JP7095867B2 - 金属または金属塩の溶解用溶液およびその利用 - Google Patents
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Description
〔1〕(a)酸化側の分解電位が+1.23V vs.SHE以上である、および(b)還元側の分解電位が0V vs.SHE以下である、の少なくとも一つの性質を有する溶質が溶解した金属または金属塩の溶解用溶液であり、前記溶質に由来するアニオンを1mol/kg以上含むことを特徴とする、溶液。
〔2〕前記溶質の飽和水溶液の相対湿度が純水に対して90%以下であることを特徴とする、〔1〕に記載の溶液。
〔3〕前記アニオンの濃度が、2mol/kg以上、20mol/kgより低い濃度であることを特徴とする、〔1〕または〔2〕に記載の溶液。
〔4〕前記アニオンが、ハロゲン化物イオンであることを特徴とする、〔1〕から〔3〕のいずれかに記載の溶液。
〔5〕前記ハロゲン化物が、ハロゲン化カルシウムであることを特徴とする、〔4〕に記載の溶液。
〔6〕前記ハロゲン化カルシウムが、4水和物より大きく36水和物以下のハロゲン化カルシウムであることを特徴とする、〔5〕に記載の溶液。
〔7〕〔1〕から〔6〕のいずれかに記載の溶液と、前記溶液に溶解した金属または金属塩とを含むことを特徴とする、めっき液。
〔8〕前記金属が、難溶性の塩を形成する金属、標準水素電極電位を基準として活量1のプロトンが分解する電位(0V)もしくはそれよりも低い電位でめっきが可能な金属、および標準水素電極電位を基準として+1.2V以下の電位でめっきが可能な金属の少なくとも1つであることを特徴とする、〔7〕に記載のめっき液。
〔9〕前記金属が、Ag、Pb、Bi、Cu、Hg、Tl、Al、As、Ba、Be、B、Ca、Cd、Ce、Co、Cr、Cs、Eu、Fe、Ga、Gd、Ge、Hf、In、K、La、Li、Lu、Mg、Mn、Mo、Na、Nb、Nd、Ni、P、Pb、Rb、S、Sb、Sc、Se、Si、Sm、Sn、Sr、Ta、Ti、V、W、Y、Yb、Zn、Zr、Au、PtおよびPdからなる群より選択される少なくとも1つであることを特徴とする、〔7〕または〔8〕に記載のめっき液。
〔10〕〔7〕~〔9〕のいずれかに記載のめっき液に、めっき処理対象物を浸漬する工程を含むことを特徴とする、めっき物の製造方法。
本発明の一実施形態において、(a)酸化側の分解電位が+1.23V vs.SHE以上である、および(b)還元側の分解電位が0V vs.SHE以下である、の少なくとも一つの性質を有する溶質が溶解し、かつ、高濃度の、前記溶質に由来するアニオンを含む、金属または金属塩の溶解用溶液(本明細書において、適宜「本発明の溶液」と呼ぶ。)を提供する。
・特定の性質を有する溶質が溶解した、高濃度の、前記溶質に由来するアニオン(例えば、ハロゲン化物イオン)を含む溶液が、金属または金属塩の高い溶解度を示すこと。
・特定の性質を有する溶質が溶解した、高濃度の、前記溶質に由来するアニオン(例えば、ハロゲン化物イオン)を含む溶液を用いれば、溶液中に、強酸、強アルカリ液等の危険物・劇薬、シアン化物等の毒物、高コストな有機化合物、および/または錯形成剤を添加する必要がないこと。
・特定の性質を有する溶質が溶解した、高濃度の、前記溶質に由来するアニオン(例えば、ハロゲン化物イオン)を含む溶液を含むめっき液により、めっき処理対象物のめっき処理が可能であること。
・本発明の溶液は、金属または金属塩を、めっき液として使用できる程度まで十分な量を溶解できる。特に、難溶性の金属塩、例えば、AgCl、PbCl2、CuCl、CrCl3、BiCl3、TlCl3等を、添加剤を加えることなく、十分量溶解できる。
・本発明の溶液を含むめっき液は、毒性がなく、比較的安価である。
