JP7094565B2 - ストレプトアビジン突然変異タンパク質およびそれらを使用する方法 - Google Patents

ストレプトアビジン突然変異タンパク質およびそれらを使用する方法 Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
本出願は、2016年4月25日に欧州特許庁に出願された欧州特許出願第16 166 773.8号の優先権を主張するものであり、その全内容はすべての目的のために本明細書に組み入れられる。
発明の分野
本発明は、新規な安定化ストレプトアビジン突然変異タンパク質、組換えDNA技術によってそのような突然変異タンパク質を生成する方法、ならびに変性条件下で組換えタンパク質などの生体物質を単離する、精製する、および決定するためのこれらのストレプトアビジン突然変異タンパク質の使用に関する。したがって本発明はまた、本発明のストレプトアビジン突然変異タンパク質が固定化された固相、および本発明の突然変異タンパク質をコードする核酸分子に関する。本発明はさらに、例えば固相上に固定化された、本発明の突然変異タンパク質を含む、タンパク質の検出、単離、または精製に適したキットに関する。
背景
大腸菌 (Escherichia coli) において多くの組換えタンパク質を高レベルで発現させると、一般に封入体と称される高度に凝集したタンパク質が形成される。封入体は通常、細胞質内で形成される。しかしながら、分泌ベクターが用いられる場合には、封入体はペリプラズム空間内でも形成され得る。しかしながら、封入体は大腸菌に限定されず、例えば、酵母細胞、哺乳動物細胞、および昆虫細胞でも生じ得る。封入体が形成された場合、ポリヒスチジンアフィニティータグを保有する融合タンパク質は、精製過程中に6 M塩酸グアニジウム(塩酸グアニジンとしても公知である)または8 M尿素などの変性条件を使用することによって精製することができる(例えば、Palmer & Wingfield "Preparation and Extraction of Insoluble Inclusion-Body Proteins from Escherichia coli", Curr Protoc Protein Sci. 2004 November; CHAPTER: Unit-6.3. doi:10.1002/0471140864.ps0603s38(非特許文献1)、またはBornholst & Falke "Purification of Proteins Using Polyhistidine Affinity Tags", Methods Enzymol. 2000; 326: 245-254(非特許文献2)を参照されたい)。アフィニティークロマトグラフィー樹脂とヘキサヒスチジン (His6) タグなどのポリヒスチジンタグとの相互作用は、ペプチドタグの特定の立体構造を必要とせず、それによって変性条件を使用する効率的な精製が可能になる。このような理由から、His6タグはSchmidtおよびSkerraによって、例えば6 M塩酸グアニジンの存在下で可溶化封入体から組換えタンパク質を単離するための、Strep-Tag(登録商標)IIよりも優れた代替物と見なされていた (Schmidt & Skerra, "The strep-tag system for one-step purification and high-affinity detection or capturing of proteins." Nature Protocols 2 (2007), 1528-1535(非特許文献3))。Strep-tag(登録商標)アフィニティータグなどのストレプトアビジン結合アフィニティータグを使用する場合には、したがって、そのようなストレプトアビジン結合アフィニティータグおよびHis6タグの両方を組換えタンパク質に融合して、最初にHis6タグによって変性条件下で封入体から組換えタンパク質を精製し、タンパク質の再折りたたみ後に、ストレプトアビジン結合ペプチドによって生理的条件下で第2のアフィニティー精製を行うことができるようにすることが推奨されてきた。そうすることで、封入体から高純度でかつ高度に均質なタンパク質調製物を得ることができるはずである。
変性条件下でのタンパク質精製には適していないという制限は別として、配列Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys (SEQ ID NO: 3) を有するStrep-tag(登録商標)IIアフィニティータグ(Schmidt & Skerra, Nature Protocols 2 (2007)(非特許文献3)、前記、または米国特許第5,506,121号(特許文献1))は、非常に用途の広いアフィニティータグとして広く認識されている。Strep-tag(登録商標)IIアフィニティータグは、迅速な1段階プロトコールの中で生理的条件を使用することにより高い純度かつ機能性で組換えタンパク質を提供することで、特に評判がよい。Strep-tag(登録商標)IIアフィニティータグに対する、現在最も広くかつ最も効率的なストレプトアビジンベースの受容体は、結合親和性が改善されたストレプトアビジン突然変異タンパク質であり、Strep-Tactin(登録商標)と命名されている(Voss & Skerra, Protein Engineering 10 (1997), 975-982(非特許文献4);米国特許第6,103,493号(特許文献2)または欧州特許第0 835 934号(特許文献3))。Strep-tag(登録商標)IIは、ストレプトアビジン(およびこれらのストレプトアビジン突然変異タンパク質)のビオチン結合ポケットに結合し、アフィニティー樹脂の反復使用のために、ビオチン誘導体、好ましくはデスチオビオチンによる穏和な競合溶出を可能にする。Strep-tag(登録商標)II:Strep-Tactin(登録商標)システムは、組換えタンパク質(Schmidt & Skerra, Nature Protocols 2、(非特許文献3)前記において概説されている)およびさらには細胞 (Knabel et al., "Reversible MHC multimer staining for functional isolation of T-cell populations and effective adoptive transfer", Nature Medicine 8 (2002), 631 -637(非特許文献5)) の精製、検出、およびアッセイに関して、この15年間で効果的な適用を提供してきた。
このような理由から、ストレプトアビジン結合アフィニティーペプチドを用いるアフィニティークロマトグラフィーによって変性条件下で融合タンパク質を精製できるようにするツールおよびシステムが手元にあることは望ましい。したがって本発明の目的は、ストレプトアビジンベースのアフィニティークロマトグラフィーによって変性条件下で融合タンパク質を精製できるようにするツールおよびシステムを提供することである。
米国特許第5,506,121号 米国特許第6,103,493号 欧州特許第0 835 934号
Palmer & Wingfield "Preparation and Extraction of Insoluble Inclusion-Body Proteins from Escherichia coli", Curr Protoc Protein Sci. 2004 November; CHAPTER: Unit-6.3. doi:10.1002/0471140864.ps0603s38 Bornholst & Falke "Purification of Proteins Using Polyhistidine Affinity Tags", Methods Enzymol. 2000; 326: 245-254 Schmidt & Skerra, "The strep-tag system for one-step purification and high-affinity detection or capturing of proteins." Nature Protocols 2 (2007), 1528-1535 Voss & Skerra, Protein Engineering 10 (1997), 975-982 Knabel et al., "Reversible MHC multimer staining for functional isolation of T-cell populations and effective adoptive transfer", Nature Medicine 8 (2002), 631 -637
第1局面において、本発明は、ストレプトアビジンの突然変異タンパク質より選択される突然変異タンパク質であって、
(a) SEQ ID NO: 1に記載の野生型ストレプトアビジンのアミノ酸配列を基準として、127位の配列位置にCys残基を有し、かつ
(b) SEQ ID NO: 1に記載の野生型ストレプトアビジンのアミノ酸配列を基準として、115~121位のアミノ酸位置の領域内に少なくとも1つの変異を含む
突然変異タンパク質を提供する。
第2局面において、本発明は、本発明のストレプトアビジン突然変異タンパク質、すなわち、
(a) SEQ ID NO: 1に記載の野生型ストレプトアビジンのアミノ酸配列を基準として、127位の配列位置にCys残基を有し、かつ
(b) SEQ ID NO: 1に記載の野生型ストレプトアビジンのアミノ酸配列を基準として、115~121位のアミノ酸位置の領域内に少なくとも1つの変異を含む
ストレプトアビジン突然変異タンパクをコードする配列を含む核酸分子を提供する。
本発明のこの第2局面の核酸は、有効な機能的環境中にこのような核酸分子の少なくとも1コピーを含むベクターであってよい。
第3局面において、本発明は、第2局面による核酸またはベクターで形質転換またはトランスフェクトされた細胞を提供する。
本発明はまた、第1局面によるストレプトアビジン突然変異タンパク質を生成する方法であって、
(a) ストレプトアビジン突然変異タンパク質をコードする核酸を含むベクターで適切な宿主細胞を形質転換する段階、
(b) ストレプトアビジン突然変異タンパク質の発現が起こる条件下で、該宿主細胞を培養する段階、
(c) 該突然変異タンパク質を単離する段階
を含む方法を提供する。
本発明はまた、
a) 式Trp-Xaa-His-Pro-Gln-Phe-Yaa-Zaa (SEQ ID NO: 8) のペプチド配列であって、式中、Xaaは任意のアミノ酸を示し、かつYaaおよびZaaはいずれもGlyを示すか、またはYaaはGluを示しかつZaaはArgもしくはLysを示す、前記ペプチド配列、または
b) 少なくとも2つのストレプトアビジン結合モジュールの連続配置を含むペプチド配列であって、該2つのモジュール間の距離が少なくとも0でありかつ50アミノ酸以下であり、一方の結合モジュールが3~8アミノ酸を有しかつ少なくとも配列-His-Pro-Baa-を含み、ここでBaaはグルタミン、アスパラギン、もしくはメチオニンであり、かつ他方の結合モジュールが、配列-Oaa-Xaa-His-Pro-Gln-Phe-Yaa-Zaa- (SEQ ID NO: 9) を有し、ここでOaaはTrp、Lys、もしくはArgであり、Xaaは任意のアミノ酸であり、かつYaaおよびZaaはいずれもGlyであるか、またはYaaはGluでありかつZaaはLysもしくはArgである、前記ペプチド配列
と融合されているタンパク質を変性条件下で単離する、精製する、または決定する方法であって、該タンパク質を含む試料を、本明細書に記載されるストレプトアビジン突然変異タンパク質と、該ペプチド配列が該ストレプトアビジン突然変異タンパク質に結合するのに適した条件下で接触させる段階、および得られた複合体を該試料から分離する段階を含む前記方法を提供する。
本発明はまた、
a) 式Trp-Xaa-His-Pro-Gln-Phe-Yaa-Zaa (SEQ ID NO: 8) のペプチド配列であって、式中、Xaaは任意のアミノ酸を示し、かつYaaおよびZaaはいずれもGlyを示すか、またはYaaはGluを示しかつZaaはArgもしくはLysを示す、前記ペプチド配列、または
b) 少なくとも2つのストレプトアビジン結合モジュールの連続配置を含むペプチド配列であって、該2つのモジュール間の距離が少なくとも0でありかつ50アミノ酸以下であり、一方の結合モジュールが3~8アミノ酸を有しかつ少なくとも配列-His-Pro-Baa-を含み、ここでBaaはグルタミン、アスパラギン、もしくはメチオニンであり、かつ他方の結合モジュールが、配列-Oaa-Xaa-His-Pro-Gln-Phe-Yaa-Zaa- (SEQ ID NO: 9) を有し、ここでOaaはTrp、Lys、もしくはArgであり、Xaaは任意のアミノ酸であり、かつYaaおよびZaaはいずれもGlyであるか、またはYaaはGluでありかつZaaはLysもしくはArgである、前記ペプチド配列
と融合されているタンパク質を変性条件下で固定化する方法であって、該タンパク質を固定化するための条件下で、該タンパク質を、第1局面によるストレプトアビジン突然変異タンパク質を保有する固相に接触させる段階を含む前記方法を提供する。
本発明はまた、本発明のストレプトアビジン突然変異タンパク質を含む、それが固定化された固相を提供する。そのような固相は、アフィニティークロマトグラフィーマトリックスであってよい。
本発明はさらに、本明細書に記載されるストレプトアビジン突然変異タンパク質、または本明細書に記載されるストレプトアビジンが固定化された固相を含む、試薬キットを提供する。そのようなキットは、従来の緩衝液、補助物質、および添加物からなる群より選択される少なくとも1つの試薬をさらに含み得る。本発明はまた、クロマトグラフィー樹脂、ELISAプレート、または表面プラズモン共鳴 (SPR) 測定用のチップなどの固体支持体上に固定化された、本明細書に記載されるストレプトアビジン突然変異タンパク質を提供する。
[本発明1001]
