JP7089558B2 - Hapsのマルチフィーダリンクにおけるhaps搭載アンテナ位置変更による動的な伝搬空間相関の改善 - Google Patents

Hapsのマルチフィーダリンクにおけるhaps搭載アンテナ位置変更による動的な伝搬空間相関の改善 Download PDF

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Description

本発明は、3次元化ネットワークの構築に適したHAPS等の空中浮揚型の無線中継装置のマルチフィーダリンクにおけるHAPS搭載アンテナ位置変更による動的な伝搬空間相関の改善に関するものである。
従来、空中に浮揚して滞在可能な高高度プラットフォーム局(HAPS)(「高高度疑似衛星」ともいう。)等の通信中継装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この空中浮揚型の通信中継装置における通信回線は、その通信中継装置と移動通信網側のゲートウェイ(GW)局との間のフィーダリンクと、通信中継装置と端末装置との間のサービスリンクとで構成される。
本出願人は、空中浮揚型の通信中継装置(以下「上空中継装置」という。)のフィーダリンクの周波数有効利用の向上を図ることができる通信システムを提案した(特許文献2参照)。この通信システムは、上空中継装置との間のフィーダリンクにおいて同一周波数で互いに異なる中継信号を送受信する空間分割多重通信を行う複数のゲートウェイ局を備える。この通信システムによれば、上空中継装置の複数のフィーダリンク用アンテナと複数のゲートウェイ局との位置関係に基づいてウェイトを計算し、計算したウェイトを用いることにより上空中継装置と複数のゲートウェイ局との間のフィーダリンク通信において複数のフィーダリンク間の干渉を低減することができる。
米国特許出願公開第2016/0046387号明細書 特開2020-036100号公報
本発明者は上記通信システムにおけるフィーダリンク間の干渉低減性能について鋭気研究した結果、次のような更に改善すべき課題があることがわかった。すなわち、上空中継装置が上空で回転したり移動したりしたとき、上空中継装置の複数のフィーダリンク用アンテナのビームフォーミングを行うとFB比(指向性ビームの前方利得/後方利得)が低下し、フィーダリンク用アンテナの利得を考慮したフィーダリンク間の伝搬空間相関が瞬時的に高くなって各フィーダリンクで送受信される信号の分離が難しくなり、通信品質が劣化するおそれがあることがわかった。
本発明の一態様に係る通信中継装置は、端末装置の無線通信を中継する中継通信局と複数のフィーダリンク用アンテナとを有する空中滞在型の通信中継装置である。この通信中継装置は、互いに時間同期された複数のゲートウェイ局との間のフィーダリンクにおいて同一周波数で互いに異なる中継信号を送受信するフィーダリンク通信部と、前記複数のゲートウェイ局との間に形成する複数のフィーダリンク間の干渉を抑圧する干渉抑圧部と、前記複数のフィーダリンクの伝搬空間相関の程度を示す相関指標値を取得する手段と、前記相関指標値と所定の閾値との比較結果に基づいて、前記複数のフィーダリンク用アンテナの間の相互位置関係を変化させる手段と、を備える。
前記通信中継装置において、前記通信中継装置の仮想基準点と前記複数のフィーダリンク用アンテナとの間の複数の配置距離の少なくとも一つの配置距離を変化させてもよい。
前記通信中継装置において、前記通信中継装置の仮想基準点を基準にした仮想基準方向に対する前記複数のフィーダリンク用アンテナの複数の配置角度の少なくとも一つの配置角度を変化させてもよい。
前記通信中継装置において、前記通信中継装置の仮想基準点を中心とした仮想円上の互いに異なる位置に、前記複数のフィーダリンク用アンテナと一又複数の予備のフィーダリンク用アンテナとを備え、前記複数のフィーダリンク用アンテナの少なくとも一つを前記予備のフィーダリンク用アンテナに切り替えてもよい。
前記通信中継装置において、前記通信中継装置の仮想基準点を中心とした半径が互いに異なる複数の仮想円上に前記複数のフィーダリンク用アンテナと一又複数の予備のフィーダリンク用アンテナとを備え、前記複数のフィーダリンク用アンテナの少なくとも一つを前記予備のフィーダリンク用アンテナに切り替えてもよい。
前記通信中継装置において、前記通信中継装置の仮想基準点を通る中心軸を有する円柱状又は角柱状の支持部材の外周面における軸方向及び周方向の少なく一方の方向における位置が互いに異なるように前記複数のフィーダリンク用アンテナと一又複数の予備のフィーダリンク用アンテナとを備え、前記複数のフィーダリンク用アンテナの少なくとも一つを前記予備のフィーダリンク用アンテナに切り替えてもよい。
前記通信中継装置において、前記相関指標値は、前記複数のフィーダリンク用アンテナによって前記複数のゲートウェイ局から受信された複数の信号のSINRであってもよい。
前記通信中継装置において、前記相関指標値は、前記複数のフィーダリンク用アンテナと前記複数のゲートウェイ局との間で送受信される複数のパイロット信号の受信結果に基づいて推定した前記複数のフィーダリンク用アンテナと前記複数のゲートウェイ局との間の伝搬路応答における複数の特異値又は固有値であってもよい。
前記通信中継装置において、前記相関指標値は、前記複数のフィーダリンク用アンテナが前記複数のゲートウェイ局の方向にビームフォーミングしたときの複数の指向性ビームのFB比(指向性ビームの前方利得/後方利得)であってもよい。
前記通信中継装置において、前記相関指標値は、前記複数のゲートウェイ局から前記中継通信局に中継信号を送信する複数のフォワードリンクにおける伝搬空間相関の程度を示し、前記複数のフォワードリンクの通信を行っているときに前記複数のフィーダリンク用アンテナの間の相互位置関係を変化させてもよい。
前記通信中継装置において、前記相関指標値は、前記中継通信局から前記複数のゲートウェイ局それぞれに中継信号を送信する複数のリバースリンクにおける伝搬空間相関の程度を示し、前記複数のリバースリンクの通信を行っているときに前記複数のフィーダリンク用アンテナの間の相互位置関係を変化させてもよい。
本発明の更に他の態様に係るシステムは、前記いずれかの通信中継装置と、互いに時間同期され前記空中滞在型の通信中継装置の前記中継通信局との間のフィーダリンクにおいて同一周波数で互いに異なる中継信号を送受信する複数のゲートウェイ局と、を備える。
本発明の更に他の態様に係る干渉抑圧方法は、空中滞在型の通信中継装置に組み込まれ端末装置の無線通信を中継する中継通信局と、同一周波数で互いに異なる中継信号を送受信する互いに時間同期された複数のゲートウェイ局との間におけるフィーダリンクの干渉抑圧方法である。この干渉抑圧方法は、互いに時間同期された複数のゲートウェイ局との間のフィーダリンクにおいて同一周波数で互いに異なる中継信号を送受信することと、前記複数のゲートウェイ局との間に形成する複数のフィーダリンク間の干渉を抑圧することと、前記複数のフィーダリンクの伝搬空間相関の程度を示す相関指標値を取得することと、前記相関指標値と所定の閾値との比較結果に基づいて、前記複数のフィーダリンク用アンテナの間の相互位置関係を変化させることと、を含む。
本発明の更に他の態様に係るプログラムは、端末装置の無線通信を中継する中継通信局と複数のフィーダリンク用アンテナとを有する空中滞在型の通信中継装置に設けられたコンピュータ又はプロセッサで実行されるプログラムである。このプログラムは、互いに時間同期された複数のゲートウェイ局との間のフィーダリンクにおいて同一周波数で互いに異なる中継信号を送受信するためのプログラムコードと、前記複数のゲートウェイ局との間に形成する複数のフィーダリンク間の干渉を抑圧するためのプログラムコードと、前記複数のフィーダリンクの伝搬空間相関の程度を示す相関指標値を取得するためのプログラムコードと、前記相関指標値と所定の閾値との比較結果に基づいて、前記複数のフィーダリンク用アンテナの間の相互位置関係を変化させるためのプログラムコードと、を含む。
本発明によれば、空中浮揚型の通信中継装置に組み込まれた複数のフィーダリンク用アンテナと複数のゲートウェイ局との間の複数のフィーダリンク間の伝搬空間相関が瞬時的に高くなることによる通信品質の劣化を防止することができる。
本発明の一実施形態に係る通信システムにおけるHAPSのセル構成の一例を示す説明図。 (a)は実施形態に係る複数GWシステムの概略構成の一例を示す側面図。(b)はHAPSの複数のフィーダリンク用アンテナと複数のGW局との関係を上方から見た説明図。 実施形態に係る複数のGW局のGWアンテナがHAPSを追尾する様子の一例を示す説明図。 実施形態に係る複数のGW局のGWアンテナがHAPSを追尾する様子の他の例を示す説明図。 実施形態に係るHAPSの複数のFLアンテナの指向性ビームの一例を示す説明図。 実施形態に係るHAPSにおけるFLアンテナの指向性ビーム制御の一例を示す説明図。 実施形態に係るHAPSにおけるFLアンテナの指向性ビーム制御の他の例を示す説明図。 実施形態に係るHAPSにおけるFLアンテナの指向性ビーム制御の更に他の例を示す説明図。 複数GWシステムにおけるGW局間(フィーダリンク間)のフォワードリンク干渉の一例の説明図。 複数GWシステムにおけるGW局間(フィーダリンク間)のリバースリンク干渉の一例の説明図。 ウェイトWを近似式で求めて適用したMIMO干渉キャンセラーの一例を示す説明図。 実施形態に係る複数GWシステムのマルチフィーダリンクにおけるHAPS側(受信側)に設けたフォワードリンクの干渉キャンセラー部の概略構成の一例を示す説明図。 ZF法によりウェイトWを求めて適用したMIMO干渉キャンセラーの一例を示す説明図。 実施形態に係る複数GWシステムにおけるフィーダリンクの伝搬路応答Hの一例を示す説明図。 実施形態に係る複数GWシステムにおける基準経路長の一例を示す説明図。 図15におけるGW局のアンテナとHAPSのFLアンテナとの間の経路長の一例を示す説明図。 図15におけるGW局のアンテナとHAPSのFLアンテナとの間の基準経路長を基準にした経路差の一例を示す説明図。 各GW局から送信される上り回線の送信信号帯域におけるパイロット信号の一例を示す説明図。 HAPSで受信された上り回線の受信信号帯域におけるパイロット信号の一例を示す説明図。 