JP6912014B1 - 不活化方法および不活化システム - Google Patents

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Abstract

【課題】不特定の人(あるいは動物)が自由にアクセス可能な空間に配置された物品の表面を介した、有害な微生物やウイルスの感染のリスクを低減する。【解決手段】不活化方法は、物品の表面に対して、微生物および/またはウイルスを不活化する波長範囲の光を放射して、当該表面に存在する微生物および/またはウイルスを不活化する不活化方法であって、物品から第1の距離の範囲内の検知領域に動体が進入したことを検知する進入検知ステップと、検知領域に動体が進入した時点から、第1の距離よりも小さい、物品からの第2の距離の範囲内の照射領域に配置された物品への光の照射を開始する照射ステップと、を含む。【選択図】 図3

Description

本発明は、有害な微生物やウイルスを不活化する不活化方法および不活化システムに関する。
医療施設、学校、役所、劇場、ホテル、飲食店等、頻繁に人が集まったり人が出入りしたりする施設は、バクテリアやカビ等の微生物が繁殖しやすく、またウイルスが蔓延しやすい環境にある。
例えば、有害で感染性の高い微生物やウイルスは、当該ウイルス等に感染した人が施設内の所定の空間を出入りすることにより、当該空間における床や壁等の表面上で増殖したり、当該空間内を浮遊したりする。
特に、ウイルス等に感染した人が施設内に存在する物品(例えば、販売店に陳列されている商品や共用の装置、器具(例えば、エレベータのボタン、スポーツジムのトレーニングマシン)等)の表面に接触した後、その物品を他の人が触ると、物品の表面上に付着しているウイルス等に上記他の人が接触し、感染しうる。その結果、不特定多数の人間に対して、上記物品の表面を介して有害で感染性の高い微生物やウイルスの感染が拡大する事態が生じる。
以上のような状況を改善するために、人(場合によっては動物)が集まったり出入りしたりする施設においては、上記したような有害な微生物(例えば、感染性微生物)を消毒したり、ウイルスを不活化したりする措置が求められる。
上記のような物品の表面については、例えば、作業員によってアルコール等の消毒剤を散布する、消毒剤を染み込ませた布等で拭き取る、あるいは殺菌紫外線を照射する等の除染作業が行われる。また、空間内を浮遊する微生物やウイルス等については、例えば、紫外線照射による殺菌・不活化が行われる。
特許文献1には、扉を有する陳列棚に配置された食品に発光ダイオードから放出される紫外光(UV光)を照射して、当該食品に対する殺菌・不活化処理を行う光照射システムが開示されている。この光照射システムでは、食品にUV光が照射され、当該食品以外にはUV光が照射されないようにUV光の照射位置を決定している。また、この光照射システムでは、陳列棚の扉が開かれたことが検知された場合、発光ダイオードを消灯するようにしている。
特許第6726351号公報
上記特許文献1に記載されているように、UV光を食品等の物品の表面に照射すると、当該表面に付着した微生物やウイルスを殺菌、不活化することが可能である。しかしながら、人が物品表面に接触する際にはUV光の照射を停止しているため、有害で感染性の高い微生物やウイルスに感染している人が物品表面に接触し、続いて他の人が当該表面に接触した場合、その人への感染リスクが高まる。
上記のような施設内に存在する物品の表面へ接触する可能性がある人(場合によっては動物)は、不特定であり、そのうち有害で感染性の高い微生物やウイルスに感染している人(あるいは動物)も通常は特定されない。また、このような特定されない人が上記物品の表面へ接触する回数もタイミングも特定することは難しい。
つまり、不特定人が接触することで付着した物品表面の有害な微生物やウイルスを、他の不特定人が当該表面に触れるまでの間に適切に殺菌、不活化することは困難であった。
そこで、本発明は、不特定の人(あるいは動物)が自由にアクセス可能な空間に配置された物品の表面を介した、有害な微生物やウイルスの感染のリスクを低減することができる不活化方法および不活化システムを提供することを課題としている。
上記課題を解決するために、本発明に係る不活化方法の一態様は、ショーケースに配置されている物品の表面に対して、微生物および/またはウイルスを不活化する波長範囲の光を放射して、当該表面に存在する微生物および/またはウイルスを不活化する不活化方法であって、前記物品から第1の距離の範囲内の検知領域に動体が進入したことを検知する進入検知ステップと、前記検知領域に前記動体が進入した時点から、前記第1の距離よりも小さい、前記物品からの第2の距離の範囲内の照射領域に配置された前記物品への前記光の照射を開始する照射ステップと、を含む。
これにより、光照射対象である物品から第1の距離の範囲内に動体が進入した際に、上記物品の表面に対して光を照射することができる。よって、有害な微生物やウイルスを有する動体が物品へランダムなタイミングで接近し接触したとしても、物品表面に付着した有害な微生物やウイルスを速やかに不活化することができ、その後に当該物品に接触する人などへの感染を抑制することができる。
また、ショーケースに配置された物品に対して光を照射するので、不特定の人が自由に見たり触れたりする物品に対して適切に光照射を行うことができる。
また、上記の不活化方法において、前記動体は、前記検知領域を通過して前記照射領域に配置された前記物品に接近する人または動物であってよい。
この場合、有害な微生物やウイルスに感染している人や動物が物品に近づいた場合に、物品に対する光照射を適切に開始することができる。人や動物が物品に接近することで、物品表面に人や動物の呼気(飛沫)に含まれる有害な微生物やウイルスが付着した場合であっても、これを適切に不活化することができる。
さらに、上記の不活化方法において、前記光は、200nm〜240nmの波長範囲にある紫外線であってよい。
この場合、人や動物の細胞に悪影響の少ない光を用いて効果的に殺菌、不活化を行うことができる。
また、上記の不活化方法は、前記検知領域から前記動体が退出したことを検知する退出検知ステップと、前記検知領域から前記動体が退出したことを契機に、前記光の照射を終了する照射終了ステップと、をさらに含んでいてもよい。
この場合、物品に対して有害な微生物やウイルスが付着しない状況となったことを契機に、物品に対する光照射を終了することができる。これにより、不必要な光照射を抑制することができ、その分、光源の使用寿命を長くすることができる。また、物品に対して光が照射され続けることによる当該物品の劣化(退色、変色など)を抑制することができる。
さらに、上記の不活化方法において、前記照射終了ステップでは、前記検知領域から前記動体が退出した時点からの前記物品への前記光の照射量が、前記物品の表面に存在する微生物および/またはウイルスの不活化に必要な照射量に到達した時点で、前記光の照射を終了してもよい。
この場合、物体表面に付着した有害な微生物やウイルスが適切に不活化されてから光照射を停止することができる。
また、上記の不活化方法は、前記照射領域に前記動体が進入していることを検知する第2の進入検知ステップと、前記照射領域に前記動体が進入している間、前記光の単位照射量を、前記動体が前記検知領域に進入し前記照射領域に進入していない通常照射時と比較して低減する、もしくは、前記光の照射を停止する照射低減ステップと、をさらに含んでいてもよい。
この場合、照射領域に進入した動体への光照射による悪影響を抑制することができる。
さらにまた、上記の不活化方法において、前記照射低減ステップでは、前記光の照度を、前記通常照射時の照度よりも低くしてもよい。
この場合、照射領域に進入した動体に対して高いエネルギー量の光が照射されることを適切に抑制することができる。
また、上記の不活化方法において、前記照射低減ステップでは、前記光の点灯動作と消灯動作とを交互に繰り返し行い、前記光の点灯時間と前記光の消灯時間との総和に対する前記点灯時間の割合である点灯デューティ比を、前記通常照射時の点灯デューティ比よりも低くしてもよい。
この場合、照射領域に進入した動体に対して高いエネルギー量の光が照射されることを適切に抑制することができる。
さらに、上記の不活化方法は、前記動体の高さを検知する高さ検知ステップをさらに含み、前記照射低減ステップでは、前記照射領域に進入している前記動体の高さが規定値以下である場合、前記光の照射を停止してもよい。
この場合、例えば照射領域に進入した動体が子供であるか否かを判定し、子供である場合に光照射を停止することができる。これにより、より安全性を確保することができる。
