以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
まず、本発明の一実施の形態における医療用装置の構成について説明する。本実施の形態では医療用装置の一例として歯科用診療装置について説明する。
図1を参照して、本実施の形態に係る医療用装置100は、診療装置本体10と、媒体導管20と、診療用ハンドピース30とを備えている。媒体導管20と、診療用ハンドピース30とは媒体導管セットを構成している。媒体導管セットは診療装置本体10に着脱自在に接続可能に構成されている。
診療装置本体10は、診療台1と、スピットン2と、照明装置3と、照明装置用アーム4と、トレーテーブル5と、トレーテーブル用アーム6を備えている。診療台1は、患者が着座または仰臥した状態で診療を受けることができるように構成されている。診療台1は、基台1aと、座板1bと、背板1cと、ヘッドレスト1dと、アームレスト1eとを備えている。座板1bは基台1a上に昇降自在に設置されている。背板1cは座板1bの一端に起伏自在に取り付けられている。ヘッドレスト1dは背板1cの上端に傾動自在に取り付けられている。アームレスト1eは座板1bの側方に設置されている。
スピットン2は診療台1の側方に設置されている。スピットン2は、胴部2aと、ベースン2bと、コップ給水栓2cとを備えている。胴部2aの上端にベースン2bが設置されている。ベースン2bにコップ給水栓2cが設置されている。照明装置3は、照明装置用アーム4を介してスピットン2に接続されている。照明装置3はたとえば無影灯である。
トレーテーブル5は、トレーテーブル用アーム6を介して基台1aに接続されている。トレーテーブル5は、診療器具、薬品および診療用ハンドピース(インスツルメント)30を置いたり、保持したりするために使用される。また、トレーテーブル5は、診療台1および診療用ハンドピース30などの操作を設定するための操作設定部5aを備えている。
図1および図2を参照して、媒体導管20は、診療装置本体10から電気、エア、水等の作用媒体を診療用ハンドピース30に供給するように構成されている。図2においては、見やすくするため、媒体導管20および診療用ハンドピース30は1つずつ図示されている。また、図2においては、説明の便宜のため、媒体導管20から診療用ハンドピース30が取り外された状態が図示されている。
媒体導管20は、診療装置本体10と、診療用ハンドピース30とに接続されている。具体的には、複数の媒体導管20の一部はスピットン2と診療用ハンドピース30とを接続し、複数の媒体導管20の他部をなすドクター側ハンドピースホルダ5bはトレーテーブル5の下部に配置され、トレーテーブル5と診療用ハンドピース30とを接続している。また、媒体導管20は、可撓性を有している。媒体導管20は先端に診療用ハンドピース30に係合するための係合部20Xを備えている。図2中矢印で示されるように、係合部20Xは診療用ハンドピース30の一端から診療用ハンドピース30の内部に挿入されている。このようにして、媒体導管20は診療用ハンドピース30に着脱自在に接続されている。
図2および図3を参照して、エアタービンハンドピースを例として説明する。診療用ハンドピース30は、歯牙のエナメル質である象牙を切削する際に発生する熱を抑制するために発熱箇所へ水を噴射させる機能や、水等を噴射させて粉塵を吹き飛ばす機能を備える。媒体導管20は、外装20aと、水を供給する供給管路20bと、水を排出する排出管路20cと、駆動用エアを供給する給気管路20dと、駆動用エアを排気する排気管路20fを含んでいる。従来の診療用ハンドピースでは排出管路20cは設けられていなかったが、本発明では管路洗浄のために排出管路20cを設ける構成とする。外装20aは管形状を有している。外装20aの内部に供給管路20b、給気管路20d、排気管路20fおよび排出管路20cが配置されている。供給管路20b、給気管路20d、排気管路20f、および排出管路20cは外装20aの内部において並んで配置されている。外装20aの材質はたとえばシリコーンである。供給管路20b、給気管路20d、排気管路20fおよび排出管路20cの各々は、たとえば2層構造であり、この2層構造の内側層の材質はフッ素樹脂であり、外側層の材質はウレタンである。供給管路20bは、診療装置本体10から診療用ハンドピース30に水を供給するように構成されている。つまり、供給管路20bは、診療装置本体10から診療用ハンドピース30に水を供給する給水管路である。排出管路20cは、媒体導管20から診療装置本体10に水を排出するように構成されている。つまり、排出管路20cは、媒体導管20から診療装置本体10に水を排出する排水管路である。給気管路20dは、診療用ハンドピース30に駆動用エアを供給する給気管路である。なお、エアタービンハンドピースにおいては、駆動用エアを供給する給気管路や駆動用エアを排気する排気管路を設けることが必須であるが、マイクロモーターハンドピースや、超音波ハンドピース等においては、排気管路は必要ではない。
図1、図2、および図4を参照して、診療用ハンドピース30は、歯科診療用のインスツルメントである。診療用ハンドピース30は複数のハンドピースを含んでいてもよい。診療用ハンドピース30は、たとえば第1エアタービンハンドピース(ハイスピードハンドピース)31、第2エアタービンハンドピース(ハイスピードハンドピース)32、マイクロモーターハンドピース(ロースピードハンドピース)33、スリーウェイシリンジ34等である。診療用ハンドピース30は、トレーテーブル5に設けられたドクター側ハンドピースホルダ5bに係止されるように構成されている。
医療用装置100は、弁40をさらに備えている。弁40は、水を供給する供給管路20bから診療用ハンドピース30、および、水を排出する排出管路20cを経由して診療装置本体10のいずれかに水を流すように構成されている。弁40は、媒体導管20の内部に配置されていてもよいし、診療用ハンドピース30の内部に配置されていてもよい。さらに、弁40は、媒体導管20、診療用ハンドピース30および診療装置本体10の少なくともいずれかに分離して配置されていてもよい。
本実施の形態では、弁40は、供給用開閉弁40aと、供給管路開閉弁40bと、排出用開閉弁(メインチューブフラッシング電磁弁)40c、主管路フラッシング電磁弁40dとを含んでいる。供給用開閉弁40a、供給管路開閉弁40b、および排出用開閉弁(メインチューブフラッシング電磁弁)40c、主管路フラッシング電磁弁40dはそれぞれ電磁弁であってもよい。供給用開閉弁40aは診療装置本体10内の水元(水道水)50aから診療用ハンドピース30に繋がる主給水管路(媒体供給部)51と媒体導管20の水を供給する供給管路20bとの間に配置されている。供給管路開閉弁40bは媒体導管20の水を排出する排出管路20cが接続された水を供給する供給管路20bの接続部分と診療用ハンドピース30との間に配置されている。供給管路開閉弁40bは、望ましくは媒体導管20の診療用ハンドピース30との接続部に設けられている。排出用開閉弁(メインチューブフラッシング電磁弁)40c、主管路フラッシング電磁弁40dは、排水部(媒体排出部)140と媒体導管20の水を排出する排出管路20cとの間に配置されている。供給管路20bと排出管路20cとの分岐部は、媒体導管20に配置される供給管路開閉弁40bの上流側直前に設けられている。