伝搬路応答の導出に用いられるパイロット信号の一例を示す説明図。 フィーダリンクの伝搬路応答の導出モデルの一例を示す説明図。 (a)及び(b)はそれぞれ実施形態に係る複数GWシステムにおける伝搬路応答の各要素とHAPSの各FLアンテナの指向性ビームとの関係の一例を示す説明図。 (a)及び(b)はそれぞれ図22の状態からHAPSが上空で回転したときに各FLアンテナの指向性ビーム(主ビーム)の方向がGW局の方向からずれる様子の一例を示す説明図。 (a)及び(b)はそれぞれ図23の状態から各FLアンテナの指向性ビーム(主ビーム)をGW局の方向を向くようにビームフォーミングを行ったときの指向性ビームの方向及びビームパターンの崩れの様子の一例を示す説明図。 実施形態に係る複数GWシステムにおける伝搬路長の一例を示す説明図。 FLアンテナと各GW局との伝搬路長の差(経路差)に影響を与える要因を示す説明図。 (a)及び(b)は実施形態に係る複数GWシステムにおけるFLアンテナを3次元的に移動させてフィーダリンクの経路長を変更するアンテナ移動式のアンテナ駆動・切替部の構成例を示す説明図。 (a)及び(b)は実施形態に係る複数GWシステムにおけるFLアンテナを選択してフィーダリンクの経路長を変更するアンテナ選択式のアンテナ駆動・切替部の構成例を示す説明図。 図28のFLアンテナの切替前後のアンテナ主面に垂直な方向とGW局の方向との角度差の変化を示す説明図。 アンテナ選択式のアンテナ駆動・切替部の他の構成例を示す説明図。 アンテナ選択式のアンテナ駆動・切替部の更に他の構成例を示す説明図。 実施形態に係る複数GWシステムのHAPS回転時におけるFLアンテナで受信した受信信号のSINRの変化の一例を示すグラフ。 実施形態に係る複数GWシステムのHAPS回転時におけるフィーダリンクの伝搬路応答Hの特異値の変化の一例を示すグラフ。 実施形態に係るHAPSの中継通信局の主要構成の一例を示す説明図。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る通信システムにおけるHAPS20のセル構成の一例を示す説明図である。本実施形態に係る通信システムは、多数の端末装置への同時接続や低遅延化などに対応する第5世代又はその後の世代の移動通信の3次元化ネットワークの実現に適する。また、本明細書に開示する通信システム、無線中継局、基地局、リピータ及び端末装置に適用可能な移動通信の標準規格は、第5世代の移動通信の標準規格、及び、第5世代以降の次々世代の移動通信の標準規格を含む。
図1に示すように、通信システムは、複数の空中浮揚型の通信中継装置(無線中継装置)としての高高度プラットフォーム局(HAPS)(「高高度疑似衛星」、「成層圏プラットフォーム」ともいう。)20を備えている。HAPS20は、所定高度の空域に位置して、所定高度のセル形成目標空域に3次元セル(3次元エリア)を形成する。HAPS20は、自律制御又は外部から制御により地面又は海面から100[km]以下の高高度の空域(浮揚空域)に浮遊あるいは飛行して位置するように制御される浮揚体としての飛行船に、中継通信局21が搭載されたものである。
HAPS20の位置する空域は、例えば、地上(又は海や湖などの水上)の高度が11[km]以上及び50[km]以下の成層圏の空域である。この空域は、気象条件が比較的安定している高度15[km]以上25[km]以下の空域であってもよく、特に高度がほぼ20[km]の空域であってもよい。
本実施形態の通信システムにおける1又は2以上のHAPSで3次元セルを形成する目標の空域であるセル形成目標空域は、HAPS20が位置する空域と従来のマクロセル基地局等の基地局(例えばLTEのeNodeB)がカバーする地面近傍のセル形成領域との間に位置する、所定高度範囲(例えば、50[m]以上1000[m]以下の高度範囲)の空域である。
なお、本実施形態の3次元セルが形成されるセル形成目標空域は、海、川又は湖の上空であってもよい。また、HAPS20で形成する3次元セルは、地上又は海上に位置する端末装置61との間でも通信できるよう地面又は海面に達するように形成してもよい。
HAPS20の中継通信局はそれぞれ、サービスリンク用アンテナ(以下「SLアンテナ」という。)215により、移動局である端末装置61と無線通信するための複数のビームを地面に向けて形成する。端末装置61は、遠隔操縦可能な小型のヘリコプター等の航空機であるドローンに組み込まれた通信端末モジュールでもよいし、飛行機の中でユーザが使用するユーザ装置であってもよい。セル形成目標空域においてビームが通過する領域が3次元セルである。セル形成目標空域において互いに隣り合う複数のビームは部分的に重なってもよい。
HAPS20の中継通信局21はそれぞれ、例えば、地上(又は海上)側のコアネットワークに接続された中継局としてのゲートウェイ局(「フィーダ局」ともいう。)70と無線通信する基地局、又は、地上(又は海上)側の基地局に接続された中継局としてのフィーダ局(リピータ親機)70と無線通信するリピータ子機である。
HAPS20の中継通信局21は、フィーダリンク用アンテナ(以下「FLアンテナ」という。)211により無線通信可能な地上又は海上に設置されたフィーダ局70を介して、移動通信網80のコアネットワークに接続されている。HAPS20とフィーダ局70との間のフィーダリンクの通信は、マイクロ波又はミリ波などの電波による無線通信で行ってもよいし、レーザ光などを用いた光通信で行ってもよい。
HAPS20はそれぞれ、内部に組み込まれたコンピュータ等で構成された制御部が制御プログラムを実行することにより、自身の浮揚移動(飛行)や中継通信局21での処理を自律制御してもよい。例えば、HAPS20はそれぞれ、自身の現在位置情報(例えばGPS位置情報)、予め記憶した位置制御情報(例えば、飛行スケジュール情報)、周辺に位置する他のHAPSの位置情報などを取得し、それらの情報に基づいて浮揚移動(飛行)や中継通信局21での処理を自律制御してもよい。
また、HAPS20それぞれの浮揚移動(飛行)や中継通信局21での処理は、移動通信網の通信センター等に設けられた管理装置としての管理装置(「遠隔制御装置」ともいう。)によって制御できるようにしてもよい。管理装置は、例えば、PCなどのコンピュータ装置やサーバ等で構成することができる。この場合、HAPS20は、管理装置からの制御情報を受信したり管理装置に監視情報などの各種情報を送信したりできるように制御用通信端末装置(例えば、移動通信モジュール)が組み込まれ、管理装置8ら識別できるように端末識別情報(例えば、IPアドレス、電話番号など)が割り当てられるようにしてもよい。制御用通信端末装置の識別には通信インターフェースのMACアドレスを用いてもよい。
また、HAPS20はそれぞれ、自身又は周辺のHAPSの浮揚移動(飛行)や中継通信局21での処理に関する情報、HAPS20の状態に関する情報や各種センサなどで取得した観測データなどの監視情報を、管理装置等の所定の送信先に送信するようにしてもよい。制御情報は、HAPSの目標飛行ルート情報を含んでもよい。監視情報は、HAPS20の現在位置、飛行ルート履歴情報、対気速度、対地速度及び推進方向、HAPS20の周辺の気流の風速及び風向、並びに、HAPS20の周辺の気圧及び気温の少なくとも一つの情報を含んでもよい。
中継通信局21と端末装置61との無線通信の上りリンク及び下りリンクの複信方式は、特定の方式に限定されず、例えば、時分割複信(Time Division Duplex:TDD)方式でもよいし、周波数分割複信(Frequency Division Duplex:FDD)方式でもよい。また、中継通信局21と端末装置61との無線通信のアクセス方式は、特定の方式に限定されず、例えば、FDMA(Frequency Division Multiple Access)方式、TDMA(Time Division Multiple Access)方式、CDMA(Code Division Multiple Access)方式、又は、OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)であってもよい。また、前記無線通信には、ダイバーシティ・コーディング、送信ビームフォーミング、空間分割多重化(SDM:Spatial Division Multiplexing)等の機能を有し、送受信両方で複数のアンテナを同時に利用することにより、単位周波数当たりの伝送容量を増やすことができるMIMO(多入力多出力:Multi-Input and Multi-Output)技術を用いてもよい。また、前記MIMO技術は、1つの基地局が1つの端末装置と同一時刻・同一周波数で複数の信号を送信するSU-MIMO(Single-User MIMO)技術でもよいし、1つの基地局が複数の異なる端末装置に同一時刻・同一周波数で信号を送信又は複数の異なる基地局が1つの端末装置に同一時刻・同一周波数で信号を送信するMU-MIMO(Multi-User MIMO)技術であってもよい。
なお、以下の実施形態では、端末装置61と無線通信する中継通信局21を有する通信中継装置が、無人飛行船タイプのHAPS20の場合について図示して説明するが、通信中継装置はソーラープレーンタイプのHAPSであってもよい。また、以下の実施形態は、HAPS以外の他の空中浮揚型の通信中継装置にも同様に適用できる。
また、HAPS20とフィーダ局としてのゲートウェイ局(以下「GW局」と略す。)70を介した基地局90との間のリンクを「フィーダリンク」といい、HAPS10と端末装置61の間のリンクを「サービスリンク」という。特に、HAPS20とGW局70との間の区間を「フィーダリンクの無線区間」という。また、GW局70からHAPS20を経由して端末装置61に向かう通信のダウンリンクを「フォワードリンク」といい、端末装置61からHAPS20を経由してGW局70に向かう通信のアップリンクを「リバースリンク」ともいう。
図1において、通信中継装置は無人飛行船タイプのHAPS20であるが、ソーラープレーンタイプのHAPSあってもよい。また、図示の例において、HAPS20の高度が約20kmの成層圏に位置し、HAPS20が複数のセル200C(1)~200C(7)を形成し、その複数セル(7セル)構成のセル200C(1)~200C(7)のフットプリント200F(1)~200F(7)からなるサービスエリア20Aの直径は100~200kmであるが、これらに限定されるものではない。