・本発明の溶液は、錯形成剤を含む必要がないため、窒素、炭素、硫黄等の不純物の混入による生産性の低下および/またはめっき物の品質の低下を回避もしくは低減できる。
・本発明の溶液として高濃度のハロゲン化カルシウムを溶解させた溶液を用いた場合、これを含むめっき液は、溶媒分子がカルシウムイオンに配位し、安定化するため、めっき処理を行った際に、水素生成等の副反応が抑制され、その結果、めっき物の生産性が向上し、得られためっき物のめっき皮膜の品質への影響が低減される。
本発明の一実施形態において、〔1.金属または金属塩の溶解用溶液〕の項に記載のいずれかの溶液と、前記溶液に溶解した金属または金属塩とを含む、めっき液(本明細書において、適宜「本発明のめっき液」と呼ぶ。)を提供する。
本発明の一実施形態において、〔2.めっき液〕の項に記載のめっき液に、めっき処理対象物を浸漬する工程を含む、めっき物の製造方法(本明細書において、適宜「本発明の製造方法」と呼ぶ。)を提供する。
イオン交換により得られたポリ容器中の純水に、純度95%の無水塩化カルシウム(和光純薬製)を加えた。純水と無水塩化カルシウムとの混合比は、物質量比で純水/無水塩化カルシウムをnとして、4≦n≦36の範囲とした。続いて、300rpmで10分間撹拌し、無水塩化カルシウムを溶解させ、高濃度のCaCl2液を得た。その後、使用まで密封して保管した。
イオン交換により得られたポリ容器中の純水に、純度95%の無水塩化カルシウム(和光純薬製)を加えた。純水と無水塩化カルシウムとの混合比は、物質量比で純水/無水塩化カルシウムをnとして、4≦n≦18の範囲とした。続いて、300rpmで72時間撹拌し、無水塩化カルシウムを溶解させ、高濃度のCaCl2溶液を得た。その後、使用まで密封して保管した。
イオン交換により得られたポリ容器中の純水に、純度99.5%の無水塩化カリウム(和光純薬製)を加えた。純水と無水塩化カリウムとの混合比は、物質量比で純水/無水塩化カリウムをnとして、0≦n≦5の範囲とした。続いて、300rpmで72時間撹拌し、無水塩化カリウムを溶解させ、高濃度のKCl溶液を得た。その後、使用まで密封して保管した。
イオン交換により得られたポリ容器中の純水に、純度99.5%の無水塩化ナトリウム(和光純薬製)を加えた。純水と無水塩化ナトリウムとの混合比は、物質量比で純水/無水塩化ナトリウムをnとして、0≦n≦5の範囲とした。続いて、300rpmで72時間撹拌し、無水塩化ナトリウムを溶解させ、高濃度のNaCl溶液を得た。その後、使用まで密封して保管した。
イオン交換により得られたポリ容器中の純水に、純度99.5%の無水塩化リチウム(和光純薬製)を加えた。純水と無水塩化リチウムとの混合比は、物質量比で純水/無水塩化リチウムをnとして、4≦n≦20の範囲とした。続いて、300rpmで72時間撹拌し、無水塩化リチウムを溶解させ、高濃度のLiCl溶液を得た。その後、使用まで密封して保管した。
イオン交換により得られたポリ容器中の純水100mLに、純度99.5%の無水硫酸ナトリウム(和光純薬製)を78.9g加えた。続いて、300rpmで72時間撹拌し、無水硫酸ナトリウムを溶解させ、高濃度のNa2SO4溶液を得た。その後、使用まで密封して保管した。
イオン交換により得られたポリ容器中の純水50mLに、純度99.5%の臭化リチウム一水和物(和光純薬製)を174.8g加えた。続いて、300rpmで72時間撹拌し、臭化リチウム一水和物を溶解させ、高濃度のLiBr溶液を得た。その後、使用まで密封して保管した。
イオン交換により得られたポリ容器中の純水50mLに、純度99.5%の無水酢酸カリウム(和光純薬製)を128.0g加えた。続いて、300rpmで72時間撹拌し、無水酢酸カリウムを溶解させ、高濃度のKOAc溶液を得た。その後、使用まで密封して保管した。
