JP7081337B2 - 光硬化性組成物及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、光硬化性組成物、光インプリントに好適に用いることが可能な光硬化性組成物に関する。
半導体集積回路、マイクロ電気機械システム(MEMS)、センサ素子、磁気記録媒体、光学デバイス、フラットパネルディスプレイ用光学フィルムなどの製造に用いられる微細加工技術として、ナノインプリントリソグラフィ法が検討されている。光ナノインプリント用レジストとして、アクリル酸エステル系樹脂が通常用いられている。特に、多層レジストプロセスにおける有機下層膜の加工においては、酸素プラズマエッチング耐性に優れる材料として、ケイ素含有アクリル酸エステル系樹脂が提案されている(例えば、特許文献1)。
また、大面積のパターンを得る方法として、大面積の樹脂層に対して小さいモールドを用いたインプリントを、加工領域が重ならないようにモールドの位置をずらしながら繰り返し行う、ステップ・アンド・リピート(Step-and-Repeat)方式による方法が提案されている。特許文献2では、アクリル酸エステル化合物と重合禁止剤とを含有する光硬化性樹脂組成物を用いることによって、モールド中の迷光の影響によってモールドが押し付けられていない領域の樹脂層が硬化される(望まない部分が硬化される)ことを抑制する方法が提案されている。
国際公開第2016/072202号公報 国際公開第2015/076147号公報
このような従来技術を踏まえ、本発明者らは、酸素プラズマエッチング耐性を付与するためにインプリント用レジストとしてケイ素含有アクリル酸エステル系樹脂を用いて、ステップ・アンド・リピート方式のインプリントを新たに試みた。しかしながら、迷光などによる望ましくない影響を回避する目的で前記特許文献2の手段を採用した結果、予想に反して、モールド中の迷光によってモールドが押し付けられていない領域の樹脂層が硬化される不具合が生じてしまうことが判明した。
本発明者らが原因を追究したところ、光硬化性組成物の調製後又は製造時に重合禁止剤の含有量が経時で減少しており、調製後の光硬化性組成物を実際にインプリント工程に供した時には、光硬化性組成物の各成分の配合バランスが崩れ、所望の効果を十分に発揮できていない可能性があると推測された。
更に、硬化性組成物をスピンコート法により塗布する場合においては、膜厚の調整を目的として、硬化性組成物を溶剤で希釈してスピンコートし、スピンコート後に樹脂層に含まれる溶剤を揮発除去させるために基板をベークする工程を設ける場合がある。このようなベーク工程により重合禁止剤が溶剤とともに揮発し、樹脂層に含まれる重合禁止剤の量が著しく減少することも見出された。
これらの問題により、ケイ素含有アクリル酸エステル系樹脂を用いたステップ・アンド・リピート方式のインプリントでは、モールド中の迷光によってモールドが押し付けられていない領域の樹脂層が硬化される不具合が生じており、これら新たな問題の解決手段が必要になった。
このような状況に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、インプリント用レジストとして酸素プラズマエッチング耐性に優れるケイ素含有アクリル酸エステル系樹脂を採用することによる新たな課題、すなわち迷光などによるモールドが押し付けられていない領域の樹脂層が硬化される不具合を抑制可能な光硬化性組成物を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討した結果、インプリント用レジストとして酸素プラズマエッチング耐性に優れるケイ素含有アクリル酸エステル系樹脂(本発明でいう重合性化合物(A))を採用した場合にも、特定の重合禁止剤を用いることで、前記不具合を抑制可能であることを見出した。
すなわち本発明は、分子中にアルコキシシリル基を有する重合性化合物(A)と、重合禁止剤(B)とを含む硬化性組成物であって、前記重合禁止剤(B)が、ラジカル捕捉基がベンゾキノン基である化合物(B1)、ラジカル捕捉基が立体障害性のフェノール性水酸基である化合物(B2)、ラジカル捕捉基が立体障害性の窒素を含有する基である化合物(B3)、からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、光硬化性組成物に関する。
また、本発明は、重合禁止剤(B)が、分子量が150g/mol以上の前記化合物(B1)、分子量が150g/mol以上の前記化合物(B2)、190g/mol以上の化合物(B3)、からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする光硬化性組成物を提供する。
また、本発明は、前記光硬化性組成物に無酸素雰囲気中で主発光ピークが365nmの紫外線を1mJ/cm2照射した後の、該光硬化性組成物の25℃の動的粘弾性測定における貯蔵弾性率G’が1000Pa以下である光硬化性組成物を提供する。
また、本発明は、前記光硬化性組成物に無酸素雰囲気中で主発光ピークが365nmの紫外線を100mJ/cm2照射した後の、該光硬化性組成物の25℃の動的粘弾性測定における貯蔵弾性率G’が10MPa以上である光硬化性組成物を提供する。
本発明の光硬化性組成物によれば、インプリント用レジストとして酸素プラズマエッチング耐性に優れるケイ素含有アクリル酸エステル系樹脂を採用した場合にも、迷光などによるモールドが押し付けられていない領域の樹脂層が硬化される不具合を抑制可能である。
(分子中にアルコキシシリル基を有する重合性化合物(A))
本発明の重合性化合物(A)としては、分子中にアルコキシシリル基を有する重合性化合物あれば特に制限なく用いることができるが、酸素プラズマエッチング用のレジストとして好適に用いられるためには、化合物中のケイ素原子の数が5つ以上であるポリシロキサンであることが好ましい。酸素プラズマエッチング耐性の改良の目的のためには、化合物中のケイ素原子の量が、好ましくは15重量%以上であり、より好ましくは20重量%以上であることが好ましい。また、特にステップ・アンド・リピート方式のインプリントに好適に用いられるためには、硬化性の観点で、当該重合性官能基がエチレン性不飽和結合であるものが好ましく、(メタ)アクリロイル基であるものがより好ましい。また、モールドの洗浄性の観点で、下記式(A1)で表される重合性基を有する基を少なくとも1つ有する多官能重合性単量体であることが好ましい。
-O-R-Y ・・・(A1)
(上記式(A1)において、酸素原子はケイ素原子に結合し、Rは単結合、またはヘテロ原子を含んでもよい非置換または置換の炭素数1~25のアルキル基を表し、Yは重合性基を表す)
本発明の重合性化合物(A)は、市販品として入手が可能であり、その具体例としてKBM-502、KBM-503、KBE-502、KBE-503、KBM-5103、KR-513、X-40-2672B、X-40-9272B、X-40-9296(以上、信越化学工業株式会社製)などを挙げることができる。
本発明の重合性化合物(A)は、(メタ)アクリレート基を有する市販の原料を用いて合成することも可能である。前記(メタ)アクリレート基を有する市販の原料としては、例えば、3-アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロイルオキシプロピルトリクロロシラン、2-メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート等を挙げることができる。
本発明の重合性化合物(A)の合成方法は、特に限定はなく、公知慣用の方法を用いることができる。例えば、重合性不飽和基とアルコキシシラン基とを有する化合物を原料としてゾルゲル反応によりポリシロキサン構造を形成する方法や、重合性不飽和基と水酸基とを有する化合物およびSiCl基を有するシリコーン化合物を原料として脱塩酸反応で合成する方法、重合性不飽和基と水酸基とを有する化合物およびアルコキシシラン基を有するシリコーン化合物を原料としてエステル交換で合成する方法、複数のビニル基を有する化合物およびSiH基を有するシリコーン化合物を原料としてヒドロシリル化反応による合成する方法等、を挙げることができる。
(重合禁止剤(B))
