JP6977899B1 - 紫外線照射装置および紫外線照射方法 - Google Patents
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Abstract
Description
ACGIH(American Conference of Governmental Industrial Hygienists:米国産業衛生専門家会議)やJIS Z 8812(有害紫外放射の測定方法)によれば、人体への1日(8時間)あたりの紫外線照射量は、波長ごとに許容限界値(TLV:Threshold Limit Value)が定められており、許容限界値を超えない程度に所定時間当たりに照射される紫外線の照度と照射量を決定することが求められている。この許容限界値は、今後は改定されてゆく可能性もあるが、何かしら紫外線照射量の上限値を定めておくことは、より安全な運用を行う上で好ましい。
一方で、人の往来が激しい環境下では、人から人への細菌やウイルスのエアロゾル感染が生じやすく、また環境中に存在する物体表面の付着菌やカビ等は、人との接触機会によって新たに増加するため、環境中の細菌や真菌、ウイルスの不活化を効果的に行うことが困難であった。
これにより、人の往来が激しい場合においても、対象空間中への紫外線照射を実行することができ、エアロゾルや飛沫に存在する細菌やウイルス等の浮遊微生物に対して、効果的に紫外線照射を行うことができる。特に、浮遊微生物が光放射面の近傍に移動した際に、より高い強度の紫外線が照射されることになるため、浮遊微生物に対して効果的な不活化を実現しやすい。
このように、制御部に設定された稼働時間によって、第一の動作期間が定められており、設定された稼働時間の範囲内で、人への紫外線照射量が上限値を超えないよう設定することができる。これにより、人を含む対象空間内へ適切な紫外線量を供給することができる。また稼働時間が経過後は、第二の動作期間に移行することで、人以外の対象物、例えば、対象空間内に存在する物体表面に付着された付着微生物に対して、集中的な紫外線照射が実現できる。
また、ここでの第一の動作期間は、人の往来頻度が高い時間帯に設定することが望ましく、第二の動作期間は、人の往来頻度が低い時間帯に設定することが望ましい。そのように利用場面に応じて、第一の動作期間における稼働時間を適宜設定することができる。
これにより、人社会の活動サイクルに合わせて、人の往来が激しい期間と、人の往来が小さい期間とで、第一の動作期間と第二の動作期間を実行できる。具体的には、次の活動サイクル開始時に、再び第一の動作期間を実行することが可能となり、継続的に環境中の細菌や真菌、ウイルスの不活化を行うことができる。
人社会の活動サイクルは、主に太陽が昇る日中(6時〜15時)の方が、太陽が沈む夜間(18時〜3時)と比較して、活動が活発となり、人の往来が激しくなる。
そこで、活動サイクルに合わせて第一の動作期間と第二の動作期間が時刻制御(タイマ制御)されることで、人社会の活動サイクルに合わせて適切な紫外線照射を実行することができる。例えば、前記第一の動作期間は、5時〜15時の時間帯に設定され、前記第二の動作期間は15時よりも遅い時間帯に設定されていてもよい。
これにより、存在場所が固定された付着微生物に対して、断続的に紫外線を照射することができ、点灯動作が短い時間帯であっても、付着微生物に対して積算照射量を増大させることができる。
また上記制御において、第二の動作期間においては、第一の動作期間よりも、前記光源部から放射される紫外線照度(強度)を高く制御してもよい。これにより、点灯動作が短い時間帯であっても、付着微生物に対して効果的に紫外線を与えることができる。特に、第二の動作期間は、存在を検知する場合に消灯動作を行うため、短い時間帯での不活化効果を高めることは有望である。
また、前記制御部は、前記検知部からの信号に基づき、前記第一の動作期間において、前記検知部で人の存在が検知されない時間が所定の基準時間を超える場合に、前記第一の動作期間を停止させ、第二の動作期間を開始するよう制御してもよい。
このように検知部によって人が存在するかどうかの判定結果に基づき、紫外線を照射する対象空間内における活動時間と非活動時間を判別し、活動時間と判断される場合は第一の動作期間に切り替えを行い、非活動時間と判別される場合は、第二の動作期間に切り替えを行うことができる。