誘導結合高周波プラズマ発光分光分析(ICP-AES)により、溶液中の金属濃度を測定した。具体的には、0.1mlの溶液を100mlメスフラスコに取り、60%硝酸1mlとチオ尿素2.5gを添加した。続いて、純水で定容して、濃度を1000倍に希釈した溶液を得た。この溶液中のAgおよびPbの濃度を求めて、得られた濃度より、希釈前の溶液のAgおよびPbの各濃度を求めた。濃度の測定には、エスアイアイ・ナノテクノロジー製のSPS3500(ICP発光分析装置)を用いた。
ハルセル銅板を1cm×5cmに切り、前処理として脱脂および酸活性処理を行った。この銅板を、常温のめっき液約20mLに浸漬し、置換めっきを行った。浸漬時間は、3分間であった。浸漬後、CaCl2・10H2O溶液で洗浄してめっき液を除去した後、水洗した。
作用極、対極および参照極を用いた3電極法により電圧を印加し、電気めっきを行った。作用極として、ハルセル銅板(Cu)または光沢Niめっきを施したハルセル真鍮板(Niめっき電極)または鉄板(Fe)を1cm×5cmに切り、前処理として脱脂および酸活性処理を施したものを用いた。対極として、Sn、Ni、Cr、CrおよびNiのめっきの場合にはIrO2-Ta2O5をコーティングしたチタン板を、Ag、Bi、Cu、Mn、Pd、Au、Ptのめっきの場合には1cm×2cm×0.3cmの炭素電極(東洋炭素製)を用いた。参照極として、銀-塩化銀電極を用いた。これらを、40℃のめっき液約20mLに浸漬し、電気めっきを行った。
3電極法によるサイクリック・ボルタンメトリー(CV)により、電位窓の測定を行なった。作用極として、3mmφのPtディスク電極またはハルセル真鍮板に前処理として脱脂および酸活性処理を施したのち光沢Niめっきを施した7.5mmφのNi電極または7.5mmφの真鍮(Brass)電極を用いた。対極として、1cm×2cm×0.3cmの炭素電極(東洋炭素製)を用いた。参照極として、銀-塩化銀(Ag/AgCl、3.3M KCl水溶液中)電極を用いた。電解液として、常温のCaCl2・6H2O、CaCl2・8H2O、CaCl2・10H2O、CaCl2・12H2Oをそれぞれ約10mL用いた。電解装置は、バイオロジック製SP-50を用いた。電解条件は、掃引範囲-1V~+1.5V vs 3.3M KCl水溶液中のAg/AgClとし、掃引速度を1mV・sec-1、サイクル数を3とした。電極を電解液に浸漬し、CV測定を行った。標準水素電極基準への換算は、銀塩化銀電極で得られた値に、220mVを加えることにより行なった。
X線回折法を用いた結晶構造解析により試料相の同定を行った。X線回折装置としては、リガク製RINT2200HFを用いた。線源をCuとし、管電圧40kV、管電流30mAにてCuKα特性エックス線を発生させ、2θ-θ法により測定した。スキャンスピードは、1°min-1とした。
電析物の表面形状は、走査型電子顕微鏡(SEM、VE-8800型、キーエンス製)によって観察した。
電析物の構成元素の組成分布は、エネルギー分散型X線分光法(EDX、VE-9800型、AMETEK製)により解析した。
(金属塩化物溶解試験(1))
高濃度CaCl2溶液および高濃度KOAc溶液に各種金属塩化物を加え、各金属の溶解度を検討した。
溶液中の金属濃度は、試験番号1~5のいずれにおいても、20g/kgH2Oを超える高い濃度であった。また、試験番号6~8について、通常は難溶性とされるAg、CuおよびPbにおいても、それぞれ5g/kgH2O、>10.1g/kgH2Oおよび93.7g/kgH2Oと高い濃度であった。さらに、試験番号9~12においても、10.1g/kgH2Oを超える高い濃度であった。これらは、めっき液として使用するのに十分な濃度であった。
(金属塩化物溶解試験(2))
各種濃度のCaCl2溶液に各種金属塩化物を加え、各金属の溶解度を検討した。