本発明で用いる重合禁止剤(B)としては、ラジカル捕捉基がベンゾキノン基である化合物(B1)、ラジカル捕捉基が立体障害性のフェノール性水酸基である化合物(B2)、又はラジカル捕捉基が立体障害性の窒素を含有する基である化合物(B3)を用いることができる。これらは単独で用いて良いし、複数併用しても良い。ここで複数併用する場合、例えばラジカル捕捉基がベンゾキノン基である化合物から複数選択しても良いし、ラジカル捕捉基がベンゾキノン基である化合物から一種とラジカル捕捉基が立体障害性の窒素を含有する基である化合物から一種を選択するような併用でも構わない。
重合禁止剤は、樹脂の製造中、又は貯蔵中等に熱や光による重合を防止する目的で用いられ、樹脂との相溶性に優れる、着色が少ない、毒性が無い等の理由でフェノール系化合物が一般には使用されている。中でも、4-メトキシフェノールが特に一般的に使用され、市販されているほとんどの(メタ)アクリル酸エステル系化合物に4-メトキシフェノールが含まれている。4-メトキシフェノールのような、オルト位に立体障害性の官能基をもたない化合物は、ラジカルとの反応速度が速く、また1モル当たりのラジカル捕捉数が多くなるため、重合禁止剤として適した化合物として最も一般的に選択される。しかし、以下に詳述するように、4-メトキシフェノールに代表されるような低立体障害性のフェノール系化合物を使用すると、問題が生じる場合がある。
インプリント用レジストとして酸素プラズマエッチング耐性に優れるケイ素含有アクリル酸エステル系樹脂を含有する光硬化性組成物が検討されているが、迷光などによる悪影響を回避する目的で従来の手法(例えば前記特許文献2の手法)を採用した場合には、少なくとも次の2つの問題が生じることがわかってきた。
第1に、光硬化性組成物中の重合禁止剤の含有量が、重合性化合物と重合開始剤と重合禁止剤とを調製して光硬化性組成物とした際に、重合禁止剤の含有量が経時で減少し、光硬化性組成物調製時に期待した効果を発揮できなくなっていることが挙げられる。重合禁止剤の減少の原因は明らかではないものの、例えば重合禁止剤として4-メトキシフェノールを使用した場合、ケイ素含有アクリル酸エステル系樹脂中に存在するアルコキシシリル基と、フェノール性水酸基とがアルコール交換により反応して結合することで、ラジカルを捕捉する機能が失われるためと推定される。また、複数の水酸基を有する重合禁止剤を用いても、重合禁止能の著しい低下が起こる場合がある。例えば、1,4-ヒドロキノンのような2つの水酸基を有する重合禁止剤を使用した場合、片方の水酸基のみがアルコキシシリル基と反応すれば、もう一方の水酸基が未反応で残るが、樹脂に結合したことにより分子のモビリティが下がり、重合禁止能が低下すると推定される。
第2に、光硬化性組成物をスピンコート法により塗布する場合においては、膜厚の調整を目的として、硬化性組成物を溶剤で希釈してスピンコートし、スピンコート後に樹脂層に含まれる溶剤を揮発除去させるために基板をベークする工程を設ける場合がある。このようなベーク工程により重合禁止剤が溶剤とともに揮発し、樹脂層に含まれる重合禁止剤の量が著しく減少することも見出された。この現象は、半導体分野でのスピンコート塗布では形成される膜厚が薄いため(100nm以下)、特に顕著である。
このような中、本発明者らは、上記した特定の重合禁止剤を用いることにより、上記問題を見出し、これを解決することで、インプリント用レジストとして今後の実用化が期待されているケイ素含有アクリル酸エステル系樹脂を用いた系においても迷光による悪影響を回避可能なことを見出した。
本発明で用いる重合禁止剤(B)は、ラジカル捕捉基がベンゾキノン基である化合物(B1)、ラジカル捕捉基が立体障害性のフェノール性水酸基である化合物(B2)、又はラジカル捕捉基が立体障害性の窒素を含有する基である化合物(B3)を用いることができるが、本発明の効果をよりよく得るために、分子量が150g/mol以上の前記化合物(B1)、分子量が150g/mol以上の前記化合物(B2)、又は190g/mol以上の化合物(B3)を採用することが好ましい。以下、各重合禁止剤について詳述する。
ラジカル捕捉基がベンゾキノン基である化合物(B1)は、分子中にアルコキシシリル基を有する重合性化合物のアルコキシシリル基と反応しないにもかかわらず、重合を防止する機能を有することから、アルコキシシリル基を有する重合性化合物の製造又は貯蔵時における重合禁止剤として好適に使用できると推定される。
ベンゾキノン基を持つ化合物は典型的な有色物質であるため、光の透過を妨げることから光硬化性組成物の成分として従来好ましくないとされていたが、インプリント用レジストとして用いる場合には、膜厚が薄いため、光硬化性を損なうことなく用いることが出来る。
また、ベンゾキノン基を持つ化合物は、酸素が存在しなくてもラジカルを捕捉することが出来るため、インプリント用レジストとして用いる場合には、モールドを押し当てることにより空気を遮断された状態でも、重合を防止する機能が失われない。
前記化合物(B1)として好適に使用できる市販品としては、PBQ、TBQ、2,5-ジフェニル-p-ベンゾキノン(以上、精工化学社製)、キノパワーQS-10、キノパワーQS-20、キノパワーQS-30、キノパワーQS-40(以上、川崎化成工業社製)などを挙げることができる。
ラジカル捕捉基がベンゾキノン基である化合物(B1)は、下記(B1-1)又は(B1-2)で表されるものが好ましい。
Figure 0007081337000001
(式中、X~Xは、それぞれ独立して水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1~18のアルキル基、または置換基を有していてもよい炭素数4~20のアリール基を表し、隣り合う炭素に置換された基は結合して環を巻いてもよい。)
Figure 0007081337000002
(式中、X~Xは、それぞれ独立して水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1~18のアルキル基、または置換基を有していてもよい炭素数4~20のアリール基を表し、隣り合う炭素に置換された基は結合して環を巻いてもよい。)
ラジカル捕捉基がベンゾキノン基である化合物(B1-1)としては、例えば、1,4-ベンゾキノン、2-メチル-1,4-ベンゾキノン、2-tert-ブチル-1,4-ベンゾキノン、2-フェニル-1,4-ベンゾキノン、2,5-ジメチル-1,4-ベンゾキノン、2,6-ジメチル-1,4-ベンゾキノン、2,5-ジ-tert-ブチル-1,4-ベンゾキノン、2,6-ジ-tert-ブチル-1,4-ベンゾキノン、2,5-ジフェニル-1,4-ベンゾキノン、2,6-ジフェニル-1,4-ベンゾキノン、2,3,5-トリメチル-1,4-ベンゾキノン、2,3,5,6-テトラメチル-1,4-ベンゾキノンなどのベンゾキノン類、1,4-ナフトキノン、2-メチル-1,4-ナフトキノン、2-tert-ブチル-1,4-ナフトキノン、フィロキノン、メナキノン、などのナフトキノン類、9,10-アントラキノン、1,4-アントラキノン、2-メチル-9,10-アントラキノン、2-エチル-9,10-アントラキノン、2,3-ジメチル-9,10-アントラキノンなどのアントラキノン類のようなものが挙げられる。
ラジカル捕捉基がベンゾキノン基である化合物(B1-2)としては、例えば、1,2-ベンゾキノン、4-メチル-1,2-ベンゾキノン、4-tert-ブチル-1,2-ベンゾキノン、4-フェニル-1,2-ベンゾキノン、3,5-ジメチル-1,2-ベンゾキノン、3,5-ジ-tert-ブチル-1,2-ベンゾキノン、3,5-ジフェニル-1,2-ベンゾキノンなどのベンゾキノン類、1,2-ナフトキノン、4-メチル-1,2-ナフトキノン、4-tert-ブチル-1,2-ナフトキノン、などのナフトキノン類、1,2-アントラキノン、などのアントラキノン類のようなものが挙げられる。
前記化合物(B1)は、分子量が150g/mol以上であることが、塗布後のベーク工程における揮発防止の観点から、より好ましい。
立体障害性のフェノール性水酸基を有する化合物(B2)は、分子中にアルコキシシリル基を有する重合性化合物のアルコキシシリル基と水酸基との反応が立体障害性の置換基により妨げられるにもかかわらず、重合を防止する機能を有することから、アルコキシシリル基を有する重合性化合物の製造又は貯蔵時における重合禁止剤として好適に使用できると推定される。
