以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて詳細に説明する。本発明は、負荷に連結されたモータが加減速するときの電力の一部を、フライホイール(以下、「FW」という。)による蓄電システムからの電力にて補償し、負荷に対して瞬間的に大きなエネルギーを必要とするときの電力の一部を、FW及びコンデンサによる蓄電システムからの電力にて補償するように、FWによる蓄電システムへのFWトルク指令を生成すると共に、コンデンサによる蓄電システムへのコンデンサ電流指令を生成することを特徴とする。
これにより、FW及びコンデンサによる蓄電システムをバックアップの電源システムとして用いた場合に、負荷の消費電力のピークを効率的にカットすることができ、設備電源容量を低減することができる。
〔モータ制御システム〕
まず、本発明の実施形態によるエネルギー蓄電部制御装置を含むモータ制御システムについて説明する。図1は、本発明の実施形態によるエネルギー蓄電部制御装置を含むモータ制御システムの全体構成例を示す概略図である。
このモータ制御システムは、電源トランス2、リアクタ3及びコンバータ4を備えた入力電源系統、インバータ5、FWモータ6及びパルスジェネレータ7を備えたFWによる蓄電システム、インバータ8、リアクタ9及びコンデンサ10を備えたコンデンサ10による蓄電システム、サーボプレスモータ制御装置11、1次側コンデンサ12、インバータ13、サーボプレスモータ14及びパルスジェネレータ15を備えた負荷側システム、並びに、FWによる蓄電システム及びコンデンサ10による蓄電システムを用いて、エネルギーの回生制御及び力行制御を行うエネルギー蓄電部制御装置1を備えて構成される。
サーボプレスモータ14には、制御対象の負荷としてプレス装置16が連結されており、FWモータ6には、必要に応じてFWを連結することができる。
サーボプレスモータ制御装置11は、サーボプレスモータ14をd軸及びq軸にてベクトル制御する装置である。サーボプレスモータ制御装置11は、直流バスの電源系統の電力を、インバータ13を介してプレス装置16へ供給する。すなわち、サーボプレスモータ制御装置11は、電源トランス2の入力電源からの電力を、コンバータ4及びインバータ13を介してプレス装置16へ供給すると共に、FWによる蓄電システムに蓄積されたエネルギーを、FW用のインバータ5及びインバータ13を介してプレス装置16へ供給し、コンデンサ10による蓄電システムに蓄積されたエネルギーを、コンデンサ用のインバータ8及びインバータ13を介してプレス装置16へ供給する。
サーボプレスモータ制御装置11は、インバータ13からサーボプレスモータ速度ωSPRを入力し、予め設定されたサーボプレス速度指令とサーボプレスモータ速度ωSPRとの間の偏差が0となるように速度制御を行い、電流制御を行う等して、電圧指令e*を生成し、電圧指令e*をインバータ13へ出力する。これにより、サーボプレスモータ14は、サーボプレス速度指令に従って、所定の速度パターンで回転し、サーボプレスモータ14に連結されたプレス装置16は、所定パターンにて動作する。
また、サーボプレスモータ制御装置11は、電圧指令e*を生成する際に、サーボプレスモータ14に対するサーボプレスモータトルク指令TSPR*を算出し、サーボプレスモータトルク指令TSPR*を、インバータ13を介してエネルギー蓄電部制御装置1へ出力する。
エネルギー蓄電部制御装置1は、FWモータ6及びコンデンサ10を力行(充電)及び回生(放電)制御する装置である。エネルギー蓄電部制御装置1は、サーボプレスモータ14へ供給するサーボプレスモータ負荷電力である負荷電力K_PLの一部を、電源トランス2の入力電源からの電力を基本として、FWによる蓄電システムからの電力及びコンデンサ10による蓄電システムからの電力にて補償する。
具体的には、エネルギー蓄電部制御装置1は、サーボプレスモータ14が加減速するときの負荷電力K_PLの一部を、FWによる蓄電システムからの電力にて補償するために、インバータ5を動作させるためのFWトルク指令TEXT1を生成する。そして、エネルギー蓄電部制御装置1は、FWトルク指令TEXT1をインバータ5へ出力する。
また、エネルギー蓄電部制御装置1は、サーボプレスモータ14に対して瞬間的に大きなエネルギーを必要とするときの(プレス作業時の)負荷電力K_PLの一部を、FWによる蓄電システムからの電力及びコンデンサ10による蓄電システムからの電力にて補償するために、インバータ5を動作させるためのFWトルク指令TEXT1、及びインバータ8を動作させるためのコンデンサ電流指令TEXT2を生成する。エネルギー蓄電部制御装置1は、FWトルク指令TEXT1をインバータ5へ出力し、コンデンサ電流指令TEXT2をインバータ8へ出力する。
エネルギー蓄電部制御装置1は、FWトルク指令TEXT1及びコンデンサ電流指令TEXT2を生成する際に、サーボプレスモータ14が接続されたインバータ13から、サーボプレスモータトルク指令TSPR*及びサーボプレスモータ速度ωSPRを入力すると共に、パルスジェネレータ7からインバータ5を介してFWモータ速度ω1を入力し、インバータ8からコンデンサ電圧ω2を入力する。
リアクタ3は、電源トランス2の入力電源からコンバータ4へ供給される交流電力のエネルギー制御用のインダクタンス機器であり、電流変化を抑制するために用いられる。
コンバータ4は、電源トランス2の入力電源から交流電力が供給され、交流電力を直流バスの直流電力に変換する。コンバータ4により変換された直流電力は、1次側コンデンサ12及びインバータ13を介してサーボプレスモータ14側のプレス装置16へ供給される。また、直流電力は、インバータ5を介してFWモータ6側のFWへ供給され、インバータ8及びリアクタ9を介してコンデンサ10へ供給される。
インバータ5は、直流バスの直流電力とFWモータ6側の交流電力とを双方向に変換する装置であり、エネルギー蓄電部制御装置1からFWトルク指令TEXT1を入力すると共に、パルスジェネレータ7からFWモータ速度ω1を入力し、FWモータ速度ω1をエネルギー蓄電部制御装置1へ出力する。インバータ5は、力行時に、FWトルク指令TEXT1に基づいて、直流バスの直流電力を交流電力に変換し、交流電力をFWモータ6へ供給する。これにより、FWモータ6は、FWトルク指令TEXT1に基づいて可変速制御され一定速度で回転する。そして、FWモータ6は、慣性により回転し、機械エネルギーが蓄積される。
また、インバータ5は、回生時に、FWトルク指令TEXT1に基づいて、FWモータ6から供給された交流電力を直流電力に変換し、直流電力を、インバータ13を介してサーボプレスモータ14へ供給する。これにより、FWに蓄積された機械エネルギーが電気エネルギーに変換され、電気エネルギーがサーボプレスモータ14に連結されたプレス装置16へ供給される。
パルスジェネレータ7は、FWモータ6の回転に応じたパルス信号を発生する。このパルス信号のカウント値からFWモータ6の回転速度であるFWモータ速度ω1が得られ、FWモータ速度ω1がインバータ5へ入力される。
インバータ8は、直流バスの電源系統の直流電力とコンデンサ10側の直流電力とを双方向に変換する装置であり、エネルギー蓄電部制御装置1からコンデンサ電流指令TEXT2を入力する。インバータ8は、コンデンサ10に電気エネルギーを蓄積する力行時に、コンデンサ電流指令TEXT2に基づいて、直流電力を変換し、変換後の直流電力をコンデンサ10へ供給する。これにより、コンデンサ10は充電され、電気エネルギーが蓄積される。
また、インバータ8は、コンデンサ10の電気エネルギーを直流バスへ供給する回生時に、コンデンサ電流指令TEXT2に基づいて、コンデンサ10に蓄積された電気エネルギーの直流電力を変換し、変換後の直流電力を、インバータ13を介してサーボプレスモータ14へ供給する。これにより、コンデンサ10は放電し、蓄積された電気エネルギーがサーボプレスモータ14に連結されたプレス装置16へ供給される。また、インバータ8は、コンデンサ10の両端の電圧を検出し、コンデンサ電圧ω2としてエネルギー蓄電部制御装置1へ出力する。
リアクタ9は、直流電力のエネルギー制御用のインダクタンス機器であり、電流変化を抑制するために用いられる。
1次側コンデンサ12は、コンバータ4、インバータ5,8,13の間の直流バスに挿入されている。1次側コンデンサ12は、コンバータ4からインバータ5,8,13へ供給される直流電力を蓄積すると共に、インバータ5,8からインバータ13へ供給される直流電力の電圧を平滑化する。
インバータ13は、サーボプレスモータ制御装置11から電圧指令e*及びサーボプレスモータトルク指令TSPR*を入力する。そして、インバータ13は、電圧指令e*に基づいて、直流バスの直流電力を交流電力に変換し、交流電力をサーボプレスモータ14へ供給する。これにより、サーボプレスモータ14は、電圧指令e*に基づいて可変速制御され、所定の速度パターンで回転する。そして、サーボプレスモータ14に連結されたプレス装置16は、所定パターンにて動作する。また、インバータ13は、サーボプレスモータトルク指令TSPR*をエネルギー蓄電部制御装置1へ出力する。
インバータ13は、パルスジェネレータ15からサーボプレスモータ速度ωSPRを入力し、サーボプレスモータ速度ωSPRをサーボプレスモータ制御装置11及びエネルギー蓄電部制御装置1へ出力する。
パルスジェネレータ15は、サーボプレスモータ14の回転に応じたパルス信号を発生する。このパルス信号のカウント値からサーボプレスモータ14の回転速度であるサーボプレスモータ速度ωSPRが得られ、サーボプレスモータ速度ωSPRは、インバータ13を介してサーボプレスモータ制御装置11及びエネルギー蓄電部制御装置1へ入力される。
〔エネルギー蓄電部制御装置〕
次に、図1に示したエネルギー蓄電部制御装置1について説明する。図2は、本発明の実施形態によるエネルギー蓄電部制御装置1の構成例を示すブロック図である。このエネルギー蓄電部制御装置1は、負荷電力分担部21、FW制御部22及びコンデンサ制御部23を備えている。
負荷電力分担部21は、インバータ13からサーボプレスモータ速度ωSPR及びサーボプレスモータトルク指令TSPR*を入力すると共に、FW制御部22からFW負荷電力K_PL1”を入力する。そして、負荷電力分担部21は、サーボプレスモータ速度ωSPR及びサーボプレスモータトルク指令TSPR*を乗算することでプレス装置16の負荷電力K_PLを求める。
負荷電力分担部21は、サーボプレスモータ速度ωSPR及びFW負荷電力K_PL1”に基づき、プレス装置16のプレス部材の角度を示すプレス角度θdegに応じて、サーボプレスモータ14(プレス装置16のプレス部材)が加減速する時間区間(以下、「プレス加減速区間」という。)、及びサーボプレスモータ14に対して大きなエネルギーを必要とするプレス作業の時間区間(以下、「プレス作業区間」という。)を判断する。そして、負荷電力分担部21は、時間の経過と共に変動する負荷電力K_PLを、時間軸において、プレス加減速区間の負荷電力K_PL、プレス作業区間の負荷電力K_PL、及びその他の区間の負荷電力K_PLに切り分ける。プレス作業区間は、プレス装置16が材料を加工するための電力を要する区間、すなわち材料を加工しているときの区間である。
負荷電力分担部21は、プレス加減速区間の負荷電力K_PLのピーク部分を、FWによる蓄電システムに分担させるためのFW負荷電力K_PL1を求める。また、負荷電力分担部21は、プレス作業区間の負荷電力K_PLのピーク部分を、FWによる蓄電システム及びコンデンサ10による蓄電システムにそれぞれ分担させるためのFW負荷電力K_PL1及びコンデンサ負荷電力K_PL2を求める。
負荷電力分担部21は、FW負荷電力K_PL1をFW制御部22に出力し、コンデンサ負荷電力K_PL2をコンデンサ制御部23に出力する。負荷電力分担部21の詳細については後述する。
FW制御部22は、パルスジェネレータ7からインバータ5を介してFWモータ速度ω1を入力すると共に、負荷電力分担部21からFW負荷電力K_PL1を入力する。そして、FW制御部22は、FWモータ速度ω1及びFW負荷電力K_PL1に基づいて、プレス作業区間及びプレス加減速区間のときに、FWによる蓄電システムから電力が供給されるように、FWトルク指令TEXT1を生成し、FWトルク指令TEXT1をインバータ5へ出力する。FW制御部22の詳細については後述する。
コンデンサ制御部23は、インバータ8からコンデンサ電圧ω2を入力すると共に、負荷電力分担部21からコンデンサ負荷電力K_PL2を入力する。そして、コンデンサ制御部23は、コンデンサ電圧ω2及びコンデンサ負荷電力K_PL2に基づいて、プレス作業区間のときに、コンデンサ10による蓄電システムから電力が供給されるように、コンデンサ電流指令TEXT2を生成し、コンデンサ電流指令TEXT2をインバータ8へ出力する。コンデンサ制御部23の詳細については後述する。
<負荷電力分担部21>
次に、図2に示した負荷電力分担部21について詳細に説明する。図3は、負荷電力分担部21の構成例を示すブロック図である。この負荷電力分担部21は、乗算器30,32,34、スイッチ31,33及びワークアングル信号生成器35を備えている。
乗算器30は、インバータ13からサーボプレスモータ速度ωSPR及びサーボプレスモータトルク指令TSPR*を入力する。そして、乗算器30は、サーボプレスモータ速度ωSPRにサーボプレスモータトルク指令TSPR*を乗算することでプレス装置16の負荷電力K_PLを求め、負荷電力K_PLを乗算器32,34に出力する。
スイッチ31は、予め設定されたFW分担容量FW_KW及びサーボプレスモータ定格容量SPR_KWを入力すると共に、ワークアングル信号生成器35からワークアングル信号WA_ON@を入力する。
