JP7083311B2 - マルチビームクレストファクタ低減 - Google Patents

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Description

本出願は、米国特許法第119(e)条の下、2015年12月29日に出願された「Multi-Beam Crest Factor Reduction」という名称の米国仮特許出願第62/272,269号の利益を主張し、その全内容は参照により本明細書に組み入れられる。
本開示は、概して、セルラまたは無線ローカルエリアネットワーク等の無線システムに関し、より詳細には、マルチビームフェーズドアレイシステムに関する。
フェーズドアレイは、自由空間においてビーム放射パターンを生成し、選択的通信チャネルの形成を可能にする。フェーズドアレイは、複数のアンテナを、一般的に無線周波数(RF)信号の2分の1波長分ずつ互いに離間して、平面上に格子状に配置することにより形成される。フェーズドアレイは、アンテナの各々に与えられるRF信号の位相と振幅を調整することにより、所望の方向に放射パターンを生成することができる。これらの調整により、発せられる無線RF信号は、特定の方向において増強され、他の方向において抑制される。無線ビームは電子的に操作されて通信チャネルを送るので、これにより、アンテナの位置または方向を機械的に調整する必要はない。
フェーズドアレイでは、アレイを形成する複数のアンテナが一斉に動作するオーケストレーション(orchestration)が求められる。コーポレートフィードネットワークは、フェーズドアレイを形成する複数のアンテナの各々に、ある一つのRF信号と同一のコピーを送ることにより、フェーズドアレイにそのタイミングを与える。平面領域上に複数のアンテナを均一に配置することにより、フェーズドアレイは、X方向およびY方向の両方向においてRF信号の搬送波周波数の数波長に亘って延びる表面領域を有するものになる。例えば、正方形の平面領域に配置された100のアンテナを備えるフェーズドアレイであれば、各方向にRF搬送波周波数の5波長分に等しい辺寸法を有するであろう。
セルラ送信において、直交周波数分割多重(OFDM)は、符号間干渉(ISI)に対する耐性がありチャネル等化における複雑性が低いことから、ロングタームエボリューション(LTE)等の近年のシステムに採用されている。しかし、OFDM信号は、一般的に、ピーク対平均電力比(PAPR)が高い。送信無線周波数(RF)信号の線形性を維持するため、高いPAPRには、大電力増幅器(PA)のバックオフ(すなわち、平均送信RF信号電力に比較して、供給源電力を増加させるためにPA供給電圧を増加させること)が必要である。増加された供給電力がPAに与えられることで、RF信号がピークレベルにあるとき、確実に、PAは線形的に動作する。RF信号が平均レベルに戻ると、PAにおいて、RF信号電力に変換されない電力損失が大きくなる。電力損失の増大は、PA内での熱放散の増加につながる。従って、PAバックオフを増加させて、PAの線形性を向上させることにより、PA効率が下がり、電力使用量が増加することにもなる。多くの場合、PAの熱消散または電力消費の制限は、無線送信システム全体の性能のボトルネックとなる可能性がある。
この状況は、フェーズドアレイにおいてより深刻なものとなる。何故なら、フェーズドアレイには複数のPAがあり、1つのPAがフェーズドアレイの1つのアンテナを駆動するため、複数のPAの各々が熱出力を増加させるためである。PAの全てはアンテナの近くに配置されてもよく、このアンテナがフェーズドアレイの平面領域を規定する。PAを互いに近接配置することで、フェーズドアレイに関する比較的小さな体積であっても、多量の熱が発生される。上述したとおりPAに高PAPR問題が生じると、熱放散はより深刻になる。高PAPRによりPAの電力損失が増大すると、非常に小さな体積であっても、多量の熱を発生する可能性がある。さらに、フェーズドアレイは、マルチビーム信号を処理することができ、各PAの入力において、これらのビーム信号は、典型的には回転され、加算される。したがって、マルチビーム信号が合算される場合にPAに生じる高PAPRを低減する様々な技術が必要とされている。PAPRを低減することにより、PAはより電力効率を上げることができる。
概して、一態様において、本発明は、複数のビーム信号と共に用いるためのシステムを特徴付けるものであって、複数の入力および対応する複数の出力を有するクレストファクタ低減(CFR)モジュールを備え、複数の入力の各々の入力は、複数のビーム信号のうち対応する異なるビーム信号を受け付けるためのものであり、複数の出力の各出力は、複数の入力のうち異なる入力に対応し、複数のCFR調整信号のうち異なるCFR調整信号を出力するためのものであり、複数のCFR調整信号の各CFR調整信号は、複数のビーム信号のうち異なるビーム信号に対応する。上記CFRモジュールは、複数のビーム信号に対してクレストファクタ(波高率)の低減を実行することで、複数のCFR調整信号を生成するように構成されている。複数のビーム信号に対して実行されるクレストファクタ低減は、複数のビーム信号のうちの複数のビーム信号の大きさの加重和に基づく。
他の実施形態は、次の特徴を1つまたはそれ以上含む。上記CFRモジュールは、複数のビーム信号のうちの複数のビーム信号の大きさの加重和を用いることで、複数のビーム信号のうちのビーム信号の大きさを低減させる時を決定するように構成されている。複数のビーム信号に対して実行されるクレストファクタ低減は、複数のビーム信号のうちの全てのビーム信号の大きさの加重和に基づく。複数のビーム信号のうちの全てのビーム信号の大きさの加重和は、複数のビーム信号のうちの全てのビーム信号の大きさの和である。
上記システムは、各々が上記CFRモジュールの複数の出力のうち対応する異なる出力に電気的に連結された複数のアップコンバートモジュールであって、該出力について上記CFR調整信号から得られる信号をアップコンバートするためのものと、複数のアップコンバートモジュールからの信号を結合して合成信号を生成するコンバイナと、コンバイナの出力に電気的に連結された電力増幅器とを備える送信器を更に備える。上記電力増幅器は、出力を有し、上記システムは、該電力増幅器の出力に電気的に連結されたアンテナを更に備える。上記CFRモジュールは、複数の座標変換モジュールを備え、複数の座標変換モジュールの各座標変換モジュールは、複数の入力のうち異なる対応する入力に連結され、該入力を介して受け付けられるビーム信号の大きさを特定するためのものである。上記CFRモジュールは、複数の乗算器を更に備え、複数の乗算器の各乗算器は、対応する異なる座標変換モジュールに連結される。上記CFRモジュールは、複数の座標変換モジュールの各々の座標変換モジュールの各々から得られた信号を加算して、複数のビーム信号のうち全てのビーム信号の大きさの加重和を生成する加算器を更に備える。上記CFRモジュールは、複数のビーム信号のうち全てのビーム信号の大きさの加重和が所定の閾値を超える時を検出するためのピーク検出器を更に備える。上記CFRモジュールが実行するように構成されたクレストファクタ低減は、ハードクリッピング、ピークキャンセル、および繰り返しクリッピングを1つまたはそれ以上を含む。
概して、一態様において、本発明は、複数のビーム信号を処理する方法を特徴付けるものである。該方法は、複数のビーム信号の各ビーム信号の大きさを特定すること;複数のビーム信号の大きさの加重和を計算すること;および、複数のビーム信号に対してクレストファクタ低減を実行することで、対応する複数のCFR調整信号を生成すること、を含み、複数のビーム信号に対してクレストファクタ低減を実行することは、複数のビーム信号の大きさの計算された加重和に基づく。
他の実施形態は、次の特徴を1つまたはそれ以上含む。上記方法は、複数のCFR調整信号を処理して複数の処理信号を生成すること;複数の処理された信号を結合することで、合成送信信号を生成すること;および、該合成送信信号を無線送信用アンテナに送ること、を更に含む。クレストファクタ低減を実行することは、大きさの加重和を用いて、複数のビーム信号のうちいずれかのビーム信号の大きさを低減する時を決定すること、を含む。大きさの加重和の全ての重みは1に等しい、または、大きさの加重和における1つまたはそれ以上の重みは1に等しくない。複数のビーム信号に対してクレストファクタ低減を実行することは、複数のビーム信号のうち全てのビーム信号の大きさの加重和が所定の閾値を超える時を検出することを含む。複数のビーム信号に対してクレストファクタ低減を実行することは、ハードクリッピング、ピークキャンセル、および/または、繰り返しクリッピングを1つまたはそれ以上を含む。
本開示は、添付の図面に示すように、特定の実施形態を参照してより詳細に説明される。本開示は、特定の実施形態を参照して以下で説明されるが、本開示がその実施形態に限定されないことは理解されるべきである。本開示における教示を得た当業者は、他の用途分野と同様、更なる実施、修正、および、具体化を認識するであろうし、その内容は、本願において説明される本開示の範囲内であり、その内容に関して、本開示は、高い有用性を有する可能性がある。
