以下、図面を参照して本開示に係る実施形態について説明する。なお、図面には、便宜的に、D1軸、D2軸及びD3軸からなる直交座標系を付すことがある。実施形態に係る水晶振動子は、いずれの方向が上方又は下方として用いられてもよい。ただし、以下では、便宜上、+D3側を上方として上面又は下面等の用語を用いることがある。また、以下の説明において平面視という場合、特に断りが無い限り、D3方向に見ることをいう。
第1実施形態の説明よりも後においては、基本的に、先に説明された実施形態との相違部分についてのみ説明する。特に言及がない事項については、先に説明された実施形態と同様とされてよい。また、複数の実施形態間において、互いに対応する構成に対しては、相違点が存在しても、説明の便宜上、同一の符号を付すことがある。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る水晶振動子1の構成を示す分解斜視図である。図2は、図1のII-II線における断面図である。図3は、水晶振動子1の底面図である。なお、図3においては、一部の構成要素(樹脂135)の図示を省略しているとともに、一部の構成要素(感温素子130)を点線で示している。
水晶振動子1は、概略、D1軸、D2軸及びD3軸に平行な辺を有する薄型直方体状の電子部品として構成されている。水晶振動子1は、例えば、図2に示しているように、回路基板180に表面実装されて、回路基板180とともに電子機器190を構成する。水晶振動子1は、いわゆる感温素子付き水晶振動子として構成されており、発振信号等の生成に利用される振動を生じるとともに、温度を電気信号に変換する。この電気信号は、例えば、回路基板180の電子回路によって、温度変化に起因する水晶振動子1の周波数特性の変化の補償に利用される。
水晶振動子1は、図1に特に示されているように、素子搭載部材100と、素子搭載部材100に上面側から実装された水晶素子120と、素子搭載部材100に下面側から実装された感温素子130と、水晶素子120を封止している蓋体140とを有している。素子搭載部材100及び蓋体140は、水晶振動子1のパッケージを構成している。感温素子130は、図2に示されているように樹脂135に少なくとも一部が覆われている。
(素子搭載部材)
素子搭載部材100は、絶縁基体110と、絶縁基体110の表面及び/又は内部に位置している種々の導体とを有している。種々の導体は、例えば、水晶素子120を実装するための1対の電極パッド111、感温素子130を実装するための1対の接続パッド115、及び水晶振動子1を回路基板180に実装するための4つの外部端子113である。
1対の電極パッド111は、素子搭載部材100が有している配線導体によって、4つの外部端子113の2つと電気的に接続されている。1対の接続パッド115は、素子搭載部材100が有している配線導体によって、4つの外部端子113のうち他の2つと電気的に接続されている。ひいては、水晶素子120及び感温素子130は、外部端子113を介して回路基板180に電気的に接続されている。
上記の配線導体は、基本的に図示を省略するが、素子搭載部材100の表面及び/又は内部に位置している層状導体及び/又はビア導体によって適宜に構成されてよい。図3では、2つの接続パッド115と2つの外部端子113とを接続する配線導体の一部を構成する2つの配線パターン116が示されている。
(絶縁基体)
絶縁基体110は、基板部110aと、基板部110aの上面に位置している第1枠部110bと、基板部110aの下面に位置している第2枠部110cとを有している。基板部110aの上面と第1枠部110bの内周面によって第1凹部K1が形成されている。基板部110aの下面と第2枠部110cとの内周面によって第2凹部K2が形成されている。第1凹部K1は蓋体140によって気密封止されている。絶縁基体110は、断面においてH型をなしており、これにより、いわゆるH型パッケージが構成されている。
基板部110aは、概略、一定の厚さを有する板状である。その平面形状は、矩形状である。基板部110aの平面形状は、より詳細には長方形であり、1対の長辺と、1対の短辺とを有している。長辺と短辺との比は適宜に設定されてよい。例えば、長辺は、短辺に対して、1.1倍以上、1.2倍以上又は1.3倍以上であり、また、1.5倍以下、1.4倍以下、1.3倍以下であり、前記の下限と上限とは、矛盾しない限り、適宜に組み合わされてよい。
なお、矩形状という場合、矩形の角部は、凹部(例えばキャスタレーション)が形成されていたり(図示の例)、平面又は曲面で面取りされたりしていても構わない。他の部材についても同様である。また、多角形状という場合も同様である。
第1枠部110b及び第2枠部110cは、それぞれ、概略一定の厚さを有する枠状である。第1枠部110bの厚さは、基板部110aの厚さに対して、薄くてもよいし、同等でもよいし、厚くてもよい。また、第2枠部110cの厚さは、基板部110a及び/又は第1枠部110bの厚さに対して、薄くてもよいし、同等でもよいし、厚くてもよい。図示の例では、基板部110aの厚さは、第1枠部110b及び第2枠部110cの厚さよりも薄くなっている。
第1枠部110b(第1凹部K1)において、D3軸に直交する断面の形状(平面形状)及び当該断面における寸法は、基板部110a側(-D3側)とその反対側(+D3側)とで概ね同一である。同様に、第2枠部110c(第2凹部K2)において、D3軸に直交する断面の形状(平面形状)及び当該断面における寸法は、基板部110a側(+D3側)とその反対側(-D3側)とで概ね同一である。ただし、図示の例とは異なり、第1枠部110b及び第2枠部110cのそれぞれにおいて、基板部110a側とその反対側とで平面形状及びその寸法は異なっていてもよい。なお、この場合においては、本開示における第1枠部110b及び第2枠部110cの平面形状及びその寸法についての説明は、基板110a側及びその反対側の双方に適用されてもよいし、いずれか一方に適用されてもよい。
平面視において、第1枠部110bの内縁及び外縁は、基板部110aの4辺と平行な4辺を有する矩形状とされている。別の観点では、第1枠部110bは1対の長辺と1対の短辺とを有している。第1枠部110bの外縁は、基板部110aの外縁と略一致している(重なっている)。第1枠部110bの内縁から外縁までの幅(各辺の幅)は、例えば、第1枠部110bの各辺において一定である。4辺の幅は、互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。
第1凹部K1は、例えば、平面視において比較的広く構成されている。一例として、第1凹部K1の面積は、基板部110aの面積の1/2以上又は2/3以上である。また、別の観点では、第1枠部110bの各辺の幅は、例えば、基板部110aの長辺及び/又は短辺の長さの1/4以下、1/5以下、1/6又は1/7以下である。
