JP7095851B2 - フレームエラーレート予測装置、それを用いた無線通信装置および無線通信システム - Google Patents

フレームエラーレート予測装置、それを用いた無線通信装置および無線通信システム Download PDF

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Description

特許法第30条第2項適用 平成29年3月2日に、信学技報,vol.116,no.504,IT2016-125,pp.167-172,2017年 3月に発表
本発明は、フレームエラーレート予測装置、それを用いた無線通信装置および無線通信システムに関する。
近年、ISM(industrial, scientific, and medical radio)帯においてモバイルトラヒックのオフロードが進展しており、無線LAN(local area network)の周波数利用効率向上が望まれている。高い周波数利用効率の実現に向けては、実用上十分に低いフレーム誤り率(FER: frame error rate)を達成可能で、かつできるだけ高い伝送レートを用いる必要がある。一般に、FER が1%から10%程度となるよう、伝搬状況に応じてMCS(modulation and coding scheme)を制御することが考えられる。ここで、MCSとは、変調方式・チャネル符号化率について、予め定められた組合せのテーブルをいう(たとえば、特許文献1を参照)。たとえば、受信機の受信状態が悪い場合や、低誤り率での通信が必要な送信データは、低い伝送レートのMCSを用い、逆に、受信機の受信状態が良い場合や、比較的高い誤り率を許容する送信データは、高い伝送レートのMCSを用いるなどの決定方法を用いるような適応的な制御が行われる。
無線LANにおいて、適切なMCSに制御する方式として、伝送成功率や再送回数に応じてMCSを調節し、伝搬状況に適したMCSを選択する方式が知られている(非特許文献1を参照)。しかし、この方式では最適なMCSを選択するまで伝搬状況に合わないMCSでフレーム送信を行うため、再送や低レート送信によって、スループットが低下する恐れがある。このため、伝送効率の改善には事前にFER(Frame Error Rate)を予測し、その結果に基づいてMCSの決定を行うことが望ましいが、その実現には高精度なFER予測が必要となる。
FERはフレームサイズと復号後のビット誤り率(BER: bit error rate)から算出できることから、復号後のBERを予測することによってFER予測が可能となる。
一般に、無線LANでFERが1%から10%程度となることを精度よく予測する場合、BER=10-5程度となる領域において精度よくBERを推定する必要がある。このような低BERの領域では、ペアワイズ誤り率(PEP: pairwise error probability)によって復号後誤り率を精度よく求められることが知られている(非特許文献2)。
現在普及しているIEEE802.11a 以降の無線LANにおいてPEPによって誤り率を求める場合、畳み込み符号化OFDM(COFDM: coded orthogonal frequency division multiplexing)におけるPEPを求める必要がある。COFDM におけるPEPについては、これまで非特許文献3や非特許文献4などで検討されている。
非特許文献3では、OFDM方式における畳み込み符号を使用した場合に達成できるダイバーシチ次数(インターリーブを用いた畳み込み符号によるBERの改善の指標)の導出を行っている。ただし、非特許文献3ではPEPを用いたダイバーシチ次数の導出のみを行っており、復号後BERの導出は行っていない。
一方で、非特許文献4では、非特許文献3におけるPEP解析を発展させ、インターリーブ後のビット誤りがランダムとみなせる場合の、PEPの解析を行っている。ランダム誤りとみなせる場合、ハミング距離が最小自由距離だけ離れたエラーパスが支配的となり、かつ伝搬路の周波数応答もランダムとみなすことができる。この性質を用いて非特許文献4では、最小自由距離を持つエラーパスのPEPから伝搬路の電力遅延プロファイルに依存しないBERの定式化を行っている。この手法は、ランダム誤りとみなせる環境では、低BER領域において精度よくBERを予測できる手法であるといえる。
特開2010-41074号明細書 特開2011-211433号明細書 特開2013-187561号明細書
S. Biaz and S. Wu, "Rate adaptation algorithms for IEEE 802.11 networks: A survey and comparison," 2008 IEEE Symposium on Computers and Communications, pp.130-136, July 2008. A. Martinez, A. Guillen i Fabregas, and G. Caire, "Error probability analysis of bit-interleaved coded modulation,"IEEETransactions on Information Theory, vol.52, no.1, pp.262-271, Jan. 2006. E. Akay and E. Ayanoglu, "Achieving full frequency and space diversity in wireless systems via BICM, OFDM, STBC, and Viterbi decoding," IEEETransactions on Communications, vol.54, no.12, pp.2164-2172, Dec. 2006. Y. Hori and H. Ochiai, "Performance analysis and interleaver structure optimization for short-frame BICM-OFDM systems," IEEETransactions on Wireless Communications, vol.15, no.1, pp.651-662, Jan. 2016.
しかしながら、現実的な無線LANの運用を想定した場合、その通信路は、必ずしもランダム誤りとみなせる環境とはならない。IEEE802.11aなどの無線LANでは、帯域幅、インターリーブサイズが十分に広くなく、かつ、数百[ns]程度の遅延分散までしか考慮されていないため、ビット誤りの発生を十分に分散させることができない場合がある。そのため、等価的に周波数応答をランダムとみなせなくなり、伝搬路の周波数応答に依存しない、上述した非特許文献4の近似式が成立しない。また、最小自由距離のエラーパスのPEPが支配的となる前提も成立せず、最小自由距離以上のハミング距離を持つエラーパスのPEPも考慮する必要が生じる。したがって、非特許文献4で導出された近似式では、無線LAN環境におけるBERを精度よく近似することができない。
図14は、このような従来技術の問題点を説明するための概念図である。
非特許文献4での畳み込み符号化OFDM伝送における復号後BERの予測手法では、復号時に発生しうる誤りパターンが、どのサブキャリアで生じたか逆算し、そのサブキャリアのSNRと、そのサブキャリアの変調方式から誤り率を算出する。
ここでは、ランダム誤りとみなせる環境を想定として、インターリーブサイズが十分に大きく、伝搬路の遅延広がりが十分に大きいことを仮定している。
このような仮定が成り立つ限りにおいては、デインターリーブ後のビット列について、連続するビットの各々を伝送したサブキャリアの周波数応答がランダムとみなせる環境といえる。
上記の環境を想定することによって、非特許文献4では、常に最大のダイバーシチ次数を達成しているとして定式化が行われ、最小自由距離のエラーパスのみが考慮されている。これは、最大のダイバーシチ次数が達成される環境の場合、最小自由距離より離れたエラーパスのダイバーシチ次数は、ハミング距離とともに増加するため、エラーパスを選択する確率が最小自由距離のエラーパスより十分低くなる。このため、畳み込み復号処理(たとえば、ビタビ復号処理)後に残るビットエラーの主たる原因は最小自由距離のエラーパスのみとなる。
ただし、無線LAN環境などでは、帯域幅/インターリーブサイズは制限され、遅延広がりもGI長以下であることが想定されるため、この前提は成立しない。
したがって、復号後のビットエラーレートの推定、ひいては、フレームエラーレートの推定の精度が大幅に劣化してしまうという問題がある。
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、通信路における誤りが、ランダム誤りとみなせない場合においても、精度よく復号後BERを予測して、フレームエラーレートを予測することを可能とするフレームエラーレート予測装置、それを用いた無線通信装置および無線通信システムを提供することである。
この発明の他の目的は、通信路における誤りが、ランダム誤りとみなせない場合においても、適切なMCSを適応的に選択して通信を行うことが可能な無線通信装置および無線通信システムが実現できる
