以下に、実施の形態にかかるクーポン配布装置、クーポン配布システムおよびクーポン配布方法を図面に基づいて詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかるクーポン配布システムの構成例を示す図である。本実施の形態のクーポン配布システム100は、クーポン配布装置1およびイベント運用システム3を備える。本実施の形態のクーポン配布システム100は、イベントの観客にクーポンを配布する。イベントは、例えば、野球、サッカー、格闘技、ボートレース、競馬、競輪、バレーボールといったスポーツ、コンサート、演劇などであるがこれらに限定されない。イベントが行われるイベント会場は、例えば、スタジアム、多目的ホール、コンサートホール、体育館、競艇場、競馬場などであるが、これらに限定されない。クーポン配布装置1は、イベントの観客が保持する端末であるユーザ端末4へ、イベント会場の周辺の周辺店舗6において利用可能なクーポンを配布する。周辺店舗6は、店舗5-1~5-Nを含む。店舗5-1~5-Nは、1つ以上の店舗の一例である。以下、店舗5-1~5-Nを個別に区別せずに示すときには、店舗5と記載する。図1では複数の店舗5-1~5-Nが図示されているが、店舗5は1つであってもよく、Nは1以上の整数であればよい。周辺店舗6に属する店舗5-1~5-Nは、例えば、クーポン配布システム100の運用者との間で、クーポンの発行に関して合意している店舗である。
イベントが終了した後に観客が一斉にイベント会場から移動を始めると、イベント会場の周辺で混雑が生じる。本実施の形態のクーポン配布システム100は、イベントの終了より前に、イベントの観客にイベント会場の周辺の店舗5で使用可能なクーポンを配布する。これにより、イベントの終了前にイベント会場から店舗5へ移動する観客が見込まれ、イベント終了後の混雑を緩和することができる。クーポン配布システム100は、配布するクーポンにイベントの終了より前の期間において有効なものを含めておいてもよい。また、クーポン配布システム100は、観客がクーポンを利用可能な周辺店舗6、またはクーポンを利用した観客のユーザ端末4に、イベントの映像を配信する。これにより、観客は、イベントの終了前にイベント会場から退場した場合であっても、退場した後のイベントを視聴することができるため、イベントの終了前にイベント会場から退場しやすくなる。
図1に示すように、本実施の形態のイベント運用システム3は、カメラ31、入場管理装置32および運用管理装置33を備える。
カメラ31は、例えば、イベント会場の入口付近およびイベント会場内のうち少なくとも1か所に設置され、イベント会場に入場する観客またはイベント会場内における観客を撮影し、撮影により得られたカメラ映像を運用管理装置33へ送信する。カメラ31は、例えば、入口に設けられることでイベント会場を通過した全観客を撮影してもよいし、観客の一部だけを撮影してもよい。
入場管理装置32は、例えば、イベント会場における入口において、入場券の識別情報を読み取る装置であり、読み取った識別情報を運用管理装置33へ送信する。入場券は、例えば、観戦チケット、コンサートチケットなどのように、イベントを観戦または鑑賞するためのチケットである。入場券は紙であってもよいし、ユーザ端末4に表示される電子的なデータであってもよい。入場券の識別情報は、例えば、QRコード(登録商標)(Quick Responseコード)などの2次元コードとして入場券またはユーザ端末4に表示されるが、入場券の識別情報はテキストで表示されてもよい。また、入場管理装置32は、近距離無線通信などを用いて、IC(Integrated Circuit)チップが埋め込まれた入場券、または入場券に関する情報を保持しているユーザ端末4と通信を行うことで、入場券の識別情報を取得してもよい。以下、入場券の識別情報を入場券ID(IDentifier)と呼ぶ。
運用管理装置33は、カメラ31から受信したカメラ映像をクーポン配布装置1へ送信する。なお、図1では、カメラ映像は運用管理装置33を介してクーポン配布装置1へ送信されているが、クーポン配布装置1はカメラ31から直接カメラ映像を受信してもよい。また、運用管理装置33は、入場管理装置32から受信した入場券IDに対応する観客の登録情報を、図示しない予約システムから取得し、取得した登録情報をクーポン配布装置1へ送信する。登録情報は、予約時に取得された、観客に関する情報であり、例えば、観客が、入場券の予約時に登録した内容を示す情報である。登録情報は、例えば、観客の氏名、性別、年齢といった情報を含む。なお、登録情報において、観客の氏名の代わりに、例えば、予約システムを利用する際に用いたユーザ識別情報などのように、ユーザ識別情報が用いられてもよい。観客の氏名およびユーザ識別情報は、観客の識別情報の一例である。予約システムは、登録情報と入場券IDとの対応を保持している。運用管理装置33は、予約システムに、入場券IDを指定して登録情報の送信を要求することで、予約システムから入場券IDに対応する登録情報を受信する。なお、運用管理装置33が予約システムとしての機能を有していてもよく、この場合、運用管理装置33は、自身が入場券IDに対応する登録情報を図示しない記憶部に記憶しているため、入場券IDに対応する登録情報を記憶部から読み出し、読み出した登録情報をクーポン配布装置1へ送信する。
また、運用管理装置33は、イベントの進行状況を管理しており、イベントの進行状況を示す進行情報をクーポン配布装置1へ送信する。進行情報は、例えば、イベントが野球であれば、7回表、8回裏などいったように、各イニングの表と裏を単位として示されてもよいし、7回表の1アウトなどのように、アウトカウントの単位で示されてもよい。また、進行情報は、例えば、イベントがサッカーであれば、前半30分、後半20分などのように、前半と後半のそれぞれにおける経過時間で示されてもよい。また、進行情報は、例えば、イベントがコンサートであれば、イベントの全演目10演目中の3番目の演目などのように、演目単位で示されてもよい。運用管理装置33は、例えば、進行情報の値が更新されるたびに、進行情報をクーポン配布装置1へ送信する。進行情報は、オペレータにより運用管理装置33に入力されてもよいし、他の装置から運用管理装置33に送信されてもよい。なお、イベントの終了時刻が定められている場合には、運用管理装置33は、イベントの終了時刻をクーポン配布装置1へ送信すればよく、進行情報を送信しなくてもよい。また、運用管理装置33は、イベントの種類を示すイベント情報をクーポン配布装置1へ送信する。イベントの種類は、例えば、プロ野球、社会人野球、サッカー、コンサート、演劇などである。イベント情報は、オペレータにより運用管理装置33に入力されてもよいし、他の装置から運用管理装置33に送信されてもよい。
なお、図1では、イベント運用システム3は、カメラ31および入場管理装置32を備えているが、これに限らず、イベント運用システム3は、カメラ31および入場管理装置32のうちいずれか一方だけを備えてもよい。
