JP7085081B1 - 複合部材およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明の目的は、樹脂同士、または樹脂と異種材料とを高い接合強度、生産性で複合化した複合部材およびその新たな製造方法提供することにある。本発明の目的は、基材上に無機粒子からなる層を有する第1部材と、エラストマからなる第2部材、とを無機粒子からなる層を介して接合してなる複合部材であって、該無機粒子からなる層が、平均粒径1nm以上20nm未満の無機粒子を配置した面を有する層であり、該面の少なくとも一部が構造色を有する複合部材、によって達成された。

Description

本発明は、樹脂同士、または樹脂と異種材料とが接合された複合部材およびその製造方法に関する。
樹脂同士、または樹脂と金属やガラス、無機材料といった異種材料とが接合された複合部材は、従来から、インストルメントパネル周りのコンソールボックス等の自動車の内装部材やエンジン周り部品、インテリア部品、デジタルカメラや携帯電話等の電子機器の筐体部、インターフェース接続部、電源端子部等の外界と接触する部品に用いられている。
樹脂と樹脂、または樹脂と異種材料とを複合化する方法としては、樹脂と接合される相手側部材の接合面に微小な凹凸を形成しておきアンカー効果で接合する方法、接着剤や両面テープを用いて接着する方法、異種材料及び/又は樹脂成形品に折り返し片や爪等の固定部材を設け、この固定部材を用いて両者を固着させる方法、ねじ等を用いて接合する方法等がある。これらの中でも、樹脂板、金属板に微小な凹凸を形成する方法や接着剤を用いる方法は、複合成形品を設計する形状自由度の点で有効である(特許文献1、2)。
これらに記載の方法は、レーザーで対象部材の表面に溝を形成するため、局所的な発熱があり、接合部材の熱膨張に起因する変形を生じることがあった。また樹脂にレーザー加工した場合、樹脂の炭化物が接合面に残り経時での接合性を劣化させる場合があるという課題があった。
それに対し特許文献3では、無機材料からなる層を有する技術が提案されている。
国際公開第WO2014/125999号パンフレット 特開2014-117724号公報 特開2019-89297号公報
特許文献3に記載の方法では、特許文献1、2が有する課題を解決できたが、接合強度としてはまだ十分でなかった。また接着強度のバラつきが発生しやすく生産性の点で課題があった。
本発明の目的は、樹脂同士、または樹脂と金属やガラス、無機材料といった異種材料とを生産性高く複合化した複合部材の新たな製造方法を提供することにある。
本発明は、下記によって達成された。
1. 基材上に無機粒子からなる層を有する第1部材と、エラストマからなる第2部材、とを無機粒子からなる層を介して接合してなる複合部材であって、該無機粒子からなる層が、平均粒径1nm以上20nm未満の無機粒子を配置した面を有する層であり、該面の少なくとも一部が構造色を有する複合部材。
2. 基材上に無機粒子からなる層を有する第1部材と、エラストマからなる第2部材、とを無機粒子からなる層を介して接合してなる複合部材の製造方法であって、該無機粒子からなる層が、平均粒径1nm以上20nm未満の無機粒子を0.1質量%以上15質量%未満の濃度で溶媒中に分散した分散液を使用して形成したものである、複合部材の製造方法。
3. 前記基材が、樹脂またはエラストマからなる前記2に記載の複合部材の製造方法。
4. 前記無機粒子を分散する分散液の溶媒が、沸点100℃以下の有機溶媒である前記2または3記載の複合部材の製造方法。
5. 前記基材上の無機粒子からなる層が、移流集積法により形成されたものである前記1~4いずれかに記載の複合部材の製造方法。
6. 前記第1部材と第2部材との接合方法が、溶着または射出成形である前記2~5いずれかに記載の製造方法。
7. 前記第1部材と第2部材の接合が、溶着または射出成形である前記1記載の複合部材。
本発明では、接合強度、生産性の高い複合部材およびその製造方法を提供することができる。
