JP7085752B2 - 自律制御型草刈機 - Google Patents

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Description

本発明は、無人で草刈り作業を行う自律制御型草刈機に関する。
人手による草刈り作業は重労働である。作業者や管理者の負担を軽減するために、草刈機が開発され、実用に供されるようになってきた。
ただし、草が生えている地面は起伏に富むため、草刈機は転倒することがある。そこで、転倒対策を講じた草刈機が提案されてきた(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に開示される管理機は、草刈機を兼ねるものであって、特許文献1の図2に示されるように、左右に延びる転倒防止アーム(14a)(括弧付き数字は、特許文献1に記載された符号を示す。以下同様)を備えている。
特許文献1の図7(a)に示されるように、通常は転倒防止アーム(14a)の先端から鉛直に延びるロッド(符号無し)は、収納されている。
機体が転倒の危険性があるほど、傾いた場合には、特許文献1の図7(b)に示されるように、転倒防止アーム(14a)からロッド(符号無し)が下がり、このロッドの下端が地面に当たる。ロッドが支え棒になるため、機体の転倒が回避される。
ところで、一層の無人化を達成するために、草刈機が自律的に走向しつつ草刈りを行う自律制御型草刈機が各種提案されてきた(例えば、特許文献2参照)。
特許文献2に開示される自律制御型草刈機には、転倒防止機構が備えられていない。そのため、草刈機が転倒した場合には、草刈機の走行が停止する信号を発し、管理者に知らせることが想定される。管理者は管理室から草刈り現場まで直行し、草刈機を引き起こすなどの処理を行う。
自律制御型草刈機は、管理者の手を煩わせないことが最大の利点である。しかし、転倒が頻繁に起こると、管理者の負担が多くなり、好ましくない。
そこで、特許文献2に開示される自律制御型草刈機に特許文献1に開示される転倒防止アームを付設することが、考えられる。
しかし、これでは自律制御型草刈機が重くなると共に価格が高騰する。
軽量化とコスト抑制が求められる中、軽量化を維持しつつ転倒防止策を講じた自律制御型草刈機が望まれる。
特開2003-23807号公報 国際公開第2017/051662号パンフレット
本発明は、軽量化を維持しつつ転倒防止策を講じることができる自律制御型草刈機を提供することを課題とする。
請求項1に係る発明は、機体に、旋回する刈刃と、この刈刃より前に配置される前輪と、前記刈刃より後に配置される後輪と、前記後輪を回転制御すると共に前記前輪を操舵制御する制御部とを備え、自律走向する自律制御型草刈機において、
前記機体に、この機体の傾斜角度及び傾斜方位を検知する傾斜角センサを備え、
前記制御部は、
前記傾斜角センサから前記機体の前記傾斜角度及び前記傾斜方位を読み込み、
前記傾斜角度に基づいて、前記機体が斜面を登っているか否かを調べると共に、前記機体が斜面を下っているか否かを調べ、
斜面を登っていると認識したときには、前記傾斜方位に基づいて、前記機体が斜面を横切るところのトラバース走行に移ったか否かを調べ、トラバース走行に移ったと認識したときには、前記傾斜角度が転倒危険角度を超えているか否かを調べ、超えていると認識したときには、進行方向を斜面上側へ向けるように制御し、
斜面を下っていると認識したときには、前記傾斜方位に基づいて、前記機体がトラバース走行に移ったか否かを調べ、トラバース走行に移ったと認識したときには、前記傾斜角度が転倒危険角度を超えているか否かを調べ、超えていると認識したときには、進行方向を斜面下側へ向けるように制御することを特徴とする。
請求項に係る発明は、請求項1記載の自律制御型草刈機であって、
前記前輪及び前記後輪は、各々電動モータを備えている、全輪駆動車であることを特徴とする。
請求項1に係る発明では、草刈機が斜面を登っているときにトラバース走行に移行したときは、進行方向を斜面上側へ変更する。危険なトラバース走行を安全な登り走行に変更するため、草刈機が転倒する心配はない。また、草刈機が斜面を下っているときにトラバース走行に移行したときは、進行方向を斜面下側へ変更する。危険なトラバース走行を安全な下り走行に変更するため、草刈機が転倒する心配はない。
転倒対策として、格別の部品を草刈機に追加する必要はないため、重量が増加することはない。
すなわち、請求項1によれば、軽量化を維持しつつ転倒防止策を講じることができる自律制御型草刈機が提供される。
