以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。各図面においては、同一または同等の部分に同一の符号を付している。
実施の形態1.
まず、本発明の実施の形態1について説明する。
<全体構成の説明>
図1に示すように、表示装置100は、表示される画像の画素となる光源を有する光源モジュール1と、光源モジュール1上に配置されるマトリクスレンズ2と、マトリクスレンズ2上に設置される遮光ルーバー3と、を備える。
図1では、光源モジュール1と、マトリクスレンズ2と、遮光ルーバー3とがそれぞれ分離された状態で図示されている。実際には、光源モジュール1、マトリクスレンズ2及び遮光ルーバー3は、互いに積層され、近接して配置される。
本実施の形態では、図1の左右方向をX軸方向とし、上下方向をY軸方向とし、光源モジュール1、マトリクスレンズ2及び遮光ルーバー3の積層方向をZ軸方向とする。表示装置100では、+Z方向に向けて画像が表示される。観察者は、+Z側からその画面を観察する。このため、Z軸方向を前後方向とする。
光源モジュール1は、光源モジュール1の基板である電子基板4と、光源である発光ダイオード5と、を備える。電子基板4は、矩形平板状の基板である。電子基板4の四辺のうち上辺及び下辺はX軸方向に沿って延びており、左辺と右辺はY軸方向に沿って延びている。
発光ダイオード5は、電子基板4の+Z面にマトリクス状に二次元配列されて実装されている。この発光ダイオード5の配列により、画像を表示する画面が形成される。電子基板4には、発光ダイオード5を駆動する駆動回路が形成されている。駆動回路は、上位装置から入力される画像情報に従って発光ダイオード5を駆動し、発光ダイオード5が画素として発光することにより画像が形成される。
マトリクスレンズ2は、全体として外形が光源モジュール1と同じ矩形平板状の透明の部材である。マトリクスレンズ2には、レンズ10aが設けられている。マトリクスレンズ2は、マトリクス状に二次元配列されたレンズ10aを一体成型したものである。レンズ10aは、電子基板4に実装された発光ダイオード5に一対一で対応する位置に設けられている。レンズ10aは、発光ダイオード5から出射した光を収束させる。
遮光ルーバー3には、レンズ10aから射出される光束を通す開口11が設けられている。開口11は、マトリクスレンズ2のレンズ10aに一対一で対応した位置に設けられている。開口11には、レンズ10aがはめ込まれる。
開口11の周囲には、マトリクスレンズ2に日射又は照明光が入射するのを防ぐための遮光部12、13が設けられている。遮光部12は、開口11の左右に設けられており、遮光部13は、開口11の上下に設けられている。
遮光部12、13は、光源モジュール1及びマトリクスレンズ2に外光が入射するのを防止する。さらに、遮光部12、13は、レンズ10a及びその周囲から外部へ不要な光が射出されるのを防止する。遮光部12、13により、レンズ10aから射出される光束が進む方向は一定の角度範囲に制限される。この角度範囲を視野角という。
<各構成要素の詳細>
表示装置100の構成要素について、より詳細に説明する。まず、光源モジュール1の発光ダイオード5について説明する。
図2Aに示すように、発光ダイオード5は、一般的に3in1LED(Light Emitting Diode)と呼ばれる表面実装型デバイスである。発光ダイオード5は、発光色が異なる発光素子5a、5b、5cと、発光素子5a、5b、5cが実装されるパッケージ6と、パッケージ6内の発光素子5a、5b、5cを封止する封止部材7と、を備える。発光素子5aは赤色光を発し、発光素子5bは青色光を発し、発光素子5cは緑色光を発する。
パッケージ6には、底面が平らな凹部が設けられており、凹部に発光素子5a、5b、5cが実装されている。発光素子5a、5b、5cは、パッケージ6内において、一列に離間して配列されている。本実施の形態では、発光素子5a、5b、5cの配列方向をb-b線方向とし、画面に平行な方向であって、b-b線方向に垂直な方向をa-a線方向とする。
