JP7081176B2 - 電子機器システム、運用系/待機系切換方法及びプログラム - Google Patents

電子機器システム、運用系/待機系切換方法及びプログラム Download PDF

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Description

本発明は、電子機器システム、特に冗長構成を有する複数の電子機器を含む電子機器システム、当該電子機器システムにおける運用系/待機系切換方法、及びプログラムに関する。
電子機器の耐障害性を高めるために、同一の構成を有する複数の電子機器を設け、これら電子機器のうちの1つを実際に用いる運用系、他の電子機器を待機系として運用する多重構成制御装置が提案されている(特許文献1参照)。
当該多重構成制御装置では、全ての「系」が同時に故障となる状況を回避するために、各「系」毎に累積使用時間を計測し、「系」同士の累積使用時間の差が所定の一定時間以上となるように、各電子機器に対する運用系及び待機系の割り当てを切り換えている。
特開2009-200854号公報
上記した多重構成制御装置によれば、全ての「系」が同時に故障となる状況を回避できるが、運用系に割り当てられる頻度が高い電子機器については、累積使用時間が突出して長くなる虞があり、経年劣化によって故障に到るまでの期間が短くなる。
そこで、本発明は、冗長構成を有する複数の電子機器を含む電子機器システムの経年劣化に伴う寿命低下を抑制することが可能な電子機器システム、運用系/待機系切換方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
本発明に係る電子機器システムは、冗長構成を有するN(Nは2以上の整数)個の電子機器のうちの少なくとも1つの電子機器を運用系、他の電子機器を待機系として動作する電子機器システムであって、前記N個の電子機器各々の経年劣化度を検出する経年劣化検出部と、前記経年劣化検出部にて検出された前記N個の電子機器に対応したN個の前記経年劣化度を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶されている前記N個の前記経年劣化度のうちで最大の経年劣化度と最小の経年劣化度との差が所定の閾値より大であるか否かを判定し、前記差が前記閾値より大であると判定した場合に、前記最小の経年劣化度に対応した前記電子機器を前記運用系に切り換えると共に、前記最大の経年劣化度に対応した前記電子機器を前記待機系に切り換える切換制御部と、前記N個の電子機器の内部の温度を検出する温度センサと、を含み、前記経年劣化検出部は、前記N個の電子機器の累積通電時間を計測し、計測した前記累積通電時間に、前記温度に基づく重み付けを施して得られた時間を前記経年劣化度として算出することを特徴とする。
また、本発明に係る電子機器システムは、冗長構成を有する第1及び第2の電子機器のうちの一方を運用系、他方を待機系として動作する電子機器システムであって、前記第1及び第2の電子機器の各々は、自機の経年劣化度を検出する経年劣化検出部と、前記経年劣化検出部で検出された前記経年劣化度を表す自機経年劣化情報を記憶すると共に、前記経年劣化度を前記第1及び第2の電子機器のうちの他機に送信し、前記他機から送信された経年劣化度を受信した場合には受信した前記経年劣化度を表す他機経年劣化情報を記憶する記憶部と、前記自機経年劣化情報にて表される前記経年劣化度と前記他機経年劣化情報にて表される前記経年劣化度との差が所定の閾値より大であるか否かを判定し、前記差が前記閾値より大であると判定した場合に、前記第1及び第2の電子機器のうちの前記他方を運用系、前記一方を待機系に切り換える切換制御部と、前記第1及び第2の電子機器の内部の温度を検出する温度センサと、を含み、前記経年劣化検出部は、前記第1及び第2の電子機器の累積通電時間を計測し、計測した前記累積通電時間に、前記温度に基づく重み付けを施して得られた時間を前記経年劣化度として算出することを特徴とする。