スイッチ31は、ワークアングル信号WA_ON@がオフの場合(プレス作業区間以外のときに)、サーボプレスモータ定格容量SPR_KWを乗算器32に出力する。一方、スイッチ31は、ワークアングル信号WA_ON@がオンの場合(プレス作業区間のときに)、FW分担容量FW_KWを乗算器32に出力する。
乗算器32は、乗算器30から負荷電力K_PLを入力する。また、乗算器32は、スイッチ31から、プレス作業区間以外のときに、サーボプレスモータ定格容量SPR_KWを入力し、プレス作業区間のときに、FW分担容量FW_KWを入力する。
乗算器32は、プレス作業区間以外のときに、負荷電力K_PLにサーボプレスモータ定格容量SPR_KWを乗算し、プレス作業区間のときに、負荷電力K_PLにFW分担容量FW_KWを乗算することで、FW負荷電力K_PL1を求め、FW負荷電力K_PL1をFW制御部22に出力する。
スイッチ33は、予め設定されたコンデンサ分担容量CB_KW及び0(ゼロの値)を入力すると共に、ワークアングル信号生成器35からワークアングル信号WA_ON@を入力する。
スイッチ33は、ワークアングル信号WA_ON@がオフの場合(プレス作業区間以外のときに)、0を乗算器34に出力する。一方、スイッチ33は、ワークアングル信号WA_ON@がオンの場合(プレス作業区間のときに)、コンデンサ分担容量CB_KWを乗算器34に出力する。
乗算器34は、乗算器30から負荷電力K_PLを入力する。また、乗算器34は、スイッチ33から、プレス作業区間以外のときに0を入力し、プレス作業区間のときに、コンデンサ分担容量CB_KWを入力する。
乗算器34は、プレス作業区間以外のときに、負荷電力K_PLに0を乗算し、プレス作業区間のときに、負荷電力K_PLにコンデンサ分担容量CB_KWを乗算することで、コンデンサ負荷電力K_PL2を求め、コンデンサ負荷電力K_PL2をコンデンサ制御部23に出力する。
ここで、サーボプレスモータ定格容量SPR_KWは、以下の式に示すように、FW分担容量FW_KW及びコンデンサ分担容量CB_KWの加算結果である。
[数1]
サーボプレスモータ定格容量SPR_KW
=FW分担容量FW_KW + コンデンサ分担容量CB_KW ・・・(1)
つまり、前記式(1)に示す容量の分担に従い、プレス加減速区間の負荷電力K_PLのピーク部分を、FWによる蓄電システムに分担させるためのFW負荷電力K_PL1が得られる。また、プレス作業区間の負荷電力K_PLのピーク部分を、FWによる蓄電システム及びコンデンサ10による蓄電システムにそれぞれ分担させるためのFW負荷電力K_PL1及びコンデンサ負荷電力K_PL2が得られる。
ワークアングル信号生成器35は、インバータ13からサーボプレスモータ速度ωSPRを入力すると共に、FW制御部22からFW負荷電力K_PL1”を入力する。そして、ワークアングル信号生成器35は、サーボプレスモータ速度ωSPR及びFW負荷電力K_PL1”に基づいて、プレス作業区間のときにオンの状態を維持し、プレス作業区間以外のときにオフの状態を維持するワークアングル信号WA_ON@を生成し、ワークアングル信号WA_ON@をスイッチ31,33に出力する。ワークアングル信号生成器35の詳細については後述する。
図4は、負荷電力K_PL、FW負荷電力K_PL1及びコンデンサ負荷電力K_PL2の特性を説明する図である。横軸は時間を示す。
図4(1)は、サーボプレスモータ速度ωSPRの一例を示しており、サーボプレスモータ速度ωSPRは、加速区間のときに大きくなり、加速区間が終了すると一定となり、その後プレス作業区間に入り、プレス作業区間が終了する。サーボプレスモータ速度ωSPRは、その後減速区間に入ると、小さくなる。これは、サーボプレスモータ14を加速して材料加工後に減速する、予め設定されたサーボプレス速度指令のパターンの一例に対応するものである。尚、図4(1)に示したサーボプレスモータ速度ωSPRは、加速区間が終了したときに一定になっているが、必ずしも一定になるとは限らない。
図4(2)は、負荷電力K_PLを示しており、負荷電力K_PLは、加速区間のときに0から徐々に大きくなってプラスの所定値となり、加速区間が終了すると0となり、プレス作業区間に入ると所定値で一定となり、プレス作業区間が終了すると0となり、減速区間に入ると加速区間と逆のパターンをとり、マイナスの所定値から徐々に0に近づいて元の0に戻るサーボプレスモータ動作パターンの一例である。
図4(3)は、ワークアングル信号WA_ON@を示しており、プレス作業区間のときにオンの状態を維持し、プレス作業区間以外のときにオフの状態を維持する。
図4(4)は、FW負荷電力K_PL1を示しており、FW負荷電力K_PL1は、プレス作業区間以外のときに、図4(2)に示した負荷電力K_PLが反映された電力(乗算器32により、負荷電力K_PLにサーボプレスモータ定格容量SPR_KWが乗算されることで得られた電力)であり、プレス作業区間のときに、負荷電力K_PLがFW分担容量FW_KWに応じて分担された電力a(乗算器32により、負荷電力K_PLにFW分担容量FW_KWが乗算されることで得られた電力)である。
図4(5)は、コンデンサ負荷電力K_PL2を示しており、コンデンサ負荷電力K_PL2は、プレス作業区間以外のときに0(乗算器34により、負荷電力K_PLに0が乗算されることで得られた電力)であり、プレス作業区間のときに、負荷電力K_PLがコンデンサ分担容量CB_KWに応じて分担された電力b(乗算器34により、負荷電力K_PLにコンデンサ分担容量CB_KWが乗算されることで得られた電力)である。
(ワークアングル信号生成器35)
次に、図3に示したワークアングル信号生成器35について詳細に説明する。図5は、ワークアングル信号生成器35の構成例を示すブロック図である。このワークアングル信号生成器35は、第1ワークアングル信号生成器40、第2ワークアングル信号生成器41及び選択器42を備えている。
第1ワークアングル信号生成器40は、インバータ13からサーボプレスモータ速度ωSPRを入力し、サーボプレスモータ速度ωSPRに基づいてプレス角度θdegを算出する。そして、第1ワークアングル信号生成器40は、プレス角度θdegが予め設定されたワークアングルの範囲(ワークオン角度WONからワークオフ角度WOFFまでの範囲、プレス作業区間の範囲)にあるか否かを示す第1ワークアングル信号WA_ON_DEG@を生成する。第1ワークアングル信号生成器40は、プレス角度θdegを第2ワークアングル信号生成器41に出力し、第1ワークアングル信号WA_ON_DEG@を選択器42に出力する。第1ワークアングル信号生成器40の詳細については後述する。
第2ワークアングル信号生成器41は、インバータ13からサーボプレスモータ速度ωSPRを入力すると共に、FW制御部22からFW負荷電力K_PL1”を入力し、第1ワークアングル信号生成器40からプレス角度θdegを入力する。そして、第2ワークアングル信号生成器41は、FW負荷電力K_PL1”に基づいて、当該FW負荷電力K_PL1”の変化量を示す負荷電力変化量K_PLDを算出する。第2ワークアングル信号生成器41は、負荷電力変化量K_PLD及びサーボプレスモータ速度ωSPRに基づいて、プレス角度θdegが負荷電力変化量K_PLDに応じたプレス作業区間の範囲にあるか否かを示す第2ワークアングル信号WA_ON_PL@を生成する。第2ワークアングル信号生成器41は、第2ワークアングル信号WA_ON_PL@を選択器42に出力する。第2ワークアングル信号生成器41の詳細については後述する。
選択器42は、第1ワークアングル信号生成器40から第1ワークアングル信号WA_ON_DEG@を入力すると共に、第2ワークアングル信号生成器41から第2ワークアングル信号WA_ON_PL@を入力する。また、選択器42は、予め設定されたワークアングル選択信号WA_ON_SEL@を入力し、ワークアングル選択信号WA_ON_SEL@に応じて、第1ワークアングル信号WA_ON_DEG@及び第2ワークアングル信号WA_ON_PL@のうちのいずれか一方をワークアングル信号WA_ON@として選択する。選択器42は、ワークアングル信号WA_ON@をスイッチ31,33に出力する。ワークアングル選択信号WA_ON_SEL@は、第1ワークアングル信号WA_ON_DEG@及び第2ワークアングル信号WA_ON_PL@のうちのいずれか一方を選択するための信号であり、ユーザの操作により変更することができる。選択器42の詳細については後述する。
[第1ワークアングル信号生成器40]
次に、図5に示した第1ワークアングル信号生成器40について詳細に説明する。図6は、第1ワークアングル信号生成器40の構成例を示すブロック図である。図7は、第1ワークアングル信号生成器40の構成部の入出力信号を説明する図である。図7(1)は、角度生成器36の入出力信号を示し、図7(2)は、比較器38の入出力信号を示す。
この第1ワークアングル信号生成器40は、角度生成器36、乗算器37及び比較器38を備えている。
角度生成器36は、インバータ13からサーボプレスモータ速度ωSPRを入力し、サーボプレスモータ速度ωSPRに対する処理、サーボプレスモータ回転数の加算結果を積分する処理等により、角度θplseを生成する。具体的には、角度生成器36は、サーボプレスモータ14の加減速パターンであるサーボプレスモータ速度ωSPRに基づいて、図7(1)に示すように、0から予め設定されたスケーリングファクタSCの値までを、最初はその変化率が徐々に大きくなり、最後は徐々に小さくなるように、角度θplseを生成する。角度生成器36は、角度θplseを乗算器37に出力する。より詳細には、角度生成器36は、サーボプレスモータ速度ωSPRを積分する等の処理により、角度θplseを生成する。
乗算器37は、角度生成器36から角度θplseを入力し、角度θplseに、360を予め設定されたスケーリングファクタSCで除算した除算結果を乗算することで、プレス角度θdegを求め、プレス角度θdegを比較器38及び第2ワークアングル信号生成器41に出力する。
比較器38は、乗算器37からプレス角度θdegを入力し、プレス角度θdegが予め設定されたワークオン角度WON以上であり、かつ予め設定されたワークオフ角度WOFF以下である場合、オンの状態を維持する第1ワークアングル信号WA_ON_DEG@を生成する。
一方、比較器38は、プレス角度θdegが予め設定されたワークオン角度WONよりも小さい場合、または、予め設定されたワークオフ角度WOFFよりも大きい場合、オフの状態を維持する第1ワークアングル信号WA_ON_DEG@を生成する。そして、比較器38は、第1ワークアングル信号WA_ON_DEG@を選択器42に出力する。
図7(2)に示すように、プレス装置16のプレス部材が上死点(プレス角度θdeg=0°)から下死点(プレス角度θdeg=180°)へ、下死点から上死点へ時計の反対回りに動く場合を想定する。この場合、サーボプレスモータ速度ωSPRのパターンに対応したプレス角度θdeg=0°~360°において、プレス角度θdegがワークオン角度WON以上であり、かつワークオフ角度WOFF以下である場合((α2-δ)以上(α3+δ)以下の場合)、オンの状態を維持する第1ワークアングル信号WA_ON_DEG@が生成される。一方、プレス角度θdegがワークオン角度WONよりも小さい場合、または、ワークオフ角度WOFFよりも大きい場合、オフの状態を維持する第1ワークアングル信号WA_ON_DEG@が生成される。尚、α2,α3は、実際のプレス作業区間である。ワークオン角度WON及びワークオフ角度WOFFは、α2,α3に対して余裕角度δの余裕分を持たせた角度であり、予め設定される。
このように、図2に示した負荷電力分担部21により、プレス作業区間のときに、負荷電力K_PLの一部をFW及びコンデンサ10による蓄電システムに分担させることで、FW負荷電力K_PL1及びコンデンサ負荷電力K_PL2が生成される。また、プレス作業区間以外のときに、負荷電力K_PLの一部をFWによる蓄電システムに分担させることで、負荷電力K_PLが反映されたFW負荷電力K_PL1、及び0のコンデンサ負荷電力K_PL2が生成される。
[第2ワークアングル信号生成器41]
次に、図5に示した第2ワークアングル信号生成器41について詳細に説明する。図8は、第2ワークアングル信号生成器41の構成例を示すブロック図である。この第2ワークアングル信号生成器41は、極性判別器50、作業区間入出判別器51、ワークオンオフトリガ信号生成器52、ワークオンオフアングル生成器53及び比較器54を備えている。
極性判別器50は、インバータ13からサーボプレスモータ速度ωSPRを入力すると共に、FW制御部22からFW負荷電力K_PL1”を入力する。そして、極性判別器50は、FW負荷電力K_PL1”に基づいて負荷電力変化量K_PLDを算出し、負荷電力変化量K_PLD及びにサーボプレスモータ速度ωSPRに基づいて、サーボプレスモータ速度ωSPR及びFW負荷電力K_PL1”の極性を判別し、極性判別値SGNを設定する。極性判別器50は、負荷電力変化量K_PLD及び極性判別値SGNを作業区間入出判別器51に出力する。
図9は、極性判別器50の構成例を示すブロック図である。この極性判別器50は、微分器60、比較器61,63、スイッチ62,64及び乗算器65を備えている。
微分器60は、FW負荷電力K_PL1”を入力し、FW負荷電力K_PL1”に対し、予め設定された微分ゲインωLAGのパラメータにて微分処理を施し、FW負荷電力K_PL1”の変化量を示す負荷電力変化量K_PLDを求める。そして、微分器60は、負荷電力変化量K_PLDを比較器61及び作業区間入出判別器51に出力する。
比較器61は、微分器60から負荷電力変化量K_PLDを入力すると共に、予め設定された0(ゼロの値)を入力し、負荷電力変化量K_PLDと0とを比較する。そして、比較器61は、負荷電力変化量K_PLDが0よりも大きい場合、0よりも大きいことを示す信号をスイッチ62に出力し、負荷電力変化量K_PLDが0である場合、0であることを示す信号をスイッチ62に出力する。また、比較器61は、負荷電力変化量K_PLDが0よりも小さい場合、0よりも小さいことを示す信号をスイッチ62に出力する。
