JP6912014B1 - 不活化方法および不活化システム - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、有害で感染性の高い微生物やウイルスは、当該ウイルス等に感染した人が施設内の所定の空間を出入りすることにより、当該空間における床や壁等の表面上で増殖したり、当該空間内を浮遊したりする。
上記のような物品の表面については、例えば、作業員によってアルコール等の消毒剤を散布する、消毒剤を染み込ませた布等で拭き取る、あるいは殺菌紫外線を照射する等の除染作業が行われる。また、空間内を浮遊する微生物やウイルス等については、例えば、紫外線照射による殺菌・不活化が行われる。
つまり、不特定人が接触することで付着した物品表面の有害な微生物やウイルスを、他の不特定人が当該表面に触れるまでの間に適切に殺菌、不活化することは困難であった。
また、ショーケースに配置された物品に対して光を照射するので、不特定の人が自由に見たり触れたりする物品に対して適切に光照射を行うことができる。
この場合、有害な微生物やウイルスに感染している人や動物が物品に近づいた場合に、物品に対する光照射を適切に開始することができる。人や動物が物品に接近することで、物品表面に人や動物の呼気(飛沫)に含まれる有害な微生物やウイルスが付着した場合であっても、これを適切に不活化することができる。
この場合、人や動物の細胞に悪影響の少ない光を用いて効果的に殺菌、不活化を行うことができる。
この場合、物品に対して有害な微生物やウイルスが付着しない状況となったことを契機に、物品に対する光照射を終了することができる。これにより、不必要な光照射を抑制することができ、その分、光源の使用寿命を長くすることができる。また、物品に対して光が照射され続けることによる当該物品の劣化(退色、変色など)を抑制することができる。
この場合、物体表面に付着した有害な微生物やウイルスが適切に不活化されてから光照射を停止することができる。
この場合、照射領域に進入した動体への光照射による悪影響を抑制することができる。
この場合、照射領域に進入した動体に対して高いエネルギー量の光が照射されることを適切に抑制することができる。
この場合、照射領域に進入した動体に対して高いエネルギー量の光が照射されることを適切に抑制することができる。
この場合、例えば照射領域に進入した動体が子供であるか否かを判定し、子供である場合に光照射を停止することができる。これにより、より安全性を確保することができる。
また、ショーケースに配置された物品に対して光を照射するので、不特定の人が自由に見たり触れたりする物品に対して適切に光照射を行うことができる。
この場合、有害な微生物やウイルスに感染している人や動物が物品に近づいた場合に、物品に対する光照射を適切に開始することができる。人や動物が物品に接近することで、物品表面に人や動物の呼気(飛沫)に含まれる有害な微生物やウイルスが付着した場合であっても、これを適切に不活化することができる。
この場合、人や動物の細胞に悪影響の少ない光を用いて効果的に殺菌、不活化を行うことができる。
この場合、物品に対して有害な微生物やウイルスが付着しない状況となったことを契機に、物品に対する光照射を終了することができる。これにより、不必要な光照射を抑制することができ、その分、光源の使用寿命を長くすることができる。また、物品に対して光が照射され続けることによる当該物品の劣化(退色、変色など)を抑制することができる。
この場合、物体表面に付着した有害な微生物やウイルスが適切に不活化されてから光照射を停止することができる。
この場合、照射領域に進入した動体への光照射による悪影響を抑制することができる。
この場合、照射領域に進入した動体に対して高いエネルギー量の光が照射されることを適切に抑制することができる。
この場合、照射領域に進入した動体に対して高いエネルギー量の光が照射されることを適切に抑制することができる。
この場合、例えば照射領域に進入した動体が子供であるか否かを判定し、子供である場合に光照射を停止することができる。これにより、より安全性を確保することができる。