図1において、成層圏に位置するHAPS20を用いた地上(又は水上)の端末装置61と直接通信する通信サービスは、サービスエリアの拡大、災害時の通信手段として非常に魅力的である。HAPS20の通信回線はGW局70とHAPS20との間を結ぶフィーダリンクFLと、HAPS20と端末装置61との間を結ぶサービスリンクSLから成る。サービスリンクの通信容量はその中継周波数であるフィーダリンクの通信容量で決まることから、フィーダリンクの周波数利用効率を高める必要がある。特に図1に示すようにサービスリンクが多セル構成になった場合はフィーダリンクの通信容量が不足しやすくなるため、フィーダリンクの周波数有効利用技術が不可欠である。しかしながら、HAPS20とGW局70を一対一で構成した場合、フィーダリンクの周波数利用効率を高めることが難しい。
そこで、本実施形態では、HAPS20との間の周波数分割複信(FDD)方式のフィーダリンクにおいて同一周波数で互いに異なる中継信号を送受信する複数のGW局を備え、一つのHAPS20と複数のGW局との間に形成したマルチフィーダリンクにおいて空間分割多重通信を行う複数ゲートウェイシステム(以下「複数GWシステム」ともいう。)を構築している。この複数GWシステムでは、複数のフィーダリンク間の干渉を除去することにより、設置するGW局の数の分だけ周波数利用効率を向上できる。
なお、以下の実施形態では、HAPS20と複数のGW局との間の空間分割多重通信をフィーダリンクのフォワードリンクのみで行う場合について説明するが、当該空間分割多重通信は、フィーダリンクのリバースリンクのみで行ってもよいし、フォワードリンクとリバースリンクの両方で行うようにしてもよい。
図2(a)は実施形態に係る複数GWシステムの概略構成の一例を示す側面図であり、図2(b)はHAPS20の複数のFLアンテナ211(1)~211(3)と複数のGW局70(1)~70(3)との関係を上方から見た説明図である。図示の例では、FLアンテナの数(N)及びGW局の数(N)はそれぞれ同数(図示の例では3)であり、同数のFLアンテナ211(1)~211(3)及びGW局70(1)~70(3)を互いに1対1で対応させて設けている。また、FLアンテナ211及びGW局70の組数は2組でもよいし、4組以上であってもよい。また、図示の例では複数のGW局70は、HAPS20からの距離及びGW局間の間隔が互いに等しくなるように配置されているが、当該距離及び当該間隔の少なくとも一方は互いに異ならせてもよい。各GW局70は、HAPS20の各FLアンテナ211(「HAPS局アンテナ」ともいう。)の受信する複素振幅が無相関となるように配置する。また、GW局70(1)~70(3)のフィーダリンク用アンテナ(以下「GWアンテナ」という。)71(1)~71(3)は互いに直交する垂直偏波(V)及び水平偏波(H)の2偏波で送受信可能である。また、図示の例ではHAPS20の複数のFLアンテナ211(1)~211(3)は、HAPS20の中心からの距離及びFLアンテナ間の間隔が互いに等しくなるように配置されているが、当該距離及び当該間隔の少なくとも一方はFLアンテナ間で互いに異ならせてもよい。例えば、当該距離及び当該間隔はFLアンテナ間で互いに異ならせてもよい。
また、図3に示すように、複数のGW局70(1)~70(3)はそれぞれ、空中で移動するHAPS20を追尾するようにGWアンテナ71(1)~71(3)を制御するアンテナ制御部を備えてもよい。図中の破線のHAPS20’は移動前の位置を示し、図中の実線のHAPS20は移動後の位置を示している。GWアンテナ71(1)~71(3)それぞれがHAPS20を追尾することにより、パラボラアンテナなどの高い指向性を有するGWアンテナ71(1)~71(3)を用いた場合でも、HAPS20の移動によるフィーダリンクの通信品質の低下を抑制できる。
また、図4に示すように、複数のGW局70(1)~70(3)はそれぞれ、空中で旋回して移動(旋回飛行)するHAPS20を追尾するようにGWアンテナ71(1)~71(3)を制御するアンテナ制御部を備えてもよい。図中の破線のHAPS20’は旋回移動前の位置を示し、図中の実線のHAPS20は旋回移動後の位置を示している。GWアンテナ71(1)~71(3)それぞれがHAPS20を追尾することにより、パラボラアンテナなどの高い指向性を有するGWアンテナ71(1)~71(3)を用いた場合でも、HAPS20の旋回移動によるフィーダリンクの通信品質の低下を抑制できる。
また、図5に示すように、HAPS20の複数のFLアンテナ211(1)~211(3)はそれぞれ、GW局70(1)~70(3)に対応するアンテナ指向性ビーム(以下「指向性ビーム」又は「ビーム」という。)212(1)~212(3)を有し、HAPS20は、複数のFLアンテナ211(1)~211(3)の指向性ビーム212(1)~212(3)がそれぞれ対応するGW局70(1)~70(3)の方向に向くようにFLアンテナ211(1)~211(3)を制御するアンテナ制御部を備えてもよい。FLアンテナ211(1)~211(3)の指向性ビーム212(1)~212(3)はそれぞれ、例えば、自身に最も対向しているGW局70の方向を向き、その他のGW局には干渉を与えないように、すなわち、主ビームの利得と反対方向の利得の比(F/B)が十分に大きくなるように形成される。これにより、HAPS20が移動したり回転したりした場合もで、そのHAPS20の移動及び回転によるフィーダリンクの通信品質の低下を抑制できる。
HAPS20のアンテナ制御部による複数のFLアンテナ211(1)~211(3)の指向性ビーム212(1)~212(3)の制御方式としては、ジンバル方式、電気方式(360度のビームフォーミング制御方式)、電気方式(角度限定のビームフォーミング制御方式+アンテナ切替)など、各種の方式を用いることができる。
例えば、図6のジンバル方式では、HAPS20の上下方向の軸(ヨーイング軸、Z軸)を中心とした回転(旋回)に応じて、その軸を中心として複数のFLアンテナ211(1)~211(3)の全体を機械的に回転駆動制御可能である。例えば、図6において、HAPS20が左回転方向Rbに約45度回転すると、その回転方向とは逆の右回転方向Raに複数のFLアンテナ211(1)~211(3)の全体を機械的に回転駆動させる。
各FLアンテナ211(1)~211(3)の角度調整の回転駆動制御は、HAPSの位置や姿勢の情報を参照して行ってもよいが、FLアンテナ211(1)~211(3)の受信レベルの値を参照して各FLアンテナ211(1)~211(3)の回転駆動制御を行ってもよい。例えば、各FLアンテナ211(1)~211(3)を小刻みに回転させ、各FLアンテナ211(1)~211(3)の受信レベルが最大となるような角度を見つけ、その角度に向くように各FLアンテナ211(1)~211(3)の回転駆動制御を行う。ここで、各FLアンテナ211(1)~211(3)の受信レベルそれぞれに閾値を設定し、その値を下回ったときに各FLアンテナ211(1)~211(3)を既定の角度回転させ、上記受信レベルが最大となる角度へのFLアンテナ211(1)~211(3)の回転駆動制御を行ってもよい。上記受信レベルの閾値は例えば予め実験により求め、上記既定の角度は例えば360度/FLアンテナ数(図示の例では120度)であってもよい。各また、FLアンテナ211(1)~211(3)から対応するGW局以外からの受信レベルを比較するためのモニタリングビームを作り、最大レベルとなるGW局を選択し、その方向に指向性ビームが向くように各FLアンテナ211(1)~211(3)を回転駆動制御してもよい。
なお、図6では各FLアンテナ211(1)~211(3)の水平方向の角度調整について示しているが、垂直方向についても同様に角度調整を行ってもよい。
上記FLアンテナ211(1)~211(3)の回転駆動制御により、HAPS20が回転しても、FLアンテナ211(1)~211(3)の指向性ビーム212(1)~212(3)がそれぞれ対応するGW局70(1)~70(3)の方向に向くので、フィーダリンクの通信品質の低下を防止できる。
また、図7の電気方式(360度のビームフォーミング制御方式)では、FLアンテナとして、複数のアンテナ素子213aを円周形状に沿って配置したサーキュラーアレイアンテナ213を備える。そして、HAPS20の位置及び姿勢情報に基づいて、複数のアンテナ素子213aそれぞれを介して送受信される信号(振幅、位相)に適用するウェイトを制御する。例えば、HAPS20の位置及び姿勢の情報は、HAPS20に組み込んだGNSS(Global Navigation Satellite System)システムと慣性測定ユニット(IMU:Inertial Measurement Unit)とを組み合わせたGNSS慣性航法システム(GNSS/INS)の出力に基づいて取得してもよい。
上記サーキュラーアレイアンテナ213の各アンテナ素子213aのウェイトの制御は、HAPSの位置や姿勢の情報を参照して行ってもよいが、サーキュラーアレイアンテナ213の各アンテナ素子213aの受信レベルの値を参照し、各GW局に対応する位置で最大の受信レベルとなる指向性ビームを形成するように、各アンテナ素子213aのウェイトの制御を行ってもよい。例えば、サーキュラーアレイアンテナ213の各アンテナ素子213aの位相を小刻みに変化させ、受信レベルが最大となるような角度を見つけ、その角度方向にビームが形成されるように各各アンテナ素子213aのウェイトの制御を行う。また、サーキュラーアレイアンテナ213から対応するGW局以外からの受信レベルを比較するためのモニタリングビームを作り、最大レベルとなるGW局を選択し、その方向にビームを形成してもよい。
なお、図7では水平方向のビーム角度調整について示しているが、垂直方向についても同様にビーム角度調整を行ってもよい。
上記サーキュラーアレイアンテナ213の各アンテナ素子213aのウェイトの制御により、複数のGW局70(1)~70(3)それぞれの方向に向く指向性ビーム212(1)~212(3)を形成する。これにより、HAPS20が回転しても、FLアンテナ211(1)~211(3)の指向性ビーム212(1)~212(3)がそれぞれ対応するGW局70(1)~70(3)の方向に向くので、フィーダリンクの通信品質の低下を防止できる。
