JP7088199B2 - 状態判定装置、状態判定方法、及びプログラム - Google Patents

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Description

本発明は、構造物の劣化状態を判定するための、状態判定装置、及び状態判定方法に関し、更には、これらを実現するためのプログラムに関する。
トンネルや橋梁などのコンクリート構造物においては、構造物の表面に発生するひび割れ、剥離、内部空洞などの欠陥が、構造物の健全度に影響を及ぼすことが知られている。そのため、これらの欠陥を正確に検出することが必要となる。
構造物のひび割れ、剥離、内部空洞などの欠陥の検出は、検査員による目視検査や打音検査によって行われてきており、検査のためには検査員が構造物に接近する必要がある。そのため、空中での作業ができる環境を整えることによる作業コストの増加、作業環境設定のために交通規制をすることによる経済的機会の損失などが問題となっており、検査員が構造物を遠隔より検査する方法が望まれている。
構造物を遠隔から検査する方法としては、例えば、構造物である橋梁を撮像装置で撮像して得られた画像から橋梁のたわみ量分布を測定して構造物の異常を検知する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、その他に、構造物の表面歪を計測してその疲労度を測定する方法(例えば、特許文献2参照)も提案されている。
特開2016-84579号公報 特開2014-109536号公報
ところで、特許文献1に開示された方法では、構造物の異常の検知にはたわみ量の分布のみが用いられている。また、特許文献2に開示された方法では、構造物の疲労度の測定には、表面歪の計測のみによって行なわれている。つまり、特許文献1及び2に開示された方法では、構造物のたわみ量及び表面歪の一方のみを用いて検査が行なわれるため、その精度に問題がある。
一方、特許文献1に開示された方法と特許文献2に開示された方法とを組合せれば、構造物のたわみ量及び表面歪の両方を用いて検査を行なうことができるが、この場合、両者の関係性を考慮できなければ、適正な検査は困難である。これは、構造物の状態によって、たわみ量及び表面歪に表われる影響は異なるからである。
本発明の目的の一例は、上記問題を解消し、構造物のたわみ量及び表面歪みの両方を用いて、構造物の劣化状態を適正に判定し得る、状態判定装置、状態判定方法、及びプログラムを提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の一側面における状態判定装置は、構造物の状態を判定するための装置であって、
前記構造物のたわみ量及び表面変位量を計測する、計測部と、
計測された前記たわみ量及び前記表面変位量を用いて統計処理を実行する、統計処理部と、
前記統計処理の結果に基づいて、前記構造物の劣化状態を判定する、劣化状態判定部と、を備えていることを特徴とする。
また、上記目的を達成するため、本発明の一側面における状態判定方法は、構造物の状態を判定するための方法であって、
(a)前記構造物のたわみ量及び表面変位量を計測する、ステップと、
(b)計測された前記たわみ量及び前記表面変位量を用いて統計処理を実行する、ステップと、
(c)前記統計処理の結果に基づいて、前記構造物の劣化状態を判定する、ステップと、を有することを特徴とする。
更に、上記目的を達成するため、本発明の一側面におけるプログラムは、コンピュータによって、構造物の状態を判定するためのプログラムあって、
前記コンピュータに、
(a)前記構造物のたわみ量及び表面変位量を計測する、ステップと、
(b)計測された前記たわみ量及び前記表面変位量を用いて統計処理を実行する、ステップと、
(c)前記統計処理の結果に基づいて、前記構造物の劣化状態を判定する、ステップと、を実行させることを特徴とする。
以上のように本発明によれば、構造物のたわみ量及び表面歪みの両方を用いて、構造物の劣化状態を適正に判定することができる。
図1は、本発明の実施の形態1における状態判定装置の概略構成を示すブロック図である。 図2は、本発明の実施の形態1における状態判定装置の構成を具体的に示すブロック図である。 図3は、本発明の実施の形態1において判定対象となる構造物のたわみ量と表面変位量とを説明する図である。 図4は、構造物のたわみによって生じる時系列画像上の像の変位を示す図である。 図5は、基準面の時系列画像における変位ベクトルの一例を示す図である。 図6は、本発明の実施の形態1において算出されるたわみ量δ(x)を説明するための図であり、図6(a)は構造物に相当する梁を示し、図6(b)は梁の一部を拡大して示している。 図7(a)~(c)は、構造物におけるたわみ量と表面変位量との関係を示す図であり、各図はそれぞれ構造物の状態が異なる場合を示している。 図8は、構造物が橋梁である場合の橋梁にかかる荷重を説明するための図である。 図9(a)~(c)は、図8の例における構造物のたわみ量と表面変位量との関係の一例を示す図であり、各図はそれぞれ構造物の状態が異なる場合を示している。 図10は、本発明の実施の形態1における状態判定装置の動作を示すフロー図である。 図11(a)は、本発明の実施の形態2において算出されるたわみ量を構造物の例を用いて説明する図であり、図11(b)は、図11(a)に示された構造物の下面を示す図である。 図12(a)~(c)は、構造物の下面における劣化状態の例を示す図であり、それぞれ異なる状態を示している。 図13(a)~(c)は、構造物のたわみ量の差分と表面変位量との関係の一例を示す図であり、それぞれ構造物の状態が異なる場合を示している。 図14(a)及び(b)は、構造物のたわみ量の差分と表面変位量との関係の他の例を示す図であり、それぞれ構造物の状態が異なる場合を示している。 図15は、本発明の実施の形態2における状態判定装置の動作を示すフロー図である。 図16は、本発明の実施の形態3において算出されるたわみ量を構造物の例を用いて説明する図である。 図17(a)~(d)は、橋梁を車両が通過した場合における橋梁のたわみ量と表面変位量との関係を示す図であり、各図において縦軸のパラメータはそれぞれ異なっている。 図18(a)は、たわみ量の時間微分の時間変化を示す図であり、図18(b)は表面変位量の時間変化を示す図であり、図18(c)は相互相関関数の時間変化を示す図である。 図19(a)~(c)は、橋梁の床版に剥離が存在する場合の状態を説明する図である。また、図19(a)は剥離の状況を具体的に示し、図19(b)は剥離している床版の下面を示し、図19(c)は、剥離が生じている部分と生じていない部分とのたわみ量の時間変化を示している。 図20は、本発明の実施の形態4において算出されるたわみ量を構造物の例を用いて説明する図である。 図21は、本発明の実施の形態4における状態判定装置の動作を示すフロー図である。 図22(a)及び(b)は、本発明の実施の形態における応用例1での2つ以上の相関係数を用いた劣化状態の判定処理を説明する図である。図22(a)は2つの相関係数を用いる場合を示しており、図22(b)は3つの相関係数を用いる場合を示している。 図23(a)は、本発明の実施の形態における応用例2での橋梁のたわみ量及び表面変位量の計測を説明する図であり、図23(b)は、図23(a)に示した橋梁のたわみ曲線を示す図である。 図24は、本発明の実施の形態1~4における状態判定装置を実現するコンピュータの一例を示すブロック図である。
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1における、状態判定装置、状態判定方法、及びプログラムについて、図1~図10を参照しながら説明する。但し、以下に述べる実施の形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がされているが、発明の範囲を以下に限定するものではない。
[装置構成]
最初に、図1を用いて本実施の形態1における状態判定装置の概略構成について説明する。図1は、本発明の実施の形態1における状態判定装置の概略構成を示すブロック図である。
図1に示す、本実施の形態1における状態判定装置100は、構造物の状態を判定するための装置である。図1に示すように、状態判定装置100は、計測部10と、統計処理部20と、劣化状態判定部30とを備えている。
計測部10は、構造物のたわみ量及び表面変位量を計測する。統計処理部20は、計測されたたわみ量及び表面変位量を用いて統計処理を実行する。劣化状態判定部30は、統計処理の結果に基づいて、構造物の劣化状態を判定する。
このように、本実施の形態1では、状態判定装置100は、構造物のたわみ量と表面変位量(表面歪)との両方を用いて統計処理を実行し、両者の関係を特定することができる。このため、本実施の形態1によれば、構造物の劣化状態を適正に判定することができる。
続いて、図2~図9を用いて本実施の形態1における状態判定装置100の構成についてより具体的に説明する。図2は、本発明の実施の形態1における状態判定装置の構成を具体的に示すブロック図である。図3は、本発明の実施の形態1において判定対象となる構造物のたわみ量と表面変位量とを説明する図である。
図2に示すように、本実施の形態1では、対象となる構造物200は、橋梁である。図2においては、構造物200は、簡略化して表示されている。また、図2に示すように、本実施の形態1では、状態判定装置100は、撮像装置50に接続されている。
