JP7079053B2 - 遠赤外線反射フィルム - Google Patents
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Description
自動車には、通常、天井を構成する鋼板の内側に、断熱、緩衝等の作用を得るために、車両天井材が配設されている。近年、車内の温度上昇を抑制するために、長波長の赤外線である遠赤外線を反射させる構造を有する車両天井材の開発が盛んである。例えば、特許文献1には、半硬質ウレタンフォーム等の発泡材料からなる基材と、基材の表面側に設けられる補強用の第1繊維層と、第1繊維層の表面に付着された第1接着剤と、第1接着剤により第1繊維層に接着される車室内の天井面を形成する表皮層と、基材の裏面側に設けられる補強用の第2繊維層と、第2繊維層の表面に付着させた第2接着剤と、第2接着剤により第2繊維層に接着された、アルミニウム蒸着膜等からなる赤外線反射層と、を有し、赤外線反射層の表面に樹脂からなる透明の保護層が形成され、保護層の厚さは、5~25μmの範囲に設定された車両用天井材が開示されている。また、特許文献2には、基材と、基材の車室側に設けられる表皮層と、基材の車体パネル側に設けられる裏面層と、を有する車両用内装材であって、裏面層は、基材側に配置されるベース層と、ベース層の車体パネル(天井パネル)側に配置される無機質材料からなる赤外線反射層とを有し、赤外線反射層は、厚みが0.01~0.09μmの範囲内に設定され、且つ、4000~16000nmの波長領域における光線反射率が80%以上である車両用内装材が開示されている。
本発明の目的は、車両用天井材の形成に用いられ、その両面側で異なる波長の遠赤外線を反射する積層フィルムであって、一方面側で80℃~120℃の温度を与える遠赤外線の反射効果を有し、他面側で15℃~80℃程度の温度を与える遠赤外線の反射効果を有する遠赤外線反射フィルムを提供することである。
本発明の遠赤外線反射フィルムは、車両用天井材の車室外側表面に貼付けられる遠赤外線反射フィルムであって、表面側遠赤外線反射層と、裏面側遠赤外線反射層とを備え、上記表面側遠赤外線反射層及び上記裏面側遠赤外線反射層は、反射する光の波長領域が互いに異なり、上記表面側遠赤外線反射層及び上記裏面側遠赤外線反射層が反射する光の波長領域が非対称となるように配置されており、上記裏面側遠赤外線反射層が車室内側を向くように配される遠赤外線反射フィルムである。
本発明において、上記表面側遠赤外線反射層は、最表面側から、樹脂を含む第1樹脂層と、樹脂を含み、該第1樹脂層と異なる屈折率を有する第2樹脂層とが交互に積層された多層構造を有し、上記第1樹脂層の厚さ及び上記第2樹脂層の厚さは、同じであり、且つ、1.10~1.30μmの範囲にあり、上記裏面側遠赤外線反射層は、最表面側から、樹脂を含む第3樹脂層と、樹脂を含み、該第3樹脂層と異なる屈折率を有する第4樹脂層とが交互に積層された多層構造を有し、上記第3樹脂層の厚さ及び上記第4樹脂層の厚さは、同じであり、且つ、1.30~1.60μmの範囲にあり、上記第1樹脂層の厚さ及び上記第2樹脂層の厚さは、上記第3樹脂層の厚さ及び上記第4樹脂層の厚さより薄いことが好ましい。
本発明において、上記第1樹脂層に含まれる上記樹脂、上記第2樹脂層に含まれる上記樹脂、上記第3樹脂層に含まれる上記樹脂、及び、上記第4樹脂層に含まれる上記樹脂は、いずれも、熱可塑性樹脂であることが好ましい。
本発明において、上記第1樹脂層に含まれる上記熱可塑性樹脂、上記第2樹脂層に含まれる上記熱可塑性樹脂、上記第3樹脂層に含まれる上記熱可塑性樹脂、及び、上記第4樹脂層に含まれる上記熱可塑性樹脂は、いずれも、ポリオレフィン系樹脂を含むことが好ましい。