図1は、電力増幅器のピーク対平均電力比(PAPR)を示す波形である。 図2は、閾値を超える信号のクレストファクタ低減(CFR)を示す。 図3は、後で加算される2つのビーム経路に個別に適用され、PAPR再成長を生じさせる従来のCFRを示す。 図4は、加算後にPAPR再成長を除去する、デュアルビームジョイントピーク検出・低減のモジュールまたは回路の実施形態を示す。 図5は、加算後にPAPR再成長を除去する、マルチビームジョイントピーク検出・低減のモジュールまたは回路の実施形態を示す。 図6は、2つのビームの各々が、加算後に、PAPR再成長なく複数の電力増幅器に供給される、デュアルビームジョイントピーク検出・低減のモジュールまたは回路の実施形態を示す。 図7は、2つの信号が結合されたものがピーク低減を必要とする位置を決定するグラフ表示を示す。 図8は、ピーク低減を伴うマルチビームCFRの1回のイテレーションを実行するモジュールまたは回路のブロック図である。 図9は、クリッピングおよびフィルタリングを伴うマルチビームCFRの1回のイテレーションを実行するモジュールまたは回路のブロック図である。 図10は、ハードクリッピングを伴うマルチビームCFRの1回のイテレーションを実行するモジュールまたは回路のブロック図である。 図11Aは、組込みシングルビームCFRモジュールを用いてマルチビームCFRを実行するモジュールまたは回路のブロック図である。 図11Bは、複数のビームからのサンプルを処理する1回のイテレーションを示すフローチャートである。 図12は、シングルビームの複数のイテレーションとそれに続くマルチビームCFRの複数のイテレーションとを含む実施形態のブロック図である。 図13は、標準のテスト波形を用いて、個別CFRなしでマルチビームCFRを実行した結果を示す。 図14は、標準のテスト波形を用いて、個別CFRを伴うマルチビームCFRを実行した結果を示す。 図15は、送信チェーンに組み込まれた(個別CFRを伴うまたは個別CFRなしの)マルチビームCFRを採用する実施形態のブロック図である。 図16Aは、個別およびマルチビームのCFRの2回のイテレーションを用いて第1のビームを入力/出力した結果を示す。 図16Bは、個別およびマルチビームのCFRの2回のイテレーションを用いて第2ビームを入力/出力した結果を示す。 図16Cは、個別およびマルチビームのCFRの2回のイテレーションを用いた第1のビームおよび第2ビームが結合されたものを示す。 図17は、マルチビームCFRを用いた3つの異なる標準のテスト波形の表形式の結果を示す。
図1は、ベースバンド包絡線1-5内の送信無線周波数(RF)信号1-4を示す。ピーク信号イベント1-2の間、包絡線の大きさは、固定電力供給増幅器の供給電圧1-1に近いところまで増大する可能性がある。固定電力増幅器の供給電圧は、増幅器の線形性を維持するため、ピーク信号イベントの大きさを超える必要がある。しかし、ピーク信号イベントとは対照的に、信号全体は、低い平均レベル1-6を維持する。信号の電力の観点で測定したときの、1-6に対応する平均電力値に対するピーク信号イベント1-2の比率は、ピーク対平均電力比(PAPR)として知られている。PAPRはできる限り低い値を維持することが望ましい。直交周波数分割多重(OFDM)のような、特定の通信システムの信号は、高PAPRを不必要に生成する可能性があり、そのため、PAPRを低減するための何らかの技術を採用することが望ましい。ここで紹介される技術は、高PAPRが生じる任意のフェーズドアレイ通信システムに適用することができる。固定電力増幅器供給電圧は、1-2で大電圧振幅供給できなければならない。しかし、信号の振幅が平均値1-6に近付くと、電力増幅器の効率は低くなる。これらの領域において、固定電力増幅器供給電圧によって提供されるエネルギーは、領域1-3におけるギャップが示すように、熱として消散される。したがって、増幅器の設計は、増幅器の線形性を維持するために高ピーク信号イベントが適切に増幅されることを補償する必要がある。しかし、電力増幅器の平均電力がピーク信号イベントよりもはるかに低い場合、電力増幅器は、領域1-3が示すように、大量の電力を熱として浪費する。
ベースバンド包絡線1-5(またはベースバンド信号)は、2つの成分:同相(I)信号および直交(Q)信号を有するベクトルによって形成される。複素信号は、一般的に複素数で表され、複素数において、実部および虚部は、該信号のI成分およびQ成分に各々対応する。ベクトルは、大きさと位相を有する。ベースバンド信号1-5の大きさは、式(1)により得られる。
Figure 0007083311000001
位相は、I成分およびQ成分の相対値によって決定される。
ベースバンド信号のピークが低減されると、無線周波数(RF)信号のピークも低減される。ピークが低減されると、PAPRも低減される。ひとたびPAPRが低減されると、信号全体が、電力増幅器(PA)供給電圧の範囲をとるようにスケーリングされてもよく、その結果、電力効率がより高くなってもよい(また、PA供給電圧は、低減されたピークのレベルまで下げられ、電力損失全体が低減されてもよい。)。
従来のシングルビームシステムでは、クレストファクタ低減(CFR)動作は、送信されたRF信号のピークをPAに与える前に低減している。CFRモジュールは、信号への歪みを許容レベルに維持しながら、(一般的には、ピーク信号に適用されるクリッピング、フィルタリング、および/または、減算の処理によって、)PAPRを低減させる。LTEシステムでは、CFR動作は、EVMによって特徴付けられる帯域内信号歪みを生じさせる可能性がある一方、ACLRによって測定されるような、帯域外発射をも生じさせる可能性がある。したがって、CFR動作は、EVMおよびACRLを許容範囲内に維持しながら、RF信号のピーク信号を低減することを目標としている。ピーク信号を低減させるという効果により、PAの効率が向上する。CFR動作は、シングル送信RF信号またはビームを利用するシステムで好適に機能する。
図2は、シングルビームCFR技術の機能の様子をより詳細に図示する。信号ピーク2-3を備えるベースバンド信号2-5があり、信号ピーク2-3は点線の楕円2-1の境界によって規定される大きさを有する。ベースバンド信号は、DC値2-6およびCFR閾値2-4および2-7を有する。信号ピーク2-3の平均値に対する電力比により、PAPRが特定される。一般的には、PAPRはより低いことが望ましく、信号ピーク2-3が閾値2-4以下に低減されると、PAPRはより低くなる。閾値は、電力増幅器の動作に課せられるシステム要件に基づいて設定される。従来のCFR技術は、閾値を超える信号ピーク2-3の位置を特定し、複数の信号低減技術のうちの1つを組み込むことで、閾値2-4に合致する、または、閾値2-4より小さい、より低い信号ピーク2-2まで信号ピーク2-3を低減させる。より低い信号ピーク2-2の平均値に対する電力比によって、所望のPAPRが得られる。CFRは、ピーク信号2-3をより低い信号ピーク2-2までに低減した後、信号の元のPAPRを、所望のPAPRに低減することができる。この所望のPAPRは、フェーズドアレイのエラーベクトル振幅(EVM)および隣接チャネル漏洩比(ACLR)の両方を許容範囲内に維持しながら、約6~8dBに低減されることが可能である。この所望のPAPRは、信号が電力増幅器に与えられる場合に、維持される。しかし、このような状況は、従来のCFR技術を用いた場合はシングルビームシステムについてのみ当てはまる。
フェーズドアレイは、より複雑な無線システムである。2つまたはそれ以上の信号(独立した送信RF信号)は、各々位相シフトされ、合算される。マルチビーム信号は、PAの入力に与えられて、フェーズドアレイのアンテナの1つを介して自由空間に送信される前の、2つまたはそれ以上のビーム信号の合計である。従来のCFR法を2つまたはそれ以上のビーム信号の各々に適用することにより、ビーム信号の各々が低減され、所望のPAPRが達成される。しかし、2つまたはそれ以上のビーム信号が合算されると、結合されたビーム信号のPAPRは、所望の値よりも大きくなる可能性がある。加算後のPAPRの増加は、PAPRの再成長またはPAPR再成長として知られている。これは、従来のCFRが、他のビームとは無関係な時に1つの個別ビームに作用するため、生じる。マルチビーム信号における従来のCFRアプローチは効果的ではない。2つまたはそれ以上のビーム信号の各々がCFRを用いて処理されたとしても、2つまたはそれ以上のビーム信号の合計は、結合されると、2~3dBだけPAPRを再成長させる可能性がある。
図3は、上記のマルチビームCFRアーキテクチャにおいてどのようにPAPR再成長が生じるかを示す。ビーム1信号は、ビーム1信号内の信号ピークを閾値に低減させるCFR3-1aに与えられ、ノード3-2aにおいて、所望のPAPRを有する信号が生成される。ノード3-2aにおける信号は、ブロック3-3aにおいてRF周波数にアップコンバートされ、その入力ノード3-4aにおいて位相回転器3-5aに与えられる。位相回転器は、ビーム1信号の位相を調整し、信号を加算器3-6の入力に与え、フェーズドアレイシステムにおいて結果として得られるビームの方向を制御するためのものである。同時に、第2のビーム信号であるビーム2信号が、ビーム2信号内の信号ピークを閾値に低減させるCFR3-1bに与えられ、ノード3-2bにおいて、所望のPAPRを有する信号が生成される。ノード3-2bにおける信号は、ブロック3-3bにおいてRF周波数にアップコンバートされ、その入力ノード3-4bにおいて位相回転器3-5bに与えられる。位相回転器3-5bは、信号の位相を調整し、信号を加算器3-6の入力に与える。加算器3-6は、位相回転器からの2つの信号を結合して、電力増幅器3-8に与えられるノード3-7における結合信号を生成する。ビーム1信号内の信号ピークは、ビーム2信号とは独立してCFR技術を用いて調整され、ビーム2信号内の信号ピークは、ビーム1信号とは独立してCFR技術を用いて調整される。PAPR再成長は、ビーム1信号およびビーム2信号に適用される、独立したCFR調整に起因して、加算器の出力ノード3-7において生じる可能性がある。PAPR再成長は、PAPRを3dBだけ増加させることで、フェーズドアレイのアンテナ3-10の1つを駆動する場合に、電力増幅器が効率性を損い、必要以上に電力を損失する可能性がある。