平面視において、第1凹部K1の図心(中心)は、概略、基板部110aの図心に一致している。確認的に記載すると、図心は、平面形状において、その点を通る軸に対する断面1次モーメントが0になる点である。基板部110aの図心と第1凹部K1の図心との距離は、例えば、基板部110aの長辺の長さの1/5以下又は1/10以下である。
平面視において、第2枠部110cの外縁は、基板部110aの4辺と平行な4辺を有する矩形状とされている。より詳細には、第2枠部110cの外縁は、基板部110aの外縁と略一致している(重なっている)。なお、このことから、後述の説明において、基板部110aの外縁又は当該外縁がなす領域に対する外部端子113又は第2凹部K2の相対的な位置及び大きさと、第2枠部110cの外縁又は当該外縁がなす領域に対する外部端子113又は第2凹部K2の相対的な位置及び大きさとは区別せず、また、一方のみについて言及することがある。
平面視において、第2枠部110cの内縁(第2凹部K2)の形状は、矩形状、円形状、楕円形状又は矩形以外の多角形状等の適宜な形状とされてよい。図示の例では、第2凹部K2の形状は、基板部110aの長辺に平行な短辺及び基板部110aの短辺に平行な長辺を有する矩形において、角部を比較的大きく面取りした形状とされている。別の観点では、第2凹部K2の形状は、基板部110aの長手方向を短手方向とし、基板部110aの短手方向を長手方向とする形状である。
平面視において、第2凹部K2は、例えば、その面積が第1凹部K1の面積よりも狭くされている。一例として、第2凹部K2の面積は、基板部110a及び/又は第1凹部K1の面積に対して、4/5以下又は3/4以下である。また、別の観点では、第2枠部110cの短辺の幅は、例えば、基板部110aの長辺の長さの1/4以上又は1/3以上である。
平面視において、第2凹部K2は、例えば、基板部110aに対して中央側に位置している。より詳細には、例えば、基板部110aの図心は、第2凹部K2内に位置している。また、基板部110aの図心と第2凹部K2の図心との距離は、例えば、基板部110aの長辺の長さの1/4以下又は1/10以下である。
基板部110a、第1枠部110b及び第2枠部110cは、例えば、アルミナセラミックス又はガラス-セラミックス等のセラミック材料によって構成されている。基板部110a、第1枠部110b及び第2枠部110cは、同一の材料によって構成されていてもよいし、互いに異なる材料によって構成されていてもよい。基板部110a、第1枠部110b及び第2枠部110cのそれぞれは、材料及び/又は製造方法等の観点において、絶縁層を1層用いたものであってもよいし、絶縁層を複数層積層したものであってもよい。
基板部110a及び第1枠部110bは、例えば、一体的に形成されている。また、基板部110aと第2枠部110cは、例えば、一体的に形成されている。一体的に形成は、例えば、基板部110aを構成する絶縁材料と、第1枠部110b(又は第2枠部110c)を構成する絶縁材料とが直接に接して接合されていることとされてよい。従って、一体的に形成は、両者の材料が同一であることを要しない。例えば、基板部110a及び第1枠部110b(及び/又は第2枠部110c)は、成分構成が互いに異なるセラミックグリーンシートが積層されて焼成され、一体的に形成されたものであってもよい。
図では、基板部110a、第1枠部110b及び第2枠部110cの境界を明示している。ただし、当該境界は、材料等の観点からは特定不可能であってよい。例えば、第1凹部K1、第2凹部K2及び/又は各部の間に介在する導体層の存在によって、基板部110a、第1枠部110b及び第2枠部110cが概念されてよい。
(電極パッド)
1対の電極パッド111は、基板部110aの上面に位置している導体層によって構成されている。導体層の材料及び厚さは適宜に設定されてよい。1対の電極パッド111は、例えば、基板部110aの一方の短辺に沿う方向に並んでおり、また、第1枠部110bの内周面に隣接している。ここでの隣接は、例えば、第1枠部110bの内周面との距離(D1方向)が電極パッド111のD1方向の径(電極パッド111が矩形でない場合は例えば最大径)よりも小さいこととされてよい。電極パッド111は、第1枠部110bに対して、接していてもよいし、離れていてもよい。電極パッド111の平面形状は適宜な形状とされてよく、例えば、矩形状である。
上述のように、本実施形態では、平面視において第2凹部K2は、第1凹部K1よりも小さくされている。別の観点では、基板部110aの上面のうち、第1枠部110bに囲まれている領域は、第2凹部K2と重ならない領域を有している。そして、1対の電極パッド111は、例えば、図2に示されているように、基板部110aのうち第2凹部K2と重ならない領域にその全体が位置している。もちろん、図示の例とは異なり、1対の電極パッド111は、第2凹部K2と一部が重なっていてもよい。
(接続パッド)
接続パッド115は、基板部110aの下面に位置している導体層によって構成されている。導体層の材料及び厚さは適宜に設定されてよい。1対の接続パッド115は、例えば、基板部110aの中央側において基板部110aの長辺が対向する方向(D2方向。別の観点では第2凹部K2の長手方向)に並んでいる。接続パッド115の平面形状は適宜な形状とされてよく、例えば、矩形状である。
(外部端子)
外部端子113は、第2枠部110cの下面に位置している導体層によって構成されている。導体層の材料及び厚さは適宜に設定されてよい。4つの外部端子113は、例えば、第2枠部110cの下面のうち4隅側に位置している。外部端子113の平面形状は、適宜な形状とされてよい。図3の例では、外部端子113は、第2枠部110cの外縁の4辺に平行な4辺を有する矩形から、第2凹部K2側の一部が除去された形状とされている。この除去された部分の縁部は、直線であってもよいし、2以上の直線の組み合わせであってもよいし(図示の例)、曲線であってもよい。
第2枠部110cの下面において、外部端子113を構成する導体層は、外部端子113以外の部位を有していてもよい。図3の例では、当該導体層は、外部端子113と第2枠部110cの角部の凹部110cc(キャスタレーション)との間に位置する接続部114を有している。接続部114は、凹部110cc内に成膜されているキャスタレーション導体117(図1)に接続されている。なお、接続部114及びキャスタレーション導体117は設けられなくてもよい。
上記のように第2枠部110cの下面に位置する導体層が外部端子113以外の部分も構成している場合、外部端子113と、外部端子113以外の部分とは、その形状及び/又は機能から合理的に区別されてよい。例えば、導体層の平面形状において、特異的に突出している部分は、外部端子113以外の部分と捉えられてよい。図3の例では、第2枠部110cの外縁の辺110caに向かい合う外部端子113の辺113aを認識することができる。接続部114は、辺113aの一部(例えば1つの辺113aの長さの1/4以下)から突出している。このようなことから、外部端子113と接続部114とは区別される。
