以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明は以下に説明する形態に限定されない。また、図面においては実施形態を説明するため、一部分を大きくまたは強調して記載するなど適宜縮尺を変更して表現している。以下の各図において、XYZ座標系を用いて図中の方向を説明する。このXYZ座標系においては、水平面に平行な平面をXY平面とする。このXY平面において搬送車Mの走行方向をX方向と表記し、水平方向のうちX方向に直交する方向をY方向と表記する。なお、搬送車Mの走行方向は、以下の図に示された状態から他の方向に変化するが、本明細書において搬送車Mの走行方向をX方向として説明する。また、XY平面に垂直な方向はZ方向と表記する。X方向、Y方向及びZ方向のそれぞれは、図中の矢印の指す方向が+方向であり、矢印の指す方向とは反対の方向が-方向であるとして説明する。
図1は、本実施形態に係る走行レールの一例を示す平面図である。図2は、第1レールと第2レールとがY方向(第2方向)にずれた状態を示す平面図である。本走行レール100の一例を示す平面図である。図3は、第1レールと第2レールとが第3方向(Z方向又は上下方向)にずれた状態を示す側面図である。図1から図3に示すように、走行レール100は、例えば半導体製造工場等において、半導体ウエハまたはレチクルなどを収容した容器などを搬送する走行車システムに用いられる。走行レール100は、搬送車Mが走行する走行面100sを有する。走行レール100は、第1方向D1(本実施形態ではX方向)に延びて、第1建屋101と第2建屋102とにわたって設けられている。第1建屋101と第2建屋102とは、地震等により互いに別の揺れ方をする場合がある。走行レール100は、このような別の揺れ方をする建屋にわたって設けられている。なお、本実施形態では、第1建屋101と第2建屋102とにわたって走行レール100が設けられる例を示しているが、第1建屋101と第2建屋102との間に棟間を備える場合は、走行レール100は、棟間内を延びるように設けられる。
走行レール100は、第1レール10と、第2レール20と、中間レール30と、を備える。第2レール20の一部、及び中間レール30は、支持部40により支持されている。第1レール10は、吊り金具Tにより第1建屋101の天井等に吊り下げられた状態で固定される。第1レール10は、第1方向D1における中間レール30側の端部10aが、第2方向D2(あるいは第1方向D1)に対して傾いた形状を有する。また、第1レール10は、第1方向D1において中間レール30とは反対側の棟内に向けて延びている。
第2レール20は、固定部21と、中間部22と、先端部分23とを有する。第2レール20は、これら固定部21、中間部22及び先端部分23に分割されている。固定部21は、吊り金具Tにより第2建屋102の天井等に吊り下げられた状態で固定される。このように、第2レール20は、少なくとも一部が第2建屋102に固定される。中間部22は、第2建屋102から建屋外部に延びて配置されている。先端部分23は、第1建屋101に挿入されて配置されている。
中間部22は、2つのピン構造部24が設けられる。ピン構造部24は、第1方向D1において中間部22の+X側及び-X側の両端にそれぞれ配置される。第1方向D1において固定部21側(+X側)の端部に配置されるピン構造部24は、中間部22と固定部21とを連結する。第1方向D1において先端部分23側(-X側)の端部に配置されるピン構造部24は、中間部22と先端部分23とを連結する。ピン構造部24は、第2方向D2の軸まわり方向に中間部22を回転可能とする。この構成により、図3に示すように、第2建屋102と第1建屋101との間(固定部21と先端部分23との間)が第3方向D3(上下方向)にずれる場合であっても、2つのピン構造部24のピンを支点として中間部が動く(傾く)ことにより、中間部22が固定部21及び先端部分23の双方と連結した状態を維持する。
先端部分23は、基部25と、伸縮部26と、第2クロスローラR2とを有する。基部25は、ピン構造部24を介して中間部22に連結される。伸縮部26は、第1方向D1において基部25と中間レール30との間に配置される。伸縮部26は、複数のセグメント構造体27が第1方向D1に間隔を空けて並んで配置されており、第1方向D1に伸縮可能である。複数のセグメント構造体27のそれぞれは、ガイドGを介して支持部40に吊り下げられた状態で支持されており、ガイドGに沿って第1方向D1に移動可能である。なお、伸縮部26の構成については後述する。第2クロスローラR2は、基部25と伸縮部26とを連結する。第2クロスローラR2は、Z方向に平行な第3方向D3(上下方向)に沿った軸線を中心として伸縮部26を基部25に対して回転させることを可能とする。なお、本明細書において、回転は、揺動、回動を含む意味で用いている。
なお、第2レール20のうち、中間レール30側の端部20aは、第2方向D2(あるいは第1方向D1)に対して傾いた形状を有する。端部20aの傾斜方向は、第1レール10の端部10aの傾斜方向とは、第2方向D2(あるいは第1方向D1)に対して逆方向である。従って、端部10aと端部20aとは、平面視において対称となるように傾斜している。また、中間レール30は、第1レール10と第2レール20との間に配置される。中間レール30は、第1レール10の走行面10s及び第2レール20の走行面20sと連続する走行面30sを備える。これら走行面10s、走行面20s、及び走行面30sは、走行レール100の走行面100sを形成する。中間レール30は、第1レール10及び第2レール20に対して落下可能に支持されている。
中間レール30は、基部31と、伸縮部32と、第1クロスローラR1とを有する。基部31は、後述する第1接続部材50により第1レール10に接続される。基部31のうち第1レール10側の第1端部31aは、第1方向D1における中間レール30の一方の端部である。この第1端部31aは、第1レール10の端部10aの傾斜方向に沿うように、第2方向D2(あるいは第1方向D1)に対して傾斜している。つまり、第1端部31aと端部10aとは、第2方向D2に対して傾いた状態で対向して配置される。また、第1端部31aと端部10aとは、第2方向D2(あるいは第1方向D1)に対して同一又はほぼ同一の角度で傾斜している。