この発明の1つの局面に従うと、畳み込み符号化OFDM方式で通信する通信システムのフレームエラーレート予測装置であって、畳み込み符号化OFDM方式で採用されるものとして予め設定された畳み込み符号化の符号化率および変調方式の組の情報を格納するための記憶手段と、通信経路において推定された、伝搬路の電力の減衰を表す伝搬路特性情報および雑音電力に基づいて、記憶手段に格納された符号化率および変調方式の組のそれぞれについて、畳み込み符号化に対する復号処理におけるエラーパスのペアワイズ誤り率を考慮して、畳み込み符号化された符号語の復号後のビット誤り率を予測するビット誤り率予測手段と、予測された復号後のビット誤り率と、畳み込み符号化OFDM方式で通信されるフレームサイズとに基づいて、フレーム誤り率を予測するフレーム誤り率予測手段とを備え、ビット誤り率予測手段は、記憶手段に格納された符号化率および変調方式の組のそれぞれについて、伝搬路特性情報および畳み込み符号化の最小自由距離よりも離れたエラーパスのペアワイズ誤り率を考慮し、エラーパスに対応するエラーパターンに対して、真のパスとのハミング距離が第1の所定の値だけ離れた全てのエラーパターンについて、各々のエラーパターンに対するペアワイズ誤り率を、当該エラーパターンを出力する符号器への入力のハミング重みで重み付けして重み付け和を求め、さらに重み付け和を最小自由距離から所定の距離だけ離れたハミング距離までについて総和したものとして、畳み込み符号化された符号語の復号後のビット誤り率を算出する。
好ましくは、ビット誤り率予測手段は、エラーパスに対応するエラーパターンに対して、真のパスとのハミング距離が第1の所定の値だけ離れた全てのエラーパターンについて、各々のエラーパターンに対するペアワイズ誤り率を、当該エラーパターンを出力する符号器への入力のハミング重みで重み付けして和を求め、さらにそれを最小自由距離から所定の距離だけ離れたハミング距離までについて総和したものとして、復号後のビット誤り率を算出する。
この発明の他の局面に従うと、畳み込み符号化OFDM方式で通信する無線通信システムであって、受信装置を備え、受信装置は、通信経路において、伝搬路の電力の減衰を表す伝搬路特性情報および雑音電力を推定する通信経路状態推定手段と、推定された伝搬路特性情報および雑音電力を送信するための第1の送信手段とを含み、送信装置をさらに備え、送信装置は、受信装置から送信された、伝搬路特性情報および雑音電力の推定値をフィードバック情報として受信する受信手段と、畳み込み符号化OFDM方式で採用されるものとして予め設定された畳み込み符号化の符号化率および変調方式の組の情報を格納するための記憶手段と、フィードバック情報に基づいて、記憶手段に格納された符号化率および変調方式の組のうち、スループットを最大とする組を選択する選択手段とを含み、選択手段は、記憶手段に格納された符号化率および変調方式の組のそれぞれについて、伝搬路特性情報および畳み込み符号化に対する復号処理におけるエラーパスのペアワイズ誤り率を考慮して、畳み込み符号化された符号語の復号後のビット誤り率を予測するビット誤り率予測手段と、予測された復号後のビット誤り率と、畳み込み符号化OFDM方式で通信されるフレームサイズとに基づいて、フレーム誤り率を予測するフレーム誤り率予測手段と、予測されたフレーム誤り率に基づいて、所定のフレームエラーレート内において、最大のスループットとなる組を選択する変調方式選択手段とを有し、ビット誤り率予測手段は、記憶手段に格納された符号化率および変調方式の組のそれぞれについて、伝搬路特性情報および畳み込み符号化の最小自由距離よりも離れたエラーパスのペアワイズ誤り率を考慮し、エラーパスに対応するエラーパターンに対して、真のパスとのハミング距離が第1の所定の値だけ離れた全てのエラーパターンについて、各々のエラーパターンに対するペアワイズ誤り率を、当該エラーパターンを出力する符号器への入力のハミング重みで重み付けして重み付け和を求め、さらに重み付け和を最小自由距離から所定の距離だけ離れたハミング距離までについて総和したものとして、畳み込み符号化された符号語の復号後のビット誤り率を算出し、変調方式選択手段により選択された組に応じて、送信データに対して、畳み込み符号化および変調処理を実行して送信するための第2の送信手段をさらに含む。
この発明のさらに他の局面に従うと、畳み込み符号化OFDM方式で通信する無線通信システムであって、受信装置を備え、受信装置は、通信経路において、伝搬路の電力の減衰を表す伝搬路特性情報および雑音電力を推定する通信経路状態推定手段と、畳み込み符号化OFDM方式で採用されるものとして予め設定された畳み込み符号化の符号化率および変調方式の組の情報を格納するための記憶手段と、記憶手段に格納された符号化率および変調方式の組のそれぞれについて、伝搬路特性情報および畳み込み符号化に対する復号処理におけるエラーパスのペアワイズ誤り率を考慮して、畳み込み符号化された符号語の復号後のビット誤り率を予測するビット誤り率予測手段と、推定された復号後のビット誤り率の予測値を送信するための第1の送信手段とを含み、ビット誤り率予測手段は、記憶手段に格納された符号化率および変調方式の組のそれぞれについて、伝搬路特性情報および畳み込み符号化の最小自由距離よりも離れたエラーパスのペアワイズ誤り率を考慮し、エラーパスに対応するエラーパターンに対して、真のパスとのハミング距離が第1の所定の値だけ離れた全てのエラーパターンについて、各々のエラーパターンに対するペアワイズ誤り率を、当該エラーパターンを出力する符号器への入力のハミング重みで重み付けして重み付け和を求め、さらに重み付け和を最小自由距離から所定の距離だけ離れたハミング距離までについて総和したものとして、畳み込み符号化された符号語の復号後のビット誤り率を算出し、送信装置をさらに備え、送信装置は、受信装置から送信された、復号後のビット誤り率の予測値をフィードバック情報として受信する受信手段と、フィードバック情報に基づいて、符号化率および変調方式の組のうち、スループットを最大とする組を選択する選択手段とを含み、選択手段は、予測された復号後のビット誤り率と、畳み込み符号化OFDM方式で通信されるフレームサイズとに基づいて、フレーム誤り率を予測するフレーム誤り率予測手段と、予測されたフレーム誤り率に基づいて、所定のフレームエラーレート内において、最大のスループットとなる組を選択する変調方式選択部とを有し、変調方式選択部により選択された組に応じて、送信データに対して、畳み込み符号化および変調処理を実行して送信するための第2の送信手段をさらに含む。
「ペアワイズ誤り率(PEP)」とは、送信機から長さLの符号語CLが送信されたとする場合、この系列を受信機側で、CL´と誤りを含んで復号するときに、符号語CLを符号語CL´と誤って判定する確率のことをいう。
「ビット誤り率(BER)」とは、所定の時間中に受信されたデジタルデータ信号の総ビット数に対して、誤りの発生していたビットの数の比率をいう。
「最小自由距離」とは、畳み込み符号において、2つの情報系列uとvに対する符号語をc(u)、c(v)とするとき、全エラーパスと真のパスについて、2つの符号系列のハミング距離の最小値をいう。
「電力遅延プロファイル」とは、伝搬路が遅延時間の異なる多数のパスから構成されていると想定するとき、受信電力が遅延時間領域でどのように分布しているかを表す。すなわち、実施の伝搬路では、経路ごとにその経路長が異なるため、インパルス応答は時間広がりを有する。そこで、「電力遅延プロファイル」は、インパルス応答の2乗集合平均値で表される。
「ダイバーシチ次数」とは、あるエラーパスに対応する符号語と送信符号語間で異なるビットがマッピングされる各サブキャリアの周波数応答がランダム(無相関)とみなせるサブキャリアの数をいう。通信路の誤りが、ランダム誤りとみなせる環境では、ダイバーシチ次数が最大(エラーパスに対応する符号語と送信符号語間で異なるビットが通過した伝搬路の周波数応答が無相関)となる。ダイバーシチ次数がそれより低い場合、バースト誤りが生じやすく、BERが劣化する。
「エラーパス」とは、最尤復号によって選択された場合、ビット誤りが生じるパスをいう。
「エラーパターン」とは、真のパスとエラーパスで異なる区間に対応するエラーパスの符号語をいう。
この発明によれば、通信路における誤りが、ランダム誤りとみなせない場合においても、精度よく復号後BERを予測して、フレームエラーレートを予測することが可能である。
この発明によれば、通信路における誤りが、ランダム誤りとみなせない場合においても、適切なMCSを適応的に選択して、スループットを向上した通信を行うことが可能である。
実施の形態1の無線通信システムの構成を説明するためのブロック図である。 図1に示したOFDM方式での送信および受信処理を模式的に説明するための概念図である。 適応レート制御部1110の構成を説明するためのブロック図である。 実施の形態1の適応レート制御について説明するためのフローチャートである。 拘束長3、生成多項式(5, 7)を有する畳み込み符号のdH=5におけるエラーパスを示す図である。 式(3)の概念を説明するための図である。 ブロックインターリーバの処理を示す概念図である。 既存手法(非特許文献4に記載の手法)と本実施の形態の手法における近似の手順における評価式を対比して示す図である。 実施の形態2の無線通信システムの構成を説明するためのブロック図である。 図9に示した適応レート制御部1110´の構成を説明するためのブロック図である。 実施の形態2の適応レート制御について説明するためのフローチャートである。 既存手法(非特許文献4の手法)によるBERの予測値とシミュレーション結果とを示す図である。 本実施の形態での予測手法によるBERの予測値とシミュレーション結果とを示す図である。 従来技術の問題点を説明するための概念図である。