らに、上記の不活化方法において、記照射ステップでは、開放されているショーケースに配置された前記物品に対して前記光を照射してもよい。この場合、人や動物の細胞に悪影響の少ない光を物品に照射するので、物品に対して照射された光が当該物品等により反射、散乱した反射光や散乱光が、接近した人や動物に照射されうる場合であっても、人や動物の安全を確保しつつ、積極的に物品に対して光照射を行うことができる。
また、本発明に係る不活化システムの一態様は、ショーケースに配置されている物品の表面に対して、微生物および/またはウイルスを不活化する波長範囲の光を放射して、当該表面に存在する微生物および/またはウイルスを不活化する不活化システムであって、微生物および/またはウイルスを不活化する波長範囲の光を放射する光源を備える光照射ユニットと、前記光源による前記光の照射を制御する制御部と、を備える光照射装置と、動体を検知するセンサ部と、を備え、前記制御部は、前記センサ部による検知信号をもとに、前記物品から第1の距離の範囲内の検知領域に動体が進入したことを検知する進入検知部を有し、前記光源を制御して、前記進入検知部により前記検知領域に前記動体が進入したことを検知した時点から、前記第1の距離よりも小さい、前記物品からの第2の距離の範囲内の照射領域に配置された前記物品への前記光の照射を開始する。
これにより、光照射対象である物品から第1の距離の範囲内に動体が進入した際に、上記物品の表面に対して光を照射することができる。よって、有害な微生物やウイルスを有する動体が物品へランダムなタイミングで接近し接触したとしても、物品表面に付着した有害な微生物やウイルスを速やかに不活化することができ、その後に当該物品に接触する人などへの感染を抑制することができる。
また、ショーケースに配置された物品に対して光を照射するので、不特定の人が自由に見たり触れたりする物品に対して適切に光照射を行うことができる。
また、上記の不活化システムにおいて、前記動体は、前記検知領域を通過して前記照射領域に配置された前記物品に接近する人または動物であってよい。
この場合、有害な微生物やウイルスに感染している人や動物が物品に近づいた場合に、物品に対する光照射を適切に開始することができる。人や動物が物品に接近することで、物品表面に人や動物の呼気(飛沫)に含まれる有害な微生物やウイルスが付着した場合であっても、これを適切に不活化することができる。
さらに、上記の不活化システムにおいて、前記光は、200nm〜240nmの波長範囲にある紫外線であってよい。
この場合、人や動物の細胞に悪影響の少ない光を用いて効果的に殺菌、不活化を行うことができる。
また、上記の不活化システムにおいて、前記制御部は、前記センサ部による検知信号をもとに、前記検知領域から前記動体が退出したことを検知する退出検知部をさらに有し、前記退出検知部により前記検知領域から前記動体が退出したことを検知したことを契機に、前記光の照射を終了してもよい。
この場合、物品に対して有害な微生物やウイルスが付着しない状況となったことを契機に、物品に対する光照射を終了することができる。これにより、不必要な光照射を抑制することができ、その分、光源の使用寿命を長くすることができる。また、物品に対して光が照射され続けることによる当該物品の劣化(退色、変色など)を抑制することができる。
さらにまた、上記の不活化システムにおいて、前記制御部は、前記退出検知部により前記検知領域から前記動体が退出したことを検知した時点からの前記物品への前記光の照射量が、前記物品の表面に存在する微生物および/またはウイルスの不活化に必要な照射量に到達した時点で、前記光の照射を終了してもよい。
この場合、物体表面に付着した有害な微生物やウイルスが適切に不活化されてから光照射を停止することができる。
また、上記の不活化システムにおいて、前記制御部は、前記センサ部による検知信号をもとに、前記照射領域に前記動体が進入していることを検知する第2の進入検知部をさらに有し、前記第2の進入検知部により前記照射領域に前記動体が進入していることを検知している間、前記光の単位照射量を、前記動体が前記検知領域に進入し前記照射領域に進入していない通常照射時と比較して低減する、もしくは、前記光の照射を停止してもよい。
この場合、照射領域に進入した動体への光照射による悪影響を抑制することができる。
さらに、上記の不活化システムにおいて、前記制御部は、前記光の照度を、前記通常照射時の照度よりも低くすることで、前記光の単位照射量を通常照射時と比較して低減してもよい。
この場合、照射領域に進入した動体に対して高いエネルギー量の光が照射されることを適切に抑制することができる。
また、上記の不活化システムにおいて、前記制御部は、前記光の点灯動作と消灯動作とを交互に繰り返し行う間欠点灯における、前記光の点灯時間と前記光の消灯時間との総和に対する前記点灯時間の割合である点灯デューティ比を、前記通常照射時の点灯デューティ比よりも低くすることで、前記光の単位照射量を通常照射時と比較して低減してもよい。
この場合、照射領域に進入した動体に対して高いエネルギー量の光が照射されることを適切に抑制することができる。
さらにまた、上記の不活化システムにおいて、前記制御部は、前記センサ部による検知信号をもとに、前記照射領域に進入している前記動体の高さが規定値以下であると判定した場合、前記照射領域に当該動体が進入した時点で前記光の照射を停止してもよい。
この場合、例えば照射領域に進入した動体が子供であるか否かを判定し、子供である場合に光照射を停止することができる。これにより、より安全性を確保することができる。
らに、上記の不活化システムにおいて、前記物品は、開放されているショーケースに配置されていてもよい。この場合、人や動物の細胞に悪影響の少ない光を物品に照射するので、物品に対して照射された光が当該物品等により反射、散乱した反射光や散乱光が、接近した人や動物に照射されうる場合であっても、人や動物の安全を確保しつつ、積極的に物品に対して光照射を行うことができる。
また、上記の不活化システムにおいて、前記光照射ユニットは、前記光源を内部に収容し、前記光源から発せられる光の少なくとも一部を出射する光出射窓を有する筐体を備え、前記光出射窓には、波長237nmよりも長波長側のUV−C波の透過を阻止する光学フィルタが設けられていてもよい。
この場合、人体や動物への悪影響の少ない波長域の光のみを照射することができる。
さらに、上記の不活化システムにおいて、前記光源は、エキシマランプおよびLEDのいずれか一方であってもよい。
エキシマランプおよびLEDは、従来の不活化装置の紫外線光源として利用されてきた低圧水銀ランプと比較して、振動や気圧変化、温度変化の影響を受けにくい。すなわち、振動や気圧変化、温度変化を受けても、放出される光の照度が不安定になりにくい。そのため、エキシマランプやLEDを光源として用いることで、光照射装置が振動や気圧変化、温度変化を受ける環境で使用される場合であっても、安定して光を放出することができ、殺菌、不活化を適切に行うことができる。
また、上記の不活化システムにおいて、前記光源は、中心波長222nmの紫外線を放射してもよい。
この場合、紫外線照射による人体への悪影響を適切に抑制しつつ、微生物やウイルスを効果的に不活化することができる。
さらに、上記の不活化システムにおいて、前記光源はLEDであって、前記LEDは、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)系LED、窒化アルミニウム(AlN)系LEDおよび酸化マグネシウム亜鉛(MgZnO)系LEDのいずれかであってよい。
この場合、振動や気圧変化、温度変化の影響を受けにくいLEDを用いて、例えば人体に悪影響の少ない200nm〜240nmの波長範囲にある紫外線を放射し、適切に微生物やウイルスを不活化することができる。
また、上記の不活化システムにおいて、前記光源はLEDであって、前記光照射ユニットは、前記LEDを冷却する冷却部材を有していてもよい。
この場合、LEDの熱上昇を適切に抑制することができ、LEDから安定した光を放出させることができる。
さらに、上記の不活化システムにおいて、前記光源はエキシマランプであって、前記光照射ユニットは、前記エキシマランプを収容し、導電性の金属からなる筐体を有していてもよい。
この場合、エキシマランプから発生する高周波ノイズが筐体外部へ発信されることを抑制することができる。これにより、筐体外部に設けられた制御システムへの制御指令がエキシマランプからの高周波ノイズの影響を受けることを抑制することができ、当該制御指令の不具合を抑制することができる。
