以下、本開示の第1~第3実施形態に係る放射線撮影装置について、図面を参照して順に説明する。なお、図中において、矢印Xは放射線撮影装置の前後方向、矢印Yは放射線撮影装置の幅方向、矢印Zは鉛直方向を指す。
<第1実施形態>
まず、本開示の第1実施形態に係る放射線撮影装置について、図1~図10を用いて説明する。
(放射線撮影装置の全体構成)
図1に示す本実施形態の放射線撮影装置10は、被写体Hの放射線画像を撮影する装置である。放射線撮影装置10は、例えば、被写体Hの動画撮影および静止画撮影が可能である。動画撮影は、例えば、手術の際に被写体Hの処置対象部位を動画で表示する場合(透視撮影などとも呼ばれる)に行われる。動画撮影においては、例えば、放射線撮影装置10とは別に設置された図示しないモニタに被写体Hの動画が表示される。もちろん、撮影した動画のデータを放射線撮影装置10のメモリ内に保存することも可能である。また、静止画撮影の場合も、撮影した静止画をモニタに表示したり、放射線撮影装置10内のメモリ内に保存することが可能である。
図1に示すように、放射線撮影装置10は、側面形状がC字形状(円弧形状)とされたアーム12(Cアーム等と呼ばれる)と、アーム12を回転可能に支持する支持部としての接続部14及び本体部16と、を有している。なお、以下において、放射線撮影装置10におけるアーム12が設けられている側を放射線撮影装置10の前方、本体部16が設けられている側を放射線撮影装置10の後方とする。
(アームの構成)
アーム12は2つの端部を有しており、アーム12の一端部には照射部18が設けられ、他端部には受像部20が設けられている。アーム12は、照射部18と受像部20とを対向する姿勢で保持することが可能である。照射部18と受像部20との間には被写体H及び被写体Hが仰臥される寝台Sを挿入可能な間隔が確保されている。なお、以下、アーム12の側面視(図1においてY方向から見る方向)にて、アーム12を基準として照射部18及び受像部20が設けられている方向をアーム12の前方、かつ、アーム12側をアーム12の後方と呼ぶことがある。
図2Aに示すように、アーム12は、支持部を構成する接続部14に設けられた軌道部22Bに対して、軸線M(Y軸と平行な軸線)を中心として回転可能とされている。また、アーム12は、支持部を構成する本体部16に設けられた軸受け部23に対して、軸線N(X軸と平行な軸線)を中心として回転可能とされている。
具体的には、軌道部22Bは、アーム12の円弧と同じ半径を持つ円弧形状をしている。一方、アーム12の外周面には、軌道部22Bに嵌合する嵌合部22Aが設けられている。嵌合部22Aは、アーム12の形状に沿った円弧形状をしている。図6に示すように、軌道部22Bは、例えば溝形状であり、凸状の嵌合部22Aが嵌合する。なお、軌道部22Bと嵌合部22Aとの間には、軌道部22Bに対する嵌合部22Aの摺動を補助する図示しないローラーが介在している。
図2Aに示すように、アーム12に形成された嵌合部22Aが接続部14に形成された軌道部22Bに沿って摺動することにより、アーム12は、アーム12の円弧中心の軸線Mを回転中心として、接続部14及び本体部16に対して軌道回転可能とされている。
すなわち、図2B及び図2Cに示すように、アーム12を軸線M回りに矢印M1方向(図2Bにおける反時計回り)及び矢印M2方向(図2Cにおける時計回り)にそれぞれ軌道回転させることが可能とされている。これにより、アーム12の両端に設けられた照射部18及び受像部20を被写体H(図1参照)の体軸(Y軸と平行な軸)回りに回転させることができる。
また、図2Aに示すように、アーム12には、放射線撮影装置10の前後方向(X方向)に延びる支持軸24の一端が固定されている。この支持軸24の他端は、軸受け部23を介して本体部16に支持されている。支持軸24が軸受け部23に対して軸線Nを中心に回転することにより、図3A~図3Cに示すように、支持軸24の軸線Nを回転中心として、アーム12及び接続部14が本体部16に対して軸回転可能とされている。
すなわち、図3B及び図3Cに示すように、アーム12を軸線N回りに矢印N1方向(図3Bにおける反時計回り)又は矢印N2方向(図3Cにおける時計回り)に軸回転させることが可能とされている。これにより、アーム12の両端に設けられた照射部18及び受像部20の被写体H(図1参照)に対する上下方向(Z軸方向)の位置を反転させることができる。
ここで、図3Aに示す照射部18が受像部20より上に配置されたアーム12の姿勢は、照射部18に含まれる放射線管32(図1参照)が被写体Hの上方に位置するため、オーバーチューブ姿勢などと呼ばれる。一方、図3Cに示す照射部18が受像部20より下に配置されたアーム12の姿勢は、放射線管32が被写体Hの下方に位置するため、アンダーチューブ姿勢と呼ばれる。
オーバーチューブ姿勢は、アンダーチューブ姿勢と比較して、照射部18と被写体H(図1参照)との間の距離を広くとることができるため、比較的広範な領域を撮影することが可能である。このため、オーバーチューブ姿勢は、主に被写体Hの静止画撮影時に用いられる。一方、アンダーチューブ姿勢は、照射部18から照射される放射線が寝台S等によって一部遮蔽されるため、被写体H(図1参照)の周囲にいる術者や操作者等(図示せず)の被ばく量を低減することができる。このため、アンダーチューブ姿勢は、放射線の継続的な照射が行われる、被写体Hの動画撮影時に用いられる。
(本体部の構成)
図1に示すように、放射線撮影装置10の本体部16は、下部に複数のキャスター26が取り付けられており、操作者が手で押すことによって例えば手術室内や病棟内等で走行可能とされている。すなわち、本実施形態の放射線撮影装置10は、移動型とされている。
また、本体部16は、照射部18等の放射線撮影装置10の各部を制御する制御部28と、例えばタッチパネル式の操作パネル30と、を有している。なお、制御部28の構成については後に詳述する。
操作パネル30は、例えば照射部18等の放射線撮影装置10の各部に操作指示を入力することで各部を操作する操作部として機能するとともに、例えば警告メッセージ、及び受像部20から出力された放射線画像等の各種の情報を表示する表示部として機能する。本体部16は、その他、放射線撮影装置10の電源スイッチ等の図示しない各種のスイッチ、放射線撮影装置10の各部に電力を供給する電源回路、及びバッテリ等を備えている。
(照射部の構成)
照射部18は、放射線源31と照射野限定器34とを備えている。放射線源31は、放射線を発生する放射線管32を備えている。放射線は例えばX線である。放射線管32は、陰極から発生する電子をターゲット(陽極)に衝突させることにより、放射線を発生する。ターゲットにおいて電子が衝突する位置が、放射線が放射される焦点となる。
また、放射線源31の下方には照射野限定器34が設けられている。照射野限定器34(コリメータ等とも呼ばれる)は、矩形状の照射開口34Aを有している。放射線管32で発生した放射線は、照射開口34Aを通って被写体Hへ照射される。照射野限定器34は、照射開口34Aの開口面積を調整することができる。照射野限定器34は、例えば放射線を遮蔽する図示しない4枚の遮蔽板を有している。4枚の遮蔽板は、それぞれの一辺が照射開口34Aの各辺に対応しており、照射開口34Aを画定する。この遮蔽板の位置を変えることにより、照射開口34Aの開口面積が調整され、照射部18から照射される放射線の照射野が変更される。
また、照射部18は、放射線撮影装置10の幅方向(図1においてY方向)に延びる回転軸36の軸線を回転中心として、アーム12に対して回転可能とされている。具体的には、アーム12の一端には、一対の取付板38(図1には一方のみ図示)が固定されている。
一対の取付板38は、照射部18の幅方向の両側を挟み込むように配置され、照射部18の幅方向の両側面と連結される。各取付板38に対向する照射部18の各側面には、回転軸36がそれぞれ突設されており、この回転軸36は図示しない軸受け部を介して一対の取付板38にそれぞれ支持されている。これにより、回転軸36の軸線を回転中心として、照射部18が取付板38に対して回転可能となり、照射部18の照射開口34Aの向きをアーム12の前後方向に変化させることが可能となる。照射開口34Aの向きを変化させることにより、放射線の照射方向を変化させることができる。
なお、照射部18には、制御信号を送信するための信号線、及び電力供給用の電源線が配線された複数のケーブル40の一端が接続されている。図6に示すように、ケーブル40は、アーム12内に形成された中空部42に配設されており、アーム12に沿って延びている。なお、ケーブル40の他端は、図1に示す本体部16の制御部28及び図示しない電源回路等に接続されている。
(受像部の構成)
図1に示すように、受像部20は、照射部18と対向する位置である、アーム12の他端部に設けられている。本実施形態では、受像部20は、筐体内に検出器が着脱不能に内蔵されたものである。受像部20は、照射部18から照射され被写体Hを透過した放射線を受ける受像面20Aを備えている。受像面20Aには、被写体Hの情報が担持された放射線が入射する。
検出器は、照射部18から照射され被写体Hを透過した放射線を受けることにより、被写体Hの放射線画像を検出する。検出器は、例えば、デジタルラジオグラフィ(DR;Digital Radiography)方式のフラットパネルディテクタ(FPD;flat panel detector)である。