本発明に係る電子機器の運用系/待機系切換方法は、冗長構成を有するN(Nは2以上の整数)個の電子機器のうちの少なくとも1つの電子機器を運用系、他の電子機器を待機系として動作する電子機器システムにおける運用系/待機系切換方法であって、前記N個の電子機器の累積通電時間を計測し、計測した前記累積通電時間に、前記N個の電子機器の内部の温度に基づく重み付けを施して得られた時間を、前記N個の電子機器各々の経年劣化の度合いを表す経年劣化度として検出し、検出された前記N個の電子機器に対応したN個の前記経年劣化度のうちで最大の経年劣化度と最小の経年劣化度との差が所定の閾値より大であるか否かを判定し、前記差が前記閾値より大であると判定された場合に、前記最小の経年劣化度に対応した前記電子機器を前記運用系に切り換えると共に、前記最大の経年劣化度に対応した前記電子機器を前記待機系に切り換える。
本発明に係るプログラムは、冗長構成を有するN(Nは2以上の整数)個の電子機器のうちの少なくとも1つの電子機器を運用系、他の電子機器を待機系として動作する電子機器システムに含まれる制御部が実行するプログラムであって、前記N個の電子機器の累積通電時間を計測するステップと、計測した前記累積通電時間に、前記N個の電子機器の内部の温度に基づく重み付けを施して得られた時間を、前記N個の電子機器各々の経年劣化の度合いを表す経年劣化度として検出するステップと、検出された前記N個の電子機器に対応したN個の前記経年劣化度のうちで最大の経年劣化度と最小の経年劣化度との差が所定の閾値より大であるか否かを判定するステップと、前記差が前記閾値より大であると判定された場合に、前記最小の経年劣化度に対応した前記電子機器を前記運用系に切り換えると共に、前記最大の経年劣化度に対応した前記電子機器を前記待機系に切り換えるステップと、を実行させる。
本発明では、冗長構成を有する複数の電子機器のうちの少なくとも1つの電子機器を運用系、他の電子機器を待機系として動作させるにあたり、これら電子機器各々の経年劣化度を個別に検出する。そして、検出した電子機器毎の経年劣化度のうちで最大の経年劣化度と、最小の経年劣化度との差が所定の閾値より大である場合に、最小の経年劣化度に対応した電子機器を運用系に切り換え、最大の経年劣化度に対応した電子機器を待機系に切り換える。これにより、複数の電子機器の経年劣化度を均一化することができるので、経年劣化に伴う寿命低下を抑制することが可能となる。
本発明に係る電子機器システム100の構成を示すブロック図である。 電子機器システム100の他の構成を示すブロック図である。 運用系/待機系切換処理の手順を示すフローチャートである。 運用系/待機系切換処理の手順を示すフローチャートである。
図1は、本発明に係る電子機器システム100の構成を示すブロック図である。通信システム100は、冗長構成を有する電子機器10A及び10Bと、運用/待機セレクタ60と、を含む。通信システム100では、電子機器10A及び10Bのうちの一方が運用系、他方が待機系として動作する。尚、運用/待機セレクタ60については、これを電子機器10A及び10B各々の内部に組み込み、電子機器10A及び10B間で連動して動作させるようにしても良い。
電子機器10A(10B)は、主回路構成部20A(20B)、経年劣化検出部30A(30B)、データレート検出器31A(31B)、温度センサ32A(32B)、記憶部40A(40B)、及び判定部50A(50B)を含む。
尚、電子機器10A及び10Bは互いに同一の内部構成を有するので、以下に、電子機器10Aを抜粋してその内部構成について説明する。
主回路構成部20Aは、電子機器10Aとしての機能を実現する各種のアナログ回路又はディジタル回路が形成されている。更に、主回路構成部20Aは、外部からの信号を受ける少なくとも1つの入力端子、及び生成した信号を外部に出力する少なくとも1つの出力端子を備える。これら入力端子及び出力端子は、ライン群Laを介して運用/待機セレクタ60に接続されている。尚、電子機器10Bの主回路構成部20Bに含まれる入力端子及び出力端子は、ライン群Lbを介して運用/待機セレクタ60に接続されている。
