以下に図面を用いて、本実施形態に係る診断システム1を詳細に説明する。
<<システム構成の概略>>
まず、診断システム1の構成の概略について説明する。図1は、本実施形態に係る診断システムの概略図である。
図1に示されているように、本実施形態の診断システム1は、入力装置3、及び診断管理サーバ5によって構築されている。
また、診断システム1を構成する入力装置3、及び診断管理サーバ5は、通信ネットワーク100を介して通信することができる。通信ネットワーク100は、インターネット、移動体通信網、LAN(Local Area Network)等によって構築されている。通信ネットワーク100には、有線通信だけでなく、3G(3rd Generation)、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、LTE(Long Term Evolution)等の無線通信によるネットワークが含まれてもよい。また、入力装置3は、NFC(Near Field Communication)(登録商標)等の近距離通信技術によって通信可能である。
また、入力装置3は、後述の診断対象画像、診断領域、及び診断情報等の各種データ入力を行なうためのコンピュータである。入力装置3の利用者は、構造物の一例としてのトンネル8内の入口から出口まで撮影されたトンネル展開画像、及び検査者が記載したコメントを、入力装置3に入力する。なお、他の装置に入力後、他の装置から入力装置3にデータを転送してもよい。
検査車両7に乗車して検査している検査者は、特殊チョークでひび割れ等の変状部分を上書きして変状部分を目立つようにしたり、ひび割れの幅が何センチであるか等を記載したりする。その際、検査者は変状の様子や判定結果を示すコメントを野帳等に記載しておく。一方、検査車両7の下にいる補助者は、検査者が発したコメントを野帳等に記載したり、場合によっては全体の写真撮影を行なったりする。その後、後述の特殊撮影装置10をルーフ上に設置した撮影車両9が、トンネル8内の入口から出口まで走行しながらトンネル8の壁を撮影することで、後述の図24に示されているトンネル展開画像のデータを得ることができる。トンネル展開画像には、検査者が特殊チョークで記載した部分が写し出されているため、後日、入力装置3の利用者はトンネル展開画像を見れば、変状部分の位置や形状を容易に把握することができる。
<<全天球画像の生成方法>>
ここで、図2乃至図8を用いて、全天球画像の生成方法について説明する。
まず、図2を用いて、特殊撮影装置10の外観を説明する。特殊撮影装置10は、全天球(360°)パノラマ画像の元になる撮影画像を得るためのデジタルカメラである。なお、図2(a)は特殊撮影装置の左側面図であり、図2(b)は特殊撮影装置の背面図であり、図2(c)は特殊撮影装置の平面図であり、図2(d)は特殊撮影装置の底面図である。
図2(a),図2(b),図2(c),図(d)に示されているように、特殊撮影装置10の上部には、正面側(前側)に魚眼型のレンズ102a及び背面側(後側)に魚眼型のレンズ102bが設けられている。特殊撮影装置10の内部には、後述の撮像素子(画像センサ)103a,103bが設けられており、それぞれレンズ102a、102bを介して被写体や風景を撮影することで、半球画像(画角180°以上)を得ることができる。特殊撮影装置10の正面側と反対側の面には、シャッターボタン115aが設けられている。また、特殊撮影装置10の側面には、電源ボタン115b、Wi-Fi(Wireless Fidelity)ボタン115c、及び撮影モード切替ボタン115dが設けられている。電源ボタン115b、及びWi-Fiボタン115cは、いずれも押下される度に、オンとオフが切り替えられる。また、撮影モード切替ボタン115dは、押下される度に、静止画の撮影モードと動画の撮影モードが切り替えられる。なお、シャッターボタン115a、電源ボタン115b、Wi-Fiボタン115c、及び撮影モード切替ボタン115dは、操作部115の一部であり、操作部115は、これらのボタンに限られない。
また、特殊撮影装置10の底部150の中央には、カメラ用三脚に特殊撮影装置10や一般撮影装置3を取り付けるための三脚ねじ穴151が設けられている。また、底部150の左端側には、Micro USB(Universal Serial Bus)端子152が設けられている。底部150の右端側には、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)端子153が設けられている。なお、HDMIは登録商標である。
次に、図3を用いて、特殊撮影装置10の使用状況を説明する。なお、図3は、特殊撮影装置の使用イメージ図である。特殊撮影装置10は、図3に示されているように、例えば、利用者が手に持って利用者の周りの被写体を撮影するために用いられる。この場合、図2に示されている撮像素子103a及び撮像素子103bによって、それぞれ利用者の周りの被写体が撮像されることで、2つの半球画像を得ることができる。
次に、図4及び図5を用いて、特殊撮影装置10で撮影された画像から正距円筒射影画像EC及び全天球画像CEが作成されるまでの処理の概略を説明する。なお、図4(a)は特殊撮影装置10で撮影された半球画像(前側)、図4(b)は特殊撮影装置で撮影された半球画像(後側)、図4(c)は正距円筒図法により表された画像(以下、「正距円筒射影画像」という)を示した図である。図5(a)は正距円筒射影画像で球を被う状態を示した概念図、図5(b)は全天球画像を示した図である。
図4(a)に示されているように、撮像素子103aによって得られた画像は、後述の魚眼レンズ102aによって湾曲した半球画像(前側)となる。また、図4(b)に示されているように、撮像素子103bによって得られた画像は、後述の魚眼レンズ102bによって湾曲した半球画像(後側)となる。そして、半球画像(前側)と、180度反転された半球画像(後側)とは、特殊撮影装置10によって合成され、図4(c)に示されているように、正距円筒射影画像ECが作成される。
そして、OpenGL ES(Open Graphics Library for Embedded Systems)が利用されることで、図5(a)に示されているように、正距円筒射影画像が球面を覆うように貼り付けられ、図5(b)に示されているような全天球画像CEが作成される。このように、全天球画像CEは、正距円筒射影画像ECが球の中心を向いた画像として表される。なお、OpenGL ESは、2D(2-Dimensions)および3D(3-Dimensions)のデータを視覚化するために使用するグラフィックスライブラリである。なお、全天球画像CEは、静止画であっても動画であってもよい。
以上のように、全天球画像CEは、球面を覆うように貼り付けられた画像であるため、人間が見ると違和感を持ってしまう。そこで、全天球画像CEの一部の所定領域(以下、「所定領域画像」という)を湾曲の少ない平面画像として表示することで、人間に違和感を与えない表示をすることができる。これに関して、図6及び図7を用いて説明する。