また、本実施の形態1では、撮像装置50は、橋梁の下面の領域(床版)が撮影対象領域となるように配置され、撮影対象領域の時系列画像の画像データを出力する。出力された画像データは、計測部10に入力される。具体的には、構造物200の長手方向をx方向、幅方向をy方向、鉛直方向をz方向とすると、撮像装置50は、時系列画像の水平方向がx方向と一致し、時系列画像の垂直方向がy方向と一致し、更に、撮像面の法線が鉛直方向と一致するように配置されている。
計測部10は、本実施の形態1では、変位検出部11と、たわみ量算出部12と、表面変位量算出部13とを備えている。計測部10は、この構成により、撮像装置50から出力された画像データに基づいて、図3に示す構造物200のたわみ量δと表面変位量△xとを計測する。
変位検出部11は、任意の時刻に撮像された画像を基準画像とし、それ以外を処理画像とする。そして、変位検出部11は、処理画像毎に基準画像との差分を求め、求めた差分から、x方向及びz方向における変位を検出する。たわみ量算出部12は、検出された変位に基づいて、構造物200のz方向におけるたわみ量δを算出する。表面変位量算出部13は、検出された変位から、構造物のたわみに起因する変位を除去して、構造物200のx方向における表面変位量△xを算出する。
ここで、図4及び図5を用いて、計測部10における処理について具体的に説明する。図4は、構造物のたわみによって生じる時系列画像上の像の変位を示す図である。
まず、構造物200の一部(例えば、橋梁の荷重を受けた部分)が鉛直方向に沿って移動すると、撮影対象領域も鉛直方向に沿って移動するため、時系列画像上の像は、移動に合わせて拡大又は縮小することになる。従って、構造物のたわみ量をδとすると、図4に示すように、撮像装置50の撮像面には、x方向における構造物200の移動によって生じる変位Δxとは別に、たわみ量δによる変位δxが生じる。同様に、撮像装置50の撮像面には、y方向における構造物200の移動によって生じる変位Δyとは別に、たわみ量δによる変位δyも生じる。また、このとき、x方向における構造物200の移動量を△xとし、y方向における構造物200の移動量を△yとする。
ここで、たわみ量δによる変位δx及びδyを「面外変位」と表記し、構造物200のx方向及びy方向への移動による変位Δx及びΔyを「面内変位」と表記する。また、撮影対象領域と撮像装置50との撮像距離をL、撮像装置50のレンズ焦点距離をf、撮影対象領域の中心からの座標を(x、y)とすると、面外変位δx、面外変位δy、面内変位Δx、及び面内変位Δyは、それぞれ、下記の数1、数2、数3、数4で表される。
Figure 0007088199000001
Figure 0007088199000002
Figure 0007088199000003
Figure 0007088199000004
また、上記の数1及び数2を面外変位ベクトルδi(δx,δy)としてまとめると、下記の数5に示す通りとなる。上記の数3及び数4を面内変位ベクトルΔi(Δx,Δy)としてまとめると、下記の数6に示す通りとなる。
Figure 0007088199000005
Figure 0007088199000006
図5は、基準面の時系列画像における変位ベクトルの一例を示す図である。具体的には、図5は、上記の数5及び数6で示される面外変位ベクトルδi(δx,δy)と面内変位ベクトルΔi(Δx,Δy)との関係を示している。図5に示すように、面外変位ベクトルδi(δx,δy)は、放射状のベクトル群(図5中細実線の矢印)となり、その大きさR(x,y)は、上記の数1及び数2から、下記の数7に示す通りとなる。下記の数7に示すように、たわみ量δが一定であれば、その大きさは撮像中心からの距離に比例した値となる。また、比例定数を下記の数8に示すようにkと置けば、下記の数7は数9のようにも表される。
Figure 0007088199000007
Figure 0007088199000008
Figure 0007088199000009
また、変位分布は、面外変位ベクトルδi(δx,δy)(図5中細実線の矢印)と、面内変位ベクトルΔi(Δx,Δy)(図5中太実線の矢印)との合成ベクトルである(図5中点線の矢印)。この合成ベクトルを、計測ベクトルV(Vx,Vy)とし、その大きさをRmes(x,y)とすると、これらは下記の数10及び数11によって表すことができる。本実施の形態1では、変位検出部11は、変位として、下記の数10に示すRmes(x,y)と、下記の数11に示す計測ベクトルV(V,V)とを算出する。
Figure 0007088199000010
Figure 0007088199000011
ところで、たわみ量δが大きくなると、面外変位ベクトルδi(δx,δy)の大きさR(x,y)も大きくなる。そして、R(x,y)の拡大率は、上記の数8で与えられる比例定数kに相当する。また、面内変位ベクトルΔi(Δxi,Δyi)に比べて面外変位ベクトルの大きさR(x,y)が大きい場合、計測ベクトルV(Vx,Vy)の大きさRmes(x,y)は、面外変位ベクトルの大きさR(x,y)と同様に変化する。このため、Rmes(x,y)から、R(x,y)の拡大率を推定することが可能となる。具体的には、R(x,y)の拡大率は、下記の数12に示す評価関数E(k)を最少にする比例定数kを求めることによって推定することができる。
Figure 0007088199000012
従って、本実施の形態1では、たわみ量算出部12は、上記の数12に最小2乗法を適用して、拡大係数kを算出する。なお、評価関数E(k)として、上記の数12に示したRmes(x,y)とR(x,y)の差の2乗和以外に、絶対値和、他の累乗和等が用いられていても良い。さらに、移動前後の撮像領域の拡大率が求められるのであれば、たわみ量算出部12は、どのようなアルゴリズムを用いてもよい。
そして、たわみ量算出部12は、算出した拡大係数kを上記数8に適用して、たわみ量δを算出する。また、表面変位量算出部13は、たわみ量δを、上記数5に代入して、面外変位ベクトルδi(δx,δy)を算出する。更に、表面変位量算出部13は、変位検出部11によって算出されている計測ベクトルV(Vx,Vy)から、算出した面外変位ベクトルδi(δx,δy)を減算することで、面内変位ベクトルΔi(Δx,Δy)を算出する(上記数11参照)。
その後、表面変位量算出部13は、更に、算出した面内変位ベクトルΔi(Δx,Δy)と、たわみ量δとを、上記の数6に適用して、構造物の表面変位量△x及び△yを算出する。本実施の形態1では、表面変位量算出部13は、x方向における表面変位量△xのみを算出しても良い。
なお、上述の例では、たわみ量も時系列画像から算出されているが、本実施の形態1では、撮像装置50に加えて、構造物200と撮像装置50との距離を測定する測距装置が備えられていても良い。この場合は、計測部10は、測距装置からのデータに基づいてたわみ量を計測することになる。測距装置の例としては、レーザ距離計、接触型の加速度計、歪みセンサを用いた距離計が挙げられる。また、レーザ距離計としては、レーザ干渉変位計、光切断法を用いたレーザ距離計、Time-of-Flight型レーザ変位計、レーザドップラー速度計が挙げられる。
ところで、たわみ量δは、構造物200の部分及び加重のかかっている位置によって変化する。よって、たわみ量δは、xにおけるたわみ量δ(x)と表記することができる。また、xにおける表面変位量は△x(x)と表記することもできる。
ここで、構造物200の劣化状態を判定するための前提として、図6を用いて、たわみ量δ(x)について説明する。図6は、本発明の実施の形態1において算出されるたわみ量δ(x)を説明するための図であり、図6(a)は構造物に相当する梁を示し、図6(b)は梁の一部を拡大して示している。
図6(a)に示すように、両持ち梁のa:bで内分される1点に集中荷重が与えられているとする。この場合、たわみ量δ(x)は、下記の数13及び数14で与えられる。ここで、Lは梁の支間長、mは荷重、Eはヤング率、Iは梁の断面2次モーメント、gは重力加速度である。さらに、荷重位置をx、計測位置をxとして整理すると、下記の数13及び数14は、それぞれ数15及び数16に示す通りとなる。
Figure 0007088199000013
Figure 0007088199000014
Figure 0007088199000015
Figure 0007088199000016
また、図6(b)に示す関係から分かるように、計測位置xoにおける表面変位Δx(xo)は、下記の数17で示され、数15及び数16と同様に荷重mgに比例する。なお、ここでhは梁の中立線から下部表面までの距離である。
Figure 0007088199000017
また、図2に示したように、本実施の形態1では、状態判定装置100は、計測部10、統計処理部20、及び劣化状態判定部30に加えて、前処理部40を備えている。前処理部40は、統計処理部20による統計処理の前に、前処理として、計測部10によって計測されたたわみ量δと表面変位量△xとを計測時の条件に関連付けて記録する。具体的には、後述の図8に示す例では、前処理部40は、構造物200である橋梁を通過する車両毎に、たわみ量δと表面変位量△xとを記録する。
また、統計処理部20は、本実施の形態1では、前処理部40が記録した、荷重毎のたわみ量δ(x)と表面変位量△x(x)とに基づいて、たわみ量δ(x)と表面変位量△x(x)との関係を求める。そして、劣化状態判定部30は、統計処理部20によって求められた関係に基づいて、構造物200の劣化状態を判定する。