主回路構成部20Aは、例えばハードディスク装置(以下、HDDと称する)21A、メモリ22A、コンデンサ23A等の有寿命の回路部品を含む。
データレート検出器31Aは、HDD21Aから読み出されたデータ、及びHDD21Aに書き込まれたデータのデータレートを検出し、当該データレートを表すデータレート信号Rtを経年劣化検出部30Aに供給する。また、データレート検出器31Aは、メモリ22Aから読み出されたデータ、及びメモリ22Aに書き込まれたデータのデータレートを検出し、当該データレートを表すデータレート信号Mtを経年劣化検出部30Aに供給する。
温度センサ32Aは、電子機器10A内の温度、特に主回路構成部20Aの周囲の温度を検出し、検出した温度を表す温度信号Teを経年劣化検出部30Aに供給する。
経年劣化検出部30Aは、主回路構成部20Aに含まれる回路部品毎に、その回路部品の経年劣化度を検出する。つまり、経年劣化検出部30Aは、回路部品毎に累積通電時間を計測し、この累積通電時間に、当該回路部品の使用負荷となるパラメータに基づく重みを付与した時間を経年劣化度として得る。経年劣化検出部30Aは、回路部品毎に検出した経年劣化度を、電子機器10Aの経年劣化度合を表す自機経年劣化情報として記憶部40Aに記憶させる。
すなわち、先ず、経年劣化検出部30Aは、回路部品としてのHDD21A、メモリ22A、及びコンデンサ23Aの各々毎に、使用負荷となるパラメータに基づく重み係数を所定の監視周期毎に設定する。尚、監視周期は、HDD21A、メモリ22A、及びコンデンサ23Aの各々に個別に割り当てられる。例えば、HDD21A、及びメモリ22Aには監視周期として1分間を割り当て、コンデンサ23Aには監視周期として1時間を割り当てる。
これにより、例えば経年劣化検出部30Aは、1分間の監視周期毎に、使用負荷となるパラメータとしてのデータレート信号Rt及びMtを取り込む。引き続き、経年劣化検出部30Aは、データレート信号Rtにて表されるデータレートを、HDD21Aの標準データレートで除算した結果を、HDD21Aに対応した重み係数P1として設定する。また、経年劣化検出部30Aは、データレート信号Mtにて表されるデータレートを、メモリ22Aの標準データレートで除算した結果を、メモリ22Aに対応した重み係数P2として設定する。尚、上記した重み係数P1、P2の設定は一例であり、回路部品の特性に基づき適切な値に設定される。
更に、経年劣化検出部30Aは、例えば1時間の監視周期毎に、使用負荷となるパラメータとしての温度信号Teを取り込む。引き続き、経年劣化検出部30Aは、温度信号Teで表される温度が例えば摂氏40度の時に「1.0」となり、当該「1.0」を中心に、その温度が摂氏40度以上であるか否かによって増減する係数を、コンデンサ23Aに対応した重み係数P3として設定する。つまり、温度信号Teで表される温度が摂氏40度より高い場合には「1.0」より大となり、その温度が摂氏40度より低い場合には「1.0」より小さくなる係数が、コンデンサ23Aに対応した重み係数P3として設定される。例えば、温度信号Teにて表される温度が摂氏50度の場合には「1.1」の重み係数P3が設定される。
次に、経年劣化検出部30Aは、HDD21A、メモリ22A、及びコンデンサ23Aの各々毎に、通電が行われる通電期間を検出する。
経年劣化検出部30Aは、HDD21Aの通電期間中において、当該HDD21Aに割り当てられている「1分」の監視周期毎に、その1分の監視周期に重み係数P1を乗算して重み付けした時間を、HDD21Aに対応した周期通電時間CC1とする。例えば、HDD21Aの実際の通電時間「1分」に対して、重み係数P1が「1.1」を示す場合には、周期通電時間CC1は「1.1分」となる。