本発明の第1部材の斜視図である。 複合部材実施態様1の斜視図である。 複合部材実施態様1の接合強度を評価のための引張方向、速度を示す模式図である。 実施例3の第1部材の移流集積後の写真とSEM写真である。SEM撮影のため無機粒子を配置した面を切り出しているが、無機粒子を配置した面は、構造色を有している。 比較例1の第1部材の移流集積後の写真とSEM写真である。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
<複合部材>
本発明の複合部材の製造方法一態様は、基材上に無機粒子からなる層を有する第1部材と、エラストマからなる第2部材、とを無機粒子からなる層を介して接合してなる複合部材の製造方法であって、該無機粒子からなる層が、平均粒径1nm以上20nm未満の無機粒子を0.1質量%以上15質量%未満の濃度で分散した分散液を使用し、移流集積法により形成したものであることを特徴とする。
≪基材上に無機粒子からなる層を有する第1部材≫
本発明の第1部材上の無機粒子からなる層(以下、単に粒子層ともいう)は、平均粒径1nm以上20nm未満の無機粒子からなるものである。また、層の厚さは1~500nmであることが好ましい。この層は、最密充填した無機粒子からなる層であることが好ましい。そしてこの無機粒子からなる層は、0.1質量%以上15質量%未満の濃度で分散した分散液を使用し、移流集積法等によって形成されたものである。
この方法による粒子層は、粒子が横毛管力によって集積し、最密構造を形成することが知られているが、本発明の平均粒径1nm以上20nm未満の無機粒子を0.1質量%以上15質量%未満の濃度で分散した分散液を使用した場合、この最密充填構造がより顕著に形成されるものと推測している。
本発明の無機粒子を配置した面を目視で観察すると、構造色を有することがわかる。この構造色が観察できる範囲は、無機粒子を配置した全面であることが最も好ましいが、配置した面の5%以上が好ましく、さらに好ましくは20%以上、特に好ましくは50%以上である。
特許文献3では、平均粒径25nmの15質量%濃度の分散液を使用しているが、この場合に比べ、本発明の範囲とすることによって、いきなり接合強度の顕著な上昇を観察することができる。
残念ながら、電子顕微鏡等では直接的に層の微細構造の違いを観察することはできていないが、無機粒子を配置した面では構造色を有する。本発明の範囲では、そして、接合強度について、特許文献3からの連続的な変化では説明のできない効果が発現している。
無機粒子としては、シリカ粒子、チタン粒子、アルミナ粒子等の通常の無機物粒子、金属粒子、金属酸化物粒子を適用することができる。平均粒径は好ましくは1nm以上20nm未満であり、より好ましくは3~15nmである。無機粒子からなる層の厚さは、好ましくは1~1500nmであって、10~300nmがより好ましく、20~100nmがさらに好ましい。
本発明の無機粒子からなる層は、最密充填であることが好ましい。無機粒子が全て同寸法の真球状である場合、最密充填時の体積充填率は理論上約74%であるが、実際には無機粒子の形状はある程度バラつくことが通常である。
また、無機粒子が厚さ方向に積層されている場合であっても、第2部材との接合を考慮する場合、最表層の無機粒子の充填状態の影響が大きいと考えられるため、ここでいう最密充填とは、無機粒子からなる層の最表層における無機粒子の面積充填率が、80%以上であることをいい、85%以上がさらに好ましい。
無機粒子の平均粒径は、BET法によって、下記の通り求めた。
〔平均粒径(比表面積径)〕
b有機溶媒に分散した無機粒子の乾燥後、BET法による比表面積S(m/g)を測定し、以下の換算式(1)にて、平均粒径d(nm)を求めた。
[数1]
d(nm)=6000/[ρ(g/cm)×S(m/g)](1)
(式中、dは平均粒径、ρは密度、Sは比表面積をあらわす。シリカでは、密度は2.2(g/cm)を採用した。)。
無機粒子からなる層の厚さは、透過型電子顕微鏡(TEM)によって測定した。具体的には、基材上に形成した無機粒子層の表面をTEMにより撮影した画像上で、無作為に抽出した10個の無機粒子の直径を測定して平均粒径を求め、同様に無機粒子層の断面をTEMにより撮影した画像上で、層の厚さを無作為の5箇所において測定した平均値を無機粒子からなる層の厚さとした。