図3における各ビームのPAPRは、実際のところ、従来のCFRを適用した後の閾値によって決定されるように、設定された最大許容レベルに低減される。ビームが合算されると、設定された最大許容レベルで低減された、個々のビームの電力成分の合計は、PAPRを3dBだけ上昇させる新しいPAPR条件を発生させ、個々のビームの各々に適用される従来のCFR動作の操作を、効率的に取り消すことができる。従来のCFR動作が個々のビームに対して実行されたとしても、結合されたビームのPAPRは、加算後、元のPAPR値に近くなる。所望のPAPRの増加は、第2のビームの低減されたピークに合わせられた1つのビームの低減されたピークに起因し、これはPAPRを3dBだけ上昇させる可能性がある。従って、従来のシングルビームCFRは、複数のビームを結合する、または、加算する場合には有効ではない。
図4は、PAPR再成長がマルチビームCFRアーキテクチャ内で除去される一実施形態を示す。ビーム1信号およびビーム2信号は、ジョイントピーク検出・低減ブロック4-1に与えられる。両方のビーム信号の任意の時点における大きさが、加算され、ジョイントPAPRを設定する、所定の閾値と比較される。しかし、信号の大きさの合計が所定の閾値より大きいならば、その局所合計は極大値を与え、該合計のPAPRは、所望のPAPRより大きく、ピークの信号成分の片方または両方の低減が実行される。任意の信号成分の大きさの低減することで、信号歪みが波形に導入される。導入される歪みがLTE規格によって規定されるエラーベクトル振幅(EVM)の範囲内にあるならば、例えばLTEシステムにおいて、信号歪みは許容されることができる。次に、2つの信号は、アンテナシステム(図示略)を介して送信するため信号を用意するシステムの部分である送信器(またはフロントエンド)に与えられる。送信器において、各信号は、アップコンバートブロック3-3aおよび3-3bの各々により、RF周波数にアップコンバートされる。位相回転器3-5aおよび3-5bは、ノード4-3aおよび4-3b上の2つの入力ビーム信号の大きさを回転させ、これらの信号を加算器3-6に与える。加算器3-6は、これら2つの信号を加算して、ノード4-4において信号を生成する。この信号は、電力増幅器3-8の入力に与えられる。ジョイントピーク検出・低減ブロック4-1は、複数のビームが任意の位相回転の後に加算された場合、結合されたビーム信号が回転量に関わらずノード4-4において所望のレベルを超えるPAPR再成長を示さないように、マルチビームCFRプロセスを実行する。PAPR再成長を示さないとは、合成信号のPAPRが合成信号PAPR目標を超えないことを意味する。
位相回転器は、ビーム信号のRF信号の位相角を進める、または、遅らせるために使用される。位相回転器は、位相回転器を通過する信号の位相をずらすように機能する。位相シフトは、アナログまたはデジタルの制御信号を用いて制御される。記載されている実施形態では、デジタル制御信号を使用して、位相回転器が調整される。更に、アナログまたはデジタル制御信号によって制御される少なくとも1つの振幅調整回路(可変利得増幅器、図示略)が、RF信号の少なくとも1つの振幅を変更するために使用される。これらの位相回転および利得を利用するのは、フェーズドアレイによって形成される、結果として生じるビームを、所望の方向に向けるためである。振幅または位相の調整制御は、全制御から、部分制御またはゼロ制御の範囲に及ぶ。デジタル制御信号は、システム内においてバスで伝達され、アップコンバータにおける位相回転器および可変利得増幅器に供給される。これらのデジタルまたはアナログ制御信号は、複数の相互作用する機械またはコンピュータを含むことができるデジタルフロントエンド(DFE)内の1つまたはそれ以上のプロセッサによって供給される。コンピュータ読み取り可能な媒体は、1つまたはそれ以上のプロセッサを用いてコード化されて、1つまたはそれ以上のプロセッサがそのプログラムを実行することで、位相および振幅を調整する、1つまたはそれ以上の方法が行われる。位相および振幅の調整の機能の更なる詳細は、例えば、2012年6月7日に公開されたMihai Banu他の「Low Cost,Active Antenna Arrays」という名称の米国特許出願公開第2012/0142280号に記載されており、その開示内容全体は参照により本明細書に組み入れられる。
フェーズドアレイシステムのようなアプリケーションでは、送信信号の位相は、フェーズドアレイに関してビーム方向に応じて、各アンテナ素子において任意の角度だけ回転されてもよい。従って、マルチビームCFR法は、回転不変性の概念に基づいている。すなわち、ビーム信号の各々は、任意の位相回転に従ってもよく、ビーム信号の合計は、所望のPAPR目標を満たすように設計される。更に、マルチビームCFRは、異なるビームの送信信号を共に処理して、結合されたビーム信号のピークを検出し、低減する。この実施形態は、ジョイントピーク検出・低減ブロック内の各時間間隔で複数の信号ビームの合成振幅を同時に監視する。合成振幅が閾値を超えると、ジョイントピーク検出・低減ブロックは、極大値を規定しようとする。極大値が見つかると、CFR技術が複数の信号ビームに同時に適用され、極大値が所望の閾値未満に低減される。このジョイントピーク検出・低減の実施形態では、確実に、結合されたビーム信号は、加算された後、且つ、電力増幅器に与えられる前に、許容されないPAPR再成長を示さない。
図5は、ノード5-4においてPAPR再成長が生じることなく、3つのビーム信号が結合される実施形態を示す。3つのビーム信号:ビーム1信号、ビーム2信号、およびビーム3信号は、ジョイントピーク検出・低減ブロック5-1に与えられる。当業者は、3つより多い複数のビーム信号が同様に処理され得ることを理解するであろう。任意の時点における各ビーム信号の振幅は、(異なるビーム信号間の不均一な電力割り当てを可能にするため)重み付け関数が適用されている可能性があり、合算され、合算された振幅値が決定される。重み付け関数は、例えば、基地局から離れたハンドセットの距離に関する不均一な電力割り当てを決めるために用いることができる。基地局により近いハンドセットのビーム信号は、信号の大きさを減少させる重み付け関数を有し、一方、基地局から離れているハンドセットのビーム信号は、信号がより遠くに伝達される必要があるため、信号の大きさを増加させる重み付け関数を有してもよい。
合算された振幅値は、各時間ステップ毎に計算される。合算された振幅は閾値と比較され、閾値を超えるか否か判断される。合算された振幅値が閾値を超える場合、2つの信号ビームのうち1つまたはそれ以上の振幅が、ピーク低減方法を用いることによって低減される。あるアプローチでは、複数のビーム信号のすべての振幅が比例的に低減され、他の1つのアプローチでは、最小振幅を超えるビーム信号の振幅が比例的に低減される。これらの低減方法は、ハードクリッピング、繰り返しクリッピング・フィルタリング、およびピークキャンセルの技術を用いてもよく、その詳細な例は後述する。ジョイントピーク検出・低減ブロック5-1の目標は、合成信号が所望のPAPRを達成するように、(閾値によって指定される)所望の量よりも少ない値にピークの大きさを低減することである。このCFR動作は、エラーベクトル振幅(EVM)によって特徴付けられる帯域内信号歪み、および、隣接チャネル漏洩比(ACLR)によって測定される帯域外発射を、所定範囲内に維持すべきである。3つの出力信号:5-2a、5-2b、および5-2cは、各々、対応するアップコンバートブロック3-3a、3-3b、および3-3cに与えられる。ノード5-3a、5-3b、および5-3cにおけるアップコンバートされた信号は、各々、位相回転器3-5a、3-5b、および3-5cによって位相シフトされる。加算器3-6は、位相シフトされた信号を合算して、電力増幅器3-8に連結されたノード5-4上で最終RF信号を生成する。3つの信号が、閾値レベルを超える可能性のある合成振幅を補正するために、同じタイムスライス内で共に評価されるので、ノード5-4において信号のPAPR再成長は生じない。
図6は、フェーズドアレイの複数の電力増幅器に連結されたジョイントピーク検出・低減ブロックの実施形態を示す。この実施形態では、図5の実施形態のように、アップコンバートの後ではなくアップコンバートの前に、ビームステアリング重み/位相が導入される。図6はまた、一例として、複数の電力増幅器に分散される2つのビーム信号を示す。一般的に、X個のビーム信号は、Y個の電力増幅器に分散されてもよい。ノード4-2aおよび4-2bにおける2つの出力信号は、ジョイントピーク検出・低減ブロック4-1によって処理されている。信号の一方または両方が0°~360°の間で位相回転され、加算されて、合成信号を形成する。両方の信号を合算することによって形成される合成信号は、ジョイントピーク低減ブロック4-1によって処理された後、所望のPAPRを常に満たすことが補償されるであろう。図6のシステムは、アップコンバートされて対応する電力増幅器の入力に供給される、8つの合成信号を生成する。8つ全ての電力増幅器が、合成信号を形成する2つのCFR補正された入力信号に適用される位相シフトに関わらず、所望のPAPRまたはそれ未満で動作するであろう。8個の電力増幅器は、各々、アンテナ(図示略)を駆動する。電力増幅器の電力損失は、フェーズドアレイの電力量全体のかなりの部分を占める。所望のPAPRにおける電力増幅器のPAPRを維持することによる節電は、システム全体の電力損失を低減するために利用することができ、または、自由空間に送信されるRF信号の平均出力電力を増加させるために利用することができる。フェーズドアレイの8つのアンテナは、自由空間において2つの別個の放射パターンを生成することができる。発せられた無線RF信号は、2つの入力ビーム信号のこれらの位相および振幅の調整に応じて、特定の方向において強化され、他の方向において抑制される。誘導されるビームの更なる説明については、例えば、2012年10月11日に公開されたMihai Banu他の「Techniques for Achieving High Average Spectrum Efficiency in a Wireles System」という名称の米国特許出願公開第2012/0258754号に記載されており、その開示内容全体は参照により本明細書に組み入れられる。