また、経年劣化検出部30Aは、メモリ22Aの通電期間中において、当該メモリ22Aに割り当てられている「1分」の監視周期毎に、その1分の監視周期に重み係数P2を乗算して重み付けした時間を、メモリ22Aに対応した周期通電時間CC2とする。例えば、メモリ22Aの実際の通電時間が「1分」である場合に、重み係数P2が「0.9」を示す場合には、周期通電時間CC2は「0.9分」となる。
更に、経年劣化検出部30Aは、コンデンサ23Aの通電期間中において、当該コンデンサ23Aに割り当てられている「1時間」の監視周期毎に、その1時間の監視周期に重み係数P3を乗算して重み付けした時間を、コンデンサ23Aに対応した周期通電時間CC3とする。例えば、コンデンサ23Aの実際の通電時間が「1時間」である場合に、重み係数P3が「1.0」を示す場合には、周期通電時間CC3は「1時間」となる。
次に、経年劣化検出部30Aは、記憶部40Aから、電子機器10A(自機)の経年劣化度合を表す自機経年劣化情報を読み出す。尚、記憶部40Aには、この自機経年劣化情報として、電子機器10Aに含まれているHDD21A、メモリ22A及びコンデンサ23A各々の経年劣化度を表す情報が記憶されている。ここで、HDD21Aの経年劣化度を経年劣化度AC1、メモリ22Aの経年劣化度を経年劣化度AC2、コンデンサ23Aの経年劣化度を経年劣化度AC3と称する。これら経年劣化度AC1~AC3は、製品出荷時には初期値としての例えばゼロに設定されている。記憶部40Aは、電源遮断後も記憶情報が消失されない不揮発性メモリからなる。
具体的には、経年劣化検出部30Aは、HDD21Aの通電期間中において、当該HDD21Aに割り当てられている「1分」の監視周期毎に、記憶部40Aから自機経年劣化情報を読み出す。そして、経年劣化検出部30Aは、この読み出した自機経年劣化情報にて表される経年劣化度AC1に、上記した周期通電時間CC1を加算したものを、新たな経年劣化度AC1として生成する。
また、経年劣化検出部30Aは、メモリ22Aの通電期間中において、当該メモリ22Aに割り当てられている「1分」の監視周期毎に、記憶部40Aから自機経年劣化情報を読み出す。そして、経年劣化検出部30Aは、この読み出した自機経年劣化情報にて表される経年劣化度AC2に、上記した周期通電時間CC2を加算したものを、新たな経年劣化度AC2として生成する。
更に、経年劣化検出部30Aは、コンデンサ23Aの通電期間中において、当該コンデンサ23Aに割り当てられている「1時間」の監視周期毎に、記憶部40Aから自機経年劣化情報を読み出す。そして、経年劣化検出部30Aは、この読み出した自機経年劣化情報にて表される経年劣化度AC3に、上記した周期通電時間CC3を加算したものを、新たな経年劣化度AC3として生成する。
経年劣化検出部30Aは、上記のように生成した経年劣化度AC1~AC3を、電子機器10Aの経年劣化度として検出し、当該経年劣化度AC1~AC3を表す新たな自機経年劣化情報として記憶部40Aに上書きする。
したがって、上述した一連の動作により、経年劣化検出部30Aは、電子機器10Aの累積通電時間を計測し、この累積通電時間に使用負荷(データレート、温度)に応じた重み付けを施して得られた時間を経年劣化度(AC1~AC3)として得る。
記憶部40Aは、経年劣化検出部30Aによって検出された、電子機器10Aの経年劣化度(AC1~AC3)を表す自機経年劣化情報を記憶すると共に、当該経年劣化度(AC1~AC3)を電子機器10Bに送信する。
また、記憶部40Aは、電子機器10B(他機)で検出された経年劣化度(AC1~AC3)を受信すると、この受信した経年劣化度を、電子機器10B(他機)の経年劣化度を表す他機経年劣化情報として上書き記憶する。
そして、記憶部40Aは、自身に記憶された自機経年劣化情報及び他機経年劣化情報を判定部50Aに供給する。