請求項に係る発明では、自律制御型草刈機を全輪駆動車とした。全輪駆動車であれば、凹凸や起伏に富んだ地面を継続して走行させることができ、草刈り作業を継続させることができる。
本発明に係る自律制御型草刈機の正面図である。 本発明に係る自律制御型草刈機の右側面図である。 本発明に係る自律制御型草刈機の底面図である。 本発明に係る自律制御型草刈機の平面視構成図である。 自律制御型草刈機の作用説明図である。 斜面を登る自律制御型草刈機の作用説明図である。 斜面を下る自律制御型草刈機の作用説明図である。 制御フローを説明する図である。 斜面を単に横切る自律制御型草刈機の作用説明図である。
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1に示すように、自律制御型草刈機(以下、草刈機という)10は、前輪11と、左後輪12Lと、右後輪12Rを備えている。また、草刈機10は、カバー13の前面中央に横長矩形の開口部14を有している。この開口部14の奥に、V字部品(図4、符号36)が配置される。
図2に示すように、前輪11と、後輪車軸15との間に、カッターハウジング16を有する。
図3に示すように、底面視で、機体18に、旋回する刈刃19と、この刈刃19より前に配置される前輪11と、刈刃19より後に配置される後輪12L、12Rとを備える草刈機10において、この草刈機10は、刈刃19より前輪11側に配置される左ワイヤセンサ21L及び右ワイヤセンサ21Rを備えている。
左ワイヤセンサ21L及び右ワイヤセンサ21Rは、刈刃19の旋回円22より外であれば、任意の位置に配置することができる。旋回円22から前にαだけ離れた位置で、且つ旋回円22から左に(図では右へ)βだけ離れた位置に左ワイヤセンサ21Lを配置する。同様に、旋回円22から前にαだけ離れた位置で、且つ旋回円22から右にβだけ離れた位置に右ワイヤセンサ21Rを配置する。βはαと同じであっても異なっていても差し支えない。
図4は、図3を反転した平面図である。
図4に示すように、刈刃19は刈刃モータ24で駆動される。この刈刃モータ24はバッテリ25から給電されると共にドライバ26を介して、制御部27で回転速度及び正転、停止、逆転が制御される。刈刃モータ24が過負荷状態になったときには逆転制御される。
前輪11は前輪モータ28で駆動される。この前輪モータ28はバッテリ25から給電されると共にドライバ29を介して、制御部27で回転速度及び正転、停止、逆転が制御される。
前輪11は操舵輪であり、操舵モータ31で操舵される。この操舵モータ31は、バッテリ25から給電されると共にドライバ32を介して、制御部27で直進、左操舵、右操舵の制御がなされる。
左後輪12Lは左後輪モータ33Lで駆動される。この左後輪モータ33Lはバッテリ25から給電されると共にドライバ34Lを介して、制御部27で回転速度及び正転、停止、逆転が制御される。
同様に、右後輪12Rは右後輪モータ33Rで駆動される。この右後輪モータ33Rはバッテリ25から給電されると共にドライバ34Rを介して、制御部27で回転速度及び正転、停止、逆転が制御される。
ところで、特許文献2で開示される従来の自律制御型草刈機は、全輪駆動車ではない。そのため、何らかの理由(例えば、刈刃を囲うカッターハウジングが瘤に乗り上げるなど)で、駆動輪である後輪が地面から浮き上がると、走行不能となる。この場合、管理者が草刈機まで走っていって、瘤から草刈機を離脱させる。
対して、本発明の草刈機10は、全輪駆動車であるため、前輪11が地面に接していれば、後輪12L、12Rが浮いたとしても、走行が継続される。結果、管理者の負担が軽減される。
また、本発明の草刈機10では、前輪11は、左右2輪であってもよいが、実施例では、1輪とした。1輪であれば、前輪モータ28、ドライバ29、操舵モータ31及びドライバ32の数が半分になり、コストダウンが図れる。
作図の都合で、カバー13の外に示したバッテリ25及び制御部27は、カバー13内に配置される。
カバー13の前部に、V字部品36が収納され、このV字部品36に充電端子37が設けられている。充電端子37を介して、外部からバッテリ25へ充電される。
また、本発明の草刈機10は、傾斜角センサ40を備えている。傾斜角センサ40は、重りを内蔵する機械的センサでもよいが、Gセンサと呼ばれる加速度センサが好適である。Gセンサは、地球中心に向く重力軸を基準にして傾斜角度を演算で求めるため、傾斜角度に加えて傾斜方位も算出できる。加えて、加速度センサであれば、機体が岩などの障害に衝突したときの衝撃力を検出できる。
