JP7087033B2 - 光学異方性膜 - Google Patents
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Description
また、光学異方性膜を製造する際の乾燥機に、熱風乾燥炉を用いるのが一般的であるが、通常、熱風乾燥炉での乾燥温度は最高でも130~140℃程度であるため、液晶相転移温度がこの温度を超える重合性液晶化合物では、通常、十分な配向性を得られないということがわかった。
[2]ヘイズは2%以下である、[1]に記載の光学異方性膜。
[3][1]又は[2]に記載の光学異方性膜と偏光膜とを含む、楕円偏光板。
[4][3]に記載の楕円偏光板を含む、表示装置。
[5][1]又は[2]に記載の光学異方性膜の製造方法であって、
沸点120℃以上の有機溶剤及び液晶相転移温度が120℃以上の重合性液晶化合物を含む重合性液晶組成物を基材又は配向膜上に塗布して塗布層を得る工程、
得られた塗布層を該有機溶剤の沸点未満の乾燥温度で乾燥させ、該塗布層から該有機溶剤を除去し、重合性液晶化合物を液晶状態で配向させる工程、及び
配向させた重合性液晶化合物を重合することにより、重合性液晶層を硬化させて光学異方性膜を得る工程
を含む、方法。
本発明の光学異方性膜は、沸点120℃以上の有機溶剤、及び液晶相転移温度が120℃以上の重合性液晶化合物が配向した重合体を含む。該光学異方性膜は、沸点120℃以上の有機溶剤及び液晶相転移温度が120℃以上の重合性液晶化合物を含む重合性液晶組成物を硬化してなり、該重合性液晶化合物が液晶状態で配向重合している膜である。なお、本明細書において、液晶相転移温度が120℃以上の重合性液晶化合物を単に重合性液晶化合物ということがある。
本発明の光学異方性膜を構成する重合性液晶組成物に含まれる重合性液晶化合物は、重合性基、特に光重合性基を有する液晶化合物であり、該重合性液晶化合物として、光学フィルムの分野において従来公知の重合性液晶化合物を用いることができる。光重合性基とは、光重合開始剤から発生した反応活性種、例えば活性ラジカルや酸などによって重合反応に関与し得る基のことをいう。光重合性基としては、ビニル基、ビニルオキシ基、1-クロロビニル基、イソプロペニル基、4-ビニルフェニル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、オキシラニル基、オキセタニル基等が挙げられる。中でも、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニルオキシ基、オキシラニル基及びオキセタニル基が好ましく、アクリロイルオキシ基がより好ましい。重合性液晶化合物が示す液晶性はサーモトロピック性液晶でもリオトロピック性液晶でもよいが、緻密な膜厚制御が可能な点でサーモトロピック性液晶が好ましい。また、サーモトロピック性液晶における相秩序構造としてはネマチック液晶でもスメクチック液晶でもよい。特に配向制御が容易であり、ヘイズが高くなりにくい観点から、重合性液晶化合物はネマチック液晶性を示すことが好ましい。
(1)ネマチック相を形成し得る化合物である;
(2)該重合性液晶化合物の長軸方向(a)上にπ電子を有する。
(3)長軸方向(a)に対して交差する方向〔交差方向(b)〕上にπ電子を有する。
(4)長軸方向(a)に存在するπ電子の合計をN(πa)、長軸方向に存在する分子量の合計をN(Aa)として下記式(i)で定義される重合性液晶化合物の長軸方向(a)のπ電子密度:
D(πa)=N(πa)/N(Aa) (i)
と、交差方向(b)に存在するπ電子の合計をN(πb)、交差方向(b)に存在する分子量の合計をN(Ab)として下記式(ii)で定義される重合性液晶化合物の交差方向(b)のπ電子密度:
D(πb)=N(πb)/N(Ab) (ii)
とが、
0≦〔D(πa)/D(πb)〕≦1
の関係にある〔すなわち、交差方向(b)のπ電子密度が、長軸方向(a)のπ電子密度よりも大きい〕。
なお、上記(1)~(4)を全て満たす重合性液晶化合物は、例えば配向膜上に塗布し、相転移温度以上に加熱することにより、ネマチック相を形成することが可能である。この重合性液晶化合物が配向して形成されたネマチック相では通常、重合性液晶化合物の長軸方向が互いに平行になるように配向しており、この長軸方向がネマチック相の配向方向となる。