本発明では、不特定の人(あるいは動物)が自由にアクセス可能な空間に配置された物品の表面を介した、有害な微生物やウイルスの感染のリスクを低減し、感染の拡大を抑制することができる。
物品表面を介した感染リスクについての説明図である。 本実施形態における不活化システムの概略構成を示す図である。 人が検知領域に進入した状態を示す図である。 物品表面等による反射光や散乱光を示す図である。 たんぱく質の紫外線吸光スペクトルを示す図である。 人が照射領域に進入した状態を示す図である。 子供が照射領域に進入した状態を示す図である。 子供の検知方法の一例を示す図である。 子供の検知方法の一例を示す図である。 不活化装置の動作を示すフローチャートである。 紫外線照射ユニットの構成例を示す模式図である。 エキシマランプの構成例を示す模式図である。 エキシマランプの別の例を示す模式図である。 エキシマランプの別の例を示す模式図である。 紫外線照射ユニットの別の例を示す模式図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本実施形態では、対象空間内に存在する物品に対して紫外線照射を行い、当該物品表面に存在する微生物やウイルスを不活化する不活化装置(紫外線照射装置)について説明する。
なお、本実施形態における「不活化」とは、微生物やウイルスを死滅させる(又は感染力や毒性を失わせる)ことを指すものである。
ここで、上記対象空間は、紫外線照射の対象となる物品が設置された空間であって、当該物品に不特定の人が自由にアクセス可能な空間である。対象空間は、開放空間(オープンな空間)であってもよいし、扉などにより閉鎖可能な空間であってもよい。
上記対象空間としては、例えば、(1)食品が陳列されているスーパーマーケット、(2)本、雑貨、電化製品等の物販物が陳列されている物販店、(3)図書館、(4)ドアが設けられているオフィス、医療施設、学校、役所、劇場、ホテル、飲食店等の施設、(5)水道が設けられている洗面所、トイレ、(6)スポーツジム、(7)公園、(8)エレベータ、(9)ホテル等に設けられているビュッフェなどの空間がある。
また、紫外線照射の対象となる物品としては、(1)食品、(2)本、雑貨、電化製品等の物販物、(3)図書館で貸し出される図書、(4)ドアのドアノブ、(5)水道の蛇口、(6)スポーツジムの運動用器具、(7)公園の遊具、(8)エレベータのボタン、(9)ビュッフェのトングなどがある。
本実施形態における不活化装置は、人や動物の細胞への悪影響が少ない波長200〜240nmの紫外線を、人が存在しうる対象空間に配置されている物品に対して照射して、当該物品の表面や、当該物品が配置される空間に存在する有害な微生物やウイルスを不活化するものである。
上記のように、本実施形態における不活化装置が紫外線照射を行う対象空間は、不特定の人が自由にアクセス可能な空間である。そのため、有害で感染性の高い微生物やウイルスに感染している人(あるいは動物)が、紫外線照射対象である物品の表面へ接触する回数もタイミングも特定できない。
例えば図1(a)に示すように、陳列棚200に物品210が配置されており、不活化装置100’によって物品210に対して紫外線UVを照射して不活化処理を行う場合、図1(b)に示すように、紫外線照射が終了したタイミングで、有害で感染性の高い微生物やウイルスに感染している人300が物品210に接触すると、図1(c)に示すように、有害なウイルスVなどが物品210の表面に付着してしまう。また、人300の呼気(飛沫)に細菌やウイルスが含まれる場合もあり、不活化装置100’による紫外線照射が行われていないときに人300が物品210に接近することでも、物品210の表面にはウイルスVなどが付着しうる。そして、この図1(c)に示す状態で、他の人が当該物品210に接触すると、その人に細菌やウイルス等が感染してしまうリスクがある。
そこで、本実施形態では、人300が物品210に接近したことを検知した場合、その時点から物品210に対する紫外線照射を開始する。つまり、物品210から第1の距離の範囲内の検知領域に動体が進入したことを検知した場合、その時点から、物品210からの第2の距離(<第1の距離)の範囲内の照射領域に配置された物品210への紫外線照射を開始する。そして、少なくとも人300が検知領域に進入している間は、紫外線照射を継続して行う。
これにより、ランダムなタイミングで人300が物品210に接近または接触したとしても、物品210表面に付着した微生物やウイルスを速やかに不活化することができ、上記の感染のリスクを低減することができる。
図2は、本実施形態における不活化装置100を備える不活化システム1000の構成例である。
以下、対象空間がスーパーマーケットであり、紫外線照射の対象となる物品が食品である場合について説明する。
スーパーマーケットは、不特定の人が食品を選択し、購入するために立ち寄る場所である。また、食品が配置されている陳列棚は、特定の人が出入りする閉空間に設置されるものではなく、不特定の人が自由にアクセスできる場所に設置されている。よって、スーパーマーケット内は、オープンな空間(開放空間)となる。
スーパーマーケット内には、図2に示すように、物品(食品など)210が並べられている陳列棚(ショーケース)200が配置されている。ここでは、陳列棚200は3つの棚を有し、各棚の上部にそれぞれ不活化装置100が設けられているものとする。
不活化装置100は、物品210表面に対して、微生物および/またはウイルスを不活化する波長範囲の光(紫外線)を下方向に放出して、当該不活化装置100の下方に配置されている物品210表面に紫外線を照射する。
不活化装置100は、微生物および/またはウイルスを不活化する波長範囲の光(ここでは、200nm〜240nmの波長範囲にある紫外線)を放射する紫外線光源を備える紫外線照射部110と、紫外線照射部110による光の照射を制御する制御部120と、を備える。上記紫外線光源は、例えば中心波長222nmの紫外線を放射する。
制御部120は、物品210への人の接近を検知し、人の接近を検知したタイミングから紫外線照射部110による物品210への紫外線照射を開始する。
なお、ここでは説明を簡略化するために、一人の人300が物品210に接近する場合について説明する。
不活化装置100は、物品210への人の接近を検知するために、物品210から第1の距離の範囲内の検知領域に人300が進入したことを検知する第1の進入検知部131を少なくとも1つ備える。この検知領域は、人300が物品210(物品210への紫外線の照射領域)に接近するために必ず通過する領域である。
第1の進入検知部131としては、人感センサを用いてもよいし、画像認識手段を用いてもよい。人感センサは、例えば、人体などから発する熱(赤外線)の変化を検知する焦電型赤外線センサとすることができる。また、画像認識手段を用いる場合、例えばカメラ等により撮像された画像を解析して、照射空間内に存在する人を検知することができる。
また、上記第1の距離は、例えば人300が物品210に触れることができる距離、あるいは、人300の呼気(飛沫)が物品210に届く距離であり、例えば1mとすることができる。
なお、第1の進入検知部131は、人300が検知領域に進入したことを検知できればよく、進入を検知する手段は上記に限定されない。
図3に示すように、検知領域に人300が進入すると、第1の進入検知部131は、検知領域に人300が進入したことを検知し、第1の進入検知信号を制御部120に送信する。第1の進入検知信号を受信した制御部120は、紫外線照射部110から物品210に対して紫外線UVを照射する。
このとき紫外線UVが照射される照射領域は、物品210から第2の距離(<第1の距離)の範囲内の領域であり、例えば陳列棚200内の領域とすることができる。
紫外線照射部110から物品210に対して紫外線UVが照射された場合、物品210や物品210が載置された棚の素材や表面状態(例えば、表面の粗さなど)によっては、図4に示すように、物品210に照射された紫外線UVの少なくとも一部が物品210等の照射面にて散乱・反射され、散乱光、反射光となって放出される。この散乱光、反射光の一部は、物品210に近接した人300に照射されうる。
実用上、除染(殺菌)用途に使用される紫外線の波長域は、200〜320nmとされており、特に、微生物やウイルスが保有する核酸(DNA、RNA)の吸収が大きい260nm付近の紫外線を用いることが一般的となっている。しかしながら、このような260nm付近の波長域の紫外線は、人や動物に悪影響を及ぼす。例えば、紅斑や皮膚のDNA損傷による癌の誘発や、目の障害(眼痛・充血・角膜の炎症など)を引き起こす。