本実施の形態のクーポン配布装置1は、カメラ映像受信部11、登録情報受信部12、進行情報受信部13、観客分析部14、終了時刻推定部15、観客分析情報送信部16、クーポンID受信部17、実績情報記憶部18、クーポン要求受信部19、クーポン作成部20およびクーポン送信部21を備える。
カメラ映像受信部11は、運用管理装置33からカメラ映像を受信し、受信したカメラ映像を観客分析部14へ出力する。登録情報受信部12は、運用管理装置33から登録情報を受信し、受信した登録情報を観客分析部14へ出力する。進行情報受信部13は、運用管理装置33から進行情報を受信し、受信した進行情報を終了時刻推定部15へ出力する。また、進行情報受信部13は、運用管理装置33からイベント情報を受信し、受信したイベント情報を終了時刻推定部15へ出力する。
観客分析部14は、イベントの観客の属性情報を用いて、イベントの観客の、属性の区分ごとの構成比を示す属性分析情報を生成する。具体的には、観客分析部14は、カメラ映像および登録情報のうち少なくとも一方を用いて、イベントの観客の属性情報を生成し、属性情報を用いて、観客を複数の区分(属性の区分)に分類し、属性の区分ごとの構成比を算出する。属性情報は、例えば、年齢および性別のうちの少なくとも1つである。以下では、一例として、属性情報が年齢および性別であるとするが、属性情報はこれに限定されない。観客分析部14は、区分ごとの構成比を、属性分析情報として観客分析情報送信部16へ出力する。また、観客分析部14は、登録情報受信部12から登録情報を受け取った場合、登録情報をクーポン作成部20へ出力する。
詳細には、観客分析部14は、カメラ映像受信部11からカメラ映像を受け取った場合は、カメラ映像を用いて、画像認識処理により、観客の属性情報を推定し、推定した属性情報を用いて観客を複数の区分に分類し、区分ごとの観客の数を計数する。そして、観客分析部14は、区分ごとの計数結果を用いて、区分ごとの構成比を算出する。区分は、例えば、年齢が10代であり性別が男といったように、年齢の範囲と性別との組み合わせで表される。区分は、これに限らず、年齢の範囲だけ、または性別だけなどであってもよい。以下では、区分が年齢の範囲と性別との組み合わせで表される例について説明する。観客分析部14が行う画像認識処理としては、一般的な処理を用いることができ、どのような処理が用いられてもよい。なお、カメラ31が、全観客を撮影していない場合でも、十分な数の観客を特定の条件の場所に偏らないように撮影することで、撮影された観客に関する区分ごとの構成比を、全観客に関する区分ごとの構成比の推定値とみなすことができる。また、観客分析部14は、登録情報受信部12から登録情報を受け取った場合は、登録情報から属性情報を抽出し、抽出した属性情報を用いて観客を各区分に分類し、区分ごとの構成比を算出する。
なお、イベント運用システム3がカメラ31および入場管理装置32を備えている場合、運用管理装置33は、登録情報をクーポン配布装置1へ送信し、カメラ映像をクーポン配布装置1へ送信しないようにしてもよい。また、イベント運用システム3がカメラ31および入場管理装置32を備え、イベントの観客の一部が入場管理装置32を経由して入場し残部が入場管理装置32を経由せずに入場する場合、運用管理装置33は、カメラ映像および登録情報の両方をクーポン配布装置1へ送信し、クーポン配布装置1の観客分析部14は、カメラ映像と登録情報との両方を用いて区分ごとの構成比を求めてもよい。例えば、観客分析部14は、カメラ映像から推定した属性情報と登録情報から抽出した属性情報とを合わせて区分ごとの観客を計数し、計数結果を用いて区分ごとの構成比を求めてもよい。
終了時刻推定部15は、進行情報受信部13から受け取った進行情報を用いて、イベントの終了時刻を推定し、推定結果をクーポン作成部20へ通知する。例えば、イベントが野球であれば、1イニングの1回の攻撃分の所要時間をあらかじめ定めておき、終了時刻推定部15は、順次更新される進行情報と1イニングの1回の攻撃分の所要時間とを用いて9回の裏が終了する時刻を、イベントの終了時刻として推定する。例えば、イベントがコンサートであれば、1演目あたりの所要時間をあらかじめ定めておき、終了時刻推定部15は、順次更新される進行情報と1演目あたりの所要時間とを用いて、全演目が終了する時刻を推定する。1イニングの1回の攻撃分の所要時間、1演目あたりの所要時間などの終了時刻を推定するための補助情報は、例えば、イベントの種類ごとにあらかじめ定められて図示しないクーポン配布装置1の記憶部に記憶されており、終了時刻推定部15は、進行情報受信部13から受け取ったイベント情報を用いて対応するイベントの種類に応じて必要な補助情報を読み出す。または、イベントごとに、運用管理装置33から補助情報が通知されてもよいし、イベントごとにオペレータからクーポン配布装置1に入力されてもよい。また、終了時刻推定部15は、進行情報受信部13から受け取ったイベント情報を、観客分析情報送信部16へ出力する。
観客分析情報送信部16は、観客分析部14によって生成された属性分析情報を含む観客分析情報を店舗5へ送信する。詳細には、観客分析情報送信部16は、終了時刻推定部15から受け取ったイベント情報と、観客分析部14から受け取った属性分析情報とを含む観客分析情報を生成し、生成した観客分析情報を周辺店舗6の各店舗5へ送信する。
クーポン要求受信部19は、店舗5から、クーポンの発行を要求することを示すクーポン要求情報を受信し、受信したクーポン要求情報をクーポン作成部20へ出力する。クーポン要求情報は、発行するクーポンの種類を示す情報を含む。クーポンの種類は、例えば、クーポンに対応するサービスまたは商品を示す情報である。クーポンの種類は、例えば、店舗5が飲食店の場合は、ビール、ジュース、コーヒー、飲み物、食事などであり、店舗5が物品を販売する店舗である場合、文房具、グッズAなどであるが、これらに限定されない。なお、後述するように、例えば、クーポンは、店舗5におけるサービスまたは商品の価格が割引となる割引クーポンであってもよいし、限定販売などの商品の購入が可能な購入券となるクーポンであってもよい。このように、割引以外に購入券などのクーポンも発行可能な場合、クーポン要求情報には、サービスまたは商品を示す情報だけでなく、割引であるか購入券であるかを示す情報が含まれていてもよい。