なお、図6は、全天球画像を三次元の立体球とした場合の仮想カメラ及び所定領域の位置を示した図である。仮想カメラICは、三次元の立体球として表示されている全天球画像CEに対して、その画像を見るユーザの視点の位置に相当するものである。また、図7(a)は図6の立体斜視図、図7(b)はディスプレイに表示された場合の所定領域画像を表す図である。また、図7(a)では、図5に示されている全天球画像CEが、三次元の立体球CSで表わされている。このように生成された全天球画像CEが、立体球CSであるとすると、図6に示されているように、仮想カメラICが全天球画像CEの内部に位置している。全天球画像CEにおける所定領域Tは、仮想カメラICの撮影領域であり、全天球画像CEを含む三次元の仮想空間における仮想カメラICの撮影方向と画角を示す所定領域情報によって特定される。
そして、図7(a)に示されている所定領域画像Qは、図7(b)に示されているように、所定のディスプレイに、仮想カメラICの撮影領域の画像として表示される。図7(b)に示されている画像は、初期設定(デフォルト)された所定領域情報によって表された所定領域画像である。以下では、仮想カメラICの撮影方向(ea,aa)と画角(α)を用いて説明する。
図8を用いて、所定領域情報と所定領域Tの画像の関係について説明する。なお、図8は、所定領域情報と所定領域Tの画像の関係との関係を示した図である。図8に示されているように、「ea」はelevation angle、「aa」はazimuth angle、「α」は画角(Angle)を示す。即ち、撮影方向(ea,aa)で示される仮想カメラICの注視点が、仮想カメラICの撮影領域である所定領域Tの中心点CPとなるように、仮想カメラICの姿勢を変更することになる。所定領域画像Qは、全天球画像CEにおける所定領域Tの画像である。fは仮想カメラICから中心点CPまでの距離である。Lは所定領域Tの任意の頂点と中心点CPとの距離である(2Lは対角線)。そして、図8では、一般的に以下の(式1)で示される三角関数が成り立つ。
L/f=tan(α/2)・・・(式1)
<<所定領域画像の例>>
続いて、図9乃至図12を用いて、特殊撮影装置10によって全天球撮影されることで得られた全天球画像の所定領域を示す所定領域画像の例を示す。なお、各所定領域画像が、展開画像として入力装置3のディスプレイ308(表示手段の一例)上に表示される。
図9は、撮影車両の進行方向に垂直なトンネルの内壁における天井部分を表わした所定領域画像を示した図である。このように、撮影車両9の一度の走行でトンネルの坑口を撮影することができるため、入力装置3は、坑口のひび割れや水漏れ等を表示することができる。
図10は、撮影車両の進行方向に垂直なトンネルの内壁における天井部分を表わした所定領域画像を示した図である。このように、入力装置3は、照明機器の取り付け金具の部分等を表示することができる。また、
図11は、撮影車両の進行方向側のトンネルの内壁における天井部分を表わした所定領域画像を示した図である。図11に示されている所定領域画像は、図10に示されている所定領域画像を含む全天球画像内の他の所定領域を示す他の所定領域画像である。
図12は、撮影車両の進行方向の反対側のトンネルの内壁における天井部分を表わした所定領域画像を示した図である。図12に示されている所定領域画像は、図10に示されている所定領域画像を含む全天球画像内の他の所定領域を示す他の所定領域画像である。
<<ハードウェア構成>>
<特殊撮影装置のハードウェア構成>
まず、図11を用いて、特殊撮影装置1のハードウェア構成を説明する。図11は、特殊撮影装置1のハードウェア構成図である。以下では、特殊撮影装置1は、2つの撮像素子を使用した全天球(全方位)特殊撮影装置とするが、撮像素子は2つ以上いくつでもよい。また、必ずしも全方位撮影専用の装置である必要はなく、通常のデジタルカメラやスマートフォン等に後付けの全方位の撮像ユニットを取り付けることで、実質的に特殊撮影装置1と同じ機能を有するようにしてもよい。
図11に示されているように、特殊撮影装置1は、撮像ユニット101、画像処理ユニット104、撮像制御ユニット105、マイク108、音処理ユニット109、CPU(Central Processing Unit)111、ROM(Read Only Memory)112、SRAM(Static Random Access Memory)113、DRAM(Dynamic Random Access Memory)114、操作部115、ネットワークI/F116、通信部117、アンテナ117a、電子コンパス118、ジャイロセンサ119、加速度センサ120、及びMicro USB用の凹状の端子121によって構成されている。
このうち、撮像ユニット101は、各々半球画像を結像するための180°以上の画角を有する広角レンズ(いわゆる魚眼レンズ)102a,102bと、各広角レンズに対応させて設けられている2つの撮像素子103a,103bを備えている。撮像素子103a,103bは、魚眼レンズ102a,102bによる光学像を電気信号の画像データに変換して出力するCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサやCCD(Charge Coupled Device)センサなどの画像センサ、この画像センサの水平又は垂直同期信号や画素クロックなどを生成するタイミング生成回路、この撮像素子の動作に必要な種々のコマンドやパラメータなどが設定されるレジスタ群などを有している。
撮像ユニット101の撮像素子103a,103bは、各々、画像処理ユニット104とパラレルI/Fバスで接続されている。一方、撮像ユニット101の撮像素子103a,103bは、撮像制御ユニット105とは、シリアルI/Fバス(I2Cバス等)で接続されている。画像処理ユニット104、撮像制御ユニット105及び音処理ユニット109は、バス110を介してCPU111と接続される。さらに、バス110には、ROM112、SRAM113、DRAM114、操作部115、ネットワークI/F116、通信部117、及び電子コンパス118なども接続される。
画像処理ユニット104は、撮像素子103a,103bから出力される画像データをパラレルI/Fバスを通して取り込み、それぞれの画像データに対して所定の処理を施した後、これらの画像データを合成処理して、図3(c)に示されているような正距円筒射影画像のデータを作成する。
撮像制御ユニット105は、一般に撮像制御ユニット105をマスタデバイス、撮像素子103a,103bをスレーブデバイスとして、I2Cバスを利用して、撮像素子103a,103bのレジスタ群にコマンド等を設定する。必要なコマンド等は、CPU111から受け取る。また、撮像制御ユニット105は、同じくI2Cバスを利用して、撮像素子103a,103bのレジスタ群のステータスデータ等を取り込み、CPU111に送る。
また、撮像制御ユニット105は、操作部115のシャッターボタンが押下されたタイミングで、撮像素子103a,103bに画像データの出力を指示する。特殊撮影装置1によっては、ディスプレイ(例えば、スマートフォン5のディスプレイ517)によるプレビュー表示機能や動画表示に対応する機能を持つ場合もある。この場合は、撮像素子103a,103bからの画像データの出力は、所定のフレームレート(フレーム/分)によって連続して行われる。