図8の電気方式(角度限定のビームフォーミング制御方式+アンテナ切替)では、FLアンテナとして、複数のアンテナ素子214aを平面状に2次元配置した複数の平面アレイアンテナ214(1)~214(3)を備える。そして、GNSS/INSなどによって取得されたHAPS20の位置及び姿勢情報に基づいて、複数の平面アレイアンテナ214(1)~214(3)の複数のアンテナ素子214aそれぞれを介して送受信される信号(振幅、位相)に適用するウェイトを制御するビームフォーミング制御を行う。
上記平面アレイアンテナ214(1)~214(3)の切り替え及びビームフォーミングの制御は、HAPSの位置や姿勢の情報を参照して行ってもよいが、各平面アレイアンテナ214(1)~214(3)の受信レベルの値を参照し、各平面アレイアンテナ214(1)~214(3)が最大の受信レベルとなるようにアンテナ切り替えとビームフォーミングの制御を行ってもよい。例えば、各平面アレイアンテナ214(1)~214(3)を小刻みに回転させ、各平面アレイアンテナ214(1)~214(3)の受信レベルが最大となるような角度を見つけ、その角度に向くように各の回転駆動制御を行う。ここで、各平面アレイアンテナ214(1)~214(3)の受信レベルそれぞれに閾値を設定し、その値を下回ったときに、平面アレイアンテナ214(1)~214(3)の切り替えを行うとともに、各平面アレイアンテナ214(1)~214(3)を既定の角度回転させ、上記受信レベルが最大となる角度へビームを形成するビームフォーミングを行ってもよい。上記受信レベルの閾値は例えば予め実験により求め、上記既定の角度は例えば360度/FLアンテナ数(図示の例では120度)であってもよい。また、各平面アレイアンテナ214(1)~214(3)から対応するGW局以外からの受信レベルを比較するためのモニタリングビームを作り、各平面アレイアンテナ214(1)~214(3)が最大レベルとなるGW局を選択し、その方向にビームを形成するようにアンテナ切り替えとビームフォーミングを行ってもよい。
なお、図8では水平方向のビーム角度調整について示しているが、垂直方向についても同様にビーム角度調整を行ってもよい。
上記平面アレイアンテナ214(1)~214(3)の切り替え及びビームフォーミングの制御により、複数のGW局70(1)~70(3)それぞれの方向に向く指向性ビーム212(1)~212(3)を形成する。ここで、例えば、平面アレイアンテナ214(1)の平面に垂直な法線方向に対して指向性ビーム212(1)が傾いている角度(図中のθ)が予め設定した所定角度θth度よりも大きくなったときに、GW局70(1)に対応するFLアンテナを平面アレイアンテナ214(2)に切り替える。これにより、HAPS20が回転しても、FLアンテナ211(1)~211(3)の指向性ビーム212(1)~212(3)がそれぞれ対応するGW局70(1)~70(3)の方向に向くので、フィーダリンクの通信品質の低下を防止できる。
上記構成の複数GWシステムでは、GW局間(フィーダリンク間)のフォワードリンク及びリバースリンクの少なくとも一方における干渉が大きくなるおそれがある。例えば、図9に示すように、GW局70(1)から送信された希望信号(所望信号)S1がHAPS20のFLアンテナ211(1)で受信されているときに、他のGW局70(2),70(3)から送信された信号が干渉信号I2,I3としてFLアンテナ211(1)で受信される。そのため、フィーダリンクのSINR特性が悪化するおそれがある。また、図10に示すように、HAPS20のFLアンテナ211(1)から送信された希望信号(所望信号)S1がGW局70(1)で受信されているときに、HAPS20の他のFLアンテナ211(2),211(3)から送信された信号が干渉信号I2,I3としてGW局70(1)で受信される。そのため、フィーダリンク(リバースリンク)のSINR特性が悪化するおそれがある。
そこで、本実施形態では、以下に示すように見通し環境(LOS:Line-Of-Sight)対応のMIMO干渉キャンセラーをGW局間(フィーダリンク間)に適用し、GW局間(フィーダリンク間)のフォワードリンク及びリバースリンクの干渉を低減することにより、フィーダリンク(フォワード、リバースリンク)のSINR特性を向上させている。
まず、本実施形態の複数GWシステムにおけるGW局間(フィーダリンク間)のフォワードリンクの干渉を低減する構成及び方法について説明する。
[HAPS側(送信側)のフォワードリンクのMIMO干渉キャンセラー(受信干渉キャンセラー)]
図11は、ウェイトWを近似式で求めて適用したMIMO干渉キャンセラーの一例を示す説明図である。図12は、実施形態に係る複数GWシステムのマルチフィーダリンクにおけるHAPS側(送信側)に設けたフォワードリンクの干渉キャンセラー部220の概略構成の一例を示す説明図。HAPS20のFLアンテナ211(1)は、GW局70(1)から送信された希望信号S1(Y11)と、GW局70(2)から送信された干渉信号I2(Y12)と、GW局70(3)から送信された干渉信号I3(Y13)とを受信する。その受信信号AN1は、次式(1)で表される。
Figure 0007089558000001
HAPS20の干渉キャンセラー部220では、次式(2)に示すように他のFLアンテナ211(2)及び211(3)で受信された信号S2,S3にそれぞれ対応するウェイトW2,W3を掛け、減算することにより、上記干渉信号I2,I3をキャンセルした希望信号S1(Y11)を出力することができる。GW局70(2),70(3)から送信された希望信号S2(Y22)及びS3(Y33)についても同様に他のGW局からの干渉信号をキャンセルすることができる。
Figure 0007089558000002
図13は、ZF(Zero-Forcing)法によりウェイトWを求めて適用したMIMO干渉キャンセラーの一例を示す説明図である。例えばGW局70(1)から送信された信号は、HAPS20のFLアンテナ211(1)で希望信号S1(Y11)として受信されるだけでなく、干渉信号I1(Y12),I1'(Y13)としてFLアンテナ211(2)及び211(3)に受信される。更に、GW局70(2)から送信された信号は、干渉信号I2(Y21)としてFLアンテナ211(1)に受信されるだけでなく、干渉信号I2'(Y23)としてFLアンテナ211(3)に受信される。更に、GW局70(3)から送信された信号は、干渉信号I3(Y31)としてFLアンテナ211(1)に受信されるだけでなく、干渉信号I3'(Y32)としてFLアンテナ211(2)に受信される。図13のMIMO干渉キャンセラーでは、これらの干渉信号I1,I1',I2'及びI3'を考慮し、例えば次式(3)に示すように希望信号S1(Y11)を出力する。これにより、GW局間(フィーダリンク間)の干渉抑圧の精度を高めることができる。
Figure 0007089558000003
上記MIMO干渉キャンセラーに用いるウェイトWを計算するには、HAPS20のFLアンテナ211(1)~211(3)との間の伝搬路応答H(図14参照)を把握する必要がある。特に、本実施形態の複数GWシステムでは、GW局70(1)~70(3)に対してHAPS20の機体が相対的に動くため、その動きに応じて伝搬路応答Hも変化する。
次式(4)は、図14に示す複数GWシステムにおけるGW局70(1)~70(3)のアンテナとHAPS20のFLアンテナ211(1)~211(3)との間の伝搬路の伝搬路応答Hの一例を示している。GW局70(1)~70(3)のアンテナはそれぞれ希望信号(所望信号)s,s,sを送信し、HAPS20のFLアンテナ211(1)~211(3)はGW局70(1)~70(3)からの電波を受信して受信信号y,y,yを出力する。
Figure 0007089558000004
次式(5)は伝搬路応答H中の行列要素を示している。式(5)中の|hij|は、第i番目のGW局70(i)のアンテナから送信されHAPS20の第j番目のFLアンテナ211(j)で受信された信号の受信信号レベルに対応する。また、式(5)中のdijは、GW局70(i)のアンテナとHAPS20の第j番目のFLアンテナ211(j)との間の経路長(図9参照)である。式(5)中の「f」及び「c」はそれぞれ、送受信される信号の周波数及び速度(=光速)である。
Figure 0007089558000005
上記式(4)及び式(5)に示すように、伝搬路応答Hを推定するには、GW局70(i)とHAPS20のFLアンテナ211(j)との間の経路長dijを把握する必要がある。各経路長dijを把握するのは困難である。そこで、本実施形態では、各経路長dijを把握するのではなく、複数GWシステムのフィーダリンクにおいて希望信号の送受信するアンテナ間の経路長を基準経路長dsとし、他のアンテナ間の経路長を基準経路長ds及び経路差Δdで表し、経路差Δdを求めることで基準となる基準経路成分からなる伝搬路応答(以下「基準伝搬路応答」ともいう。)に対する経路差成分からなる相対的な伝搬路応答(以下「相対伝搬路応答」ともいう。)を推定している。
例えば、図15の複数GWシステムのフィーダリンクでは、GW局70(1)がHAPS20のFLアンテナ211(1)に希望信号を送信し、GW局70(2)がHAPS20のFLアンテナ211(2)に希望信号を送信し、GW局70(3)がHAPS20のFLアンテナ211(3)に希望信号を送信している。従って、GW局70(i)のアンテナとFLアンテナ211(i)の間の3つの経路長dii(i=1,2,3)それぞれが基準経路長であり、他のGW局70(i)のアンテナとFLアンテナ211(j)の間の経路長dij(i≠j)はそれぞれ、基準経路長dii(i=1,2,3)と経路差Δdij(i≠j)との和で表すことができる。
例えば、第1番目のGW局70(1)から送信した信号をHAPS20の各FLアンテナ211(1)~211(3)で受信する伝搬路の場合、GW局70(1)のアンテナとHAPS20の各FLアンテナ211(1)~211(3)との間の経路長d11、d21、d31(図16参照)を直接把握するのは困難である。希望信号を送受信するGW局70(1)のアンテナとFLアンテナ211(1)との間の経路長d11を基準経路長とすると、他の経路の経路長d21、d31は次式(6)に示すように基準経路長d11と経路差Δd21、Δd31(図17参照)との和で表すことができる。