クーポン作成部20は、推定されるイベントの終了時刻より前に、推定されるイベントの終了時刻より前の時間帯で店舗5において利用可能なクーポンを作成する。具体的には、クーポン作成部20は、終了時刻推定部15から受け取った推定結果であるイベントの終了時刻と、クーポン要求受信部19から受け取ったクーポン要求情報とを用いて、クーポンを作成し、作成したクーポンにクーポンの識別情報であるクーポンIDを付与し、ID付きクーポンをクーポン送信部21へ出力する。作成されるクーポンは、イベントの終了時刻より前の時間帯に有効なものを含む。クーポン作成部20におけるクーポンの作成方法の詳細については後述する。ID付きクーポンは、例えば、クーポンの内容を示す情報と、クーポンIDを示す情報とを含む。ID付きクーポンは、2次元コードであってもよい。クーポンIDを示す情報は、クーポンIDが2次元コードとして表示されたものであってもよいし、2次元コードとは別のクーポンID自体でもよい。また、クーポン作成部20は、観客分析部14から登録情報を受け取った場合は、登録情報と作成したID付きクーポンとを対応付けて実績情報記憶部18に格納する。なお、イベント運用システム3がカメラ映像を送信し登録情報を送信しない場合などのように、クーポン配布装置1が各観客の登録情報を管理しない場合は、クーポン作成部20は、クーポンIDを付与せずに、作成したクーポンをクーポン送信部21へ送信してもよい。
クーポン送信部21は、クーポン作成部20により作成されたID付きクーポンをイベントの観客のユーザ端末4に送信する。なお、クーポン送信部21は、クーポンを送信すればよく、このクーポンはID付きクーポンであっても、IDが付与されていないクーポンであってもよい。クーポンの送信は、例えば、ユーザ端末4が、クーポン取得のためのURL(Uniform Resource Locator)にアクセスすることで実施される。例えば、イベント会場の大型スクリーンに、クーポンを取得するためのURLを示す2次元コードが表示されてもよいし、座席に、クーポンを取得するためのURLを示す2次元コードが貼付されてもよい。クーポン配布装置1が各観客の登録情報を管理しない場合、クーポン配布装置1は、ユーザ端末4がクーポンを取得するためのURLへアクセスするとクーポンが表示されるようにしてもよい。すなわち、ユーザ端末4がクーポンを取得するためのURLへアクセスすると、クーポン送信部21がクーポンを送信してもよい。クーポン配布装置1が各観客の登録情報を管理する場合は、後述するように、例えば、クーポン配布装置1は、ユーザ端末4と、配布するクーポンのクーポンIDの対応付けを行うことになる。対応付けの具体例としては、例えば、ユーザ端末4がクーポンを取得するためのURLへアクセスすると、ユーザを識別するためのユーザ識別情報または氏名など、登録情報に含まれる情報の入力を要求する。
クーポンの送信方法は、上記の例に限定されず、例えば、イベント会場におけるローカルな通信ネットワークでID付きクーポンを送信することでイベント会場の観客のユーザ端末4へID付きクーポンを送信してもよい。または、ユーザ端末4におけるクーポンを取得するためのアプリケーションソフトウェアが、ユーザ端末4の位置情報を取得し、ユーザ端末4がイベント会場内にいると判断した場合にクーポン配布装置1へID付きクーポンの取得を要求するようにしてもよい。
クーポン送信部21によってユーザ端末4にID付きクーポン(またはクーポン)が送信されると、ユーザは、ユーザ端末4を操作することで、ユーザ端末4が受信したID付きクーポン(またはクーポン)を店舗5で提示することでクーポンを利用することができる。
クーポンID受信部(クーポン識別情報受信部)17は、各店舗5で利用されたID付きクーポンのクーポンIDである利用クーポンIDを各店舗5から受信し、受信した利用クーポンIDを実績情報記憶部18に格納する。利用クーポン識別情報である利用クーポンIDは、利用されたクーポンを示す利用クーポン情報の一例であり、後述するように、クーポン作成部20によって、観客ごとの利用実績を求める際に使用される。
図1に示した映像配信システム2は、イベントを撮影する図示しない撮影装置から映像を受信し、受信した映像を周辺店舗6のうち少なくとも一部の店舗5へ送信する。また、映像配信システム2は、受信した映像をユーザ端末4に送信してもよい。すなわち、映像配信システム2は、店舗5およびユーザ端末4のうち少なくとも一方へイベントを撮影した映像を配信する。映像配信システム2は、店舗5に対しては、例えば、イベントの開始時から、またはイベントの途中から映像を送信する。映像配信システム2は、ユーザ端末4に対しては、観客がクーポンを利用した場合に、映像の送信を開始する。例えば、映像配信システム2は、ユーザ端末4への映像の送信を開始する前に、ユーザ端末4にパスワードの送信を要求し、ユーザ端末4から送信されたパスワードが、保持しているパスワードと一致した場合に映像の送信を開始する。パスワードは、例えば、毎日、1週間ごとなどのように定期的に変更されて、店舗5に通知される。パスワードの更新のタイミングは上記の例に限定されない。パスワードは、店舗5に掲示されてもよいし、観客がユーザ端末4を用いてクーポンを提示すると店員から観客にパスワードが伝達されてもよい。クーポンを利用する観客がパスワードをユーザ端末4に入力すると、映像配信システム2からユーザ端末4へ映像が送信される。
または、利用クーポンIDを用いた承認が行われることで、ユーザ端末4への映像の配信が行われてもよい。例えば、店舗5から送信された利用クーポンIDが実績情報記憶部18に格納されると、クーポン配布装置1のクーポン作成部20またはクーポン配布装置1の図示しない機能部が、利用クーポンIDに対応するIDが付与されたID付きクーポンを実績情報記憶部18から読み出し、登録情報とユーザ端末4との対応付けを行ってもよい。なお、ここでは、ID付きクーポンの発行時に登録情報とユーザ端末4の識別情報の対応付けが行われているか、または登録情報にユーザ端末4の識別情報が含まれているとする。クーポン配布装置1のクーポン作成部20またはクーポン配布装置1の図示しない機能部が、ID付きクーポンを利用した観客のユーザ端末4を特定し、特定したユーザ端末4の識別情報を、承認されたユーザ端末4の識別情報として映像配信システム2へ通知してもよい。映像配信システム2は、クーポン配布装置1から通知されたユーザ端末4の識別情報に対応するユーザ端末4へ映像を送信する。クーポン配布装置1のクーポン作成部20またはクーポン配布装置1の図示しない機能部は、利用されたクーポンのクーポンIDを用いて、ユーザ端末4の識別情報の代わりにユーザ識別情報を特定してもよい。この場合、ユーザ端末4は、ユーザ識別情報を映像配信システム2へ送信し、映像の送信を映像配信システム2へ要求する。映像配信システム2は、ユーザ端末4から送信されたユーザ識別情報が、クーポン配布装置1から通知されたユーザ識別情報と一致する場合にユーザ端末4へ映像を送信する。
図1に示すように、ユーザ端末4は、クーポン受信部41、出力部42および映像受信部43を備える。クーポン受信部41は、クーポン配布装置1からID付きクーポン(またはクーポン)を受信し、受信したID付きクーポン(またはクーポン)を出力部42へ出力する。映像受信部43は、映像配信システム2から映像を受信すると映像を出力部42へ出力する。出力部42は、少なくとも表示機能を有する。出力部42は、スピーカとしての機能を有していてもよい。出力部42は、クーポン受信部41から受け取ったID付きクーポン(またはクーポン)を表示し、映像受信部43から受け取った映像を表示する。
