JP7095786B2 - 不活化装置 - Google Patents

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Description

本発明は、有害な微生物やウイルスを不活化する不活化装置に関する。
医療施設、学校、役所、劇場、ホテル、飲食店等、頻繁に人が集まったり人が出入りしたりする施設は、バクテリアやカビ等の微生物が繁殖しやすく、またウイルスが蔓延しやすい環境にある。特に、上記施設における狭い空間(病室、トイレ、エレベータ内などの閉鎖空間)や人が密集するような空間では、このような傾向が顕著となる。
例えば、有害で感染性の高い微生物やウイルスは、当該ウイルス等に感染した人が施設内の所定の空間を出入りすることにより、当該空間における床や壁等の表面上で増殖したり、当該空間内を浮遊したりする。そのため、その空間に入った次の人にウイルス等が感染し、場合によっては感染症が施設内で蔓延することもある。
以上のような状況を改善するために、人(場合によっては動物)が集まったり出入りしたりする施設においては、上記したような有害な微生物(例えば、感染性微生物)を消毒したり、ウイルスを不活化したりする措置が求められる。
床や壁等の上記空間を取り囲む表面については、例えば、作業員によってアルコール等の消毒剤を散布する、消毒剤を染み込ませた布等で拭き取る、あるいは殺菌紫外線を照射する等の除染作業が行われる。また、空間内を浮遊する微生物やウイルス等については、例えば、紫外線照射による殺菌・不活化が行われる。
特許文献1には、密閉室を除染する除染装置として、除染対象空間にUVC電球から紫外線(UVC光)を照射し、当該空間を殺菌する装置が開示されている。
また、特許文献2には、アーク灯、レーザ、発光ダイオード(LED)、マイクロフィラメント、光ファイバー素子、電球などのUV発光体から紫外線を放射させ、取り囲まれた空間内の表面を消毒する装置が開示されている。
特表2017-528258号公報 特開2018-69028号公報
除染(殺菌)用途に使用される紫外線の波長域は、実用上、200~320nmであり、殺菌に特に効果的な波長は、微生物やウイルスが保有する核酸(DNA、RNA)の吸収が大きい260nm付近である。よって、殺菌用光源としては、波長253.7nmの紫外線を放出する低圧水銀ランプが用いられることが多い。
ところが、低圧水銀ランプには、振動を受けると放出される紫外線の照度が不安定になるという特性がある。
例えば、微生物やウイルスを不活化するための紫外線光源を移動体に搭載した場合、移動体の移動中に紫外線光源が振動を受ける。紫外線光源が低圧水銀ランプである場合、この振動によって低圧水銀ランプから放出される紫外線照度が不安定となり、場合によっては殺菌・不活化対象物の殺菌・不活化が不十分になる可能性が生じる。
また、近年は、殺菌・不活化のための紫外線光源として、ピーク波長が例えば275nmである紫外線LEDも採用されている。しかしながら、上記の紫外線LEDから放出される波長275nmの紫外線や、上記の低圧水銀ランプから放出される波長253.7nmの紫外線のような波長260nm付近の紫外線は、殺菌・不活化効果は高いものの人体に悪影響を及ぼすおそれのある紫外線である。そのため、上記各特許文献に記載の技術のように、人が存在する空間では除染作業を行うことはできない。
そこで、本発明は、人が存在する空間内において安定して紫外線を放出して、有害な微生物やウイルスを適切に不活化することができる不活化装置を提供することを課題としている。
上記課題を解決するために、本発明に係る不活化装置の一態様は、人や物を移送する移動手段内の空間であって、人が存在する前記空間内において紫外線を放射して、当該空間内に存在する微生物および/またはウイルスを不活化する不活化装置であって、前記微生物および/またはウイルスを不活化する波長の紫外線を含む光を放射する紫外線光源を備える紫外線照射ユニットと、前記紫外線光源による前記光の照射を制御する制御部と、を備え、前記紫外線光源から放射される前記光に含まれる紫外線は、200nm~240nmの波長範囲にある紫外線であり、前記紫外線光源は、エキシマ発光用ガスが封入された放電容器と、前記放電容器の内部に誘電体バリア放電を生じさせる一対の電極であって、少なくとも一方が前記放電容器に当接して配置された一対の電極と、を有するエキシマランプであって、前記紫外線照射ユニットは、前記移動手段に固定されており、前記エキシマランプが受ける振動を抑制する除振機構を備える。
このように、振動の影響を受けにくいエキシマランプを紫外線光源として用いるので、紫外線照射ユニットが振動を受けたとしても、紫外線光源から安定して紫外線を放出することができ、殺菌、不活化を適切に行うことができる。また、人や動物の細胞に悪影響の少ない200nm~240nmの波長範囲にある紫外線を放射するので、人が居る空間において、人に対しても紫外線を照射して殺菌、不活化を行うことができる。
また、例えば航空機や列車、バス、タクシーなどの移動手段内の空間において紫外線を照射して、不活化処理を行うことができる。紫外線照射ユニットが除振機構を備えることで、移動手段の移動中にエキシマランプに振動が加わった場合であっても、エキシマランプが振動の影響をほとんど受けないようにすることができ、放電容器と外部電極との間のすき間の発生を抑制することができる。したがって、安定して紫外線を照射することができる。
さらに、上記の不活化装置において、前記移動手段は交通手段であり、前記空間は、人が入退出可能な客室およびトイレの少なくとも一方を含んでいてもよい。