スイッチ62は、比較器61から0よりも大きいことを示す信号、0であることを示す信号及び0よりも小さいことを示す信号のうちのいずれかを入力すると共に、予め設定された1(1の値)、0(ゼロの値)及び-1(-1の値)を入力する。そして、スイッチ62は、比較器61から0よりも大きいことを示す信号を入力した場合、1の値を乗算器65に出力し、比較器61から0であることを示す信号を入力した場合、0の値を乗算器65に出力する。また、スイッチ62は、比較器61から0よりも小さいことを示す信号を入力した場合、-1の値を乗算器65に出力する。
比較器63は、インバータ13からサーボプレスモータ速度ωSPRを入力すると共に、予め設定された0(ゼロの値)を入力し、サーボプレスモータ速度ωSPRと0とを比較する。そして、比較器63は、サーボプレスモータ速度ωSPRが0よりも大きい場合、0よりも大きいことを示す信号をスイッチ64に出力し、サーボプレスモータ速度ωSPRが0である場合、0であることを示す信号をスイッチ64に出力する。また、比較器63は、サーボプレスモータ速度ωSPRが0よりも小さい場合、0よりも小さいことを示す信号をスイッチ64に出力する。
スイッチ64は、比較器63から0よりも大きいことを示す信号、0であることを示す信号及び0よりも小さいことを示す信号のうちのいずれかを入力すると共に、予め設定された1(1の値)、0(ゼロの値)及び-1(-1の値)を入力する。そして、スイッチ64は、比較器63から0よりも大きいことを示す信号を入力した場合、1の値を乗算器65に出力し、比較器63から0であることを示す信号を入力した場合、0の値を乗算器65に出力する。また、スイッチ64は、比較器63から0よりも小さいことを示す信号を入力した場合、-1の値を乗算器65に出力する。
乗算器65は、スイッチ62から1,0,-1のうちのいずれかの値を入力すると共に、スイッチ64から1,0,-1のうちのいずれかの値を入力する。そして、乗算器65は、両値を乗算することで、サーボプレスモータ速度ωSPR及びFW負荷電力K_PL1”の極性を判別し、乗算結果を極性判別値SGN(1,0,-1のいずれかの値)として設定する。乗算器65は、極性判別値SGNを作業区間入出判別器51に出力する。
図8に戻って、作業区間入出判別器51は、極性判別器50から負荷電力変化量K_PLD及び極性判別値SGNを入力する。そして、作業区間入出判別器51は、負荷電力変化量K_PLD及び極性判別値SGNに基づいて、プレス作業区間に入るとき(プレス作業を開始するとき)のFW負荷電力K_PL1”の増加率が高いことを示す作業区間入信号WANG_ON0@を生成し、プレス作業区間から出るとき(プレス作業が終了するとき)のFW負荷電力K_PL1”の減少率が高いことを示す作業区間出信号WANG_OFF0@を生成する。作業区間入出判別器51は、作業区間入信号WANG_ON0@及び作業区間出信号WANG_OFF0@をワークオンオフトリガ信号生成器52に出力する。
図10は、作業区間入出判別器51の構成例を示すブロック図である。この作業区間入出判別器51は、ハイパス特徴量フィルタ66、乗算器67及び比較器68,69を備えている。
ハイパス特徴量フィルタ66は、極性判別器50から負荷電力変化量K_PLDを入力し、負荷電力変化量K_PLDに対し、負荷電力変化量K_PLDを特徴量としてハイパス特徴量フィルタ処理を施し、ハイパス特徴量フィルタ処理が施された負荷電力変化量K_PLDを乗算器67に出力する。ハイパス特徴量フィルタ66は、(K_PLD/Po)2/(1+(K_PLD/Po)2)の式で表される演算を行い、Poは、予め設定された定数を示すパラメータである。
具体的には、ハイパス特徴量フィルタ66は、負荷電力変化量K_PLDの絶対値が大きいほど(0に近くないほど)、入力した負荷電力変化量K_PLDをそのまま出力する。つまり、負荷電力変化量K_PLDの絶対値が大きいほど、ハイパス特徴量フィルタ66の出力値は1に近くなる。一方、ハイパス特徴量フィルタ66は、負荷電力変化量K_PLDが0に近いほど、0に近い負荷電力変化量K_PLDを出力する。これにより、負荷電力変化量K_PLDが0に近いほど、負荷電力変化量K_PLDのハンチングをなくし感度を下げることができる。
乗算器67は、ハイパス特徴量フィルタ66からハイパス特徴量フィルタ処理が施された負荷電力変化量K_PLDを入力すると共に、極性判別器50から極性判別値SGN(1,0,-1のいずれかの値)を入力する。そして、乗算器67は、負荷電力変化量K_PLDに極性判別値SGNを乗算し、乗算結果を比較器68,69に出力する。
比較器68は、乗算器67から乗算結果を入力すると共に、予め設定された0.5(0.5の値)を入力し、乗算結果と0.5とを比較する。そして、比較器68は、乗算結果が0.5よりも大きい場合、FW負荷電力K_PL1”の増加率が高いことを示すオンの状態を維持する作業区間入信号WANG_ON0@を生成する。一方、比較器68は、乗算結果が0.5以下の場合、FW負荷電力K_PL1”の増加率が高くないことを示すオフの状態を維持する作業区間入信号WANG_ON0@を生成する。比較器68は、作業区間入信号WANG_ON0@をワークオンオフトリガ信号生成器52に出力する。
比較器69は、乗算器67から乗算結果を入力すると共に、予め設定された-0.5(-0.5の値)を入力し、乗算結果と-0.5とを比較する。そして、比較器69は、乗算結果が-0.5よりも小さい場合、FW負荷電力K_PL1”の減少率が高いことを示すオンの状態を維持する作業区間出信号WANG_OFF0@を生成する。一方、比較器69は、乗算結果が-0.5以上の場合、FW負荷電力K_PL1”の減少率が高くないことを示すオフの状態を維持する作業区間出信号WANG_OFF0@を生成する。比較器69は、作業区間出信号WANG_OFF0@をワークオンオフトリガ信号生成器52に出力する。
図4(2)に示した負荷電力K_PLの特性を参照して、プレス作業区間に入る立ち上がりのタイミングにおいて、ハイパス特徴量フィルタ66によりハイパス特徴量フィルタ処理が施された負荷電力変化量K_PLD(FW負荷電力K_PL1”の増加率)が0.5よりも大きいときに、オンの状態を維持する作業区間入信号WANG_ON0@が生成される。また、プレス作業区間から出る立ち下がりのタイミングにおいて、ハイパス特徴量フィルタ66によりハイパス特徴量フィルタ処理が施された負荷電力変化量K_PLD(FW負荷電力K_PL1”の減少率)が-0.5よりも小さいときに、オンの状態を維持する作業区間出信号WANG_OFF0@が生成される。
図8に戻って、ワークオンオフトリガ信号生成器52は、作業区間入出判別器51から作業区間入信号WANG_ON0@及び作業区間出信号WANG_OFF0@を入力すると共に、第1ワークアングル信号生成器40からプレス角度θdegを入力する。
ワークオンオフトリガ信号生成器52は、予め設定されたワークオン角度WONに対して余裕角度δだけ手前(WON-δ)の個所から下死点(180°)までの間の範囲内にプレス角度θdegがある場合、入力した作業区間入信号WANG_ON0@の立ち上がりのタイミングでワークオントリガ信号WANG_ON_TRG@を生成する。
ワークオンオフトリガ信号生成器52は、下死点(180°)から予め設定されたワークオフ角度WOFFに対して余裕角度δだけ後の(WOFF+δ)の個所までの範囲内にプレス角度θdegがある場合、入力した作業区間出信号WANG_OFF0@の立ち上がりのタイミングでワークオフトリガ信号WANG_OFF_TRG@を生成する。そして、ワークオンオフトリガ信号生成器52は、ワークオントリガ信号WANG_ON_TRG@及びワークオフトリガ信号WANG_OFF_TRG@をワークオンオフアングル生成器53に出力する。余裕角度δは、予め設定される角度である。
これにより、プレス角度θdegが前述の範囲外にある場合、作業区間入信号WANG_ON0@及び作業区間出信号WANG_OFF0@の入力を無視することができ、作業区間入出判別器51における作業区間入信号WANG_ON0@及び作業区間出信号WANG_OFF0@の誤検出を防止することができる。つまり、ワークオンオフトリガ信号生成器52により、精度の高いワークオントリガ信号WANG_ON_TRG@及びワークオフトリガ信号WANG_OFF_TRG@を生成することができ、結果として、第2ワークアングル信号生成器41により生成される第2ワークアングル信号WA_ON_PL@の精度を高めることができる。
図11は、ワークオンオフトリガ信号生成器52の構成例を示すブロック図であり、図12は、ワークオンオフトリガ信号生成器52の構成部の入出力信号を説明する図である。このワークオンオフトリガ信号生成器52は、比較器70,73、演算器71,74及び立ち上がり微分器72,75を備えている。
比較器70は、プレス角度θdegを入力すると共に、予め設定された180°の角度、及び予め設定されたワークオン角度WONから余裕角度δを減算した角度(WON-δ)を入力し、プレス角度θdegと180°及び(WON-δ)の角度とを比較する。
比較器70は、プレス角度θdegが(WON-δ)よりも大きく、かつ180°よりも小さい場合(図12において、プレス角度θdegがαの範囲にある場合)、ワークオン角度WONの手前から下死点(180°)までの間の範囲内にプレス角度θdegがあることを示すオンの状態を維持するワークオン下死点区間信号WANG_ON_WIN@を生成する。
一方、比較器70は、プレス角度θdegが(WON-δ)以下であるか、または180°以上である場合、前述の範囲外にプレス角度θdegがあることを示すオフの状態を維持するワークオン下死点区間信号WANG_ON_WIN@を生成する。そして、比較器70は、ワークオン下死点区間信号WANG_ON_WIN@を演算器71に出力する。
演算器71は、比較器70からワークオン下死点区間信号WANG_ON_WIN@を入力すると共に、作業区間入出判別器51から作業区間入信号WANG_ON0@を入力する。そして、演算器71は、ワークオン下死点区間信号WANG_ON_WIN@及び作業区間入信号WANG_ON0@の論理積(AND)を演算することで、FW負荷電力K_PL1”が増加していることを示す負荷電力増加信号WANG_ON@を生成し、負荷電力増加信号WANG_ON@を立ち上がり微分器72に出力する。
立ち上がり微分器72は、演算器71から負荷電力増加信号WANG_ON@を入力し、負荷電力増加信号WANG_ON@に対し立ち上がり微分処理を施すことで、立ち上がりのタイミングを検出する。そして、立ち上がり微分器72は、負荷電力増加信号WANG_ON@の立ち上がりのタイミング(FW負荷電力K_PL1”が増加するタイミング)を示すワークオントリガ信号WANG_ON_TRG@を生成する。立ち上がり微分器72は、ワークオントリガ信号WANG_ON_TRG@をワークオンオフアングル生成器53に出力する。
比較器73は、プレス角度θdegを入力すると共に、予め設定されたワークオフ角度WOFFに余裕角度δを加算した角度(WOFF+δ)、及び予め設定された180°の角度を入力し、プレス角度θdegと(WOFF+δ)及び180°の角度とを比較する。
比較器73は、プレス角度θdegが180°よりも大きく、かつ(WOFF+δ)よりも小さい場合(図12において、プレス角度θdegがβの範囲にある場合)、下死点(180°)からワークオフ角度WOFFの後の個所までの間の範囲内にプレス角度θdegがあることを示すオンの状態を維持するワークオフ下死点区間信号WANG_OFF_WIN@を生成する。
一方、比較器73は、プレス角度θdegが180°以下であるか、または(WOFF+δ)以上である場合、前述の範囲外にプレス角度θdegがあることを示すオフを維持するワークオフ下死点区間信号WANG_OFF_WIN@を生成する。そして、比較器73は、ワークオフ下死点区間信号WANG_OFF_WIN@を演算器74に出力する。
演算器74は、比較器73からワークオフ下死点区間信号WANG_OFF_WIN@を入力すると共に、作業区間入出判別器51から作業区間出信号WANG_OFF0@を入力する。そして、演算器74は、ワークオフ下死点区間信号WANG_OFF_WIN@及び作業区間出信号WANG_OFF0@の論理積(AND)を演算することで、FW負荷電力K_PL1”が減少していることを示す負荷電力減少信号WANG_OFF@を生成し、負荷電力減少信号WANG_OFF@を立ち上がり微分器75に出力する。
立ち上がり微分器75は、演算器74から負荷電力減少信号WANG_OFF@を入力し、負荷電力減少信号WANG_OFF@に対し立ち上がり微分処理を施すことで、立ち上がりのタイミングを検出する。立ち上がり微分器75は、負荷電力減少信号WANG_OFF@の立ち上がりのタイミング(FW負荷電力K_PL1”が減少するタイミング)を示すワークオフトリガ信号WANG_OFF_TRG@を生成する。立ち上がり微分器75は、ワークオフトリガ信号WANG_OFF_TRG@をワークオンオフアングル生成器53に出力する。
図8に戻って、ワークオンオフアングル生成器53は、ワークオンオフトリガ信号生成器52からワークオントリガ信号WANG_ON_TRG@及びワークオフトリガ信号WANG_OFF_TRG@を入力すると共に、第1ワークアングル信号生成器40からプレス角度θdegを入力する。
ワークオンオフアングル生成器53は、予め設定されたワークオン角度WON及びワークオフ角度WOFFを、それぞれワークオンアングルWA_ON_PL及びワークオフアングルWA_OFF_PLの初期値に設定する。