伸縮部32は、第1方向D1において基部31と第2レール20との間に配置される。伸縮部32は、複数のセグメント構造体34が第1方向D1に間隔を空けて並んで配置されており、第1方向D1に伸縮可能である。複数のセグメント構造体34のそれぞれは、ガイドGを介して支持部40に吊り下げられた状態で支持されており、ガイドGに沿って第1方向D1に移動可能である。なお、伸縮部32の構成については後述する。伸縮部32のうち第2レール20側の第2端部32bは、第1方向D1における中間レール30の他方の端部である。この第2端部32bは、第2レール20の端部20aの傾斜方向に沿うように、第2方向D2(あるいは第1方向D1)に対して傾斜している。つまり、第2端部32bと端部20aとは、第2方向D2に対して傾いた状態で対向して配置される。また、第2端部32bと端部20aとは、第2方向D2(あるいは第1方向D1)に対して同一又はほぼ同一の角度で傾斜している。
第1クロスローラR1は、基部31と伸縮部32とを連結する。第1クロスローラR1は、Z方向に平行な第3方向D3(上下方向)に沿った軸線を中心として伸縮部32を基部31に対して回転させることを可能とする。この第1クロスローラR1と、上述した第2クロスローラR2とにより、図2に示すように、第1レール10と第2レール20とがY方向にずれた場合でも、第1クロスローラR1及び第2クロスローラR2により、第2レール20の伸縮部26及び中間レール30の伸縮部32を回転させ、第1レール10及び第2レール20に過大な応力が作用しないようにしている。
中間レール30は、上記のように第1方向D1における第1端部31a及び第2端部32bを有しており、第1方向D1における一方の端部である第1端部31aと、第1方向D1における他方の端部である第2端部32bとは、第2方向D2(あるいは第1方向D1)に対して傾きが逆に設けられている。端部10aと端部20aとは、平面視において対称となるように傾斜している。従って、第1端部31aと第2端部32bとを有する中間レール30は、平面視において台形状に形成されている。
支持部40は、第2レール20の先端部分23である基部25及び伸縮部26、並びに中間レール30の基部31及び伸縮部32をそれぞれ支持する。支持部40は、第1建屋101の天井部C(図3参照)、あるいは天井部Cの近傍に設けられているシステム天井等に吊り下げられた状態で取り付けられている。第2レール20の伸縮部26は、第1方向D1に離間した2つの支持部40によりガイドGを介して支持されている。中間レール30の伸縮部32は、第1方向D1に離間した2つの支持部40によりガイドGを介して支持されている。図4は、支持部40の一例を示す斜視図である。図4に示すように、支持部40は、第1スライダ41と、第1ガイド42と、第2スライダ(スライダ)43と、第2ガイド(ガイド)44と、旋回部45と、吊り部46とを備える。
図5は、第1スライダ41と第1ガイド42との位置関係を示している。図5(A)は第1スライダ41が第1ガイド42に係止されている図であり、図5(B)は第1スライダ41が第1ガイド42から外れた図である。図4及び図5に示すように、第1スライダ41は、中間レール30のガイドGの上面側(+Z側)に、第1方向D1(本実施形態ではX方向)に沿って設けられる。第1ガイド42は、第1スライダ41をスライド可能に支持しており、第1方向D1に沿って第1所定長さW1に設けられる。第1スライダ41は、第1ガイド42にガイドされて第1方向D1に第1ガイド42に対してスライド可能(相対的に移動可能)である。
図6は、第2スライダ43と第2ガイド44との位置関係を示している。図6(A)は第2スライダ43が第2ガイド44に係止されている図であり、図6(B)は第2スライダが第2ガイドから外れた図である。図4及び図6に示すように、第2スライダ43は、第1ガイド42の上面側(+Z側)に、水平面において第1方向D1と直交する第2方向D2(本実施形態ではY方向)に沿って設けられる。第2スライダ43は、第1ガイド42に固定されており、一体となっている。第2ガイド44は、第2スライダ43をスライド可能に支持しており、第2方向D2に沿って第2所定長さ(所定長さ)W2に設けられる。第2スライダ43は、第2ガイド44にガイドされて第2方向D2に第2ガイド44に対してスライド可能(相対的に移動可能)である。
第2ガイド44の上面には、ベース47が配置される。ベース47は、第2ガイド44に固定されており、一体となっている。旋回部45は、外側環状部45aと内側環状部45bとを備える。外側環状部45aと内側環状部45bとは、第1方向D1及び第2方向D2にそれぞれ直交する第3方向D3(Z方向、上下方向)の軸周り方向に相対的に回転可能である。旋回部45の外側環状部45aは、ベース47の上面に固定される。旋回部45の内側環状部45bは、ベース47の下面側に配置された板状の支持部材46bに固定される。支持部材46bは、支持部材46aを介して吊り部46によって第1建屋101の天井部C(図3参照)に吊り下げられる。
ベース47は、旋回部45を介して支持部材46bに接続される。外側環状部45aと内側環状部45bとが相対的に回転可能であるので、ベース47は、支持部材46b(吊り部46又は天井部C)に対して回転可能となっている。すなわち、ベース47に固定された第2ガイド44(さらには第2スライダ43、第1ガイド42、及び第1スライダ41)は、ベース47の回転により第3方向D3の軸周り方向に回転する。
第1スライダ41と第1ガイド42との動作について説明する。中間レール30が支持部40に対して第1方向D1に移動する場合、図5(A)の矢印に示すように、第1スライダ41は、第1ガイド42に対して第1方向D1に相対的に移動することで、中間レール30の移動を案内する。この構成により、中間レール30は、支持部40に支持された状態で支持部40に対して第1方向D1に移動可能となる。また、第1スライダ41は、第1方向D1において支持部40の中央の位置から、第1所定長さW1を超えて長さL1を第1方向D1に移動すると、図5(B)に示すように、第1ガイド42から外れた状態となる。長さL1は、第1スライダ41が第1方向D1において支持部40の中央にある場合、第1所定長さW1の半分の長さと、第1スライダ41の半分の長さとを加えた長さより長い。第1スライダ41が第1ガイド42から外れると、中間レール30は、支持部40による支持が解除される。