以下、本発明の実施の形態の無線通信システムおよび無線通信装置の構成を説明する。なお、以下の実施の形態において、同じ符号を付した構成要素および処理工程は、同一または相当するものであり、必要でない場合は、その説明は繰り返さない。
以下に説明する通り、本実施の形態では、無線LAN環境などのように、必ずしも通信路における誤りが、ランダム誤りとみなせないような環境において精度よく復号後BERを予測し、これによりFERを予測する方法について説明する。
以下では、本実施の形態の技術的な意義をわかりやすくするために、非特許文献4に開示されているBERの予測方法と、本実施の形態の手法とを対比して説明する。非特許文献4で行われている導出過程には、周波数応答がランダムという性質を利用して、伝搬路の電力遅延プロファイルに起因する値を変調方式とインターリーバ構造から算出可能な値で近似する処理が含まれている。しかし、無線LANのような通信環境を想定した場合、必ずしも周波数応答がランダムとみなせないため、この近似は適切ではない。そこで、本実施の形態では電力遅延プロファイルに関する近似をせずに、電力遅延プロファイルを考慮したPEPを導出する。また、最小自由距離より離れたエラーパスのPEPを考慮することにより、無線LANのような環境においても、精度よく復号後BERを予測できる近似方法を導く。最後に、計算機シミュレーションによって求めたBER特性と、近似式で求めたBER予測値の比較結果についても説明する。
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1の無線通信システムの構成を説明するためのブロック図である。
図1を参照して、送信装置1000は、送信系列のデータに対して、畳み込み符号による誤り訂正符号化処理を行うための誤り訂正符号化部1002と、誤り訂正符号化後のデータに対してインターリーブ処理を行うインターリーブ部1004と、インターリーブ後のデータ列に対して、直列並列変換をし、後述するように選択されたMCSに基づいて、データ列をサブキャリア数に分割し、それぞれ分割したデータにサブキャリア変調を行うための変調部1010と、変調部1010出力のデジタル信号に対して、逆フーリエ変換処理およびガードインターバルの付加処理を実行してOFDMシンボルを生成し、デジタルアナログ変換処理を実行するための直交周波数分割多重(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)変調部1012と、OFDM変調後の信号に対して、直交変調処理、アップコンバート処理、電力増幅処理などを実行する高周波処理部(RF部)1014と、RF部1014の高周波信号を送出するためのアンテナ1020とを含む。
なお、アンテナ1020で受信した信号に対して、RF部1014は、低雑音増幅処理、ダウンコンバート処理および直交復調処理なども実行するものとする。
また、サブキャリア変調の変調方式には、特に限定されないが、たとえば、BPSK、QPSK、16QAM、64QAMなどの種類があるものとする。
さらに、送信装置1000は、受信装置2000側からの電力遅延プロファイルおよび雑音電力の推定値をRF部1014を介して受信し、復調および復号処理を実行するための受信処理部1100と、受信した電力遅延プロファイルおよび雑音電力の推定値に基づいて、適応的にMCSを変更する制御を実施して、誤り訂正符号化部1002の符号化率や変調部1010での変調方式を制御する適応レート制御部1110とを含む。
なお、受信装置2000からの電力遅延プロファイルおよび雑音電力の推定値の通信方式については、データの送信と同様の通信方式でもよいし、他の通信方式を採用してもよい。
受信装置2000は、アンテナ2002と、アンテナ2002の信号の低雑音増幅処理、ダウンコンバート処理および直交復調処理などを実行するRF部2010と、RF部2010からの信号に対して、アナログデジタル変換処理、ガードインターバルの除去処理、フーリエ変換処理などのOFDM復調処理を実行するためのOFDM復調部2012と、OFDM復調部2012からの信号に対して、変調部1010の逆処理により、受信データ列を生成するための復調部2014と、復調部2014の出力に対してデインターリーブ処理を実行するためのデインターリーブ部2016と、畳み込み符号に対する復号により誤り訂正処理を実行するための誤り訂正部2018とを含む。
受信装置2000においても、RF部2010は、電力遅延プロファイルおよび雑音電力の推定値の送信のための直交変調処理、アップコンバート処理、電力増幅処理などを実行するものとする。
受信装置2000は、さらに、RF部2010を介して受信した信号における、たとえば、パイロット信号などにより、電力遅延プロファイルの推定値および雑音電力の推定値の算出を行うための電力遅延プロファイル/雑音電力推定部2100と、電力遅延プロファイル/雑音電力推定部2100からの推定値を送信信号に変換して、RF部2010を介してアンテナ2002から送信装置1000に向けて送信するための送信処理部2110とを含む。
図2は、図1に示したOFDM方式での送信および受信処理を模式的に説明するための概念図である。
図2に示すように、畳み込み符号化されインターリーブされた送信信号は、所定の変調方式で、複素信号としてサブキャリアごとにマッピングされ、逆フーリエ変換の後に、デジタルアナログ変換されて、直交変調などを含む周波数変換処理がされて、伝送路に送出される。
伝送路から受信した信号は、直交検波などを含む周波数逆変換処理を経て、アナログデジタル変換されて、フーリエ変換され、逆マッピングされた受信信号は、デインターリーブ処理および畳み込み符号による誤り訂正処理が実行される。
図3は、図1に示した適応レート制御部1110の構成を説明するためのブロック図である。
図3を参照して、適応レート制御部1110は、予め設定されたMCSの組の情報を格納するためのMCS記憶部3020と、受信装置2000側から送られてきた電力遅延プロファイルの推定値および雑音電力の推定値を受けて、MCS記憶部3020に格納された各MCSについて、ビットエラーレート(BER)を予測するBER予測部3010と、BER予測部3010からの予測値と、通信に使用されるフレームサイズとの情報に基づいて、フレームエラーレート(FER)を、各MCSについて予測するFER予測部3030と、予測されたFERの値に基づいて、システムにおいて予め設定され要求されているFERを下回るMCSの中で最大のスループットを達成するMCSを選択するMCS選択部3040とを含む。
なお、BER予測部3010およびFER予測部3030の動作については、後ほど、より詳しく説明する。
図4は、実施の形態1の適応レート制御について説明するためのフローチャートである。
図4を参照して、まず、受信装置2000側において、電力遅延プロファイル/雑音電力推定部2100が、電力遅延プロファイルと雑音電力との推定を実行する(S100)。
電力遅延プロファイルの推定と雑音電力の推定には、特に限定されないが、たとえば、以下の文献に開示の手法を用いることができる。
公知文献1:T. Cui and C. Tellambura, ”Power delay profile and noise variance estimation for OFDM,” IEEE Communications Letters, vol. 10, no. 1, pp. 25-27, Jan 2006
推定値は、受信装置2000から送信されて(S102)、送信装置1000で受信され(S104)、送信装置1000のBER予測部3010では、所定の各MCSに応じて、電力遅延プロファイルおよび最小自由距離より離れたエラーパスのペアワイズ誤り率を算出し、復号後のビット誤り率の予測値を算出する(S106)。
続いて、FER予測部3030が、各MCSについてフレームエラーレートの予測値を算出し(S108)、MCS選択部3040が、算出されたフレームエラーレートに基づいて、所定のMCSのうちで、規定のFERを達成する範囲で、最大のスループットとなるMCSを選択する(S110)。
ここで、フレームエラーレートの算出については、特に限定されないが、たとえば、以下の文献に開示の方法を用いることができる。
公知文献2: H. C. Lee, ”FER performance in the IEEE 802.11 a/g/n wireless LAN over fading channel,” Scientific Research Communications and Network, vol. 5, no. 3, pp. 10-15, Aug 2013.