この場合、人体や動物への悪影響の少ない波長域の光のみを照射することができる。
エキシマランプおよびLEDは、従来の不活化装置の紫外線光源として利用されてきた低圧水銀ランプと比較して、振動や気圧変化、温度変化の影響を受けにくい。すなわち、振動や気圧変化、温度変化を受けても、放出される光の照度が不安定になりにくい。そのため、エキシマランプやLEDを光源として用いることで、光照射装置が振動や気圧変化、温度変化を受ける環境で使用される場合であっても、安定して光を放出することができ、殺菌、不活化を適切に行うことができる。
この場合、紫外線照射による人体への悪影響を適切に抑制しつつ、微生物やウイルスを効果的に不活化することができる。
この場合、振動や気圧変化、温度変化の影響を受けにくいLEDを用いて、例えば人体に悪影響の少ない200nm〜240nmの波長範囲にある紫外線を放射し、適切に微生物やウイルスを不活化することができる。
この場合、LEDの熱上昇を適切に抑制することができ、LEDから安定した光を放出させることができる。
この場合、エキシマランプから発生する高周波ノイズが筐体外部へ発信されることを抑制することができる。これにより、筐体外部に設けられた制御システムへの制御指令がエキシマランプからの高周波ノイズの影響を受けることを抑制することができ、当該制御指令の不具合を抑制することができる。
本実施形態では、対象空間内に存在する物品に対して紫外線照射を行い、当該物品表面に存在する微生物やウイルスを不活化する不活化装置(紫外線照射装置)について説明する。
なお、本実施形態における「不活化」とは、微生物やウイルスを死滅させる(又は感染力や毒性を失わせる)ことを指すものである。
上記対象空間としては、例えば、(1)食品が陳列されているスーパーマーケット、(2)本、雑貨、電化製品等の物販物が陳列されている物販店、(3)図書館、(4)ドアが設けられているオフィス、医療施設、学校、役所、劇場、ホテル、飲食店等の施設、(5)水道が設けられている洗面所、トイレ、(6)スポーツジム、(7)公園、(8)エレベータ、(9)ホテル等に設けられているビュッフェなどの空間がある。
例えば図1(a)に示すように、陳列棚200に物品210が配置されており、不活化装置100’によって物品210に対して紫外線UVを照射して不活化処理を行う場合、図1(b)に示すように、紫外線照射が終了したタイミングで、有害で感染性の高い微生物やウイルスに感染している人300が物品210に接触すると、図1(c)に示すように、有害なウイルスVなどが物品210の表面に付着してしまう。また、人300の呼気(飛沫)に細菌やウイルスが含まれる場合もあり、不活化装置100’による紫外線照射が行われていないときに人300が物品210に接近することでも、物品210の表面にはウイルスVなどが付着しうる。そして、この図1(c)に示す状態で、他の人が当該物品210に接触すると、その人に細菌やウイルス等が感染してしまうリスクがある。
これにより、ランダムなタイミングで人300が物品210に接近または接触したとしても、物品210表面に付着した微生物やウイルスを速やかに不活化することができ、上記の感染のリスクを低減することができる。
以下、対象空間がスーパーマーケットであり、紫外線照射の対象となる物品が食品である場合について説明する。
スーパーマーケットは、不特定の人が食品を選択し、購入するために立ち寄る場所である。また、食品が配置されている陳列棚は、特定の人が出入りする閉空間に設置されるものではなく、不特定の人が自由にアクセスできる場所に設置されている。よって、スーパーマーケット内は、オープンな空間(開放空間)となる。
不活化装置100は、物品210表面に対して、微生物および/またはウイルスを不活化する波長範囲の光(紫外線)を下方向に放出して、当該不活化装置100の下方に配置されている物品210表面に紫外線を照射する。
制御部120は、物品210への人の接近を検知し、人の接近を検知したタイミングから紫外線照射部110による物品210への紫外線照射を開始する。
なお、ここでは説明を簡略化するために、一人の人300が物品210に接近する場合について説明する。