次に、第2スライダ43と第2ガイド44との動作について説明する。中間レール30が支持部40に対して第2方向D2に移動する場合、図6(A)の矢印に示すように、第2スライダ43は、第2ガイド44に対して第2方向D2に相対的に移動することで、中間レール30の移動を案内する。この構成により、中間レール30は、支持部40に支持された状態で支持部40に対して第2方向D2に移動可能となる。また、第2スライダ43は、第2方向D2において支持部40の中央の位置から、第2所定長さW2を超えて長さL2を第2方向D2に移動すると、図6(B)に示すように、第2ガイド44から外れた状態となる。長さL2は、第2スライダ43が第2方向D2において支持部40の中央にある場合、第2所定長さW2の半分の長さと、第2スライダ43の半分の長さとを加えた長さより長い。第2スライダ43が第2ガイド44から外れると、中間レール30は、支持部40による支持が解除される。
このように、支持部40は、中間レール30が支持部40(すなわち第1建屋101の天井部C)に対して第1方向D1又は第2方向D2に第1所定長さW1又は第2所定長さW2の範囲内で相対的に移動する際は中間レール30の支持を維持しているが、中間レール30が支持部40に対して第1方向D1又は第2方向D2に第1所定長さW1又は第2所定長さW2を超えて相対的に移動すると中間レール30の支持を解除する。
また、図1から図3に示すように、走行レール100は、第1接続部材50と、第2接続部材60とを備える。第1接続部材50は、第1レール10と中間レール30とを接続する。第1接続部材50は、第1所定値以上の応力が加わると接続が破断される。第2接続部材60は、第2レール20と中間レール30とを接続する。第2接続部材60は、第2所定値以上の応力が加わると接続が破断される。なお、第2所定値は、第1所定値と同一の値であってもよいし、異なる値であってもよい。例えば、第2所定値は、第1所定値より大きくてもよいし、逆に、第1所定値は、第2所定値より大きくてもよい。
図7は、第1接続部材50の一例を示す図である。図8は、後述する板状部材51、53とピン52との接続状態を示している。図8(A)はピン52がせん断される前の図であり、図8(B)はピン52がせん断された図である。なお、第2接続部材60は、第1接続部材50を第1方向D1(X方向)について対称にした構成である。従って、第1接続部材50に関する図面を用いて第2接続部材60を説明する。なお、図7及び図8において、第2接続部材60の構成要素について、第1接続部材50の構成要素の符号に対して括弧書きで符号を付している。
図7及び図8に示すように、第1接続部材50は、板状部材51と、ピン52とを有する。板状部材51は、貫通孔51aを備え、ボルト等の固定部材により第1レール10上に備えるカバー部材54に固定される。中間レール30上に備えるプレート55には、板状部材53が固定される。板状部材53には、孔部53aが設けられる。板状部材51、53は、平面視において貫通孔51aと孔部53aとが重なる位置に配置される。ピン52は、貫通孔51aを貫通して中間レール30の孔部53aに挿入される。ピン52は、下端がプレート55に当接した状態で保持される。ピン52が貫通孔51a及び孔部53aに挿入されることにより、第1レール10と中間レール30とは第1方向D1(X方向)及び第2方向D2(Y方向)の双方において位置決めされた状態となる。第1接続部材50は、第2方向D2に離間して2か所に設けられている。
中間レール30側のプレート55には、図7に示すように、第1レール10側に突出する突出部55aが設けられる。突出部55aは、第1レール10側のカバー部材54に備える段部54a上に配置される。また、カバー部材54には、押さえ部材56が設けられる。押さえ部材56は、段部54aの上方に突出した状態でボルト等の固定部材によりカバー部材54に固定される。突出部55aは、第3方向D3において段部54aとカバー部材54とに挟まれた状態となる。押さえ部材56は、突出部55aの上方への移動を規制する。この構成により、第1レール10と中間レール30とは第3方向D3(Z方向、上下方向)において位置決めされた状態となる。
第2接続部材60は、図7の第1接続部材50と同様に、板状部材61と、ピン62とを有する。板状部材61は、貫通孔61aを備え、ボルト等の固定部材により第2レール20上のカバー部材64に固定される。中間レール30上のプレート55には、板状部材63が固定される。板状部材63には、孔部63aが設けられる。板状部材61、63は、平面視において貫通孔61aと孔部63aとが重なる位置に配置される。ピン62は、貫通孔61aを貫通して孔部63aに挿入される。ピン62は、下端がプレート65に当接した状態で保持される。ピン62が貫通孔61a及び孔部63aに挿入されることにより、第2レール20と中間レール30とは第1方向D1(X方向)及び第2方向D2(Y方向)の双方において位置決めされた状態となる。第2接続部材60は、第2方向D2に離間して2か所に設けられている。
また、プレート55には、第2レール20側に突出する突出部65aが設けられる。突出部65aは、カバー部材64に備える段部64a上に配置される。また、カバー部材64には、押さえ部材66が設けられる。押さえ部材66は、段部64aの上方に突出した状態でカバー部材64に固定される。突出部65aは、第3方向D3において段部64aとカバー部材64とに挟まれた状態となる。押さえ部材66は、突出部55aの上方への移動を規制する。この構成により、第2レール20と中間レール30とは第3方向D3(Z方向、上下方向)において位置決めされた状態となる。
