JP7087230B2 - シミ発生リスクの鑑別法 - Google Patents
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Description
従来、種々の作用機序による美白剤が開発されており、消費者は好みや所望の効果に応じて化粧料を選択することができる。その選択をより各人に適したものとし、適切な肌の手入れをサポートするものとして、シミやソバカス等の発生しやすさを予測することが提案されている。例えば、シミの原因となる過剰なメラニン量を細胞又は皮膚レベルで測定し、解析することにより、シミの程度や発生しやすさを評価する方法が知られている。また、遺伝的要因の解析による方法も提案されており、特許文献1にはヒトメラノサイト刺激ホルモン1受容体に係る特定のアミノ酸配列の変異がシミやソバカスの発生確率と相関していることに基づく、シミ等の発生確率を鑑別する方法が開示されている。
[1]被験者について、下記遺伝子群の遺伝子における1個以上の一塩基多型(SNP)を検出することを特徴とする、皮膚におけるシミ又はソバカスの発生リスクを鑑別する方法。
(遺伝子群)
DPP6、CRHR2、CSNK1G2、DERA、MYH15
[2]被験者において、表1に記載の各遺伝子における一塩基多型の1個以上のマイナーアレル(Minor Allele)が検出された場合に、前記被験者は該一塩基多型のメジャーアレル(Major Allele)を有する人に比べてシミ又はソバカスの発生リスクが低いと判定する、[1]に記載の方法。
[5]前記シミ又はソバカスの発生確率が、前記一塩基多型の存否ごとに算出されたシミ又はソバカスの発生確率に基づくオッズ比で示される、[4]に記載の方法。
[6][1]~[5]のいずれかに記載の方法により鑑別された結果に基づいて、美白作用を有する化粧品を選択することを特徴とする、化粧品の選択方法。
下記遺伝子群は、シミ又はソバカスの発生確率と有意な相関性を有する「シミ関連遺伝子」であると判断されたものである。特にDPP6及びCRHR2は、後述の試験例で示されたように、その発現が抑制されるとメラニン産生量が増加しシミ発生が亢進すると推
測されることから、シミ等の発生抑制に関与する遺伝子であると考えられる。
(遺伝子群)
DPP6、CRHR2、CSNK1G2、DERA、MYH15
具体的には、DPP6、CRHR2、CSNK1G2、及びDERAは、expression Quantitative Trait Locus(eQTL)解析により、各々の遺伝子発現量に骨格筋組織特異的に影響を与えるSNPを有することが判明した遺伝子である。また、MYH15は、筋肉構成タンパク質をコードする遺伝子である。
従来、これらのSNPsとシミ又はソバカスの発生リスクとの相関関係は知られていない。
より具体的には、表1に記載の各遺伝子におけるSNPの1個以上のマイナーアレルが検出された場合に、前記被験者は該一塩基多型のメジャーアレルを有する人に比べてシミ又はソバカスの発生リスクが低いと判定することが好ましい。
例えば、PCR法を応用した解析方法として、TaqMan PCR法、AcycloPrime法、及びMALDI-TOF/MS法等が実用化されている。また、PCRに依らない方法として、Invader法やRCA法等が知られている。さらにDNAアレイを用いる方法も適用できる。これらの方法に用いるプライマーやプローブとなるオリゴヌクレオチドは、検出対象となるSNPを含む遺伝子の既知の塩基配列等から適宜設計することができる。
なお、色素沈着症状が発生する皮膚の部位は、顔面、四肢、頸部、胴部等、特に限定されないが、通常は顔面のシミ発生リスクについて鑑別を行う。
ことによって行われることが好ましい。このとき、前記被験者にマイナーアレルが存在する一塩基多型のシミ又はソバカスの発生確率を、前記被験者の発生確率であると判定する。
前述の複数人のパネルに含まれるパネラーは、特に限定されないが、好ましくは30名以上、より好ましくは50名以上、さらに好ましくは100名以上であることが、解析の正確性を確保するため好ましい。また、性別は男女混合でもよいが、男性のみ女性のみとしてもよい。
前記発生確率は、前記一塩基多型の存否ごとに算出されたシミ又はソバカスの発生確率に基づくオッズ比で示されることが好ましい。
また、本発明により判定されたシミ発生リスク(発生確率)の結果は、肌の手入れ(スキンケア)や化粧方法に関するカウンセリングにおいても有用な指標となり得る。
シミの発生しやすさと関連する遺伝子を抽出すべく、以下の手順によってGenome-Wide Association Study(GWAS)を行った。
日本人女性ボランティアを対象として、「40歳未満でシミを有すること」をシミが発生しやすい人の条件として設定し、「50歳以上でシミを有さない人」をシミが発生しにくい人の条件として設定した。皮膚科専門医の診断のもと、各条件に該当する、シミが発生しやすい群156名及びシミが発生しにくい群133名を、それぞれ選定した。選定した289名から採取した血液から定法によりDNAを抽出し、該DNA及び遺伝型解析用チップHuman Omini Express-24(イルミナ社製)を用いて、各対象者の遺伝型を判定した。判定結果を群間比較し、シミが発生しやすい人とシミが発生しにくい人との間で遺伝型が異なる箇所(SNP)を抽出した。それらについてPLINK(Purcell S, Neale B, Todd-Brown K, Thomas L, Ferreira MAR, Bender D, et al.PLINK:
a tool set for whole-genome association and population-basedlinkage analyses. Am J Hum Genet. 2007;81:559-75.)を使用して相関解析を行った。χ2乗検定によるP値