そのため、上記のように260nm付近の紫外線を用いて除染(殺菌)する従来の紫外線照射システムでは、人や動物の安全性を考慮し、人や動物が存在しないときに紫外線の照射を行い、照射領域に人が存在する場合は紫外線の放出を停止するように構成される。
したがって、図4に示すような反射光や散乱光を考慮した場合、たとえ照度(強度)が低くても、当該反射光や散乱光が届く領域に人300が存在する場合には、物品210表面に対する紫外線照射は通常停止される。
ところが、その場合、上述したように物品210を介した人から人への感染リスクを適切に低減することができない。
本発明者らは、鋭意研究の結果、波長200〜240nmの波長範囲の光は人や動物に安全であって、微生物の殺菌やウイルスの不活化を行うことが可能であることを見出した。
図5は、たんぱく質の紫外線吸光スペクトルを示す図である。
この図5に示すように、たんぱく質は、波長200nmに吸光ピークを有し、波長240nm以上では紫外線が吸収されにくいことがわかる。つまり、波長240nm以上の紫外線は、人の皮膚を透過しやすく、皮膚内部まで浸透する。そのため、人の皮膚内部の細胞がダメージを受けやすい。これに対して、波長200nm付近の紫外線は、人の皮膚表面(例えば角質層)で吸収され、皮膚内部まで浸透しない。そのため、皮膚に対して安全である。
一方で、波長200nm未満の紫外線は、オゾン(O)を発生し得る。これは、波長200nm未満の紫外線が酸素を含む雰囲気中に照射されると、酸素分子が光分解されて酸素原子を生成し、酸素分子と酸素原子との結合反応によってオゾンが生成されるためである。
したがって、波長200〜240nmの波長範囲は、人や動物に安全な波長範囲であるといえる。なお、人や動物に安全な波長範囲は、好ましくは波長200〜237nm、より好ましくは波長200〜235nm、さらに好ましくは200〜230nmである。
本実施形態における不活化装置100は、上記の人や動物に安全な波長範囲である波長200〜240nmの紫外線を、物品210に対して照射する光として用いる。
例えば207nmの紫外線は、254nmの紫外線と比較して、人に対して1000倍安全であることが知られている(例えば、非特許文献1参照)。このことからも、上記波長範囲の紫外線は、254nmの紫外線と比較して十分に人に対して安全であるといえる。
したがって、図4に示すように、不活化装置100から放射される光の反射光や散乱光が人300に照射されたとしても、人300に悪影響が及ぼされることはない。つまり、反射光や散乱光が届く領域に人300が存在していても、物品210表面に対する紫外線照射を停止する必要はない。
このように、物品210等の表面により反射、散乱される紫外線が開放空間に存在する人300に照射される可能性があったとしても、人300の安全を確保しつつ、積極的に物品210表面に上記紫外線を照射して、当該表面の除染作業を行うことが可能である。
また、物品210への紫外線照射中に、人300が陳列棚200の中に手を挿入した場合、人300の手に不活化装置100から放射される光が直接照射されることになるが、上述したように、不活化装置100から放射される光は人に対して十分に安全な光であり、かつ、人300が陳列棚200の中に手を挿入する時間は短時間であるため、人300に悪影響が及ぼされる可能性は低い。
なお、ACGIH(American Conference of Governmental Industrial Hygienists:米国産業衛生専門家会議)やJIS Z 8812(有害紫外放射の測定方法)によれば、人体への1日(8時間)あたりの紫外線照射量には波長ごとに許容限界値(TLV:Threshold Limit Value)が定められている。
したがって、上述した人に安全とされる波長域の紫外線であっても、1日の紫外線照射量(積算光量)が上記の許容限界値以下となるように紫外線の照度および照射時間を設定することが好ましい。
そこで、紫外線照射量が上記の許容限界値に達してしまうことを回避するために、本実施形態では、図6に示すように、人300が身体の一部を物品210への紫外線UVの照射領域に進入させた場合、不活化装置100がこれを検知し、人300の身体の一部が照射領域に進入している間、通常照射時(人300が照射領域に進入していないときの点灯)と比較して、紫外線の単位照射量を低減するようにしてもよい。
具体的には、不活化装置100は、物品210から第2の距離(<第1の距離)の範囲内の照射領域に人300が進入したことを検知する第2の進入検知部132を備える。第2の進入検知部132としては、エリアセンサを用いてもよいし、画像認識手段を用いてもよい。
エリアセンサは、照射領域の入り口に設けられた、赤外線を投光する投光器とそれを受光する受光器とを有し、投光器から投光された赤外線が受光器により受光されない場合に、人300が照射領域に進入したことを検知する。なお、第2の進入検知部132は、人300が照射領域に進入したことを検知できればよく、進入を検知する手段は上記に限定されない。
第2の進入検知部132は、照射領域に人300が進入したことを検知すると、第2の進入検知信号を制御部120に送信する。第2の進入検知信号を受信した制御部120は、紫外線照射部110から物品210に対して照射する紫外線の単位照射量を低減する。
紫外線の単位照射量を低減する制御は、紫外線照射部110から放射される紫外線の照度を低減する制御、および、紫外線照射部110の点灯デューティ比を低減する制御を含む。ここで、点灯デューティ比とは、紫外線の点灯動作と消灯動作とを交互に繰り返し行う間欠点灯における、紫外線の点灯時間と紫外線の消灯時間との総和に対する点灯時間の割合である。
なお、紫外線の照度を低減する制御において、照度の低減量は、一定量であってもよいし、通常照射時の照度に対する一定の割合であってもよいし、人300が照射領域に進入している時間に応じた量であってもよい。また、点灯デューティ比を低減する制御において、低減後の点灯デューティ比は、固定値であってもよいし、人300が照射領域に進入している時間に応じた値であってもよい。
さらに、不活化装置100は、物品210に接近している人300が子供であるか否かを判定し、大人が照射領域に進入した場合には紫外線の単位照射量を低減(紫外線の照度または点灯デューティ比を低減)し、子供が照射領域に進入した場合には、紫外線照射を停止するようにしてもよい。
図7に示すように、紫外線照射部110は、子供300aの目線よりも高い位置に設置されていることが多く、また、子供300aが興味本位で紫外線照射部110を覗き込んでしまうことも想定される。そのため、図7に示すように、子供300aが照射領域に進入している間は、紫外線照射を停止することが好ましい。
この場合、不活化装置100は、図8に示すように、物品210に接近している動体が子供300aであるか否かを判定するための子供検知部として、近接センサ133を備える。
ここで、近接センサ133は、物品210に接近している動体の高さを検知する。例えば、近接センサは、検知領域の入り口と照射領域の入り口との間で、かつ、照射領域の近傍における上方(例えば天井や陳列棚200の上部)に設置され、当該近接センサ133の設置位置から動体までの距離を検知する。
近接センサ133としては、例えば、赤外LEDなどの赤外線発光素子とフォトダイオードなどの受光素子とを有し、赤外線発光素子から放射され対象物によって反射された赤外線を受光素子により受光することで対象物までの距離を検知する赤外線近接センサを用いることができる。
この場合、近接センサ133は、当該近接センサ133の設置高さと当該近接センサ133から動体までの距離とに基づいて動体の高さを検知し、動体の高さが規定値(例えば120cm)以下である場合に、当該動体が子供であると判定する。
また、物品210に接近している人300が子供であるか否かを判定するための子供検知部は、図8に示す近接センサ133に限定されない。
子供検知部は、例えば図9に示すように、照射領域の近傍(例えば陳列棚200の側面)に異なる高さで設置された複数の近接センサ134a〜134cにより構成することもできる。
この場合、例えば近接センサ134aを床面から所定の高さ(例えば120cm)の位置に設置し、近接センサ134aにより物体を検知しておらず、近接センサ134bおよび134cにより物体を検知している場合、その物体が子供であると判定する。