ジョイントピーク検出・低減ブロック4-1は、入力ビーム1信号および入力ビーム2信号を処理して、これらの2つの信号の大きさの合計における信号ピークを検出する。合算された大きさが所定の閾値を超えると、CFR低減技術が2つの信号に適用される。合算された大きさのピークがCFR技術によって低減されて、所望のPAPRが得られると、ジョイントピーク検出・低減ブロック4-1の出力信号4-2aおよび4-2bは、W(i) と表された可変利得・位相回転ブロックにつなげられる。これらの2つの信号は、この時点で、回転不変性の性質を有する。出力信号4-2aは、第1セットの可変利得・回転ブロック6-1a~6-1hにつなげられる。出力信号4-2bは、第2セットの可変利得・回転ブロック6-2a~6-2hにつなげられる。回転不変性は、これらの可変利得・位相回転ブロックにより、確実に、合算された後に所望のPAPRを維持しながら、0°~360°の全範囲に亘り4-2aおよび4-2bの信号の一方または両方を位相回転させることができる。8つの加算器3-5a~3-5hの各々は、ノード6-3a~6-3h上で合成信号を生成する。各合成信号は、第1セットから選択された第1信号および第2セットから選択された第2信号の合計を含んで、合成信号の1つを形成する。合成信号は、各々、アップコンバートブロック3-3a~3-3hによりアップコンバートされ、ノード6-4a~6-4h上に各々、RF信号を生成する。これらのRF信号の各々は、電力増幅器の1つの対応する入力に与えられる。図6は、2つのビームの構成を示し、各ビームの信号は、8つの電力増幅器(PA)のセットに分散される。一般的に、この構成は、Y個の(例えば、8つより多い)PAとX個のビーム(例えば、2つまたはそれ以上)とを有してもよい。
図3~5は、位相回転のみを示す。一般的に、任意のビームの任意の電力増幅器へのデータ経路は、図6に示すように、複素スケーリングファクタW(i) によって表される可変利得・位相回転を通過してもよい。これは、複素スケーリングファクタは、一般的に、実数(同相、つまりI)および虚数(直交、つまりQ)の成分を有するためである。重要なことは、このファクタが、信号の大きさをスケーリングするだけでなく、I-Q平面上において信号を回転させることである。可変利得は、推測的に設定される。そして、それに応じて、演算子は、マルチビームCFR重み付け関数および閾値を設定し、これにより、可変利得が考慮される。従って、可変利得は、回転不変性の性質に影響しない。
ジョイントピーク検出・低減ブロック4-1は、CFR技術を用いて信号を処理して、PAPRを所望のPAPRに低減する。信号の1つに適用される可変利得は、その1つの信号の平均電力だけでなく、ピーク電力に、同じ利得を適用させる。従って、所望のPAPRは、可変利得の大きさとは独立した定数のままである。アップコンバート動作(ベースバンド信号を無線周波数信号に変換)は、図3~図5に示すように位相回転前に行われてもよいし、図6に示すように位相回転後に行われてもよい。
従来のCFRでは、信号の大きさが所定の閾値を超えるならば、他のどのビーム信号とも独立したシングルビーム信号に対して、ピーク低減が実行される。一方、マルチビームCFRでは、個々のビーム信号の大きさの合計が所定の閾値を超える場合に、ピーク低減が実行される。信号を表すベクトルの大きさの合計は、ベクトルの合計の大きさとは対照的に、その動作が個々のビーム信号の位相回転に対して不変であるように考慮される。図7は、マルチビームCFR法の一例である実施形態を示す波形を示す。3つの並べられた波形が、時間の関数として示されている。上の2つの波形は、サンプリングされた入力ビーム1信号およびサンプリングされた入力ビーム2信号を表す。一番下の信号は、2つの入力信号の合計を合成信号として表す。波形の各々は、t、t、tの時点に対応する3つの振幅値を特定する。点線の楕円は、特定された振幅値の各々に関連付けられる。点線の楕円は、I-Q平面に投影された円を表すことができ、この平面は、時点に関連付けられた1点鎖線の各々の面に垂直であり、その面から突き出る。円の半径は、I-Q平面における信号の振幅に対応する。時点tにおいて、ビーム1信号は90°で振幅7-1aを有し、ビーム2信号は90°で7-1bの振幅を有する。2つのビーム信号の振幅が共に合算されると、合算された信号は、結合されたピーク信号7-2を90°で生成する。なお、2つの入力ベクトルが揃えられているので、それらの合計は、ベクトルの大きさが加算されたかのように、このベクトル加算の最大値となる。このピーク信号7-2の値は、所望の閾値7-11より小さく、それ故、マルチビームCFR法の適用を必要としない。時点tにおいて、ビーム1信号は270°で振幅7-4aを有し、ビーム2信号は270°で7-4bの振幅を有する。2つのビーム信号の振幅が共に加算されると、加算された信号は、結合されたピーク信号7-5を270°で生成する。なお、2つの入力ベクトルは同一線上にあるので、それらの合計は、ベクトルの大きさが加算されたかのように、この大きさの加算の最大値となる。このピーク信号7-5の値は、所望の閾値7-11よりも大きく、それ故、マルチビームCFR法の適用が必要となる。マルチビームCFR法の一実施形態では、7-4aおよび7-4bでの入力信号の振幅は、合算された振幅7-5が所望の閾値7-11より小さく低減されるまで、比例的に低減される。時点tにおいて、ビーム1信号は90°で振幅7-6aを有し、ビーム2信号は270°で7-6bの振幅を有する。2つのビーム信号の振幅が合算されると、合算された信号は、結合されたピーク信号7-7を270°で生成する。ベクトルの大きさの加算は、点線の楕円7-10によって表され、楕円7-10は、閾値7-11を超え、それ故、マルチビームCFR法の適用が必要となる。7-6aおよび7-6bでの入力信号の振幅は、合算された振幅7-10が所望の閾値7-11より小さく低減されるまで、比例的に低減されてもよい。マルチビームCFR法は、個々の大きさの合計が所望の閾値よりも大きいならば(個々の信号の合計は、所望の閾値を超えても超えなくてもよい)、個々の信号の大きさを低減する。マルチビームCFR法は、個々の大きさの合計が所望の閾値内であれば、個々の信号の大きさを低減する必要はない。マルチビームCFR法は、例えば、繰り返しクリッピング・フィルタリング(ICF)、ピークキャンセル(PC)、ハードクリッピング(HC)等のピークを低減するいかなる既存の方法を用いてもよい。
図8は、ジョイントピーク検出・低減ブロック4-1内のマルチビームCFRピークキャンセル(CFR-PC)回路またはモジュールの機能ブロック図を示す。一般的に、送信信号のピークは、適切にスケーリングされ且つ回転されたピークキャンセルパルス(PCP)を送信信号から減算することで、低減される。PCPは、典型的には、パルス整形フィルタのインパルス応答に基づいており、従って、スケーリング/回転されたPCPを減算することは、送信信号の帯域幅に大きな影響を与えない。PCPのピークは、送信信号のピークと一致させられる。PCPは、ピーク低減量(すなわち、減算されるべき大きさ)を制御するようにスケーリングされ、PCPは、I-Q平面上の送信信号のピークの角度と一致するように回転される。PCPは、ビーム信号のピークを減算するために使用され、確実に、補正信号は「滑らか」である、すなわち、補正はビーム信号の最小スペクトル歪みへの変換を行い、補正後のビーム信号に急激な変化が生じさせない。この技術についての参考文献は、次のサイトにある。
http://www.xilinx.com/products/intellectual-property/ef-di-pc-cfr.html
入力ビーム信号がモジュールに与えられ、CFRビーム信号がモジュールから出力される。これは、CFR補正の1回のイテレーションに対応する。モジュールに供給される、2つの入力ビーム:ビーム1入力およびビーム2入力のIおよびQは、ピークキャンセルパルス(PCP)長さ遅延ブロック8-2aおよび8-2bを通って、コンバイナ8-8aおよび8-8bに伝達される。長さ遅延ブロックは、ピーク検出器8-5およびPCPモジュール8-6によって生じる遅延を考慮して、ピークキャンセルパルス(PCP)のピークをコンバイナ8-8aでのビーム入力信号のピークと時間的に整合させる機能を果たす。
パルス長さ遅延ブロックは、入力信号の遅延バージョンをコンバイナに効果的に提供する。同時に、2つの入力の大きさおよび位相が座標変換ブロック8-1aおよび8-lbによって抽出されて、大きさMおよびMならびに位相PおよびPが各々生成される。次に、これらの大きさは、乗算器8-3aおよび8-3bにおいて、各々、重み付け関数WおよびWによってスケーリングされる。重み付け関数は、例えば、基地局からのハンドセットの距離を扱うために用いられ、異なるビーム信号間において不均一な電力割り当てを可能にする目的のためのものである。加算器8-4は、結果として得られる2つの大きさを加算し、ピーク検出器8-5へ出力を与える。マルチビームピーク検出器では、ビーム信号の大きさの加重和が、所定の閾値と比較される。(なお、一般的に、重みの全てが1に等しい場合を排除することを意味しない加重和を指す場合。)ピーク検出器8-5は、所定の閾値を超える結合された大きさのピークを検出する。ピークキャンセルパルス(PCP)ブロック8-6は、事前記録されたPCPを記憶し、補正信号のスペクトルを整形して、ACLR劣化を小さく抑えるために用いられる。閾値を超えるピークが検出されると、事前記録されたPCPは、各々のビームについてスケーリングされ、各々のビームから減算される。典型的には、PCPは、送信パルス整形フィルタのインパルス応答に基づいており、送信パルス整形フィルタは、送信信号の帯域幅が通信チャネルの帯域幅内にあることを確実にするために用いられるフィルタである(例えば、典型的な送信チェーンについての図15を参照。送信パルス整形フィルタが、15-1aと15-1bで用いられる。)入力信号位相P、Pと共に、所定の閾値を超える量が、スケーリング/回転ブロック8-7aおよび8-7bにおいて、PCPをスケーリングし、回転するために用いられ、補正信号1および補正信号2が生成される。明示しないが、重みWは、スケーリング/回転モジュールによって既知であると仮定する。(なお、図は、主要なデータ経路を示し、全ての制御経路が示されているわけではない。)ビーム入力信号のピークはI-Q平面上のある角度で生じ、ビーム入力信号にピークが生じる角度に一致するようにPCPを回転させる必要があるので、回転は必要である。コンバイナ8-8aおよび8-8bは、PCP長さ遅延ブロックによって提供される遅延ビーム信号から補正信号を減算して、PAPRを所望のレベルに低減する。