本発明において、上記第1樹脂層及び上記第2樹脂層のいずれか一方が屈折率調整用フィラーを含み、上記第3樹脂層及び上記第4樹脂層のいずれか一方が屈折率調整用フィラーを含むことが好ましい。
本発明において、上記第1樹脂層の屈折率と上記第2樹脂層の屈折率との差(絶対値)が0.07以上であり、上記第3樹脂層の屈折率と上記第4樹脂層の屈折率との差(絶対値)が0.07以上であることが好ましい。
本発明において、上記第1樹脂層の屈折率は、上記第2樹脂層の屈折率より低く、上記第3樹脂層の屈折率は、上記第4樹脂層の屈折率より低いことが好ましい。
本発明において、上記第2樹脂層は上記屈折率調整用フィラーを含み、上記第4樹脂層は上記屈折率調整用フィラーを含むことが好ましい。
上記第1樹脂層に含まれる上記樹脂、上記第2樹脂層に含まれる上記樹脂、上記第3樹脂層に含まれる上記樹脂、及び、上記第4樹脂層に含まれる上記樹脂が、いずれも、熱可塑性樹脂である場合には、可撓性を有するフィルムとすることができ、広い用途に適用することができる。
上記第1樹脂層に含まれる上記熱可塑性樹脂、上記第2樹脂層に含まれる上記熱可塑性樹脂、上記第3樹脂層に含まれる上記熱可塑性樹脂、及び、上記第4樹脂層に含まれる上記熱可塑性樹脂が、いずれも、ポリオレフィン系樹脂を含む場合には、このポリオレフィン系樹脂が遠赤外線を吸収しにくく、遠赤外線を、表面側遠赤外線反射層及び裏面側遠赤外線反射層からそれぞれ外側に効率よく反射させることができる。
従来、基材と赤外線反射層とを備え、赤外線反射性能を有する車両天井材において、上記特許文献に記載されたように、赤外線反射層は、基材のほぼ全面に形成されており、アルミニウム層を赤外線反射層とする態様では、1端側から他端側に導通性を有することとなる。そして、この赤外線反射層を天井側に向けて、車両天井材を天井パネルに固定する場合には、慎重な操作が必要となる。
ところで、自動車の製造工程において用いられる車両天井材は、通常、車両天井材を天井パネルに固定するための取り付け部品が基材の周縁等に配設されたものである。このような構造の車両天井材を配設する際には、例えば、取り付け部品により、天井パネルに敷設された電気配線の被覆部を破損させ、金属配線を露出させてしまうことがあった。そして、これに気づかずに、車両天井材を配設して、金属配線露出部と、赤外線反射層を構成するアルミニウム層とを接触状態にさせてしまうと、自動車の駆動時にショートする等の不具合をまねく場合があった。しかしながら、本発明の遠赤外線反射フィルムは、通電する材料を含まないため、上記不具合を回避することができる。
上記熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、芳香族ビニル系樹脂等が挙げられる。これらのうち、遠赤外線を吸収しにくいポリオレフィン系樹脂が特に好ましい。
上記ポリエチレン系樹脂としては、フィルム形成可能な性質を有するものであれば、特に限定されず、従来、公知のポリエチレン等であってもよい。このポリエチレン系樹脂の密度は、好ましくは960kg/m3以下、より好ましくは930kg/m3以下である。
ニオブ、酸化タンタル、酸化亜鉛、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、酸化錫、窒化ケイ素、硫酸カルシウム、石膏、硫酸バリウム、タルク、カオリナイト、クレー、マイカ、ワラストナイト、カーボンブラック、グラファイト、鉄粉、銅粉、二硫化モリブデン、炭化ケイ素等を含む、粒状、繊維状等を有する粉末又は粒子を用いることができる。これらのうち、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化亜鉛、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、酸化錫及び窒化ケイ素からなる粒子は、第1樹脂層21及び第2樹脂層23の屈折率差、又は、第3樹脂層41及び第4樹脂層43の屈折率差を形成させる屈折率調整用フィラーとして好適である。屈折率調整用フィラーの形状は、好ましくは球状である。また、上記屈折率調整用フィラーの粒子径は、各層の厚さより小さければよく、数平均粒子径は、好ましくは1μm以下である。