この場合、複数の人が出入りする空間において紫外線を照射して、不活化処理を行うことができるので、当該空間に入った他の人へのウイルス等の感染を効果的に抑制することができる。
さらに、上記の不活化装置において、前記一対の電極の少なくとも一方は、前記放電容器の外表面に印刷または蒸着されていてもよい。
この場合、エキシマランプに振動が加わった場合であっても、放電容器の外表面に配置された電極(外部電極)と放電容器との間にすき間が生じないようにすることができ、エキシマランプから放出される紫外線照度の変動を抑制することができる。
さらに、上記の不活化装置において、前記紫外線照射ユニットは、前記エキシマランプを収容し、導電性の金属からなる筐体を有していてもよい。
この場合、エキシマランプから発生する高周波ノイズが筐体外部へ発信されることを抑制することができる。これにより、筐体外部に設けられた制御システムへの制御指令がエキシマランプからの高周波ノイズの影響を受けることを抑制することができ、当該制御指令の不具合を抑制することができる。
また、上記の不活化装置において、前記紫外線照射ユニットは、前記紫外線光源を内部に収容し、前記紫外線光源から発せられる光の少なくとも一部を出射する光出射窓を有する筐体を備え、前記光出射窓には、波長237nmよりも長波長側のUV-C波の透過を阻止する光学フィルタが設けられていてもよい。
この場合、人体や動物への悪影響の少ない波長域の光のみを照射することができる。
さらに、上記の不活化装置において、前記紫外線光源は、中心波長222nmの紫外線を放射してもよい。
この場合、紫外線照射による人体への悪影響を適切に抑制しつつ、微生物やウイルスを効果的に不活化することができる。
本発明では、人が存在する空間内において安定して紫外線を放出して、有害な微生物やウイルスを適切に不活化することができる。
紫外線照射ユニットを飛翔体に搭載した不活化装置の構成例を示す模式図である。 紫外線照射ユニットを移動体に搭載した不活化装置の構成例を示す模式図である。 紫外線照射ユニットの構成例を示す模式図である。 エキシマランプの構成例を示す模式図である。 エキシマランプの別の例を示す模式図である。 エキシマランプの別の例を示す模式図である。 たんぱく質の紫外線吸光スペクトルを示す図である。 紫外線照射ユニットの別の例を示す模式図である。 紫外線照射ユニットを飛翔体に搭載した不活化装置の別の例を示す模式図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本実施形態では、人が存在する空間内において紫外線照射を行い、当該空間内に存在する微生物やウイルスを不活化する不活化装置について説明する。
なお、「人が存在する空間」は、実際に人が居る空間に限定されず、人が出入りする空間であって人が居ない空間を含む。また、本実施形態における「不活化」とは、微生物やウイルスを死滅させる(又は感染力や毒性を失わせる)ことを指すものである。
ここで、上記空間は、例えば、オフィス、商業施設、医療施設、駅施設、学校、役所、劇場、ホテル、飲食店等の施設内の空間や、自動車、電車、バス、タクシー、飛行機、船等の移動手段に設けられた空間を含む。なお、上記空間は、病室、会議室、客室、トイレ、エレベータ内など、人が入退出可能な閉鎖された空間であってもよいし、閉鎖されていない空間であってもよい。また、上記移動手段は人や物を移送する手段であればよく、交通手段に限定されない。
本実施形態における不活化装置は、人が存在する空間内において、人や動物の細胞への悪影響が少ない波長200~240nmの紫外線を照射して、物体表面や空間に存在する有害な微生物やウイルスを不活化するものである。ここで、上記物体は、人体、動物、物を含む。
また、本実施形態における不活化装置は、振動を受ける環境で使用される。
図1は、紫外線照射ユニット10を移動体(飛翔体)110に搭載した不活化装置100Aの構成例を示す模式図である。飛翔体110は、人が存在する空間内において任意の3次元方向に移動可能な移動体であり、例えばドローン(マルチコプター)である。
この不活化装置100Aは、紫外線照射ユニット10と、飛翔体110と、を備える。紫外線照射ユニット10は、殺菌・不活化用の紫外線として、200~240nmの波長範囲にある紫外線を含む光を放射する紫外線光源を備える。紫外線照射ユニット10は、飛翔体110に設けられた支持部(ここでは、本体部111)により支持されている。
飛翔体110は、本体部111と、本体部111から伸びる複数(本実施形態では、4本)のフレーム部112と、を備える。さらに、飛翔体110は、フレーム部112の先端部(本体部111側ではない方の端部)にそれぞれ設けられた駆動部113を備える。
駆動部113は、機体の飛行のための揚力および推力を発生させる推進駆動部であり、モータ114と、モータ114によって回転される回転翼(プロペラ、ロータともいう)115とを備える。ここで、モータ114は、可変速度または単一速度モータとすることができる。また、各モータ114は、それぞれ独立に駆動することが可能である。
なお、本実施形態では、飛翔体110を駆動する駆動部としてモータ114によるプロペラ駆動を用いているが、これに限るものではなく、例えばガスジェットなどの駆動機構を用いることもできる。
本体部111は、図示を省略した制御システムや給電部を備えており、制御システムは、モータ114を駆動してプロペラ115を回転させ、飛翔体110の揚力および推力を制御する機能を有する。
制御システムへの制御指令は、飛翔体110の動作を制御する外部制御システムより有線通信または無線通信にて行うことができる。例えば、作業者は、手元のコントローラ(外部制御システム)を操作して、無線通信により飛翔体110を所定空間の任意の3次元方向に移動させる。
