JP7094717B2 - 圧入工法 - Google Patents
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また、メッシュ管設置工程において、メッシュカバーと先打ちコンクリートの設置面との間にメッシュ管が位置するように、メッシュカバーを先打ちコンクリートの設置面に取り付けることにより、メッシュ管を先打ちコンクリートの設置面に取り付けるので、メッシュカバーを設けない場合に比べて、後打ちコンクリートを打設する際に、メッシュ管が当該コンクリートの圧力に耐えることができ、且つ当該コンクリートによってメッシュ管が目詰まりすることを防止できることから、メッシュ管の使用性を維持することが可能となる。
まず、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、先打ちコンクリートと後打ちコンクリートとの間に硬化性材料を圧入して先打ちコンクリートと後打ちコンクリートとを接合する圧入工法に関する。ここで、「先打ちコンクリート」とは、建物の構成するコンクリート部材のうち、後打ちコンクリートよりも先に打設されたコンクリートを意味し、例えば、後打ちコンクリートよりも上階、下階、又は同階の壁部、柱部、床部等を含む概念である。また、「後打ちコンクリート」とは、建物の構成するコンクリート部材のうち、先打ちコンクリートよりも後に打設されたコンクリートを意味し、例えば、先打ちコンクリートよりも上階、下階、又は同階の壁部、柱部、床部等を含む概念である。また、「建物」は、1つ以上の数の階層を有する建物を意味し、例えば、アパートやマンションの如き集合住宅、オフィスビル、商業施設、及び公共施設等を含む概念であるが、実施の形態では、地下階を含む複数の階層を有するオフィスビルとして説明する。また、「硬化性材料」とは、先打ちコンクリートと後打ちコンクリートとを接合するための材料を意味し、例えば、グラウト(無収縮モルタル)や収縮性を有するモルタル等を含む概念であるが、実施の形態では、グラウトとして説明する。また、「圧入」とは、先打ちコンクリートと後打ちコンクリートとの相互間に圧力を加えて硬化性材料を注入することを意味する。なお、実施の形態では、先打ちコンクリートと後打ちコンクリートとの相互間に押し込まれて硬化した硬化性材料を「打継部」として説明する。
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
最初に、実施の形態に係る建物が設置される設置場所について説明する。図1は、実施の形態に係る建物を側方から簡略的に示す概要図である。以下の説明では、図1のX方向を建物の左右方向(-X方向を建物の左方向、+X方向を建物の右方向)、後述する図3のY方向を建物の前後方向(+Y方向を建物の前方向、-Y方向を建物の後方向)、図1のZ方向を建物の上下方向(+Z方向を建物の上方向、-Z方向を建物の下方向)と称する。
次に、実施の形態に係る建物1の構成について説明する。建物1は、施工中の鉄筋コンクリート造の建物であり、図1に示すように、地上躯体10a(図1の仮想線で示す部分)と、地下躯体10b(図1の実線で示す部分)とを備えている。なお、地上躯体10aの構成については、従来と同様であるものとして説明を省略する。また、地上躯体10aは、地下躯体10bと略同時に施工されてもよく、あるいは、地下躯体10bの施工後に施工されてもよい。
地下躯体10bは、建物1における地下側の躯体であり、地表面3よりも下方に位置し、床部11a~11d、柱部12a~12c、及び複数の壁部13を備えている。なお、床部11a~11dを特に区別する必要のないときは、単に「床部11」と総称すると共に、柱部12a~12cを特に区別する必要のないときは、単に「柱部12」と総称する。
次に、実施の形態に係る打継部の構成について説明する。図2は、図1の領域A周辺の拡大図である。図3は、図2のB-B矢視断面図である。図1に示すように、複数の壁部13の各々と上側壁部13aと下側壁部13bとの相互間には、打継部20がそれぞれ設けられている。これら打継部20の構成はそれぞれ略同一であるので、以下では、複数の壁部13のうち、図1の右側に位置する壁部13c(図2の壁部13c。以下、「右側壁部13c」と称する。)に対応する打継部20の構成のみについて説明する。