封止部材7は、透明の樹脂で形成されており、発光ダイオード5の光学系を構成する。図2B及び図2Cに示すように、発光ダイオード5の封止部材7の光軸をCとする。封止部材7は、平板状となっているため、発光ダイオード5内の発光素子5a、5b、5cから射出される光束の主光線は、電子基板4の法線方向に進む。
図2Bに示すように、a-a線方向に関して、発光素子5a、5b、5cの位置は、光軸Cと同じである。図2Cに示すように、発光素子5bは、発光ダイオード5の光軸C上に配置されており、発光素子5a、5cは、光軸C外に配置されている。
図3に示すように、発光ダイオード5は、発光素子5a、5b、5cがY軸方向、すなわち上下方向に一列に配列されるように実装される。なお、図3では、発光素子5a、5b、5cをそれぞれ区別するため、発光素子5aを横線のハッチングで示し、発光素子5bを無地で示し、発光素子5cを縦のハッチングで示している。
隣接する発光ダイオード5同士では、発光素子5a、5b、5cの発光色の配列順が逆となっている。例えば、図3において、中央の発光ダイオード5では、上から発光素子5a、5b、5cの順に並んでいる一方、その左右上下の発光ダイオード5では、上から発光素子5c、5b、5aの順に並んでいる。この発光色の配列順は、隣接する発光ダイオード5同士を、互いに光軸Cを中心に180度反転して実装することで実現される。
図4A及び図4Bに示すように、発光ダイオード5の光軸Cは、レンズ10aの光軸AXと一致している。以下では、光軸AX及び光軸Cを単に、光軸AXと表す。なお、図4A及び図4Bでは、マトリクスレンズ2及び遮光ルーバー3の断面も示されており、表示装置100全体の断面が示されている。
図4Aに示すように、A-A線断面においては、レンズ10a内を光軸AXと平行に進む光線ILは、レンズ10aの光射出面42で屈折し、後側焦点FPA1で光軸AXと交差する。レンズ10aの後側主点H1から後側焦点FPA1までの距離が、レンズ10aの焦点距離FL1である。
図4Bに示すように、B-B線断面においては、レンズ10a内を光軸AXと平行に進む光線ILは、レンズ10aの光射出面42で屈折して、後側焦点FPB1で光軸AXと交差する。レンズ10aの後側主点H1から後側焦点FPB1までの距離が、レンズ10aの焦点距離FL2である。
図4A及び図4Bを比較するとわかるように、レンズ10aの光射出面42の形状は、互いに直交するA-A線断面とB-B線断面とで異なっている。この形状の違いにより、それぞれの断面における焦点距離FL1、FL2が異なるようになる。より具体的には、レンズ10aでは、発光ダイオード5の発光素子5a、5b、5cの配列方向に沿ったB-B線断面に関する焦点距離FL2が、発光素子5a、5b、5cの配列方向に直交する方向に沿ったA-A線断面に関する焦点距離FL1よりも長くなっている。これにより、レンズ10aの収束性は、A-A線方向がB-B線方向よりも強くなっている。ここで、収束性とは、光束を収束させる性能を示す。収束性が高いとは、物点から屈折光学系に入射した光線が光学系内部で屈折した場合に、その光線が、光軸AXにより近づく方向に進むことを意味する。
続いて、本実施の形態1に係る表示装置100の動作及び作用について説明する。図5に示すように、A-A線断面では、発光素子5bから射出された光束は、放射状に発散する発散光となって進んで行く。
図5では、その発散光のうち、主光線を光線IL1とし、主光線以外の光線を光線IL2、IL3として示している。主光線としての光線IL1は、光軸AX上を進み、光線IL2、IL3は、光軸AXを中心に互いに線対称となるように広がって進む。光線IL1、IL2、IL3は、レンズ10aを透過する。この際、光線IL1は、入射面41に垂直に入射しているため、そのまま光軸AX上を進む。一方、発光素子5bから射出された光線IL2、IL3は、レンズ10aの作用を受けて屈折する。