続いて、図7を用いて、統計処理部20による統計処理について具体的に説明する。図7(a)~(c)は、構造物におけるたわみ量と表面変位量との関係を示す図であり、各図はそれぞれ構造物の状態が異なる場合を示している。また、図7(a)~(c)それぞれにおいて、左図は劣化状態にある構造物の概略構成を示し、中央図は荷重が増加している場合のたわみ量及び表面変位量の変化を示し、右図は荷重が減少している場合のたわみ量及び表面変位量の変化を示している。
図7(a)の左図に示すように、構造物に浅いひびが入った場合は、引張応力が発生している表面付近では、計測位置xにおいては、上記数17に示した場合と同様に、たわみ量δ(x)及び表面変位Δx(x)は、共に荷重mgに比例して変化する。従って、図7(a)の中央図及び右図に示すように、荷重mgの加減に応じて、たわみ量δ(x)と表面変位量Δx(x)とは、同じ傾向で変化する。
また、図7(b)の左図に示すように、構造物に発生したひびが深く成長した場合は、表面付近のひびの周辺は、引張応力成分(応力場)は大きく曲がり、表面近傍での引張応力は小さくなる。このため、図7(b)の中央図及び右図に示すように、図7(a)の場合と比べて、同じ荷重mgが加わったときに、表面変位量Δx(x)は、たわみ量δ(x)に比べて小さく変化する傾向がある。また、これにより計測位置xにおける荷重mgが増加傾向にあるとき(図7(b)中央図)と、荷重mgが減少傾向にあるとき(図7(b)右図)とで、たわみ量δ(x)と表面変位量Δx(x)との関係は異なったものとなる。
さらに、図7(c)の左図に示すように、構造物に複数のひびが形成された場合は、引張応力による応力場の曲がりは小さくなる。また、複数のひびによる表面の断裂のため、構造物の表面は動きやすくなる。このため、図7(c)の中央図及び右図に示すように、たわみ量δ(x)と表面変位量Δx(x)との関係が図7(a)に示した比例関係に近くなるが、図7(a)の場合と比べて、同じ荷重mgが加わったときに、表面変位量Δx(x)は、たわみ量δ(x)に比べてやや大きく変化する傾向がある。また、図7(c)においても、計測位置xにおける荷重mgが増加傾向にあるとき(中央図)と、荷重mgが減少傾向にあるとき(右図)とで、たわみ量δ(x)と表面変位量Δx(x)との関係は異なったものとなる。
このように、力学的な原理から、同一の荷重が印加されている条件下においては、構造物200おけるたわみ量δ(x)と表面変位量Δx(x)との関係は、構造物200の劣化状態に応じて異なる結果となる。よって、これらの関係を捉えることができれば、構造物200の状態を判定することができる。このため、統計処理部20は、上述したように、前処理部40が記録した、計測時の条件(通過する車両)毎のたわみ量δ(x)と表面変位量△x(x)とに基づいて、たわみ量δ(x)と表面変位量△x(x)との関係を求める。
具体的には、統計処理部20は、計測時の条件(通過する車両)毎のたわみ量δ(x)と表面変位量△x(x)とに基づいて、たわみ量δ(x)と表面変位量△x(x)との関係として、両者の相関係数を算出する。相関係数の算出式は特に限定されるものではないが、本実施の形態1では、例えば、下記の数18に示す算出式を用いることができる。下記の数18において、δ(x)は、通過する車両毎のたわみ量を示し、△x(x)は、通過する車両毎の表面変位量を示している。
Figure 0007088199000018
劣化状態判定部30は、統計処理部20が算出した相関係数を、予め作成されたルックアップテーブルに照合することによって、構造物200の劣化状態を判定する。ルックアップテーブルは、相関係数の値と構造物200の劣化状態との関係が登録されている。
続いて、図8及び図9を用いて、劣化状態判定部30による劣化状態の判定について具体的に説明する。図8は、構造物が橋梁である場合の橋梁にかかる荷重を説明するための図である。図9(a)~(c)は、図8の例における構造物のたわみ量と表面変位量との関係の一例を示す図であり、各図はそれぞれ構造物の状態が異なる場合を示している。
図8に示すように、構造物200である橋梁(以下「橋梁200」とも表記する)は、床版210と橋桁220とを備えている。撮像装置50は、橋梁200の床版210の下面が撮影対象領域となるように、計測位置xに配置されている。また、橋梁200の上を車両230が通過すると、橋梁200には荷重がかかる。撮像装置50は、車両230が橋梁200を通過する際の撮影対象領域の時系列画像の画像データを出力する。
計測部10は、出力されてきた画像データから、橋梁200を車両230が通過する度に、たわみ量δ(x)と表面変位量△x(x)とを計測する。計測された結果は、構造物200の劣化状態に応じて、図9(a)~(c)に示す通りとなる。また、図9(a)~(c)は、重量が異なる複数の車両が橋梁200を通過した場合において、複数の車両230それぞれ毎に、たわみ量δ(x)と表面変位量△x(x)とで特定される点をプロットすることで得られている。
図9(a)の例では、橋梁200は、床版210が健全である状態、又は床版210に浅いひびが発生している状態(図7(a)参照)にある。図9(a)に示す状態では、図7(a)の中央図及び右図に示したように、車両230が通過する荷重に応じて生じるたわみ量δ(x)と表面変位量△x(x)とは、共に、上記数17に示したように荷重に比例して変化する。従って、図9(a)に示すように、車両毎の点は、一直線上にプロットされることなる。具体的には、車両1(重量:軽)の点と、車両2(重量:重)の点とは、同じ直線上にプロットされる。
図9(b)の例では、橋梁200は、床版210に深いひびが発生している状態(図7(b)参照)にある。図9(b)に示す状態では、図7(b)の中央図及び右図に示したように、表面変位量Δx(x)は、たわみ量δ(x)に比べて小さく変化し、両者の関係は、計測位置xでの荷重が増加傾向にあるときと減少傾向にあるときとで異なったものとなる。従って、図9(b)に示すように、たわみ量δ(x)と表面変位量△x(x)とで特定される点は、車両毎に2点となると共に、直線から外れた位置にプロットされる。
図9(c)の例では、橋梁200は、床版210に複数のひびが発生している状態(図7(c)参照)にある。図9(c)に示す状態では、図7(c)の中央図及び右図に示したように、たわみ量δ(x)と表面変位量Δx(x)との関係は比例関係に近いが、表面変位量Δx(x)は、たわみ量δ(x)に比べてやや大きく変化する。また、この場合も、両者の関係は、計測位置xでの荷重が増加傾向にあるときと減少傾向にあるときとで異なったものとなる。従って、図9(c)に示すように、たわみ量δ(x)と表面変位量△x(x)とで特定される点は、車両毎に2点となると共に、直線からやや外れた位置にプロットされる。
また、図9(a)、図9(b)、及び図9(c)それぞれに示したたわみ量δ(x)と表面変位Δx(x)とを、上記数18に適用して、相関係数を算出したところ、相関係数はそれぞれ0.98、0.90、0.80であった。このことは、たわみ量δ(x)と表面変位Δx(x)との相関係数を用いれば、橋梁200の劣化状態を判定できることを示している。従って、本実施の形態1では、この相関係数と橋梁の状態とを関連付けて、上述のルックアップテーブルが作成され、劣化状態判定部30は、このルックアップテーブルを用いて劣化状態を判定する。
[装置動作]
次に、本発明の実施の形態1における状態判定装置100の動作について図10を用いて説明する。図10は、本発明の実施の形態1における状態判定装置の動作を示すフロー図である。以下の説明においては、適宜図1~図9を参酌する。また、本実施の形態1では、状態判定装置100を動作させることによって、状態判定方法が実施される。よって、本実施の形態1における状態判定方法の説明は、以下の状態判定装置100の動作説明に代える。
図10に示すように、最初に、計測部10は、撮像装置50から画像データを取得し、取得した画像データに基づいて、構造物200のたわみ量δ(x)及び表面変位量Δx(x)を計測する(ステップA1)。
次に、前処理部40は、ステップA1で計測されたたわみ量δ(x)と表面変位量Δx(x)とを、計測時に構造物200を通過する車両230と関連付けて記録する(ステップA2)。ステップA1及びA2は、十分な量のデータが記録されるまで繰り返し実行される。
次に、統計処理部20は、ステップA2で記録されたデータを用いて、たわみ量δ(x)と表面変位量△x(x)との相関係数を算出する(ステップA3)。具体的には、統計処理部20は、まず、車両毎に、たわみ量δ(x)の最大値と、その時の表面変位量△x(x)とを特定する。そして、統計処理部20は、特定した車両毎のたわみ量δ(x)及び表面変位量△x(x)を、δ(x)及び△x(x)として、上記数18を用いて相関係数を算出する。
次に、劣化状態判定部30は、ステップA3で算出した相関係数を、予め作成されたルックアップテーブルに照合することによって、構造物200の劣化状態を判定する(ステップA4)。その後、劣化状態判定部30は、判定結果を外部に出力する。
[実施の形態1における効果]
以上のように、本実施の形態1では、構造物200のたわみ量δ(x)と表面変位量Δx(x)との相関係数が求められ、相関係数に基づいて、構造物200の劣化状態が判定される。相関係数の値は、構造物200の劣化状態に応じて異なるため、本実施の形態1によれば、構造物200の劣化状態を適切に判定することができる。
また、上述の例では、統計処理部20は、統計処理として、たわみ量δ(x)と表面変位量Δx(x)との相関係数を算出しているが、統計処理は相関係数の算出処理に限定されるものではない。統計処理は、たわみ量δ(x)と表面変位量Δx(x)との関係を特定できる処理であれば良い。