ストレプトアビジンの突然変異タンパク質より選択される突然変異タンパク質であって、
(a) 野生型ストレプトアビジン(SEQ ID NO: 1に記載)のアミノ酸配列を基準として、127位の配列位置にCys残基を有し、かつ
(b) SEQ ID NO: 1に記載の野生型ストレプトアビジンのアミノ酸配列を基準として、115~121位のアミノ酸位置の領域内に少なくとも1つの変異を含む、
前記突然変異タンパク質。
[本発明1002]
(b) に記載される変異として、野生型ストレプトアビジンの117~121位のアミノ酸位置の領域内に少なくとも1つの変異を含む、本発明1001の突然変異タンパク質。
[本発明1003]
アミノ酸残基が114位の配列位置に存在し、該アミノ酸残基が野生型スレオニンまたは任意の他のアミノ酸のいずれかである、本発明1001または1002の突然変異タンパク質。
[本発明1004]
117位の配列位置に芳香族アミノ酸残基を保有する、本発明1001~1003のいずれかの突然変異タンパク質。
[本発明1005]
117位の配列位置の芳香族アミノ酸残基がTrp、Tyr、His、またはPheである、本発明1004の突然変異タンパク質。
[本発明1006]
117位の配列位置に荷電アミノ酸残基を保有する、本発明1001~1003のいずれかの突然変異タンパク質。
[本発明1007]
117位の配列位置の荷電アミノ酸残基がGlu、Asp、またはArgである、本発明1006の突然変異タンパク質。
[本発明1008]
117位の配列位置に親水性残基を保有する、本発明1001~1003のいずれかの突然変異タンパク質。
[本発明1009]
親水性アミノ酸残基がAsn、Gln、Leu、Met、Ser、Ala、またはGlyである、本発明1008の突然変異タンパク質。
[本発明1010]
120位の配列位置に小さいアミノ酸残基を保有するか、またはMetもしくはProより選択されるアミノ酸残基を保有する、本発明1003~1009のいずれかの突然変異タンパク質。
[本発明1011]
120位の配列位置の小さいアミノ酸残基がSer、Ala、またはGlyである、本発明1010の突然変異タンパク質。
[本発明1012]
121位の配列位置に疎水性アミノ酸残基を保有する、本発明1003~1011のいずれかの突然変異タンパク質。
[本発明1013]
121位の配列位置に芳香族アミノ酸残基を保有する、本発明1012の突然変異タンパク質。
[本発明1014]
121位の配列位置のアミノ酸残基がTrp、Tyr、またはPheである、本発明1012または1013の突然変異タンパク質。
[本発明1015]
120位の配列位置に疎水性アミノ酸残基を保有する、本発明1004~1009のいずれかの突然変異タンパク質。
[本発明1016]
120位の配列位置の疎水性アミノ酸残基がLeu、Ile、Met、Val、Tyr、またはPheである、本発明1015の突然変異タンパク質。
[本発明1017]
121位の配列位置に小さいアミノ酸残基を保有する、本発明1015または1016の突然変異タンパク質。
[本発明1018]
121位の配列位置の小さいアミノ酸残基がGly、Ala、Ser、またはGlnである、本発明1017の突然変異タンパク質。
[本発明1019]
121位の配列位置に疎水性アミノ酸残基を保有する、本発明1015または1016の突然変異タンパク質。
[本発明1020]
121位の配列位置の疎水性アミノ酸残基がLeu、Val、Ile、Trp、Tyr、Phe、またはMetである、本発明1019の突然変異タンパク質。
[本発明1021]
118位および/または119位のアミノ酸残基が欠失している、本発明1001~1003のいずれかの突然変異タンパク質。
[本発明1022]
117位の配列位置に任意のアミノ酸残基を保有する、本発明1021の突然変異タンパク質。
[本発明1023]
120位の配列位置にかさ高い疎水性アミノ酸残基を保有する、本発明1022の突然変異タンパク質。
[本発明1024]
120位の配列位置のアミノ酸残基がPhe、Tyr、Val、またはTrpである、本発明1022または本発明1023の突然変異タンパク質。
[本発明1025]
121位の配列位置に疎水性アミノ酸残基を保有する、本発明1021~1024のいずれかの突然変異タンパク質。
[本発明1026]
121位の配列位置のアミノ酸残基がMet、Leu、Tyr、またはPheである、本発明1025の突然変異タンパク質。
[本発明1027]
121位の配列位置に小さい親水性アミノ酸残基を保有する、本発明1022~1023のいずれかの突然変異タンパク質。
[本発明1028]
小さい親水性残基がヒドロキシル基を有するアミノ酸である、本発明1027の突然変異タンパク質。
[本発明1029]
前記アミノ酸残基がSerまたはThrである、本発明1027または1028の突然変異タンパク質。
[本発明1030]
121位の配列位置にArgまたはAsp残基を保有する、本発明1022~1024のいずれかの突然変異タンパク質。
[本発明1031]
120位の配列位置にGly残基 (Gly 120 ) を含む、本発明1001~1003のいずれかの突然変異タンパク質。
[本発明1032]
121位の配列位置にPheまたはTyr残基を保有する、本発明1031の突然変異タンパク質。
[本発明1033]
117位の配列位置にGlu、Asp、Arg、His、Asn、Gln、Thr、Ser、Leu、またはMet残基を保有する、本発明1031または1032の突然変異タンパク質。
[本発明1034]
Aaa 177 がTyr、Phe、Arg、Trp、またはGlnであってよく、Baa 120 がTyr、Phe、Leu、Ile、またはMetであってよく、かつCaa 121 が任意のアミノ酸であってよく、Caa 121 が好ましくはLeu、Ile、Met、Gly、Gly、Trp、Ser、Ala、またはVal残基である、配列モチーフAaa 117 Baa 120 Caa 121 を含む、本発明1001~1003のいずれかの突然変異タンパク質。
[本発明1035]
Daa 117 およびHaa 121 が任意のアミノ酸であってよく、Eaa 118 およびFaa 119 がどちらも欠失しており、かつGaa 120 がTrpまたはValであってよく、Daa 117 が好ましくはHis、Glu、Gln、Thr、Ala、またはIle残基であり、かつHaa 121 が好ましくはTyr、Leu、Met、またはArg残基である、配列モチーフDaa 117 Eaa 118 Faa 119 Gaa 120 Haa 121 を含む、本発明1001~1003のいずれかの突然変異タンパク質。
[本発明1036]
ストレプトアビジンの44~47位の配列位置に少なくとも1つの変異をさらに含む、本発明1001~1035のいずれかのストレプトアビジン突然変異タンパク質。
[本発明1037]
44位の配列位置においてGluが疎水性脂肪族アミノ酸によって置換され、45位の配列位置に任意のアミノ酸が存在し、46位の配列位置に疎水性脂肪族アミノ酸が存在し、または/かつ47位の配列位置においてValが塩基性アミノ酸によって置換されている、本発明1036の突然変異タンパク質。
[本発明1038]
Alaが46位に存在する、本発明1037の突然変異タンパク質。
[本発明1039]
Argが47位に存在する、本発明1037または1038の突然変異タンパク質。
[本発明1040]
44~47位のアミノ酸位置の領域内に配列Val 44 -Thr 45 -Ala 46 -Arg 47 (SEQ ID NO: 10) が存在する、本発明1037~1039のいずれかの突然変異タンパク質。
[本発明1041]
44~47位のアミノ酸位置の領域内に配列Ile 44 Gly 45 Ala 46 Arg 47 (SEQ ID NO: 11) が存在する、本発明1037~1039のいずれかの突然変異タンパク質。
[本発明1042]
N末端が野生型ストレプトアビジンのアミノ酸10~16の領域内で始まり、かつC末端が野生型ストレプトアビジンのアミノ酸133~142の領域内で終結する最小ストレプトアビジンの突然変異タンパク質である、前記本発明のいずれかの突然変異タンパク質。
[本発明1043]
117~121位の配列位置に、
Figure 0007094565000001
の群からなるアミノ酸配列を含む、本発明1001~1042のいずれかの突然変異タンパク質。
[本発明1044]
突然変異タンパク質m1-9C (SEQ ID NO: 16) もしくはm302C (SEQ ID NO: 14) の配列を含むか、または突然変異タンパク質m1-9C (SEQ ID NO: 16) もしくはm302C (SEQ ID NO: 14) の配列からなる、本発明1043の突然変異タンパク質。
[本発明1045]
本発明1001~1044のいずれかのストレプトアビジン突然変異タンパク質をコードする配列を含む核酸分子。
[本発明1046]
有効な機能的環境中に、本発明1045の核酸の少なくとも1コピーを含むベクター。
[本発明1047]
本発明1046のベクターで形質転換またはトランスフェクトされた細胞。
[本発明1048]
本発明1001~1044のいずれかのストレプトアビジン突然変異タンパク質を生成する方法であって、
(a) ストレプトアビジン突然変異タンパク質をコードする核酸を含むベクターで適切な宿主細胞を形質転換する段階、
(b) ストレプトアビジン突然変異タンパク質の発現が起こる条件下で、該宿主細胞を培養する段階、
(c) 該突然変異タンパク質を単離する段階
を含む、前記方法。
[本発明1049]
段階 (c) が、宿主細胞を溶解すること、封入体の形態のストレプトアビジン突然変異タンパク質を単離すること、および該ストレプトアビジン突然変異タンパク質を再生することを含む、本発明1048の方法。
[本発明1050]
段階 (b) における発現が、シグナルペプチド保有ストレプトアビジンの発現、および宿主細胞のペリプラズムまたは培養基中へのその分泌を含む、本発明1049の方法。
[本発明1051]
宿主細胞が大腸菌 (E. coli) である、本発明1048~1050のいずれかの方法。
[本発明1052]
a) 式Trp-Xaa-His-Pro-Gln-Phe-Yaa-Zaa (SEQ ID NO: 8) のペプチド配列であって、式中、Xaaは任意のアミノ酸を示し、かつYaaおよびZaaはいずれもGlyを示すか、またはYaaはGluを示しかつZaaはArgもしくはLysを示す、前記ペプチド配列、または
b) 少なくとも2つのストレプトアビジン結合モジュールの連続配置を含むペプチド配列であって、該2つのモジュール間の距離が少なくとも0でありかつ50アミノ酸以下であり、一方の結合モジュールが3~8アミノ酸を有しかつ少なくとも配列-His-Pro-Baa-を含み、ここでBaaはグルタミン、アスパラギン、もしくはメチオニンであり、かつ他方の結合モジュールが、配列-Oaa-Xaa-His-Pro-Gln-Phe-Yaa-Zaa- (SEQ ID NO: 9) を有し、ここでOaaはTrp、Lys、もしくはArgであり、Xaaは任意のアミノ酸であり、かつYaaおよびZaaはいずれもGlyであるか、またはYaaはGluでありかつZaaはLysもしくはArgである、前記ペプチド配列
と融合されているタンパク質を変性条件下で単離する、精製する、または決定する方法であって、
該タンパク質を含む試料を、本発明1001~1044のいずれかのストレプトアビジン突然変異タンパク質と、該ペプチド配列が該ストレプトアビジン突然変異タンパク質に結合するのに適した条件下で接触させる段階、および得られた複合体を該試料から分離する段階を含む、前記方法。
[本発明1053]
ストレプトアビジン突然変異タンパク質が固相に結合しているか、または固相に結合することができる、本発明1052の方法。
[本発明1054]
複合体から融合タンパク質を放出させるために、ビオチンおよびその誘導体より選択される、十分な量のストレプトアビジン突然変異タンパク質のリガンドと共に、該複合体をインキュベートする、本発明1053の方法。
[本発明1055]
ビオチン誘導体がチオビオチンである、本発明1054の方法。
[本発明1056]
ペプチド配列が、
Figure 0007094565000002
より選択される、本発明1052~1055のいずれかの方法。
[本発明1057]
前記複合体から前記タンパク質を放出させる段階をさらに含む、本発明1052~1056のいずれかの方法。
[本発明1058]
前記タンパク質を決定する、単離する、または精製する段階をさらに含む、本発明1057の方法。
[本発明1059]
変性条件がカオトロピック剤の存在によって起こる、本発明1052~1058のいずれかの方法。
[本発明1060]
カオトロピック剤が、尿素、チオ尿素、塩酸グアニジン、過塩素酸リチウム水酸化物イオン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、本発明1059の方法。
[本発明1061]
a) 式Trp-Xaa-His-Pro-Gln-Phe-Yaa-Zaa (SEQ ID NO: 8) のペプチド配列であって、式中、Xaaは任意のアミノ酸を示し、かつYaaおよびZaaはいずれもGlyを示すか、またはYaaはGluを示しかつZaaはArgもしくはLysを示す、前記ペプチド配列、または
b) 少なくとも2つのストレプトアビジン結合モジュールの連続配置を含むペプチド配列であって、該2つのモジュール間の距離が少なくとも0でありかつ50アミノ酸以下であり、一方の結合モジュールが3~8アミノ酸を有しかつ少なくとも配列-His-Pro-Baa-を含み、ここでBaaはグルタミン、アスパラギン、もしくはメチオニンであり、かつ他方の結合モジュールが、配列-Oaa-Xaa-His-Pro-Gln-Phe-Yaa-Zaa- (SEQ ID NO: 9) を有し、ここでOaaはTrp、Lys、もしくはArgであり、Xaaは任意のアミノ酸であり、かつYaaおよびZaaはいずれもGlyであるか、またはYaaはGluでありかつZaaはLysもしくはArgである、前記ペプチド配列
と融合されているタンパク質を変性条件下で固定化する方法であって、