図5に示すように、光線IL2は、レンズ10aなしでは点線で示す方向に進むところ、レンズ10aにより光軸AXに近づく方向に屈折する。また、光線IL3は、レンズ10aなしでは点線で示す方向に進むところ、レンズ10aにより光軸AXに近づく方向に屈折する。このように、発光素子5bから射出された光束は、レンズ10aにより収束する。レンズ10aの収束作用により、この光束で形成される画像の輝度を高くすることができる。A-A線方向については、発光素子5a、5cから射出された光線IL1、IL2、IL3の進み方も、上述の発光素子5bから射出された光線IL1、IL2、IL3の進み方と同じである。
図6Aに示すように、B-B線断面では、発光素子5bから射出された光束は、放射状に発散する発散光となって進んで行く。図6Aでは、その発散光のうち、主光線を光線IL1とし、主光線以外の光線を光線IL2、IL3として示している。
主光線としての光線IL1は、光軸AX上を進み、光線IL2、IL3は、光軸AXを中心に互いに線対称となるように広がって進む。光線IL1、IL2、IL3は、レンズ10aの入射面41に入射する。入射した光は、レンズ10aの作用を受けて屈折し、レンズ10aの光射出面42から射出される。
光線IL2は、レンズ10aなしでは点線で示す方向に進むところ、レンズ10aにより点線よりも光軸AXに近づく方向に屈折して進む。光線IL3は、レンズ10aなしでは点線で示す方向に進むところ、レンズ10aにより点線よりも光軸AXに近づく方向に屈折して進む。
このように、B-B線断面において、発光素子5bから射出された発散光は、レンズ10aにより収束する。この収束作用により、発散光により形成される画像の輝度が高くなる。ただし、図6AのB-B線断面に関する光束の収束性は、図5に示すA-A線断面に関する光束の収束性よりも低くなっている。
また、図6Bに示すように、B-B線断面において、発光素子5aから射出された光束も放射状に発散する発散光となって進み、レンズ10aにより屈折し収束する。ただし、発光素子5aは光軸AX上にないため、発光素子5aから射出された主光線としての光線IL1は、レンズ10aの光射出面42から射出された後、レンズ10aの光軸Cと角度-αをなす方向に進行する。角度-αの大きさは、図4Bに示すレンズ10aの焦点距離FL1に依存し、焦点距離FL1が長いほど角度-αは0に近づく。
光線IL2は、レンズ10aなしでは、点線で示す方向に進むところ、レンズ10aにより、点線よりも光軸AXに近づく方向に屈折して進む。光線IL3は、レンズ10aなしでは点線で示す方向に進むところ、レンズ10aにより、点線よりも光軸AXに近づく方向に屈折して進む。このように、発光素子5aから射出された発散光は、レンズ10aにより収束する。この収束作用により、発散光により形成される画像の輝度が高くなる。ただし、図6BのB-B線方向に関する収束性は、図5に示すA-A線断面に関する光束の収束性よりも低くなっている。
さらに、図6Cに示すように、B-B線断面において、発光素子5cから射出された光束も放射状に発散する発散光となって進み、レンズ10aにより屈折して収束する。ただし、発光素子5cは光軸AX上にないため、主光線としての光線IL1は、レンズ10aから射出された後、レンズ10aの光軸Cに対して角度+αをなす方向に進行する。角度+αは、レンズ10aの焦点距離FL2に依存し、焦点距離FL2が長いほど角度+αは0に近づく。
また、光線IL2は、レンズ10aなしでは、点線で示す方向に進むところ、レンズ10aにより点線よりも光軸AXに近づく方向に屈折して進む。光線IL3は、レンズ10aなしでは点線で示す方向に進むところ、レンズ10aにより点線よりも光軸AXに近づく方向に屈折して進む。このように、発光素子5cから射出された発散光は、レンズ10aにより収束する。この収束作用により、発散光により形成される画像の輝度が高くなる。ただし、図6CのB-B線方向に関する収束性は、図5に示すA-A線断面に関する光束の収束性よりも低くなっている。