FPDは、複数の画素を2次元に配列した検出面と、画素を駆動するための図示しない薄膜トランジスタ(TFT;thin film transistor)パネルと、を有している。受像面20Aを通じて検出器の検出面に放射線が入射する。検出器は、入射した放射線を電気信号に変換し、変換された電気信号に基づいて被写体Hを示す放射線画像を出力する。検出器としては、例えば、放射線をシンチレータによって可視光に変換し、変換された可視光を電気信号に変換する間接変換型が使用される。なお、検出器としては、放射線を直接電気信号に変換する直接変換型でもよい。また、受像部20としては、FPDを用いる構成以外でもよく、例えば、イメージインテンシファイア(I.I;Image Intensifier)とカメラを組み合わせた構成を採用することも可能である。
また、図4A及び図4Bに示すように、受像部20は、アーム12に着脱可能に取り付けられた可搬型とされている。このような可搬型の受像部20は、電子カセッテなどと呼ばれる。受像部20は、アーム12の他端に設けられた台座44上に着脱可能に取り付けられる。
具体的には、台座44はアーム12の他端の上面に設けられており、この台座44の上には、嵌合凸部46が立設されている。台座44及び嵌合凸部46は、それぞれ直方体形状であり、嵌合凸部46の幅(Y方向の長さ)は台座44の幅(Y方向の長さ)よりも狭くなっている。
一方、受像部20は、扁平な直方体形状であり、受像部20の下面には、嵌合凸部46に嵌合する嵌合凹部48が形成されている。嵌合凹部48は直方体形状であり、短手方向の長さ(図4AにおけるY方向の長さ)は、嵌合凸部46の幅より広く、かつ、台座44の幅より狭くなっている。また、嵌合凹部48の高さは、嵌合凸部46の高さと略同じ高さとなっている。
さらに、嵌合凹部48の長手方向の長さ(図4AにおけるX方向の長さ)は、台座44及び嵌合凸部46の長さ(X方向の長さ)より長い。嵌合凹部48の長手方向の一端は、受像部20の一側面まで延びている。嵌合凹部48の一端が受像部20の一側面に位置することにより、受像部20の一側面の一部が開口している。
受像部20をアーム12に取り付ける場合、受像部20を水平方向(X方向)に移動させ、台座44上に立設された嵌合凸部46を、受像部20の一側面に形成された開口から嵌合凹部48内に挿入する。これにより、嵌合凹部48に嵌合凸部46が嵌合された状態で、受像部20の下面が台座44の上面に当接する。
ここで、嵌合凹部48の長手方向の他端面には、嵌合凹部48の内側に突出する一対の位置決めピン50が設けられている。一方、嵌合凹部48に嵌合した際に、嵌合凹部48の長手方向の他端面に対向する嵌合凸部46の一側面には、位置決めピン50が挿入される一対のピン孔52が形成されている。受像部20の嵌合凹部48を嵌合凸部46に嵌合させた際に、一対の位置決めピン50が一対のピン孔52にそれぞれ挿入されることにより、受像部20が台座44上、すなわちアーム12の他端に位置決めされて取り付けられる。
また、台座44の上面には、鉛直方向(Z方向)に延びる貫通孔54が形成されており、アーム12の他端における貫通孔54の下には、ソレノイド56が設けられている。そして、受像部20の下面にも、貫通孔54と略同じ径の挿入孔58が形成されている。ここで、受像部の挿入孔58は、受像部20が台座44上に位置決めされて取り付けられた際に、台座44の貫通孔54に連通する位置に形成されている。
ソレノイド56は、貫通孔54に挿入された可動鉄芯56Aを備えており、ソレノイド56の通電状態及び非通電状態を切り替えることにより、可動鉄芯56Aが伸縮可能とされている。
具体的には、ソレノイド56へ通電すると、可動鉄芯56Aがソレノイド56の本体側に吸引され、図4Aに示すように、可動鉄芯56Aの先端部が台座44の貫通孔54内に位置する。この状態では、可動鉄芯56Aが受像部20の挿入孔58に挿入されていないため、受像部20は台座44、すなわちアーム12に対して着脱可能となっている。
一方、受像部20の挿入孔58と台座44の貫通孔54とが連通している状態、すなわち受像部20がアーム12の他端に位置決めされて取り付けられている状態では、図4Bに示すように、可動鉄芯56Aを受像部20の挿入孔58に挿入することが可能である。
このため、受像部20がアーム12の他端に位置決めされて取り付けられている状態で、ソレノイド56への通電を遮断すると、可動鉄芯56Aの先端部が挿入孔58内に挿通されて受像部20内に達する。この状態では、ソレノイド56の可動鉄芯56Aが受像部20の挿入孔58にも挿入されているため、台座44、すなわちアーム12に対する受像部20の取り外しが規制される。このように、ソレノイド56は、受像部20がアーム12に取り付けられている状態において、アーム12に対する受像部20の不用意な着脱を規制する着脱規制機構を構成する。
また、台座44には、受像部20がアーム12から取り外されているか否かを検知する第1着脱検知部としてのフォトセンサ60が設けられている。フォトセンサ60は、例えば、図示しない発光素子が光を発する発光窓と、図示しない受光素子が光を受光する受光窓と、が同一面に配列された反射型センサである。フォトセンサ60は、受像部20が台座44に取り付けられていない状態では、発光窓及び受光窓が外部に露出する一方、受像部20が台座44に取り付けられた状態では、発光窓及び受光窓が受像部20によって覆われる位置に設けられている。
例えば、本実施形態のフォトセンサ60は、台座44において、図4Aにおける上面を向いた姿勢で配置されている。フォトセンサ60において、台座44が受像部20に取り付けられた状態では、発光窓から発する光が受像部20で反射することによって、受光窓を通じた受光量が多くなる。一方、受像部20から台座44から取り外されることにより、受像部20が発光窓及び受光窓の前面から退避した状態では、受像部20での光の反射が無いため、受光窓を通じた受光量が少なくなる。
このように、フォトセンサ60は、発光窓から発光されて受光素子で受光された光の変化を検知することにより、受像部20がアーム12から取り外されているか否かを検知することができる。
フォトセンサ60は、受像部20がアーム12に取り付けられていることを検知している状態においては検知信号としてオン信号を制御部28に出力し、受像部20がアーム12から取り外されていることを検知している状態においては検知信号としてオフ信号を制御部28に出力する。
なお、可搬型の受像部20は、例えば図示しないバッテリ及び無線通信部を有しており、本体部16に設けられた制御部28(図1参照)等と無線で通信可能とされている。無線通信部を使用した場合には、受像部20はバッテリからの電力で駆動され、いわゆるケーブルレスで使用することができる。これにより、受像部20は、アーム12から取り外した状態で使用可能とされている。
一方、受像部20がアーム12に取り付けられた状態では、図4Aに示す受像部20の嵌合凹部48に設けられた端子62Aと、アーム12の嵌合凸部46に設けられた端子62Bとが接触し、受像部20と台座44とが電気的に接続される。
台座44は、制御信号を送信するための信号線、及び電力供給用の電源線が配線された図示しないケーブルによって、本体部16の制御部28及び図示しない電源回路等に接続されている。これにより、受像部20がアーム12に取り付けられた状態では、受像部20は図示しないケーブルを介して制御部28及び図示しない電源回路等に接続される。
(第1ロック機構の構成)
図5に示すように、放射線撮影装置10には、アーム12の回転をロックするロック機構としての第1ロック機構64及び第2ロック機構76がそれぞれ設けられている。第1ロック機構64は、接続部14に設けられており、アーム12の軌道回転、すなわちアーム12の軌道部22Bに対する回転をロックする。
アーム12の両端には、タイミングベルト66の両端がそれぞれ固定されている。アーム12は、内部に空洞を有する筒状体で構成されている。図6に示すように、アーム12の内部の中空部42には、タイミングベルト66及びケーブル40が配設されている。中空部42において、アーム12の前方側の内側面には、アーム12の円弧に沿って延びる溝42Aが形成されている。タイミングベルト66は、この溝42Aに収容された状態でアーム12の円弧に沿って延びている。これにより、中空部42内において、ケーブル40とタイミングベルト66とが干渉することを抑制することができる。
また、タイミングベルト66は、アーム12の一端と他端の間において、接続部14に設けられたタイミングプーリ68に巻き掛けられている。図7に示すように、タイミングベルト66には、複数の歯66Aが形成されており、タイミングプーリ68の外周面には、複数の溝68Aが形成されている。このタイミングベルト66の歯66Aがタイミングプーリ68の溝68Aに噛み合うことで、タイミングベルト66とタイミングプーリ68が連動する。
また、接続部14におけるタイミングプーリ68の鉛直方向(Z方向)上側及び鉛直方向(Z方向)下側には、アイドラ70がそれぞれ設けられている。タイミングベルト66は、一対のアイドラ70によって所定の張力に保たれた状態でガイドされ、タイミングプーリ68に巻き掛けられている。
軌道部22B(図5参照)に対してアーム12が軌道回転した場合、タイミングベルト66は、アーム12の移動に追随する。例えば、アーム12の一端が接続部14(軌道部22B)から離れる方向に移動すると、タイミングベルト66は、図7における矢印P方向、すなわち一端が接続部14から離れる方向に移動する。このとき、タイミングベルト66に噛み合っているタイミングプーリ68は、タイミングベルト66の移動に追随して矢印Q方向(図7における時計回り)に回転する。
