JP7096169B2 - 低乳糖含量の発酵乳製品 - Google Patents

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Description

本発明は、低乳糖含量を有する酸性発酵乳製品に関する。
WO 2009/071539は、乳中で非常に効率的な加水分解を行うことができかつ低pH、例えば5以下のpHを含む広範なpH域に渡り活性である、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)に由来するラクターゼを開示している。ラクターゼは、乳糖(ラクトース)含量を減らすために、チーズ、ヨーグルト、バター、バターミルク、サワークリーム等の乳製品または発酵乳製品の生産方法において利用することができる。
WO 2013/160413は、ブドウ糖(グルコース)含量を増加させながら発酵乳製品中の乳糖含量を減らす目的で、グルコース陰性乳酸菌株と従来の乳糖の組み合わせを使った発酵乳製品の生産方法を開示している。
EP-A1-2957180は、発酵乳製品中の乳糖含量と酸性化後のレベルを減らす目的で、スターターカルチャーと従来型ラクターゼの組み合わせを使った発酵乳製品の生産方法を開示している。
本発明の目的は、低乳糖含量の改良された酸性乳製品を提供することである。
本発明の目的は、3.0~5.0のpHと少なくとも1.5 mg/mLの乳糖含量を有する酸性乳製品であって、該製品は、ラクターゼの最適pHでの活性に比較して少なくとも5%のレベルで5.0のpHと37℃の温度でのその活性を保持するラクターゼを含有する酸性乳製品により達成される。
本発明は、乳糖含有食品を、製造場所での生産終了後に、例えば輸送または小売店での貯蔵の最中に、周囲温度で、すなわち冷蔵の必要なく、貯蔵期に3.0~5.0のpHを有する乳糖含有食品を、乳糖含量を減少させるように改質する可能性を提供する。本発明は、通常の乳製品製造工程が終了した後に低pH活性ラクターゼを添加し、そして末端消費者による最終消費までのその後の製品の寿命期間の間に乳糖をガラクトースとブドウ糖(グルコース)に変換させることにより、低pHの製品のためおよび周囲温度での輸送と貯蔵を意図する殺菌発酵乳製品のための、生産現場での生産終了後の乳糖含量を減少させることが可能であるという認識に基づく。よって、本発明は、生産現場の外で単純かつコスト効率の高い方法で乳糖変換の工程を達成し、よって乳糖変換を完結させる工程を削除することにより生産現場での発酵乳生産を単純化することができ、それによって時間と製造装置の処理能力(capacity)を節約することができる。
更に、発酵乳製品の加熱処理後にラクターゼを添加すると、発酵中にラクターゼが活性となる場合よりも少量のラクターゼを使用することができる。なぜなら、ラクターゼは長時間に渡り活性であることができ、一方で生産の際の発酵工程においてはコストを削減するため該工程をできる限り迅速に実施することが所望されるからである。大方のラクターゼは加熱処理の間に不活性化され、加熱処理後には活性でないだろう。よって、本発明は、発酵乳製品の乳糖含量の低減を達成するのに必要なラクターゼの量を減少させる可能性が提供される。また、発酵乳製品の加熱処理後にラクターゼを添加すると、乳糖が乳糖の糖代謝よりも少ない程度にメイラード反応を生じさせるので、発酵乳製品の加熱処理により引き起こされるメイラード反応のレベルが低減される。最終的に、発酵乳製品の熱処理後に乳糖が添加されると、乳糖の活性に対する発酵に用いられる乳酸菌の悪影響を避けることができる。
世界中、相当数の消費者が乳糖に不耐であるか過敏である。従って、現在、低乳糖含量を有するかまたは実質的に乳糖不含有である、発酵乳製品を含む乳製品の需要が高まっている。本発明は、単純でかつコスト効率の高い方法でそのような製品を製造する新規アプローチを提供する。
発明の詳細な開示
ラクターゼ
本発明の発酵乳製品のラクターゼは任意のラクターゼであることができ、ラクターゼの最適pHでの活性に比較して少なくとも5%のレベルで、5.0のpHと37℃の温度でのその活性を保持する任意のラクターゼであることができる。
本発明に関して、ラクターゼのLAU活性は、下記の「定義」の項目において詳述するように測定される。
本発明の好ましい態様では、ラクターゼは、ラクターゼの最適pHでのその活性に比較して少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、最も好ましくは少なくとも80%のレベルで、5.0のpHと37℃の温度でのその活性を保持する。
本発明の好ましい態様では、ラクターゼは、ラクターゼの最適pHでのその活性に比較して少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、最も好ましくは少なくとも80%のレベルで、4.0のpHと37℃の温度でのその活性を保持する。
本発明の好ましい態様では、ラクターゼは、ラクターゼの最適pHでのその活性に比較して少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、最も好ましくは少なくとも80%のレベルで、3.0のpHと37℃の温度での活性を保持する。
本発明に関して、ラクターゼの最適pHは、下記の「定義」の項目に指摘する方法を使って異なるpHでのラクターゼ活性を測定しそして最適活性を有するpHを求めることにより決定される。特に、種々の様々なpHでのラクターゼ活性はM-緩衝液中で37℃にて測定される。あるいは、ラクターゼの最適pHでの活性の比率として本明細書に指摘されるラクターゼ活性は、代わりにpH 6.5でのラクターゼ活性の比率であると解釈される。
本発明の好ましい態様では、ラクターゼは、ラクターゼの最適温度でのその活性に比較して少なくとも10%のレベルで、10℃の温度と6.0のpHでその活性を保持する。好ましくは、ラクターゼは、ラクターゼの最適温度でのその活性に比較して少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、最も好ましくは少なくとも80%のレベルで、10℃の温度と6.0のpHでのその活性を保持する。
本発明に関して、ラクターゼの最適温度は、下記の「定義」の項目に指摘する方法を使って、種々の温度でラクターゼ活性を測定しそして最適活性を有する温度を求めることにより決定される。あるいは、ラクターゼの最適温度での活性の比率として本明細書に指摘されるラクターゼ活性は、代わりに37℃でのラクターゼ活性の比率であると解釈される。
好ましい態様では、本発明の製品に用いられるラクターゼは、37℃とpH 6でのラクターゼ活性の少なくとも55%、例えば少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%または少なくとも75%である37℃とpH 5でのラクターゼ活性を有する。
別の好ましい態様では、本発明の製品に用いられるラクターゼは、37℃とpH 6でのラクターゼ活性の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも35%または少なくとも40%である37℃とpH 4.5でのラクターゼ活性を有する。
別の好ましい態様では、本発明の製品に用いられるラクターゼは、pH 5.5より上である37℃でのラクターゼ活性の最適pHを有する。
別の好ましい態様では、本発明の製品に用いられるラクターゼは、38℃の温度と6.5のpHでのそのラクターゼ活性の少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%または少なくとも80%である、52℃の温度と6.5のpHでのラクターゼ活性を有する。
本発明の好ましい態様では、5℃でのラクターゼのKm(ミカエリス定数)が25 mM以下、例えば20 mM以下、15 mM以下または10 mM以下である。別の好ましい態様では、37℃でのラクターゼのKmが25 mM以下、例えば20 mM以下または15 mM以下である。当業者は、特定温度でのラクターゼ活性のKmをいかに求めるかを知っているだろう。KmはWO 2009/071539に記載の方法により決定してもよい。
別の好ましい態様では、乳製品中の乳糖を加水分解する時の酵素が、1:1より大きい、例えば2:1より大きいまたは3:1より大きいラクターゼ活性対トランスガラクトシラーゼ活性の比を有する。別の好ましい態様では、酵素のラクターゼ活性がトランスガラクトシラーゼ活性よりも高い条件、例えば少なくとも2倍高い、または少なくとも3倍高い条件下で酵素処理が行われる。
乳製品中のラクターゼ活性対トランスガラクトシラーゼ活性の比は、例えばHPLC分析により決定することができる。別の好ましい態様では、加水分解された乳糖の少なくとも50%(w/w%)が遊離ガラクトースに変換される条件下で、酵素処理が実施される。別の好ましい態様では、加水分解された乳糖が等量の遊離ブドウ糖と遊離ガラクトースに変換される条件下で酵素処理が実施される。
本発明の状況下でのラクターゼは、二糖の乳糖を構成成分のガラクトースとブドウ糖(グルコース)モノマーに加水分解する能力を有するグリコシドヒドロラーゼである。本発明のラクターゼが属するラクターゼの群は、限定されないがサブクラスEC 3.2.1.108に割り当てられる酵素を含む。別のサブクラス、例えばEC 3.2.1.23に該当する酵素も、本発明に係るラクターゼであることができる。本発明に係るラクターゼは、乳糖加水分解活性ではない別の活性、例えばトランスガラクトシル化活性を有してもよい。本発明の状況下では、ラクターゼの乳糖加水分解活性は、そのラクターゼ活性またはそのβ-ガラクトシラーゼ活性とも呼称される。
本発明の方法で用いられるラクターゼ活性を有する酵素は、動物起源、植物起源または微生物起源のものであることができる。好ましいラクターゼは、微生物源、特に糸状菌または酵母から、または細菌から得られる。