図7に示すように、B-B線方向に発光素子5a、5b、5cが配列されている場合、B-B線断面において、レンズ10aの光軸AX上にある発光素子5bから射出された光束は、光軸AX上を進む。レンズ10aの光軸AX上にない発光素子5a、5cから射出された光束は、レンズ10aで屈折し、主光線としての光線IL1は、光軸AXから離れるように進行する。
図8Aに示すように、A-A線方向に関して発光素子5a、5b、5cから射出される光束の光軸AXからの角度に対する輝度分布は、太い実線のようになる。図8Aにおいて、横軸は、レンズ10aの光軸AXからの角度[°]を示し、縦軸は、その角度[°]から見たときの光束の輝度[cd/m2]を示している。図8A以降の輝度分布では、横軸、縦軸の単位は、図8Aと同じである。A-A線方向では、発光素子5a、5b、5cから射出された光束は、揃った状態で収束している。このため、光軸AX上にある発光素子5a、5b、5cから射出された光束の輝度分布は、ほぼ一致しており、光軸AXに対して線対称となる。
図8Aでは、レンズ10aを除いた場合の発光素子5a、5b、5cから射出された光束の輝度分布も細い実線で示している。太い実線と細い実線とを比較すると、レンズ10aにより、光束の輝度が高められていることがわかる。また、発光素子5a、5b、5cの輝度分布が揃っているため、カラーシフトもほとんど生じていない。
図8Bに示すように、図3のB-B線方向のレンズ10aの射出光の輝度分布は、太い実線に示すようになる。B-B線方向では、光軸AX上にある発光素子5bから射出された光束の輝度分布は、光軸AXに対して線対称となる。
図8Bでは、レンズ10aを除いた場合の発光素子5bから射出された光束の輝度分布も細い実線で示している。太い実線と細い実線とを比較すると、レンズ10aにより、発光素子5bから射出される光束の輝度が高められていることがわかる。
なお、図8BのB-B線方向における発光素子5a、5b、5cから射出される光束の輝度分布の角度範囲は、図8AのA-A線方向の輝度分布の角度範囲よりも広がっている。B-B線方向の輝度分布の角度範囲が、A-A線方向の輝度分布より広がっているのは、図4A及び図4Bに示すように、レンズ10aにおいて、B-B線断面に関する焦点距離FL2の方が、A-A線断面に関する焦点距離FL1よりも長いためである。言い換えると、B-B線方向に沿ったレンズ10aによる光束の収束性が、A-A線方向に沿ったレンズ10bによる光束の収束性よりも低いためである。
図8Bに示すように、発光素子5a、5cから射出された光の輝度分布は、それぞれ発光素子5bの輝度分布を、角度±αの近傍にピークを持つように変形させたような分布となっている。このように、B-B線方向では、発光素子5a、5b、5cの光束の輝度分布が互いに大きく異なっているため、一組の発光ダイオード5及びレンズ10aのみでは、左右方向にカラーシフトが生じる。
図9に示すように、カラーシフトを改善するために、隣接する発光ダイオード5同士は、光軸AXに関して180度回転した向きで配置されている。このようにすれば、隣接する発光ダイオード5同士で、射出される光束の進み方および光束の輝度分布も180度反転する。
隣接する発光ダイオード5を180°逆向きとすることにより、発光ダイオード5における発光素子5a、5b、5cの並ぶ順番、すなわち配色順が逆となる。このため、表示装置100全体では、図10に示すように、発光素子5a、5cから射出された光束の輝度分布は、その偏りが相殺されて平均化され、発光素子5bから射出された光束の輝度分布に近似するようになる。これにより、カラーシフトが低減される。