この一連の手続きは、送信信号において殆どのピークが確実にキャンセルされるように、複数回反復されてもよい。これは、ハードウェアにおいて、図8の複数のコピーが存在するであろうことを意味する。先行するコピーのビーム1、2出力は、各々、後続するコピーのビーム1、2入力につながるであろう。ビーム入力信号が、間隔が狭いピークまたは広いピークを有する場合、複数のイテレーションが必要になるかもしれない。1回のイテレーションは、例えば、ハードウェア処理能力が限られているために、ピークの一部を処理するのみであることがある。ハードウェアまたはソフトウェアで実施される場合、PCPジェネレータおよびスケーラ(図示略)の複数のコピーが用いられて、同じイテレーションにおいて間隔が狭いピークをキャンセルしてもよい。ハードウェア実装では、PCPジェネレータがピークキャンセルパルスのサンプル値をアクティブ生成しているとき、ハードウェアは、ピークキャンセルパルスの期間中はビジーである。従って、この期間内にキャンセルする必要があるビーム入力信号における別のピークがあるならば、PCPジェネレータおよびスケーリング/回転ハードウェアの別のセットが必要である。
各ビームのPCPは、個々のビーム信号の大きさに比例してスケーリングされる。例えば、図8に示すデュアルビームの実施形態では、M、Mを現在のサンプル時間インスタンスのビーム信号の大きさとし、W、Wをビーム結合の重みとする。大きさの重み付けされた合計:
Figure 0007083311000002
がピークであり、且つ、W>T+Δ(Tは所定の閾値であり、Δは閾値マージンである)で非常に大きいとみなすならば、ビーム1の入力およびビーム2入力のPCPは、各々、次のようにスケーリングされる。
Figure 0007083311000003
閾値マージンΔの目的は、重要でないピークをバイパスするためであり、
Figure 0007083311000004
は、良好な値であることが分かる。図8に示すように、ビーム1信号およびビーム2信号の各々は、複素ベースバンドチャネルである、すなわち、各チャネルは同相(I)成分および直交(Q)成分を有する。スケーリング/回転ブロック8-7aおよび8-7bは、特に、各チャネルについてPCPの所望の大きさへのスケーリングおよび位相回転を達成するために、各チャネルのI成分およびQ成分を独立してスケーリングするように設計されている。
個々のビーム信号間における過剰な大きさ(すなわち、閾値を超えるビームの大きさの重み付けされた合計の過剰分)の低減の配分、すなわち比例配分の特定の方法を上に示した。いくつかの場合において、マルチビームCFRの実施形態の性能は、個々のビームの大きさが所定のレベル未満には低減されない小信号保護方法によって向上させることができる。
例えば、2ビームのシナリオでは、L、Lはそのような小信号保護レベルを示し、Z、Zは、各々、ビームの大きさおよび保護レベルの小さい方であるとする。
Figure 0007083311000005
次に、小信号保護PCPスケーリングファクタは、次の通りである。
Figure 0007083311000006
ここで、
Figure 0007083311000007
は、小信号保護レベルを考慮した後の結合された大きさの閾値である。経験的に、
Figure 0007083311000008
は、良好な性能を示す小信号保護レベルであることが分かる。
大きさの過剰分(すなわち、W-T)の低減は、個々のビーム信号に分配されている。この分配は、個々のビーム信号の大きさがレベルL、L未満には低減させないように行われる。次に、残りの低減量は、比例的に(個々のビーム信号間においてビーム入力の大きさM、Mに比例して)分配される。
PCPの大きさは、スケーリングファクタS’、S’で乗算され、スケーリングされた補正信号が形成される。
上記のマルチビームCFR-PCアーキテクチャは、大部分のピーク検出器の実装に適用可能であるが、直接隣接ピーク検出器を説明する実施形態が、以下の議論で想定される(ただし、ピークキャンセルアプローチは、適切な適応を伴えば、他のピーク検出器実装にも適用可能であろう)。直接隣接アプローチによれば、次のようになる。
Figure 0007083311000009
ここで、添え字はサンプル時間インスタンスを示す。従って、Wは、その前後の隣接要素よりも大きい場合に、ピークとみなされる。従来のCFR-PCモジュールと同様、上記のステップの複数のイテレーションが実行されて、合成信号においてほとんどのピークが確実にキャンセルされてもよい。
マルチビームCFRプロセスからのビーム1出力およびビーム2出力の出力信号は、もはや独立していない。実際には、出力信号は相補的な方法で依存する。すなわち、ある信号の大きさが小さい場合、他の信号を大きくすることができる。ビーム信号が合算される場合に所望のPAPR目標を満たすというマルチビームCFR特性を生じさせるのは、正にこの相補的依存関係である。
図8におけるジョイントピーク検出・低減ブロックの出力において、ビーム信号の合計は、所望のPAPR目標を満たす。しかし、個々のビーム信号のPAPRが、合成信号のPAPRと同じである必要はない。個々のビームおよび合成信号の両方について、PAPR設計制約が存在するいくつかの応用において、従来のシングルビームCFRモジュールは、図12に記載するように、マルチビームCFRモジュールの前に追加することができ、ここでは、個別+マルチビームCFR動作の複数のイテレーションが示されている。一般に、個別CFRステージは、マルチビームCFRステージとは異なる閾値およびイテレーション回数を有していてもよい。
図9は、繰り返しクリッピング・フィルタリングを用いるマルチビームCFRシステムにおけるジョイントピーク検出・低減ブロック4-1の機能ブロック図を示す。入力ビーム信号はモジュールに与えられ、CFRされた後のビーム信号はモジュールから出力される。モジュールに与えられた、2つの入力ビーム:ビーム1入力およびビーム2入力の各々のIおよびQは、クリップブロック9-3aおよび9-3bにつなげられる。クリップブロックは、所定の閾値を超えるピークをクリップする。同時に、2つの入力の大きさが座標変換ブロック8-1aおよび8-1bによって抽出され、大きさMおよびMが各々生成される。次に、これらの大きさは、乗算器8-3aおよび8-3bにおいて、重み付け関数WおよびWによって各々スケーリングされる。加算器8-4は、得られた2つの大きさを加算し、その結果の出力を閾値検出器9-1に与える。マルチビームピーク検出器9-1では、ビーム信号の大きさの加重和が、所定の閾値と比較される。閾値検出器9-1は、得られた出力を所定の閾値と比較し、ビーム1に関連付けられたクリップブロックについてのノード9-2aに、ビーム閾値Tを割り当て、ビーム1に関連付けられたクリップブロックについてのノード9-2bに、ビーム閾値Tを割り当てる。なお、上記の場合のように、W、Wがその情報を必要とするモジュールに既知であると仮定する。図は、主要なデータ経路を示し、制御パスの依存関係の一部を示していない。
クリッピング閾値の比例配分について、TおよびTは次のように設定される。重み付けされ、結合された大きさ:
Figure 0007083311000010
が閾値T以下であるならば、クリップブロックはアクティブにされない。そうでない場合は、閾値TおよびTは、以下のように設定される。
=MT/W
=MT/W
クリップブロック9-3aおよび9-3bは、各々が受け取ったビーム閾値に従ってビーム入力信号をクリップする。ピークをクリップした後、ビーム信号のスペクトルは広がり、伝送チャネルの帯域幅を超えることになるであろう。ビーム信号を元の帯域幅に戻すために、フィルタリングステップが適用される。従って、ビーム入力信号がクリップされた後、次のフィルタ9-4aおよび9-4bがビーム入力信号をフィルタリングする。フィルタの実装は、設計上の選択である。典型的には、図15における15-1aに類似するパルス整形フィルタとなるであろう。クリップブロックのブロックシーケンスとそれに続くフィルタブロックは、CFR補正の1回のイテレーションに対応する。クリッピングおよびフィルタリングの1回のイテレーション後に得られる信号は、ビーム1出力およびビーム2出力の各々で利用可能である。
元のピークよりも低い程度ではあるが、フィルタリングにより信号ピークが再現される場合がある。従って、クリッピングおよびフィルタリングが繰り返し適用することで、スペクトル広がりを最小限に抑えつつ、ピークを低減することができることが分かった。図9に示すように、クリッピングおよびフィルタリングの1サイクルを用いることができるが、一般的に、ピーク低減または歪み性能が低くなるであろう。従って、実際には、上記のステップの複数回のイテレーションが典型的に実行される。繰り返しクリッピング・フィルタリングの詳細については、J.Armstrongの「Peak-to-average power reduction for OFDM by repeated clipping and frequency domain filtering」(ELECTRONICS LETTERS,Vol.38,No.5,2002年2月)を参照されたい。