第1の進入検知部131としては、人感センサを用いてもよいし、画像認識手段を用いてもよい。人感センサは、例えば、人体などから発する熱(赤外線)の変化を検知する焦電型赤外線センサとすることができる。また、画像認識手段を用いる場合、例えばカメラ等により撮像された画像を解析して、照射空間内に存在する人を検知することができる。
また、上記第1の距離は、例えば人300が物品210に触れることができる距離、あるいは、人300の呼気(飛沫)が物品210に届く距離であり、例えば1mとすることができる。
なお、第1の進入検知部131は、人300が検知領域に進入したことを検知できればよく、進入を検知する手段は上記に限定されない。
このとき紫外線UVが照射される照射領域は、物品210から第2の距離(<第1の距離)の範囲内の領域であり、例えば陳列棚200内の領域とすることができる。
したがって、図4に示すような反射光や散乱光を考慮した場合、たとえ照度(強度)が低くても、当該反射光や散乱光が届く領域に人300が存在する場合には、物品210表面に対する紫外線照射は通常停止される。
ところが、その場合、上述したように物品210を介した人から人への感染リスクを適切に低減することができない。
この図5に示すように、たんぱく質は、波長200nmに吸光ピークを有し、波長240nm以上では紫外線が吸収されにくいことがわかる。つまり、波長240nm以上の紫外線は、人の皮膚を透過しやすく、皮膚内部まで浸透する。そのため、人の皮膚内部の細胞がダメージを受けやすい。これに対して、波長200nm付近の紫外線は、人の皮膚表面(例えば角質層)で吸収され、皮膚内部まで浸透しない。そのため、皮膚に対して安全である。
一方で、波長200nm未満の紫外線は、オゾン(O3)を発生し得る。これは、波長200nm未満の紫外線が酸素を含む雰囲気中に照射されると、酸素分子が光分解されて酸素原子を生成し、酸素分子と酸素原子との結合反応によってオゾンが生成されるためである。
例えば207nmの紫外線は、254nmの紫外線と比較して、人に対して1000倍安全であることが知られている(例えば、非特許文献1参照)。このことからも、上記波長範囲の紫外線は、254nmの紫外線と比較して十分に人に対して安全であるといえる。
したがって、図4に示すように、不活化装置100から放射される光の反射光や散乱光が人300に照射されたとしても、人300に悪影響が及ぼされることはない。つまり、反射光や散乱光が届く領域に人300が存在していても、物品210表面に対する紫外線照射を停止する必要はない。
このように、物品210等の表面により反射、散乱される紫外線が開放空間に存在する人300に照射される可能性があったとしても、人300の安全を確保しつつ、積極的に物品210表面に上記紫外線を照射して、当該表面の除染作業を行うことが可能である。
したがって、上述した人に安全とされる波長域の紫外線であっても、1日の紫外線照射量(積算光量)が上記の許容限界値以下となるように紫外線の照度および照射時間を設定することが好ましい。
具体的には、不活化装置100は、物品210から第2の距離(<第1の距離)の範囲内の照射領域に人300が進入したことを検知する第2の進入検知部132を備える。第2の進入検知部132としては、エリアセンサを用いてもよいし、画像認識手段を用いてもよい。
エリアセンサは、照射領域の入り口に設けられた、赤外線を投光する投光器とそれを受光する受光器とを有し、投光器から投光された赤外線が受光器により受光されない場合に、人300が照射領域に進入したことを検知する。なお、第2の進入検知部132は、人300が照射領域に進入したことを検知できればよく、進入を検知する手段は上記に限定されない。
紫外線の単位照射量を低減する制御は、紫外線照射部110から放射される紫外線の照度を低減する制御、および、紫外線照射部110の点灯デューティ比を低減する制御を含む。ここで、点灯デューティ比とは、紫外線の点灯動作と消灯動作とを交互に繰り返し行う間欠点灯における、紫外線の点灯時間と紫外線の消灯時間との総和に対する点灯時間の割合である。