ここで、各色の輝度分布の平均化によりカラーシフトを良好に改善することができるのは、図4A及び図4Bに示すように、A-A線方向に関する焦点距離FL1よりも、B-B線方向に関する焦点距離FL2を長くしている場合である。B-B線方向に関する焦点距離FL2を短くすると、レンズ10aで屈折する主光線としての光線IL1の光軸AXからの角度α、-αが大きくなる。
B-B線方向の焦点距離FL2を短くして、光線IL1の光軸AXからの角度αを大きくした場合には、図11に示すように、光軸AX上にない発光素子5a、5cから射出された光束の輝度分布の偏り度合いが大きくなりすぎる。偏り度合いが大きくなりすぎると、図12に示すように、表示装置100全体での各色の輝度分布にも偏りが残ってカラーシフトを改善することが困難になるうえ、光軸AX上の輝度が低くなり、表示される輝度を高めることも困難になる。
また、A-A線方向の焦点距離FL1自体を非常に長くすれば、B-B線方向の焦点距離FL2を焦点距離FL1より短くしてもカラーシフトを小さく抑制することができる。しかしながら、A-A線方向の収束性が低いため、表示される画像の輝度を高めるのが困難になる。A-A線方向の焦点距離FL1及びB-B線方向の焦点距離FL2は、輝度の高さ及びカラーシフトの抑制が適切に行われるように設定されるのが望ましい。
次に、より望ましいレンズの形状について説明する。上記実施の形態1では、発光素子5a、5b、5cとレンズ10aとの間の距離は同じであった。そこで、以下の実施の形態では、レンズの入射面41および光射出面42の凹凸の組合せを最適化することによって、レンズの前側焦点を移動させ、レンズから射出される光束の指向性を上げながら、カラーシフトの少ない良好な画像特性が得られる表示装置100が得られる。
実施の形態2.
本発明の実施の形態2について説明する。図13A及び図13Bに示すように、本実施の形態に係る表示装置100は、レンズ10aの代わりに、レンズ10bを備えている点が、上記実施の形態1に係る表示装置100と異なる。
レンズ10bは、図13Aに示すように、入射面41のA-A線方向に沿った面形状を平面とし、図13Bに示すように、入射面41のB-B線方向に沿った面形状を凹曲面としている。すなわち、本実施の形態では、発光素子5a、5b、5cからの光束を入射するレンズ10aの入射面41が、発光素子5a、5b、5cの配列方向に関して凹曲面となっている。
レンズ10bの焦点距離FL1、FL2は、上記実施の形態1に係るレンズ10aと同じである。レンズ10bは、焦点距離FL1、FL2を一定に保ちつつ、レンズ10aから入射面41の面形状を変形したものである。なお、焦点距離FL1、FL2を固定しつつ、入射面41の面形状を変形した場合、光射出面42もそれに合わせて変形する。
図13Aには、レンズ10bのA-A線方向に関する後側主点H1、後側焦点FPA1、前側主点H2及び前側焦点FPA2が示されている。前側主点H2と、前側焦点FPA2との距離が、焦点距離FL1となる。また、図13Bには、レンズ10bのB-B線方向に関する後側主点H1、後側焦点FPB1、前側主点H2及び前側焦点FPB2が示されている。前側主点H2と、前側焦点FPB2との距離が、焦点距離FL2となる。
レンズ10bは、図13A及び図13Bに示すように、A-A線方向の焦点距離FL1よりもB-B線方向の焦点距離FL2のほうが長くなっており、前側焦点FPA2よりも前側焦点FPB2の方がレンズ10bから遠い位置にある。また、発光素子5a、5b、5cは、光軸AXの方向に関して、レンズ10bの前側焦点FPB2とレンズ10bとの間に位置している。このため、発光素子5bから発せられ、レンズ10bから射出される光束は、拡散光となる。すなわち、B-B線方向においては、レンズ10bにおいても、B-B線方向の焦点距離FL2が長いことによる収束性の低さに加え、発光素子5a、5b、5cとレンズ10bとの間の距離の近さのため、その光射出面42から射出される光束の指向性が低くなっており、収束性がさらに低下する。