図1に示すように、周辺店舗6における店舗5-1は、店舗端末51および表示装置52を備える。また、周辺店舗6における店舗5-2は、店舗端末51を備える。周辺店舗6における店舗5は、少なくとも店舗端末51を備える。表示装置52については、全店舗5が備えていなくてもよい。表示装置52は、例えば、店舗5の来店者が視聴することが可能な大型の表示装置であるが、映像を表示することができるものであればどのような表示装置であってもよい。表示装置52を備えていない店舗5でID付きクーポン(またはクーポン)を利用する観客は、上述したように、ユーザ端末4で映像を視聴することができる。
店舗端末51は、クーポン配布装置1から観客分析情報を受信し、観客分析情報を表示することで、観客分析情報を店員に提示する。店員は、観客分析情報と、店舗5で提供するサービスまたは店舗5で販売する商品に基づいて、発行を要求するクーポンの種類を決定する。例えば、店舗5が、ビール、ジュースおよび食事を提供する飲食店であれば、店員は、観客分析情報を用いてビール、ジュースおよび食事のなかからクーポンの発行を要求する商品を選択し、選択した商品を示す情報を店舗端末51へ入力する。店舗端末51は、店員から入力された情報を用いてクーポン要求情報を生成し、生成したクーポン要求情報をクーポン配布装置1へ送信する。また、店舗端末51は、ID付きクーポンを利用する観客のユーザ端末4に表示されたID付きクーポンを読み取り、読み取ったID付きクーポンに対応するクーポンIDを利用クーポンIDとしてクーポン配布装置1へ送信する。ID付きでないクーポンが用いられる場合には、店舗5では、当該クーポンを店員が確認してもよいし、店舗端末51が読み取ってもよい。また、店舗端末51は、POS(Point of Sale)システムにおける端末であってもよいし、POSシステムに接続される端末であってもよい。この場合、利用クーポンIDは、POSシステムを介してクーポン配布装置1へ送信されてもよい。また、店舗端末51は、クーポン配布装置1との間で、SNS(Social Networking Service)などの既存のアプリケーションソフトウェアを用いて情報の送受信を行ってもよい。
表示装置52は、映像配信システム2から、イベントの映像を受信し、受信した映像を表示する。なお、イベントの映像の視聴に制限がある場合、すなわち、店舗5の全ての来店客がイベントの映像の視聴が可能になることが好ましくない場合、店舗5に個室などの専用エリアなどが設けられ、専用エリア内に表示装置52が設置され、ID付きクーポン(またはクーポン)を利用する観客が当該専用エリア内で映像を視聴するようにしてもよい。
次に、本実施の形態の動作について説明する。図2および図4は、本実施の形態のクーポン配布システム100における動作の一例を示すシーケンス図である。図2に示すように、クーポン配布装置1は、イベント運用システム3からカメラ映像および登録情報を受信する(ステップS1,S2)。カメラ映像は、上述したように、イベント会場において観客が撮影された映像であり、登録情報は、入場券の予約時に登録された情報である。また、上述したように、クーポン配布装置1は、イベント運用システム3からカメラ映像および登録情報のうち少なくとも1つを受信すればよい。
次に、クーポン配布装置1は、カメラ映像および登録情報のうち少なくとも1つを用いてイベント会場の観客の属性情報を分析する(ステップS3)。詳細には、観客分析部14が、カメラ映像および登録情報のうち少なくとも一方を用いて、イベントの観客の属性情報を求め、属性情報を用いて観客を複数の区分に分類し、区分ごとの構成比を算出し、算出した区分ごとの構成比を、属性分析情報として観客分析情報送信部16へ出力する。
また、クーポン配布装置1は、イベント運用システム3から進行情報(イベントの進行情報)を受信し(ステップS4)、イベントの進行情報を基にイベントの終了時刻を推定する(ステップS5)。詳細には、終了時刻推定部15が、進行情報と上述した補助情報とを用いてイベントの終了時刻を推定し、推定結果であるイベントの推定時刻をクーポン作成部20へ出力する。ステップS4,S5は、イベントの開催中に、進行情報が更新されるたびに、または定期的に実施される。なお、イベントの終了時刻が定められている場合、推定されるイベントの終了時刻が決定されている場合には、ステップS4,S5は実施されなくてよい。この場合、イベントの終了時刻は、例えば、オペレータにより入力されるまたはイベント運用システム3から送信されることで、推定されるイベントの終了時刻としてクーポン作成部20に入力される。
クーポン配布装置1は、観客分析情報を店舗5-1~5-Nへ送信する(ステップS6)。詳細には、観客分析情報送信部16が、観客分析部14から受け取った属性分析情報と、終了時刻推定部15から受け取ったイベント情報とを含む観客分析情報を生成し、生成した観客分析情報を店舗5-1~5-Nへ送信する。イベント情報は、上述したように、例えば、運用管理装置33から送信され、進行情報受信部13によって受信され、終了時刻推定部15を介して、観客分析情報送信部16に入力される。なお、イベント情報は、運用管理装置33から送信される代わりに、クーポン配布装置1に直接入力されてもよい。
図3は、本実施の形態の観客分析情報の一例を示す図である。図3に示した例では、上部にイベント情報が示され、イベント情報の下部に属性分析情報が示されている。図3に示した例では、イベント情報によりイベントがプロ野球であることが示されている。図3に示した属性分析情報では、年齢と性別の組み合わせにより各区分が定められている。例えば、年齢が10歳未満で性別が男の属性が1つの区分である。図3に示した例では、年齢については、10歳未満、10代、20代、30代、40代、50代、60代に分類されている。図3に示した比率は、全年齢および全性別を合わせた観客の人数をNallとしたときの、各区分の観客数のNallに対する比が百分率で示されたものである。すなわち、図3に示した比率は、全年齢および全性別を合わせた観客に対する各区分の観客の構成比を示している。
図2の説明に戻る。店舗5-1~5-Nは、観客分析情報に基づき、発行を要求するクーポンを決定する(ステップS7)。詳細には、店舗5-1~5-Nの店舗端末51は、ステップS6で送信された観客分析情報を受信すると、受信した観客分析情報を表示し、店員からの発行を要求するクーポンの種類の入力を受付ける。そして、店舗5-1~5-Nの店舗端末51は、受付けた内容に基づいて発行を要求するクーポンを決定する。なお、観客分析情報を受信した全ての店舗5-1~5-Nがクーポンの発行を要求する必要なく、店舗5-1~5-Nのうち少なくとも一部がクーポンの発行を要求すればよい。