選択されたMCSに応じて、選択された符号化率で誤り訂正符号化部1002が畳み込み符号化を実行して、変調部1010が選択された多値変調方式でのサブキャリア変調を実行する(S112)。
変調後のデータが送信装置1000から送信され(S114)、受信装置2000において受信される(S116)。
このような処理であれば、受信装置側で、電力遅延プロファイルと雑音電力との推定を行い、送信装置側にフィードバックした時点で、適応的に符号化率や変調方式を変更できる。したがって、フレーム誤り率(FER)を正確に予測することによって伝搬状況に合わないMCSでのフレーム送信回数を低減しスループットを向上できる。
[BER予測部3010およびFER予測部3030の動作]
以下では、BER予測部3010およびFER予測部3030が実行する動作について、数式に従い説明する。
1.本実施の形態の手法の特徴
以下の説明で明らかとなるように、本実施の形態の復号後BERの予測およびFERの予測では、以下のような特徴がある。
i)伝搬路のインパルス応答長と最小自由距離から達成できるダイバーシチ次数を算出し、低いダイバーシチ次数しか達成できない伝搬環境でも予測を可能にする。
ii)最小自由距離より長いエラーパスも考慮して誤り率を算出する。
以下、さらに詳しく説明する。
2.システムモデル
2. 1 システムモデル 以下では説明の簡単のために、SISO(single-input single-output)-OFDMを想定する。そして、データサブキャリア数をKdata、FFT(fast Fourier trans-form)サイズをKfftとする。また、伝搬路は周波数選択性フェージング伝搬路を想定しOFDMシンボル内では変動しないものとする。伝搬路を有限インパルス応答フィルタとみなすと、各タップ係数は、以下の式で表される。
Figure 0007095851000001
ここで、h= [h,…,hL]T(Lはインパルス応答長)は、各要素が互いに独立で平均0、分散1 の複素正規分布に従う確率変数となるベクトルであり、Pは電力遅延プロファイルを表す対角行列である。ただし、(…)Tはベクトルあるいは行列の転置を表し、Pの要素は、以下の式を満たす。
Figure 0007095851000002
また、Lはガードインターバル長を超えないものとする。ガードインターバル除去後、FFTを施した第kサブキャリアの受信信号Ykは以下のように与えられる。
Figure 0007095851000003
ここで、Xkは送信シンボル、Zkは平均0、分散σ である複素加法性白色雑音のFFT 結果である。Hkは第kサブキャリアにおける伝搬路の周波数応答であり、次式で与えられる。
Figure 0007095851000004
ここで、gH Kfft (k)はFFT行列のk行目の第1要素から第L要素までを抜き出したベクトルであり、(…)Hはエルミート転置を表す。また、以下の関係が成り立つ。
Figure 0007095851000005
2. 2 通信路の誤りがランダム誤りであるとした場合の復号後BER近似
以下では、本実施の形態の説明の前提として、非特許文献4の記載に基づき、インターリーバ構造を考慮した復号後BER近似式の導出について概説する。
畳み込み符号は線形符号であるから、構成ビットが全て0の符号語を生じるトレリスパス(以下、真のパス)とハミング距離dH離れた符号語を生じるパス(以下、エラーパス)のPEPを求めることによって復号後BERの解析ができる。
図5は、拘束長3、生成多項式(5, 7)を有する畳み込み符号のdH=5におけるエラーパスを示す図である。
この場合、真のパスは符号語…, 0, 0, 0, 0, 0, 0,…に対応し、エラーパスは符号語…,1, 1, 1, 0, 1, 1,… に対応する。エラーパスはトレリス上のある時点で真のパスから離れ、その後合流するため、この区間のみ異なるビットのパターンを持つ。本稿ではこの異なるビットのパターンをエラーパターンと呼ぶ。例えば、図5では、エラーパターンは[1, 1, 1, 0, 1, 1] である。真のパスとのハミング距離dH離れたエラーパスのPEPをP(dH)とすると、畳み込み符号の復号後BERの理論値Pbは次式で示す上界を持つ。
Figure 0007095851000006
ここで、kCは符号器に一度に入力される情報ビット数であり、以下では、IEEE802.11 無線LANで使用されているkC=1である符号を前提とする。また、dfは符号の最小自由距離を表す。NdHは真のパスとハミング距離dH離れたエラーパターン数である。例えば、IEEE802.11a/n/acで使用されている符号(符号器構成(133, 171)8,拘束長7)の場合、dH=10とするとNdH=11である。また、β(dH,p)はp番目のエラーパターンを出力する符号器への入力のハミング重みである。
図6は、式(3)の概念を説明するための図である。
例えば、図5、図6の場合、エラーパターン[1,1,1,0,1,1]を出力する符号器への入力ビット列は、ビット1をひとつだけ持ち、他のビットはすべて0であるビット列である。この場合、入力のハミング重みはβ(dH,p)=1である。最小自由距離dfだけ離れたエラーパスのPEPは復号後BERの下界であり、低BER領域では式(3)の中で支配的になるため、非特許文献4はdH=dfの項のみを考慮することにより復号後BERを次式のように近似する。
Figure 0007095851000007
また、e(n,p)はエラーパスを表すビット列であり、n番目から(n+τ―1)番目までにp番目のエラーパターンを持つ。ここで、τはエラーパターンの長さである。例えば、エラーパターンを[1, 1, 1, 0, 1, 1] とするとτ=6であり、e(1,p)=[1,1,1,0,1,1,0,…],e(3,p)=[0,0,1,1,1,0,1,1,0,…]となる。ただし、この例では、符号化率1/2のため、n=1,3,5,…となる。
また、P(e(n,p))は、e(n,p)の生起確率を表す。
図7は、ブロックインターリーバの処理を示す概念図である。
P(e(n,p))は、符号化率RCとエラーパターンの長さτ、インターリーバサイズから次式のように決定される。
Figure 0007095851000008
ここで、Nitl=Nwidth×Ndepthはインターリーバサイズを表し、インターリーバの幅をNwidth(図6中の列数)、深さをNdepth(図6中の行数)とする。
したがって、式(4)~(6)からPbの近似式を求めるには、以下の式で表される条件付きペアワイズ誤り率の導出を行えばよい。
Figure 0007095851000009
エラーパスe(n,p)をインターリーブし、エラーパターンのw番目の誤りビットがマッピングされたサブキャリア番号をkw、当該サブキャリアで送信するシンボル内ビット位置をiwとする。また、Δw(iw)で表される距離は誤りビットが割り当てられたシンボルについて、誤りがない場合の信号点と、誤りビットを含んだ場合の信号点間の2乗ユークリッド距離とする。
この場合、ペアワイズ誤り率は次式で与えられる。
Figure 0007095851000010
ここで、E{…}aはaに関する期待値演算を表す。式(7)では伝送フレームごとに伝搬路が変化することを想定し、複数フレームを伝送した場合の復号後BERを導出するため、Hkwに関して期待値を求めている。また、Δw(iw)は真のパスとエラーパス、インターリーバ構造から決定できるが、実際には真のパスは符号器の入力ビットに依存するためΔw(iw)は確率変数となる。そのため、式(7)ではΔw(iw)に関しても期待値を求めている。さらに、P(dH|e(n、p),Hkw,Δw(iw))は条件付きペアワイズ誤り率であり、次式で与えられる。
Figure 0007095851000011
式(7)によると、PEPを導出するためには式(8)について、P(dH|e(n、p),Hkw,Δw(iw))に関する期待値を求めればよい。その準備としてまず、式(8)の分子を以下のように変形する。
Figure 0007095851000012