図7に示すように、紫外線照射部110は、子供300aの目線よりも高い位置に設置されていることが多く、また、子供300aが興味本位で紫外線照射部110を覗き込んでしまうことも想定される。そのため、図7に示すように、子供300aが照射領域に進入している間は、紫外線照射を停止することが好ましい。
ここで、近接センサ133は、物品210に接近している動体の高さを検知する。例えば、近接センサは、検知領域の入り口と照射領域の入り口との間で、かつ、照射領域の近傍における上方(例えば天井や陳列棚200の上部)に設置され、当該近接センサ133の設置位置から動体までの距離を検知する。
この場合、近接センサ133は、当該近接センサ133の設置高さと当該近接センサ133から動体までの距離とに基づいて動体の高さを検知し、動体の高さが規定値(例えば120cm)以下である場合に、当該動体が子供であると判定する。
子供検知部は、例えば図9に示すように、照射領域の近傍(例えば陳列棚200の側面)に異なる高さで設置された複数の近接センサ134a〜134cにより構成することもできる。
この場合、例えば近接センサ134aを床面から所定の高さ(例えば120cm)の位置に設置し、近接センサ134aにより物体を検知しておらず、近接センサ134bおよび134cにより物体を検知している場合、その物体が子供であると判定する。
なお、子供検知部の構成は上記に限定されるものではなく、任意の構成とすることができる。例えば、画像認識手段を用い、カメラ等により撮像された画像を解析して、物品210に接近している人300が子供であるか否かを判定してもよい。
具体的には、不活化装置100は、人300が検知領域から退出した時点でタイマーカウントを開始し、人300が検知領域から退出した時点からの紫外線の照射時間が、物品210への紫外線照射量が必要照射量に到達する時間に到達した時点で紫外線照射を終了する。
例えばインフルエンザウイルス(Influenza A, H1N1, A/PR/8/34 ATCC VR-1469)やSARS−CoV−2(COVID-19)の場合、波長222nmの紫外線によってウイルス数を10分の1に減らすために必要な照射量は、1mJ/cm2であることが知られている。つまり、0.1mW/cm2の紫外線照度で10秒照射することで、ウイルス数を10分の1に減らすことができ、一般的な除菌としては十分となる。なお、高い不活化効果が求められる環境下では、上記の時間よりも照射時間を長く設定する。例えば0.1mW/cm2の紫外線照度で30秒照射した場合、ウイルス数を1000分の1に減らすことができる。
人300が検知領域から退出する際、当該人300は物品210の方を向いていない(例えば、背を向けている)ことが多い。人300が物品210から離れていくときは汚染物質が物品210に付着されないと考えれば、人300が検知領域から退出する時点で物品210表面の不活化が完了していると考えることもできる。したがって、人300が検知領域から退出した時点で物品210への紫外線照射を終了してもよい。
つまり、検知領域から人300が退出したことを契機に、紫外線の照射を終了すればよい。
なお、上記において、第1の進入検知部131、第2の進入検知部132、近接センサ133および134a〜134cがセンサ部に対応している。
まずステップS1において、制御部120は、第1の進入検知部131からの第1の進入検知信号をもとに、人300が検知領域に進入したか否かを判定する。そして、制御部120は、人300が検知領域に進入していないと判定した場合にはそのまま待機し、人300が検知領域に進入したと判定した場合にはステップS2に移行する。
ステップS2では、制御部120は、紫外線照射量110から照射領域に対する紫外線照射を開始する。これにより、物品210に対して紫外線が照射される。
ステップS4では、制御部120は、第2の進入検知部132からの第2の進入検知信号をもとに、人300が照射領域に進入したか否かを判定する。そして、制御部120は、人300が照射領域に進入していないと判定した場合にはステップS3に戻り、人300が照射領域に進入したと判定した場合にはステップS5に移行する。
ステップS6では、制御部120は、紫外線照射部110から照射される紫外線の単位照射量を低減し、ステップS8に移行する。