立体障害性のフェノール性水酸基を有する化合物は、ラジカルと酸素とが反応することにより生成したパーオキシラジカルに水素を供与し、自身はフェノキシラジカルとなる作用により重合を防止する。また水酸基のオルト位に置換基を有さないフェノール系化合物と比較して、カップリングによるラジカルの失活が妨げられるため、1モル当たりのラジカル捕捉数が少ない。そのため、特に(メタ)アクリル酸エステルのようなラジカルとの反応速度が速い化合物の重合禁止剤としては従来好ましくないとされていたが、ステップ・アンド・リピート方式のインプリントでは、モールド中の迷光によってモールドが押し付けられていない領域に当たる光の照度は比較的低いため、モールドが押し付けられていない領域の樹脂層が硬化される不具合を抑制する目的に対しては十分な効果が期待できる。
前記化合物(B2)として好適に使用できる市販品としては、BHTスワノックス、ノンフレックスMBP、ノンフレックスEBP、ノンフレックスCBP(以上、精工化学社製)、アデカスタブAO-20、アデカスタブAO-50、アデカスタブAO-60、アデカスタブAO-80、アデカスタブAO-330(以上、ADEKA社製)、イルガノックスL101、イルガノックスL107、イルガノックスL135、イルガノックスL109、イルガノックスL115、イルガノックスL118、イルガノックスL135(以上、BASF社製)、スミライザーGM、スミライザーGS、スミライザーGP、スミライザーGA-80、スミライザーMDP-S(以上、住友化学社製)、などを挙げることができる。
ラジカル捕捉基が立体障害性のフェノール性水酸基である化合物(B2)は、下記式B2-1)又は(B2-2)で表されるものであることが好ましい。
Figure 0007081337000003
(式中、Xは置換基を有していても良い炭素数4~20のtert-アルキル基を表す。X10は置換基を有していても良い炭素数1~20のアルキル基を表す。X11~X13は、それぞれ独立して水素原子、または置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルキル基、または置換基を有していてもよい炭素数4~30のアリール基を表す。)
Figure 0007081337000004
(式中、X14およびX15は置換基を有していても良い炭素数4~20のtert-アルキル基を表す。X16~X23は、それぞれ独立して水素原子、または置換基を有していてもよい炭素数1~18のアルキル基、または置換基を有していてもよい炭素数6~20のアリール基を表す。X24は水素原子、または置換基を有していてもよい飽和または不飽和の炭素数1~18の炭化水素基を表す。)
ラジカル捕捉基が立体障害性のフェノール性水酸基である化合物(B2-1)としては、例えば、2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロミオネート、ペンタエリスリトール-テトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルメチル)-2,4,6-トリメチルベンゼンなどのヒンダードフェノール類、2-tert-ブチル-5-メチルフェノール、2,4-ジ-tert-ブチル-5-メチルフェノール、3,9-ビス{2-[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]-1,1-ジメチルエチル}-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンなどのセミヒンダードフェノール類、のようなものが挙げられる。
ラジカル捕捉基が立体障害性のフェノール性水酸基である化合物(B2-2)としては、例えば、2,2’-メチレン-ビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレン-ビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-ジヒドロキシ-3,3’-ジ(α-メチルシクロヘキシル)-5,5’-ジメチルジフェニルメタン、アクリル酸-1‘-ヒドロキシ[2,2’-エチリデンビス[4,6-ビス(1,1-ジメチルプロピル)ベンゼン]]-1-イルのようなものが挙げられる。
前記化合物(B2)は、分子量が150g/mol以上であることが、塗布後のベーク工程における揮発防止の観点から、より好ましい。
ラジカル捕捉基が立体障害性の窒素を含有する基である化合物(B3)は、分子中にアルコキシシリル基を有する重合性化合物のアルコキシシリル基と反応しないにもかかわらず、重合を防止する機能を有することから、アルコキシシリル基を有する重合性化合物の製造又は貯蔵時における重合禁止剤として好適に使用できると推定される。
立体障害性の窒素を含有する基を持つ化合物は、窒素にオキシラジカル基が結合した化合物の場合には半占有分子軌道により着色があるため、光の透過を妨げることから光硬化性組成物の成分として従来好ましくないとされていたが、インプリント用レジストとして用いる場合には、膜厚が薄いため、光硬化性を損なうことなく用いることが出来る。
また、立体障害性の窒素を含有する基を持つ化合物は、窒素にオキシラジカル基が結合した化合物の場合には酸素が存在しなくてもラジカルを捕捉することが出来るため、インプリント用レジストとして用いる場合には、モールドを押し当てることにより空気を遮断された状態でも、重合を防止する機能が失われない。
前記化合物(B3)として好適に使用できる市販品としては、4-ベンゾイルオキシTEMPO、セバシン酸BisTEMPO(以上、精工化学社製)、アデカスタブLA-52、LA-57、LA-63P、LA-68、LA-72、LA-77Y、LA-77G、LA-81、LA-82、LA-87(以上、ADEKA社製)、などを挙げることができる。
ラジカル捕捉基が立体障害性の窒素を含有する基である化合物(B3)は、下記式(B3-1)で表されるものが好ましい。
Figure 0007081337000005
(式中、X25は窒素を含む5~7員の複素環を構成する2価の基であって、置換基を有してもよい。X26~X29はそれぞれ独立して炭素数1~6のアルキル基を表し、同一の炭素に置換された基は結合して環を巻いてもよい。X30は水素原子、または置換基を有していてもよい炭素数1~18のアルキル基、または置換基を有していてもよい炭素数1~18のアルコキシ基、またはオキシラジカル基を表す。)
ラジカル捕捉基が立体障害性の窒素を含有する基である化合物(B3)としては、例えば、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-ベンゾイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチルー4-ピペリジニル)ブタンー1,2,3,4-テトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6-テトラメチルー4-ピペリジニル)セバケート、2,2,6,6-テトラメチルー4-ピペリジニルメタクリレート等のテトラメチルピペリジン類、1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン、4-ベンゾイルオキシ-1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン、テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチルー4-ピペリジニル)ブタンー1,2,3,4-テトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチルー4-ピペリジニル)セバケート、1,2,2,6,6-ペンタメチルー4-ピペリジニルメタクリレート等のテトラメチルピペリジン-1-アルキル類、1-エトキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、ビス(1-ウンデカノキシー2,2,6,6-テトラメチルー4-ピペリジン-4-イル)カーボネート等のテトラメチルピペリジン-1-アルコキシ類、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル、4-アミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル、4-カルボキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル、4-シアノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル、4-ベンゾイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル、4-メタクリロイロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル、4-アクリロイロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル、4-メトキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル、4-オキソ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル、4-プロパルギルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル、4-アセトアミド-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル、等のテトラメチルピペリジン-1-オキシル類、3-カルボキシ-2,2,5,5-テトラメチルピロリジン-1―オキシル等のテトラメチルピロリジン-1-オキシル類のようなものが挙げられる。空気を遮断された状態で重合防止が可能である点から、窒素にオキシラジカル基が結合した化合物であるテトラメチルピペリジン-1-オキシル類、テトラメチルピロリジン-1-オキシル類が特に好ましい。
前記化合物(B3)は、分子量が190g/mol以上であることが、塗布後のベーク工程における揮発防止の観点から、より好ましい。
本発明の光硬化性組成物において、重合禁止剤(B)は、重合性化合物(A)100重量部に対して0.001~1重量部となるように含有することができる。前記重合禁止剤(B)の含有量は、0.01~0.5重量部の範囲内であることが好ましく、0.02~0.2重量部の範囲内であることがより好ましい。前記重合禁止剤(B)の含有量が、0.001重量部以上であれば、アルコキシシリル基を有する重合性化合物の製造又は貯蔵時における経時による増粘を十分に防ぐことができ、1重量部以下であれば、光硬化性組成物の硬化性が良好に得られる。また、ステップ・アンド・リピート方式のインプリントにおいて、前記重合禁止剤(B)の含有量が、0.01重量部以上であれば、モールドが押し付けられていない領域の樹脂層が硬化される不具合を十分に防止でき、0.5重量部以下であれば、良好なモールドの離型性が得られる。
本発明の光硬化性組成物には、光重合開始剤を含むことができる。光重合開始剤の含有量は、重合性化合物(A)100重量部に対して0.01以上10重量部以下の範囲内であることが好ましく、0.1重量部以上5重量部以下であることがより好ましい。前記光重合開始剤の含有量が0.01重量部以上であれば、良好な硬化性が得られ、ステップ・アンド・リピート方式のインプリントにおいてはスループットの観点で好ましく、10重量部以下であれば、重合性化合物に対する溶解性の観点で好ましい。
本発明で用いる光重合開始剤は、光硬化時に使用する光源に吸収をもつものであれば特に限定されない。例えば、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-1-ブタノン、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]-フェニル}-2-メチル-プロパン、1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイドなどを用いることができる。
上記化合物は、市販品として入手可能であり、OMNIRAD1000、同248、同481、同4817、同4MBZ-flakes、同500、同659、同73、同784、同81、同BDK、同MBS、同BP-flakes、同DETX、同EDB、同EHA、同EMK、同ITX、同MBF、同OMBB、同TPO、同410、同BL723,同BL724,同BL750,同BL751、同1173、同127、同184、同184FF、同2022、同2100、同2959、同369、同369E、同379、同379EG、同4265、同754、同819、同819DW、同907、同907FF、同BP、同127D、ESACURE1001M、同ONE、同A198,同KIP 160、同KIP 150、同KIP100F、同KIP-LT、同KIP-IT、同KTO-46、同DP-250、同TZT、同KT-55(IMG社製)などが挙げられる。
このような本発明の光硬化性組成物は、光硬化性組成物に対して無酸素雰囲気中で主発光ピークが365nmの紫外線を1mJ/cm2照射した後の該光硬化性組成物の25℃の動的粘弾性測定における貯蔵弾性率G’が1000Pa以下であるという性質を示す。また、光硬化性組成物に対して無酸素雰囲気中で主発光ピークが365nmの紫外線を100mJ/cm2照射した後の該光硬化性組成物の25℃の動的粘弾性測定における貯蔵弾性率G’が10MPa以上であるという性質を示す。
この性質は、本発明の光硬化性組成物において使用した重合禁止剤が、無酸素雰囲気においても所望の機能を果たすことを示すものであるが、特に半導体分野では、ナノインプリント装置のチャンバー内は低粘度気体のヘリウムが用いられるため、酸素阻害が有効でない。本発明の光硬化性組成物は、このような半導体分野での実用場面での使用も十分に考慮されており、好適に用いることができる。
本発明の光硬化性組成物は、どのように調製しても構わないが、例えば、分子中にアルコキシシリル基を有する重合性化合物(A)に重合禁止剤(B)を溶解させ混合物を得る工程と、得られた混合物を、イオン交換基を有する吸着剤またはフィルタに接触させる工程と、を経ることにより得ることができる。
分子中にアルコキシシリル基を有する重合性化合物(A)と重合禁止剤(B)とを含む光硬化性組成物の調製において、合成に用いられる酸またはアルカリ触媒の中和と除去、または樹脂組成物中に不純物として含まれる多様な金属やパーティクルの除去等を目的として、イオン交換基を有する吸着剤またはフィルタに接触させる工程とを経る場合がある。酸またはアルカリ触媒の中和と除去の方法としては、一般的には、水を用いた分液抽出法が選択されるが、分子中にアルコキシシリル基を有する場合、加水分解を引き起こすため採用できない。また、インプリント用レジストとして用いる場合には、化合物の製造過程で混入する金属不純物が半導体基板を汚染し、最終的な半導体製品の電気特性や信頼性を損なう可能性があるため、金属不純物の許容限度は低くなっていることから、樹脂組成物中に不純物として含まれる多様な金属を除去する必要がある。
前記イオン交換基は、スルホン酸基、リン酸基、カルボン酸基、アミノ基、イミダゾリル基、ピリジル基、アミド基、メルカプト基などが挙げられる。
前記イオン交換基は、分子中にアルコキシシリル基を有する重合性化合物(A)と、従来使用されている4-メトキシフェノールのような一般的なフェノール系重合禁止剤中の水酸基とのアルコール交換反応を促進する触媒として作用するため、吸着剤またはフィルタに接触させる工程を経ることにより重合禁止剤が重合性化合物(A)に結合する不具合が生じる。しかし、重合禁止剤(B)が、ラジカル捕捉基がベンゾキノン基である化合物(B1)、ラジカル捕捉基が立体障害性のフェノール性水酸基である化合物(B2)、またはラジカル捕捉基が立体障害性の窒素を含有する基である化合物(B3)である場合には、重合性化合物(A)と結合せず、安定性に優れる光硬化性組成物は得ることができる。