なお、飛翔体110は、カメラ、センサ等を有していてもよい。
ここで、カメラは、例えば、飛翔体110の進行方向前方を撮影するものであり、デジタルカメラ、ビデオカメラ等を用いることができる。カメラは、画像、ビデオ記録、および他のデータを取り込むために使用され得る。
また、センサは、例えば、飛翔体110の周囲の障害物を検知するものであり、圧力センサ、加速度計、コンパス、運動センサ、近接センサ、またはそれらの任意の組み合わせであり得るか、またはそれらを含み得る。
この場合、制御システムは、カメラやセンサ等により取得されたデータをもとに飛翔体110の位置制御を行うこともできる。
紫外線照射ユニット10は、飛翔体110の本体部111の下部に支持されており、飛翔体110とともに空間内を飛行しながら、紫外線を当該空間および当該空間を取り囲む表面に対して放射する。紫外線照射ユニット10による紫外線の照射および非照射や、紫外線照射ユニット10から放出される紫外線の光量等は、上記の制御システムによって制御される。
なお、紫外線照射ユニット10は、上記の外部制御システムによって直接制御されるように構成されていてもよい。
このように、不活化装置100Aは、人が存在する空間において、任意の3次元方向に移動しながら200nm~240nmの波長範囲にある紫外線を放射する。したがって、紫外線が照射された空間や当該空間を取り囲む表面上の有害な微生物やウイルスを適切に不活化することができる。
図2(a)は、紫外線照射ユニット10を移動体120に搭載した不活化装置100Bの構成例を示す模式図である。移動体120は、人が存在する空間内において任意の2次元方向に移動可能な移動体であり、例えば床面を移動可能な掃除ロボット等である。
この不活化装置100Bは、紫外線照射ユニット10と、移動体120と、を備える。紫外線照射ユニット10は、上述した図1の不活化装置100Aが備える紫外線照射ユニット10と同様の構成を有する。紫外線照射ユニット10は、移動体120に設けられた支持部(ここでは、支持体123)により支持されている。
移動体120は、本体部121と、本体部121に回転可能に支持された車輪122と、を備える。本体部121には、特に図示しないが、移動体120を駆動する駆動部として、車輪122を回転駆動するモータと、車輪122の向きを調整する車輪調整機構と、が搭載されている。さらに、本体部121は、図示を省略した制御システムや給電部を備えており、制御システムは、上記モータを駆動して車輪122を回転駆動したり、上記車輪調整機構を調整して車輪122の向きを調整制御したりする機能を有する。
制御システムへの制御指令は、移動体120の動作を制御する外部制御システムより有線通信または無線通信にて行うことができる。例えば、作業者は、手元のコントローラ(外部制御システム)を操作して、無線通信により移動体120を所定空間の任意の2次元方向に移動させる。
なお、移動体120は、カメラ、センサ等を有していてもよい。
ここで、カメラは、例えば、移動体120の進行方向前方を撮影するものであり、デジタルカメラ、ビデオカメラ等を用いることができる。カメラは、画像、ビデオ記録、および他のデータを取り込むために使用され得る。
また、センサは、例えば、移動体120の周囲の障害物を検知するものであり、圧力センサ、加速度計、コンパス、運動センサ、近接センサ、またはそれらの任意の組み合わせであり得るか、またはそれらを含み得る。
この場合、制御システムは、カメラやセンサ等により取得されたデータをもとに移動体120の位置制御を行うこともできる。
紫外線照射ユニット10は、移動体120の本体部121上に支持体123によって支持されており、移動体120とともに空間内を移動しながら、紫外線を当該空間および当該空間を取り囲む表面に対して放射する。紫外線照射ユニット10による紫外線の照射および非照射や、紫外線照射ユニット10から放出される紫外線の光量等は、上記の制御システムによって制御される。
なお、紫外線照射ユニット10は、上記の外部制御システムによって直接制御されるように構成されていてもよい。
ここで、紫外線照射ユニット10から放出される紫外線(UV)は、図2(a)に示すように紫外線照射ユニット10からあらゆる方向に放出されていてもよいし、図2(b)に示す不活化装置100Cのように所定の方向にのみ放出されていてもよい。
なお、図2(b)に示す不活化装置100Cは、所定の方向に紫外線を放出する紫外線照射ユニット10の向きを調整するための照射方向調整機構124を有していてもよい。照射方向調整機構124は、例えば紫外線照射ユニット10と接続されるモータであり、紫外線照射ユニット10を所定角度回転させることにより、紫外線照射ユニット10から放出される紫外線の方向を調整することができる。
このように、不活化装置100Bおよび100Cは、人が存在する空間において、任意の2次元方向に移動しながら200nm~240nmの波長範囲にある紫外線を放射する。したがって、紫外線が照射された空間や当該空間を取り囲む表面上の有害な微生物やウイルスを適切に不活化することができる。
図3は、不活化装置100A~100Cがそれぞれ備える紫外線照射ユニット10の構成例を示す模式図である。なお、本実施形態では、不活化装置100A~100Cが備える紫外線照射ユニット10は、同一構成を有する場合について説明する。
紫外線照射ユニット10は、導電性の金属からなる筐体11と、筐体11内部に収容された紫外線光源12と、を備える。