傾斜角センサ40の位置は任意であるが、草刈機10の前後方向中央で且つ幅方向中央に配置することが推奨される。
以上の述べた草刈機10の作用を、以下に説明する。
図5に示すように、草刈機10は、矢印(1)のように直進し、矢印(2)のように左旋回し、矢印(3)のように右旋回し、矢印(4)のように後進する。
図6に示すように、草刈り場が水平面42と、この水平面42に続く緩斜面43と、この緩斜面43に続く急斜面44と、この急斜面44に続く尾根状の頂面45とからなる。
水平面42で前進しつつ草を刈っている草刈機10が、緩斜面43に進入した後に、矢印(5)のように、緩斜面43をトラバース(横切る)ときには、草刈機10は転倒しない。
一方、草刈機10が、緩斜面43より急な急斜面44を登り、その後に、矢印(6)のように、急斜面44をトラバースすると転倒の危険性が増す。
このときに、本発明では、走行方向が斜面上側に向くように、すなわち、走行方向が頂面45を向くように旋回させる(矢印(7))。
進行方向が十分に斜面上側に向くように旋回したら、斜面登りを若干継続する。この継続により、斜面の傾斜が増すようであれば、前進を停止し、後進を開始する。矢印(8)の後進を、一定時間又は一定距離継続する。すると、草刈機10は、緩斜面43又は水平面42に戻る。戻ったら、通常運転に移行する。無論、矢印(5)~矢印(8)の間、刈刃の回転は継続し、草刈りは継続される。
図6では草刈機10が斜面の登った後にトラバース走行に移行したが、草刈機10が斜面を下った後にトラバース走行に移行する場合もある。このときの作用を図7で説明する。
図7に示すように、水平面42を走行している草刈機10が、矢印(11)のように斜面4を下りつつ旋回し、トラバース走行に移行すると転倒の危険性が増す。
このときに、本発明では、走行方向が斜面下側に向くように旋回させる(矢印(12))。これで転倒は回避される。移行は傾斜角の増減に応じて前進又は後進が選択される。
以上により、草刈機10がトラバース中に転倒することが無くなり、管理員の負担が無くなる。
本発明で実施する制御ステップを、図8に基づいて詳しく説明する。
図8にて、先ず、転倒危険角度θemを設定する(ST01)。この転倒危険角度θemは、草刈機の重心位置や、左右後輪間隔などから決定される。具体的には、草刈機をトラバース走行させて転倒角度を求め、この転倒角度に安全を見込んで転倒危険角度θemを決め、制御部へインプットする。
草刈機を前進させつつ草刈り作業を開始する(ST02)。
作業中は、傾斜センサから傾斜角度θactを読み込み(ST03)、傾斜方位情報を読み込む(ST04)。傾斜方位情報により、トラバース走行か否かや、斜面上側や斜面下側の方向を知ることができる。
ST05で草刈機が斜面を登っているか否かを調べる。斜面を登っているときには、ST06でトラバース走行をしているかを調べる。否であれば、ST02とST03の間に戻る。トラバース走行と認識されたときは、ST07に進む。
ST07で、傾斜角度θactが転倒危険角度θemを超えているか否かを調べる。否であれば転倒する心配がないので、ST02とST03の間に戻る。傾斜角度θactが転倒危険角度θemを超えていると認識されたときには、進行方向を斜面上側へ変更する(ST08)。
進行方向が斜面上側へ変更されると、草刈機は上へ前進する。
ST09で、傾斜角度θactが増加するか否かを調べる。
否であれば傾斜角度θactが増加しないため、前進を継続する(ST10)。
ST09で、傾斜角度θactが増加すると判定されたときには、このままでは転倒するため、前進を止め、後進に切り替え、一定時間後進させ、その後に前進に切り替える(ST11)。
また、ST05で否とされたときには、ST12で、草刈機が斜面を下っているか否かを調べる。斜面を下っているときには、ST13で、トラバース走行をしているかを調べる。否であれば、ST02とST03の間に戻る。トラバース走行と認識されたときは、ST14に進む。
ST14で、傾斜角度θactが転倒危険角度θemを超えているか否かを調べる。否であれば転倒する心配がないので、ST02とST03の間に戻る。傾斜角度θactが転倒危険角度θemを超えていると認識されたときには、進行方向を斜面下側へ変更する(ST15)。
進行方向が斜面下側へ変更されると、草刈機は下へ前進する。
ST16で、傾斜角度θactが増加するか否かを調べる。
否であれば傾斜角度θactが増加しないため、前進を継続する(ST17)。