また、撮像制御ユニット105は、後述するように、CPU111と協働して撮像素子103a,103bの画像データの出力タイミングの同期をとる同期制御手段としても機能する。なお、本実施形態では、特殊撮影装置1にはディスプレイが設けられていないが、表示部を設けてもよい。
マイク108は、音を音(信号)データに変換する。音処理ユニット109は、マイク108から出力される音データをI/Fバスを通して取り込み、音データに対して所定の処理を施す。
CPU111は、特殊撮影装置1の全体の動作を制御すると共に必要な処理を実行する。ROM112は、CPU111のための種々のプログラムを記憶している。SRAM113及びDRAM114はワークメモリであり、CPU111で実行するプログラムや処理途中のデータ等を記憶する。特にDRAM114は、画像処理ユニット104での処理途中の画像データや処理済みの正距円筒射影画像のデータを記憶する。
操作部115は、シャッターボタン115aなどの操作ボタンの総称である。ユーザは操作部115を操作することで、種々の撮影モードや撮影条件などを入力する。
ネットワークI/F116は、SDカード等の外付けのメディアやパーソナルコンピュータなどとのインターフェース回路(USBI/F等)の総称である。また、ネットワークI/F116としては、無線、有線を問わない。DRAM114に記憶された正距円筒射影画像のデータは、このネットワークI/F116を介して外付けのメディアに記録されたり、必要に応じてネットワークI/F116を介してスマートフォン5等の外部端末(装置)に送信されたりする。
通信部117は、特殊撮影装置1に設けられたアンテナ117aを介して、Wi-Fi、NFC、Bluetooth等の近距離無線通信技術によって、スマートフォン5等の外部端末(装置)と通信を行う。この通信部117によっても、正距円筒射影画像のデータをスマートフォン5等の外部端末(装置)に送信することができる。
電子コンパス118は、地球の磁気から特殊撮影装置1の方位を算出し、方位情報を出力する。この方位情報はExifに沿った関連情報(メタデータ)の一例であり、撮影画像の画像補正等の画像処理に利用される。なお、関連情報には、画像の撮影日時、及び画像データのデータ容量の各データも含まれている。
ジャイロセンサ119は、全天球カメラ20の移動に伴う角度の変化(Roll角、Pitch角、Yaw角)を検出するセンサである。角度の変化はExifに沿った関連情報(メタデータ)の一例であり、撮像画像の画像補正等の画像処理に利用される。
加速度センサ120は、3軸方向の加速度を検出するセンサである。特殊撮影装置3aは、加速度センサ120が検出した加速度に基づいて、自装置(特殊撮影装置3a)の姿勢(重力方向に対する角度)を算出する。特殊撮影装置3aに、ジャイロセンサ119と加速度センサ120の両方が設けられることによって、画像補正の精度が向上する。
<入力装置、診断管理サーバのハードウェア構成>
続いて、図14を用いて、診断システム1を構築する入力装置又は診断管理サーバのハードウェア構成を説明する。
<入力装置のハードウェア構成>
図14は、入力装置、診断管理サーバのハードウェア構成図である。括弧内の符号は、診断管理サーバの構成を示している。
図14に示されているように、入力装置3は、CPU(Central Processing Unit)301、ROM(Read Only Memory)302、RAM(Random Access Memory)303、HD(Hard Disk)304、HDD(Hard Disk Drive)305、記録メディア306、メディアI/F307、ディスプレイ308、ネットワークI/F309、キーボード311、マウス312、CD-RW(Compact Disc-ReWritable)ドライブ314、及び、バスライン310を備えている。
これらのうち、CPU301は、入力装置3全体の動作を制御する。ROM302は、CPU301の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM303は、CPU301のワークエリアとして使用される。HD304は、プログラム等の各種データを記憶する。HDD305は、CPU301の制御にしたがってHD304に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。メディアI/F307は、フラッシュメモリ等の記録メディア306に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。ディスプレイ308は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、又は画像などの各種情報を表示する。ネットワークI/F309は、通信ネットワーク100を利用してデータ通信をするためのインターフェースである。キーボード311は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えた入力手段の一種である。マウス312は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行う入力手段の一種である。CD-RWドライブ314は、着脱可能な記録媒体の一例としてのCD-RW513に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。
また、診断管理サーバ5は、CPU501、ROM502、RAM503、HD504、HDD505、記録メディア506、メディアI/F507、ディスプレイ508、ネットワークI/F509、キーボード511、マウス512、CD-RWドライブ514、及び、バスライン510を備えている。これらは、それぞれ上述の構成(CPU301、ROM302、RAM303、HD304、HDD305、記録メディア306、メディアI/F307、ディスプレイ308、ネットワークI/F309、キーボード311、マウス312、CD-RWドライブ314、及び、バスライン310)と同様の構成であるため、これらの説明を省略する。
なお、CD-RWドライブ314(514)ではなく、CD-Rドライブ等であってもよい。また、入力装置3、及び診断管理サーバ5は、それぞれ単一のコンピュータによって構築されてもよいし、各部(機能、手段、又は記憶部)を分割して任意に割り当てられた複数のコンピュータによって構築されていてもよい。
<<診断システムの機能構成>>
続いて、図15乃至図17を用いて、本実施形態の機能構成について説明する。図15は、診断システムの機能ブロック図である。
<入力装置の機能構成>
図15に示されているように、入力装置3は、送受信部31、受付部32、描画部33、表示制御部34、判断部35、記憶・読出部39を有している。これら各部は、図14に示されている各構成要素のいずれかが、HD304からRAM303上に展開されたプログラムに従ったCPU301からの命令によって動作することで実現される機能、又は機能する手段である。また、入力装置3は、図14に示されているRAM303及びHD304によって構築される記憶部5000を有している。
(入力装置の各機能構成)
次に、入力装置3の各構成要素について説明する。
送受信部31は、図14に示されているCPU301からの命令、並びにネットワークI/F305によって実現され、通信ネットワーク100を介して他の端末、装置又はシステムと各種データ(または情報)の送受信を行う。