紫外線光源12は、例えば、中心波長222nmの紫外線を放出するKrClエキシマランプとすることができる。なお、紫外線光源12は、KrClエキシマランプに限定されるものではなく、200nm~240nmの波長範囲にある紫外線を放射する光源であればよい。
また、紫外線照射ユニット10は、エキシマランプ12に給電する給電部16と、エキシマランプ12の照射および非照射や、エキシマランプ12から放出される紫外線の光量等を制御する制御部17と、を備える。エキシマランプ12は、筐体11内において、除振部材18によって支持されている。
筐体11には、光出射窓となる開口部11aが形成されている。この開口部11aには窓部材11bが設けられている。窓部材11bは、例えば石英ガラスからなる紫外線透過部材や、不要な光を遮断する光学フィルタ等を含むことができる。
なお、筐体11内には、複数本のエキシマランプ12を配置することもできる。エキシマランプ12の数は特に限定されない。
上記光学フィルタとしては、例えば、波長域200nm~237nmの光を透過し、それ以外のUV-C波長域(200~280nm)の光をカットする波長選択フィルタを用いることができる。
ここで、波長選択フィルタとしては、例えば、HfO層およびSiO層による誘電体多層膜フィルタを用いることができる。
このように、光出射窓に光学フィルタを設けることで、エキシマランプ12から人に有害な光が僅かに放射されている場合であっても、当該光が筐体11の外に漏洩することをより確実に抑えることができる。
なお、波長選択フィルタとしては、SiO層およびAl層による誘電体多層膜を有する光学フィルタを用いることもできる。
しかしながら、波長選択フィルタとしてHfO層およびSiO層による誘電体多層膜を有する光学フィルタを用いた場合には、SiO層およびAl層による誘電体多層膜を有する光学フィルタを用いた場合と比較して、層の総数を少なくすることができる。そのため、入射角が0°のときの紫外線の透過率を高めることができる。
以下、紫外線照射ユニット10における紫外線光源として使用されるエキシマランプ12の構成例について具体的に説明する。
図4(a)は、エキシマランプ12の管軸方向における断面の模式図であり、図4(b)は、図4(a)のA-A断面図である。
この図4(a)および図4(b)に示すように、エキシマランプ12は、両端が気密に封止された長尺な直円管状の放電容器13を備える。放電容器13は、例えば、合成石英ガラスや溶融石英ガラスなどの紫外線を透過する光透過性を有する誘電体材料より構成されている。放電容器13の内部には放電空間が形成されており、この放電空間には、紫外線を発生するバリア放電用ガス(以下、「放電ガス」ともいう。)として希ガスとハロゲンガスとが封入されている。本実施形態では、希ガスとしてクリプトン(Kr)、ハロゲンガスとして塩素ガス(Cl)を用いる。
なお、放電ガスとしては、クリプトン(Kr)と臭素(Br)との混合ガスを用いることもできる。この場合、エキシマランプ(KrBrエキシマランプ)は、中心波長207nmの紫外線を放出する。
また、放電容器13内部の放電空間には、第一電極(内部電極)14が配設されている。内部電極14は、例えばタングステンなどの電気導電性および耐熱性を有する金属よりなる金属素線が、放電容器13の内径よりも小さなコイル径によってコイル状に巻回されて形成されてなるコイル状の電極である。この内部電極14は、放電容器13の中心軸(管軸)に沿って伸び、放電容器13の内周面に接触することのないように配設されている。
また、内部電極14の両端の各々には、内部電極用リード部材14aの一端が電気的に接続されている。内部電極用リード部材14aの他端側部分は、各々、放電容器13の外端面から外方に突出している。
放電容器13の外周面には、第二電極(外部電極)15が設けられている。外部電極15は、例えばタングステンなどの電気導電性および耐熱性を有する金属よりなる金属素線から構成される網状の電極である。この外部電極15は、放電容器13の外周面に沿って放電容器13の中心軸方向に伸びるように設けられている。図4(a)および図4(b)に示すエキシマランプ12においては、網状電極である外部電極15は、筒状の外形を有しており、放電容器13の外周面に密接した状態で設けられている。
このような構成により、放電空間内において、内部電極14と外部電極15とが放電容器13の管壁(誘電体材料壁)を介して対向する領域に、放電領域が形成される。
さらに、外部電極15の一端および一方の内部電極用リード部材14aの他端には、各々、給電線16bを介して給電部16(図3参照)が備える高周波電源16aが接続されている。高周波電源16aは、内部電極14と外部電極15との間に高周波電圧を印加することのできる電源である。
また、外部電極15の他端には、リード線16cの一端が電気的に接続されており、このリード線16cの他端は、接地されている。すなわち、外部電極15は、リード線16cを介して接地されている。なお、この図4(a)および図4(b)に示すエキシマランプ12においては、一方の内部電極用リード部材14aは給電線16bと一体のものとされている。
内部電極14と外部電極15との間に高周波電力を印加すると、放電空間において誘電体バリア放電が生じる。この誘電体バリア放電により、放電空間に封入されている放電ガス(バリア放電用ガス)の原子が励起され、励起二量体(エキシプレックス)が生成される。この励起二量体が元の状態(基底状態)に戻るときに、固有の発光(エキシマ発光)が生じる。すなわち、上記放電ガスはエキシマ発光用ガスである。
なお、エキシマランプの構成は、図4(a)および図4(b)に示す構成に限定されるものではない。例えば、図5(a)および図5(b)に示すエキシマランプ12Aのように、二重管構造の放電容器13Aを備える構成であってもよい。