医療用装置100は、供給用開閉弁40aを開とし、供給管路開閉弁40bを閉とし、排出用開閉弁(メインチューブフラッシング電磁弁)40cを開とすることで、媒体導管20の水を供給する供給管路20bから水を排出する排出管路20cを経由して診療装置本体10に水が流れるように構成されている。
また、医療用装置100は、供給用開閉弁40aおよび各ハンドピース毎に設けられた供給管路開閉弁40bの開閉を制御して、各ハンドピースの少なくともいずれかの水を供給する供給管路20bから水を排出する排出管路20cを経由して診療装置本体10に水が流れるように構成されていてもよい。
医療用装置100は、水抜きユニット800をさらに備えている。水抜きユニット800は、主給水管路51が第1分岐給水管路52、第2分岐給水管路53、第3分岐給水管路54、第4分岐給水管路55、または第5分岐給水管路56に分岐する地点よりも上流側(水元50a側)に配置されている。水抜きユニット800は、給水用管路50内に残留した水を除去して給水用管路50内をドライな状態に保つために、給水用管路50とエア供給管路60とを接続して給水用管路50内にエアを送り込む。
次に、図4を参照して、本実施の形態に係る医療用装置100の管路構成について説明する。なお、図が複雑になることを避けるために、図4では、第1エアタービンハンドピース31および第2エアタービンハンドピース32の排気管路20fは省略されている。
診療装置本体10は、給水用管路50と、エア供給管路60と、排水用管路70と、洗浄装置110と、流量計120と、排水部140と、制御部160と、水質監視用検出器170とを備えている。
給水用管路50は、主給水管路51と、第1エアタービンハンドピース31に給水される第1分岐給水管路52と、第2エアタービンハンドピース32に給水される第2分岐給水管路53と、マイクロモーターハンドピース33に給水される第3分岐給水管路54と、スリーウェイシリンジ34に給水される第4分岐給水管路55と、コップ給水筒900に給水する第5分岐給水管路56とを含んでいる。前記第1分岐給水管路52、第2分岐給水管路53、第3分岐給水管路54、第4分岐給水管路55、および第5分岐給水管路56はそれぞれ主給水管路51から分岐している。
主給水管路51は、診療用の水の水元(水道水)50aに接続されている。主給水管路51には、上流側から順に、手動の元弁51a、給水元電磁弁51b、除菌フィルタ51c、流量計120およびウォーマータンク51d等が設けられている。主給水管路(媒体供給部)51は、媒体導管20の供給管路20bに水を供給するように構成されている。
主給水管路51には流量計120が取り付けられている。流量計120は主給水管路51を流れる水の流量を計測するためのものである。流量計120は、主給水管路51と洗浄装置110との接続部分よりも下流側に配置されている。
また、主給水管路51には水質監視用検出器170が取り付けられている。水質監視用検出器170は、診療装置本体10および水を供給する供給管路20bの少なくともいずれかに滞留する水の水質を監視するための検出器である。したがって、水質監視用検出器170は、媒体導管20の水を排出する排出管路20cにも取り付けられていてもよい。供給用開閉弁40aおよび供給管路開閉弁40bは、水質監視用検出器170の出力に応じて自動的に作動するように構成されていてもよい。
第1エアタービンハンドピース31の第1分岐排水管路72と、第2エアタービンハンドピース32の第2分岐排水管路73と、マイクロモーターハンドピース33の第3分岐排水管路74は、合流して排水用管路70となり、メインチューブフラッシング電磁弁40cを経て第1主排水管路71からベースン2bに排水される。
スリーウェイシリンジ34の第2主排水管路75は、主管路フラッシング電磁弁40dを経てベースン2bに排水される。
第1分岐給水管路52は第1エアタービンメインチューブ21(媒体導管20)を介して第1エアタービンハンドピース31に接続されている。第1エアタービンメインチューブ21の供給管路20bの一端(第1端)は、診療装置本体10の第1メインチューブ着脱部10a1において第1分岐給水管路52に接続されている。第1エアタービンメインチューブ21の供給管路20bの他端(第2端)は第1エアタービンハンドピース31に接続されている。第1分岐給水管路52には、第1エアタービン注水電磁弁52a(供給用開閉弁40a)が設けられている。第1エアタービンハンドピース31に給水する供給管路20bには、第1エアタービン注水切替電磁弁52b(供給管路開閉弁40b)が設けられている。
第1エアタービンメインチューブ21の排出管路20cの一端(第1端)は、診療装置本体10の第1メインチューブ着脱部10a1において第1分岐排水管路72に接続されている。第1エアタービンメインチューブ21の排出管路20cの他端(第2端)は、第1エアタービン注水切替電磁弁52b(供給管路開閉弁40b)の手前で第1エアタービンメインチューブ21の供給管路20bに接続されている。
第1エアタービンメインチューブ21の排出管路20cの他端と供給管路20bとの接続部分と、第1エアタービンハンドピース31との間に、第1エアタービン注水切替電磁弁52bが配置されている。つまり、第1エアタービン注水切替電磁弁52bは、第1エアタービンメインチューブ21の排出管路20cの他端と供給管路20bとの接続部分よりも下流側に配置されている。具体的には第1エアタービン注水切替電磁弁52b(供給管路開閉弁40b)は、望ましくは媒体導管20の第1エアタービンハンドピース31(診療用ハンドピース30)との接続部に設けられている。
第2分岐給水管路53は第2エアタービンメインチューブ22(媒体導管20)を介して第2エアタービンハンドピース32に接続されている。第2エアタービンメインチューブ22の供給管路20bの一端(第1端)は、診療装置本体10の第2メインチューブ着脱部10a2において第2分岐給水管路53に接続されている。第2エアタービンメインチューブ22の供給管路20bの他端(第2端)は、第2エアタービンハンドピース32に接続されている。第2分岐給水管路53には、第2エアタービン注水電磁弁53a(供給用開閉弁40a)が設けられている。第2エアタービンハンドピース32に給水する供給管路20bには、第2エアタービン注水切替電磁弁53b(供給管路開閉弁40b)が設けられている。