なお、子供検知部の構成は上記に限定されるものではなく、任意の構成とすることができる。例えば、画像認識手段を用い、カメラ等により撮像された画像を解析して、物品210に接近している人300が子供であるか否かを判定してもよい。
さらに、不活化装置100は、第1の進入検知部131により人300が検知領域から退出したことを検知した場合には、その時点からの物品210への紫外線照射量が、物品210表面の不活化に必要な照射量(必要照射量)に到達した時点で紫外線照射を終了する。
具体的には、不活化装置100は、人300が検知領域から退出した時点でタイマーカウントを開始し、人300が検知領域から退出した時点からの紫外線の照射時間が、物品210への紫外線照射量が必要照射量に到達する時間に到達した時点で紫外線照射を終了する。
ここで、上記必要照射量の照射に必要な時間は、不活化対象の細菌やウイルスの種類に応じて適宜設定することができる。
例えばインフルエンザウイルス(Influenza A, H1N1, A/PR/8/34 ATCC VR-1469)やSARS−CoV−2(COVID-19)の場合、波長222nmの紫外線によってウイルス数を10分の1に減らすために必要な照射量は、1mJ/cmであることが知られている。つまり、0.1mW/cmの紫外線照度で10秒照射することで、ウイルス数を10分の1に減らすことができ、一般的な除菌としては十分となる。なお、高い不活化効果が求められる環境下では、上記の時間よりも照射時間を長く設定する。例えば0.1mW/cmの紫外線照度で30秒照射した場合、ウイルス数を1000分の1に減らすことができる。
なお、タイマーカウントに替えて、例えば、紫外線センサを用いた制御を行うこともできる。この場合、例えば物品210近傍に、紫外線照射部110から照射される紫外線の照度を測定し、測定した紫外線照度と照射時間とに基づいて紫外線照射量を算出する紫外線センサを設置する。そして、人300が検知領域から退出した時点からの紫外線センサにおいて累積された紫外線照射量が必要照射量に到達したことを以って、紫外線照射を終了してもよい。
また、紫外線照射を終了するタイミングは、人300からの汚染物質が物品210に付着しないと判断できる時点からの紫外線照射量が、必要照射量に到達した時点であればよい。
人300が検知領域から退出する際、当該人300は物品210の方を向いていない(例えば、背を向けている)ことが多い。人300が物品210から離れていくときは汚染物質が物品210に付着されないと考えれば、人300が検知領域から退出する時点で物品210表面の不活化が完了していると考えることもできる。したがって、人300が検知領域から退出した時点で物品210への紫外線照射を終了してもよい。
つまり、検知領域から人300が退出したことを契機に、紫外線の照射を終了すればよい。
このように、物品210表面が適切に不活化され、当該物品210表面に人300からの有害な微生物やウイルスが付着しない状況となったら、紫外線照射を停止する。これにより、紫外線が照射され続けることによる物品210の劣化(退色、変色など)を抑制することができる。
なお、上記において、第1の進入検知部131、第2の進入検知部132、近接センサ133および134a〜134cがセンサ部に対応している。
図10は、本実施形態における不活化装置100の動作を示すフローチャートである。
まずステップS1において、制御部120は、第1の進入検知部131からの第1の進入検知信号をもとに、人300が検知領域に進入したか否かを判定する。そして、制御部120は、人300が検知領域に進入していないと判定した場合にはそのまま待機し、人300が検知領域に進入したと判定した場合にはステップS2に移行する。
ステップS2では、制御部120は、紫外線照射量110から照射領域に対する紫外線照射を開始する。これにより、物品210に対して紫外線が照射される。
ステップS3では、制御部120は、第1の進入検知部131からの第1の進入検知信号をもとに、人300が検知領域から退出したか否かを判定する。そして、制御部120は、人300が検知領域から退出していないと判定した場合にはステップS4に移行し、人300が検知領域から退出したと判定した場合にはステップS9に移行する。
ステップS4では、制御部120は、第2の進入検知部132からの第2の進入検知信号をもとに、人300が照射領域に進入したか否かを判定する。そして、制御部120は、人300が照射領域に進入していないと判定した場合にはステップS3に戻り、人300が照射領域に進入したと判定した場合にはステップS5に移行する。
ステップS5では、制御部120は、子供検知部による検知信号をもとに、子供が照射領域に進入したか否かを判定し、照射領域に進入した人が大人であると判定した場合にはステップS6に移行し、照射領域に進入した人が子供であると判定した場合にはステップS7に移行する。
ステップS6では、制御部120は、紫外線照射部110から照射される紫外線の単位照射量を低減し、ステップS8に移行する。
ステップS7では、制御部120は、紫外線照射部110からの紫外線照射を停止し、ステップS8に移行する。
ステップS8では、制御部120は、第2の進入検知部132からの第2の進入検知信号をもとに、人300が照射領域から退出したか否かを判定する。そして、制御部120は、人300が照射領域から退出していないと判定した場合にはそのまま待機し、人300が照射領域から退出したと判定した場合にはステップS2に戻る。
また、ステップS9では、制御部120は、人300が検知領域から退出した時点からの紫外線照射量が必要照射量に到達したか否かを判定する。そして、制御部120は、紫外線照射量が必要照射量に到達していないと判定した場合には、そのまま紫外線照射を継続し、紫外線照射量が必要照射量に到達したと判定した場合には、ステップS10に移行する。
ステップS10では、制御部120は、紫外線照射部110からの照射領域に対する紫外線照射を停止し、ステップS1に戻る。
なお、図10の処理において、ステップS1の処理が進入検知部に対応し、ステップS3の処理が退出検知部に対応し、ステップS4の処理が第2の進入検知部に対応している。
以上説明したように、本実施形態における不活化装置100は、人(動体)300を検知するセンサ部として、検知領域に進入している人300を検知する第1の進入検知部131と、照射領域に進入した人300を検知する第2の進入検知部132と、照射領域に進入した人300が子供であるか否かを判定するための子供検知部(近接センサ133、134a〜134c)と、を備える。そして、不活化装置100は、第1の進入検知部131による検知信号をもとに検知領域に人300が進入したことを検知した場合、その時点から照射領域に配置された物品210への光照射を開始する。ここで、物品210へ照射する光は、200nm〜240nmの波長範囲にある人や動物の細胞に悪影響の少ない紫外線である。
このように、従来の不活化装置のように紫外線が人や人が存在する空間に照射されないように構成するのではなく、紫外線照射対象である物品から所定距離範囲内に人300が進入した際に、上記物品210表面に対して紫外線を照射する。よって、有害な微生物やウイルスを有する人300が物品210へランダムなタイミングで接近し接触したとしても、物品210表面に付着した有害な微生物やウイルスを速やかに不活化することができ、その後に当該物品210に接触する人などへの感染を抑制することができる。
また、不活化処理に用いる光として、人や動物に安全な波長範囲の紫外線を使用するので、開放空間(オープンな空間)に設置される物品210に照射された紫外線の反射光や散乱光が放射され、当該開放空間に存在する人300に照射されたとしても、当該人300の紫外線照射下での安全を確保することが可能となる。
さらに、本実施形態における不活化装置100は、第1の進入検知部131による検知信号をもとに検知領域から人300が退出したことを検知したことを契機に、物品210への光照射を終了する。具体的には、検知領域から人300が退出したことを検知した時点からの物品210への光照射量が、物品210表面に付着した有害な微生物やウイルスの不活化に必要な照射量に到達した時点で、光照射を終了する。
これにより、不必要な光照射を抑制することができ、その分、光源の使用寿命を長くすることができる。また、物品210に対して光が照射され続けることによる当該物品210の劣化(退色、変色など)を抑制することができる。
さらに、本実施形態における不活化装置100は、第2の進入検知部132による検知信号をもとに照射領域に人300が進入していることを検知している間、物品210への光の単位照射量を、通常照射時と比較して低減する。したがって、照射領域に進入した人300に対して高いエネルギー量の光が照射されることを適切に抑制することができる。