図2に戻り、また、打継部20の具体的な構成については任意であるが、実施の形態では、図2、図3に示すように、この打継部20の内部に圧入補助部21が設けられている。
図2に戻り、圧入補助部21は、後述する圧入工程において、右側壁部13cの上側壁部13aと下側壁部13bとの相互間に硬化性材料20aを圧入することを補助するための圧入補助手段である。図4は、圧入補助部21を示す図である。図2、図3に示すように、右側壁部13cの上側壁部13aと下側壁部13bとの相互間に複数設けられており、図4に示すように、メッシュ管22及びメッシュカバー23を備えている。
図3に戻り、メッシュ管22は、硬化性材料20aを右側壁部13cの上側壁部13aと下側壁部13bとの相互間に拡散するための管である。このメッシュ管22は、長尺なメッシュ状の管状体にて形成されており、図3に示すように、メッシュ管22の長手方向が左右方向に略沿うように設けられている。
メッシュカバー23は、メッシュ管22を保護するための保護手段であり、且つメッシュ管22を右側壁部13cの上側壁部13aに取り付けるための取付手段である。このメッシュカバー23は、長尺なメッシュ状の凹状体にて形成されており、メッシュカバー23の凹部分にメッシュ管22が収容されるように、メッシュカバー23の長手方向が左右方向に略沿うように設けられている。
次に、実施の形態に係る圧入工法について説明する。図5は、後述する圧入工法の先打ち工程を示す図であって、図2に対応する領域を示す図である。図6は、後述する圧入工法のメッシュ管設置工程を示す図であって、図2に対応する領域を示す図である。図7は、後述する圧入工法の後打ち工程を示す図であって、図2に対応する領域を示す図である。図8は、後述する圧入工法の圧入工程を示す図であって、図2に対応する領域を示す図である。図9は、図8の打継部20の先端部周辺を示す図である。図5から図9に示すように、実施の形態に係る圧入工法は、配筋工程、先打ち工程、メッシュ管設置工程、スペーサ設置工程、後打ち工程、圧入工程、及び仕上げ工程を含んでいる。
まず、配筋工程について説明する。配筋工程においては、右側壁部13cの上側壁部13a及び下側壁部13bを構成する鉄筋13dが配置され、具体的には、掘削部2内における上側壁部13a及び下側壁部13bの打設領域に配置される。
次に、先打ち工程について説明する。先打ち工程においては、図5に示すように、右側壁部13cの上側壁部13aが形成される。この上側壁部13aの形成方法については任意であるが、例えば、まず、配筋工程において配置された上側壁部13aの鉄筋13dを囲繞するように型枠(図示省略)を設ける。そして、この鉄筋13dを覆うようにコンクリートを型枠内に打設し、当該打設したコンクリートが基準の強度まで固化することにより、上側壁部13aを形成する。
次に、メッシュ管設置工程について説明する。メッシュ管設置工程においては、図6に示すように、先打ち工程において形成された右側壁部13cの上側壁部13aの表面のうち右側壁部13cの下側壁部13bの打設領域と対向する設置面に、メッシュ管22が設置される。このメッシュ管22の設置方法については任意であるが、実施の形態では、以下の通りとなる。
次に、スペーサ設置工程について説明する。スペーサ設置工程においては、メッシュ管設置工程の後であり、且つ後打ち工程の前に、複数のメッシュ管22の各々の内部にスペーサ(図示省略)がそれぞれ設置される。
次に、後打ち工程について説明する。後打ち工程においては、図7に示すように、右側壁部13cの下側壁部13bの打設領域に当該下側壁部13bのコンクリートが打設される。この下側壁部13bの打設方法については任意であるが、例えば、まず、配筋工程において配置された下側壁部13bの鉄筋13dを囲繞するように型枠(図示省略)を設ける。次に、この鉄筋13dを覆うようにコンクリートを型枠内に打設し、当該打設したコンクリートが基準の強度まで固化することにより、下側壁部13bを形成する。そして、下側壁部13b及びメッシュ管22の状態を確認し、当該状態が異常状態である場合には対応作業を実施する。この対応作業の具体的な内容については任意であるが、例えば、下側壁部13bの上面の一部が打継部20側に突出していたり、下側壁部13bの上面に異物が付着している場合には、当該突出部分や当該異物を除去すること等が該当する。