ステップS7では、制御部120は、紫外線照射部110からの紫外線照射を停止し、ステップS8に移行する。
ステップS10では、制御部120は、紫外線照射部110からの照射領域に対する紫外線照射を停止し、ステップS1に戻る。
これにより、不必要な光照射を抑制することができ、その分、光源の使用寿命を長くすることができる。また、物品210に対して光が照射され続けることによる当該物品210の劣化(退色、変色など)を抑制することができる。
また、不活化装置100は、子供検知部による検知信号をもとに、照射領域に進入している人300の高さが規定値以下であり、照射領域に進入している人300が子供300aであると判定した場合には、照射領域に当該子供300aが進入した時点で光照射を停止する。これにより、より安全性を確保することができる。
また、上記実施形態においては、人が紫外線照射対象の物品に接近する場合について説明したが、人以外の動体(例えば動物)が接近する場合にも同様である。
図11は、上述した不活化装置100の構成例を示す模式図である。
この図11では、主として紫外線照射部110および制御部120に関する部分を示している。以下、紫外線照射部110および制御部120に関する部分を総称して、紫外線照射ユニット10と称する。
紫外線照射ユニット10は、導電性の金属からなる筐体11と、筐体11内部に収容された紫外線光源12と、を備える。
紫外線光源12は、例えば、中心波長222nmの紫外線を放出するKrClエキシマランプとすることができる。なお、紫外線光源12は、KrClエキシマランプに限定されるものではなく、200nm〜240nmの波長範囲にある紫外線を放射する光源であればよい。
エキシマランプ12は、筐体11内において、支持部18によって支持されている。
筐体11には、光出射窓となる開口部11aが形成されている。この開口部11aには窓部材11bが設けられている。窓部材11bは、例えば石英ガラスからなる紫外線透過部材や、不要な光を遮断する光学フィルタ等を含むことができる。
なお、筐体11内には、複数本のエキシマランプ12を配置することもできる。エキシマランプ12の数は特に限定されない。
ここで、波長選択フィルタとしては、例えば、HfO2層およびSiO2層による誘電体多層膜フィルタを用いることができる。
なお、波長選択フィルタとしては、SiO2層およびAl2O3層による誘電体多層膜を有する光学フィルタを用いることもできる。
このように、光出射窓に光学フィルタを設けることで、エキシマランプ12から人に有害な光が放射されている場合であっても、当該光が筐体11の外に漏洩することをより確実に抑えることができる。
図12(a)は、エキシマランプ12の管軸方向における断面の模式図であり、図12(b)は、図12(a)のA−A断面図である。
この図12(a)および図12(b)に示すように、エキシマランプ12は、両端が気密に封止された長尺な直円管状の放電容器13を備える。放電容器13は、例えば、合成石英ガラスや溶融石英ガラスなどの紫外線を透過する光透過性を有する誘電体材料より構成されている。放電容器13の内部には放電空間が形成されており、この放電空間には、紫外線を発生するバリア放電用ガス(以下、「放電ガス」ともいう。)として希ガスとハロゲンガスとが封入されている。本実施形態では、希ガスとしてクリプトン(Kr)、ハロゲンガスとして塩素ガス(Cl2)を用いる。
なお、放電ガスとしては、クリプトン(Kr)と臭素(Br2)との混合ガスを用いることもできる。この場合、エキシマランプ(KrBrエキシマランプ)は、中心波長207nmの紫外線を放出する。
また、内部電極14の両端の各々には、内部電極用リード部材14aの一端が電気的に接続されている。内部電極用リード部材14aの他端側部分は、各々、放電容器13の外端面から外方に突出している。
このような構成により、放電空間内において、内部電極14と外部電極15とが放電容器13の管壁(誘電体材料壁)を介して対向する領域に、放電領域が形成される。