該タンパク質を固定化するための条件下で、該タンパク質を、本発明1001~1044のいずれかのストレプトアビジン突然変異タンパク質を保有する固相に接触させる段階を含む、前記方法。
[本発明1062]
ペプチド配列が、
Figure 0007094565000003
である、本発明1061の方法。
[本発明1063]
本発明1001~1044のいずれかのストレプトアビジン突然変異タンパク質を含む、それが固定化された固相。
[本発明1064]
アフィニティークロマトグラフィーマトリックスである、本発明1063の固相。
[本発明1065]
アフィニティークロマトグラフィーマトリックスが、セルロース膜、プラスチック膜、多糖ゲル、ポリアクリルアミドゲル、アガロースゲル、多糖グラフトシリカ、ポリビニルピロリドングラフトシリカ、ポリエチレンオキシドグラフトシリカ、ポリ(2-ヒドロキシエチルアスパルトアミド)シリカ、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)グラフトシリカ、スチレン-ジビニルベンゼンゲル、アクリル酸またはアクリルアミドとジオールとの共重合体、多糖とN,N'-メチレンビスアクリルアミドとの共重合体、およびそれらのうちの任意の2つまたはそれ以上の組み合わせからなる群より選択される、本発明1064の固相。
[本発明1066]
本発明1001~1044のいずれかのストレプトアビジン突然変異タンパク質または本発明1063~1066のいずれかの固相を含む試薬キット。
[本発明1067]
緩衝液、補助物質、および添加物からなる群より選択される少なくとも1つの試薬をさらに含む、本発明1066の試薬キット。
本発明のこれらの局面は、以下の説明、図面、および非限定的な実施例を考慮して、より十分に理解されるであろう。
詳細な説明
野生型ストレプトアビジンの127位の配列位置に存在するヒスチジン残基を置換することにより、変性条件下でストレプトアビジン結合ペプチドによる融合タンパク質の精製を可能にする突然変異タンパク質が提供されることが、本発明において見出された。野生型ストレプトアビジンにおいてHis 127をシステイン残基によって置換すると、7 M塩酸グアニジン中でのストレプトアビジンの安定性はわずかに増加しただけであったため、この知見は特に驚くべきことである (Reznik et al., "Streptavidins with intersubunit crosslinks have enhanced stability", Nat Biotechnol. 1996 Aug;14(8):1007-11.)。したがって、このアミノ酸交換によって、ストレプトアビジン結合ペプチドと可逆的に結合するストレプトアビジン突然変異タンパク質が、変性条件下でアフィニティークロマトグラフィーによるタンパク質精製に使用できるようになることは、予測されなかった可能性がある。このことは正に事実である、というのも、変性条件下でのタンパク質精製には、His6タグ/固定化金属キレートアフィニティークロマトグラフィー (IMAC) を使用するというSchmidt & Skerra, Nature Protocols 2、前記の推奨と一致して、wt-ストレプトアビジン配列の44~47位のアミノ酸位置においてアミノ酸配列Val44-Thr45-Ala46-Arg47 (SEQ ID NO: 10) を有するUS 6,103,493のストレプトアビジン突然変異タンパク質「1」は、生理的条件下では本発明の突然変異タンパク質よりも顕著に安定しているものの、変性条件下でのタンパク質精製には適していないことが本発明においてもまた見出されたためである(本出願の実施例4および5を参照されたい)。さらには本明細書において、SEQ ID NO: 1に記載の野生型ストレプトアビジンのアミノ酸配列を基準として、115~121位のアミノ酸位置の領域内に少なくとも1つの変異を含むストレプトアビジン突然変異タンパク質が、His 127のCysによる置換の恩恵を受けることが見出された。115~121位のアミノ酸位置のセグメントの領域内に少なくとも1つの変異を含むそのようなストレプトアビジン突然変異タンパク質は、国際特許出願第WO 20140/76277号に記載されている。したがって、本発明は、タンパク質がその産生中に封入体を形成する場合に備えてストレプトアビジン結合アフィニティータグおよびHis6タグの両方を組換えタンパク質に融合する必要性がなくなるという利点を有する。
さらなる利点として、本発明の突然変異タンパク質は、4 M塩酸グアニジウムへの曝露およびNaOHのような強塩基への曝露などの変性条件下において安定している(実施例4を参照されたい)。したがって、本発明の突然変異タンパク質はまた、タンパク質:タンパク質、タンパク質:ペプチド、およびタンパク質:小分子相互作用を解析するための無標識リアルタイム測定を提供する、例えばForteBioのOctet(登録商標)もしくはGEのBiaCore(登録商標)ファミリーの機器のためのバイオセンサー、またはその表面上に結合している多数の分析物をハイスループット解析するためのチップ、または例えばタンパク質:タンパク質相互作用を解析するための、磁気ビーズもしくはalphascreen(登録商標)ビーズもしくはluminex(登録商標)ビーズなどのビーズのような適用においても、有利に使用することができる。すべてのそのような例において、記載されるストレプトアビジン突然変異タンパク質による各固相のコーティングは、該固相に対して任意のタンパク質を単純に、再現性よく、穏和に、かつ安定して固定化するための一般的プラットフォームを提供する。それと同時に、高濃度のアルカリ(水酸化物イオン)に対するストレプトアビジン突然変異タンパク質の安定性により、さらなる使用のための固相の再生が可能になる。
本発明のストレプトアビジン突然変異タンパク質は、115~121位のアミノ酸位置の領域の外側では、127位の配列位置のシステイン残基の存在は別として、wt-ストレプトアビジンのアミノ酸配列に対応し得る。一方、本発明によるアミノ酸配列はまた、115~121位のアミノ酸の領域の外側でwt-ストレプトアビジン配列と異なってもよい。ストレプトアビジン配列のこのような変種には、天然の変種および人工的に作製された変種が含まれ、改変は、アミノ酸残基の、米国特許第6,103,493号によって開示されたものを含む置換、ジスルフィド結合を含むもの、挿入、欠失、ならびにN末端または/およびC末端の欠失または付加として理解される。
本発明による好ましいストレプトアビジン突然変異タンパク質は、117位、120位、および121位のアミノ酸位置において少なくとも1つの変異を含み、ならびに/または118および119位のアミノ酸の欠失、ならびに少なくとも121位のアミノ酸位置の置換を含む。
これに関連して、ループ中のアミノ酸の欠失は、許容されるのみならず、ストレプトアビジン結合ペプチドを保有する融合タンパク質の精製にとってなお好ましい場合があることに留意されたい。したがって、本発明内で規定される位置における好ましい変化の外側で、付加的な欠失、置換、または付加を含むストレプトアビジン突然変異タンパク質もまた、本発明の範囲内に入る。
したがって、本明細書で用いられる「変異」という用語はまた、アミノ酸残基の欠失も含む(しかしながら、ストレプトアビジンの野生型配列の127位におけるCys残基は、本発明の突然変異タンパク質において常に存在する)。この点において、しかしながら、ストレプトアビジンの114~121位のアミノ酸のループ全体 (TTEANAWK) またはストレプトアビジンの115~121位のアミノ酸のループ領域 (TEANAWK) が欠失しているストレプトアビジン突然変異タンパク質は本発明に包含されないことに留意されたい。むしろ、115~121位のアミノ酸のセグメント内に1つまたは複数の変異を含む本発明の突然変異タンパク質では、少なくとも1つのアミノ酸が115~121位の1つにおいて存在する。これらの態様のいくつかにおいては、118位および/または119位のアミノ酸が欠失されつつ、117位、118位、119位、120位、および121位にアミノ酸が存在する。したがって、このような突然変異タンパク質において、115~121位の配列位置によって形成されるセグメントは、1アミノ酸または2アミノ酸だけ短縮される。115~121位のアミノ酸のセグメント全体が欠失される突然変異タンパク質は本発明において使用されないという上記開示と一致して、Fletcher et al, Journal of Biotechnology 2003に記載されるストレプトアビジンの突然変異タンパク質も本発明によって包含されない。このことは、以下のストレプトアビジン突然変異タンパク質が本明細書において排除されることを意味する:
1. 114~121位の配列位置における野生型アミノ酸残基
Figure 0007094565000004
が欠失している突然変異タンパク質。この突然変異タンパク質は、Fletcher et alにおいてSAPVと命名されている。
2. 欠失された9アミノ酸残基Thr-Thr-Glu-Asp-Asn-Ala-Trp-Lys (SEQ ID NO: 17) がアミノ酸配列
Figure 0007094565000005
によって置換されている、Fletcher et alにおいてSAPV-Alb5およびSAPV-84と命名された2つの突然変異タンパク質。
本発明の好ましいストレプトアビジン突然変異タンパク質は、N末端または/およびC末端において短縮されているストレプトアビジン変種に由来する。最新技術から公知である、N末端およびC末端で短縮されている最小ストレプトアビジンが、特に好ましい。本発明による好ましいポリペプチドは、変異誘発領域の外側で、N末端が10~16位のアミノ酸位置の領域内で始まり、かつC末端が133~142位のアミノ酸位置の領域内で終結する最小ストレプトアビジンのアミノ酸配列を含む。そのようなストレプトアビジン突然変異タンパク質ポリペプチドは、好ましくは、変異領域の外側で、Ala13位~Ser139位のアミノ酸配列を含み、任意にAla13の代わりにN末端メチオニン残基を有する最小ストレプトアビジンに対応する。本出願において、アミノ酸位置の番号付けは、全体を通して成熟wt-ストレプトアビジンの番号付けを指し(Argarana et al., Nucleic Acids Res. 14 (1986), 1871-1882、図1ならびにSEQ ID NO: 1およびNO:2も参照されたい)、成熟wt-ストレプトアビジンはまたアクセッション番号UniProtKB - P22629として寄託されている。
特に好ましい、本発明による、115~121位のアミノ酸位置の領域内に1つまたは複数の変異を保有するストレプトアビジン突然変異タンパク質は、異なるサブクラスにおいて特徴づけられ得る。
第1に、117位、120位、および121位に見出されるアミノ酸は、118位および119位における2つのアミノ酸の欠失の存在または非存在に応じて、別個に考慮され得る。これら2つの異なるケースにおいて117位、120位、および121位に見出され、したがって各ケースにおいてストレプトアビジン結合ペプチドの結合に寄与し得るアミノ酸を、図2に要約する。
欠失を伴わない突然変異タンパク質は、以下のように特徴づけられ得る:
それらは、
i) 120位における、SerもしくはAla、または最も好ましくはGlyのような小さい残基と組み合わせて、次にこれを121位における疎水性残基、最も好ましくはTrp、Tyr、もしくはPheのようなかさ高い疎水性残基と組み合わせて、または
ii) Leu、Ile、Met、もしくはVal、またはより好ましくはTyrもしくはPheである、120位の疎水性残基と組み合わせて、次にこれを121位における、Gly、Ala、もしくはSerのような小さい残基、またはGln、またはLeu、Val、lle、Trp、Tyr、Phe、もしくはMetのような疎水性残基と組み合わせて、
117位に、最も好ましくは、Trp、Tyr、もしくはPheのような大きな疎水性残基、またはGlu、Asp、もしくはArgのような荷電残基、またはAsnもしくはGlnのような親水性残基を保有し、またはより低い好ましさで、疎水性残基Leu、Met、もしくはAla、または極性残基Thr、Ser、もしくはHisを保有する。
118位および119位のアミノ酸位置が欠失している突然変異タンパク質は、以下のように特徴づけられ得る:
Phe、Tyr、またはTrpのようなかさ高い疎水性残基の好ましさはより低いが、117位は任意のアミノ酸であってよく、次に120位は最も好ましくはTrpであり、かつより低い好ましさでValであり、121位は同様に疎水性アミノ酸、最も好ましくはMet、Leu、Tyr、もしくはPheであるか、または121位は小さい親水性残基、最も好ましくはSerもしくはThrであるか、または121位はArgである。例証的な特定の突然変異タンパク質配列の概要をまた、下記の表1~5に示す。
いくつかの態様において、本発明のストレプトアビジン突然変異タンパク質は、野生型配列の中の117~121位の配列の117位、120位、および121位に対する第1配列モチーフを有し、これは最も重要な特徴として、120位の配列位置にGly残基 (Gly120) を含む。このようなモチーフは、121位の配列位置に、好ましくはPheもしくはTyr残基、またはより低い好ましさでMet残基を保有し、117位の配列位置にGlu、Asp、Arg、His、Leu、Met、Asn、Gln、Thr、またはSer残基を保有し、したがってこのモチーフにおいて117位はより可変的である。このような突然変異タンパク質は、118位および119位の配列位置に、野生型ストレプトアビジンアミノ酸Asn118および/またはAla119を有し得る(図2も参照されたい)。しかしながら、Asn118およびAla119が別のアミノ酸残基によって置換されることもまた、本発明の範囲内に入る。この変異は、保存的置換(Asn118の例えばGlnもしくはAspによる置換、またはAla119の例えばSer、Val、もしくはIleによる置換)、または非保存的置換(Asn118の例えば正荷電または疎水性アミノ酸残基による置換)のいずれかであってよい。このモチーフ1はしたがって、以下のコンセンサス配列1:
Xaa117Gly120Yaa121
を特徴とし得、ここでXaaは任意のアミノ酸であってよく、かつYaaはPheまたはTyrまたはMetであってよい。
117~121位の第2配列モチーフにおいて、本明細書において開示されるストレプトアビジン突然変異タンパク質は、120位の配列位置に疎水性または芳香族アミノ酸残基を含む(図2も参照されたい)。120位の配列位置におけるこの疎水性または芳香族アミノ酸は、好ましくはTyr、Phe、Leu、Ile、またはMetである。この第2配列モチーフにおいて、疎水性または芳香族アミノ酸はまた、121位の配列位置に存在し得る(120位とは独立して選択される)。121位の好ましい残基はLeu、Ile、およびMetであり、より低い好ましさのものはGly、Gln、Trp、Ser、Ala、またはValである。加えて、このような突然変異タンパク質はまた、120位および121位の配列位置とは独立して、117位の配列位置に変異を有し得る。117位の配列位置における好ましい変異はTyrまたはPheであり、より低い好ましさのものはArg、Trp、またはGln残基である。またこの第2配列モチーフのこのような突然変異タンパク質は、118位および119位の配列位置に、野生型ストレプトアビジンアミノ酸Asn118および/もしくはAla119、または変異残基のいずれかを有し得る。このモチーフ2はしたがって、以下のコンセンサス配列2:
Aaa117Baa120Caa121
を特徴とし得、ここでAaaはTyr、Phe、Arg、Trp、またはGlnであってよく、BaaはTyr、Phe、Leu、Ile、またはMetであってよく、かつCaaは任意のアミノ酸であってよい。
117~121位の配列位置に変異を有する、本明細書において開示されるストレプトアビジン突然変異タンパク質の第3配列モチーフにおいて、118位および119位の配列位置における残基は欠失している(図2も参照されたい)。この状況において、117位の配列位置では、His、Glu、Gln、Thr、Arg、Asn、Lys、Ser、Ala、またはIle残基が好ましく、120位の配列位置では、非常に好ましいアミノ酸はTrp残基であり、またはより低い好ましさでVal残基であり、121位の配列位置では、Tyr、Leu、Met、Thr、Ser、Phe、またはArg残基が好ましい。このモチーフ3はしたがって、以下のコンセンサス配列3:Daa117Eaa118Faa119Gaa120Haa121
を特徴とし得、ここでDaaおよびHaaは任意のアミノ酸であってよく、EaaおよびFaaはどちらも欠失しており、かつGaaはTrpまたはValであってよい。
しかしながら、上記で説明され、かつ図2に示されるコンセンサス配列1~3は、wt-ストレプトアビジンの117~121位の配列位置の領域における、本発明の適切な突然変異タンパク質の変異に対する限定として、決して見なされるべきではない。このセグメント内の変異のさらなる具体例は、以下の表1~5に示される。そのような変異を有するストレプトアビジン突然変異タンパク質、およびストレプトアビジン結合ペプチドと結合するそれらの能力が、国際特許出願第WO 2014/076277号において最初に記載されたことに、ここで留意されたい。
表1~5:wt-ストレプトアビジンのアミノ酸配列の117~121位の配列位置における本発明の突然変異タンパク質の変異の例。
(表1)
Figure 0007094565000006
(表2)
Figure 0007094565000007
(表3)
Figure 0007094565000008
(表4)
Figure 0007094565000009
(表5)
Figure 0007094565000010
表1~5によって開示されるように、本発明の例証的ストレプトアビジン突然変異タンパク質は、野生型ストレプトアビジンのアミノ酸配列の117~121位の配列位置に、SEQ ID NO: 21~97のいずれかの配列の1つを含むかまたは有する。これらのストレプトアビジン突然変異タンパク質は、他の配列位置のいずれかにおいて、野生型ストレプトアビジン配列、または任意の公知のストレプトアビジン突然変異タンパク質の配列、例えば44~47位のアミノ酸位置にアミノ酸配列Val44-Thr45-Ala46-Arg47 (SEQ ID NO: 10) もしくはIle44-Gly45-Ala46-Arg47 (SEQ ID: 11) を含む公知の突然変異タンパク質「1」もしくは「2」の配列のいずれかを有し得る。
いくつかの態様において、本発明の突然変異タンパク質は、117~121位の配列位置に、
Figure 0007094565000011
の群からなるアミノ酸配列を含む。そのような突然変異タンパク質も同様に、例えば、任意の他の位置において、野生型ストレプトアビジン配列、突然変異タンパク質「1」または突然変異タンパク質「2」の配列のいずれかを含み得る(本発明のすべての突然変異タンパク質によって共有される127位のCys残基は別として)。
他の例証的態様において、本発明のストレプトアビジン突然変異タンパク質は、127位の配列位置のCys残基に加えて、国際特許出願第WO 2014/076277号の図4に示される以下の突然変異タンパク質、すなわち以下の突然変異タンパク質:
m400、m402、m4001、突然変異タンパク質「1」-m36、突然変異タンパク質「1」-m23、突然変異タンパク質「1」-m41、突然変異タンパク質「1」-m4、突然変異タンパク質「1」-m12、突然変異タンパク質「1」-m22、突然変異タンパク質「1」-m31、突然変異タンパク質「1」-m32、突然変異タンパク質「1」-m35、突然変異タンパク質「1」-m38、突然変異タンパク質「1」-m40、突然変異タンパク質「1」-m42、突然変異タンパク質「1」-m45、突然変異タンパク質「1」-m46、突然変異タンパク質「1」-m47、突然変異タンパク質「1」-m7、突然変異タンパク質「1」-m10、突然変異タンパク質「1」-m17、突然変異タンパク質「1」-m21、突然変異タンパク質「1」-m24、突然変異タンパク質「1」-m27、突然変異タンパク質「1」-m28、突然変異タンパク質「1」-m30、突然変異タンパク質「1」-m33、突然変異タンパク質「1」-m1、突然変異タンパク質「1」-m3、突然変異タンパク質「1」-m8、突然変異タンパク質「1」-m15、突然変異タンパク質「1」-m6、突然変異タンパク質「1」-m9、突然変異タンパク質「1」-m20、突然変異タンパク質「1」-m34、突然変異タンパク質「1」-m14、突然変異タンパク質「1」-m18、突然変異タンパク質「1」-m19、m4001-m8、m4001-m21、m4001-m9、m4001-m1、m4001-m2、m4001-m3、m4001-m5、m4001-m13、m4001-m14、m4001-m24、m4001-m4、m4001-m6、m4001-m7、m4001-m10、m4001-m15、m4001-m23、m4001-m17、m4001-m12、m4001-m20、突然変異タンパク質「1」-m101、突然変異タンパク質「1」-m106、突然変異タンパク質「1」-m111、突然変異タンパク質「1」-m100、突然変異タンパク質「1」-m110、突然変異タンパク質「1」-m104、突然変異タンパク質「1」-m108、突然変異タンパク質「1」-m207、突然変異タンパク質「1」-m212、突然変異タンパク質「1」-m202、突然変異タンパク質「1」-m204、突然変異タンパク質「1」-m206、突然変異タンパク質「1」-m208、突然変異タンパク質「1」-m203、突然変異タンパク質「1」-m209、突然変異タンパク質「1」-m200、突然変異タンパク質「1」-m201、突然変異タンパク質「1」-m211、突然変異タンパク質「1」-m300、突然変異タンパク質「1」-m301、突然変異タンパク質「1」-m302、突然変異タンパク質「1」-m303、突然変異タンパク質「1」-m304、およびm1-9
のいずれかの配列を含み得るか、またはそのような配列からなり得る。
ここで本発明の突然変異タンパク質の実用的使用を考えると(例えば、変性条件下でのアフィニティークロマトグラフィーのため)、ストレプトアビジン結合ペプチドよりも結合親和性がより高いことにより、または/およびより高濃度で存在することにより、本発明によるストレプトアビジン突然変異タンパク質からストレプトアビジン結合ペプチド(例えば、本明細書に記載されるStrep-tag(登録商標)(II) ペプチドまたはDi-tagペプチド)の結合を脱離させ得るリガンドを使用することが望ましいと考えられる。通常、このリガンドは、Strep-tag(登録商標)ペプチドの競合物として働く。この(競合的)リガンドは通常、遊離型で存在し、これは任意のタンパク質または他の分子に融合されていないことを意味する。このようにして、結合しているストレプトアビジン結合ペプチドリガンド、またはStrep-tag(登録商標)(II) ペプチドもしくはDi-tagペプチドなどのストレプトアビジン結合ペプチドが融合されているタンパク質を、選択された、例えば変性溶出条件下で放出させることが可能である(一般的に競合溶出による)。これは、例えば、ストレプトアビジン突然変異タンパク質アフィニティーカラムから結合している融合タンパク質を溶出させるのに、または本発明のストレプトアビジン突然変異タンパク質(多量体)の骨格を介して多量体化されている、ストレプトアビジン結合ペプチドを保有する多量体低親和性融合タンパク質の結合を逆転させるのに重要である。したがって、この局面において、本発明は、ペプチドリガンドに対するその結合親和性が、それらが、例えばビオチン、イミノビオチン、リポ酸、チオビオチン、デスチオビオチン、ジアミノビオチン、HABA(ヒドロキシアゾベンゼン‐安息香酸)、または/およびジメチル-HABAのような他のストレプトアビジンリガンドによって競合的に溶出され得るようなものである、ストレプトアビジン突然変異タンパク質に関する。HABAまたはジメチル-HABAなどの着色物質の使用は、カラムからの溶出を視覚的に確認することができるという利点を有し得る。しかしながら、これとは関係なく、ペプチドリガンドに対する、特にStrep-tag(登録商標)IIに対する本発明のストレプトアビジン突然変異タンパク質の結合親和性は通常、wt-ストレプトアビジンのものよりも、または米国特許第6,103,493号において開示された突然変異タンパク質「1」もしくは「2」ものよりも高い。したがって、いくつかの態様においては、チオビオチンまたはビオチンのようなより高い親和性のリガンドが、鋭敏な溶出のために好ましい。あるいは、例えば本明細書に記載されるような、ビオチン結合ポケットに結合する単離されたペプチドリガンドを、競合溶出に使用することもできる。完全を期すために、本発明のストレプトアビジン突然変異タンパク質へのストレプトアビジン結合ペプチド(通常は関心対象のタンパク質に融合されているか、または複合化されている)の相互作用/結合は、競合溶出によって、またこの非共有結合複合体を破壊することができる任意の他の手段によって、必ずしも破壊され得ないことに留意されたい。例えば、そのような融合タンパク質が、表面プラズモン共鳴チップ、ELISAプレート、またはさらにはクロマトグラフィー樹脂などの、本発明のストレプトアビジン突然変異タンパク質でコーティングされている表面上に固定化される場合、その結合は、例えばNaOHなどの塩基の添加によるpHの変化によって破壊され得る。このようなアプローチは、本発明のストレプトアビジン突然変異タンパク質が固定化された表面プラズモン共鳴チップ、またクロマトグラフィー樹脂の再生に実に好ましい場合がある。
ある特定の検出方法にとっては、本発明のストレプトアビジン突然変異タンパク質を標識された形態で使用することが好ましい場合がある。したがって、本発明のさらなる主題は、少なくとも1つの標識を保有することを特徴とする、本発明によるポリペプチドである。適切な標識基は当業者に公知であり、通常の放射標識、蛍光標識、発光標識、および発色団標識、ならびに化学反応または酵素反応において決定され得る物質を生じる物質および酵素を含む。これに関連して、wt-ストレプトアビジンについて公知である標識もすべて、本発明によるストレプトアビジン突然変異タンパク質に結合させることができる。
本発明のさらなる局面は、本発明のストレプトアビジン突然変異タンパク質をコードする配列を含む核酸に関する。このような核酸は任意に、シグナルペプチドをコードする配列に機能的に連結され、特定の態様においては、シグナルペプチドをコードする配列はOmpAシグナルペプチドの配列である。その上、他のシグナルペプチドを使用することも可能であり、これは特に使用される発現系または宿主細胞に応じて実に好ましい場合がある。多くのこのようなシグナルペプチドが最新技術において公知であり、本明細書では詳細に解明しない。しかしながら、細胞質発現、すなわちシグナル配列の代わりに開始メチオニンを使用するものが好ましい(Schmidt & Skerra, J. Chromatogr. A 676 (1994), 337-345を参照されたい)。
本発明のさらなる局面は、有効な機能的環境中に前述の核酸分子の少なくとも1コピーを含むベクターに関する。有効な機能的環境とは、発現、すなわちmRNAの転写または/およびその後のプロセシングを可能にする、支持する、促進する、または/および増加させる要素として理解される。このような要素の例は、プロモーター、エンハンサー、転写開始部位および終結部位、翻訳開始部位、ポリA部位等である。
ベクターは意図される発現系に応じて選択され、このために、単一コピープラスミド、多コピープラスミド、および宿主ゲノム中への核酸の組込みを促進する媒体が考慮される。多くの適切なベクターが最新技術から公知であり、本明細書では詳細に説明しない。それらは任意に、耐性、選択マーカー、または/および例えば核酸の増幅もしくは発現の誘導を可能にする要素などの、ベクターに用いられる標準的な要素を含む。