Figure 0007089558000006
上記経路差Δdij(i≠j)は後述のようにパイロット信号により把握することができる。また、次式(7)に示すように伝搬路応答Hは経路差成分Δhij(i≠j)からなる相対伝搬路応答及び基準経路成分hii(i=1,2,3)からなる基準伝搬路応答で表すことができる。また、式(7)中の経路差成分Δhijは次式(8)で表される。式(8)中の経路差Δdijを求めることにより、基準伝搬路応答に対する相対伝搬路応答(経路差成分Δhij)を推定している。
Figure 0007089558000007
Figure 0007089558000008
本実施形態では、上記伝搬路応答Hを動的に把握するため、各GW局70(1)~70(3)からパイロット信号を送信している。なお、以下の例では、狭帯域のパイロット信号を用いる場合について説明するが、互いに直交する複数の拡散符号を用いてスペクトル拡散したパイロット信号を用い、そのパイロット信号をスペクトル逆拡散した受信結果に基づいて伝搬路応答を推定してもよい。
図18は、GW局70(1)~70(3)から送信される上り回線の送信信号帯域におけるパイロット信号の一例を示す説明図である。図19は、HAPS20で受信される上り回線の受信信号帯域におけるパイロット信号の一例を示す説明図である。図20は、フィルターで分離され伝搬路応答の導出に用いられるパイロット信号の一例を示す説明図である。図21は、図18~図20のパイロット信号を用いたフィーダリンクの伝搬路応答の導出モデルの一例を示す説明図である。
図示の例では、GW局70(1)~70(3)から希望信号S,S,Sが送信されるフィーダリンクの送信信号帯域FBに低周波側及び高周波側から隣接する第1の隣接帯域である第1ガードバンドGB1及び第2の隣接帯域である第2ガードバンドGB2それぞれに、各GW局70(1)~70(3)から送信される複数のパイロット信号が分散配置されている。具体的には、第1ガードバンドGB1に各GW局70(1)~70(3)から送信される同一周波数の互いに周波数f,f,fが異なるパイロット信号SP1,SP2,SP3が位置している。また、第2ガードバンドGB2に各GW局70(1)~70(3)から送信される互いに周波数f’,f’,f’が異なるパイロット信号SP1’,SP2’,SP3’が位置している。HAPS20の中継通信局21は、GW局70(1)、70(2)及び70(3)から受信した第1ガードバンドGB1の複数のパイロット信号SP1,SP2,SP3をそれぞれフィルターで分離し、GW局70(1)、70(2)及び70(3)から受信した第2ガードバンドGB2の複数のパイロット信号SP1’,SP2’,SP3’をそれぞれフィルターで分離する。
次に、HAPS20の中継通信局21は、図18に示すように受信信号から狭帯域受信フィルター218を用いて各パイロット信号SPi(i=1~3)を分離し(図19参照)、分離したパイロット信号SPiから、k番目のGW局70(k)からHAPS20のi番目のFLアンテナ211(i)への伝搬路応答hkiを求める。中継通信局21は、求めた伝搬路応答hkiの情報(次式(9)及び式(10)参照)を干渉キャンセラー部220に出力する。
Figure 0007089558000009
Figure 0007089558000010
例えば、HAPS20のFLアンテナ211(1)及び211(2)が受信するパイロット信号h11,h11’,h21及びh21’はそれぞれ次式(11)、(12)、(13)及び(14)で表され、それらの信号の比h21/h11及びh21’/h11’はそれぞれ、次式(15)及び(16)で表される。
Figure 0007089558000011
Figure 0007089558000012
Figure 0007089558000013
Figure 0007089558000014
Figure 0007089558000015
Figure 0007089558000016
上記式(11)~(16)中のd11はGW局70(1)とFLアンテナ211(1)との間の経路長であり、Δd21はGW局70(1)とFLアンテナ211(1)及び211(2)それぞれとの間の経路長の差(経路差)である。GW局70(1)とFLアンテナ211(2)との間の経路長はd11+Δd21で表される。
上記式(15)及び(16)から、上記経路差Δd21は次式(17)で求めることができる。なお、式(17)中のθは、h11’とh11の位相差と、h21とh21’の位相差とを加算した位相差である。すなわち、θ=(h11’とh11の位相差)+(h21とh21’の位相差)である。
Figure 0007089558000017
GW局70(1)とFLアンテナ211(1)及び211(3)それぞれとの間の経路差Δd31及びその他の経路差Δd12,Δd13,Δd23,Δd32についても、同様に求めることができる。
上記経路差Δd21,Δd31,Δd12,Δd13,Δd23,Δd32を用いて、上記フィーダリンクの送信信号帯域の中心周波数fscにおける伝搬路応答Hfcは、例えば次式(18)のHのように推定できる。
Figure 0007089558000018
図18及び図19に示すようにGW局70(1)~70(3)がそれぞれ複数のパイロット信号を送信する場合、各パイロット信号の波長λ、λ、λ以上の経路差を検知することができる。例えば、LTEを想定するとフィーダリンクの送信信号帯域FBの帯域幅Bは18MHzであるので、上記式(17)に示すようにΔd21をパイロット周波数差Bの波長以内の範囲で推定可能となる。本例では、実装上必要な範囲である0<Δd21<16[m]の範囲まで精度よく推定することができる。
また、図18及び図19の例では、各GW局70(1)~70(3)から送信される互いに周波数f,f,f,f’,f’,f’が異なる複数のパイロット信号SP1,SP2,SP3及びパイロット信号SP1’,SP2’,SP3’が、第1ガードバンドGB1及び第2ガードバンドGB2に均等に分散されて配置されているので、各パイロット信号をフィルターで分離して容易に個別検出することができる。
なお、上記伝搬路応答の行列Hfc(上記式(18)のH)を用いて、干渉キャンセラーに用いるウェイトは、例えば、伝搬路応答の行列を用いたZF(Zero-Forcing)法又はMMSE(Minimum Mean Square Error)法により計算することができる。
例えば、ZF法では、次式(19)のように伝搬路応答の行列Hfcの逆行列でウェイトWを求めることができる。
Figure 0007089558000019
また、MMSE法では、次式(20)によりウェイトWを用いることができる。ここで、Nは送信アンテナ数であり、γはSNRである。
Figure 0007089558000020
干渉キャンセラー部220は、上記ウェイトWを用いることにより、次式(21)の受信信号Yから干渉信号をキャンセルした次式(22)の復調信号Eに変換して出力することができる。干渉キャンセラー部220は、式(22)中のウェイトWの行列の各要素の値をWテーブルのデータとして記憶する。
Figure 0007089558000021
Figure 0007089558000022
次に、本実施形態の複数GWシステムにおけるHAPS20の複数のFLアンテナと複数のゲートウェイ局との間の複数のフィーダリンク間の伝搬空間相関が瞬時的に高くなることによる通信品質劣化の防止について説明する。
本実施形態の複数GWシステムにおいて、HAPS20の機体が上空で移動したり回転したりすると、HAPS20の複数のFLアンテナ211のFB比(指向性ビーム212の前方利得/後方利得)が低下し、複数のフィーダリンク間の伝搬空間相関が瞬時的に高くなって各フィーダリンクで送受信される信号の分離が難しくなり、通信品質が劣化するおそれがある。
図22(a)及び図22(b)はそれぞれ実施形態に係る複数GWシステムにおける伝搬路応答Hの各要素(hij)とHAPS20の各FLアンテナ211(1)~211(3)の指向性ビーム(主ビーム)212(1)~212(3)との関係の一例を示す説明図である。図22(a)に示すように、複数のフィーダリンク間の伝搬空間相関を低くするためにGW局(GWアンテナ)70(1)~70(3)は互いに距離を離して設置されている。図示の例では、HAPS20が上空で滞在する滞在位置又は滞在予定位置を中心にして互いに120°異なる3方向に位置するようにGW局70(1)~70(3)が設置されている。GW局70(1)~70(3)の設置位置は固定でもよいし、又は、移動可能であってもよい。
HAPS20の各FLアンテナ211(1)~211(3)GW局(GWアンテナ)70(1)~70(3)との間の伝搬路応答H及びその要素hijはそれぞれ前述の式(4)及び(5)で表すことができる。図22(a)の配置の場合は、例えばGW局70(1)からFLアンテナ211(1)へ信号を送信するフォワードリンク通信における伝搬路応答の要素|h11|は、フィーダリンク間干渉の要素|h21|,|h31|のそれぞれよりも十分に大きい。すなわち、フィーダリンク間の伝搬空間相関は低い。更に、各FLアンテナ211(1)~211(3)のアンテナ面に垂直な方向にGW局(GWアンテナ)70(1)~70(3)が1対1で対向しているため、図22(b)に示すように、FLアンテナ211の指向性ビーム212のFB比(主ビーム212mの利得/サイドローブ212sの利得)が大きい。従って、フィーダリンク間の干渉が小さく各フィーダリンクで送受信される信号の分離が容易であり、高い通信品質でフィーダリンク(フォワードリンク)の通信を行うことができる。
図23(a)及び図23(b)はそれぞれ図22の状態からHAPS20が上空で回転したときに各FLアンテナ211(1)~211(3)の指向性ビーム(主ビーム)212(1)~212(3)の方向がGW局(GWアンテナ)70(1)~70(3)の方向からずれる様子の一例を示す説明図である。HAPS20が上空で回転すると、そのHAPS20の回転にともに各FLアンテナ211(1)~211(3)の指向性ビーム(主ビーム)212の方向がGW局70(1)~70(3)の方向からずれるため、FLアンテナ211(1)~211(3)で受信されるフィーダリンク(フォワードリンク)信号の受信レベル(受信電力)が低下する。