ワークオンオフアングル生成器53は、ワークオントリガ信号WANG_ON_TRG@を入力する毎に、プレス角度θdegをワークオンアングルWA_ON_PLに設定することで、ワークオンアングルWA_ON_PLを更新する。また、ワークオンオフアングル生成器53は、ワークオフトリガ信号WANG_OFF_TRG@を入力する毎に、プレス角度θdegをワークオフアングルWA_OFF_PLに設定することで、ワークオフアングルWA_OFF_PLを更新する。そして、ワークオンオフアングル生成器53は、ワークオンアングルWA_ON_PL及びワークオフアングルWA_OFF_PLを比較器54に出力する。
これにより、プレス角度θdegが前述のワークオンの下死点の範囲(図12のα)内にあり、かつFW負荷電力K_PL1”が増加するタイミングを示すワークオントリガ信号WANG_ON_TRG@を入力する毎に(プレス装置16の1サイクル毎に)、FW負荷電力K_PL1”が増加するタイミングのプレス角度θdegがワークオンアングルWA_ON_PLとして更新される。また、プレス角度θdegが前述のワークオフの下死点の範囲(図12のβ)内にあり、かつFW負荷電力K_PL1”が減少するタイミングを示すワークオフトリガ信号WANG_OFF_TRG@を入力する毎に(プレス装置16の1サイクル毎に)、FW負荷電力K_PL1”が減少するタイミングのプレス角度θdegがワークオフアングルWA_OFF_PLとして更新される。
図13は、ワークオンオフアングル生成器53の構成例を示すブロック図である。このワークオンオフアングル生成器53は、スイッチ76,77,78,79を備えている。
スイッチ76は、予め設定されたワークオン角度WONを入力すると共に、スイッチ77から出力されたワークオンアングルWA_ON_PLを入力し、さらに、インバータ運転入信号K_ASTBY@を入力する。インバータ運転入信号K_ASTBY@は、図1に示したインバータ13が運転中のときにオンの状態を維持し、運転中でないときにオフの状態を維持する信号である。
スイッチ76は、インバータ運転入信号K_ASTBY@がオフの場合、b接点のリレーに入力されたワークオン角度WONをスイッチ77に出力し、インバータ運転入信号K_ASTBY@がオンの場合、a接点のリレーに入力されたワークオンアングルWA_ON_PLをスイッチ77に出力する。
スイッチ77は、プレス角度θdegを入力すると共に、スイッチ76からワークオン角度WONまたはワークオンアングルWA_ON_PLを入力し、さらに、ワークオンオフトリガ信号生成器52からワークオントリガ信号WANG_ON_TRG@を入力する。
スイッチ77は、ワークオントリガ信号WANG_ON_TRG@がオフの場合、b接点のリレーに入力されたワークオン角度WONまたはワークオンアングルWA_ON_PL(1スキャン前のワークオンアングルWA_ON_PL)を現在のスキャンのワークオンアングルWA_ON_PLとして設定し、これをスイッチ76及び比較器54に出力する。
一方、スイッチ77は、ワークオントリガ信号WANG_ON_TRG@がオンの場合、a接点のリレーに入力されたプレス角度θdegを現在のスキャンのワークオンアングルWA_ON_PLとして設定し、これをスイッチ76及び比較器54に出力する。これにより、オンに変化したワークオントリガ信号WANG_ON_TRG@を入力する毎に、プレス角度θdegがワークオンアングルWA_ON_PLに設定され、ワークオンアングルWA_ON_PLが更新される。
スイッチ78は、予め設定されたワークオフ角度WOFFを入力すると共に、スイッチ79により出力されたワークオフアングルWA_OFF_PLを入力し、さらに、インバータ運転入信号K_ASTBY@を入力する。
スイッチ78は、インバータ運転入信号K_ASTBY@がオフの場合、b接点のリレーに入力されたワークオフ角度WOFFをスイッチ79に出力し、インバータ運転入信号K_ASTBY@がオンの場合、a接点のリレーに入力されたワークオフアングルWA_OFF_PLをスイッチ79に出力する。
スイッチ79は、プレス角度θdegを入力すると共に、スイッチ78からワークオフ角度WOFFまたはワークオフアングルWA_OFF_PLを入力し、さらに、ワークオンオフトリガ信号生成器52からワークオフトリガ信号WANG_OFF_TRG@を入力する。
スイッチ79は、ワークオフトリガ信号WANG_OFF_TRG@がオフの場合、b接点のリレーに入力されたワークオフ角度WOFFまたはワークオフアングルWA_OFF_PL(1スキャン前のワークオフアングルWA_OFF_PL)を現在のスキャンのワークオフアングルWA_OFF_PLとして設定し、これをスイッチ78及び比較器54に出力する。
一方、スイッチ79は、ワークオフトリガ信号WANG_OFF_TRG@がオンの場合、a接点のリレーに入力されたプレス角度θdegを現在のスキャンのワークオフアングルWA_OFF_PLとして設定し、これをスイッチ78及び比較器54に出力する。これにより、オンに変化したワークオフトリガ信号WANG_OFF_TRG@を入力する毎に、プレス角度θdegがワークオフアングルWA_OFF_PLに設定され、ワークオフアングルWA_OFF_PLが更新される。
図8に戻って、比較器54は、ワークオンオフアングル生成器53からワークオンアングルWA_ON_PL及びワークオフアングルWA_OFF_PLを入力すると共に、第1ワークアングル信号生成器40からプレス角度θdegを入力する。そして、比較器54は、ワークオンアングルWA_ON_PL及びワークオフアングルWA_OFF_PLとプレス角度θdegとを比較する。
比較器54は、プレス角度θdegがワークオンアングルWA_ON_PLよりも大きく、かつワークオフアングルWA_OFF_PLよりも小さい場合、プレス作業区間を示すオンの状態を維持する第2ワークアングル信号WA_ON_PL@を生成する。一方、比較器54は、プレス角度θdegがワークオンアングルWA_ON_PL以下であるか、またはワークオフアングルWA_OFF_PL以上である場合、プレス作業区間以外を示すオフを維持する第2ワークアングル信号WA_ON_PL@を生成する。そして、比較器54は、第2ワークアングル信号WA_ON_PL@を選択器42に出力する。
[選択器42]
次に、図5に示した選択器42について詳細に説明する。図14は、選択器42の構成例を示すブロック図である。この選択器42は、反転器80及び演算器81,82,83を備えている。
反転器80は、予め設定されたオンまたはオフの状態を示すワークアングル選択信号WA_ON_SEL@を入力し、ワークアングル選択信号WA_ON_SEL@を反転させ、反転させたワークアングル選択信号WA_ON_SEL@を演算器81に出力する。ワークアングル選択信号WA_ON_SEL@は、第1ワークアングル信号WA_ON_DEG@及び第2ワークアングル信号WA_ON_PL@のうちのいずれか一方を選択するための信号である。
演算器81は、第1ワークアングル信号生成器40から第1ワークアングル信号WA_ON_DEG@を入力すると共に、反転器80から反転したワークアングル選択信号WA_ON_SEL@を入力する。そして、演算器81は、第1ワークアングル信号WA_ON_DEG@及び反転したワークアングル選択信号WA_ON_SEL@の論理積(AND)を演算し、演算結果を演算器83に出力する。
演算器82は、第2ワークアングル信号生成器41から第2ワークアングル信号WA_ON_PL@を入力すると共に、予め設定されたワークアングル選択信号WA_ON_SEL@を入力する。そして、演算器82は、第2ワークアングル信号WA_ON_PL@及びワークアングル選択信号WA_ON_SEL@の論理積(AND)を演算し、演算結果を演算器83に出力する。
演算器83は、演算器81から演算結果を入力すると共に、演算器82から演算結果を入力し、両演算結果の論理和(OR)を演算することで、ワークアングル信号WA_ON@を生成し、ワークアングル信号WA_ON@をスイッチ31,33に出力する。
これにより、ワークアングル選択信号WA_ON_SEL@がオンを示している場合、FW負荷電力K_PL1”の増減をプレス作業区間に反映した第2ワークアングル信号WA_ON_PL@が、ワークアングル信号WA_ON@として出力される。また、ワークアングル選択信号WA_ON_SEL@がオフを示している場合、プレス角度θdegが予め設定されたワークアングルの範囲にあるか否かをプレス作業区間に反映した第1ワークアングル信号WA_ON_DEG@が、ワークアングル信号WA_ON@として出力される。
<FW制御部22>
次に、図2に示したFW制御部22について詳細に説明する。図15は、FW制御部22の構成例を示すブロック図である。
このFW制御部22は、スレショルド電力調整器100、トルク指令変換器101、復帰制御器102、上限制御器103、下限制御器104、加減算器(演算器)105、負荷FF(フィードフォワード)補償器106及びリミッタ107を備えている。
スレショルド電力調整器100及びトルク指令変換器101は、プレス作業区間及びプレス加減速区間において、プレス装置16のプレス部材がプレス作業を行うときの電力及びプレス部材が加減速するための電力を補償するためのFW補償トルク指令TPL1を生成し、これら以外の区間において、0のFW補償トルク指令TPL1を生成する。つまり、スレショルド電力調整器100及びトルク指令変換器101により、FWの回生制御が行われる。
復帰制御器102は、プレス作業区間及びプレス加減速区間以外の区間において、速度制御によるFW復帰トルク指令TSTAR1を生成し、プレス作業区間及びプレス加減速区間において、0に近いFW復帰トルク指令TSTAR1を生成する。つまり、復帰制御器102により、FWの力行制御が行われる。
スレショルド電力調整器100は、負荷電力分担部21からFW負荷電力K_PL1を入力し、FW負荷電力K_PL1から予め設定されたスレショルド電力を減算する等して、FW補償電力PL1を求める。そして、スレショルド電力調整器100は、FW補償電力PL1をトルク指令変換器101及び復帰制御器102に出力する。スレショルド電力は、電源トランス2の入力電源から供給される電力に対応しており、FW補償電力PL1は、FW負荷電力K_PL1からスレショルド電力を除いた電力に対応する。
これにより、FW負荷電力K_PL1からスレショルド電力が除外され、プレス装置16の消費電力のピークカット分が調整される。
また、スレショルド電力調整器100は、1次遅れフィルタ処理が施されたFW負荷電力K_PL1に所定の定数を乗算することでFW負荷電力K_PL1”(KW)を求め、FW負荷電力K_PL1”を負荷電力分担部21に出力する。
トルク指令変換器101は、スレショルド電力調整器100からFW補償電力PL1を入力すると共に、パルスジェネレータ7からインバータ5を介してFWモータ速度ω1を入力する。そして、トルク指令変換器101は、FW補償電力PL1を、FWモータ速度ω1に応じてFW補償トルク指令TPL1に変換する。具体的には、トルク指令変換器101は、FW補償電力PL1をFWモータ速度ω1で除算することで、FW補償トルク指令TPL1を求める。トルク指令変換器101は、FW補償トルク指令TPL1を加減算器105に出力する。
復帰制御器102は、パルスジェネレータ7からインバータ5を介してFWモータ速度ω1を、予め設定されたFW速度指令ω1*を、スレショルド電力調整器100からFW補償電力PL1をそれぞれ入力する。そして、復帰制御器102は、FW速度指令ω1*からFWモータ速度ω1を減算して得られる速度偏差が0となるように速度制御を行い、FW復帰トルク指令TSTAR1を求める。
ここで、復帰制御器102は、速度制御を行う際に、ローパス特徴量フィルタにより、FW補償電力PL1の絶対値が大きいほど(0に近くないほど)、速度制御の比例ゲインを0に近くし、0に近いFW復帰トルク指令TSTAR1を求める。一方、復帰制御器102は、FW補償電力PL1が0に近いほど、速度制御の比例ゲインを効かせたFW復帰トルク指令TSTAR1を求める。そして、復帰制御器102は、FW復帰トルク指令TSTAR1を加減算器105に出力する。
これにより、プレス作業区間及びプレス加減速区間のときに、0に近いFW復帰トルク指令TSTAR1が生成され出力される。また、プレス作業区間及びプレス加減速区間以外の区間のときに、FWによる蓄電システムを復帰させるため(プレス作業区間及びプレス加減速区間のときに消費したFWの機械エネルギーを復帰させるため)のFW復帰トルク指令TSTAR1が生成され出力される。
つまり、復帰制御器102は、FWによる蓄電システムにて電力を補償するときに、速度制御の比例ゲインをローパス特徴量フィルタにより0に近い値とすることで、トルク指令変換器101によるトルク制御が行われる。この場合、トルク指令変換器101は、FWの回生を制御する構成部として機能する。また、復帰制御器102は、電力を補償しないときに、予め設定された比例ゲインにて速度制御を行い、FWの力行(FWを一定速度で回転させる動作)を制御する構成部として機能する。
上限制御器103は、パルスジェネレータ7からインバータ5を介してFWモータ速度ω1を入力する。上限制御器103は、FWモータ速度ω1が予め設定された上限速度を超えたときに(FWモータ速度ω1の絶対値が大きくなり、上限速度を超えたときに)、上限速度及びFWモータ速度ω1に基づいて、FWモータ速度ω1を元の範囲に戻すための上限速度制限トルクTMAX1を求める。そして、上限制御器103は、上限速度制限トルクTMAX1を加減算器105に出力する。
下限制御器104は、パルスジェネレータ7からインバータ5を介してFWモータ速度ω1を、予め設定されたFW速度指令ω1*をそれぞれ入力し、FW速度指令ω1*に基づいて下限速度を求める。そして、下限制御器104は、FWモータ速度ω1が下限速度を超えたときに(FWモータ速度ω1の絶対値が小さくなり、下限速度を超えたときに)、下限速度及びFWモータ速度ω1に基づいて、FWモータ速度ω1を元の範囲に戻すための下限速度制限トルクTMIN1を求める。下限制御器104は、下限速度制限トルクTMIN1を加減算器105に出力する。