更に、上述の例では、劣化状態判定部30は、ルックアップテーブルを用いて劣化状態の判定を行なっているが、本実施の形態1では、劣化状態の判定処理はこれに限定されるものではない。例えば、本実施の形態1では、劣化状態判定部30は、機械学習によって、相関係数等の指標と劣化状態との対応関係を学習して学習モデルを生成し、生成した学習モデルを用いて劣化状態を判定することもできる。
[プログラム]
本実施の形態1におけるプログラムは、コンピュータに、図10に示すステップA1~A4を実行させるプログラムであれば良い。このプログラムをコンピュータにインストールし、実行することによって、本実施の形態1における状態判定装置100と状態判定方法とを実現することができる。この場合、コンピュータのCPU(Central Processing Unit)は、計測部10、統計処理部20、劣化状態判定部30、及び前処理部40として機能し、処理を行なう。
また、本実施の形態1におけるプログラムは、複数のコンピュータによって構築されたコンピュータシステムによって実行されても良い。この場合は、例えば、各コンピュータが、それぞれ、計測部10、統計処理部20、劣化状態判定部30、及び前処理部40のいずれかとして機能しても良い。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2における状態判定装置、状態判定方法、及びプログラムについて、図11~図15を参照しながら説明する。
[装置構成]
最初に、本実施の形態2における状態判定装置の構成について説明する。本実施の形態2における状態判定装置の構成は、図2に示した実施の形態1における状態判定装置100と同様に構成されている。但し、本実施の形態2における状態判定装置は、統計処理部20及び前処理部40における処理の点で、実施の形態1における状態判定装置100と異なっている。以下、実施の形態1との相違点を中心に説明する。また、以下の説明においては、判定対象となる構造物200は、橋梁であるとする。また、適宜図1及び図2を参照する。
本実施の形態2では、計測部10は、車両通過時のたわみ量の差分Δδ(x,t)を計算する。前処理部40は、橋梁200を通過する車両毎に、計算されたわみ量の差分Δδ(x,t)と、それと同時刻における表面変位量Δx(x,t)とを記録する。
また、本実施の形態2では、統計処理部20は、たわみ量の差分Δδ(x,t)と、それと同時刻における表面変位量Δx(x,t)との相関係数を算出する。劣化状態判定部30は、統計処理部20が算出した相関係数を、予め作成されたルックアップテーブルに照合することによって、構造物200の劣化状態を判定する。
ここで、本実施の形態2における構造物(橋梁)200の劣化状態の判定について具体的に説明するため、まず、図11を用いて、たわみ量の差分△δ(x,t)について説明する。図11(a)は、本発明の実施の形態2において算出されるたわみ量を構造物の例を用いて説明する図であり、図11(b)は、図11(a)に示された構造物の下面を示す図である。
図11(a)に示すように、橋梁200である両もち梁の載荷位置xに荷重がかかっているとする。また、本実施の形態2では、計測位置はxoとxo’との2箇所であり、このうち、計測位置xoは図11(b)に示す領域201に存在し、計測位置xo’は図11(b)に示す領域202に存在しているとする。
計測部10は、本実施の形態2では、図11(b)に示す領域201の計測位置xoにおけるたわみ量δ(xo,t)と領域202の計測位置xo’におけるたわみ量δ(xo’ ,t)とを計測し、更に、領域201の計測位置xoにおける表面変位量(移動量)△x(xo,t)を計測する。
ところで、たわみ量の差分Δδ(x,t)=δ(x’,t)‐δ(x,t)を求めれば、たわみ量δ(x,t)をxで微分した値に比例する値が得られる。このため、本実施の形態2では、たわみ量の差分Δδ(x,t)と表面変位Δx(x,t)とが、各時刻tにおいて比較される。
続いて、図12及び図13を用いて、劣化状態の判定の具体例について説明する。図12(a)~(c)は、構造物の下面における劣化状態の例を示す図であり、それぞれ異なる状態を示している。図13(a)~(c)は、構造物のたわみ量の差分と表面変位量との関係の一例を示す図であり、それぞれ構造物の状態が異なる場合を示している。
図12(a)の例では、橋梁200は、床版が健全である状態、又は床版に浅いひびが発生している状態にある。この場合、上記数17に示した関係から、たわみ量の差分Δδ(x,t)と表面変位量Δx(x,t)とは比例する。よって、図13(a)に示すように、たわみ量の差分Δδ(x,t)と表面変位量Δx(x,t)とで特定される点は、時刻tにかかわらず、全て同じ直線上にプロットされる。
また、図12(b)の例では、橋梁200は、床版に1方向に沿ったひびが発生している状態にある。この場合、ひびにより、橋梁200に生じる応力の伝達が阻まれるため、上記数15及び上記数16の関係が成り立たなくなる。よって、図13(b)に示すように、たわみ量の差分Δδ(x,t)と表面変位量Δx(x,t)とで特定される点は、直線から外れた位置にプロットされる。
更に、図12(c)の例では、橋梁200は、床版に2方向に沿ったひびが発生している状態にある。この場合は、図12(b)の例よりもひびが増大しているため、橋梁200に生じる応力の伝達がより阻まれる。このため、図13(c)に示すように、たわみ量の差分Δδ(x,t)と表面変位量Δx(x,t)とで特定される点は、より直線から外れた位置にプロットされ、分散の程度は図13(b)の例よりも大きくなる。
また、図13(a)、図13(b)、及び図13(c)それぞれに示したたわみ量の差分Δδ(x,t)と表面変位量Δx(x,t)とを、上記数18に適用して、相関係数を算出したところ、相関係数はそれぞれ0.98、0.90、0.80であった。このことは、たわみ量の差分Δδ(x,t)と表面変位量Δx(x,t)との相関係数を用いれば、橋梁200の劣化状態を判定できることを示している。従って、本実施の形態2においても、この相関係数と橋梁の状態とを関連付けて、ルックアップテーブルが作成され、劣化状態判定部30は、このルックアップテーブルを用いて劣化状態を判定する。
また、図14(a)及び(b)は、構造物のたわみ量の差分と表面変位量との関係の他の例を示す図であり、それぞれ構造物の状態が異なる場合を示している。
図14(a)の例では、橋梁200は、図12(a)の例と同様に、床版が健全である状態、又は床版に浅いひびが発生している状態にあり、たわみ量の差分Δδ(x,t)と表面変位Δx(x,t)とで特定される点は、時刻tにかかわらず、全て同じ直線上にプロットされる。
一方、図14(b)の例でも、たわみ量の差分Δδ(x,t)と表面変位Δx(x,t)とで特定される点は、時刻tにかかわらず、全て同じ直線上にプロットされているが、直線の傾きは、図14(a)の場合よりも小さくなっている。これは、図14(a)の例では、橋梁200の床版に目視困難な微小なひび割れであるマイクロクラックが発生しているからである。
このため、本実施の形態2においては、劣化状態判定部30は、相関係数から、たわみ量の差分Δδ(x,t)と表面変位Δx(x,t)とで特定される点が同じ直線上にあると判定できる場合は、直線の傾きを求める。そして、劣化状態判定部30は、直線の傾きが閾値以下である場合は、橋梁200にマイクロクラックが発生していると判定する。
[装置動作]
次に、本発明の実施の形態2における状態判定装置の動作について図15を用いて説明する。図15は、本発明の実施の形態2における状態判定装置の動作を示すフロー図である。以下の説明においては、適宜図1~図14を参酌する。また、本実施の形態2では、状態判定装置を動作させることによって、状態判定方法が実施される。よって、本実施の形態における状態判定方法の説明は、以下の状態判定装置の動作説明に代える。
図15に示すように、最初に、計測部10は、撮像装置50から画像データを取得し、取得した画像データに基づいて、計測位置xoにおけるたわみ量δ(xo,t)、計測位置xo’におけるたわみ量δ(xo’,t)、及び表面変位量Δx(x,t)を計測する(ステップB1)。
次に、計測部10は、計測した、計測位置xoにおけるたわみ量δ(xo,t)と計測位置xo’におけるたわみ量δ(xo’ ,t)とを用いて、車両通過時のたわみ量の差分Δδ(x,t)を計算する(ステップB2)。
次に、前処理部40は、ステップB1、B2で計測されたたわみ量の差分△δ(x,t)と表面変位量Δx(x,t)とを、計測時に構造物200を通過する車両230と関連付けて記録する(ステップB3)。ステップB1~B3は、十分な量のデータが記録されるまで繰り返し実行される。
次に、統計処理部20は、ステップB3で記録されたデータを用いて、たわみ量の差分△δ(x,t)と表面変位量Δx(x,t)との相関係数を算出する(ステップB4)。
次に、劣化状態判定部30は、ステップB4で算出した相関係数を、予め作成されたルックアップテーブルに照合することによって、橋梁200の劣化状態を判定する(ステップB5)。その後、劣化状態判定部30は、判定結果を外部に出力する。
また、ステップB5では、劣化状態判定部30は、相関係数に基づいて、たわみ量の差分Δδ(x,t)と表面変位量Δx(x,t)とで特定される点が同じ直線上にあるかどうかを判定することができる。判定の結果、同じ直線上にある場合は、劣化状態判定部30は、直線の傾きを求め、直線の傾きが閾値以下である場合は、橋梁200にマイクロクラックが発生していると判定する。
[実施の形態2における効果]