第2エアタービンメインチューブ22の排出管路20cの一端(第1端)は、診療装置本体10の第2メインチューブ着脱部10a2において第2分岐排水管路73に接続されている。第2エアタービンメインチューブ22の排出管路20cの他端(第2端)は、第2エアタービン注水切替電磁弁53b(供給管路開閉弁40b)の手前で第2エアタービンメインチューブ22の供給管路20bに接続されている。
第2エアタービンメインチューブ22の排出管路20cの他端と供給管路20bとの接続部分と、第2エアタービンハンドピース32との間に、第2エアタービン注水切替電磁弁53bが配置されている。つまり、第2エアタービン注水切替電磁弁53bは、第2エアタービンメインチューブ22の排出管路20cの他端と供給管路20bとの接続部分よりも下流側に配置されている。具体的には第2エアタービン注水切替電磁弁53b(供給管路開閉弁40b)は、望ましくは媒体導管20の第2エアタービンハンドピース32(診療用ハンドピース30)との接続部に設けられている。
第3分岐給水管路54はマイクロモーターメインチューブ23(媒体導管20)を介してマイクロモーターハンドピース33に接続されている。マイクロモーターメインチューブ23の供給管路20bの一端(第1端)は、診療装置本体10の第3メインチューブ着脱部10a3において第3分岐給水管路54に接続されている。マイクロモーターメインチューブ23の供給管路20bの他端(第2端)はマイクロモーターハンドピース33に接続されている。第3分岐給水管路54には、マイクロモーター注水電磁弁54a(供給用開閉弁40a)が設けられている。マイクロモーターハンドピース33に給水する供給管路20bには、マイクロモーター注水切替電磁弁54b(供給管路開閉弁40b)が設けられている。
マイクロモーターメインチューブ23の排出管路20cの一端(第1端)は、診療装置本体10の第3メインチューブ着脱部10a3において第3分岐排水管路74に接続されている。マイクロモーターメインチューブ23の排出管路20cの他端(第2端)は、マイクロモーター注水切替電磁弁54b(供給管路開閉弁40b)の手前でマイクロモーターメインチューブ23の供給管路20bに接続されている。なお、マイクロモーターハンドピース33では一般的に排出管路20cは、設けられていないが、本発明では管路洗浄のために設ける構成とする。
マイクロモーターメインチューブ23の排出管路20cの他端と供給管路20bとの接続部分と、マイクロモーターハンドピース33との間に、マイクロモーター注水切替電磁弁54bが配置されている。つまり、マイクロモーター注水切替電磁弁54bは、マイクロモーターメインチューブ23の排出管路20cの他端と供給管路20bとの接続部分よりも下流側に配置されている。具体的にはマイクロモーター注水切替電磁弁54b(供給管路開閉弁40b)は、望ましくは媒体導管20のマイクロモーターハンドピース33(診療用ハンドピース30)との接続部に設けられている。
第4分岐給水管路55はスリーウェイシリンジメインチューブ24(媒体導管20)を介してスリーウェイシリンジ34に接続されている。スリーウェイシリンジメインチューブ24の供給管路20bの一端(第1端)は、診療装置本体10の第4メインチューブ着脱部10a4において第4分岐給水管路55に接続されている。スリーウェイシリンジメインチューブ24の供給管路20bの他端(第2端)はスリーウェイシリンジ34に接続されている。スリーウェイシリンジ34には、手動開閉弁(給水用操作レバー)34bが備えられ、この手動開閉弁(給水用操作レバー)34bの押圧操作によってこの手動開閉弁(給水用操作レバー)34bが開き、スリーウェイシリンジ34の先端ノズル部34cから注水される構成である。
スリーウェイシリンジメインチューブ24の水を排出する排出管路20cの一端(第1端)は、診療装置本体10の第4メインチューブ着脱部10a4において第2主排水管路75に接続されている。スリーウェイシリンジメインチューブ24の水を排出する排出管路20cの他端(第2端)は、スリーウェイシリンジメインチューブ24の供給管路20bに接続されている。なお、スリーウェイシリンジ34においては、供給管路20bと排出管路20cの分岐部は、媒体導管20のスリーウェイシリンジ34との接続部近傍に配設されることが望ましい。
第1主排水管路71には、メインチューブフラッシング電磁弁40cが設けられている。メインチューブフラッシング電磁弁40cは、第1エアタービンメインチューブ21、第2エアタービンメインチューブ22、およびマイクロモーターメインチューブ23の排出用開閉弁である。メインチューブフラッシング電磁弁40cは、第1分岐排水管路72、第2分岐排水管路73および第3分岐排水管路74が第1主排水管路71に合流する合流部分と、ベースン2bとの間に配置されている。つまり、メインチューブフラッシング電磁弁40cは、第1分岐排水管路72、第2分岐排水管路73および第3分岐排水管路74が第1主排水管路71に合流する合流部分よりも下流側に配置されている。第2主排水管路75には、主管路フラッシング電磁弁40dが設けられている。主管路フラッシング電磁弁40dは、スリーウェイシリンジメインチューブ24の排出用開閉弁である。
第1エアタービンメインチューブ21、第2エアタービンメインチューブ22、マイクロモーターメインチューブ23、およびスリーウェイシリンジメインチューブ24の各々の排出管路20cから排出された水は、ベースン2bへ排出される。ベースン2bへ排出された水は、接続管路141を経て排水部140へ排出される。
第1エアタービンハンドピース31、第2エアタービンハンドピース32およびマイクロモーターハンドピース33の通常の使用時においては、少なくともいずれかのインスツルメントが診療装置本体10のホルダーから取上られたことがホルダーに設けられたセンサ(図示せず)により検出され、フートスイッチ(図示せず)の操作がなされると、取り外されたインスツルメントに対応する供給用開閉弁40aおよび供給管路開閉弁40bが開となり、排出用開閉弁(メインチューブフラッシング電磁弁)40cが閉となって、当該インスツルメントの先端部分に設けられた注水口から歯牙を切削する際に発生する熱を制御するために注水がなされる。
他方、各診療用ハンドピース30のフラッシング(洗浄)時においては、少なくともいずれかのインスツルメントに対応する供給用開閉弁40aが開となり、供給管路開閉弁40bが閉となり、排出用開閉弁(メインチューブフラッシング電磁弁)40cが開となって、媒体導管20の供給管路20bから排出管路20cおよび排水用管路70を経由してベースン2bに管路内の水が排出される。