加減算器105は、トルク指令変換器101からFW補償トルク指令TPL1を、復帰制御器102からFW復帰トルク指令TSTAR1を、上限制御器103から上限速度制限トルクTMAX1を、下限制御器104から下限速度制限トルクTMIN1をそれぞれ入力する。そして、加減算器105は、FW復帰トルク指令TSTAR1、上限速度制限トルクTMAX1及び下限速度制限トルクTMIN1を加算し、加算結果からFW補償トルク指令TPL1を減算することで、FWトルク指令TE1を求める。加減算器105は、FWトルク指令TE1を負荷FF補償器106に出力する。
負荷FF補償器106は、加減算器105からFWトルク指令TE1を、パルスジェネレータ7からインバータ5を介してFWモータ速度ω1を入力する。そして、負荷FF補償器106は、FWトルク指令TE1を積分することで、FWの速度指令を推定し、推定した速度指令からFWモータ速度ω1を減算することで、負荷トルク補償値を求める。負荷FF補償器106は、FWトルク指令TE1に負荷トルク補償値を加算することで、FWトルク指令TE1’を求める。負荷FF補償器106は、FWトルク指令TE1’をリミッタ107に出力する。
リミッタ107は、負荷FF補償器106からFWトルク指令TE1’を入力し、予め設定された正側トルクリミットη及び負側トルクリミット-ηの範囲内にFWトルク指令TE1’を制限することで、FWトルク指令TEXT1を求める。そして、リミッタ107は、FWトルク指令TEXT1をインバータ5へ出力する。
具体的には、リミッタ107は、FWトルク指令TE1’が予め設定された正側トルクリミットη以上である場合、正側トルクリミットηをFWトルク指令TEXT1に設定し、これを出力する。また、リミッタ107は、FWトルク指令TE1’が予め設定された正側トルクリミットηよりも小さく、かつ予め設定された負側トルクリミット-ηよりも大きい場合、入力したFWトルク指令TE1’をFWトルク指令TEXT1に設定し、これを出力する。また、リミッタ107は、FWトルク指令TE1’が予め設定された負側トルクリミット-η以下である場合、負側トルクリミット-ηをFWトルク指令TEXT1に設定し、これを出力する。これにより、過大なFWトルク指令TEXT1がインバータ5へ出力されないようにすることができる。
このように、FW制御部22により、プレス装置16のプレス作業区間及びプレス加減速区間に、FWによる蓄電システムから電力が供給されるように、FWモータ速度ω1及びFW負荷電力K_PL1等に基づき、FWトルク指令TEXT1が生成される。そして、FWトルク指令TEXT1は、インバータ5へ出力される。
(スレショルド電力調整器100)
次に、図15に示したスレショルド電力調整器100について詳細に説明する。図16は、スレショルド電力調整器100の構成例を示すブロック図である。
このスレショルド電力調整器100は、1次遅れフィルタ110、乗算器111、プラス側のスレショルド演算器112-1、マイナス側のスレショルド演算器112-2、リミッタ113及び減算器114を備えている。
1次遅れフィルタ110は、負荷電力分担部21からFW負荷電力K_PL1を入力し、FW負荷電力K_PL1に対し1次遅れフィルタ処理を施し、1次遅れフィルタ処理が施されたFW負荷電力K_PL1’を乗算器111に出力する。1次遅れフィルタ110は、1/(1+S/ωcc)の式で表され、パラメータωccは、予め設定された電流応答値である。
乗算器111は、1次遅れフィルタ110からFW負荷電力K_PL1’を入力し、FW負荷電力K_PL1’に予め設定された定数(1/PRATED)を乗算することで、FW負荷電力K_PL1”(KW)を求め、FW負荷電力K_PL1”をリミッタ113、減算器114及び負荷電力分担部21に出力する。PRATEDは、予め設定されたFWモータ定格容量(FWモータ6の定格容量)(KW)を示すパラメータである。
プラス側のスレショルド演算器112-1は、予め設定されたスレショルド電力PL1CUT+のパラメータを入力し、スレショルド電力PL1CUT+に所定の定数を乗算することで、プラス側のスレショルド電力PL1CUT+’(KW)を求め、スレショルド電力PL1CUT+’をリミッタ113に出力する。
図17は、プラス側のスレショルド演算器112-1の構成例を示すブロック図である。このスレショルド演算器112-1は、乗算器115及びスイッチ116を備えている。
乗算器115は、予め設定されたスレショルド電力PL1CUT+のパラメータを入力し、スレショルド電力PL1CUT+に所定の定数(1000/PRATED)を乗算することで、プラス側のスレショルド電力PL1CUT+’(KW)を求め、スレショルド電力PL1CUT+’をスイッチ116に出力する。
スイッチ116は、予め設定された0(ゼロの値)を入力すると共に、乗算器115からスレショルド電力PL1CUT+’を入力し、さらに、電力損失信号PLOSS@を入力する。電力損失信号PLOSS@は、停電による電力ロスがあったときはオンの状態を維持し、それ以外のときはオフの状態を維持する信号である。
スイッチ116は、電力損失信号PLOSS@がオフの場合(停電による電力ロスがないときに)、スレショルド電力PL1CUT+’をリミッタ113に出力する。一方、スイッチ116は、電力損失信号PLOSS@がオンの場合(停電による電力ロスがあったときに)、0をリミッタ113に出力する。
図16に戻って、マイナス側のスレショルド演算器112-2は、予め設定されたスレショルド電力PL1CUT-のパラメータを入力し、スレショルド電力PL1CUT-に所定の定数を乗算して符号を反転することで、マイナス側のスレショルド電力PL1CUT-’(KW)を求め、スレショルド電力PL1CUT-’をリミッタ113に出力する。
図18は、マイナス側のスレショルド演算器112-2の構成例を示すブロック図である。このスレショルド演算器112-2は、乗算器117,118を備えている。
乗算器117は、予め設定されたスレショルド電力PL1CUT-のパラメータを入力し、スレショルド電力PL1CUT-に所定の定数(1000/PRATED)を乗算し、乗算結果を乗算器118に出力する。乗算器118は、乗算器117から乗算結果を入力し、乗算結果に-1を乗算することで、マイナス側のスレショルド電力PL1CUT-’(KW)を求め、スレショルド電力PL1CUT-’をリミッタ113に出力する。
図16に戻って、リミッタ113は、乗算器111からFW負荷電力K_PL1”を、スレショルド演算器112-1からスレショルド電力PL1CUT+’を、スレショルド演算器112-2からスレショルド電力PL1CUT-’をそれぞれ入力する。
リミッタ113は、スレショルド電力PL1CUT+’及びスレショルド電力PL1CUT-’の範囲内にFW負荷電力K_PL1”を制限することで、FW負荷電力K_PL1*(KW)を求める。そして、リミッタ113は、FW負荷電力K_PL1*を減算器114に出力する。
具体的には、リミッタ113は、FW負荷電力K_PL1”がスレショルド電力PL1CUT+’以上である場合、スレショルド電力PL1CUT+’をFW負荷電力K_PL1*に設定し、FW負荷電力K_PL1*を出力する。また、リミッタ113は、FW負荷電力K_PL1”がスレショルド電力PL1CUT+’よりも小さく、かつスレショルド電力PL1CUT-’よりも大きい場合、FW負荷電力K_PL1”をFW負荷電力K_PL1*に設定し、FW負荷電力K_PL1*を出力する。また、リミッタ113は、FW負荷電力K_PL1”がスレショルド電力PL1CUT-’以下である場合、スレショルド電力PL1CUT-’をFW負荷電力K_PL1*に設定し、FW負荷電力K_PL1*を出力する。
減算器114は、乗算器111からFW負荷電力K_PL1”を入力すると共に、リミッタ113からFW負荷電力K_PL1*を入力する。そして、減算器114は、FW負荷電力K_PL1”からFW負荷電力K_PL1*を減算することで、FW補償電力PL1(KW)を求め、FW補償電力PL1をトルク指令変換器101に出力する。
これにより、FW負荷電力K_PL1から実際のFW負荷電力K_PL1”(KW)が算出され、FW負荷電力K_PL1”(KW)からスレショルド電力が減算されたFW補償電力PL1(KW)を得ることができる。
図19は、FW負荷電力K_PL1”及びFW補償電力PL1の特性を説明する図である。横軸は時間を示す。図19(1)は、図16に示した乗算器111により出力されるFW負荷電力K_PL1”を示している。FW負荷電力K_PL1”は、図16に示した1次遅れフィルタ110が入力するFW負荷電力K_PL1のパターン(図4(4))に対応した電力である。
図19(2)は、図16に示した減算器114により出力されるFW補償電力PL1を示している。FW補償電力PL1は、図19(1)に示したFW負荷電力K_PL1”からスレショルド電力PL1CUT+’,PL1CUT-’が減算されることで得られる。
これにより、FW補償電力PL1は、加速区間において、FW負荷電力K_PL1”のピーク部分に相当するA1の電力を有し、プレス作業区間において、FW負荷電力K_PL1”のピーク部分に相当するA2の電力を有し、減速区間において、FW負荷電力K_PL1”のピーク部分に相当するA3の電力を有することとなる。
そして、プレス装置16の負荷電力K_PLの一部は、FW補償電力PL1におけるA1,A2,A3の電力により、FWによる蓄電システムからの電力にて補償されることとなる。尚、スレショルド電力PL1CUT+’,PL1CUT-’は、電源トランス2の入力電源から供給されることとなる。
(トルク指令変換器101)
次に、図15に示したトルク指令変換器101について詳細に説明する。図20は、トルク指令変換器101の構成例を示すブロック図である。このトルク指令変換器101は、ハイパス特徴量フィルタ120、除算器121及びリミッタ122を備えている。
ハイパス特徴量フィルタ120は、スレショルド電力調整器100からFW補償電力PL1を入力し、FW補償電力PL1に対し、FW補償電力PL1を特徴量としてハイパス特徴量フィルタ処理を施し、ハイパス特徴量フィルタ処理が施されたFW補償電力PL1を演算器121に出力する。ハイパス特徴量フィルタ120は、(PL1/Po)2/(1+(PL1/Po)2)の式で表される演算を行い、Poは、予め設定された定数を示すパラメータである。
具体的には、ハイパス特徴量フィルタ120は、FW補償電力PL1の絶対値が大きいほど(0に近くないほど)、入力したFW補償電力PL1をそのまま出力する。一方、ハイパス特徴量フィルタ120は、FW補償電力PL1が0に近いほど、0に近いFW補償電力PL1を出力する。これにより、FW補償電力PL1が0に近いほど、FW補償電力PL1のハンチングをなくし感度を下げることができる。
除算器121は、ハイパス特徴量フィルタ120からハイパス特徴量フィルタ処理が施されたFW補償電力PL1を入力すると共に、パルスジェネレータ7からインバータ5を介してFWモータ速度ω1を入力する。
除算器121は、ハイパス特徴量フィルタ処理が施されたFW補償電力PL1をFWモータ速度ω1で除算することで、FW補償トルク指令TPL1を求める(TPL1=PL1/ω1)。尚、実際には除算器121はP0ωω1/(1+P0ω(ω1)2)の式で表され、零割防止処理を施している。P0ωは、予め設定された定数を示すパラメータである。そして、除算器121は、FW補償トルク指令TPL1をリミッタ122に出力する。
リミッタ122は、除算器121からFW補償トルク指令TPL1を入力し、予め設定された正側トルクリミットη及び負側トルクリミット-ηの範囲内にFW補償トルク指令TPL1を制限することで、制限後のFW補償トルク指令TPL1を求める。そして、リミッタ122は、制限後のFW補償トルク指令TPL1を加減算器105に出力する。
具体的には、リミッタ122は、入力したFW補償トルク指令TPL1が予め設定された正側トルクリミットη以上である場合、正側トルクリミットηをFW補償トルク指令TPL1に設定し、これを出力する。また、リミッタ122は、入力したFW補償トルク指令TPL1が予め設定された正側トルクリミットηよりも小さく、かつ予め設定された負側トルクリミット-ηよりも大きい場合、入力したFW補償トルク指令TPL1をそのまま出力する。また、リミッタ122は、入力したFW補償トルク指令TPL1が予め設定された負側トルクリミット-η以下である場合、負側トルクリミット-ηをFW補償トルク指令TPL1に設定し、これを出力する。これにより、過大なFW補償トルク指令TPL1が加減算器105へ出力されないようにすることができる。
(復帰制御器102)
次に、図15に示した復帰制御器102について詳細に説明する。図21は、復帰制御器102の構成例を示すブロック図である。この復帰制御器102は、ランプ器130、減算器131、ローパス特徴量フィルタ132及び速度制御器133を備えている。
ランプ器130は、予め設定されたFW速度指令ω1*を入力し、FW速度指令ω1*に対し、予め設定された加速レート及び減速レートによるランプ処理を行い、ランプ処理後のFW速度指令ω1*を減算器131に出力する。
具体的には、ランプ器130は、FW速度指令ω1*がステップ状に増加した場合、その傾きが加速レートに一致するように、FW速度指令ω1*を漸増させ、FW速度指令ω1*がステップ状に減少した場合、その傾きが減速レートに一致するように、FW速度指令ω1*を漸減させ、ランプ処理後のFW速度指令ω1*を出力する。
減算器131は、ランプ器130からランプ処理後のFW速度指令ω1*を入力すると共に、パルスジェネレータ7からインバータ5を介してFWモータ速度ω1を入力する。そして、減算器131は、FW速度指令ω1*からFWモータ速度ω1を減算することで、速度偏差を求め、速度偏差を速度制御器133に出力する。
