次に、本発明を具体化した実施形態を図面に基づき説明する。ここでは、扇板状のワークWを用いて円錐台筒状の漏斗部品を成形する場合を例として説明する。
また、以下の説明では、方向特定のために「前後」「左右」の文言を使用するが、下記の実施形態においては、曲げ加工装置と対峙する図1、図15の状態を正面視とし、これらを基準に前後方向と左右方向とを規定している。ただし、これらの文言は説明の便宜上用いただけのものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
図1~図6に示す第1実施形態の曲げ加工装置10は、雌型12および雄型11の協働によって扇板状のワークWを曲げ加工する、いわゆるプレス式のものである。曲げ加工装置10は、ワークWを挟圧する雌型12および雄型11を備えている。
第1実施形態では、工場等の建屋内に設置した基台13上に、左右方向にスライド可能なスライド板14が搭載されている。基台13上部の前後両側に設けた左右長手のガイドポール16に、スライド板14下面の前後両側に設けたスライダ部15をスライド可能に被嵌することによって、スライド板14が前後両ガイドポール16の長手方向に沿って左右スライド可能になっている。
基台13上面のうちスライド板14を挟んで左側に、左ホルダ支持体17が立設されている。左ホルダ支持体17のうちスライド板14に対峙する右側部には、上下長手(縦長)の雄型11を着脱可能に保持する雄型ホルダ18が設けられている。すなわち、第1実施形態の雄型11は、雄型ホルダ18および左ホルダ支持体17によって上下長手の姿勢で、基台13上に固定的に配置されている。
スライド板14上には、右ホルダ支持体19が立設されている。右ホルダ支持体19のうち左ホルダ支持体17に対峙する左側部には、上下長手(縦長)の雌型12を着脱可能に保持する雌型ホルダ20が設けられている。すなわち、第1実施形態の雌型12は、雌型ホルダ20および右ホルダ支持体19によって上下長手の姿勢で、スライド板14上に配置されている。雌型12は、雄型11に対して接離するように、スライド板14、雌型ホルダ20および右ホルダ支持体19と共に左右スライド可能な可動式になっている。
なお、雌型12と雄型11とが左右両ホルダ支持体17,19の間で相対向した姿勢になっていることは言うまでもない。
基台13上面のうちスライド板14を挟んで右側には、雌型12を左右スライドさせる駆動源として、直動アクチュエータの一例である複動式の油圧シリンダ22が取り付けられている。油圧シリンダ22のシリンダ部分が基台13上面に固定されている。油圧シリンダ22のピストンロッド23は、右ホルダ支持体19に向けて突出している。当該ピストンロッド23(油圧シリンダ22の先端側)に、右ホルダ支持体19が連動連結されている。油圧シリンダ22のピストンロッド23の伸縮動によって、スライド板14および右ホルダ保持ブロック19と共に、雌型12が雄型11に対して接離するように左右スライドする。
図1~図8に示すように、雄型11の下部側には、ワークWを下方から支持して所定ピッチで間欠的に横送りする一対の送りローラ24が前後に並べて配置されている。この場合、左ホルダ支持体17の右側下部に、ベベルギヤ機構(図示省略)を収容したギヤボックス25が取り付けられている。ギヤボックス25の右側部に、前後一対の送りローラ24が片持ち梁状に回転可能に軸支されている。ギヤボックス25の後面側には、送りローラ24対の駆動源である電動モータ26が設けられている。
電動モータ26は、ギヤボックス25内のベベルギヤ機構を介して、送りローラ24対に回転動力を伝達するように構成されている。送りローラ24対は、電動モータ26からギヤボックス25内のベベルギヤ機構を経由した回転動力によって、互いに連動して同一方向に所定ピッチで間欠回転するように構成されている。
第1実施形態では、扇板状のワークWの下円弧WL1が送りローラ24対に上方から載せられる。そして、送りローラ24対によって、ワークWが奥から手前側に所定ピッチで間欠的に送り出される(横送り搬送される)。
第1実施形態の曲げ加工装置10では、扇板状のワークWを送りローラ24対上に載置してから、雌型12をスライド移動させて雄型11に近接させ、雌型12と雄型11とでワークWを挟圧して3点曲げ加工を行う。次いで、雌型12をスライド移動させて雄型11から離反させたのち、送りローラ24対でワークWを1ピッチ分送り出す。そして、再び雌型12をスライド移動させて雄型11に近接させ、雌型12と雄型11とでワークWを挟圧し、以下、1ピッチ分の搬送と挟圧とを交互に繰り返す。このような手順を繰り返すことによって、扇板状のワークWから円錐台筒状の漏斗部品が成形される。