4つの外部端子113は、第2枠部110cの下面の外縁(長辺及び短辺)から離れている。具体的には、例えば、図3の例では、各外部端子113は、第2枠部110cの外縁の4つの辺110caのうち、自己が位置する側の一の角部を構成する2つの辺110ca(自己が隣接する1つの長辺及び1つの短辺)と向かい合っている2つの辺113aを外縁に含んでいる。辺113aは、別の観点では、第2枠部110cの外縁の辺110caに沿って(例えば平行に)延びている。互いに向かい合っている辺113aと辺110caとは距離s1で離れている。距離s1は、1つの外部端子113の2つの辺113a同士で同一であってもよいし(図示の例)、異なっていてもよい。また、距離s1は、4つの外部端子113同士で同一であってもよいし(図示の例)、異なっていてもよい。
また、別の観点では、外部端子113を包含する最小の矩形領域R1を考えたときに、矩形領域R1の面積S2は、第2枠部110c(別の観点では基板部110a)の外縁によって構成される矩形領域(凹部110cc又は角部の面取りは無視してよい。)の面積S1よりも小さい。図示の例では、矩形領域R1は、4つの外部端子113の2つの辺113a(合計8つの辺113a)に4辺が重なるものとなっている。
複数の外部端子113において、位置と役割との相対関係は適宜に設定されてよい。例えば、4つの外部端子113のうち、第2枠部110cの下面の1対の対角に位置する2つは、1対の電極パッド111に電気的に接続されている。他の1対の対角に位置する2つの外部端子113は、1対の接続パッド115に電気的に接続されている。
(蓋体)
蓋体140は、例えば、鉄、ニッケル又はコバルトの少なくともいずれかを含む合金からなる。蓋体140の外周部は、その全周に亘って第1枠部110bの上面と接合されている。これにより、第1凹部K1は密閉されている。第1凹部K1は、気体が封入されていてもよいし、真空状態とされていてもよい。気体は、例えば、窒素である。真空は、現実には、大気圧よりも減圧された状態である。
蓋体140と第1枠部110bとの接合は適宜な方法によりなされてよい。例えば、両者は、第1枠部110bの上面に設けられた封止用導体パターン112と、蓋体140の下面に設けられた封止部材141とがシーム溶接によって接合されることによって接合されている。
(水晶素子)
水晶素子120は、例えば、水晶片121と、水晶片121に電圧を印加するための1対の励振電極122と、水晶素子120を1対の電極パッド111に実装するための1対の接続用電極123とを有している。1対の励振電極122と1対の接続用電極123とは1対の引出電極124によって接続されている。
水晶片121は、例えば、概略、長方形状の平面形状を有する平板状に形成されている。別の観点では、水晶片121は、長手方向及び短手方向を有する形状である。水晶片121は、例えば、ATカット水晶片からなる。なお、特に図示しないが、水晶片121は、図示の例以外の公知の種々のものとされてよい。例えば、水晶素子は、いわゆる音叉型のものであってもよい。また、水晶片121は、板状のものである場合において、中央部が厚くなっているいわゆるメサ型のものであってもよいし、外縁に近づくにつれて薄くなっていくいわゆるコンベックス型のものであってもよい。また、板状の水晶片の平面形状(外縁の形状)は、楕円等の矩形以外の形状であってもよい。
励振電極122、接続用電極123及び引出電極124は、水晶片15の表面に重なる導体層により構成されている。導体層の材料及び厚さは適宜に設定されてよい。1対の励振電極122は、水晶片121の1対の主面(板形状の表裏)の中央側に位置しており、水晶片121を挟んで互いに対向している。1対の接続用電極123は、例えば、水晶片121の少なくとも一方の主面(図示の例では両主面)において、1対の励振電極122に対して水晶片121の長手方向の一方側(一方の短辺側)に位置している。また、例えば、接続用電極123は、水晶片121の一方の短辺に沿って並んでいる。1対の引出電極124は、1対の励振電極122と1対の接続用電極123とを最短の経路で接続している。励振電極122、接続用電極123及び引出電極124の具体的な形状は適宜に設定されてよく、図示の例では、それぞれ矩形である。
(水晶素子の実装)
水晶素子120は、図2に示されているように、接続用電極123と電極パッド111とが導電性接着剤150によって接合されることによって素子搭載部材100に実装される。上記のように1対の接続用電極123は、水晶素子120の長手方向の一方側に位置しているから、水晶素子120は、片持ち梁のように、一端側において支持され、他端は自由端とされている。導電性接着剤150は、導電性フィラーが混ぜ込まれた樹脂によって構成されている。樹脂は、例えば、熱硬化性樹脂である。樹脂及び導電性フィラーの具体的な材料及び導電性フィラーの径等は適宜に設定されてよい。
(感温素子)
感温素子130は、例えば、温度変化に応じて電気的特性(例えば抵抗値)が変化するものによって構成されている。このようなものとしては、例えば、サーミスタ、測温抵抗体及びダイオードを挙げることができる。感温素子130は、例えば、概略直方体状に形成されており、その両端に1対の接続端子131を有している。接続端子131は、感温素子130の直方体形状において、少なくとも基板部110aの下面に対向する面に露出している。図示の例では、接続端子131は、直方体の長手方向の各端部において、上下面、側面及び端面の5面に亘って形成されている。
1対の接続端子131は、1対の接続パッド115と対向し、その間に介在する接合材133によって接合されている。接合材133は、半田又は導電性接着剤によって構成されている。
(樹脂)
樹脂135は、例えば、熱硬化性樹脂(例えばエポキシ樹脂)からなる。樹脂135は、フィラーを含んでいてもよい。フィラーとしては、例えば、樹脂に比較して熱膨張係数が低いもの(例えばSiO2)を挙げることができる。その他、例えば、樹脂に比較して熱伝導率が低い又は高いフィラーを熱伝導率の調整用に添加してもよい。
樹脂135は、例えば、いわゆるアンダーフィルとして機能してよい。具体的には、樹脂135は、例えば、基板部110aの下面と感温素子130との間に充填されており、これらに密着していてよい。また、樹脂135は、第2凹部K2に対してその開口面(第2枠部110cの下面)までの位置の適宜な位置まで充填されてよい。