本発明の遠赤外線反射フィルムは、屈折率調整用フィラーを含む樹脂層を備えることが好ましく、上記屈折率調整用フィラーは、酸化チタンを含む粒子であることが好ましい。尚、1つの樹脂層に含まれる屈折率調整用フィラーの含有割合は、好ましくは15~70質量%、より好ましくは15~55質量%である。
上記酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、キノン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤等が挙げられる。
上記紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系化合物、サリシレート系化合物、ベンゾエート系化合物、トリアゾール系化合物、トリアジン系化合物等が挙げられる。
上記帯電防止剤としては、アンモニウム塩構造、ホスホニウム塩構造等を有するカチオン型帯電防止剤;スルホン酸、リン酸、カルボン酸等のアルカリ金属塩の構造を有するアニオン型帯電防止剤;同一分子中に、カチオン型の帯電防止剤及びアニオン型の帯電防止剤の両方の構造を含有する両性型帯電防止剤;アルキレンオキシド構造を有するエチレンオキシド重合体、エチレンオキシド重合成分を分子鎖中に有する重合体等のノニオン型帯電防止剤等が挙げられる。
上記難燃剤としては、リン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤等が挙げられる。
このような性能を十分に発揮させるために、本発明においては、更に、第1樹脂層21の屈折率及び第2樹脂層23の屈折率を異なるものとし、更に、第1樹脂層21の厚さ及び第2樹脂層23の厚さを同じとし、且つ、第1樹脂層21の合計厚さ、及び、第2樹脂層23の合計厚さを、いずれも、好ましくは40~200μmとする。また、第1樹脂層21及び第2樹脂層23の各層の厚さは、第3樹脂層41及び第4樹脂層43の各層の厚さより薄いことが好ましい。
第1樹脂層21の屈折率及び第2樹脂層23の屈折率は、特に限定されず、いずれか一方の層が高い屈折率を有してもよい。尚、両者の屈折率の差(絶対値)は、好ましくは0.07以上、より好ましくは0.1以上、更に好ましくは0.2以上である。
また、第1樹脂層21の厚さ及び第2樹脂層23の厚さは、いずれも、好ましくは1.10~1.30μmである。
第2樹脂層23の総数は、好ましくは15以上、より好ましくは15~70、更に好ましくは17~65である。
このような性能を十分に発揮させるために、本発明においては、更に、第3樹脂層41の屈折率及び第4樹脂層43の屈折率を異なるものとし、更に、第3樹脂層41の厚さ及び第4樹脂層43の厚さを同じとし、且つ、第3樹脂層41の合計厚さ、及び、第4樹脂層43の合計厚さを、いずれも、好ましくは40~200μmとする。また、前述したように第3樹脂層41及び第4樹脂層43の各層の厚さは、第1樹脂層21及び第2樹脂層23の各層の厚さより厚いことが好ましい。
第3樹脂層41の屈折率及び第4樹脂層43の屈折率は、特に限定されず、いずれか一方の層が高い屈折率を有してもよい。尚、両者の屈折率の差(絶対値)は、好ましくは0.07以上、より好ましくは0.1以上、更に好ましくは0.2以上である。