また、外部電極15の他端には、リード線16cの一端が電気的に接続されており、このリード線16cの他端は、接地されている。すなわち、外部電極15は、リード線16cを介して接地されている。なお、この図12(a)および図12(b)に示すエキシマランプ12においては、一方の内部電極用リード部材14aは給電線16bと一体のものとされている。
このエキシマランプ12Aが備える放電容器13Aは、円筒状の外側管と、外側管の内側において外側管と同軸上に配置され、当該外側管よりも内径が小さい円筒状の内側管と、を有する。外側管と内側管とは、図13(a)の左右方向の端部において封止されており、両者の間には円環状の内部空間が形成されている。そして、この内部空間内に放電ガスが封入されている。
図14(a)に示すように、第一電極14Bおよび第二電極15Bは、放電容器13Bにおける光取出し面とは反対側の側面(−X方向の面)に、放電容器13Bの管軸方向(Y方向)に互いに離間して配置されている。
そして、放電容器13Bは、これら2つの電極14B、15Bに接触しながら跨るように配置されている。具体的には、2つの電極14B、15BにはそれぞれY方向に延伸する凹溝が形成されており、放電容器13Bは、電極14B、15Bの凹溝に嵌め込まれている。
ここで、電極14B、15Bは、エキシマランプ12Bから放射される光に対して反射性を有する金属材料により構成されていてもよい。この場合、放電容器13Bから−X方向に放射された光を反射して+X方向に進行させることができる。電極14B、15Bは、例えばアルミニウム(Al)やステンレスなどから構成することができる。
KrClエキシマランプから放出される波長222nmの紫外線や、KrBrエキシマランプから放出される波長207nmの紫外線は、いずれも人や動物に安全であって、微生物の殺菌やウイルスの不活化を行うことができる光である。よって、空間内の殺菌・不活化領域に人や動物が存在していても、紫外線照射による殺菌・不活化作業を行うことができる。
図15は、紫外線光源としてLED19を用いた紫外線照射ユニット10の一例である。この図15においては、紫外線照射ユニット10は、複数のLED19を備えている。
よって、紫外線照射ユニット10に搭載される紫外線光源としてのLED19も、波長200〜320nmの紫外線を放出するものが採用される。具体的には、例えば窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)系LED、窒化アルミニウム(AlN)系LED等を採用することができる。AlGaN系LEDは、アルミニウム(Al)の組成を変化させることにより200〜350nmの波長範囲の深紫外域(deep UV:DUV)で発光する。また、AlN系LEDは、ピーク波長210nmの紫外線を放出する。
上記したように、この波長範囲の紫外線であれば、人や動物に安全であって、微生物の殺菌やウイルスの不活化を適切に行うことが可能である。例えば、Mgの組成を調整することで、放出する紫外線の中心波長が222nmであるMgZnO系LEDとすることも可能である。
このとき、図15に示すように、冷却部材20の一部を紫外線照射ユニット10の筐体11から突出させてもよい。この場合、冷却部材20の一部に外気が当たることになり、冷却部材20の放熱が効率良く進み、結果としてLED19の熱上昇を適切に抑制することができる。
なお、上記光学フィルタとしては、より好ましくは波長200〜235nm以外の波長を有するUV−C波長域の光をカットするもの、さらに好ましくは200〜230nm以外の波長を有するUV−C波長域の光をカットするものであってもよい。これは光源がエキシマランプの場合でも同様である。
また、紫外線光源がエキシマランプであっても、LEDであっても、当該紫外線光源の光放射面での照度や紫外線光源から紫外線の被照射面までの距離等によっては、被照射面での人や動物に安全ではない波長の紫外線の照度が許容値以下となる場合がある。したがって、このような場合には、上記光学フィルタを設ける必要はない。