このエキシマランプ12Aが備える放電容器13Aは、円筒状の外側管と、外側管の内側において外側管と同軸上に配置され、当該外側管よりも内径が小さい円筒状の内側管と、を有する。外側管と内側管とは、図5(a)の左右方向の端部において封止されており、両者の間には円環状の内部空間が形成されている。そして、この内部空間内に放電ガスが封入されている。
内側管の内壁面13aには膜状の第一電極(内側電極)14Aが設けられ、外側管の外壁面13bには網状またはメッシュ状の第二電極(外側電極)15Aが設けられている。そして、内側電極14Aおよび外側電極15Aは、それぞれ給電線16bを介して高周波電源16aと電気的に接続されている。
高周波電源16aによって内側電極14Aと外側電極15Aとの間に高周波の交流電圧が印加されることにより、外側管と内側管の管体を介して放電ガスに対して電圧が印加され、放電ガスが封入されている放電空間内で誘電体バリア放電が生じる。これにより放電ガスの原子が励起されて励起二量体が生成され、この原子が基底状態に移行する際にエキシマ発光を生じる。
また、エキシマランプの構成は、例えば、図6(a)および図6(b)に示すエキシマランプ12Bのように、放電容器13Bの一方の側面に一対の電極(第一電極14B、第二電極15B)を配置した構成であってもよい。ここでは、一例として、図6(a)のZ方向に2本の放電容器13Bが並べて配置されているものとする。
図6(a)に示すように、第一電極14Bおよび第二電極15Bは、放電容器13Bにおける光取出し面とは反対側の側面(-X方向の面)に、放電容器13Bの管軸方向(Y方向)に互いに離間して配置されている。
そして、放電容器13Bは、これら2つの電極14B、15Bに接触しながら跨るように配置されている。具体的には、2つの電極14B、15BにはそれぞれY方向に延伸する凹溝が形成されており、放電容器13Bは、電極14B、15Bの凹溝に嵌め込まれている。
第一電極14Bおよび第二電極15Bは、それぞれ給電線16bを介して高周波電源16aと電気的に接続されている。第一電極14Bと第二電極15Bとの間に高周波の交流電圧が印加されることで、放電容器13Bの内部空間において励起二量体が生成され、エキシマ光がエキシマランプ12Bの光取出し面(+X方向の面)から放射される。
ここで、電極14B、15Bは、エキシマランプ12Bから放射される光に対して反射性を有する金属材料により構成されていてもよい。この場合、放電容器13Bから-X方向に放射された光を反射して+X方向に進行させることができる。電極14B、15Bは、例えばアルミニウム(Al)やステンレスなどから構成することができる。
なお、エキシマランプは、上述したように高周波電力が印加されて高周波点灯を行うので、高周波ノイズが発生する。しかしながら、上記のようにエキシマランプを収容する筐体11を導電性の金属によって構成することで、エキシマランプからの高周波ノイズが筐体11外部へ発信されることを抑制することができる。これにより、紫外線照射ユニット10近傍に設置された他の制御システムへの制御指令が、この高周波ノイズによる外乱を受けることを抑制することができ、当該制御指令に不具合が生じないようにすることができる。
例えば、上述した不活化装置100A~100Cでは、制御システムへの制御指令は、移動体(飛翔体110、移動体120)の動作を駆動する外部制御システムにより無線通信にて送信される。このとき、エキシマランプからの高周波ノイズが筐体11外部へ発信されていると、この高周波ノイズによる外乱により、制御システムへの制御指令に不具合が生じる場合がある。
本実施形態のようにエキシマランプを収容する筐体11を導電性の金属によって構成することで、上記のような制御システムへの制御指令の不具合が生じないようにすることができ、移動体の動作を適切に駆動制御することができる。
また、上述した不活化装置100A~100Cのように、紫外線照射ユニット10を飛翔体110や移動体120に搭載した場合、飛翔体110の飛行中や移動体120の移動中に紫外線照射ユニット10が振動を受ける。
ここで、従来、紫外線光源としては、波長253.7nmの紫外線を放出する低圧水銀ランプが用いられてきた。低圧水銀ランプは、紫外線透過性ガラスからなるバルブ内にアルゴン(Ar)などの希ガスと水銀(Hg)またはそのアマルガムが封入された構成を有する。水銀の励起は、バルブ内で放電を発生させることにより行われる。このバルブ内での放電発生は、バルブ内に配置した一対の電極に給電したり、バルブ内に電極を配置せず高周波を印加したりすることにより行われる。バルブ内に封入される水銀量は、一般に発光に必要な水銀量より多い。よって、ランプの点灯中もバルブの最冷点に液体状の水銀が位置する。
そのため、低圧水銀ランプが振動を受けると、その振動によってバルブ内の水銀が移動する。このとき、水銀が放電領域に移動すると、蒸発して、放電が不安定となる。すなわち、低圧水銀ランプが振動を受けると、放出される紫外線照度が不安定となる。そのため、移動体に搭載した不活化装置の紫外線光源として低圧水銀ランプを用いた場合、殺菌・不活化が適切に行えない可能性が生じる。
これに対して、本実施形態における不活化装置100A~100Cは、紫外線光源としてエキシマランプを用いている。エキシマランプは、放電用ガスが希ガスおよびハロゲンガスであり常温でも水銀のような液体状にならないため、振動の影響を受けにくく、振動を受けても紫外線照度が不安定になりにくい。そのため、殺菌・不活化を適切に行うことができる。