G1及びG2はそれぞれ独立に、二価の芳香族基又は二価の脂環式炭化水素基を表す。ここで、該二価の芳香族基又は二価の脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のフルオロアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、シアノ基又はニトロ基に置換されていてもよく、該二価の芳香族基又は二価の脂環式炭化水素基を構成する炭素原子が、酸素原子、硫黄原子又は窒素原子に置換されていてもよい。
L1、L2 、B1及びB2はそれぞれ独立に、単結合又は二価の連結基である。
k、lは、それぞれ独立に0~3の整数を表し、1≦k+lの関係を満たす。ここで、2≦k+lである場合、B1及びB2、G1及びG2は、それぞれ互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
E1及びE2はそれぞれ独立に、炭素数1~17のアルカンジイル基を表し、ここで、アルカンジイル基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよく、該アルカンジイル基に含まれる-CH2-は、-O-、-S-、-Si-で置換されていてもよい。
P1及びP2は互いに独立に、重合性基又は水素原子を表し、少なくとも1つは重合性基である。
また、複数存在するG1及びG2のうち少なくとも1つは二価の脂環式炭化水素基であることが好ましく、また、L1又はL2に結合するG1及びG2のうち少なくとも1つは二価の脂環式炭化水素基であることがより好ましい。
式(Ar-16)~(Ar-23)において、Y1は、これが結合する窒素原子及びZ0と共に、芳香族複素環基を形成していてもよい。芳香族複素環基としては、Arが有していてもよい芳香族複素環として前記したものが挙げられるが、例えば、ピロール環、イミダゾール環、ピロリン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、インドール環、キノリン環、イソキノリン環、プリン環、ピロリジン環等が挙げられる。この芳香族複素環基は、置換基を有していてもよい。また、Y1は、これが結合する窒素原子及びZ0と共に、前述した置換されていてもよい多環系芳香族炭化水素基又は多環系芳香族複素環基であってもよい。例えば、ベンゾフラン環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環等が挙げられる。
本発明の光学異方性膜を構成する重合性液晶組成物は、重合開始剤を含んでいてよい。重合開始剤は、熱又は光の寄与によって反応活性種を生成し、重合性液晶化合物等の重合反応を開始し得る化合物である。反応活性種としては、ラジカル又はカチオン又はアニオン等の活性種が挙げられる。中でも反応制御が容易であるという観点から、光照射によってラジカル(活性ラジカル)を発生する光重合開始剤が好ましい。
本発明の光学異方性膜を構成する重合性液晶組成物は、重合禁止剤を含んでいてよい。重合禁止剤によって、重合性液晶化合物の重合反応の進行度合いを制御できる。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、4、4’-ブチリデン-ビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2-tert-ブチル-6-(3-tert-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-メチルフェニルアクリレート、(テトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-tet-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,3’,3’’,5,5’,5’’-ヘキサ-tert-ブチル-a,a’,a’’-(メシチレン-2,4,6-トリイル)トリ-p-クレゾール、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス((4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-キシリル)メチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