以上のように、本実施の形態2では、構造物200のたわみ量の差分Δδ(x,t)と表面変位量Δx(x,t)との相関係数が求められ、相関係数に基づいて、構造物200の劣化状態が判定される。相関係数の値は、構造物200の劣化状態に応じて異なるため、本実施の形態2によっても、構造物200の劣化状態を適切に判定することができる。
更に、本実施の形態2においても、実施の形態1と同様に、劣化状態判定部30は、機械学習によって、相関係数等の指標と劣化状態との対応関係を学習して学習モデルを生成し、生成した学習モデルを用いて劣化状態を判定することもできる。
[プログラム]
本実施の形態2におけるプログラムは、コンピュータに、図15に示すステップB1~B5を実行させるプログラムであれば良い。このプログラムをコンピュータにインストールし、実行することによって、本実施の形態2における状態判定装置と状態判定方法とを実現することができる。この場合、コンピュータのCPU(Central Processing Unit)は、計測部10、統計処理部20、劣化状態判定部30、及び前処理部40として機能し、処理を行なう。
また、本実施の形態2におけるプログラムは、複数のコンピュータによって構築されたコンピュータシステムによって実行されても良い。この場合は、例えば、各コンピュータが、それぞれ、計測部10、統計処理部20、劣化状態判定部30、及び前処理部40のいずれかとして機能しても良い。
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3における状態判定装置、状態判定方法、及びプログラムについて、図16~図19を参照しながら説明する。
本実施の形態3における状態判定装置の構成は、図2に示した実施の形態1における状態判定装置100と同様に構成されている。但し、本実施の形態3においては、統計処理部20は、前処理部40における処理の点で、実施の形態1における状態判定装置100と異なっている。以下、実施の形態1及びとの相違点を中心に説明する。また、以下の説明においては、判定対象となる構造物200は、橋梁であるとする。また、適宜図1及び図2を参照する。
本実施の形態3では、計測部10は、車両通過時のたわみ量の差分Δδ(t)を計算する。前処理部40は、橋梁200を通過する車両毎に、計算されたたわみ量の差分Δδ(t)と、それと同時刻における表面変位量Δx(x,t)とを記録する。なお、本実施の形態3において計算される、たわみ量の差分△δ(t)は、実施の形態2において計算される、たわみ量の差分Δδ(x,t)とは異なり、計測位置xoに制限される値ではない。
また、本実施の形態3では、統計処理部20は、たわみ量の差分Δδ(t)と、それと同時刻における表面変位量Δx(x,t)との相関係数を算出する。劣化状態判定部30は、統計処理部20が算出した相関係数を、予め作成されたルックアップテーブルに照合することによって、構造物200の劣化状態を判定する。
ここで、本実施の形態3における構造物(橋梁)200の劣化状態の判定について具体的に説明するため、まず、図16を用いて、たわみ量の差分△δ(t)について説明する。図16は、本発明の実施の形態3において算出されるたわみ量を構造物の例を用いて説明する図である。
まず、橋梁のたわみ量は、上記の数15及び数16で算出することができる。また、上記の数15と数16とは、荷重位置x及び計測位置xoに関して対称となっている。従って、図16に示すように、たわみ量δ(xo、x)の計測位置xoによる偏微分∂δ(xo、x)/∂xoと、たわみ量δ(xo、x)の荷重位置xによる偏微分∂δ(xo、x)/∂xとは等しくなる。
従って、図6(b)及び数17示した関係から、偏微分∂δ(xo、x)/∂xoと偏微分∂δ(xo、x)/∂xとは、表面変位Δx(x)に比例する。このため、これらの間には下記の数19で示す関係がある。
Figure 0007088199000019
ここで、車両の移動によって(図8参照)、荷重位置xが一定速度vで移動しているとする。この場合、たわみ量δ(xo、x)の荷重位置xによる偏微分∂δ(xo,x)/∂xは、下記の数20に示すように、計測位置xoにおけるたわみ量δ(xo,t)の時間微分∂δ(xo,t)/∂tで示される。
Figure 0007088199000020
図17(a)~(d)は、橋梁を車両が通過した場合における橋梁のたわみ量と表面変位量との関係を示す図であり、各図において縦軸のパラメータはそれぞれ異なっている。また、以下の説明では図8を参照する。図17(a)~(d)において、時刻A、B、Cは、図8に示した地点A、B、Cを車両230が通過する時刻である。
図17(a)は、計測位置xoにおけるたわみ量δ(x,t)の時間変化を示す図である。図17(a)から分かるように、たわみ量δ(x,t)は、車両230が計測位置xの直下を通過する時刻Bにおいて最大値となる。
図17(b)は、たわみ量δ(x,t)をxで微分して得られた値の時間変化を示している。たわみ量δ(x,t)をxで微分して得られた値は、上記の数19の関係から、図17(c)で示す表面変位Δxの時間変化と比例する。
更に、図17(d)は、たわみ量δ(x,t)を時間tで微分した値の時間変化を示している。たわみ量δ(x,t)を時間tで微分した値は、数20の関係から、図17(b)で示したたわみ量δ(x,t)をxで微分した値と、図17(c)で示した表面変位Δxの時間変化とに比例する。
従って、図11(b)に示した領域201(又は領域202)における、時刻t’でのたわみ量δ(t’)と、時刻tでのたわみ量δ(t)との差分Δδ(t)=δ(t’)‐δ(t)を求めれば、求めた差分は、たわみ量δ(x,t)をtで微分した値に比例する。
従って、上記数20で示した通り、荷重位置が一定速度vで移動している場合、たわみ量の差分△δは、実施の形態2で示したように、たわみ量δ(x,t)をxで微分した値に比例する。そのため、差分Δδ(t)と、表面変位Δx(x,t)とを比較することで、劣化状態の違いを判定することができる。
つまり、図12(a)で示したように、床版が健全である状態、又は床版に浅いひびが発生している状態では、たわみ量の差分Δδ(t)と表面変位量Δx(x,t)とは比例する。よって、この場合も、図13(a)に示すように、たわみ量の差分Δδ(t)と表面変位量Δx(x,t)とで特定される点は、時刻tにかかわらず、全て同じ直線上にプロットされる。
また、図12(b)で示したように、床版に1方向に沿ったひびが発生している状態では、ひびにより、橋梁200に生じる応力の伝達が阻まれる。よって、図13(b)に示すように、たわみ量の差分Δδ(t)と表面変位量Δx(x,t)とで特定される点は、直線から外れた位置にプロットされる。
更に、図12(c)で示したように、床版に2方向に沿ったひびが発生している状態では、ひびが増大しているため、橋梁200に生じる応力の伝達がより阻まれる。よって、図13(c)に示すように、たわみ量の差分Δδ(t)と表面変位量Δx(x,t)とで特定される点は、より直線から外れた位置にプロットされる。
また、本実施の形態3においても、たわみ量の差分Δδ(t)と表面変位量Δx(x,t)とを、上記数18に適用して、相関係数を算出することができる。この場合も、相関係数は、劣化状態に応じて異なった値となる。従って、たわみ量の差分Δδ(t)と表面変位量Δx(x,t)との相関係数を用いた場合も、橋梁200の劣化状態を判定できることを示している。従って、本実施の形態3においても、この相関係数と橋梁の状態とを関連付けて、ルックアップテーブルが作成され、劣化状態判定部30は、このルックアップテーブルを用いて劣化状態を判定する。
また、本実施の形態3では、前処理部40は、時間補償を行なうことができる。この点について、図18を用いて説明する。図18(a)は、たわみ量の時間微分の時間変化を示す図であり、図18(b)は表面変位量の時間変化を示す図であり、図18(c)は相互相関関数の時間変化を示す図である。
図8に示したように、橋梁200の上を車両230が通行する場合、車両230は、路面からの反発力を受け、更に、風等の環境の影響を受ける。従って、図12(a)及び図12(b)に示すように、計測位置xoにおいて、たわみ量δ(xo,t)の時間微分∂δ(xo,t)/∂tが立ち上がる時点と、表面変位量△x(xo,t)が立ち上がる時点との間には、時間差Tdが生じてしまう場合がある。
このような場合に対応して、本実施の形態3では、前処理部40は、時間差Tdを算出し、算出した時間差Tdを用いて、たわみ量の差分Δδ(t)を補正する。具体的には、前処理部40は、下記の数21を用いて∂δ(xo,t)/∂tと△x(xo,t)との相互相関関数C(t)を求め、更に、図18(c)に示すように、相互相関関数Cの最大ピーク値の時間を算出することによって、時間差Tdを算出する。
Figure 0007088199000021
また、図18(a)及び(b)に示すように、橋梁200には固有振動が発生し、撮像装置50自体にも振動が発生しているため、ノイズ成分が存在する。そして、ノイズ成分は数Hz以上であるのに対し、たわみ量δ及び表面変位量の変化は1秒以上継続するため、前処理部40は、例えば、カットオフ周波数2Hzのローパスフィルタを用いることで、このノイズ成分を除去することができる。
続いて、図19を用いて、橋梁200に剥離が生じていた場合の劣化状態の判定について説明する図19(a)~(c)は、橋梁の床版に剥離が存在する場合の状態を説明する図である。また、図19(a)は剥離の状況を具体的に示し、図19(b)は剥離している床版の下面を示し、図19(c)は、剥離が生じている部分と生じていない部分とのたわみ量の時間変化を示している。