図24(a)及び図24(b)はそれぞれ図23の状態から各FLアンテナ211(1)~211(3)の指向性ビーム(主ビーム)をGW局70(1)~70(3)の方向を向くようにビームフォーミングを行ったときの指向性ビームの方向及びビームパターンの崩れの様子の一例を示す説明図である。図24に示すようにGW局70(1)~70(3)を追尾するようにFLアンテナ211(1)~211(3)の指向性ビーム(主ビーム)を変化させるビームフォーミングを行うと、FLアンテナ211(1)~211(3)で受信されるフィーダリンク(フォワードリンク)信号の受信レベル(受信電力)の低下を軽減できる。
しかし、FLアンテナ211(1)~211(3)の指向性ビームを変化させるビームフォーミングを行うと、図24(b)に示すようにFLアンテナ211(1)~211(3)の指向性ビームのビームパターンが崩れ、FLアンテナ211の指向性ビーム212のFB比(主ビーム212mの利得/サイドローブ212sの利得)が低下してしまう。このようにFB比が低下すると、FLアンテナの利得を考慮したフィーダリンク間の伝搬空間相関が瞬時的に高くなる可能性がある。
ここで、HAPS20の各FLアンテナ211(1)~211(3)とGW局(GWアンテナ)70(1)~70(3)との間の伝搬路応答Hの要素hijは前述の式(5)で表すことができる。式中の伝搬路長dijは、フォワードリンクの場合においてGWとFLアンテナANとの間の距離で定義される。なお、リバースリンクの場合、伝搬路長dijはFLアンテナANとGWとの間の距離で定義される。見通し通信環境下では、フォワードリンクにおける伝搬路長dijとリバースリンクにおける伝搬路長dijはほぼ等しい。
図25において、伝搬路長d11、d21及びd31はそれぞれ、GW70(1)、70(2)及び70(3)それぞれとFLアンテナ211(1)との間の距離で定義される。伝搬路応答Hの要素h11、h21及びh31は、図25中のd11、d21及びd31を用いて、次式(23)で表される。
Figure 0007089558000023
前述のようにHAPS20の機体が上空で移動したり回転したりすることによりFLアンテナ211(1)のFB比が低下すると、伝搬路応答Hの要素の大きさ|h11|、|h21|、|h31|が実質的にほぼ等しくなる。もし伝搬路長d11、d21及びd31が互いに等しいならば(経路差Δd12=d21-d11及びΔd13=d31-d11がそれぞれゼロならば)、伝搬路応答Hの要素h11、h21、h31はほぼ等しくなる。すなわち、FLアンテナ211のFB比が低下すると、FLアンテナ211と各GW局70との距離(伝搬路長)dijの経路差Δdjiが瞬時的に小さくなり、FLアンテナの利得を考慮したフィーダリンク間の伝搬空間相関が瞬時的に高くなる可能性がある。そのため、上空での移動や回転で変化するHAPS20の位置によっては各フィーダリンクで送受信される信号の分離が難しくなり、通信品質が劣化するおそれがある。
図26は、FLアンテナ211と各GW局70との伝搬路長の差(経路差Δdji)に影響を与える要因を示す説明図である。経路差Δdjiに影響を与える要因としては、例えば次の4つの要因A~Dがある。
A:GW局70の位置(例えば、図26中のGW局70(1)~70(3)が設置されている仮想設置円の半径Rg)
B:HAPS20の機体の位置(例えば、図26中のHAPS20の周回移動している飛行ルート円の半径Rh)
C:HAPS20の機体の姿勢(例えば、図26中のHAPS20の傾き角度(回転角度)φ)
D:HAPS20におけるFLアンテナ211(1)~211(3)の間の相互位置関係(例えば、図26中におけるFLアンテナ211(1)~211(3)の設置半径r)
上記要因A~Dのうち、要因A:GW局70の位置、要因B:HAPS20の機体の位置及び要因C:HAPS20の機体の姿勢はいずれも瞬間的な制御が難しい。
そこで、本実施形態では、HAPS20の移動や回転によるフィーダリンクの通信品質の劣化を防止するために、複数のフィーダリンクの伝搬空間相関の程度を示す相関指標値を取得し、その相関指標値と所定の閾値との比較結果に基づいてFLアンテナ211(1)~211(3)の間の相互位置関係を変化させるように制御している。
図27(a)及び図27(b)は実施形態に係る複数GWシステムにおけるFLアンテナを3次元的に移動させてフィーダリンクの経路長dijを変更するアンテナ移動式のアンテナ駆動・切替部の構成例を示す説明図である。図27(a)において、複数のFLアンテナ211(1)~211(3)はそれぞれ、アーム216(1)~216(3)を介して円柱状又は円筒状の構造体である支持部材217に支持されている。FLアンテナ211(1)~211(3)それぞれが連結されたアーム216(1)~216(3)は、HAPS20の仮想基準点P0に位置する中心軸217aに対して長手方向に伸縮するように駆動制御することができる。このアーム216の駆動制御により、HAPS20の仮想基準点P0とFLアンテナ211(1)~211(3)それぞれとの間の複数の配置距離の少なくとも一つの配置距離を変化させることができる。
また、アーム216(1)~216(3)は、支持部材217の中心軸217aを中心として回動するように駆動制御することができる。このアーム216(1)~216(3)の駆動制御により、HAPS20の仮想基準点P0を基準にした仮想基準方向(径方向)D1~D3に対するFLアンテナの複数の配置角度の少なくとも一つの配置角度を変化させることができる。
また、アーム216(1)~216(3)は、支持部材217の中心軸217aに沿って図中Z軸方向に上下動させるように駆動制御してもよい。このアーム216(1)~216(3)の駆動制御により、HAPS20の複数のFLアンテナ211(1)~211(3)の少なくとも一つの上下方向(Z軸方向)の位置を変化させることができる。
図27(b)の例では、FLアンテナ211(1)が連結されたアーム216(1)を図中時計方向に回動させることにより、仮想基準点P0に対するFLアンテナ211(2)及び211(3)の配置位置を維持しつつFLアンテナ211(1)の配置位置のみを変化させて経路長dijを変更することができる。
図28(a)及び図28(b)は実施形態に係る複数GWシステムにおけるFLアンテナを選択してフィーダリンクの経路長dijを変更するアンテナ選択式のアンテナ駆動・切替部の構成例を示す説明図である。図28(a)において、3つのFLアンテナ211(1)~211(3)及び3つの予備のFLアンテナ211’の合計6つのFLアンテナが、HAPS20の仮想基準点P0に位置する中心軸217aを中心とした仮想円(外周面)上の互いに異なる位置に互い違いに配置されるように円柱状又は円筒状の構造体である支持部材217に支持されている。FLアンテナ211(1)~211(3)の少なくとも一つは配置位置が異なる予備のFLアンテナ211’と入れ替えるように切替制御することができる。このFLアンテナ211の切替制御により、HAPS20の仮想基準点P0を中心とした仮想円上におけるFLアンテナ211(1)~211(3)の間の相互位置関係を変化させることができる。
図28(b)の例では、図28(a)で真上に位置していたFLアンテナ211(1)を図中右隣の予備のFLアンテナ211と入れ替えることにより、仮想基準点P0を中心とした仮想円上でFLアンテナ211(2)及び211(3)の配置位置を維持しつつFLアンテナ211(1)の配置位置のみを変化させて経路長dijを変更することができる。
図29は、図28のFLアンテナ211(1)の切替前後のアンテナ主面に垂直な方向とGW局70(1)の方向との角度の変化(θ’->θ)を示す説明図である。図29に示すように、図28のアンテナ駆動・切替部の構成例では、FLアンテナ211(1)の切替後にアンテナ主面に垂直な方向とGW局70(1)の方向との角度θ’がθへと大きくなるが、HAPS20の機体への搭載スペースが狭くて済む。
図30は、アンテナ選択式のアンテナ駆動・切替部の他の構成例を示す説明図である。図30において、3つのFLアンテナ211(1)~211(3)及び3つの予備のFLアンテナ211’の合計6つのFLアンテナが、HAPS20の仮想基準点P0に位置する中心軸217aを中心とした半径が互いに異なる複数の同心円状の仮想円である円周面状の支持面217b,217c上の互いに異なる位置に配置されるように構造体である支持部材217に支持されている。内側のFLアンテナ211の組及び外側のFLアンテナ211の組はGW局70に向かう指向性ビームが干渉しないようにz軸方向(図中の紙面に垂直な方向)配置されている。
図30において、FLアンテナ211(1)~211(3)の少なくとも一つは配置位置が異なる予備のFLアンテナ211’と入れ替えるように切替制御することができる。このFLアンテナ211の切替制御により、HAPS20の仮想基準点P0を中心とした仮想円上におけるFLアンテナ211(1)~211(3)の間の相互位置関係を変化させることができる。
例えば、図30の構成例では、内側の支持面217b上に位置していたFLアンテナ211(1)を外側の支持面217c上に位置する予備のFLアンテナ211と入れ替えることにより、仮想基準点P0を中心とした他のFLアンテナ211(2)及び211(3)の配置位置を維持しつつFLアンテナ211(1)の配置位置のみを径方向外側に変化させて経路長dijを変更することができる。図30の構成例では、HAPS20の機体への搭載スペースが広くなるが、FLアンテナ211(1)の切替後にアンテナ主面に垂直な方向とGW局70(1)の方向との角度の変化(θ’->θ)が小さい。
図31は、アンテナ選択式のアンテナ駆動・切替部の更に他の構成例を示す説明図である。図31において、3つのFLアンテナ211(1)~211(3)及び3つの予備のFLアンテナ211’の合計6つのFLアンテナが、HAPS20の仮想基準点P0を通る中心軸(図中のz軸)を有する円柱状又は円筒状の構造体である支持部材217の外周面に配置されている。FLアンテナ211(1)~211(3)及び211’は、支持部材217の外周面における軸方向及び周方向の少なく一方の方向における位置が互いに異なる。図31の構成例では、支持部材217の外周面における周方向の位置が120°ずれた3つのFLアンテナの組を、支持部材217の中心軸(図中のz軸)に平行な上下方向における互いに異なる位置に2組備えている。