ここで、本実施形態では、このタイミングプーリ68に第1ロック機構64が接続されている。第1ロック機構64は、例えば無励磁作動形の電磁ブレーキであり、非通電時に回転がロックされ、通電時に回転のロックが解除される。第1ロック機構64として、無励磁作動形の電磁ブレーキを用いることで、停電時等に第1ロック機構64への通電が遮断された場合に、アーム12の回転がロックされるため、アーム12が不用意に回転することを抑制することができる。
具体的には、第1ロック機構64は、図示しない電磁石が内蔵されたハウジング72と、ハウジング72内に設けられた図示しないロータを介してハウジング72に取り付けられた回転軸74と、を備えている。ハウジング72は、接続部14に回転不能に固定されている。一方、ロータ及び回転軸74は、図示しない軸受け部を介して接続部14に回転可能に支持されている。また、回転軸74には、タイミングプーリ68が同軸回転可能に固定されている。
図示を省略するが、電磁石とロータとは回転軸74の周囲に配置されており、電磁石とロータとは回転軸74の軸方向において対向している。さらに、ハウジング72内において、電磁石とロータとの間には、回転軸74の軸方向に移動可能な可動鉄片が設けられている。可動鉄片は、電磁石と離間して配置されているとともに、図示しない付勢部材によってロータ側に付勢されており、ロータをハウジング72の内壁面に押し付けている。
第1ロック機構64の非通電時には、可動鉄片によってロータがハウジング72の内壁面に押し付けられて密着しているため、ロータのハウジング72に対する回転がロックされる。そして、ロータのハウジング72に対する回転がロックされることにより、ロータに固定された回転軸74、及び回転軸74に固定されたタイミングプーリ68の回転がロックされ、タイミングプーリ68に噛み合うタイミングベルト66の移動もロックされる。
タイミングベルト66は、両端がアーム12の両端に固定されているため、タイミングベルト66の移動がロックされることにより、アーム12の軌道部22B(図5参照)に対する軌道回転がロックされる。
一方、第1ロック機構64へ通電すると、ハウジング72に内蔵された電磁石に磁力が生じ、可動鉄片が付勢部材の付勢力に抗って電磁石側に引き寄せられる。これにより、可動鉄片によるロータのハウジング72の内壁面への押し付けが解除され、ロータはハウジング72に対して回転可能となる。すなわち、ロータの回転ロックが解除される。
また、ロータの回転ロックが解除されることにより、回転軸74及びタイミングプーリ68の回転ロックも解除され、タイミングプーリ68に噛み合うタイミングベルト66が移動可能となる。これにより、アーム12の軌道部22B(図5参照)に対する軌道回転のロックが解除される。
(第2ロック機構の構成)
図5に示すように、第2ロック機構76は、本体部16に設けられており、アーム12の軸回転、すなわち軸受け部23に対する回転をロックする。具体的には、図8に示すように、第2ロック機構76は、支持軸24の他端に取り付けられている。
第2ロック機構76は、上述した第1ロック機構64と同様に、例えば無励磁作動形の電磁ブレーキであり、本体部16に回転不能に固定されたハウジング78と、図示しないロータを介してハウジング78に対して回転可能に取り付けられた回転軸80と、を備えている。この回転軸80に、支持軸24が同軸回転可能に固定されている。
第2ロック機構76の非通電時には、図示しない可動鉄片によってロータがハウジング78の内壁面に押し付けられて密着しているため、ロータのハウジング78に対する回転がロックされる。そして、ロータのハウジング78に対する回転がロックされることにより、ロータに固定された回転軸80、及び回転軸80に固定された支持軸24の回転がロックされる。支持軸24の回転がロックされることにより、アーム12の軸受け部23に対する軸回転がロックされる。
一方、第2ロック機構76へ通電すると、ハウジング78に内蔵された図示しない電磁石に磁力が生じ、図示しない可動鉄片が電磁石側に引き寄せられる。これにより、可動鉄片によるロータのハウジング78の内壁面への押し付けが解除され、ロータはハウジング78に対して回転可能となる。すなわち、ロータの回転ロックが解除される。
また、ロータの回転ロックが解除されることにより、回転軸80及び回転軸80に固定された支持軸24の回転ロックも解除される。これにより、アーム12の軸受け部23に対する軸回転のロックが解除される。
(制御部の構成)
図9に示すように、放射線撮影装置10は、本体部16(図1参照)に設けられた制御部28から照射部18の放射線管32に制御信号を送信することで、放射線管32の管電圧、管電流、及び放射線の照射時間等を制御する。管電圧を制御することにより、放射線のエネルギーが制御され、管電流及び照射時間を制御することにより、放射線の線量が制御される。実際には、放射線管32に対しては高電圧が印加されるため、制御部28は、図示しない高電圧発生装置を通じて放射線管32を制御する。撮影に際しては、操作パネル30(図1参照)を通じて、管電圧、管電流及び照射時間などを含む撮影条件が設定される。制御部28は、設定された撮影条件に基づいて照射部18を動作させる。
制御部28は、照射部18から放射線を継続的に照射させる動画撮影用照射を照射部18に実行させることで、被写体H(図1参照)の動画撮影を可能とする。ここで、「放射線を継続的に照射させる」とは、連続して放射線を照射させる連続照射の他、予め設定された細かい時間間隔で照射を繰り返すいわゆるパルス照射も含む。
動画撮影に際しては、制御部28は、照射部18の動画撮影用照射に同期して、受像部20の検出器を動作させる。動画撮影の場合は撮影条件として、基本的に、照射時間は設定されず、動画撮影の開始及び終了の指示は、操作パネル30を通じて行われる。制御部28は、動画撮影の開始の指示が入力されると、予め設定された撮影条件で照射部18から放射線の照射が開始される。もちろん、操作パネル30以外のフットスイッチなどにより動画撮影の開始及び終了の指示を行えるようにしてもよい。
動画撮影において、動画撮影用照射が行われている間、検出器は、予め設定されたフレームレートで画像検出動作を繰り返す。検出器が出力する画像は、制御部28に送信される。制御部28は、受信した画像を、順次、図示しないモニタに出力する。これにより、モニタに被写体Hの動画が表示される。
また、制御部28は、動画撮影用照射よりも短時間の間、照射部18から放射線を照射させる静止画撮影用照射を照射部18に実行させることで、被写体H(図1参照)の静止画撮影を可能とする。
静止画撮影において、制御部28は、照射部18の静止画用照射の照射タイミングに同期して、受像部20の検出器を動作させる。静止画撮影の指示は、例えば、制御部28に接続された図示しない照射スイッチを通じて行われる。静止画撮影の場合、照射時間は、例えば、数十ミリ秒から数百ミリ秒のオーダである。制御部28は、静止画撮影の指示が入力されると、予め設定された撮影条件に基づいて照射部18を動作させる。静止画撮影の場合は、撮影条件において照射時間が設定されているため、設定された照射時間が経過すると照射部18の照射は終了する。
検出器は、照射が終了すると、検出した画像の出力を開始する。検出器が出力する画像は、制御部28に送信される。制御部28は、図示しないメモリに静止画のデータを保存する。そして、保存した静止画が、図示しないモニタに表示される。これにより、モニタに被写体Hの静止画が表示される。また、撮影直後に撮影した静止画を確認するために、操作パネル30に静止画を表示してもよい。
また、制御部28は、ソレノイド56を制御する。すなわち、ソレノイド56によって受像部20のアーム12に対する着脱が規制されている状態において、操作パネル30(図1参照)を介して着脱規制の解除操作が行われた場合には、制御部28は、ソレノイド56に駆動信号を送信し、ソレノイド56へ通電する。これにより、ソレノイド56によって可動鉄芯56A(図4B参照)が吸引され、受像部20がアーム12に対して取り外し可能となる。
一方、操作パネル30(図1参照)を介して受像部20の着脱規制の指示が入力された場合には、制御部28は、ソレノイド56への通電を遮断する。この場合、受像部20がアーム12に取り付けられている状態では、図4Bに示す受像部20の挿入孔58と台座44の貫通孔54とが連通しているため、可動鉄芯56Aが受像部20の挿入孔58に挿入されることによって受像部20のアーム12に対する着脱が規制される。
このように、制御部28は、ソレノイド56への通電を制御することにより、受像部20のアーム12に対する着脱が許可された状態と、受像部20のアーム12に対する着脱が規制された状態とを切り替える。なお、受像部20の着脱規制の指示が入力された場合であっても、受像部20がアーム12に取り付けられていない場合、すなわち、図4Bに示す受像部20の挿入孔58と台座44の貫通孔54とが連通していない場合には、可動鉄芯56Aを挿入孔58に挿入することができない。このため、受像部20のアーム12に対する着脱は規制されない。
また、制御部28は、アーム12に設けられたフォトセンサ60からの検知信号に基づいて、受像部20がアーム12から取り外されているか否かを判定する。図4Bに示すように、受像部20がアーム12に取り付けられている場合には、制御部28は、フォトセンサ60から検知信号としてオン信号を受信する。制御部28は、フォトセンサ60からオン信号を受信している間、受像部20がアーム12に取り付けられていると判定する。
一方、図4Aに示すように、受像部20がアーム12から取り外されている場合には、制御部28は、フォトセンサ60から検知信号としてオフ信号を受信する。制御部28は、フォトセンサ60からオフ信号を受信している間、受像部20がアーム12から取り外されていると判定する。