ベンゼンプロパン酸、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ、C7-C9側鎖アルキルエステル、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール、Irganox(登録商標)3125(BASF社製)、2,4-ビス(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ3’,5’-ジ-tert-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、3,9-ビス(2-(3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ)-1,1-ジメチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、ジブチルヒドロキシトルエン(2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、BHTと称する場合がある)、スミライザー(登録商標)BHT(住友化学(株)製)、スミライザー(登録商標)GA-80(住友化学(株)製)、スミライザー(登録商標)GS(住友化学(株)製)、シアノックス(登録商標)1790((株)サイテック製)及びビタミンE(エーザイ(株)製)などが挙げられる。
本発明の光学異方性膜を構成する重合性液晶組成物は、レベリング剤を含んでいてよい。レベリング剤は、重合性液晶組成物の流動性を調整し、該組成物を塗布して得られる光学異方性膜をより平坦にする機能を有する。レベリング剤としては、例えば、シリコーン系レベリング剤、ポリアクリレート系レベリング剤、パーフルオロアルキル系レベリング剤等が挙げられる。具体的には、DC3PA、SH7PA、DC11PA、SH28PA、SH29PA、SH30PA、ST80PA、ST86PA、SH8400、SH8700、FZ2123(以上、全て東レ・ダウコーニング(株)製)、KP321、KP323、KP324、KP326、KP340、KP341、X22-161A、KF6001(以上、全て信越化学工業(株)製)、TSF400、TSF401、TSF410、TSF4300、TSF4440、TSF4445、TSF-4446、TSF4452、TSF4460(以上、全てモメンティブ パフォーマンス マテリアルズ ジャパン合同会社製)、フロリナート(fluorinert)(登録商標)FC-72、同FC-40、同FC-43、同FC-3283(以上、全て住友スリーエム(株)製)、メガファック(登録商標)R-08、同R-30、同R-90、同F-410、同F-411、同F-443、同F-445、同F-470、同F-477、同F-479、同F-482、同F-483(以上、いずれもDIC(株)製)、エフトップ(商品名)EF301、同EF303、同EF351、同EF352(以上、全て三菱マテリアル電子化成(株)製)、サーフロン(登録商標)S-381、同S-382、同S-383、同S-393、同SC-101、同SC-105、KH-40、SA-100(以上、全てAGCセイミケミカル(株)製)、商品名E1830、同E5844((株)ダイキンファインケミカル研究所製)、BM-1000、BM-1100、BYK-352、BYK-353及びBYK-361N(いずれも商品名:BM Chemie社製)等が挙げられる。これらのレベリング剤は単独又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの中でも、ポリアクリレート系レベリング剤及びパーフルオロアルキル系レベリング剤が好ましい。
本発明の光学異方性膜を構成する重合性液晶組成物は、光増感剤を含んでいてよい。光増感剤は、光重合開始剤を高感度化することができる。光増感剤としては、例えば、キサントン、チオキサントン等のキサントン類;アントラセン及びアルキルエーテル等の置換基を有するアントラセン類;フェノチアジン;ルブレンが挙げられる。光増感剤は単独又は二種以上組み合わせて使用できる。光増感剤の含有量は、重合性液晶化合物100質量部に対して、好ましくは0.01~10質量部、より好ましくは0.05~5質量部、さらに好ましくは0.1~3質量部である。