Agは、6H2O~36H2Oの高濃度のCaCl2の水和物溶液に溶解することが分かった。また、Agは、CaCl2・9H2Oのときに最大の溶解度を示すことが分かった。一方、Pbは、CaCl2・6H2Oのときに最大の溶解度を示すことが分かった。
(金属塩化物溶解試験(3))
各種濃度のCaCl2溶液、KCl溶液、NaCl溶液およびLiCl溶液に、AgClを加え、Agの溶解度を検討した。
LiCl溶液としては、LiCl・4H2O、LiCl・8H2O、LiCl・12H2O、LiCl・17.5H2O、CaCl2・20H2Oを使用した。
Agは、高濃度のCaCl2溶液、KCl溶液、NaCl溶液およびLiCl溶液のいずれにおいても溶解することが分かった。また、KCl溶液は、他の溶液よりも低い濃度で、Agの高い溶解度を示すことが分かった。それ故、KCl溶液は、溶液中に高濃度の塩化物イオンが含まれないことが好ましい合金等のめっき液として、利用され得ることが見込まれる。
(金属めっき試験(1))
高濃度のCaCl2溶液に各種金属が溶解しためっき液を用いてめっき試験を行い、その結果を検討した。
試験を行ったすべてのめっき液は、めっき対象物(基板)をめっきする能力を有することが分かった。
(金属めっき試験(2))
高濃度のCaCl2溶液にCrが溶解しためっき液を用いてめっき試験を行い、その結果を検討した。
本発明の一態様におけるCrめっき液は、良好なめっき能力を有することが分かった。特に、XRDの結果(図2(c))、めっきされたCrは良好な結晶性を有することが分かった。
(金属めっき試験(3))
<置換めっき>
高濃度のCaCl2溶液にAgが溶解しためっき液を用いてめっき試験を行い、その結果を検討した。
高濃度のCaCl2溶液にAgが溶解しためっき液を用いてめっき試験を行い、その結果を検討した。
本発明の一態様におけるAgめっき液は、置換めっきおよび電気めっきの両方において、良好なめっき能力を有することが分かった。これは、本発明の一態様におけるAgめっき液が、めっき方法に関わらず、良好なめっき能力を有することを示唆する。
(金属めっき試験(4))
高濃度のCaCl2溶液にNiが溶解しためっき液を用いてめっき試験を行い、その結果を検討した。
本発明の一態様におけるNiめっき液は、良好なめっき能力を有することが分かった。特に、XRDの結果(図5(c))、めっきされたNiは良好な結晶性を有することが分かった。
(金属めっき試験(5))
高濃度のCaCl2溶液にSnが溶解しためっき液を用いてめっき試験を行い、その結果を検討した。
本発明の一態様におけるSnめっき液は、良好なめっき能力を有することが分かった。特に、XRDの結果(図6(c))、めっきされたSnは良好な結晶性を有することが分かった。
(金属めっき試験(6))
高濃度のCaCl2溶液にBiが溶解しためっき液を用いてめっき試験を行い、その結果を検討した。
本発明の一態様におけるBiめっき液は、良好なめっき能力を有することが分かった。特に、XRDの結果(図7(b))、めっきされたBiは良好な結晶性を有することが分かった。
(金属めっき試験(7))
高濃度のCaCl2溶液にCuが溶解しためっき液を用いてめっき試験を行い、その結果を検討した。
本発明の一態様におけるCuめっき液は、良好なめっき能力を有することが分かった。特に、XRDの結果(図8(b))、めっきされたCuは良好な結晶性を有することが分かった。
(金属めっき試験(8))
高濃度のCaCl2溶液にMnが溶解しためっき液を用いてめっき試験を行い、その結果を検討した。
本発明の一態様におけるMnめっき液は、良好なめっき能力を有することが分かった。
(金属めっき試験(9))
高濃度のCaCl2溶液にAuが溶解しためっき液を用いてめっき試験を行い、その結果を検討した。
本発明の一態様におけるAuめっき液は、良好なめっき能力を有することが分かった。特に、XRDの結果(図10(b))、めっきされたAuは良好な結晶性を有することが分かった。