図31において、FLアンテナ211(1)~211(3)の少なくとも一つは配置位置が異なる予備のFLアンテナ211’と入れ替えるように切替制御することができる。このFLアンテナ211の切替制御により、HAPS20の仮想基準点P0を通る中心軸を中心とした外周面上におけるFLアンテナ211(1)~211(3)の間の相互位置関係を変化させることができる。
例えば、図31の構成例では、下側1段目に位置していたFLアンテナ211(1)を上方の2段目に位置する予備のFLアンテナ211と入れ替えることにより、支持部材217の外周面における他のFLアンテナ211(2)及び211(3)の配置位置を維持しつつFLアンテナ211(1)の配置位置のみを上方に変化させて経路長dijを変更することができる。図31の構成例では、HAPS20の機体への搭載スペースが広くなるが、FLアンテナ211(1)の切替後にアンテナ主面に垂直な方向とGW局70(1)の方向との角度の変化(θ’->θ)が小さい。また、FLアンテナ211(1)の切替によって鉛直方向の位置が変化するため、水平面における位置が変化する場合に比して経路長dijの変動量を大きくすることができる。
上記各構成例のアンテナ駆動・切替部において、複数のFLアンテナ211(1)~211(3)の間の相互位置関係を変化させる制御は、例えば、複数のフィーダリンクの伝搬空間相関の程度を示す相関指標値と所定の閾値との比較結果に基づいて行うことができる。
前記相関指標値は、複数のFLアンテナ211(1)~211(3)によって複数のGW局70(1)~70(3)から受信された複数の信号のSINR[dB]であってもよい。SINR[dB]の情報は例えば中継通信局21で取得することができる。
図32は、実施形態に係る複数GWシステムのHAPS20の回転時におけるFLアンテナ211(1)で受信した受信信号のSINR[dB]の変化の一例を示すグラフである。図32の横軸はHAPS20の回転角度φ[°]である。図32において、例えば、HAPS20のFLアンテナ211(1)で受信した受信信号のSINR[dB]が所定の閾値Th1(図示の例では25[dB])よりも小さくなったときに、前述のアンテナ駆動・切替部におおける複数のFLアンテナ211(1)~211(3)の間の相互位置関係を変化させて経路長dijを変更する制御を実行してもよい。
また、前記相関指標値は、例えば、複数のFLアンテナ211(1)~211(3)と複数のGW局70(1)~70(3)との間で送受信される複数のパイロット信号の受信結果に基づいて推定したFLアンテナ211(1)~211(3)と複数のGW局70(1)~70(3)との間の伝搬路応答Hにおける複数の特異値又は固有値であってもよい。特異値は、例えば、フィーダリンクの伝搬路応答Hを特異値分解(SVD)して得られる次式(24)の行列Dの対角成分(λ1/2、(λ1/2、(λ1/2である。特異値の自乗が固有値であり、フィーダリンクの伝搬路の直交分割されたストリーム(固有モード)の利得に対応する。式(24)におけるUは受信のウェイト行列であり、Vは送信のウェイト行列である。
Figure 0007089558000024
図33は、実施形態に係る複数GWシステムのHAPS20の回転時におけるフィーダリンクの伝搬路応答Hの特異値の変化の一例を示すグラフである。図33の横軸はHAPS20の回転角度φ[°]である。図33において、例えば、3つの特異値(λ1/2、(λ1/2、(λ1/2のいずれか一つが所定の閾値Th2(図示の例では1.5)よりも小さくなったときに、前述のアンテナ駆動・切替部におおける複数のFLアンテナ211(1)~211(3)の間の相互位置関係を変化させて経路長dijを変更する制御を実行してもよい。
なお、前記相関指標値は、上記3つの特異値のいずれか2つの値の比又は差であってもよいし、3つの固有値のいずれか2つの値の比又は差であってもよい。
また、前記相関指標値は、複数のFLアンテナ211(1)~211(3)が複数のGW局70(1)~70(3)の方向にビームフォーミングしたときの複数の指向性ビームのFB比(指向性ビームの前方利得/後方利得)であってもよい。
図34は、本実施形態に係るHAPS20の中継通信局21の主要構成の一例を示す説明図である。図34において、中継通信局21は、フィーダリンク通信部221とサービスリンク通信部222と周波数変換部223と各部を制御する制御部224と干渉抑圧部225を備える。
フィーダリンク通信部221は、GW局70の数(FLアンテナ211の数)に対応する複数の受信機を備え、FLアンテナ211を介してGW局70との間でフィーダリンク用の第1周波数F1の無線信号を送受信する。
フィーダリンク通信部221の複数の受信機は、複数のGW局70(1)~70(3)それぞれから送信された複数のパイロット信号を受信し、複数のパイロット信号が重複したパイロット信号群をフィルターで分離する。また、各受信機は、上記フィルターで分離された複数のパイロット信号を、フィーダリンクの伝搬路を伝搬してきたパイロット信号hkiの受信結果として干渉抑圧部225に出力する。
サービスリンク通信部222は、サービスリンク用アンテナ115を介して端末装置61との間でサービスリンク用の第2周波数F2の無線信号を送受信する。周波数変換部223は、フィーダリンク通信部221とサービスリンク通信部222との間で第1周波数F1と第2周波数F2との周波数変換を行う。中継通信局21で中継される無線信号は、例えば、LTE又はLTE-Advancedの標準規格に準拠したOFMDA通信方式を用いて送受信してもよい。この場合は、無線信号の遅延が異なるマルチパスが発生しても良好な通信品質を維持できる。
制御部224は、予め組み込まれたプログラムを実行することにより各部を制御することができる。特に、本実施形態では、制御部224は、前記複数のフィーダリンクの伝搬空間相関の程度を示す相関指標値と所定の閾値との比較結果に基づいて、複数のFLアンテナ211(1)~211(3)の間の相互位置関係を変化させる手段としても機能する。例えば、HAPS本体側のアンテナ駆動・切替部25と連携して前述のアンテナ駆動・切替の制御を行う。
干渉抑圧部225は、予め組み込まれたプログラムを実行することにより、フィーダリンク通信部221から出力された複数のパイロット信号の受信結果(hki)に基づいて、前述の伝搬路応答の推定、ウェイトの計算及び干渉キャンセル信号処理を行う。
フィーダリンク通信部221、干渉抑圧部225又はその両方は、前記複数のフィーダリンクの伝搬空間相関の程度を示す相関指標値を取得する手段としても機能する。
なお、移動通信網の通信オペレータの遠隔制御装置(制御元)からの制御情報を受信したり遠隔制御装置に情報を送信したりする場合は、制御部224に接続されたユーザ端末(移動局)226を備えてもよい。制御部224は、例えば、遠隔制御装置から送信されてきた制御情報をユーザ端末(移動局)226で受信し、その制御情報に基づいて各部を制御してもよい。ここで、遠隔制御装置とユーザ端末(移動局)226との間の通信は、例えば遠隔制御装置及びユーザ端末(移動局)226それぞれに割り当てられたIPアドレス(又は電話番号)を用いて行ってもよい。
以上、本実施形態によれば、HAPS20と複数のGW局70(1)~70(3)との間の同一周波数のマルチフィーダリンクにおける複数のフィーダリンク間の干渉を動的に抑圧することができる。
特に本実施形態によれば、HAPS20に組み込まれた複数のFLアンテナ211(1)~211(3)と複数のGW局70(1)~70(3)との間の複数のフィーダリンク間の伝搬空間相関が瞬時的に高くなることによる通信品質の劣化を防止することができる。
また、本実施形態によれば、マルチフィーダリンクにおける干渉の動的な抑圧に必要となるHAPS20と複数のGW局70(1)~70(3)との経路差を実装上必要な範囲まで推定して把握することができるので、マルチフィーダリンクにおける干渉を精度よく抑圧することができる。
なお、上記実施形態では、HAPS20のフィーダリンクのフォワードリンクに適用した場合について説明したが、本発明は、フィーダリンクのリバースリンクにも適用することでリバースリンクにおけるSNIRの低下を抑制しつつ、フィーダリンクの周波数利用効率の向上を図ることができる。
なお、本明細書で説明された処理工程並びにHAPS等の通信中継装置の中継通信局、フィーダ局、ゲートウェイ局、管理装置、監視装置、遠隔制御装置、サーバ、端末装置(ユーザ装置、移動局、通信端末)、基地局及び基地局装置の構成要素は、様々な手段によって実装することができる。例えば、これらの工程及び構成要素は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又は、それらの組み合わせで実装されてもよい。
ハードウェア実装については、実体(例えば、無線中継局、フィーダ局、ゲートウェイ局、基地局、基地局装置、無線中継局装置、端末装置(ユーザ装置、移動局、通信端末)、管理装置、監視装置、遠隔制御装置、サーバ、ハードディスクドライブ装置、又は、光ディスクドライブ装置)において前記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段は、1つ又は複数の、特定用途向けIC(ASIC)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、デジタル信号処理装置(DSPD)、プログラマブル・ロジック・デバイス(PLD)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、電子デバイス、本明細書で説明された機能を実行するようにデザインされた他の電子ユニット、コンピュータ、又は、それらの組み合わせの中に実装されてもよい。