本発明のさらなる局面は、本発明によるストレプトアビジン突然変異タンパク質をコードする核酸配列の少なくとも1コピーを挿入物として保有するベクターで形質転換またはトランスフェクトされた細胞に関する。細胞の選択は特に重要ではなく、一般に、このような目的に適している任意の細胞を使用することが可能である。原核細胞および真核細胞ならびに酵母が考慮される。実用的な理由で、この場合のように非グリコシル化タンパク質の発現のためには、原核細胞が一般に好ましく、特に大腸菌が好ましい。
本発明のなおさらなる局面は、以下の段階を特徴とする、本発明によるストレプトアビジン突然変異タンパク質を生成するためのプロセスに関する:
(a) ストレプトアビジン突然変異タンパク質をコードする核酸を含むベクターで適切な宿主細胞を形質転換する段階、
(b) ストレプトアビジン突然変異タンパク質の発現が起こる条件下で、該宿主細胞を培養する段階、
(c) 該ポリペプチドを単離する段階。
生成プロセスに関して、本発明によるストレプトアビジン突然変異タンパク質は、内因性ビオチンに結合するそれらの能力に起因して、毒性効果を有し得る。したがって、宿主細胞を培養する場合には、生じる発現産物が、使用される宿主細胞の内部から、例えば適切なシグナル配列によってペリプラズム中もしくは培養基中に運搬されるか、またはそれが不溶性封入体の形態で細胞の内部で凝集するように、条件が選択されるべきである。前者の場合では、本発明によるストレプトアビジン突然変異タンパク質は、ペリプラズム細胞画分または細胞上清から単離され得るのに対して、後者の場合では、本発明によるプロセスの段階 (c) は、宿主細胞の溶解、封入体形態のストレプトアビジン突然変異タンパク質の単離、およびストレプトアビジン突然変異タンパク質の再生を含む。この場合、宿主細胞として大腸菌が好ましい。
本発明によるストレプトアビジン突然変異タンパク質またはストレプトアビジン突然変異タンパク質/ペプチドリガンドシステムの実用的適用は本質的に、従来のストレプトアビジン/ビオチンシステムまたはストレプトアビジン/ペプチドリガンドシステムのものと同様である。しかしながら、上記のように、本明細書に記載される突然変異タンパク質は、変性条件を提供する1つまたは複数のカオトロープ試薬の存在下でこれらすべての実用的適用を行うことができるという利点を有する。従来のストレプトアビジン/ビオチンシステムに勝る、または米国特許第6,103,493号によって開示されたシステムに勝るこの利点は、特に、アフィニティークロマトグラフィー、および組換えタンパク質の精製、単離、または決定方法に適用される。
したがって、本発明はまた、タンパク質を変性条件下で単離する、精製する、検出する、または固定化する方法における、本発明によるストレプトアビジン突然変異タンパク質の使用に関する。関心対象のタンパク質は、(a) 式Trp-Xaa-His-Pro-Gln-Phe-Yaa-Zaa (SEQ ID NO: 8) のペプチド配列であって、式中、Xaaは任意のアミノ酸を示し、かつYaaおよびZaaはいずれもGlyを示すか、またはYaaはGluを示しかつZaaはArgもしくはLysを示す、前記ペプチド配列と融合させることができる。あるいは、関心対象のタンパク質は、(b) 少なくとも2つのストレプトアビジン結合モジュールの連続配置を含むペプチド配列であって、該2つのモジュール間の距離が少なくとも0でありかつ50アミノ酸以下であり、一方の結合モジュールが3~8アミノ酸を有しかつ少なくとも配列-His-Pro-Baa-を含み、ここでBaaはグルタミン、アスパラギン、もしくはメチオニンであり、かつ他方の結合モジュールが、配列-Oaa-Xaa-His-Pro-Gln-Phe-Yaa-Zaa- (SEQ ID NO: 9) を有し、ここでOaaはTrp、Lys、もしくはArgであり、Xaaは任意のアミノ酸であり、かつYaaおよびZaaはいずれもGlyであるか、またはYaaはGluでありかつZaaはLysもしくはArgである、前記ペプチド配列と融合させることができる。そのような少なくとも2つのストレプトアビジン結合モジュールの連続配置を伴うアフィニティーペプチドは、例えば、国際特許出願第WO 02/077018号または米国特許第7,981,632号から公知である。
単離、精製、または検出のこの方法においては、該ペプチド配列がストレプトアビジン突然変異タンパク質と結合するのに適した条件下で、かつそれと同時に変性条件下で、単離または精製されるタンパク質を含む液体を、任意に固定化されたストレプトアビジン突然変異タンパク質と接触させる。その後、得られた複合体を該液体から分離し、該タンパク質を該複合体から放出させるかまたは検出する。いくつかの態様において、ペプチド配列は好ましくはStrep-tag(登録商標)IIである。他の態様において、ペプチド配列は好ましくは、国際特許出願第WO02/077018号もしくは米国特許第7,981,632号において記載されるdi-tag3配列
Figure 0007094565000012
、di-tag2配列
Figure 0007094565000013
、または配列
Figure 0007094565000014
(SEQ ID NO: 7、Twin-Strep-tag(登録商標)としても公知である)である。ペプチド配列は好ましくは、タンパク質のN末端または/およびC末端に融合される。ストレプトアビジン突然変異タンパク質は、固相に結合していてよく、またはそれに結合することができる。
単離または精製方法において本発明によるストレプトアビジン突然変異タンパク質/ペプチドリガンドシステムを使用する利点は、非常に穏和な条件(変性条件は別として)を用いて、該ペプチドリガンドを保有する融合タンパク質を溶出させることができる点である。したがって、複合体から融合タンパク質を再度放出させるために、融合タンパク質が吸着している、例えばアフィニティークロマトグラフィーカラムなどのストレプトアビジン突然変異タンパク質結合固相を、ビオチンおよびその誘導体より選択される適切な濃度のリガンドと共にインキュベートすることが可能である。これに関連して、ビオチンの使用が特に有益であることが判明した。
本発明によるストレプトアビジン突然変異タンパク質は、従来のストレプトアビジンについて公知である対応する方法と本質的に同様の様式で、検出方法において使用することができる。さらなる適用は、(a) 式Trp-Xaa-His-Pro-Gln-Phe-Yaa-Zaaのペプチド配列であって、式中、Xaaは任意のアミノ酸を示し、かつYaaおよびZaaはいずれもGlyを示すか、またはYaaはGluを示しかつZaaはArgもしくはLysを示す、前記ペプチド配列と融合され得る関心対象のタンパク質の変性条件下での定性的または定量的決定である。あるいは、関心対象のタンパク質は、(b) 少なくとも2つのストレプトアビジン結合モジュールの連続配置を含むペプチド配列であって、該2つのモジュール間の距離が少なくとも0でありかつ50アミノ酸以下であり、一方の結合モジュールが3~8アミノ酸を有しかつ少なくとも配列-His-Pro-Baa-を含み、ここでBaaはグルタミン、アスパラギン、もしくはメチオニンであり、かつ他方の結合モジュールが、配列-Oaa-Xaa-His-Pro-Gln-Phe-Yaa-Zaa- (SEQ ID NO: 9) を有し、ここでOaaはTrp、Lys、もしくはArgであり、Xaaは任意のアミノ酸であり、かつYaaおよびZaaはいずれもGlyであるか、またはYaaはGluでありかつZaaはLysもしくはArgである、前記ペプチド配列と融合させることができる。この方法では、該ペプチド配列をストレプトアビジン突然変異タンパク質に結合させるために、決定されるべきタンパク質を、変性条件下であるが、その他の点では適切な条件下で標識ストレプトアビジン突然変異タンパク質と接触させ、洗浄し、標識を決定する。このような決定方法は、例えば、ウェスタンブロットにおいてタンパク質を検出するために定性的に、またはELISAのように定量的に実施することができる。適切な標識は、いずれも公知である放射標識基および非放射標識基、例えば、発光基、酵素、金属、金属錯体等である。ストレプトアビジンは、例えば共有結合によって直接標識され得る。しかしながら、標識抗ストレプトアビジン抗体またはビオチン化酵素等などの間接的標識もまた使用され得る。
本発明のさらなる有益な局面は、(a) ペプチド配列Trp-Xaa-His-Pro-Gln-Phe-Yaa-Zaaであって、配列中、Xaaは任意のアミノ酸を示し、かつYaaおよびZaaはいずれもGlyを示すか、またはYaaはGluを示しかつZaaはArgもしくはLysを示す、前記ペプチド配列と融合されている関心対象のタンパク質を変性条件下で固定化するための、本発明によるストレプトアビジン突然変異タンパク質の使用である。あるいは、関心対象のタンパク質は、(b) 少なくとも2つのストレプトアビジン結合モジュールの連続配置を含むペプチド配列であって、該2つのモジュール間の距離が少なくとも0でありかつ50アミノ酸以下であり、一方の結合モジュールが3~8アミノ酸を有しかつ少なくとも配列-His-Pro-Baa-を含み、ここでBaaはグルタミン、アスパラギン、もしくはメチオニンであり、かつ他方の結合モジュールが、配列-Oaa-Xaa-His-Pro-Gln-Phe-Yaa-Zaa- (SEQ ID NO: 9) を有し、ここでOaaはTrp、Lys、もしくはArgであり、Xaaは任意のアミノ酸であり、かつYaaおよびZaaはいずれもGlyであるか、またはYaaはGluでありかつZaaはLysもしくはArgである、前記ペプチド配列と融合される。1つの態様において、ペプチド配列は、配列
Figure 0007094565000015
である。別の態様において、ペプチド配列は、配列
Figure 0007094565000016
である。この固定化は好ましくは、マイクロタイタープレート、ビーズ(例えば、アガロース、または例えばポリメタクリル酸のような他のポリマーでできている)、有機材料もしくは常磁性材料でできたマイクロビーズ、有機材料もしくは常磁性材料でできたナノビーズ、またはBiacore(商標)チップなどのセンサーチップ、または例えば側方流動アッセイのために、もしくはタンパク質アレイを作製するために用いられるような他の支持体などの、本発明のストレプトアビジン突然変異タンパクでコーティングされた固相上で実施される。
「変性条件」、「変性」、および「変性の」という用語は、タンパク質化学/タンパク質折りたたみの分野におけるそれらの通常の意味に従って本明細書で用いられる。したがって、「変性」は、タンパク質が、カオトロピック剤への曝露およびカオトロピック剤との接触により、天然状態において存在する四次構造、三次構造、および/または二次構造を失う過程を指すために用いられる。カオトロピック剤(カオトロープ)とは、水溶液中で水分子間の水素結合ネットワークを破壊し得る(すなわち、カオトロピック活性を発揮する)化合物である。これは、疎水性効果を弱めることによって、水溶液中に存在するタンパク質の天然状態の安定性に影響を及ぼす。カオトロピック剤は、例えば、バルクおよび疎水性アミノ酸周囲の水和殻の双方における水分子によって形成されるタンパク質の構造において秩序の量を減少させ、その変性を引き起こし得る。したがって、本明細書で用いられる「変性条件」とは、関心対象のタンパク質の折りたたみ構造の少なくとも部分的喪失を誘導し得る量でカオトロピック剤が存在する条件を指す。本発明の方法において使用され得るカオトロピック剤の例には、これらに限定されないが、尿素、チオ尿素、塩酸グアニジン、過塩素酸リチウム、水酸化物イオン、およびそれらの組み合わせが含まれる。変性条件の具体例には、約2 M~約6 Mの塩酸グアニジウムの存在(約6 Mのように高濃度の塩酸グアニジウムにおいて、タンパク質はそれらの秩序構造を失い、そしてランダムコイル化する傾向がある)、約1~約8 Mの尿素の存在、または過塩素酸リチウムの濃縮溶液(例えば、約4.5 M)の使用が含まれる。例えば、約0.05 M、または約1 M、または約2 Mという濃度の水酸化物イオン(1 Nまたは2 N NaOH溶液に等しい)の存在は、本発明の方法において使用される変性条件のさらなる例である。
これに関連して、従来のストレプトアビジン/ビオチン(誘導体)システムにおいて本発明によるストレプトアビジン突然変異タンパク質を使用することも可能であることに留意されたい。言い換えると、これは、ストレプトアビジンに結合し得る基を保有する物質を決定または単離するための、本発明によるストレプトアビジン突然変異タンパク質の使用を意味する。wt-ストレプトアビジンの一部のみが本発明によるストレプトアビジン突然変異タンパク質によって置換される場合、特定の効果は、混合四量体の形成を介してこれに関連して達成され得る。
本発明のさらなる局面は、本明細書に記載されるストレプトアビジン突然変異タンパク質が固定化された固相に関する。適切な固相の具体例には、セルロース膜、プラスチック膜、バイオセンサー、側方流動装置、またはアフィニティークロマトグラフィーマトリックスが含まれる。アフィニティークロマトグラフィーマトリックスの例には、少し記述するだけでも、多糖ゲル、ポリアクリルアミドゲル、アガロースゲル、多糖グラフトシリカ、ポリビニルピロリドングラフトシリカ、ポリエチレンオキシドグラフトシリカ、ポリ(2-ヒドロキシエチルアスパルトアミド)シリカ、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)グラフトシリカ、スチレン-ジビニルベンゼンゲル、アクリル酸またはアクリルアミドとジオールとの共重合体、多糖とN,N'-メチレンビスアクリルアミドとの共重合体、およびそれらのうちの任意の2つまたはそれ以上の組み合わせが含まれる。本発明においても適している周知のアフィニティークロマトグラフィーマトリックス(または固定相)のさらなる例には、誘導体化シリカまたは架橋ゲルが含まれる。架橋ゲル(典型的にビーズ形態で製造される)は、天然ポリマー、すなわち天然に存在するポリマークラスに基づき得る。例えば、クトマトグラフィー固定相の基礎となる天然ポリマーは多糖である。各多糖は一般に架橋される。多糖マトリックスの例は、アガロースゲル(例えば、Superflow(商標)アガロースもしくはSepharose(登録商標)材料、例えば、異なるビーズサイズおよび孔径で市販されているSuperflow(商標)Sepharose(登録商標)など)、または架橋デキストランのゲルである。さらなる具体例は、デキストランが共有結合している粒状架橋アガロースマトリックスであり、これは、いずれもGE Healthcareから入手可能なSephadex(登録商標)またはSuperdex(登録商標)のように、(様々なビーズサイズおよび様々な孔径で)市販されている。そのようなクロマトグラフィー材料の別の具体例は、Sephacryl(登録商標)であり、これもまたGE Healthcareから異なるビーズサイズおよび孔径で入手可能である。