図8に示すように、前後一対の送りローラ24は、雄型11の縦長中心線Lを挟んだ前後に等距離Dだけ離して配置されている。このため、扇板状であるワークWの下円弧WL1を送りローラ24対に上方から載置すれば、ワークWにおいて内外周弧WL1,WL2の中心Oを通る半径の線を雄型11の縦長中心線Lに簡単に重ね合わせでき、扇板状のワークWから円錐台筒形状の漏斗部品を成形する曲げ加工精度が高いのである。
図3に示すように、雌型12の下端は、雄型11の下端よりも下側に突出していて、雌型12を雄型11に近接するようにスライド移動させた挟圧状態で、送りローラ24対の直上に位置するように設定されている。すなわち、雌型12および雄型11の挟圧状態において、雌型12の下端は、雄型11の下端よりも送りローラ24対に近接する。このため、雄型11の下端と送りローラ24対の間が離れていても、雌型12の下端側がワークWの下円弧WL1付近を押圧可能であり、ワークWの下円弧WL1付近の曲げ加工精度が確保されている。
雌型12(雌型ホルダ20といってもよい)において雄型11と対峙する箇所にある中央縦溝部21には、雄型11に向けて(左向きに)突出した複数本のダンパー部材27が適宜間隔で上下方向に並べて設けられている。これらダンパー部材27は、ワークWを挟圧前後で押さえ保持するためのものであり、雌型ホルダ20に対してばね(図示省略)の弾性を用いて進退動可能に構成されている。
雌型12と雄型11とでワークWを挟圧する前後は、雌型12が雄型11から離反した状態であっても、ダンパー部材27群がワークWとの当接状態を維持して、雄型11とダンパー部材27群とでワークWを厚み方向に挟持し続けることが可能になっている。すなわち、雌型12と雄型11とでワークWを繰り返し挟圧する場合は、雌型12および雄型11が挟圧状態であっても離反状態であっても、雄型11とダンパー部材27群とでワークWの姿勢が維持される。
図1および図3に示すように、雌型12の上部には、ワークWの上円弧WL2に上方から当接して、送りローラ24対によるワークWの横送りを補助する前後一対の従動ローラ28が高さ位置調節可能に配置されている。この場合、雌型12のうち中央縦溝部21を挟んだ前後外側に、取り付け穴31が上下に適宜間隔で並べて形成されている一方、各従動ローラ28を支持する支持片部29に縦長の長穴30が形成されている。
所定高さ位置の取り付け穴31に支持片部29の長穴30を重ね合わせて、長穴30を介して取り付け穴31に固定ねじ32をねじ込むことによって、従動ローラ28が雌型12に固定される。所定高さ位置の取り付け穴31に支持片部29の長穴30を重ね合わせることで、従動ローラ28のおおまかな高さ位置が設定される。そして、固定ねじ32を少し緩めた状態で長穴21に沿って支持片部29を上下スライドさせることで、支持片部29ひいては従動ローラ28の高さ位置が微調節される。
雌型12と雄型11とでワークWを挟圧する前後は、雌型12が雄型11から離反した状態であっても、従動ローラ28対がワークWの上円弧WL2との当接状態を維持し、送りローラ24対がワークWの下円弧WL1との当接状態を維持する。従動ローラ28対と送りローラ24対とでワークWを半径方向(高さ方向)に挟持し続けることが可能になっている。すなわち、雌型12と雄型11とでワークWを繰り返し挟圧する場合は、雌型12および雄型11が挟圧状態であっても離反状態であっても、雄型11とダンパー部材27群との組合せに加えて、従動ローラ28対と送りローラ24対とでもワークWの姿勢が維持される。
図1~図3に示すように、雌型12および雄型11の周囲には、ワークWの下円弧WL1を下方から支持する複数の支持アーム33が配置されている。各支持アーム33は、雌型および雄型の周囲に立設された縦支柱34と、縦支柱34に高さ位置調節可能に取り付けられた横アーム部35とを備えている。曲げ加工の際は、各支持アーム33の横アーム部35が送りローラ対24で横送り搬送されるワークWの下円弧WL1を下方から支持することによって、ワークWの安定搬送に寄与している。
なお、第1実施形態では、スライド板14のうち雌型12を挟んだ前後両側と、基台13上面のうち左ホルダ支持体17の左側2箇所とに、それぞれ支持アーム33が立設されている。
次に、図9を参照しながら、曲げ加工装置10の油圧回路36および制御構造について説明する。