判定部50Aは、自機経年劣化情報にて表されるHDD21Aの経年劣化度AC1と、他機経年劣化情報にて表されるHDD21Bの経年劣化度AC1との差(以下、差ts1と称する)が所定の閾値Th1より大きいか否かを判定する。そして、判定部50Aは、差ts1が閾値Th1より大きいと判定した場合に、電子機器10A及び10Bのうちで、HDDの経年劣化度AC1が大きい方を待機系、小さい方を運用系に切り換える切換指令信号SCaを運用/待機セレクタ60に供給する。
また、判定部50Aは、自機経年劣化情報にて表されるメモリ22Aの経年劣化度AC2と、他機経年劣化情報にて表されるメモリ22Bの経年劣化度AC2との差(以下、差ts2と称する)が所定の閾値Th2より大きいか否かを判定する。そして、判定部50Aは、差ts2が閾値Th2より大きいと判定した場合に、電子機器10A及び10Bのうちで、メモリの経年劣化度AC2が大きい方を待機系、小さい方を運用系に切り換える切換指令信号SCaを運用/待機セレクタ60に供給する。
また、判定部50Aは、自機経年劣化情報にて表されるコンデンサ23Aの経年劣化度AC3と、他機経年劣化情報にて表されるコンデンサ23Bの経年劣化度AC3との差(以下、差ts3と称する)が所定の閾値Th3より大きいか否かを判定する。そして、判定部50Aは、差ts3が閾値Th3より大きいと判定した場合に、電子機器10A及び10Bのうちで、コンデンサの経年劣化度AC3が大きい方を待機系、小さい方を運用系に切り換える切換指令信号SCaを運用/待機セレクタ60に供給する。
このように、判定部50Aは、先ず、記憶部50Aに記憶されている、電子機器10Aに対応した自機経年劣化情報にて表される経年劣化度(AC1~AC3)と、電子機器10Bに対応した他機経年劣化情報にて表される経年劣化度(AC1~AC3)との差(ts1~ts3)を求める。そして、判定部50Aは、この差(ts1~ts3)が閾値(Th1~Th3)より大であるか否かを判定し、大であると判定した場合に、電子機器10A及び10Bのうちで経年劣化度が小さい方を運用系、大きい方を待機系に切り換える切換指令信号SCaを運用/待機セレクタ60に供給する。尚、判定部50Aは、その判定結果が電子機器10A及び10B内の回路部品により異なる場合には、予め決めておいた回路部品毎の優先度のうちで、優先度が高い回路部品での判定結果に基づき、切換指令信号SCaを得る。
尚、電子機器10Bの判定部50Bは、上記した判定部50Aと同様な判定動作によって切換指令信号SCbを生成し、これを運用/待機セレクタ60に供給する。
運用/待機セレクタ60は、初期状態時には、例えば電子機器10Aを運用系、電子機器10Bを待機系に割り当てる。この際、運用/待機セレクタ60は、電子機器10A及び10Bのうちで運用系に割り当てられた方に含まれる主回路構成部(20A又は20B)に接続されているライン群(La又はLb)を、外部機器(図示せず)に接続されている伝送ライン群LQと接続する。尚、待機系に割り当てられた電子機器については、主回路構成部に対する電源供給が停止するものの、経年劣化検出部、データレート検出器、温度センサ、記憶部、及び判定部に対しては電源供給が行われる。
運用/待機セレクタ60は、切換指令信号SCa又はSCbに応じて、電子機器10A及び10Bのうちで経年劣化度が小さい方を運用系、大きい方を待機系に切り換える。例えば、電子機器10Aの方が10Bよりも経年劣化度が小さい場合には、運用/待機セレクタ60は、電子機器10Aの主回路構成部20Aに接続されているライン群Laを伝送ライン群LQを介して外部機器と接続する。一方、電子機器10Bの方が10Aよりも経年劣化度が小さい場合には、運用/待機セレクタ60は、電子機器10Bの主回路構成部20Bに接続されているライン群Lbを伝送ライン群LQを介して外部機器と接続する。
上記したように、図1に示す電子機器システム100では、電子機器10A及び10Bに夫々含まれる同一の回路部品同士(例えば21Aと21B)の経年劣化度の差(例えばts1)が所定閾値(例えばTh1)を超えた場合に、運用系及び待機系の切換を行う。つまり、電子機器10A及び10Bのうちで経年劣化度が大きい方を待機系、小さい方を運用系に切り換える。