図10は、ハードクリッピングを採用するマルチビームCFRを含むジョイントピーク検出・低減モジュール4-1の実施形態を示す。入力ビーム信号はモジュールに与えられ、CFRされた後のビーム信号はモジュールから出力される。モジュールに与えられた、2つの入力ビーム:ビーム1入力およびビーム2入力の各々のIおよびQは、クリップブロック9-3aおよび9-3bにつなげられる。クリップブロックは、所定の閾値を超えるピークをクリップする。同時に、2つの入力の大きさが座標変換ブロック8-1aおよび8-lbによって決定され、大きさMおよびMが各々生成される。次に、これらの大きさは、乗算器8-3aおよび8-3bにおいて、重み付け関数WおよびWによって各々スケーリングされる。加算器8-4は、得られた2つの重み付けされた大きさを加算し、その結果の出力を閾値検出器9-1に与える。マルチビームピーク検出器9-1では、ビーム信号の大きさの加重和が、所定の閾値と比較される。閾値検出器9-1は、得られた出力を所定の閾値と比較し、ビーム1に関連付けられたクリップブロック9-3aについてのノード9-2aに、ビーム閾値Tを割り当て、ビーム1に関連付けられたクリップブロック9-3bについてのノード9-2bに、ビーム閾値Tを割り当てる。クリップブロック9-3aおよび9-3bは、各々が受け取ったビーム閾値に従ってビーム入力信号をクリップする。クリップブロックの単一のブロックシーケンスは、CFR補正の1回のイテレーションに対応する。ハードクリッピングの1回のイテレーション後に得られる信号は、ビーム1出力およびビーム2出力の各々で利用可能である。
従来のシングルビームCFRモジュールを用いることが有用である応用例では(例えば、全体的な実装労力を低減するため、または、既存のモジュールの特定の属性を活用するため)、マルチビームCFRモジュールは、シングルビームCFRモジュール周辺のカスタムロジックを提供することで、実現されてもよい。そのようなアーキテクチャを図11Aに示す。この2ビームの例では、各々W、Wによって重み付けされている可能性があるビーム1信号およびビーム2信号の大きさが合算されて、従来のシングルビームCFRモジュールへの入力を形成する。その後、従来のシングルビームCFRモジュールの出力は、個々のビームの信号の大きさを形成するために用いられる。各ビームについて、(適切な遅延の後で)ビームの元の位相と共に、変更されたビーム毎の大きさが、ビーム毎のCFRされた信号のI成分およびQ成分を再構成するために用いられる。例えば、従来のCFRモジュールは、シングルビーム繰り返しクリッピング・フィルタリングCFRモジュール、または、シングルビームピークキャンセルCFRモジュールであってもよい。
図11Aは、組込みシングルビームCFR法も採用するマルチビームCFRを含むジョイントピーク検出・低減モジュール4-1の実施形態を示す。入力ビーム信号はモジュールに与えられ、CFRされた後のビーム信号はモジュールから出力される。モジュールに与えられた、2つの入力ビーム:ビーム1入力およびビーム2入力の各々のIおよびQは、座標変換ブロック8-1aおよび8-1bにつなげられる。座標変換ブロックは、入力を位相P、Pおよび大きさM、Mの成分に変換する。位相成分PおよびPは、遅延ブロック11-5aおよび11-5bによって各々遅延される。遅延ブロック11-5aおよび11-5bが、シングルビームCFRモジュール11-1および大きさ分配器モジュール11-2の処理レイテンシを扱うことで、遅延相P、PおよびCFRされた大きさM、Mが、同期された時間のインスタンスで、座標変換モジュール8-lc、8-Idに届く。次に、これらの大きさは、乗算器8-3aおよび8-3bにおいて、重み付け関数WおよびWによって各々スケーリングされる。加算器8-4は、得られた2つの大きさを加算し、その結果の出力をシングルビームCFR11-1に与える。マルチビームピーク検出器では、ビーム信号の大きさの加重和が、所定の閾値と比較される。
シングルビームCFRブロック11-1は、ハードクリッピング(HC)、繰り返しクリッピング・フィルタリング(ICF)、ピークキャンセル(PC)等の、代替的な既知のピーク低減方法に置き換えてもよい。シングルビームCFRブロック11-1の出力は、大きさ分配器ブロック11-2へ入力としてつなげられる。大きさ分配器ブロック11-2は、出力ノード11-3aおよび11-3bにおいて別々の大きさの波形を生成する。これらの出力における波形は、元の入力ビーム1およびビーム2の値の振幅に比例して変化する。図示しないが、W、Wがモジュールに既知であると仮定する。座標変換ブロック8-1cは、ビーム1に関連付けられた、位相PとCFRされた大きさMとを結合して、ビーム1出力を生成する。座標変換ブロック8-1dは、ビーム2に関連付けられた、位相P2とCFRされた大きさM2とを結合して、ビーム2出力を生成する。
図11Aにおいて、この実施形態の大きさ分配器は、上記のものと同様、ビームの各々に比例してCFRされた合計の大きさを分配する。M、Mをビーム1、2の元の大きさとし、Cを従来のシングルビームCFRモジュールの出力であるとする。この場合、ビーム1、2の修正された大きさは、次の通りである。
M’=MC/(W+W) (9)
M’=MC/(W+W) (10)
(なお、図において明示しないが、M、M、およびW+Wは、大きさ分配器11-2への入力として与えられる必要がある。)
別の例として、保護レベルL、Lを用い、小信号保護方法を採用することを考える。この場合、修正された大きさは、次の通りである。
Figure 0007083311000011
ここで、次の通りである。
Figure 0007083311000012
図11Bは、フェーズドアレイの複数のビーム入力の各々から同時に選択された処理サンプルの1回のイテレーションを示すフローチャート11-6を示す。このフローチャートは、マルチビームCFRプロセスの全体的なプロセスフローの単純化されたサブセットフローを表す。図示された実施形態は、複数のビーム入力からのサンプルがPAPRを低減するためにどのように処理されるかを示す。開始すると(11-7)、フェーズドアレイから送信される複数のビーム入力が、受信される(11-8)。複数のビームの各々の大きさがサンプリングされる(11-9)。
記載された実施形態は、デジタル領域で動作する。一般的には、送信信号は、基地局で生成され、信号生成時に、既にデジタル領域にある。サンプリング周波数は、例えばLTE規格等の通信規格で規定されており、サンプリング周波数は、対応するアナログ信号が忠実に再現されることを確実にするために、ナイキスト周波数よりも大きいであろう。
これらのサンプリングされた大きさは、1に等しくない重みで重み付けされている可能性があり、合算されて、合成信号の大きさを形成する(11-10)。判断ブロック11-11は、合成信号の大きさが所定の閾値値よりも大きいか否かを判断するように構成されている。合成信号の大きさが所定の閾値よりも小さい場合、フローはコレクタ11-18を経て、終了11-19に進む。一方、合成信号の大きさが所定の閾値よりも大きい場合、低減技術11-12が、少なくとも3つの異なる低減方法:繰り返しクリッピング・フィルタリング11-13、ハードクリッピング11-14、またはピークキャンセル11-16から選択される。一般的には、この選択は、設計プロセス中に予め行われる。ひとたび技術が選択されると、選択された技術が実装され、すべてのサンプルに適用される。様々な技術を選択する基準は、実装の複雑さ、処理レイテンシ、およびピーク低減性能である。別の方法として、どの技術がその時点で環境の条件に最も適しているかに応じて、リアルタイムで選択がなされてもよい。
繰り返しクリッピング・フィルタリング11-13は、合成信号の大きさが所定の閾値を超える量に比例して、複数のビーム入力をクリップし、その後、信号をフィルタリングする。ハードクリッピング11-14は、合成信号の大きさが所定の閾値を超えた量に比例して、複数のビーム入力をクリップするのみである。ピークキャンセル11-16方法については、判断ブロック11-15が、サンプルが極大値であるか否かを判断するように構成されている。サンプルが極大値でない場合、フローはコレクタ11-18に移行し、プロセスは終了11-19となる。そうでない場合、ピークキャンセル11-16方法は、事前記録されたピークキャンセルパルス(PCP)を少なくとも現在のサンプルに適用し、このサンプルの値を低減させる。コレクタ11-17は、3つの選択方法から選択された1つの技術の結果を、コレクタ11-18に送る。フローは、コレクタ11-18を経て、終了11-19に進み、CFRプロセスの1回のイテレーションを完了する。
図12は、ジョイントピーク検出・低減ブロックの2回のイテレーションの前に追加された従来のシングルビームCFRモジュールの2回のイテレーションを採用するモジュールのブロック図12-1を示す。シングルビームCFRモジュールは、マルチビームCFRモジュールの前に追加され、図14に示すように、結合PAPRと個々のPAPRが各々の設計目標を満たすようにする。シングルビームまたはマルチビームのCFRの複数のイテレーションが用いられて、殆どのピークが確実に低減され(ハードウェア処理能力が限られているために、1回のイテレーションは、ピークの一部を低減するのみであることがある)、または、ピーク低減対信号歪みの点でより優れたパフォーマンスが達成される。シングルビームまたはマルチビームのCFRのイテレーションの回数は、典型的には、オフラインのテスト信号におけるシミュレーションに基づいて、推測的に決定される。典型的には、そのようなイテレーションの回数は、2から4の範囲である。図12では、シングルビームCFRの2回のイテレーションおよびマルチビームCFRの2回のイテレーションが、単に一例として示されている。イテレーションの回数は、他の設計では変更されてもよい。