次に、図4に示すように、店舗5-1~5-Nは、クーポン要求情報を送信する(ステップS8)。図4では、店舗5-1~5-Nのそれぞれに対応するクーポン要求情報をクーポン要求情報#1~#Nとして示している。クーポン配布装置1のクーポン要求受信部19は、クーポン要求情報(クーポン要求情報#1~#N)を受信し、受信したクーポン要求情報をクーポン作成部20へ出力する。
次に、クーポン配布装置1は、クーポン要求情報とイベント終了時刻とに基づいてクーポンを作成し、クーポンにIDを付与する(ステップS9)。詳細には、クーポン作成部20が、終了時刻推定部15から受け取ったイベントの終了時刻であるイベント終了時刻と、クーポン要求受信部19から受け取ったクーポン要求情報とを用いて、クーポンを作成する。クーポン作成部20は、作成したクーポンに、観客分析部14から受け取った登録情報ごとにクーポン識別情報であるクーポンIDを付与し、クーポンIDを付与したクーポンであるID付きクーポンを作成する。また、クーポン作成部20は、作成したID付きクーポンをクーポン送信部21へ出力する。また、クーポン作成部20は、ID付きクーポンと登録情報とを対応付けて実績情報記憶部18に格納する。なお、クーポン作成部20が、クーポンを作成するタイミングは、イベント会場に観客が入場可能となってからイベントの終了時刻までの間であればよい。例えば、クーポン配布装置1は、推定されるイベントの終了時刻よりあらかじめ定められた時間前に、クーポンを作成するようにしてもよい。
クーポン作成部20は、例えば、入店時間がイベント終了時刻より前の時間である場合に有効なクーポンを作成する。また、クーポン作成部20は、例えば、複数の時間帯ごとにクーポンの内容を変更するようにしてもよく、この場合、早い時間帯ほど割引率が高くなるようにしてもよい。例えば、クーポン作成部20は、割引率を、複数の時間帯ごとに定め、早い時間帯ほど割引率が高くなるようにクーポンを作成してもよい。図5は、本実施の形態の割引率の一例を示す図である。図5に示した例では、推定されるイベント終了時刻が19:00であるとしている。図5に示した例では、18:00以前、18:01-18:30、18:31-19:00の各時間帯に入店した場合の割引率の一例を示している。クーポン作成部20は、例えば、イベント終了時刻の30分前からイベント終了時刻までに入店した場合の割引率を10%とし、さらにその前の30分間に入店した場合の割引率を20%とし、さらにそれ以前に入店した場合の割引率を30%とするといった規則をあらかじめ定めておき、この規則とイベント終了時刻とを用いて、図5に示したように各時間帯の割引率を決定する。なお、具体的な割引率および時間帯はこの例に限定されない。また、イベントの種類ごとに規則を定めておいてもよいし、イベントが開催される日が平日であるか休日であるかに応じて規則を定めておいてもよい。クーポン作成部20は、図5に例示した割引率と、各店舗5から受け取ったクーポン要求情報で示されるサービスまたは商品とを用いてクーポンを作成する。例えば、店舗5-1からビールのクーポンの発行の要求があった場合には、18:00以前の入店でビール30%割引、18:01-18:30の入店でビール20%割引、18:31-19:00の入店でビール10%割引といった内容のクーポンが作成される。
なお、クーポン作成部20は、属性の区分ごとに、発行するクーポンを決定してもよい。この場合、クーポン要求情報において、区分ごとに、発行するクーポンの種類が指定されてもよい。また、ここでは、クーポン作成部20が割引率を決定する例を説明したが、店舗5がクーポン要求情報において、割引率を指定し、クーポン作成部20は、指定された割引率を用いてクーポンを発行してもよい。
また、店舗5が物品を販売する店舗である場合、クーポン作成部20は、クーポンをイベントに関連する限定グッズなどの購入券としてもよい。この場合、クーポン作成部20は、早い時間帯ほど人気の高いまたは販売数の少ないグッズを購入できるようなクーポンを作成してもよい。
また、上述したように、実績情報記憶部18には店舗5で利用されたクーポンのクーポンIDである利用クーポンIDが格納されるとともに、過去に発行されたID付きクーポンと対応する登録情報とが格納されている。このため、クーポン作成部20は、実績情報記憶部18に格納されている利用クーポンIDと、登録情報と、ID付きクーポンとを用いて、利用クーポンIDに対応する氏名またはユーザ識別情報などのユーザを識別するための情報を求めることができる。クーポン作成部20は、クーポンの発行時に、ユーザごとに、過去のクーポンの利用実績をもとに、作成するクーポンの割引率などを決定してもよい。例えば、クーポン作成部20は、観客分析部14から受け取った登録情報に対応する観客の過去のクーポンの利用回数が閾値以上の場合には、割引率を上記の規則を用いて決定した割引率より10%上乗せするといったように、利用回数が多い観客に対して割引率が高いクーポンを作成してもよい。
また、クーポン作成部20は、クーポン配布装置1が登録情報を管理しない場合には、クーポンにクーポンIDを付与しなくてもよい。この場合、クーポン作成部20は、ID付きクーポンの代わりに、作成したクーポンをクーポン送信部21へ出力する。
クーポン配布装置1は、ID付きクーポン(またはクーポン)をユーザ端末4に送信する(ステップS10)。ユーザ端末4がID付きクーポン(またはクーポン)を受信して表示することで、観客はクーポンの内容を確認する。観客は、クーポンの内容を確認し、クーポンを利用したいと考えると、イベントを終了時刻より早く退場することになる。これにより、イベントの終了後の混雑を抑制することができる。また、クーポン配布装置1は、ID付きクーポン(またはクーポン)を送信する際に、クーポンを利用すると店舗5においてまたはユーザ端末4を用いてイベントの映像が視聴できる旨を示す情報をユーザ端末4に送信してもよい。ユーザ端末4が当該情報を表示すると、観客がイベント会場を退場して店舗5に移動した後もイベントの映像を視聴することができることを認識できるため、観客のイベントの終了時刻より早い時間の退場を促進することができる。
また、上述したように、イベント会場内の大型スクリーンに、クーポンを取得するためのURLを示す2次元コードを表示してもよいし、座席に2次元コードが貼付されてもよい。ID付きクーポンではない場合、この場合、クーポン配布装置1がWebサーバーとしての機能を有し、ユーザ端末4が2次元コードを読み取りURLにアクセスすることで、クーポン配布装置1からユーザ端末4へクーポンが送信されてもよい。