該酵素は、例えば、アガリクス属(Agaricus)、例えばA.ビスポラス(A. bisporus);アスコバギノスポラ属(Ascovaginospora);アスペルギルス属(Aspergillus)、例えばA. ニガー(A. niger)、A. アワモリ(A. awamori)、A. フェティダス(A. foetidus)、A. ジャポニカス(A. japonicus)、A. オリゼ(A. oryzae);カンジダ属(Candida);チェトミウム属(Chaetomium);チェトトマスチア属(Chaetotomastia);ジクチオステリウム属(Dictyostelium)、例えばD. ジスコイデウム(D. discoideum); クルベロマイセス属(Kluveromyces)、例えばK. フラギリス(K. fragilis)、K.ラクチス(K. lactis);ムコール属(Mucor)、 例えばM. ジャバニクス(M. javanicus)、M. ムセド(M. mucedo)、M. サブチリシムス(M. subtilissimus);ニューロスポラ属(Neurospora)、例えばN. クラッサ(N. crassa);リゾムコール属(Rhizomucor)、例えばR. プシルス(R. pusillus);リゾプス属(Rhizopus)、例えばR. アリズス(R. arrhizus)、R. ジャポニカス(R. japonicus)、R. ストロニファ(R. stolonifer);スクレロチニア属(Sclerotinia)、例えばS. リベルチアナ(S. libertiana);トルラ属(Torula);トルロプシス属(Torulopsis);トリコフィトン属(Trichophyton)、例えばT. ルブラム(T. rubrum);ウェトゼリニア(Whetzelinia)、例えばW. スクレロチオラム(W. sclerotiorum);バチルス属(Bacillus)、例えばB. コアギュランス(B. coagulans))、B. サーキュランス(B. circulans)、B. メガテリウム(B. megaterium)、B. ノバリス(B. novalis)、B. サチリス(B. subtilis)、B. プミルス(B. pumilus)、B. ステアロサーモフィルス(B. stearothermophilus)、B. スリンジェンシス(B. thuringiensis);ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)、例えばB. ロンガム(B. longum)、B. ビフィダム(B. bifidum)、B. アニマリス(B. animalis);クリセオバクテリウム(Chryseobacterium);シトロバクター属(Citrobacter)、例えばC. フロインディ(C. freundii);クロストリジウム属(Clostridium)、例えばC. ペルフリンジェンス(C. perfringens);ジプロディア属(Diplodia)、例えばD. ゴシピナ(D. gossypina);エンテロバクター属(Enterobacter)、例えばE. エアロゲネス(E. aerogenes)、E. クロアセア(E. cloacae);エドワードシエラ属(Edwardsiella)、例えばE. ターダ(E. tarda);エルウィニア属(Erwinia)、例えばE. ハービコラ(E. herbicola);エシェリキア属(Escherichia)、例えばE. コリ(E. coli);クレブシェラ属(Klebsiella)、例えばK. ニューモニエ(K. pneumoniae);ミリオコッカム属(Miriococcum);ミロテシウム属(Myrothesium);ムコール属(Mucor);ニューロスポラ属(Neurospora)、例えばN. クラッサ(N. crassa);プロテウス属(Proteus)、例えばP.ブルガリス(P. vulgaris);プロビデンシア属(Providencia)、例えばP. スツアルティ(P. stuartii);ピクノポラス属(Pycnoporus)、例えばピクノポラス・シンナバリナス(Pycnoporus cinnabarinus)、ピクノポラス・サンギネウス(Pycnoporus sanguineus);ルミノコッカス属(Ruminococcus)、例えばR. トルケス(R. torques);サルモネラ属(Salmonella)、例えばS. チフィムリウム(S. typhimurium);セラチア属(Serratia)、例えばS. リケニファシエンス(S. liquefasciens)、S. マーセセンス(S. marcescens);シゲラ属(Shigella)、例えばS. フレクスネリ(S. flexneri);ストレプトマイセス属(Streptomyces)、例えばS. アンチビオティクス(S. antibioticus)、S. カスタネオグロビスポルス(S. castaneoglobisporus)、S. ビオレセオルバー(S. violeceoruber);トラメテス属(Trametes);トリコデルマ属(Trichoderma)、例えばT. リーセイ(T. reesei)、T. ビリデ(T. viride);エルシニア属(Yersinia)、例えばY. エンテロコリチカ(Y. enterocolitica)の菌株に由来することができる。
好ましい態様では、ラクターゼは細菌、例えばビフィドバクテリア科(Bifidobacteriaceae)、例えばビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)、例えばB. ビフィダム(B. bifidum;ビフィズス菌)、B. アニマリス(B. animalis)またはB.ロンガム(B. longum)株に由来する。より好ましい態様では、ラクターゼはビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)に由来する。
好ましい態様では、本発明の製品において使われるラクターゼ活性を有する酵素は、配列番号1のアミノ酸28~1931、配列番号2のアミノ酸28~1331、配列番号3、配列番号4およびそれらのラクターゼ活性断片から成る群より選択された配列と少なくとも50%同一であるアミノ酸配列を含んでなる。好ましい多様では、該酵素は配列番号1のアミノ酸28~1931、配列番号2のアミノ酸28~1331、配列番号3、配列番号4およびそれらのラクターゼ活性断片から成る群より選択された配列と少なくとも60%、例えば少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含んでなる。
好ましい酵素は、配列番号1のアミノ酸28~1931またはそれのラクターゼ活性断片に少なくとも50%、例えば少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%同一である配列を有するラクターゼである。そのような配列番号1のラクターゼ活性断片は、ラクターゼ活性を有する配列番号1の任意断片であることができる。配列番号1のラクターゼ活性断片は、例えば、配列番号1のアミノ酸28~979、アミノ酸28~1170、アミノ酸28~1323、アミノ酸28~1331またはアミノ酸28~1600であることができる。
好ましい態様では、本発明の製品において使われるラクターゼ活性を有する酵素は、配列番号2のアミノ酸28~1331に少なくとも50%同一であるアミノ酸配列を含む。より好ましい態様では、該酵素は配列番号2のアミノ酸28~1331に少なくとも60%、例えば少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む。
別の態様では、本発明の製品において使われるラクターゼ活性を有する酵素は、配列番号3に少なくとも50%同一であるアミノ酸配列を有する。好ましくは、該酵素は配列番号3に少なくとも60%、例えば少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を有する。
別の態様では、本発明の製品において使われるラクターゼ活性を有する酵素は、配列番号4に少なくとも50%同一であるアミノ酸配列を有する。好ましくは、該酵素は配列番号4に少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を有する。
本発明の目的上、2つのアミノ酸配列間の同一性度は、EMBOSSパッケージのNeedleプログラム、好ましくはバージョン3.0.0以降、において実装されるように(EMBOSS: The European Molecular Biology Open Software Suite, Rice他(2000)Trends in Genetics 16: 276-277)Needleman-Wunsh演算法(Needleman & Wunsch (1970) J. Mol. Biol. 48: 443-453)を使って決定される。使用するパラメーターは、ギャップオープンペナルティ10、ギャップ伸長ペナルティ0.5およびEBLOSUM62(EMBOSSバージョンBLOSUM62)代替行列である。Needleラベルの「最長同一性(longest identity)」(-no briefオプションを使って得られる)の出力が同一性%として使われ、次のように計算される:
(同一残基数×100)/(アラインメントの長さ-アラインメント中のギャップの総数)
本発明での使用に適する特定の市販のラクターゼは、アマノエンザイム・ヨーロッパ(Amano Enzyme Europe)から入手可能なラクターゼF “Amano”100SDである。
本発明の方法で使用されるラクターゼは細胞外であることができる。それらは分泌中に開裂されるシグナル配列をN末端に有してもよい。
本発明の方法で使われるラクターゼは、本明細書中に言及される任意の源から誘導することができる。「由来する」という語は、酵素が生来存在している生物体から単離することができること、即ち該酵素のアミノ酸配列の素性(アイデンティティー)が生来の酵素と同じであることを意味する。用語「由来する」はまた、該酵素が宿主生物において組換え生産されており、その組換え生産された酵素が生来の酵素と同一のアイデンティティーを有するかまたは改変されたアミノ酸配列を有する酵素、すなわち、欠失、挿入および/または置換された1もしくは複数の酵素を有する酵素、すなわち変異体、および/または生来のアミノ酸配列の断片である組換え生産された酵素を意味する。生来の酵素の意味の範囲内には、天然の変種が含まれる。更に、用語「由来する」は、例えばペプチド合成によって合成的に生産された酵素を包含する。用語「誘導される」は、生体内(in vivo)か試験管内(in vitro)のいずれかでの例えばグリコシル化、リン酸化等により修飾されている酵素も包含する。組換え生産された酵素に関しては、用語「誘導された」とは、該酵素の素性を指し、それが組換え生産される宿主生物の素性ではない。