この場合、第一の動作期間のうち、人の存在が検知されない期間において、物体表面に残された付着微生物に対して効果的に紫外線を与えることができ、不活化効果を高めることができる。
これにより、人の往来が激しい場合においても、対象空間中への紫外線照射を実行することができ、エアロゾルや飛沫に存在する細菌やウイルス等の浮遊微生物に対して、効果的に紫外線照射を行うことができる。特に、浮遊微生物が光放射面の近傍に移動した際に、より高い強度の紫外線が照射されることになるため、浮遊微生物に対して効果的な不活化を実現しやすい。
図1は、本実施形態における紫外線照射装置100の外観イメージ図である。
紫外線照射装置100は、人や動物が存在する空間内において紫外線照射を行い、当該空間や当該空間内の物体表面に存在する微生物やウイルスを不活化する装置である。
ここで、上記空間は、例えば、オフィス、商業施設、医療施設、駅施設、学校、役所、劇場、ホテル、飲食店等の施設内の空間や、自動車、電車、バス、タクシー、飛行機、船等の乗物内の空間を含む。なお、上記空間は、病室、会議室、トイレ、エレベータ内などの閉鎖された空間であってもよいし、閉鎖されていない空間であってもよい。
なお、ここでいう「不活化」とは、微生物やウイルスを死滅させる(又は感染力や毒性を失わせる)ことを指すものである。
また、紫外線照射装置100には、人の存在を検知するための検知部31が設けられている。
筐体11内部には、紫外線光源として、エキシマランプ20が収容されている。エキシマランプ20は、例えば中心波長222nmの紫外線を放出するKrClエキシマランプとすることができる。なお、紫外線光源は、KrClエキシマランプに限定されるものではなく、190nm〜235nmの波長範囲にある紫外線を放射する光源であればよい。なお、筐体11と紫外線光源(エキシマランプ20)とで光源部を構成している。
そこで、本実施形態では、紫外線光源として、人体への悪影響が少なく、不活化効果が得られる波長域190nm〜235nmの紫外線を放射し、それ以外のUVCを実質的に放射しない紫外線光源を用いる。また、さらに安全性の高い波長帯域として、波長域200nm〜230nmにピーク波長を有する紫外線光源を用いてもよい。
なお、発光ガスは上記に限定されない。例えば、発光ガスとして臭化クリプトン(KrBr)ガス等を用いることもできる。KrBrエキシマランプの場合、得られる放射光のピーク波長は207nmである。
また、図1では、紫外線照射装置100が複数(3本)の放電容器21を備えているが、放電容器21の数は特に限定されない。
そして、放電容器21は、これら2つの電極22、22に接触しながら跨るように配置されている。具体的には、2つの電極22、23には凹溝が形成されており、放電容器21は、電極22、23の凹溝に嵌め込まれている。
ここで、電極22、23は、エキシマランプ21から放射される光に対して反射性を有する金属部材により構成されていてもよい。この場合、放電容器21から−Z方向に放射された光を反射して+Z方向に進行させることができる。
電源部15は、電源からの電力が供給されるインバータ等の電源部材や、電源部材を冷却するためのヒートシンク等の冷却部材を含む。また、制御部16は、光源部を構成するエキシマランプ20の点灯を制御する。
紫外線照射装置100の制御部16には、第一の動作期間の開始時刻(8:00)と終了時刻(16:00)とが設定されており、制御部16は、第一の動作期間および第二の動作期間をタイマ制御することができる。
また、本実施形態では、制御部16に第一の動作期間の開始時刻と終了時刻とが設定されており、制御部16が第一の動作期間および第二の動作期間をタイマ制御する場合について説明するが、ユーザが任意のタイミングで第一の動作期間の開始を指示してもよい。この場合、制御部16には、第一の動作期間の動作可能な稼働時間(例えば8時間)が設定されており、制御部16は、第一の動作期間が終了した後に、第二の動作期間が開始されるよう制御する。このとき、第一の動作期間で設定される稼働時間は、当該稼働時間よりも長い時間が経過した後に、初期値にリセットされる。