これにより、各回路部品の経年変化に伴う劣化度合を、電子機器10Aと電子機器10Bとで均一化することができるので、経年劣化に伴う寿命低下を抑制することが可能となる。
尚、上記実施例では、電子機器10A又は10Bから送出された切換指令信号SCa又はSCbに応じて、運用/待機セレクタ60が運用系及び待機系の切換を自動的に行っているが、これを手動操作で行うようにしても良い。すなわち、電子機器10A又は10Bから切換指令信号SCa又はSCbが送出された場合に、その旨を表示する表示装置(図示せず)を設ける。電子機器システム100の保守者は、当該表示装置の表示内容に基づき、手動で運用/待機セレクタ60の切換操作を行う。尚、保守者は、回路部品(21A~23A、21B~23B)を新品に交換した場合には、記憶部40A及び40Bに記憶されている回路部品毎の経年劣化度(AC1~AC3)のうちで、交換した回路部品に対応した経年劣化度ゼロに初期化する。
また、図1に示す実施例では、2つの電子機器10A及び10Bを互いの近傍位置に設置しているが、各電子機器の経年劣化度を示す情報をシステム内で共有できるのであれば、互いに異なる部屋、建造物、又は地域(国を含む)に設置されていても良い。
また、図1に示す経年劣化検出部30A、30B、及び判定部50A、50Bの動作をソフトウェア制御によって行うようにしても良い。
図2は、かかる点に鑑みて為された電子機器システム100の他の構成を示すブロック図である。尚、図2に示す構成では、経年劣化検出部30A、30B、及び判定部50A、50Bに代えて、ROM(read only memory)70A、70B、及び制御部80A、80Bを採用した点を除く他の構成は図1に示すものと同一である。
ROM70A(70B)には、図1に示す経年劣化検出部30A(30B)及び判定部50A(50B)の動作を担うプログラムが格納されている。制御部80A(80B)は、ROM70A(70B)に格納されているプログラムに従って、図1に示す経年劣化検出部30A(30B)及び判定部50A(50B)と同様な処理、つまり運用系/待機系切換処理を行う。
以下に、電子機器10Aの制御部80A、及び電子機器10Bの制御部80Bのうちから制御部80Aを抜粋して、当該制御部80Aによる運用系/待機系切換処理について説明する。
図3及び図4は、かかる運用系/待機系切換処理の手順を示すフローチャートである。
図3において、先ず、制御部80Aは、温度信号Te、データレート信号Rt及びMtに基づき、回路部品(21A~23A)毎に、使用負荷に応じた重み係数(P1~P3)を監視周期毎に設定する(ステップS11)。
次に、制御部80Aは、回路部品(21A~23A)毎に、その回路部品の通電期間を検出する(ステップS12)。
次に、制御部80Aは、各回路部品の通電期間中において、その回路部品に割り当てられている監視周期毎に、その監視周期に重み係数を乗算することにより周期通電時間(CC1~CC3)を算出する(ステップS13)。
次に、制御部80Aは、記憶部40Aから自機経年劣化情報を読み出す(ステップS14)。
次に、制御部80Aは、自機経年劣化情報で表される回路部品毎の経年劣化度を示す情報(AC1~AC3)に、その回路部品に対応した周期通電時間を加算することで新たな経年劣化度を検出し、この経年劣化度を表す新たな自機経年劣化情報を記憶部40Aに上書きする(ステップS15)。
次に、制御部80Aは、記憶部40Aに上書きされた自機経年劣化情報にて表される経年劣化度を電子機器10Bに送信する(ステップS16)。
次に、制御部80Aは、電子機器10B(他機)から送信された経年劣化度を表す情報を受信したか否かを判定する(ステップS17)。
ステップS17において、電子機器10B(他機)から送信された経年劣化度を表す情報を受信したと判定された場合、制御部80Aは、受信した情報を他機経年劣化情報として記憶部40Aに上書きする(ステップS18)。