受付部32は、主に、図14に示されているCPU301からの命令、並びにキーボード311及びマウス312によって実現され、利用者による各種入力を受け付ける。
描画部33は、図14に示されているCPU301からの命令によって実現され、ディスプレイ308に表示されている画像上に、線や矩形等の描画を行なう。
表示制御部34は、図14に示されているCPU301からの命令によって実現され、ディスプレイ308に、各種画像や画面を表示させる。
判断部35は、図14に示されているCPU301からの命令によって実現され、後述の各種判断を行なう。
記憶・読出部39は、図14に示されているCPU301からの命令、並びに、HDD305、メディアI/F307、及びCD-RWドライブ314によって実行され、記憶部3000、記録メディア306、及びCD-RW313に各種データを記憶したり、記憶部3000、記録メディア306、及びCD-RW313から各種データを読み出したりする処理を行う。
<診断管理サーバの機能構成>
診断管理サーバ5は、送受信部51、作成部53、判断部55、及び記憶・読出部59を有している。これら各部は、図14に示されている各構成要素のいずれかが、HD504からRAM503上に展開されたプログラムに従ったCPU501からの命令によって動作することで実現される機能又は機能する手段である。また、診断管理サーバ5は、図17に示されているHD504により構築される記憶部5000を有している。
(診断情報管理テーブル)
図16は、診断情報管理テーブルを示す概念図である。記憶部3000には、図16に示されているような診断情報管理テーブルによって構成されている診断情報管理DB5001が構築されている。この診断情報管理テーブルでは、診断領域番号、スパン番号(セントル番号)、診断領域のスパン内における位置座標、診断領域の高さ及び幅、写真番号、変状・異常の種類、判定結果、及びコメントが関連付けて管理される。
これらのうち、診断領域番号は、後述の診断領域が含まれるグループを示す識別情報である。スパン番号は、トンネルのスパンの番号を示した番号である。スパンは、トンネルの入口から10m毎に区切られた領域を示しており、図24では、複数のスパンの画像によって構成されたトンネル展開画像201が示されている。スパン番号は、国等が配布するトンネル台帳に記載されている。
診断領域のスパン内における位置座標は、任意のスパン内の特定の位置を原点とした場合に、このスパン内における診断領域の特定点(始点)の位置座標を示している。
診断領域の高さ及び幅は、診断領域のスパン内における位置座標を原点として、高さ及び幅を示すことで、診断領域全体を特定するための値を示している。
写真番号は、写真台帳に添付される写真を識別するための識別情報である。
変状・異常の種類は、検査者が判断した診断対象の変状又は異常の種類を示す。
判定結果は、検査者が判断した診断対象の判定結果を示す。一般には、S,A,B,Cの順に、左に行くほど、診断対象の状態が悪いことを示す。
コメントは、図1において、検査者又は補助者が記録したコメントの内容である。
(診断対象要素管理テーブル)
図17は、診断対象要素管理テーブルを示す概念図である。記憶部5000には、図17に示されているような診断対象要素管理テーブルによって構成されている診断対象要素管理DB5002が構築されている。この診断対象要素管理テーブルでは、診断領域番号、スパン番号(セントル番号)、要素番号、診断対象画像要素の始点位置座標、診断対象画像要素の終点位置座標、及び診断対象要素の幅(mm)が関連付けて管理される。
これらのうち、診断領域番号及びスパン番号(セントル番号)は、診断情報管理テーブルと同じである。これら診断領域番号及びスパン番号(セントル番号)によって、診断情報管理テーブル及び診断対象要素管理テーブルは、関連付けられている。
要素番号は、診断対象画像の要素である診断対象画像要素を識別するための識別情報である。
診断対象要素画像の始点位置座標は、トンネル展開画像の任意のスパン内で診断対象要素画像が描画される場合の始点の位置座標を示している。例えば、図35では、診断対象画像要素e21の始点p21の位置座標を示している。
診断対象画像要素の終点位置座標は、トンネル展開画像の任意のスパン内で診断対象画像要素が描画される場合の終点の位置座標を示している。例えば、図35では、診断対象画像要素e21の終点p22の位置座標を示している。
診断対象要素の幅(mm)は、診断対象要素がひび割れの場合の幅を示している。例えば、図35では、利用者によって幅入力画面ws1に入力された値を示している。利用者が幅入力画面ws1に数値を入力すると、受付部32が入力を受け付け、図36に示されているように、表示制御部34は、入力された数値(「0.5」)を表示する。
(診断管理サーバの各機能構成)
次に、診断管理サーバ5の各機能構成について詳細に説明する。
なお、以下では、診断管理サーバ5の各機能構成を説明するにあたって、図14に示されている各構成要素のうち、診断管理サーバ5の各機能構成を実現させるための主な構成要素との関係も説明する。
図15に示されている診断管理サーバ5の送受信部51は、図14に示されているCPU501からの命令、及び図17に示されているネットワークI/F509によって実現され、通信ネットワーク100を介して入力装置等の他の装置(端末)と各種データ(または情報)の送受信を行う。
作成部53は、図14に示されているCPU501からの命令によって実現され、診断情報管理DB5001及び診断対象要素管理DB5002で管理されている各種データに基づいて、国等への提出書類(変状展開図、写真台帳、及びトンネル点検結果総括表)のデータを作成する。
判断部55は、図14に示されているCPU501からの命令によって実現され、作成部53が提出書類のデータを作成するにあたって必要な判断を行なう。
記憶・読出部59は、図14に示されているCPU501からの命令、及び図14に示されているHDD505によって実現され、記憶部5000に各種データを記憶したり、記憶部5000に記憶された各種データを読み出したりする処理を行う。
<<実施形態の処理または動作>>
以降、図18乃至図45を用いて、各実施形態の処理または動作について説明する。図18は、提出書類データの作成処理を示したシーケンス図である。図19は、本実施形態に係る提出書類の作成処理を示した概念図である。
まず、図19に示されているように、入力装置3は、利用者によって、トンネル台帳、トンネル展開画像、及びコメントのデータ(以下、「トンネル台帳等のデータ」という)を入力する(ステップS1)。
次に、入力装置3の送受信部31は、診断管理サーバ5に、ステップS1で入力されたトンネル台帳等のデータをアップロードする(ステップS2)。これにより、診断管理サーバ5の送受信部51は、トンネル台帳等のデータを受信する。そして、診断管理サーバ5では、記憶・読出部59が、記憶部5000にステップS2で受信されたトンネル台帳等のデータを記憶する(ステップS3)。
続いて、利用者が診断対象画像を入力する場合、入力装置3の送受信部31は、利用者によって、診断管理サーバ5に対して、トンネル台帳等のデータの要求を行なう(ステップS4)。これにより、診断管理サーバ5の送受信部51は、トンネル台帳等のデータの要求を受信する。