ID付きクーポンについては、当該ID付きクーポンに対応付けられた登録情報に対応する観客のユーザ端末4に送信されることになる。このため、なんらかの方法で、登録情報とユーザ端末4とが対応付けられる。例えば、ユーザ端末4が、クーポンを取得するためのURLを示す2次元コードを読み取りURLにアクセスすると、当該URLにおいてユーザ識別情報の入力が要求されるようにしてもよい。ユーザ端末4は、観客から入力されたユーザ識別情報をユーザ端末4の識別情報とともに、クーポン配布装置1へ送信する。クーポン配布装置1は、ユーザ端末4から受信したユーザ識別情報を実績情報記憶部18に格納されている登録情報内のユーザ識別情報と照合することで、ユーザ端末4(ユーザ端末4の識別情報)と登録情報との対応を把握することができる。なお、クーポンを取得するためのURLを示す2次元コードはイベント会場の座席などに貼付されてもよい。または、例えば、入場券の予約とクーポンの配布とをユーザ端末4における同一のアプリケーションソフトウェアなどにより行うことで、ユーザ端末4が当該アプリケーションソフトウェアによりクーポン取得のためのボタンを表示してもよい。この場合、ユーザが当該ボタンを押下すると、当該アプリケーションソフトウェアによってクーポン取得を要求する情報が、登録情報に含まれるユーザ識別情報とともにクーポン配布装置1へ送信される。これにより、クーポン配布装置1は、ユーザ端末4と登録情報との対応を把握することができる。または、運用管理装置33が取得する登録情報にユーザ端末4の識別情報が含まれていてもよい。
クーポン作成部20は、例えば、上記のように例示した方法で、ユーザ端末4の識別情報と登録情報との対応を把握し、ID付きクーポンをクーポン送信部21へ出力する際に、ID付きクーポンに対応するユーザ端末4の識別情報を求め、送信先としてユーザ端末4の識別情報を通知する。なお、ユーザ端末4の識別情報と登録情報とを対応づける方法は上述した例に限定されない。
映像配信システム2は、店舗5およびユーザ端末4へイベントの映像を送信することで、映像を配信する(ステップS11)。なお、上述したように、店舗5への映像の送信はイベントの開始時に行われてもよい。また、ユーザ端末4への映像の配信は、ユーザ端末4に対応する観客がクーポンを利用した後、またはユーザ端末4に対応する観客がクーポンを利用する店舗5に入店した後に開始されることが望ましい。具体的には、例えば、ユーザ端末4の映像の配信の前に、パスワードの入力が要求されるようにしてもよい。または、ID付きクーポンの場合には、上述したように、利用クーポンIDを用いた承認が行われることで、ユーザ端末4への映像の配信が開始されてもよい。
次に、本実施の形態のクーポン配布装置1のハードウェア構成について説明する。本実施の形態のクーポン配布装置1は、コンピュータシステム上で、クーポン配布装置1における処理が記述されたコンピュータプログラムであるプログラムが実行されることにより、コンピュータシステムがクーポン配布装置1として機能する。図6は、本実施の形態のクーポン配布装置1を実現するコンピュータシステムの構成例を示す図である。図6に示すように、このコンピュータシステムは、制御部101と入力部102と記憶部103と表示部104と通信部105と出力部106とを備え、これらはシステムバス107を介して接続されている。
図6において、制御部101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、本実施の形態のクーポン配布装置1における処理が記述されたプログラムを実行する。なお、制御部101の一部が、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)などの専用ハードウェアにより実現されてもよい。入力部102は、たとえばキーボード、マウスなどで構成され、コンピュータシステムの使用者が、各種情報の入力を行うために使用する。記憶部103は、RAM(Random Access Memory),ROM(Read Only Memory)などの各種メモリおよびハードディスクなどのストレージデバイスを含み、上記制御部101が実行すべきプログラム、処理の過程で得られた必要なデータ、などを記憶する。また、記憶部103は、プログラムの一時的な記憶領域としても使用される。表示部104は、ディスプレイ、LCD(液晶表示パネル)などで構成され、コンピュータシステムの使用者に対して各種画面を表示する。通信部105は、通信処理を実施する受信機および送信機である。出力部106は、プリンタ、スピーカなどである。なお、図6は、一例であり、コンピュータシステムの構成は図6の例に限定されない。
ここで、本実施の形態のプログラムが実行可能な状態になるまでのコンピュータシステムの動作例について説明する。上述した構成をとるコンピュータシステムには、たとえば、図示しないCD(Compact Disc)-ROMドライブまたはDVD(Digital Versatile Disc)-ROMドライブにセットされたCD-ROMまたはDVD-ROMから、コンピュータプログラムが記憶部103にインストールされる。そして、プログラムの実行時に、記憶部103から読み出されたプログラムが記憶部103の主記憶領域に格納される。この状態で、制御部101は、記憶部103に格納されたプログラムに従って、本実施の形態のクーポン配布装置1としての処理を実行する。
なお、上記の説明においては、CD-ROMまたはDVD-ROMを記録媒体として、クーポン配布装置1における処理を記述したプログラムを提供しているが、これに限らず、コンピュータシステムの構成、提供するプログラムの容量などに応じて、たとえば、通信部105を経由してインターネットなどの伝送媒体により提供されたプログラムを用いることとしてもよい。
図1に示した観客分析部14、終了時刻推定部15およびクーポン作成部20は、図6に示した記憶部103に記憶されたコンピュータプログラムが図6に示した制御部101により実行されることにより実現される。図1に示した観客分析部14、終了時刻推定部15およびクーポン作成部20の実現には、図6に示した記憶部103も用いられる。図1に示した実績情報記憶部18は、図6に示した記憶部103の一部である。図1に示したカメラ映像受信部11、登録情報受信部12、進行情報受信部13、観客分析情報送信部16、クーポンID受信部17、クーポン要求受信部19およびクーポン送信部21は、図6に示した通信部105により実現される。カメラ映像受信部11、登録情報受信部12、進行情報受信部13、観客分析情報送信部16、クーポンID受信部17、クーポン要求受信部19およびクーポン送信部21の実現には制御部101も用いられる。また、クーポン配布装置1は複数のコンピュータシステムにより実現されてもよい。例えば、クーポン配布装置1は、クラウドコンピュータシステムにより実現されてもよい。
映像配信システム2も、同様に、例えば、図6に示した構成のコンピュータシステムにより実現される。店舗端末51も同様に、例えば、図6に示した構成のコンピュータシステムにより実現される。ユーザ端末4も、同様に、例えば、図6に示した構成のコンピュータシステムにより実現される。図1に示したクーポン受信部41および映像受信部43は、図6に示した通信部105により実現される。クーポン受信部41および映像受信部43の実現には、制御部101も用いられる。図1に示した出力部42は、図6に示した表示部104および、スピーカである出力部106により実現される。