図19(a)に示すように、剥離は、橋梁200の床版の表面が捲れた状態である。剥離が生じている部分と、剥離が生じていない部分とでは、同じ荷重がかかったときのたわみ量は異なった値となる。
但し、剥離状態に有る場合のたわみ量の差分Δδ(t)と表面変位量Δxとの相関係数は、ひびが発生している状態と同様になるため、剥離状態とひびが発生している状態との区別は、図19(b)に示す2つの領域それぞれのたわみ量を比較することで行う必要がある。
具体的には、図19(c)に示すように、剥離が発生している領域(図19(b)の領域202)では、剥離が発生していない領域(図19(b)の領域201)に比べて、たわみ量が大きくなる。また、剥離が発生している領域(図19(b)の領域202)でのたわみ量の時間変化と、剥離が発生していない領域(図19(b)の領域201)でのたわみ量の時間変化とは、異なっている。
このため、本実施の形態3では、劣化状態判定部30は、領域毎に、たわみ量の時間変化を求める、求めたたわみ量の時間変化を互いに比較することで、橋梁200において剥離が生じているかどうかを判定することができる。
また、本実施の形態3においても、状態判定装置は、実施の形態2と同様に、図15に示したステップB1~B5に沿って動作する。更に、本実施の形態3における状態判定方法は、本実施の形態3における状態判定装置を動作させることによって実施される。
[実施の形態3における効果]
以上のように、本実施の形態3では、構造物200のたわみ量の差分Δδ(t)と表面変位量Δx(x,t)との相関係数が求められ、相関係数に基づいて、構造物200の劣化状態が判定される。相関係数の値は、構造物200の劣化状態に応じて異なるため、本実施の形態3によっても、構造物200の劣化状態を適切に判定することができる。
更に、本実施の形態3においても、実施の形態1と同様に、劣化状態判定部30は、機械学習によって、相関係数等の指標と劣化状態との対応関係を学習して学習モデルを生成し、生成した学習モデルを用いて劣化状態を判定することもできる。
[プログラム]
本実施の形態3におけるプログラムは、コンピュータに、図15に示すステップB1~B5を実行させるプログラムであれば良い。このプログラムをコンピュータにインストールし、実行することによって、本実施の形態3における状態判定装置と状態判定方法とを実現することができる。この場合、コンピュータのCPU(Central Processing Unit)は、計測部10、統計処理部20、劣化状態判定部30、及び前処理部40として機能し、処理を行なう。
また、本実施の形態3におけるプログラムは、複数のコンピュータによって構築されたコンピュータシステムによって実行されても良い。この場合は、例えば、各コンピュータが、それぞれ、計測部10、統計処理部20、劣化状態判定部30、及び前処理部40のいずれかとして機能しても良い。
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4における状態判定装置、状態判定方法、及びプログラムについて、図20及び図21を参照しながら説明する。
[装置構成]
最初に、本実施の形態4における状態判定装置の構成について図20を用いて説明する。図20は、本発明の実施の形態4において算出されるたわみ量を構造物の例を用いて説明する図である。
本実施の形態4における状態判定装置の構成は、図2に示した実施の形態1における状態判定装置100と同様に構成されている。但し、本実施の形態4における状態判定装置は、計測部10、統計処理部20及び前処理部40における処理の点で、実施の形態1における状態判定装置100と異なっている。以下、実施の形態1との相違点を中心に説明する。また、以下の説明においては、判定対象となる構造物200は、橋梁であるとする。また、適宜図1及び図2を参照する。
本実施の形態4では、撮影対象領域が、橋梁200(図8参照)の支間長に比べて十分小さい場合に、図11(a)に示したたわみ曲線を、図20に示す直線で近似できることが利用されて、橋梁200の劣化状態が判定される。
具体的には、図20に示すように、たわみ量δ(x)は、表面歪量εx(x)に比例する。よって、本実施の形態4では、計測部10は、表面変位量Δx(x,t)から、表面歪量εx(x)を算出する。また、前処理部40は、橋梁200を通過する車両毎に、計算されたわみ量の差分δ(x,t)と、それと同時刻における表面歪量Δx(x,t)とを記録する。統計処理部20は、たわみ量δ(x,t)と表面歪量εx(x,t)とを各時刻tにおいて比較して、相関係数を算出する。
また、たわみ量δ(x,t)と表面歪量εx(x,t)とで特定される点をプロットした場合は、点の位置と橋梁200の劣化状態との関係は、実施の形態2及び3と同様となる。即ち、本実施の形態4では、図13(a)~(c)それぞれにおいて、たわみ量の差分Δδをたわみ量δ、表面変位量Δxを表面歪量εxと読み替えたグラフが適用可能となる。
従って、床版が健全である、又は床版に浅いひびが発生している場合は、たわみ量δ(x,t)と表面歪量εx(x,t)とは比例し、両者で特定される点は、時刻tにかかわらず、全て同じ直線上にプロットされる(図13(a)参照)。
また、床版に1方向に沿ったひびが発生している場合は、ひびにより、橋梁200に生じる応力の伝達が阻まれるため、たわみ量δ(x,t)と表面歪量εx(x,t)とで特定される点は、直線から外れた位置にプロットされる(図13(b)参照)。
更に、床版に2方向に沿ったひびが発生している場合は、ひびが増大しているため、橋梁200に生じる応力の伝達がより阻まれるため、たわみ量δ(x,t)と表面歪量εx(x,t)とで特定される点は、より直線から外れた位置にプロットされる。
また、本実施の形態4においても、たわみ量δ(x,t)と表面歪量εx(x,t)とを、上記数18に適用して、相関係数を算出することができる。この場合も、相関係数は、劣化状態に応じて異なった値となる。従って、たわみ量δ(x,t)と表面歪量εx(x,t)との相関係数を用いた場合も、橋梁200の劣化状態を判定できることを示している。従って、本実施の形態4においても、この相関係数と橋梁の状態とを関連付けて、ルックアップテーブルが作成され、劣化状態判定部30は、このルックアップテーブルを用いて劣化状態を判定する。
[装置動作]
次に、本発明の実施の形態4における状態判定装置の動作について図21を用いて説明する。図21は、本発明の実施の形態4における状態判定装置の動作を示すフロー図である。また、本実施の形態4では、状態判定装置を動作させることによって、状態判定方法が実施される。よって、本実施の形態4における状態判定方法の説明は、以下の状態判定装置の動作説明に代える。
図21に示すように、最初に、計測部10は、撮像装置50から画像データを取得し、取得した画像データに基づいて、計測位置xoにおけるたわみ量δ(xo,t)及び表面変位量Δx(x,t)を計測する(ステップC1)。
次に、計測部10は、計測した表面変位量Δx(x,t)を用いて、計測位置xoにおける表面歪量εx(x,t)を算出する(ステップC2)。
次に、前処理部40は、ステップC1で計測されたたわみ量δ(x,t)とステップC2で算出された表面歪量εx(x,t)とを、計測時に構造物200を通過する車両230と関連付けて記録する(ステップC3)。ステップC1~C3は、十分な量のデータが記録されるまで繰り返し実行される。
次に、統計処理部20は、ステップC3で記録されたデータを用いて、たわみ量δ(x,t)と表面歪量εx(x,t)との相関係数を算出する(ステップC4)。
次に、劣化状態判定部30は、ステップC4で算出した相関係数を、予め作成されたルックアップテーブルに照合することによって、橋梁200の劣化状態を判定する(ステップC5)。その後、劣化状態判定部30は、判定結果を外部に出力する。
[実施の形態4における効果]
以上のように、本実施の形態4では、構造物200のたわみ量Δδ(x,t)と表面歪量εx(x,t)との相関係数が求められ、相関係数に基づいて、構造物200の劣化状態が判定される。相関係数の値は、構造物200の劣化状態に応じて異なるため、本実施の形態4によっても、構造物200の劣化状態を適切に判定することができる。
更に、本実施の形態4においても、実施の形態1と同様に、劣化状態判定部30は、機械学習によって、相関係数等の指標と劣化状態との対応関係を学習して学習モデルを生成し、生成した学習モデルを用いて劣化状態を判定することもできる。
[プログラム]
本実施の形態4におけるプログラムは、コンピュータに、図21に示すステップC1~C5を実行させるプログラムであれば良い。このプログラムをコンピュータにインストールし、実行することによって、本実施の形態4における状態判定装置と状態判定方法とを実現することができる。この場合、コンピュータのCPU(Central Processing Unit)は、計測部10、統計処理部20、劣化状態判定部30、及び前処理部40として機能し、処理を行なう。
また、本実施の形態4におけるプログラムは、複数のコンピュータによって構築されたコンピュータシステムによって実行されても良い。この場合は、例えば、各コンピュータが、それぞれ、計測部10、統計処理部20、劣化状態判定部30、及び前処理部40のいずれかとして機能しても良い。
(応用例1)
ここで、本実施の形態1~4の応用例1について説明する。本応用例1では、状態判定装置は、実施の形態1~4で述べた相関係数のうちの少なくとも2つ以上を算出する機能を備えている。このため、応用例1においては、状態判定装置は、2つ以上の相関係数を用いて、構造物の劣化状態をより詳細に判定することができる。