特に、波長200〜240nmの紫外線を用いることにより、人や動物の皮膚や目に紅斑や角膜炎を起こすことはなく、紫外線本来の殺菌、ウイルスの不活化能力を提供することができる。特に、従来の紫外線光源とは異なり、有人環境で使用できるという特徴を生かし、屋内外の有人環境に設置することで、環境全体を照射することができ、空気と環境内設置部材表面のウイルス抑制・除菌を提供することができる。
このことは、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標3「あらゆる年齢の全ての人々が健康的な生活を確保し、福祉を促進する」に対応し、また、ターゲット3.3「2030年までに、エイズ、結核、マラリア及び顧みられない熱帯病といった伝染病を根絶するとともに、肝炎、水系感染症およびその他の感染症に対処する」に大きく貢献するものである。
Claims (26)
- ショーケースに配置されている物品の表面に対して、微生物および/またはウイルスを不活化する波長範囲の光を放射して、当該表面に存在する微生物および/またはウイルスを不活化する不活化方法であって、
前記物品から第1の距離の範囲内の検知領域に動体が進入したことを検知する進入検知ステップと、
前記検知領域に前記動体が進入した時点から、前記第1の距離よりも小さい、前記物品からの第2の距離の範囲内の照射領域に配置された前記物品への前記光の照射を開始する照射ステップと、を含むことを特徴とする不活化方法。 - 前記動体は、前記検知領域を通過して前記照射領域に配置された前記物品に接近する人または動物であることを特徴とする請求項1に記載の不活化方法。
- 前記光は、200nm〜240nmの波長範囲にある紫外線であることを特徴とする請求項1または2に記載の不活化方法。
- 前記検知領域から前記動体が退出したことを検知する退出検知ステップと、
前記検知領域から前記動体が退出したことを契機に、前記光の照射を終了する照射終了ステップと、をさらに含むことを特徴とする請求項1または2に記載の不活化方法。 - 前記照射終了ステップでは、
前記検知領域から前記動体が退出した時点からの前記物品への前記光の照射量が、前記物品の表面に存在する微生物および/またはウイルスの不活化に必要な照射量に到達した時点で、前記光の照射を終了することを特徴とする請求項4に記載の不活化方法。 - 前記照射領域に前記動体が進入していることを検知する第2の進入検知ステップと、
前記照射領域に前記動体が進入している間、前記光の単位照射量を、前記動体が前記検知領域に進入し前記照射領域に進入していない通常照射時と比較して低減する、もしくは、前記光の照射を停止する照射低減ステップと、をさらに含むことを特徴とする請求項1または2に記載の不活化方法。 - 前記照射低減ステップでは、
前記光の照度を、前記通常照射時の照度よりも低くすることを特徴とする請求項6に記載の不活化方法。 - 前記照射低減ステップでは、
前記光の点灯動作と消灯動作とを交互に繰り返し行い、
前記光の点灯時間と前記光の消灯時間との総和に対する前記点灯時間の割合である点灯デューティ比を、前記通常照射時の点灯デューティ比よりも低くすることを特徴とする請求項6に記載の不活化方法。 - 前記動体の高さを検知する高さ検知ステップをさらに含み、
前記照射低減ステップでは、
前記照射領域に進入している前記動体の高さが規定値以下である場合、前記光の照射を停止することを特徴とする請求項6に記載の不活化方法。 - 前記照射ステップでは、開放されているショーケースに配置された前記物品に対して前記光を照射することを特徴とする請求項1または2に記載の不活化方法。
- ショーケースに配置されている物品の表面に対して、微生物および/またはウイルスを不活化する波長範囲の光を放射して、当該表面に存在する微生物および/またはウイルスを不活化する不活化システムであって、
微生物および/またはウイルスを不活化する波長範囲の光を放射する光源を備える光照射ユニットと、前記光源による前記光の照射を制御する制御部と、を備える光照射装置と、
動体を検知するセンサ部と、を備え、
前記制御部は、
前記センサ部による検知信号をもとに、前記物品から第1の距離の範囲内の検知領域に動体が進入したことを検知する進入検知部を有し、