第1接続部材50において、板状部材51とピン52との動作について説明する。第1接続部材50は、図8(A)に示す状態から、第1レール10と中間レール30とが水平面内において相対的に移動すると(例えば第1方向D1であるX方向に相対的に移動すると)、板状部材51と板状部材53とが相対的に移動し、ピン52をせん断する。第1接続部材50は、ピン52がせん断されることで、図8(B)に示すように、第1レール10と中間レール30との間の接続を破断する。同様に、第2接続部材60は、板状部材61と板状部材63とが相対的に移動してピン62をせん断することで、第2レール20と中間レール30との間の接続を破断する。
また、図3に示すように、第2レール20と中間レール30とにわたって、連結部70が設けられる(図1及び図2では図示を省略している)。連結部70は、中間レール30の第2端部32bを第2レール20に係止し、かつ中間レール30が第2レール20に対して第2方向D2のうち一方向に移動した場合に中間レール30の第2端部32bの係止を外すように構成される。連結部70は、第2レール20と中間レール30との間に隙間を設けた状態で両者を連結する。この隙間は、搬送車Mが通過可能な隙間である。
図9は、連結部70の一例を示す斜視図である。連結部70は、図7に示すように、第2レール側プレート71と、中間レール側プレート72と、棒状体73と、弾性部材74とを有する。第2レール側プレート71は、第2レール20の-Y側の側面から第2方向D2(-Y方向)に突出するように第2レール20に取り付けられる。中間レール側プレート72は、中間レール30の-Y側の側面から第2方向D2(-Y方向)に突出するように取り付けられる。第2レール側プレート71と中間レール側プレート72とは、第1方向D1に離間しかつ対向して配置される。中間レール側プレート72は、第2方向D2(Y方向)の切り欠き72aを備える。切り欠き72aは、中間レール30に対して離れた上下方向(第3方向D3、Z方向)の辺部から中間レール30に向けて第2方向D2に切り欠くように形成される。棒状体73は、第2レール側プレート71に取り付けられ、中間レール側プレート72に向けて第1方向D1に延びている。棒状体73は、一部が切り欠き72aに入り込んだ状態となっており、先端にナット73aが取り付けられる。第2レール20と中間レール30とが第1方向D1に相対的に移動する場合、棒状体73は、切り欠き72aに入り込んだ状態のままとなる。ただし、第2レール20と中間レール30とが第1方向D1に互いに離れる方向には、ナット73aが中間レール側プレート72に係止される範囲に規制される。
弾性部材74は、第2レール側プレート71と中間レール側プレート72との間に挟まれた状態で配置される。弾性部材74としては、例えばコイルばね等が用いられる。弾性部材74が収縮又は伸長することにより、第2レール20と中間レール30との間隔を伸縮可能である。弾性部材74は、自然長に対して収縮しかつさらに収縮する余地を残した状態で第2レール側プレート71と中間レール側プレート72との間に配置される。
図10(A)は、連結部70により第2レール20と中間レール30とを連結している状態を示す平面図であり、図10(B)は、第2レール20と中間レール30とが分離した状態を示す平面図である。図10(A)に示すように、連結部70は、Y方向の両側に配置される。以下、図10に示すように、+Y側に配置される連結部70を連結部70Aと表記し、-Y側に配置される連結部70を連結部70Bと表記して区別する。上記した図9の連結部70は、連結部70Bについて表記している。連結部70Aは、図10(A)に示すように、第2レール側プレート71が、第2レール20の+Y側の側面に取り付けられ、中間レール側プレート72が、中間レール30の+Y側の側面に取り付けられる。第2レール側プレート71は、第2方向D2(Y方向)の切り欠き71aを備える。切り欠き71aは、第2レール20に対して離れた上下方向の辺部から第2レール20に向けて第2方向D2に切り欠くように形成される。棒状体73は、中間レール側プレート72に取り付けられ、第2レール側プレート71に向けて第1方向D1に延びている。棒状体73は、一部が切り欠き71aに入り込んだ状態となっており、先端にはナット73aが取り付けられている。
連結部70Aでは、棒状体73が第2レール側プレート71に対して+Y方向に移動すると切り欠き71aから外れることになる。すなわち、連結部70Aでは、棒状体73が、第2レール20から第2方向D2に離れる方向(+Y方向)に移動した際に、切り欠き71aから外れる。一方、連結部70Bでは、中間レール側プレート72が棒状体73に対して+Y方向に移動すると、棒状体73が切り欠き72aから外れることになる。すなわち、連結部70Bでは、棒状体73が、中間レール30から第2方向D2に離れる方向(-Y方向)に移動した際に、切り欠き72aから外れる。この構成により、中間レール30が第2レール20に対して+Y方向に移動するときには、図10(B)に示すように、連結部70Aの棒状体73が切り欠き71aから外れ、かつ、連結部70Bの棒状体73が切り欠き72aから外れた状態となる。このため、第2レール20と中間レール30との間の連結状態が解除される。すなわち、中間レール30は、第2レール20に対して+Y方向に相対的に移動可能となっている
また、中間レール30が第2レール20に対して-Y方向に移動しようとする場合には、連結部70Aの棒状体73が切り欠き71aにより係止され、かつ、連結部70Bの棒状体73が切り欠き72aに係止される。このため、第2レール20と中間レール30とは相対的に移動せず、両者間の連結状態が維持される。このように、連結部70(連結部70A、70B)は、中間レール30が第2レール20に対して第2方向D2のうち一方向(本実施形態では、+Y方向)に移動した場合に連結部70による連結を解除し、第2方向D2のうち他の方向(本実施形態では、-Y方向)に移動する場合には、連結を解除しない。すなわち、連結部70は、中間レール30の+Y方向への移動についてのみ、第2レール20に対して相対的に移動可能にしている。
また、図3に示すように、第1レール10、第2レール20、及び中間レール30の下面側には、複数のホルダH、H1が設けられている。給電線は、搬送車Mに電力を供給するために走行レール100に沿って配置されている。複数のホルダHは、走行レール100が伸びる方向に沿って(第1方向D1に沿って)並んだ状態で設けられる。なお、中間レール30に対応するホルダHは、中間レール30と一体に設けられており、中間レール30が落下する際には一体として落下する。