ローパス特徴量フィルタ132は、スレショルド電力調整器100からFW補償電力PL1を入力する。そして、ローパス特徴量フィルタ132は、予め設定されたパラメータKv1に対し、FW補償電力PL1を特徴量として、予め設定された定数Poのパラメータを用いたローパス特徴量フィルタ処理を施し、比例ゲインを生成する。ローパス特徴量フィルタ132は、1/(1+(PL1/Po)2)の式で表される演算を行う。ローパス特徴量フィルタ132は、比例ゲインを速度制御器133に出力する。
この場合、ローパス特徴量フィルタ132は、ローパス特徴量フィルタ処理により、FW補償電力PL1の絶対値が大きいほど(0に近くないほど)、0に近い比例ゲインを生成する。そして、後段の速度制御器133は、0に近い比例ゲインの作用により、0に近いFW復帰トルク指令TSTAR1を生成する。一方、ローパス特徴量フィルタ132は、FW補償電力PL1が0に近いほど、ローパス特徴量フィルタ処理前のパラメータKv1に近い値の比例ゲインを生成する。そして、後段の速度制御器133は、速度偏差が0となるようなFW復帰トルク指令TSTAR1を生成する。
速度制御器133は、減算器131から速度偏差を入力すると共に、ローパス特徴量フィルタ132から比例ゲインを入力する。そして、速度制御器133は、速度偏差が0となるように、比例ゲインによる速度制御を行うことでFW復帰トルク指令TSTAR1を求め、さらに、正側トルクリミットη及び負側トルクリミット-ηの範囲内にFW復帰トルク指令TSTAR1を制限し、制限後のFW復帰トルク指令TSTAR1を加減算器105に出力する。
これにより、プレス作業区間及びプレス加減速区間のときに、0に近いFW復帰トルク指令TSTAR1が生成され出力され、トルク指令変換器101により出力されたFW補償トルク指令TPL1にてトルク制御が行われる。また、プレス作業区間及びプレス加減速区間以外の区間のときに、FWによる蓄電システムを復帰させるため(プレス作業区間及びプレス加減速区間のときに消費したFWの機械エネルギーを復帰させるため)のFW復帰トルク指令TSTAR1が生成され出力される。
(上限制御器103)
次に、図15に示した上限制御器103について詳細に説明する。図22は、上限制御器103の構成例を示すブロック図である。この上限制御器103は、減算器140,142及びリミッタ141,143を備えている。
減算器140は、予め設定された正転上限速度ω+MAX1のパラメータを入力すると共に、パルスジェネレータ7からインバータ5を介してFWモータ速度ω1を入力する。そして、減算器140は、正転上限速度ω+MAX1からFWモータ速度ω1を減算することで、正転上限トルクを求め、正転上限トルクをリミッタ141に出力する。
リミッタ141は、減算器140から正転上限トルクを入力すると共に、予め設定された0(ゼロの値)及び負側トルクリミット-ηを入力する。そして、リミッタ141は、0及び負側トルクリミット-ηの範囲内に正転上限トルクを制限することで、制限後の正転上限トルクを加算器144に出力する。
具体的には、リミッタ141は、正転上限トルクが0以上である場合、0を制限後の正転上限トルクに設定し、これを出力する。また、リミッタ141は、正転上限トルクが0よりも小さく、かつ負側トルクリミット-ηよりも大きい場合、入力した正転上限トルクを制限後の正転上限トルクに設定し、これを出力する。また、リミッタ141は、正転上限トルクが負側トルクリミット-η以下である場合、負側トルクリミット-ηを制限後の正転上限トルクに設定し、これを出力する。
これにより、リミッタ141から、FWモータ速度ω1が正転上限速度ω+MAX1を超えた場合に(上回った場合に)、超えた速度分のマイナス値が、制限後の正転上限トルクとして加算器144に出力される。
減算器142は、予め設定された逆転上限速度ω-MAX1のパラメータを入力すると共に、パルスジェネレータ7からインバータ5を介してFWモータ速度ω1を入力する。そして、減算器142は、逆転上限速度ω-MAX1からFWモータ速度ω1を減算することで、逆転上限トルクを求め、逆転上限トルクをリミッタ143に出力する。
リミッタ143は、減算器142から逆転上限トルクを入力すると共に、予め設定された正側トルクリミットη及び0(ゼロの値)を入力する。そして、リミッタ143は、正側トルクリミットη及び0の範囲内に逆転上限トルクを制限することで、制限後の逆転上限トルクを加算器144に出力する。
具体的には、リミッタ143は、逆転上限トルクが正側トルクリミットη以上である場合、正側トルクリミットηを制限後の逆転上限トルクに設定し、これを出力する。また、リミッタ143は、逆転上限トルクが正側トルクリミットηよりも小さく、かつ0よりも大きい場合、入力した逆転上限トルクを制限後の逆転上限トルクに設定し、これを出力する。また、リミッタ143は、逆転上限トルクが0以下である場合、0を制限後の逆転上限トルクに設定し、これを出力する。
これにより、リミッタ143から、FWモータ速度ω1が逆転上限速度ω-MAX1を超えた場合に(下回った場合に)、超えた速度分のプラス値が、制限後の逆転上限トルクとして加算器144に出力される。
加算器144は、リミッタ141から制限後の正転上限トルクを入力すると共に、リミッタ143から制限後の逆転上限トルクを入力する。そして、加算器144は、制限後の正転上限トルク及び制限後の逆転上限トルクを加算することで、上限速度制限トルクTMAX1を求め、上限速度制限トルクTMAX1を加減算器105に出力する。
これにより、FWモータ速度ω1の絶対値が大きくなり、FWモータ速度ω1が上限値を超えたときに、元の範囲に戻すための上限速度制限トルクTMAX1が生成され出力される。
(下限制御器104)
次に、図15に示した下限制御器104について詳細に説明する。図23は、下限制御器104の構成例を示すブロック図である。この下限制御器104は、下限速度設定器150、減算器151、乗算器152、比較器153、スイッチ154,155及びリミッタ156を備えている。
下限速度設定器150は、予め設定されたFW速度指令ω1*を入力し、FW速度指令ω1*に予め設定されたパラメータδminを乗算することで、下限速度を求める。そして、下限速度設定器150は、下限速度を減算器151に出力する。
減算器151は、下限速度設定器150から下限速度を入力すると共に、パルスジェネレータ7からインバータ5を介してFWモータ速度ω1を入力する。そして、減算器151は、下限速度からFWモータ速度ω1を減算することで、下限速度偏差を求め、下限速度偏差を乗算器152に出力する。
乗算器152は、減算器151から下限速度偏差を入力し、下限速度偏差に予め設定されたパラメータKDROOPを乗算することで、下限トルクを求める。そして、乗算器152は、下限トルクをリミッタ156に出力する。
比較器153は、予め設定されたFW速度指令ω1*を入力すると共に、予め設定された0(ゼロの値)を入力し、FW速度指令ω1*及び0を比較する。
比較器153は、FW速度指令ω1*が0よりも大きい場合、オンの状態を維持する正転検出信号FWD@をスイッチ154に出力し、FW速度指令ω1*が0以下である場合、オフの状態を維持する正転検出信号FWD@をスイッチ154に出力する。また、比較器153は、FW速度指令ω1*が0よりも小さい場合、オンの状態を維持する逆転検出信号REV@をスイッチ155に出力し、FW速度指令ω1*が0以上である場合、オフの状態を維持する逆転検出信号REV@をスイッチ155に出力する。
スイッチ154は、予め設定された正側トルクリミットη及び0(ゼロの値)を入力すると共に、比較器153から正転検出信号FWD@を入力する。
スイッチ154は、正転検出信号FWD@がオンの場合(FW速度指令ω1*が0よりも大きい場合)、正側トルクリミットηをリミッタ156に出力する。一方、スイッチ154は、正転検出信号FWD@がオフの場合(FW速度指令ω1*が0以下である場合)、0をリミッタ156に出力する。
スイッチ155は、予め設定された負側トルクリミット-η及び0(ゼロの値)を入力すると共に、比較器153から逆転検出信号REV@を入力する。
スイッチ155は、逆転検出信号REV@がオンの場合(FW速度指令ω1*が0よりも小さい場合)、負側トルクリミット-ηをリミッタ156に出力する。一方、スイッチ155は、逆転検出信号REV@がオフの場合(FW速度指令ω1*が0以上である場合)、0をリミッタ156に出力する。
リミッタ156は、乗算器152から下限トルクを入力すると共に、スイッチ154から正側トルクリミットηまたは0を、スイッチ155から0または負側トルクリミット-ηを入力する。
リミッタ156は、FW速度指令ω1*が0よりも大きい場合、正側トルクリミットη及び0の範囲内に下限トルクを制限することで、制限後の下限トルクを下限速度制限トルクTMIN1として加減算器105に出力する。一方、リミッタ156は、FW速度指令ω1*が0よりも小さい場合、0及び負側トルクリミット-ηの範囲内に下限トルクを制限することで、制限後の下限トルクを下限速度制限トルクTMIN1として加減算器105に出力する。
これにより、FWモータ速度ω1の絶対値が小さくなり、FWモータ速度ω1が下限速度を超えたときに、元の範囲に戻すための下限速度制限トルクTMIN1が生成され出力される。
(負荷FF補償器106)
次に、図15に示した負荷FF補償器106について詳細に説明する。図24は、負荷FF補償器106の構成例を示すブロック図である。この負荷FF補償器106は、積分器160、減算器161、乗算器162及び加算器163を備えている。
積分器160は、加減算器105からFWトルク指令TE1を入力し、FWトルク指令TE1に対し、予め設定された積分ゲインJのパラメータにて積分処理を施し、FWの負荷に応じた速度指令を推定し、速度指令を減算器161に出力する。
減算器161は、積分器160から速度指令を入力すると共に、パルスジェネレータ7からインバータ5を介してFWモータ速度ω1を入力し、速度指令からFWモータ速度ω1を減算することで、速度偏差を求め、速度偏差を乗算器162に出力する。
乗算器162は、減算器161から速度偏差を入力し、速度偏差に予め設定されたゲインKのパラメータを乗算し、乗算結果を負荷トルク補償値として加算器163に出力する。
加算器163は、加減算器105からFWトルク指令TE1を入力すると共に、乗算器162から負荷トルク補償値を入力する。そして、加算器163は、FWトルク指令TE1に負荷トルク補償値を加算することで、FWトルク指令TE1’を求め、FWトルク指令TE1’をリミッタ107に出力する。
<コンデンサ制御部23>
次に、図2に示したコンデンサ制御部23について詳細に説明する。図25は、コンデンサ制御部23の構成例を示すブロック図である。
このコンデンサ制御部23は、スレショルド電力調整器200、電流指令変換器201、復帰制御器202、上限制御器203、下限制御器204、加減算器(演算器)205、負荷FF補償器206及びリミッタ207を備えている。
スレショルド電力調整器200及び電流指令変換器201は、プレス作業区間において、プレス装置16のプレス部材がプレス作業を行うときの電力を補償するためのコンデンサ補償電流指令TPL2を生成し、これ以外の区間において、0のコンデンサ補償電流指令TPL2を生成する。つまり、スレショルド電力調整器200及び電流指令変換器201により、コンデンサ10の放電制御が行われる。
復帰制御器202は、プレス作業区間以外の区間において、電圧制御によるコンデンサ復帰電流指令TSTAR2を生成し、プレス作業区間において、0に近いコンデンサ復帰電流指令TSTAR2を生成する。つまり、復帰制御器202により、コンデンサ10の充電制御が行われる。
スレショルド電力調整器200は、負荷電力分担部21からコンデンサ負荷電力K_PL2を入力し、コンデンサ負荷電力K_PL2から予め設定されたスレショルド電力を減算する等して、コンデンサ補償電力PL2を求める。そして、スレショルド電力調整器200は、コンデンサ補償電力PL2を電流指令変換器201及び復帰制御器202に出力する。スレショルド電力は、電源トランス2の入力電源から供給される電力に対応しており、コンデンサ補償電力PL2は、コンデンサ負荷電力K_PL2からスレショルド電力を除いた電力に対応する。
これにより、コンデンサ負荷電力K_PL2からスレショルド電力が除外され、プレス装置16の消費電力のピークカット分が調整される。
電流指令変換器201は、スレショルド電力調整器200からコンデンサ補償電力PL2を入力すると共に、インバータ8からコンデンサ電圧ω2を入力する。そして、電流指令変換器201は、コンデンサ補償電力PL2を、コンデンサ電圧ω2に応じてコンデンサ補償電流指令TPL2に変換する。具体的には、電流指令変換器201は、コンデンサ補償電力PL2をコンデンサ電圧ω2で除算することで、コンデンサ補償電流指令TPL2を求める。電流指令変換器201は、コンデンサ補償電流指令TPL2を加減算器205に出力する。
復帰制御器202は、インバータ8からコンデンサ電圧ω2を、予め設定されたコンデンサ電圧指令ω2*を、スレショルド電力調整器200からコンデンサ補償電力PL2をそれぞれ入力する。そして、復帰制御器202は、コンデンサ電圧指令ω2*からコンデンサ電圧ω2を減算して得られた電圧偏差が0となるように電圧制御を行い、コンデンサ復帰電流指令TSTAR2を求める。
ここで、復帰制御器202は、電圧制御を行う際に、ローパス特徴量フィルタにより、コンデンサ補償電力PL2の絶対値が大きいほど(0に近くないほど)、電圧制御の比例ゲインを0に近くし、0に近いコンデンサ復帰電流指令TSTAR2を求める。一方、復帰制御器202は、コンデンサ補償電力PL2が0に近いほど、電圧制御の比例ゲインを効かせたコンデンサ復帰電流指令TSTAR2を求める。そして、復帰制御器202は、コンデンサ復帰電流指令TSTAR2を加減算器205に出力する。