本発明の光学異方性膜を構成する重合性液晶組成物は、密着性向上剤、離型剤、安定剤、ブルーイング剤等の着色剤、難燃剤及び滑剤等の添加剤を含んでいてよい。添加剤の含有量は、光学異方性膜を構成する重合性液晶組成物の固形分の質量に対して、好ましくは0.01~10質量%、より好ましくは0.1~5質量%である。なお、重量性液晶組成物の固形分とは、重合性液晶組成物から溶媒等の揮発性成分を除いた全ての成分を示す。
100nm≦Re(550)≦160nm …(2)
[式中、Re(550)は波長550nmの光に対する面内位相差値(面内リタデーション)を表す。]
Re(450)/Re(550)≦1.0 …(3)
1.00≦Re(650)/Re(550) …(4)
[式中、Re(450)は波長450nmの光に対する面内位相差値を、Re(550)は波長550nmの光に対する面内位相差値を、Re(650)は波長650nmの光に対する面内位相差値を表す。]
光学異方性膜の「Re(450)/Re(550)」が1.0を超えると、光学異方性膜を含む楕円偏光板での短波長側での光抜けが大きくなる傾向にある。より好ましくは0.95以下、さらに好ましくは0.92以下である。
Re(λ)=d×Δn(λ) …(5)
(式中、Re(λ)は波長λnmにおける面内位相差値を表し、dは膜厚を表し、Δn(λ)は波長λnmにおける複屈折率を表す。)
本発明の光学異方性膜は、基材又は配向膜上に形成することが好ましい。このような光学異方性膜は、以下の工程;
沸点120℃以上の有機溶剤及び液晶相転移温度が120℃以上の重合性液晶化合物を含む重合性液晶組成物を基材又は配向膜上に塗布して塗布層を得る工程(以下、「塗布工程」ともいう)、
得られた塗布層を該有機溶剤の沸点未満の乾燥温度で乾燥させ、該塗布層から該有機溶剤を除去しつつ、重合性液晶化合物を配向させる工程(以下、「乾燥工程」ともいう)、及び
配向させた重合性液晶化合物を重合することにより、重合性液晶層を硬化させて光学異方性膜を得る工程(以下、「硬化工程」ともいう)
を含む方法により製造することができる。なお、重合性液晶組成物を配向膜上に形成する場合、該配向膜は基材上に形成することが好ましい。
市販のセルロースエステル基材としては、“フジタックフィルム”(富士写真フイルム株式会社製);“KC8UX2M”、“KC8UY”及び“KC4UY”(以上、コニカミノルタオプト株式会社製)等が挙げられる。
市販の環状オレフィン系樹脂としては、“Topas”(登録商標)(Ticona社(独)製)、“アートン”(登録商標)(JSR株式会社製)、“ゼオノア(ZEONOR)”(登録商標)、“ゼオネックス(ZEONEX)”(登録商標)(以上、日本ゼオン株式会社製)及び“アペル”(登録商標)(三井化学株式会社製)が挙げられる。このような環状オレフィン系樹脂を、溶剤キャスト法、溶融押出法等の公知の手段により製膜して、基材とすることができる。市販されている環状オレフィン系樹脂基材を用いることもできる。市販の環状オレフィン系樹脂基材としては、“エスシーナ”(登録商標)、“SCA40”(登録商標)(以上、積水化学工業株式会社製)、“ゼオノアフィルム”(登録商標)(日本ゼオン株式会社製)及び“アートンフィルム”(登録商標)(JSR株式会社製)が挙げられる。
これらの基材を構成する樹脂の中でも、耐熱性の観点から、環状オレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
基材の厚さは、実用的な取り扱いができる程度の質量である点では、薄い方が好ましいが、薄すぎると強度が低下し、加工性に劣る傾向がある。基材の厚さは、通常、5~300μmであり、好ましくは20~200μmである。また、基材を剥離して光学異方性膜単独又は光学異方性膜と配向膜との積層体を転写することによって、さらなる薄膜化効果が得られる。
グルブ配向膜を得る方法としては、感光性ポリイミド膜表面にパターン形状のスリットを有する露光用マスクを介して露光後、現像及びリンス処理を行って凹凸パターンを形成する方法、表面に溝を有する板状の原盤に、硬化前のUV硬化樹脂の層を形成し、樹脂層を基材へ移してから硬化する方法、及び、基材上に形成した硬化前のUV硬化樹脂の膜に、複数の溝を有するロール状の原盤を押し当てて凹凸を形成し、その後硬化する方法等が挙げられる。