また、図3に示すように、第1レール10、第2レール20、及び中間レール30(走行レール100)の下方(下方かつ側方)には、ホルダH、H1が設けられている。図11は、ホルダH、H1及び給電線Fの配置を示す平面図である。ホルダH、H1は、図11に示すように、平面視において走行レール100の+Y側及び-Y側の側方に、走行レール100に沿って設けられている。ホルダH、H1は、搬送車Mに対して電力を供給するための給電線Fを支持する。なお、第1レール10及び第2レール20においては、+Y側及び-Y側のいずれか一方にホルダHが配置されてもよいし、+Y側及び-Y側の双方にホルダHが配置されてもよい。
第1レール10に対応するホルダHは、第1レール10又は第1建屋101に取り付けられる。第2レール20に対応するホルダHの一部は、第2レール20又は第2建屋102に取り付けられる。第2レール20の伸縮部26に対応するホルダHは、プレート等の接続部材S1を介してガイドGに取り付けられる。
中間レール30に対応するホルダH1は、プレート等の接続部材S2を介してガイドGに取り付けられる。ホルダH1は、接続部材S2を介してガイドGと一体となっているが、この構成に限定されず、例えば、中間レール30の一部に取り付けられてもよい。ホルダH1は、中間レール30が落下した際、中間レール30とともに落下する。図11では、ホルダH1にハッチングを施している。ホルダHとホルダH1との間、及びホルダH1同士の間は、隙間Lが設けられている。この隙間Lにより、第2レール20の伸縮部26及び中間レール30が第1クロスローラR1、第2クロスローラR2により回転した際、ホルダHとホルダH1とが接触して、又はホルダH1同士が接触して、ホルダH、H1が破損するのを防止している。また隙間Lにより、中間レール30が、第1レール10又は第2レール20に対して第2方向D2(+Y方向)に相対的に移動する際、中間レール30に備えるホルダH1が第1レール10又は第2レール20に干渉せず、また、中間レール30に備えるホルダH1が第1レール10又は第2レール20に干渉しない。
また、第1レール10の-Y側に配置されたホルダHは、中間レール30の-Y側まで延びている。この延びた部分が長いと、中間レール30が第1クロスローラR1により回転した際に、ホルダHの+X側端部が中間レール30等と干渉する可能性がある。従って、このホルダHは、第2方向D2に第1レール10から離して配置されてもよい。また、中間レール30の+Y側かつ-X側に配置されたホルダH1は、第1レール10の+Y側まで延びている。この延びた部分が長いと、中間レール30が第1クロスローラR1により回転した際に、ホルダH1の-X側端部が中間レール30等と干渉する可能性がある。従って、このホルダH1は、第2方向D2に中間レール30から離して配置されてもよい。
また、第2レール20の+Y側かつかつ-X側に配置されたホルダHは、第2レール20の伸縮部26の+Y側まで延びている。この延びた部分が長いと、伸縮部26が第2クロスローラR2により回転した際に、ホルダHの-X側端部が伸縮部26等と干渉する可能性がある。従って、このホルダHは、第2方向D2に第2レール20から離して配置されてもよい。また、伸縮部26の-Y側に配置されたホルダHは、第2レール20の-Y側まで延びている。この延びた部分が長いと、伸縮部26が第2クロスローラR2により回転した際に、ホルダHの+X側端部が第2レール20等と干渉する可能性がある。従って、このホルダHは、第2方向D2に伸縮部26から離して配置されてもよい。
給電線Fの配置について説明する。以下の説明では、給電線Fが、第1レール10から順に第2レール20に至るまでの配置を例に挙げて説明する。給電線Fは、図11に示すように、第1レール10の-Y側のホルダHの+X側端部から中間レール30の上側を-X方向に戻りつつ引き回されて、+Y側かつ-X側のホルダH1の-X側端部に入り込む。続いて、給電線Fは、このホルダH1の+X側端部から中間レール30の上側を-X方向に戻りつつ引き回されて、-Y側のホルダH1の-X側端部に入り込む。続いて、給電線Fは、このホルダH1の+X側端部から中間レール30の上側を-X方向に戻りつつ引き回されて、+Y側かつ+X側のホルダH1の-X側端部に入り込む。続いて、給電線Fは、このホルダH1の+X側端部から中間レール30の上側を-X方向に戻りつつ引き回されて、第2レール20の+Y側のホルダHの-X側端部に入り込み、複数のホルダHに沿って+X方向に延びて配置される。
このように、走行レール100を走行する搬送車Mに対して、+Y側又は-Y側のいずれか一方に給電線Fを配置して、搬送車Mの走行中に給電線Fからの電力の供給が途切れることを回避している。また、上記した給電線Fの配置において、+Y側から-Y側に引き回される場合、及び、-Y側から+Y側に引き回される場合のいずれについても中間レール30等の上側を-X方向に戻りつつ引き回されている。すなわち、給電線Fがきつく張られていると、第1レール10、第2レール20、及び中間レール30が相対的に移動した際(例えば、第1方向D1への伸縮、第2方向D2へのずれなど)にすぐに断線する場合があり、上記のように給電線Fを引き回すことにより、第1レール10、第2レール20、及び中間レール30の相対的な移動時に、給電線Fが容易に断線しないようにしている。また、中間レール30が落下したときには、ガイドGとともにホルダH1も落下し、このホルダH1に指示されていた給電線Fも落下する。その際、給電線Fは、図11に示す2つのポイントP又はこれらポイントPの近傍でそれぞれ切断される。給電線Fの切断箇所がほぼ特定されるので、再度、中間レール30を設置する際に、給電線Fの接続を容易に行うことが可能となる。