曲げ加工装置10の油圧回路36は、油圧シリンダ22と、これに作動油タンク37内の作動油を供給する油圧ポンプ38とを備えている。第1実施形態の油圧ポンプ38は、制御手段であるコントローラ42に電気的に接続されたポンプ用電動モータ39の回転動力によって駆動するように構成されている。油圧シリンダ22は、5ポート3位置切換型の切換電磁弁40を介して油圧ポンプ38に接続されている。切換電磁弁40は、コントローラ42に電気的に接続された一対の電磁ソレノイド41を有している。
切換電磁弁40は、コントローラ42からの指令に基づく各電磁ソレノイド41の励磁によって、油圧シリンダ22のピストンロッド23を伸長動させる伸長位置と、ピストンロッド23の動作を停止させる停止位置と、ピストンロッド23を短縮動させる短縮位置とに切換駆動するように構成されている。
コントローラ42には、ポンプ用電動モータ39、送りローラ24対を回転駆動させる電動モータ26、切換電磁弁40における一対の電磁ソレノイド41、曲げ加工装置10全体の電源を入り切り操作する電源スイッチ43、曲げ加工作業を開始させる開始スイッチ44、曲げ加工作業を停止させる停止スイッチ45、曲げ加工装置10各部の作動を強制的に停止させる緊急停止スイッチ46、スライダ板14ひいては雌型12が初期状態(図3参照)にあるか否かを検出する初期位置センサ47、スライダ板14ひいては雌型12の移動量(左右移動限界位置を含む)を検出する移動量検出センサ48等が電気的に接続されている。
なお、コントローラ42は、曲げ加工装置10の操作ボックス(図示省略)に収容されていて、当該操作ボックスに電源スイッチ43、開始スイッチ44、停止スイッチ45および緊急停止スイッチ46等が配置されている。初期位置センサ47や移動量検出センサ48は基台13に配置されている(図1および図3参照)。作動油タンク37、油圧ポンプ38およびポンプ用電動モータ39は基台13下部に配置されている(図1参照)。図1ではポンプ用電動モータ39の図示を省略している。
第1実施形態において、扇板状のワークWから円錐台筒状の漏斗部品を成形する作業は、例えば次のような手順で行われる。すなわち、扇板状のワークWの一端側を送りローラ24対上に載置し、ワークWのセッティングが完了してから、開始スイッチ44をオンにすると、油圧シリンダ22が伸長動して、雌型12が初期状態(図4参照)から離反状態(図5および図6参照)までスライド移動する。
雌型12が離反状態までスライド移動すると、雄型11とダンパー部材27群とによってワークWの厚み方向が挟持され、従動ローラ28対と送りローラ24対とによってワークの半径方向(高さ方向)が挟持される。すなわち、雄型11とダンパー部材27群、ならびに、従動ローラ28対と送りローラ24対によって、ワークWの姿勢が維持される。
次いで、油圧シリンダ22がさらに伸長動して、雌型12が挟圧状態(図7参照)までスライド移動し、雌型12と雄型11とでワークWが挟圧される3点曲げ加工が実行される。
それから、油圧シリンダ22が短縮動して、雌型12が離反状態(図5および図6参照)までスライド移動して戻ると、電動モータ26の回転駆動によって送りローラ24対が互いに連動して同一方向に1ピッチ分回転し、送りローラ24対の回転によってワークWが奥から手前側に1ピッチ分送り出される。
そして、再び雌型12をスライド移動させて雄型11に近接させ、雌型12と雄型11とでワークWを挟圧し(3点曲げ加工を実行し)、以下、扇板状のワークWの他端側に至るまで、1ピッチ分の搬送と挟圧とを交互に繰り返す。その結果、扇板状のワークWが雄型11に巻き付くように円錐台筒状に曲げ加工され、扇板状のワークWから円錐台筒状の漏斗部品が成形されるのである。
上記説明から分かるように、第1実施形態の曲げ加工装置10によって曲げ加工作業を実行すると、1台の曲げ加工装置10だけで、ワークWが雄型11に巻き付くように円錐台筒状に曲げ加工できるから、従来技術のように複数の装置を用いて曲げ加工するといった手間をなくすか減らすことができ、このため、ワークWに対する曲げ加工作業の能率を向上できる。
また、曲げ加工するに際してワークWが雄型11に巻き付いていくから、曲げ加工装置10(基台13)自体でワークWを支持するのを容易に行える。このため、自重でワークWが撓んで変形するのを簡単に防止でき、曲げ加工精度の維持向上に効果が高い。
第1実施形態では、雄型11の下側に、ワークWを下方から支持して所定ピッチで間欠的に横送りする送りローラ24を備えているから、ワークWに対して1ピッチ分の搬送と挟圧とを交互に繰り返すことができ、ワークWに対する曲げ加工作業の能率をより一層向上できる。