また、制御部28は、操作パネル30からの操作指示に応じて、第1ロック機構64を制御する。すなわち、制御部28は、操作パネル30を通じて回転ロックをオフする旨のロック解除指示が入力されると、第1ロック機構64に駆動信号を送信することで、第1ロック機構64へ通電する。これにより、図7に示すハウジング72に対する回転軸74及びタイミングプーリ68の回転ロックを解除することで、アーム12の軌道部22Bに対する軌道回転のロックを解除する。
一方、制御部28は、操作パネル30を通じて回転ロックをオンする旨のロック指示が入力されると、第1ロック機構64への通電を遮断することにより、図7に示すハウジング72に対する回転軸74及びタイミングプーリ68の回転をロックすることで、アーム12の軌道部22Bに対する軌道回転をロックする。
同様に、制御部28は、操作パネル30からの操作信号に応じて、第2ロック機構76を制御する。すなわち、制御部28は、操作パネル30を通じて回転ロックをオフする旨のロック解除指示が入力されると、第2ロック機構76に駆動信号を送信することで、第2ロック機構76へ通電する。これにより、図8に示すハウジング78に対する回転軸80及び支持軸24の回転ロックを解除することで、アーム12の軸受け部23に対する軸回転のロックを解除する。
一方、制御部28は、操作パネル30を通じて回転ロックをオンする旨のロック指示が入力されると、第2ロック機構76への通電を遮断することにより、図8に示すハウジング78に対する回転軸80及び支持軸24の回転ロックを解除することで、アーム12の軸受け部23に対する軸回転のロックを解除する。
(放射線撮影装置の制御方法)
次に、本実施形態に係る放射線撮影装置10の制御方法について、図10のフローチャートを用いて説明する。
まず、ステップ500において、図示しない電源スイッチの操作によって電源が入れられた場合(ステップ500がY)、制御部28は、放射線撮影装置10の制御を開始する。制御部28による制御が開始されると、操作パネル30を通じた撮影条件の入力の受付などが可能となる。また、本実施形態の第1ロック機構64及び第2ロック機構76は、無励磁作動形の電磁ブレーキを採用しているため、放射線撮影装置10の電源がオフされている状態では、アーム12の回転はロックされている。そのため、本実施形態では、放射線撮影装置10が起動した状態では、アーム12の回転はロックされている。
ステップ502において、制御部28は、アーム12の回転ロックを解除するためのロック解除操作が行われたか否かを判定する。ステップ502において、ロック解除指示が無い場合(ステップ502でN)は、ステップ504に進み、アーム12の回転ロック状態を維持する。すなわち、アーム12の回転ロックの解除を禁止する。その後、ステップ514に進む。
ステップ502において、ロック解除指示が有る場合(ステップ502でY)は、制御部28は、アーム12に受像部20が取り付けられているか否かを判定する(ステップ506)。
ステップ506において、アーム12に受像部20が取り付けられていないと判定した場合(ステップ506でN)は、ステップ504に進み、アーム12の回転ロック状態を維持する。すなわち、アーム12の回転ロックの解除を禁止する。その後、ステップ514に進む。
ステップ506において、アーム12に受像部20が取り付けられていると判定した場合(ステップ506でY)は、制御部28は、第1ロック機構64及び第2ロック機構76へ通電することにより、アーム12の回転ロックを解除する(ステップ508)。
ステップ508で、アーム12の回転ロックを解除した後、制御部28は、アーム12の回転をロックするためのロック操作が行われるまで待機する(ステップ510)。そして、ロック指示があった場合(ステップ510がY)は、制御部28は、第1ロック機構64及び第2ロック機構76への通電を遮断することにより、アーム12の回転をロックする(ステップ512)。
ステップ514で、制御部28は、操作者が図示しない電源スイッチを操作することにより、放射線撮影装置10の電源が切られたか否か判定する。そして、放射線撮影装置10の電源が切られていない場合(ステップ514がN)、ステップ502に戻る。一方、放射線撮影装置10の電源が切られた場合(ステップ514がY)、制御部28は、放射線撮影装置10の制御を終了する。
なお、図10のフローチャートにおいては省略したが、ステップ508においてアーム12の回転ロックが解除された状態で、放射線撮影装置10の電源が切られる場合もある。この場合は、操作パネル30を通じたロック指示が無くても、放射線撮影装置10の電源オフによって、第1ロック機構64及び第2ロック機構76への通電が遮断されることにより、アーム12の回転はロックされる。
(作用効果)
本実施形態の放射線撮影装置10によれば、アーム12の軌道部22Bに対する軌道回転をロックする第1ロック機構64が接続部14に設けられている。また、アーム12の軸受け部23に対する軸回転をロックする第2ロック機構76が本体部16に設けられている。
さらに、アーム12において、受像部20を取り付ける台座44には、第1着脱検知部の一例としてフォトセンサ60が設けられている。このフォトセンサ60によって、受像部20がアーム12から取り外されているか否かを検知することができる。
また、本実施形態では、放射線撮影装置10の制御部28は、受像部20がアーム12から取り外されている状態においては、第1ロック機構64及び第2ロック機構76によるアーム12の回転のロックを解除するためのロック解除操作が行われても、ロックの解除を禁止する制御を行う。このため、従来技術において用いられている重量バランス調整機構のような複雑な機構を用いずに、受像部20の取り外しの際にアーム12が不用意に回転することを抑制することができる。
本実施形態の放射線撮影装置10においては、アーム12のロック機構として、アーム12の軌道回転をロックする第1ロック機構64と、アーム12の軸回転をロックする第2ロック機構76の2つが設けられている。そして、制御部28は、受像部20の着脱状態に応じたロック解除を禁止する制御を、2つの第1ロック機構64及び第2ロック機構76に対して行っている。このように、2つのロック機構に対して、ロック解除を禁止する制御が行われることが好ましい。しかし、必ずしも2つのロック機構に対して制御が行われなくてもよく、2つの第1ロック機構64及び第2ロック機構76の少なくとも一方に対して行われればよい。
また、本実施形態の放射線撮影装置10においては、アーム12から受像部20が取り外されていることが検知されている状態において、ロックの解除を禁止する制御を行っているが、これに加えて、次のようにしてもよい。すなわち、アーム12に受像部20が取り付けられている状態でも、ソレノイド56(着脱規制機構の一例)による受像部20の着脱規制がオフ(取り外しが可能)になっている場合は、アーム12の回転のロックの解除操作が行われても、回転ロックの解除を禁止する制御を行ってもよい。これによれば、アーム12の回転によって、受像部20が不用意にアーム12から脱落することを防止することができる。
この場合、制御部28は、第1着脱検知部の一例であるフォトセンサ60の検知信号に基づいて受像部20が取り付けられているか否かを判定し、かつ、ソレノイド56の通電状態に基づいて受像部20の着脱規制のオンオフを判定する。
<第2実施形態>
次に、本開示の第2実施形態に係る放射線撮影装置について、図11~図17を用いて説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略し、かつ、差異点を中心に説明する。
第1実施形態の放射線撮影装置10では、筐体内に着脱不能に内蔵された検出器を有する受像部20が、アーム12に対して着脱可能に取り付けられていた。これに対し、本実施形態の放射線撮影装置100では、図11A及び図11Bに示すように、検出器102と、検出器102が着脱可能に収容される収容部104とによって受像部106が構成されている。
(受像部の構成)
検出器102は、収容部104に対して着脱可能に収容されており、収容部104は、アーム12に対して着脱可能に取り付けられている。検出器102が収容部104に対して着脱可能であるというのは、検出器102がアーム12に対して着脱可能と同義であるため、こうした構成により、アーム12に取り付ける検出器102のサイズを変えることができる。
また、収容部104も、アーム12に対して着脱可能である。こうすることで、検出器102のサイズを変更した場合において、アーム12の重量バランスを保ちやすい。アーム12の一例として示すCアームは、両端においてそれぞれ保持する照射部18と受像部106の重量バランスを取ることで、不用意な軌道回転を防止し、任意の回転位置で静止できるようになっている。より具体的には、アーム12の軌道回転の回転中心(図2Aにおいて軸線Mと一致する)と、照射部18及び受像部106を含めたアーム12全体の重心とを一致させることで、アーム12の重量バランスの作用によって、アーム12を任意の回転位置で静止させることが可能である。
検出器102のサイズを変更すると、受像部106の重量が変化するため、アーム12の重心も軌道回転の回転中心から外れてしまう。そのため、検出器102に加えて収容部104もアーム12に対して着脱可能とすることで、検出器102の重量変化を収容部104の変更によって補うことができる。収容部104としては、例えば、重量調整用のバラストなどを変更することにより、重量が異なるものが複数種類用意される。これら複数種類の収容部104を使い分けることで、検出器102のサイズ変更による重量変化分を補うことができる。これにより、検出器102のサイズを変更した場合でも、それに合わせて収容部104を変更することにより、照射部18と受像部106の重量バランスを保ち、アーム12の重心を軌道回転の中心に一致させることが可能となる。