スリーウェイシリンジ34に接続される第4分岐給水管路55には、供給用開閉弁40aは設けられていない。また、スリーウェイシリンジメインチューブ24の供給管路20bには、供給管路開閉弁40bは設けられていない。スリーウェイシリンジ34は、グリップ部34aに給水用操作レバー34bを備えている。ドクターまたはアシスタントによる給水用操作レバー34bの押圧操作によってスリーウェイシリンジ34の先端ノズル部34cからの注水がなされ、給水用操作レバー34bの押圧操作がなされない限りスリーウェイシリンジ34の注水はなされない。したがって、スリーウェイシリンジメインチューブ24の供給管路20bには、供給管路開閉弁40bは設けられていないが、排出管路20cおよび第2主排水管路75(排水用管路)が設けられているので媒体導管20の供給管路20bから排出管路20cおよび第2主排水管路75を経由してベースン2bに管路内の水が排出される。
また、第5分岐給水管路56はコップ給水栓2cに接続されている。第5分岐給水管路56には、コップ給水弁56aが設けられている。コップ給水弁56aはたとえば電磁弁である。コップ給水栓2cに設けられたセンサ(図示せず)によりコップ給水栓2cの下のコップ(図示せず)の存在が検出されると、コップ給水弁56aが開となり、水がコップ給水栓2cおよびコップ給水筒900を経てコップに注がれる。コップ給水筒900を経てベースン2bへ排出された水は、接続管路141を経て排水部140へ排出される。
エア供給管路60は、主エア供給管路61と、第1分岐エア供給管路62と、第2分岐エア供給管路63と、第3分岐エア供給管路64と、第4分岐エア供給管路65とを含んでいる。第1分岐エア供給管路62、第2分岐エア供給管路63、第3分岐エア供給管路64、および第4分岐エア供給管路65はそれぞれ主エア供給管路61から分岐している。
主エア供給管路61は、コンプレッサー(不図示)による圧縮空気源としてのエア元60aに接続されている。主エア供給管路61には、上流側から順に、手動の元弁61aおよび除菌フィルタ61b等が設けられている。
第1分岐エア供給管路62は第1エアタービンメインチューブ21(媒体導管20)を介して第1エアタービンハンドピース31に接続されている。第1分岐エア供給管路62には、第1エアタービン駆動エア電磁弁62aが設けられている。第1エアタービンメインチューブ21は給気管路20dを有している。第1エアタービンメインチューブ21の給気管路20dの一端(第1端)は、診療装置本体10の第1メインチューブ着脱部10a1において第1分岐エア供給管路62に接続されている。第1エアタービンメインチューブ21の給気管路20dの他端(第2端)は第1エアタービンハンドピース31に接続され、エアタービンハンドピースヘッド(不図示)に設けたタービン(不図示)を回転させたり、別途不図示の射出口からエアを噴射させたりすることができる。
第2分岐エア供給管路63は第2エアタービンメインチューブ22(媒体導管20)を介して第2エアタービンハンドピース32に接続されている。第2分岐エア供給管路63には、第2エアタービン駆動エア電磁弁63aが設けられている。第2エアタービンメインチューブ22は給気管路20dを有している。第2エアタービンメインチューブ22の給気管路20dの一端(第1端)は、診療装置本体10の第2メインチューブ着脱部10a2において第2分岐エア供給管路63に接続されている。第2エアタービンメインチューブ22の給気管路20dの他端(第2端)は第2エアタービンハンドピース32に接続され、エアタービンハンドピースヘッド(不図示)に設けたタービン(不図示)を回転させたり、別途不図示の射出口からエアを噴射させたりすることができる。
第3分岐エア供給管路64はマイクロモーターメインチューブ23(媒体導管20)を介してマイクロモーターハンドピース33に接続されている。第3分岐エア供給管路64には、マイクロモーターチップエア電磁弁64aが設けられている。マイクロモーターメインチューブ23は給気管路20dを有している。マイクロモーターメインチューブ23の給気管路20dの一端(第1端)は、診療装置本体10の第3メインチューブ着脱部10a3において第3分岐エア供給管路64に接続されている。マイクロモーターメインチューブ23の給気管路20dの他端(第2端)はマイクロモーターハンドピース33に接続され、別途不図示の射出口からエアを噴射させることができる。
第4分岐エア供給管路65はスリーウェイシリンジメインチューブ24(媒体導管20)を介してスリーウェイシリンジ34に接続されている。スリーウェイシリンジ34は給気管路20dを有している。スリーウェイシリンジメインチューブ24の給気管路20dの一端(第1端)は、診療装置本体10の第4メインチューブ着脱部10a4において第4分岐エア供給管路65に接続されている。スリーウェイシリンジメインチューブ24の給気管路20dの他端(第2端)はスリーウェイシリンジ34に接続されている。
ハンドピース制御ブロック10bは、第1エアタービン注水電磁弁52a、第2エアタービン注水電磁弁53a、マイクロモーター注水電磁弁54a、第1エアタービン駆動エア電磁弁62a、第2エアタービン駆動エア電磁弁63a、およびマイクロモーターチップエア電磁弁64aを含んでいる。
フートスイッチ(図示せず)の操作がなされると、第1エアタービンハンドピース31および第2エアタービンハンドピース32の少なくともいずれかのインスツルメントに対応する第1エアタービン駆動エア電磁弁62aまたは第2エアタービン駆動エア電磁弁63aが開閉し、第1エアタービンハンドピース31または第2エアタービンハンドピース32へタービン駆動エアが供給され、エアタービンヘッド(不図示)に内蔵されたタービン(不図示)を回転させたり、別途不図示の噴射口からエアを噴射させたりすることができる。
また、フートスイッチ(図示せず)の操作がなされると、マイクロモーターチップエア電磁弁64aが開閉し、マイクロモーターハンドピース33へチップエアが供給され別途不図示のマイクロモーターハンドピース33の噴射口から噴射される。
第4分岐エア供給管路65には、上記のような電磁弁は設けられていない。スリーウェイシリンジ34は、グリップ部34aにエア用操作レバー(図示せず)を備えている。ドクターまたはアシスタントによるエア用操作レバーの押圧操作によって先端ノズル部34cからエアの噴出がなされる。エア用操作レバーは、給水用操作レバー34bと並設されている。ドクターまたはアシスタントによってエア用操作レバーおよび給水用操作レバー34bが選択的に、あるいは、同時に押圧操作される。
主給水管路51には、洗浄装置110が接続されている。洗浄装置110を薬液洗浄装置とする場合、薬液洗浄装置は、薬液ボトル110aと、薬液ポンプ110bとを含んでいる。薬液ボトル110aには、たとえば、過酸化水素水、次亜塩素酸ナトリウム等の薬液が充填されている。薬液ポンプ110bは、薬液ボトル110aの薬液を適量ずつ主給水管路51に供給するように構成されている。薬液ボトル110aには薬液量検出部111が取り付けられている。薬液量検出部111は、薬液ボトル110aの薬液量を検出可能なセンサである。
水抜きユニット800は、フラッシングに用いられる管路にエアを送り込むためのユニットである。従来の歯科用診療装置では、水が長時間にわたって給水管路内に残留することにより雑菌が給水管路内で増殖することがあった。雑菌が給水管路内で増殖した場合、術者は管路の洗浄に際し、薬液を通常よりも多くする等の調整をしなければならず、術者にとって手間であった。しかしながら、水抜きユニット800により、フラッシングに用いられる管路にエアを送り込むことができるので、簡単に給水用管路50内の水を抜いて給水用管路50をドライな状態に保つことができる。
水抜きユニット800は、接続弁801と、逆止弁802と、圧力調整部803とを含む。接続弁801は電磁弁であってもよい。接続弁801は、主エア供給管路61から分岐した第5分岐エア供給管路66と主給水管路51から分岐した第6分岐給水管路57との接続部分に配置されている。逆止弁802は、水がエア供給管路60へ流れることを防止する。逆止弁802は、接続弁801よりも水元50aの側の第6分岐給水管路57に配置されている。圧力調整部803は、給水用管路50に供給されるエアの圧力を調整する。圧力調整部803は、接続弁801よりもエア元60aの側の第5分岐エア供給管路66に配置されている。
第1エアタービンメインチューブ21、第2エアタービンメインチューブ22、またはマイクロモーターメインチューブ23の供給管路20bの水抜き時においては、接続弁801が開となり、少なくともいずれかのインスツルメントに対応する供給用開閉弁40aが開となり、供給管路開閉弁40bが閉となり、メインチューブフラッシング電磁弁40cが開となって、エアが供給管路20b、排出管路20c、および排水用管路70を経由してベースン2bへ噴射される。これに伴って、給水用管路50内に残留していた水が、供給管路20b、排出管路20c、および排水用管路70を経由してベースン2bに排出される。ベースン2bへ排出された水は、接続管路141を経て排水部140へ排出される。
スリーウェイシリンジメインチューブ24の供給管路20bの水抜き時においては、接続弁801が開となり、主管路フラッシング電磁弁40dが開となって、エアが供給管路20b、排出管路20c、および第2主排水管路75を経由してベースン2bへ噴射される。これに伴って、給水用管路50内に残留していた水が、供給管路20b、排出管路20c、および第2主排水管路75を経由してベースン2bに排出される。ベースン2bへ排出された水は、接続管路141を経て排水部140へ排出される。
コップ給水筒900の水抜き時においては、接続弁801が開となり、コップ給水弁56aが開となって、エアが第5分岐給水管路56、コップ給水栓2c、およびコップ給水筒900を経由してベースン2bへ噴射される。これに伴って、給水用管路50内に残留していた水が、第5分岐給水管路56、コップ給水栓2c、およびコップ給水筒900を経由してベースン2bに排出される。ベースン2bへ排出された水は、接続管路141を経て排水部140へ排出される。
次に、図1、図4、および図5を参照して、本実施の形態に係る医療用装置100の制御構成について説明する。制御部160は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、およびROM(Read Only Memory)を備える。CPUは、ROM等に保存されている動作プログラムを実行することにより、医療用装置100全体を総括的に制御する。ROMは、CPUが実行するプログラムやその他のデータを記憶する。RAMは、CPUがプログラムを実行する際の作業領域となるものであり、プログラムやプログラムを実行する際のデータ等を一時的に記憶する。制御部160には、洗浄装置110、薬液量検出部111、流量計120、駆動部161、表示部162、報知部163、管路洗浄スイッチ164、フラッシングスイッチ165、メインスイッチ166、水抜きスイッチ167、および、水質監視用検出器170が接続されている。
駆動部161は、診療用ハンドピース30および各種弁を駆動させるためのものである。表示部162は、トレーテーブル5等に設置されており、診療等に関する各種情報が表示される。報知部163は、洗浄装置110の薬液ボトル内の薬液量が薬液量検出部111によって少なくなったことが検出された場合、および、その他の装置での異常を検知した場合等において、その旨の報知を行うべく機能する。
管路洗浄スイッチ164、フラッシングスイッチ165、メインスイッチ166、および水抜きスイッチ167は、診療装置本体10のトレーテーブル5等にそれぞれ設けられている。
メインスイッチ166は医療用装置100を起動する際にドクターまたはアシスタント等によって操作される。
管路洗浄スイッチ164は、給水用管路50の洗浄の際にドクターまたはアシスタント等によって操作される。制御部160は、管路洗浄スイッチ164がONになると、供給用開閉弁40a、供給管路開閉弁40b、メインチューブフラッシング電磁弁40c、および主管路フラッシング電磁弁40dを作動させる。これにより、薬液が給水用管路50に投入され、ベースン2bへ排出される。なお、制御部160は、メインスイッチ166がONになると、供給用開閉弁40a、供給管路開閉弁40b、メインチューブフラッシング電磁弁40c、および主管路フラッシング電磁弁40dを作動させてもよい。また、制御部160は、水質監視用検出器170の出力に応じて、自動的に供給用開閉弁40a、供給管路開閉弁40b、メインチューブフラッシング電磁弁40c、および主管路フラッシング電磁弁40dを作動させてもよい。また、制御部160は、水質監視用検出器170の出力に応じて、診療時間の前に1~5分程度の所定時間、自動で管路洗浄が行われるように駆動部161を制御してもよい。
フラッシングスイッチ165は医療用装置100による診療に先立って、給水用管路50の洗浄の際にドクターまたはアシスタント等によって操作される。制御部160は、フラッシングスイッチ165がONになると、供給用開閉弁40a、供給管路開閉弁40b、メインチューブフラッシング電磁弁40c、および主管路フラッシング電磁弁40dを作動させる。これにより、水が給水用管路50に投入され、ベースン2bへ排出される。なお、制御部160は、メインスイッチ166がONになると、供給用開閉弁40a、供給管路開閉弁40b、メインチューブフラッシング電磁弁40c、および主管路フラッシング電磁弁40dを作動させてもよい。また、制御部160は、水質監視用検出器170の出力に応じて、自動的に供給用開閉弁40a、供給管路開閉弁40b、メインチューブフラッシング電磁弁40c、および主管路フラッシング電磁弁40dを作動させてもよい。また、制御部160は、水質監視用検出器170の出力に応じて、診療時間の前に1~5分程度の所定時間、自動でフラッシングが行われるように駆動部161を制御してもよい。