次にPA´Pを固有値分解すると、以下のようになる。
Figure 0007095851000013
ここで、λlはl番目に大きなユークリッドノルムを持つPA´Pの非零の固有値、vlはvのl番目の要素でその振幅は、以下の確率密度関数のレイリー分布に従う。
Figure 0007095851000014
rは、ダイバーシチ次数である。ただし、rank(…)は行列のランク、min(…)は最小値を表す。
非特許文献4では伝搬路のインパルス応答長がL≧dfとなる環境を想定している。したがって、r=dfとなる。さらに、インターリーバによってエラーパスの中の誤りビットが対応するサブキャリアが伝搬路応答が無相関となる程度に十分離れていれば以下の近似が成り立つ。
Figure 0007095851000015
よって、式(8)に式(14)、(15)を代入することにより次式を得る。
Figure 0007095851000016
式(2)、(13)からHkに関して期待値を取ることは、vに関して期待値を取ることと等価である。したがって、式(16)についてvwに関する期待値をとると、以下の式の通りとなる。
Figure 0007095851000017
さらに、Δw(iw)に関しても期待値を求める。Δw(iw)はシンボル内のビット位置iwによって異なる確率密度を持つ有限な離散確率変数である。したがって、ペアワイズ誤り率を以下のように得る。
Figure 0007095851000018
ここで、離散確率変数Δw(iw)の取りうる値がmiw通りとすると、以下の関係がなりたつ。
Figure 0007095851000019
さらに、BERが低い領域では、シンボル誤りは隣接する信号点に誤る場合が支配的になることが予想される。信号点間の最小ユークリッド距離をdminとすると、w=1,…,dfに対してΔw(iw)=dmin 2となる項がJ個の項の中で支配的になると期待される。また、この支配的になる項のPjをPminと表記する。よって、式(18)を以下のように近似する。
Figure 0007095851000020
ここで、Pminはw=1,…,dfに対してΔw(iw)=dmin 2となる確率を表し、変調方式とエラーパス、インターリーバ構造から決定される。
すなわち、条件付きペアワイズ誤り率については以下のようにいうことができる。
送信されたビット列はトレリス線図上の1つのパスで表すことができ、送信したビット列以外のパスが受信側で選ばれるときビット誤りが生じる。受信側では各パスのメトリックを計算し、最大のメトリックを持つパスを選ぶことになる。「条件付きペアワイズ誤り率」とはあるエラーパスのメトリックが真のパスのメトリックを超える確率であり、低BER領域ではエラーパスに対応する系列が復号結果として得られる確率に漸近する。
式(19)は、雑音電力と符号器構成、インターリーバ構造から決定でき、伝搬路には依存しない定式化である。これは、ビット誤りがランダムとみなせる場合、帯域内で周波数応答が等価的にランダムとみなせるため式(15)が成立するためである。

3. 本実施の形態での復号後BERの推定の方法 無線LANを想定した場合、上述のとおり、信号帯域幅が比較的狭く、遅延分散も小さいため帯域内の周波数応答がランダムとみなせるようなインターリーブを行うことが難しい。したがって、式(15)が成立しないため、式(19)による復号後BERの近似精度は劣化する。
また、ビット誤りの発生がランダムとみなせない場合、最小自由距離より離れたエラーパスのPEP が高くなる可能性がある。上記の議論はdH=dfの場合を想定しているが、dH>dfのとなるエラーパスのPEPも式(19)と同様に導出できる。L≫dfであれば、ハミング距離dHを持つパスのPEPのダイバーシチ次数はr=dHとなる。これは受信SNRが向上するにつれ(すなわち、式(19)でσ2が小さくなるにつれて)r=dHのパスのPEPはr=dfのパスのPEPと比べ急激に減少することを意味する。
逆に、L<dfの場合、最小自由距離より離れたパスのPEPのダイバーシチ次数は等しくr=Lとなる。そのため、ビット誤りがランダムとみなせない場合、最小自由距離より離れたエラーパスのPEPはランダムとみなせる場合と比べ高くなる。このような場合、式(4)の近似精度は劣化する。そこで、本節では式(15)、(4)が成立しない場合の近似式の導出を行う。
図8は、上述した既存手法(非特許文献4に記載の手法)と本実施の形態の手法における近似の手順における評価式を対比して示す図である。
以下、図8も参照しつつ、本実施の形態での復号後BERの予測手法について説明する。
まず、式(15)が成立しない場合のPEP算出式を導出する。次に、式(4)が成立しない理由について述べ、最小自由距離より離れたエラーパスのPEPを考慮した復号後BERの理論式を導出する。
非特許文献4では、式(14)、(15)を式(8)に代入することによりPEPを導出するが、式(15)が成立しないため式(14)を式(8)に代入して次式を得る。
Figure 0007095851000021
非特許文献4と同様、vlに関して期待値を求めることにより次式を得る。
Figure 0007095851000022
さらに、Δw(iw)に関して期待値を求める。λlはPA´Pの固有値であるため、あるエラーパスe(n,p)が与えられている場合、Δw(iw)から一意に決定できる。
Δw(iw)は有限な離散確率変数であるから、λlも有限な離散確率変数となる。したがって、以下のようになる。
Figure 0007095851000023
式(22)の2行目は、非特許文献4と同様に、w=1,…,dfに対してΔw(iw)=dmin 2となる項がBERが低い領域で支配的となることを前提とした近似である。また、λl,minは、以下の式で算出される行列PAmin´Pの固有値である。
Figure 0007095851000024
次に、ビット誤りがランダムとみなせない場合、式(4)の近似精度が劣化することを示す。式(4)が良好な近似精度を示すためには、最小自由距離のエラーパスのPEPが全体の誤りの中で支配的でなければならない。したがって、最小自由距離より離れたエラーパスのPEP が最小自由距離のそれと比べ十分に低くなる必要がある。ここで、式(22)において、以下のようにおく。
Figure 0007095851000025
λl,minは、エルミート行列の非零の固有値であるから、λl,min>0である。
したがって、式(24)から以下の関係が成り立つ。
Figure 0007095851000026
このことから式(22)の総乗部分はダイバーシチ次数rが大きくなるにつれて減少し、ダイバーシチ次数の大きなエラーパスのPEPはダイバーシチ次数の小さなエラーパスのPEPより低くなる。無線LANを想定した場合、遅延分散が小さいためdf≧Lとなる可能性がある。このとき、すべてのエラーパスのダイバーシチ次数が等しくLとなり、BERが低い領域においても最小自由距離より離れたパスのPEPが無視できなくなる可能性がある。そのため、真のパスからハミング距離df+φ離れたエラーパスのPEP まで考慮する。ここで、φの値は、実験的に、予め適切な値を設定しておくものとする。
よって最終的なBER近似式は以下のように与えられる。
Figure 0007095851000027
ただし、式(25)では最小自由距離より離れたエラーパスのPEPも考慮しているため、式(4)と異なり復号後BERの下界とはならない。
なお、本実施の形態では、送信機側と受信機側とで、インターリーバ構造は、予め既知である。したがって、式(25)の計算を実行する場合は、送信機側で、電力遅延プロファイルの情報(伝搬路の周波数応答の算出に必要)、雑音電力(σの算出に必要)と符号器構成の構成(すなわち、MCSの情報)があれば、実行できることになる。
以上のような手続により、BER予測部3010により復号後BER(BERpred)が予測できれば、FER予測部3030によるFERの予測値(FERpred)は、フレームサイズをLframeとするとき、上述したように、公知文献2の記載にしたがって、以下の式により実行することができる。