具体的には、例えば、樹脂135の基板部110aとは反対側(-D3側)の面は、感温素子130の-D3側の面よりも上方(+D3側)に位置していてもよいし、感温素子130の-D3側の面に位置していてもよいし(図示の例)、感温素子130の-D3側の面よりも下方に位置していてもよい。換言すれば、樹脂135は、感温素子130の側面(少なくとも1つの側面。例えば、全部(4つ)の側面。以下、同様)のうちの+D3側の一部に密着していてもよいし、感温素子130の側面の全部に密着していてもよいし(図示の例)、感温素子130の側面に加えて感温素子130の-D3側の面に密着していてもよい(感温素子130全体を覆っていてもよい。)。
また、例えば、樹脂135は、第2凹部K2を構成する面のうち、基板部110aの下面の一部のみに密着していてもよいし、基板部110aの下面の全部に加えて第2枠部110cの内周面(少なくとも1つの面。例えば、全部(6つ)の面。以下、同様。)のうち基板部110a側の一部のみに密着していてもよいし(図示の例)、基板部110aの下面及び第2枠部110cの内周面の上下全面に密着していてもよい。
(回路基板)
図2に示す回路基板180は、例えば、公知のリジッド基板又はフレキシブル基板によって構成されており、絶縁基板181と、絶縁基板181の上面に位置している外部パッド182とを有している。水晶振動子1の外部端子113は、半田等の接合材183によって外部パッド182に接合されている。接合材183は、外部端子113の下面及び/又は外部パッド182の上面の全体若しくは大部分(例えば8割以上の面積)に亘って接合されていてもよいし、大部分とは言えない一部に接合されていてもよい。
電子機器190は、例えば、特に図示しないが、回路基板180及び/又は回路基板180に実装されているICによって構成されている発振回路及び温度補償回路を有している。発振回路は、4つの外部端子113のうち2つを介して水晶素子120に交流電圧を印加して所定の周波数の発振信号を生成する。温度補償回路は、温度変化に起因する水晶振動子1の周波数特性の変化を補償する。この際、温度補償回路は、4つの外部端子113のうち2つを介して得られる感温素子130からの検出信号(検出温度)に基づいて補償量を決定する。
電子機器190は、発振信号を利用する、あらゆる機器とされてよい。例えば、電子機器190は、携帯端末、パーソナルコンピューター(PC)、GPS(Global Positioning System)機器、ECU(engine control unit)とされてよい。
(寸法の一例)
以下に水晶振動子1の各部の寸法の一例を挙げる。
基板部110aの長辺の長さは、例えば、1.5mm以上、2.0mm以上又は3.0mm以上とされてよく、また、4.0mm以下、3.0mm以下又は2.0mm以下とされてよく、上記の下限と上限とは、矛盾しない限り、適宜に組み合わされてよい。また、基板部110aの短辺の長さは、例えば、基板部110aの長辺の長さよりも短いことを条件として、1.0mm以上、1.5mm以上又は2.0mm以上とされてよく、また、3.0mm以下、2.0mm以下又は1.5mm以下とされてよく、上記の下限と上限とは、矛盾しない限り、適宜に組み合わされてよい。なお、この例示において、少数第2位の値は四捨五入されているものとする。例えば、1.5mm以上は1.46mmを含み、4.0mm以下は4.04mmを含む。
基板部110aの厚さは、例えば、50μm以上又は80μm以上とされてよく、また、170μm以下又は150μm以下とされてよく、上記の下限と上限とは、適宜に組み合わされてよい。なお、この例示において、少数第1位の値は四捨五入されているものとする。また、基板部110aの厚さを基板部110aの長辺の長さで割った値は、例えば、0.031以上又は0.050以上とされてよく、また、0.106以下又は0.094以下とされてよく、上記の下限と上限とは、適宜に組み合わされてよい。なお、この例示において、少数第4位の値は四捨五入されているものとする。
外部端子113の第2枠部110cの下面の外縁からの距離s1は、例えば、10μm以上又は30μm以上とされてよく、また、100μm以下又は90μm以下とされてよく、上記の下限と上限とは、適宜に組み合わされてよい。なお、この例示において、少数第1位の値は四捨五入されているものとする。また、距離s1を基板部110aの長辺の長さで割った値は、例えば、0.013以上又は0.038以上とされてよく、また、0.125以下又は0.113以下とされてよく、上記の下限と上限とは、適宜に組み合わされてよい。なお、この例示において、少数第4位の値は四捨五入されているものとする。
4つの外部端子113を囲む最小の矩形の面積S2を基板部110aの面積S1で割った値は、0.73以上又は0.75以上とされてよく、また、0.97以下又は0.91以下とされてよく、上記の下限と上限とは、適宜に組み合わされてよい。なお、この例示において、少数第3位の値は四捨五入されているものとする。
(水晶振動子の製造方法)
水晶振動子1の製造方法としては、公知の種々の製造方法が利用されてよい。例えば、素子搭載部材100は、以下のように作製されてよい。
まず、基板部110a、第1枠部110b及び第2枠部110cとなる複数のセラミックグリーンシートを用意する。第1枠部110b及び第2枠部110cとなるセラミックグリーンシートには、第1凹部K1及び第2凹部K2となる開口部を形成する。また、この開口部の形成の前又は後に、複数のセラミックグリーンシートに各種の導体(外部端子113、電極パッド111及び接続パッド115等)となる導電ペーストを配置する。その後、複数のセラミックグリーンシートを積層して積層体を構成し、積層体を焼成する。
また、上記方法とは異なる素子搭載部材100の作製方法を挙げることもできる。まず、基板部110a、第1枠部110b及び第2枠部110cとなる複数のセラミックグリーンシートを用意する。この複数のセラミックグリーンシートに各種の導体(外部端子113、電極パッド111及び接続パッド115等)となる導電ペーストを配置する。次に、この複数のセラミックグリーンシートを積層して積層体を得る。次に、積層体に対してプレス加工によって第1凹部K1及び第2凹部K2を形成する。その後、積層体を焼成する。
以上のとおり、本実施形態では、水晶振動子1は、基板(基板部110a)と、枠体(第2枠部110c)と、電極パッド111と、接続パッド115と、複数の外部端子113と、圧電素子(水晶素子120)と、感温部品(感温素子130)と、蓋体140とを有している。基板部110aは矩形状である。第2枠部110cは、基板部110aの下面のうちの基板部110aの1対の短辺側の領域に位置している1対の部分(短辺部分)を含んでおり、当該1対の部分の間に凹部(第2凹部K2)を構成している。電極パッド111は、基板部110aの上面に位置している。接続パッド115は、第2枠部110c内で基板部110aの下面に位置している。複数の外部端子113は、第2枠部110cの下面に位置している。水晶素子120は、電極パッド111に実装されている。感温素子130は、接続パッド115に実装されている。蓋体140は、水晶素子120を気密封止している。基板部110aの上下方向の厚みは80μm以上150μm以下である。