ラクターゼは、任意の適当な技術の使用により微生物から得ることができる。例えば、ラクターゼ酵素製剤は、当業界で既知の方法により、適当な微生物の発酵と、その後の生成した発酵ブロスまたは微生物からのラクターゼ製剤の単離により得ることができる。ラクターゼは、組換えDNA技術によって得ることもできる。そのような方法は、一般に、問題のラクターゼをコードするDNA配列を含む組換えDNAベクターにより形質転換された宿主細胞の培養工程を含み、ここで前記DNA配列は、それがラクターゼ酵素の発現を可能にする条件下で培地中でラクターゼを発現させそして該酵素を培地から回収できるように、適当な発現シグナルと作用可能に連結されている。前記DNA配列は、宿主細胞のゲノム中に組み込むこともできる。該DNA配列はゲノム、cDNAもしくは合成起源またはそれらの任意組み合わせのものであることができ、そして当業界で既知の方法に従って単離または合成することができる。
本発明の方法で使用されるラクターゼは精製することできる。本明細書中で用いる用語「精製された」とは、産生生物からの不溶性成分を本質的に含まないラクターゼ酵素タンパク質を包含する。用語「精製された」は、それが得られる生来の生物体からの不溶性成分を本質的に含まないラクターゼ酵素タンパク質も包含する。好ましくは、それは、それが誘導される生物体または培地の可溶性成分の一部から分離される。より好ましくは、該酵素は次の単位操作:ろ過、沈殿またはクロマトグラフィーの1または複数により分離される。
従って、ラクターゼ活性を有する酵素は精製されることができ、すなわち別のタンパク質のごく微量だけが存在する。「別のタンパク質」という表現は、特に別の酵素に関する。本明細書中で用いる用語「精製された」とは、他の成分、特に他のタンパク質、最も特別にはラクターゼの起源の細胞中に存在する他の酵素の除去も指す。ラクターゼは「実質的に純粋」であり、すなわちそれが産生される生物体、すなわち例えば組換え生産されるラクターゼの宿主細胞由来の別の成分が不含有である。好ましくは、ラクターゼは少なくとも40%(w/w)純度の酵素タンパク質製剤、より好ましくは少なくとも50%、60%、70%、80%または更に少なくとも90%純度でもあることができる。
ラクターゼ活性を有する酵素という語は、反応系に本来存在するかまたは存在しなくてもよい、該酵素の触媒活性に必要であるかもしれないあらゆる補助化合物、例えば適当な受容体もしくは補因子をも包含する。
酵素は問題の使用に適当な任意の形態であることができ、例えば乾燥粉末形または顆粒系、非粉塵化顆粒、液体、安定化された液体または保護された酵素の形であることができる。
酸性乳製品
本発明の好ましい態様では、本発明の酸性乳製品は3.2~4.8のpH、より好ましくは3.4~4.6、最も好ましくは3.6~4.4のpHを有する。
本発明の一態様では、酸性乳製品は化学的に酸性化された乳製品である。酸性化は、食品用に承認された任意の酸性化剤、例えば乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、リン酸、フマル酸、果汁、果肉、フルーツコンパウンドを使って実施することができる。
本発明の別の態様では、酸性乳製品は、スターターカルチャーを使った発酵により生産された発酵乳製品である。スターターカルチャーは、例えば特定のタイプの発酵乳製品を製造するのに使われる、単株培養および培養ブレンドといった、乳酸菌の任意の常用スターターカルチャーであることができる。スターターカルチャーに加えて製品に添加することができる他の有用な細菌としては、プロバイオティクス菌のビフィドバクテリウム種(Bifidobacterium spp.)が挙げられる。
本発明の好ましい態様では、発酵後の発酵乳製品が、スターターカルチャーの細菌レベルを1×10exp02 CFU/g以下に減らすように加熱処理にかけられており、そして加熱処理後にラクターゼが添加されている。
スターターカルチャーは、特定のタイプの発酵乳製品を製造するのに使われる、単株培養および培養ブレンドといった、乳酸菌の任意の従来型スターターカルチャーであることができる。本発明の好ましい態様では、発酵が3.0~5.0のpH、好ましくは3.2~4.8のpH、より好ましくは3.4~4.6のpH、最も好ましくは3.6~4.4のpHを得るように実施される。
スターターカルチャーの細菌レベルを1.0×10exp02 CFU/g発酵乳以下に減らすための加熱処理は、好ましくは、スターターカルチャー発酵乳製品を50℃~110℃の温度、好ましくは50℃~100℃の温度、好ましくは50℃~90℃、好ましくは60~85℃、より好ましくは65℃~82℃、最も好ましくは70℃~80℃の温度にかけることにより実施される。加熱処理は、好ましくは5秒~180秒、好ましくは5秒~120秒、より好ましくは5秒~90秒、より好ましくは5秒~60秒、より好ましくは8秒~50秒、最も好ましくは10~40秒の時間の間行われる。好ましくは、スターターカルチャーの細菌レベルは1.0×10exp01 CFU/g発酵乳以下に、より好ましくは0 CFU/gに低減される。
酵素は、選択された反応条件下で所望の程度の乳糖加水分解を達成するのに適当な量で添加される。本発明の特定の態様では、乳製品中に100~20000 LAU/L乳製品、好ましくは100~10000 LAU/L乳製品、好ましくは100~5000 LAU/L 乳製品、好ましくは3000未満、例えば1500未満、1000未満、750未満または500未満のLAU/L乳製品の量でラクターゼを含有する。
好ましい態様では、ラクターゼは、乳製品中5~400 LAU/g乳糖の濃度で、好ましくは乳製品中5~200 LAU/g乳糖の濃度で、好ましくは乳製品中5~100 LAU/g乳糖の濃度で、好ましくは乳製品中50未満、例えば40未満、30未満、20未満もしくは10未満のLAU/g乳糖の濃度で添加される。
本発明の好ましい態様では、酸性乳製品は2.0 mg/mL~50 mg/mL、好ましくは5 mg/mL~48 mg/mL、より好ましくは10 mg/mL~46 mg/mL、最も好ましくは20 mg/mL~45 mg/mLの乳糖含量を有する。
本発明の好ましい態様では、酸性乳製品はフルーツ飲料、発酵シリアル製品、化学的に酸性化されたシリアル製品、豆乳製品およびそれらの混合物を含む。
酸性乳製品は典型的には、2.0重量%~3.5重量%のレベルのタンパク質を含有する。酸性乳製品は1.0重量%~2.0重量%のタンパク質レベルを有する低タンパク製品であってもよい。あるいは、酸性乳製品は3.5重量%以上のタンパク質レベルを有する高タンパク製品であってもよい。本発明の酸性乳製品の特定の態様では、該製品は酸性乳製品と穀物製品、例えばオーツ麦製品との混合物であり、その場合穀物製品(シリアル)は発酵シリアル製品、例えば発酵オーツ麦製品であってもよい。
本発明の特定の態様では、酸性乳製品は発酵シリアル製品を含む。発酵シリアル製品は、シリアル生物源材料のグレインを粉砕することにより穀粉を生成し、それを次いで発酵処理にかけることにより調製することができる。穀粉の発酵は、本明細書に記載される通りに乳基質の発酵に用いるのと同じ乳酸菌(スターターカルチャー)を使って実施することができる。
本発明の特定態様では、本発明の酸性乳製品は果汁飲料を含む。果汁飲料は例えば、オーツ、大豆、アーモンド、ホエー(乳清)および/または非発酵乳、例えば粉乳の形のものを更に含んでもよい。
本発明の特定態様では、酸性乳製品は化学的に酸性化された製品である。酸性化は、食品に添加するのに適する任意の酸性化剤、例えば乳酸、クエン酸、果汁、果肉および果物混合物を使って実施できる。特定の態様では、酸性乳製品は果汁により酸性化される。
本発明の特定態様では、本発明の酸性乳製品は化学的に酸性化された製品を含む。化学的に酸性化された穀物製品は、穀物生物由来材料のグレンを粉砕して穀粉を製造し、それを用いて水性懸濁液を作り、前記懸濁液のpHを所望のレベルに調整することにより製造することができる。
酸ホエーまたは酸ホエー透過物を含む酸性乳製品
本発明の特定の観点では、酸性乳製品は、酸ホエーと酸ホエー透過物からなる群より選ばれた酸ホエーを含む。特に、酸ホエー製品は発酵乳製品を濃縮してそれを濃縮画分と分離した酸ホエー画分とに分割することから得られる。
酸ホエーと酸ホエー透過物(permeate)は多数の生チーズ、例えばカッテージチーズ、リコッタ、Skyr、ギリシャヨーグルト、Tvoroq、クワルク(Quark)およびレブネ(Lebneh)の生産からの副産物である。酸ホエーと酸ホエー透過物は10%溶液中5.1未満のpHを有し、例えばその酸性度ゆえに歴史的にその副産物の用途を見つけることは難しかった。酸ホエーは分離器でのヨーグルトの濃縮により得られる。酸透過物は限外ろ過によるヨーグルトの濃縮により得られる。
本発明のこの観点は、酸ホエーと酸ホエー透過物を使って乳製品、例えば乳飲料を製造できる可能性を提供する。この観点は、酸ホエーと酸ホエー透過物が、低減された乳糖含量を有する本発明の乳製品の製造に適当であるという認識に基づく。なぜなら該製品の生産は低pHでの乳糖の酵素的加水分解を必要とするからである。
本発明の方法の第三の観点の特定態様では、スターターカルチャー発酵乳製品を濃縮工程にかけ、スターターカルチャー発酵乳製品を濃縮画分と分離された酸ホエー画分とに分割し、ここで前記分離された酸ホエー画分は該方法の次の工程にかけられるが、濃縮画分はその工程にかけられない。
発酵乳製品の製造方法
第一の観点では、本発明は更に、酸性乳製品の製造方法であって、基礎的な酸性乳製品を提供し、該製品は3.0~5.0のpHと少なくとも1.5 mg/mLの乳糖含量を有し、前記基礎的な酸性乳製品に、ラクターゼの最適pHでの活性に比較して少なくとも5%のレベルで5.0のpHと37℃の温度でのその活性を保持するラクターゼを添加し、それによりラクターゼ含有酸性乳製品を得、そして該ラクターゼ含有酸性乳製品を少なくとも2℃の温度で少なくとも1日間貯蔵するという工程を含む方法に関する。
第二の観点では、本発明は、酸性乳製品の製造方法であって、基礎的な酸性乳製品を提供し、該製品は3.0~5.0のpHと少なくとも1.5 mg/mLの乳糖含量を有し、前記基礎的な酸性乳製品を、細菌レベルを1×10exp02 CFU/g以下に減少させるように加熱処理にかけて加熱処理済酸性乳製品を得、ラクターゼの最適pHでの活性に比較して少なくとも5%のレベルで、5.0のpHと37℃の温度でのその活性を保持するラクターゼを添加し、それによりラクターゼ含有酸性乳製品を得、そして該ラクターゼ含有酸性乳製品を少なくとも2℃の温度で少なくとも1日間貯蔵するという工程を含む方法に関する。
代替表現によれば、第二の観点は、基礎的な酸性乳製品を、細菌レベルを1×10exp02 CFU/g以下に減少させるように加熱処理にかけて加熱処理済酸性乳製品を得、ラクターゼの最適pHでの活性に比較して少なくとも5%のレベルで、5.0のpHと37℃の温度でのその活性を保持するラクターゼを添加し、それによりラクターゼ含有酸性乳製品を得、そして該ラクターゼ含有酸性乳製品を少なくとも2℃の温度で少なくとも1日間保管するという工程を含む第一の観点の特定態様である。