また、図11に示すように、第1レール10のホルダHは、中間レール30の-Y側に延びて配置されている。また、中間レール30の+Y側かつ+X側のホルダH1は、第2レール20の伸縮部26の+Y側まで延びている。上記したように、連結部70は、中間レール30が第2レール20に対して+Y方向についてのみ移動可能となるように構成されている。従って、中間レール30が第1レール10又は第2レール20に対して+Y方向に移動しても、第1レール10のホルダH、及び中間レール30のホルダH1が他の部分と干渉しないようにしている。すなわち、連結部70は、このようなホルダH、H1の一部が他の部分と干渉しないように、中間レール30を第2レール20に対して第2方向D2の一方向にのみ移動可能としている。
図12(A)は、第2レール20及び中間レール30の伸縮部26、32の一例を示す側面図であり、(B)は、一部を拡大した側面図である。図12(A)に示すように、第2レール20の伸縮部26は、第1方向D1に並んで配置される複数のセグメント構造体27がガイドGに吊り下げられて、ガイドGによりガイドされて第1方向D1に移動可能な状態となっている。同様に、中間レール30の伸縮部32は、第1方向D1に並んで配置される複数のセグメント構造体34がガイドGに吊り下げられて、ガイドGによりガイドされて第1方向D1に移動可能な状態となっている。各セグメント構造体27、34間には隙間が設けられている。この隙間は、搬送車Mが通過可能な隙間である。
各セグメント構造体27同士は、フランジ部27a、27b及び軸部28により連結されている。また、各セグメント構造体34同士は、フランジ部34a、34b及び軸部35により連結されている。図12(B)に示すように、軸部28、35は、隣り合うセグメント構造体27の一方のフランジ部27a、34aに取り付けられ、他方のフランジ部27b、34bの貫通孔27c、34cを貫通してナット28a、35aが取り付けられている。フランジ部27a、34aとフランジ部27b、34bとの間には、コイルばね等の弾性部材29、36が配置されている。弾性部材29、36のそれぞれは、例えば、X方向の寸法、弾性定数等において同一である。この構成により、伸縮部26、32が伸縮する場合に、各セグメント構造体27、34間の隙間が同一又はほぼ同一となる。弾性部材29、36は、自然長に対して収縮しかつさらに収縮する余地を残した状態でフランジ部27a、27b間及びフランジ部34a、34b間に配置される。
伸縮部26は、X方向の両端のセグメント構造体27の間に収縮方向又は伸長方向への力が作用することで伸縮可能である。同様に、伸縮部32は、X方向の両端のセグメント構造体34の間に収縮方向又は伸長方向への力が作用することで伸縮可能である。また、伸縮部26と伸縮部32との間は、連結部70により連結されている。連結部70は上記したように第1方向D1に伸縮可能であるため、伸縮部26及び伸縮部32は全体として第1方向D1に伸縮可能となり、長さL3が可変となっている。
続いて、上記した走行レール100の動作あるいは機能について説明する。走行レール100が第1建屋101と第2建屋102とにわたって形成された状態で地震等が発生した場合、第1建屋101と第2建屋102とが互いに異なる周波数及び振幅で揺れることから、建屋間の走行レール100には、両側の建屋の揺れによって第1方向D1、第2方向D2あるいは第3方向D3に力を受けることになる。
図13から図17は、地震等が発生した場合の走行レール100の状態の一例を示す図である。図13及び図14は、走行レール100に対して第1方向D1の力が加えられる場合の一例を示す図である。例えば、第1建屋101と第2建屋102との間が第1方向D1に近づく場合、図13(A)に示すように、第1レール10と第2レール20との間には圧縮力が作用し、第2レール20の伸縮部26及び中間レール30の伸縮部32が縮められる。従って、走行レール100に加えられる第1方向D1の圧縮力は、伸縮部26、32により吸収される。
次に、走行レール100に作用する第1方向D1の圧縮力が伸縮部26、32の収縮限界を超える場合、つまり、圧縮力が伸縮部26、32により吸収できない場合には、中間レール30が第2レール20に押されることにより、第1レール10と中間レール30との間の第1接続部材50に対して圧縮力(応力)が集中する。この圧縮力により、中間レール30及び第1レール10に対して端部10a、第1端部31a(図1等参照)の傾き方向に沿う方向にせん断力(応力)が作用して、このせん断力が第1所定値以上になると第1接続部材50のピン52が破断し(図8参照)、図13(B)に示すように、第1レール10と中間レール30とが分断される。この場合、中間レール30が第1レール10の端部10aの傾き方向に沿って第2方向D2の一方(本実施形態では、+Y方向)に移動する。
次に、図13(B)に示す状態から、さらに走行レール100に第1方向D1の圧縮力が作用する場合には、中間レール30が第1レール10に当たっていることから、第2レール20と中間レール30との間の第2接続部材60に対して圧縮力が集中する。この圧縮力により、中間レール30及び第2レール20に対して端部20a、第2端部32b(図1等参照)の傾き方向に沿う方向にせん断力が作用して、このせん断力が第2所定値以上になると第2接続部材60のピン62が破断し、さらに連結部70の連結が解除され(図10参照)、図13(C)に示すように、中間レール30が第2方向D2の一方(本実施形態では、+Y方向)に移動する。このとき、第2レール20の伸縮部26が伸びることにより、第2方向D2の他方(本実施形態では、-Y方向)に移動する場合もある。
中間レール30は、第2方向D2の一方(+Y方向)に移動する際、第2所定長さW2を超えて移動することにより、支持部40から外れて落下する(図6参照)。図13(C)では、支持部40から外れた部分にハッチングを施している。また、第2レール20の伸縮部26は、第2方向D2の他方(-Y方向)に第2所定長さW2を超えて移動した場合、支持部40から外れて垂れ下がった状態となる。
次に、第1建屋101と第2建屋102との間が第1方向D1に離れる場合、図14(A)に示すように、走行レール100は、第1レール10と第2レール20との間に張力が作用し、第2レール20の伸縮部26及び中間レール30の伸縮部32が伸長される。従って、走行レール100に作用する第1方向D1の張力は、伸縮部26、32により吸収される。