また、第二の動作期間のうち、検知部31で人の存在が検知されない期間における単位時間あたりの紫外線量(紫外線の放射量)は、第一の動作期間のうち、検知部31で人の存在が検知される期間における単位時間あたりの紫外線量よりも大きく設定する。これにより、人を含む空間ではなく、物体表面に付着された細菌やカビ等に対して、効果的に紫外線を照射し、不活化を進めることができる。
第一の実施形態は、紫外線照射装置100が天井に設置される場合を示し、人が往来する可能性のある場所と、光放射面12との離間距離によって、予め動作モードが設定されている。ここでは、点灯動作と消灯動作が交互に行われる間欠点灯動作が行われる場合を示す。表1は、第一の動作期間における点灯動作パターンを示したものである。
なお、この第一の動作期間では人への紫外線照射を想定しているので、第一の動作期間において人に照射される紫外線照射量が、ACGIHの許容限界値(TLV)を超えないように点灯動作パターンを設定することが好ましい。
この図3に示すように、第一の動作期間の開始時刻である時刻t1(8:00)において、紫外線照射装置100の制御部16は、表1の動作モード1−1〜1−4のうち、天井の高さに応じた動作モードを選択し、選択した動作モードの点灯動作パターンを実行する。この第一の動作期間では、人の存在の有無にかかわらず、一定の点灯動作パターンが継続される。
そして、この第二の動作期間における時刻t3において人の存在が検知されると、制御部16は、光源部からの紫外線の放射を停止する。その後、時刻t4において、再び人の存在が検知されなくなると、制御部16は紫外線照射を再開する。つまり、動作モード2の点灯動作パターンが再開される。
また検知部31により人の存在を検知する場合は、光放射面12からの離間距離に応じて、選択された動作モード(1−1)〜(1−4)の点灯動作パターンが実行される。
例えば、光放射面12との離間距離が1.4mの場所を設定基準とした場合、動作モード1−2が選択され、15秒点灯−200秒消灯の点灯動作パターンが実行される。また人の存在が検知できないと判定される場合は、動作モード1−0が選択され、15秒点灯―30秒消灯の点灯動作パターンが実行される。なお、ここでの消灯時間は適宜変更可能であり、例えば、消灯時間が60秒〜15秒の間で設定してもよい。
この図4に示すように、第一の動作期間の開始時刻である時刻t11(8:00)においては、検知部31により人の存在が検知されているため、紫外線照射装置100の制御部16は、表1の動作モード1−1〜1−4のうち、天井の高さに応じた動作モードを選択し、選択した動作モードの点灯動作パターンを実行する。
その後、第一の動作期間における時刻t13において再び人の存在が検知されると、制御部16は、表1の動作モード1−1〜1−4のうち、天井の高さに応じた動作モードを選択し、選択した動作モードの点灯動作パターンを実行する。つまり、人の存在が検知されていない期間(時刻t12〜t13)よりも消灯時間を長くして間欠点灯の点灯デューティ比を小さくする。
なお、時刻t14以降の動作は、図3の時刻t2以降の動作と同様である。
この図5に示すように、第一の動作期間の開始時刻である時刻t21(8:00)においては、検知部31により人の存在が検知されているため、紫外線照射装置100の制御部16は、表1の動作モード1−1〜1−4のうち、天井の高さに応じた動作モードを選択し、選択した動作モードの点灯動作パターンを実行する。
これにより、予め設定された第一の動作期間の終了時刻t24(16:00)よりも早いタイミングで第一の動作期間を終了し、第二の動作期間に移行して光源部から放射される紫外線量を高くすることができる。したがって、不活化効果をより高めることができる。
なお、時刻t24以降の動作は、図3の時刻t2以降の動作と同様である。
またこれに限らず、紫外線照度を可変させることによって、所定の区間に応じて放射される紫外線量を制御するものであってもよい。
また、上記各実施形態においては、光源部による紫外線照射方式が間欠点灯方式である場合について説明したが、光源部による紫外線照射が連続的に行われる連続点灯方式を適用することもできる。この場合、連続点灯の紫外線照度を可変させることで、単位時間あたりの紫外線量を変化させることができる。
Claims (10)
