぞれの局所領域におけるフォーカスの位置の相対的な分布を得ることができる。それぞれの領域におけるフォーカスの位置は、観察像がSEM像であった場合、試料表面の高さに対応するため、得られたフォーカスの位置の分布を換算することで、試料の3次元構造を得ることが可能である。
画像14Dは画像14Aに示した試料に対して求めた、像内の高さ分布を色の違いとして示した例である。領域A、領域B、領域Cはそれぞれの領域内は等しい高さとなっているため、同じ色で示されており、各領域どうしはそれぞれ異なる高さであるため、異なる色で示されている。画像14Eは画像14Dに示した試料の高さ分布を3次元の立体的な構造として画面上に示した例である。画像14Dに示した2次元分布による表示と比べ、ユーザーは試料の立体的な構造をさらに認識しやすくなるほか、表示された構造内の任意の部分を選択することで、選択された部分の3次元空間における座標の情報を評価することなどが可能となる。
図15A、15B及び15Cは観察像から評価値を得る他の例を示したものである。図15Aは観察像の例を示したものである。図15Bは図15Aに対して1方向の離散ウェーブレット変換を行い、得られた第1の係数の絶対値のヒストグラムをグラフにしたものである。グラフの横軸は係数の絶対値の大きさ、縦軸は各大きさの係数の発生回数を示している。
ここで、符号15B1は観察像から得られた係数の中で最も大きな係数に対応する部分を示し、得られた係数の絶対値の最大値を求めることは、このようなヒストグラムの端の値を求めることと等しい。また符号15B2は観察像から得られた係数の中で2番目に大きな係数に対応する部分を示し、また符号15B3は観察像から得られた係数の中で3番目に大きな係数に対応する部分を示す。
多くの場合において、観察像は様々な細かさの構造を含むため、このようなヒストグラムは連続的な分布を示すことが多く、像に対してフォーカスが合った状態、あるいは非点収差が適切に調整された状態など、像により細かい構造が含まれる状態では、得られる係数は全体として大きくなる方向に変化する。
この際、符号15B1で示した係数の最大値のほか、符号15B2、15B3で示した2番目、3番目に大きな係数の値もそれぞれ大きくなる。したがって、係数の最大値以外にも、2番目、3番目に大きな係数の値といった、大きさに関する順序の中で指定された順位に対応する数値であっても像の評価値として使用することができる。また、前述のように像により細かい構造が含まれる状態では、得られる係数は全体として大きくなる方向に変化する。そのため、得られた係数の平均値、あるいは総和の値についても同様に像の評価値として使用することができる。
図15Cは図15Bに示した係数のヒストグラムに対して、関数をフィッティングした結果を示したものである。符号15C1に示す破線のグラフはフィッティングによって得た関数を示したものであり、符号15C2に示す点はフィッティングによって得た関数の値が0となる部分(横軸と交わる部分)を外挿することで求めた結果に対応する点である。
前述のように像により細かい構造が含まれる状態では、得られる係数は全体として大きくなる方向に変化し、ヒストグラムは右側に広がるように変化するため、それに対してフィッティングした関数の傾きといった係数、あるいはフィッティングした関数から求まる、符号15C2に示すような値が0(横軸と交わる部分)となる点を求め、その時の横軸の大きさの値などを係数の大きさとみなし、像の評価値として使用することができる。
[評価値の他の計算方法]
以下において、ウェーブレット変換と異なる変換により評価値を決定する方法を説明する。まず、窓付きフーリエ変換による評価値の計算方法を説明する。窓付きフーリエ変換では一般に、評価対象に対して窓関数を適用し、局所領域の情報のみを選択したうえでフーリエ変換を行う。この際の窓関数の例としては2次元ガウシアン窓が挙げられ、これは以下のW(x、y)のように表される。
ここでx0、y0はそれぞれ窓関数によって選択される局所領域の中心のX,Y座標を表し、σは窓関数の広がりに対応するパラメータとなる。このほか、窓関数としてはハニング窓、ハミング窓、カイザー窓、矩形窓などの一般的に知られる窓関数を用いることが可能である。
評価画像(M×Nピクセル)をI(x、y)として表す。ここで0≦x≦M-1、0≦y≦N-1である。窓関数を適用した後の像をf(x、y)とすると、評価画像への窓関数の適用は以下のように表される。
なお、ここでW(x、y)が0となる領域についてはf(x、y)を構成する領域から除外してもよく、W(x、y)が0とならないすべての領域を含む最小の矩形領域のみをf(x、y)として使用することも可能である。
局所領域の情報に対応する、f(x、y)(M×Nピクセル)評価方法を説明する。ここで、0≦x≦M-1、0≦y≦N-1である。横方向1次元離散フーリエ変換は以下のように表される。
縦方向1次元離散フーリエ変換は以下のように表わされる。
ここで、以下のようにH(u、y)及びV(x、v)に対して、スペクトル関数S(r)を定義する。
スペクトル関数S(r)それぞれについて、例えば、以下に示す条件(A)から(C)のいずれかによって得られる値を、当該領域における横評価値及び縦評価値として使用することができる。
(A)S(r)=S(0)/e(eは自然対数の底であるネイピア数)となるrのうち、最小のr。
(B)S(r)=S(0)/C(Cはあらかじめ定められた定数)となるrのうち、最小のr。
(C)S(r)におけるrを0≦r≦lC-1とした場合に、以下に定義されるrの各範囲pにおける積分値T(p)のうち、T(l)または予め定められた閾値ptに対応するT(pt)。