これにより、プレス作業区間のときに、0に近いコンデンサ復帰電流指令TSTAR2が生成され出力される。また、プレス作業区間以外の区間のときに、コンデンサ10による蓄電システムを復帰させるため(プレス作業区間のときに消費したコンデンサ10の電気エネルギーを復帰させるため)のコンデンサ復帰電流指令TSTAR2が生成され出力される。
つまり、復帰制御器202は、コンデンサ10による蓄電システムにて電力を補償するときに、電圧制御の比例ゲインをローパス特徴量フィルタにより0に近い値とすることで、電流指令変換器201による電流制御が行われる。この場合、電流指令変換器201は、コンデンサ10の放電を制御する構成部として機能する。また、復帰制御器202は、電力を補償しないときに、予め設定された比例ゲインにて電圧制御を行い、コンデンサ10の充電を制御する構成部として機能する。
上限制御器203は、インバータ8からコンデンサ電圧ω2を入力する。上限制御器203は、コンデンサ電圧ω2が予め設定された上限電圧を超えたときに、上限電圧及びコンデンサ電圧ω2に基づいて、コンデンサ電圧ω2を元の範囲に戻すための上限電圧制限電流TMAX2を求める。そして、上限制御器203は、上限電圧制限電流TMAX2を加減算器205に出力する。
下限制御器204は、インバータ8からコンデンサ電圧ω2を、予め設定されたコンデンサ電圧指令ω2*をそれぞれ入力し、コンデンサ電圧指令ω2*に基づいて下限電圧を求める。そして、下限制御器204は、コンデンサ電圧ω2が下限電圧を超えたときに、下限電圧及びコンデンサ電圧ω2に基づいて、コンデンサ電圧ω2を元の範囲に戻すための下限電圧制限電流TMIN2を求める。下限制御器204は、下限電圧制限電流TMIN2を加減算器205に出力する。
加減算器205は、電流指令変換器201からコンデンサ補償電流指令TPL2を、復帰制御器202からコンデンサ復帰電流指令TSTAR2を、上限制御器203から上限電圧制限電流TMAX2を、下限制御器204から下限電圧制限電流TMIN2をそれぞれ入力する。そして、加減算器205は、コンデンサ復帰電流指令TSTAR2、上限電圧制限電流TMAX2及び下限電圧制限電流TMIN2を加算し、加算結果からコンデンサ補償電流指令TPL2を減算することで、コンデンサ電流指令TE2を求める。加減算器205は、コンデンサ電流指令TE2を負荷FF補償器206に出力する。
負荷FF補償器206は、加減算器205からコンデンサ電流指令TE2を、インバータ8からコンデンサ電圧ω2を入力する。そして、負荷FF補償器206は、コンデンサ電流指令TE2を積分することで、コンデンサ10の電圧指令を推定し、推定した電圧指令からコンデンサ電圧ω2を減算することで、負荷電流補償値を求める。負荷FF補償器206は、コンデンサ電流指令TE2に負荷電流補償値を加算することで、コンデンサ電流指令TE2’を求める。負荷FF補償器206は、コンデンサ電流指令TE2’をリミッタ207に出力する。
リミッタ207は、負荷FF補償器206からコンデンサ電流指令TE2’を入力し、予め設定された正側トルクリミットη及び負側トルクリミット-ηの範囲内にコンデンサ電流指令TE2’を制限することで、コンデンサ電流指令TEXT2を求める。そして、リミッタ207は、コンデンサ電流指令TEXT2をインバータ8へ出力する。
具体的には、リミッタ207は、コンデンサ電流指令TE2’が予め設定された正側トルクリミットη以上である場合、正側トルクリミットηをコンデンサ電流指令TEXT2に設定し、これを出力する。また、リミッタ207は、コンデンサ電流指令TE2’が予め設定された正側トルクリミットηよりも小さく、かつ予め設定された負側トルクリミット-ηよりも大きい場合、入力したコンデンサ電流指令TE2’をコンデンサ電流指令TEXT2に設定し、これを出力する。また、リミッタ207は、コンデンサ電流指令TE2’が予め設定された負側トルクリミット-η以下である場合、負側トルクリミット-ηをコンデンサ電流指令TEXT2に設定し、これを出力する。これにより、過大なコンデンサ電流指令TEXT2がインバータ8へ出力されないようにすることができる。
このように、コンデンサ制御部23により、プレス装置16のプレス作業区間に、コンデンサ10による蓄電システムから電力が供給されるように、コンデンサ電圧ω2及びコンデンサ負荷電力K_PL2等に基づき、コンデンサ電流指令TEXT2が生成される。そして、コンデンサ電流指令TEXT2は、インバータ8へ出力される。
(スレショルド電力調整器200)
次に、図25に示したスレショルド電力調整器200について詳細に説明する。図26は、スレショルド電力調整器200の構成例を示すブロック図である。
このスレショルド電力調整器200は、1次遅れフィルタ210、乗算器211、プラス側のスレショルド演算器212-1、マイナス側のスレショルド演算器212-2、リミッタ213及び減算器214を備えている。
スレショルド電力調整器200は、図16に示したスレショルド電力調整器100と同様の構成の下で、同様の処理を行う。スレショルド電力調整器200に備えた1次遅れフィルタ210、乗算器211、プラス側のスレショルド演算器212-1、マイナス側のスレショルド演算器212-2、リミッタ213及び減算器214は、図16に示したスレショルド電力調整器100に備えた1次遅れフィルタ110、乗算器111、プラス側のスレショルド演算器112-1、マイナス側のスレショルド演算器112-2、リミッタ113及び減算器114にそれぞれ対応し、同様の処理を行うため、ここでは詳細な説明を省略する。
図26に示すコンデンサ負荷電力K_PL2,K_PL2’,K_PL2”,K_PL2*は、図16に示したFW負荷電力K_PL1,K_PL1’,K_PL1”,K_PL1*にそれぞれ対応する。また、図26に示すスレショルド電力PL2CUT+,PL2CUT+’,PL2CUT-,PL2CUT-’は、図16に示したスレショルド電力PL1CUT+,PL1CUT+’,PL1CUT-,PL1CUT-’にそれぞれ対応する。また、図26に示すコンデンサ補償電力PL2は、図16に示したFW補償電力PL1に対応する。
1次遅れフィルタ210にて用いるパラメータωccは、図16と同様に、予め設定された電流応答値であり、乗算器211にて用いるPRATEDは、予め設定されたコンデンサ定格容量(コンデンサ10の定格容量)(KW)を示すパラメータである。
図27は、図26に示したプラス側のスレショルド演算器212-1の構成例を示すブロック図である。このスレショルド演算器212-1は、乗算器215及びスイッチ216を備えている。
スレショルド演算器212-1は、図17に示したスレショルド演算器112-1と同様の構成の下で、同様の処理を行う。スレショルド演算器212-1に備えた乗算器215及びスイッチ216は、図17に示したスレショルド演算器112-1に備えた乗算器115及びスイッチ116にそれぞれ対応し、同様の処理を行うため、ここでは詳細な説明を省略する。
図27に示すスレショルド電力PL2CUT+,PL2CUT+’は、図17に示したスレショルド電力PL1CUT+,PL1CUT+’に対応する。
図28は、図26に示したマイナス側のスレショルド演算器212-2の構成例を示すブロック図である。このスレショルド演算器212-2は、乗算器217,218を備えている。
スレショルド演算器212-2は、図18に示したスレショルド演算器112-2と同様の構成の下で、同様の処理を行う。スレショルド演算器212-2に備えた乗算器217,218は、図18に示したスレショルド演算器112-2に備えた乗算器117,118にそれぞれ対応し、同様の処理を行うため、ここでは詳細な説明を省略する。
図28に示すスレショルド電力PL2CUT-,PL2CUT-’は、図18に示したスレショルド電力PL1CUT-,PL1CUT-’に対応する。
図26に示したスレショルド電力調整器200により、コンデンサ負荷電力K_PL2から実際のコンデンサ負荷電力K_PL2”(KW)が算出され、コンデンサ負荷電力K_PL2”(KW)からスレショルド電力が減算されたコンデンサ補償電力PL2(KW)を得ることができる。
図29は、コンデンサ負荷電力K_PL2”及びコンデンサ補償電力PL2の特性を説明する図である。横軸は時間を示す。図29(1)は、図26に示した乗算器211により出力されるコンデンサ負荷電力K_PL2”を示している。コンデンサ負荷電力K_PL2”は、図26に示した1次遅れフィルタ210が入力するコンデンサ負荷電力K_PL2のパターン(図4(5))に対応した電力である。
図29(2)は、図26に示した減算器214により出力されるコンデンサ補償電力PL2を示している。コンデンサ補償電力PL2は、図29(1)に示したコンデンサ負荷電力K_PL2”からスレショルド電力PL2CUT+’,PL2CUT-’が減算されることで得られる。
これにより、コンデンサ補償電力PL2は、プレス作業区間において、コンデンサ負荷電力K_PL2”のピーク部分に相当するB1の電力を有することとなる。
そして、プレス装置16の負荷電力K_PLは、コンデンサ補償電力PL2におけるB1の電力により、コンデンサ10による蓄電システムからの電力にて補償されることとなる。尚、スレショルド電力PL2CUT+’,PL2CUT-’は、電源トランス2の入力電源から供給されることとなる。
(電流指令変換器201)
次に、図25に示した電流指令変換器201について詳細に説明する。図30は、電流指令変換器201の構成例を示すブロック図である。この電流指令変換器201は、ハイパス特徴量フィルタ220、除算器221及びリミッタ222を備えている。
電流指令変換器201は、図20に示したトルク指令変換器101と同様の構成の下で、同様の処理を行う。電流指令変換器201に備えたハイパス特徴量フィルタ220、除算器221及びリミッタ222は、図20に示したトルク指令変換器101に備えたハイパス特徴量フィルタ120、除算器121及びリミッタ122にそれぞれ対応し、同様の処理を行うため、ここでは詳細な説明を省略する。
図30に示すコンデンサ補償電力PL2、コンデンサ電圧ω2及びコンデンサ補償電流指令TPL2は、図20に示したFW補償電力PL1、FWモータ速度ω1及びFW補償トルク指令TPL1にそれぞれ対応する。除算器221において、コンデンサ補償電流指令TPL2は、ハイパス特徴量フィルタ処理が施されたコンデンサ補償電力PL2をコンデンサ電圧ω2で除算することで求められる(TPL2=PL2/ω2)。尚、実際には除算器221はP0ωω2/(1+P0ω(ω2)2)の式で表され、零割防止処理が施される。
ハイパス特徴量フィルタ220にて用いるPoは、図20と同様に、予め設定された定数を示すパラメータである。
(復帰制御器202)
次に、図25に示した復帰制御器202について詳細に説明する。図31は、復帰制御器202の構成例を示すブロック図である。この復帰制御器202は、ランプ器230、減算器231、ローパス特徴量フィルタ232及び電圧制御器233を備えている。
復帰制御器202は、図21に示した復帰制御器102と同様の構成の下で、同様の処理を行う。復帰制御器202に備えたランプ器230、減算器231、ローパス特徴量フィルタ232及び電圧制御器233は、図21に示した復帰制御器102に備えたランプ器130、減算器131、ローパス特徴量フィルタ132及び速度制御器133にそれぞれ対応し、同様の処理を行う。ランプ器230及び減算器231の処理については、詳細な説明を省略する。
図31に示すコンデンサ電圧指令ω2*、コンデンサ電圧ω2、コンデンサ補償電力PL2及びコンデンサ復帰電流指令TSTAR2は、図21に示したFW速度指令ω1*、FWモータ速度ω1、FW補償電力PL1及びFW復帰トルク指令TSTAR1にそれぞれ対応する。
ローパス特徴量フィルタ232は、スレショルド電力調整器200からコンデンサ補償電力PL2を入力する。そして、ローパス特徴量フィルタ232は、予め設定されたパラメータKv2に対し、コンデンサ補償電力PL2を特徴量として、予め設定された定数Poのパラメータを用いたローパス特徴量フィルタ処理を施し、比例ゲインを生成する。ローパス特徴量フィルタは、1/(1+(PL2/Po)2)の式で表される演算を行う。ローパス特徴量フィルタ232は、比例ゲインを電圧制御器233に出力する。
この場合、ローパス特徴量フィルタ232は、ローパス特徴量フィルタ処理により、コンデンサ補償電力PL2の絶対値が大きいほど(0に近くないほど)、0に近い比例ゲインを生成する。そして、後段の電圧制御器233は、0に近い比例ゲインの作用により、0に近いコンデンサ復帰電流指令TSTAR2を生成する。一方、ローパス特徴量フィルタ232は、コンデンサ補償電力PL2が0に近いほど、ローパス特徴量フィルタ処理前のパラメータKv2に近い値の比例ゲインを生成する。そして、後段の電圧制御器233は、電圧偏差が0となるようなコンデンサ復帰電流指令TSTAR2を生成する。
電圧制御器233は、減算器231から電圧偏差を入力すると共に、ローパス特徴量フィルタ232から比例ゲインを入力する。そして、電圧制御器233は、電圧偏差が0となるように、比例ゲインによる電圧制御を行うことでコンデンサ復帰電流指令TSTAR2を求め、さらに、正側トルクリミットη及び負側トルクリミット-ηの範囲内にコンデンサ復帰電流指令TSTAR2を制限し、制限後のコンデンサ復帰電流指令TSTAR2を加減算器205に出力する。
これにより、プレス作業区間のときに、0に近いコンデンサ復帰電流指令TSTAR2が生成され出力され、電流指令変換器201により出力されたコンデンサ補償電流指令TPL2にて電流制御が行われる。また、プレス作業区間以外の区間のときに、コンデンサ10による蓄電システムを復帰させるため(プレス作業区間のときに消費したコンデンサ10の電気エネルギーを復帰させるため)のコンデンサ復帰電流指令TSTAR2が生成され出力される。