図13Bに示すように、レンズ10bでは、入射面41がB-B線方向に沿って凹曲面となっているため、後側主点H1、前側主点H2は、上記実施の形態1のレンズ10aと比べて光束の進行方向にシフトする。焦点距離FL2は入射面41が平面であるレンズ10aと同じであるため、前側焦点FPB2、後側焦点FPB1も光束の進行方向にシフトする。これにより、前側焦点FPB2とレンズ10bの凹曲面のレンズ頂点までの距離、すなわちバックフォーカスBF2はレンズ10aのバックフォーカスよりも短くなり、前側焦点FPB2は、発光素子5a、5b、5cに近づく。
図13Bに示すように、前側焦点FPB2が発光素子5a、5b、5cに近づけば、例えば発光素子5bから射出される光線IL2、IL3は、レンズ10bを経た後、光軸AXに近づくようになる。図13Bでは、レンズ10bによる光線IL2、IL3の光路が実線で示され、レンズ10aによる光線IL2、IL3の光路が点線で示されている。図13Bに示すように、レンズ10cによる光線IL2、IL3の光路が光軸AXに近づいており、より収束性が高まっているのがわかる。このことは、発光素子5a、5cから射出される光線IL2、IL3についても同様である。
このように、本実施の形態によれば、B-B線方向に関するレンズ10bによる収束性を高め、指向性の高い射出光を得ることができる。この結果、画像の輝度をさらに高めることができる。また、本実施の形態では、B-B線断面に関するレンズ10bの焦点距離FL2はレンズ10aと同じである。このため、B-B線断面の光軸AX上にない発光素子5a、5cから射出される主光線としての光線IL1の光軸AXに対する角度αはレンズ10aのときと同じである。したがって、レンズ10bにより、カラーシフトを増大させることはない。以上述べたように、本実施の形態によれば、レンズ10bの入射面41を凹曲面化することによって、カラーシフトを抑えつつ、画像の輝度をさらに高めることができる。
なお、本実施の形態では、レンズ10bの入射面41において、B-B線方向に関する面形状を凹曲面としたが、A-A線方向に関する面形状を凹曲面としてもよい。この場合には、入射面41のB-B線方向の凹曲面の曲率をA-A線方向の凹曲面の曲率よりも大きくすることによって、レンズ10bと同様の効果を得ることができる。
実施の形態3.
次に、本発明の実施の形態3について説明する。本実施の形態に係る表示装置100は、レンズ10aの代わりに、レンズ10cを備えている点が、上記実施の形態1に係る表示装置100と異なる。
レンズ10cは、図14Aに示すように、入射面41のA-A線方向に沿った面形状を凸曲面とし、図14Bに示すように、入射面41のB-B線方向に沿った面形状を平面としている。すなわち、本実施の形態では、発光素子5a、5b、5cからの光束を入射するレンズ10bの入射面の直交方向に沿った面形状が、凸曲面である。
レンズ10cの焦点距離FL1、FL2は、上記実施の形態1に係るレンズ10aと同じである。レンズ10cは、焦点距離FL1、FL2を一定に保ちつつ、レンズ10aに対して入射面41の形状を変形したものである。なお、焦点距離FL1、FL2を固定しつつ、入射面41の形状を変形した場合、光射出面42もそれに合わせて変形する。
レンズ10cは、図14A及び図14Bに示すように、A-A線方向の焦点距離FL1よりもB-B線方向の焦点距離FL2のほうが長くなっており、前側焦点FPA2よりも前側焦点FPB2の方がレンズ10bから遠い位置にある。また、発光素子5a、5b、5cは、光軸AXの方向に関して、レンズ10cの前側焦点FPB2とレンズ10cとの間に位置している。このため、発光素子5bから発せられ、レンズ10cから射出される光束は、拡散光となる。すなわち、レンズ10cにおいても、B-B線方向の焦点距離FL2が長いことによる収束性の低さに加え、発光素子5a、5b、5cとレンズ10cとの間の距離の近さのため、その光射出面42から射出される光束の指向性が低くなって、収束性がさらに低下する。