第三の観点では、本発明は酸性乳製品の生産方法であって、乳酸菌のスターターカルチャーを使って乳基質を発酵せしめ、3.0~5.0のpHと少なくとも1.5 mg/mLの乳糖含量を有するスターターカルチャー発酵乳製品を得、そのスターターカルチャー発酵乳製品を、細菌レベルを1×10exp02 CFU/g以下に減少させるように加熱処理にかけて加熱処理済発酵乳製品を得、前記加熱処理済発酵乳製品に、ラクターゼの最適pHでの活性に比較して少なくとも5%のレベルで5.0のpHと37℃の温度でのその活性を保持するラクターゼを添加し、それによりラクターゼ含有酸性乳製品を得、そして該ラクターゼ含有酸性乳製品を少なくとも2℃の温度で少なくとも1日間貯蔵するという工程を含む方法に関する。
代替表現によれば、第三の観点は、生産される酸性乳製品が発酵乳製品であり、そして該方法が乳酸菌のスターターカルチャーを使って乳基質を発酵せしめ、3.0~5.0のpHと少なくとも1.5 mg/mLの乳糖含量を有するスターターカルチャー発酵乳製品を得、そのスターターカルチャー発酵乳製品を、細菌レベルを1×10exp02 CFU/g以下に減少させるように加熱処理にかけて加熱処理済発酵乳製品を得、前記加熱処理済発酵乳製品に、ラクターゼの最適pHでの活性に比較して少なくとも5%のレベルで5.0のpHと37℃の温度でのその活性を保持するラクターゼを添加し、それによりラクターゼ含有酸性乳製品を得、そして該ラクターゼ含有酸性乳製品を少なくとも2℃の温度で少なくとも1日間貯蔵するという工程を含む、第一の観点の特定態様である。
本発明の方法の一態様では、酸性乳製品が化学的酸性化乳製品である。本発明の別の態様では、酸性乳製品がスターターカルチャーを使った発酵により生産された発酵乳製品である。
本発明の方法の一態様では、基礎的な酸性乳製品またはスターターカルチャー発酵乳製品を、細菌レベルを1×10exp02 CFU/g以下に低下させるように加熱処理にかけることができる。そのような加熱処理済酸性乳製品は、低温殺菌製品とも呼ばれ、その語により化学的酸性化乳製品または発酵乳製品の生産後に製品が低温殺菌処理にかけられていることが示される。そのような加熱処理済酸性乳製品は、冷蔵温度で維持する必要がなく、よって周囲温度での輸送や貯蔵に適当である。
このように、本発明の方法の好ましい態様では、ラクターゼ含有酸性または発酵乳製品は、少なくとも2日、好ましくは少なくとも3日、より好ましくは少なくとも4日、より好ましくは少なくとも5日、より好ましくは少なくとも6日、最も好ましくは少なくとも7日間貯蔵される。
本発明の特定の態様では、ラクターゼ含有酸性乳製品または発酵乳製品は、貯蔵後に40 mg/mL未満、好ましくは35 mg/mL未満、より好ましくは30 mg/mL未満、より好ましくは25 mg/mL未満、より好ましくは20 mg/mL未満、より好ましくは15 mg/mL未満、より好ましくは10 mg/mL未満、より好ましくは5 mg/mL未満、より好ましくは3 mg/mL未満、最も好ましくは1.5 mg/mL未満の乳糖含量を有する。
スターターカルチャーは、特定のタイプの発酵乳製品の製造に使われる単株培養と培養配合物を含む乳酸菌の任意の従来型スターターカルチャーであることができる。本発明の製品の好ましい態様では、発酵は3.0~5.0、好ましくは3.2~4.8、より好ましくは3.4~4.6、最も好ましくは3.8~4.4のpHを得るように実施される。
スターターカルチャーの細菌レベルを1.0×10exp02 CFU/g発酵乳以下に減少させるための加熱処理は、好ましくはスターターカルチャー発酵乳製品を50~110℃、好ましくは50~100℃、好ましくは50℃~90℃、好ましくは60℃~85℃、より好ましくは65℃~85℃、より好ましくは65℃~82℃、最も好ましくは70℃~80℃の温度にかけることにより実施される。該加熱処理は、好ましくは5秒~180秒、好ましくは10秒~180秒、好ましくは12秒~120秒、より好ましくは14秒~90秒、より好ましくは16秒~60秒、より好ましくは18秒~50秒、最も好ましくは20秒~40秒の期間の間実施される。好ましくは、スターターカルチャーの細菌レベルは発酵乳1gあたり1.0×10exp01 CFU以下、より好ましくは0 CFU/gに減少させられる。1×10exp02 CFU以下に細菌レベルを減少させるための加熱処理にかけられた発酵乳製品は、周囲温度での貯蔵に適当であり、例えば少なくとも5℃、好ましくは少なくとも10℃、より好ましくは少なくとも15℃、最も好ましくは少なくとも20℃の温度での貯蔵に適当である。
第四の観点では、本発明は発酵乳製品の製造方法であって、乳酸菌のスターターカルチャーを使って乳基質を発酵させ、3.0~5.0のpHと少なくとも1.5 mg/mLの乳糖含量を有するスターターカルチャー発酵乳製品を得、該スターターカルチャー発酵乳製品を、細菌レベルを1×10exp08 CFU/g以下に減少させるように加熱処理にかけて加熱処理済発酵乳製品を得、該加熱処理済発酵乳製品にラクターゼを添加してラクターゼ含有発酵乳製品を得、ここで該ラクターゼは該ラクターゼの最適pHでのその活性に比較して少なくとも5%のレベルで5.0のpHと37℃温度での活性を保持するものであり、そして該ラクターゼ含有発酵乳製品を少なくとも2℃の温度で少なくとも1日間貯蔵するという工程を含む方法に関する。好ましくは、スターターカルチャーの細菌レベルは1.0×10exp07 CFU/g発酵乳以下、より好ましくは1.0×10exp06 CFU/g発酵乳以下、最も好ましくは1.0×10exp05 CFU/g発酵乳以下に減少させられる。細菌レベルを例えば1.0×10exp08 CFU/g以下に減少させるように加熱処理にかけられた発酵乳製品は、冷蔵温度でより長期の保存可能期間を有する。
該酵素は、所定の反応条件下で所望の程度の乳糖加水分解を達成するのに適当な量で添加される。本発明の特定の態様では、該乳製品は100~20000 LAU/L乳製品、好ましくは100~10000 LAU/L乳製品、好ましくは100~5000 LAU/L乳製品、好ましくは3000未満、例えば1500未満、1000未満、750未満または500未満のLAU/L乳製品の量でラクターゼを含有する。
好ましい態様では、ラクターゼは、乳製品中5~400 LAU/g乳糖の濃度、好ましくは乳製品中5~200 LAU/g乳糖の濃度、好ましくは乳製品中5~100 LAU/g乳糖、好ましくは乳製品中50未満、例えば40未満、30未満、20未満または10未満のLAU/g乳糖の濃度で添加される。
本発明の好ましい態様では、酸性乳製品は2.0 mg/mL~45 mg/mL、好ましくは5 mg/mL~40 mg/mL、より好ましくは10 mg/mL~37 mg/mL、最も好ましくは20 mg/mL~37 mg/mLの乳糖含量を有する。
本発明の好ましい態様では、ラクターゼが添加される予定の酸性乳製品は、例えば混合することによる、酸性乳製品中へのラクターゼの容易な分配を可能にする粘度を有する。本発明の方法の好ましい態様では、発酵乳製品に添加されるラクターゼは、無菌製剤において提供される。本発明の方法の別の好ましい態様では、ラクターゼは無菌条件の下で、例えばラクターゼ溶液の無菌ろ過により、発酵乳製品に添加される。
本発明の方法の好ましい態様では、ラクターゼはインライン定量添加(ドージング)により酸性乳製品に添加される。本発明に関して、用語「インライン定量添加」は、酸性乳製品がそこを通って流れるパイプの中に直接添加することを意味する。ここでは、用語「パイプ」は、チャネル、コンダクト、リーダー、ライン、ペンストック、スルーパイプおよびチューブをはじめとするパイプまたはその任意同義語を意味する。本発明での使用に適当な市販のインライン定量添加システムの例は、Tetra FlexDos(登録商標)無菌インライン定量添加およびTetra Aldose(登録商標)無菌インライン定量添加システムである。
本発明の好ましい態様では、ラクターゼはパイプ中へのインライン定量添加により酸性乳製品に添加され、次いでラクターゼは混合装置によりパイプ中でヨーグルトに混和される。好ましくは、混合装置は少なくとも1つのパイプのベンド、背圧スプリング、静的ミキサーまたはローター/静的ミキサーから成る群より選択される。ローター/静的ミキサーの市販品の例はYtron-Zホモジナイザー(剪断ポンプ)である。
ラクターゼの2段階添加
本発明の方法の第三および第四の観点の特定態様では、ラクターゼはスターターカルチャー発酵乳製品の加熱処理の上流で添加される。上流で添加されるラクターゼは任意のラクターゼであることができ、例えばHa-ラクターゼおよび本発明の方法で用いられるラクターゼ、すなわち、ラクターゼの最適pHでの活性に比較して少なくとも5%のレベルで5.0のpHと37℃の温度でのその活性を保持するラクターゼ、から成る群より選ばれたラクターゼであることができる。Ha-ラクターゼはクリベロミセス属(Klyveromyces)の酵母、特にクリベロミセス・ラクチス(Klyveromyces lactis)とクリベロミセス・フラギリス(Klyveromyces fragilis)から成る群より選ばれた酵母から得られたラクターゼである。
特定態様では、上流で添加されるラクターゼが、スターターカルチャーと一緒に発酵の開始時点に添加される。この場合、上流に添加されるラクターゼは好ましくはHa-ラクターゼである。
別の特定態様では、上流で添加されるラクターゼが発酵の開始後に添加される。
スターターカルチャー発酵乳製品の発酵の開始時と加熱処理後の両時点でラクターゼを添加すると、乳糖の一部が発酵工程の間に加水分解され、乳糖の残り部分は加熱処理済発酵乳製品の貯蔵の間に加水分解されるだろう。スターターカルチャー発酵乳製品の発酵の開始時と加熱処理後の両時点でラクターゼを添加すると、スターターカルチャー発酵乳製品の加熱処理後にだけラクターゼを添加する場合と比較して、発酵乳製品中の乳糖の濃度を所望のレベルに低下させることが可能である。よって、発酵の開始時に添加されるラクターゼは3.0~5.0のpHより高いpH、例えば5.0~7.0のpHで活性であり、大部分のラクターゼはそのような高pH域で高活性を有する。従って、発酵の開始時に添加される一定量のラクターゼは、スターターカルチャー発酵乳製品の加熱処理後に添加される同量のラクターゼよりも多くの乳糖の加水分解をもたらすであろう。
用途
本発明は更に、貯蔵中に乳糖を減少させるために3.0~5.0のpHと少なくとも1.5 mg/mLの乳糖含量を有する酸性乳製品に添加するための、ラクターゼの最適pHでのその活性に比較して少なくとも5%のレベルで5.0のpHと37℃の温度でその活性を保持するラクターゼの使用に関する。