本発明のなおさらなる局面は、本発明によるストレプトアビジン突然変異タンパク質、または本明細書に記載されるストレプトアビジン突然変異タンパク質が固定化された固相を含む、試薬キットに関する。キットは任意に、標準的な緩衝液および補助物質および添加物を含み得る。このような試薬キットは、上記の単離、精製、アッセイ、または決定方法の1つにおいて用いられることが特に意図される。しかしながら、本キットはまた、従来のストレプトアビジン/ビオチンシステムが用いられる他の方法、例えば核酸ハイブリダイゼーションアッセイまたは免疫測定法にも適している。本試薬キットは、遊離の非修飾タンパク質として、または/および固相に結合された形態で、または/および標識された形態で、本発明によるストレプトアビジン突然変異タンパク質を含み得る。
本発明を、以下の表、図面、および実施例によってさらに例証する。
(図1)図1Aは、成熟野性型ストレプトアビジンの全長アミノ酸配列(残基1~159:SEQ ID NO: 1)を示し、図1Bは、本発明の突然変異タンパク質を作製するために本発明において使用された短縮型の成熟野性型ストレプトアビジンのアミノ酸配列(残基14~139:SEQ ID NO: 2)を示す。
(図2)ストレプトアビジン配列の残基117~121のペプチドセグメント内に少なくとも1つの変異を有する本発明の突然変異タンパク質の3つの配列モチーフを示す。好ましい残基を太文字で示し、それほどは好ましくない残基を通常文字で示す。アミノ酸残基は位置的 (positionwise) であると見なされ、原理的には、各々を別の位置に存在する任意の他のものと組み合わせることができる。配列モチーフ1は、グリシンが120位で非常に好ましく、かつ、121位の大きな疎水性残基、好ましくはチロシンもしくはフェニルアラニン、またはより低い好ましさでメチオニン、および117位の荷電残基、好ましくはグルタミン酸、アスパラギン酸、アルギニン、もしくはヒスチジン、またはより低い好ましさでグルタミン、アスパラギン、セリン、もしくはスレオニンのような親水性残基、またはロイシンもしくはメチオニンのような疎水性残基と組み合わせることができることを特徴とする。配列モチーフ2は、120位において、小さなグリシンの代わりに大きな疎水性残基、好ましくはチロシンまたはフェニルアラニンが非常に好ましく、しかしトリプトファンは好ましくなく、またこの120位においてはロイシン、イソロイシン、またはメチオニンがそれほどは好ましくないことを特徴とする。疎水性残基はまた117位および121位でも好ましく、それによって芳香族チロシンまたはフェニルアラニンが117位には好ましく、大きいが非芳香族の疎水性残基、最も好ましくはロイシン、イソロイシン、およびメチオニンが121位には好ましい。117位にそれほどは好ましくないのは、残基アルギニン、トリプトファン、またはグルタミンであり、121位にそれほどは好ましくないのは、残基グルタミン、グリシン、トリプトファン、セリン、アラニン、またはバリンである。配列モチーフ3は、118位および119位のアミノ酸が欠失していることを特徴とする。この場合、元の120位のトリプトファンが極めて好ましく、バリンはそれほどは好ましくなく、これらの残基は好ましくは121位のチロシンと組み合わせることができ、それによってロイシン、メチオニン、スレオニン、セリン、フェニルアラニン、またはアルギニンのような他の残基が121位に存在してもよく、117位には、最も好ましくは、ヒスチジン、グルタミン、もしくはグルタミン酸のような水素結合受容体および/もしくは供与体、またはより低い好ましさで、スレオニン、アルギニン、アスパラギン、リジン、セリン、アラニン、もしくはイソロイシンのような他の残基を有する。
(図3)野生型ストレプトアビジン (SEQ ID NO: 2)、および米国特許第6,103,493号に記載される突然変異タンパク質「1」(SEQ ID NO: 12)(「Strep-tactin(登録商標)」という登録商標で市販されている)の14~139位のアミノ酸位置のアミノ酸配列と整列させた、本明細書において実験的に作製され、特徴づけられたすべての突然変異タンパク質(突然変異タンパク質m302 (SEQ ID NO: 13)、m302C (SEQ ID NO: 14)、m1-9 (SEQ ID NO: 15)、およびm1-9C (SEQ ID NO: 16))のアミノ酸配列を示す。突然変異タンパク質が大腸菌によって、その後再折りたたみ、精製、および解析される封入体としてサイトゾル中に産生された場合、得られたタンパク質配列は、示されるようにN末端(13位、図4には示していない)に付加的なメチオニンを伴って産生された。突然変異タンパク質m302およびm302Cにおける欠失アミノ酸は、ダッシュ記号 (-) によって示す。これら2つの突然変異タンパク質に関して、アミノ酸の番号付けは、相当する位置の比較性を維持する様式で行った。しかしながら、118位および119位の配列位置のアミノ酸残基が欠失している突然変異タンパク質m302およびm302Cは、突然変異タンパク質「1」ならびに突然変異タンパク質m1-9およびm1-9C(127アミノ酸残基の長さを有する)よりも2アミノ酸短い125アミノ酸残基を有することに留意すべきである。本発明の突然変異タンパク質(m302Cおよびm1-9C)において、127位の配列位置のCys残基に下線を引き、太字で示す。加えて、突然変異タンパク質m302、m302C、m1-9、およびm1-9Cにおける117~121位の配列位置の領域内の変異したアミノ酸を太文字で示す。
(図4)突然変異タンパク質「1」と比較した突然変異タンパク質m302、m302C、m1-9、およびm1-9Cの安定性のSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動 (PAGE) 解析を示す。ストレプトアビジン突然変異タンパク質に及ぼすSDS(界面活性剤)の変性効果の影響を決定することができるように、SDS-PAGE用の試料は、ゲルに負荷する前に煮沸しなかった。SDS-PAGEは非還元条件下で行った。
(図5)ストレプトアビジンペプチド
Figure 0007094565000017
がC末端に融合されたネコ免疫不全ウイルスGagタンパク質(FIV GAG)の、変性条件下でのアフィニティークロマトグラフィーによる精製の効率のSDS-PAGEゲル解析を示す。図5のSDS-PAGE解析は、本発明のストレプトアビジン突然変異タンパク質m1-9Cを用いるアフィニティークロマトグラフィーと、突然変異タンパク質「1」およびm1-9を用いるアフィニティークロマトグラフィーとの比較を示す。より詳細には、
‐レーン1は、4 M尿素の存在下でアフィニティー試薬として突然変異タンパク質「1」を用いる精製の溶出を示す、
‐レーン2は、4 M塩酸グアニジウムの存在下でアフィニティー試薬として突然変異タンパク質「1」を用いる精製の溶出を示す、
‐レーン3は分子マーカーを示す、
‐レーン4は、4 M尿素の存在下でアフィニティー試薬として突然変異タンパク質m1-9を用いる精製の溶出を示す、
‐レーン5は、6 M尿素の存在下でアフィニティー試薬として突然変異タンパク質m1-9を用いる精製の溶出を示す、
‐レーン6は、4 M塩酸グアニジウムの存在下でアフィニティー試薬として突然変異タンパク質m1-9を用いる精製の溶出を示す、
‐レーン7は、6 M塩酸グアニジウムの存在下でアフィニティー試薬として突然変異タンパク質m1-9を用いる精製の溶出を示す、
‐レーン8は、4 M尿素の存在下でアフィニティー試薬として突然変異タンパク質m1-9Cを用いる精製の溶出を示す、
‐レーン9は、6 M尿素の存在下でアフィニティー試薬として突然変異タンパク質m1-9Cを用いる精製の溶出を示す、
‐レーン10は、4 M塩酸グアニジウムの存在下でアフィニティー試薬として突然変異タンパク質m1-9Cを用いる精製の溶出を示す、
‐レーン11は、6 M塩酸グアニジウムの存在下でアフィニティー試薬として突然変異タンパク質m1-9Cを用いる精製の溶出を示す。
(図6-1)野生型ストレプトアビジン(wt-strep、SEQ ID NO: 2)、ストレプトアビジン突然変異タンパク質「1」 (SEQ ID NO: 12)、ストレプトアビジン突然変異タンパク質m1-9 (SEQ ID NO: 15)、およびストレプトアビジン突然変異タンパク質m1-9C (SEQ ID NO: 16) の融解温度曲線を示す。
(図6-2)図6-1の説明を参照のこと。
一般的方法
DNA操作は従来の遺伝子操作方法によって実施し(例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning. A Laboratory Manual (1989), Cold Spring Harbor Pressを参照されたい)、ストレプトアビジンペプチド
Figure 0007094565000018
に融合されたネコ免疫不全ウイルスGagタンパク質(FIV GAG)のクローニングには大腸菌K12 TOP10 (Life Technologies) を使用し、封入体の形成下での発現には大腸菌BL21を使用した。Sepharoseに結合させるための、その後のタンパク質単離のためのストレプトアビジン突然変異タンパク質のサイトゾル発現は、Schmidt & Skerra, J. Chromatogr. A 676 (1994), 337-345に従って実施した。配列決定は、Sequence Laboratories Gottingen GmbHにより、標準的なジデオキシ技法に従って実施した。プライマーおよびオリゴヌクレオチドは、Applied Biosystems Expedite DNA合成機を使用して合成した。
実施例1:突然変異タンパク質m302Cおよびm1-9をコードする発現ベクターの変異誘発/作製
突然変異タンパク質m302Cおよびm1-9Cをコードする発現ベクターは、それぞれ親突然変異タンパク質m302およびm1-9の発現ベクターから始めて、部位特異的変異誘発によって作製した(突然変異タンパク質m302およびm1-9のpASK75ベースの発現ベクターの説明については、国際特許出願第WO 2014/076277号の実施例8を参照されたい)。変異His 127→Cysのためのコドンは、発現ベクターの増幅に使用したプライマーを介して導入した。逆方向を有する増幅用のこれら2つのプライマーを発現ベクターにアニールさせ、次いでPCRにより発現ベクターを増幅した。
実施例2:調製規模でのストレプトアビジン突然変異タンパク質の生成
ストレプトアビジン突然変異タンパク質「1」(SEQ ID NO: 12)、m1-9 (SEQ ID NO: 15)、およびm302 (SEQ ID NO: 13) は、例えば国際特許出願第WO 2014/076277号に記載されるように生成した。同様に組換え最小ストレプトアビジンの公知の発現系(Schmidt and Skerra (1994)、前記)を使用して、ストレプトアビジン突然変異タンパク質m1-9C (SEQ ID NO: 16)およびm302C (SEQ ID NO: 14)を調製規模で生成した。このために、wt-ストレプトアビジンのコード領域およびT7プロモーターを含むベクターpSA1から、唯一のSacIIおよびHindIII制限部位を使用してコード領域の主要部分を除去し、変異型pASK-IBA2-SAm1プラスミドからの対応する領域によって置換した。続いて、Schmidt and Skerra (1994)、前記によって記載されているように、wt-ストレプトアビジンおよびストレプトアビジン突然変異タンパク質を細胞質封入体の形態で発現させ、可溶化し、再生し、分画硫酸アンモニウム沈殿によって精製した。得られたストレプトアビジン突然変異タンパク質の純度を、Agilent 2100 Bioanalyzerによって調べた。
実施例3:変性条件下におけるストレプトアビジン突然変異タンパク質の安定性の解析
ストレプトアビジン突然変異タンパク質の安定性を決定するために、SDS-PAGE解析を行った。ストレプトアビジン突然変異タンパク質に及ぼすSDS(界面活性剤)の変性効果の影響を決定することができるように、SDS-PAGE用の突然変異タンパク質の試料は、ゲルに負荷する前に煮沸しなかった。SDS-PAGEを非還元条件下で行い、ゲルをクマシーブリリアントブルーで染色した。図4は、これらの変性条件下で、突然変異タンパク質m302、m302C、m1-9、およびm1-9Cの安定性を突然変異タンパク質「1」の安定性と比較する、SDS-PAGEの結果を示す。
注目すべきことに、突然変異タンパク質「1」のレーンにおける単一の顕著なバンドから明らかなように、この突然変異タンパク質の四量体型は、SDSの存在下においてさえインタクトなままであり、このことから、突然変異タンパク質「1」が変性条件下で非常に安定していることが示される。これとは対照的に、SDS-PAGEにより不安定度を拡大した際の単量体サブユニットのバンドから明らかなように、突然変異タンパク質m1-9の安定性ははるかに低い。不安定性は、突然変異タンパク質m302に関して、さらにより明白である。この突然変異タンパク質は、SDS pageの変性条件下で完全に単量体に解離する。同様に図4から明らかなように、127位にCys残基を導入すると、これらの条件下における突然変異タンパク質m1-9およびm302の安定性が大幅に増大する。突然変異タンパク質m1-9Cは、四量体形態でのみ存在するようである。これらの条件下において、安定化の相対的獲得は、突然変異タンパク質302に関してさらにより明白である。突然変異タンパク質m302Cは、かなりの程度までその四量体構造を維持することができるようであり、ストレプトアビジン突然変異タンパク質のごく一部のみがこれらの変性条件下で単量体に解離する。