水抜きスイッチ167は、給水用管路50の水抜きの際にドクターまたはアシスタント等によって操作される。水抜きスイッチ167がONになった場合に制御部160が行う制御については、図6~図11を参照して後述する。
次に、図6~図11を参照して、本実施の形態に係る給水用管路50の水抜き方法について説明する。給水用管路50の水抜き方法は5つの工程(工程S1~工程S5)から成る。ドクターまたはアシスタント等がエアの元弁61aを開き、かつ、水抜きスイッチ167をONにすると、制御部160は、工程S1→工程S2→工程S3→工程S4→工程S5の順に水抜きを行う。給水用管路50の水抜きの際には、給水元電磁弁51b、第1エアタービン注水切替電磁弁52b(供給管路開閉弁40b)、第2エアタービン注水切替電磁弁53b(供給管路開閉弁40b)、およびマイクロモーター注水切替電磁弁54b(供給管路開閉弁40b)が閉じられた(OFFにされた)後、接続弁801が開かれる(ONにされる)。
図6および図7を参照して、工程S1について説明する。工程S1は、コップ給水筒900の水抜きである。コップ給水筒900は、主給水管路51から分岐した管路の中で水の供給量が最も多い管路である。エアの元弁61aが開となり、水抜きスイッチ167がONになると、つまり、エアの元弁61aの開信号および水抜きスイッチ167のON信号を受信した場合に、制御部160は、接続弁801およびコップ給水弁56aを開く(ONにする)。
これにより、給水用管路50とエア供給管路60とが接続状態となり、エアが図7に示す矢印に従って給水用管路50に流れ込む。コップ給水弁56aが開いており、第1エアタービン注水電磁弁52a(40a)、第2エアタービン注水電磁弁53a(40a)、マイクロモーター注水電磁弁54a(40a)、および主管路フラッシング電磁弁40dが閉じていることから、エアは、図7に示す矢印に従って給水用管路50内を流れ、コップ給水筒900を経てベースン2bへ噴射される。これに伴って、コップ給水筒900およびコップ給水筒900へ続く管路内に残留していた水がベースン2bに排出される。コップ給水筒900の水抜きに必要な所定時間(例えば、3分)が経過した後、つまり、接続弁801を開く制御の開始から所定時間の経過をカウンターによって判定した場合に、制御部160は、コップ給水弁56aを閉じ(OFFにし)、工程S1を終了する。工程S1により、コップ給水筒900およびコップ給水筒900へ続く管路内がドライな状態となる。工程S1が終了した時点でドライな状態の管路は、図7において太線で示される管路である。
図6および図8を参照して、工程S2について説明する。工程S2は、スリーウェイシリンジメインチューブ24の供給管路20bの水抜きである。スリーウェイシリンジメインチューブ24の供給管路20bは、主給水管路51から分岐した管路の中で水の供給量が2番目に多い管路である。工程S1が終了した後、制御部160は、工程S2を開始する。具体的には、制御部160は、コップ給水弁56aをOFFにした後から所定時間(例えば、5秒)の経過をカウンターによって判定した場合に、主管路フラッシング電磁弁40dを開く(ONにする)。
接続弁801は開いたままであることから、エアが図8に示す矢印に従って給水用管路50に流れ込む。主管路フラッシング電磁弁40dが開いており、第1エアタービン注水電磁弁52a(40a)、第2エアタービン注水電磁弁53a(40a)、およびマイクロモーター注水電磁弁54a(40a)、およびコップ給水弁56aが閉じていることから、エアは、図8に示す矢印に従って給水用管路50内を流れ、スリーウェイシリンジメインチューブ24の供給管路20bおよび排出管路20cを経てベースン2bへ噴射される。これに伴って、スリーウェイシリンジメインチューブ24の供給管路20b、スリーウェイシリンジメインチューブ24の供給管路20bへ続く管路、および、スリーウェイシリンジメインチューブ24の供給管路20bからベースン2bへ続く管路内に残留していた水がベースン2bに排出される。スリーウェイシリンジメインチューブ24の供給管路20b、スリーウェイシリンジメインチューブ24の供給管路20bへ続く管路、および、スリーウェイシリンジメインチューブ24の供給管路20bからベースン2bへ続く管路の水抜きに必要な所定時間が経過した後、つまり、主管路フラッシング電磁弁40dをONにしてから所定時間(例えば、1分5秒)の経過をカウンターによって判定した場合に、制御部160は、主管路フラッシング電磁弁40dを閉じて(OFFにし)、工程S2を終了する。工程S2により、スリーウェイシリンジメインチューブ24の供給管路20b、スリーウェイシリンジメインチューブ24の供給管路20bへ続く管路、および、スリーウェイシリンジメインチューブ24の供給管路20bからベースン2bへ続く管路内がドライな状態となる。工程S2が終了した時点でドライな状態の管路は、図8において太線で示される管路である。
図6および図9を参照して、工程S3について説明する。工程S3は、第1エアタービンメインチューブ21の供給管路20bの水抜きである。第1エアタービンメインチューブ21の供給管路20bは、主給水管路51から分岐した管路の中で水の供給量が3番目に多い管路である。工程S2が終了した後、制御部160は、工程S3を開始する。具体的には、制御部160は、主管路フラッシング電磁弁40dをOFFにしてから所定時間(例えば、5秒)の経過をカウンターによって判定した場合に、メインチューブフラッシング電磁弁40cおよび第1エアタービン注水電磁弁52a(40a)を開く(ONにする)。
接続弁801は開いたままであることから、エアが図9に示す矢印に従って給水用管路50に流れ込む。メインチューブフラッシング電磁弁40cおよび第1エアタービン注水電磁弁52a(40a)が開いており、主管路フラッシング電磁弁40d、第2エアタービン注水電磁弁53a(40a)、マイクロモーター注水電磁弁54a(40a)、およびコップ給水弁56aが閉じていることから、エアは、図9に示す矢印に従って給水用管路50内を流れ、第1エアタービンメインチューブ21の供給管路20bおよび排出管路20cを経てベースン2bへ噴射される。これに伴って、第1エアタービンメインチューブ21の供給管路20b、第1エアタービンメインチューブ21の供給管路20bへ続く管路、および、第1エアタービンメインチューブ21の供給管路20bからベースン2bへ続く管路内に残留していた水がベースン2bに排出される。第1エアタービンメインチューブ21の供給管路20b、第1エアタービンメインチューブ21の供給管路20bへ続く管路、および、第1エアタービンメインチューブ21の供給管路20bからベースン2bへ続く管路の水抜きに必要な所定時間が経過した後、つまり、第1エアタービン注水電磁弁52a(40a)をONにしてから所定時間(例えば、1分5秒)の経過をカウンターによって判定した場合に、制御部160は、第1エアタービン注水電磁弁52a(40a)を閉じて(OFFにし)、工程S3を終了する。工程S3により、第1エアタービンメインチューブ21の供給管路20b、第1エアタービンメインチューブ21の供給管路20bへ続く管路、および、第1エアタービンメインチューブ21の供給管路20bからベースン2bへ続く管路内がドライな状態となる。工程S3が終了した時点でドライな状態の管路は、図9において太線で示される管路である。