前記イオン交換基を有する吸着剤またはフィルタとして好適に使用できる市販品としては、例えば、アンバーライトIR120B、同IR124、同200CT、同252、同FPC3500、同IRC76、同IRA400J、同IRA402BL、同IRA404J、同IRA900J、同IRA904、同IRA458RF、同IRA958、同IRA410J、同IRA411、同IRA910CT、同IRA478RF、同IRA67、同IRA96SB、同IRA98、同XE583、同IRC747UPS、同IRC748、同IRA743、アンバージェット1020、同1024、同1060、同1220、同4400、同4002、同4010、アンバーリスト15DRY、同15JWET、同16WET、同31WET、同35WET、同A21、同15JS-HG・DRY、同B20-HG・DRY、同MSPS2-1・DRY、オルライトDS-1、同DS-2、同DS-3、同DS-4、同DS-5、同DS-6、同DS-7(以上、オルガノ社製)ダウエックス50WX2、同50WX4、同50WX8、同DR-2030、同DR-G8、同HCR-W2、同650C UPW、同G-26、同88、同M-31、同N-406、MAC-3、ダウエックス モノスフィアー650C、同88、同M-31、同99K/320、同99K/350、同99Ca/320、ダウエックス マラソン MSC、同C(以上、ダウ・ケミカル社製)、ダイヤイオン EXC04、同HPK25、同PK208、同PK212、同PK216、同PK220、同PK228L、同RCP160M、同SK1B、同SK1BS、同SK104、同SK110、同SK112、同SK116、同UBK510L、同UBK555、CWK30/S、同WK10、同WK11、同WK40、同WK100、同WT01S(以上、三菱化学製)、レバチットMonoPlusS100、同MonoPlusSP112(以上、ランクセス社製)、QuadraPure TU、同IDA、同AMPA、同BZA、同BDZ、同EDA、同DET、同IMDAZ、同MPA、同AEA、QuadraSil-TA、同MTU、同AP、同MP(以上、Reaxa社製)等のイオン交換樹脂、ゼータプラス(住友スリーエム社製)、プロテゴ(インテグリス社製)、イオンクリーン(日本ポール社製)、ポリフィックスナイロン(キッツマイクロフィルタ社製)等のイオン交換基を有するフィルタが挙げられる。
また、本発明の光硬化性組成物は溶剤を含有してもよい。溶剤を添加することで、硬化性組成物の粘度や塗布膜厚を調整することができる。溶剤としては、例えば、n-へキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタン等の脂肪族系または脂環族系の炭化水素類;トルエン、キシレン、エチルベンゼン、アニソール等の芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール、n-ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のアルコール類;酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;アルキルエーテル類;1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;N-メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドを単独または2種類以上を併用して使用することができる。
溶剤を使用する場合の溶剤含有量は、必要に応じて光硬化性組成物中の溶剤以外の成分の含有量が0.1~100質量%の範囲で調整できる。
本発明の光硬化性組成物は、本発明の効果を損ねない範囲でその他の配合物を配合しても構わない。その他の配合物としては、有機顔料、無機顔料、体質顔料、有機フィラー、無機フィラー、光増感剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、界面活性剤、密着補助剤等が挙げられる。
上記界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤のいずれを使用してもよいが、他の成分との相溶性の点から、ノニオン界面活性剤が好ましい。界面活性剤の含有量は全重合性化合物に対して0.001~10質量%であり、好ましくは0.01~8質量%であり、さらに好ましくは0.1~5質量%である。2種類以上の界面活性剤を用いる場合は、その合計量が前記範囲となる。界面活性剤が前記範囲にあると、塗布の均一性に優れ、モールド転写性も良好となる。
上記ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル系界面活性剤、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル系界面活性剤、ソルビタン脂肪酸エステル系界面活性剤、ポリオキシアルキレンアルキルアミン系界面活性剤、プルロニック系(ポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドのトリブロック共重合体)界面活性剤、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、アクリル重合系界面活性剤等が挙げられる。
アニオン界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩系界面活性剤、アルキルアルコール硫酸エステル塩系界面活性剤、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩系界面活性剤、アルキルアルコールリン酸エステル塩系界面活性剤、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩系界面活性剤、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル酢酸塩系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられ、酸型、中和型のいずれを使用してもよい。
カチオン界面活性剤としては、テトラアルキルアンモニウムハライド系界面活性剤、アルキルピリジニウムハライド系界面活性剤、アルキルイミダゾリンハライド系界面活性剤等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、アルキルベタイン系界面活性剤、アルキルイミダゾリニウムベタイン系界面活性剤、レシチン系界面活性剤等が挙げられる。
本発明の一態様としては、本発明の光硬化性組成物を硬化させて得られる硬化物を含む。
本発明の光硬化性組成物は、光インプリントに好適に用いることができ、ステップ・アンド・リピート方式の光インプリントに特に好適に用いることができる。
本発明の光硬化性組成物を硬化する工程の方法としては、光硬化性組成物が硬化する波長の光を照射する方法が主に選択されるが、加熱による方法でも硬化が可能である。光硬化性組成物が硬化する波長の光を照射する光源の例としては、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、カーボンアーク、水銀キセノンランプ、XeCl、KrFやArF等のエキシマーレーザー、紫外あるいは可視光レーザー、及び紫外あるいは可視光LED等が挙げられる。光の照射量としては、光硬化性組成物を硬化させることができる量であればよい。工業的に実施する際の例としては、照射量10~10000mJ/cm2の中から適宜選択される。
ここで、本発明の光硬化性組成物は、基板上に塗布し硬化させることにより、硬化物層を有する積層体を製造することができる。本発明の光硬化性組成物は、重合禁止剤の揮発を抑制可能なことから、ベーク工程を含む積層体を製造する工程に供することが可能である。具体的には、該光硬化性組成物を基板上に形成する工程と、前記基板をベークする工程と、前記光硬化性組成物層を硬化する工程とを少なくとも含む、積層体の形成方法に供することができる。
本発明の光硬化性組成物を基材上に塗布する方法としては特に限定は無く、スプレー法、スピンコート法、ディップ法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクターロール法、ドクターブレード法、カーテンコート法、スリットコート法、スクリーン印刷法、インクジェット法等、様々な方法を用いることができる。塗布膜厚の面内均一性が良好な膜が得られることから、特に好ましい方法はスピンコート法である。