実施例4:融合タンパク質の生成、および変性条件下でのアフィニティークロマトグラフィーによる封入体からの融合タンパク質の精製
本出願の実施例3および国際特許出願第WO 2014/076277号の実施例9に記載されるように、ストレプトアビジン突然変異タンパク質m1-9 (SEQ ID NO: 15) およびm1-9C (SEQ ID NO: 16)、ならびに米国特許第6,103,493号のストレプトアビジン突然変異タンパク質「1」(SEQ ID NO: 12)を調製した。次いで、製造業者の説明書に従って、ストレプトアビジン突然変異タンパク質をNHS活性化Sepharose 4 Fast Flow (GE Healthcare) に結合させた(Schmidt and Skerra, 1994、前記を参照されたい)。製造業者の説明書に従って、および国際特許出願第WO 2014/076277号に記載されるように、BCAアッセイ (Pierce) を用いて、各ストレプトアビジン突然変異タンパク質によるSepharoseゲルの負荷(Superflow(商標))を決定した。
変性条件下でのStrep-tagII保有融合タンパク質のアフィニティー精製における、この様式で固定化されたこれら2つのストレプトアビジン突然変異タンパク質およびUS 6,103,493のストレプトアビジン突然変異タンパク質「1」の挙動を調べるため、ストレプトアビジンペプチド
Figure 0007094565000019
(「Twin-Strep-tag(登録商標)」という登録商標でも公知である)に融合された組換えネコ免疫不全ウイルスGagタンパク質を、発現ベクターpASG-103(IBA GmbH、カタログ番号5-4103-001)を用いて大腸菌BL 21で発現させた。この発現ベクターを使用することで、大腸菌BL 21のサイトゾル中にFIV GAGタンパク質の封入体が形成される。
組換えタンパク質発現および細胞回収は、以下のプロトコールに従って行った。形質転換された大腸菌BL 21細胞を、アンピシリンを含むLB培地中で培養し、十分なODに到達した時点で誘導した。細胞ペレットを遠心分離によって回収し、緩衝液W(100 mM Tris-Cl pH 8、150 mM NaCl、1 mM EDTA)中に再懸濁した。次いで細胞を緩衝液W中で超音波処理によって破壊し、その後遠心分離した。ペレットを、8 M尿素または6 M塩酸グアニジンを含む緩衝液W中で(100 mg/ml緩衝液の重量で)、室温で15~60分間撹拌することにより溶解した。緩衝液Wによる希釈によって、試料を4 M、6 M尿素、4 M、および6 M塩酸グアニジンの濃度に調整し、その後遠心分離した。次いで上清を、それぞれ突然変異タンパク質「1」(すなわち市販のStreptactin(登録商標)カラム)ならびに突然変異タンパク質m1-9およびm1-9Cの1 mlカラムに適用した。上記のように、いずれの場合にも、各ストレプトアビジン突然変異タンパク質を結合させるアフィニティークロマトグラフィー樹脂としてSuperflow(商標)を使用した。カラムは、緩衝液W、および試料の適切な尿素濃度または塩酸グアニジン濃度で平衡化しておいた。それぞれ4 M尿素および4 Mグアニジンの濃度を用いる実験については、融合タンパク質を含む試料2 mlをカラムに適用した。それぞれ6 M尿素および6 Mグアニジンの濃度を用いる実験については、等量のタンパク質を提供するために、融合タンパク質を含む試料3 mlを適用した。フロースルーのA280nmが0.1未満となるか、または一定のシグナルに到達するまで、カラムを洗浄段階当たり1カラム容量 (CV) の緩衝液W + 尿素/グアニジンで洗浄した。溶出は、0.8、1.4、および0.8 CVの緩衝液W + 50 mMビオチンおよび尿素/グアニンを、用いられたストレプトアビジン突然変異タンパク質のカラムに連続して適用することにより行った。
アフィニティー精製の有効性をSDS-PAGEによって解析した。図5は、本発明のストレプトアビジン突然変異タンパク質m1-9Cを用いるアフィニティークロマトグラフィーと、突然変異タンパク質「1」およびm1-9を用いるアフィニティークロマトグラフィーとの比較を示す。すべての実験においてタンパク質純度は高かったが、いずれの樹脂でも、6 M塩酸グアニジンの濃度でネコ免疫不全ウイルスGagタンパク質の精製はできなかった。図5から解釈され得るように、突然変異タンパク質「1」(Streptactin(登録商標))では4 M尿素含有緩衝液W中のごく少量のタンパク質のみが精製されたのに対して、突然変異タンパク質m1-9を用いる精製は、4 M尿素および6 M尿素による変性条件下で成功した。ここで、6 M尿素を用いる突然変異タンパク質m1-9について、図5のゲルがより低いタンパク質濃度のバンドを示すことに留意されたい。しかしながら、その後の結果から、4 M尿素と6 M尿素との間に差がないことが示された。加えて、m1-9について、これは4 Mグアニジンを用いるアフィニティー精製にも使用することができるが、尿素を変性剤として使用した場合に、より多くの融合タンパク質が溶出されることが観察された。m1-9Cについては、これを精製のためのアフィニティー材料として使用すると、4 Mまたは6 M尿素を使用した場合に高いタンパク質濃度を示す溶出液が得られることが見出された。
SDS-PAGE解析に加えて、1 mM HABAまたは10 mM NaOHを用いて、樹脂が適切に再生され得るかどうかを試験した。そのようにした場合、以下の観察がなされた。
Strep-Tactin突然変異タンパク質「1」の樹脂は、尿素およびグアニジンによる両変性条件下で精製に供した後、緩衝液R(100 mM Tris-Cl pH 8、150 mM NaCl、1 mM EDTA、1 mM HABA)を用いてうまく精製され得た。突然変異タンパク質m1-9の樹脂は、尿素精製後に10 mM NaOHを用いてうまく精製され得たが、グアニジン精製の過程では破壊され、突然変異タンパク質m1-9Cの樹脂は、カオトロープとして尿素またはグアニジンのいずれかを用いる精製後に、10 mM NaOHを用いてうまく精製され得た。加えて、突然変異タンパク質m1-9Cの樹脂は、500 mMまでの濃度のNaOHを用いて再生され得るのに対して、m1-Cは100 mMよりも高いNaOH濃度で破壊されることが見出された。
これらの実験の結論を、以下のように要約することができる。突然変異タンパク質「1」(Strep-Tactin(登録商標))は、変性条件下でのタンパク質の精製に適していない。突然変異タンパク質m1-9は、4 Mおよび6 M尿素を用いた精製に使用することができたが、グアニジンが突然変異タンパク質m1-9を破壊するため、変性緩衝液がグアニジンを含む場合にはこの突然変異タンパク質は精製に適していない。グアニジンは、封入体からタンパク質を精製するために広く用いられている変性剤であるため、突然変異タンパク質m1-9の実用はしたがって著しく制限される。これとは対照的に、突然変異タンパク質m1-9Cは、4 Mまたは6 Mいずれかの尿素およびまた4 M塩酸グアニジンをカオトロープとして使用した場合に、FIV GAG融合タンパク質の精製にうまく使用された。加えて、突然変異タンパク質m1-9Cは、グアニジンへの曝露に対して安定していることが見出され、樹脂材料の再生および再利用を可能にする。したがって、タンパク質が変性条件下で精製されるべきであり、高濃度の尿素およびグアニジンを含む広範囲の変性条件が必要とされる場合、突然変異タンパク質m1-9Cは最適な分子である。加えて、突然変異タンパク質m1-9Cの樹脂は500 mMまでのNaOH濃度に対して安定しているため、突然変異タンパク質m1-9Cの樹脂は、不純物を除去するための定置洗浄 (CIP) プロトコールを必要とする商業的設定におけるタンパク質のアフィニティー精製に有利に使用され得る、というのは、500 mM NaOHは非常に効果的なCIP試薬であることが見出されているからである。したがって、突然変異タンパク質m1-9Cは、Strep-tag(登録商標)ペプチド配列などのストレプトアビジン結合配列を含むアフィニティーペプチドに対する親和性が高いため、効率的なCIPを用いる生理的条件下および/または変性条件下での商業的融合タンパク質の非常に効率的な精製を可能にし、それによって該融合タンパク質の使用に関する安全性の改善に寄与する。
実施例5:ストレプトアビジン突然変異タンパク質の融解温度 (Tm) の決定
熱安定性を評価するために、Boivin et al. Protein Expression and Purification 91 (2013) 192-206によって記載されるThermofluorベースのアッセイを用いて、野生型コアストレプトアビジン(SEQ ID NO: 2、カタログ番号02-20203でIBA GmbHから入手可能)、ストレプトアビジン突然変異タンパク質「1」 (SEQ ID NO: 12)、m1-9 (SEQ ID NO: 15)、およびm1-9C (SEQ ID NO: 16) に関して生理的条件下で融解温度を決定した。より詳細には、測定は、25μlの総試料容量を用いて緩衝液W(100 mM Tris-Cl pH 8、150 mM NaCl、1 mM EDTA)中で行った。2μl SYPROオレンジを含む試料を用いて(この溶液は5000x SYPROオレンジ保存液ゲル染色剤S5692-50 UL (Sigma) を62xの濃度まで事前希釈することによって調製し、試料中で5x SYPROの最終濃度が得られた)、SYPROオレンジをthermofluorとして使用した。タンパク質濃度は5μMであった。測定のため、試料を96ウェルRT-PCRプレートにピペットで分注し、ウェルを透明フィルムで密封した。次いで、1℃/分という加熱速度を用いてサーモサイクラーを起動し、継時的な蛍光の増加をモニターした。
この方法を用いて、以下の融解温度が得られた(各タンパク質の融解曲線を示す図6も参照されたい)。
(表6)突然変異タンパク質の融点
Figure 0007094565000020
表6から明らかなように、突然変異タンパク質「1」は野生型ストレプトアビジンと同様の75℃の融解温度を有し、したがって突然変異タンパク質m1-9よりも熱安定性が顕著により高い。しかしながら、突然変異タンパク質「1」とは対照的に、突然変異タンパク質m1-9は、熱安定性が顕著により低いにもかかわらず、変性条件下でのタンパク質のアフィニティー精製において使用されるのに適している(上記の実施例4を参照されたい)。Reznik et al, Nat Biotechnol. 1996、前記が、ストレプトアビジンに関してビオチン結合能と熱安定性との高い相関関係を見出し、ストレプトアビジンがそのビオチン結合能を維持するためには、したがってまたストレプトアビジン突然変異タンパク質が、ビオチンと競合的に結合するストレプトアビジン結合ペプチドに対するその結合能を維持する能力のためには、四量体構造の維持が必須であることを示唆したため、この知見は驚きを通り越している。むしろ、わずか51℃いう融解温度を踏まえて、当業者は、突然変異タンパク質m1-9が変性条件下でのタンパク質のアフィニティー精製に全く適していないと予測したであろう。当業者はまた、突然変異タンパク質m1-9Cにおいて見られるような、ストレプトアビジンの配列の127位におけるCys残基の導入が、例えば変性条件下でのタンパク質のアフィニティー精製に関して突然変異タンパク質m1-9の能力を維持しながら、安定性を最初の突然変異タンパク質「1」または野生型ストレプトアビジンのレベルまで改善するとは予測していなかったであろう。
当業者は、本発明が、目的を実行し、言及された目標および利点、ならびにその中の固有のものを得るのに十分に適応していることを容易に認識するであろう。さらに、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、本明細書において開示される本発明に対して様々な置き換えおよび修正を行うことができることは、当業者に容易に明らかであろう。本明細書に記載される組成物、方法、手順、処理、分子、および具体的な化合物は、特定の態様の現在の代表例であり、例示であり、本発明の範囲の限定を意図するものではない。本発明の精神の範囲に包含され、特許請求の範囲によって規定される、その中での変更および他の使用が、当業者に想起されるであろう。本明細書中の以前の発行文献の列挙または考察は、その文献が最新技術の一部であるか、または共通の一般知識であることを認めるものとして必ずしも受け取られるべきではない。
本明細書で例示的に記載された本発明は、本明細書で具体的に開示されていない任意の要素または複数の要素、限定または複数の限定の非存在下で、適切に実施することができる。したがって、例えば、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含有する(containing)」等の用語は、拡張的にかつ限定なしに読み取られるものとする。加えて、本明細書で使用される用語および表現は、限定の用語としてではなく、説明の用語として使用されており、そのような用語および表現の使用には、示されたおよび記載された特徴またはその一部の任意の均等物を排除する意図はなく、様々な修正が、特許請求される本発明の範囲内で可能であることが認識される。したがって、本発明は例示的な態様および任意の特徴によって具体的に開示されているが、本明細書で具体化される本発明の修正および変更が当業者によって用いられ得ること、ならびにそのような修正および変更が本発明の範囲内であると見なされることが、理解されるべきである。