Figure 0007095851000028
本実施の形態の構成によれば、通信路における誤りが、ランダム誤りとみなせない場合においても、精度よく復号後BERを予測して、フレームエラーレートを予測することを可能とするフレームエラーレート予測装置が実現できる。またこのような、フレームエラーレート予測装置を用いることで、通信路における誤りが、ランダム誤りとみなせない場合においても、適切なMCSを適応的に選択して通信を行うことが可能な無線通信装置および無線通信システムが実現できる。
[実施の形態2]
実施の形態1では、受信機側から、電力遅延プロファイルの推定値と雑音電力の推定値とが、送信機側にフィードバックされ、送信機側で、復号後BERの予測、FERの予測およびMCSの選択の処理を実行するという構成であった。
しかしながら、受信機側でBERの予測の処理を行ってもよい。実施の形態2は、このような構成について説明する。
図9は、実施の形態2の無線通信システムの構成を説明するためのブロック図である。
実施の形態1と同様な構成については、同一の符号を付して、その説明は繰り返さない。
図9を参照すれば、図1と図9とで構成が異なるのは、以下の点である。
受信装置2000において、BER予測部3010が、電力遅延プロファイル/雑音電力推定部2100からの電力遅延プロファイルの推定値および雑音電力の推定値を受けて、MCS記憶部3050に格納された各MCSについて、ビットエラーレート(BER)を予測する。受信装置2000からは、BER予測部3010の予測結果が、送信装置1000にフィードバックされる。
図10は、図9に示した適応レート制御部1110´の構成を説明するためのブロック図である。
図10を参照して、受信装置2000からは、BER予測部3010の予測結果が、送信装置1000にフィードバックされ、適応レート制御部1110´は、FER予測部3030によりフレームエラーレートの予測を行って、MCS選択部3040は、MCS記憶部3020に格納されたMCSのうちから、誤り訂正符号化部の符号化率および変調部1010で行う変調方式に対するMCSを、規定されたFERの範囲で最大のスループットとなるように選択する。
実施の形態1と実施の形態2の構成を比較すると、実施の形態1の方が、受信装置側で実行する処理の負荷が小さくなるという利点があるものの、一方で、実施の形態2では、処理の負荷がシステム全体に分散するという利点がある。したがって、システムを構成する無線通信装置の構成に応じて、より適切な構成を選択して採用すればよい。
図11は、実施の形態2の適応レート制御について説明するためのフローチャートである。
図11を参照して、まず、受信装置2000側において、電力遅延プロファイル/雑音電力推定部2100が、電力遅延プロファイルと雑音電力との推定を実行する(S200)。
電力遅延プロファイルの推定と雑音電力の推定の手法は、実施の形態1と同様である。
受信装置2000のBER予測部3010では、所定の各MCSに応じて、電力遅延プロファイルおよび最小自由距離より離れたエラーパスのペアワイズ誤り率を算出し、復号後のビット誤り率の予測値を算出する(S202)。
各MCSでの復号後のビット誤り率の予測値は、受信装置2000から送信されて(S204)、送信装置1000で受信される(S206)。
続いて、送信装置1000のFER予測部3030が、各MCSについてフレームエラーレートの予測値を算出し(S208)、MCS選択部3040が、算出されたフレームエラーレートに基づいて、所定のMCSのうちで、規定のFERを達成する範囲で、最大のスループットとなるMCSを選択する(S210)。
ここで、フレームエラーレートの算出についても、実施の形態1と同様である。
選択されたMCSに応じて、選択された符号化率で誤り訂正符号化部1002が畳み込み符号化を実行して、変調部1010が選択された多値変調方式でのサブキャリア変調を実行する(S212)。
変調後のデータが送信装置1000から送信され(S214)、受信装置2000において受信される(S216)。
このような処理でも、受信装置側で、電力遅延プロファイルと雑音電力との推定と、復号後BERの推定を行い、送信装置側にフィードバックした時点で、適応的に符号化率や変調方式を変更できる。したがって、フレーム誤り率(FER)を正確に予測することによって伝搬状況に合わないMCSでのフレーム送信回数を低減しスループットを向上できる。
[実施の形態3]
実施の形態1または実施の形態2では、条件付きペアワイズ誤り率を、電力遅延プロファイルにより計算した。しかしながら、伝搬路の条件によっては、条件付きペアワイズ誤り率を、サブキャリアの周波数応答(インパルス応答と等価)から以下のように計算することが可能である。実施の形態3では、条件付きペアワイズ誤り率を、サブキャリアの周波数応答により算出する場合について説明する。
非特許文献4では伝搬路の周波数応答がOFDMシンボル内では変動しないことを想定している。言い換えればフレームごとあるいはそれより短い間隔で変動することを許容している。しかし、無線LAN環境では無線装置の移動がある程度少ないことが想定されるため、複数のフレームで伝搬路を同一とみなせる(観測時間内で伝搬路の変動を無視できる)ような場合が生じうる。このような場合、サブキャリアの周波数応答Hkw(あるいは伝搬路のインパルス応答)は定数とみなせる。そのため、条件付きペアワイズ誤り率は、式(8)においてサブキャリアの周波数応答(あるいはインパルス応答)が時間的に変化しないと仮定して定数として扱うことによって計算できる。この場合、式(8)に対して以下のようにΔw(iw)についてのみ期待値を求めればよい。
Figure 0007095851000029
ただし、サブキャリアの周波数応答と伝搬路のインパルス応答は式(2)のように等価的に変換可能なので、式(26)はインパルス応答からも計算できる。
実施の形態1と同様に、w=1,…,dfに対してΔw(iw)=dmin 2となる項がJ個の項の中で支配的になると期待される。この支配的になる項のPjをPminと表記する。よって、式(26)を以下のように近似する。
Figure 0007095851000030
このように条件付きペアワイズ誤り率を計算してもよい。このような処理を行えば、電力遅延プロファイルの代わりにサブキャリアの周波数応答(あるいはインパルス応答)の推定を行うことにより復号後BERの予測が可能になる。
その他の処理については、実施の形態1で説明したものと同様であるので、説明は繰り返さない。
したがって、本明細書においては、以下のように、用語を用いることとする。
「伝搬路特性情報」とは、伝搬路の電力の減衰を表す情報のことをいい、典型的には、上述した電力遅延プロファイルを意味する。さらに、上述のように、観測時間内で伝搬路の変動を無視できるという条件を満たす場合は、通信経路において推定された伝搬路の瞬時的な情報、すなわち、畳み込み符号化OFDM方式における各サブキャリアの周波数応答(等価的にインパルス応答)をも含むものとする。
(性能評価)
以下では、IEEE802.11a 規格に準拠した送受信を行った場合のBER特性を計算機シミュレーションによって求め、提案近似式の結果と比較を行うことで、近似式の精度を評価する。
計算機シミュレーションではFFTサイズNfftを64、そのうちデータサブキャリア数Ndataを48とする。また、信号点配置もIEEE802.11a と同様とし、QPSK(quadrature phase shift keying)、16QAM(quadrature amplitude modulation)、64QAMの変調方式に対して、以上説明した実施の形態の近似式の評価を行う。インターリーバは図7に示したブロックインターリーバを使用し、QPSK 変調の場合Nwidth=16、Ndepth=6、16QAMの場合Nwidth=16、Ndepth=12、64QAMの場合Nwidth=16、Ndepth=18とする。用いる畳み込み符号はIEEE802.11a 規格と同様、符号化率1/2、拘束長7の生成多項式(133,171) のものを使用する。また、本実施の形態の手法に基づいて離れたパスのPEPは最大でdH=16 まで評価する。ただし、dH=10, 12, 14, 16に対してN10=11,N12=38,N14=193,N16=1331 であり、拘束長7 の(133, 171) 畳み込み符号はdHが奇数の場合、NdH=0となる。また、BER=10-5での予測精度を評価する。