従って、例えば、水晶振動子1の特性の変動を低減することができる。具体的には、以下のとおりである。
水晶振動子1は、回路基板180に実装される前と、回路基板180に実装された後とで特性が相違する。このような特性としては、例えば、ヒステリシス特性が挙げられる。ヒステリシス特性は、既述のように、温度変化に起因して生じる周波数の誤差が、同一の温度に対しても、温度上昇時と温度下降時とで変化する特性である。
ここで、水晶振動子1の素子搭載部材100と回路基板180との熱膨張差に起因して生じる力は、回路基板180から外部端子113(及び接合材183)を介して素子搭載部材100へ伝えられる。この力は、例えば、絶縁基体110に反り(曲げ変形)を生じさせようとする曲げ応力として作用する。この曲げ応力は、各電極パッド111及び/又は1対の電極パッド111を介して水晶素子120に伝わる。この水晶素子120に伝わる曲げ応力は、回路基板180に実装される前と、回路基板180に実装された後とでヒステリシス特性が相違する要因の一つとして挙げられる。
一方、本実施形態では、基板部110aの厚さは、80μm以上とされている。従って、これよりも基板部110aが薄い場合に比較して、基板部110aの反りが低減される。別の観点では、曲げ応力は基板部110aの厚み方向に分散される。ひいては、水晶素子120に伝えられる曲げ応力が低減される。その結果、水晶振動子1のヒステリシス特性における、実装前と実装後との差が低減される。
水晶振動子1は、従来、実装前の状態においてヒステリシス特性を低減するように、形状及び寸法等について種々の提案がなされている。従って、実装前と実装後との間のヒステリシス特性の差を低減することによって、実装後においてヒステリシス特性を小さくすることができるようになる。別の観点では、実装前の状態でヒステリシス特性を小さくするための種々の提案を生かすことができる。ヒステリシス特性を小さくすることにより、例えば、温度補償の精度が向上する。
また、基板部110aの厚さが150μm以下であることから、例えば、基板部110aがこれよりも厚い場合に比較して、基板部110aに隔てられている水晶素子120及び感温素子130同士で温度が乖離する蓋然性が低減される。その結果、温度補償の精度が向上する。
また、本実施形態では、前記基板の上下方向の厚さを前記基板の長辺の長さで割った値(正規化厚さ)が0.050以上0.094以下である(小数第4位は四捨五入するものとする。)。
この場合、例えば、正規化厚さが0.050以上であることから、基板部110aの反りを低減しやすい。また、正規化厚さが0.094以下であることから、水晶素子120及び感温素子130の温度の差を低減しやすい。
また、本実施形態では、基板部110aと第2枠部110cとが直接に接合されている。すなわち、両者は一体的に形成されている。
この場合、例えば、第2枠部110cから基板部110aへ応力が伝わりやすい。従って、基板部110aを比較的厚くしたことによる電極パッド111の直下における曲げ応力低減の効果が現れやすい。
また、本実施形態では、平面透視において、電極パッド111は、その全体が凹部(第2凹部K2)の外側に位置している。
この場合、例えば、電極パッド111の直下においては、基板部110aの厚さだけでなく、第2枠部110cの厚さも確保される。従って、電極パッド111が第2凹部K2に重なっている場合に比較して、電極パッド111の直下において絶縁基体110の反りが低減される。別の観点では、電極パッド111の直下において曲げ応力が絶縁基体110の厚さ方向に分散される。ひいては、電極パッド111を介して水晶素子120に伝わる曲げ応力が低減される。その結果、ヒステリシス特性の実装前後の差を低減する効果が向上する。
また、本実施形態では、第2凹部K2及び感温素子130は、基板部110aの1対の長辺の対向方向(D2方向)を長手方向とする形状を有している。
この場合、例えば、電極パッド111の直下において実装基体110の厚さを確保しやすい。その結果、電極パッド111に伝わる曲げ応力を低減することができる。基板部110aの反りが生じやすいのは、長手方向においてである。一方、感温素子130と基板部110aとの熱膨張差による力は、感温素子130の長手方向において大きくなりやすい。従って、感温素子130の長手方向と、基板部110aの反りが生じやすい基板部110aの長手方向とが異なる方向とされていることにより、感温素子130と基板部110aとの熱膨張差によって基板部110aの反りが大きくなる蓋然性が低減される。
また、本実施形態では、水晶振動子1は、感温素子130及び基板部110aの下面に密着している絶縁性の樹脂135を更に備えている。
この場合、例えば、樹脂135によって基板部110aは反りに対して補強される。別の観点では、外部端子113から第2枠部110cに作用する力に起因する応力は第2凹部K2内に位置している樹脂135に分散される。従って、ヒステリシス特性の実装前後の差を低減する効果が向上する。樹脂135は、基板部110aとは異なり、感温素子130と水晶素子120との間だけでなく、感温素子130の側面等にも位置するから、基板部110aを厚くした場合に比較して、感温素子130及び水晶素子120の温度差が乖離する蓋然性は低減される。
また、本実施形態では、電子機器190は、上記のような水晶振動子1と、基体(絶縁基板181)と、絶縁基板181の表面に位置しており、複数の外部端子113と接合されている複数の外部パッド182と、を有している。
このような電子機器190では、水晶振動子1の実装後のヒステリシス特性が低減されていることから、温度変化に起因する周波数の変動が低減された発振信号が得られる。その結果、例えば、電子機器190の動作が安定したり、動作の精度が向上したり、誤作動の蓋然性が低減されたりする。
[変形例]
図4は、変形例に係る水晶振動子1-1の底面図であり、図3に相当している。
この図に示すように、第2凹部K2の図心は、基板部110aの図心に対して電極パッド111とは反対側(+D1側)に位置していてもよい。この場合の図心同士のD1方向における離間距離は、適宜に設定されてよい。例えば、当該離間距離は、基板部110aの長辺の長さの1/30以上又は1/20以上とされてよい。また、上記離間距離は、外部端子113の第2枠部110cの外縁からの距離s1よりも短くてもよいし、同等でもよいし、長くてもよく、例えば、距離s1の1/2以上又は1倍以上とされてよい。