次に、診断管理サーバ5では、記憶・読出部59が、記憶部5000にステップS3で記憶しておいたトンネル台帳等のデータを読み出す(ステップS5)。そして、送受信部51は、入力装置3へ、ステップS5で読み出されたトンネル台帳等のデータを送信する(ステップS6)。これにより、入力装置3の送受信部31は、トンネル台帳等のデータをダウンロードする。
次に、図19に示されているように、入力装置3は、利用者の操作により、後述のトンネル展開画像201の一部202に診断対象画像を描画したり、診断情報を入力したりする処理を行なう(ステップS7)。このステップS7の処理については、後ほど詳細に説明する。そして、送受信部31は、描画された診断対象要素画像のデータ、及び入力された診断情報のデータとともに、診断管理サーバ5へ、国等に提出すべき提出書類の作成要求を送信する(ステップS8)。これにより、診断管理サーバ5の送受信部51は、診断対象要素画像のデータ及び診断情報のデータとともに、提出書類の作成要求を受信する。
次に、診断管理サーバ5では、記憶・読出部59が、診断情報のデータ及び診断対象要素画像のデータを、それぞれ診断情報管理DB5001及び診断対象要素管理DB5002に振り分けて記憶する(ステップS9)。更に、提出書類を作成するために、記憶・読出部59が、診断情報管理DB5001及び診断対象要素管理DB5002で管理されている診断情報のデータ及び診断対象要素画像のデータを読み出すとともに、記憶部5000から上記トンネル台帳等のデータを読み出す(ステップS10)。そして、診断管理サーバ7の作成部55は、診断情報のデータ、診断対象要素画像のデータ、及びトンネル台帳等のデータを用いて、図19に示されているような提出書類(変状展開図、写真台帳、及びトンネル点検結果総括表)のデータを作成する(ステップS11)。
そして、送受信部51は、入力装置3へ提出書類のデータを送信する(ステップS12)。これにより、入力装置3の送受信部31は、提出書類のデータを受信する。
次に、図7に示されているように、入力装置3では、国等に提出するための提出書類のデータを印刷出力する(ステップS13)。これにより、検査業者は、国等に提出書類のデータを提出することができる。なお、検査業者は、印刷せずに、提出書類のデータのまま国等に提出してもよい。
<描画及び診断情報の入力の概略の処理>
続いて、図20、図24、図25を用いて、上記ステップS7の処理の概略について説明する。図20は、描画及び診断情報の入力の概略の処理を示すフローチャートである。図24は、ホーム画面を示す図である。図25は、診断位置入力画面において診断対象画像(面積)の入力モードの選択を示した画面例である。
まず、図20は、入力装置3の利用者の操作によって、表示制御部34がディスプレイ308上に、図24に示されているホーム画面SC1を表示させる(ステップS21)。このホーム画面SC1の中央部には、トンネル展開画像201が表示されている。ホーム画面SC1の右上側には、トンネル展開画像の全体像を示す全体像画面SC10が表示されている。また、ホーム画面SC1の左上側には、右から、診断対象画像(面積)の入力モードの選択ボタンb1、診断対象画像(直線)の入力モードの選択ボタンb2、診断領域の入力モードの選択ボタンb3、ホーム画面SC1に戻るためのホームボタンb4、トンネル展開画像201を縮小表示するための縮小ボタンb5、及びトンネル展開画像201を拡大表示するための拡大ボタンb6が表示されている。
ホーム画面SC1の下側中央部には、既に診断管理サーバ5にアップロードした診断領域のデータのリストをプルダウン表示させるための「RELOAD」ボタンb11が表示されている。同じく、ホーム画面SC1の下側中央部には、入力装置3で作成して一時的に保存しておいた診断情報のデータをまとめて診断管理サーバ5に送信することで、診断管理サーバ5で診断領域のデータを保存するための「SAVE」ボタンb12が表示されている。更に、ホーム画面SC1の下側中央部には、診断管理サーバ5からダウンロードした診断領域のデータの名称と、入力装置3側で作成して一時的に保存している診断領域のデータの名称を表示するための保存リスト110が表示されている。利用者が、ポインタpoで保存リスト110を選択すると、表示制御部34は、対応する診断領域が示される診断位置入力画面SC2を表示する。
また、ホーム画面SC1の右側中央部には、変状の種類を示すレイヤリストLL1が表示されている。レイヤリストLL1には、ひび割れ、漏水、石灰化等の変状の種類が表示される。各チェックボックスがチェックされると、チェックされた変状がトンネル展開画像201上に表示されるレイヤ構造になっている。ホーム画面SC1の右下部には、レイヤリストLL1をプルアップ表示するための「LAYER」ボタンb13が表示されている。
このホーム画面SC1において、利用者がマウス312の操作により、ポインタpoによって、描画及び診断情報を入力したい所望のスパンを選択すると、表示制御部34は、ディスプレイ308上に、図25に示されているような診断位置入力画面SC2を表示させる(ステップS22)。診断位置入力画面SC2には、トンネル展開画像201のうち、選択されたスパン部分であるトンネル展開画像の一部202が表示されている。このトンネル展開画像の一部202が、上述の所定領域画像に該当する。
ここで、利用者がマウス312等でトンネル展開画像の一部202を変更させると、受付部32が変更を受け付け、表示制御部34が変更後の画像を表示させる。例えば、図10に示されている所定領域画像が最初のトンネル展開画像の一部202である場合、利用者の操作によって、図11や図12に示されているような所定領域画像が表示される。
また、診断位置入力画面SC2の右下部には、トンネル展開画像に対する視線方向を切り替えるための視線切替ボタンb1が表示されている。なお、視線方向の切り替えに関しては、図44及び図45を用いて後述する。
ここで、利用者がポインタpoで、各選択ボタンb1,b2,b3のうち、所望の選択ボタンを選択することで、受付部32は、入力モードの選択を受け付ける(ステップS23)。そして、利用者が、入力モードに応じて、描画や診断情報の入力を行なうことで、入力装置3は、描画及び診断情報の入力の処理を実行する(ステップS24)。この処理に関しては、入力モード毎に、後ほど詳細に説明する。
そして、利用者によるマウス312等の操作を受付部32が受け付けることによって、記憶・読出部39が、記憶部3000に対して、描画及び診断情報の入力により作成された診断領域のデータを一時的に保存する(ステップS25)この描画されたデータ及び入力された診断情報のデータは、上記ステップS8によって、入力装置3から診断管理サーバ5へ送信される。
<診断対象画像(面積)の入力モード>
続いて、図21、及び図25乃至図32を用いて、診断対象画像(面積)の入力モードにおけるステップS24の処理を詳細に説明する。この診断対象画像(面積)の入力モードは、主に診断対象が石灰化や漏水の場合に用いられる。
図21は、診断対象画像(面積)の入力モードの処理を示すフローチャートである。図25は、診断位置入力画面において診断対象画像(面積)の入力モードの選択を示した画面例である。図26乃至図31は、診断位置入力画面において診断対象画像を入力する画面例である。図32は、診断位置入力画面の他の例を示した画面例である。