また、第3樹脂層41の厚さ及び第4樹脂層43の厚さは、いずれも、好ましくは1.30~1.60μmである。
第4樹脂層43の総数は、好ましくは15以上、より好ましくは15~70、更に好ましくは17~65である。
図3の中間層60は、遠赤外線領域の波長の光の反射を阻害せず、また、フィルムの可撓性を損なわない限りにおいて、単層及び複層のいずれでもよく、また、その構成材料も特に限定されない。この中間層60は、好ましくは樹脂層であり、含まれる樹脂は、上記第1樹脂層に含まれる樹脂、第2樹脂層に含まれる樹脂、第3樹脂層に含まれる樹脂及び第4樹脂層に含まれる樹脂のいずれであってもよく、他の樹脂であってもよい。また、中間層60は、発泡樹脂層であってもよい。
上記表面側遠赤外線反射層20は、ピーク波長が7.30~8.20μmの範囲にある遠赤外線(短波長遠赤外線)2に対する反射効果により優れることから、最表面(図2の上面側)に位置する第1樹脂層21の屈折率を、第2樹脂層23の屈折率より高くする。この態様を反映する好ましい構成は、第1樹脂層21がフィラーを含み、第2樹脂層23がフィラーを含まないか、あるいは、含む場合、第1樹脂層21におけるより高い含有割合とする。
また、上記裏面側遠赤外線反射層40は、ピーク波長が8.20~10.05μmの範囲にある遠赤外線(長波長遠赤外線)4に対する反射効果により優れることから、最表面(図2の下面側)に位置する第3樹脂層41の屈折率を、第4樹脂層43の屈折率より高くする。この態様を反映する好ましい構成は、第3樹脂層41がフィラーを含み、第4樹脂層43がフィラーを含まないか、あるいは、含む場合、第3樹脂層41におけるより高い含有割合とする。
(1)表面側遠赤外線反射層20の最表面に位置する第1樹脂層21の屈折率が、第2樹脂層23の屈折率より高く、裏面側遠赤外線反射層40の最表面に位置する第3樹脂層41の屈折率が、第4樹脂層43の屈折率より低い遠赤外線反射フィルム
(2)表面側遠赤外線反射層20の最表面に位置する第1樹脂層21の屈折率が、第2樹脂層23の屈折率より低く、裏面側遠赤外線反射層40の最表面に位置する第3樹脂層41の屈折率が、第4樹脂層43の屈折率より高い遠赤外線反射フィルム
(3)表面側遠赤外線反射層20の最表面に位置する第1樹脂層21の屈折率が、第2樹脂層23の屈折率より高く、裏面側遠赤外線反射層40の最表面に位置する第3樹脂層41の屈折率が、第4樹脂層43の屈折率より高い遠赤外線反射フィルム
図2の構造を有する遠赤外線反射フィルムを製造する場合、以下の方法を適用することができる。
(A)第1樹脂層を形成する樹脂組成物、第2樹脂層を形成する樹脂組成物、第3樹脂層を形成する樹脂組成物、及び、第4樹脂層を形成する樹脂組成物を、Tダイ多層共押出成形、インフレーション成形等に供する方法
(B)第1樹脂層を形成する樹脂組成物を用いて得られたフィルム、第2樹脂層を形成する樹脂組成物を用いて得られたフィルム、第3樹脂層を形成する樹脂組成物を用いて得られたフィルム、及び、第4樹脂層を形成する樹脂組成物を用いて得られたフィルムを、サーマルラミネーション、ドライラミネーション等に供する方法
(C)第1樹脂層を形成する樹脂組成物を有機溶媒に溶解して得られた溶液を、ドラム又は無端ベルトの上に流延した後、塗膜から有機溶媒を蒸発させて、長尺状のフィルムを形成させ、次いで、このフィルムの上に、第2樹脂層を形成する樹脂組成物を有機溶媒に溶解して得られた溶液を、ドラム又は無端ベルトの上に流延し、乾燥する操作を、繰り返し行って、第1樹脂層及び第2樹脂層が交互に形成された積層フィルムを作製し、この積層フィルムに対して、第3樹脂層を形成する樹脂組成物を有機溶媒に溶解して得られた溶液、及び、第4樹脂層を形成する樹脂組成物を有機溶媒に溶解して得られた溶液を、上記と同様にして用いて、第3樹脂層及び第4樹脂層を交互に形成させる方法