ただし、エキシマランプにおいて、放電容器の外周面には電極(外部電極)が密接した状態で設けられている。ここで、上記振動をエキシマランプが受けると、外部電極と放電容器との間に振動に起因するすき間が生じる場合がある。そして、このすき間は振動により変動する。そのため、一対の電極の間に高周波電力を印加して放電空間内にて誘電体バリア放電を発生させる際、このすき間の変動に起因して、誘電体バリア放電が変動し、エキシマランプから放出される紫外線の照度が変動してしまう可能性がある。
また、上記すき間においても放電が発生するので、空気中の酸素が励起されてオゾンが発生し、発生したオゾンが紫外線照射ユニット内の電気部品を酸化させてしまうという不具合が生じる可能性もある。
そこで、振動によって外部電極と放電容器との間にすき間が生じることを抑制するために、図3に示すように、エキシマランプ12を除振部材18により保持するようにしてもよい。このように、エキシマランプ12を除振部材18によって保持することで、エキシマランプ12は上記振動の影響をほとんど受けなくなり、上記したすき間の発生が抑制される。
これにより、エキシマランプから放出される紫外線照度の変動を抑制し、安定して紫外線を照射することができる。
なお、エキシマランプの振動を抑制するための除振機構は、上記の除振部材18に限定されるものではなく、他の構成を採用することもできる。
また、上記のように、本実施形態における不活化装置100A~100Cにおいては、紫外線光源であるエキシマランプとして、波長222nmにピークを有する紫外線を放出するKrClエキシマランプ、または、波長207nmにピークを有する紫外線を放出するKrBrエキシマランプを用いることが好ましい。
実用上、除染(殺菌)用途に使用される紫外線の波長域は、200~320nmであり、特に、微生物やウイルスが保有する核酸(DNA、RNA)の吸収が大きい260nm付近の紫外線を用いることが一般的である。しかしながら、このような260nm付近の波長域の紫外線は、人や動物に悪影響を及ぼす。例えば、紅斑や皮膚のDNA損傷による癌の誘発や、目の障害(眼痛・充血・角膜の炎症など)を引き起こす。
そのため、上記のように260nm付近の紫外線を用いて除染(殺菌)する紫外線照射システムでは、人や動物の安全性を考慮し、人や動物が存在しないときに紫外線の照射を行い、照射領域に人が存在する場合は紫外線の放出を停止するように構成している。
ところが、空間内で有害な微生物が繁殖したり、微生物やウイルスが浮遊したり、空間を取り囲む表面に付着するのは、有害な微生物やウイルスを有する人(感染者)や動物が、上記空間に出入りすることに起因することが多い。よって、本来的には、除染(殺菌)用途の紫外線照射システムでは、空間や空間を取り囲む表面のみならず、その領域に存在する人や動物表面も除染することが効率的となる。
本発明者らは、鋭意研究の結果、波長200~240nmの波長範囲の光は人や動物に安全であって、微生物の殺菌やウイルスの不活化を行うことが可能であることを見出した。
図7は、たんぱく質の紫外線吸光スペクトルを示す図である。
この図7に示すように、たんぱく質は、波長200nmに吸光ピークを有し、波長240nm以上では紫外線が吸収されにくいことがわかる。つまり、波長240nm以上の紫外線は、人の皮膚を透過しやすく、皮膚内部まで浸透する。そのため、人の皮膚内部の細胞がダメージを受けやすい。これに対して、波長200nm付近の紫外線は、人の皮膚表面(例えば角質層)で吸収され、皮膚内部まで浸透しない。そのため、皮膚に対して安全である。
一方で、波長200nm未満の紫外線は、オゾン(O)を発生し得る。これは、波長200nm未満の紫外線が酸素を含む雰囲気中に照射されると、酸素分子が光分解されて酸素原子を生成し、酸素分子と酸素原子との結合反応によってオゾンが生成されるためである。
したがって、波長200~240nmの波長範囲は、人や動物に安全な波長範囲であるといえる。なお、人や動物に安全な波長範囲は、好ましくは波長200~237nm、より好ましくは波長200~235nm、さらに好ましくは200~230nmである。
つまり、KrClエキシマランプから放出される波長222nmの紫外線や、KrBrエキシマランプから放出される波長207nmの紫外線は、いずれも人や動物に安全であって、微生物の殺菌やウイルスの不活化を行うことができる光である。よって、空間内の殺菌・不活化領域に人や動物が存在していても、紫外線照射による殺菌・不活化作業を行うことができる。
なお、ACGIH(American Conference of Governmental Industrial Hygienists:米国産業衛生専門家会議)やJIS Z 8812(有害紫外放射の測定方法)によれば、人体への1日(8時間)あたりの紫外線照射量には波長ごとに許容限界値(TLV:Threshold Limit Value)が定められている。
したがって、上述した不活化装置100A~100Cにおいては、1日の紫外線照射量(積算光量)が上記の許容限界値以下となるように紫外線の照度および照射時間を設定することが好ましい。
以上説明したように、本実施形態における不活化装置は、振動を伴う支持部により支持された紫外線照射ユニット10を備える。具体的には、不活化装置は、人が存在する空間内を移動可能な移動体(飛翔体110、移動体120)と、当該移動体を駆動する駆動部と、を備え、紫外線照射ユニット10は、上記移動体に設けられた支持部により支持されている。