(上限制御器203)
次に、図25に示した上限制御器203について詳細に説明する。図32は、上限制御器203の構成例を示すブロック図である。この上限制御器203は、減算器240及びリミッタ241を備えている。
上限制御器203は、図22に示した上限制御器103の構成部のうち減算器140及びリミッタ141と同様の構成の下で、同様の処理を行う。上限制御器203に備えた減算器240及びリミッタ241は、図22に示した上限制御器103に備えた減算器140及びリミッタ141にそれぞれ対応し、同様の処理を行うため、ここでは詳細な説明を省略する。
尚、上限制御器203は、図22に示した上限制御器103の減算器142、リミッタ143及び加算器144を備えていない。これは、コンデンサ電圧ω2は、0を含むプラスの値をとり、マイナスの値をとることがなく、マイナス側の上限値を考慮する必要がないからである。
図32に示す上限電圧ωMAX2及びコンデンサ電圧ω2は、図22に示した正転上限速度ω+MAX1及びFWモータ速度ω1にそれぞれ対応する。
これにより、コンデンサ電圧ω2が上限電圧ωMAX2を超えた場合に(上回った場合に)、リミッタ241において、超えた分のマイナス値が、元の範囲に戻すための上限電圧制限電流TMAX2として生成され、加減算器205に出力される。
(下限制御器204)
次に、図25に示した下限制御器204について詳細に説明する。図33は、下限制御器204の構成例を示すブロック図である。この下限制御器204は、下限速度設定器250、減算器251、乗算器252、比較器253、スイッチ254及びリミッタ255を備えている。
下限制御器204は、図23に示した下限制御器104の構成部のうち下限速度設定器150、減算器151、乗算器152、比較器153、スイッチ154及びリミッタ156と同様の構成の下で、同様の処理を行う。下限制御器204に備えた下限速度設定器250、減算器251、乗算器252、比較器253、スイッチ254及びリミッタ255は、図23に示した下限制御器104に備えた下限速度設定器150、減算器151、乗算器152、比較器153、スイッチ154及びリミッタ156にそれぞれ対応し、同様の処理を行うため、ここでは詳細な説明を省略する。
尚、下限制御器204は、図23に示した下限制御器104のスイッチ155を備えていない。これは、コンデンサ電圧指令ω2*は、0を含むプラスの値をとり、マイナスの値をとることがなく、比較器253において、コンデンサ電圧指令ω2*<0を考慮する必要がないからである。
下限速度設定器250に用いるパラメータδmin及び乗算器252に用いるパラメータKDROOPは、図23と同様に、予め設定される。
これにより、コンデンサ電圧ω2が、下限速度設定器250により設定された下限電圧を超えた場合に(下回った場合に)、超えた電圧分のプラス値が、元の範囲に戻すための下限電圧制限電流TMIN2として生成され、加減算器205に出力される。
(負荷FF補償器206)
次に、図25に示した負荷FF補償器206について詳細に説明する。図34は、負荷FF補償器206の構成例を示すブロック図である。この負荷FF補償器206は、積分器260、減算器261、乗算器262及び加算器263を備えている。
負荷FF補償器206は、図24に示した負荷FF補償器106と同様の構成の下で、同様の処理を行う。負荷FF補償器206に備えた積分器260、減算器261、乗算器262及び加算器263は、図24に示した負荷FF補償器106に備えた積分器160、減算器161、乗算器162及び加算器163にそれぞれ対応し、同様の処理を行うため、ここでは詳細な説明を省略する。
図34に示すコンデンサ電流指令TE2,TE2’及びコンデンサ電圧ω2は、図24に示したFWトルク指令TE1,TE1’及びFWモータ速度ω1にそれぞれ対応する。
積分器260に用いる積分ゲインJ及び乗算器262に用いるゲインKは、図24と同様に、予め設定される。
以上のように、本発明の実施形態のエネルギー蓄電部制御装置1によれば、負荷電力分担部21は、サーボプレスモータ速度ωSPRにサーボプレスモータトルク指令TSPR*を乗算することで、プレス装置16の負荷電力K_PLを求める。そして、負荷電力分担部21は、プレス加減速区間の負荷電力K_PLの一部を、FWによる蓄電システムに分担させるためのFW負荷電力K_PL1を求め、プレス作業区間の負荷電力K_PLの一部を、FW及びコンデンサ10による蓄電システムに分担させるためのFW負荷電力K_PL1及びコンデンサ負荷電力K_PL2を求める。
FW制御部22のスレショルド電力調整器100は、FW負荷電力K_PL1からスレショルド電力を減算することで、FW補償電力PL1を求め、トルク指令変換器101は、FW補償電力PL1をFWモータ速度ω1で除算することで、FW補償トルク指令TPL1を求める。
これにより、プレス作業区間及びプレス加減速区間において、プレス作業を行うときの電力及びプレス部材が加減速するための電力を補償するためのFW補償トルク指令TPL1が得られる。
復帰制御器102は、FW速度指令ω1*とFWモータ速度ω1との間の速度偏差が0となるように速度制御を行い、FW復帰トルク指令TSTAR1を求める際に、ローパス特徴量フィルタにより、FW補償電力PL1の絶対値が大きいほど、0に近いFW復帰トルク指令TSTAR1を求め、FW補償電力PL1が0に近いほど、速度制御の比例ゲインKvを効かせたFW復帰トルク指令TSTAR1を求める。
これにより、プレス作業区間及びプレス加減速区間のときに、0に近いFW復帰トルク指令TSTAR1が生成される。また、プレス作業区間及びプレス加減速区間以外の区間のときに、FWによる蓄電システムを復帰させるためのFW復帰トルク指令TSTAR1が生成される。
つまり、FWによる蓄電システムにて補償が行われるプレス作業区間及びプレス加減速区間のときに、FW復帰トルク指令TSTAR1を0に近い値とすることで、トルク指令変換器101にて求めたFW補償トルク指令TPL1によるトルク制御が行われる。一方、FWによる蓄電システムにて補償が行われないプレス作業区間及びプレス加減速区間以外の区間のときに、速度制御の比例ゲインKvを効かせたFW復帰トルク指令TSTAR1により、FWによる蓄電システムを復帰させる。
上限制御器103は、FWモータ速度ω1が上限速度を超えたときに、元の範囲に戻すための上限速度制限トルクTMAX1を求め、下限制御器104は、FWモータ速度ω1が下限速度を超えたときに、元の範囲に戻すための下限速度制限トルクTMIN1を求める。
加減算器105は、FW復帰トルク指令TSTAR1、上限速度制限トルクTMAX1及び下限速度制限トルクTMIN1を加算し、加算結果からFW補償トルク指令TPL1を減算することで、FWトルク指令TE1を求める。
負荷FF補償器106は、FWトルク指令TE1を積分する等して、負荷トルク補償値を求め、FWトルク指令TE1に負荷トルク補償値を加算することで、FWトルク指令TE1’を求める。
リミッタ107は、FWトルク指令TE1’を予め設定された範囲内に制限することで、FWトルク指令TEXT1を求め、FWトルク指令TEXT1をインバータ5へ出力する。
一方、コンデンサ制御部23のスレショルド電力調整器200は、コンデンサ負荷電力K_PL2からスレショルド電力を減算することで、コンデンサ補償電力PL2を求め、電流指令変換器201は、コンデンサ補償電力PL2をコンデンサ電圧ω2で除算することで、コンデンサ補償電流指令TPL2を求める。
これにより、プレス作業区間において、プレス作業を行うときの電力を補償するためのコンデンサ補償電流指令TPL2が得られる。
復帰制御器202は、コンデンサ電圧指令ω2*とコンデンサ電圧ω2との間の電圧偏差が0となるように電圧制御を行い、コンデンサ復帰電流指令TSTAR2を求める際に、ローパス特徴量フィルタにより、コンデンサ補償電力PL2が大きいほど、0に近いコンデンサ復帰電流指令TSTAR2を求め、コンデンサ補償電力PL2が0に近いほど、電圧制御の比例ゲインKvを効かせたコンデンサ復帰電流指令TSTAR2を求める。
これにより、プレス作業区間のときに、0に近いコンデンサ復帰電流指令TSTAR2が生成される。また、プレス作業区間以外の区間のときに、コンデンサ10による蓄電システムを復帰させるためのコンデンサ復帰電流指令TSTAR2が生成される。
つまり、コンデンサ10による蓄電システムにて補償が行われるプレス作業区間のときに、コンデンサ復帰電流指令TSTAR2を0に近い値とすることで、電流指令変換器201にて求めたコンデンサ補償電流指令TPL2による電流制御が行われる。一方、コンデンサ10による蓄電システムにて補償が行われないプレス作業区間以外の区間のときに、電圧制御の比例ゲインKvを効かせたコンデンサ補償電流指令TPL2により、コンデンサ10による蓄電システムを復帰させる。
上限制御器203は、コンデンサ電圧ω2が上限電圧を超えたときに、元の範囲に戻すための上限電圧制限電流TMAX2を求め、下限制御器204は、コンデンサ電圧ω2が下限電圧を超えたときに、元の範囲に戻すための下限電圧制限電流TMIN2を求める。
加減算器205は、コンデンサ復帰電流指令TSTAR2、上限電圧制限電流TMAX2及び下限電圧制限電流TMIN2を加算し、加算結果からコンデンサ補償電流指令TPL2を減算することで、コンデンサ電流指令TE2を求める。
負荷FF補償器206は、コンデンサ電流指令TE2を積分する等して、負荷電流補償値を求め、コンデンサ電流指令TE2に負荷電流補償値を加算することで、コンデンサ電流指令TE2’を求める。
リミッタ207は、コンデンサ電流指令TE2’を予め設定された範囲内に制限することで、コンデンサ電流指令TEXT2を求め、コンデンサ電流指令TEXT2をインバータ8へ出力する。
これにより、FW及びコンデンサ10による蓄電システムを、電源トランス2の入力電源に対するバックアップの電源システムとして用いた場合に、プレス作業区間における電力の一部を、FW及びコンデンサ10による蓄電システムに分担させることができ、プレス加減速区間における電力の一部を、FWによる蓄電システムに分担させることができる。
したがって、プレス装置16の消費電力のピークを効率的にカットすることができ、電源トランス2の入力電源の容量、並びに、FW及びコンデンサ10による蓄電システムにおける設備電源容量を低減することができる。
また、電源トランス2の入力電源から、サーボプレスモータ14にて駆動するプレス装置16へ供給される直流電力を蓄積するために設けられた1次側コンデンサ12の容量を低減することができる。
〔計算機シミュレーション結果〕
次に、計算機シミュレーション結果について説明する。図35は、計算機シミュレーション結果を説明する図である。図35において、グラフの上から、FWモータ速度ω1、コンデンサ電圧ω2、1次バス電圧(図1に示した直流バスの電圧)、負荷電力K_PL、入力電力(電源トランス2の入力電源から供給される電力)、FW補償電力PL1-及びコンデンサ補償電力PL2-の特性を示しており、横軸は時間である。単位は、図35の右側に示すとおりである。
図35の負荷電力K_PLは、図4(2)に示した負荷電力K_PLに相当し、両電力は同様の特性であることがわかる。また、図35のFW補償電力PL1-は、図19(2)に示したFW補償電力PL1の特性の正負を逆転したものに相当し、図35のコンデンサ補償電力PL2-は、図29(2)に示したコンデンサ補償電力PL2の特性の正負を逆転したものに相当する。
プレス作業区間の負荷電力K_PLの一部は、FW及びコンデンサ10による蓄電システムにより分担される。FW及びコンデンサ10による蓄電システムから、それぞれFW補償電力PL1及びコンデンサ補償電力PL2に基づいた電力が供給されるため、図35のFWモータ速度ω1及びコンデンサ電圧ω2が低下していることがわかる。
プレス加減速区間の負荷電力K_PLの一部は、FWによる蓄電システムにより分担される。FWによる蓄電システムから、FW補償電力PL1に基づいた電力が供給されるため、図35のFWモータ速度ω1が変化していることがわかる。
以上、実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
例えば、図1に示したモータ制御システムでは、サーボプレスモータ制御装置11の制御対象をプレス装置16としたが、制御対象は、プレス装置16以外の負荷であってもよい。
また、図15に示したFW制御部22は、スレショルド電力調整器100、トルク指令変換器101、復帰制御器102、上限制御器103、下限制御器104、加減算器105、負荷FF補償器106及びリミッタ107を備えるようにした。これに対し、FW制御部22は、スレショルド電力調整器100、トルク指令変換器101、復帰制御器102及び加減算器105を備え、上限制御器103、下限制御器104、負荷FF補償器106及びリミッタ107を備えていなくてもよい。
この場合、加減算器105は、FW復帰トルク指令TSTAR1からFW補償トルク指令TPL1を減算することで、FWトルク指令TEXT1を求め、FWトルク指令TEXT1をインバータ5へ出力する。
また、図25に示したコンデンサ制御部23は、スレショルド電力調整器200、電流指令変換器201、復帰制御器202、上限制御器203、下限制御器204、加減算器205、負荷FF補償器206及びリミッタ207を備えるようにした。これに対し、コンデンサ制御部23は、スレショルド電力調整器200、電流指令変換器201、復帰制御器202及び加減算器205を備え、上限制御器203、下限制御器204、負荷FF補償器206及びリミッタ207を備えていなくてもよい。
この場合、加減算器205は、コンデンサ復帰電流指令TSTAR2からコンデンサ補償電流指令TPL2を減算することで、コンデンサ電流指令TEXT2を求め、コンデンサ電流指令TEXT2をインバータ8へ出力する。