図14Aに示すように、レンズ10cは、入射面41のA-A線方向に沿った面形状が凸曲面となっているため、後側主点H1、前側主点H2は、上記実施の形態1のレンズ10aと比べて光束の進行方向の反対側にシフトする。これに伴い、焦点距離FL1が同じで入射面41が平面であるレンズ10aと比較すると、前側焦点FPA2、後側焦点FPA1は光束の進行方向の反対側にシフトする。これにより、前側焦点FPA2とレンズ10cの凸曲面のレンズ頂点までの距離、すなわちバックフォーカスBF1は図4Aに示すレンズ10aのバックフォーカスBF1よりも長くなる。
この場合、収束性を高めるために、レンズ10cを発光素子5a、5b、5cから遠ざけて配置することができる。発光素子5a、5b、5cをレンズ10cから遠ざけて配置すると、発光素子5a、5b、5cの位置を、B-B線方向の前側焦点FPB2に近づけることができる。これにより、B-B線方向の収束性もより高くすることができる。
図14Bでは、B-B線断面におけるレンズ10cによる光線IL2、IL3の光路が実線で示され、上記実施の形態1に係るレンズ10aによる光線IL2、IL3の光路が点線で示されている。図14Bに示すように、レンズ10cによる光線IL2、IL3の光路の方が光軸AXに近づいており、より収束性が高まっているのがわかる。このように、本実施の形態によれば、焦点距離FL1、FL2を一定に保ちつつ、光束の収束性を高め、より指向性の高い射出光を得ることができるようになる。この結果、カラーシフトを発生させることなく、表示される画像の輝度をさらに高めることができる。
実施の形態4.
次に、本発明の実施の形態4について説明する。図15A及び図15Bに示すように、本実施の形態に係る表示装置100は、レンズ10aの代わりに、レンズ10dを備えている点が、上記実施の形態1に係る表示装置100と異なる。
レンズ10dは、図15Aに示すように、入射面41のA-A線方向に沿った面形状を凸曲面とし、図15Bに示すように、入射面41のB-B線方向に沿った面形状を凹曲面としている。すなわち、本実施の形態では、発光素子5a、5b、5cからの光束を入射するレンズ10aの入射面41の面形状は、発光素子5a、5b、5cの配列方向に関して凹曲面となっており、発光素子5a、5b、5cの配列方向の直交方向に関して凸曲面となっている。
レンズ10dの焦点距離FL1、FL2は、上記実施の形態1に係るレンズ10aと同じである。レンズ10dは、焦点距離FL1、FL2を一定に保ちつつ、レンズ10aに対して入射面41の形状を変形したものである。なお、焦点距離FL1、FL2を固定しつつ、入射面41の形状を変形した場合、光射出面42もそれに合わせて変形する。
レンズ10aをレンズ10dに代えることによって、上記実施の形態2、3と同様に、発光素子5a、5b、5cの位置を、B-B線方向の前側焦点FPB2に近づけることができる。具体的には、レンズ10dの入射面41のB-B線方向に沿った面形状を凹曲面とすることにより、図15Bに示すバックフォーカスBF2を短くして、B-B線方向に関するIL2、IL3を光軸AXに近づく方向に屈折させる。さらに、レンズ10dの入射面41のA-A線方向に沿った面形状を凸曲面とすることにより、B-B線方向に関するIL2、IL3をさらに光軸AXに近づく方向に屈折させる。これにより、レンズ10dによる光束の収束性をさらに高めることができる。
図15Bでは、発光素子5bから発せられる光線IL2、IL3の光路が示されている。レンズ10dによる光線IL2、IL3の光路は実線で示され、レンズ10dによる光線IL2、IL3の光路は一点鎖線で示され、レンズ10cによる光線IL2、IL3の光路は点線で示されている。図15Bに示すように、レンズ10dによる光線IL2、IL3の光路の方がレンズ10b、10cよりも光軸AXに近づいており、光束の収束性がより高まっているのがわかる。その結果、カラーシフトを抑えつつ画像の輝度をさらに高めることができる。