定義
本発明に関連して次の定義を適用する:
「LAU」は「ラクターゼ単位」を意味し、1ラクターゼ単位(1 LAU)は、4.75% w/vの乳糖濃度を有するpH 6.5と37℃を有するM緩衝液中、1分あたり1マイクロモルのグルコースを遊離する酵素の量である。M-緩衝液は、4リットルの水に3.98 gのC6H5Na3O7-2H2O、8.31 gのクエン酸、0.9 gのK2SO4、2.6 g K2HPO4、7.35 g KH2PO4、5.45 g KOH、4.15 g MgCl2-6H2O、3.75 g CaCl2-2H2Oおよび1.4 g NaHCO3を溶解させ、12.5 mLの4N NaOHを添加し、HClを使ってpH 6.5に調整し、そして総量5リットルになるまで水を添加することにより調製される。
特定のラクターゼのLAU活性は、上記条件下で乳糖から遊離されるグルコースの直接測定により求められる。当業者はそのような活性を測定する方法を知っているだろう。あるいは、該活性は本明細書の実施例1に記載のラクターゼ活性アッセイを使って測定することができる。その場合、既知活性のラクターゼを使って行った検量線に比較することにより活性を得、それから未知試料の活性が算出される。既知活性のラクターゼは例えば、ノボザイム社(Novozymes A/S, デンマーク)から得られるLactozymであることができる。
「加熱処理」という表現は、任意の温度を使って、任意の期間に渡り、任意の手段または装置により行われる任意の処理を意味し、これはスターターカルチャーの細菌の少なくともある割合が不活性化(失活)することを示す。これに関して「不活性化する」という語は、細菌の増殖の停止、低減または阻害、例えば細胞溶解を意味する。
「乳酸菌」という表現は、優勢的に生産される酸である乳酸、酢酸およびプロピオン酸を含む酸の生産を伴って糖類を発酵させる、グラム陽性の、微好気性または嫌気性菌を表す。産業的に最も有用な乳酸菌は、「ラクトバチルス目(Lactobacillales)」の中に見つかり、それはラクトコッカス属(Lactococcus)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)種、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、リューコノストック属(Leuconostoc)、シュードリューコノストック属(Pseudoleuconostoc)、ペディオコッカス属(Pediococcus)、ビレビバクテリウム属(Brevibacterium)、エンテロコッカス属(Enterococcus)およびプロピオニバクテリウム属(Propionibacterium)の種を含む。それらはしばしば別の乳酸菌と組み合わせてまたは単独の食用培養物として使用される。
ラクトバチルス属(Lactobacillus)の種及びラクトコッカス属(Lactococcus)の種の菌を含む乳酸菌は、通常は凍結されたまたは凍結乾燥された培養物として酪農業界に供給される。いわゆる「DVS (直接投入スターターDirect Vat Set)」カルチャーとして供給され、これは発酵乳製品やチーズのような乳製品の生産のためのバルクスターター繁殖用の発酵容器もしくはタンク(vat)中への直接接種のために用意される。そのような乳酸菌培養物は一般に「スターターカルチャー」または「スターター」と呼ばれる。典型的には、ヨーグルト用のスターターカルチャーは、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus;サーモフィルス菌)とラクトバチルス・デルブルッキイ亜種ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus;ブルガリア菌)を含み、多くの国ではヨーグルトは法律上前記2つの菌株を含むスターターカルチャーを使って生産された発酵乳製品として定義される。
「乳」という用語は、任意の動物、例えばウシ、ヒツジ、ヤギ、水牛またはラクダの搾乳により得られる乳状分泌液として解釈すべきである。好ましい態様では、乳は牛乳である。乳という語は植物材料から作られたタンパク質/脂肪溶液、例えば豆乳も含む。
用語「乳基質」は、本発明の方法に従って発酵にかけることができる任意の生乳および/または加工乳原料であることができる。よって、有用な乳基質としては、非限定的に、タンパク質を含む任意の乳または乳様製品、例えば全脂乳または低脂肪乳、スキムミルク、バターミルク、還元乳粉、コンデンスミルク、乾燥ミルク、ホエー、酸ホエー、ホエー透過物(酸ホエー透過物を含む)、ホエー粉(酸ホエー粉を含む)、加糖ホエー粉、脱ミネラルホエー粉、および脱乳糖ホエー粉、乳糖、乳糖の結晶化からの母液、ホエータンパク濃縮液、またはクリームが挙げられる。明らかに、乳基質は任意の動物に由来することができ、例えば実質的に純粋な哺乳動物乳、または還元乳粉末であることができる。
用語「酸ホエー透過物」は、生チーズ、例えばカッテージチーズ、リコッタ、Skyr、ギリシャヨーグルト、Tvoroq、クワルク(Quark)およびレブネ(Lebneh)の生産において限外ろ過による発酵乳製品の濃縮から得られるホエー透過物を意味し、これは乳酸菌発酵による酸凝固により製造され、そして10%溶液での酸ホエー透過物のpHは5.1より低い。
用語「酸ホエー」は、生チーズ、例えばカッテージチーズ、リコッタ、Skyr、ギリシャヨーグルト、Tvoroq、クワルク(Quark)およびレブネ(Lebneh)の生産において分離器中での発酵乳製品の濃縮から得られるホエー画分を意味し、これは乳酸菌発酵による酸凝固により製造され、そして10%溶液中での酸ホエー画分のpHが5.1より低い。
発酵前に、当業界で既知の方法に従って乳基質を均質化(ホモジナイズ)し、低温殺菌することができる。
本明細書中で用いる「均質化する」とは、強固に混合して可溶性懸濁液または乳液を得ることを意味する。均質化を発酵前に実施する場合、乳脂肪が乳からそれ以上分離しないように、乳脂肪を小さいサイズに分散させるために実施することができる。これは、高圧をかけて乳を強制的に小さいオリフィスを通過させることにより達成することができる。
本明細書中で用いる「低温殺菌する」とは、生物体、例えば微生物の存在を減少させるまたは排除する乳基質の処理を意味する。好ましくは、低温殺菌は、特定の期間、特定の温度を維持することにより達成される。特定の温度は、一般に加熱により得られる。温度と持続期間は、当業者がある種の細菌、例えば有害菌を死滅または失活させるように選択することができる。その後に急冷工程を行ってもよい。
本発明の方法における「発酵」は、微生物の作用を通したアルコールまたは酸への糖類の変換を意味する。好ましくは、本発明の方法での発酵は乳糖から乳酸への変換を含む。
乳製品の生産に使用できる発酵工程は周知であり、当業者は適当な工程条件、例えば温度、酸素、処理量、および微生物の特徴並びに工程所要時間をいかに選択するかを知っているだろう。明らかに、発酵条件は本発明の達成を助けるように、すなわち固体(例えばチーズ)または液体形(例えば発酵乳製品)での乳製品を得るように選択される。
本発明を記載する関係での(特に後述の特許請求の範囲において)用語「1つの(a, an)」と「その(the)」および類似の指示語は、本明細書中異なって指摘されない限りまたは明白に否定されない限り、単数と複数の両方を包含するものと解釈すべきである。用語「含む」、「有する」、「包含する」および「含有する」は、制限のない(open-ended)用語として解釈すべきである(すなわち、含むがそれに限定されないことを意味する。本明細書中での数値の範囲の記述は、異なって指摘されない限り、単にその範囲内に入る個々の数値に対して個別に言及することを省略した方法であって、各個々の数値があたかも個別に言及されたかのように明細書中に含まれる。本明細書中に記載の方法は、本明細書中に異なって指摘されない限りまたは明白に否定されない限り、任意の適当な順序で実施することができる。あらゆる例の使用、または本明細書中に与えられる例示的言葉(例えば「~のような」という語)は、単に本発明の理解を容易にする意図のものであり、異なって指摘されない限り本発明の範囲に対する限定を課すものではない。本明細書中のいずれの言語も、任意のクレームされない要素を本発明の実施に必須であると指摘するものと解釈すべきではない。
「発酵乳製品」という表現は、食品または飼料の調製が乳酸菌による乳基質の発酵を伴う食品または飼料を意味する。本明細書中で用いる「発酵乳製品」としては、好熱性発酵乳製品、例えばヨーグルト、中温性発酵乳製品、例えばサワークリームやバターミルク、並びに発酵ホエーといった製品が挙げられるが、それらに限定されない。
用語「好熱性」とは、35℃より高温で最適に繁殖する微生物を言う。工業的に最も有用な好熱性菌は、ストレプトコッカス属(Streptococcus)の種とラクトバチルス属(Lactbacillus)の種を含む。用語「好熱性発酵」は、約35℃より高温、例えば約35℃~約45℃の温度での発酵を指す。用語「好熱性発酵乳製品」は、好熱性スターターカルチャーの好熱性発酵により調製される発酵乳製品を指し、そして固形ヨーグルト、攪拌型ヨーグルトおよびドリンクヨーグルト、例えばヤクルト(Yakult)のような発酵乳製品を包含する。
本明細書中の用語「中温性」とは、中温(15℃~35℃)で最適に繁殖する微生物を言う。工業的に最も有用な中温性細菌は、ラクトコッカス属(Lactococcus)の種とリューコノストック属(Leuconostoc)の種を含む。用語「中温性発酵」とは、約22℃~約35℃の温度での発酵を指す。用語「中温性発酵乳製品」とは、中温性スターターカルチャーの中温性発酵により調製された発酵乳製品を指し、それにはバターミルク、サワーミルク、培養ミルク、スメタナ、サワークリーム、ケフィアおよびフレッシュチーズ、例えばクオーク、ツヴァログ(tvarog)およびクリームチーズが挙げられるが、それらに限定されない。
図1は、低温殺菌後の下流のヨーグルトに1000、2000および3000 LAU/Lのラクターゼ量に添加されたラクターゼ処理サンプル中の残留乳糖含量を示す。
図2は、低温殺菌後の下流のヨーグルトに200, 400, 600, 800, 1000および1200 LAU/Lのラクターゼ量に添加されたラクターゼ処理サンプル中の残留乳糖含量を示す。
図3は48時間のみにおける図2のデータを示す。
図4は76時間のみにおける図2のデータを示す。
実施例1
ラクターゼ活性-エッペンドルフ(Eppendorf)チューブ中での37℃、pH 6.5でのアッセイ
原理:
ラクターゼは乳糖をブドウ糖(グルコース)とガラクトースに加水分解する。汎用のグルコースオキシダーゼ/ペルオキシダーゼアッセイの修正バージョンを使ってブドウ糖が測定される (Werner, W. 他 (1970) Z. analyt. Chem. 252: 224)。
LAUはM緩衝液中で37℃、pH 6.5で1分間あたり1マイクロモルのブドウ糖を遊離させる酵素の量として定義される(M緩衝液は本明細書の詳細な説明中に定義されている)。あるいは、特定のラクターゼについてのLAU活性は本実施例に記載の方法により決定される。得られた値を、既知活性のラクターゼを使って作成された検量線と比較し、それから未知のサンプルの活性を算出する。既知活性のラクターゼは例えば、ノボザイム社(Novozymes A/S、デンマーク)から得られるラクトザイム(Lactozym)であることができる。
溶液:
アッセイ緩衝液: 50 mM コハク酸塩、50 mM HEPES、50 mM CHES、150 mM KCl、2 mM CaCl2、1 mM MgCl2、0.01% Triton X100、 pH 6.5。
GOD-Perid溶液: 65 mM リン酸ナトリウム, pH 7、0.4 g/L グルコースオキシダーゼ、0.013 g/L HRP (西洋わさびペルオキシダーゼ)、0.65 g/L ABTS (2,2'-アジノ-ビス(3-エチルベンズチアゾリン-6-スルホン酸))。
基質:
160 mM 乳糖、50 mMコハク酸塩、50 mM HEPES、50 mM CHES、150 mM KCl、2 mM CaCl2、1 mM MgCl2、pH 6.5。
標準品:
LAU/gでの既知活性を有するラクトザイム(Lactozym)(Novozymes A/S, デンマークより入手可能) が標準として用いられ、アッセイ緩衝液中に0.09~0.7 LAU/gの範囲で希釈される。
サンプル:
酵素サンプルはアッセイ緩衝液中に適当に希釈される。
手順:
1. 375μLの基質を37℃で5分間インキュベートする。
2. アッセイ緩衝液中に希釈された酵素25 μLを添加する。
3. 30分後に60μLの1 M NaOHを添加することにより反応を停止させる。
4. 20μLを96ウェルのマイクロタイタープレートに移し、そこに200μLのGOD-Perid溶液を加える。室温で30分後、420 nmで吸光度を測定する。
実施例2
15または30 gの噴霧乾燥ホエー透過物粉末(Variolac, Arla)を85または70 mLのイオン水中でそれぞれ混合することにより、主に乳糖とイオンを含む100 mLの15%または30%(w/w)ホエー透過物を調製した。その溶液を、磁気撹拌子を入れたフラスコ中に注ぎ、37℃の恒温水槽中に置いた。15分後、酵素を添加した。試験した酵素は、3060 LAU/gの活性を有するNovozyme A/S,デンマークからの市販のラクターゼであるLactozymと、配列番号2に示すコード配列を有し295 LAU/gの活性を有するビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)由来の試験ラクターゼとであった。
用量は、4225 LAU/L乳のLactzymと2025 LAU/L乳のビフィドバクテリウム由来ラクターゼであった。乳サンプルを一定間隔で5.5時間まで採取し、次いでサーモミキサー中で99℃に10分間加熱することにより酵素を不活性化した。サンプルを適切に希釈し、0.20μmフィルターを通してろ過した。
乳糖加水分解をDionex PA1カラムとパルスアンペリオメトリスク検出器(Pulsed Amperiometrisk Detektor; PAD)を装備したDionex BioLCを使って測定した。乳糖、ブドウ糖およびガラクトースの既知標準試料と比較することにより、ピークを同定し定量した。
結果を下記に示す。
表1:Lactozymまたはビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)ラクターゼによる処理後の15%DSホエー透過物中の乳糖、ブドウ糖およびガラクトース量
Figure 0007096169000001
表2:Lactozymまたはビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)ラクターゼによる処理後の30%DSホエー透過物中の乳糖、ブドウ糖およびガラクトース量
Figure 0007096169000002
15%または30%ホエー透過物中のように高乳糖濃度で試験した場合でも、まったくまたはごく少量のガラクトオリゴ糖しか生成されなかった。生成されるガラクトースとグルコースレベルは等しく、加水分解された乳糖の量と一致した。比較のためのLactozymは、グルコースよりも少ない量のガラクトースを生成するので、ガラクトオリゴ糖が生成されたことを明らかに示している。
実施例3
基質として乳糖を使ったビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)由来の試験ラクターゼのpHプロフィール(37℃)と温度プロフィール(pH 6.5で)。
原理:
ラクターゼは乳糖を加水分解し、グルコースとガラクトースを生成する。一般的なグルコースオキシダーゼ/ペルオキシダーゼアッセイの修正バージョンによりブドウ糖を測定する(Werner, W.他(1970) Z. analyt. Chem. 252: 224)。
pHプロフィール
基質:
167 mM 乳糖、50 mMコハク酸塩、50 mM HEPES、50 mM CHES、150 mM KCl、2 mM CaCl2、1 mM MgCl2 およびNaOHでpH 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9および10にpH調製する。
酵素サンプル:
配列番号2に示されたコード配列を有するビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)由来の試験用ラクターゼ を150 mM KCl, 2 mM CaCl2, 1 mM MgCl2, 0.01% Triton X100中に適切に希釈した。
手順:
・酵素希釈緩衝液中に希釈した酵素サンプル10μLを室温でPCRチューブに添加した。
・90μLの基質を室温で加え、即座に37℃のPeltierサーマルサイクラー(PCT-200, MJ Research)中に置き、30分間インキュベートし、次いで氷上に置いた。
・100μLの0.25 M NaOHを加えることにより反応を停止させた。
・20μLを96ウェルのマイクロタイタープレート上に移し、そこに230μLの65 mMリン酸ナトリウム(pH 7)、0.4 g/Lグルコースオキシダーゼ、0.013 g/L HRP、0.65 g/L ABTS溶液を添加した。室温で30分後、420 nmで吸光度を測定した。
Figure 0007096169000003
温度プロフィール
基質:
167 mM乳糖、50 mMコハク酸塩、50 mM HEPES、50 mM CHES、150 mM KCl、2 mM CaCl2、1 mM MgCl2 、NaOHでpH 6.5 にpH調整した。
酵素サンプル:
配列番号2に示されたコード配列を有するビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)由来の試験用ラクターゼ を50 mMコハク酸塩、50 mM HEPES, 50 mM CHES, 150 mM KCl, 2 mM CaCl2, 1 mM MgCl2, 0.01% Triton X100中に適当に希釈し、pH 6.5にpH調整した。
手順:
・酵素希釈緩衝液中に希釈した酵素サンプル10 μlを室温でPCRチューブに添加した。
・90 μlの予熱した(30~70℃のPeltierサーマルサイクラー中)基質を加え、30~70℃の温度勾配をかけて30分間インキュベートし、次いで氷上に置いた。
・100μLの0.25 M NaOHを加えることにより反応を停止させた。
・20μLを96ウェルのマイクロタイタープレートに移し、そこに230μLの65 mMリン酸ナトリウム(pH 7)、0.4 g/Lグルコースオキシダーゼ、0.013 g/L HRP、0.65g/L ABTS溶液を加えた。室温で30分後、420 nmで吸光度を測定した。
Figure 0007096169000004
実施例4
5℃でのラクターゼ酵素のKm測定
原理:
ラクターゼは乳糖を加水分解し、ブドウ糖とガラクトースを生成する。一般的なグルコースオキシダーゼ/ペルオキシダーゼアッセイの修正バージョン(Werner, W.他(1970) Z. analyt. Chem. 252: 224)を使ってブドウ糖を測定する。
基質:
Km/5から10*Kmまでの範囲の異なるラクターゼ濃度、50 mMコハク酸塩、50 mM HEPES、50 mM CHES、150 mM KCl、2 mM CaCl2、1 mM MgCl2 、NaOHでpH 6.5にpH調整した。
酵素サンプル:
配列番号2に示されたコード配列を有するビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)由来の試験用ラクターゼを50 mMコハク酸塩、50 mM HEPES, 50 mM CHES, 150 mM KCl, 2 mM CaCl2, 1 mM MgCl2, 0.01% Triton X100中に適当に希釈し、NaOHでpH 6.5にpH調整した。
12 g/LのLactozym(Novozymes A/S, デンマークから市販されている)を同緩衝液中に6000倍希釈した。
手順:
- 10μLの酵素サンプル(5℃)を、氷上に置いた96ウェルマイクロタイタープレートに添加した。
- 90μLの基質(5℃)を添加し、5℃で2時間インキュベートした。
- 100μLの0.25 M NaOHを加えることにより反応を停止させた。
- 20μLを96ウェルマイクロタイタープレートに移し、そこに230μLの65 mMリン酸ナトリウム(pH 7)、0.4 g/Lグルコースオキシダーゼ、0.013 g/l HRP、0.65 g/L ABTS溶液を加えた。室温で30分後、420 nmで吸光度を測定した。
Km測定:
コンピューターでの非線形最小二乗近似法とミカエレスメンテン式:
v = (Vmax*S)/(Km+S)
を用いた。ビフィドバクテリウム由来ラクターゼとLactozymのKmは、それぞれ8 mM と30 mMであると測定された。
37℃で実施した同様な試験では、ビフィドバクテリウム由来ラクターゼとLactozymのKm 値はそれぞれ13 mMと30 mMであると測定された。