このように第2凹部K2の図心を基板部110aの図心に対して電極パッド111とは反対側に位置させると、例えば、電極パッド111と第2凹部K2との重なりを低減したり、重なりを無くしたりすることができる。その結果、例えば、電極パッド111の直下で絶縁基体110の厚みを確保して、電極パッド111の直下での絶縁基体110の撓み変形を低減することができる。ひいては、この撓み変形に起因するヒステリシス特性の実装前後の差を低減することができる。
[第2実施形態]
図5は、第2実施形態に係る水晶振動子201の底面図であり、図3に相当している。
水晶振動子201では、第2凹部K2は、基板部110aの長手方向を長手方向とする形状を有している。1対の接続パッド115は、基板部110aの長手方向に並べられている。感温素子130は、基板部110aの長手方向を長手方向として1対の接続パッド115に実装されている。
このような構成においても、基板部110aを適宜な厚さにすることによって、ヒステリシス特性の実装前後の差を低減し、ひいては、ヒステリシス特性を低減する効果が奏される。また、第2凹部K2と基板部110aとで長手方向が一致している場合においては、第2枠部110cの幅を第2枠部110cの全周に亘って確保しやすいから、絶縁基体110の全体として強度を向上させることができる。
[第3実施形態]
図6は、第3実施形態に係る水晶振動子301の分解斜視図である。図7は、図6のVIII-VII線における断面図である。
水晶振動子301は、例えば、第1実施形態の水晶振動子1と同様に、断面においてH型のパッケージを実現するものである。ただし、本実施形態では、第1実施形態の第2枠部110cに対応する部材は、基板部310aと一体形成される部材ではなく、基板部310aが実装される配線基板360によって構成されている。具体的には、以下のとおりである。
水晶振動子301は、感温部品付きでない水晶振動子302と、当該水晶振動子302が実装されている配線基板360とを有している。水晶振動子302は、第1凹部K1が形成された容器状の素子搭載部材300を有している。配線基板360は、開口部361を有している。水晶振動子302は、その下面によって開口部361を塞ぐように配線基板360に実装される。これにより、水晶振動子302の下面と開口部361の内周面とによって第2凹部K2が構成される。別の観点では、水晶振動子302のパッケージと、配線基板360とによってH型のパッケージが実現される。水晶振動子302の下面のうち、開口部361に露出する領域には、感温素子130が実装される。これにより、水晶振動子301は、感温部品付きの水晶振動子とされている。
素子搭載部材300の絶縁基体310は、第1実施形態の絶縁基体110から第2枠部110cを無くした構成である。すなわち、絶縁基体310は、基板部310aと、第1枠部310bを有している。基板部310aの下面には、素子搭載部材300を配線基板360に実装するための複数(例えば4つ)の実装端子318(図7)が設けられている。
4つの実装端子318は、例えば、基板部310aの下面の4隅に位置している。4つの実装端子318のうち2つは、絶縁基体310に設けられた不図示の配線導体を介して1対の電極パッド111と電気的に接続されている。4つの実装端子318のうち他の2つは、絶縁基体310に設けられた不図示の配線導体を介して1対の接続パッド115と電気的に接続されている。
配線基板360は、例えば、リジッド式のプリント配線基板と同様の構成とされてよい。配線基板360は、絶縁基板362と、絶縁基板362に設けられた各種の導体(例えば金属)とを有している。各種の導体は、例えば、水晶振動子302を配線基板360に実装するための複数(本実施形態では4つ)の実装パッド363、配線基板360(水晶振動子301)を回路基板180(図2参照)に実装するための複数(本実施形態では4つ)の外部端子113、及び複数の実装パッド363と複数の外部端子113とを接続する不図示の配線導体である。なお、特に図示しないが、配線基板360は、外部端子113及び実装パッド363を露出させつつ絶縁基板362を覆うソルダーレジストを有していてもよい。
水晶振動子302の複数の実装端子318と配線基板360の複数の実装パッド363とは対向配置され、その間に介在する接合材365によって接合される。これにより、4つの外部端子113のうち2つは、1対の電極パッド111と電気的に接続される。また、4つの外部端子113のうち他の2つは、1対の接続パッド115と電気的に接続される。接合材365は、半田等によって構成されている。
基板部110aの下面と配線基板360の上面との間には、実装端子318、接合材365及び実装パッド363の合計厚さの大きさの隙間が構成されている。この隙間においては、第2凹部K2から水晶振動子301の側面外側へ、又はその反対方向へ気体が流れることが許容されていてもよいし、樹脂135が充填されることよって、そのような気体の流れが禁止されていてもよい。なお、樹脂135の第2凹部及び/又は感温素子130に対する充填高さは第1実施形態で述べたとおり、適宜に設定されてよい。
配線基板360の絶縁基板362の外縁は、基板部110aの外縁に対して、内側に位置していてもよいし、略一致していてもよいし、外側に位置していてもよい(図示の例)。絶縁基板362の外縁が基板部110aの外縁に対して概ね一致している場合、例えば、実装端子318、実装パッド363及び外部端子113の形状及び大きさは、概略、同様である。また、例えば、絶縁基板362の外縁が基板部110aの外縁よりも外側に位置している場合、例えば、上記と同様に、実装端子318、実装パッド363及び外部端子113の形状及び大きさは概ね同等とされてもよいし、外部端子113が実装パッド363及び実装端子318よりも面積が広くされたり、及び/又は外側に位置していたりしてもよいし、外部端子113及び実装パッド363が実装端子318よりも面積が広くされたり、及び/又は外側に位置していたりしてもよい。
水晶振動子301の底面図は、第1実施形態の図3と同様である。従って、図3は、第2枠部110cの符号等を配線基板360の符号等に置換することにより、水晶振動子301の底面図として援用されてよい。また、第2枠部110c(基板部110a)の外縁又は当該外縁がなす領域に対する外部端子113の相対的な位置及び大きさの説明も本実施形態に援用されてよい。
第1実施形態では、基板部110aの外縁と第2枠部110cの外縁とは略一致するものとした。従って、例えば、基板部110aの外縁又は当該外縁がなす領域に対する外部端子113又は第2凹部K2の相対的な位置及び大きさと、第2枠部110cの外縁又は当該外縁がなす領域に対する外部端子113又は第2凹部K2の相対的な位置及び大きさとは区別せずに説明した。