そして、本実施形態における不活化装置は、微生物やウイルスを不活化する波長の紫外線を含む光を放射する紫外線光源として、振動の影響を受けにくいエキシマランプを用いる。そのため、飛翔体110の飛行中または移動体120の移動中に紫外線光源に振動が加わった場合であっても、紫外線光源から安定して紫外線を放出することができる。したがって、紫外線照射ユニット10を飛翔体110または移動体120とともに任意の3次元方向または2次元方向に移動させながら、空間中や空間を取り囲む表面上の有害な微生物やウイルスを適切に不活化することができる。
また、人や動物の細胞に悪影響の少ない200nm~240nmの波長範囲にある紫外線を放射するので、人が居る空間において、人に対しても紫外線を照射して殺菌、不活化を行うことができる。
さらに、本実施形態の不活化装置においては、紫外線光源から放出される紫外線の波長を200~237nmの波長範囲内に設定し、波長237nmよりも長波長側のUV-C波の透過を阻止する光学フィルタを設けることができる。これにより、人に紫外線が照射されたとしても、紫外線照射された人にダメージを与えないようにすることができる。
なお、ウイルスは、空気中に漂う粒子に付着して拡散していくので、ミー散乱(Mie散乱)を起こすような粒子に対して紫外線を照射することが有効である。したがって、本実施形態の不活化装置においては、制御部17は、紫外線光源を制御して、Mie散乱を起こす粒子に対して紫外線を照射するようにしてもよい。これにより、ウイルス等が空気中に漂う粒子に付着して拡散されることを効果的に抑制することができる。
また、この場合、ミー散乱を検出する光学センサによって粒子の存在を検出後、紫外線を照射するようにしてもよい。
(変形例)
なお、図4、図5に示す構成を有するエキシマランプ12、12Aにおいては、金、銀、銅、ニッケル、クロムなどの耐腐食性を有する金属材料を主成分とする導電性粉末とガラス粉末とを含む導電性ペーストを用いて、例えばスクリーン印刷によって放電容器の外面に塗布した後、乾燥、焼成することにより外部電極(図4の外部電極15、図5の外側電極15A)を形成したり、上記金属材料を真空蒸着することにより外部電極を形成したりしてもよい。
このように外部電極を形成することでも、振動によって外部電極と放電容器との間にすき間が生じないようにすることができる。
また、上記実施形態においては、紫外線光源としてエキシマランプを用いる場合について説明したが、紫外線光源としてLEDを用いることもできる。紫外線光源がLEDの場合にも、エキシマランプと同様、振動の影響を受けにくい。
図8は、紫外線光源としてLED19を用いた紫外線照射ユニット10の一例である。この図8においては、紫外線照射ユニット10は、複数のLED19を備えている。
上記したように、除染(殺菌)用途に使用される紫外線の波長域は、200~320nmであり、特に効果的な波長は、核酸(DNA、RNA)の吸収が大きい260nm付近である。
よって、紫外線照射ユニット10に搭載される紫外線光源としてのLED19も、波長200~320nmの紫外線を放出するものが採用される。具体的には、例えば窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)系LED、窒化アルミニウム(AlN)系LED等を採用することができる。AlGaN系LEDは、アルミニウム(Al)の組成を変化させることにより200~350nmの波長範囲の深紫外域(deepUV:DUV)で発光する。また、AlN系LEDは、ピーク波長210nmの紫外線を放出する。
ここで、AlGaN系LEDとしては、中心波長が200~237nmの範囲内となるようにAlの組成を調整することが好ましい。上記したように、この波長範囲の紫外線であれば、人や動物に安全であって、微生物の殺菌やウイルスの不活化を適切に行うことが可能である。例えば、Alの組成を調整することで、放出する紫外線の中心波長が222nmであるAlGaN系LEDとすることも可能である。
また、LEDとして酸化マグネシウム亜鉛(MgZnO)系LEDを採用することもできる。MgZnO系LEDは、マグネシウム(Mg)の組成を変化させることにより190~380nmの波長範囲の深紫外域(deepUV:DUV)で発光する。
ここで、MgZnO系LEDとしては、中心波長が200~237nmの範囲内となるようにMgの組成を調整することが好ましい。
上記したように、この波長範囲の紫外線であれば、人や動物に安全であって、微生物の殺菌やウイルスの不活化を適切に行うことが可能である。例えば、Mgの組成を調整することで、放出する紫外線の中心波長が222nmであるMgZnO系LEDとすることも可能である。
ここで、上記のような紫外線(特に深紫外域の紫外線)を放出するLEDは、発光効率が数%以下と低く、発熱が大きい。また、LEDの発熱が大きくなると、当該LEDから放出される光の強度が小さくなり、また放出光の波長シフトも発生する。そのため、LEDの熱上昇を抑制するために、図8に示すように、LED19を冷却部材(例えば、熱を放熱する放熱フィン)20に設置することが好ましい。
このとき、図8に示すように、冷却部材20の一部を紫外線照射ユニット10の筐体11から突出させてもよい。
この図8に示す紫外線照射ユニット10を飛翔体(例えばドローン)に搭載した場合、図9に示す不活化装置100Dのように、冷却部材20の一部がプロペラ115からの排気流に晒されるようにすることができる。このように、冷却部材20の一部に排気流が当たることにより、冷却部材20の放熱が効率良く進み、結果としてLED19の熱上昇を適切に抑制することができる。
なお、上記の中心波長222nmの紫外線を放出するAlGaN系LEDおよびMgZnO系LEDは、中心波長222nmからある程度広がりを有する波長範囲の紫外線を放出し、当該LEDから放出される光には、僅かながら人や動物に安全ではない波長の紫外線も含まれる。そのため、紫外線光源がエキシマランプである場合と同様、波長範囲200~237nm以外の波長を有するUV-C波長域の光をカットする誘電体多層膜フィルタ(光学フィルタ)を用いることが好ましい。