<変形例>
図7は、実施の形態1にかかるクーポン配布システムの変形例を示す図である。本実施の形態の変形例のクーポン配布システム100aは、クーポン配布装置1aおよびイベント運用システム3を備える。クーポン配布装置1aは、クーポン作成部20の代わりにクーポン作成部20aを備える以外は、クーポン配布装置1と同様である。実施の形態1と同様の機能を有する構成要素は実施の形態1と同一の符号を付し重複する説明を省略する。
本実施の形態のクーポン作成部20aは、交通情報システム7から、イベント会場の周辺の交通機関、道路などの混雑度を示す混雑情報を取得し、取得した混雑情報からイベントの終了時刻における混雑情報を予測する。そして、クーポン作成部20aは、混雑情報に応じてクーポンを作成する。例えば、クーポン作成部20aは、混雑情報として、鉄道、路線バスなどの交通機関における周辺の駅、停留所などの乗降者数を取得する。クーポン作成部20aは、例えば、1日の時間帯ごとの平均的な乗降者数の変化を過去の情報に基づいて日変化情報としてテーブルまたは計算式で保持しておき、日変化情報と、取得した混雑情報とから、イベントの終了時刻における混雑情報を予測する。例えば、8:00から8:30までを基準時間帯とし、30分単位の時間帯ごとに、当該時間帯の乗降者数の、基準時間帯の乗降者数に対する比である乗降者比を、日変化情報として保持しておく。クーポン作成部20aは、イベントの終了時刻の時間帯における乗降者比を当該混雑情報に対応する時間帯の乗降者比で除算した値を、取得した混雑情報に乗算することでイベントの終了時刻における混雑情報を予測する。または、クーポン作成部20aは、取得した混雑情報に対応する時刻とイベントの終了時刻との差が閾値以下であれば、取得した混雑情報を、イベントの終了時刻における混雑情報の予測値としてそのまま用いてもよい。クーポン作成部20aは、例えば、混雑情報が示す混雑度が多いほど、割引率が高くなるようにクーポンを作成する。なお、混雑情報は鉄道車両の乗客数などであってもよく、上述した例に限定されない。
また、クーポン作成部20aは、周辺に複数の駅、停留所などが存在する場合には、駅、停留所ごとに、混雑情報を取得し、クーポンの有効な時間帯における駅、停留所ごとの混雑情報を予測し、空いている駅または停留所へ向かう経路上の店舗5における割引率を高く設定するようにしてもよい。
以上述べたように、本実施の形態のクーポン配布装置1,1aは、イベントの終了時刻より前にイベントの観客に周辺の店舗5で利用可能なクーポンを配布するようにした。これにより、イベントの終了後の人流の集中を緩和することができる。
実施の形態2.
図8は、実施の形態2にかかるクーポン配布システムを示す図である。本実施の形態のクーポン配布システム100bは、クーポン配布装置1bおよびイベント運用システム3を備える。クーポン配布装置1bは、実績分析部22が追加される以外は、実施の形態1のクーポン配布装置1と同様である。実施の形態1と同様の機能を有する構成要素は実施の形態1と同一の符号を付し重複する説明を省略する。以下、実施の形態1と異なる点を主に説明する。
本実施の形態では、クーポン配布装置1bは、イベント運用システム3から登録情報を取得できる場合に、登録情報とクーポンの利用実績とを分析することで、観客の属性の区分に応じた推奨されるクーポンの種類を決定し、推奨されるクーポンの種類を店舗5へ提示する。
例えば、実績分析部22は、実績情報記憶部18に格納されている、利用クーポンIDと、ID付きクーポンと、登録情報とを用いて、属性の区分ごとに、推奨するクーポンの種類を決定する。具体的には、実績分析部22が、実績情報記憶部18に格納されている、利用クーポンIDと、ID付きクーポンと、登録情報とを用いて、観客の属性情報の各区分に関して、クーポンの種類ごとに利用されたクーポンの数を算出する。実績分析部22は、この算出結果を分析結果として用いて、各区分の推奨されるクーポンの種類を決定し、推奨されるクーポンの種類を観客分析情報送信部16へ出力する。
図9は、本実施の形態の実績分析部22における分析結果の一例を示す図である。図9では、一例として年齢が10歳未満であり性別が男の区分に関する分析結果を示している。図9に示した例では、分析結果は、発行したクーポンの数であるクーポン発行数と、利用されたクーポンの数であるクーポン利用数とを含む。例えば、実績分析部22は、実績情報記憶部18に格納されている、登録情報と対応付けられたID付きクーポンを用いて、各区分の、クーポンの種類ごとのクーポン発行数を算出する。また、実績分析部22は、実績情報記憶部18を参照して、格納されている利用クーポンIDに対応するID付きクーポンを抽出し、当該ID付きクーポンに対応する登録情報を抽出する。そして、実績分析部22は、抽出したID付きクーポンおよび登録情報を用いて、各区分のクーポンの種類ごとのクーポン発行数を算出する。図9では、1つの区分に関する分析結果を示しているが、実績分析部22は、同様に、各区分の分析結果を算出する。
実績分析部22は、区分ごとに、分析結果を用いて、クーポンの種類を、クーポン利用数の多い順、またはクーポン発行数に対するクーポン利用数の比の高い順に並べる。例えば、クーポン発行数に対するクーポン利用数の比が高いほど推奨される度合いの高いクーポンの種類であるとすると、図9に示した例では、菓子割引が最も推奨される度合いが高い。このため、例えば、実績分析部22は、年齢が10歳未満であり性別が男の区分に関しては、推奨されるクーポンの種類を菓子割引に決定する。なお、推奨されるクーポンの種類は1つに限定されず、複数としてもよい。例えば、実績分析部22は、推奨される度合いが同程度のものが複数存在する場合には推奨されるクーポンの種類を複数決定してもよい。また、あらかじめ、区分ごとに上位2つなどのように、推奨されるクーポンの種類の数が定められていてもよい。また、この場合、区分ごとの、あらかじめ定められる推奨されるクーポンの種類の数は同一でなくてもよい。また、区分ごとの推奨されるクーポンの種類の数をあらかじめ定めず、実績分析部22は、クーポン発行数に対するクーポン利用数の比が閾値以上であれば、当該クーポンの種類を推奨されるクーポンの種類として決定するようにしてもよい。また、登録情報と対応付けられたID付きクーポンとが実績情報記憶部18に格納される際に、イベントの種類を示すイベント情報もこれらと対応づけられて格納され、実績分析部22は、実績情報記憶部18に格納されているイベント情報を用いて、実績情報記憶部18に記憶されている各情報のうち、現在行われているイベントと同一の種類のイベントに関する情報を用いて上記の分析を行ってもよい。