まず、ステップS23において、図25に示されているように、利用者がポインタpoで選択ボタンb1を選択した場合、表示制御部34は、診断対象画像(面積)の入力モードにする。そこで、図26に示されているように、利用者が、ポインタpoで最初の診断対象要素画像e11の始点p11を特定すると、受付部32は、最初の診断対象要素画像e11の始点p11の入力を受け付ける(ステップS101)。これにより、表示制御部34は、始点p11の周囲に確定ボタンco11及びキャンセルボタンca11を表示させる(ステップS102)。確定ボタンco11は、診断対象要素画像の入力を終了して診断対象画像を確定するためのボタンである。キャンセルボタンca11は、特定した始点p11の特定を解除するためのボタンである。なお、その他の確定ボタン、及びその他のキャンセルボタンも、それぞれ、確定ボタンco11、及びキャンセルボタンca11と同様の役割を果たす。
次に、図27に示されているように、利用者がポインタpoで診断対象要素画像e11の終点p12を特定すると、受付部32は、最初の診断対象要素画像e11の終点p12の入力を受け付ける(ステップS103)。これにより、表示制御部34は、始点p11と終点p12の間に診断対象要素画像e11を表示させると共に、診断対象要素画像e11の中央辺りに確定ボタンco12及びキャンセルボタンca12を表示させる(ステップS104)。このように、利用者は、始点と終点を特定することで、診断対象要素画像を描画することができる。
次に、判断部35は、ステップS104で表示された診断対象要素画像が複数かを判断する(ステップS105)。この時点では、診断対象要素画像が1つしか表示されていないため、判断部35は、複数でないと判断する(ステップS105;NO)。
次に、判断部35は、受付部32によって確定ボタンの押下が受け付けられたかを判断する(ステップS106)。判断部35が確定ボタンの押下を受け付けたと判断した場合には(ステップS106;YES)、後述のステップS110の処理に進む。一方、判断部35が確定ボタンの押下を受け付けないと判断した場合には(ステップS106;NO)、上述のステップS103の処理に戻る。図28では、利用者がポインタpoで診断対象要素画像e12の終点p13を特定すると、受付部32は、診断対象要素画像e12の終点p13の入力を受け付ける。なお、診断対象要素画像e12の始点は、診断対象要素画像e11の終点p12であるため、利用者は、診断対象要素画像e12の始点の特定を省略することができる。これにより、ステップS104によって、表示制御部34は、始点(終点p12)と終点p13の間に診断対象要素画像e12を表示させると共に、診断対象要素画像e11と診断対象要素画像e12の間に、確定ボタンco13及びキャンセルボタンca13を表示させる。そして、ステップS106によって、判断部35は、ステップS104で表示された診断対象要素画像が複数かを判断する。この時点では、診断対象要素画像が2つ表示されるため、判断部35は、複数であると判断する(ステップS105;YES)。そして、表示制御部34は、最初の診断対象要素画像e11の始点p11と、この時点の最後の診断対象要素画像e12の終点p13との間で、新たに診断対象要素画像e013を自動的に表示させる(ステップS107)。更に、表示制御部34は、確定ボタンとキャンセルボタンの表示位置を変更する(ステップS108)。ここでは、表示制御部34は、図27に示されている確定ボタンco12及びキャンセルボタンca12から、図28に示されている確定ボタンco13及びキャンセルボタンca13に変更する。
次に、判断部35は、受付部32によって確定ボタンの押下が受け付けられたかを判断する(ステップS109)。判断部35が確定ボタンの押下を受け付けないと判断した場合には(ステップS106;NO)、上述のステップS103の処理に戻る。図29では、利用者がポインタpoで診断対象要素画像e13の終点p14を特定すると、受付部32は、診断対象要素画像e13の終点p14の入力を受け付ける。なお、診断対象要素画像e13の始点は、診断対象要素画像e12の終点p13であるため、利用者は、診断対象要素画像e13の始点の特定を省略することができる。これにより、ステップS104によって、表示制御部34は、始点(終点p13)と終点p14の間に診断対象要素画像e13を表示させると共に、診断対象要素画像e11,e12,e13の間に、確定ボタンco14及びキャンセルボタンca14を表示させる。そして、ステップS105によって、判断部35は、ステップS104で表示された診断対象要素画像が複数かを判断する。この時点では、診断対象要素画像が3つ表示されるため、判断部35は、複数であると判断する(ステップS105;YES)。そして、ステップS107によって、表示制御部34は、最初の診断対象要素画像e11の始点p11と、この時点の最後の診断対象要素画像e13の終点p14との間で、新たに診断対象要素画像e14を自動的に表示させる。更に、ステップS108によって、表示制御部34は、確定ボタンとキャンセルボタンの表示位置を変更する。ここでは、表示制御部34は、図28に示されている確定ボタンco13及びキャンセルボタンca13から、図29に示されている確定ボタンco14及びキャンセルボタンca14に変更する。
次に、図30に示されているように、利用者がポインタpoで確定ボタンco14を押下すると、受付部32は押下を受け付け、判断部35が、確定ボタンが受け付けられたと判断する(ステップS109;YES)。そして、判断部35は、診断対象画像(面積)を確定し、図31に示されているように、表示制御部34は、確定された診断対象画像dt1を表示させる(ステップS110)。更に、表示制御部34は、診断対象画像dt1を含む矩形の診断領域da1を表示すると共に、診断情報入力画面SC3を表示させる(ステップS111)。この場合、診断情報入力画面SC3を目立たせるため、表示制御部34は、診断情報入力画面SC3以外の部分をマスキングする。
診断情報入力画面SC3は、利用者が検査者や補助者が書いたコメント等を参考に、各診断情報を入力するための画面である。診断情報入力画面SC3には、既存の(診断)情報の連携する場合の選択ボタン、点検(診断)箇所を選択するためのプルダウンメニュー、点検(診断)部位を選択するためのプルダウンメニュー、変状・異常の種類を選択するためのプルダウンメニュー、判定結果を入力するための入力欄、及びコメントを入力するための入力欄が表示されている。なお、既存の(診断)情報の連携は、既に確定している診断領域内に新たな診断対象画像を含める場合のための処理である。この連携は、例えば、既に水漏れとしての診断対象画像が確定している場合に、これを含む診断領域内に新たにひび割れとしての診断対象画像を含める場合である。また、診断情報入力画面SC3には、入力された診断情報を確定するための「OK」ボタンと、入力された診断情報を取り消すための「CANCEL」ボタンが表示されている。ここで、利用者が診断情報入力画面SC3に診断情報の選択及び入力を行ない、「OK」ボタンを押下すると、受付部32が、診断情報の選択及び入力を受け付ける(ステップS112)。