- 波長帯域が190nm〜235nmの紫外線を放射する光放射面を備えた光源部と、
前記光源部の点灯を制御する制御部と、
人の存在を検知する検知部と、を備え、
前記制御部は、
第一の動作期間と、第二の動作期間と、を備えており、
前記第二の動作期間は、前記検知部で人の存在が検知されない場合に、前記光源部から紫外線を放射し、前記検知部で人の存在を検知した場合は、前記紫外線の放射を停止するよう制御する期間であり、
前記第一の動作期間は、当該期間のうち、人の存在が検知される期間における単位時間あたりの紫外線量が、人が往来する可能性のある場所と前記光放射面との離間距離に応じて設定された紫外線量であって、前記第二の動作期間のうち、人の存在が検知されない期間における単位時間あたりの紫外線量よりも小さい紫外線量となるよう制御する期間であることを特徴とすることを特徴とする紫外線照射装置。 - 前記制御部には、前記第一の動作期間の動作可能な稼働時間が設定されており、
前記制御部は、前記第一の動作期間が終了した後に、前記第二の動作期間が開始されるよう制御することを特徴とする請求項1に記載の紫外線照射装置。 - 前記第一の動作期間で設定される稼働時間は、前記稼働時間よりも長い時間が経過した後に、初期値にリセットされることを特徴とする請求項2に記載の紫外線照射装置。
- 前記第一の動作期間は、5時〜15時の時間帯に設定され、前記第二の動作期間は15時よりも遅い時間帯に設定されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の紫外線照射装置。
- 前記第二の動作期間では、前記光源部の点灯動作と前記光源部の消灯動作とを交互に行う間欠点灯動作が行われることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の紫外線照射装置。
- 前記制御部には、前記第一の動作期間の開始時刻と終了時刻が設定されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の紫外線照射装置。
- 前記制御部は、前記検知部からの信号に基づき、
前記第一の動作期間において、前記検知部で人の存在が検知されない時間が所定の基準時間を超える場合に、前記第一の動作期間を停止させ、前記第二の動作期間を開始するよう制御することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の紫外線照射装置。 - 前記検知部は、画像認識部を備え、
前記制御部は、
前記第一の動作期間において、前記画像認識部により人の存在が検知されない時間が所定の基準時間を超える場合に、前記第一の動作期間を停止させ、前記第二の動作期間を開始するよう制御することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の紫外線照射装置。 - 前記第一の動作期間のうち、人の存在が検知されない期間における単位時間あたりの紫外線量は、前記第二の動作期間のうち、人の存在が検知されない期間における単位時間あたりの紫外線量と同等に制御されることを特徴とすることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の紫外線照射装置。
- 波長帯域が190nm〜235nmの紫外線を放射する光放射面を備えた光源部の点灯を制御する紫外線照射方法であって、
人の存在を検知するステップと、
第一の動作期間と第二の動作期間とで、異なる方式で前記光源部の点灯を制御するステップと、を含み、
前記第二の動作期間においては、人の存在が検知されない場合に、前記光源部から紫外線を放射し、人の存在を検知した場合は、紫外線の放射を停止するよう制御し、
前記第一の動作期間においては、当該期間のうち、人の存在が検知される期間における単位時間あたりの紫外線量が、人が往来する可能性のある場所と前記光放射面との離間距離に応じて設定された紫外線量であって、前記第二の動作期間のうち、人の存在が検知されない期間における単位時間あたりの紫外線量よりも小さい紫外線量となるよう制御することを特徴とすることを特徴とする紫外線照射方法。
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