一般的に、個別のCFRステージは、イテレーションの各々について、異なる閾値を有していても良いし、同一の閾値を有していてもよい。同様に、マルチビームCFRブロックは、イテレーションの各々について、異なる閾値を有していても良いし、同一の閾値を有していてもよい。更に、シングルビームCFRブロックおよびジョイントピーク検出・低減ブロックでは、ハードクリッピング(HC)、繰り返しクリッピング・フィルタリング(ICF)、またはピークキャンセル(PC)のいずれかの方法を用いることができる。
図13は、標準のE-TM3.1(64QAM)テスト波形を用いて、2つのビームを用いる20MHzのLTEダウンリンクチャネルにおいて評価されたジョイントピーク検出・低減ブロックの4回のイテレーションを用いて、LTE信号における信号ピークの確率を表すグラフ13-1を示す。繰り返しクリッピング・フィルタリングを用いるマルチビームCFRが用いられた。図13に示すように、グラフに示す結果は、シングルビームCFRブロックが経路から除去されている一方、直列に接続された4つのジョイントピーク検出・低減ブロックを用いることに対応する。結合PAPR13-4は、平均電力より8dB高い。しかし、シングルビームCFRブロックは用いられていないので、個別のビームについての個々のPAPR13-2および13-3は、平均電力より約10.5dB高い、つまり、結合の結果よりも約2.5dB高い。なお、結合PAPRは8dBの設計目標を満たしている。しかし、個別のCFRブロックが用いられていないので、個々のPAPRは8dBの設計目標を達成しなかった。
図14は、標準のE-TM3.1(64QAM)テスト波形を用いて、2つのビームを用いる20MHzのLTEダウンリンクチャネルにおいて評価された、シングルビームCFRブロックの4回のイテレーションと、それに続くジョイントピーク検出・低減ブロックの4回のイテレーションを用いて、LTE信号における信号ピークの確率を表すグラフ14-1を示す。図12に示すように、グラフに示す結果は、直列に接続された4つの接合ピーク検出・低減ブロックに直列に接続された4セットのシングルビームCFRブロックの場合の結果に対応する。結合PAPR14-3は平均電力より8dB未満高く、個々のPAPRは平均電力より約8dB高い。個別ビームおよびマルチビームの各々を4回繰り返す、結合された(個別+)マルチビームCFRシステムを用いることで、全ての結果のPAPRは、約8dBに低減される。なお、個別のCFRブロックがマルチビームCFRブロックと組み合わせて用いられると、結合PAPRと個々のPAPRの全てが8dBの設計目標を満たす。
(個別+)マルチビームCFRシステム12-1は、図15の実施形態に示すように、典型的なDFE(デジタルフロントエンド)アーキテクチャに統合してもよい。RFデジタルフロントエンド(DFE)システムは、(個別+)マルチビームCFRシステム12-1が、送信パルス整形フィルタ15-1aおよび15-1bおよび補間器15-2aおよび15-2bの後であり、且つ、デジタルアナログ変換器(D/A)、位相回転、およびアップコンバートブロック15-3aおよび15-3bの前に適用されることを示す。パルス整形フィルタは、信号帯域幅がチャネル帯域幅内に留まるように送信信号の過剰なスペクトル成分を除去するために用いられる。補間器は、送信信号のサンプリングレートを上げるために用いられる。サンプリングレートをより高くすることが、デジタルアナログ変換プロセスで役立つ。
(個別+)マルチビームCFRシステム12-1の代替構成には、1つまたはそれ以上のジョイントピーク検出・低減ブロックおよび/または1つまたはそれ以上のシングルビームCFRブロックとそれに続く1つまたはそれ以上のジョイントピーク検出・低減ブロックが含まれてもよい。ビーム入力は、パルス整形フィルタ15-1aおよび15-1bにつなげられる。パルス整形フィルタからの信号は、補間器15-2aおよび15-2bにつなげられ、その出力は、(個別+)マルチビームCFRシステムに与えられる。(個別+)マルチビームCFRシステムからの出力信号は、D/A変換され、回転され、スケーリングされた後、加算器3-6に与えられる前に、アップコンバートされる(15-3aおよび15-3b)。最後の送信器処理ステップにおいて、異なるビーム信号は、電力増幅器3-8を通る前に合算される。
図16Aは、シングルビームCFRブロックの2回のイテレーションとそれに続くジョイントピーク検出・低減ブロックの2回のイテレーションを含む図12に示されるシステムのLTE信号の、第1のビーム入力信号の波形16-2と出力波形16-3とを表示する時間領域プロット16-1を示す。結果は、標準のE-TM3.1(64QAM)テスト波形を用いて、2つのビームを用いる20MHzのLTEダウンリンクチャネルで評価される。出力波形16-3は、個別の所定の閾値2-4にちょうど一致する。なお、ビーム1入力信号の大きさは閾値を超え、対応する出力信号の大きさ16-3は、処理後、閾値未満である。
図16Bは、シングルビームCFRブロックの2回のイテレーションとそれに続くジョイントピーク検出・低減ブロックの2回のイテレーションを含む図12に示されるシステムのLTE信号の、第2のビームの波形16-4と出力波形16-6とを表示する時間領域プロット16-4を示す。結果は、標準のE-TM3.1(64QAM)テスト波形を用いて、2つのビームを用いる20MHzのLTEダウンリンクチャネルで評価される。出力波形16-6は、個別の所定の閾値2-4より低い。なお、ビーム2入力信号の大きさは、最初は閾値未満であり、対応する出力信号の大きさは、処理後も依然として閾値未満である。
図16Cは、シングルビームCFRブロックの2回のイテレーションとそれに続くジョイントピーク検出・低減ブロックの2回のイテレーションを含む図12に示されるシステムのLTE信号の、2つのビームを結合した波形(点線)と出力波形(実線)とを組み合わせた波形を表示する時間領域プロット16-11を示す。結果は、標準のE-TM3.1(64QAM)テスト波形を用いて、2つの結合されたビームを用いる20MHzのLTEダウンリンクチャネルで評価される。出力波形のピーク16-8および16-10は、結合された閾値7-3より低い。なお、結合されたビーム入力信号の大きさは閾値を超え、対応する出力信号の大きさは、処理後、閾値未満である。
個別+マルチビームPC-CFR法の性能は、標準のE-TM3.1(64QAM)、E-TM3.2(16QAM)、およびE-TM3.3(QPSK)テスト波形を用いて、2つのビームを用いる20-MHzのLTEダウンリンクチャネルで評価される。ACLRおよびEVMは、LTE規格に従って測定され、PAPRは0.0001%で測定される。結果は、図17に示す表に要約されている。評価は、MATLABの浮動小数点モデルに基づいており、±値は、独立した10ミリ秒のテスト信号の100組を超える標準偏差に対応する。ACLR目標は70dBcを超えるように設計されており、個別のPAPR目標と所望のPAPR目標はいずれも8dBに設定されている。合成信号について、フェーズドアレイアプリケーションが想定され、PAPR統計は24個のアンテナ素子に引き継がれる。各素子では、一律にランダムな位相回転が2つのビーム信号に適用され、その後、2つのビーム信号は合算される。全ての場合において、結果として生じるEVMは、規格に規定されている対応するLTEのEVM限界の半分未満であることが分かる。
個別+マルチビームPC-CFR方式のハードウェア実現は、ミッドレンジFPGAデバイスをターゲットとする16ビット固定小数点を用いるVHDLを用いて実装されている。VHDLのRTLシミュレーションの結果は、MATLABの浮動小数点モデルとかなり一致する。実装されたハードウェアモジュールのレイテンシは6.2μsであり、FPGAの使用率は、デバイス資源の約10%を占める。
本願で開示されているジョイントピーク検出・低減ブロックのシステムおよび方法は、汎用または専用のコンピュータまたはソフトウェアを介してプログラムされた他のプログラム可能なハードウェア装置、またはハード配線を介して「プログラム」されたハードウェアまたは機器またはこの2つの組み合わせに実装することができる。ハードウェアのいくつかの例には、FPGA、フルカスタム設計チップ、DSP、組み込みプロセッサなどが含まれるが、これらに限定されない。コンピュータ読み取り可能な媒体はコンピュータプログラムでコード化されることが可能で、その結果、1つまたはそれ以上のプロセッサによってプログラムが実行されると、ジョイントピーク検出・低減の1つまたはそれ以上の方法を実行することができる。
本願に開示されているジョイントピーク検出および低減方法(すなわち、マルチビームCFR法)のアルゴリズムは、汎用または専用のコンピュータまたはソフトウェアによってプログラムされた他のプログラム可能なハードウェア装置として、または、ハード配線を介して「プログラム」されたハードウェアまたは機器またはこの2つの組み合わせとして、実装されてもよい。「コンピュータ」(例えば、オンラインアクセスデバイス)は、単一の機械またはプロセッサを含むことができ、または、(1つの場所または互いに離れた複数の場所に位置する)複数の相互作用する機会またはプロセッサを含むことができる。
コンピュータ読み取り可能な媒体は、マルチビームCFRアルゴリズムを実行するコンピュータプログラムでコード化することができ、その結果、1つまたはそれ以上のコンピュータによってマルチビームCFRプログラムが実行されると、本願に開示されている方法の1つまたはそれ以上の方法を、1つまたはそれ以上のコンピュータに実行させることができる。適切な媒体には、ハードドライブ、サムドライブ、フラッシュメモリ、光学媒体、磁気媒体、半導体媒体、または任意の将来的な記憶装置の代替物を共に動作させるソフトウェアモジュールの、ネットワークベースの、または、インターネットベースの、または、他の分散型の記憶装置のような、一時的または永久の記憶装置、または、置換可能な媒体を含むことができる。そのような媒体は、上記の情報を記録するデータベースにも用いることができる。これらのコンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、またはコードとしても知られている)は、プログラム可能なプロセッサ用の機械命令を含み、高度な手続きおよび/またはオブジェクト指向プログラミング言語、および/または、アセンブリ/機械言語で実装することができる。