観客分析情報送信部16は、実施の形態1と同様の観客分析情報に、実績分析部22から受け取った推奨されるクーポンの種類を付加し、推奨されるクーポンの種類を付加した観客分析情報を各店舗5へ送信する。各店舗5では、店員が推奨されるクーポンを参照して、区分ごとに発行を要求するクーポンの種類を決定する。そして、店舗端末51は、店員からの入力に基づいて、区分ごとに、発行するクーポンの種類が指定されたクーポン要求情報を生成し、生成したクーポン要求情報をクーポン配布装置1bへ送信する。
図10は、本実施の形態の観客分析情報送信部16から送信される観客分析情報の一例を示す図である。図10に示すように、本実施の形態の観客分析情報送信部16から送信される観客分析情報は、図3に示した観客分析情報に、推奨されるクーポンの種類(図10では、「クーポンの種類(推奨)」と記載)が追加されている。このように、観客分析情報に、推奨されるクーポンの種類が追加されることで、店舗5における店員は、発行を要求するクーポンの種類を決定する際に、過去の実績から効果的なクーポンの種類を把握することができる。なお、図10に示した例では、構成比を示す比率と、イベント情報とが観客分析情報に含まれているが、これらのうち少なくとも一方が観客分析情報に含まれなくてもよい。なお、実績情報記憶部18は、気象情報、曜日、季節、イベントの種別のうち少なくとも1つである参照情報と対応付けて利用クーポンIDが格納され、実績分析部22は、クーポンの発行時の参照情報と同一または類似の利用クーポンIDを用いて、上記と同様に推奨するクーポンの種類を算出してもよい。
また、図9および図10に示した例では属性の区分ごとに、クーポン発行数に対するクーポン利用数を算出したが、実績分析部22は、区分に分類せずに、クーポン利用数、またはクーポン発行数に対するクーポン利用数の比を算出してもよい。この場合、実績分析部22は、区分に分けずに推奨されるクーポンの種類を決定する。
また、クーポン配布装置1bがイベント運用システム3から登録情報を取得しない場合、各店舗5は利用クーポンIDの代わりに、利用されたクーポンを利用クーポン情報としてクーポン配布装置1bへ送信してもよい。クーポンID受信部17は、店舗5から利用クーポン情報を受信し、利用クーポン情報を実績情報記憶部18に格納する。なお、利用クーポン情報は利用されたクーポンそのものであってもよいし、利用されたクーポンの種類を示す情報であってもよい。そして、実績分析部22は、実績情報記憶部18に格納されている利用クーポン情報を用いて、推奨するクーポンの種類を決定し、観客分析情報送信部16が、推奨するクーポンの種類を店舗5に送信してもよい。また、実績分析部22は、実績情報記憶部18に格納されている発行したクーポンを用いて、クーポンの種類ごとにクーポン利用数を算出し、算出した結果を用いて推奨されるクーポンの種類を決定してもよい。また、この場合、クーポン作成部20が、イベントごとに、クーポンの種類ごとに作成したクーポンの数であるクーポン発行数を実績情報記憶部18に格納し、実績分析部22は、イベントごとに、各クーポンの種類のクーポン発行数に対するクーポン利用数の比を求め、この比を用いて推奨されるクーポンの種類を決定してもよい。以上述べた以外の本実施の形態の動作は、実施の形態1と同様である。また、本実施の形態においても、実施の形態1の変形例と同様に、混雑情報を考慮してクーポンを作成してもよい。
なお、実績分析部22は、推奨するクーポンの種類を、学習済モデルを用いて決定してもよい。すなわち、実績分析部22は、属性情報およびイベントの推定される終了時刻から、推奨されるクーポンの種類を推論するため学習済モデルに、属性情報およびイベントに対応する推定される終了時刻を入力することで得られる推論結果を用いて、推奨されるクーポンの種類を決定してもよい。図11は、学習済モデルを用いる場合の本実施の形態における実績分析部22の構成例を示す図である。図11に示すように、実績分析部22は、例えば、学習済モデル生成部221、学習済モデル記憶部222および推論部223を備える。学習済モデル生成部221は、例えば、過去のイベントにおける登録情報から抽出された属性情報と推定されるイベントの終了時間とを入力情報とし、当該入力情報に対応する利用クーポンIDが示すクーポンの種類を正解データとする学習用データセットを複数用いて、入力情報から、推奨するクーポンの種類を推論するための学習済モデルを生成する。学習済モデル生成部221は、生成した学習済モデルを学習済モデル記憶部222に格納する。
学習済モデル生成部221における学習済モデルの生成は、例えば、教師あり学習により行われる。教師あり学習のアルゴリズムとしては、どのようなものを用いてもよいが、例えば、ニューラルネットワークモデルを用いることもできる。学習のアルゴリズムはこの例に限定されない。
推論部223は、クーポンの発行時に、属性情報と推定される終了時刻とを含む入力情報を、学習済モデル記憶部222から読み出した学習済モデルに入力することで推奨するクーポンの種類を得る。なお、入力情報として、気象情報、曜日、季節、イベントの種別のうち少なくとも1つを加えてもよい。
また、実績分析部22は、入力情報として、各属性の区分の構成比を用い、正解データとして、利用クーポンIDにより示される利用されたクーポンの種類を用いて学習済モデルを生成し、推論時には、学習済モデルに各属性の区分の構成比を入力することで、推奨するクーポンの種類を得てもよい。この場合も、入力情報として、気象情報、曜日、季節、イベントの種別のうち少なくとも1つを加えてもよい。
なお、図11に示した例では、実績分析部22が、学習済モデル生成部221を備えているが、クーポン配布装置1bとは別に学習済モデルを生成する学習装置を設け、学習装置が学習済モデル生成部221を備えてもよい。この場合、実績分析部22は学習済モデル生成部221を備えなくてよく、学習装置の学習済モデル生成部221が、上記と同様に学習済モデルを生成する。そして、学習装置によって生成された学習済モデルが、実績分析部22の学習済モデル記憶部222に格納される。
本実施の形態のクーポン配布装置1bも、実施の形態1のクーポン配布装置1と同様にコンピュータシステムにより実現される。また、クーポン配布装置1bは複数のコンピュータシステムにより実現されてもよい。例えば、クーポン配布装置1bは、クラウドコンピュータシステムにより実現されてもよい。
以上のように、本実施の形態のクーポン配布装置1bは、イベントの終了時刻より前にイベントの観客に周辺の店舗5で利用可能なクーポンを配布し、過去の実績に基づいて推奨するクーポンの種類を店舗5に提示するようにした。このため、実施の形態1と同様の効果を奏するとともに、店舗5がクーポンの種類を決定する際に過去の実績を考慮することができるため、クーポン配布装置1bはより効果的なクーポンを発行することができる。
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。