本発明の楕円偏光板は、前記光学異方性膜と偏光膜とを含む。該光学異方性膜は、前記基材上に積層された前記配向膜上に形成されていてもよい。楕円偏光板は、前記光学異方性膜と偏光膜とを粘接着剤を介して貼り合わせることにより得ることができる。好ましい態様では、本発明の楕円偏光板は、前記基材、前記配向膜、前記光学異方性膜、粘接着剤層及び偏光膜をこの順に有する。
本発明の一実施態様において、偏光膜に光学異方性膜を積層する場合、光学異方性膜の遅相軸(光軸)と偏光膜の吸収軸とを実質的に45°となるように積層することが好ましい。該光学異方性膜の遅相軸(光軸)と偏光膜の吸収軸とを実質的に45°となるように積層することによって、楕円偏光板としての機能を得ることができる。なお、実質的に45°とは通常45±5°の範囲である。
ポリマーとしては、アクリル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、又はポリエーテル等が挙げられる。中でも、アクリル系ポリマーを含むアクリル系の粘着剤は、光学的な透明性に優れ、適度の濡れ性や凝集力を有し、接着性に優れ、さらには耐候性や耐熱性等が高く、加熱や加湿の条件下で浮きや剥がれ等が生じ難いため好ましい。
無機化合物からなる微粒子としては、酸化アルミニウム(屈折率1.76)及び酸化ケイ素(屈折率1.45)等が挙げられる。有機化合物(ポリマー)からなる微粒子としては、メラミンビーズ(屈折率1.57)、ポリメタクリル酸メチルビーズ(屈折率1.49)、メタクリル酸メチル/スチレン共重合体樹脂ビーズ(屈折率1.50~1.59)、ポリカーボネートビーズ(屈折率1.55)、ポリエチレンビーズ(屈折率1.53)、ポリスチレンビーズ(屈折率1.6)、ポリ塩化ビニルビーズ(屈折率1.46)、及びシリコーン樹脂ビーズ(屈折率1.46)等が挙げられる。光拡散剤の含有量は、通常、ポリマー100質量部に対して、3~30質量部である。
感圧式粘着剤の厚さは、その密着力等に応じて決定されるため、特に制限されないが、通常、1~40μmである。加工性や耐久性等の点から、当該厚さは3~25μmが好ましく、5~20μmがより好ましい。粘着剤から形成される粘接着剤層の厚さを5~20μmとすることにより、表示装置を正面から見た場合や斜めから見た場合の明るさを保ち、表示像のにじみやボケを生じ難くすることができる。
乾燥固化型接着剤としては、水酸基、カルボキシル基又はアミノ基等のプロトン性官能基とエチレン性不飽和基とを有するモノマーの重合体、又は、ウレタン樹脂を主成分として含有し、さらに、多価アルデヒド、エポキシ化合物、エポキシ樹脂、メラミン化合物、ジルコニア化合物、及び亜鉛化合物等の架橋剤又は硬化性化合物を含有する組成物等が挙げられる。水酸基、カルボキシル基又はアミノ基等のプロトン性官能基とエチレン性不飽和基とを有するモノマーの重合体としては、エチレン-マレイン酸共重合体、イタコン酸共重合体、アクリル酸共重合体、アクリルアミド共重合体、ポリ酢酸ビニルのケン化物、及び、ポリビニルアルコール系樹脂等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化型接着剤としては、エポキシ化合物とカチオン重合開始剤とを含有するカチオン重合性の接着剤、アクリル系硬化成分とラジカル重合開始剤とを含有するラジカル重合性の接着剤、エポキシ化合物等のカチオン重合性の硬化成分及びアクリル系化合物等のラジカル重合性の硬化成分の両者を含有し、さらにカチオン重合開始剤及びラジカル重合開始剤を含有する接着剤、及び、これら重合開始剤を含まずに電子ビームを照射することで硬化される接着剤等が挙げられる。
ラジカル重合開始剤としては、上述の光重合開始剤が挙げられる。カチオン重合開始剤の市販品としては、“カヤラッド”(登録商標)シリーズ(日本化薬株式会社製)、“サイラキュア UVI”シリーズ(ダウケミカル社製)、“CPI”シリーズ(サンアプロ株式会社製)、“TAZ”、“BBI”及び“DTS”(以上、みどり化学株式会社製)、“アデカオプトマー”シリーズ(株式会社ADEKA製)、“RHODORSIL”(登録商標)(ローディア株式会社製)等が挙げられる。ラジカル重合開始剤並びにカチオン重合開始剤の含有量は、活性エネルギー線硬化型接着剤100質量部に対して、通常、0.5~20質量部であり、好ましくは1~15質量部である。
実施例において使用した装置、測定方法、及び評価方法は、以下の通りである。
・コロナ処理装置には、春日電機株式会社製のAGF-B10を用いた。