が1.0×10-4以下となるSNPを含む遺伝子を、シミの発生しやすさと統計学的に有意に関連する「シミ関連遺伝子」と判断した。なお、P値が小さいほど、当該SNPはシミ発生リスクとの統計学的に有意に高い関連度を有することを示す。また、各シミ関連遺伝子に含まれるSNPにおけるマイナーアレルのオッズ比(シミが発生しやすい群のオッズを、シミが発生しにくい群のオッズで除した値)を算出した。
試験例1でGWASによってシミ等の発生リスクと相関するSNPが存在することが判明した遺伝子について、その発現とシミとの関連性を検証した。
メラノサイトにおけるDPP6又はCRHR2の発現を、siRNAを用いて抑制したときの、細胞数あたりのメラニン産生量を測定した。
メラニン量の測定は、2-[2-14C]チオウラシルの取り込みを指標として行った。チオウラシルは、メラニン産生過程においてメラニン中間体に結合する性質を有し、特異的にメラニンに取り込まれることが知られている(Whittaker JR., J Biol Chem. 1971
Oct 25;246(20):6217-26.、Dencker L., et al., Acta Pharmacol Toxicol (Copenh). 1981 Aug;49(2):141-9.、Palumbo A. et al., Biochim Biophys Acta. 1990 Dec 6;1036(3):221-7.、及びPalumbo A. et al., Biochim Biophys Acta. 1994 Aug 18;1200(3):271-6.参照)。そのため、メラニンに取り込まれたチオウラシル量は、生成されたメラニン量に比例すると考えられる。これを利用して、Broxtermanらの方法(Broxterman
HJ et al., Cancer Res. 1983 Mar;43(3):1316-20.)を参考に、正常ヒトメラノサイトに2-[2-14C]チオウラシルを添加して、培養し、生成メラニンに結合した2-[2-14C]チオウラシルの放射活性を測定することにより、メラニン産生量を測定した。
細胞は、ヒト正常メラノサイト(NHEM、Life Technologies社製、Lot. 1223150(新生児由来メラノサイト、Male、Dark/African American)を用いた。培地は、Medium254(Thermo Fisher Scientific社製)にHMGS(Thermo Fisher Scientific社製)を添加したものを用いた。siRNA試薬は、DPP6の発現抑制にHs_DPP6_5_Flexi Tube SiRNA(QIAGEN社製、Cat No. SI02627324)を、CRHR2の発現抑制にHs_CRHR2_1_Flexi Tube siRNA(QIAGEN社製、Cat No. SI00029505)を、及びコントロールとしてAllstars Negative Control siRNA(QIAGEN社製、Cat No. SI0365031)をそれぞれ用いた。
1日目:NHEMに、ネッパジーン社製NEPA 21を使用してエレクトロポレーシ
ョン法にてsiRNAを導入した。該メラノサイトを12ウェルプレートに播種し(8.0×104 cells/ウェル)、O/N培養した。
2日目:培養したメラノサイトに、2-[2-14C]チオウラシルを添加し(0.5μCi/ウェル)、72時間培養した。
5日目:プレートから培地を除去し、PBSにて洗浄した後、ウェル中に培地を用いて20倍希釈したテトラゾリウム塩WST-8試薬(Cell Counting Kit-8;同仁化学研究所)を1000μL/ウェル添加し、CO2インキュベーターにて2時間反応させた。プレートリーダーで450nm及び650nmの吸光度を測定し、該測定値の差(Abs.450-Abs.650)を細胞数として、コントロールを100としたときの相対量として算出した。
その後、プレートからWST-8入り培地を除去し、PBSにて洗浄した後、ウェル中に100% TCAを120μLずつ添加して細胞を溶解した。その後、水を500μLずつ添加し、エッペンチューブに回収した。細胞回収後のウェルに水を600μLずつ添加し、前記エッペンチューブに追加回収して混合した後、4℃で30分静置した。4℃、15,000rpmで5分間遠心後、上清を除去し、10%TCAを1mLずつ添加し、4℃で30分静置した。次いで、4℃、15,000rpmで5分間遠心後、上清を除去し、液体シンチレーションカクテルを1mLずつ添加して混合した後、液体シンチレーションカウンターにて放射活性を測定し、コントロールを100としたときの相対量としてメラニン産生量を算出した。
Claims (4)
- 複数人に対して行った、シミ又はソバカスに関する解析結果と前記一塩基多型の1個以上かのマイナーアレルの存在確認結果とに基づいて算出された、前記一塩基多型の存否ごとのシミ又はソバカスの発生確率に、
被験者の前記一塩基多型の1個以上のマイナーアレルの存在確認結果を照らすことを含み、
前記被験者にマイナーアレルが存在する一塩基多型のシミ又はソバカスの発生確率を、前記被験者の発生確率であると判定する、請求項1に記載の方法。 - 前記シミ又はソバカスの発生確率が、前記一塩基多型の存否ごとに算出されたシミ又はソバカスの発生確率に基づくオッズ比で示される、請求項2に記載の方法。
- 請求項1~3のいずれか1項に記載の方法により鑑別された結果に基づいて、美白作用を有する化粧品を選択することを特徴とする、化粧品の選択方法。
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JP2006191858A (ja) | 2005-01-13 | 2006-07-27 | Pola Chem Ind Inc | シミ、ソバカスまたは茶黒髪の予測方法並びにそれに基づく化粧品の選択方法 |
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