マルチビームCFRの方法および装置の実施形態を、2つまたは3つのビーム入力を結合することにより説明したが、当業者であれば、必要に応じて、説明された原理と同じものを用いて任意の複数のビーム入力を結合するために本開示を用いることができることは、認識するであろう。一般的に、任意のビームの任意の電力増幅器へのデータ経路は、位相回転に加えて可変利得を通ってもよい。可変利得は、回転不変性の性質に影響しない。信号の1つに適用される可変利得は、同じ利得をその1つの信号の平均電力に適用するのと同様、同じ利得をピーク電力に適用させる。従って、所望のPAPRは、可変利得を経た後、可変利得の大きさとは独立した定数のままである。また、アップコンバート動作(ベースバンド信号を無線周波数信号に変換)は、位相回転前に行われても、位相回転後に行われてもよい。更に、コンピュータ読み取り可能な媒体をコンピュータプログラムでコード化することができ、その結果、1つまたはそれ以上のプロセッサによってプログラムが実行されると、位相および振幅を調整する1つまたはそれ以上の方法を実行することができる。これらの原理に従って、当業者は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく多くの変更を考え出すことができる。例えば、時分割多元接続(TDMA)、周波数分割多元接続(FDMA)、符号分割多元接続(CDMA)、直交周波数分割多重(OFDM)、超広帯域(UWB)、Wi-Fi、WiGig、ブルートゥース(登録商標)等の通信技術を用いて、ネットワークおよび可搬システムが無線で情報交換することができる。通信ネットワークは、電話ネットワーク、IP(インターネットプロトコル)ネットワーク、ローカルエリアネットワーク(LAN)、アドホックネットワーク、ローカルルータ、およびその他可搬システムを含むことができる。「コンピュータ」は、単一の機械またはプロセッサを含むことができ、または、(1つの場所または互いに離れた複数の場所に位置する)複数の相互作用する機械またはプロセッサを含むことができる。

Claims (23)

  1. 複数の複素ビーム信号を処理するフェーズドアレイに用いるためのシステムであって、当該フェーズドアレイは、前記複数の複素ビーム信号の各複素ビーム信号を、それぞれ異なる特定の方向に増強された対応する複数の別個のビームとして生成するものであって、
    複数の入力および対応する複数の出力を有するクレストファクタ低減(CFR)モジュールを備え、
    前記CFRモジュールは、前記複数の複素ビーム信号に対して所定の時間にクレストファクタ低減を実行することで、複数のCFR調整信号を生成するように構成されており、
    前記複数の入力の各入力は、前記複数の複素ビーム信号のうち対応する1つの異なる複素ビーム信号を受信するためのものであり、
    前記複数の出力の各出力は、前記複数の入力のうち1つの異なる入力に対応し、前記複数のCFR調整信号のうち1つの異なるCFR調整信号を出力するためのものであり、
    前記複数のCFR調整信号の各CFR調整信号は、前記複数の複素ビーム信号のうち1つの異なる複素ビーム信号に対応するとともに、前記フェーズドアレイにより生成される前記複数の別個のビームのうちの1つの異なるビームに対応しており、
    前記CFRモジュールにおいて前記複数の複素ビーム信号に対して前記所定の時間に実行される前記クレストファクタ低減は、前記所定の時間における前記複数の複素ビーム信号のうちの2つ以上の複素ビーム信号の大きさの加重和に基づくことを特徴とするシステム。
  2. 前記2つ以上の複素ビーム信号の大きさの前記加重和は、互いに異なる重みを含む、請求項1に記載のシステム。
  3. 前記CFRモジュールは、前記複数の複素ビーム信号のうちの前記2つ以上の複素ビーム信号の大きさの前記加重和を用いることで、前記複数の複素ビーム信号のうちの前記複素ビーム信号の前記大きさを低減させる時を決定するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
  4. 前記CFRモジュールの前記複数の出力に接続された送信器を更に備え、
    前記送信器は、
    複数のアップコンバートモジュールであって、各々が前記CFRモジュールの前記複数の出力のうち対応する異なる1つの出力に電気的に連結され、前記出力について前記CFR調整信号から得られる信号をアップコンバートするためのものと、
    前記複数のアップコンバートモジュールからの信号を結合して合成信号を生成するコンバイナと、
    前記コンバイナの出力に電気的に連結された電力増幅器と
    を備える、請求項に記載のシステム。
  5. 前記電力増幅器は、出力を有し、
    前記システムは、前記電力増幅器の出力に電気的に接続されたアンテナを更に備える、請求項に記載のシステム。
  6. 前記複数の複素ビーム信号に対して実行される前記クレストファクタ低減は、前記複数の複素ビーム信号のうちの全ての複素ビーム信号の大きさの加重和に基づく、請求項に記載のシステム。
  7. 前記複数の複素ビーム信号のうちの全ての複素ビーム信号の大きさの加重和は、前記複数の複素ビーム信号のうちの全ての複素ビーム信号の前記大きさの和である、請求項に記載のシステム。
  8. 前記CFRモジュールは、複数の座標変換モジュールを備え、
    前記複数の座標変換モジュールの各座標変換モジュールは、前記複数の入力のうち1つの異なる対応する入力に連結され、前記入力を介して受け付けられる複素ビーム信号の大きさを特定するためのものである、請求項に記載のシステム。
  9. 前記CFRモジュールは、複数の乗算器を更に備え、
    前記複数の乗算器の各乗算器は、1つの対応する異なる座標変換モジュールに連結される、請求項に記載のシステム。
  10. 前記CFRモジュールは、前記複数の座標変換モジュールの各々の座標変換モジュールから得られた信号を加算して、前記複数の複素ビーム信号のうち全ての複素ビーム信号の前記大きさの前記加重和を生成する加算器を更に備える、請求項に記載のシステム。
  11. 前記CFRモジュールは、前記複数の複素ビーム信号のうち全ての複素ビーム信号の前記大きさの前記加重和が所定の閾値を超える時を検出するためのピーク検出器を更に備える、請求項に記載のシステム。
  12. 前記CFRモジュールが実行するように構成されたクレストファクタ低減は、ハードクリッピングを含む、請求項に記載のシステム。
  13. 前記CFRモジュールが実行するように構成されたクレストファクタ低減は、ピークキャンセルを含む、請求項に記載のシステム。
  14. 前記CFRモジュールが実行するように構成されたクレストファクタ低減は、繰り返しクリッピングを含む、請求項に記載のシステム。
  15. フェーズドアレイシステムにおいて複数の複素ビーム信号を処理する方法であって、当該フェーズドアレイは、前記複数の複素ビーム信号の各複素ビーム信号を、それぞれ異なる特定の方向に増強された対応する複数の別個のビームとして生成するものであって、
    当該方法は、
    所定の時間に、当該所定の時間における前記複数の複素ビーム信号の各複素ビーム信号の大きさを特定すること;
    前記所定の時間における前記複数の複素ビーム信号の前記大きさの加重和を計算すること;および、
    前記複数の複素ビーム信号に対してクレストファクタ低減を実行することで、対応する前記所定の時間における複数のCFR調整信号を生成すること、
    を含み、ここで、
    前記所定の時間における前記複数の複素ビーム信号に対するクレストファクタ低減は、前記複数の複素ビーム信号の前記大きさについて計算された前記加重和に基づいて実行され、
    前記複数のCFR調整信号の各CFR調整信号は、前記複数の複素ビーム信号のうちの1つの異なる複素ビーム信号に対応し、かつ、フェーズドアレイにより生成された前記複数の別個のビームのうちの1つの異なるビームに対応する、
    ことを特徴とする方法。
  16. 前記複数のCFR調整信号の前記各CFR調整信号を変換して複数の処理信号を生成すること;および、
    複数の処理された信号を結合することで、合成送信信号を生成すること、
    を更に含む、請求項15に記載の方法。
  17. 前記合成送信信号を無線送信用アンテナに送ること、
    を更に含む、請求項16に記載の方法。
  18. クレストファクタ低減を実行することは、前記大きさの前記加重和を用いて、前記複数の複素ビーム信号のうちいずれかの複素ビーム信号の大きさを低減する時を決定すること、を含む、請求項15に記載の方法。
  19. 前記大きさの前記加重和における1つまたはそれ以上の重みは1に等しくない、請求項15に記載の方法。
  20. 前記複数の複素ビーム信号に対してクレストファクタ低減を実行することは、前記複数の複素ビーム信号のうち全ての複素ビーム信号の前記大きさの前記加重和が所定の閾値を超える時を検出することを含む、請求項15に記載の方法。
  21. 前記複数の複素ビーム信号に対してクレストファクタ低減を実行することは、ハードクリッピングを含む、請求項15に記載の方法。
  22. 前記複数の複素ビーム信号に対してクレストファクタ低減を実行することは、ピークキャンセルを含む、請求項15に記載の方法。
  23. 前記複数の複素ビーム信号に対してクレストファクタ低減を実行することは、繰り返しクリッピングを含む、請求項15に記載の方法。
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