次に、走行レール100に作用する第1方向D1の張力が伸縮部26、32の伸長限界を超える場合、つまり、張力を伸縮部26、32で吸収できない場合には、第2レール20と中間レール30との間が連結部70により連結されていることから、第1レール10と中間レール30との間の第1接続部材50に対してせん断力が集中する。このせん断力が第1所定値以上になると、第1接続部材50のピン52が破断され、図14(B)に示すように、第1レール10と中間レール30とが分断される。中間レール30及び第2レール20の伸縮部26は、第1レール10から第1方向D1に離れる方向(本実施形態では、+X方向)に移動する。
中間レール30及び第2レール20の伸縮部26(先端部分23)が第1所定長さW1を超えて第1方向D1に移動することにより、支持部40から外れて(図5参照)、図14(C)に示すように、中間レール30及び第2レール20の伸縮部26(先端部分23)が垂れ下がった状態となる。図14(C)では、支持部40から外れて垂れ下がった部分にハッチングを施している。
図15から図17は、走行レール100に対して第2方向D2の力が作用する場合の例を示している。図15(A)に示すように、第2建屋102が第1建屋101に対して-Y方向にずれる場合、中間レール30及び第2レール20の伸縮部26は第1クロスローラR1、第2クロスローラR2により第1建屋101及び第2建屋102の移動に追従するが、第1レール10と第2レール20との間が拡がることから、走行レール100には張力が作用して第2レール20の伸縮部26及び中間レール30の伸縮部32が伸長される。従って、第1建屋101と第2建屋102とのY方向のずれは、伸縮部26、32等により吸収される。
次に、第1建屋101と第2建屋102とのY方向のずれが大きくなり、走行レール100に作用する第1方向D1の張力が伸縮部26、32の伸長限界を超える場合、つまり、張力を伸縮部26、32で吸収できない場合には、第1接続部材50及び第2接続部材60の一方又は双方に対してせん断力が集中する。まず、第1接続部材50に対して先にせん断力が集中する場合について説明する。第1接続部材50に作用するせん断力が第1所定値以上になると、図15(B)に示すように、第1接続部材50のピン52が破断し、第1レール10と中間レール30とが端部10a、第1端部31aに沿って互いに第2方向D2の反対方向に移動することで第1レール10と中間レール30とが分断される。
さらに第1建屋101と第2建屋102とのY方向のずれが大きくなると、第2レール20と中間レール30との間の第2接続部材60に対してせん断力が集中する。この場合、第2レール20及び中間レール30の端部20a、第2端部32bの傾き方向に沿った方向にせん断力が作用する。このせん断力が第2所定値以上になると、図15(C)に示すように、第2接続部材60のピン62が破断し、第2レール20と中間レール30とが端部20a、第2端部32bに沿って互いに第2方向D2の反対方向に移動することで連結部70の連結が解除され、第2レール20と中間レール30とが分断される。
第1レール10及び第2レール20から分断された中間レール30は、第2所定長さW2を超えて第2方向D2に移動することにより、支持部40から外れて落下する。また、第2レール20の伸縮部26(先端部分23)は、第2所定長さW2を超えて第2方向D2に移動することにより支持部40から外れて垂れ下がった状態となる。図15(C)では、支持部40から外れて落下した部分及び垂れ下がった部分にハッチングを施している。
次に、図16(A)に示すように、第2レール20の伸縮部26及び中間レール30の伸縮部32が伸長された状態(図15(A)と同様の状態)から、第2接続部材60に対して先にせん断力が集中する場合について説明する。中間レール30及び第2レール20の伸縮部26は第1クロスローラR1、第2クロスローラR2により第1建屋101及び第2建屋102のずれに追従しているが、このとき、せん断力が第2接続部材60に先に作用する場合がある。第2建屋102が第1建屋101に対して-Y方向にずれる場合、中間レール30の第1端部31aの傾斜が第1レール10の端部10aの傾斜に係止されているので、第2接続部材60に対してせん断力が集中する場合がある。このせん断力が第2所定値以上になると、図16(B)に示すように、第2接続部材60のピン62が破断し、第2レール20と中間レール30とが端部20a、第2端部32bに沿って互いに第2方向D2の反対方向に移動することで連結部70の連結が解除され、第2レール20と中間レール30とが分断される。
さらに第1建屋101と第2建屋102とのY方向のずれが大きくなると、第2レール20の伸縮部26が第2所定長さW2を超えて第2方向D2に移動することにより支持部40から外れ、図16(C)に示すように、第2レール20の伸縮部26(先端部分23)は、垂れ下がった状態となる。図16(C)では、支持部40から外れて垂れ下がった部分にハッチングを施している。
次に、第1建屋101に対して第2建屋102が+Y方向にずれる場合、図17(A)に示すように、中間レール30及び第2レール20の伸縮部26は第1クロスローラR1、第2クロスローラR2により第1建屋101及び第2建屋102の移動に追従するが、第1レール10と第2レール20との間が拡がることから、走行レール100には張力が作用して第2レール20の伸縮部26及び中間レール30の伸縮部32が伸長される。従って、第1建屋101と第2建屋102とのY方向のずれは、伸縮部26、32により吸収される。
次に、第2建屋102が第1建屋101に対して-Y方向のずれが大きくなると、中間レール30の第2端部32bの傾斜が第2レール20の端部20aの傾斜に係止されているので、第1接続部材50に対してせん断力が集中する。走行レール100に作用する第1方向D1の張力が伸縮部26、32の伸長限界を超える場合、つまり、張力を伸縮部26、32で吸収できない場合、第1接続部材50に対するせん断力が第1所定値以上になると、図17(B)に示すように、第1接続部材50のピン52が破断し、第1レール10と中間レール30とが端部10a、第1端部31aに沿って互いに第2方向D2の反対方向に移動することで第1レール10と中間レール30とが分断される。