さらに第1実施形態では、雌型12が雄型11に対して接離動する可動式に構成されている一方、雄型11が固定式に構成されており、送りローラ24は固定式である雄型11の下側に配置されているから、送りローラ24に対してワークWを安定的に載置でき、送りローラで所定ピッチごとに間欠搬送されるワークWの姿勢を適正に維持して、さらなる曲げ加工精度の維持向上を図れる。
しかも、雄型11には、ワークWを挟圧前後で押さえ保持するダンパー部材27が設けられているから、この点でも、曲げ加工に際してのワークWの姿勢維持に効果が高いのである。
さて、図10には送りローラの別例を示している。当該別例の送りローラ49は、第1実施形態と同様に前後一対あり、それぞれがギヤボックス25の右側部に片持ち梁状に回転可能に軸支されている。各送りローラ49は二つ割り状に構成されていて、ギヤボックス25の右側部から外向きに突出したローラ軸50に取り付けられている。送りローラ49のうち先端側のローラ部49bは、基端側のローラ部49aに向けてばね51付勢されている。その他の構成は、第1実施形態のものと同様である。
別例では、扇板状のワークWの下円弧WL1が各送りローラ49における両方のローラ部49a,49bで挟持される。このため、送りローラ49対によって、ワークWをよりスムーズに(効率よく)横送り搬送できる。
図11にはダンパー部材の別例を示している。第1実施形態におけるダンパー部材27群は、雌型ホルダ20に対してばね(図示省略)の弾性を用いてすべて進退動可能に構成されていたが、これに限らず、一部のダンパー部材52を固定式に構成してもよいし、ダンパー部材52を雌型の前後外側に配置してもよい。図11に示す別例では、ダンパー部材52を雌型12の前後外側に配置した上で、上下中途位置のダンパー部材52が固定式に構成されている。固定式のダンパー部材52は、その突端位置が雌型12の突端と面一状になるように配置されている。その他の構成は、第1実施形態のものと同様である。
図12には、ワークWの曲げ形状を計測する曲げセンサ53を雌型ホルダ20に装着した別例を示している。この場合、雌型ホルダ20の前後両側部に、曲げセンサ53がそれぞれ取り付けられている。当該別例の曲げセンサ53は、接触式の測距センサになっている。曲げセンサ53のセンサ部54は、ラックピニオン機構で進退動するように構成されている。進退モータ55によるピニオンギヤ(図示省略)の回転によって、センサ部54が進退動してワークWに当接し、その進退量からワークWの曲げ形状が計測される。
また、詳細な図示は省略するが、上下長手の雌型12は、雌型ホルダ20に対して、上部側が雄型11に近づくように若干傾斜した姿勢に設定することが可能になっている。このように雌型12の左右傾斜姿勢を調節することによって、ワークWの大きさ等に応じたワークWの曲げ寸法(曲げ角度)を調節・設定できる。
図12に示す別例のように曲げセンサ53を備えると、ワークWの曲げ寸法(曲げ角度)を簡単に把握できるから、例えば初期設定の際に、曲げセンサ53の検出結果を参照しながら、雌型12の押し込み量や雌型12の傾斜角度等を調節・設定することが可能であり、ワークWに対する曲げ加工作業の能率向上に貢献できる。
なお、曲げセンサ53は少なくとも1個あればよい。図12に示す別例の曲げセンサ53は接触タイプのものであるが、例えばレーザー式や赤外線式のような非接触タイプであってもよい。
図13~図18には、本願発明に係る曲げ加工装置の第2実施形態を示している。ここで、第2実施形態以降において、構成および作用が第1実施形態と同じものには、第1実施形態と共通の符号を付してその詳細な説明を省略する。
第2実施形態の曲げ加工装置100は基本的に、第1実施形態のものよりも全体を大型化したものであり、装置大型化に起因して、雌型12を左右スライドさせる複動式の油圧シリンダ22を上下一対備える点等において、第1実施形態のものと相違している。
第2実施形態において、スライド板14は、基台13上に設けた前後一対のガイドレール101に跨って配置されている。スライド板14下面の前後両側に設けたスライダ部15が前後一対のガイドレール101に左右スライド可能に嵌め込まれている。つまり、第2実施形態のスライド板14は、前後一対のガイドレール101に沿って左右スライド可能になっている。
第2実施形態において、雄型11は、雄型ホルダ18によって上下長手の姿勢で、基台13上に固定的に配置されている。雌型12は、雌型ホルダ20および右ホルダ支持体19によって上下長手の姿勢で、スライド板14に支持されている。当該雌型12は、雄型11に対して接離するように、スライド板14、雌型ホルダ20および右ホルダ支持体19と共に左右スライド可能な可動式になっている。