(金属めっき試験(10))
高濃度のCaCl2溶液にPtが溶解しためっき液を用いてめっき試験を行い、その結果を検討した。
本発明の一態様におけるPtめっき液は、良好なめっき能力を有することが分かった。特に、XRDの結果(図11(b))、めっきされたPtは良好な結晶性を有することが分かった。
(金属めっき試験(11))
<置換めっき>
高濃度のCaCl2溶液にPdが溶解しためっき液を用いてめっき試験を行い、その結果を検討した。
高濃度のCaCl2溶液にPdが溶解しためっき液を用いてめっき試験を行い、その結果を検討した。
本発明の一態様におけるPdめっき液は、置換めっきおよび電気めっきの両方において、良好なめっき能力を有することが分かった。これは、本発明の一態様におけるPdめっき液が、めっき方法に関わらず、良好なめっき能力を有することを示唆する。
(金属めっき試験(12))
回転電極(DYNAMIC ELECTRODE HR-201、北斗電工製)を用いた電気化学測定により、撹拌の有無がAgめっき速度へ与える影響について調べた。作用極には、CuディスクまたはPtディスク(純度99.95%、厚さ0.1mm、直径10mm、ニラコ製)を用いた。対極として、炭素電極(東洋炭素製)を用いた。参照極として、銀-塩化銀(Ag/AgCl、3.3M KCl水溶液中)電極を用いた。めっき液として、(1.高濃度CaCl2溶液の調製(1))に記載の方法により得られたCaCl2・9H2O溶液、または100mLのCaCl2・9H2O溶液に、0.4gのAgClを加えて、40℃、300rpmで、24時間撹拌したものを用いた。また、回転条件は、無回転または回転速度2000rpmで試験した。
本発明の一態様におけるAgめっき液は、めっき初期において、めっき速度が速いことが分かった。また、基板へのAg供給を増加することにより、めっき速度が速まることが分かった。
(溶液の物性試験(1))
高濃度CaCl2溶液について、CV測定により、電位窓の測定を行った。
高濃度のCaCl2溶液は、電位窓が広く、H2Oの活量が小さいことが分かった。これは、高濃度のCaCl2溶液を用いてめっき処理を行った際に、酸素発生や水素発生等の副反応が抑制されることを示唆する。
(溶液の物性試験(2))
高濃度KOAc溶液について、CV測定により、電位窓の測定を行った。
高濃度のKOAc溶液は、電位窓が広く、H2Oの活量が小さいことが分かった。特に、高濃度において、還元側の電位窓が約0.2~0.3V広くなることが分かった。これは、高濃度のKOAc溶液を用いてめっき処理を行った際に、酸素発生や水素発生等の副反応が抑制されることを示唆する。
(溶液の物性試験(3))
高濃度Na2SO4溶液について、CV測定により、電位窓の測定を行った。
高濃度のNa2SO4溶液は、電位窓が広く、H2Oの活量が小さいことが分かった。これは、高濃度のNa2SO4溶液を用いてめっき処理を行った際に、酸素発生や水素発生等の副反応が抑制されることを示唆する。
(溶液の物性試験(4))
高濃度CaCl2溶液、高濃度KOAc溶液、高濃度Na2SO4溶液、高濃度LiBr溶液、および高濃度LiCl溶液について、CV測定により、酸化側および還元側の電位窓の測定を行った。
高濃度のCaCl2、KOAc、Na2SO4、LiBr、LiCl溶液は、電位窓が水の分解電位である±0~+1.23V vs.SHEよりも広く、H2Oの活量がより小さいことが分かった。これは、高濃度のCaCl2、KOAc、Na2SO4、LiBr、LiCl溶液を用いてめっき処理を行った際に、酸素、塩素、臭素、水素発生等の副反応が、無添加の場合よりも抑制されることを示唆する。
Claims (8)
- (a)酸化側の分解電位が+1.23V vs.SHE以上である、および(b)還元側の分解電位が0V vs.SHE以下である、の少なくとも一つの性質を有する溶質が溶解したハロゲン化金属塩の溶解用溶液であり、