図22(a)及び(b)は、本発明の実施の形態における応用例1での2つ以上の相関係数を用いた劣化状態の判定処理を説明する図である。図22(a)は2つの相関係数を用いる場合を示しており、図22(b)は3つの相関係数を用いる場合を示している。
図22(a)の例では、2つの相関係数R1及びR2を軸とした2次元のグラフが設定されている。また、このグラフにおいては、相関係数R1及びR2の値によって、段階的な劣化ステージが設定されている。劣化状態判定部30は、相関係数R1の値と相関係数R2の値とを用いて、予め設定されている劣化ステージを特定する。
また、図22(b)の例でも同様に、n個の相関係数R1、R2、及びRnを軸としたn次元のグラフが設定されている。また、このグラフにおいても、相関係数R1の値と、相関係数R2の値と、相関係数Rnの値とによって、段階的な劣化ステージが設定されている。劣化状態判定部30は、相関係数R1の値と、相関係数R2の値と、相関係数Rnの値とを用いて、予め設定されている劣化ステージを特定する。
図22(a)及び(b)の例では、劣化ステージとしては、健全期、潜伏期、加速期、劣化期が設定されている。なお、各劣化ステージは、実験等によって適宜設定される。例えば、図12(a)に示した状態は、健全期、又は潜伏期に設定される。また、図12(b)に示した状態は、加速期に設定される。図12(c)に示した状態は、劣化期に設定される。
このように、応用例1によれば、より詳細に構造物の劣化状態を判定することができる。また、上述した実施の形態1~4で説明した相関係数以外の関係が用いられていても良い。例えば、たわみ量と表面変位量との関係として、実験により確かめられた関係が存在する場合は、この関係を用いて劣化状態の判定が行なわれていても良い。
(応用例2)
続いて、本実施の形態1~4の応用例2について説明する。図23(a)は、本発明の実施の形態における応用例2での橋梁のたわみ量及び表面変位量の計測を説明する図であり、図23(b)は、図23(a)に示した橋梁のたわみ曲線を示す図である。
図23(a)に示すように、応用例2では、橋梁の複数の箇所が荷重されており、更に、橋梁の下面は、複数の箇所で撮影されている。具体的には、橋梁に対する荷重は、荷重位置xw1と、荷重位置xw2とで行なわれており、更に、計測位置xo1、計測位置xo2、及び計測位置xo3の3箇所で計測が行なわれている。
このような場合は、たわみ量δ(x)は、上記の数式15及び数16で得られる撓み量を重ね合わせることによって得られる。よって、計測部10は、撮像装置50毎にたわみ量を算出した後、算出した各たわみ量を重ね合わせて、たわみ量δ(x)を算出する。
(応用例3)
上述の実施の形態1~4では、橋梁に発生しているひびに起因した劣化状態を判定してうるが、本発明は、ひび以外の要因、例えば、剥離、内部空洞等に起因した劣化状態を判定することもできる。これらの要因によっても、相関係数は低下するためである。また、劣化状態判定部30は、構造物の表面に発生しているひびの有無も考慮して判定を行なうことができる。
(応用例4)
上述の実施の形態1~4では、構造物にかかる荷重として、橋梁を走行する車両を上げているが、本発明はこれに限定されるものではない。また、本発明は、橋梁以外の構造物にも適用できる。更に、構造物にたわみを生じさせる荷重は、構造物の上から与えられる場合に限定されることはない。
(その他)
また、実施の形態1~4で用いられる撮像装置50において、例えば、レンズ焦点距離は50mm、画素ピッチは5μmに設定されているのが良く、この場合、撮像距離5mにおいて500μmの画素分解能を得ることが可能となる。また、撮像装置50の撮像素子としては、モノクロで水平2000画素、垂直2000画素の画素数の撮像素子を用いることができ、この場合、撮像距離5mにおいて、1m×1mの範囲で撮影が可能となる。撮像素子のフレームレートは、例えば60Hzに設定される。なお、撮像装置50において、レンズ焦点距離、撮像素子の画素ピッチ、画素数、フレームレートは、測定対象に応じて適宜設定される。
また、実施の形態1~4では、変位検出部11は、画像相関演算によって変位を検出するが、この場合、2次曲線補間によるサブピクセル変位推定を使用することで、1/100画素まで変位を推定でき、この場合、5μmの変位分解能が得られることになる。更に、この場合においては、たわみ量算出部12は、法線方向において10μmの分解能を得ることができる。また、変位検出部11においては、変位微分において微分時のノイズを削減するために、平滑フィルタを使用することができる。更に、変位検出部11は、画像相関演算以外の方法、例えば、勾配法によるオプティカルフロー算出を用いて、変位を検出することもできる。
また、実施の形態1~4では、構造物200において、ひび以外に剥離、内部空洞がある場合にも相関係数は低下する。このため、本実施の形態1では、状態判定装置100は、相関係数と表面のひび割れの有無に基づいて、剥離、内部空洞の有無を判定してもよい。
実施の形態1~4では、上述したように、梁状の構造物200として橋梁を例に挙げ、構造物200への荷重として走行車両を例に挙げて説明している。また、本実施の形態1では、梁状の構造物200の上に荷重をかけた場合について説明している。なお、本実施の形態1では、荷重である車両が走行して、橋梁上を移動する場合でも、同様に、ひび割れ、内部空洞、剥離、劣化の検出が可能である。また、本実施の形態1は、材料力学的に以上の説明と同様の挙動を呈するものであれば、他の材料、サイズ、形状を有する構造物、構造物に荷重を載せるのとは異なる荷重方法、例えば、荷重を吊り下げるなどの荷重方法によるものにも適用することができる。
(物理構成)
ここで、実施の形態1~4におけるプログラムを実行することによって、状態判定装置を実現するコンピュータについて図24を用いて説明する。図24は、本発明の実施の形態1~4における状態判定装置を実現するコンピュータの一例を示すブロック図である。
図24に示すように、コンピュータ110は、CPU111と、メインメモリ112と、記憶装置113と、入力インターフェイス114と、表示コントローラ115と、データリーダ/ライタ116と、通信インターフェイス117とを備える。これらの各部は、バス121を介して、互いにデータ通信可能に接続される。なお、コンピュータ110は、CPU111に加えて、又はCPU111に代えて、GPU(Graphics Processing Unit)、又はFPGA(Field-Programmable Gate Array)を備えていても良い。
CPU111は、記憶装置113に格納された、本実施の形態におけるプログラム(コード)をメインメモリ112に展開し、これらを所定順序で実行することにより、各種の演算を実施する。メインメモリ112は、典型的には、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性の記憶装置である。また、本実施の形態におけるプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体120に格納された状態で提供される。なお、本実施の形態におけるプログラムは、通信インターフェイス117を介して接続されたインターネット上で流通するものであっても良い。
また、記憶装置113の具体例としては、ハードディスクドライブの他、フラッシュメモリ等の半導体記憶装置が挙げられる。入力インターフェイス114は、CPU111と、キーボード及びマウスといった入力機器118との間のデータ伝送を仲介する。表示コントローラ115は、ディスプレイ装置119と接続され、ディスプレイ装置119での表示を制御する。
データリーダ/ライタ116は、CPU111と記録媒体120との間のデータ伝送を仲介し、記録媒体120からのプログラムの読み出し、及びコンピュータ110における処理結果の記録媒体120への書き込みを実行する。通信インターフェイス117は、CPU111と、他のコンピュータとの間のデータ伝送を仲介する。
また、記録媒体120の具体例としては、CF(Compact Flash(登録商標))及びSD(Secure Digital)等の汎用的な半導体記憶デバイス、フレキシブルディスク(Flexible Disk)等の磁気記録媒体、又はCD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)などの光学記録媒体が挙げられる。
なお、本実施の形態における状態判定装置は、プログラムがインストールされたコンピュータではなく、各部に対応したハードウェアを用いることによっても実現可能である。更に、状態判定装置は、一部がプログラムで実現され、残りの部分がハードウェアで実現されていてもよい。
上述した実施の形態の一部又は全部は、以下に記載する(付記1)~(付記18)によって表現することができるが、以下の記載に限定されるものではない。
(付記1)
構造物の状態を判定するための装置であって、
前記構造物のたわみ量及び表面変位量を計測する、計測部と、
計測された前記たわみ量及び前記表面変位量を用いて統計処理を実行する、統計処理部と、
前記統計処理の結果に基づいて、前記構造物の劣化状態を判定する、劣化状態判定部と、を備えていることを特徴とする状態判定装置。
(付記2)
前記統計処理部が、前記統計処理によって、前記たわみ量または前記たわみ量の差分と前記表面変位量との相関係数を求め、
前記劣化状態判定部が、前記相関係数に基づいて、前記構造物の劣化状態を判定する、付記1に記載の状態判定装置。
(付記3)