・コロナ処理は、上記コロナ処理装置を用いて、出力0.3kW、処理速度3m/分の条件で1回行った。
・偏光UV照射装置には、ウシオ電機株式会社製の偏光子ユニット付SPOT CURE SP-7を用いた。
・高圧水銀ランプには、ウシオ電機株式会社製のユニキュアVB-15201BY-Aを用いた。
・面内位相差値は、王子計測機器株式会社製のKOBRA-WRを用いて測定した。なお、波長450nm、550nm及び650nmの光に対する面内位相差値は波長448.2nm、498.6nm、548.4nm、587.3nm、628.7nm、748.6nmの光に対する面内位相差値の測定結果から得られたコーシーの分散公式より求めた。
実施例及び比較例における基材、光配向膜及び光学異方性膜の膜厚は、日本分光株式会社製のエリプソメータ M-220を用いて測定した。
実施例及び比較例において、光学異方性膜を含む積層体(2)のヘイズは、ヘイズメーター(スガ試験機株式会社製の「HZ-2」)を用いて測定した。
実施例で得られた光学異方性膜及び重合性液晶化合物(A)の極大吸収波長は、紫外可視分光光度計(株式会社島津製作所社製の「UV-2450」)を用いて測定した。なお、重合性液晶化合物(A)の極大吸収波長はクロロホルム中で測定した。
実施例及び比較例において、光学異方性膜中の有機溶媒含有量(有機溶剤残存量)はATD装置としてパーキンエルマー社製TurboMATrix650、GC/MS装置としてAgilent社製7890B/5977A MSDを用いて加熱脱着ガスクロマトグラフ質量分析法により測定した。光学異方性膜を85℃で48時間加熱し、テナックス多孔質ポリマー吸着剤(Tenax TA)を用いて発生したガスを捕集した後、捕集したガスのGC/MS測定を実施した。
示差走査熱量計(TAインスツルメント社製の「DSCQ2000」)を用いて測定した。初期温度は20℃、最高温度は250℃、昇温度速度は20℃/分とした。
実施例及び比較例で得られたCOP(基材)、光配向膜及び光学異方性膜をこの順に有する積層体(1)の光学異方性膜を、偏光顕微鏡(BX51、オリンパス株式会社製)を用いて400倍の倍率で観察した。配向性が良好であったものを「○」、表面に配向不良が見られるなど、配向性が不十分であったものを「×」とした。
実施例及び比較例で得られたCOP(基材)、光配向膜及び光学異方性膜をこの順に有する積層体(1)の光学異方性層側の面に、粘着剤層と偏光層とをこの順で積層し、楕円偏光板を製造した。この際、偏光板の透過軸と、光学異方性膜のCOPフィルム(基材)の遅相軸とが略直交するように積層した。得られた楕円偏光板を、視認側偏光板を取り除いたGalaxy S5(登録商標)(サムスン社製)の視認側に貼合し、液晶表示装置を作製した。黒表示させた時の光漏れを、パネル表面に対し方位角45°、仰角45°の方向から目視で確認した。
実施例及び比較例で得られた積層体(2)の波長450nm、波長550nm、並びに波長650nmの光に対する面内位相差値を測定した。次いで、積層体(2)を85℃のオーブンに投入して500時間経過後、面内位相差値を測定して耐熱試験前後における波長550nmの光に対する面内位相差値の変化量(耐熱試験時の波長550nmの光に対する面内位相差値の変化)を算出した。
(光配向膜形成用組成物の調製)
下記構造の光配向性材料5部とシクロペンタノン(溶剤)95部とを成分として混合し、得られた混合物を80℃で1時間攪拌することにより、光配向膜形成用組成物(1)を得た。
光配向性材料:
下記構造の重合性液晶化合物(A)とポリアクリレート化合物(レベリング剤)(BYK-361N;BYK-Chemie社製)と、下記光重合開始剤とを、下記に示す組成に従い混合し、重合性液晶化合物(A)を含む重合性液晶組成物(1)を得た。
・オキシムエステル型カルバゾール化合物(イルガキュアOXE-03(BASFジャパン株式会社製)):重合性液晶化合物(A)の質量100部に対して7.5部。
・2-ジメチルアミノ-2-ベンジル-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン(イルガキュア369(Irg369);BASFジャパン株式会社製):重合性液晶化合物(A)の質量100部に対して3部。