図6および図10を参照して、工程S4について説明する。工程S4は、第2エアタービンメインチューブ22の供給管路20bの水抜きである。第2エアタービンメインチューブ22の供給管路20bは、主給水管路51から分岐した管路の中で水の供給量が4番目に多い管路である。工程S3が終了した後、制御部160は、工程S4を開始する。具体的には、制御部160は、第1エアタービン注水電磁弁52a(40a)をOFFにしてから所定時間(例えば、5秒)の経過をカウンターによって判定した場合に、第2エアタービン注水電磁弁53a(40a)を開く(ONにする)。
接続弁801は開いたままであることから、エアが図10に示す矢印に従って給水用管路50に流れ込む。メインチューブフラッシング電磁弁40cおよび第2エアタービン注水電磁弁53a(40a)が開いており、主管路フラッシング電磁弁40d、第1エアタービン注水電磁弁52a(40a)、マイクロモーター注水電磁弁54a(40a)、およびコップ給水弁56aが閉じていることから、エアは、図10に示す矢印に従って給水用管路50内を流れ、第2エアタービンメインチューブ22の供給管路20bおよび排出管路20cを経てベースン2bへ噴射される。これに伴って、第2エアタービンメインチューブ22の供給管路20b、第2エアタービンメインチューブ22の供給管路20bへ続く管路、および、第2エアタービンメインチューブ22の供給管路20bからベースン2bへ続く管路内に残留していた水がベースン2bに排出される。第2エアタービンメインチューブ22の供給管路20b、第2エアタービンメインチューブ22の供給管路20bへ続く管路、および、第2エアタービンメインチューブ22の供給管路20bからベースン2bへ続く管路の水抜きに必要な所定時間が経過した後、つまり、第2エアタービン注水電磁弁53a(40a)をONにしてから所定時間(例えば、1分5秒)の経過をカウンターによって判定した場合に、制御部160は、第2エアタービン注水電磁弁53a(40a)を閉じて(OFFにし)、工程S4を終了する。工程S4により、第2エアタービンメインチューブ22の供給管路20b、第2エアタービンメインチューブ22の供給管路20bへ続く管路、および、第2エアタービンメインチューブ22の供給管路20bからベースン2bへ続く管路内がドライな状態となる。工程S4が終了した時点でドライな状態の管路は、図10において太線で示される管路である。
図6および図11を参照して、工程S5について説明する。工程S5は、マイクロモーターメインチューブ23の供給管路20bの水抜きである。マイクロモーターメインチューブ23の供給管路20bは、主給水管路51から分岐した管路の中で水の供給量が最も少ない管路である。工程S4が終了した後、制御部160は、工程S5を開始する。具体的には、制御部160は、第2エアタービン注水電磁弁53a(40a)をOFFにしてから所定時間(例えば、5秒)の経過をカウンターによって判定した場合に、マイクロモーター注水電磁弁54a(40a)を開く(ONにする)。
接続弁801は開いたままであることから、エアが図11に示す矢印に従って給水用管路50に流れ込む。メインチューブフラッシング電磁弁40cおよびマイクロモーター注水電磁弁54a(40a)が開いており、主管路フラッシング電磁弁40d、第1エアタービン注水電磁弁52a(40a)、第2エアタービン注水電磁弁53a(40a)、およびコップ給水弁56aが閉じていることから、エアは、図11に示す矢印に従って給水用管路50内を流れ、マイクロモーターメインチューブ23の供給管路20bおよび排出管路20cを経てベースン2bへ噴射される。これに伴って、マイクロモーターメインチューブ23の供給管路20b、マイクロモーターメインチューブ23の供給管路20bへ続く管路、および、マイクロモーターメインチューブ23の供給管路20bからベースン2bへ続く管路内に残留していた水がベースン2bに排出される。マイクロモーターメインチューブ23の供給管路20b、マイクロモーターメインチューブ23の供給管路20bへ続く管路、および、マイクロモーターメインチューブ23の供給管路20bからベースン2bへ続く管路の水抜きに必要な所定時間が経過した後、つまり、マイクロモーター注水電磁弁54a(40a)をONにしてから所定時間(例えば、1分5秒)の経過をカウンターによって判定した場合に、制御部160は、接続弁801、メインチューブフラッシング電磁弁40c、およびマイクロモーター注水電磁弁54a(40a)を閉じて(OFFにし)、工程S5を終了する。工程S5により、マイクロモーターメインチューブ23の供給管路20b、マイクロモーターメインチューブ23の供給管路20bへ続く管路、および、マイクロモーターメインチューブ23の供給管路20bからベースン2bへ続く管路内がドライな状態となる。工程S5が終了した時点でドライな状態の管路は、図11において太線で示される管路である。なお、水抜きの制御である工程S1からS5までを終了した後、つまり、接続弁801、メインチューブフラッシング電磁弁40c、およびマイクロモーター注水電磁弁54a(40a)をOFFにしてから所定時間(2分)の経過をカウンターによって判定した場合は、制御部160は、メインスイッチ166をOFFにするようにしてもよい。水抜き作業は歯科医師などが長期休暇に入る直前に実施するケースが多く、水抜きを完了させるまでには比較的時間を要するため、水抜きの完了を確認した後に手動でメインスイッチ166をOFFにすると手間がかかる。従って、水抜き完了時にメインスイッチ166を自動でOFFにさせることで、歯科医師などの手間を省くことができ、利便性を向上させることができる。
図6~図11に示すように、工程S1~工程S5を経ることで、医療用装置100において水が通る全ての管路(給水用管路50および排水用管路70)がドライな状態となる。給水用管路50の水抜きは、主給水管路51から分岐した管路のうち水の供給量が多い管路から順に行われる。水抜きに必要な時間、すなわち、エアを給水用管路50に送り込む時間は、実験の測定値を基に、給水用管路50内がドライな状態となるように工程毎に定められる。医療用装置100が備える記憶装置は、水抜きに必要な時間を工程別に記憶している。制御部160はそれを参照して、工程S1~工程S5を行う。