計測された前記たわみ量又は前記たわみ量の差分と前記表面変位量とを、計測時の条件に関連付けて記録する、前処理部を、更に備えている、
付記2に記載の状態判定装置。
(付記4)
前記前処理部が、計測された前記たわみ量又は前記たわみ量の差分と前記表面変位量とを、たわみの原因となった荷重に関連付けて記録
前記統計処理部は、前記たわみの原因となった荷重毎の、前記たわみ量又は前記たわみ量の差分と前記表面変位量とを用いて、前記相関係数を算出する、
付記3に記載の状態判定装置。
(付記5)
前記統計処理部が、前記たわみ量または前記たわみ量の差分に時間的微分を行ない、得られた値と前記表面変位量との相関係数を求める、
付記2~4のいずれかに記載の状態判定装置。
(付記6)
前記計測部は、前記構造物から光学的に得られたデータを用いて、前記構造物のたわみ量及び表面変位量を計測する、
付記1~5のいずれかに記載の状態判定装置。
(付記7)
構造物の状態を判定するための方法であって、
(a)前記構造物のたわみ量及び表面変位量を計測する、ステップと、
(b)計測された前記たわみ量及び前記表面変位量を用いて統計処理を実行する、ステップと、
(c)前記統計処理の結果に基づいて、前記構造物の劣化状態を判定する、ステップと、を有することを特徴とする状態判定方法。
(付記8)
前記(b)のステップにおいて、前記統計処理によって、前記たわみ量または前記たわみ量の差分と前記表面変位量との相関係数を求め、
前記(c)のステップにおいて、前記相関係数に基づいて、前記構造物の劣化状態を判定する、
付記7に記載の状態判定方法。
(付記9)
(d)計測された前記たわみ量又は前記たわみ量の差分と前記表面変位量とを、計測時の条件に関連付けて記録する、ステップを、更に有している、
付記8に記載の状態判定方法。
(付記10)
前記(d)のステップにおいて、計測された前記たわみ量又は前記たわみ量の差分と前記表面変位量とを、たわみの原因となった荷重に関連付けて記録し、
前記(b)のステップにおいて、前記たわみの原因となった荷重毎の、前記たわみ量又は前記たわみ量の差分と前記表面変位量とを用いて、前記相関係数を算出する、
付記9に記載の状態判定方法。
(付記11)
前記(b)のステップにおいて、前記たわみ量または前記たわみ量の差分に時間的微分を行ない、得られた値と前記表面変位量との相関係数を求める、
付記8~10のいずれかに記載の状態判定方法。
(付記12)
前記(a)のステップにおいて、前記構造物から光学的に得られたデータを用いて、前記構造物のたわみ量及び表面変位量を計測する、
付記7~11のいずれかに記載の状態判定方法。
(付記13)
コンピュータによって、構造物の状態を判定するためのプログラムであって、
前記コンピュータに、
(a)前記構造物のたわみ量及び表面変位量を計測する、ステップと、
(b)計測された前記たわみ量及び前記表面変位量を用いて統計処理を実行する、ステップと、
(c)前記統計処理の結果に基づいて、前記構造物の劣化状態を判定する、ステップと、を実行させる、プログラム。
(付記14)
前記(b)のステップにおいて、前記統計処理によって、前記たわみ量または前記たわみ量の差分と前記表面変位量との相関係数を求め、
前記(c)のステップにおいて、前記相関係数に基づいて、前記構造物の劣化状態を判定する、
付記13に記載のプログラム
(付記15)
記コンピュータに、
(d)計測された前記たわみ量又は前記たわみ量の差分と前記表面変位量とを、計測時の条件に関連付けて記録する、ステップを更に実行させる、
付記14に記載のプログラム
(付記16)
前記(d)のステップにおいて、計測された前記たわみ量又は前記たわみ量の差分と前記表面変位量とを、たわみの原因となった荷重に関連付けて記録し、
前記(b)のステップにおいて、前記たわみの原因となった荷重毎の、前記たわみ量又は前記たわみ量の差分と前記表面変位量とを用いて、前記相関係数を算出する、
付記15に記載のプログラム
(付記17)
前記(b)のステップにおいて、前記たわみ量または前記たわみ量の差分に時間的微分を行ない、得られた値と前記表面変位量との相関係数を求める、
付記14~16のいずれかに記載のプログラム
(付記18)
前記(a)のステップにおいて、前記構造物から光学的に得られたデータを用いて、前記構造物のたわみ量及び表面変位量を計測する、
付記13~17のいずれかに記載のプログラム
また、本発明は上記実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものである。
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施の形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
この出願は、2017年9月12日に出願された日本出願特願2017-174805を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
以上のように本発明によれば、構造物のたわみ量及び表面歪みの両方を用いて、構造物の劣化状態を適正に判定することができる。本発明は、インフラ構造物の劣化判定に有用である。
10 計測部
11 変位検出部
12 たわみ量算出部
13 表面変位量算出部
20 統計処理部
30 劣化状態判定部
40 前処理部
50 撮像装置
100 状態判定装置
110 コンピュータ
111 CPU
112 メインメモリ
113 記憶装置
114 入力インターフェイス
115 表示コントローラ
116 データリーダ/ライタ
117 通信インターフェイス
118 入力機器
119 ディスプレイ装置
120 記録媒体
121 バス
200 構造物(橋梁)
201、202 領域
210 床版
220 橋桁
230 車両

Claims (7)

  1. 構造物の状態を判定するための装置であって、
    前記構造物の表面変位量及び表面変位の方向と直交する方向の変位量を計測する、計測部と、
    計測された記表面変位量及び前記表面変位の方向と直交する方向の変位量を用いて統計処理を実行する、統計処理部と、
    前記統計処理の結果に基づいて、前記構造物の劣化状態を判定する、劣化状態判定部と、を備え
    前記統計処理部が、前記統計処理によって、前記表面変位の方向と直交する方向の変位量又は前記表面変位の方向と直交する方向の変位量の差分と、前記表面変位量と、の相関係数を求め、
    前記劣化状態判定部が、前記相関係数に基づいて、前記構造物の劣化状態を判定する、
    ことを特徴とする状態判定装置。
  2. 計測された前記表面変位の方向と直交する方向の変位量又は前記表面変位の方向と直交する方向の変位量の差分と前記表面変位量とを、計測時の条件に関連付けて記録する、前処理部を、更に備えている、
    請求項に記載の状態判定装置。
  3. 前記前処理部が、計測された前記表面変位の方向と直交する方向の変位量又は前記表面変位の方向と直交する方向の変位量の差分と前記表面変位量とを、たわみの原因となった荷重に関連付けて記録し、
    前記統計処理部は、前記たわみの原因となった荷重毎の、前記表面変位の方向と直交する方向の変位量又は前記表面変位の方向と直交する方向の変位量の差分と前記表面変位量とを用いて、前記相関係数を算出する、
    請求項に記載の状態判定装置。
  4. 前記統計処理部が、前記表面変位の方向と直交する方向の変位量または前記表面変位の方向と直交する方向の変位量の差分に時間的微分を行ない、得られた値と前記表面変位量との相関係数を求める、
    請求項のいずれかに記載の状態判定装置。
  5. 前記計測部は、前記構造物から光学的に得られたデータを用いて、前記構造物の前記表面変位量及び前記表面変位の方向と直交する方向の変位量を計測する、
    請求項1~のいずれかに記載の状態判定装置。
  6. 構造物の状態を判定するための方法であって、
    (a)前記構造物の表面変位量及び表面変位の方向と直交する方向の変位量を計測する、ステップと、
    (b)計測された前記表面変位量及び前記表面変位の方向と直交する方向の変位量を用いて統計処理を実行する、ステップと、
    (c)前記統計処理の結果に基づいて、前記構造物の劣化状態を判定する、ステップと、
    を有し、
    前記(b)のステップにおいて、前記統計処理によって、前記表面変位の方向と直交する方向の変位量又は前記表面変位の方向と直交する方向の変位量の差分と、前記表面変位量と、の相関係数を求め、
    前記(c)のステップにおいて、前記相関係数に基づいて、前記構造物の劣化状態を判定する、
    ことを特徴とする状態判定方法。
  7. コンピュータによって、構造物の状態を判定するためのプログラムであって、
    前記コンピュータに、
    (a)前記構造物の表面変位量及び表面変位の方向と直交する方向の変位量を計測する、ステップと、
    (b)計測された前記表面変位量及び前記表面変位の方向と直交する方向の変位量を用いて統計処理を実行する、ステップと、
    (c)前記統計処理の結果に基づいて、前記構造物の劣化状態を判定する、ステップと、
    を実行させ
    前記(b)のステップにおいて、前記統計処理によって、前記表面変位の方向と直交する方向の変位量又は前記表面変位の方向と直交する方向の変位量の差分と、前記表面変位量と、の相関係数を求め、
    前記(c)のステップにおいて、前記相関係数に基づいて、前記構造物の劣化状態を判定する、
    プログラム。
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