次に、圧入工程について説明する。圧入工程においては、図8、図9に示すように、後打ち工程の後に、メッシュ管22の内部に硬化性材料20aが圧入される。この硬化性材料20aの圧入方法については任意であるが、実施の形態では、以下の通りとなる。
図2に戻り、次に、仕上げ工程について説明する。仕上げ工程においては、図2に示すように、圧入工程において圧入された硬化性材料20aが硬化することで形成された打継部20の仕上げ処理が行われる。この仕上げ処理の具体的な方法については任意であるが、例えば、まず、圧入工程において圧入された硬化性材料20aが硬化した後に、複数のメッシュ管22に取り付けられたコック及びパイプ24を除去する。次に、打継部20の部分のうち、コック及びパイプ24の除去によって形成された孔部(図示省略)の補修を行い、具体的には、上記孔部に硬化性材料20a(又は漏れ止め材)によって当該孔部を埋める(いわゆる「口詰」を行う)。その後、打継部20及びその近傍部分の表面を整えるための表面処理を行う。
このように実施の形態によれば、後打ち工程の後に、メッシュ管22の内部に硬化性材料20aを圧入する圧入工程を含むので、メッシュ管22を埋め殺した状態で硬化性材料20aを圧入することができる。よって、従来技術(後打ちコンクリートの打設前に、先打ちコンクリートに発泡スチロール製の筒状体を取り付ける技術)に比べて、メッシュ管22を除去する手間を省略できるため、壁部13の上側壁部13aと下側壁部13bとを接合する作業の効率化を図ることが可能となる。
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の細部に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏することがある。
実施の形態や図面において例示した構成要素に関して、形状、数値、又は複数の構成要素の構造若しくは時系列の相互関係については、本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。
上記実施の形態では、先打ちコンクリートが後打ちコンクリートと同階の上側壁部13aであり、後打ちコンクリートが先打ちコンクリートと同階の下側壁部13bであると説明したが、これに限らない。図10から図13は、打継部20の変形例を示す横断面図である。例えば、先打ちコンクリートが後打ちコンクリートよりも上階の柱部12であり、後打ちコンクリートが先打ちコンクリートよりも下階の柱部12であってもよい。この場合において、圧入補助部21の設置方法については任意であるが、例えば、図10から図13に示すように、上階及び下階の柱部12の種類に応じて異なるように設置してもよい。
上記実施の形態では、右側壁部13cの下側壁部13bの上面が平坦状であると説明したが、これに限らない。例えば、打継部20の止水性を向上させる観点から、下側壁部13bの上面がV字状であってもよい。この場合には、後打ち工程において、下側壁部13bの上面がV字状になるように当該下側壁部13bのコンクリートを打設する。
上記実施の形態では、圧入補助部21が、メッシュカバー23を備えていると説明したが、これに限らず、例えば、メッシュカバー23を省略してもよい。この場合には、メッシュ管設置工程において、接着性材料を用いて、メッシュ管22を右側壁部13cの上側壁部13aの設置面に対して直接的に設置する。
上記実施の形態では、圧入方法は、スペーサ設置工程及び仕上げ工程を含むと説明したが、これに限らず、例えば、スペーサ設置工程及び仕上げ工程を省略してもよい。
上記実施の形態では、配筋工程において、先打ち工程の前に、右側壁部13cの下側壁部13bを構成する鉄筋13dを配置すると説明したが、これに限らず、例えば、先打ち工程の後に、当該鉄筋13dを配置してもよい。