本発明の光硬化性組成物を塗布した基板をベークする工程の方法としては特に限定は無く、プロキシミティ方式や吸着方式、コンベア方式、マイクロ波による誘導過熱等、様々な方法を用いることができ、またそれらを組み合わせることも可能である。ベーク条件としては特に限定は無いが、一般的にはベーク温度70~180℃、ベーク時間0.3~10分の中から適宜選択される。基板をベークする工程は、主に光硬化性組成物に含まれる有機溶剤を蒸発させる目的で行われるが、本発明の光硬化性組成物は、有機溶剤の蒸発と同時に重合禁止剤が意図せず揮発してしまうことを抑制することが可能である。
本発明の光硬化性組成物を光インプリントに用いる場合、前記方法にて本発明の光硬化性組成物を基板上に形成された光硬化性組成物層に、予めパターンが形成されたモールドを押し付け、接触した状態で前記光硬化性組成物を硬化する工程により硬化させることで、パターンが形成された硬化物の膜が得られる。この時、光硬化性樹脂層が形成された基板をベークする工程は、モールドを接触させる前でもよく、モールドを押し付けた後にベークさせても構わない。
本発明の光硬化性組成物は、特に100nm以下のインプリントパターン形成にも好適に使用することが可能である。また本発明の光硬化性組成物は重合禁止剤の揮発を抑制可能なことから、モールド内の迷光などによってモールドが押し付けられていない領域の樹脂層が硬化されないため、ステップ・アンド・リピート方式の光インプリントに好適に用いることができる。
光インプリント用モールドの材質としては、光を透過する材質として、石英、紫外線透過ガラス、サファイア、ダイヤモンド、ポリジメチルシロキサン等のシリコーン材料、フッ素樹脂、シクロオレフィン樹脂、その他光を透過する樹脂材等が挙げられる。また、使用する基材が光を透過する材質であれば、インプリント用モールドは光を透過しない材質でもよい。光を透過しない材質としては、金属、SiC、マイカ等が挙げられる。この中でも、紫外線を良好に透過し、硬度が高く、表面平滑性が高いことから特に好ましくは石英モールドである。
光インプリント用モールドは平面状、ベルト状、ロール状、ロールベルト状等の任意の形状のものを選択できる。
光インプリント用モールドは、光硬化性組成物とモールド表面との離型性を向上させるため離型処理を行ったものを用いても良い。離型処理としては、シリコーン系やフッ素系のシランカップリング剤による処理等が挙げられる。
光硬化性組成物の硬化の方法は、モールドが光を透過する材質の場合はモールド側から光を照射する方法、基材が光を透過する材質の場合は基材側から光を照射する方法が挙げられる。
また、形成するパターンの追従性に不具合があれば、光照射時に十分な流動性が得られる温度まで加熱させてもよい。加熱する場合の温度は、0~300℃が好ましく、0~200℃がより好ましく、0~150℃がさらに好ましく、25~80℃が特に好ましい。前記温度範囲において、光硬化性組成物から形成されるパターン形状が精度よく保持される。
硬化後、モールドを離型することにより、モールドの凹凸パターンを転写した凸凹パターンが形成された硬化物の膜が得られる。基材の反り等の変形を抑えたり、凹凸パターンの精度を高めるため、剥離工程としては、硬化膜の温度が常温(25℃)付近まで低下した後に実施する方法が好ましい。
モールドを離型後、モールドに硬化物の残渣が確認される場合には洗浄を行う。モールドは繰り返し使用するため、モールドに硬化物の残渣があると、次の工程でのパターン形成に悪影響を及ぼす。
本発明の光硬化性組成物に含有される重合性化合物(A)は、下記式(A1)で表される重合性基を有する基を少なくとも1つ有する多官能重合性単量体であり、ケイ素原子を10wt%以上含むものを用いることができる。
-O-R-Y ・・・(A1)
(上記式(A1)において、酸素原子はケイ素原子に結合し、Rは単結合、またはヘテロ原子を含んでもよい非置換または置換の炭素数1~25のアルキル基を表し、Yは重合性基を表す)
上記重合性基を有する基は、加水分解性基であることから、硬化後に加水分解処理を行うことで、モールドが良好に洗浄される。
モールドの洗浄に用いる加水分解可能な洗浄液としては、酸、アルカリ、熱水等が挙げられる。酸洗浄液としては、硫酸、塩酸、硝酸、炭酸、酢酸、リン酸、王水、希フッ酸、硫酸過水、塩酸過水等が挙げられ、アルカリ洗浄液としては苛性ソーダ、苛性カリなどの苛性アルカリや、各種のケイ酸塩、リン酸塩、炭酸塩等の無機アルカリだけでなく、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイドなどの有機アルカリ、アンモニア水、アンモニア水素水、アンモニア過水等が挙げられる。アルカリ洗浄液はSiO2を溶解する恐れがあるため、モールドがガラスや石英の場合には酸洗浄液が好ましく、特に好ましくは硫酸過水である。特に100nm以下の微細パターンをもつ石英モールドの洗浄においては、アルカリ洗浄液にSiO2の溶解作用によりモールドの矩形性を損なう恐れがあるため、酸洗浄液を用いることで微細パターンの損傷無くモールドが洗浄され、繰り返し用いることが出来る。
洗浄方法としては、特に限定は無いが、スプレー、シャワー、浸漬、加温浸漬、超音波浸漬、スピン法、バブリング、揺動法、ブラッシング、スチーム、研磨等が挙げられ、洗浄された汚染物の再付着防止のためには、スピン法が特に好ましい。
本発明の光硬化性樹脂層を形成する基材としては、種々の用途によって選択可能であり、例えば、石英、サファイア、ガラス、プラスチック、セラミック材料、蒸着膜(CVD、PVD、スパッタ)、磁性膜、反射膜、Ni,Cu,Cr,Fe,ステンレス等の金属基板、紙、SOG(Spin On Glass)、SOC(Spin On Carbon)、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム等のポリマー基板、TFTアレイ基板、PDPの電極板、ITOや金属等の導電性基材、絶縁性基材、シリコン、窒化シリコン、ポリシリコン、酸化シリコン、アモルファスシリコンなどの半導体作製基板等が挙げられる。
また、光硬化性樹脂層の上層または下層に別の層を積層した多層の積層体としてもかまわない。積層体の組み合わせとしては特に限定は無いが、Cr、Al、Ni等のメタルマスクや、ノボラック樹脂等のフェノール樹脂、ヒドロキシビニルナフタレン共重合体、ポリビニルフェノール共重合体等のビニル樹脂、ノルトリシクレン共重合体、インデン共重合体、アセナフチレン共重合、フラーレン誘導体等の多環芳香族系樹脂、これら樹脂の硬化物等からなるSOC層や、CVDで形成されるアモルファスカーボン膜等が挙げられる。また、3層、4層と異なる材料が積層された多層基材であってもよい。
また、基材の形状も特に制限はなく、平板、シート状、あるいは3次元形状全面にまたは一部に曲率を有するもの等目的に応じた任意の形状であってよい。また、基材の硬度、厚み等にも制限はない。
本発明の光硬化性樹脂層は、基材上に光硬化性組成物を直接塗布することで層を形成してもよいし、仮基材上で光硬化性樹脂層を形成したのちに光硬化性樹脂層を剥離して、基材に張り付けて積層体としてもかまわない。光硬化性組成物層がパターン形成されたものであれば、積層体をドライエッチングすることで、ドライエッチングによりパターンが基材に転写された、パターン形成物が得られる。
本発明の光硬化性組成物及びその硬化物は、ドライエッチング耐性に優れるため、ドライエッチングの際にもパターン等の崩れがなく、ナノサイズの微細なエッチングパターンであっても、基材に転写が可能である。
ドライエッチングに使用するガスとしては、公知のものを用いればよく、例えば、酸素、一酸化炭素、二酸化炭素などの酸素原子含有ガス、ヘリウム、窒素、アルゴン等の不活性ガス、塩素、三塩化ホウ素などの塩素系ガス、フッ素ガス、フルオロカーボン系ガス、水素ガス、アンモニアガス等を使用することができ、これらのガスは単独でも、適宜混合して用いてもかまわない。
これらのエッチングガスを用いてエッチングすることにより、基材上に所望のパターンを形成することができる。
次に、本発明を、実施例及び比較例により具体的に説明をする。例中断りのない限り、「部」「%」は重量規準である。
以下、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[合成例1]
<重合性化合物(A-1)の調製>
メチル系シリコーンレジンKR-500(商品名、信越化学工業社製)(110.8部)、2-ヒドロキシエチルアクリレート(58.1部)、パラトルエンスルホン酸一水和物(0.034部)を混合、5%の酸素を含む窒素ガスをバブリングしながら120℃に昇温し、縮合反応により生成したメタノールを留去しながら3時間撹拌して反応させ、重合性単量体(A-1)153.9部を得た。