以上詳細に説明したように、上記各実施の形態によれば、隣接する発光ダイオード5同士で、各色の光束の輝度分布の偏りを相殺することができるので、カラーシフトを抑制しつつ、画像の輝度を高めることができる。
なお、上記各実施の形態によれば、隣接する発光ダイオード5同士を180度逆にして電子基板4に実装したが、本発明はこれには限られない。発光素子の発光色の配列順が逆である2種類の発光ダイオードを隣接する発光ダイオードとして交互に配列するようにしてもよい。
また、上記各実施の形態では、赤色の発光素子5a、青色の発光素子5b、緑色の発光素子5cに順に並ぶ発光ダイオードを用いた。しかしながら、本発明はこれには限られない。赤、緑、青の順であってもよいし、青、赤、緑の順であってもよい。また、発光ダイオード5における発光素子の数は、2つでもよいし、4つ以上であってもよい。
なお、上記各実施の形態では、発光素子5a、5b、5cの配列方向をY軸方向としたが、本発明はこれには限られない。発光素子5a、5b、5cの配列方向をX軸方向としてもよいし、X軸方向及びY軸方向と交差する方向としてもよい。発光素子5a、5b、5cの配列方向は、左右方向の視野角を広げるか、上下方向の視野角を広げるかによって決定することができる。この場合でも、用いるレンズについて、発光素子5a、5b、5cの配列方向に沿った光束の収束性が、配列方向の直交方向に沿った光束の収束性よりも低く設定されていればよい。
また、上記各実施の形態では、レンズ10a~10dがマトリクス状に配列されたマトリクスレンズ2を備えることとした。しかしながら、本発明はこれには限られない。レンズ10a~10dを個別に発光ダイオード5にそれぞれ取り付けるようにしてもよい。
また、上記各実施の形態では、マトリクスレンズ2の外縁部を箱状に成形して、光源モジュール1とマトリクスレンズ2との間を密閉することにより、光源モジュール1への水の浸入又は塵の侵入を防止することができる。
上記各実施の形態に係る表示装置100は、特定の情報を表示する装置として用いることができる。例えば、高速道路に用いられる道路交通情報の表示装置である。特定の情報表示用の装置の中には、情報を伝達する必要がある角度範囲が限定され、左右又は上下に広い視野角を必要としないものも多い。このような場合には、レンズ10aによるA-A線方向又はB-B線方向の光束の収束性を高めて、画像の輝度を可能な限り高くすることが可能である。
情報表示用の表示装置では、点灯時間が長いため、消費電力が問題となる。特に近年の省エネルギー化の社会の流れにおいて、消費電力を低減することが急務となっている。上記各実施の形態に係る表示装置100は、発光ダイオード5から射出される光の強度を上げることなく、発光ダイオード5から射出される光を収束させて、画像の輝度を高くしている。これにより、消費電力の増大を防ぐことができる。
また、上記各実施の形態では、遮光部12、13は、開口11の上側と下側、もしくは左側と右側で形状が同じであったが、本発明はこれには限られない。遮光部12、13は、開口11の上側と下側、もしくは左側と右側で形状が異なっていてもよい。
また、開口11に対する遮光部12、13の形成位置が異なってもよい。また、日射又は照明の影響を無視できる場合には、遮光部12、13の全部又は一部を省略したり、遮光部12、13の前方向への突出する長さを短くしたりするようにしてもよい。また、観察者が見る方向が特定の角度範囲に限定されている場合にも、遮光部12、13の全部又は一部を省略したり、遮光部12、13の形状を調整したりすることができる。
この発明は、この発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、この発明の範囲を限定するものではない。すなわち、この発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。