付記1に記載の圧入工法は、先打ちコンクリートと後打ちコンクリートとの間に硬化性材料を圧入して前記先打ちコンクリートと前記後打ちコンクリートとを接合する圧入工法であって、前記先打ちコンクリートを形成する先打ち工程と、前記先打ち工程において形成された先打ちコンクリートの表面のうち前記後打ちコンクリートの打設領域と対向する設置面に、メッシュ管を設置するメッシュ管設置工程と、前記後打ちコンクリートの打設領域に前記後打ちコンクリートを打設する後打ち工程と、前記後打ち工程の後に、前記メッシュ管の内部に硬化性材料を圧入する圧入工程と、を含む。
付記1に記載の圧入工法によれば、後打ち工程の後に、メッシュ管の内部に硬化性材料を圧入する圧入工程を含むので、メッシュ管を埋め殺した状態で硬化性材料を圧入することができる。よって、従来技術(後打ちコンクリートの打設前に、先打ちコンクリートに発泡スチロール製の筒状体を取り付ける技術)に比べて、メッシュ管を除去する手間を省略できるため、先打ちコンクリートと後打ちコンクリートとを接合する作業の効率化を図ることが可能となる。
2 掘削部
2a 底部
2b 側壁部
2c 山留壁部
3 地表面
10a 地上躯体
10b 地下躯体
11、11a~11d 床部
12、12a~12c 柱部
13 壁部
13a 上側壁部
13b 下側壁部
13c 右側壁部
13d 鉄筋
14 構真柱
20 打継部
20a 硬化性材料
21 圧入補助部
22 メッシュ管
23 メッシュカバー
23a 第1側片
23b 第2側片
23c 第3側片
23d 第4側片
23e 第5側片
24 パイプ
25 第1漏止部
26 第2漏止部
30 H鋼
31 ボックス鋼
32 H鋼
D メッシュ管の外径
H メッシュカバーの上下方向の長さ
W1 第1側片の前後方向の長さ
W2 第4側片の前後方向の長さ
W3 第5側片の前後方向の長さ
Claims (4)
- 先打ちコンクリートと後打ちコンクリートとの間に硬化性材料を圧入して前記先打ちコンクリートと前記後打ちコンクリートとを接合する圧入工法であって、
前記先打ちコンクリートを形成する先打ち工程と、
前記先打ち工程において形成された先打ちコンクリートの表面のうち前記後打ちコンクリートの打設領域と対向する設置面に、メッシュ管を設置するメッシュ管設置工程と、
前記後打ちコンクリートの打設領域に前記後打ちコンクリートを打設する後打ち工程と、
前記後打ち工程の後に、前記メッシュ管の内部に硬化性材料を圧入する圧入工程と、を含み、
前記メッシュ管設置工程において、メッシュカバーと前記先打ちコンクリートの設置面との間に前記メッシュ管が位置するように、前記メッシュカバーを前記先打ちコンクリートの設置面に取り付けることにより、前記メッシュ管を前記先打ちコンクリートの設置面に取り付け、
前記メッシュカバーを、長尺なメッシュ状の凹状体であって、当該メッシュカバー内に前記メッシュ管の略全体が収容可能な凹状体にて形成し、
前記圧入工程において、圧入された前記硬化性材料が前記メッシュ管の外部に漏れることを防止する第1漏止部と、前記第1漏止部よりも外側に設けられる第2漏止部であり、圧入された前記硬化性材料が前記メッシュ管の外部に漏れることを防止する第2漏止部とを用いて、前記メッシュ管の内部に前記硬化性材料を圧入する、
圧入工法。 - 前記メッシュ管設置工程において、前記メッシュカバーに前記メッシュ管が収容された状態で、前記メッシュカバーの一部を前記先打ちコンクリートの設置面に対して接着性材料によって接続する、
請求項1に記載の圧入工法。 - 前記後打ち工程の前に、前記メッシュ管の内部にスペーサを設置するスペーサ設置工程を含み、
前記圧入工程において、前記スペーサ設置工程において設置したスペーサを取り外してから、前記メッシュ管の内部に前記硬化性材料を圧入する、
請求項1又は2に記載の圧入工法。 - 前記メッシュ管はステンレス製である、
請求項1から3のいずれか一項に記載の圧入工法。
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