また最密充填であるか否かは、一般的には基材の無機粒子層形成面における任意の領域(1μm×1μm)をTEMにより撮影し、最表層における無機粒子の充填状態の観察によって決定することができる。
≪基材≫
本発明の粒子層を形成するための基材は、移流集積法を適用することができる素材からなる基材であれば制限はない。例えば、金属、ガラス、セラミック、樹脂等が挙げられるが、より接合力の強い最密構造を均一に形成させるためには、基材の熱伝導率が500W/m・K以下の素材であることが好ましく、400W/m・K以下の素材であることがより好ましい。基材の熱伝導率は、射出成型時、溶着時の樹脂の固化速度の観点から、この範囲とすることが好ましい。
樹脂としては通常の環状ポリオレフィン(COC)、ポリアセタール(POM)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、液晶性樹脂(LCP)等は、好ましい熱可塑性樹脂であり、特に、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、液晶性樹脂(LCP)が好ましく用いられる。これら樹脂の熱伝導率は1.0W/m・K以下である。
セラミックとしてはアルミナ、ムライト、フェライト、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、フォルステライト、ステアタイト、コーディエライト、ジルコン、ジルコニア、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素が挙げられる。これらの熱伝導率は、0.5~200W/m・Kである。金属としてはアルミニウム、ステンレス、マグネシウム、銅、チタン等が挙げられる。これらの熱伝導率は10~400W/m・Kである。
≪表面粗さが、Rmax≧Rz≧Rmax10%、かつRmax=1~10μmである基材≫
本発明の粒子層を形成する基材の表面は、表面粗さが、Rmax≧Rz≧Rmax10%、かつRmax=1~10μmであることが好ましい。より好ましいRzはRz≧Rmax5%である。また、Rmaxは1.5~8μmであることがより好ましく、2~5μmであることがさらに好ましい。このような面粗さとすることで、無機粒子の充填性を向上させることができる。
このような表面粗さとするためには、基材を作製する際に、要求される表面粗さに適した成形型を用いること、製造後の基材表面を研磨すること、基材表面をプラズマ、紫外線、コロナ放電等の活性種で処理すること、または基材表面に物理的及び/又は化学的に凹凸を形成及び/又は除去すること、基材に凹凸を生じるような粒子を含有させること等によって調整することができる。
≪エラストマからなる第2部材≫
本発明の第2部材は、エラストマからなる。エラストマとしては、収縮率sh(%)と弾性率E(MPa)が、E≦100000×exp(-2.64×sh)の関係を満足するエラストマ、エラストマを含む樹脂組成物であることが好ましい。エラストマを含む樹脂組成物の母材樹脂としては、第1部材の基材として挙げた樹脂を使用することができる。
第1部材の基材として挙げた好ましい樹脂に、無機充填剤、エラストマ等を含有させた樹脂組成物として、オレフィン樹脂組成物、アクリル樹脂組成物、ポリエステル樹脂組成物、ポリアセタール樹脂組成物、PPS樹脂組成物等も第2部材として好ましい。
無機充填剤としてはガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスフレーク、タルク、マイカ、シリカ等の繊維状、板状、粒状、粉状の無機充填剤が挙げられ、特に第1部材上に形成する無機粒子層に用いられる無機物と同質の無機充填材を含有する場合、第1部材の無機粒子層と第2部材との親和性が優れる点で好ましい。
また、粒径としては0.1~50μmの無機充填材を含んでも良い。無機充填剤のアスペクト比は1~3であるものを含むことが好ましい。無機充填剤の含有量は、第2部材を構成する樹脂組成物が、上述の無機充填剤を5~50質量%含有することが好ましい。
好ましいエラストマとしては、エチレン-エチルアクリレート共重合体(例えば、(株)ENEOS NUC製NUC-6570等)等のオレフィン系重合体や、ポリエステル系エラストマ、ウレタン系エラストマ、ポリメタクリル酸エステルのアクリル系重合体(例えば、アイカ工業(株)製ゼフィアック、スタフィロイド等)等が挙げられる。