受像部106を構成する検出器102は、第1実施形態の検出器と同様に、例えばフラットパネルディテクタ等からなり、図1に示す照射部18から照射され被写体Hを透過した放射線を受像面102Aで受けることにより、被写体Hの放射線画像を検出する。本実施形態においては、検出器102が可搬型の電子カセッテとして機能する。
受像部106を構成する収容部104は、扁平な直方体形状の箱体であり、下面に形成された嵌合凹部108と、検出器102が収容される収容凹部110と、を有している。嵌合凹部108は、第1実施形態の受像部20の下面に形成された嵌合凹部48と同様の構成であり、アーム12の他端に設けられた嵌合凸部46と嵌合凹部108とが嵌合することで、収容部104がアーム12に着脱可能に取り付けられる。
また、第1実施形態と同様に、アーム12には、収容部104のアーム12に対する着脱を規制するソレノイド56、及び第1着脱検知部としてのフォトセンサ60が設けられている。本実施形態では、フォトセンサ60は、収容部104がアーム12から取り外されているか否か、すなわち、受像部106を構成する収容部104及び検出器102の双方がアーム12から取り外されているか否かを検知する。
図11Aに示すように、収容部104の4つの側面のうちの1つには、検出器102を収容凹部110内に収容するための開口110Aが形成されている。また、照射部18の照射開口34A(図16参照)と対向する収容部104の上面にも、収容凹部110と連通する正方形状の開口110Bが形成されている。
検出器102が収容凹部110に収容された状態では、図11Bに示すように、検出器102の受像面102Aが収容部104の上面に形成された開口110Bから露出する。これにより、検出器102が収容部104、すなわちアーム12に取り付けられた状態であっても、照射部18(図16参照)から照射される放射線を検出器102の受像面102Aで受けることが可能となっている。
また、収容部104には、検出器102が収容部104から取り外されているか否かを検知する第2着脱検知部としてのフォトセンサ112が設けられている。フォトセンサ112は、収容凹部110内における収容部104の開口110Aが形成されている側面とは反対側の側面に設けられている。
フォトセンサ112は、第1実施形態のフォトセンサ60と同様の構成であり、発光素子から発光されて受光素子で受光された光の光量の変化を検知することにより、収容凹部110内における検出器102の有無を検知することができる。なお、第2着脱検知部は、フォトセンサ112に限らず、検出器102が収容部104から取り外されているか否かを検知することができる機能を有していれば、例えば、圧電素子を利用した接触センサ、又はマイクロスイッチ等でもよい。
また、収容凹部110内には、第2着脱検知部としてのフォトセンサ112の他、検出器102を収容凹部110内に固定して検出器102の脱落を防止し、かつこれを解除する図示しない着脱規制機構を設けてもよい。
(第1摩擦機構の構成)
図12及び図13に示すように、本実施形態の放射線撮影装置100の接続部14には、第1ロック機構64と、摩擦機構としての第1摩擦機構114と、が設けられている。
第1ロック機構64は、第1実施形態と同様の構成である。すなわち、第1ロック機構64は、ハウジング72及び回転軸74を有しており、回転軸74にタイミングプーリ68が固定されている。また、タイミングプーリ68には、両端がアーム12の両端に固定されたタイミングベルト66が巻き掛けられている。
さらに、第1ロック機構64の回転軸74は、図13に示す軸受け部116を介して接続部14のフレーム118に回転可能に支持されている。また、回転軸74には、第1ギア120が同軸回転可能に固定されており、この第1ギア120には、第2ギア122が噛み合っている。
第1摩擦機構114は、第1摩擦軸124と、第1摩擦軸124に取り付けられ、摩擦力を発生する摩擦力発生部126と、第1ロック機構64の回転軸74と第1摩擦軸124との連結と非連結とを切り替える第1電磁クラッチ128と、を有している。
図13に示すように、第1摩擦軸124は、軸受け部130を介して接続部14のフレーム118に回転可能に支持されている。また、第1摩擦軸124は、側板132に形成された軸穴132Aに挿通されている。側板132は、フレーム118に対して第1摩擦軸124の軸方向(図13におけるY方向)に間隔をあけてフレーム118に固定されている。
摩擦力発生部126は、摩擦面同士の接触により摩擦力を発生する二組の摩擦板134A、134Bと、摩擦板134A、134Bのそれぞれの摩擦面同士を押し付ける方向に付勢する付勢部136と、を備えている。摩擦板134A、134Bは、側板132における第1摩擦軸124の軸方向の両端面にそれぞれ一組ずつ設けられている。
摩擦板134A、134Bには、図示しない軸穴がそれぞれ形成されており、この軸穴に第1摩擦軸124が挿通されることにより、摩擦板134A、134Bは、第1摩擦軸124の軸方向に移動可能な状態で取り付けられている。なお、側板132とフレーム118の間に配置されている一組の摩擦板134A、134Bは、第1摩擦軸124に固定された規制板138によって第1摩擦軸124の軸方向の移動が規制されている。
また、側板132の端面に接する摩擦板134Aは、図示しない回転止めによって固定されており、第1摩擦軸124の回転に関わらず回転しない固定摩擦板となっている。一方、側板132に対して摩擦板134A(固定摩擦板)よりも第1摩擦軸124の軸方向外側に設けられた摩擦板134Bは、第1摩擦軸124の回転に伴って回転する回転摩擦板となっている。
付勢部136は、第1摩擦軸124の軸方向の一端と側板132との間に設けられており、皿ばねユニット140と、一対の緩衝板142と、第1摩擦軸124の軸方向の一端に設けられたナット144と、を備えている。
皿ばねユニット140は、複数の皿ばね140Aで構成されている。皿ばね140Aは、一方の面が凸面で他方の面が凹面である円盤形状のばねである。複数の皿ばね140Aは、第1摩擦軸124の軸方向に沿って積み重ねて配列されている。
また、皿ばねユニット140の第1摩擦軸124における軸方向外側には、それぞれ緩衝板142が配置されている。一方の緩衝板142は、皿ばねユニット140と摩擦板134Bとの間に配置されている。また、他方の緩衝板142は、皿ばねユニット140とナット144との間に配置されている。
なお、緩衝板142及び皿ばね140Aには、図示しない軸穴がそれぞれ形成されており、この軸穴に第1摩擦軸124が挿通されることにより、緩衝板142及び皿ばね140Aは、第1摩擦軸124の軸方向に移動可能な状態で取り付けられている。
皿ばねユニット140の端面を一方の緩衝板142に当接させた状態で、ナット144を締め付けると、皿ばねユニット140が一方の緩衝板142を押し付ける方向に移動する。皿ばねユニット140が移動すると、緩衝板142を介して各組の摩擦板134A、134Bに押し付け力が加わる。
ナット144をさらに締め付けて、皿ばねユニット140が移動限界に達すると、皿ばね140Aが弾性変形して皿ばねユニット140が第1摩擦軸124の軸方向に収縮する。皿ばねユニット140は、弾性に基づいて、摩擦板134A、134Bの摩擦面同士を押し付ける方向に付勢する。
このように、付勢部136の作用により、摩擦板134A、134Bの摩擦面同士が接触し、かつ摩擦面に垂直抗力が生じる。このため、第1摩擦軸124が回転しようとすると、摩擦板134A、134Bの摩擦面には、第1摩擦軸124の回転方向とは逆向きの摩擦力が作用する。
第1電磁クラッチ128は、第1摩擦軸124の軸方向の他端に取り付けられている。第1電磁クラッチ128は、図示しない電磁石が内蔵されたハウジング148と、第1摩擦軸124に固定された軸固定部150と、を備えている。ハウジング148と軸固定部150は、互いに離間している。また、ハウジング148と軸固定部150との間には、ハウジング148と軸固定部150とを互いに離れる方向に付勢する図示しない付勢部材が設けられている。
第1電磁クラッチ128のハウジング148は、第2ギア122に固定されている。ハウジング148及び第2ギア122には、第1摩擦軸124が挿通される軸穴122A、148Aがそれぞれ形成されており、第1摩擦軸124の外周面と軸穴122A、148Aの内周面との間には、隙間が形成されている。すなわち、ハウジング148及び第2ギア122は、第1摩擦軸124に対して非連結となっている。
第1電磁クラッチ128は、第2ギア122と第1摩擦軸124の連結と非連結とを切り替えることにより、第1ロック機構64の回転軸74と第1摩擦軸124との連結と非連結とを切り替える。具体的には、第1電磁クラッチ128へ通電すると、ハウジング148に内蔵された電磁石に磁力が生じ、軸固定部150が図示しない付勢部材の付勢力に抗って電磁石側に引き寄せられる。これにより、ハウジング148と軸固定部150とが密着して連結する。
ハウジング148と軸固定部150とが連結している状態(第1状態に相当)において、回転軸74が回転すると、第1ギア120、第2ギア122、及び第1電磁クラッチ128のハウジング148が回転軸74の回転に伴って回転する。また、ハウジング148に連結された第1電磁クラッチ128の軸固定部150、及び軸固定部150が固定された第1摩擦軸124も、回転軸74の回転に伴って回転する。
上述したように、第1摩擦軸124には回転方向とは逆向きの摩擦力が作用しているため、回転軸74の回転に伴って第1摩擦軸124が回転することにより、回転軸74に回転方向とは逆向きの摩擦力が作用する。