なお、上記では、制御部160は、メインチューブフラッシング電磁弁40cを工程S3でONにし、工程S5でOFFにしているが、工程S3~工程S5の工程毎にONおよびOFFを切り替えてもよい。制御部160は、接続弁801を工程S1でONにし、工程S5でOFFにしているが、工程S1~工程S5の工程毎にONおよびOFFを切り替えてもよい。
水抜きスイッチ167がONになったにもかかわらず、エアの元弁61aが閉じられている場合には、つまり、水抜きスイッチ167のON信号を受信し、エアの元弁61aの開信号を受信しない場合、制御部160は、エアの元弁61aを開くことを促す表示を表示部162(図5参照)に表示してもよい。
上記では、水抜きスイッチ167がONになると給水用管路50の水抜きが開始されたが、設定した時刻に自動で開始されるようにしてもよい。制御部160は、ドクターまたはアシスタント等によって水抜きの開始時刻が設定された際に、エアの元弁61aを開いておくことを促す表示を表示部162(図5参照)に表示してもよい。なお、エアの元弁61aについても設定した時刻に自動で開くようにしてもよい。この場合、制御部160は、水抜きスイッチ167のON信号およびエアの元弁61aの開信号を受信した場合に、水抜きの制御を開始する。
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
本実施の形態の医療用装置100は、診療用ハンドピース30に水を供給する給水用管路50と、診療用ハンドピース30にエアを供給するエア供給管路60と、給水用管路50から水を排出する排水用管路70と、接続弁801と、制御部160とを備える。ドクターまたはアシスタントが水抜きスイッチ167をONにすると、制御部160は接続弁801を開く。接続弁801が開くことにより、給水用管路50とエア供給管路60とが接続状態となり、エアが給水用管路50に流れ込み、給水用管路内に残留していた水がエアと共にベースン2bに排出されて、給水用管路50内がドライな状態となる。したがって、ドクターまたはアシスタントの手を煩わせることなく、給水用管路50を清潔に保つことができる。
また、寒冷地においては、給水用管路50内に水が残留していると、その水が凍結して給水用管路50が破裂する虞があるが、日々の診療後や長期休暇に入る際等に給水用管路50の水抜きを行い給水用管路50内をドライな状態にしておけば、給水用管路50の破裂を防止することができる。
給水用管路50は、主給水管路51と主給水管路51から分岐したいくつかの管路とから成る。本実施の形態の医療用装置100は、主給水管路51から分岐した管路のうち、水の供給量が多い管路から順に水抜きを行う。水の供給量が多い管路から順に水抜きを行うことで、主給水管路51内に残留していた水は、最も水の供給量が多い管路を経由してベースン2bへ排出される。これにより、給水用管路50内に残留していた水を効率よく排出することができる。コップ給水筒900は、複数の管路の中で水の供給量が最も多い管路であることから、本実施の形態の医療用装置100は、少なくとも、コップ給水筒900の水抜きを他の管路よりも最先に行う。次に、スリーウェイシリンジメインチューブ24、第1エアタービンメインチューブ21、第2エアタービンメインチューブ22、および、マイクロモーターメインチューブ23において、水の供給量が多い順に水抜きを行っていく。なお、コップ給水筒900以外の管路については、水の給水量の差は大きくないため、一般的に使用頻度が多い順に水抜きを行ってもよい。この場合、スリーウェイシリンジメインチューブ24、第1エアタービンメインチューブ21、第2エアタービンメインチューブ22、マイクロモーターメインチューブ23の順に水抜きを行う。これにより、もし、途中で水抜きが中断されてしまう場合に、少なくとも、使用頻度が多いハンドピースについては水抜きを完了させることができる。
本実施の形態の医療用装置100は、接続弁801よりも水元50aの側の第6分岐給水管路57に逆止弁802を備える。これにより、接続弁801を開いたとしても、水がエア供給管路60へ流れ込むことがないので、エア供給管路60を清潔に保つことができる。
エア元60aから供給されるエアの圧力と水元50aから供給される水の圧力とでは、エアの圧力の方が大きい。給水用管路50の水抜き時に調整することなくエアを給水用管路50に送り込んでしまうと給水用管路50が破裂する虞がある。しかしながら、本実施の形態の医療用装置100は、接続弁801よりもエア元60aの側の第5分岐エア供給管路66に圧力調整部803を備える。これにより、給水用管路50に供給されるエアの圧力を調整することができるので、給水用管路50の破裂を防止することができる。
本実施の形態の医療用装置100では、給水用管路50の水抜きのために、媒体導管20内に別途管路を設ける必要がない。媒体導管20内の管路数が増えないため媒体導管20の柔軟性が損なわれることを抑制できる。さらに、コストの増加を抑制することもできる。
本実施の形態の医療用装置100では、給水用管路50の水抜きによって排出される水はベースン2bへ排出される。給水用管路50の水抜きによって排出される水の受け口を別途備える必要がなく、コストの増加を抑制することができる。
次に、図12を参照して、本実施の形態の変形例について説明する。なお、本実施の形態の変形例は、特に言及しない限り、上記の本実施の形態と同じ構成を有しており、同じ構成については同じ符号を付し、その説明を繰り返さない。
図12に示す医療用装置100Aは、比例制御弁VLを備える点で図4に示す医療用装置100と異なる。比例制御弁VLは、電磁弁である。比例制御弁VLは、主給水管路51に配置され、供給用開閉弁40aよりも水元50aの側に配置されている。比例制御弁VLは、第1分岐給水管路52、第2分岐給水管路53、および第3分岐給水管路54の各給水管路を流れる水の流量を調整する。従来、各診療用ハンドピース30にニードルバルブをそれぞれ設けて診療の際にドクターの好みの水の流量に調整していた。しかし、変形例のように比例制御弁VLを設けることで、各診療用ハンドピース30にニードルバルブをそれぞれ設けなくても、診療の際にドクターの好みの水の流量に調整することができる。比例制御弁VLの開閉は、制御部160によって制御される。制御部160は、比例制御弁VLを制御して、洗浄、フラッシング、または水抜きの際に各給水管路を流れる水の流量が診療の際よりも多くなるように調整する。但し、診療の際に各給水管路を流れる水の流量が最大となるように設定されている場合には、洗浄、フラッシング、または水抜きの際にも各給水管路を流れる水の流量を最大となるように調整する。変形例の医療用装置100Aでは、比例制御弁VLにより、水抜きの際に各給水管路を流れる水の流量が最大、もしくは、診療の際よりも多くなるため、より効率よく水抜きを行うことができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。