実施例5
低温殺菌後に添加されたラクターゼを含む低温殺菌ヨーグルトの製造
乳基質
脂肪分 2.8%*
タンパク分 2.8%*
乳糖 3.0%
ショ糖 5.0% (添加)
加工でんぷんE1442 Cargillタイプ75720 1.50%
ペクチン タイプLMA CP KelcoタイプLM 106 AS-YA 0.25%
Gellanガム タイプKelcogel YSS 0.05%
* 最終製品中の含有率、すなわち、加熱処理、周囲貯蔵株の添加、および150日間の貯蔵後の含有率。
スターターカルチャー
2種の株、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)とラクトバチルス・デルブルッキイ亜種ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii spp. bulgaricus)を含有するYoFlex(登録商標)スターターカルチャーFD-DVS YF-L904型。
ラクターゼ
配列番号2のコード配列と295 LAU/gの活性を有する、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)由来のラクターゼ。
乳製品の製造方法
1. 乾燥成分を乳中に分散させる。
2. 穏やかに攪拌しながら3時間置いておく。
3. 65℃の温度に達するまで乳を加熱する。
4. 150バール(0.15 MPa)で均質化。
5. 95℃で5分間加熱処理。
6. 発酵温度43℃に冷却。
7. 乳を発酵タンクにポンプ注入。
8. YoFlexカルチャーYF-L904型を接種。
9. pHが4.30に達するまで発酵。
10. 滑らかな構造が得られるまでカードを破砕し攪拌する。
11. 75℃で30秒間加熱処理。
12. 25℃に冷却。
13. 1420 LAU/Lヨーグルト製品のレベルにラクターゼを添加し、ヨーグルト中ラクターゼが均一に分散するようにヨーグルトを穏やかに混合する。
14. ヨーグルトを容器に充填する。
15. ヨーグルトを20℃で7日間貯蔵する。
実施例6
低温殺菌ヨーグルトへのラクターゼの下流添加
この実験を実施する目的は、低温殺菌ヨーグルトの最終加熱処理後に、<0.01%の残留乳糖含量に達するように適当なラクターゼを添加できることを証明することである。
タンパク分2.9%と脂肪分2.8%の組成を有する低音殺菌ヨーグルトを製造した。YoFlexカルチャーYF-L904型を使用して4.30のpHにまで乳基質を発酵させた。4.30のpHに達した後、プレート型熱交換器中でヨーグルトを15℃に冷却し、15℃の断熱緩衝タンク中に3時間維持した後、最終加熱処理を実施した。最終加熱処理はプレート型熱交換器中で74℃にて20秒間行い、次いで製品を無菌のビーカーに25℃で装填した。そのサンプルを周囲温度(22℃)で1日間貯蔵した後で無菌のラクターゼを添加した。
乳基質
Figure 0007096169000005
Milkoscan分析:脂肪分2.8%、タンパク分2.9%
次のパラメータを発酵と加工処理に使用した:
混合温度:10℃
水和時間:穏やかな攪拌下で3時間
ラクターゼ
配列番号2のコード配列を有するビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)由来のラクターゼ。
スターターカルチャー
クリスチャン・ハンセン社(Chr.Hansen)製YoFlex(登録商標)カルチャーYF-L904型製品は、2種の菌株ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)とラクトバチルス・デルブルッキイ種ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii spp. bulgaricus)を含む。
ヨーグルトの製造方法
均質化圧:150バール
低温殺菌条件:95℃、5分間
発酵温度:43℃
最終pH:4.30
滑らかな構造が得られるまでカードを手動で破砕し攪拌する。
プレート型熱交換器中で15℃に冷却する。
プレート型熱交換器中で加温保持、414 L/時の流れ。
均質化圧:0バール。
発酵停止条件:74℃、20秒。
無菌の100 mLカップに充填、充填温度25℃。
ラクターゼ添加
ラクターゼを滅菌ろ過し、次の用量で100 mLの低温殺菌ヨーグルトに添加した:
a) 0 LAU/L - Ref
b) 1000 LAU/L
c) 3000 LAU/L
d) 10000 LAU/L
サンプルを室温(22℃)で貯蔵し、次の時点で残留乳糖分析用にサンプルを採取した:24時間、48時間および1週間。
結果
図1に、ラクターゼを添加したサンプルの残留乳糖含量が示される。参照サンプルの残留乳糖は2.4%残留乳糖であると測定された。図1から明らかなように、乳糖濃度は、3000 LAU/Lと10000 LAU/Lのラクターゼ濃度の場合に添加後24時間目に約0.005%のレベルにまで減少した。また、3つのラクターゼ濃度全ての場合において添加から48時間後と1週間後に乳糖濃度が約0.005%のレベルに減少した。
実施例7
低温殺菌ヨーグルトへのラクターゼの下流添加
この実験を実施する目的は、低温殺菌ヨーグルトの最終加熱処理後に、<0.1%の残留乳糖含量に達するように適当なラクターゼを添加できることを証明することである。
タンパク分2.87%と脂肪分2.89%の組成を有する低温殺菌ヨーグルトを製造した。YoFlexカルチャーYF-L904型を使用して4.30のpHにまで乳基質を発酵させた。4.30のpHに達した後、プレート型熱交換器中でヨーグルトを15℃に冷却し、15℃の断熱緩衝タンク中に3時間維持した後、最終加熱処理を実施した。最終加熱処理はプレート型熱交換器中で74℃にて20秒間行い、次いで製品を無菌のビーカーに25℃で充填した。そのサンプルを25℃で1日間貯蔵した後で無菌のラクターゼを添加した。
乳基質
Figure 0007096169000006
Milkoscan分析:脂肪分2.87%、タンパク分2.89%
次のパラメータを発酵と加工処理に使用した:
混合温度:10℃
水和時間:穏やかな攪拌下で3時間
ラクターゼ
配列番号2のコード配列を有するビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)由来のラクターゼ。
スターターカルチャー
クリスチャン・ハンセン社(Chr.Hansen)製YoFlex(登録商標)カルチャーYF-L904型製品は、2種の菌株ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)とラクトバチルス・デルブルッキイ種ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii spp. bulgaricus)を含む。
ヨーグルトの製造方法
均質化圧:150バール
低温殺菌条件:95℃、5分間
発酵温度:43℃
最終pH:4.30
滑らかな構造が得られるまでカードを手動で破砕し攪拌する。
プレート型熱交換器中で15℃に冷却する。
プレート型熱交換器中で加温保持、414 L/時の流れ。
停止条件:74℃、20秒。
無菌の100 mLカップに充填、充てん温度25℃。
ラクターゼ添加
ラクターゼを滅菌ろ過し、次の用量で100 mLの低温殺菌ヨーグルトに添加した:
a) 0 LAU/L - Ref
b) 200 LAU/L
c) 300 LAU/L
d) 400 LAU/L
e) 600 LAU/L
f) 1000 LAU/L
g) 1200 LAU/L
サンプルを25℃で貯蔵し、次の時点で残留乳糖分析用にサンプルを採取した:8時間、24時間、48時間および76時間。
結果
図2~4に、ラクターゼを添加したサンプルの残留乳糖含量が示される。参照サンプルの残留乳糖は2.4%残留乳糖であると測定された。0.1および0.5の残留乳糖含量での水平線は、それぞれEUと中国において食品規制法に従って無乳糖乳として適格とされる乳糖のレベルを示す。
図2~4から明らかなように、乳糖濃度は、400 LAU/Lのラクターゼ濃度の場合約0.355%のレベルに減少し、そしてそれより高いラクターゼ濃度の場合には0.01%以下のレベルに減少した。48時間の時点では、乳糖濃度は400 LAU/Lのラクターゼ濃度の場合に0.015%のレベルに降下し、そしてより高いラクターゼ濃度の場合には0.01%以下のレベルに降下した。76時間の時点では、乳糖濃度は400 LAU/Lのラクターゼ濃度とより高いラクターゼ濃度の場合に0.01%以下のレベルに降下した。
よって、本実験は、48時間では600 LAU/Lのラクターゼ用量でそして76時間では400 LAU/Lのラクターゼ用量で0.01%以下の残留乳糖含量の目標を達成することが可能である。
実施例8
異なるpHレベル(4.0~4.4)での低温殺菌ヨーグルトへのラクターゼの下流添加
実験を行う目的は、ラクターゼを使って低温殺菌ヨーグルト(PPY)中の乳糖を除去する方法において、4.0~4.4の範囲の異なるpHを使ってPPYの所望の乳糖除去を達成することが可能であることを証明することである。
乳基質
Figure 0007096169000007
Milkoscan分析:
標準乳糖原料乳:脂肪分2.88%、タンパク分2.91%
高乳糖乳原料乳:脂肪分2.91%、タンパク分2.94%
ラクターゼ
配列番号2のコード配列を有するビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)由来のラクターゼ。
ヨーグルトの製造方法
均質化圧:60℃で150バール
殺菌条件:95℃で5分
発酵温度:43℃
標準乳糖乳基質の最終pH:4.0, 4.1, 4.2, 4.3および4.4
高乳糖乳基質の最終pH:4.3
カードを手動で破砕し滑らかな構造が得られるまで攪拌する。
プレート型熱交換器中で15℃に冷却
熱交換器中での加温保持(thermisation)、フロー414 L/時
停止条件:74℃で30秒。
無菌の100mLカップに充填、充填温度25℃。
ラクターゼ添加
ラクターゼを無菌ろ過し、低温殺菌ヨーグルトを次の用量で100mLビーカーに添加した:
a) 0 LAU/L - Ref
b) 200 LAU/L
c) 400 LAU/L
d) 600 LAU/L
e) 800 LAU/L
サンプルを15℃、20℃、25℃および30℃で貯蔵し、次の時点:24時間、48時間および72時間目に残留乳糖分析用にサンプルを採取した。
結果
簡略化のため25℃で貯蔵したサンプルについての結果のみを示す。15℃、20℃および30℃で貯蔵したサンプルについても同等の結果が得られた。
表5:25℃で貯蔵したサンプルの残留乳糖含有率