回転軸74には、タイミングプーリ68が固定されており、タイミングプーリ68には、アーム12の両端に固定されたタイミングベルト66が巻き掛けられている。このため、回転軸74に回転方向とは逆向きの摩擦力が作用することにより、アーム12が軌道回転する際に、アーム12が回転する方向とは逆向きの摩擦力がアーム12に対して作用する。
一方、第1電磁クラッチ128の非通電時には、第2ギア122に固定されたハウジング148と、第1摩擦軸124に固定された軸固定部150とが、図示しない付勢部材によって付勢されることで離間している。このため、ハウジング148と軸固定部150とが非連結となり、第2ギア122と第1摩擦軸124とが非連結となる。
ハウジング148と軸固定部150とが非連結の状態(第2状態に相当)において、回転軸74が回転すると、第1ギア120、第2ギア122、及び第1電磁クラッチ128のハウジング148が回転軸74の回転に伴って回転する。しかし、第1電磁クラッチ128の軸固定部150及び第1摩擦軸124は回転しない。このため、回転軸74が回転する際に第1摩擦軸124に作用する摩擦力は作用せず、第1電磁クラッチ128への通電時と比較して、アーム12が軌道回転する際に、アーム12に作用する摩擦力が低減される。
(第2摩擦機構の構成)
また、図14及び図15に示すように、本実施形態の放射線撮影装置100の本体部16には、第2ロック機構76と、摩擦機構としての第2摩擦機構152と、が設けられている。第2ロック機構76は、第1実施形態と同様の構成である。
すなわち、第2ロック機構76は、ハウジング78及び回転軸80を有しており、一端がアーム12(図16参照)に固定された支持軸24の他端が回転軸80に固定されている。本実施形態では、支持軸24の外周面に、第3ギア154が同軸回転可能に固定されており、この第3ギア154には、第4ギア156が噛み合っている。
第2摩擦機構152は、第2摩擦軸158と、第2摩擦軸158に取り付けられ、摩擦力を発生する摩擦力発生部160と、支持軸24と第2摩擦軸158との連結と非連結とを切り替える第2電磁クラッチ162と、を有している。
第2摩擦軸158は、図示しない軸受け部を介して本体部16のフレーム164に支持されている。また、第2摩擦軸158の軸方向の一端に摩擦力発生部160が取り付けられている。本実施形態では、摩擦力発生部160は、例えばロータリーダンパーで構成されている。
具体的には、摩擦力発生部160は、第2摩擦軸158の軸方向の一端に固定された図示しないロータと、ロータが収容されるハウジング160Aと、ロータとハウジング160Aとの間に充填されたオイル等からなる図示しない粘性体と、を備えている。
第2摩擦軸158が回転すると、第2摩擦軸158に固定されたロータがハウジング160A内で回転する。このとき、ハウジング160A内に充填された粘性体の粘性抵抗により、ロータの外周面に回転方向とは逆向きの摩擦力が作用する。すなわち、第2摩擦軸158に回転方向とは逆向きの摩擦力が作用する。
また、第2摩擦軸158の軸方向の他端には、第2電磁クラッチ162が取り付けられている。第2電磁クラッチ162は、第1電磁クラッチ128と同様の構成であり、第4ギア156に固定されたハウジング166と、第2摩擦軸158に固定された軸固定部168と、を備えている。
第2電磁クラッチ162へ通電すると、ハウジング166と軸固定部168が連結され(第1状態に相当)、第2摩擦軸158に作用する回転方向とは逆向きの摩擦力が、第4ギア156及び第3ギア154を介して支持軸24に作用する。これにより、アーム12(図16参照)が軸回転する際に、アーム12が回転する方向とは逆向きの摩擦力がアーム12に対して作用する。
一方、第2電磁クラッチ162への通電を遮断すると、ハウジング166と軸固定部168が非連結となり(第2状態に相当)、第2摩擦軸158に作用する摩擦力は支持軸24には作用しない。これにより、第2電磁クラッチ162への通電時と比較して、アーム12(図16参照)が軸回転する際に、アーム12に作用する摩擦力が低減される。
(制御部の構成)
図16に示すように、本実施形態の放射線撮影装置100の制御部170は、第1実施形態と同様に、ソレノイド56への通電を制御することにより、収容部104のアーム12に対する着脱が許可された状態と、収容部104のアーム12に対する着脱が規制された状態とを切り替える。
また、制御部170は、第1実施形態と同様に、アーム12の台座44に設けられたフォトセンサ60からの検知信号に基づいて、収容部104がアーム12から取り外されているか否かを判定する。さらに、本実施形態では、制御部170は、収容部104の収容凹部110(図11B参照)に設けられたフォトセンサ112からの検知信号に基づいて、検出器102が収容部104から取り外されているか否かを判定する。
また、制御部170は、第1実施形態と同様に、第1ロック機構64を制御してアーム12の軌道回転のロック状態を切り替え、かつ、第2ロック機構76を制御してアーム12の軸回転のロック状態を切り替える。
さらに、制御部170は、第1電磁クラッチ128を制御する。すなわち、制御部170は、第1電磁クラッチ128に駆動信号を送信することで、第1電磁クラッチ128へ通電する。これにより、図13に示す回転軸74と第1摩擦軸124とを連結することで、アーム12に対して回転する方向とは逆向きの摩擦力を作用させる。
一方、制御部170は、第1電磁クラッチ128への通電を遮断することにより、図13に示す回転軸74と第1摩擦軸124とを非連結とする。これにより、第1電磁クラッチ128への通電時と比較して、アーム12に作用する摩擦力を低減させる。
同様に、制御部170は、第2電磁クラッチ162を制御する。すなわち、制御部170は、第2電磁クラッチ162に駆動信号を送信することで、第2電磁クラッチ162へ通電する。これにより、図15に示す支持軸24と第2摩擦軸158とを連結することで、アーム12に対して回転する方向とは逆向きの摩擦力を作用させる。
一方、制御部170は、第2電磁クラッチ162への通電を遮断することにより、図15に示す支持軸24と第2摩擦軸158とを非連結とする。これにより、第2電磁クラッチ162への通電時と比較して、アーム12に作用する摩擦力を低減させる。
(放射線撮影装置の制御方法)
次に、本実施形態に係る放射線撮影装置100の制御方法について、図17のフローチャートを用いて説明する。
まず、ステップ600において、図示しない電源スイッチの操作によって電源が入れられた場合(ステップ600がY)、制御部170は放射線撮影装置100の制御を開始する。制御部170による制御が開始されると、操作パネル30を通じた撮影条件の入力の受付などが可能となる。また、第1ロック機構64及び第2ロック機構76は、第1実施形態と同様の無励磁作動形の電磁ブレーキを採用しているため、本例においては、放射線撮影装置10が起動した状態では、アーム12の回転はロックされている。
ステップ602において、制御部170は、アーム12の回転ロックを解除するためのロック解除操作が行われたか否かを判定する。ステップ602において、ロック解除指示が無い場合(ステップ602でN)は、ステップ604に進み、アーム12の回転ロック状態を維持する。すなわち、アーム12の回転ロックの解除を禁止する。その後、ステップ620に進む。
ステップ602において、ロック解除指示が有る場合(ステップ602でY)は、制御部170は、アーム12に収容部104が取り付けられているか否かを判定する(ステップ606)。
ステップ606において、アーム12に収容部104が取り付けられていないと判定した場合(ステップ606でN)は、ステップ604に進み、アーム12の回転ロック状態を維持する。すなわち、アーム12の回転ロックの解除を禁止する。その後、ステップ620に進む。
ステップ606において、アーム12に収容部104が取り付けられていると判定した場合(ステップ606でY)は、制御部170は、収容部104に検出器102が取り付けられているか否かを判定する(ステップ608)。
ステップ608において、収容部104に検出器102が取り付けられていないと判定した場合(ステップ608でN)は、制御部170は、第1摩擦機構114及び第2摩擦機構152を第1状態にする(ステップ610)。すなわち、第1電磁クラッチ128及び第2電磁クラッチ162へ通電してハウジング148、166と軸固定部150、168とを連結する。その後、第1ロック機構64及び第2ロック機構76へ通電することにより、アーム12の回転ロックを解除する(ステップ614)。
ステップ608において、収容部104に検出器102が取り付けられていると判定した場合(ステップ608でY)は、制御部170は、第1摩擦機構114及び第2摩擦機構152を第2状態にする(ステップ612)。すなわち、第1電磁クラッチ128及び第2電磁クラッチ162への通電を遮断してハウジング148、166と軸固定部150、168とを非連結とする。その後、第1ロック機構64及び第2ロック機構76へ通電することにより、アーム12の回転ロックを解除する(ステップ614)。
ステップ614で、アーム12の回転ロックを解除した後、制御部170は、アーム12の回転をロックするためのロック操作が行われるまで待機する(ステップ616)。そして、ロック指示があった場合(ステップ616がY)は、制御部170は、第1ロック機構64及び第2ロック機構76への通電を遮断することにより、アーム12の回転をロックする(ステップ618)。