前記光源を制御して、前記進入検知部により前記検知領域に前記動体が進入したことを検知した時点から、前記第1の距離よりも小さい、前記物品からの第2の距離の範囲内の照射領域に配置された前記物品への前記光の照射を開始することを特徴とする不活化シスム。 - 前記動体は、前記検知領域を通過して前記照射領域に配置された前記物品に接近する人または動物であることを特徴とする請求項11に記載の不活化システム。
- 前記光は、200nm〜240nmの波長範囲にある紫外線であることを特徴とする請求項11または12に記載の不活化システム。
- 前記制御部は、
前記センサ部による検知信号をもとに、前記検知領域から前記動体が退出したことを検知する退出検知部をさらに有し、
前記退出検知部により前記検知領域から前記動体が退出したことを検知したことを契機に、前記光の照射を終了することを特徴とする請求項11または12に記載の不活化システム。 - 前記制御部は、
前記退出検知部により前記検知領域から前記動体が退出したことを検知した時点からの前記物品への前記光の照射量が、前記物品の表面に存在する微生物および/またはウイルスの不活化に必要な照射量に到達した時点で、前記光の照射を終了することを特徴とする請求項14に記載の不活化システム。 - 前記制御部は、
前記センサ部による検知信号をもとに、前記照射領域に前記動体が進入していることを検知する第2の進入検知部をさらに有し、
前記第2の進入検知部により前記照射領域に前記動体が進入していることを検知している間、前記光の単位照射量を、前記動体が前記検知領域に進入し前記照射領域に進入していない通常照射時と比較して低減する、もしくは、前記光の照射を停止することを特徴とする請求項11または12に記載の不活化システム。 - 前記制御部は、
前記光の照度を、前記通常照射時の照度よりも低くすることで、前記光の単位照射量を通常照射時と比較して低減することを特徴とする請求項16に記載の不活化システム。 - 前記制御部は、
前記光の点灯動作と消灯動作とを交互に繰り返し行う間欠点灯における、前記光の点灯時間と前記光の消灯時間との総和に対する前記点灯時間の割合である点灯デューティ比を、前記通常照射時の点灯デューティ比よりも低くすることで、前記光の単位照射量を通常照射時と比較して低減することを特徴とする請求項16に記載の不活化システム。 - 前記制御部は、
前記センサ部による検知信号をもとに、前記照射領域に進入している前記動体の高さが規定値以下であると判定した場合、前記照射領域に当該動体が進入した時点で前記光の照射を停止することを特徴とする請求項16に記載の不活化システム。 - 前記物品は、開放されているショーケースに配置されていることを特徴とする請求項11または12に記載の不活化システム。
- 前記光照射ユニットは、前記光源を内部に収容し、前記光源から発せられる光の少なくとも一部を出射する光出射窓を有する筐体を備え、
前記光出射窓には、波長237nmよりも長波長側のUV?C波の透過を阻止する光学フィルタが設けられていることを特徴とする請求項11または12に記載の不活化システム。 - 前記光源は、エキシマランプおよびLEDのいずれか一方であることを特徴とする請求項11または12に記載の不活化システム。
- 前記光源は、中心波長222nmの紫外線を放射することを特徴とする請求項11または12に記載の不活化システム。
- 前記光源はLEDであって、
前記LEDは、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)系LED、窒化アルミニウム(AlN)系LEDおよび酸化マグネシウム亜鉛(MgZnO)系LEDのいずれかであることを特徴とする請求項11または12に記載の不活化システム。 - 前記光源はLEDであって、
前記光照射ユニットは、前記LEDを冷却する冷却部材を有することを特徴とする請求項11または12に記載の不活化システム。 - 前記光源はエキシマランプであって、
前記光照射ユニットは、前記エキシマランプを収容し、導電性の金属からなる筐体を有することを特徴とする請求項11または12に記載の不活化システム。
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