本実施形態においては、第1実施形態における外部端子113又は第2凹部K2の相対的な位置及び大きさの説明は、例えば、配線基板360の絶縁基板362の外縁又は当該外縁がなす領域に対する外部端子113又は第2凹部K2の相対的な位置及び大きさに適用されてよい。例えば、距離s1及び面積比S2/S1は、絶縁基板362の外縁を基準に特定されてよい。
加えて、第1実施形態における外部端子113又は第2凹部K2の相対的な位置及び大きさの説明は、基板部310aの外縁又は当該外縁がなす領域に対する外部端子113又は第2凹部K2の相対的な位置及び大きさに適用されてもよい。例えば、距離s1が30μm以上90μm以下という条件が絶縁基板362の外縁に対して成り立つとともに、基板部310aの外縁に対しても成り立ってよい。
なお、第1実施形態において、基板部110aの外縁と第2枠部110cの外縁とが一致していない場合においては、例えば、本実施形態と同様に、距離s1及び面積比等の条件は、第2枠部110cの外縁を基準として適用されてよい。加えて、基板部110aに適用されてもよい。
水晶振動子302の実装端子318は、基板部310aの外縁に対して、接していてもよいし、離れていてもよい。離れている場合において、第1実施形態における基板部110a(第2枠部110c)の外縁又は当該外縁がなす領域に対する外部端子113の相対的な位置及び大きさの説明は、基板部310aの外縁又は当該外縁がなす領域に対する実装端子318の相対的な位置及び大きさの説明に援用されてもよいし、されなくてもよい。実装端子318の平面形状は、適宜な形状とされてよく、例えば、図3に示した外部端子113と同様に、基板部310aの4辺に平行な4辺を有する矩形から、第2凹部K2側の一部が除去された形状とされてよい。
配線基板360の実装パッド363は、配線基板360の絶縁基板362の外縁に対して、接していてもよいし、離れていてもよい。離れている場合において、第1実施形態における第2枠部110cの外縁又は当該外縁がなす領域に対する外部端子113の相対的な位置及び大きさの説明は、絶縁基板362の外縁又は当該外縁がなす領域に対する実装パッド363の相対的な位置及び大きさの説明に援用されてもよいし、されなくてもよい。実装パッド363の平面形状は、適宜な形状とされてよく、例えば、図3に示した外部端子113と同様に、絶縁基板362の4辺に平行な4辺を有する矩形から、第2凹部K2側の一部が除去された形状とされてよい。
以上のとおり、本実施形態では、水晶振動子1は、基板(基板部310a)と、枠体(配線基板360の絶縁基板362)と、電極パッド111と、接続パッド115と、複数の外部端子113と、圧電素子(水晶素子120)と、感温部品(感温素子130)と、蓋体140とを有している。基板部310aは矩形状である。絶縁基板362は、基板部310aの下面のうちの基板部310aの1対の短辺側の領域に位置している1対の部分(短辺部分)を含んでおり、当該1対の部分の間に凹部(第2凹部K2)を構成している。電極パッド111は、基板部310aの上面に位置している。接続パッド115は、枠状の絶縁基板362内で基板部310aの下面に位置している。複数の外部端子113は、絶縁基板362の下面に位置している。水晶素子120は、電極パッド111に実装されている。感温素子130は、接続パッド115に実装されている。蓋体140は、水晶素子120を気密封止している。基板部310aの上下方向の厚みは80μm以上150μm以下である。
従って、第1実施形態と同様の効果が奏される。具体的には、例えば、基板部310aの厚さが80μm以上であることから、水晶素子120に伝えられる曲げ応力が低減される。その結果、水晶振動子301のヒステリシス特性における、実装前と実装後との差が低減される。また、基板部110aの厚さが150μm以下であることから、例えば、基板部110aがこれよりも厚い場合に比較して、基板部110aに隔てられている水晶素子120及び感温素子130同士で温度が乖離する蓋然性が低減される。その結果、温度補償の精度が向上する。
また、本実施形態では、水晶振動子301は、基板部310aの下面に位置している実装端子318と、配線基板360の絶縁基板362の上面に位置している実装パッド363と、実装端子318と実装パッド363とを接合している導電性の接合材365と、を更に有している。
この場合、例えば、第1実施形態に比較すると、絶縁基板362の反り及び/又は曲げ応力は、基板部310aに直接には伝わらない。例えば、基板部310aよりも絶縁基板362が沿ったり、基板部310aと絶縁基板362との隙間に充填された樹脂135が応力を緩和する緩衝材として機能したりする。水晶振動子302、配線基板360及び回路基板180の寸法及び熱膨張係数等にもよるが、応力分布の態様によっては、第1実施形態よりも基板部310aに生じる曲げ応力が低減される。
[実施例]
寸法が互いに異なる実施例に係る水晶振動子を作製してその特性を測定した。その結果、基板(基板部110a又は基板部310a)を厚くすることによってヒステリシス特性を低減できることを確認できた。具体的には、以下のとおりである。
実施例に係る水晶振動子の構成は、第1実施形態のものとした。すなわち、枠体は、基板部110aと一体的に形成される第2枠部110cによって構成されるものとした。また、第2凹部K2及び感温素子130の長手方向は、素子搭載部材100の短手方向とされた。
実施例に係る水晶振動子の主要な設計条件は、以下のとおりである。
水晶片121:ATカット
水晶片121の厚さ:43μm
基板部110aの長辺の長さ:1.6mm
基板部110aの短辺の長さ:1.2mm
基板部110aの厚さ:50μm以上170μm以下の範囲内で、10μm毎に設定した。
第2枠部110cの厚さ:230μm
第2枠部110cの下面から第1枠部110bの上面までの厚さ:525μm
絶縁基体110の材料:アルミナセラミックス
図8は、実施例に係る水晶振動子についての評価項目である正規化された周波数差ΔF/Fを説明するための概念図である。
この図において横軸は温度T(℃)を示している。左側の縦軸は、水晶振動子における、発振信号の設計周波数F(Hz)と、実際に測定された周波数との差dF(Hz)を設計周波数Fで割って得られる正規化された周波数差dF/Fを示している。線Ln1は、温度上昇時における温度Tと周波数差dF/Fとの対応関係の一例を示している。線Ln2は、温度下降時における温度Tと周波数差dF/Fとの対応関係の一例を示している。
この図から理解されるように、実際の周波数は、温度変化に起因して変化する。水晶振動子は、例えば、所定の基準温度T0において周波数差dF/Fが0に近づくように構成されている。基準温度T0は、例えば、いわゆる常温の範囲内(例えば5℃以上35℃以下)において設定される。線Ln1及びLn2それぞれは、3次関数によって近似可能である。既述の温度補償回路は、温度Tと周波数差dF(又は当該dFに対応するキャパシタンス等の補正量)との対応関係を特定する式の係数及び定数、又はマップデータを有している。そして、感温素子130の検出温度に対応する周波数差dFに基づいて発振信号の周波数を補正する。