ステップ620で、制御部170は、操作者が図示しない電源スイッチを操作することにより、放射線撮影装置100の電源が切られたか否か判定する。そして、放射線撮影装置100の電源が切られていない場合(ステップ620がN)、ステップ602に戻る。一方、放射線撮影装置100の電源が切られた場合(ステップ620がY)、制御部170は放射線撮影装置100の制御を終了する。
なお、図17のフローチャートにおいては省略したが、ステップ614においてアーム12の回転ロックが解除された状態で、放射線撮影装置10の電源が切られる場合もある。この場合は、操作パネル30を通じたロック指示が無くても、放射線撮影装置10の電源オフによって、第1ロック機構64及び第2ロック機構76への通電が遮断されることにより、アーム12の回転はロックされる。
(作用効果)
本実施形態の放射線撮影装置100では、収容部104に着脱可能に収容される検出器102と、アーム12に対して着脱可能に保持される収容部104と、によって受像部106が構成されている。また、収容部104がアーム12から取り外されているか否かを検知するフォトセンサ60と、検出器102が収容部104から取り外されているか否かを検知するフォトセンサ112とが、それぞれ設けられている。
そして、本実施形態では、収容部104がアーム12から取り外されている状態、すなわち受像部106を構成する収容部104及び検出器102の双方がアーム12から取り外されている状態では、制御部170は、ロック解除操作が行われても、アーム12の回転ロックの解除を禁止する制御を行う。このため、従来技術において用いられている重量バランス調整機構のような複雑な機構を用いずに、受像部106の収容部104の取り外しの際にアーム12が不用意に回転することを抑制することができる。
また、本実施形態の放射線撮影装置100は、第1摩擦機構114及び第2摩擦機構152を備えている。第1摩擦機構114及び第2摩擦機構152は、第1電磁クラッチ128及び第2電磁クラッチ162をそれぞれ有しており、摩擦力をアーム12に対して作用させる第1状態と、アーム12に作用させる摩擦力を第1状態よりも低減する第2状態と、を切り替え可能である。
一般的に、収容部104がアーム12に取り付けられ、かつ、検出器102が収容部104から取り外されている状態では、収容部104及び検出器102の双方がアーム12から取り外されている状態と比較して、アーム12の重量バランスの変化は小さい。
ここで、本実施形態において、第1着脱検知部の一例であるフォトセンサ60によって収容部104がアーム12に取り付けられていることが検知されており、かつ、第2着脱検知部の一例であるフォトセンサ112によって検出器102が収容部104から取り外されたことが検知されている状態にあるとする。この状態において、ロック解除操作が行われた場合には、制御部170は、ロック機構の一例である第1ロック機構64及び第2ロック機構76によるロックの解除を許容し、かつ、摩擦機構の一例である第1摩擦機構114及び第2摩擦機構152を第1状態にする制御を行う。
これにより、アーム12の回転を許容しつつ、アーム12が不用意に回転することを摩擦力によって抑制することができる。アーム12からは検出器102のみが取り外れている状態は、アーム12の重量バランスの変化が小さい状態である。この場合は、ロック機構によってアーム12の回転を完全に禁止しなくても、摩擦力によってアーム12の不用意な回転を抑制することができる。摩擦力による負荷が生じつつも、アーム12の回転は許容されるため、アーム12の回転が完全に禁止される場合と比較して、使い勝手もよい。
一方、フォトセンサ60によって収容部104がアーム12に取り付けられていることが検知されており、かつ、フォトセンサ112によって検出器102が収容部104に取り付けられていることが検知されている状態において、ロック解除操作が行われた場合には、制御部170は、第1ロック機構64及び第2ロック機構76によるロックの解除を許容し、かつ、第1摩擦機構114及び第2摩擦機構152を第1状態よりも低減する第2状態にする制御を行う。これにより、アーム12を容易に軸回転又は軌道回転させることができる。収容部104及び検出器102の両方がアーム12に取り付けられているため、アーム12の重量バランスは保たれているため、アーム12の回転を許容しても、重量バランスの作用によって、アーム12が不用意な回転は抑制される。
本実施形態の放射線撮影装置10においては、アーム12のロック機構として、アーム12の軌道回転をロックする第1ロック機構64と、アーム12の軸回転をロックする第2ロック機構76の2つが設けられている。また、摩擦機構としては、アーム12の軌道回転に対応する第1摩擦機構114と、アーム12の軸回転に対応する第2摩擦機構152の2つが設けられている。制御部170は、受像部106を構成する収容部104及び検出器102の着脱状態に応じて、2つのロック回転機構のロック解除を禁止する制御と、2つの摩擦機構の第1状態と第2状態を切り替える制御を行っている。
本実施形態で示したとおり、2つのロック機構と2つの摩擦機構の両方に対して制御が行われることが好ましい。しかし、必ずしもすべてに対して制御を行わなくてもよく、例えば、ロック解除を禁止する制御は、2つの第1ロック機構64及び第2ロック機構76の少なくとも一方に対して行われればよい。また、摩擦機構の第1状態と第2状態を切り替える制御についても、2つの第1摩擦機構114と第2摩擦機構152の少なくとも一方に対して行わればよい。
<第3実施形態>
次に、本開示の第3実施形態に係る放射線撮影装置200について、図18及び図19を用いて説明する。なお、第2実施形態と同様の構成については、図示及び説明を省略し、かつ、差異点を中心に説明する。
第2実施形態の放射線撮影装置100では、第2ロック機構76と、第2摩擦機構152と、が本体部16に設けられていた。これに対し、本実施形態の放射線撮影装置200では、第2摩擦機構152の代わりに回転角度規制機構202が本体部16に設けられている。
回転角度規制機構202は、アーム12(図2A参照)の軸受け部23に対する軸回転の角度の範囲を第1の範囲よりも狭い第2の範囲に規制する規制状態と、回転角度の規制が解除された規制解除状態と、を切り替えることが可能である。なお、本実施形態において、第1の範囲とは、回転角度規制機構202によって規制されていない状態におけるアーム12の軸線Nを中心とする軸回転の角度の範囲であり、少なくとも180°以上である。
具体的には、回転角度規制機構202は、支持軸24の外周面に同軸回転可能に固定された当接部材204と、支持軸24と平行に延びる、すなわち放射線撮影装置200の前後方向(X方向)に延びる円柱形状のロックピン206と、を備えている。
当接部材204の外周面には、支持軸24の径方向外側へ延びる一対の突起208が突設されている。一対の突起208は、支持軸24の周方向に互いに所定の間隔をあけて配置されている。この一対の突起208と支持軸24の中心軸との成す角度θ(図19B参照)が、回転角度規制機構202によって規制されたアーム12の回転角度の範囲(すなわち第2の範囲)となる。
ロックピン206は、図示しない軸受け部を介して本体部16のフレーム164に回転可能に支持されている。なお、ロックピン206の軸方向の一端には、ロックピン206を回転させる図示しない駆動機構が接続されている。
ロックピン206は、支持軸24の鉛直方向(Z方向)上側に配置されている。また、ロックピン206は、一対の突起208間において、支持軸24が軸線N回りに回転した際に突起208の先端に当接する位置に配置されている。また、ロックピン206の外周面における突起208の先端に当接する位置には、半円形状の切欠210が形成されている。
図19A及び図19Bに示すように、ロックピン206は、図示しない駆動機構によって軸回りに回転駆動されることで、切欠210が下側、すなわち突起208に対向する側に位置する規制解除状態と、切欠210が上側、すなわち突起208に対向する側とは反対側に位置する規制状態と、を切り替え可能である。
具体的には、図19Aに示すように、ロックピン206が規制解除状態である場合に、支持軸24を軸線N回りに回転させると、突起208はロックピン206の切欠210を通るため、ロックピン206に当接しない。このため、支持軸24の回転が規制されず、アーム12(図2A参照)は、第1の範囲内で軸回転可能となる。
一方、図19Bに示すように、ロックピン206が規制位置である場合に、支持軸24を軸線N回りに回転させると、突起208はロックピン206の外周面に当接する。このため、支持軸24は、一方の突起208がロックピン206に当接する角度と他方の突起208がロックピン206に当接する角度との間でしか回転することができない。すなわち、ロックピン206によって支持軸24の回転が規制され、アーム12(図2A参照)は、第2の範囲(角度θ)内でのみ軸回転可能となる。
図示を省略するが、本実施形態の制御部は、第2実施形態の制御部170(図16参照)とほぼ同様であり、相違点としては、まず、図示しない駆動機構に駆動信号を送信することで、ロックピン206を回転させ、ロックピン206の規制解除状態と規制状態とを切り替える。
本実施形態の制御部の制御フローは、第2実施形態の制御部170の制御フローと同様の手順にて実行される。ここで、第2実施形態の制御フローでは、ステップ608において、収容部104に検出器102が取り付けられていないと判定した場合(ステップ608がN)は、制御部170は、第1摩擦機構114及び第2摩擦機構152を第1状態にしていた(ステップ610)。
しかし、本実施形態では、これに代えて、制御部170は、ステップ608において、収容部104に検出器102が取り付けられていないと判定した場合(ステップ608がN)は、制御部は、ステップ610で回転角度規制機構202を規制状態にする。