得られた化合物の物性値は、以下の通りであったことから、分子中にアルコキシシリル基有し、ケイ素原子を10wt%以上含む重合性化合物であることが確認できた。1H-NMR(300MHz,CDCl3)δ(ppm):6.43(m,CH=C),6.13(m,C=CH-C=O),5.83(m,CH=C),4.25(br,CH2-O-C=O),3.96(br,CH2-O-Si),3.50(s,Si-OCH3),0.15(s,Si-CH3).重量平均分子量を測定したところ、1650であった。
<光硬化性組成物の調製>
後述する表1に示す配合表に基づいて各成分を配合し、重合性化合物(A)100重量部、または比較重合性化合物(A’)の合計100重量部に対してOMNIRAD369E(IGM社製)2重量部を混合して溶解させた後、孔径0.5μmのテトラフルオロエチレン製のメンブレンフィルターでろ過することで本発明の光硬化性組成物及び比較用光硬化性組成物を調製した(実施例1~7及び比較例1~4)。
なお、表は、重量比で示している。
≪本発明の実施例で使用した化合物≫
<重合性化合物(A)>
A-1:合成例1で得た化合物
<比較重合性化合物(A’)>
A’-1:トリプロピレングリコールジアクリレート
A’-2:メチルメタクリレート
A’-3:グリシジルメタクリレート
<重合禁止剤(B)>
B-1:1,4-ナフトキノン
B-2:4-ベンゾイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン 1-オキシル フリーラジカル
B-3:ADEKA製アデカスタブAO-50(オクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)
B-4:精工化学製ノンフレックスEBP(2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール))
B-5:2,2,6,6-テトラメチルピペリジン 1-オキシル フリーラジカル
B-6:1,4-ベンゾキノン
B-7:2,5-tert-ブチルヒドロキノン
<比較重合禁止剤(B’)>
B’-1:4-メトキシフェノール
<ドライエッチング耐性>
実施例1~7及び比較例1~4で得られた光硬化性組成物を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶剤を用いて希釈した後、シリコンウエハ基板上にスピンコート塗布し、ホットプレート上で90℃で60秒間ベークした。窒素雰囲気下で、主発光ピークが365nmの紫外線を100mJ/cm2照射して光硬化性組成物を硬化した。このとき膜厚は200nmであった。このシリコンウエハ基板を下記条件よりドライエッチングを行った後、硬化膜の残存膜厚を測定した。
ドライエッチング装置:SAMCO社製RIE-200NL
ガス:酸素
流量:10sccm
圧力:0.1Pa
RF出力:100W
処理時間:10分
上記結果から、光硬化性組成物のドライエッチング耐性を以下のように評価した。
A:硬化膜の残存膜厚が100nm以上
B:硬化膜の残存膜厚が100nm未満
<貯蔵安定性>
実施例1~7及び比較例1~4で得られた光硬化性組成物を30mLガラス製バイアルに25g加えて密栓し、25℃で30日間保存した。光硬化性組成物中の重合禁止剤(B)または比較重合禁止剤(B’)の残存量を、下記条件のガスクロマトグラフィーにより定量した。
装置:島津製作所製ガスクロマトグラフGC-2010AF
カラム:Agilent DB-1(長さ30m、内径0.320mm、膜厚0.25μm)
検出器:FID
キャリアガス:He、流速2mL/min
注入温度:300℃
検出温度:300℃
初期温度:50℃(保持時間5min)
昇温速度:20℃/min
最終温度:TMP300℃/(保持時間3min)
上記分析結果から、貯蔵中における重合禁止剤含有量の経時変化を基準に、光硬化性組成物の貯蔵安定性を以下のように評価した。
A:[30日経過後の重合禁止剤の濃度]/[調製直後の重合禁止剤の濃度]が0.9以上
B:[30日経過後の重合禁止剤の濃度]/[調製直後の重合禁止剤の濃度]が0.9未満
<硬化抑制性能>
実施例1~7及び比較例1~4で得られた光硬化性組成物において、下記条件でUVレオメーター法により弾性率の経時変化を測定した。
装置:アントンパール製オプティカルレオメーターMCR-102
スポット光源:浜松ホトニクス製L9588-01
光源フィルタ:浜松ホトニクス製A9616-03
照度:1mW/cm2(波長365nm)
露光時間:60秒
レオメーター冶具:8mmΦパラレルプレート
初期厚み:50μm
周波数:10Hz(歪み0.2%)
上記測定結果から、硬化抑制効果を以下のように評価した。
A:露光開始後5秒以上経過後も貯蔵弾性率G’が1000Pa未満
B:露光開始後1秒以上5秒未満で貯蔵弾性率G’が1000Paを超える
C:露光開始後1秒未満で貯蔵弾性率G’が1000Paを超える
<感度>
実施例1~7及び比較例1~4で得られた硬化性組成物において、照度と露光時間を下記条件に変更した以外は<硬化抑制効果>と同様の条件でUVレオメーター法により弾性率の経時変化を測定した。
照度:100mW/cm2(波長365nm)
露光時間:1秒(露光終了後も暗反応により後重合する)
上記測定結果から、感度を以下のように評価した。
A:露光開始5秒後の貯蔵弾性率G’が10MPa以上
B:露光開始5秒後の貯蔵弾性率G’が10MPa未満
<揮発性>
実施例1~7及び比較例1~4で得られた光硬化性組成物を、アルミ製の65mmΦのシャーレに1g入れ、5mLのPGMEAを入れて溶解し、150℃の吸引ダクト付きオーブンで1時間乾燥させた。乾燥後のシャーレに溶剤を加えて回収し、乾燥後の硬化性組成物中の重合禁止剤(B)または比較重合禁止剤(B’)の残存量を、<貯蔵安定性>の条件と同様のガスクロマトグラフィーにより定量した。
A:[乾燥後の重合禁止剤の濃度]/[調製直後の重合禁止剤の濃度]が0.9以上
B:[乾燥後の重合禁止剤の濃度]/[調製直後の重合禁止剤の濃度]が0.9未満
<インプリントパターン周囲の硬化抑制性能>
実施例1~7及び比較例1~4で得られた光硬化性組成物を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶剤を用いて希釈した後、シリコンウエハ基板上にスピンコート塗布し、ホットプレート上で90℃で60秒間ベークした。このとき膜厚は1.0μmであった。このシリコンウエハ基板をSCIVAX社製ナノインプリント装置X300の下面ステージにセットした。45~100nmのライン/スペースパターンを有し、溝深さが100nmの石英を材質とするモールド(NTTアドバンステクノロジ社製、NIM PHL-45)をベースガラスに固定し、モールドの周囲をスパッタリング成膜によりCr膜で被覆して遮光した後、上記装置の上面ステージにセットした。上記装置の真空ベローズ使用しワークを真空にした状態で、上面ステージを下降させてモールドを硬化性組成物に接触させ、10秒間かけて100Nまで加圧し、30秒間保持した後、モールドの裏面からピーク波長365±5nmのLED光源を用いて100mJ/cm2の条件で露光し、1mm/minの速度で上面ステージを上昇させてモールドを剥離し基板の中央にパターンを形成させた試料を得た。パターンエリア周囲のモールドに接触しなかった部分(Cr膜による遮光部に対応する)を、イソプロピルアルコールIPAを用いて洗い流した後、パターンエリアの端部を光学顕微鏡で観察し、イソプロパノールで洗い流されなかった幅(遮光部の硬化幅)の測長により、インプリントパターンエリア周囲の硬化抑制性能を以下のように評価した。
A:遮光部の硬化幅が1mm未満
B:遮光部の硬化幅が1mm以上、2mm未満
C:遮光部の硬化幅が2mm以上
Figure 0007081337000006