また、不活化装置100は、子供検知部による検知信号をもとに、照射領域に進入している人300の高さが規定値以下であり、照射領域に進入している人300が子供300aであると判定した場合には、照射領域に当該子供300aが進入した時点で光照射を停止する。これにより、より安全性を確保することができる。
以上のように、本実施形態では、不特定の人が自由にアクセス可能な空間に配置された物品の表面を介した、有害な微生物やウイルスの感染のリスクを低減することができ、感染の拡大を抑制することができる。
なお、上記実施形態においては、理解を容易にするために、一人の人が紫外線照射対象の物品に接近する場合について説明したが、複数の人が紫外線照射対象の物品に接近することもできる。この場合、複数の人のうち、最初の一人が検知領域に進入した時点で物品への紫外線照射を開始し、最後の一人が検知領域から退出したことを契機に紫外線照射を終了する。
また、上記実施形態においては、人が紫外線照射対象の物品に接近する場合について説明したが、人以外の動体(例えば動物)が接近する場合にも同様である。
以下、不活化装置100の構成例について具体的に説明する。
図11は、上述した不活化装置100の構成例を示す模式図である。
この図11では、主として紫外線照射部110および制御部120に関する部分を示している。以下、紫外線照射部110および制御部120に関する部分を総称して、紫外線照射ユニット10と称する。
紫外線照射ユニット10は、導電性の金属からなる筐体11と、筐体11内部に収容された紫外線光源12と、を備える。
紫外線光源12は、例えば、中心波長222nmの紫外線を放出するKrClエキシマランプとすることができる。なお、紫外線光源12は、KrClエキシマランプに限定されるものではなく、200nm〜240nmの波長範囲にある紫外線を放射する光源であればよい。
また、紫外線照射ユニット10は、エキシマランプ12に給電する給電部16と、エキシマランプ12の照射および非照射や、エキシマランプ12から放出される紫外線の光量等を制御する制御部17と、を備える。なお、制御部17は、上述した制御部120に対応しており、上述した各種機能を有する。
エキシマランプ12は、筐体11内において、支持部18によって支持されている。
筐体11には、光出射窓となる開口部11aが形成されている。この開口部11aには窓部材11bが設けられている。窓部材11bは、例えば石英ガラスからなる紫外線透過部材や、不要な光を遮断する光学フィルタ等を含むことができる。
なお、筐体11内には、複数本のエキシマランプ12を配置することもできる。エキシマランプ12の数は特に限定されない。
上記光学フィルタとしては、例えば、波長域200nm〜237nmの光を透過し、それ以外のUV−C波長域の光(238nm〜280nmの光)をカットする波長選択フィルタを用いることができる。
ここで、波長選択フィルタとしては、例えば、HfO層およびSiO層による誘電体多層膜フィルタを用いることができる。
なお、波長選択フィルタとしては、SiO層およびAl層による誘電体多層膜を有する光学フィルタを用いることもできる。
このように、光出射窓に光学フィルタを設けることで、エキシマランプ12から人に有害な光が放射されている場合であっても、当該光が筐体11の外に漏洩することをより確実に抑えることができる。
以下、紫外線照射ユニット10における紫外線光源として使用されるエキシマランプ12の構成例について具体的に説明する。
図12(a)は、エキシマランプ12の管軸方向における断面の模式図であり、図12(b)は、図12(a)のA−A断面図である。
この図12(a)および図12(b)に示すように、エキシマランプ12は、両端が気密に封止された長尺な直円管状の放電容器13を備える。放電容器13は、例えば、合成石英ガラスや溶融石英ガラスなどの紫外線を透過する光透過性を有する誘電体材料より構成されている。放電容器13の内部には放電空間が形成されており、この放電空間には、紫外線を発生するバリア放電用ガス(以下、「放電ガス」ともいう。)として希ガスとハロゲンガスとが封入されている。本実施形態では、希ガスとしてクリプトン(Kr)、ハロゲンガスとして塩素ガス(Cl)を用いる。
なお、放電ガスとしては、クリプトン(Kr)と臭素(Br)との混合ガスを用いることもできる。この場合、エキシマランプ(KrBrエキシマランプ)は、中心波長207nmの紫外線を放出する。
また、放電容器13内部の放電空間には、第一電極(内部電極)14が配設されている。内部電極14は、例えばタングステンなどの電気導電性および耐熱性を有する金属よりなる金属素線が、放電容器13の内径よりも小さなコイル径によってコイル状に巻回されて形成されてなるコイル状の電極である。この内部電極14は、放電容器13の中心軸(管軸)に沿って伸び、放電容器13の内周面に接触することのないように配設されている。
また、内部電極14の両端の各々には、内部電極用リード部材14aの一端が電気的に接続されている。内部電極用リード部材14aの他端側部分は、各々、放電容器13の外端面から外方に突出している。
放電容器13の外周面には、第二電極(外部電極)15が設けられている。外部電極15は、例えばタングステンなどの電気導電性および耐熱性を有する金属よりなる金属素線から構成される網状の電極である。この外部電極15は、放電容器13の外周面に沿って放電容器13の中心軸方向に伸びるように設けられている。図12(a)および図12(b)に示すエキシマランプ12においては、網状電極である外部電極15は、筒状の外形を有しており、放電容器13の外周面に密接した状態で設けられている。
このような構成により、放電空間内において、内部電極14と外部電極15とが放電容器13の管壁(誘電体材料壁)を介して対向する領域に、放電領域が形成される。
さらに、外部電極15の一端および一方の内部電極用リード部材14aの他端には、各々、給電線16bを介して給電部16(図11参照)が備える高周波電源16aが接続されている。高周波電源16aは、内部電極14と外部電極15との間に高周波電圧を印加することのできる電源である。
また、外部電極15の他端には、リード線16cの一端が電気的に接続されており、このリード線16cの他端は、接地されている。すなわち、外部電極15は、リード線16cを介して接地されている。なお、この図12(a)および図12(b)に示すエキシマランプ12においては、一方の内部電極用リード部材14aは給電線16bと一体のものとされている。
内部電極14と外部電極15との間に高周波電力を印加すると、放電空間において誘電体バリア放電が生じる。この誘電体バリア放電により、放電空間に封入されている放電ガス(バリア放電用ガス)の原子が励起され、励起二量体(エキシプレックス)が生成される。この励起二量体が元の状態(基底状態)に戻るときに、固有の発光(エキシマ発光)が生じる。すなわち、上記放電ガスはエキシマ発光用ガスである。
なお、エキシマランプの構成は、図12(a)および図12(b)に示す構成に限定されるものではない。例えば、図13(a)および図13(b)に示すエキシマランプ12Aのように、二重管構造の放電容器13Aを備える構成であってもよい。
このエキシマランプ12Aが備える放電容器13Aは、円筒状の外側管と、外側管の内側において外側管と同軸上に配置され、当該外側管よりも内径が小さい円筒状の内側管と、を有する。外側管と内側管とは、図13(a)の左右方向の端部において封止されており、両者の間には円環状の内部空間が形成されている。そして、この内部空間内に放電ガスが封入されている。
内側管の内壁面13aには膜状の第一電極(内側電極)14Aが設けられ、外側管の外壁面13bには網状またはメッシュ状の第二電極(外側電極)15Aが設けられている。そして、内側電極14Aおよび外側電極15Aは、それぞれ給電線16bを介して高周波電源16aと電気的に接続されている。
高周波電源16aによって内側電極14Aと外側電極15Aとの間に高周波の交流電圧が印加されることにより、外側管と内側管の管体を介して放電ガスに対して電圧が印加され、放電ガスが封入されている放電空間内で誘電体バリア放電が生じる。これにより放電ガスの原子が励起されて励起二量体が生成され、この原子が基底状態に移行する際にエキシマ発光を生じる。
また、エキシマランプの構成は、例えば、図14(a)および図14(b)に示すエキシマランプ12Bのように、放電容器13Bの一方の側面に一対の電極(第一電極14B、第二電極15B)を配置した構成であってもよい。ここでは、一例として、図14(a)のZ方向に2本の放電容器13Bが並べて配置されているものとする。