更に、診断情報入力画面SC3には、診断情報入力画面SC3から図32に示されている診断情報入力画面SC4に切り替えるための入力切替ボタンbmが表示されている。この入力切替ボタンbmが押下されると、表示制御部34は、図32に示されている診断情報入力画面SC4に切り替える。診断情報入力画面SC4は、一つの診断領域に複数の診断対象画像を含めて、それぞれの診断対象画像の診断情報を入力するための画面である。例えば、1つの診断領域に3つの診断対象画像(ひび割れ、石灰化、漏水)を含め、まとめて管理する場合に利用される。この場合、後ほど、入力装置3から診断管理サーバ5へ診断情報のデータがアップロードされると、診断管理サーバ5では、図16に示されているように、同じ診断領域の番号「3」で、3つの診断対象画像(ひび割れ、石灰化、漏水)が管理されることになる。
また、診断情報入力画面SC4にも、診断情報入力画面SC3と同様に、入力された診断情報を確定するための「OK」ボタンと、入力された診断情報を取り消すための「CANCEL」ボタンが表示されている。更に、診断情報入力画面SC4にも、診断情報入力画面SC4から図31に示されている診断情報入力画面SC3に切り替えるための入力切替ボタンbsが表示されている。この入力切替ボタンbsが押下されると、表示制御部34は、図31に示されている診断情報入力画面SC3に切り替える。
以上の処理によって、診断対象画像(面積)の入力モードにおける診断対象画像dt1及び診断領域da1の描画、及び診断情報の選択及び入力が終了する。
<診断対象画像(直線)の入力モード>
続いて、図22、及び図33乃至図38を用いて、診断対象画像(面積)の入力モードにおけるステップS24の処理を詳細に説明する。この診断対象画像(直線)の入力モードは、主に診断対象がひび割れの場合に用いられる。
図22は、診断対象画像(直線)の入力モードの処理を示すフローチャートである。図33は、診断位置入力画面において診断対象画像(直線)の入力モードの選択を示した画面例である。図34乃至図38は、診断位置入力画面において診断対象画像を入力する画面例である。
まず、ステップS23において、図33に示されているように、利用者がポインタpoで選択ボタンb2を選択した場合、表示制御部34は、診断対象画像(直線)の入力モードにする。そこで、図34に示されているように、利用者が、ポインタpoで最初の診断対象要素画像e21の始点p21を特定すると、受付部32は、最初の診断対象要素画像e21の始点p21の入力を受け付ける(ステップS201)。これにより、表示制御部34は、始点p21の周囲に確定ボタンco21及びキャンセルボタンca21を表示させる(ステップS202)。
次に、図35に示されているように、利用者がポインタpoで診断対象要素画像e21の終点p22を特定すると、受付部32は、最初の診断対象要素画像e21の終点p22の入力を受け付ける(ステップS203)。これにより、表示制御部34は、始点p21と終点p22の間に診断対象要素画像e21及び幅入力画面ws1を表示させると共に、診断対象要素画像e21の中央辺りに確定ボタンco22及びキャンセルボタンca22を表示させる(ステップS204)。このように、利用者は、始点と終点を特定することで、診断対象要素画像を描画することができる。
なお、幅入力画面は、診断対象要素がひび割れの場合の直線の幅を入力するための画面である。幅入力画面は、始点p21と終点p22の間で、診断対象要素画像の付近に表示される。利用者は、トンネル展開画像201に示されている数値(特殊チョークで書かれた数値)や、コメントを参考に幅の値を入力する。利用者が幅入力画面ws1に数値を入力すると、受付部32が入力を受け付け、図36に示されているように、表示制御部34は、入力された数値(「0.5」)を表示する。
次に、判断部35は、受付部32によって確定ボタンの押下が受け付けられたかを判断する(ステップS205)。判断部35が確定ボタンの押下を受け付けないと判断した場合には(ステップS205;NO)、上述のステップS203の処理に戻る。図36では、利用者がポインタpoで診断対象要素画像e22の終点p23を特定すると、受付部32は、診断対象要素画像e22の終点p23の入力を受け付ける。なお、診断対象要素画像e22の始点は、診断対象要素画像e21の終点p22であるため、利用者は、診断対象要素画像e22の始点の特定を省略することができる。これにより、ステップS204によって、表示制御部34は、始点(終点p22)と終点p23の間に診断対象要素画像e22及び幅入力画面ws2を表示させると共に、診断対象要素画像e21,e22の間に、確定ボタンco23及びキャンセルボタンca23を表示させる。利用者が幅入力画面ws2に数値を入力すると、受付部32が入力を受け付け、図37に示されているように、表示制御部34は、入力された数値(「0.7」)を表示する。
次に、図37に示されているように、利用者がポインタpoで確定ボタンco23を押下すると、受付部32は押下を受け付け、判断部35が、確定ボタンが受け付けられたと判断する(ステップS205;YES)。そして、判断部35は、診断対象(直線)を確定し、図38に示されているように、表示制御部34は、確定された診断対象画像dt2を表示させる(ステップS206)。更に、表示制御部34は、診断対象画像dt2を含む矩形の診断領域da2を表示すると共に、診断情報入力画面SC3を表示させる(ステップS207)。この場合、診断情報入力画面SC3を目立たせるため、表示制御部34は、診断情報入力画面SC3以外の部分をマスキングする。ここで、利用者が診断情報入力画面SC3に診断情報の選択及び入力を行ない、「OK」ボタンを押下すると、受付部32が、診断情報の選択及び入力を受け付ける(ステップS208)。
以上の処理によって、診断対象画像(直線)の入力モードにおける診断対象画像dt2及び診断領域da2の描画、及び診断情報の選択及び入力が終了する。
<診断領域の入力モード>
続いて、図23、及び図39乃至図43を用いて、診断領域の入力モードにおけるステップS24の処理を詳細に説明する。この診断領域の入力モードは、先に診断領域を特定した後に診断対象画像を特定する場合に用いられる。
図23は、診断領域の入力モードの処理を示すフローチャートである。図39は、診断位置入力画面において診断領域の入力モードの選択を示した画面例である。図40乃至図43は、診断位置入力画面において診断領域を入力する画面例である。
まず、ステップS23において、図39に示されているように、利用者がポインタpoで選択ボタンb3を選択した場合、表示制御部34は、診断領域の入力モードにする。そこで、図40に示されているように、利用者が、ポインタpoで仮診断領域da03の任意の頂点p31を特定すると、受付部32は、仮診断領域da03の任意の頂点p31の入力を受け付ける(ステップS301)。これにより、表示制御部34は、頂点p31の周囲に確定ボタンco31及びキャンセルボタンca31を表示させる(ステップS302)。