図12は、既存手法(非特許文献4の手法)によるBERの予測値とシミュレーション結果とを示す図である。
図12では、RMS(root mean square)遅延広がり50[ns] の指数減衰遅延プロファイルを想定した場合の既存手法(非特許文献4の手法)により取得したBERの比較を示す。
ここでは、QPSKと64QAMの結果を示す。
シミュレーション結果に対して、予測精度が大きく劣化していることがわかる。
図13は、本実施の形態での予測手法によるBERの予測値とシミュレーション結果とを示す図である。
ここでも、RMS(root mean square)遅延広がり50[ns] の指数減衰遅延プロファイルを想定する。
図13では、本実施の形態の近似式は最小自由距離のみ考慮した場合(dH=10)と、最小自由距離よりも離れたエラーパスを考慮した場合(dH=10,12,14,16)とを示す。
すなわち、本実施の形態の近似式は、最小自由距離だけ考慮した場合と、最大でdH=16まで考慮した場合の結果を示す。これらの結果から、より多くのエラーパスのPEPを考慮することによって、予測精度が向上する傾向が確認できる。
上述したように、本実施の形態の方式によれば、i)低いダイバーシチ次数についても予測を行うこと、ii)最小自由距離より長いエラーパスも考慮して誤り率を算出すること、のそれぞれの独立な効果の組合せにより、予測精度が向上していることがわかる。
以上説明したように、本実施の形態の構成によっても、通信路における誤りが、ランダム誤りとみなせない場合においても、精度よく復号後BERを予測して、フレームエラーレートを予測することを可能とするフレームエラーレート予測装置が実現できる。またこのような、フレームエラーレート予測装置を用いることで、通信路における誤りが、ランダム誤りとみなせない場合においても、適切なMCSを適応的に選択して通信を行うことが可能な無線通信装置および無線通信システムが実現できる。
今回開示された実施の形態は、本発明を具体的に実施するための構成の例示であって、本発明の技術的範囲を制限するものではない。本発明の技術的範囲は、実施の形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲の文言上の範囲および均等の意味の範囲内での変更が含まれることが意図される。
1000 送信装置、1002 誤り訂正符号化部、1004 インターリーブ部、1010 変調部、1012 OFDM変調部、1014 RF部、1020 アンテナ、1100 受信処理部、1110,1110´ 適応レート制御部、2000 受信装置、2002 アンテナ、2010 RF部、2012 OFDM復調部、2014 復調部、2016 デインターリーブ部、2018 誤り訂正部、2100 電力遅延プロファイル/雑音電力推定部、2110 送信処理部、3010 BER予測部、3020,3050 MCS記憶部、3030 FER予測部、3040 MCS選択部。

Claims (15)

  1. 畳み込み符号化OFDM方式で通信する通信システムのフレームエラーレート予測装置であって、
    前記畳み込み符号化OFDM方式で採用されるものとして予め設定された畳み込み符号化の符号化率および変調方式の組の情報を格納するための記憶手段と、
    通信経路において推定された、伝搬路の電力の減衰を表す伝搬路特性情報および雑音電力に基づいて、前記記憶手段に格納された前記符号化率および変調方式の組のそれぞれについて、前記畳み込み符号化に対する復号処理におけるエラーパスのペアワイズ誤り率を考慮して、前記畳み込み符号化された符号語の復号後のビット誤り率を予測するビット誤り率予測手段と、
    前記予測された復号後のビット誤り率と、前記畳み込み符号化OFDM方式で通信されるフレームサイズとに基づいて、フレーム誤り率を予測するフレーム誤り率予測手段とを備え、
    前記ビット誤り率予測手段は、
    前記記憶手段に格納された前記符号化率および変調方式の組のそれぞれについて、前記伝搬路特性情報および前記畳み込み符号化の最小自由距離よりも離れたエラーパスのペアワイズ誤り率を考慮し、
    エラーパスに対応するエラーパターンに対して、真のパスとのハミング距離が第1の所定の値だけ離れた全てのエラーパターンについて、各々のエラーパターンに対するペアワイズ誤り率を、当該エラーパターンを出力する符号器への入力のハミング重みで重み付けして重み付け和を求め、さらに前記重み付け和を最小自由距離から所定の距離だけ離れたハミング距離までについて総和したものとして、前記畳み込み符号化された符号語の復号後のビット誤り率を算出する、フレームエラーレート予測装置。
  2. 前記伝搬路特性情報は、前記通信経路において推定された電力遅延プロファイルである、請求項1記載のフレームエラーレート予測装置。
  3. 前記伝搬路特性情報は、前記伝搬路のインパルス応答である、請求項1記載のフレームエラーレート予測装置。
  4. 前記伝搬路特性情報は、畳み込み符号化OFDM方式における各サブキャリアの周波数応答である、請求項1記載のフレームエラーレート予測装置。
  5. 畳み込み符号化OFDM方式で通信する無線通信装置であって、
    受信装置から送信された、通信経路である伝搬路の電力の減衰を表す伝搬路特性情報および雑音電力の推定値をフィードバック情報として受信する受信手段と、
    前記畳み込み符号化OFDM方式で採用されるものとして予め設定された畳み込み符号化の符号化率および変調方式の組の情報を格納するための記憶手段と、
    前記フィードバック情報に基づいて、前記記憶手段に格納された符号化率および変調方式の組のうち、スループットを最大とする組を選択する選択手段とを備え、
    前記選択手段は、
    前記記憶手段に格納された前記符号化率および変調方式の組のそれぞれについて、前記伝搬路特性情報および前記畳み込み符号化に対する復号処理におけるエラーパスのペアワイズ誤り率を考慮して、前記畳み込み符号化された符号語の復号後のビット誤り率を予測するビット誤り率予測手段と、
    前記予測された復号後のビット誤り率と、前記畳み込み符号化OFDM方式で通信されるフレームサイズとに基づいて、フレーム誤り率を予測するフレーム誤り率予測手段と、
    予測されたフレーム誤り率に基づいて、所定のフレームエラーレート内において、最大のスループットとなる前記組を選択する変調方式選択手段とを含み、
    前記ビット誤り率予測手段は、前記記憶手段に格納された前記符号化率および変調方式の組のそれぞれについて、前記伝搬路特性情報および前記畳み込み符号化の最小自由距離よりも離れたエラーパスのペアワイズ誤り率を考慮し、
    エラーパスに対応するエラーパターンに対して、真のパスとのハミング距離が第1の所定の値だけ離れた全てのエラーパターンについて、各々のエラーパターンに対するペアワイズ誤り率を、当該エラーパターンを出力する符号器への入力のハミング重みで重み付けして重み付け和を求め、さらに前記重み付け和を最小自由距離から所定の距離だけ離れたハミング距離までについて総和したものとして、前記畳み込み符号化された符号語の復号後のビット誤り率を算出し、
    前記変調方式選択手段により選択された前記組に応じて、送信データに対して、畳み込み符号化および変調処理を実行して送信するための送信手段をさらに備える、無線通信装置。
  6. 畳み込み符号化OFDM方式で通信する無線通信装置であって、
    通信経路において、伝搬路の電力の減衰を表す伝搬路特性情報および雑音電力を推定する通信経路状態推定手段と、