本発明においては、各層の厚さを制御しやすいことから、方法(A)が好ましい。更に、各方法により多層フィルムを形成した後、延伸処理することが好ましい。
(D)第1樹脂層を形成する樹脂組成物、第2樹脂層を形成する樹脂組成物、中間層60を形成する樹脂組成物、第3樹脂層を形成する樹脂組成物、及び、第4樹脂層を形成する樹脂組成物を、Tダイ多層共押出成形、インフレーション成形等に供する方法
(E)第1樹脂層を形成する樹脂組成物及び第2樹脂層を形成する樹脂組成物を、Tダイ多層共押出成形、インフレーション成形等に供して、例えば、両面側の最表層を第1樹脂層として、第1樹脂層及び第2樹脂層が交互に積層されたフィルム(表面側遠赤外線反射層20形成用フィルム)を得て、同様に、第3樹脂層を形成する樹脂組成物及び第4樹脂層を形成する樹脂組成物を、Tダイ多層共押出成形、インフレーション成形等に供して、例えば、両面側の最表層を第3樹脂層として、第3樹脂層及び第4樹脂層が交互に積層されたフィルム(裏面側遠赤外線反射層40形成用フィルム)を得て、その後、中間層60を形成する樹脂組成物の溶融物を、押出機から、表面側遠赤外線反射層20形成用フィルムの第1樹脂層、及び、裏面側遠赤外線反射層40形成用フィルムの第3樹脂層の間に、フィルム状に押出且つ圧着(押出ラミネーション成形)して、表面側遠赤外線反射層20、中間層60及び裏面側遠赤外線反射層40を、この順に備えるフィルムを形成する方法
(F)中間層60を構成することとなるフィルム(又は発泡樹脂フィルム)を供給しながら、このフィルムの表面に、第1樹脂層を形成する樹脂組成物、及び、第2樹脂層を形成する樹脂組成物を用いて、押出ラミネーション成形を行い、次いで、得られた積層フィルムにおける中間層60の表面に、第3樹脂層を形成する樹脂組成物、及び、第4樹脂層を形成する樹脂組成物を用いて、押出ラミネーション成形を行う方法
上記車両天井材100は、基材80と、この基材80の表面に配された遠赤外線反射フィルム10とからなる複合物である。図4に示すように、基材80上の遠赤外線反射フィルム10では、表面側遠赤外線反射層20が図4の上面側にあり、裏面側遠赤外線反射層40が基材80に面している。尚、図4に示していないが、上記車両天井材100は、通常、基材80の下面側(基材80の車室内側)に表皮層を備える。
下記の方法で得られた、表面側遠赤外線反射層形成用フィルム(f1)及び裏面側遠赤外線反射層形成用フィルム(f2)と、中間層形成用樹脂組成物(r1)とを用いて、図3で表される遠赤外線反射フィルム10を製造した。
(f1)表面側遠赤外線反射層形成用フィルム
第1樹脂層を形成する樹脂原料として、ポリエチレン(密度:924kg/m3、屈折率:1.54)を用いた。また、第2樹脂層を形成する樹脂原料として、ポリエチレン(密度:924kg/m3、屈折率:1.54)と、屈折率調整用フィラーとして酸化チタン粒子(数平均粒子径:200nm、屈折率:2.72)とを含有する樹脂組成物(以下、「樹脂組成物(R1)」という)を用いた。尚、この酸化チタン粒子の含有量は、樹脂組成物(R1)の全体に対して35質量%である。
これらの樹脂原料を、第1樹脂層及び第2樹脂層が交互に積層されるように、Tダイ多層共押出成形に供して、合計33層の第1樹脂層(1層の厚さ:1.20μm、屈折率:1.54)と、合計32層の第2樹脂層(1層の厚さ:1.20μm、屈折率:1.64)とからなる、表裏いずれも最表面が第1樹脂層である表面側遠赤外線反射層形成用フィルム(厚さ:78μm)を得た。
(f2)裏面側遠赤外線反射層形成用フィルム
第3樹脂層を形成する樹脂原料として、ポリエチレン(密度:924kg/m3、屈折率:1.54)を用いた。また、第4樹脂層を形成する樹脂原料として、樹脂組成物(R1)を用いた。