図17(C)に示すように、中間レール30及び第2レール20の伸縮部26が第2所定長さW2を超えて第2方向D2に移動することにより、支持部40から外れて垂れ下がった状態となる。図17(C)では、支持部40から外れて垂れ下がった部分にハッチングを施している。
このように、本実施形態によれば、第1接続部材50又は第2接続部材60にそれぞれ所定値以上のせん断力(応力)が作用すると、第1接続部材50又は第2接続部材60による接続を破断させ、中間レール30を落下あるいは垂れ下がった状態とすることができるので、第1レール10及び第2レール20に与える影響(湾曲又は損傷等)を軽減しつつ、例えば、狭いスペースに配置された中間レール30が例えば隣接する他の走行レール100(又は走行レール100の近傍に設けられる構造物)等に接触することを回避して、走行レール100の損傷を低減できる。また、平常時には、第1接続部材50により第1レール10と中間レール30とが接続され、第2接続部材60により第2レール20と中間レール30とが接続されるため、中間レール30が第1レール10及び第2レール20に対して位置決めされることにより、両者間がずれて段差が生じることを抑制でき、搬送車Mを円滑に走行させることができる。
図18は、第2レール20の中間レール30側に配置された構造体Vを第2レール20に保持する保持部材80の一例を示す図である。図18では、走行レール100を第2方向D2から見た場合の一例を示している。図18に示すように、本実施形態において、構造体Vは、第2レール20の伸縮部26上に配置されているガイドGと、伸縮部26の下方に配置されているホルダHとを含む。ガイドGとホルダHとは、プレート等の接続部材S1により一体となって構造体Vを形成する。保持部材80は、例えばワイヤ、チェーンなどが用いられる。保持部材80は、伸縮部26に対応するホルダHと、第2建屋102内の第2レール20の固定部21とを連結している。この構成により、構造体Vは、保持部材80によって第2レール20の固定部21に連結された状態となっている。
従って、図18に示すように、第2レール20の伸縮部26が垂れ下がった状態となっても、保持部材80により構造体Vを固定部21に保持するため、この構造体Vが伸縮部26から抜け落ちることを防止している。なお、構造体Vは、ガイドGとホルダHとで構成されることに限定されず、ガイドGのみであってもよいし、ホルダHのみであってもよい。また、ガイドG及びホルダH以外の部材がガイドG又はホルダHに連結されて構造体Vが構成されてもよい。
図19は、走行レール100に配置された架台85の一例を示す図である。図19では、走行レール100を第1方向D1から見た場合の一例を示している。図19に示すように、走行レール100のうち中間レール30の下方に、落下する中間レール30を受け止めるための架台85が設けられている。架台85は、吊り金具85aによって第1建屋101の天井部C(図3参照)等から吊り下げられた状態で配置される。架台85の高さは、搬送車Mが通過可能な高さに設定される。架台85は、板状であってもよいし、梯子状として隙間を備える形態のいずれであってもよい。架台85は、落下する中間レール30を受け止めるため、中間レール30が床面に落下するのを防止できる。また、架台85は、中間レール30の下方に加えて、例えば、第2レール20の伸縮部26の下方にまで延びて設置されてもよい。
図20は、走行レール100に設けられた検出部90の一例を示す図である。検出部90は、例えば、第2レール20の基部25に対する伸縮部26の向き、第1レール10と中間レール30との接続状態、第2レール20と中間レール30との接続状態などを検出する。図20に示すように、検出部90は、複数の光センサ91、92、93、94と、この光センサ91等のそれぞれが電気的に接続される回路基板95とを備える。光センサ91等は、検出結果を回路基板95に出力する。回路基板95は、光センサ91等からの出力を処理する処理回路を備え、処理結果を不図示の制御装置等に送信する。
光センサ91、92は、第2レール20の基部25と伸縮部26との間において+Y側と-Y側に設置される。光センサ91、92は、基部25に対する伸縮部26の水平方向及び鉛直方向における向きを検出する。光センサ93は、第2レール20と中間レール30との間に設置され、両者間のずれを検出する。光センサ94は、第1レール10と中間レール30との間に設置され、両者間のずれを検出する。検出部90は、伸縮部26の向き、第1レール10と中間レール30とのずれ、及び第2レール20と中間レール30とのずれを検出するので、第1レール10、第2レール20、及び中間レール30の配置及び接続状態を容易に把握することができる。
なお、検出部90は、光センサ91等を用いることに限定されない。例えば、光センサに代えて、磁気センサ又は静電容量センサなどの非接触型のセンサが用いられてもよいし、プローブ等を用いた接触型のセンサが用いられてもよい。
以上、実施形態について説明したが、本発明は、上述した説明に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。上記した実施形態では、第2レール20が伸縮部26を備える構成を例に挙げているが、この構成に限定されない。例えば、伸縮部26に相当する構成を第2レール20に代えて第1レール10が備えていてもよいし、第1レール10及び第2レール20の双方が伸縮部26に相当する構成を備えていてもよい。
また、上記した実施形態では、第2レール20と中間レール30とにわたって連結部70が設けられる構成を例に挙げて説明してるが、さらに、第1レール10と中間レール30とにわたって連結部70が設けられてもよい。この構成により、中間レール30が第1レール10又は第2レール20に対して相対的に第2方向D2に移動する場合に、中間レール30に備えるホルダH1が第1レール10又は第2レール20に干渉すること、及び第1レール10又は第2レール20に備えるホルダHが中間レール30に干渉することを防止できる。また、第2レール20と中間レール30とにわたって設けられる連結部70と、第1レール10と中間レール30とにわたって設けられる連結部70とを併せることで、中間レール30が第1レール10又は第2レール20に対して移動する方向(第2方向D2のうちの一方向)を限定することができる。