ステップS18の実行後、又はステップS17で電子機器10B(他機)から送信された経年劣化度を示す情報を受信していないと判定された場合、制御部80Aは、記憶部40Aから自機経年劣化情報及び他機経年劣化情報を読み出す(ステップS19)。
次に、制御部80Aは、自機経年劣化情報にて表される経年劣化度(AC1~AC3)と、他機経年劣化情報にて表される経年劣化度(AC1~AC3)との差(ts)を算出する(ステップS20)。
次に、制御部80Aは、算出された差(ts)が閾値(Th)より大きいか否かを判定する(ステップS21)。
ステップS21において、この差(ts)が閾値(Th)より大きいと判定された場合に、制御部80Aは、電子機器10A及び10Bのうちで経年劣化度が小さい方を運用系、大きい方を待機系に切り換える切換指令信号(SCa)を運用/待機セレクタ60に供給する(ステップS22)。
かかるステップS22の実行後、又はステップS21で差(ts)が閾値(Th)以下であると判定された場合、制御部80Aは、上記ステップS11の実行に戻り、前述した動作を再び実行する。
また、図1に示される実施例では、冗長構成を有する電子機器として2つの電子機器10A及び10Bを有するシステムの動作を説明している、冗長構成を有する3つ以上の複数の電子機器に対しても、同様に本発明を適用可能である。
要するに、冗長構成を有するN(Nは2以上の整数)個の電子機器のうちの少なくとも1つの電子機器を運用系、他の電子機器を待機系として動作する電子機器システムとしては、以下の経年劣化検出部、記憶部、及び切換制御部を含むものであれば良い。
すなわち、経年劣化検出部(30A又は30B)は、N個の電子機器各々の経年劣化度(AC)を検出する。記憶部(40A又は40B)は、経年劣化検出部にて検出されたN個の電子機器に対応した経年劣化度を夫々表すN個の経年劣化情報を記憶する。切換制御部(50A又は50B、60)は、記憶部に記憶されているN個の経年劣化度のうちで最大の経年劣化度と最小の経年劣化度との差(ts)が所定の閾値(Th)より大であるか否かを判定する。ここで、この差(ts)が閾値(Th)より大であると判定した場合に、切換制御部は、最小の経年劣化度に対応した電子機器(10A又は10B)を運用系に切り換えると共に、最大の経年劣化度に対応した電子機器(10B又は10A)を待機系に切り換える。
換言すると、以下のような方法で、上記した電子機器システムにおいて運用系/待機系の切り換えを行えば良いのである。
先ず、N個の電子機器各々の経年劣化度を検出し(S11~S18)、検出したN個の電子機器に対応したN個の経年劣化度のうちで最大の経年劣化度と最小の経年劣化度との差が所定の閾値より大であるか否かを判定する(S19~S21)。そして、この差が閾値より大であると判定された場合に、最小の経年劣化度に対応した電子機器を運用系に切り換えると共に、最大の経年劣化度に対応した電子機器を待機系に切り換える(S22)。
10A、10B 電子機器
20A、20B 主回路構成部
21A、21B HDD
22A、22B メモリ
23A、23B コンデンサ
30A、30B 経年劣化検出部
40A、40B 記憶部
50A、50B 判定部
60 運用/待機セレクタ
70A、70B ROM
80A、80B 制御部
100 電子機器システム

Claims (5)

  1. 冗長構成を有するN(Nは2以上の整数)個の電子機器のうちの少なくとも1つの電子機器を運用系、他の電子機器を待機系として動作する電子機器システムであって、
    前記N個の電子機器各々の経年劣化度を検出する経年劣化検出部と、
    前記経年劣化検出部にて検出された前記N個の電子機器に対応したN個の前記経年劣化度を記憶する記憶部と、
    前記記憶部に記憶されている前記N個の前記経年劣化度のうちで最大の経年劣化度と最小の経年劣化度との差が所定の閾値より大であるか否かを判定し、前記差が前記閾値より大であると判定した場合に、前記最小の経年劣化度に対応した前記電子機器を前記運用系に切り換えると共に、前記最大の経年劣化度に対応した前記電子機器を前記待機系に切り換える切換制御部と、