これらのエラストマは、コアシェル粒子の形状であっても、本発明の組成物に混合することができるのであれば、有効に使用することができる。コアシェル粒子のエラストマとしては、例えばダウ・ケミカル社のパラロイドEXL2311やEXL2314などが挙げられる。
エラストマとしてはグリシジル基を含有することも好ましく、グリシジル基を含有するエラストマとしてはエチレン-グリシジルメタクリレート共重合体やエチレン-グリシジルメタクリレート-アクリル酸メチル共重合体のようなグリシジル基含有オレフィン系共重合体(例えば、住友化学(株)製ボンドファースト)が挙げられる。
第2部材で樹脂組成物としてエラストマを使用する場合、エラストマの含有量としては、第2部材を構成する樹脂組成物中の1~99質量%含有しても良く、1~30質量%含有しても良い。エラストマがグリシジル基を含有するエラストマである場合は、グリシジル基の含有量が第2部材を構成する樹脂組成物中の0.01~20質量%であることが好ましい。
これらのエラストマは、上述の樹脂中に添加材として含有させた状態で、第2部材を構成する樹脂組成物として用いても良いし、エラストマ自体又はエラストマに無機充填材等の添加材を含有させたものを、第2部材を構成する樹脂組成物として用いても良い。
本発明においては、上記の特性を有する樹脂組成物からなる第2部材が強い接合力を発揮する理由を下記のように推定している。第1部材上の粒子層は、まず基材との接着力が、移流集積法により最密構造を有するように形成されることにより、発揮される。そして収縮率と弾性率が上記式を満たす樹脂組成物は、最密構造の粒子層表面形状に対する追随性に優れかつ最密構造の表面積の大きさから、結果として接合力が強いと観察される。
なお、本発明において、「収縮率sh(%)」とは、80mm×80mm×2mmの平板状試験片を、一辺の中央部に設けた幅4mm×厚さ2mmのサイドゲートを有する金型を用いて、第2部材を構成する樹脂組成物を、実際に複合部材を製造する際の第2部材の成形条件と同様の成形条件にて射出成形した場合の、流動直角方向の成形収縮率(成形後、23℃50%RHにて24時間以上静置した平板状試験片を用いて、反ゲート側の端部(流動末端側の辺)から20mmの位置における成形品の流動直角方向の寸法(平板状試験片の幅)を測定し、当該位置に相当する金型寸法との差(収縮量)を、金型寸法で除した値)を指し、「弾性率E(MPa)」とは、ISO178に準拠して測定される曲げ弾性率を指すものとする。
<複合部材の製造方法>
≪第1部材の製造方法≫
本発明では、基材が樹脂である場合、基材表面の層を構成する無機粒子を、イソプロピルアルコール、メタノール、酢酸エチル、ベンゼン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン等の溶媒中に分散させた分散液に、基材を浸漬して引き上げることで、いわゆる移流集積法により基材表面に無機粒子層が形成された第1部材を製造することができる。
無機粒子層を配した面は、構造色を発する。構造色は、図4のように目視で観察することができる。濃く見える部分と薄く見える部分は、構造色が異なっており、全体として虹色の様に見える。これらの構造色は、太陽光のような白色光(可視光線)が、無機粒子層によってブラッグ条件に則って散乱、回折、干渉等によって発現した色であると推測しており、本発明の無機粒子層は、常には同じ構造を有するわけではなく、観察する角度によっても異なる多様な色彩である。
本発明の溶媒は、無機粒子を均一な厚みの層にするため沸点は40℃以上、100℃以下が好ましく、50℃以上、90℃以下である有機溶媒であることが好ましい。
移流集積時の溶媒揮発による無機粒子ハンドリングの観点で、沸点は室温以上であることが好ましく、溶媒が揮発するまでの時間での無機粒子が凝集し結晶化の観点から、沸点は100℃以下であることが好ましい。
第1部材に金属やセラミックを使用する場合は水などの溶媒が適し、第1部材に樹脂などの有機物を使用する場合には、有機溶媒であることが好ましい。基材とのぬれ性の観点から、使用する溶媒の表面張力値が基材と同程度が好ましく、例えば10から30mN/m、更に好ましくは15から25mN/m程度である。