なお、上記光学フィルタとしては、より好ましくは波長200~235nm以外の波長を有するUV-C波長域の光をカットするもの、さらに好ましくは200~230nm以外の波長を有するUV-C波長域の光をカットするものであってもよい。これは光源がエキシマランプの場合でも同様である。
ただし、上記の中心波長210nmの紫外線を放出するAlN-LEDは、上記光学フィルタは不要である。
また、紫外線光源がエキシマランプであっても、LEDであっても、当該紫外線光源の光放射面での照度や紫外線光源から紫外線の被照射面までの距離等によっては、被照射面での人や動物に安全ではない波長の紫外線の照度が許容値以下となる場合がある。したがって、このような場合には、上記光学フィルタを設ける必要はない。
なお、上記実施形態においては、図1の飛翔体110や図2(a)、図2(b)の移動体120といった、人が存在する空間内を移動可能な移動体に紫外線照射ユニット10を搭載し、上記空間内において移動体とともに紫外線照射ユニット10を移動させて当該空間内に紫外線を照射する場合について説明した。しかしながら、不活化装置の構成は上記に限定されるものではない。例えば、紫外線照射ユニット10は、人や物を移送する移動手段に設けられた、人が存在する空間内に据え付けられていてもよい。
ここで、上記移動手段は、例えば、航空機や新幹線等の列車、バス、タクシー等の交通手段とすることができ、上記移動手段に設けられた人が存在する空間は、航空機や列車内の客室やトイレ、バスやタクシー内の空間とすることができる。
この場合にも、移動手段の移動中に紫外線照射ユニット10は振動を受けるが、紫外線光源からは安定して紫外線を放射することができる。そして、紫外線照射ユニット10を据え付ける空間を、客室やトイレといった複数の人が出入りする空間とすることで、当該空間に入った他の人へのウイルス等の感染を効果的に抑制することができる。
さらに、エキシマランプやLEDは、上述した振動だけでなく、圧力変化や温度変化の影響も受けにくいという特徴がある。急激な圧力変化や温度変化は、空気圧や物質の熱膨張により、物理的な衝撃としてランプ等に伝わるため、上記した振動と同じ現象を引き起こす。
そのため、紫外線光源をエキシマランプまたはLEDとすることで、不活化装置が振動や気圧変化、温度変化を受ける環境で使用される場合であっても、安定して紫外線を放出することができる。つまり、航空機の飛行中における機内の気圧変化や、飛翔体の高度変化による気圧変化、新幹線等の高速で移動する列車がトンネルを通過する際に生じる気圧変化を受けたとしても、紫外線光源から放出される紫外線の照度が変動することを抑制することができる。
10…紫外線照射ユニット、11…筐体、12…エキシマランプ、13…放電容器、14…第一電極、15…第二電極、16…給電部、17…制御部、18…除振部材、19…LED、20…冷却部材、100A~100C…不活化装置、110…飛翔体(ドローン)、111…本体部、112…フレーム部、113…駆動部、114…モータ、115…回転翼、120…移動体、121…本体部、122…車輪、123…支持体、124…照射方向調整機構

Claims (6)

  1. 人や物を移送する移動手段内の空間であって、人が存在する前記空間内において紫外線を放射して、当該空間内に存在する微生物および/またはウイルスを不活化する不活化装置であって、
    前記微生物および/またはウイルスを不活化する波長の紫外線を含む光を放射する紫外線光源を備える紫外線照射ユニットと、
    前記紫外線光源による前記光の照射を制御する制御部と、を備え、
    前記紫外線光源から放射される前記光に含まれる紫外線は、200nm~240nmの波長範囲にある紫外線であり、
    前記紫外線光源は、エキシマ発光用ガスが封入された放電容器と、前記放電容器の内部に誘電体バリア放電を生じさせる一対の電極であって、少なくとも一方が前記放電容器に当接して配置された一対の電極と、を有するエキシマランプであって、
    前記紫外線照射ユニットは、前記移動手段に固定されており、前記エキシマランプが受ける振動を抑制する除振機構を備えることを特徴とする不活化装置。
  2. 前記移動手段は交通手段であり、
    前記空間は、人が入退出可能な客室およびトイレの少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1に記載の不活化装置。
  3. 前記一対の電極の少なくとも一方は、前記放電容器の外表面に印刷または蒸着されていることを特徴とする請求項1または2に記載の不活化装置。
  4. 前記紫外線照射ユニットは、前記エキシマランプを収容し、導電性の金属からなる筐体を有することを特徴とする請求項1または2記載の不活化装置。
  5. 前記紫外線照射ユニットは、前記紫外線光源を内部に収容し、前記紫外線光源から発せられる光の少なくとも一部を出射する光出射窓を有する筐体を備え、
    前記光出射窓には、波長237nmよりも長波長側のUV-C波の透過を阻止する光学フィルタが設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の不活化装置。
  6. 前記紫外線光源は、中心波長222nmの紫外線を放射することを特徴とする請求項1または2記載の不活化装置。
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