    前記N個の電子機器の内部の温度を検出する温度センサと、を含み、
    前記経年劣化検出部は、前記N個の電子機器の累積通電時間を計測し、計測した前記累積通電時間に、前記温度に基づく重み付けを施して得られた時間を前記経年劣化度として算出することを特徴とする電子機器システム。
  2. 前記N個の電子機器に含まれる部品のデータレートを検出するデータレート検出部を含み、
    前記経年劣化検出部は、前記データレート検出部で検出された前記データレートに基づく重み付けを前記累積通電時間に施すことを特徴とする請求項1に記載の電子機器システム。
  3. 冗長構成を有する第1及び第2の電子機器のうちの一方を運用系、他方を待機系として動作する電子機器システムであって、
    前記第1及び第2の電子機器の各々は、
    自機の経年劣化度を検出する経年劣化検出部と、
    前記経年劣化検出部で検出された前記経年劣化度を表す自機経年劣化情報を記憶すると共に、前記経年劣化度を前記第1及び第2の電子機器のうちの他機に送信し、前記他機から送信された経年劣化度を受信した場合には受信した前記経年劣化度を表す他機経年劣化情報を記憶する記憶部と、
    前記自機経年劣化情報にて表される前記経年劣化度と前記他機経年劣化情報にて表される前記経年劣化度との差が所定の閾値より大であるか否かを判定し、前記差が前記閾値より大であると判定した場合に、前記第1及び第2の電子機器のうちの前記他方を運用系、前記一方を待機系に切り換える切換制御部と、
    前記第1及び第2の電子機器の内部の温度を検出する温度センサと、を含み、
    前記経年劣化検出部は、前記第1及び第2の電子機器の累積通電時間を計測し、計測した前記累積通電時間に、前記温度に基づく重み付けを施して得られた時間を前記経年劣化度として算出することを特徴とする電子機器システム。
  4. 冗長構成を有するN(Nは2以上の整数)個の電子機器のうちの少なくとも1つの電子機器を運用系、他の電子機器を待機系として動作する電子機器システムにおける運用系/待機系切換方法であって、
    前記N個の電子機器の累積通電時間を計測し、
    計測した前記累積通電時間に、前記N個の電子機器の内部の温度に基づく重み付けを施して得られた時間を、前記N個の電子機器各々の経年劣化の度合いを表す経年劣化度として検出し、
    検出された前記N個の電子機器に対応したN個の前記経年劣化度のうちで最大の経年劣化度と最小の経年劣化度との差が所定の閾値より大であるか否かを判定し、
    前記差が前記閾値より大であると判定された場合に、前記最小の経年劣化度に対応した前記電子機器を前記運用系に切り換えると共に、前記最大の経年劣化度に対応した前記電子機器を前記待機系に切り換えることを特徴とする運用系/待機系切換方法。
  5. 冗長構成を有するN(Nは2以上の整数)個の電子機器のうちの少なくとも1つの電子機器を運用系、他の電子機器を待機系として動作する電子機器システムに含まれる制御部が実行するプログラムであって、
    前記N個の電子機器の累積通電時間を計測するステップと、
    計測した前記累積通電時間に、前記N個の電子機器の内部の温度に基づく重み付けを施して得られた時間を、前記N個の電子機器各々の経年劣化の度合いを表す経年劣化度として検出するステップと、
    検出された前記N個の電子機器に対応したN個の前記経年劣化度のうちで最大の経年劣化度と最小の経年劣化度との差が所定の閾値より大であるか否かを判定するステップと、
    前記差が前記閾値より大であると判定された場合に、前記最小の経年劣化度に対応した前記電子機器を前記運用系に切り換えると共に、前記最大の経年劣化度に対応した前記電子機器を前記待機系に切り換えるステップと、を実行させることを特徴とするプログラム。
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