前述の通り、第2実施形態の曲げ加工装置100は、複動式の油圧シリンダ22を上下一対備えている。この場合、基台13上面のうちスライド板14を挟んで右側に、前後一対の支持壁99が立設されている。当該両支持壁99の間に、各油圧シリンダ22のシリンダ部分が上下に並べて固定されている。各油圧シリンダ22のピストンロッド23は、右ホルダ支持体19に向けて突出している。上ピストンロッド23(上油圧シリンダ22の先端側)は、右ホルダ支持体19の上部に連動連結されている。下ピストンロッド23(下油圧シリンダ22の先端側)は、右ホルダ支持体19の下部に連動連結されている。
上下一対の油圧シリンダ22は、互いに連動して伸縮動するように構成されている。上下両油圧シリンダ22のピストンロッド23の伸縮動によって、スライド板14、雌型ホルダ20および右ホルダ支持体19と共に、雌型12が雄型11に対して接離するように左右スライドする。
第2実施形態の右ホルダ支持体19は、下端側を支点にして左右傾動可能に構成されている。このように右ホルダ支持体19ひいては雌型12の左右傾斜姿勢を調節することによって、ワークWの大きさ等に応じたワークWの曲げ寸法(曲げ角度)の調節・設定が可能になっている。
図13~図15に示すように、第2実施形態では、雄型11ではなく雌型12の下部側に、ワークWを下方から支持して所定ピッチで間欠的に横送りする前後一対の下送りローラ108が高さ位置調節可能に配置されている。第1実施形態では1つの電動モータ26で2つの送りローラ24を回転させていたが、第2実施形態では1つの下回転モータ109で1つの下送りローラ108を回転させるように構成されている。
前後一対の下送りローラ108とその駆動機構は、前後対称な構造になっている。この場合、右ホルダ支持体19の前後両側部に、上下長手のラックバー102および固定レール103対が固定されている。ラックバー102を挟んで左右両側に、当該ラックバー102と平行状に延びる上下長手の各固定レール103が位置している。
固定レール103対には、当該固定レール103対に沿って昇降動可能な下案内板104が装着されている。下案内板104の前後外面側には、下昇降モータ105が取り付けられている。下昇降モータ105の回転軸は下案内板104を貫通していて、下昇降モータ105における回転軸の突出部に、ラックバー102のラック歯に噛み合うピニオンギヤ106が固定されている。下昇降モータ105によるピニオンギヤ106の回転によって、下案内板104を固定レール103対に沿って昇降動させるように構成されている。
下案内板104の左端側には、例えばタイミングベルトやギヤ機構等の動力伝達部を内装した下伝動ケース107が取り付けられている。下伝動ケース107の左側部に、下送りローラ108が片持ち梁状に回転可能に軸支されている。下伝動ケース107の右側部には、下送りローラ108の駆動源である下回転モータ109が設けられている。下回転モータ109は、下伝動ケース107内の動力伝達部を介して、下送りローラ108に回転動力を伝達するように構成されている。
各下送りローラ108は、それぞれ対応する下昇降モータ105の回転動力で、固定レール103対に沿って昇降動して高さ位置調節される。また、各下送りローラ108は、それぞれ対応する下回転モータ109の回転動力で、基本的に互いに連動して同一方向に所定ピッチで間欠回転する。このように各下送りローラ108を独立して昇降動および回転可能に構成すると、例えばワークWが下送りローラ108を滑りやすい場合等にも対処して、ワークWの送りピッチを所定に調節・設定することが可能であり、大型のワークWを曲げ加工する場合であっても、その曲げ加工精度を高く維持できる。
雌型12の上部側に、前後一対の上送りローラ114が高さ位置調節可能に配置されている。第2実施形態の上送りローラ114対は、第1実施形態の従動ローラ28を代替するものである。この場合、前後いずれか一方の固定レール103対の上部に、当該固定レール103対に沿って昇降動可能な平面視L型の上案内板110が装着されている。上案内板110の昇降構造は、下案内板104と同様のラックピニオン機構であり、上昇降モータ111によるピニオンギヤ112の回転によって、上案内板110を固定レール103対に沿って昇降動させるように構成されている。
上案内板110の左端側に、動力伝達部を内装した上伝動ケース113が取り付けられている。上伝動ケース113の左側部に、前後一対の上送りローラ114が片持ち梁状に回転可能に軸支されている。上伝動ケース113には、上送りローラ114対の駆動源である上回転モータ115が設けられている。上回転モータ115は、上伝動ケース113内の動力伝達部を介して、上送りローラ114対に回転動力を伝達するように構成されている。