これらの樹脂原料を、第3樹脂層及び第4樹脂層が交互に積層されるように、Tダイ多層共押出成形に供して、合計33層の第3樹脂層(1層の厚さ:1.40μm、屈折率:1.54)と、合計32層の第4樹脂層(1層の厚さ:1.40μm、屈折率:1.64)とからなる、表裏いずれも最表面が第3樹脂層である裏面側遠赤外線反射層形成用フィルム(厚さ:91μm)を得た。
(r1)中間層形成用樹脂組成物
ポリエチレン(密度:924kg/m3、屈折率:1.54)を用いた。
<赤外分光による反射率測定>
フーリエ変換赤外分光光度計に金コーティング積分球を装着し、サンプルサイズを40mm×40mmとしたサンプルフィルム又は基準反射板を積分球に10°の位置に取り付けて、測定波長範囲2μm~20μmの全反射測定を、表面側遠赤外線反射層及び裏面側遠赤外線反射層の両方の表面に対して行い、それぞれのピーク波長において、基準反射板として金コーティング表面鏡(平滑)の反射率を100%としたときの相対反射率を得た。尚、測定環境条件は、温度25℃±2℃、湿度50±20%RHである。
表面側遠赤外線反射層形成用フィルム(f1)を、第1樹脂層及び第2樹脂層の1層厚さが1.15μmであるものとし、裏面側遠赤外線反射層形成用フィルム(f2)を、第3樹脂層及び第4樹脂層の1層厚さが1.15μmであるものとした以外は、実験例1と同様にして、遠赤外線反射フィルムを製造した。そして、反射率測定を行ったところ、表面側遠赤外線反射層の表面における反射率は73%であり、裏面側遠赤外線反射層の表面における反射率は71%であった。
第2樹脂層及び第4樹脂層を形成する樹脂原料として、ポリエチレン(密度:924kg/m3、屈折率:1.54)と、屈折率調整用フィラーとして酸化チタン粒子(数平均粒子径:200nm、屈折率:2.72)とを含有する樹脂組成物(以下、「樹脂組成物(R2)」という)を用いた。尚、この酸化チタン粒子の含有量は、樹脂組成物(R2)の全体に対して17.5質量%である。
樹脂組成物(R1)に代えて、樹脂組成物(R2)を用い、また、裏面側遠赤外線反射層形成用フィルム(f2)を、第3樹脂層及び第4樹脂層の1層厚さが1.20μmであるものとした以外は、実験例1と同様にして、遠赤外線反射フィルムを製造した。そして、反射率測定を行ったが、表面側遠赤外線反射層及び裏面側遠赤外線反射層の各表面において、反射のピークが現れなかった。
Claims (8)
- 車両用天井材の車室外側表面に貼付けられ、表面側遠赤外線反射層と、裏面側遠赤外線反射層と、該表面側遠赤外線反射層及び該裏面側遠赤外線反射層の間の中間層とを備え、前記表面側遠赤外線反射層及び前記裏面側遠赤外線反射層は、反射する光の波長領域が互いに異なり、前記表面側遠赤外線反射層及び前記裏面側遠赤外線反射層が反射する光の波長領域が非対称となるように配置されており、前記裏面側遠赤外線反射層が車室内側を向くように配される遠赤外線反射フィルムであって、
前記表面側遠赤外線反射層は、最表面側から、樹脂を含む第1樹脂層と、樹脂を含み、該第1樹脂層と異なる屈折率を有する第2樹脂層とが交互に積層された多層構造を有し、
前記第1樹脂層の厚さ及び前記第2樹脂層の厚さは、1.10~1.30μmの範囲にあり、
前記裏面側遠赤外線反射層は、最表面側から、樹脂を含む第3樹脂層と、樹脂を含み、該第3樹脂層と異なる屈折率を有する第4樹脂層とが交互に積層された多層構造を有し、
前記第3樹脂層の厚さ及び前記第4樹脂層の厚さは、1.30~1.60μmの範囲にあり、
前記第1樹脂層の厚さ及び前記第2樹脂層の厚さは、前記第3樹脂層の厚さ及び前記第4樹脂層の厚さと同一であるか又はそれより薄く、
前記中間層は、樹脂を含み、