線Ln1及びLn2の比較から理解されるように、温度上昇時と温度下降時とでは、温度Tと周波数差dF/Fとの対応関係は相違する。この特性は、既に述べているヒステリシス特性である。同一の温度に対応する、温度上昇時のdF/Fと温度下降時のdF/Fとの差を周波数差ΔF/Fとする。図8において、右側の縦軸は、周波数差ΔF/Fを示している。線Ln3は、温度Tと周波数差ΔF/Fとの対応関係を示している。周波数差ΔF/Fは温度Tに対して変化する。なお、図8では、ΔF/Fは実際よりも誇張されている。
線Ln1及び線Ln2は、例えば、図示の範囲の下限側から上限側へ温度を上昇させたり、図示の範囲の上限側から下限側へ温度を下降させたりしつつ、発振信号の周波数を測定することによって得られる。しかし、実際に利用されている水晶振動子は、より複雑な温度変化(温度履歴)に晒される。従って、線Ln1及びLn2それぞれに基づいて温度上昇時と温度下降時とで別個に温度補償量を規定することは行われておらず、同一の温度に対する温度補償量は、温度上昇時と温度下降時とで同一である。従って、周波数差ΔF/Fを小さくすると、例えば、温度補償の精度が向上する。
図9は、回路基板180に実装された状態の水晶振動子のヒステリシス特性を示す図である。これらの図において、横軸は温度T(℃)を示している。縦軸は、図8を参照して説明した正規化された周波数差ΔF/F(ppb:parts per billion)を示している。図中の複数の線は、基板部110aの厚さが互いに異なる複数の実施例における温度Tと周波数差ΔF/Fとの対応関係を示している。紙面右側では、線種と基板部110aの厚さt1(μm)との対応関係が示されている。また、その右側には、基板部110aの厚さt1を基板部110aの長辺の長さL1で割った値t1/L1と、基板部110aの厚さt1を実装基体110の厚さt2(第2枠部110cの下面から第1枠部110bの上面までの厚さ)で割った値t1/t2とを付した。なお、特に図示しないが、回路基板180に実装される前の水晶振動子のΔF/Fは、概ね0±50(ppb)の範囲に収まっている。
この図に示されているように、基板部110aの厚さt1を大きくするほど、周波数差ΔF/Fが小さくなっている。特に、基板部110aの厚さt1を80μm以上(s1/L1を0.050以上)とすると、図示の温度範囲(-30℃~90℃)の全体に亘って、これよりも基板110aが薄い場合との有意な差が認められる。
なお、以上の実施形態において、水晶振動子1、1-1、201及び301は、それぞれ圧電デバイスの一例である。基板部110a及び310aはそれぞれ基板の一例である。第2凹部K2は凹部の一例である。第2枠部110c及び配線基板360はそれぞれ枠体の一例である。水晶素子120は圧電素子の一例である。感温素子130は感温部品の一例である。
本開示に係る技術は、以上の実施形態及び変形例に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
上述した実施形態及び変形例は適宜に組み合わされてよい。例えば、図4に示した凹部(第2凹部K2)の図心を基板(基板部110a)又は枠体(第2枠部110c)の外縁がなす領域の図心に対して電極パッド(111)とは反対側に位置させる構成は、第2又は第3実施形態に適用されてもよい。図5に示した凹部及び感温部品(感温素子130)の長手方向を基板又は枠体の長手方向にする構成は、第3実施形態に適用されてもよい。
圧電素子は、振動子に利用される振動素子に限定されない。例えば、圧電素子は、SAW(surface acoustic wave)素子等の弾性波素子であってもよいし、圧電振動型のジャイロセンサの振動素子であってもよい。別の観点では、圧電デバイスは、振動子又は発振器等の発振信号を生成するデバイスに限定されず、弾性波デバイスのように信号をフィルタリングするものであってもよいし、ジャイロセンサのように物理量を検出するセンサであってもよい。
圧電素子に利用される圧電体は、水晶に限定されないし、別の観点では、単結晶に限定されない。例えば、圧電体は、セラミック(多結晶)、タンタル酸リチウムの単結晶、又はニオブ酸リチウムの単結晶であってもよい。
感温部品は、狭義の温度センサ(感温素子、トランスデューサ)に限定されない。例えば、感温部品は、温度を変換した電気信号を処理する機能を有していてもよい。処理としては、例えば、増幅、変調、フィルタリング及び検出温度に基づく演算が挙げられる。換言すれば、感温部品は、感温素子を含む集積回路素子(IC:Integrated Circuit)であってもよい。
上記の感温部品としてのICは、圧電素子が振動子に利用される振動素子である場合において、振動素子に電圧を印加して発振信号を生成する発振回路と、感温素子の検出した温度に基づいて振動素子の周波数特性の温度補償を行う補償回路とを含むものであってもよい。すなわち、圧電デバイスは、温度補償型の発振器であってもよい。
上記の感温部品としてのICが発振回路及び補償回路を有している場合においては、例えば、振動素子とICとが接続され、ICと配線基板の外部端子とが接続される。換言すれば、振動素子と外部端子とは直接には接続されない。また、ICの端子(感温部品の端子)から外部端子へ出力される電気信号は、例えば、発振信号であり、温度の情報を含む信号ではない。この例から理解されるように、感温部品は、接続パッドに温度に応じて生成された電気信号を出力せずに、感温部品の内部で利用してよい。
実施形態では、基板(基板部110a)の上に第1枠部110bが設けられ、その上に平板状の蓋体が被せられた。ただし、第1枠部110bが設けられず、下方が開放された箱状の蓋体が基板の上面に接合されて、圧電素子が封止されてもよい。
実施形態では、枠体(第2枠部110c及び配線基板360)は、基板の全周に沿って延びる環状とされた。ただし、枠体は、環状でなくてもよい。例えば、枠体は、基板の1対の短辺に沿って延びる1対の部分を有し、基板の1対の長辺に沿って延びる部分を有さない構成とされてもよい。
外部端子は、4つよりも多い数で設けられてよい。例えば、5つ以上の外部端子がパッケージの下面の外縁に沿って配列されていてもよい。外部パッド、接続パッド等の他の端子又はパッドについても同様に、図示した以外の数で設けられてよい。
複数の外部端子を包含する最小の矩形領域R1は、枠体の下面の外縁がなす矩形領域と一致してもよい。また、一致しない場合において、複数の外部端子は、その全てが枠体の下面の外縁から離れていなくてもよい。また、各外部端子の全体が枠体の下面の外縁から離れていなくてもよい。例えば、4隅の外部端子それぞれは、自己が隣接する長辺からのみ離れていたり、自己が隣接する短辺からのみ離れていたりしてもよい。