なお、上記で用いたS(0)はスペクトル関数S(r)のうち、rが相対的に小さい領域に対応するものであれば同等の効果を得ることができ、例としてはrの最大値に対して5%以下となるすべてのrにおけるS(r)の平均値や、その値からS(0)のみを除いた値などを用いることも可能である。
以上のように、評価画像の部分領域の横評価値及び縦評価値を決定できる。制御システム42は、例えば、表画像の全ての部分領域の横評価値及び縦評価値を決定し、それらから最大の横評価値及び最大の縦評価値を選択することで、評価画像の横評価値及び縦評価値を決定できる。また、上記〔数14〕においてpは幅を持った特定の空間周波数帯を表すため、先に述べたウェーブレット変換におけるレベルに似た特徴を持つ指標となる。このことから、本手法において窓付きフーリエ変換をウェーブレット変換の代替手段として使用する場合、pをウェーブレット変換におけるレベルの代替パラメータと使用することが可能である。
次に、窓付き離散コサイン変換によって評価値を計算する例を説明する。この場合、先に述べた窓付きフーリエ変換による評価値の計算方法と同様に、一般的に評価対象に対して窓関数、例としてはW(x、y)〔数9〕を適用し、それによって得られる局所領域の情報のみを選択した像f(x、y)〔数10〕に対して処理を行うことで行われる。
局所領域の情報のみを選択した像f(x、y)(M×Nピクセル)に対する評価値の計算方法を説明する。ここで、ここで、0≦x≦M-1、0≦y≦N-1である。横方向1次元離散コサイン変換は以下のように表される。
縦方向1次元離散コサイン変換は以下のように表わされる。
CuCvは、以下のように表わされる。
ここで、以下のようにH(u、y)及びV(x、v)に対して、スペクトル関数S(r)を定義する。
スペクトル関数S(r)それぞれについて、例えば、以下に示す条件(A)から(C)のいずれかによって得られる値を、当該領域における横評価値及び縦評価値として使用することができる。
(A)S(r)=S(0)/e(eは自然対数の底であるネイピア数)となるrのうち、最小となるr。
(B)S(r)=S(0)/C(Cはあらかじめ定められた定数)となるrのうち、最小となるr。
(C)S(r)におけるrを0≦r≦lC-1とした場合に、以下に定義されるrの各範囲pにおける積分値T(p)のうち、T(l)または予め定められた閾値ptに対応するT(pt)。
なお、上記で用いたS(0)はスペクトル関数S(r)のうち、rが相対的に小さい領域に対応するものであれば同等の効果を得ることができ、例としてはrの最大値に対して5%以下となるすべてのrにおけるS(r)の平均値や、その値からS(0)のみを除いた値などを用いることも可能である。
以上のように、評価画像の部分領域の横評価値及び縦評価値を決定できる。制御システム42は、例えば、表画像の全ての部分領域の横評価値及び縦評価値を決定し、それらから最大の横評価値及び最大の縦評価値を選択することで、評価画像の横評価値及び縦評価値を決定できる。また、上記〔数19〕においてpは幅を持った特定の空間周波数帯を表すため、先に述べたウェーブレット変換におけるレベルに似た特徴を持つ指標となる。このことから、本手法において窓付きフーリエ変換をウェーブレット変換の代替手段として使用する場合、pをウェーブレット変換におけるレベルの代替パラメータと使用することが可能である。
次に、微分フィルタの畳み込みによって評価値を計算する例を説明する。変換前の2次元画像(評価画像)(M×Nピクセル)をxy空間における関数f(x、y)として表わす。ここで、0≦x≦M-1、0≦y≦N-1である。関数f(x、y)に対してカーネルK(p、q)(0≦p≦l-1、0≦q≦m-1)を畳み込むことでられる結果は以下の通り。
カーネルK(p、q)として横方向の微分フィルタにより得られるC(j、k)の最大値を横評価値として使用できる。カーネルK(p、q)として縦方向の微分フィルタにより得られるC(j、k)の最大値を縦評価値として使用できる。微分フィルタの例は、例えば、一次微分フィルタ、Sobelフィルタ、Prewittフィルタを含む。
評価値の計算に対して、上記微分フィルタを含む、画像の細かさの情報を得る様々なフィルタ(ハイパスフィルタ)を適用することができる。このようなハイパスフィルタとして動作するカーネルは、その構成要素が複数の実数もしくは複素数である1次元ないし2次元(ないしN次元)の行列であり、これを構成する複数の数の実部もしくは虚部の係数として正と負両方の数を有する。
一方で全てが同じ符号を持つ要素で構成されるカーネルは基本的にローパスフィルタとして動作し、それで得られる情報はハイパスフィルタで得られる情報と相補的な関係にある。したがって、ローパスフィルタで得た情報をもとの情報から差し引くことによって、ハイパスフィルタで得られる係数と同等の係数を畳み込み無しで得ることができる。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、上記の各構成・機能・処理部等は、それらの一部または全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード等の記録媒体に置くことができる。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしもすべての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆どすべての構成が相互に接続されていると考えてもよい。