    前記畳み込み符号化OFDM方式で採用されるものとして予め設定された畳み込み符号化の符号化率および変調方式の組の情報を格納するための記憶手段と、
    前記記憶手段に格納された前記符号化率および変調方式の組のそれぞれについて、前記伝搬路特性情報および前記畳み込み符号化に対する復号処理におけるエラーパスのペアワイズ誤り率を考慮して、前記畳み込み符号化された符号語の復号後のビット誤り率を予測するビット誤り率予測手段と、
    通信の相手先においてフレームエラーレートを予測して前記符号化率および変調方式を適応的に選択するために、前記推定された復号後のビット誤り率の予測値を送信するための送信手段とを備え、
    前記ビット誤り率予測手段は、前記記憶手段に格納された前記符号化率および変調方式の組のそれぞれについて、前記伝搬路特性情報および前記畳み込み符号化の最小自由距離よりも離れたエラーパスのペアワイズ誤り率を考慮し、
    エラーパスに対応するエラーパターンに対して、真のパスとのハミング距離が第1の所定の値だけ離れた全てのエラーパターンについて、各々のエラーパターンに対するペアワイズ誤り率を、当該エラーパターンを出力する符号器への入力のハミング重みで重み付けして重み付け和を求め、さらに前記重み付け和を最小自由距離から所定の距離だけ離れたハミング距離までについて総和したものとして、前記畳み込み符号化された符号語の復号後のビット誤り率を算出する、無線通信装置。
  7. 前記伝搬路特性情報は、前記通信経路において推定された電力遅延プロファイルである、請求項5または6記載の無線通信装置。
  8. 前記伝搬路特性情報は、前記伝搬路のインパルス応答である、請求項または記載の無線通信装置。
  9. 前記伝搬路特性情報は、畳み込み符号化OFDM方式における各サブキャリアの周波数応答である、請求項または6記載の無線通信装置。
  10. 前記ビット誤り率予測手段は、前記記憶手段に格納された前記符号化率および変調方式の組のそれぞれについて、前記伝搬路特性情報および前記畳み込み符号化の最小自由距離よりも離れたエラーパスのペアワイズ誤り率を考慮して、前記畳み込み符号化された符号語の復号後のビット誤り率を予測する、請求項のいずれか1項に記載の無線通信装置。
  11. 畳み込み符号化OFDM方式で通信する無線通信システムであって、
    受信装置を備え、
    前記受信装置は、
    通信経路において、伝搬路の電力の減衰を表す伝搬路特性情報および雑音電力を推定する通信経路状態推定手段と、
    前記推定された伝搬路特性情報および雑音電力を送信するための第1の送信手段とを含み、
    送信装置をさらに備え、
    前記送信装置は、
    前記受信装置から送信された、前記伝搬路特性情報および前記雑音電力の推定値をフィードバック情報として受信する受信手段と、
    前記畳み込み符号化OFDM方式で採用されるものとして予め設定された畳み込み符号化の符号化率および変調方式の組の情報を格納するための記憶手段と、
    前記フィードバック情報に基づいて、前記記憶手段に格納された符号化率および変調方式の組のうち、スループットを最大とする組を選択する選択手段とを含み、
    前記選択手段は、
    前記記憶手段に格納された前記符号化率および変調方式の組のそれぞれについて、前記伝搬路特性情報および前記畳み込み符号化に対する復号処理におけるエラーパスのペアワイズ誤り率を考慮して、前記畳み込み符号化された符号語の復号後のビット誤り率を予測するビット誤り率予測手段と、
    前記予測された復号後のビット誤り率と、前記畳み込み符号化OFDM方式で通信されるフレームサイズとに基づいて、フレーム誤り率を予測するフレーム誤り率予測手段と、
    予測されたフレーム誤り率に基づいて、所定のフレームエラーレート内において、最大のスループットとなる前記組を選択する変調方式選択手段とを有し、
    前記ビット誤り率予測手段は、前記記憶手段に格納された前記符号化率および変調方式の組のそれぞれについて、前記伝搬路特性情報および前記畳み込み符号化の最小自由距離よりも離れたエラーパスのペアワイズ誤り率を考慮し、
    エラーパスに対応するエラーパターンに対して、真のパスとのハミング距離が第1の所定の値だけ離れた全てのエラーパターンについて、各々のエラーパターンに対するペアワイズ誤り率を、当該エラーパターンを出力する符号器への入力のハミング重みで重み付けして重み付け和を求め、さらに前記重み付け和を最小自由距離から所定の距離だけ離れたハミング距離までについて総和したものとして、前記畳み込み符号化された符号語の復号後のビット誤り率を算出し、
    前記変調方式選択手段により選択された前記組に応じて、送信データに対して、畳み込み符号化および変調処理を実行して送信するための第2の送信手段をさらに含む、無線通信システム。
  12. 畳み込み符号化OFDM方式で通信する無線通信システムであって、
    受信装置を備え、
    前記受信装置は、
    通信経路において、伝搬路の電力の減衰を表す伝搬路特性情報および雑音電力を推定する通信経路状態推定手段と、
    前記畳み込み符号化OFDM方式で採用されるものとして予め設定された畳み込み符号化の符号化率および変調方式の組の情報を格納するための記憶手段と、
    前記記憶手段に格納された前記符号化率および変調方式の組のそれぞれについて、前記伝搬路特性情報および前記畳み込み符号化に対する復号処理におけるエラーパスのペアワイズ誤り率を考慮して、前記畳み込み符号化された符号語の復号後のビット誤り率を予測するビット誤り率予測手段と、
    前記推定された復号後のビット誤り率の予測値を送信するための第1の送信手段とを含み、
    前記ビット誤り率予測手段は、前記記憶手段に格納された前記符号化率および変調方式の組のそれぞれについて、前記伝搬路特性情報および前記畳み込み符号化の最小自由距離よりも離れたエラーパスのペアワイズ誤り率を考慮し、
    エラーパスに対応するエラーパターンに対して、真のパスとのハミング距離が第1の所定の値だけ離れた全てのエラーパターンについて、各々のエラーパターンに対するペアワイズ誤り率を、当該エラーパターンを出力する符号器への入力のハミング重みで重み付けして重み付け和を求め、さらに前記重み付け和を最小自由距離から所定の距離だけ離れたハミング距離までについて総和したものとして、前記畳み込み符号化された符号語の復号後のビット誤り率を算出し、
    送信装置をさらに備え、
    前記送信装置は、
    前記受信装置から送信された、前記復号後のビット誤り率の予測値をフィードバック情報として受信する受信手段と、
    前記フィードバック情報に基づいて、前記符号化率および変調方式の組のうち、スループットを最大とする組を選択する選択手段とを含み、
    前記選択手段は、
    前記予測された復号後のビット誤り率と、前記畳み込み符号化OFDM方式で通信されるフレームサイズとに基づいて、フレーム誤り率を予測するフレーム誤り率予測手段と、
    予測されたフレーム誤り率に基づいて、所定のフレームエラーレート内において、最大のスループットとなる前記組を選択する変調方式選択部とを有し、
    前記変調方式選択部により選択された前記組に応じて、送信データに対して、畳み込み符号化および変調処理を実行して送信するための第2の送信手段をさらに含む、無線通信システム。
  13. 前記伝搬路特性情報は、前記通信経路において推定された電力遅延プロファイルである、請求項1または1記載の無線通信システム。
  14. 前記伝搬路特性情報は、前記伝搬路のインパルス応答である、請求項1または1記載の無線通信システム。
  15. 前記伝搬路特性情報は、畳み込み符号化OFDM方式における各サブキャリアの周波数応答である、請求項1または1記載の無線通信システム。
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