上送りローラ114対は、上昇降モータ111の回転動力で、固定レール103対に沿って昇降動して高さ位置調節される。また、上送りローラ115対は、上回転モータ1115の回転動力で、互いに連動して同一方向に所定ピッチで間欠回転する。
上送りローラ114や下送りローラ108を移動式に構成すると、ワークWの大きさに合わせて、上送りローラ114や下送りローラ108を移動でき、様々なサイズのワークWに対する曲げ加工に対して、曲げ加工装置100を適応させることが簡単に行える。
雌型12の上下中途部には、ワークWの曲げ形状を計測する曲げセンサ119が高さ位置調節可能に配置されている。曲げセンサ119は、例えばレーザー式や赤外線式等の測距センサを採用できる。第2実施形態では、前後いずれか一方の固定レール103対の上部に、当該固定レール103対に沿って昇降動可能なセンサ案内板116が装着されている。センサ案内板116の昇降構造は、上下案内板104,110と同様のラックピニオン機構であり、センサ昇降モータ117によるピニオンギヤ118の回転によって、センサ案内板116を固定レール103対に沿って昇降動させるように構成されている。センサ案内板116の左端側に、曲げセンサ119が取り付けられている。
このように曲げセンサ119を備えると、ワークWの曲げ寸法(曲げ角度)を簡単に把握できるから、例えば初期設定の際に、曲げセンサ119の検出結果を参照しながら、雌型12の押し込み量や雌型12(右ホルダ支持体19)の傾斜角度等を調節・設定することが可能であり、ワークWに対する曲げ加工作業の能率向上に貢献できる。
なお、曲げセンサ119は複数個あっても差し支えない。ワークWの大きさに応じて曲げセンサ119の個数を設定したらよい。右ホルダ支持体19の前後両側に曲げセンサ119を配置することも可能である。この場合、曲げセンサ119とその駆動構造は前後対称な構造にすればよい。また、第2実施形態の曲げセンサ119は非接触タイプのものであるが、接触タイプであってもよい。
上記のような第2実施形態の曲げ加工装置100においても、第1実施形態の曲げ加工装置10と同様の作用効果を奏することは言うまでもない。
図19には、本願発明に係る曲げ加工装置の第3実施形態を示している。第2実施形態の曲げ加工装置100が雌型12および雄型11を縦長に構成した縦置き式のものであるのに対して、第3実施形態の曲げ加工装置200は、第2実施形態と同様の構成を流用して、雌型12および雄型11を横長に構成した横置き式のものである。つまり、本願発明の曲げ加工装置1,100,200は、基本的に同じ構成を踏襲して、縦置き式にも横置き式にもできるものである。
第3実施形態では、中空箱状の筐体201の基台部202に油圧シリンダ22群を立設させ、当該油圧シリンダ22群の先端側に、横長の下ホルダ支持体203、雌型ホルダ20および雌型12が配置されている。筐体201の右内側壁には、横長の雄型ホルダ19が片持ち梁状に取り付けられている。雄型ホルダ19の下面側に、雄型11が取り付けられている。したがって、第3実施形態でも、雌型12が可動式になっている。下ホルダ支持体203に対する左右の送りローラ204,205およびその駆動構造は、第2実施形態の上下の送りローラ108,114およびその駆動構造と同様になっている。
上記のような第3実施形態の曲げ加工装置200においても、第1および第2実施形態の曲げ加工装置10,100と同様の作用効果を奏することは言うまでもない。
図20~図26には、本願発明に係る曲げ加工装置の第4実施形態を示している。第4実施形態の曲げ加工装置300は、第3実施形態の曲げ加工装置200と同様に、雌型12および雄型11を横長に構成した横置き式のものである。第4実施形態においても、筐体301の基台部302に左右一対の油圧シリンダ22を立設させ、当該油圧シリンダ22対の先端側(上端側)に、筐体301の下部前壁を構成する下ホルダ支持体303、雌型ホルダ20および雌型12が取り付けられている。筐体301の上部前壁の下端側には、横長の雄型ホルダ19と雄型11とが取り付けられている。したがって、第4実施形態でも雌型12が可動式になっている。