ST16で、傾斜角度θactが増加すると判定されたときには、このままでは転倒するため、前進を止め後進に切り替え、一定時間後進させ、その後に前進に切り替える(ST18)。
ST05が否で、且つST12が否であれば、草刈機は斜面を登っても下ってもいないため、転倒の危険性はなく、ST02とST03の間に戻る。
ST10、ST11、ST17又はST18後に、運転終了指示の有無を調べ(ST19)、運転終了指示が有ればこのフローを終了し、運転終了指示が無ければST02とST03の間に戻る。
以上により、草刈り場に急斜面があっても、草刈機を転倒させることなく、草刈り作業を継続させることができ、草刈り作業の効率化を図ることができる。併せて、転倒することがないため、管理者の負担を大幅に軽減することができる。
なお、以上は草刈機が、斜面を登る場合と、下る場合とを説明したが、草刈機は斜面を単に横切る場合もある。
図9に示すように、緩斜面43の横隣りに急斜面44が続いている。緩斜面43を横切るように走行する草刈機10は、矢印(13)のように、急斜面44に進入する。このままでは草刈機10は転倒する危険性がある。
そこで、制御部は矢印(14)のように、走行方向を斜面の上に向けるように制御する。又は、矢印(15)のように、後退させる。後退させることにより、草刈機10は緩斜面43に戻る。
すなわち、制御部は、機体(草刈機)が斜面を登っていなく且つ斜面を下っていないことを認識し、機体が斜面を横切るトラバース走行をしていることを認識し(矢印(13))、トラバース走行が認識されたら傾斜角度が転倒危険角度を超えていることを認識し、転倒の危険が迫っていると認識されたら進行方向を斜面上側に向ける(矢印(14))の制御を実施する。
又は、制御部は、機体(草刈機)が斜面を登っていなく且つ斜面を下っていないことを認識し、機体が斜面を横切るトラバース走行をしていることを認識し(矢印(13))、トラバース走行が認識されたら傾斜角度が転倒危険角度を超えていることを認識し、転倒の危険が迫っていると認識されたら後進する(矢印(15))の制御を実施する。
転倒の危険が迫ったときに、制御部に進行方向を斜面上側に向ける(矢印(14))の制御を実施させた後、傾斜角度が増加することを検知したら、矢印(14)を逆走行させた上で、後進(矢印(15))させるようにしてもよい。
矢印(14)では草刈り作業が継続されるが、矢印(15)では刈ったところを後進させるため、草刈り作業は期待できない。よって、矢印(14)を優先し、矢印(15)を次善策とすることが推奨される。
尚、本発明の草刈機は、芝刈機に適用することは差し支えない。
本発明の草刈機は、起伏に富んだ地面での草刈りに好適である。
10…自律制御型草刈機(草刈機)、11…前輪、12L…左後輪、12R…右後輪、18…機体、19…刈刃、27…制御部、40…傾斜角センサ、θact…傾斜角度、θem…転倒危険角度。

Claims (2)

  1. 機体に、旋回する刈刃と、この刈刃より前に配置される前輪と、前記刈刃より後に配置される後輪と、前記後輪を回転制御すると共に前記前輪を操舵制御する制御部とを備え、自律走向する自律制御型草刈機において、
    前記機体に、この機体の傾斜角度及び傾斜方位を検知する傾斜角センサを備え、
    前記制御部は、
    前記傾斜角センサから前記機体の前記傾斜角度及び前記傾斜方位を読み込み、
    前記傾斜角度に基づいて、前記機体が斜面を登っているか否かを調べると共に、前記機体が斜面を下っているか否かを調べ、
    斜面を登っていると認識したときには、前記傾斜方位に基づいて、前記機体が斜面を横切るところのトラバース走行に移ったか否かを調べ、トラバース走行に移ったと認識したときには、前記傾斜角度が転倒危険角度を超えているか否かを調べ、超えていると認識したときには、進行方向を斜面上側へ向けるように制御し、
    斜面を下っていると認識したときには、前記傾斜方位に基づいて、前記機体がトラバース走行に移ったか否かを調べ、トラバース走行に移ったと認識したときには、前記傾斜角度が転倒危険角度を超えているか否かを調べ、超えていると認識したときには、進行方向を斜面下側へ向けるように制御することを特徴とする自律制御型草刈機。
  2. 請求項1記載の自律制御型草刈機であって、
    前記前輪及び前記後輪は、各々電動モータを備えている、全輪駆動車であることを特徴とする自律制御型草刈機。
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