分散液における無機粒子の含有量は0.1質量%以上15質量%未満の濃度であり、0.5~10質量%であることが好ましく、特に1~5質量%が好ましい。濃度を薄くすることによって、構造色を有する面積を増やすことができ、臨界的に接合強度の上昇を観察することができる。
ただし、基材表面上に無機粒子が緻密に配列した層を形成することができるのであれば、移流集積法に限定されず、ブラシやスプレーによる塗布、スピンコートなどの各種薄膜形成法を用いることもできる。ここで、無機粒子層を形成する際に、第2部材との接合に用いる箇所以外については、意匠性等の要求により必要に応じ、塗布した液体を拭き取る、あるいはあらかじめ基材にマスキングを施しておくことで、無機粒子層を設けないようにしてもよい。塗布回数は、複数回でもよい。
なお、基材に樹脂を用いる場合は射出成形や押出成形等の通常用いられる方法により基材となる樹脂成形品を作製すればよく、同様にガラスであればフロート法やダウンドロー法等、セラミックであれば常圧焼結法や反応焼結法等、通常用いられる方法により作製されたものを用いることができる。これらの基材は、意匠性、機能性、他部材との固定などの要求に応じ、適宜切削や溶着といった加工がなされたものを用いても良い。
≪第2部材の接合方法≫
本発明では、第1部材の無機粒子層の上に、第2部材を構成する樹脂組成物を溶融状態で接触させた上で、当該樹脂組成物を冷却固化させることで、第2部材の接合を行う。接合方法は特に限定されず、例えば、無機粒子層を有する第1部材を、第2部材成形用の金型中に配置し、第2部材を構成する樹脂組成物を、第1部材の無機粒子層上に射出成形(いわゆるインサート成形)することで、第2部材の接合を行うこともできるし、あらかじめ成形しておいた第2部材の表面のうち、接合に用いる領域を加熱溶融させた状態で、第1部材の無機粒子層と接触させて加圧(いわゆる溶着)することで接合を行うこともできる。
第2部材のインサート成形や溶着の条件は特に限定されず、第2部材を構成する樹脂組成物に含有される樹脂の種類に応じて適宜設定することができる。
例えば、第2部材がエラストマであるエチレン-エチルアクリレート共重合体の場合、インサート成形の際のシリンダ温度としては、130~200℃、好ましくは180℃以上、射出速度は、5~80mm/s、好ましくは20~50mm/s、保圧力は、5MPa~100MPa、好ましくは10~50MPaである。
なお、インサート成形であれば、第2部材の形成と第1部材との接合を同時に行うことができるため、工程簡略化の面で有利である。また、第1部材の剛性や靱性が低く、インサート成形では樹脂圧により第1部材が変形又は破損してしまうような場合には、溶着で接合を行えば、加圧条件の設定自由度が高く、第1部材の変形や破損を抑制しやすいため有利である。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお特に記載の無い場合、評価は23℃50%RHの測定室において行った。
[接合強度の評価]
<基材の調製>
POM樹脂組成物1:ポリプラスチックス株式会社製ポリアセタール樹脂組成物:ジュラコン(登録商標)M90-40、(収縮率2.0%、弾性率2500MPa)、シリンダ温度200℃、金型温度80℃、射出速度50mm/sec、保圧力60MPaにて基材を射出成形した。
<第1部材の製造(無機粒子層の形成)>
イソプロピルアルコール(IPA、表面張力値20.8mN/m)またはメタノール(MTA、表面張力値22.6mN/m)中に平均粒径12nmのシリカ粒子を表に示した濃度に調整した液体中に、上述の基材を浸してから段差の接合面が液面に対し垂直になるように引き上げる操作(ディップ)を1回行うことで、基材の接合面に対しシリカ粒子を移流集積法により塗布し、23℃で乾燥させてイソプロピルアルコールを揮発させ、基材表面に無機粒子層を形成して第1部材を製造した。
比較用として、無機粒子の平均粒径25nm、平均粒径45nmを使用した。
<複合部材の製造(第2部材との接合)>