図20~図23に示すように、第4実施形態では、雌型12の右側に、ワークWを所定ピッチで間欠的に前後方向に搬送する前後一対の右送りローラ306が左右取り付け位置調節可能に配置されている。各右送りローラ306の基台306aには、駆動源である右回転モータ307が連結されている。右送りローラ306対とその駆動機構は、前後対称な構造になっている。第4実施形態では、1つの右回転モータ307で1つの右送りローラ306を回転させるように構成されている。つまり、右回転モータ307と右送りローラ306とは1対1の関係になっている。各右送りローラ306は、それぞれ対応する右回転モータ307の回転動力で、基本的に互いに連動して同一方向に所定ピッチで間欠回転する。
前後一対の右送りローラ306は、雌型12を挟んで前後両側に、適宜間隔を前後に空けて配置されている。この場合、雌型ホルダ20の前後両側面部に、左右長手の挟持レール308がねじ止めされている。雌型ホルダ20と挟持レール308との間に、右送りローラ306の基部差込板309が挟み込まれている。ねじを少し緩めた状態では、基部差込板309ひいては右送りローラ306を、挟持レール308に沿って手動で左右スライドさせて、左右取り付け位置を調節することが可能になっている。雌型ホルダ20と挟持レール308との間に右送りローラ306の基部差込板309を挟み付けた状態でねじを増し締めすれば、右送りローラ306の左右取り付け位置が固定される。
雌型12の左側には、ワークWを所定ピッチで間欠的に前後方向に搬送する前後一対の左送りローラ304が位置固定的に配置されている。この場合、図20~図22及び図24に示すように、雌型ホルダ20の右端側に、左送りローラ304対の基台304aがねじ止めされている。左送りローラ304対の基台304aには、駆動源である左回転モータ305が連結されている。第4実施形態では、1つの左回転モータ305で2つの左送りローラ304を回転させるように構成されている。左送りローラ304対は、左回転モータ305の回転動力で、互いに連動して同一方向に所定ピッチで間欠回転する。
第4実施形態では、右送りローラ306対を移動式に構成し、ワークWの大きさに合わせて右送りローラ306を左右スライド移動させ、様々なサイズのワークWに対する曲げ加工に対して、曲げ加工装置300を適応させている。なお、左送りローラ304対を移動式、右送りローラ306対を固定式に構成してもよいし、両方とも移動式に構成してもよい。左送りローラ304対の前後配置間隔は、右送りローラ306対のそれよりも狭く設定されている。扇板状のワークWから円錐台筒状の漏斗部品を成形するに際しては、ワークWのうち円弧長さの短い左円弧が左送りローラ304対に当接し、円弧長さの長い右円弧が右送りローラ306対に当接する。曲げ加工に際して、左右の送りローラ304,306対によってワークWは挟み保持される。このため、曲げ加工中もワークWの姿勢を安定的に保持できる。
第4実施形態では、ワークWの各円弧長さと両円弧間距離に対応して、左送りローラ304対の送り量(ピッチ)と右送りローラ306対の送り量(ピッチ)とを独立して設定することによって、ワークW全体としての送りピッチを適切に調節設定できる。このため、大型のワークWを曲げ加工する場合であっても、その曲げ加工精度が高く維持される。円弧長さの短い方に対応する左送りローラ304対の送り量(ピッチ)が右送りローラ306対の送り量(ピッチ)よりも小さくなるのは言うまでもない。
図21及び図24に示すように、雌型ホルダ20には、ワークWの曲げ形状を計測する曲げセンサ310が左右取り付け位置調節可能に配置されている。第4実施形態では、雌型ホルダ20後面側のうち左送りローラ304対寄りと右送りローラ306対寄りの2箇所に、例えばレーザー式や赤外線式等の非接触式の曲げセンサ310(測距センサ)が取り付けられている。曲げセンサ310は接触タイプでもよい。
曲げセンサ310の雌型ホルダ20に対する取り付け構成は、右送りローラ306対と同様である。すなわち、雌型ホルダ20と後面側の挟持レール308との間に、曲げセンサ310から下向きに突出する基部差込板を挟み付けてねじを増し締めすることによって、曲げセンサ310の左右取り付け位置が固定される。
なお、曲げセンサ310は、雌型ホルダ20の前面側に配置してもよいし、前面側と後面側とに互い違いに配置してもよい。曲げセンサ310は複数個でも1個でもよい。ワークWの大きさに応じて曲げセンサ310の個数を設定したらよい。この点は、前述の各実施形態と同様である。
図20~図22及び図25(a)(b)に示すように、雌型12の右寄り箇所には、ワークWを下方から支持する前後一対の支持アーム311が左右取り付け位置調節可能に配置されている。第4実施形態の支持アーム311は、ワークWの曲げ形状に沿って下方から支持可能な多関節アームに構成されていて、ワークWの安定搬送に寄与している。