上述した重合性液晶組成物(1)に、固形分濃度が9%となるようにN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を添加し、80℃で1時間攪拌することにより、塗工液を得た。一方、基材としてのシクロオレフィンポリマー(COP)フィルム(膜厚23μm)を、コロナ処理装置を用いてコロナ処理した。次いで、コロナ処理を施したCOPフィルム(基材)の表面に、バーコーターを用いて上述した光配向膜形成用組成物(1)を塗布し、80℃で1分間乾燥した後、偏光UV照射装置を用いて100mJ/cm2の積算光量で偏光UV露光を実施して光配向膜を得た。得られた光配向膜の膜厚は、100nmであった。
続いて、上記光配向膜上にバーコーターを用いて上述した塗工液を塗布し、120℃で3分間乾燥した後、高圧水銀ランプを用いて、塗工液の塗布面側から紫外線を照射(窒素雰囲気下、波長313nmにおける積算光量は500mJ/cm2)することにより、光学異方性膜を形成した。これにより、COPフィルム(基材)、光配向膜及び光学異方性膜をこの順に有する積層体(1)を得た。得られた光学異方性膜の極大吸収波長は350nmであり、該光学異方性膜の膜厚は2μmであった。
積層体(1)の光学異方性膜における厚さ方向に対して垂直な面のうち、光配向膜側とは反対側の表面に粘接着剤層(アクリル系ポリマーを含む粘着剤)及びガラス基材をこの順に貼合した後、基材としてのCOPフィルムを光配向膜と共に剥離し、次いで、該光学異方性膜の表面に、粘接着剤層、及びコロナ処理を施したCOPフィルム(被転写体)をこの順に貼り合せた。これにより、ガラス基材、粘接着剤層、光学異方性膜、粘接着剤層、COPフィルム(被転写体)をこの順に有する積層体(2)を得た。
乾燥時間を7分間としたこと以外は実施例1と同様にして光学異方性膜及び積層体を得た。
溶媒をシクロペンタノンとし、乾燥時間を表1に記載の通りにしたこと以外は同様にして光学異方性膜及び積層体を得た。
溶媒をγ-ブチロラクトン(GBL)とし、乾燥時間を表1に記載の通りにしたこと以外は実施例1と同様にして光学異方性膜及び積層体を得た。
溶媒をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)とし、乾燥時間を表1に記載の通りにしたこと以外は実施例1と同様にして光学異方性膜及び積層体を得た。
乾燥温度を140℃、乾燥時間を5分間としたこと以外は実施例1と同様にして光学異方性膜及び積層体を得た。得られた積層体(1)を用いて楕円偏光板でのパネル実装評価を実施したところ、基材起因の熱ジワが発生したものの、クリアな表示が得られた。
溶媒、乾燥温度、乾燥時間を表1に記載の通りにしたこと以外は実施例1と同様にして光学異方性膜及び積層体を得た。
Claims (4)
- 沸点120℃以上の有機溶剤、及び液晶相転移温度が120℃以上の重合性液晶化合物が配向した重合体を含む光学異方性膜であって、沸点120℃以上の有機溶剤は、アミド系溶剤、エステル溶剤、ケトン溶剤、アルコール溶剤、芳香族炭化水素溶剤及び塩素含有溶剤からなる群から選択される1以上の溶剤であり、沸点120℃以上の有機溶剤の含有量は、該光学異方性膜の質量に対して、100~2000ppmであり、該重合性液晶化合物は、下記式(I):
で表される化合物であり、該光学異方性膜は、下記式(3)及び(4)
Re(450)/Re(550)≦1.0 …(3)
1.00≦Re(650)/Re(550) …(4)
[式中、Re(450)は波長450nmの光に対する面内位相差値を表し、Re(550)は波長550nmの光に対する面内位相差値を表し、Re(650)は波長650nmの光に対する面内位相差値を表す]
で示される光学特性を満たし、ヘイズ値は2%以下である、光学異方性膜。 - 請求項1に記載の光学異方性膜と偏光膜とを含む、楕円偏光板。
- 請求項2に記載の楕円偏光板を含む、表示装置。
- 請求項1に記載の光学異方性膜の製造方法であって、
沸点120℃以上の有機溶剤及び液晶相転移温度が120℃以上の重合性液晶化合物を含む重合性液晶組成物を基材又は配向膜上に塗布して塗布層を得る工程、
得られた塗布層を該有機溶剤の沸点未満の乾燥温度で乾燥させ、該塗布層から有機溶剤を除去しつつ、重合性液晶化合物を液晶状態で配向させる工程、及び
配向させた重合性液晶化合物を重合することにより、重合性液晶層を硬化させて光学異方性膜を得る工程を含む、方法。
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