また、第2実施形態の制御フローでは、ステップ608において、収容部104に検出器102が取り付けられていると判定した場合(ステップ608でY)は、制御部170は、第1摩擦機構114及び第2摩擦機構152を第2状態にしていた(ステップ612)。
しかし、本実施形態では、これに代えて、制御部170は、ステップ608において、収容部104に検出器102が取り付けられていると判定した場合(ステップ608がY)は、制御部は、ステップ612で回転角度規制機構202を規制解除状態にする。
(作用効果)
本実施形態の放射線撮影装置200は、回転角度規制機構202を備えている。回転角度規制機構202は、図示しない駆動機構によって回転駆動されることにより、アーム12の回転角度の範囲を第1の範囲よりも狭い第2の範囲に規制する規制状態と、回転角度の規制が解除された規制解除状態と、を切り替え可能である。
第2実施形態において述べたとおり、一般的に、収容部104がアーム12に取り付けられ、かつ、検出器102が収容部104から取り外されている状態では、収容部104及び検出器102の双方がアーム12から取り外されている状態と比較して、アーム12の重量バランスの変化は小さい。
ここで、本実施形態において、第1着脱検知部の一例であるフォトセンサ60によって収容部104がアーム12に取り付けられていることが検知されており、かつ、第2着脱検知部の一例であるフォトセンサ112によって検出器102が収容部104から取り外されていることが検知されている状態において、ロック解除操作が行われた場合には、制御部170は、ロック機構(第1ロック機構64及び第2ロック機構76)によるロックの解除を許容し、かつ、回転角度規制機構202を規制状態にする制御を行う。アーム12から検出器102のみが取り外れている状態は、アーム12の重量バランスの変化が小さい状態である。この場合は、アーム12の回転を相対的に狭い角度範囲で許容することで、アーム12が不用意に大きく回転することを抑制しつつ、使い勝手を確保することができる。
一方、フォトセンサ60によって収容部104がアーム12に取り付けられていることが検知されており、かつ、フォトセンサ112によって検出器102が収容部104に取り付けられていることが検知されている状態において、ロック解除操作が行われた場合には、制御部170は、第1ロック機構64及び第2ロック機構76によるロックの解除を許容し、かつ、回転角度規制機構202を規制解除状態にする制御を行う。
これにより、回転角度の規制解除状態(第1の範囲)で、アーム12を軸回転又は軌道回転させることができる。収容部104及び検出器102の両方がアーム12に取り付けられているため、アーム12の重量バランスは保たれているため、アーム12の回転角度の規制を解除しても、重量バランスの作用によって、アーム12が不用意に大きく回転することを抑制することができる。
<その他の実施形態>
以上、本開示の実施形態の一例について記述したが、本開示は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得る。また、上記の各実施形態の構成は、適宜組み合わせることが可能である。
例えば、第3実施形態では、第2実施形態の第2摩擦機構152に代えて、回転角度規制機構202を設ける構成としたが、第2実施形態の第1摩擦機構114に代えて、回転角度規制機構202を設ける構成としてもよい。この場合、回転角度規制機構202によって、アーム12の軌道回転の角度の範囲を規制することが可能となる。
また、第2実施形態の第1摩擦機構114又は第2摩擦機構152に加えて、第3実施形態の回転角度規制機構202を設ける構成としてもよい。この場合、第1摩擦機構114又は第2摩擦機構152によってアーム12に回転方向とは逆向きの摩擦力を作用させつつ、回転角度規制機構202によってアーム12の回転角度の範囲を規制することが可能となる。
また、第1実施形態及び第2実施形態では、第1ロック機構64によってアーム12の軌道回転をロックし、かつ、第2ロック機構76によってアーム12の軸回転をロックする構成となっていた。しかし、アーム12は、少なくとも軌道回転又は軸回転のどちらか一方の回転がロックされる構成となっていればよい。
また、第2実施形態では、摩擦機構としての第1摩擦機構114及び第2摩擦機構152の2つが設けられていたが、摩擦機構は、第1摩擦機構114又は第2摩擦機構152のどちらか一方のみでもよい。
また、第1~第3実施形態において、照射部18から放射線が継続的に照射されているか否か、すなわち動画撮影が行われているか否かを判定し、照射部18から放射線が継続的に照射されている間はアーム12の回転ロックの解除を禁止する構成としてもよい。
具体的には、図20に示すように、例えば第1実施形態の制御フローにおいて、ステップ506とステップ508の間に、動画撮影中か否かを判定するステップ516を追加してもよい。すなわち、アーム12に受像部20(すなわち検出器)が取り付けられていると判定した場合(ステップ506がY)は、制御部28は、動画撮影中か否かを判定する(ステップ516)。
そして、動画撮影中ではない場合(ステップ516がN)は、アーム12の回転ロックを解除し(ステップ508)、動画撮影中の場合(ステップ516がY)は、アームの回転ロック状態を維持する(ステップ504)。すなわち、アーム12の回転ロックの解除を禁止する。
上記構成によれば、受像部20がアーム12に取り付けられている場合であっても、照射部18から放射線が継続的に照射される動画撮影の間は、ロック解除操作が行われても、アーム12のロックの解除が禁止される。このため、アーム12が不用意に回転することによって目的の撮影部位以外に無用な放射線が照射されることを抑制することができる。
また、第1実施形態では、アーム12の他端に設けられた嵌合凸部46に受像部20(すなわち検出器)の嵌合凹部48を嵌合させることで、アーム12に受像部20が着脱可能に取り付けられていた。しかし、アーム12に対する受像部20の着脱方法は、第1実施形態の構成に限らない。
例えば、図21に示すように、装着凹部218Aが形成された装着部218をアーム12の他端に固定し、この装着部218の装着凹部218Aに受像部220(すなわち検出器)を着脱可能に収容する構成としてもよい。この場合にも、第1実施形態と同様に、受像部220が装着部218から取り外されている場合にアーム12の回転をロックし、受像部220が装着部218に取り付けられている場合にアーム12の回転ロックを解除する。
上記構成によれば、受像部220を装着部218の装着凹部218Aに収容することで、受像部220をアーム12に取り付けることができる。そのため、第1実施形態の受像部20のように、受像部220の下面に嵌合凹部等を形成する必要がなく、例えば、既製の受像部220を使用しやすい。
また、第2実施形態では、第1摩擦機構114及び第2摩擦機構152の「第2状態」が、第124摩擦軸及び第2摩擦軸158の摩擦力がアーム12に作用しない状態(作用する摩擦力が0の状態)であった。しかし、「第2状態」は、少なくともアーム12に作用する摩擦力が「第1状態」より低減されていればよく、摩擦力が0の状態には限らない。例えば図13に示すナット144による締め付け力を調整して第1摩擦軸124に作用する摩擦力を「第1状態」より低減させることにより、第1摩擦機構114を「第2状態」とすることも可能である。
また、第3実施形態では、一対の突起208の間隔(角度θ)が固定されており、回転角度規制機構202によって規制することができるアーム12の回転角度の範囲が第2の範囲のみとなっていた。しかし、当接部材204の外周面における突起208の突出位置を可変にすることによって、規制することができるアーム12の回転角度の範囲を可変としてもよい。この場合、例えばアーム12に着脱される受像部106の重さ(重量バランスの変化の大きさ)によって、アーム12の回転可能範囲を変えることが可能となる。
また、上記各実施形態において、アーム12として、軌道回転及び軸回転が可能なアーム(Cアーム)を例に説明したが、軸回転のみが可能なアーム(例えば側面形状がU字形状のUアーム)でもよい。Uアームも、Cアームと同様に、照射部18と受像部20、106、120等を対向する姿勢で保持することが可能である。
なお、放射線としてX線を例に説明したが、X線に限らず、γ線等であってもよい。
上記各実施形態において、制御部28、170といった各種の処理を実行する処理部(Processing Unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(Processor)を用いることができる。各種のプロセッサには、上述したように、ソフトウェアを実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPUに加えて、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
1つの処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせ、および/または、CPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。
複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)等に代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
さらに、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)を用いることができる。