本発明は、本明細書において幅広くかつ総称的に記載されている。総称的な開示の範囲内に入るより狭い種および亜属集団の各々もまた、本発明の一部を形成する。これには、除かれた題材が本明細書において具体的に挙げられているか否かにかかわらず、任意の主題を属から除外する条件付きのまたは負の限定を用いた本発明の総称的記載も含まれる。
他の態様は、以下の特許請求の範囲内にある。加えて、本発明の特徴または局面がマーカッシュ群の観点から記載されている場合、当業者は、本発明がまたそれにより、そのマーカッシュ群の任意の個々のメンバーまたはメンバーのサブグループの観点からも記載されていることを認識するであろう。
本出願において開示されたアミノ酸配列のリスト:
SEQ ID NO: 1 成熟野性型ストレプトアビジンのアミノ酸配列(1~159位の残基)
SEQ ID NO: 2 成熟野性型ストレプトアビジンのアミノ酸配列(14~139位の残基)
Figure 0007094565000021
SEQ ID NO: 8 Trp-Xaa-His-Pro-Gln-Phe-Yaa-Zaa、配列中、Xaaは任意のアミノ酸を示し、かつYaaおよびZaaはいずれもGlyを示すか、またはYaaはGluを示しかつZaaはArgもしくはLysを示す
SEQ ID NO: 9 Oaa-Xaa-His-Pro-Gln-Phe-Yaa-Zaa-、配列中、OaaはTrp、Lys、もしくはArgであり、Xaaは任意のアミノ酸であり、かつYaaおよびZaaはいずれもGlyであるか、またはYaaはGluでありかつZaaはLysもしくはArgである
SEQ ID NO: 10 Val44-Thr45-Ala46-Arg47
SEQ ID NO: 11 Ile44-Gly45-Ala46-Arg47
SEQ ID NO: 12 突然変異タンパク質「1」
SEQ ID NO: 13 突然変異タンパク質m302
SEQ ID NO: 14 突然変異タンパク質m302C
SEQ ID NO: 15 突然変異タンパク質m1-9
SEQ ID NO: 16 突然変異タンパク質m1-9C
Figure 0007094565000022
Figure 0007094565000023
Figure 0007094565000024
Figure 0007094565000025
Figure 0007094565000026

Claims (32)

  1. ストレプトアビジンの突然変異タンパク質より選択される突然変異タンパク質であって、
    (a) 野生型ストレプトアビジン(配列番号: 1に記載)のアミノ酸配列を基準として、127位の配列位置にCys残基を有し、
    (b) 配列番号: 1に記載の野生型ストレプトアビジンのアミノ酸配列を基準として、117~121位の配列位置に、
    Glu117Asn118Ala119Gly120Phe121 (配列番号: 56)、
    Asp117Asn118Ala119Gly120Tyr121 (配列番号: 57)、および
    Glu117Asn118Ala119Gly120Tyr121 (配列番号: 58)
    らなる群より選択されるアミノ酸配列を含かつ
    (c) 配列番号: 1に記載の野生型ストレプトアビジンと比較して、変性条件下で安定である、
    前記突然変異タンパク質。
  2. ストレプトアビジンの44~47位の配列位置に少なくとも1つの変異をさらに含む、請求項1記載のストレプトアビジン突然変異タンパク質。
  3. 44位の配列位置においてGluが疎水性脂肪族アミノ酸によって置換され、45位の配列位置に任意のアミノ酸が存在し、46位の配列位置に疎水性脂肪族アミノ酸が存在し、または/かつ47位の配列位置においてValが塩基性アミノ酸によって置換されている、請求項2記載の突然変異タンパク質。
  4. Alaが46位に存在する、請求項3記載の突然変異タンパク質。
  5. Argが47位に存在する、請求項3または4記載の突然変異タンパク質。
  6. 44~47位のアミノ酸位置の領域内に配列Val44-Thr45-Ala46-Arg47 (配列番号: 10) が存在する、請求項3~5のいずれか一項記載の突然変異タンパク質。
  7. 44~47位のアミノ酸位置の領域内に配列Ile44 Gly45 Ala46 Arg47 (配列番号: 11) が存在する、請求項3~5のいずれか一項記載の突然変異タンパク質。
  8. N末端が野生型ストレプトアビジンのアミノ酸10~16の領域内で始まり、かつC末端が野生型ストレプトアビジンのアミノ酸133~142の領域内で終結する最小ストレプトアビジンの突然変異タンパク質である、請求項1~7のいずれか一項記載の突然変異タンパク質。
  9. 突然変異タンパク質m1-9C (配列番号: 16) 配列を含むか、または突然変異タンパク質m1-9C (配列番号: 16) 配列からなる、請求項1~8のいずれか一項記載の突然変異タンパク質。
  10. 請求項1~9のいずれか一項記載のストレプトアビジン突然変異タンパク質をコードする配列を含む、核酸分子。
  11. 有効な機能的環境中に、請求項10記載の核酸の少なくとも1コピーを含むベクター。
  12. 請求項11記載のベクターで形質転換またはトランスフェクトされた細胞。
  13. 請求項1~9のいずれか一項記載のストレプトアビジン突然変異タンパク質を生成する方法であって、
    (a) ストレプトアビジン突然変異タンパク質をコードする核酸を含むベクターで適切な宿主細胞を形質転換する段階、
    (b) ストレプトアビジン突然変異タンパク質の発現が起こる条件下で、該宿主細胞を培養する段階、
    (c) 該突然変異タンパク質を単離する段階
    を含む、前記方法。
  14. 段階 (c) が、宿主細胞を溶解すること、封入体の形態のストレプトアビジン突然変異タンパク質を単離すること、および該ストレプトアビジン突然変異タンパク質を再生することを含む、請求項13記載の方法。
  15. 段階 (b) における発現が、シグナルペプチド保有ストレプトアビジンの発現、および宿主細胞のペリプラズムまたは培養基中へのその分泌を含む、請求項14記載の方法。
  16. 宿主細胞が大腸菌 (E. coli) である、請求項13~15のいずれか一項記載の方法。
  17. a) 式Trp-Xaa-His-Pro-Gln-Phe-Yaa-Zaa (配列番号: 8) のペプチドであって、式中、Xaaは任意のアミノ酸を示し、かつYaaおよびZaaはいずれもGlyを示すか、またはYaaはGluを示しかつZaaはArgもしくはLysを示す、前記ペプチド、または
    b) 少なくとも2つのストレプトアビジン結合モジュールの連続配置を含むペプチドであって、該2つのモジュール間の距離が少なくとも0でありかつ50アミノ酸以下であり、一方の結合モジュールが3~8アミノ酸を有しかつ少なくとも配列-His-Pro-Baa-を含み、ここでBaaはグルタミン、アスパラギン、もしくはメチオニンであり、かつ他方の結合モジュールが、配列-Oaa-Xaa-His-Pro-Gln-Phe-Yaa-Zaa- (配列番号: 9) を有し、ここでOaaはTrp、Lys、もしくはArgであり、Xaaは任意のアミノ酸であり、かつYaaおよびZaaはいずれもGlyであるか、またはYaaはGluでありかつZaaはLysもしくはArgである、前記ペプチド
    と融合されているタンパク質を変性条件下で単離する、精製する、または決定する方法であって、
    該タンパク質を含む試料を、請求項1~9のいずれか一項記載のストレプトアビジン突然変異タンパク質と、該ペプチドが該ストレプトアビジン突然変異タンパク質に結合するのに適した条件下で接触させる段階、および得られた複合体を該試料から分離する段階を含む、前記方法。
  18. ストレプトアビジン突然変異タンパク質が固相に結合しているか、または固相に結合することができる、請求項17記載の方法。
  19. 複合体から融合タンパク質を放出させるために、ビオチンおよびその誘導体より選択される、十分な量のストレプトアビジン突然変異タンパク質のリガンドと共に、該複合体をインキュベートする、請求項18記載の方法。
  20. ビオチン誘導体がチオビオチンである、請求項19記載の方法。
  21. 前記ペプチドの配列が、Trp-Arg-His-Pro-Gln-Phe-Gly-Gly (配列番号: 4)、Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys (配列番号: 3)、Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys-(GlyGlyGlySer)3-Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys (配列番号: 5)、Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys-(GlyGlyGlySer)2-Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys (配列番号: 6)、またはTrp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys-(GlyGlyGlySer)2-Gly-Gly-Ser-Ala-Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys (配列番号: 7)より選択される、請求項17~20のいずれか一項記載の方法。
  22. 前記複合体から前記タンパク質を放出させる段階をさらに含む、請求項18~21のいずれか一項記載の方法。
  23. 前記タンパク質を決定する、単離する、または精製する段階をさらに含む、請求項22記載の方法。
  24. 変性条件がカオトロピック剤の存在によって起こる、請求項17~23のいずれか一項記載の方法。
  25. カオトロピック剤が、尿素、チオ尿素、塩酸グアニジン、過塩素酸リチウム水酸化物イオン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項24記載の方法。
  26. a) 式Trp-Xaa-His-Pro-Gln-Phe-Yaa-Zaa (配列番号: 8) のペプチドであって、式中、Xaaは任意のアミノ酸を示し、かつYaaおよびZaaはいずれもGlyを示すか、またはYaaはGluを示しかつZaaはArgもしくはLysを示す、前記ペプチド、または
    b) 少なくとも2つのストレプトアビジン結合モジュールの連続配置を含むペプチドであって、該2つのモジュール間の距離が少なくとも0でありかつ50アミノ酸以下であり、一方の結合モジュールが3~8アミノ酸を有しかつ少なくとも配列-His-Pro-Baa-を含み、ここでBaaはグルタミン、アスパラギン、もしくはメチオニンであり、かつ他方の結合モジュールが、配列-Oaa-Xaa-His-Pro-Gln-Phe-Yaa-Zaa- (配列番号: 9) を有し、ここでOaaはTrp、Lys、もしくはArgであり、Xaaは任意のアミノ酸であり、かつYaaおよびZaaはいずれもGlyであるか、またはYaaはGluでありかつZaaはLysもしくはArgである、前記ペプチド
    と融合されているタンパク質を変性条件下で固定化する方法であって、
    該タンパク質を固定化するための条件下で、該タンパク質を、請求項1~9のいずれか一項記載のストレプトアビジン突然変異タンパク質を保有する固相に接触させる段階を含む、前記方法。
  27. 前記ペプチドの配列が、Trp-Arg-His-Pro-Gln-Phe-Gly-Gly (配列番号: 4)、Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys (配列番号: 3)、Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys-(GlyGlyGlySer)3-Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys (配列番号: 5)、Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys-(GlyGlyGlySer)2-Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys (配列番号: 6)、またはTrp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys-(GlyGlyGlySer)2-Gly-Gly-Ser-Ala-Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys (配列番号: 7)である、請求項26記載の方法。
  28. 請求項1~9のいずれか一項記載のストレプトアビジン突然変異タンパク質を含む、それが固定化された固相。
  29. アフィニティークロマトグラフィーマトリックスである、請求項28記載の固相。
  30. アフィニティークロマトグラフィーマトリックスが、セルロース膜、プラスチック膜、多糖ゲル、ポリアクリルアミドゲル、アガロースゲル、多糖グラフトシリカ、ポリビニルピロリドングラフトシリカ、ポリエチレンオキシドグラフトシリカ、ポリ(2-ヒドロキシエチルアスパルトアミド)シリカ、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)グラフトシリカ、スチレン-ジビニルベンゼンゲル、アクリル酸またはアクリルアミドとジオールとの共重合体、多糖とN,N'-メチレンビスアクリルアミドとの共重合体、およびそれらのうちの任意の2つまたはそれ以上の組み合わせからなる群より選択される、請求項29記載の固相。
  31. 請求項1~9のいずれか一項記載のストレプトアビジン突然変異タンパク質または請求項28~30のいずれか一項記載の固相を含む、試薬キット。
  32. 緩衝液、補助物質、および添加物からなる群より選択される少なくとも1つの試薬をさらに含む、請求項31記載の試薬キット。
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