前記第1樹脂層に含まれる前記樹脂、前記第2樹脂層に含まれる前記樹脂、前記第3樹脂層に含まれる前記樹脂、前記第4樹脂層に含まれる前記樹脂、及び、前記中間層に含まれる前記樹脂が、いずれも、熱可塑性樹脂であり、且つ、該熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂である遠赤外線反射フィルム。 - 車両用天井材の車室外側表面に貼付けられ、表面側遠赤外線反射層と、裏面側遠赤外線反射層と、該表面側遠赤外線反射層及び該裏面側遠赤外線反射層の間の中間層とを備え、前記表面側遠赤外線反射層及び前記裏面側遠赤外線反射層は、反射する光の波長領域が互いに異なり、前記表面側遠赤外線反射層及び前記裏面側遠赤外線反射層が反射する光の波長領域が非対称となるように配置されており、前記裏面側遠赤外線反射層が車室内側を向くように配される遠赤外線反射フィルムであって、
前記表面側遠赤外線反射層は、最表面側から、樹脂を含む第1樹脂層と、樹脂を含み、該第1樹脂層と異なる屈折率を有する第2樹脂層とが交互に積層された多層構造を有し、
前記第1樹脂層の厚さ及び前記第2樹脂層の厚さは、同じであり、且つ、1.10~1.30μmの範囲にあり、
前記裏面側遠赤外線反射層は、最表面側から、樹脂を含む第3樹脂層と、樹脂を含み、該第3樹脂層と異なる屈折率を有する第4樹脂層とが交互に積層された多層構造を有し、
前記第3樹脂層の厚さ及び前記第4樹脂層の厚さは、同じであり、且つ、1.30~1.60μmの範囲にあり、
前記第1樹脂層の厚さ及び前記第2樹脂層の厚さは、前記第3樹脂層の厚さ及び前記第4樹脂層の厚さと同一であるか又はそれより薄く、
前記中間層は、樹脂を含み、
前記第1樹脂層に含まれる前記樹脂、前記第2樹脂層に含まれる前記樹脂、前記第3樹脂層に含まれる前記樹脂、前記第4樹脂層に含まれる前記樹脂、及び、前記中間層に含まれる前記樹脂が、いずれも、同一の熱可塑性樹脂であり、且つ、該熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂である遠赤外線反射フィルム。 - 前記ポリオレフィン系樹脂がポリエチレンである請求項1又は2に記載の遠赤外線反射フィルム。
- 前記第1樹脂層及び前記第2樹脂層のいずれか一方が屈折率調整用フィラーを含み、
前記第3樹脂層及び前記第4樹脂層のいずれか一方が屈折率調整用フィラーを含む請求項1乃至3のいずれか一項に記載の遠赤外線反射フィルム。 - 前記第1樹脂層及び前記第3樹脂層が前記屈折率調整用フィラーを含まず、前記第2樹脂層及び前記第4樹脂層が前記屈折率調整用フィラーを含み、該屈折率調整用フィラーの含有割合が、1つの樹脂層において15~70質量%である請求項4に記載の遠赤外線反射フィルム。
- 前記屈折率調整用フィラーが、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化亜鉛、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、酸化錫及び窒化ケイ素から選ばれた化合物からなる粒子である請求項4又は5に記載の遠赤外線反射フィルム。
- 前記第1樹脂層の屈折率と前記第2樹脂層の屈折率との差(絶対値)が0.07以上であり、
前記第3樹脂層の屈折率と前記第4樹脂層の屈折率との差(絶対値)が0.07以上である請求項1乃至6のいずれか一項に記載の遠赤外線反射フィルム。 - 前記第1樹脂層の屈折率が、前記第2樹脂層の屈折率より低く、
前記第3樹脂層の屈折率が、前記第4樹脂層の屈折率より低い請求項1乃至7のいずれか一項に記載の遠赤外線反射フィルム。
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