次に、図41に示されているように、利用者がポインタpoで仮診断領域da03の頂点p31の対角の頂点p32を特定すると、受付部32は、仮診断領域da03の頂点p31の対角の頂点p32の入力を受け付ける(ステップS303)。これにより、表示制御部34は、頂点p31と頂点p32を対角の頂点とする矩形の仮診断領域da03を表示させると共に、仮診断領域da03の中央辺りに確定ボタンco32及びキャンセルボタンca32を表示させる(ステップS304)。このように、利用者は、2つの対角となる頂点を特定することで、診断領域を描画することができる。
次に、判断部35は、受付部32によって確定ボタンの押下が受け付けられたかを判断する(ステップS305)。判断部35が確定ボタンの押下を受け付けないと判断した場合には(ステップS305;NO)、上述のステップS303の処理に戻る。この場合は、利用者が頂点p32を特定した後、更に仮診断領域da03の面積を拡大又は縮小するために、頂点p31又は頂点p32を変更する場合である。
一方、図42に示されているように、利用者がポインタpoで確定ボタンco32を押下すると、受付部32は押下を受け付け、判断部35が、確定ボタンが受け付けられたと判断する(ステップS305;YES)。そして、判断部35は、仮診断領域da03を確定する(ステップS306)。更に、表示制御部34は、確定された仮診断領域da03と同じ矩形の診断領域da3を表示すると共に、診断情報入力画面SC3を表示させる(ステップS307)。この場合、診断情報入力画面SC3を目立たせるため、表示制御部34は、診断情報入力画面SC3以外の部分をマスキングする。ここで、利用者が診断情報入力画面SC3に診断情報の選択及び入力を行ない、「OK」ボタンを押下すると、受付部32が、診断情報の選択及び入力を受け付ける(ステップS308)。
以上の処理によって、診断領域の入力モードにおける診断領域da3の描画、及び診断情報の選択及び入力が終了する。その後、利用者は、診断領域da3内に、診断対象画像(面積)の入力モード及び診断対象画像(直線)の入力ノードと同様に、診断対象画像を描画することができる。
<視線切り替え>
続いて、図44及び図45を用いて、トンネル展開画像201の視線切り替えの処理について説明する。図44(a)はトンネルと視点方向の関係を示した図、図44(b)は見上げ図の概念図、図44(c)は見下げ図の概念図である。図45は、視点方向を切り替えた診断対象入力画像を示し、(a)は見上げ図の一例を示した図、(b)は見下げ図の一例を示した概念図である。
トンネル展開図201は、図44に示されているように、トンネル8の内側から天井を見上げた状態で撮影されることにより得られた画像である。これは、「見上げ図」と呼ばれている。しかし、国等に提出しなければならない変状展開図は、図19に示されているように、トンネル8の外側(上空)から見下げた状態の画像である。これは、「見下げ図」と呼ばれている。
図44(a)に示されているように、トンネル8の内側81から視線方向sd1に見た場合の画像は見上げ図であり、図44(b)に示されるような画像となる。この場合、図44(a)の仮想矢印va1,va2の方向は、図44(b)では、それぞれ、左下から上向き、及び右上から下向きとなる。
また、トンネル8の外側82から視線方向sd2に見た場合の画像は見下げ図であり、図44(b)に示されるような画像となる。この場合、図44(a)の仮想矢印va1,va2の方向は、図44(c)では、それぞれ、左上から下向き、及び右下から上向きとなる。即ち、見上げ図と見下げ図は、天地が反転した図である。
表示制御部34は、展開画像の天地を反転して表示する場合に、記憶部3000に記憶されている診断対象要素画像の2次元の位置座標(X,Y)のうち、「Y」を「-Y」として、診断対象要素画像を表示する。
利用者は、図45(a)に示されている診断位置入力画面SC2において、「見下げ図へ切替」の視線切替ボタンbc1を押下すると、受付部32が押下を受け付け、表示制御部34が、図45(a)に示されている見上げ図から、図45(b)に示されている見下げ図に表示を変更する。また、利用者は、図45(b)に示されている診断位置入力画面SC2において、「見上げ図へ切替」の視線切替ボタンbc2を押下すると、受付部32が押下を受け付け、表示制御部34が、図45(b)に示されている見下げ図から、図45(a)に示されている見上げ図に表示を変更する。利用者は、どちらの図を使って、診断対象要素又は診断領域を描画してもよい。この場合、記憶部3000に記憶されている診断対象要素画像又は診断領域の座標位置が変更する訳ではなく、あくまで表示制御部34が、表示を変えているに過ぎない。
<<実施形態の主な効果>>
以上説明したように、本実施形態によれば、利用者は入力装置3で、トンネル等の構想物の展開画像上で、診断対象を示す診断対象画像を描画すると共に、診断対象の診断結果を含む診断情報を入力することができる。このように、利用者は展開画像上の診断対象に、直接、診断対象画像を描画して診断情報を入力するため、従来のように、あちらこちらと書類や画面を見ながら変状展開図等を作成する場合に比べて、ミスを少なくすることができる。
また、撮影車両9に全天球撮影可能な特殊撮影装置10を設置し、一度の走行で全天球画像を撮影する。そして、後ほど、利用者が入力装置3で診断対象画像を描画する場合、診断対象画像を描く土台となる展開画像の一部を、1つの全天球画像の中から探すことができる。よって、トンネルの坑口やトンネル天井に取り付けられている照明機器等の取り付け金具の腐食部分等を容易に探し出して診断対象とすることができるため、利用者は、提出書類を作成するにあたり、従来に比べてミスを減少させることができるという効果を奏する。
また、入力装置3で、診断領域の位置座標及び診断情報を関連付けて記憶することで、トンネル8等の構造物の診断情報を示す提出書類の作成に関し、従来に比べて手間が掛からないようにすることができる。
更に、写真台帳に添付する写真画像は、トンネル展開画像201のうち診断領域の部分を流用するため、従来のように変状写真を写真台帳に張り合わせたり、張り合わせる場所を間違えたりすることを防止することができる。
また、図45に示されているように、トンネル展開画像の一部202を、図45(a)の見上げ図222aと図45(b)の見下げ図222bとで切り替えて表示することができるため、利用者の好みに応じた(又は慣れた)トンネル展開画像の状態で、診断対象の描画や診断情報の入力を行なうことができるので、ミスを減少することができる。また、国等への提出する際には、入力装置3が、見下げ図の状態で出力するため、利用者が勘違いして、提出のミスを防止することができる。
<<補足>>
上記実施形態では、診断領域da1に診断対象画像dt1が含まれているが、これに限らず、診断領域da1が診断対象画像dt1と同じであってもよい。
また、上記実施形態では、受付部32が、利用者から診断対象の描画及び診断情報の入力を受け付けるが、これに限るものではない。例えば、入力装置3又は診断管理サーバに搭載された人工知能(Artificial Intelligence; AI)が、展開画像上の対象領域を検索し、自動的に診断対象の選択や、診断対象の幅の測定を行なってもよい。なお、診断対象の選択は、人工知能により実現された選択部が実行する。また、診断対象の幅の測定は、人工知能により実現された測定部が実行する。
また、上記実施形態では、構造物の展開画像について説明したが、壁や塀等の平面的な構造物に対しては、展開画像ではなく構造物の全体を示す全体画像であってもよい。