各支持アーム311の基台311aには、駆動源であるアーム駆動モータ312が連結されている。各支持アーム311(多関節アーム)は、それぞれ対応するアーム駆動モータ312の回転動力で、ワークWの湾曲形状に沿う上向きに屈曲動するように構成されている。各支持アーム311の雌型ホルダ20に対する取り付け構成は、右送りローラ306対や曲げセンサ310対と同様である。すなわち、雌型ホルダ20と挟持レール308との間に、支持アーム311の基台311aから下向きに突出する基部差込板を挟み付けてねじを増し締めすることによって、支持アーム311の左右取り付け位置が固定される。
図20に示すように、筐体301の右側部には、雌型12の移動量(上下限位置を含む)を検出する移動量検出センサ313が配置されている。図25に詳細に示すように、第4実施形態の移動量検出センサ313は、上下長手のねじ軸314、ボールナット315、軸受体316およびロータリエンコーダ317を備えている。筐体301の右側に、上下長手のねじ軸314が上下部前壁に跨るように配置されている。ねじ軸314の上下中途部にはボールナット315がねじ込まれている。ねじ軸314の下部側は軸受体316に回転可能で摺動不能に嵌っており、ねじ軸314の下端側には、ねじ軸314の回転を検出するロータリエンコーダ317が取り付けられている。ボールナット315が筐体301の上部前壁に着脱可能に取り付けられ、軸受体316が筐体301の下部前壁を構成する下ホルダ支持体303に着脱可能に取り付けられている。
油圧シリンダ22の伸縮動によって下ホルダ支持体303が昇降動すると、筐体301の上部前壁に固定されたボールナット315の作用でねじ軸314が軸回りに回転する。当該回転量をロータリエンコーダ317で検出することによって、雌型12の移動量(上下限位置を含む)が分かる。ボールナット315および軸受体316が筐体301に対して着脱可能になっている。このため、後述する雌型12または雄型11とその周辺部品とのユニット化に合わせて、既存の曲げ加工装置300への装着が容易である(簡単に後付できる)。
第4実施形態の雌型ホルダ20は、下ホルダ支持体303の上端部に着脱可能に取り付けられている(図20~図22参照)。そして、図21および図22に詳細に示すように、雌型12、左右の送りローラ304,306対、曲げセンサ310対、ならびに支持アーム311対が雌型ホルダ20に取り付けられている。つまり、第4実施形態では、雌型ホルダ20を中心にして、雌型12、左右の送りローラ304,306対、曲げセンサ310対、および支持アーム311対がユニット化(アタッチメント化)されている。このため、雌型12の下ホルダ支持体303(筐体301の下部前壁)に対する組み付け作業を効率よく行える。また、雌型12とその周辺部品とのユニット化によって、運搬や保管等の取り扱いが容易であると共に、既存の曲げ加工装置300への置き換えも容易になるという利点もある。
なお、雌型ホルダ20を中心としてユニット化されるものとしては、雌型12は言うまでもないが、それ以外は左右の送りローラ304,306対が少なくとも入っていればよい。もちろん、雄型11とその周辺部品とをユニット化してもよい。横置き式の曲げ加工装置300であれば、ワークWに対する重力の作用を考慮して、雄型11とその周辺部品が下ホルダ支持体303側に配置され、雌型12および雌型ホルダ20が筐体301の上部前壁の下端側に配置されることになる。雄型ホルダ18を中心として雄型11と少なくとも左右の送りローラ304,306がユニット化されれば足りる。縦置き式の曲げ加工装置であれば、雌雄どちら側がユニット化されていてもよいし、両方がユニット化されていてもよい。
ちなみに、第4実施形態では、雄型11および雄型ホルダ18を支持する筐体301の上部前壁が雄型11の上方空間を前後に仕切っているので、扇板状のワークWを半分ずつ曲げ加工して円錐台筒状の部品を成形したり、矩形板状のワークを半分ずつ曲げ加工して円筒状の部品を整形したりすることになる。第4実施形態の曲げ加工装置300においても、先の実施形態のものと同様の作用効果を奏する。
なお、本発明における各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば曲げ加工装置10,100,200,300に関して、扇板状のワークWではなく、矩形板状のワークを用いれば円筒状に曲げ加工して、円筒状の部品を成形できることはいうまでもない。また、曲げ加工装置10,100,200,300は、雌型12および雄型11の形状を変更すればスクリュー羽根(スパイラル、図27(a)(b)参照)も成形できる。