前記ハロゲン化金属塩を構成する金属が、以下の(1)~(2)のいずれかであり、
(1)前記溶質が(a)酸化側の分解電位が+1.23V vs.SHE以上である場合、標準水素電極電位を基準として+1.2V以上の電位でめっきが可能な金属、
(2)前記溶質が(b)還元側の分解電位が0V vs.SHE以下である場合、標準水素電極電位を基準として活量1のプロトンが分解する電位(0V)もしくはそれよりも低い電位でめっきが可能な金属、
前記溶質に由来するアニオンを1mol/kg以上含み、
前記アニオンが、ハロゲン化物イオンであり、
前記溶液が、溶媒として水を含み、
前記溶液は、電気めっきまたは無電解めっきに供されることを特徴とする、溶液。
(但し、(i)前記溶質が塩化アンモニウムであり、かつ前記ハロゲン化金属塩が、塩化クロム、塩化アルミニウム、塩化スズ、塩化ニッケル、または塩化銅である場合、(ii)前記溶質がヨウ化カリウムであり、かつ前記ハロゲン化金属塩が、塩化スズ、塩化銀、またはヨウ化銀である場合、(iii)前記溶質が塩化カルシウムであり、かつ前記ハロゲン化金属塩が、塩化鉄である場合、(iv)前記溶質が塩化カルシウムであり、かつ前記ハロゲン化金属塩を構成する金属がコバルトである場合を除く。) - 前記溶質の飽和水溶液の相対湿度が純水に対して90%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の溶液。
- 前記アニオンの濃度が、2mol/kg以上、20mol/kgより低い濃度であることを特徴とする、請求項1または2に記載の溶液。
- 前記溶質が、ハロゲン化カルシウムであることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の溶液。
- 前記溶質が、4水和物より大きく36水和物以下のハロゲン化カルシウムであることを特徴とする、請求項4に記載の溶液。
- 請求項1~5のいずれか1項に記載の溶液と、前記溶液に溶解したハロゲン化金属塩とを含み、
前記ハロゲン化金属塩を構成する金属が、以下の(1)~(2)のいずれかであり、
(1)前記溶質が(a)酸化側の分解電位が+1.23V vs.SHE以上である場合、標準水素電極電位を基準として+1.2V以上の電位でめっきが可能な金属、
(2)前記溶質が(b)還元側の分解電位が0V vs.SHE以下である場合、標準水素電極電位を基準として活量1のプロトンが分解する電位(0V)もしくはそれよりも低い電位でめっきが可能な金属であることを特徴とする、めっき液。
(但し、(i)前記溶質が塩化アンモニウムであり、かつ前記ハロゲン化金属塩が、塩化クロム、塩化アルミニウム、塩化スズ、塩化ニッケル、または塩化銅である場合、(ii)前記溶質がヨウ化カリウムであり、かつ前記ハロゲン化金属塩が、塩化スズ、塩化銀、またはヨウ化銀である場合、(iii)前記溶質が塩化カルシウムであり、かつ前記ハロゲン化金属塩が、塩化鉄である場合、(iv)前記溶質が塩化カルシウムであり、かつ前記ハロゲン化金属塩を構成する金属がコバルトである場合を除く。) - 前記金属が、Ag、Pb、Bi、Cu、Hg、Tl、Al、As、Ba、Be、B、Cd、Ce、Cr、Cs、Eu、Ga、Gd、Ge、Hf、In、K、La、Li、Lu、Mg、Mn、Mo、Na、Nb、Nd、Ni、P、Rb、S、Sb、Sc、Se、Si、Sm、Sn、Sr、Ta、Ti、V、W、Y、Yb、Zn、Zr、Au、PtおよびPdからなる群より選択される少なくとも1つであることを特徴とする、請求項6に記載のめっき液。
- 請求項6または7に記載のめっき液に、めっき処理対象物を浸漬する工程を含むことを特徴とする、めっき物の製造方法。
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