図14(a)に示すように、第一電極14Bおよび第二電極15Bは、放電容器13Bにおける光取出し面とは反対側の側面(−X方向の面)に、放電容器13Bの管軸方向(Y方向)に互いに離間して配置されている。
そして、放電容器13Bは、これら2つの電極14B、15Bに接触しながら跨るように配置されている。具体的には、2つの電極14B、15BにはそれぞれY方向に延伸する凹溝が形成されており、放電容器13Bは、電極14B、15Bの凹溝に嵌め込まれている。
第一電極14Bおよび第二電極15Bは、それぞれ給電線16bを介して高周波電源16aと電気的に接続されている。第一電極14Bと第二電極15Bとの間に高周波の交流電圧が印加されることで、放電容器13Bの内部空間において励起二量体が生成され、エキシマ光がエキシマランプ12Bの光取出し面(+X方向の面)から放射される。
ここで、電極14B、15Bは、エキシマランプ12Bから放射される光に対して反射性を有する金属材料により構成されていてもよい。この場合、放電容器13Bから−X方向に放射された光を反射して+X方向に進行させることができる。電極14B、15Bは、例えばアルミニウム(Al)やステンレスなどから構成することができる。
なお、エキシマランプは、上述したように高周波電力が印加されて高周波点灯を行うので、高周波ノイズが発生する。しかしながら、上記のようにエキシマランプを収容する筐体11を導電性の金属によって構成することで、エキシマランプからの高周波ノイズが筐体11外部へ発信されることを抑制することができる。これにより、紫外線照射ユニット10近傍に設置された他の制御システムへの制御指令が、この高周波ノイズによる外乱を受けることを抑制することができ、当該制御指令に不具合が生じないようにすることができる。
上記のように、本実施形態における不活化装置100においては、紫外線光源であるエキシマランプとして、波長222nmにピークを有する紫外線を放出するKrClエキシマランプ、または、波長207nmにピークを有する紫外線を放出するKrBrエキシマランプを用いることが好ましい。
KrClエキシマランプから放出される波長222nmの紫外線や、KrBrエキシマランプから放出される波長207nmの紫外線は、いずれも人や動物に安全であって、微生物の殺菌やウイルスの不活化を行うことができる光である。よって、空間内の殺菌・不活化領域に人や動物が存在していても、紫外線照射による殺菌・不活化作業を行うことができる。
なお、上記実施形態においては、紫外線光源としてエキシマランプを用いる場合について説明したが、紫外線光源としてLEDを用いることもできる。
図15は、紫外線光源としてLED19を用いた紫外線照射ユニット10の一例である。この図15においては、紫外線照射ユニット10は、複数のLED19を備えている。
上記したように、除染(殺菌)用途に使用される紫外線の波長域は、200〜320nmであり、特に効果的な波長は、核酸(DNA、RNA)の吸収が大きい260nm付近である。
よって、紫外線照射ユニット10に搭載される紫外線光源としてのLED19も、波長200〜320nmの紫外線を放出するものが採用される。具体的には、例えば窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)系LED、窒化アルミニウム(AlN)系LED等を採用することができる。AlGaN系LEDは、アルミニウム(Al)の組成を変化させることにより200〜350nmの波長範囲の深紫外域(deep UV:DUV)で発光する。また、AlN系LEDは、ピーク波長210nmの紫外線を放出する。
ここで、AlGaN系LEDとしては、中心波長が200〜237nmの範囲内となるようにAlの組成を調整することが好ましい。上記したように、この波長範囲の紫外線であれば、人や動物に安全であって、微生物の殺菌やウイルスの不活化を適切に行うことが可能である。例えば、Alの組成を調整することで、放出する紫外線の中心波長が222nmであるAlGaN系LEDとすることも可能である。
また、LEDとして酸化マグネシウム亜鉛(MgZnO)系LEDを採用することもできる。MgZnO系LEDは、マグネシウム(Mg)の組成を変化させることにより190〜380nmの波長範囲の深紫外域(deep UV:DUV)で発光する。
ここで、MgZnO系LEDとしては、中心波長が200〜237nmの範囲内となるようにMgの組成を調整することが好ましい。
上記したように、この波長範囲の紫外線であれば、人や動物に安全であって、微生物の殺菌やウイルスの不活化を適切に行うことが可能である。例えば、Mgの組成を調整することで、放出する紫外線の中心波長が222nmであるMgZnO系LEDとすることも可能である。
ここで、上記のような紫外線(特に深紫外域の紫外線)を放出するLEDは、発光効率が数%以下と低く、発熱が大きい。また、LEDの発熱が大きくなると、当該LEDから放出される光の強度が小さくなり、また放出光の波長シフトも発生する。そのため、LEDの熱上昇を抑制するために、図15に示すように、LED19を冷却部材(例えば、熱を放熱する放熱フィン)20に設置することが好ましい。
このとき、図15に示すように、冷却部材20の一部を紫外線照射ユニット10の筐体11から突出させてもよい。この場合、冷却部材20の一部に外気が当たることになり、冷却部材20の放熱が効率良く進み、結果としてLED19の熱上昇を適切に抑制することができる。
なお、上記の中心波長222nmの紫外線を放出するAlGaN系LEDおよびMgZnO系LEDは、中心波長222nmからある程度広がりを有する波長範囲の紫外線を放出し、当該LEDから放出される光には、僅かながら人や動物に安全ではない波長の紫外線も含まれる。そのため、紫外線光源がエキシマランプである場合と同様、波長範囲200〜237nm以外の波長を有するUV−C波長域の光をカットする誘電体多層膜フィルタ(光学フィルタ)を用いることが好ましい。
なお、上記光学フィルタとしては、より好ましくは波長200〜235nm以外の波長を有するUV−C波長域の光をカットするもの、さらに好ましくは200〜230nm以外の波長を有するUV−C波長域の光をカットするものであってもよい。これは光源がエキシマランプの場合でも同様である。
ただし、上記の中心波長210nmの紫外線を放出するAlN−LEDは、上記光学フィルタは不要である。
また、紫外線光源がエキシマランプであっても、LEDであっても、当該紫外線光源の光放射面での照度や紫外線光源から紫外線の被照射面までの距離等によっては、被照射面での人や動物に安全ではない波長の紫外線の照度が許容値以下となる場合がある。したがって、このような場合には、上記光学フィルタを設ける必要はない。
また、上記実施形態においては、微生物および/またはウイルスを不活化する波長範囲の光として、200nm〜240nmの波長範囲にある紫外線を用いる場合について説明したが、上記波長範囲外の紫外線を用いてもよい。また、例えば波長405nmの可視光(青色光)を用いることもできる。この場合、上記実施形態における不活化装置(紫外線照射装置)は、中心波長が405nmである光を放出する光源を備える光照射装置となる。
本発明によれば、光照射対象である物品から第1の距離の範囲内に動体が進入した際に、上記物品の表面に対して紫外光を照射することができる。よって、有害な微生物やウイルスを有する動体が物品へランダムなタイミングで接近し接触したとしても、物品表面に付着した有害な微生物やウイルスを速やかに不活化することができ、その後に当該物品に接触する人などへの感染を抑制することができる。
特に、波長200〜240nmの紫外線を用いることにより、人や動物の皮膚や目に紅斑や角膜炎を起こすことはなく、紫外線本来の殺菌、ウイルスの不活化能力を提供することができる。特に、従来の紫外線光源とは異なり、有人環境で使用できるという特徴を生かし、屋内外の有人環境に設置することで、環境全体を照射することができ、空気と環境内設置部材表面のウイルス抑制・除菌を提供することができる。
このことは、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標3「あらゆる年齢の全ての人々が健康的な生活を確保し、福祉を促進する」に対応し、また、ターゲット3.3「2030年までに、エイズ、結核、マラリア及び顧みられない熱帯病といった伝染病を根絶するとともに、肝炎、水系感染症およびその他の感染症に対処する」に大きく貢献するものである。