第1部材の無機粒子層形成面の一部と、第2部材を形成するための上記試験片のキャビティの一部がオーバーラップするように設計された、複合部材成形用の金型内部に、第1部材を設置し、第2部材を構成する樹脂組成物を射出成形することで図2に示すような複合部材をインサート成形により製造した。
第2部材として、エチレン-エチルアクリレート共重合体:株式会社ENEOS NUC製「NUC-6570」(収縮率3%、弾性率20MPa)をシリンダ温度200℃、金型温度40℃、射出速度10mm/sec、保圧力10MPaにて第2部材を射出成形した。また射出成形条件である、シリンダ温度、射出速度、保圧力を変えた試料も作製した(実施例2)。この結果は表3に示す。
<接合強度評価>
前記第1部材と第2部材の組み合わせにて、上述の方法で調整した複合部材について、まず第1部材と第2部材との接触面の周囲のバリを除去した後、試験片固定用治具に第1部材を固定した。次いで、島津製作所製 オートグラブAG-20kNXDplusを用い、引張速度500mm/minで、第1部材と第2部材とを剥離させた時の接合強度(MPa)を測定した。第2部材の射出条件も変化させた結果も含め、表1~3に示す。
[生産性評価]
<良品率>
上記複合部材を、10ショットインサート成形し、離型時に第1部材と第2部材が剥がれず、サンプルが取れたものを良品数としてカウントし、良品率を算出した(例えば、10個中3個剥がれず採取できれば、3/10×100=30%とする。)。結果を表1~3に示す。
Figure 0007085081000001
Figure 0007085081000002
Figure 0007085081000003
表1~3に示されているように、本発明の範囲では特異的に接合強度が向上することが判る。
図4、5に、平均粒径12μmのシリカ粒子を移流集積法により処理した試験片の写真を示した。図4はイソプロピルアルコール5%濃度溶液、図5はイソプロピルアルコール30%濃度溶液でのシリカ粒子の堆積配置状況を示したSEM画像である。
これによると5%濃度溶液では、試験片表面の無機粒子を配置した60%程度の面積に、構造色が観察されており、均一な無機粒子層が形成されていることが判る。30%濃度溶液では、構造色は観察されず、さらに10から50μmの結晶の析出が観察される。平均粒径が25nm及び45nmの試料では、構造色は観察されない。

Claims (7)

  1. 基材上に無機粒子からなる層を有する第1部材と、エラストマからなる第2部材、とを無機粒子からなる層を介して接合してなる複合部材であって、該無機粒子からなる層が、平均粒径1nm以上20nm未満の無機粒子を配置した面を有する層であり、該面の少なくとも一部が該無機粒子の配置により発現した構造色を有する複合部材。
  2. 基材上に無機粒子からなる層を有する第1部材と、エラストマからなる第2部材、とを無機粒子からなる層を介して接合してなり、該無機粒子からなる層が、平均粒径1nm以上20nm未満の無機粒子を配置した面を有する層であり、該面の少なくとも一部が該無機粒子の配置により発現した構造色を有する複合部材の製造方法であって、該無機粒子からなる層が、平均粒径1nm以上20nm未満の無機粒子を0.1質量%以上15質量%未満の濃度で溶媒中に分散した分散液を使用して形成したものである、複合部材の製造方法。
  3. 前記基材が、樹脂またはエラストマからなる請求項2に記載の複合部材の製造方法。
  4. 前記無機粒子を分散する分散液の溶媒が、沸点100℃以下の有機溶媒である請求項2または3記載の複合部材の製造方法。
  5. 前記基材上の無機粒子からなる層が、移流集積法により形成されたものである請求項2~4いずれかに記載の複合部材の製造方法。
  6. 前記第1部材と第2部材との接合方法が、溶着または射出成形である請求項2~5いずれかに記載の製造方法。
  7. 前記第1部材と第2部材の接合が、溶着または射出成形である請求項1記載の複合部材。
JP2022508566A 2021-04-02 2021-11-18 複合部材およびその製造方法 Active JP7085081B1 (ja)

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