表1からわかるように本発明の光硬化性組成物は、光インプリント用レジストの成分としてドライエッチング(酸素プラズマエッチング)耐性に優れるケイ素含有アクリル酸エステル系樹脂を採用した場合においても、貯蔵安定性が良好であり、感度を損なうことなく、モールド内の迷光などによってモールドが押し付けられていない領域の樹脂層が硬化される不具合を解消することができた。比較例1に示すように、重合禁止剤を含有していない光硬化性樹脂組成物を用いた場合、感度は良好であったが、インプリントパターンエリア周囲の硬化抑制性能が悪い。これを改善するために、比較例2では比較重合禁止剤(B’-1)を用いたところ、インプリントパターンエリア周囲の硬化抑制性能はいくらか改善したが、十分に良くならなかった。比較例3では比較重合禁止剤(B’-1)の量を増加させたところ、硬化抑制性能が改善したが、インプリントパターンエリア周囲の硬化抑制性能は改善せず、感度が悪くなる結果となった。比較例4では、分子中にアルコキシシリル基を有する重合性化合物(A)の代わりに、純有機物である(メタ)アクリル酸エステル化合物を用いているため、ドライエッチング耐性が著しく悪化した。一方、重合禁止剤(B)として、ラジカル捕捉基がベンゾキノン基である化合物を用いた実施例1および6、ラジカル捕捉基が立体障害性の窒素を含有する基である化合物を用いた実施例2および5では、優れた硬化抑制性能が得られた。重合禁止剤(B)としてラジカル捕捉基が立体障害性のフェノール性水酸基である化合物を用いた実施例3、4および7では、それに次いて優れた硬化抑制性能が得られた。ラジカル捕捉基が立体障害性のフェノール性水酸基である化合物が、レスヒンダードフェノールである実施例7と比較して、ヒンダードフェノール、およびセミヒンダードフェノールである実施例3、4の方が貯蔵安定性が良好であった。また、十分に分子量の大きい重合禁止剤(B)を用いた実施例1~4および7では、ベーク工程における重合禁止剤(B)の揮発が抑制されるため、インプリントパターンエリア周囲の硬化抑制性能が良好であった。
<実施例8>
攪拌翼及び温度計を備えた内容積500mLの四つ口フラスコに、重合性化合物(A-1)を100g、重合禁止剤(B-1)を0.1g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを100gを加え、25℃で撹拌して溶解した後、イオン交換基を有する吸着剤アンバーリスト15JS-HG・DRY(オルガノ社製、イオン交換基としてスルホン酸を有する)を2g加え、40℃で6時間撹拌して接触させ、濾紙を用いて濾過し、濾液の光硬化性組成物中に含まれる重合禁止剤(B-1)の含有量を<貯蔵安定性>の条件と同様のガスクロマトグラフィーにより定量したところ、[吸着剤と接触させた後の重合禁止剤(B-1)の濃度]/[吸着剤と接触させる前の重合禁止剤(B-1)の濃度]が0.95であった。
<比較例5>
重合禁止剤(B-1)の代わりに比較重合禁止剤(B’-1)を用いた以外は実施例8と同様の操作を実施し、濾液の光硬化性組成物中に含まれる重合禁止剤(B’-1)の含有量を<貯蔵安定性>の条件と同様のガスクロマトグラフィーにより定量したところ、[吸着剤と接触させた後の比較重合禁止剤(B’-1)の濃度]/[吸着剤と接触させる前の比較重合禁止剤(B’-1)の濃度]が0.05であった。
実施例8および比較例5からわかるように、本発明の製造方法を用いることで、残存不純物の除去目的で行われる吸着剤との接触後においても、十分な量の重合禁止剤を含有する光硬化性組成物を得ることができた。
本発明の光硬化性組成物は、酸素プラズマエッチング耐性に優れることから、ドライエッチングレジスト用組成物、および光インプリント用組成物として好適に使用可能である。

Claims (16)

  1. 分子中にアルコキシシリル基を有する重合性化合物(A)と、重合禁止剤(B)とを含む光硬化性組成物であって、
    前記重合禁止剤(B)が、下記式(B2-1)で表される化合物、下記式(B2-2)で表される化合物および下記式(B3-1)で表され且つ分子量は190g/mol以上である化合物からなる群から選択される1種以上である光硬化性組成物。
    Figure 0007081337000007
    (前記式(B2-1)、(B2-2)および(B3-1)中、
    は置換基を有していても良い炭素数4~20のtert-アルキル基を表す。
    10 は置換基を有していても良い炭素数1~20のアルキル基を表す。
    11 ~X 13 は、それぞれ独立して水素原子、または置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルキル基、または置換基を有していてもよい炭素数4~30のアリール基を表す。
    14 およびX 15 は置換基を有していても良い炭素数4~20のtert-アルキル基を表す。
    16 ~X 23 は、それぞれ独立して水素原子、または置換基を有していてもよい炭素数1~18のアルキル基、または置換基を有していてもよい炭素数6~20のアリール基を表す。
    24 は水素原子、または置換基を有していてもよい飽和または不飽和の炭素数1~18の炭化水素基を表す。
    25 は窒素を含む5~7員の複素環を構成する2価の基であって、置換基を有してもよい。
    26 ~X 29 はそれぞれ独立して炭素数1~6のアルキル基を表し、同一の炭素に置換された基は結合して環を巻いてもよい。
    30 は水素原子、または置換基を有していてもよい炭素数1~18のアルキル基またはオキシラジカル基を表す。)
  2. 前記式(B2-1)で表される化合物および前記式(B2-2)で表される化合物の分子量が、それぞれ、150g/mol以上である請求項1に記載の光硬化性化合物。
  3. 前記分子中にアルコキシシリル基を有する重合性化合物(A)が、下記式(A1)で表される重合性基を有する基を少なくとも1つ有する多官能重合性単量体であり、ケイ素原子を10wt%以上含むものであることを特徴とする、請求項1又は2記載の光硬化性組成物。
    -O-R-Y ・・・(A1)
    (上記式(A1)において、酸素原子はケイ素原子に結合し、Rは単結合、またはヘテロ原子を含んでもよい非置換または置換の炭素数1~25のアルキル基を表し、Yは重合性基を表す)
  4. 前記式(A1)において、Yが(メタ)アクリロイル基である、請求項に記載の光硬化性組成物。
  5. 前記光硬化性組成物中の前記重合禁止剤(B)の含有量が、前記分子中にアルコキシシリル基を有する重合性化合物(A)100重量部に対して0.001~1重量部の範囲内である、請求項1~のいずれか一項に記載の光硬化性組成物。
  6. 前記光硬化性組成物に無酸素雰囲気中で主発光ピークが365nmの紫外線を1mJ/cm照射した後の、該光硬化性組成物の25℃の動的粘弾性測定における貯蔵弾性率G’が1000Pa以下である、請求項1~のいずれか一項に記載の光硬化性組成物。
  7. 前記光硬化性組成物に無酸素雰囲気中で主発光ピークが365nmの紫外線を100mJ/cm照射した後の、該光硬化性組成物の25℃の動的粘弾性測定における貯蔵弾性率G’が10MPa以上である、請求項1~に記載の光硬化性組成物。
  8. スピンコート用である、請求項1~のいずれか一項に記載の光硬化性組成物。
  9. 光インプリント用である、請求項1~のいずれか一項に記載の光硬化性組成物。
  10. ステップ・アンド・リピート方式の光インプリント用である、請求項に記載の光硬化性組成物。
  11. 請求項1~10に記載の光硬化性組成物を含有するレジスト用組成物。
  12. 請求項1~11のいずれか一項に記載の光硬化性組成物を硬化してなる硬化物。
  13. 請求項12に記載の硬化物層と基板とを積層してなる積層体。
  14. 前記分子中にアルコキシシリル基を有する重合性化合物(A)に前記重合禁止剤(B)を溶解させ混合物を得る工程と、得られた混合物を、イオン交換基を有する吸着剤またはフィルタに接触させる工程と、
    を含む、請求項1~10のいずれかに記載の光硬化性組成物の製造方法。
  15. 前記イオン交換基が、スルホン酸基、リン酸基、カルボン酸基、アミノ基、イミダゾリル基、ピリジル基、アミド基、メルカプト基である、請求項14に記載の光硬化性組成物の製造方法。
  16. 請求項1~10のいずれか一項に記載の光硬化性組成物層を基板上に形成する工程と、前記基板をベークする工程と、前記光硬化性組成物を硬化する工程とを少なくとも含む、積層体の製造方法。
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