10…紫外線照射ユニット、11…筐体、12…エキシマランプ、13…放電容器、14…第一電極、15…第二電極、16…給電部、17…制御部、18…支持部、19…LED、20…冷却部材、100…不活化装置、110…紫外線照射部、120…制御部、131…第1の進入検知部、132…第2の進入検知部、133…近接センサ(子供検知部)、134a〜134c…近接センサ(子供検知部)、200…陳列棚、210…物品、300…人、1000…不活化システム

Claims (26)

  1. ショーケースに配置されている物品の表面に対して、微生物および/またはウイルスを不活化する波長範囲の光を放射して、当該表面に存在する微生物および/またはウイルスを不活化する不活化方法であって、
    前記物品から第1の距離の範囲内の検知領域に動体が進入したことを検知する進入検知ステップと、
    前記検知領域に前記動体が進入した時点から、前記第1の距離よりも小さい、前記物品からの第2の距離の範囲内の照射領域に配置された前記物品への前記光の照射を開始する照射ステップと、を含むことを特徴とする不活化方法。
  2. 前記動体は、前記検知領域を通過して前記照射領域に配置された前記物品に接近する人または動物であることを特徴とする請求項1に記載の不活化方法。
  3. 前記光は、200nm〜240nmの波長範囲にある紫外線であることを特徴とする請求項1または2に記載の不活化方法。
  4. 前記検知領域から前記動体が退出したことを検知する退出検知ステップと、
    前記検知領域から前記動体が退出したことを契機に、前記光の照射を終了する照射終了ステップと、をさらに含むことを特徴とする請求項1または2に記載の不活化方法。
  5. 前記照射終了ステップでは、
    前記検知領域から前記動体が退出した時点からの前記物品への前記光の照射量が、前記物品の表面に存在する微生物および/またはウイルスの不活化に必要な照射量に到達した時点で、前記光の照射を終了することを特徴とする請求項4に記載の不活化方法。
  6. 前記照射領域に前記動体が進入していることを検知する第2の進入検知ステップと、
    前記照射領域に前記動体が進入している間、前記光の単位照射量を、前記動体が前記検知領域に進入し前記照射領域に進入していない通常照射時と比較して低減する、もしくは、前記光の照射を停止する照射低減ステップと、をさらに含むことを特徴とする請求項1または2に記載の不活化方法。
  7. 前記照射低減ステップでは、
    前記光の照度を、前記通常照射時の照度よりも低くすることを特徴とする請求項6に記載の不活化方法。
  8. 前記照射低減ステップでは、
    前記光の点灯動作と消灯動作とを交互に繰り返し行い、
    前記光の点灯時間と前記光の消灯時間との総和に対する前記点灯時間の割合である点灯デューティ比を、前記通常照射時の点灯デューティ比よりも低くすることを特徴とする請求項6に記載の不活化方法。
  9. 前記動体の高さを検知する高さ検知ステップをさらに含み、
    前記照射低減ステップでは、
    前記照射領域に進入している前記動体の高さが規定値以下である場合、前記光の照射を停止することを特徴とする請求項6に記載の不活化方法。
  10. 前記照射ステップでは、開放されているショーケースに配置された前記物品に対して前記光を照射することを特徴とする請求項1または2に記載の不活化方法。
  11. ショーケースに配置されている物品の表面に対して、微生物および/またはウイルスを不活化する波長範囲の光を放射して、当該表面に存在する微生物および/またはウイルスを不活化する不活化システムであって、
    微生物および/またはウイルスを不活化する波長範囲の光を放射する光源を備える光照射ユニットと、前記光源による前記光の照射を制御する制御部と、を備える光照射装置と、
    動体を検知するセンサ部と、を備え、
    前記制御部は、
    前記センサ部による検知信号をもとに、前記物品から第1の距離の範囲内の検知領域に動体が進入したことを検知する進入検知部を有し、
    前記光源を制御して、前記進入検知部により前記検知領域に前記動体が進入したことを検知した時点から、前記第1の距離よりも小さい、前記物品からの第2の距離の範囲内の照射領域に配置された前記物品への前記光の照射を開始することを特徴とする不活化シスム。
  12. 前記動体は、前記検知領域を通過して前記照射領域に配置された前記物品に接近する人または動物であることを特徴とする請求項11に記載の不活化システム。
  13. 前記光は、200nm〜240nmの波長範囲にある紫外線であることを特徴とする請求項11または12に記載の不活化システム。
  14. 前記制御部は、
    前記センサ部による検知信号をもとに、前記検知領域から前記動体が退出したことを検知する退出検知部をさらに有し、
    前記退出検知部により前記検知領域から前記動体が退出したことを検知したことを契機に、前記光の照射を終了することを特徴とする請求項11または12に記載の不活化システム。
  15. 前記制御部は、
    前記退出検知部により前記検知領域から前記動体が退出したことを検知した時点からの前記物品への前記光の照射量が、前記物品の表面に存在する微生物および/またはウイルスの不活化に必要な照射量に到達した時点で、前記光の照射を終了することを特徴とする請求項14に記載の不活化システム。
  16. 前記制御部は、
    前記センサ部による検知信号をもとに、前記照射領域に前記動体が進入していることを検知する第2の進入検知部をさらに有し、
    前記第2の進入検知部により前記照射領域に前記動体が進入していることを検知している間、前記光の単位照射量を、前記動体が前記検知領域に進入し前記照射領域に進入していない通常照射時と比較して低減する、もしくは、前記光の照射を停止することを特徴とする請求項11または12に記載の不活化システム。
  17. 前記制御部は、
    前記光の照度を、前記通常照射時の照度よりも低くすることで、前記光の単位照射量を通常照射時と比較して低減することを特徴とする請求項16に記載の不活化システム。
  18. 前記制御部は、
    前記光の点灯動作と消灯動作とを交互に繰り返し行う間欠点灯における、前記光の点灯時間と前記光の消灯時間との総和に対する前記点灯時間の割合である点灯デューティ比を、前記通常照射時の点灯デューティ比よりも低くすることで、前記光の単位照射量を通常照射時と比較して低減することを特徴とする請求項16に記載の不活化システム。
  19. 前記制御部は、
    前記センサ部による検知信号をもとに、前記照射領域に進入している前記動体の高さが規定値以下であると判定した場合、前記照射領域に当該動体が進入した時点で前記光の照射を停止することを特徴とする請求項16に記載の不活化システム。
  20. 記物品は、開放されているショーケースに配置されていることを特徴とする請求項11または12に記載の不活化システム。
  21. 前記光照射ユニットは、前記光源を内部に収容し、前記光源から発せられる光の少なくとも一部を出射する光出射窓を有する筐体を備え、
    前記光出射窓には、波長237nmよりも長波長側のUV?C波の透過を阻止する光学フィルタが設けられていることを特徴とする請求項11または12に記載の不活化システム。
  22. 前記光源は、エキシマランプおよびLEDのいずれか一方であることを特徴とする請求項11または12に記載の不活化システム。
  23. 前記光源は、中心波長222nmの紫外線を放射することを特徴とする請求項11または12に記載の不活化システム。
  24. 前記光源はLEDであって、
    前記LEDは、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)系LED、窒化アルミニウム(AlN)系LEDおよび酸化マグネシウム亜鉛(MgZnO)系LEDのいずれかであることを特徴とする請求項11または12に記載の不活化システム。
  25. 前記光源はLEDであって、
    前記光照射ユニットは、前記LEDを冷却する冷却部材を有することを特徴とする請求項11または12に記載の不活化システム。
  26. 前記光源はエキシマランプであって、
    前記光照射ユニットは、前記エキシマランプを収容し、導電性の金属からなる筐体を有することを特徴とする請求項11または12に記載の不活化システム。
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