また、ファームウェア及び/又はソフトウェア実装については、前記構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段は、本明細書で説明された機能を実行するプログラム(例えば、プロシージャ、関数、モジュール、インストラクション、などのコード)で実装されてもよい。一般に、ファームウェア及び/又はソフトウェアのコードを明確に具体化する任意のコンピュータ/プロセッサ読み取り可能な媒体が、本明細書で説明された前記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段の実装に利用されてもよい。例えば、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば制御装置において、メモリに記憶され、コンピュータやプロセッサにより実行されてもよい。そのメモリは、コンピュータやプロセッサの内部に実装されてもよいし、又は、プロセッサの外部に実装されてもよい。また、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、プログラマブルリードオンリーメモリ(PROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、フラッシュメモリ、フロッピー(登録商標)ディスク、コンパクトディスク(CD)、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、磁気又は光データ記憶装置、などのような、コンピュータやプロセッサで読み取り可能な媒体に記憶されてもよい。そのコードは、1又は複数のコンピュータやプロセッサにより実行されてもよく、また、コンピュータやプロセッサに、本明細書で説明された機能性のある態様を実行させてもよい。
また、前記媒体は非一時的な記録媒体であってもよい。また、前記プログラムのコードは、コンピュータ、プロセッサ、又は他のデバイス若しくは装置機械で読み込んで実行可能であればよく、その形式は特定の形式に限定されない。例えば、前記プログラムのコードは、ソースコード、オブジェクトコード及びバイナリコードのいずれでもよく、また、それらのコードの2以上が混在したものであってもよい。
また、本明細書で開示された実施形態の説明は、当業者が本開示を製造又は使用するのを可能にするために提供される。本開示に対するさまざまな修正は当業者には容易に明白になり、本明細書で定義される一般的原理は、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、他のバリエーションに適用可能である。それゆえ、本開示は、本明細書で説明される例及びデザインに限定されるものではなく、本明細書で開示された原理及び新規な特徴に合致する最も広い範囲に認められるべきである。
20 HAPS(通信中継装置)
21 中継通信局
25 アンテナ駆動・切替部
61 端末装置
70,70(1)~70(3) ゲートウェイ局(GW局)
71,71(1)~71(3) フィーダリンク用アンテナ(GWアンテナ)
200C,200C(1)~200C(7) 3次元セル
200F,200F(1)~200F(7) フットプリント
211、211(1)~211(3) フィーダリンク用アンテナ(FLアンテナ)
211’ 予備のフィーダリンク用アンテナ(FLアンテナ)
212、212(1)~212(3) アンテナ指向性ビーム
215 サービスリンク用アンテナ(SLアンテナ)
216、216(1)~216(3) アーム
217 支持部材
217a 中心軸
217b,217c 支持面
220 干渉キャンセラー部
221 フィーダリンク通信部
222 サービスリンク通信部
223 周波数変換部
224 制御部
225 干渉抑圧部

Claims (14)

  1. 端末装置の無線通信を中継する中継通信局と複数のフィーダリンク用アンテナとを有する空中滞在型の通信中継装置であって、
    互いに時間同期された複数のゲートウェイ局との間のフィーダリンクにおいて同一周波数で互いに異なる中継信号を送受信するフィーダリンク通信部と、
    前記複数のゲートウェイ局との間に形成する複数のフィーダリンク間の干渉を抑圧する干渉抑圧部と、
    前記複数のフィーダリンクの伝搬空間相関の程度を示す相関指標値を取得する手段と、
    前記相関指標値と所定の閾値との比較結果に基づいて、前記複数のフィーダリンク用アンテナの間の相互位置関係を変化させる手段と、を備えることを特徴とする通信中継装置。
  2. 請求項1の通信中継装置において、
    前記通信中継装置の仮想基準点と前記複数のフィーダリンク用アンテナとの間の複数の配置距離の少なくとも一つの配置距離を変化させることを特徴とする通信中継装置。
  3. 請求項1又は2の通信中継装置において、
    前記通信中継装置の仮想基準点を基準にした仮想基準方向に対する前記複数のフィーダリンク用アンテナの間の複数の配置角度の少なくとも一つの配置角度を変化させることを特徴とする通信中継装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれかの通信中継装置において、
    前記通信中継装置の仮想基準点を中心とした仮想円上の互いに異なる位置に、前記複数のフィーダリンク用アンテナと一又複数の予備のフィーダリンク用アンテナとを備え、
    前記複数のフィーダリンク用アンテナの少なくとも一つを前記予備のフィーダリンク用アンテナに切り替えることを特徴とする通信中継装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれかの通信中継装置において、
    前記通信中継装置の仮想基準点を中心とした半径が互いに異なる複数の仮想円上に前記複数のフィーダリンク用アンテナと一又複数の予備のフィーダリンク用アンテナとを備え、
    前記複数のフィーダリンク用アンテナの少なくとも一つを前記予備のフィーダリンク用アンテナに切り替えることを特徴とする通信中継装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれかの通信中継装置において、
    前記通信中継装置の仮想基準点を通る中心軸を有する円柱状又は角柱状の支持部材の外周面における軸方向及び周方向の少なく一方の方向における位置が互いに異なるように前記複数のフィーダリンク用アンテナと一又複数の予備のフィーダリンク用アンテナとを備え、
    前記複数のフィーダリンク用アンテナの少なくとも一つを前記予備のフィーダリンク用アンテナに切り替えることを特徴とする通信中継装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれかの通信中継装置において、
    前記相関指標値は、前記複数のフィーダリンク用アンテナによって前記複数のゲートウェイ局から受信された複数の信号のSINRであることを特徴とする通信中継装置。
  8. 請求項1乃至6のいずれかの通信中継装置において、
    前記相関指標値は、前記複数のフィーダリンク用アンテナと前記複数のゲートウェイ局との間で送受信される複数のパイロット信号の受信結果に基づいて推定した前記複数のフィーダリンク用アンテナと前記複数のゲートウェイ局との間の伝搬路応答における複数の固有値であることを特徴とする通信中継装置。
  9. 請求項1乃至6のいずれかの通信中継装置において、
    前記相関指標値は、前記複数のフィーダリンク用アンテナが前記複数のゲートウェイ局の方向にビームフォーミングしたときの複数の指向性ビームのFB比(指向性ビームの前方利得/後方利得)であることを特徴とする通信中継装置。
  10. 請求項1乃至9のいずれかの通信中継装置において、
    前記相関指標値は、前記複数のゲートウェイ局から前記中継通信局に中継信号を送信する複数のフォワードリンクにおける伝搬空間相関の程度を示し、
    前記複数のフォワードリンクの通信を行っているときに前記複数のフィーダリンク用アンテナの間の相互位置関係を変化させることを特徴とする通信中継装置。
  11. 請求項1乃至10のいずれかの通信中継装置において、
    前記相関指標値は、前記中継通信局から前記複数のゲートウェイ局それぞれに中継信号を送信する複数のリバースリンクにおける伝搬空間相関の程度を示し、
    前記複数のリバースリンクの通信を行っているときに前記複数のフィーダリンク用アンテナの間の相互位置関係を変化させることを特徴とする通信中継装置。
  12. 請求項1乃至11のいずれかの通信中継装置と、互いに時間同期され前記空中滞在型の通信中継装置の前記中継通信局との間のフィーダリンクにおいて同一周波数で互いに異なる中継信号を送受信する複数のゲートウェイ局と、を備えることを特徴とするシステム。
  13. 複数のフィーダリンク用アンテナを有する空中滞在型の通信中継装置に組み込まれ端末装置の無線通信を中継する中継通信局と、同一周波数で互いに異なる中継信号を送受信する互いに時間同期された複数のゲートウェイ局との間におけるフィーダリンクの干渉抑圧方法であって、
    互いに時間同期された複数のゲートウェイ局との間のフィーダリンクにおいて同一周波数で互いに異なる中継信号を送受信することと、
    前記複数のゲートウェイ局との間に形成する複数のフィーダリンク間の干渉を抑圧することと、
    前記複数のフィーダリンクの伝搬空間相関の程度を示す相関指標値を取得することと、
    前記相関指標値と所定の閾値との比較結果に基づいて、前記複数のフィーダリンク用アンテナの間の相互位置関係を変化させることと、を含むことを特徴とする干渉抑圧方法。
  14. 端末装置の無線通信を中継する中継通信局と複数のフィーダリンク用アンテナとを有する空中滞在型の通信中継装置に設けられたコンピュータ又はプロセッサで実行されるプログラムであって、
    互いに時間同期された複数のゲートウェイ局との間のフィーダリンクにおいて同一周波数で互いに異なる中継信号を送受信するためのプログラムコードと、
    前記複数のゲートウェイ局との間に形成する複数のフィーダリンク間の干渉を抑圧するためのプログラムコードと、
    前記複数のフィーダリンクの伝搬空間相関の程度を示す相関指標値を取得するためのプログラムコードと、
    前記相関指標値と所定の閾値との比較結果に基づいて、前記複数のフィーダリンク用アンテナの間の相互位置関係を変化させるためのプログラムコードと、を含むことを特徴とするプログラム。
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