Figure 0007096169000008
Figure 0007096169000009
表5と表6から明らかなように、ヨーグルトの最終pHが低くなるほど残留乳糖含量が高くなる。この結果は更に、最低のpHで、800 LAU/Lのラクターゼ用量を用いて48時間目に0.1%以下の残留乳糖の目標を達成することが可能であることを示す。
実施例9
低添加量のラクターゼを用いる低温殺菌ヨーグルトへのラクターゼの下流添加
本実験を行う目的は、ラクターゼを使って低温殺菌ヨーグルト(PPY)中の乳糖を除去する方法において、所望の残留乳糖の目標を達成するのに必要な最小量を確立するために低用量のラクターゼの有効性を試験することである。
乳基質
Figure 0007096169000010
Milkoscan分析:脂肪分2.81%、タンパク分3.11%
ラクターゼ
配列番号2のコード配列を有するビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)由来のラクターゼ。
ヨーグルトの製造方法
均質化圧:60℃で150バール
低温殺菌条件:95℃、5分間
発酵温度:43℃
標準乳糖原料乳の最終pH:4.15、4.20、4.25および4.30
高乳糖原料乳の最終pH:4.3
滑らかな構造が得られるまでカードを手動で破砕し攪拌する。
プレート型熱交換器中で15℃に冷却する。
プレート型熱交換器中で加温保持、414 L/時のフロー。
停止条件:74℃、20秒。
無菌の100 mLカップに充填、充填温度25℃。
ラクターゼ添加
ラクターゼを滅菌ろ過し、次の用量で100 mLビーカー中の低温殺菌ヨーグルトに添加した:
a) 0 LAU/L - Ref
b) 50 LAU/L
c) 100 LAU/L
d) 200 LAU/L
e) 300 LAU/L
サンプルを25℃で貯蔵し、次の時点:24時間、48時間および72時間目に残留乳糖分析用にサンプルを採取した。
結果
簡略化の目的上、25℃で貯蔵したサンプルについての結果のみを示す。15℃、20℃および30℃で貯蔵したサンプルについても同等の結果が得られた。
表7:サンプルの残留乳糖含量
Figure 0007096169000011
4.3、4.25、4.20および4.15のpHを有しかつラクターゼを添加しない低温殺菌ヨーグルト原料は、それぞれ2.57、2.52、2.47および2.40の乳糖含量を有した。
表7から明らかなように、200 LAU/Lのラクターゼ用量を用いた場合4.3と4.25のpHを有するサンプルについて48時間目に0.5%以下の残留乳糖を達成することが可能であり、300 LAU/Lのラクターゼ用量を用いた場合試験した全てのサンプルについて48時間目に0.3%以下のレベルを達成することが可能であった。
実施例10
ラクターゼの添加による低乳糖含量を有する酸ホエー飲料の製造
本実験の目的は、酸ホエー透過物から乳糖を除去できることを証明すること、そして様々なラクターゼ用量、反応時間および温度の効果を調べることである。
乳基質
Figure 0007096169000012
酸ホエー透過物(限外ろ過より)はSkyrの生産からの副産物である。酸ホエー透過物は次の組成を有した:
タンパク質 0.2%
糖類 3.7%
脂肪 0.01%
灰分 0.8%
水分 94.7%
pH 4.27
ラクターゼ
配列番号2のコード配列を有するビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)由来のラクターゼ。
工程
1. 72℃に酸透過物を加熱/2分間。
2. 下記温度に冷却
a. 5℃(2×1000 mL)
b. 40℃(3×1000 mL)
3. ラクターゼの定量添加
a. 5℃:2500および5000 LAU/L (2×1000 mL)
b. 40℃:500、1000および2500 LAU/L (3×1000 mL)
4. 乳糖分析用サンプル
a. ラクターゼの添加前のサンプル
b. 40℃で2500 LAU/Lのサンプル:3~7時間の間1時間毎、および24時間目
c. 他のサンプル:24時間目
5. 酸ホエーベースの飲料の加工処理
a. HMペクチン溶液、フレーバーおよびショ糖の添加。
b. クエン酸でpHを3.9に調整。
c. 80℃に2分間加熱。
d. 150バールで80℃にて均質化
e. ボトルに充填。
結果
表8:試験サンプルについての残留乳糖含量(g/L)
Figure 0007096169000013
表8から明らかなように、1000と2500 LAU/Lのラクターゼ濃度の場合40℃の温度の試験サンプルについて、更に5000 LAU/Lのラクターゼ濃度の場合5℃の温度の試験サンプルについて、約0.1 g/Lのレベルへの乳糖含量の減少が可能であった。他の2つのサンプルについては、乳頭含量を0.5 g/L以下に低下させることができた。
配列表
配列番号1は、配列番号4の変異体の配列である。
配列番号2は、配列番号4の変異体の配列である。
配列番号3は、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)DSM20215由来のラクターゼの配列である。
配列番号4は、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)NCIMB41171由来のラクターゼの配列であり、そのヌクレオチド配列はアクセス番号DQ448279でNCIBにリスト化されている。
配列番号4は、次の参考文献中に記載されており、その配列をbbgIIIと称する:
Appl Microbiol Biotechnol (2007) 76:1365-1372, T K Goulas他。
Appl Microbiol Biotechnol (2009) 82:1079-1088, T Goulas他。
Appl Microbiol Biotechnol (2009) 84:899-907, T Goulas他。

Claims (13)

  1. 3.0~5.0のpHと少なくとも1.5 mg/mLの乳糖含量を有する酸性乳製品であって、ラクターゼの最適pHでのその活性に比較して少なくとも5%のレベルで5.0のpHと37℃の温度でのその活性を保持しているラクターゼを含有し、該製品が、スターターカルチャーを使った発酵により生産される発酵乳製品であり、該発酵後の発酵乳製品が、1×10exp02 CFU/g以下にスターターカルチャーの細菌レベルを減少させるように加熱処理にかけられており、そして該ラクターゼが加熱処理後に添加されてい酸性乳製品。
  2. 前記ラクターゼが、該ラクターゼの最適pHでのその活性に比較して少なくとも10%のレベルで10℃の温度と6.0のpHでのその活性を保持している、請求項1記載の乳製品。
  3. 前記乳製品が該乳製品1リットルあたり100~20000 LAUの量でラクターゼを含有する、請求項1または2記載の乳製品。
  4. 前記ラクターゼがビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacteriumbifidum)由来のラクターゼである、請求項1~のいずれか一項記載の乳製品。
  5. 前記ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacteriumbifidum)由来のラクターゼが、配列番号1のアミノ酸28~1931、配列番号2のアミノ酸28~1331、配列番号3、配列番号4およびそれのラクターゼ活性断片からなる群より選択された配列に少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項記載の乳製品。
  6. 前記乳製品が酸ホエーおよび酸ホエー透過物からなる群より選択された酸ホエー乳製品を含む、請求項1記載の乳製品。
  7. 酸性乳製品の製造方法であって、3.0~5.0のpHと少なくとも1.5 mg/mLの乳糖含量を有する基礎的な酸性乳製品を提供し、該基礎的な酸性乳製品にラクターゼを添加してラクターゼ含有酸性乳製品を得、ここで該ラクターゼは最適pHでのその活性に比較して少なくとも5%のレベルで5.0のpHと37℃の温度でのその活性を保持するものであり、そして前記ラクターゼ含有酸性乳製品を少なくとも2℃の温度で少なくとも1日間貯蔵するという工程を含む方法。
  8. 酸性乳製品の製造方法であって、3.0~5.0のpHと少なくとも1.5 mg/mLの乳糖含量を有する基礎的な酸性乳製品を提供し、該基礎的な酸性乳製品を、1×10exp02 CFU/g以下にまで細菌レベルを減少させるように加熱処理にかけて加熱処理済酸性乳製品を得、該加熱処理済酸性乳製品にラクターゼを添加してラクターゼ含有酸性乳製品を得、ここで該ラクターゼは最適pHでのその活性に比較して少なくとも5%のレベルで5.0のpHと37℃の温度でのその活性を保持するものであり、そして前記ラクターゼ含有酸性乳製品を少なくとも2℃の温度で少なくとも1日間貯蔵するという工程を含む方法。
  9. 発酵乳製品の製造方法であって、乳酸菌のスターターカルチャーを使って乳基質を発酵させ、3.0~5.0のpHと少なくとも1.5 mg/mLの乳糖含量を有するスターターカルチャー発酵乳製品を得、該スターターカルチャー発酵乳製品を、1×10exp02 CFU/g以下にまで細菌レベルを低下させるように加熱処理にかけて加熱処理済発酵乳製品を得、該加熱処理済発酵乳製品にラクターゼを添加してラクターゼ含有発酵乳製品を得、ここで該ラクターゼはラクターゼの最適pHでのその活性に比較して少なくとも5%のレベルで5.0のpHと37℃の温度でのその活性を保持するものであり、そして前記ラクターゼ含有発酵乳製品を少なくとも2℃で少なくとも1日間貯蔵するという工程を含む方法。
  10. 前記ラクターゼ含有発酵乳製品を少なくとも15℃の温度で貯蔵する、請求項記載の方法。
  11. 前記ラクターゼ含有発酵乳製品を少なくとも7日間貯蔵する、請求項または10記載の方法。
  12. 前記スターターカルチャー発酵乳製品を濃縮工程にかけ、該スターターカルチャー発酵乳製品を濃縮画分と分離した酸ホエー画分に分割し、ここで分離した酸ホエー画分をこの工程の次の工程に供し、濃縮画分は次の工程を受けない、請求項11のいずれか一項記載の方法。
  13. 3.0~5.0のpHと少なくとも1.5 mg/mLの乳糖含量を有する酸性乳製品に、前記乳糖含量を貯蔵の間に減少させる目的で添加するための、ラクターゼの最適pHのその活性に比較して少なくとも5%のレベルで5.0のpHと37℃の温度でのその活性を保持するラクターゼの使用。
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